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特開2022-181559自動ドア装置及び自動ドア診断システム
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  • 特開-自動ドア装置及び自動ドア診断システム 図1
  • 特開-自動ドア装置及び自動ドア診断システム 図2
  • 特開-自動ドア装置及び自動ドア診断システム 図3
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022181559
(43)【公開日】2022-12-08
(54)【発明の名称】自動ドア装置及び自動ドア診断システム
(51)【国際特許分類】
   E05F 15/73 20150101AFI20221201BHJP
【FI】
E05F15/73
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021088574
(22)【出願日】2021-05-26
(71)【出願人】
【識別番号】503405689
【氏名又は名称】ナブテスコ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105924
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 賢樹
(72)【発明者】
【氏名】来海 大輔
(72)【発明者】
【氏名】田中 渉太
【テーマコード(参考)】
2E052
【Fターム(参考)】
2E052AA02
2E052BA06
2E052EA15
2E052EB01
2E052EC03
2E052GA06
2E052GB01
2E052GB06
2E052KA01
(57)【要約】
【課題】検知手段等の機器の検知結果に基づいて引戸を制御する自動ドア装置において、検知手段等の機器が正常に作動しているかどうかをより高い確度で確認できる自動ドア装置を提供する。
【解決手段】
自動ドア装置10は、制御部26によって開駆動制御、又は閉駆動制御される引戸12の近傍の人又は物を検知し検知信号を出力するメインセンサ18と、メインセンサ18の状態を診断する診断部24とを備え、診断部24は、メインセンサ18に対して演算の回答要求を送信し、メインセンサ18は、診断部24から受信した演算の回答要求に対して演算結果を診断部24に送信する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
制御部によって開駆動制御、又は閉駆動制御される扉の近傍の人又は物を検知し検知信号を出力する検知部と、
前記検知部の状態を診断する診断部とを備え、
前記診断部は、前記検知部に対して演算の回答要求を送信し、
前記検知部は、前記診断部から受信した前記演算の回答要求に対して演算結果を前記診断部に送信する、自動ドア装置。
【請求項2】
前記診断部は、前記検知部から受信した演算結果に基づいて前記検知部が作動しているか否かを診断し、
前記診断部により前記検知部が正常に作動していないと診断された場合、前記制御部は、前記扉の開駆動時又は閉駆動時の制御パラメータを変更する、
請求項1に記載の自動ドア装置。
【請求項3】
前記検知部は、自動ドアの保護機器である、請求項1に記載の自動ドア装置。
【請求項4】
前記診断部は、前記扉が一度開き、その後閉じる一連の動作が行われるたびに前記検知部に回答要求を送信する、請求項1乃至3のいずれか1項に記載の自動ドア装置。
【請求項5】
前記診断部は、前記扉が駆動状態から停止状態に移行したとき、前記扉が全開状態になったとき、又は前記扉が全閉状態になったときの少なくともいずれかのときに前記検知部に回答要求を送信する、請求項1乃至4のいずれか1項に記載の自動ドア装置。
【請求項6】
前記保護機器を複数備え、
前記診断部は、保護機器毎に異なる演算に関する回答要求を送信する、請求項3に記載の自動ドア装置。
【請求項7】
前記演算は、前記検知部に固有に割り当てられた機器番号を用いた関数演算である、請求項1乃至6のいずれか1項に記載の自動ドア装置。
【請求項8】
扉を開駆動制御、又は閉駆動制御する制御部と、
前記扉との接触から人又は物を保護するために前記扉近傍の人又は物を検知し検知信号を出力する保護機器と、
前記保護機器が正解を有していない問題を含む問題情報を前記保護機器に送信し、前記保護機器からの回答を含む回答情報を受信し、前記正解と前記回答とを比較して前記保護機器の状態を診断する診断部とを備える、
自動ドア装置。
【請求項9】
前記制御部は、前記保護機器が正常に作動していないと前記診断部が診断したときに前記扉の開駆動時又は閉駆動時の制御パラメータを変更する、請求項8に記載の自動ドア装置。
【請求項10】
開駆動制御、又は閉駆動制御される自動ドアの扉の近傍の人又は物を検知し検知信号を出力する検知部と、
前記検知部の状態を診断する診断部とを備え、
前記診断部は、前記検知部に対して演算の回答要求を送信し、
前記検知部は、前記診断部から受信した前記演算の回答要求に対して演算結果を前記診断部に送信する、自動ドア診断システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動ドア装置及び自動ドア診断システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、自動ドア装置を通過する人若しくは物、又は自動ドア装置付近の人若しくは物の安全性を高めるために様々な技術開発がなされている。例えば、自動ドアを通過する人又は物を保護するための機器に自己の状態を診断させ、機器の自己診断に基づいて当該機器が正常に作動しているかどうかを確認できる自動ドア装置が知られている(例えば特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2020-123887号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載された自己診断機能は、いわばスタンドアローンに近い状態であり、そもそも正常に作用していない機器に自己診断を行わせることがあった。例えば、機器の自己診断機能自体に異常が発生している場合、機器は常に自身が「正常である」と診断する可能性があった。
【0005】
本発明は、検知手段等の機器の検知結果に基づいて引戸を制御する自動ドア装置において、検知手段等の機器が正常に作動しているかどうかをより高い確度で確認できる自動ドア装置を提供することを目的とする。
【0006】
本発明の一態様によれば、制御部によって開駆動制御、又は閉駆動制御される引戸の近傍の人又は物を検知し検知信号を出力する検知部と、検知部の状態を診断する診断部とを備え、診断部は、検知部に対して演算の回答要求を送信し、検知部は、診断部から受信した演算の回答要求に対して演算結果を診断部に送信する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】自動ドア装置の斜視図である。
図2】自動ドア装置の概略構成を示すブロック図である。
図3】自動ドア装置の動作を示すフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の実施形態について説明する。図1は、自動ドア装置の斜視図である。
【0009】
図1に示すように自動ドア装置10は、2枚の引戸12を備える。各引戸12は、自動ドア装置10の幅方向反対側に向けて移動して開き、これにより歩行者又は物が自動ドア装置10を通過できる。引戸12の戸先同士が接触している全閉状態において、引戸12の幅方向両側にはそれぞれ固定部14が設けられている。固定部14は自動ドア装置10が設置されている躯体に対して固定されている。引戸12が全開状態になったときには、引戸12と固定部14とが対面し、固定部14の正面の空間が全開状態における引戸12を収容する収容部を構成する。なお、固定部14と対面するようにガードスクリーンを設けてもよい。
【0010】
自動ドア装置10は、後述する引戸12の駆動部を収容する無目16を備える。無目16は、自動ドア装置10の幅方向において一方の固定部14の端から他方の固定部14の端まで延びるよう引戸12及び固定部14の上に配置されている。
【0011】
自動ドア装置10は、メインセンサ18と、補助センサ20と、開保護センサ22とを備える。メインセンサ18、補助センサ20、及び開保護センサ22は、保護機器に相当し、各々予め決定された引戸12近傍の領域内の人又は物を検知し、検知信号を出力する。自動ドア装置10の保護機器とは、自動ドア装置10を通過する人又は物や自動ドア装置10周辺の人又は物を適切に保護するために設けられた機器全般をいい、上述したセンサ類の他に、画像解析を行うためのカメラ、非常停止ボタン等の物理スイッチを含む。メインセンサ18は、人又は物が引戸12に近付く際の経路上に所定の検知領域A1を有する。メインセンサ18は複数の光学センサ(図示せず)を内蔵しており、各光学センサの照射領域を統合した領域が検知領域A1となる。検知領域A1内に人又は物が入ると、メインセンサ18はこれを検知して検知信号を出力する。またメインセンサ18の検知信号は、引戸12を閉じる際に検知領域A1内に人又は物がいないことを検出するためにも用いられる。つまりメインセンサ18は、閉保護センサとしても機能する。
【0012】
補助センサ20は、引戸12が開いたときに形成される開口を横切るよう検知領域A2を有する光電センサである。補助センサ20は、固定部14の開口に面する縦框に設けられている。補助センサ20の検知結果は、引戸12を閉じる前又は閉じている途中に検知領域A2内に人又は物がいないことを検出するために用いられる。引戸12を閉じている途中に検知領域A2内に人又は物が検知された場合、自動ドア装置10は引戸12を逆駆動させて全開状態に向けて引戸12を駆動させる。
【0013】
開保護センサ22は、引戸12の収容部近傍に検知領域A3を有する。開保護センサ22は、収容部が検知領域A3となるよう無目16の底面に設けられている。開保護センサ22の検知結果は、引戸12を開く際に検知領域A3内に人又は物がいないことを検出するために用いられる。引戸12を開く前、又は開いている途中に検知領域A3内に人又は物が検知された場合、自動ドア装置10は引戸12を逆駆動させて全閉状態に向けて引戸12を駆動させる。
【0014】
図2は自動ドア装置の概略構成を示すブロック図である。図2に示すように、自動ドア装置10は、上述した構成に加えて診断部24と、制御部26と、駆動部28とを備える。図2において一点鎖線で囲まれたメインセンサ18、補助センサ20及び開保護センサ22(以下、これらセンサを総称して単に「センサ」ということがある)と、診断部24とは、自動ドア装置10の診断システムを構成する。
【0015】
診断部24は、センサの状態を診断する。診断部24は、全てのセンサの状態を診断できるように構成されていなくてもよく、例えばメインセンサ18のみの状態を診断してもよい。診断部24がセンサの状態を診断するとは、センサが起動しているか否か、センサが制御部26を含む制御系統と通信可能に接続されているか否か、センサが正確な演算処理を行えているか否かの少なくともいずれか1つを診断することをいう。診断部24はセンサに所定の情報処理を要求し、センサ側における処理結果に基づいてセンサが正常であるか否かを診断する。具体的には診断部24は、センサに所定の問題情報及びその問題の回答の要求を送り、センサから返信された情報に基づいてセンサの状態を診断する。問題情報は、演算のような規則にしたがって回答を導き出せるものをいう。演算は、センサが正解を有しておらず(つまりセンサには未知)、診断部24のみが正解を有しているものであればどのようなものであってもよい。センサの演算処理の負荷を軽減するために、演算としては例えば2項からなる四則演算を用いることができる。演算に関する情報は、数式そのものであってもよい。また、予め複数種類の数式と数式の番号とを関連付けたデータベースを準備し、データベースをセンサと診断部24とに格納し、診断部24からセンサに数式の番号を演算に関する情報として送信してもよい。診断部24が複数のセンサに接続されている場合、センサ毎に異なる数式を送信してもよい。診断部24がセンサに送信する数式としては、変数を含むものであってもよい。この場合、センサは、センサの識別番号や機器番号のようなセンサに固有の数値を変数に代入し、演算結果を診断部24に返信する。センサからの演算結果が誤っている場合、少なくともセンサの演算処理部に何らかの異常が発生していることが分かる。このような場合には、センサの検知部にも何らかの異常が発生していると類推できるため、センサが適切に演算を行えていないときに自動ドア装置10は、センサに異常が発生していると診断する。
【0016】
診断部24に、センサの状態を自己診断させてもよい。自己診断は、センサに自身の機能の異常の有無を自ら診断することをいう。診断部24は、センサに自己診断を行わせ、その結果を受信する。センサは、診断部24からの指示に応じて、センサの検出機能が正常か、センサの性能低下がないか、検知領域内の環境ノイズ(検知領域内の異物、レンズの汚れ等)がないかを診断する。診断部24は、自己診断の指示、及び回答要求を同時にセンサに送信する。センサは、自己診断及び回答要求に対する演算を並行して行い、自己診断の結果及び演算結果を同時に診断部24に送信する。なお、診断部24は回答要求に対する演算結果をセンサから受信した後に、センサに自己診断の指示を送信してもよい。診断部24は、センサによる自己診断の結果、及び回答要求に対する演算結果を加味してセンサに異常が発生しているか否かを診断する。センサの自己診断による結果を加味して診断を行うことで、診断結果の信頼性を高められる。
【0017】
診断部24は、センサに送信した演算の回答を予め保有しているか、又はセンサに演算を送信する度に自身でも演算を行う。したがって、診断部24はセンサに対して送信した演算の正解を保持している。診断部24は、センサからの回答と、自身が保持している正解とを比較する。回答と正解が同一である場合、診断部24はセンサが正常であると診断する。一方で回答と正解が異なる場合、診断部24はセンサが正常ではないと診断する。診断部24は、診断結果を制御部26に送信する。また診断部24の診断結果を表示部等の出力手段を介して出力し、診断結果を管理者に伝えてもよい。
【0018】
また診断部24は、センサから所定時間内に回答が送信されてこない場合、センサに異常が発生していると診断する。
【0019】
診断部24は、予め決定された所定の条件が満たされたときにセンサの状態を診断する。診断部24は、引戸が一度開き、その後閉じる一連の動作が行われるという条件が満たされる度にセンサの状態を診断することができる。この場合、診断部24は引戸12が全閉状態になる度にセンサの状態を診断することとなる。引戸12が全閉状態になったときにセンサの状態を診断しておくことで、次に引戸12が開駆動する前にセンサの状態の診断を終わらせておける。これにより、引戸12が開駆動する直前にセンサの状態を診断しなくても良くなり、引戸12の開駆動を迅速に行えるようになる。
【0020】
また診断部24は、引戸12が駆動状態から停止状態に移行したときにセンサの状態を診断してもよい。引戸12が駆動状態から停止状態に移行したときとは、引戸12が全閉状態に向けて駆動して全閉状態に達して停止したとき、引戸12が全開状態に向けて駆動して全開状態に達して停止したとき、又は引戸12がいずれかの状態に向けて移動している間に異常発生により停止したときがある。診断部24は、引戸12の駆動中に補助センサ20又は開保護センサ22により人又は物が検知され、引戸12を逆駆動させるときにセンサの状態を診断してもよい。
【0021】
診断部24は、1度の診断において、メインセンサ18、補助センサ20、及び開保護センサ22の状態を同時に診断するよう構成されていてもよい。
【0022】
制御部26は、センサの検知結果に基づいて引戸12を開閉する制御を行う。具体的には制御部26は、センサから検知信号を受信し、受信した検知信号に基づいて駆動部28に開信号又は閉信号を送信する。引戸12が全閉状態にあり、かつメインセンサ18の検知領域A1内で人又は物が引戸12に近付いたことが検知された場合、制御部26はメインセンサ18からの検知信号に基づいて引戸12を開駆動させるよう駆動部28に開信号を送信する。この際、制御部26は開保護センサ22の検知結果を参照してもよい。開保護センサ22の検知結果を参照する場合、検知領域A3内で人又は物が検知されている状態では、制御部26は駆動部28に開信号を送信しない。また、引戸12が全開状態にあり、かつメインセンサ18の検知領域A1内に人又は物がいないことが検知された場合、制御部26はメインセンサ18からの検知信号に基づいて引戸12を閉駆動させるよう駆動部28に閉信号を送信する。この際、制御部26は補助センサ20の検知結果を参照してもよい。補助センサ20の検知結果を参照する場合、検知領域A2内で人又は物が検知されている状態では、制御部26は駆動部28に閉信号を送信しない。
【0023】
制御部26は、診断部24から送信された診断結果に基づいて引戸12の開駆動時又は閉駆動時の制御パラメータを変更する。引戸12の制御パラメータとは、引戸12の駆動速度、及び駆動方向を含む、制御部26によって制御可能な引戸12の駆動に関連するパラメータ又はパラメータの組み合わせをいう。診断部24の診断結果がセンサに異常が発生していることを示す場合、制御部26は制御パラメータを変更する。制御パラメータが変更された場合、制御部26は変更後の制御パラメータにしたがって引戸12の駆動速度を遅くし若しくは停止させ、又は駆動方向を逆向きに変更する。制御パラメータとして引戸12の駆動速度が設定されている場合、制御部26はセンサに何らかの異常が発生したときに引戸12を通常よりも低速で駆動させるか、引戸12の駆動速度をゼロにして停止させる。また、センサに生じていた異常が解消した場合、つまり診断部24によってセンサに異常が発生していないと判断されるようになった場合、制御部26は引戸12の制御パラメータを変更し、初期設定に戻してもよい。また、センサに異常が発生したと診断されたときに、引戸12を低速で全開状態にし、引戸12を全開状態に維持するよう複数のパラメータを同時に変更してもよい。この際、引戸12を全開状態にすることを報知してもよい。引戸12を全開状態で維持することにより、人又は物が自動ドア装置10を通過できなくなるのを防止できる。
【0024】
次に、自動ドア装置の作用について説明する。図3は自動ドア装置の一連の動作を示すフロー図である。
【0025】
まず、センサに何ら異常が発生していない場合の自動ドア装置の一連の動作を説明する。自動ドア装置10の引戸12が全閉状態にあるものとする。自動ドア装置10は、メインセンサ18の検知結果、及び開保護センサ22の検知結果を継続的、又は定期的に参照しながら、メインセンサ18の検知結果が変わるまで待機する(ステップS1のNo)。人又は物が検知領域A1に入り、メインセンサ18がこれを検知すると(ステップS1のYes)、メインセンサ18は検知信号を制御部26に送信する。メインセンサ18からの検知信号を受信すると、開保護センサ22により検知領域A3内に人又は物が検知されていないことを条件に、制御部26は駆動部28に開信号を送信し、設定されている駆動速度で引戸12を全開状態に向けて駆動させる(ステップS2)。引戸12が全開状態に達すると、引戸12は停止する。制御部26は、検知領域A1内の人又は物が検知されなくなるまで待機する(ステップS3のNo)。検知領域A1内の人又は物が検知領域A1外に出るとメインセンサ18からの検知信号は遷移するため、検知信号が遷移した(ステップS3のYes)ことに応じて、制御部26は駆動部28に閉信号を送信し、引戸12を全閉状態に向けて駆動させる(ステップS4)。
【0026】
また、図3では省略しているが、引戸12を全閉状態に向けて駆動させている最中に検知領域A1内で人若しくは物が検知され、又は補助センサ20の検知領域A2内で人若しくは物が検知されると、制御部26は引戸12を全開状態に向けて逆駆動させる処理をおこなってもよい。
【0027】
上述の一連の動作中、診断部24は、予め決定された所定の条件が満たされたときセンサの状態を診断する。この例では、診断部24は引戸12が全閉状態になったことを条件としてセンサの状態を診断するものとする。
【0028】
ステップS4に引き続き、ステップS5において制御部26は、引戸12が全閉状態になるまで待機する(ステップS5のNo)。引戸12が全閉状態になった場合(ステップS5のYes)、ステップS6において診断部24は、センサを診断する。なお、ステップS6における処理は、診断部24からセンサに向けて演算を送信することを示す。ステップS7において診断部24は、センサに異常が発生しているか否かを判断する。センサからの回答が誤っている場合(つまり、診断部24が保持している回答と一致しない場合)、又はセンサから回答がない場合、診断部24はセンサに異常が発生していると判断する。一方で、センサからの回答が正しい場合、診断部24はセンサに異常が発生していないと判断する。センサに異常が発生していないと判断した場合、自動ドア装置10は一連の処理を終了する。
【0029】
センサに異常が発生している場合、ステップS8において制御部26は引戸12の制御パラメータを変更する。制御パラメータが変更されることにより、例えば検知領域A1内で人又は物が検知されたときの引戸12の駆動速度が遅くなるか、又は検知領域A1内で人若しくは物が検知されても引戸12を停止させたままになる。
【0030】
以上のように自動ドア装置10によれば、センサと、センサに接続された外部機器(センサとは別の機器)との組み合わせによりセンサの状態を診断できる。これにより、高い確度でセンサの状態を診断できる。また、センサに異常が発生した場合、異常をすぐに管理者に通知したり、引戸12の駆動速度を遅くしたりすることができる。
【0031】
また、引戸12の一連の動作が終わり、引戸12が全閉状態にあるときに診断部24による診断を行うことで、待機時間を有効に利用できる。例えば引戸12が全閉状態にあり、検知領域A1内で人又は物が検知されて引戸12を開く直前に診断を行うと、引戸12が開くタイミングに遅れが発生してしまう。これに対して待機時間中に診断を行うことで、引戸12の駆動の遅れを防げる。また、引戸12が全開状態にあるとき(つまり図3のステップS5のタイミング)で診断を行ってもよい。
【0032】
また、複数のセンサがある場合、センサ毎に異なる演算を送ったり、異なる回答を要求したりすることで、センサの接続ミス(混線)を診断できる。
【0033】
本発明は上述の実施形態に限られるものではなく、実施形態の各構成は本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
【0034】
例えば、制御部26が引戸12を駆動させる際に、補助センサ20又は開保護センサ22により人又は物が検知されている場合には駆動信号を送信しないこととした。しかしながら、このような場合に制御部26から駆動信号としてNull信号を送信してもよい。
【0035】
1つの制御部により複数の引戸を制御するシステムに本発明を適用することもできる。このようなシステムにおいては、センサ毎に異なる演算の回答要求を送信することでより診断の確度を高められる。
【符号の説明】
【0036】
10 :自動ドア装置、 12 :引戸、 18 :メインセンサ、 20 :補助センサ、 22 :開保護センサ、 24 :診断部、 26 :制御部、 28 :駆動部
図1
図2
図3