(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022181531
(43)【公開日】2022-12-08
(54)【発明の名称】移載システム
(51)【国際特許分類】
B65G 1/00 20060101AFI20221201BHJP
G05D 1/02 20200101ALI20221201BHJP
【FI】
B65G1/00 501F
G05D1/02 Y
B65G1/00 501C
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021088527
(22)【出願日】2021-05-26
(71)【出願人】
【識別番号】000003218
【氏名又は名称】株式会社豊田自動織機
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100124062
【弁理士】
【氏名又は名称】三上 敬史
(74)【代理人】
【識別番号】100148013
【弁理士】
【氏名又は名称】中山 浩光
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 寿倫
(72)【発明者】
【氏名】柘植 広志
【テーマコード(参考)】
3F022
5H301
【Fターム(参考)】
3F022EE09
3F022LL07
3F022LL19
3F022LL33
3F022MM02
3F022PP06
3F022QQ17
5H301AA01
5H301BB05
5H301CC03
5H301CC06
5H301CC10
5H301DD17
5H301GG08
5H301GG09
5H301QQ01
(57)【要約】
【課題】システムの簡素化及び低コスト化を図ることができる移載システムを提供する。
【解決手段】移載システム1は、自律走行ロボット2に搭載され、搬送装置3の周辺を含む搬送装置3の状態を検知するカメラ61及びAI画像認識器62と、AI画像認識器62の画像認識データに基づいて、自律走行ロボット2から搬送装置3に荷物コンテナ5を移載することが可能な状況であるかどうかを判断する状況判定部67と、荷物コンテナ5を移載することが可能な状況であると判断されたときは、荷物コンテナ5が自律走行ロボット2の下段載置部12から搬送装置3の載置部20に移載される移載位置まで自律走行ロボット2を移動させるように走行モータ64を制御し、荷物コンテナ5を移載することが可能な状況でないと判断されたときは、自律走行ロボット2を移載位置まで移動させる制御処理を実行しない制御部68とを備える。
【選択図】
図9
【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動体から被移載装置に対象物を移載する移載システムであって、
前記移動体に搭載または前記被移載装置の周囲に設置され、前記被移載装置の周辺を含む前記被移載装置の状態を検知する状態検知部と、
前記状態検知部の検知データに基づいて、前記移動体から前記被移載装置に前記対象物を移載することが可能な状況であるかどうかを判断する状況判定部と、
前記状況判定部の判定結果に応じて前記移動体を制御する制御部とを備え、
前記移動体は、前記対象物が載置される第1載置部と、前記移動体を移動させる駆動部とを有し、
前記被移載装置は、前記対象物が載置される第2載置部を有し、
前記制御部は、前記状況判定部により前記移動体から前記被移載装置に前記対象物を移載することが可能な状況であると判断されたときは、前記対象物が前記第1載置部から前記第2載置部に移載される移載位置まで前記移動体を移動させるように前記駆動部を制御し、前記状況判定部により前記移動体から前記被移載装置に前記対象物を移載することが可能な状況でないと判断されたときは、前記移動体を前記移載位置まで移動させる制御処理を実行しない移載システム。
【請求項2】
前記状態検知部は、前記被移載装置及び前記被移載装置の周辺を撮像する撮像部と、前記撮像部の撮像画像を認識する画像認識部とを有する請求項1記載の移載システム。
【請求項3】
前記第2載置部は移動可能であり、
前記状況判定部は、前記状態検知部の検知データに基づいて、前記第2載置部が前記移載位置に対応する規定位置にあるかどうかを判断し、
前記制御部は、前記状況判定部により前記第2載置部が前記規定位置にないと判断されたときは、前記第2載置部を前記規定位置に移動させるための制御処理を実行する請求項1または2記載の移載システム。
【請求項4】
前記状況判定部は、前記状態検知部の検知データに基づいて、前記第2載置部に前記対象物が載置されているかどうかを判断し、
前記制御部は、前記第2載置部に前記対象物が載置されていると判断されたときは、警報処理を実行する請求項1~3の何れか一項記載の移載システム。
【請求項5】
前記状況判定部は、前記状態検知部の検知データに基づいて、前記第2載置部の周辺に障害物が存在するかどうかを判断し、
前記制御部は、前記第2載置部の周辺に前記障害物が存在すると判断されたときは、警報処理を実行する請求項1~4の何れか一項記載の移載システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、移載システムに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば特許文献1には、荷台を有する自律走行式のロボット本体と、荷台に搬送物が搭載されたロボット本体を目的地まで走行させる制御装置とを備えた搬送ロボットシステムが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記従来技術のような搬送ロボットに搭載された搬送物を被移載装置に自動的に移載する際には、被移載装置の状態によっては搬送物を移載することができない場合がある。このため、従来では、例えば状態確認用のセンサ及びシーケンサ等を用いて、電気的なインターロック信号により移載の制御を行っている。しかし、このような制御方法では、被移載装置ごとにセンサ及びシーケンサ等を追加する必要があるため、システムが複雑化し、コストアップにつながる。
【0005】
本発明の目的は、システムの簡素化及び低コスト化を図ることができる移載システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様は、移動体から被移載装置に対象物を移載する移載システムであって、移動体に搭載または被移載装置の周囲に設置され、被移載装置の周辺を含む被移載装置の状態を検知する状態検知部と、状態検知部の検知データに基づいて、移動体から被移載装置に対象物を移載することが可能な状況であるかどうかを判断する状況判定部と、状況判定部の判定結果に応じて移動体を制御する制御部とを備え、移動体は、対象物が載置される第1載置部と、移動体を移動させる駆動部とを有し、被移載装置は、対象物が載置される第2載置部を有し、制御部は、状況判定部により移動体から被移載装置に対象物を移載することが可能な状況であると判断されたときは、対象物が第1載置部から第2載置部に移載される移載位置まで移動体を移動させるように駆動部を制御し、状況判定部により移動体から被移載装置に対象物を移載することが可能な状況でないと判断されたときは、移動体を移載位置まで移動させる制御処理を実行しない。
【0007】
このような移載システムにおいては、状態検知部によって被移載装置の周辺を含む被移載装置の状態が検知される。そして、状態検知部の検知データに基づいて、移動体から被移載装置に対象物を移載することが可能な状況であるかどうかが判断される。移動体から被移載装置に対象物を移載することが可能な状況であると判断されたときは、移動体を移載位置まで移動させるように駆動部が制御されることで、対象物が移動体の第1載置部から被移載装置の第2載置部に移載される。移動体から被移載装置に対象物を移載することが可能な状況でないと判断されたときは、移動体を移載位置まで移動させる制御処理が実行されない。ここで、状態検知部は、移動体に搭載または被移載装置の周囲に設置されている。このため、被移載装置ごとにセンサ及びシーケンサ等を追加しなくて済む。これにより、移載システムの簡素化及び低コスト化が図られる。
【0008】
状態検知部は、被移載装置及び被移載装置の周辺を撮像する撮像部と、撮像部の撮像画像を認識する画像認識部とを有してもよい。このような構成では、撮像部及び画像認識部を用いることにより、被移載装置の周辺を含む被移載装置の状態が簡単に且つ精度良く検知される。これにより、移載システムの更なる簡素化及び低コスト化が図られる。
【0009】
第2載置部は移動可能であり、状況判定部は、状態検知部の検知データに基づいて、第2載置部が移載位置に対応する規定位置にあるかどうかを判断し、制御部は、状況判定部により第2載置部が規定位置にないと判断されたときは、第2載置部を規定位置に移動させるための制御処理を実行してもよい。このような構成では、被移載装置の第2載置部が移載位置に対応する規定位置にないときは、第2載置部を規定位置に移動させるための制御処理が実行される。従って、第2載置部が規定位置まで自動的に移動するため、作業者の到着を待つこと無く、直ちに移動体から被移載装置に対象物を移載することが可能な状況となる。
【0010】
状況判定部は、状態検知部の検知データに基づいて、第2載置部に対象物が載置されているかどうかを判断し、制御部は、第2載置部に対象物が載置されていると判断されたときは、警報処理を実行してもよい。このような構成では、第2載置部に対象物が載置されているときは、警報処理が実行される。従って、作業者は、警報によって、移動体から被移載装置に対象物を移載することが可能な状況でないことが分かる。
【0011】
状況判定部は、状態検知部の検知データに基づいて、第2載置部の周辺に障害物が存在するかどうかを判断し、制御部は、第2載置部の周辺に障害物が存在すると判断されたときは、警報処理を実行してもよい。このような構成では、第2載置部の周辺に障害物が存在するときは、警報処理が実行される。従って、作業者は、警報によって、移動体から被移載装置に対象物を移載することが可能な状況でないことが分かる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、システムの簡素化及び低コスト化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明の一実施形態に係る移載システムを示す概略側面図である。
【
図2】
図1に示された自律走行ロボット及び搬送装置の平面図である。
【
図3】
図1に示された自律走行ロボット及び搬送装置の側面図である。
【
図4】
図1に示された自律走行ロボットの正面図である。
【
図5】
図2に示された自律走行ロボットが搬送装置に対して前進した状態の平面図である。
【
図6】
図2に示された搬送装置において上部材の一部を除いた状態の平面図である。
【
図7】
図2に示された押し具の断面図及び正面図である。
【
図8】
図2に示された規制具の断面図及び正面図である。
【
図9】
図1に示された移載システムの制御系の構成図である。
【
図10】
図9に示された制御ユニットにより実行される制御処理の手順を示すフローチャートである。
【
図11】
図10に示された移載制御処理の手順の詳細を示すフローチャートである。
【
図12】自律走行ロボットから搬送装置に荷物コンテナを移載する動作を示す概略側面図である。
【
図13】自律走行ロボットから搬送装置に荷物コンテナを移載する動作を示す概略側面図である。
【
図14】自律走行ロボットから搬送装置に荷物コンテナを移載する動作を示す概略側面図である。
【
図15】自律走行ロボットから搬送装置に荷物コンテナを移載する動作を示す概略側面図である。
【
図16】搬送装置の載置部が下段位置にない場合の動作を示す概略側面図である。
【
図17】搬送装置の載置部に荷物コンテナが載置されている状態を示す概略側面図である。
【
図18】搬送装置の載置部の周辺に障害物が存在する状態を示す概略側面図である。
【
図19】
図9に示された移載システムの制御系の変形例を示す構成図である。
【
図20】
図10に示された制御処理の手順の変形例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して詳細に説明する。なお、図面において、同一または同等の要素には同じ符号を付し、重複する説明を省略する。
【0015】
図1は、本発明の一実施形態に係る移載システムを示す概略側面図である。
図1において、本実施形態の移載システム1は、自律走行ロボット2と、搬送装置3とを具備している。移載システム1は、対象物である荷物コンテナ5を自律走行ロボット2から搬送装置3に移載するシステムである。
【0016】
図2は、自律走行ロボット2及び搬送装置3の平面図である。
図3は、自律走行ロボット2及び搬送装置3の側面図である。
図4は、自律走行ロボット2の正面図である。なお、
図1~
図3では、自律走行ロボット2は、移載開始位置にある。このとき、自律走行ロボット2は、搬送装置3と正面で向き合っている。このように自律走行ロボット2が移載開始位置にある状態において、自律走行ロボット2と搬送装置3との配列方向を自律走行ロボット2及び搬送装置3の前後方向とする。自律走行ロボット2の前方は、自律走行ロボット2に対して搬送装置3に向かう方向である。また、水平面内において自律走行ロボット2及び搬送装置3の前後方向に直交する方向を、自律走行ロボット2及び搬送装置3の左右方向とする。
【0017】
図1~
図4において、自律走行ロボット2は、荷物コンテナ5を載せて走行する移動体である。自律走行ロボット2は、例えば前後左右に走行可能であると共に旋回可能である。自律走行ロボット2は、荷物コンテナ5を上下2段で載せることが可能である。
【0018】
自律走行ロボット2は、例えば4つの車輪(図示せず)を有するロボット本体10と、このロボット本体10に取り付けられた上段載置部11及び下段載置部12とを備えている。上段載置部11及び下段載置部12は、荷物コンテナ5が載置される第1載置部である。
【0019】
上段載置部11は、左右1対の取付壁部70に固定された上段ベース71と、この上段ベース71の左右両側に突設された1対の上段載置壁72とを有している。取付壁部70は、ロボット本体10に取り付けられ、自律走行ロボット2の上下方向に延在している。
【0020】
1対の上段載置壁72は、自律走行ロボット2の左右方向に所定の間隔をもって配置されている。各上段載置壁72は、自律走行ロボット2の前後方向に延在している。各上段載置壁72の上面72aには、荷物コンテナ5の両側縁部が載置される。上面72aには、荷物コンテナ5を自律走行ロボット2の左右方向に対して位置決めするための複数(ここでは3つ)の位置決め壁13が間隔をもって設けられている。
【0021】
上段載置壁72の前端部の内側面72bには、上段載置壁72の前側に先細りとなるようなテーパ部14が設けられている。上段載置壁72におけるテーパ部14の領域には、切欠部15が設けられている。切欠部15の底面15aには、荷物コンテナ5を搬送方向に押し込む押し具16が固定されている。押し具16の具体的な構造については、後で詳述する。
【0022】
上段載置部11は、上段ベース71の上面71aと各上段載置壁72の内側面72bとにより画成される凹状部73を有している。凹状部73は、各上段載置壁72の上面72aに載置された荷物コンテナ5の底面5aと協働して、断面矩形状の上部収容空間S1を形成している。上部収容空間S1は、自律走行ロボット2の前側及び後側に開口している。テーパ部14は、自律走行ロボット2の前端側に向かうにつれて上部収容空間S1の幅Wを徐々に広くするように形成されている。上部収容空間S1の幅Wは、上部収容空間S1の左右方向の長さである。
【0023】
下段載置部12は、上段載置部11の下方に配置されている。下段載置部12は、ロボット本体10に固定された下段ベース75と、この下段ベース75の左右両側に突設された1対の下段載置壁76とを有している。
【0024】
1対の下段載置壁76は、1対の上段載置壁72と同様の構造を有している。下段載置壁76の上面76aには、荷物コンテナ5の両側縁部が載置される。上面76aには、上段載置壁72と同様に、複数の位置決め壁17が間隔をもって設けられている。下段載置壁76の前端部の内側面76bには、上段載置壁72と同様に、テーパ部18が設けられている。
【0025】
下段載置部12は、下段ベース75の上面75aと各下段載置壁76の内側面76bとにより画成される凹状部77を有している。凹状部77は、各下段載置壁76の上面76aに載置された荷物コンテナ5の底面5aと協働して、断面矩形状の下部収容空間S2を形成している。下部収容空間S2は、自律走行ロボット2の前側及び後側に開口している。テーパ部18は、自律走行ロボット2の前端側に向かうにつれて下部収容空間S2の幅Wを徐々に広くするように形成されている。
【0026】
搬送装置3は、荷物コンテナ5が移載される被移載装置である。搬送装置3は、昇降コンベア7と、この昇降コンベア7の下流側に配置された搬送コンベア8とを備えている。昇降コンベア7及び搬送コンベア8は、基台9に連結されている。
【0027】
昇降コンベア7は、載置部20と、この載置部20を搬送装置3の左右方向に摺動可能に支持する摺動部21と、この摺動部21を左右1対の柱部材22に対して昇降可能に案内する昇降ガイド23と、載置部20を摺動部21を介して昇降ガイド23に沿って昇降させる昇降シリンダ24とを備えている。
【0028】
載置部20は、荷物コンテナ5が載置される第2載置部である。載置部20は、摺動部21から自律走行ロボット2側に延在している。載置部20は、
図5に示されるように、自律走行ロボット2の上部収容空間S1及び下部収容空間S2に収容可能である。載置部20は、昇降シリンダ24により昇降可能である。つまり、載置部20は、搬送装置3の上下方向に移動可能である。
【0029】
載置部20は、摺動部21にリニアガイド25を介して支持された板状の下部材26と、この下部材26に軸部27(
図6参照)を介して回動可能に支持された上部材28とを有している。リニアガイド25は、下部材26を摺動部21に対して搬送装置3の左右方向に摺動可能に案内する。下部材26の先端部の左右両側には、
図6に示されるように、下部材26の先端側に先細りとなるようなテーパ部29が設けられている。
【0030】
上部材28は、下部材26の上方に配置されている。軸部27は、
図6に示されるように、搬送装置3の上下方向に延びる軸であり、下部材26の先端部の近傍に突設されている。上部材28の上面28aには、荷物コンテナ5の左右縁部を除く部分が載置される。
【0031】
上部材28の先端部の左右両側には、上部材28の先端側に先細りとなるようなテーパ部30が設けられている。上部材28の長さ寸法は、下部材26の長さ寸法よりも大きい。長さ寸法は、搬送装置3の前後方向の寸法である。また、上部材28の幅寸法は、下部材26の幅寸法よりも大きい。幅寸法は、搬送装置3の左右方向の寸法である。
【0032】
上部材28の左右方向の両側部には、複数の搬送ローラ31が搬送装置3の左右方向の軸回りに自由回転自在に取り付けられている。また、テーパ部30を含む上部材28の左右方向の両側部には、複数のガイドローラ32が搬送装置3の上下方向の軸回りに自由回転自在に取り付けられている。
【0033】
上部材28の基端部には、荷物コンテナ5を搬送装置3の左右方向に対して位置決めするための左右1対の位置決めアーム33がL字型の取付ブラケット34を介して取り付けられている。位置決めアーム33は、搬送装置3の前後方向に延在している。位置決めアーム33は、上部材28の両側縁よりも搬送装置3の左右方向の外側に位置している。
【0034】
載置部20の先端部には、規制具35が設けられている。規制具35は、自律走行ロボット2における上段載置部11の各上段載置壁72の上面72aまたは下段載置部12の各下段載置壁76の上面76aに載置された荷物コンテナ5が載置部20の上部材28の上面28aに移載される際に、載置部20に対する自律走行ロボット2側への荷物コンテナ5の相対移動を規制する。規制具35は、
図5に示されるように、載置部20が自律走行ロボット2の上部収容空間S1または下部収容空間S2に収容された状態において、荷物コンテナ5の後面5bよりも後側に位置する。なお、規制具35の具体的な構造については、後で詳述する。
【0035】
摺動部21と下部材26との間には、搬送装置3の左右方向の中心側に付勢する左右1組のバネ36が配置されている。これらのバネ36は、摺動部21に対する載置部20の左右方向の基準位置に向かう側に付勢する弾性部材である。摺動部21に対する載置部20の左右方向の基準位置は、例えば自律走行ロボット2が正確な移載開始位置にあるときに、上段載置部11及び下段載置部12の左右方向の中心と載置部20の左右方向の中心とが一致する位置である。バネ36の一端は、摺動部21に直接または補助部材(図示せず)を介して接続されている。バネ36の他端は、下部材26に直接または補助部材(図示せず)を介して接続されている。
【0036】
下部材26と上部材28との間には、
図6に示されるように、搬送装置3の左右方向の中心側に付勢する左右1組のバネ37が配置されている。これらのバネ37は、下部材26に対する上部材28の基準姿勢に向かう側に付勢する弾性部材である。下部材26に対する上部材28の基準姿勢は、下部材26に対する上部材28の傾き角度が0度となるような姿勢である。バネ37の一端は、下部材26の上面に固定された突起部26aに接続されている。バネ37の他端は、上部材28の側壁部28bに接続されている。
【0037】
柱部材22は、基台9に垂直に立設され、搬送装置3の上下方向に延在している。柱部材22は、載置部20を摺動部21を介して昇降可能に支持する。昇降ガイド23は、搬送装置3の上下方向に延在するリニアガイドである。
【0038】
昇降シリンダ24は、空気源52(
図9参照)から供給される空気により駆動される空気圧シリンダである。昇降シリンダ24は、下段位置と上段位置との間で載置部20を摺動部21を介して昇降ガイド23に沿って昇降させる。下段位置は、自律走行ロボット2の下段載置部12に対応する高さ位置である。上段位置は、自律走行ロボット2の上段載置部11に対応する高さ位置である。
【0039】
搬送コンベア8は、荷物コンテナ5を所定位置に向けて搬送する。搬送コンベア8は、左右1対の柱部材22に連結されたコンベアフレーム40と、このコンベアフレーム40に搬送装置3の左右方向の軸回りに自由回転自在に支持された複数の搬送ローラ41とを有している。搬送コンベア8は、搬送装置3の下流側に向かって下がるように傾斜している。搬送コンベア8の下流側には、平坦な搬送コンベア42(
図1参照)が配置されている。
【0040】
このような移載システム1において、自律走行ロボット2から昇降コンベア7に荷物コンテナ5を移載するときは、自律走行ロボット2の上段載置部11及び下段載置部12に荷物コンテナ5が載置された状態で、自律走行ロボット2を昇降コンベア7に対して前進させる。このとき、
図5に示されるように、自律走行ロボット2の上部収容空間S1または下部収容空間S2に昇降コンベア7の載置部20を収容することにより、荷物コンテナ5が載置部20に載置される。
【0041】
そして、自律走行ロボット2を昇降コンベア7に対して一旦後退させた後、自律走行ロボット2を昇降コンベア7に対して前進させる。このとき、上段載置部11に載置された荷物コンテナ5または上段載置部11に設けられた押し具16によって、荷物コンテナ5が昇降コンベア7から搬送コンベア8に送り込まれる。
【0042】
押し具16は、昇降コンベア7の載置部20が自律走行ロボット2の上部収容空間S1に収容されたときに、載置部20に載置された荷物コンテナ5を搬送コンベア8に向けて押し込む。押し具16は、上述したように、自律走行ロボット2の各上段載置部11のテーパ部14にそれぞれ設けられている。
【0043】
押し具16は、上段載置部11の載置面である上面72aに対して突出・引込自在に設けられている。押し具16は、自律走行ロボット2に対する搬送装置3側への荷物コンテナ5の相対移動を許可し、自律走行ロボット2に対する搬送装置3の反対側への荷物コンテナ5の相対移動を許可しないアンチバック機構を有している。
【0044】
具体的には、押し具16は、
図7に示されるように、基部44と、この基部44に軸部45を介して回動可能に連結された爪部46と、基部44と爪部46との間の空間K1に配置され、爪部46側に付勢するバネ47とを有している。
【0045】
爪部46は、バネ47の付勢力により上段載置部11の上面72aよりも突き出る突出部48を有している。突出部48は、爪部46の前端側部分に設けられている。爪部46の前端側は、上段載置部11の前端側に相当する。突出部48には、爪部46の前端から後端側に向かって下がるように傾斜した傾斜面48aが設けられている。
【0046】
上段載置部11の上面72aに荷物コンテナ5が載置されていないときは、上述したように、バネ47の付勢力により爪部46の突出部48が上段載置部11の上面72aよりも突き出た状態となる。上段載置部11の上面72aに荷物コンテナ5が載置されると、荷物コンテナ5が突出部48を基部44側に押し込むことで、爪部46がバネ47の付勢力に抗して回動するため、突出部48が上段載置部11の上面72aから引っ込んだ状態となる。
【0047】
昇降コンベア7の載置部20に設けられた規制具35は、押し具16と同じ構造を有している。つまり、規制具35は、載置部20の載置面である上面28aに対して突出・引込自在である。規制具35は、昇降コンベア7に対する搬送コンベア8側への荷物コンテナ5の相対移動を許可し、昇降コンベア7に対する自律走行ロボット2側への荷物コンテナ5の相対移動を許可しないアンチバック機構を有している。
【0048】
具体的には、規制具35は、
図8に示されるように、基部54と、この基部54に軸部55を介して回動可能に連結された爪部56と、基部54と爪部56との間の空間K2に配置され、爪部56側に付勢するバネ57とを有している。
【0049】
爪部56は、バネ57の付勢力により載置部20の上面28aよりも突き出る突出部58を有している。突出部58は、爪部56の前端側部分に設けられている。爪部56の前端側は、載置部20の基端側に相当する。突出部58には、爪部56の前端から後端側に向かって下がるように傾斜した傾斜面58aが設けられている。
【0050】
図9は、
図1に示された移載システム1の制御系の構成図である。
図9において、移載システム1は、自律走行ロボット2及び搬送装置3に加え、昇降操作ボタン50と、空気圧バルブ53とを備えている。
【0051】
昇降操作ボタン50は、自律走行ロボット2の移動範囲内に配置されている。昇降操作ボタン50は、昇降シリンダ24を駆動することで載置部20の高さ位置を切り替える指示を行う手動操作ボタンである。
【0052】
昇降操作ボタン50は、柱51に高さ位置を調整可能に取り付けられている(
図1参照)。昇降操作ボタン50は、基本的には自律走行ロボット2により押し操作が行われる。ただし、必要に応じて作業者が昇降操作ボタン50の押し操作を行う。昇降操作ボタン50が押されると、昇降シリンダ24が駆動される。なお、昇降操作ボタン50には、自律走行ロボット2の後退時に生じる移動量の誤差を吸収するためのバネ(図示せず)が内蔵されている。
【0053】
空気圧バルブ53は、空気を供給する空気源52と昇降シリンダ24との間に配置されている。また、空気圧バルブ53は、昇降操作ボタン50と直接接続されている。空気圧バルブ53は、昇降操作ボタン50の操作信号に応じて、昇降シリンダ24を伸長させる方向と昇降シリンダ24を収縮させる方向とを直接切り換える電磁式のON/OFF弁である。空気圧バルブ53がONであるときは、昇降シリンダ24が伸長し、空気圧バルブ53がOFFであるときは、昇降シリンダ24が収縮する。
【0054】
空気圧バルブ53は、自律走行ロボット2が昇降操作ボタン50を操作する毎に、ON/OFFが交互に切り替えられる。従って、自律走行ロボット2が昇降操作ボタン50を操作する毎に、載置部20の高さ位置として、上段載置部11に対応した上段位置と下段載置部12に対応した下段位置とが交互に切り替えられる。
【0055】
自律走行ロボット2は、移載操作スイッチ60と、カメラ61と、AI画像認識器62と、制御ユニット63と、走行モータ64と、警報器65とを有している。
【0056】
移載操作スイッチ60は、自律走行ロボット2から搬送装置3への荷物コンテナ5の移載を開始する指示を行うための手動操作スイッチである。
【0057】
カメラ61は、搬送装置3の昇降コンベア7及び昇降コンベア7の周辺を撮像する撮像部である。AI画像認識器62は、AI(人工知能)を利用して、カメラ61の撮像画像を認識する画像認識部である。人工知能としては、例えば機械学習またはディープラーニング等が挙げられる。カメラ61及びAI画像認識器62は、昇降コンベア7の周辺を含む昇降コンベア7の状態を検知する状態検知部を構成している。
【0058】
走行モータ64は、自律走行ロボット2を走行させる駆動部である。走行モータ64は、ロボット本体10の各車輪(図示せず)を回転駆動させる。走行モータ64は、車輪毎にそれぞれ配置されている。警報器65は、警報音を発生させると共に、警報表示を行う。
【0059】
制御ユニット63は、CPU、RAM、ROM及び入出力インターフェース等により構成されている。制御ユニット63は、状況判定部67と、制御部68とを有している。
【0060】
状況判定部67は、カメラ61及びAI画像認識器62により得られた検知データに基づいて、自律走行ロボット2から搬送装置3に荷物コンテナ5を移載することが可能な状況であるかどうかを判断する。
【0061】
制御部68は、状況判定部67の判定結果に応じて、自律走行ロボット2の走行モータ64及び警報器65を制御する。制御部68は、状況判定部67により自律走行ロボット2から搬送装置3に荷物コンテナ5を移載することが可能な状況であると判断されたときは、自律走行ロボット2を移載位置まで移動させるように走行モータ64を制御する。制御部68は、状況判定部67により自律走行ロボット2から搬送装置3に荷物コンテナ5を移載することが可能な状況でないと判断されたときは、自律走行ロボット2を移載位置まで移動させる制御処理を実行しない。
【0062】
移載位置は、搬送装置3の載置部20が自律走行ロボット2の上部収容空間S1または下部収容空間S2に収容されることで、荷物コンテナ5が上段載置部11または下段載置部12から載置部20に移載される位置である。
【0063】
図10は、制御ユニット63により実行される制御処理の手順を示すフローチャートである。本処理は、自律走行ロボット2の上段載置部11及び下段載置部12にそれぞれ荷物コンテナ5が載置された状態で、自律走行ロボット2が移載開始位置に達すると、実行される。
【0064】
図10において、制御ユニット63は、まずAI画像認識器62の画像認識データを取得する(手順S101)。画像認識データは、AI画像認識器62によりカメラ61の撮像画像を認識して得られた画像データである。画像認識データは、カメラ61及びAI画像認識器62により得られた検知データに相当する。
【0065】
そして、制御ユニット63は、画像認識データに基づいて、昇降コンベア7の載置部20に荷物コンテナ5が載置されていないかどうかを判断する(手順S102)。制御ユニット63は、載置部20に荷物コンテナ5が載置されていない(
図12(a)参照)と判断したときは、画像認識データに基づいて、載置部20の周辺に障害物が存在しないかどうかを判断する(手順S103)。障害物は、自律走行ロボット2から搬送装置3への荷物コンテナ5の移載にとって障害となる物体である。障害物には、作業者等の人、荷物コンテナ5またはその他の物体等が含まれる。
【0066】
制御ユニット63は、載置部20の周辺に障害物が存在しない(
図12(a)参照)と判断したときは、画像認識データに基づいて、載置部20が下段位置にあるかどうかを判断する(手順S104)。下段位置は、上記の移載位置に対応する規定位置に相当する。制御ユニット63は、載置部20が下段位置にある(
図12(a)参照)と判断したときは、荷物コンテナ5を移載する移載制御処理を実行する(手順S105)。
【0067】
図11は、手順S105による移載制御処理の手順の詳細を示すフローチャートである。
図11において、制御ユニット63は、まず自律走行ロボット2を昇降コンベア7に対して前進させるための制御信号を走行モータ64に出力する(手順S111)。このとき、制御ユニット63は、昇降コンベア7の載置部20が自律走行ロボット2の下部収容空間S2に収容されることで下段載置部12に載置された荷物コンテナ5が載置部20に移載可能となる移載位置(前述)まで自律走行ロボット2を前進させるための制御信号を出力する。
【0068】
続いて、制御ユニット63は、自律走行ロボット2のロボット本体10が昇降操作ボタン50を押す位置まで自律走行ロボット2を昇降コンベア7に対して後退させるための制御信号を走行モータ64に出力する(手順S112)。
【0069】
続いて、制御ユニット63は、昇降操作ボタン50がロボット本体10により押されたかどうかを判断する(手順S113)。このとき、制御ユニット63は、例えば自律走行ロボット2の後進開始からの経過時間に基づいて、昇降操作ボタン50が押されたかどうかを判断してもよいし、或いは接触センサや測距センサ等の検出信号に基づいて、昇降操作ボタン50が押されたかどうかを判断してもよい。
【0070】
制御ユニット63は、昇降操作ボタン50がロボット本体10により押されたと判断したときは、自律走行ロボット2を昇降コンベア7に対して前進させるための制御信号を走行モータ64に出力する(手順S114)。
【0071】
このとき、制御ユニット63は、載置部20が自律走行ロボット2の上部収容空間S1に収容されることで上段載置部11に載置された荷物コンテナ5が載置部20に移載可能となる移載位置(前述)まで自律走行ロボット2を前進させるための制御信号を出力する。
【0072】
続いて、制御ユニット63は、自律走行ロボット2を昇降コンベア7に対して一旦後退させるための制御信号を走行モータ64に出力する(手順S115)。このとき、制御ユニット63は、載置部20が上部収容空間S1から引き抜かれる一旦停止位置まで自律走行ロボット2を後退させるための制御信号を出力する。一旦停止位置は、搬送装置3と昇降操作ボタン50との間の位置である。
【0073】
そして、制御ユニット63は、自律走行ロボット2を昇降コンベア7に対して前進させるための制御信号を走行モータ64に出力する(手順S116)。このとき、制御ユニット63は、載置部20が上部収容空間S1に再び収容されることで押し具16が載置部20に載置された荷物コンテナ5を搬送コンベア8に向けて押し込む位置まで自律走行ロボット2を前進させるための制御信号を出力する。
【0074】
続いて、制御ユニット63は、ロボット本体10が昇降操作ボタン50を押す位置まで自律走行ロボット2を昇降コンベア7に対して後退させるための制御信号を走行モータ64に出力する(手順S117)。
【0075】
続いて、制御ユニット63は、昇降操作ボタン50がロボット本体10により押されたかどうかを判断する(手順S118)。制御ユニット63は、昇降操作ボタン50がロボット本体10により押されたと判断したときは、自律走行ロボット2を移載開始位置まで前進させるための制御信号を走行モータ64に出力し(手順S119)、本処理を終了する。
【0076】
図10に戻り、制御ユニット63は、手順S104において載置部20が下段位置にない、つまり載置部20が上段位置にある(
図16(a)参照)と判断したときは、ロボット本体10が昇降操作ボタン50を押す位置まで自律走行ロボット2を昇降コンベア7に対して後進させるための制御信号を走行モータ64に出力する(手順S106)。
【0077】
続いて、制御ユニット63は、昇降操作ボタン50がロボット本体10により押されたかどうかを判断する(手順S107)。制御ユニット63は、昇降操作ボタン50がロボット本体10により押されたと判断したときは、上記の手順S105を実行する。
【0078】
制御ユニット63は、手順S102で載置部20に荷物コンテナ5が載置されている(
図17参照)と判断したとき、または手順S103で載置部20の周辺に障害物が存在する(
図18参照)と判断したときは、異常状態であるとして警報報知を行うように警報器65を制御し(手順S108)、本処理を終了する。
【0079】
以上において、状況判定部67は、上記の手順S101~S104を実行する。制御部68は、上記の手順S105~S108を実行する。また、上記の手順S106は、載置部20を下段位置(規定位置)に移動させるための制御処理に相当する。上記の手順S108は、警報処理に相当する。
【0080】
次に、
図12~
図18を用いて、移載システム1によって自律走行ロボット2から搬送装置3に荷物コンテナ5を移載する動作について説明する。
【0081】
まず作業者は、積荷位置において、自律走行ロボット2の上段載置部11及び下段載置部12にそれぞれ荷物コンテナ5A,5Bを載置した後、移載操作スイッチ60をON操作して荷物コンテナ5A,5Bの移載を指示する。積荷位置は、自律走行ロボット2に荷物コンテナ5を載せる位置である。
【0082】
移載操作スイッチ60がON操作されると、自律走行ロボット2は、
図12(a)に示されるように、搬送装置3に向かって走行し、搬送装置3の昇降コンベア7と向き合った移載開始位置まで移動する。すると、自律走行ロボット2に搭載されたカメラ61によって、昇降コンベア7自体及び昇降コンベア7の周辺が撮像される。そして、AI画像認識器62によりカメラ61の撮像画像が認識されることで、昇降コンベア7の周辺を含む昇降コンベア7の状態が検知される。
【0083】
ここで、
図12(a)に示されるように、昇降コンベア7の載置部20が下段位置にあり、載置部20に荷物コンテナ5が載置されておらず、載置部20の周辺に障害物が存在しない場合は、荷物コンテナ5の移載動作が実施される。
【0084】
即ち、自律走行ロボット2は、
図12(b)に示されるように、昇降コンベア7に対して前進することで、載置部20が自律走行ロボット2の下部収容空間S2に収容される。
【0085】
このとき、下段載置部12の前端部にはテーパ部18が設けられ、載置部20の先端部にはテーパ部30が設けられているため、下段載置部12が載置部20に対して左右方向に多少ずれていたり、下段載置部12が載置部20に対して多少傾いていても、載置部20が下部収容空間S2に収容されやすくなっている。
【0086】
また、載置部20が摺動部21に搬送装置3の左右方向に摺動可能に支持されているため、載置部20に対する下段載置部12の左右方向の位置ずれが吸収される。また、上部材28が下部材26に軸部27を介して回動可能に支持されているため、載置部20に対する下段載置部12の傾きが吸収される。
【0087】
また、載置部20のガイドローラ32に下段載置部12が案内されながら、載置部20が下部収容空間S2に収容されるため、下段載置部12と載置部20とが擦れることが防止される。
【0088】
また、下段載置部12に載置された荷物コンテナ5Bが規制具35に達すると、荷物コンテナ5Bが規制具35の爪部56の突出部58を踏み込むことで、爪部56がバネ57の付勢力に抗して回動し、突出部58が載置部20の上面28aから引っ込んだ状態となるため、荷物コンテナ5Bが規制具35を通過する。
【0089】
そして、自律走行ロボット2は、
図12(c)に示されるように、昇降コンベア7に対して更に前進することで、載置部20に荷物コンテナ5Bが載置される。このとき、荷物コンテナ5Bが規制具35を通過した後は、規制具35の突出部58がバネ57の付勢力により載置部20の上面28aから突き出る。このため、荷物コンテナ5Bは、規制具35により上流側(自律走行ロボット2側)に対して拘束されることとなる。
【0090】
次いで、自律走行ロボット2は、
図13(a)に示されるように、ロボット本体10が昇降操作ボタン50を押す位置まで昇降コンベア7に対して後退する。このとき、規制具35によって載置部20に対する自律走行ロボット2側への荷物コンテナ5Bの相対移動が規制されているため、荷物コンテナ5Bが自律走行ロボット2と共に後退することはなく、荷物コンテナ5Bは載置部20に載置された状態に維持される。
【0091】
ロボット本体10により昇降操作ボタン50が押されると、
図13(b)に示されるように、昇降シリンダ24が伸長することにより、荷物コンテナ5Bが載置された載置部20が下段位置から上段位置まで上昇する。
【0092】
次いで、自律走行ロボット2は、
図13(c)に示されるように、昇降コンベア7に対して前進することで、昇降コンベア7の載置部20が自律走行ロボット2の上部収容空間S1に収容される。
【0093】
このとき、上段載置部11の前端部にはテーパ部14が設けられ、載置部20の先端部にはテーパ部30が設けられているため、上段載置部11が載置部20に対して左右方向に多少ずれていたり、上段載置部11が載置部20に対して多少傾いていても、載置部20が上部収容空間S1に収容されやすくなっている。また、上述したように、載置部20に対する上段載置部11の左右方向の位置ずれが吸収されると共に、載置部20に対する上段載置部11の傾きが吸収される。
【0094】
また、載置部20のガイドローラ32に上段載置部11が案内されるため、上段載置部11と載置部20とが擦れることが防止される。また、上段載置部11に載置された荷物コンテナ5Aが規制具35に達すると、荷物コンテナ5Aが規制具35の突出部58を踏み込んで、突出部58が載置部20の上面20aから引っ込んだ状態となるため、荷物コンテナ5Aが規制具35を通過する。
【0095】
そして、上段載置部11に載置された荷物コンテナ5Aが載置部20に載置された荷物コンテナ5Bを搬送コンベア8側に押し込む。これにより、荷物コンテナ5Bが搬送コンベア8に送られる(
図14(a)参照)。このとき、載置部20には複数の搬送ローラ31が設けられているため、荷物コンテナ5Bが搬送コンベア8までスムーズに供給される。
【0096】
次いで、自律走行ロボット2は、
図14(a)に示されるように、昇降コンベア7に対して更に前進することで、載置部20に荷物コンテナ5Aが載置される。このとき、荷物コンテナ5Aが規制具35を通過した後は、上述したように、規制具35によって荷物コンテナ5Aが上流側に対して拘束される。また、自律走行ロボット2の上段載置部11に設けられた押し具16の突出部48は、上段載置部11の上面72aから突出する(
図14(b)参照)。
【0097】
次いで、自律走行ロボット2は、
図14(b)に示されるように、載置部20が上部収容空間S1から引き抜かれる一旦停止位置まで昇降コンベア7に対して一旦後退する。このとき、規制具35によって載置部20に対する自律走行ロボット2側への荷物コンテナ5Aの相対移動が規制されているため、荷物コンテナ5Aが自律走行ロボット2と共に後退することはなく、荷物コンテナ5Aは載置部20に載置された状態に維持される。
【0098】
そして、自律走行ロボット2は、
図14(c)に示されるように、昇降コンベア7に対して前進することで、昇降コンベア7の載置部20が再び自律走行ロボット2の上部収容空間S1に収容される。その状態で、自律走行ロボット2が更に前進すると、上段載置部11に設けられた押し具16の突出部48が載置部20に載置された荷物コンテナ5Aを搬送コンベア8側に押し込む。これにより、荷物コンテナ5Aが搬送コンベア8に送られる。
【0099】
次いで、自律走行ロボット2は、
図15(a)に示されるように、ロボット本体10が昇降操作ボタン50を押す位置まで昇降コンベア7に対して後退する。ロボット本体10により昇降操作ボタン50が押されると、
図15(b)に示されるように、昇降シリンダ24が収縮することにより、載置部20が上段位置から下段位置まで下降する。
【0100】
その後、自律走行ロボット2は、次の荷物コンテナ5を取りに行くために積荷位置まで戻る。そして、上段載置部11及び下段載置部12にそれぞれ荷物コンテナ5A,5Bが載置された後、上述した移載動作が再度実施される。
【0101】
一方、自律走行ロボット2が移載開始位置に達したときに、
図16(a)に示されるように、昇降コンベア7の載置部20が下段位置ではなく上段位置にある場合は、以下の動作が実施される。
【0102】
即ち、自律走行ロボット2は、
図16(b)に示されるように、ロボット本体10が昇降操作ボタン50を押す位置まで昇降コンベア7に対して後退する。そして、ロボット本体10により昇降操作ボタン50が押されると、
図16(c)に示されるように、昇降シリンダ24が収縮することにより、載置部20が上段位置から下段位置まで下降する。その後、上述した荷物コンテナ5の移載動作が実施される。
【0103】
また、
図17に示されるように、昇降コンベア7の載置部20が下段位置にあるが、載置部20に荷物コンテナ5が載置されている場合には、自律走行ロボット2が移載開始位置で停止したまま、警報器65により警報が行われる。すると、自律走行ロボット2の近くにいる作業者は、警報によって異常状態にあることを認識し、載置部20に載置された荷物コンテナ5を手で取って別の場所に置く。そして、作業者は、移載操作スイッチ60をON操作することで、上述した荷物コンテナ5の移載動作が再開される。
【0104】
なお、昇降コンベア7の載置部20が上段位置にあると共に、載置部20に荷物コンテナ5が載置されている場合にも、自律走行ロボット2が移載開始位置で停止したまま、警報器65により警報が行われる。
【0105】
また、
図18に示されるように、昇降コンベア7の載置部20が下段位置にあり、載置部20に荷物コンテナ5が載置されていないが、載置部20の周辺に障害物が存在する場合にも、自律走行ロボット2が移載開始位置で停止したまま、警報器65により警報が行われる。なお、
図18では、搬送装置3の搬送コンベア8の上流端に障害物である荷物コンテナ5Sが引っ掛かっている状態となっている。
【0106】
この場合には、上述したように、自律走行ロボット2の近くにいる作業者は、警報によって異常状態にあることを認識し、搬送コンベア8に引っ掛かっている荷物コンテナ5Sを手で取って別の場所に置く。そして、作業者は、移載操作スイッチ60をON操作することで、上述した荷物コンテナ5の移載動作が再開される。
【0107】
なお、載置部20のすぐ傍に他の作業者が存在する場合にも、載置部20の周辺に障害物が存在するということで、自律走行ロボット2が移載開始位置で停止したまま、警報器65により警報が行われる。
【0108】
以上のように本実施形態にあっては、カメラ61及びAI画像認識器62によって搬送装置3の周辺を含む搬送装置3の状態が検知される。そして、AI画像認識器62の画像認識データに基づいて、自律走行ロボット2から搬送装置3に荷物コンテナ5を移載することが可能な状況であるかどうかが判断される。自律走行ロボット2から搬送装置3に荷物コンテナ5を移載することが可能な状況であると判断されたときは、自律走行ロボット2を移載位置まで移動させるように走行モータ64が制御されることで、荷物コンテナ5が自律走行ロボット2の下段載置部12から搬送装置3の載置部20に移載される。自律走行ロボット2から搬送装置3に荷物コンテナ5を移載することが可能な状況でないと判断されたときは、自律走行ロボット2を移載位置まで移動させる制御処理が実行されない。ここで、カメラ61及びAI画像認識器62は、自律走行ロボット2に搭載されている。このため、搬送装置3ごとにセンサ及びシーケンサ等を追加しなくて済む。これにより、移載システム1の簡素化及び低コスト化が図られる。また、搬送装置3にセンサ及びシーケンサ等を搭載した場合と異なり、必要以上にインターロック機能が働くことが無いため、作業者による手動操作との共存の自由度が向上する。
【0109】
また、本実施形態では、カメラ61及びAI画像認識器62を用いることにより、搬送装置3の周辺を含む搬送装置3の状態が簡単に且つ精度良く検知される。これにより、移載システム1の更なる簡素化及び低コスト化が図られる。
【0110】
また、本実施形態では、AI画像認識器62の画像認識データに基づいて、搬送装置3の載置部20が移載位置に対応する下段位置にあるかどうかが判断され、載置部20が下段位置にないときは、載置部20を下段位置に移動させるための制御処理が実行される。従って、載置部20が下段位置まで自動的に移動するため、作業者の到着を待つこと無く、直ちに自律走行ロボット2から搬送装置3に荷物コンテナ5を移載することが可能な状況となる。
【0111】
また、本実施形態では、AI画像認識器62の画像認識データに基づいて、載置部20に荷物コンテナ5が載置されているかどうかが判断され、載置部20に荷物コンテナ5が載置されているときは、警報処理が実行される。また、AI画像認識器62の画像認識データに基づいて、載置部20の周辺に障害物が存在するかどうかが判断され、載置部20の周辺に障害物が存在するときも、警報処理が実行される。従って、作業者は、警報によって、自律走行ロボット2から搬送装置3に荷物コンテナ5を移載することが可能な状況でないことが分かる。
【0112】
また、本実施形態では、カメラ61及びAI画像認識器62が自律走行ロボット2に搭載されているため、自律走行ロボット2の台数が搬送装置3の数に対して少ない場合に、コスト的に有利となる。
【0113】
図19は、
図9に示された移載システム1の制御系の変形例を示す構成図である。
図19において、本変形例の移載システム1は、定点カメラ81と、上記のAI画像認識器62と、送信機82とを備えている。
【0114】
定点カメラ81は、搬送装置3の周囲に設置されている。定点カメラ81は、例えば搬送装置3の昇降コンベア7の側方に設置されている。定点カメラ81は、昇降コンベア7及び昇降コンベア7の周辺を撮像する撮像部である。
【0115】
AI画像認識器62は、定点カメラ81の近傍に配置されている。AI画像認識器62は、定点カメラ81の撮像画像を認識する画像認識部である。定点カメラ81及びAI画像認識器62は、昇降コンベア7の周辺を含む昇降コンベア7の状態を検知する状態検知部を構成している。
【0116】
送信機82は、AI画像認識器62の近傍に配置されている。送信機82は、AI画像認識器62の画像認識データを無線通信により自律走行ロボット2に送信する。
【0117】
自律走行ロボット2は、受信機83と、上記の移載操作スイッチ60、制御ユニット63、走行モータ64及び警報器65とを有している。受信機83は、送信機82により送信された画像認識データを受信する。従って、制御ユニット63は、AI画像認識器62の画像認識データを送信機82及び受信機83を介して取得することとなる。
【0118】
このような本変形例においては、定点カメラ81は、搬送装置3の周囲に設置されている。このため、自律走行ロボット2の台数が搬送装置3の数に対して多い場合に、コスト的に有利となる。
【0119】
図20は、
図10に示された制御処理の手順の変形例を示すフローチャートである。
図20において、制御ユニット63は、上記の手順S104において搬送装置3の載置部20が下段位置にないと判断したときは、
図10における上記の手順S106,S107を実行せずに、異常状態であるとして警報報知を行うように警報器65を制御する(手順S108)。
【0120】
このような本変形例では、搬送装置3の載置部20が下段位置にないときも、警報処理が実行される。従って、作業者は、警報によって、自律走行ロボット2から搬送装置3に荷物コンテナ5を移載することが可能な状況でないことが分かる。この場合、作業者自身が昇降操作ボタン50を押して、昇降シリンダ24を駆動することで、載置部20を下段位置まで下降させることができる。
【0121】
なお、本発明は、上記実施形態には限定されない。例えば上記実施形態では、AI画像認識器62の画像認識データに基づいて、搬送装置3の載置部20に荷物コンテナ5が載置されているか否か、載置部20の周辺に障害物が存在するか否か、載置部20が下段位置にあるか否かが順に判断されているが、特にそのような形態には限られない。
【0122】
例えば、荷物コンテナ5の移載が可能な状態であるOK画像と荷物コンテナ5の移載が不可能な状態である複数のNG画像とを予め用意しておき、AI画像認識器62の画像認識データがOK画像及びNG画像の何れに近いかを判定することで、自律走行ロボット2から搬送装置3に荷物コンテナ5を移載することが可能な状況であるかどうかを判断してもよい。この場合、自律走行ロボット2から搬送装置3に荷物コンテナ5を移載することが可能な状況であると判断されたときは、上記の移載制御処理(手順S105)を実行し、自律走行ロボット2から搬送装置3に荷物コンテナ5を移載することが可能な状況でないと判断されたときは、警報報知を行うように警報器65を制御する(手順S108)。
【0123】
また、本実施形態では、搬送装置3の載置部20に荷物コンテナ5が載置されているかどうか、載置部20の周辺に障害物が存在するかどうかが判断されているが、そのような判断処理(
図10及び
図20の手順S102,S103)については、特に無くてもよい。この場合、手順S104で搬送装置3の載置部20が下段位置にないと判断されたときは、
図10に示されるように手順S106,S107を実行してもよいし、
図20に示されるように手順S108を実行してもよい。
【0124】
また、上記実施形態では、自律走行ロボット2に搭載されたカメラ61または搬送装置3の周囲に設置された定点カメラ81を用いて、搬送装置3の周辺を含む搬送装置3の状態が検知されているが、特にそのような形態には限られない。カメラ61または定点カメラ81の代わりに、例えば搬送装置3に向けてレーザを照射し、レーザの反射光を受光することで、自律走行ロボット2から搬送装置3までの距離を計測するレーザセンサ等を使用してもよい。
【0125】
また、上記実施形態では、空気圧バルブ53は、昇降操作ボタン50と直結されており、昇降操作ボタン50の操作信号に応じて昇降シリンダ24を直接駆動しているが、特にそのような形態には限られない。例えば、昇降操作ボタン50の操作信号を入力し、その操作信号に応じた制御信号を空気圧バルブ53に出力することで、空気圧バルブ53を制御する制御器を備えてもよい。
【0126】
この場合には、制御器及び自律走行ロボット2に無線通信機を搭載し、制御器から自律走行ロボット2に昇降操作ボタン50の操作信号を送信してもよい。これにより、制御ユニット63は、昇降操作ボタン50がロボット本体10により押されたかどうかを容易に判断することができる。
【0127】
また、上記実施形態では、自律走行ロボット2の下段載置部12に載置された荷物コンテナ5が昇降コンベア7の載置部20に移載されると、昇降シリンダ24により載置部20が下段位置から上段位置まで上昇しているが、特にそのような形態には限られない。搬送コンベア8が自律走行ロボット2の下段載置部12に対応する高さ位置に配置されている場合には、自律走行ロボット2の上段載置部11に載置された荷物コンテナ5が昇降コンベア7の載置部20に移載されると、昇降シリンダ24により載置部20が上段位置から下段位置まで下降してもよい。
【0128】
また、上記実施形態では、自律走行ロボット2は、荷物コンテナ5が載置される上段載置部11及び下段載置部12を有する上下2段構造を呈しているが、荷物コンテナ5が載置される載置部の段数としては、特に複数段には限られず、1段であってもよい。この場合には、搬送装置3は、載置部20を昇降させる構造を有しない。なお、搬送装置3は、荷物コンテナ5が載置される載置部を前後方向または左右方向に移動させる構造を有していてもよい。
【0129】
また、上記実施形態では、自律走行ロボット2を搬送装置3に対して前進させて、自律走行ロボット2の上部収容空間S1または下部収容空間S2に載置部20が収容されることで、上段載置部11または下段載置部12に載置された荷物コンテナ5が載置部20に移載されているが、特にその形態には限られず、既知の移載装置により自律走行ロボット2から搬送装置3に荷物コンテナ5を移載してもよい。
【0130】
また、上記実施形態では、荷物コンテナ5が自律走行ロボット2から搬送装置3に移載されているが、自律走行ロボット2から搬送装置3に移載される対象物としては、特に荷物コンテナ5には限られず、コンテナ以外の荷物でもよいし、或いは製品の製造時にアセンブリ工程等に搬送される構成部品であってもよい。また、荷物や構成部品等の対象物が移載される被移載装置は、特に搬送装置には限られない。
【0131】
また、荷物コンテナ5等の対象物を載せて走行する移動体としては、特に自律走行ロボット2には限られず、例えば無人搬送台車等であってもよい。
【符号の説明】
【0132】
1…移載システム、2…自律走行ロボット(移動体)、3…搬送装置(被移載装置)、5…荷物コンテナ(対象物)、5S…荷物コンテナ(障害物)、11…上段載置部(第1載置部)、12…下段載置部(第1載置部)、20…載置部(第2載置部)、61…カメラ(撮像部、状態検知部)、62…AI画像認識器(画像認識部、状態検知部)、64…走行モータ(駆動部)、67…状況判定部、68…制御部、81…定点カメラ(撮像部、状態検知部)。