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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022181551
(43)【公開日】2022-12-08
(54)【発明の名称】疾病リスク処理装置
(51)【国際特許分類】
   G08B 21/02 20060101AFI20221201BHJP
   G08B 25/04 20060101ALI20221201BHJP
   G16H 20/00 20180101ALI20221201BHJP
   G06Q 50/22 20180101ALI20221201BHJP
   G16H 50/30 20180101ALI20221201BHJP
【FI】
G08B21/02
G08B25/04 K
G16H20/00
G06Q50/22
G16H50/30
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021088559
(22)【出願日】2021-05-26
(71)【出願人】
【識別番号】593226995
【氏名又は名称】清木 康
(74)【代理人】
【識別番号】100109243
【弁理士】
【氏名又は名称】元井 成幸
(72)【発明者】
【氏名】清木 康
(72)【発明者】
【氏名】村上 孝司
【テーマコード(参考)】
5C086
5C087
5L099
【Fターム(参考)】
5C086AA05
5C086AA09
5C086BA07
5C086CA16
5C086CB01
5C086CB07
5C086CB20
5C086DA08
5C086EA40
5C086EA41
5C086EA45
5C086FA02
5C086FA17
5C086FA18
5C087AA05
5C087AA10
5C087AA19
5C087AA32
5C087AA51
5C087DD03
5C087EE08
5C087FF01
5C087FF02
5C087GG08
5C087GG09
5C087GG19
5C087GG66
5C087GG84
5L099AA04
5L099AA15
5L099AA21
(57)【要約】
【課題】ある種の疾病を発症しやすい対象者に発症リスクの高い場所に居続ける危険性を知らせ、発症リスクの高い場所からの移動を促すことができる。
【解決手段】利用者携帯端末8から利用者が存在する場所の気温、湿度、気圧等の環境パラメータを取得し、利用者に対応する登録疾病とこれらに対応して登録されている環境パラメータの各々に対応する重み係数を記憶し、各々の前記環境パラメータを正規化して重み係数を乗ずることにより線形和を算出して疾病リスク値として認識し、登録疾病の疾病リスク値について経時的な積算量を算出し、積算量と疾病積算閾値とを対比して登録疾病の発症リスクの有無を判定し、登録疾病の発症リスク有りの判定に応じて利用者携帯端末8に警告を出力させるデータを送信する疾病リスク処理装置1。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
通信接続される利用者の利用者携帯端末から前記利用者が存在する場所の複数種の環境パラメータを取得するパラメータ取得部と、
前記利用者に対応して登録されている登録疾病と、前記利用者と前記登録疾病に対応して登録されている前記環境パラメータのそれぞれに対応する重み係数を記憶する利用者疾病記憶部と、
疾病の種別に対応する前記環境パラメータに対する正規化用データを記憶する正規化用データ記憶部と、
前記利用者携帯端末から取得した各々の前記環境パラメータに対して、前記利用者の前記登録疾病の疾病の種別に対応する前記正規化用データで正規化して正規化環境パラメータを算出し、前記正規化環境パラメータに前記利用者と前記登録疾病に対応する重み係数をそれぞれ乗ずることにより線形和を算出し、前記線形和を前記登録疾病に対する疾病リスク値として認識する疾病リスク算出部と、
疾病毎の疾病リスク値の積算量の疾病積算閾値を記憶する疾病積算閾値記憶部と、
前記利用者に対応して算出する前記登録疾病の前記疾病リスク値について経時的な積算量を算出し、算出した積算量と前記登録疾病に対応して記憶されている前記疾病積算閾値とを対比して前記登録疾病の発症リスクの有無を判定する発症リスク判定部と、
前記登録疾病の発症リスク有りの判定に応じて前記利用者携帯端末に警告を出力させるデータを送信する警告処理部と、を備えることを特徴とする疾病リスク処理装置。
【請求項2】
前記複数種の環境パラメータとして、少なくとも、気温と、湿度が設定されることを特徴とする請求項1記載の疾病リスク処理装置。
【請求項3】
前記パラメータ取得部が、前記利用者が存在する場所に関する環境情報を格納する外部サーバと通信接続して補足環境パラメータを取得し、
前記利用者疾病記憶部が、前記利用者と前記登録疾病に対応して登録されている前記補足環境パラメータに対する重み係数を記憶し、
前記正規化用データ記憶部が、疾病の種別に対応する前記補足環境パラメータに対する正規化用データを記憶し、
前記疾病リスク算出部が、前記利用者携帯端末から取得した各々の前記環境パラメータと前記補足環境パラメータに対して、前記利用者の前記登録疾病の疾病の種別に対応する前記正規化用データで正規化して前記正規化環境パラメータと正規化補足環境パラメータを算出し、前記正規化環境パラメータと前記正規化補足環境パラメータに前記利用者と前記登録疾病に対応する重み係数をそれぞれ乗じて線形和を算出し、前記線形和を前記登録疾病に対する前記疾病リスク値として認識することを特徴とする請求項1又は2記載の疾病リスク処理装置。
【請求項4】
前記利用者疾病記憶部が、前記利用者に対応して登録されている複数種の登録疾病と、前記利用者と前記登録疾病の種別に対応して登録されている前記環境パラメータのそれぞれに対応する重み係数を記憶し、
前記疾病リスク算出部が、前記利用者携帯端末から取得した各々の前記環境パラメータに対して、前記利用者の前記登録疾病の疾病の種別に対応する前記正規化用データで正規化して正規化環境パラメータを算出し、前記疾病の種別毎の前記正規化環境パラメータに前記利用者と前記登録疾病の種別に対応し且つ前記疾病の種別に対応する重み係数をそれぞれ乗ずることにより、前記登録疾病の種別毎の線形和を算出し、前記線形和を種別毎の前記登録疾病に対する疾病リスク値として認識し、
前記発症リスク判定部が、前記利用者に対応して算出する前記登録疾病の種別毎の前記疾病リスク値について経時的な積算量を算出し、算出した積算量と前記登録疾病の種別に対応して記憶されている前記疾病積算閾値とを対比し、前記疾病積算閾値に最短時間で到達した種別の前記登録疾病の発症リスクを有りと判定し、
前記警告処理部が、前記種別の前記登録疾病の発症リスク有りの判定に応じて前記利用者携帯端末に利用者の移動を促す警告を出力させるデータを送信することを特徴とする請求項1~3の何れかに記載の疾病リスク処理装置。
【請求項5】
1種の前記環境パラメータの設定時間当たりの許容範囲を超える急変に応じて、少なくとも、前記1種の環境パラメータに対応する重み係数を規定増加率によって増加させることを特徴とする請求項1~4の何れかに記載の疾病リスク処理装置。

被写体を含む画像を撮像する撮像部と、
前記撮像部が撮像した撮像画像が白飛びしないように、前記撮像部の撮像条件を制御する撮像条件制御部と、
前記撮像画像に含まれる被写体を抽出する被写体抽出部と、
AIを用いて、ネットワーク上で前記被写体の被写体画像と類似する類似画像を検索する画像検索部と、
前記類似画像に応じたガンマ値で前記撮像画像をガンマ補正するガンマ補正部と、を備えた撮像装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、利用者が特定の疾病を発症する発症リスクを評価する疾病リスク処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、利用者が特定の疾病を発症する可能性を算出する装置として特許文献1の疾病予測装置がある。この疾病予測装置は、利用者が疾病を発症する可能性の予測精度を高めるべく、利用者の診察データと利用者の親族の診療データを取得し、利用者の診察データから推測される疾病の発症に対する親族の診察データの影響度を、利用者と親族との間の親等の距離で重み付けして算出し、利用者の診察データと算出した影響度に基づき、利用者が疾病を発症する可能性を予測する処理を行うものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2020-13246号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、湿度の低下に伴う喘息の発作の増加や、気温の低下に伴う脳や心臓の血管障害の増加など、環境要因が特定の疾病の発症と密接な関連性があることが知られている。そのため、ある種の疾病を発症しやすい対象者に発症リスクの高い場所に居続ける危険性を知らせ、移動を促すことができる技術が望まれている。
【0005】
本発明は上記課題に鑑み提案するものであって、ある種の疾病を発症しやすい対象者に発症リスクの高い場所に居続ける危険性を知らせ、発症リスクの高い場所からの移動を促すことができる疾病リスク処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の疾病リスク処理装置は、通信接続される利用者の利用者携帯端末から前記利用者が存在する場所の複数種の環境パラメータを取得するパラメータ取得部と、前記利用者に対応して登録されている登録疾病と、前記利用者と前記登録疾病に対応して登録されている前記環境パラメータのそれぞれに対応する重み係数を記憶する利用者疾病記憶部と、疾病の種別に対応する前記環境パラメータに対する正規化用データを記憶する正規化用データ記憶部と、前記利用者携帯端末から取得した各々の前記環境パラメータに対して、前記利用者の前記登録疾病の疾病の種別に対応する前記正規化用データで正規化して正規化環境パラメータを算出し、前記正規化環境パラメータに前記利用者と前記登録疾病に対応する重み係数をそれぞれ乗ずることにより線形和を算出し、前記線形和を前記登録疾病に対する疾病リスク値として認識する疾病リスク算出部と、疾病毎の疾病リスク値の積算量の疾病積算閾値を記憶する疾病積算閾値記憶部と、前記利用者に対応して算出する前記登録疾病の前記疾病リスク値について経時的な積算量を算出し、算出した積算量と前記登録疾病に対応して記憶されている前記疾病積算閾値とを対比して前記登録疾病の発症リスクの有無を判定する発症リスク判定部と、前記登録疾病の発症リスク有りの判定に応じて前記利用者携帯端末に警告を出力させるデータを送信する警告処理部と、を備えることを特徴とする。
これによれば、登録疾病に応じて各種の環境パラメータに対応する重み係数を設定することにより、各々の種別の環境パラメータの登録疾病に対する影響度を適切に評価して疾病リスク値を算出することができる。また、疾病リスク値について経時的な積算量に基づき登録疾病の発症リスクの有無を判定することにより、利用者が存在する場所にある程度居続けることを許容し、利用者の社会生活における必要性を満たすことができる。そして、ある種の疾病を発症しやすい対象者に発症リスクの高い場所に居続ける危険性を知らせ、発症リスクの高い場所からの移動を促すことができ、利用者に危険回避行動を取らせることができる。
【0007】
本発明の疾病リスク処理装置は、前記複数種の環境パラメータとして、少なくとも、気温と、湿度が設定されることを特徴とする。
これによれば、気象病など多様な疾病に対応して利用者に危険回避行動を取らせることができる。
【0008】
本発明の疾病リスク処理装置は、前記パラメータ取得部が、前記利用者が存在する場所に関する環境情報を格納する外部サーバと通信接続して補足環境パラメータを取得し、前記利用者疾病記憶部が、前記利用者と前記登録疾病に対応して登録されている前記補足環境パラメータに対する重み係数を記憶し、前記正規化用データ記憶部が、疾病の種別に対応する前記補足環境パラメータに対する正規化用データを記憶し、前記疾病リスク算出部が、前記利用者携帯端末から取得した各々の前記環境パラメータと前記補足環境パラメータに対して、前記利用者の前記登録疾病の疾病の種別に対応する前記正規化用データで正規化して前記正規化環境パラメータと正規化補足環境パラメータを算出し、前記正規化環境パラメータと前記正規化補足環境パラメータに前記利用者と前記登録疾病に対応する重み係数をそれぞれ乗じて線形和を算出し、前記線形和を前記登録疾病に対する前記疾病リスク値として認識することを特徴とする。
これによれば、例えば空気の汚染度、PM2.5、花粉の飛散度、感染症の感染リスクなど、利用者携帯端末から取得することが難しい補足環境パラメータも用いて、より多様な疾病に対してより正確に疾病リスクが高まっていることを利用者に認識させることができる。
【0009】
本発明の疾病リスク処理装置は、前記利用者疾病記憶部が、前記利用者に対応して登録されている複数種の登録疾病と、前記利用者と前記登録疾病の種別に対応して登録されている前記環境パラメータのそれぞれに対応する重み係数を記憶し、前記疾病リスク算出部が、前記利用者携帯端末から取得した各々の前記環境パラメータに対して、前記利用者の前記登録疾病の疾病の種別に対応する前記正規化用データで正規化して正規化環境パラメータを算出し、前記疾病の種別毎の前記正規化環境パラメータに前記利用者と前記登録疾病の種別に対応し且つ前記疾病の種別に対応する重み係数をそれぞれ乗ずることにより、前記登録疾病の種別毎の線形和を算出し、前記線形和を種別毎の前記登録疾病に対する疾病リスク値として認識し、前記発症リスク判定部が、前記利用者に対応して算出する前記登録疾病の種別毎の前記疾病リスク値について経時的な積算量を算出し、算出した積算量と前記登録疾病の種別に対応して記憶されている前記疾病積算閾値とを対比し、前記疾病積算閾値に最短時間で到達した種別の前記登録疾病の発症リスクを有りと判定し、前記警告処理部が、前記種別の前記登録疾病の発症リスク有りの判定に応じて前記利用者携帯端末に利用者の移動を促す警告を出力させるデータを送信することを特徴とする。
これによれば、複数種の疾病について発症する危険性が高い利用者に対し、いずれかの疾病の発症リスクが許容値を超えた場合に危険回避行動を取らせることができ、最もリスクの低い形で疾病リスクが高まっていることを認識させることができる。
【0010】
本発明の疾病リスク処理装置は、1種の前記環境パラメータの設定時間当たりの許容範囲を超える急変に応じて、少なくとも、前記1種の環境パラメータに対応する重み係数を規定増加率によって増加させることを特徴とする。
これによれば、例えば湿度や気圧等の環境パラメータの急変によって気象病のリスクが増加した場合に、各利用者の登録疾病の発症リスクの評価について、疾病の発症リスクの評価にリスク増加を適切且つ速やかに反映することができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明の疾病リスク処理装置によれば、ある種の疾病を発症しやすい対象者に発症リスクの高い場所に居続ける危険性を知らせ、発症リスクの高い場所からの移動を促すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明による実施形態の疾病リスク処理装置の全体構成を示すブロック図。
図2】実施形態の疾病リスク処理装置と通信接続される利用者携帯端末の構成を示すブロック図。
図3】実施形態の疾病リスク処理装置における利用者疾病記憶部に格納されるデータ例の説明図。
図4】実施形態の疾病リスク処理装置における疾病積算閾値記憶部に格納されたデータ例の説明図。
図5】実施形態の疾病リスク処理装置による疾病リスク判定処理例のフローチャート。
図6】本発明による実施形態の変形例の疾病リスク処理装置の全体構成を示すブロック図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
〔実施形態の疾病リスク処理装置〕
本発明による実施形態の疾病リスク処理装置1は、例えばサーバ等のコンピュータ装置で構成され、図1に示すように、MPU、CPU等の演算制御部2と、ROM、RAM、HDD等で構成される記憶部3と、マウス、キーボード、タッチパネル等の入力部4と、ディスプレイ、プリンター等の出力部5と、日時認識のため時刻を計測するタイマー6と、通信回線100を介して通信接続して利用者携帯端末8や外部サーバ9と通信する通信インターフェイス7を備える。
【0014】
疾病リスク処理装置1の記憶部3は、演算制御部2に所定処理を実行させる所定の制御プログラムを制御プログラム記憶部31に記憶しており、制御プログラムの一つとして疾病リスク処理プログラムを疾病リスク処理プログラム記憶部311に記憶している。演算制御部2は、格納された疾病リスク処理プログラムと協働し、所定の疾病リスク処理を実行する。
【0015】
記憶部3は、利用者疾病記憶部32を有する。利用者疾病記憶部32には、利用者の識別情報である利用者の識別IDと、利用者に対応するように利用者の識別IDに対応して登録されている登録疾病と、利用者の識別ID及びこれに対応して記憶されている登録疾病に対応して登録されている、各々の環境パラメータにそれぞれ対応する重み係数が記憶されている。それぞれの利用者の識別IDに対応して登録する登録疾病は、必要に応じて1種又は複数種を設定することが可能であり、例えば喘息、狭心症、脳梗塞、各種感染症、代謝疾患、熱中症、花粉症等の疾病を適宜設定することが可能である。登録疾病毎に各々の環境パラメータにそれぞれ対応して設定される重み係数は、変更可能に設定されており、例えば登録疾病の種別と環境パラメータの種別との因果関係の強さ、換言すれば登録疾病の種別に対する環境パラメータの種別の影響度の強さや、必要に応じて利用者の既往歴、生活習慣等に基づき設定される。
【0016】
図3に利用者疾病記憶部32に格納されるデータ例を示す。このデータ例では、識別ID:0001の利用者について、4種類の疾病A、B、C、Dが登録疾病として登録され、登録疾病Aの疾病リスク評価に関しては、環境パラメータ:気温について重み係数W1a1、環境パラメータ:湿度について重み係数W2a1、環境パラメータ:気圧について重み係数W3a1、補足環境パラメータである環境パラメータ:花粉飛散量について重み係数W4a1がそれぞれ設定されている。更に、識別ID:0001の利用者の登録疾病Bの疾病リスク評価に関しては、環境パラメータ:気温について重み係数W1b1、環境パラメータ:湿度について重み係数W2b1、環境パラメータ:気圧について重み係数W3b1、補足環境パラメータである環境パラメータ:花粉飛散量について重み係数W4b1がそれぞれ設定されている。また、別の識別ID:0002の利用者については、1種類の疾病Bが登録疾病として登録され、登録疾病Bの疾病リスク評価に関して、環境パラメータ:気温について重み係数W1b2、環境パラメータ:湿度について重み係数W2b2、環境パラメータ:気圧について重み係数W3b2、補足環境パラメータである環境パラメータ:花粉飛散量について重み係数W4b2がそれぞれ設定されている。尚、重み係数Wijkにおいて、i:パラメータ識別子、j:疾病識別子、k:利用者識別子である。
【0017】
記憶部3は、疾病積算閾値記憶部33を有する。疾病積算閾値記憶部33は、後述する疾病リスク値に関し、疾病毎の疾病リスク値の積算量の疾病積算閾値を記憶する。即ち、利用者の相違に拘わらず、疾病の種別毎に疾病積算閾値を格納し、例えば種別Aの疾病に対応する疾病積算閾値や、種別Bの疾病に対応する疾病積算閾値を格納する。図4に疾病積算閾値記憶部33に格納されるデータ例を示す。このデータ例では、登録疾病Aの疾病積算閾値AT、登録疾病Bの疾病積算閾値BT、登録疾病Cの疾病積算閾値CT、登録疾病Dの疾病積算閾値DT、登録疾病Eの疾病積算閾値ETが格納されている。
【0018】
記憶部3は、正規化用データ記憶部34を有する。正規化用データ記憶部34は、疾病の種別に対応するそれぞれの環境パラメータに対する正規化用データを記憶すると共に、疾病の種別に対応するそれぞれの補足環境パラメータに対する正規化用データを記憶する。ここで正規化用データは、疾病リスク処理装置1が取得した環境パラメータ、補足環境パラメータに基づき、それぞれ重み係数を乗算する正規化環境パラメータ、正規化補足環境パラメータを算出するためのデータであり、例えば環境パラメータが気温、疾病の種別が狭心症である場合、気温基準値=(現在の気温(所定時点で取得した気温)-設定最小気温)/(設定最高気温-設定最小気温)、正規化環境パラメータ=1-気温基準値のように正規化用データが設定、格納され、環境パラメータが気温、疾病の種別が熱中症である場合、気温基準値=(現在の気温(所定時点で取得した気温)-設定最小気温)/(設定最高気温-設定最小気温)、正規化環境パラメータ=1-気温基準値のように正規化用データが設定、格納され、補足環境パラメータが花粉飛散量、疾病の種別が花粉症である場合、花粉飛散量基準値=(現在の花粉飛散量(所定時点で取得した花粉飛散量)-設定最小花粉飛散量)/(設定最大花粉飛散量-設定最小花粉飛散量)、正規化補足環境パラメータ或いは正規化環境パラメータ=花粉飛散量基準値のように正規化用データが設定、格納される。正規化環境パラメータ、正規化補足環境パラメータは、疾病の種別に対応して、環境パラメータ、補足環境パラメータが低いほど疾病リスクが高い場合には1-基準値として設定し、環境パラメータ、補足環境パラメータが高いほど疾病リスクが高い場合には基準値として設定すると好適である。
【0019】
記憶部3は、規定範囲記憶部35を有する。規定範囲記憶部35は、利用者携帯端末8の疾病リスク処理連動プログラムの連動処理の開始に伴う利用者携帯端末8の初期の位置情報に対する許容範囲を規定して記憶するものであり、例えば初期の位置情報を中心とする所定広さの円領域等を記憶する。
【0020】
演算制御部2は、疾病リスク処理プログラムと協働し、パラメータ取得部21、疾病リスク算出部22、発症リスク判定部23、警告処理部24としてそれぞれ所定の処理を実行する。パラメータ取得部21は、利用者の利用者携帯端末8と通信接続して、利用者携帯端末8から利用者が存在する場所の位置情報と、その位置情報の場所における複数種の環境パラメータ、例えば気温、湿度、気圧等のような環境パラメータを取得し、更に、必要に応じて、利用者が存在する場所に関する環境情報を格納する外部サーバ9と通信接続して、外部サーバ9から補足環境パラメータ、例えば利用者の位置情報の場所が含まれる地域の花粉飛散量、各種の感染症の感染危険度等のような補足環境パラメータを取得する。
【0021】
疾病リスク算出部22は、利用者携帯端末8から取得した各々の環境パラメータと外部サーバ9から取得した補足環境パラメータに対して、利用者の登録疾病の疾病の種別に対応する正規化用データで正規化して正規化環境パラメータと正規化補足環境パラメータを算出し、正規化環境パラメータと正規化補足環境パラメータに利用者と登録疾病に対応する重み係数をそれぞれ乗じて線形和を算出し、この線形和を登録疾病に対する疾病リスク値として認識し、記憶部3の所定記憶領域に格納する。
【0022】
例えば疾病リスク算出部22は、図3の識別ID:0001の利用者について、所定時点の気温α001、湿度β001、気圧γ001、花粉飛散量δ001、…等の環境パラメータや補足環境パラメータの取得に応じて、疾病の種別と環境パラメータ、疾病の種別と補足環境パラメータに対応する正規化用データを用いてそれぞれ正規化処理を行い、疾病の種別に対応する正規化環境パラメータや、疾病の種別に対応する正規化補足環境パラメータを算出する。例えば環境パラメータが気温である場合、疾病の種別に応じて気温の正規化環境パラメータはα1又は1-α1として算出され(α1は基準値)、環境パラメータが湿度である場合、疾病の種別に応じて湿度の正規化環境パラメータはβ1又は1-β1として算出され(β1は基準値)、環境パラメータが気圧である場合、疾病の種別に応じて気圧の正規化環境パラメータはγ1又は1-γ1として算出され(γ1は基準値)、補足環境パラメータが花粉飛散量である場合、疾病の種別に応じて花粉飛散量の正規化補足環境パラメータはδ1又は1-δ1として算出される(δ1は基準値)。
【0023】
そして、例えば登録疾病Aの疾病リスク評価に関し、疾病リスク値(AY1)=W1a1・(1-α1)+W2a1・(1-β1)+W3a1・(1-γ1)+W4a1・δ1+…を算出、認識して格納する。同様に、登録疾病Bの疾病リスク評価に関して、疾病リスク値(BY1)=W1b1・α1+W2b1・β1+W3b1・γ1+W4b1・δ1+…を算出、認識して格納する。同様に、登録疾病Cの疾病リスク評価に関して、疾病リスク値(CY1)=W1c1・(1-α1)+W2c1・(1-β1)+W3c1・γ1+W4c1・δ1+…を算出、認識して格納し、登録疾病Dの疾病リスク評価に関して、疾病リスク値(DY1)=W1d1・α1+W2d1・β1+W3d1・(1-γ1)+W4d1・δ1+…を算出、認識して格納する。
【0024】
発症リスク判定部23は、利用者携帯端末8の位置情報が初期の位置情報から規定範囲記憶部35の所定の規定範囲内である場合に、利用者に対応して算出する登録疾病の種別毎の疾病リスク値について経時的な積算量を算出し、算出した積算量と登録疾病の種別に対応して記憶されている疾病積算閾値とを対比し、疾病積算閾値に最短時間で到達した種別の登録疾病の発症リスクを有りと判定する。例えば発症リスク判定部23は、図3の識別ID:0001の利用者について、所定時点である時刻001における登録疾病Aの疾病リスク値(AY1)、登録疾病Bの疾病リスク値(BY1)、登録疾病Cの疾病リスク値(CY1)、登録疾病Dの疾病リスク値(DY1)、時刻001から一定時間経過した時刻002における登録疾病Aの疾病リスク値(AY2)、登録疾病Bの疾病リスク値(BY2)、登録疾病Cの疾病リスク値(CY2)、登録疾病Dの疾病リスク値(DY2)、時刻002から前述の一定時間と同じ等間隔の一定時間経過した時刻003における登録疾病Aの疾病リスク値(AY3)、登録疾病Bの疾病リスク値(BY3)、登録疾病Cの疾病リスク値(CY3)、登録疾病Dの疾病リスク値(DY4)、…を順次積算して経時的な積算量を算出する。
【0025】
また、各時刻001、002、003、…のそれぞれについて、当該時刻までに算出した積算量と登録疾病の種別A、B、C、D毎にそれぞれ対応して記憶されている疾病積算閾値AT、BT、CT、DTとを対比する。例えば時刻003までの登録疾病Aの疾病積算閾値ATに対する対比では、疾病リスク値(AY1)+疾病リスク値(AY2)+疾病リスク値(AY3)の積算量と疾病積算閾値ATとの大小とを対比し、又、時刻003までの登録疾病Cの疾病積算閾値CTに対する対比では、疾病リスク値(CY1)+疾病リスク値(CY2)+疾病リスク値(CY3)の積算量と疾病積算閾値CTとの大小とを対比する。そして、登録疾病Aの疾病リスク値の積算量AY1+AY2+AY3+…、登録疾病Bの疾病リスク値の積算量BY1+BY2+BY3+…、登録疾病Cの疾病リスク値の積算量CY1+CY2+CY3+…、登録疾病Dの疾病リスク値の積算量DY1+DY2+DY3+…、のうちで、いずれかの積算量が疾病積算閾値AT、BT、CT又はDTに到達した場合、例として登録疾病Cの疾病リスク値の積算量CY1+CY2+CY3+…が疾病積算閾値CTに到達した場合、この最短時間で到達した種別Cの登録疾病の発症リスクを有りと判定する。
【0026】
警告処理部24は、登録疾病の発症リスク有りの判定に応じて利用者携帯端末8に警告を出力させるデータを送信し、例えば疾病積算閾値に疾病リスク値の積算量が最短時間で到達した種別の登録疾病の発症リスク有りの判定に応じて、利用者携帯端末8に利用者の移動を促す警告を出力させるデータを送信する。
【0027】
利用者携帯端末8は、例えばスマートフォン、ノート型パソコン、専用機器等で構成され、図2に示すように、MPU、CPU等の演算制御部81と、フラッシュメモリ、EEPROM、ROM、RAM、HDD等で構成される記憶部82と、タッチパネル、マウス、キーボード等の入力部83と、ディスプレイ、入力部83と兼用のタッチパネルディスプレイ、スピーカー、バイブレータ等の出力部84と、日時認識のため時刻を計測するタイマー85と、利用者携帯端末8の位置情報を取得するGPSセンサ86と、内蔵又は外付けの気温センサ871と、内蔵又は外付けの湿度センサ872と、内蔵又は外付けの気圧センサ873と、通信回線100を介して通信接続して疾病リスク処理装置1と通信する通信インターフェイス88を備える。
【0028】
記憶部82は、演算制御部81に所定処理を実行させる所定の制御プログラムを制御プログラム記憶部821に記憶しており、この制御プログラムには、気温センサ871と湿度センサ872と気圧センサ873のアプリケーションプログラムも含まれる。また、制御プログラム記憶部821は、制御プログラムの一つとして制御プログラムの一つとして疾病リスク処理装置1の疾病リスク処理と連動する疾病リスク処理連動プログラムを疾病リスク処理連動プログラム記憶部8211に記憶している。演算制御部81は、格納された疾病リスク処理連動プログラムと協働し、所定の処理を実行する。
【0029】
演算制御部81は、疾病リスク処理連動プログラムと協働し、環境パラメータ取得送信処理部811、警告出力処理部812としてそれぞれ所定の処理を実行する。環境パラメータ取得送信処理部811は、入力部83からの入力等に基づく疾病リスク処理連動プログラムの連動処理の開始に応じて、タイマー85を用いて認識する疾病リスク処理装置1の疾病リスク値の算出間隔に対応する一定時間毎に、利用者携帯端末8のGPSセンサ86から取得した位置情報、換言すれば利用者が存在する場所の位置情報と、その位置情報の場所における複数種の環境パラメータ、例えば利用者携帯端末8の気温センサ871から取得する気温、湿度センサ872から取得する湿度、気圧センサ873から取得する気圧等のような環境パラメータを取得し、通信接続する疾病リスク処理装置1に送信する。
【0030】
警告出力処理部812は、疾病リスク処理装置1からの利用者の移動を促す警告のような警告を出力させるデータの受信に応じて、出力部84から警告を出力する。出力部84からの警告の出力の仕方は適宜であり、例えば移動を促すメッセージを示すディスプレイでの表示、又はスピーカでの警告音の出力、又はバイブレータによる警告振動とすると好適である。
【0031】
外部サーバ9は、地域毎の花粉飛散量、感染危険度等の環境情報を環境情報格納部91に格納すると共に、例えば位置情報と対応する地域のデータを記憶部に格納しており、外部サーバ9は、例えば緯度と経度の位置情報をキーにする検索入力により、位置情報に該当する地域を抽出し、抽出した地域の環境情報を抽出して提示可能になっている(図1参照)。疾病リスク処理装置1のパラメータ取得部21は、利用者携帯端末8から取得した位置情報を外部サーバ9に送信して自動検索を行い、外部サーバ9から提示された位置情報に対応する環境情報を補足環境パラメータとして取得する。
【0032】
次に、疾病リスク処理装置1で実行される疾病リスク処理の例について説明する(図5参照)。先ず、利用者携帯端末8の利用者の操作入力に基づく疾病リスク処理連動プログラムの連動処理の開始に応じて、環境パラメータ取得送信処理部811は、GPSセンサ86により利用者携帯端末8の位置情報を取得すると共に、利用者携帯端末8が存在する場所の気温、湿度、気圧を気温センサ871、湿度センサ872、気圧センサ873により取得し、疾病リスク処理装置1と通信接続して、利用者携帯端末8の位置情報と、気温、湿度、気圧の環境パラメータを疾病リスク処理装置1に送信する。
【0033】
疾病リスク処理装置1のパラメータ取得部21は、利用者携帯端末8の位置情報と、気温、湿度、気圧の環境パラメータを利用者携帯端末8から受信し(S1)、これらの受信に応じて外部サーバ9と通信接続を行い、利用者携帯端末8から取得した位置情報を外部サーバ9に送信して外部サーバ9に検索処理を実行させ、外部サーバ9から提示された位置情報に対応する花粉飛散量、感染危険度等の環境情報を補足環境パラメータとして取得する(S2)。
【0034】
疾病リスク処理装置1の疾病リスク算出部22は、利用者携帯端末8から取得した各々の気温、温度、気圧の環境パラメータと外部サーバ9から取得した花粉飛散量、感染危険度等の補足環境パラメータに対して、利用者の登録疾病の疾病の種別に対応する正規化用データで正規化して正規化環境パラメータと正規化補足環境パラメータを算出し、正規化環境パラメータと正規化補足環境パラメータに利用者と登録疾病に対応する重み係数をそれぞれ乗じて利用者と登録疾病に対応する線形和を算出し、この線形和を利用者の登録疾病に対する疾病リスク値として認識し、記憶部3の所定記憶領域に格納する(S3)。
【0035】
この疾病リスク算出部22の演算処理では、例えば識別ID:0001の利用者の登録疾病Aの種別:狭心症を設定し、重み係数W1a1(気温): 1.0、重み係数W2a1(湿度): 0.5、重み係数W3a1(気圧): 1.0、重み係数W4a1(花粉飛散量): 0.0を設定すると共に、利用者携帯端末8から気温、温度、気圧の環境パラメータと外部サーバ9から花粉飛散量の補足環境パラメータを取得する場合、正規化用データの算出式により、取得した現在の気温の環境パラメータ15℃から、気温基準値(0.375)=(15℃-(設定最小気温(0℃)))/(設定最高気温(40℃)-設定最小気温(0℃))、気温の正規化環境パラメータ(0.625)=1-気温基準値(0.375)のように、疾病種別:狭心症に対応する気温の正規化環境パラメータ:0.625を算出する。
【0036】
同様に、取得した現在の湿度の環境パラメータ30%から、湿度基準値(0.3)=(30%-(設定最小湿度(0%)))/(設定最高湿度(100%)-設定最小湿度(0%))、疾病種別:狭心症に対応する湿度の正規化環境パラメータ(0.7)=1-湿度基準値(0.3)を算出し、取得した現在の気圧の環境パラメータ960HPaから、気圧基準値(0.3)=(960HPa-(設定最小気圧(900HPa)))/(設定最高気圧(1100Hpa)-設定最小気圧(900HPa))、疾病種別:狭心症に対応する気圧の正規化環境パラメータ(0.7)=1-気圧基準値(0.3)を算出し、取得した現在の花粉飛散量の補足環境パラメータ3000個/cmから、花粉飛散量基準値(0.429)=(3000個/cm-(設定最小花粉飛散量(0個/cm)))/(設定最高花粉飛散賞(7000個/cm)-設定最小花粉飛散量(0個/cm))、疾病種別:狭心症に対応する花粉飛散量の正規化補足環境パラメータ(0.429)=花粉飛散量基準値(0.429)を算出する。そして、識別ID:0001の利用者の登録疾病Aの種別:狭心症に対応する疾病リスク値(AY1)=1.0*(1-0.375)+0.5*(1-0.3)+1.0*(1-0.3)+0.0*0.429=1.675を算出し、格納する。
【0037】
更に、識別ID:0001の利用者の登録疾病Aの種別:狭心症に対する演算処理において、気温の環境パラメータ0℃、湿度の環境パラメータ10%、気圧の環境パラメータ900HPa、花粉飛散量の補足環境パラメータ3000個/cmを取得した場合には、疾病リスク算出部22の同様の演算処理により、気温基準値0.0、湿度基準値0.1、気圧基準値0.0、花粉飛散量基準値0.429が得られ、識別ID:0001の利用者の登録疾病Aの種別:狭心症に対応する疾病リスク値(AY1)=1.0*(1-0.0)+0.5*(1-0.1)+1.0*(1-0.0)+0.0*0.429=2.45が算出され、よりリスクが高い疾病リスク値(AY1)が算出される。
【0038】
また、例えば識別ID:0001の利用者の登録疾病Bの種別:熱中症を設定し、重み係数W1b1(気温): 1.0、重み係数W2b1(湿度): 1.0、重み係数W3b1(気圧): 0.5、重み係数W4a1(花粉飛散量): 0.0を設定すると共に、利用者携帯端末8から気温、温度、気圧の環境パラメータと外部サーバ9から花粉飛散量の補足環境パラメータを取得する場合、正規化用データの算出式により、取得した現在の気温の環境パラメータ40℃から、気温基準値(1.0)=(40℃-(設定最小気温(0℃)))/(設定最高気温(40℃)-設定最小気温(0℃))、気温の正規化環境パラメータ(1.0)=気温基準値(1.0)のように、疾病種別:熱中症に対応する気温の正規化環境パラメータ:1.0を算出する。
【0039】
同様に、取得した現在の湿度の環境パラメータ80%から、湿度基準値(0.8)=(80%-(設定最小湿度(0%)))/(設定最高湿度(100%)-設定最小湿度(0%))、疾病種別:熱中症に対応する湿度の正規化環境パラメータ(0.8)=湿度基準値(0.8)を算出し、取得した現在の気圧の環境パラメータ1100HPaから、気圧基準値(1.0)=(1100HPa-(設定最小気圧(900HPa)))/(設定最高気圧(1100Hpa)-設定最小気圧(900HPa))、疾病種別:熱中症に対応する気圧の正規化環境パラメータ(1.0)=気圧基準値(1.0)を算出し、取得した現在の花粉飛散量の補足環境パラメータ2000個/cmから、花粉飛散量基準値(0.286)=(2000個/cm-(設定最小花粉飛散量(0個/cm)))/(設定最高花粉飛散賞(7000個/cm)-設定最小花粉飛散量(0個/cm))、疾病種別:熱中症に対応する花粉飛散量の正規化補足環境パラメータ(0.286)=花粉飛散量基準値(0.286)を算出する。そして、識別ID:0001の利用者の登録疾病Bの種別:熱中症に対応する疾病リスク値(BY1)=1.0*1.0+1.0*0.8+0.5*1.0+0.0*0.286=2.3を算出し、格納する。
【0040】
更に、識別ID:0001の利用者の登録疾病Bの種別:熱中症に対する演算処理において、気温の環境パラメータ20℃、湿度の環境パラメータ40%、気圧の環境パラメータ1020HPa、花粉飛散量の補足環境パラメータ2000個/cmを取得した場合には、疾病リスク算出部22の同様の演算処理により、気温基準値0.5、湿度基準値0.4、気圧基準値0.6、花粉飛散量基準値0.286が得られ、識別ID:0001の利用者の登録疾病Bの種別:熱中症に対応する疾病リスク値(BY1)=1.0*0.5+1.0*0.4+0.5*0.6+0.0*0.286=1.2が算出され、よりリスクが低い疾病リスク値(BY1)が算出される。
【0041】
その後、利用者携帯端末8の環境パラメータ取得送信処理部811は、利用者携帯端末8の位置情報と、利用者携帯端末8が存在する場所の気温、湿度、気圧の取得と疾病リスク処理装置1への送信を一定時間間隔で繰り返し実行し、疾病リスク処理装置1のパラメータ取得部21は、利用者携帯端末8の位置情報と、気温、湿度、気圧の環境パラメータを利用者携帯端末8から一定時間間隔毎に受信する(S4)。2回以降の利用者携帯端末8の位置情報と、気温、湿度、気圧の環境パラメータの受信の際、パラメータ取得部21は、補足環境パラメータが経時的に変化しやすいものである場合には、上記と同様に、この受信毎に環境情報を補足環境パラメータとして取得すると良好であるが、例えば一般的に2~3時間程度では変動量が少ないものなど、経時的に変化しにくいものである場合には1回目に取得した補足環境パラメータを記憶保持して2回目以降に使用すると演算処理量削減、ハードウェア資源の効率使用の観点から好適である。
【0042】
2回目以降の利用者携帯端末8の位置情報と、気温、湿度、気圧の環境パラメータの受信においても、疾病リスク処理装置1の疾病リスク算出部22は、利用者携帯端末8から取得した各々の気温、温度、気圧の環境パラメータと外部サーバ9から取得した花粉飛散量、感染危険度等の補足環境パラメータに対して、利用者の登録疾病の疾病の種別に対応する正規化用データで正規化して正規化環境パラメータと正規化補足環境パラメータを算出し、正規化環境パラメータと正規化補足環境パラメータに利用者と登録疾病に対応する重み係数をそれぞれ乗じて利用者と登録疾病に対応する線形和を算出し、この線形和を利用者の登録疾病に対する疾病リスク値として認識し、記憶部3の所定記憶領域に格納する(S5)。
【0043】
そして、疾病リスク処理装置1の発症リスク判定部23は、利用者携帯端末8の位置情報が初期の位置情報から規定範囲記憶部35の所定の規定範囲内である場合に、利用者に対応して算出する登録疾病の種別毎の疾病リスク値について経時的な積算量を算出し(S6)、算出した積算量と登録疾病の種別に対応して記憶されている疾病積算閾値とを対比し(S7)、疾病積算閾値に到達した種別の登録疾病があるか否かを判定し(S8)、疾病積算閾値に到達した種別の登録疾病がある場合には発症リスクを有りと判定する。疾病積算閾値に到達した種別の登録疾病が未だ存在しない場合には、利用者携帯端末8の位置情報と気温、湿度、気圧の環境パラメータの利用者携帯端末8からの一定時間間隔毎の受信に応じて、S4~S8の処理を繰り返す。尚、発症リスク判定部23は、利用者携帯端末8の位置情報が初期の位置情報から規定範囲記憶部35の所定の規定範囲外になった場合に、上述の経時的な積算量の算出を中止し、利用者の位置が規定範囲外になった旨を出力させるデータを送信する構成とすることが好ましい。
【0044】
疾病リスク処理装置1の警告処理部24は、登録疾病の発症リスク有りの判定に応じて、利用者携帯端末8に利用者の移動を促す警告のような警告を出力させるデータを送信する(S9)。利用者携帯端末8は、疾病リスク処理装置1からの警告を出力させるデータの受信に応じて、出力部84から利用者に移動を促す警告等の警告を出力する。
【0045】
本実施形態の疾病リスク処理装置1によれば、登録疾病に応じて気温、湿度、気圧等の環境パラメータに対応する重み係数を設定することにより、各々の種別の環境パラメータの登録疾病に対する影響度を適切に評価して疾病リスク値を算出することができる。また、疾病リスク値について経時的な積算量に基づき登録疾病の発症リスクの有無を判定することにより、利用者が存在する場所にある程度居続けることを許容し、利用者の社会生活における必要性を満たすことができる。そして、ある種の疾病を発症しやすい対象者に発症リスクの高い場所に居続ける危険性を知らせ、発症リスクの高い場所からの移動を促すことができ、利用者に危険回避行動を取らせることができる。また、複数種の疾病について発症する危険性が高い利用者に対し、最短時間のリスクを知らせることにより、最も保守的でリスクの低い形で疾病リスクが高まっていることを認識させることができる。
【0046】
また、複数種の環境パラメータとして、少なくとも、気温と、湿度を設定することにより、気象病など多様な疾病に対応して利用者に危険回避行動を取らせることができる。また、例えば空気の汚染度、PM2.5、花粉の飛散度、感染症の感染リスクなど、利用者携帯端末から取得することが難しい補足環境パラメータも用いて、より多様な疾病に対してより正確に疾病リスクが高まっていることを利用者に認識させることができる。
【0047】
〔本明細書開示発明の包含範囲〕
本明細書開示の発明は、発明として列記した各発明、実施形態の他に、適用可能な範囲で、これらの部分的な内容を本明細書開示の他の内容に変更して特定したもの、或いはこれらの内容に本明細書開示の他の内容を付加して特定したもの、或いはこれらの部分的な内容を部分的な作用効果が得られる限度で削除して上位概念化して特定したものを包含する。そして、本明細書開示の発明には下記変形例や追記した内容も含まれる。
【0048】
例えば利用者に対して登録する複数種又は1種の登録疾病の内容は適宜の疾病とすることが可能である。また、利用者疾病記憶部32の重き係数は入力部4からの入力に応じて必要な調整を行って変更、設定可能にすると好適であり、又、疾病積算閾値記憶部33の疾病積算閾値も入力部4からの入力に応じて必要な調整を行って変更、設定可能にすると好適である。
【0049】
また、変形例の疾病リスク処理装置1の変形例1aとして、記憶部3の疾病リスク処理プログラムに従って動作する重み係数調整部25を演算制御部2に設け、疾病リスク処理プログラム或いは記憶部3の所定記録領域に記憶されている設定時間とこの設定時間当たりの許容範囲と規定増加率を用い、例えば湿度又は気圧等の1種の環境パラメータの設定時間当たりの許容範囲を超える急変に応じて、少なくとも、湿度又は気圧等の1種の環境パラメータに対応する重み係数を例えば1.2倍など規定増加率によって一律に増加させる構成とすると好適である。これによれば、例えば湿度や気圧等の環境パラメータの急変によって気象病のリスクが増加した場合に、各利用者の各登録疾病の発症リスクの評価について、リスク増加を適切且つ速やかに反映することができる。
【産業上の利用可能性】
【0050】
本発明は、利用者が特定の疾病を発症する発症リスクを評価する際に利用することができる。
【符号の説明】
【0051】
1…疾病リスク処理装置 2…演算制御部 21…パラメータ取得部 22…疾病リスク算出部 23…発症リスク判定部 24…警告処理部 25…重み係数調整部 3…記憶部 31…制御プログラム記憶部 311…疾病リスク処理プログラム記憶部 32…利用者疾病記憶部 33…疾病積算閾値記憶部 34…正規化用データ記憶部 35…規定範囲記憶部 4…入力部 5…出力部 6…タイマー 7…通信インターフェイス 8…利用者携帯端末 81…演算制御部 811…環境パラメータ取得送信処理部 812…警告出力処理部 82…記憶部 821…制御プログラム記憶部 8211…疾病リスク処理連動プログラム記憶部 83…入力部 84…出力部 85…タイマー 86…GPSセンサ 871…気温センサ 872…湿度センサ 873…気圧センサ 88…通信インターフェイス 9…外部サーバ 91…環境情報格納部 100…通信回線
図1
図2
図3
図4
図5
図6