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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022181563
(43)【公開日】2022-12-08
(54)【発明の名称】ハイブリッド車両の制御装置
(51)【国際特許分類】
   F02D 23/00 20060101AFI20221201BHJP
   B60W 10/06 20060101ALI20221201BHJP
   B60W 10/08 20060101ALI20221201BHJP
   B60K 6/24 20071001ALI20221201BHJP
   B60W 20/10 20160101ALI20221201BHJP
   B60K 6/445 20071001ALI20221201BHJP
   F02B 37/00 20060101ALI20221201BHJP
   F02D 45/00 20060101ALI20221201BHJP
   F01M 13/00 20060101ALI20221201BHJP
【FI】
F02D23/00 A
B60W10/06 900
B60W10/08 900
B60K6/24 ZHV
B60W20/10
B60K6/445
F02B37/00 302E
F02D23/00 N
F02D45/00 345
F01M13/00 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021088583
(22)【出願日】2021-05-26
(71)【出願人】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100087480
【弁理士】
【氏名又は名称】片山 修平
(72)【発明者】
【氏名】村田 卓哉
【テーマコード(参考)】
3D202
3G005
3G015
3G092
3G384
【Fターム(参考)】
3D202AA03
3D202BB02
3D202BB11
3D202CC41
3D202DD00
3D202DD16
3D202EE01
3G005EA04
3G005EA16
3G005FA27
3G005GB15
3G005JA45
3G005JA51
3G005JB02
3G005JB04
3G005JB17
3G015AA13
3G015BD10
3G015BD23
3G015BE13
3G015BE15
3G092AA18
3G092AC02
3G092DB03
3G092EA11
3G092FB03
3G092HA01Z
3G092HE03Z
3G092HF08Z
3G092HF21Z
3G092HG07Z
3G384AA28
3G384BA01
3G384DA44
3G384EB08
3G384FA01Z
3G384FA06Z
3G384FA58Z
3G384FA79Z
3G384FA86Z
(57)【要約】      (修正有)
【課題】過給機コンプレッサの耐久性低下と車両出力低下を抑制するハイブリッド車両の制御装置を提供する。
【解決手段】機関本体、前記機関本体に接続された吸気通路上に配置されたコンプレッサを含む過給機、前記機関本体で発生したブローバイガスを前記コンプレッサの下流側の前記吸気通路に導く還流通路、及び前記コンプレッサよりも上流側の前記吸気通路から前記機関本体に新気を導く導入通路、を有した内燃機関と、前記内燃機関の駆動をアシストするモータと、を備え、前記内燃機関の要求動作点が過給領域にある場合に、外気温に基づいて前記新気導入通路を流れるブローバイガス中の水分が凍結するか否かを判定する判定部と、前記判定部により肯定判定がなされた場合には、前記内燃機関の動作点を否定判定がなされた場合よりも自然吸気領域側となるように制御し、且つ前記モータによる前記内燃機関の駆動をアシストするための出力を増大させる。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
機関本体、前記機関本体に接続された吸気通路上に配置されたコンプレッサを含む過給機、前記機関本体で発生したブローバイガスを前記コンプレッサの下流側の前記吸気通路に導くブローバイガス還流通路、及び前記コンプレッサよりも上流側の前記吸気通路から前記機関本体に新気を導く新気導入通路、を有した内燃機関と、
前記内燃機関の駆動をアシストするモータと、を備えたハイブリッド車両の制御装置であって、
前記内燃機関の要求動作点が過給領域にある場合において、外気温に基づいて前記新気導入通路を流れるブローバイガス中の水分が凍結するか否かを判定する判定部と、
前記判定部により肯定判定がなされた場合には、前記内燃機関の動作点を前記判定部により否定判定がなされた場合よりも自然吸気領域側となるように制御し、且つ前記モータによる前記内燃機関の駆動をアシストするための出力を前記判定部により否定判定がなされた場合よりも増大させる駆動制御部と、を備えたハイブリッド車両の制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ハイブリッド車両の制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
過給機付きの内燃機関を備えた車両が知られている(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2018-127899号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このような内燃機関には、機関本体で発生したブローバイガスを過給機のコンプレッサの下流側の吸気通路に導くブローバイガス還流通路と、コンプレッサよりも上流側の吸気通路から機関本体に新気を導く新気導入通路とを備えたものがある。例えば内燃機関の動作点(回転数と負荷)が過給領域にある場合には、コンプレッサよりも下流側の吸気通路内が正圧となって、ブローバイガスが新気導入路を逆流するおそれがある。この場合に外気温が低いと、新気導入路を流れるブローバイガス中の水分が凍結して氷が生成され、このような氷が過給機のコンプレッサに衝突し、コンプレッサの耐久性に影響を及ぼすおそれがある。
【0005】
また、内燃機関の動作点が過給領域にある場合には、車両の要求出力が高い場合であって、このような高い要求出力に対して車両の実際の出力の低下を抑制する必要がある。
【0006】
そこで本発明は、過給機のコンプレッサの耐久性の低下を抑制しつつ、車両の出力の低下を抑制したハイブリッド車両の制御装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的は、機関本体、前記機関本体に接続された吸気通路上に配置されたコンプレッサを含む過給機、前記機関本体で発生したブローバイガスを前記コンプレッサの下流側の前記吸気通路に導くブローバイガス還流通路、及び前記コンプレッサよりも上流側の前記吸気通路から前記機関本体に新気を導く新気導入通路、を有した内燃機関と、前記内燃機関の駆動をアシストするモータと、を備えたハイブリッド車両の制御装置であって、前記内燃機関の要求動作点が過給領域にある場合において、外気温に基づいて前記新気導入通路を流れるブローバイガス中の水分が凍結するか否かを判定する判定部と、前記判定部により肯定判定がなされた場合には、前記内燃機関の動作点を前記判定部により否定判定がなされた場合よりも自然吸気領域側となるように制御し、且つ前記モータによる前記内燃機関の駆動をアシストするための出力を前記判定部により否定判定がなされた場合よりも増大させる駆動制御部と、を備えたハイブリッド車両の制御装置によって達成できる。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、過給機のコンプレッサの耐久性の低下を抑制しつつ、車両の出力の低下を抑制したハイブリッド車両の制御装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、本実施例のハイブリッド車両の概略構成図である。
図2図2は、エンジンの概略構成図である。
図3図3は、エンジンの動作点が過給領域にある場合の説明図である。
図4図4は、ECUが実行する制御の一例を示したフローチャートである。
図5図5は、エンジンの動作点の過給領域からNA領域の移行の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
[ハイブリッド車両の概略構成]
図1は、本実施例のハイブリッド車両1の概略構成図である。ハイブリッド車両1は、エンジン10、第1MG(Motor Generator)51、第2MG52、動力分割装置53、減速機54、PCU(Power Control Unit)55、バッテリ56、駆動輪57、及びECU(Electronic Control Unit)100を備える。
【0011】
エンジン10、第1MG51、及び第2MG52は、動力分割装置53を介して連結される。ハイブリッド車両1は、エンジン10及び第2MG52の少なくとも一方から出力される駆動力によって走行する。第2MG52は、エンジン10が駆動した状態で駆動することにより、エンジン10の駆動をアシストすることができる。エンジン10が発生する動力は、動力分割装置53によって2経路に分割される。一方の経路は減速機54を介して駆動輪57へ伝達される経路であり、他方の経路は第1MG51へ伝達される経路である。第1MG51及び第2MG52は、交流電動機であり、例えば、三相交流同期電動機である。
【0012】
エンジン10は、内燃機関の一例であり、ECU100からの制御信号S1によって制御される火花点火式のガソリンエンジンであるが、これに限定されず、圧縮着火式のディーゼルエンジンであってもよい。エンジン10については詳しくは後述する。
【0013】
動力分割装置53は、サンギヤ、ピニオンギヤ、キャリア、及びリングギヤを含む遊星歯車から成る。ピニオンギヤは、サンギヤ及びリングギヤと係合する。キャリアは、ピニオンギヤを自転可能に支持するとともに、エンジン10のクランクシャフトに連結される。サンギヤは、第1MG51の回転軸に連結される。リングギヤは第2MG52の回転軸及び減速機54に連結される。
【0014】
PCU55は、バッテリ56に蓄えられた直流電力を第1MG51及び第2MG52を駆動可能な交流電力に変換して第1MG51や第2MG52に出力する。これにより、バッテリ56に蓄えられた電力で第1MG51及び第2MG52が駆動される。PCU55は、第1MG51及び第2MG52によって発電される交流電力を、バッテリ56を充電可能な直流電力に変換してバッテリ56へ出力する。これにより、第1MG51及び第2MG52が発電した電力でバッテリ56が充電される。PCU55は、ECU100からの制御信号S2によって制御される。
【0015】
バッテリ56は、第1MG51及び第2MG52を駆動するための電力を蓄える直流電源であり、例えばニッケル水素やリチウムイオン等の二次電池である。
【0016】
ECU100は、図示しないCPU(Central Processing Unit)及びメモリを内蔵し、当該メモリに記憶された情報や各センサからの情報に基づいて、所定の演算処理を実行するように構成される。また、ECU100は、ハイブリッド車両1の状態に応じて、エンジン10、第1MG51、及び第2MG52を制御する。ECU100は、詳しくは後述するが、判定部及び駆動制御部の一例である。尚、ECU100は、エンジン10の回転速度Neと吸入空気量ARからエンジン10の出力トルクTQeを算出する。また、ECU100は、エンジン10の回転速度Neと出力トルクTQeとから、エンジン10の運転状態を示す動作点を算出する。詳しくは後述する。
【0017】
ECU100には、クランクポジションセンサ1s、エアフロメータ1sa、レゾルバ2s及び3s、車速センサ4s、アクセルポジションセンサ5s、外気温センサ6sなどが接続される。
【0018】
クランクポジションセンサ1sは、エンジン10の回転速度Neを検出する。エアフロメータ1saは、エンジン10の吸入空気量ARを検出する。レゾルバ2sは、第1MG回転速度Nm1を検出する。レゾルバ3sは、第2MG回転速度Nm2を検出する。車速センサ4sは、ドライブシャフトの回転速度から車速Vを検出する。アクセルポジションセンサ5sは、ユーザによるアクセルペダルの操作量Aを検出する。外気温センサ6sは、外気温Tを検出する。SOC(State Of Charge)センサ7sは、バッテリ56の充電残量であるSOCを検出する。これらの各センサは、検出結果を表わす信号をECU100に送信する。
【0019】
図2は、エンジン10の概略構成図である。エンジン10は、火花点火式の4気筒ガソリンエンジンであり、内燃機関の一例であるが、これに限定されず、4気筒以外であってもよく、例えば圧縮着火式のディーゼルエンジンなど他の方式のエンジンであってもよい。
【0020】
エンジン10は、機関本体11、ヘッドカバー12、クランクケース13、ピストン14、燃焼室15、吸気通路16、過給機20、インタークーラ22、及びスロットルバルブ24を備えている。機関本体11は、シリンダ11a、シリンダ11aの上方に設けられたヘッドカバー12、及びシリンダ11aの下方に設けられたクランクケース13を有している。ピストン14は、シリンダ11aの燃焼室15内を往復動する。機関本体11の各気筒には、吸気通路16が吸気マニホールド16aを介して接続されている。
【0021】
エアクリーナ17は、吸気通路16の入口部分の近傍に取り付けられている。過給機20のコンプレッサ20aは、吸気通路16におけるエアクリーナ17の下流に設置され、吸入空気を圧縮する。コンプレッサ20aは、排気通路(不図示)に配置されたタービン20bと連結軸を介して一体的に連結されている。
【0022】
インタークーラ22は、吸気通路16におけるコンプレッサ20aの下流に設置され、過給された空気を冷却する。電子制御式のスロットルバルブ24は、インタークーラ22の下流に設けられており、ECU100により制御される。スロットルバルブ24の下流には、上述の吸気マニホールド16aが配置されている。
【0023】
シリンダ11aとヘッドカバー12内に、ブローバイガス案内通路31a及び31bが設けられている。このブローバイガス案内通路31aは、シリンダ11a及びヘッドカバー12内を貫通して形成され、クランクケース13内とオイルセパレータ43とを連通しており、クランクケース13内に存在するブローバイガスがオイルセパレータ43に導く。ブローバイガス案内通路31bは、ヘッドカバー12とオイルセパレータ43とを連通しており、ヘッドカバー12の内部空間に存在するブローバイガスがオイルセパレータ43に導く。
【0024】
ブローバイガスは、ブローバイガス案内通路31a及び31bを介してオイルセパレータ43に導かれ、オイルセパレータ43でオイルミストが分離されたブローバイガスは、オイルセパレータ43と吸気マニホールド16aとを連通するブローバイガス還流通路36によって、吸気マニホールド16aに還流される。
【0025】
ブローバイガス還流通路36のオイルセパレータ43側の端部には、PCV(Positive Crankcase Ventilation)バルブ38が設置されている。PCVバルブ38は、その上流側であるヘッドカバー12の内部空間とその下流側である吸気マニホールド16aとの差圧に応じて作動する差圧作動弁として構成されている。このようなPCVバルブ38によって、吸気マニホールド16aに還流するブローバイガスの流量が調整されるとともに、ヘッドカバー12の内部空間へのブローバイガスの逆流が防止される。
【0026】
また、ヘッドカバー12の内部空間とコンプレッサ20aの上流側であってエアクリーナ17の下流側の吸気通路16とを連通する新気導入通路34が設けられている。より具体的には、新気導入通路34は、吸気通路16と新気側セパレータ44とを連通している。新気側セパレータ44には新気案内通路33aが設けられており、新気側セパレータ44とヘッドカバー12の内部空間を連通している。更に、新気案内通路33bが、ヘッドカバー12内とクランクケース13内とを連通している。よって、新気導入通路34、新気側セパレータ44、新気案内通路33a及び33bによって、吸気通路16を通過する新気を、ヘッドカバー12の内部空間とクランクケース13に導入する。
【0027】
図2に示すように、エンジン10の動作点が自然吸気(NA:Natural Aspiration)領域にある場合、スロットルバルブ24よりも下流側である燃焼室15や吸気マニホールド16a内は負圧となり、コンプレッサ20aよりも上流側の吸気通路16は大気圧となる。このため、NA領域では、新気が新気導入通路34、新気側セパレータ44、新気案内通路33a、ヘッドカバー12、新気案内通路33b、及びクランクケース13に流れる。また、ブローバイガスは、クランクケース13やヘッドカバー12からオイルセパレータ43、及びブローバイガス還流通路36を介して吸気マニホールド16aに戻される。このようにしてブローバイガスが吸気マニホールド16aから燃焼室15内に供給され、ブローバイガスを燃焼させることができる。
【0028】
これに対して、エンジン10の動作点が過給領域にある場合には、以下のような問題が生じるおそれがある。図3は、エンジン10の動作点が過給領域にある場合の説明図である。エンジン10の動作点が過給領域にある場合には、コンプレッサ20aの下流側である燃焼室15や吸気マニホールド16a内は正圧となり、コンプレッサ20aよりも上流側の吸気通路16は負圧となる。このため、ブローバイガスは、クランクケース13から、ブローバイガス案内通路31a、オイルセパレータ43、ブローバイガス案内通路31b、ヘッドカバー12、新気案内通路33a、新気側セパレータ44、新気導入通路34を順に流れてコンプレッサ20aよりも上流側の吸気通路16に逆流する。ここで、外気温が低い場合、ブローバイガスが新気導入通路34から吸気通路16を介してコンプレッサ20aにまで流れる間に、ブローバイガス中の水分が凍結して氷が生成される可能性がある。このような氷がコンプレッサ20aに衝突し、コンプレッサ20aの耐久性が低下するおそれがある。そのため、本実施例では、ECU100は以下の制御を実行する。
【0029】
図4は、ECU100が実行する制御の一例を示したフローチャートである。ECU100は、エンジン10の要求動作点が過給領域にあるか否かを判定する(ステップS1)。尚、要求動作点が過給領域にある場合とは、エンジン10の動作点が要求動作点に従って既に過給領域にある場合のみならず、エンジン10の動作点は未だNA領域にあるが運転者の操作指令に従って要求動作点が過給領域となった場合をも含む。ステップS1でNoの場合には、本制御を終了する。
【0030】
ステップS1でYesの場合には、ECU100は外気温センサ6sに基づいて取得した外気温Tが所定温度以下であるか否かを判定する(ステップS2)。ここで、所定温度とは、図3に示したようにブローバイガスが新気導入通路34を逆流した場合に、ブローバイガス中の水分が凍結する可能性がある温度である。所定温度は、例えば0℃であるが、これに限定されず、0℃よりも所定のマージン分だけ高い温度であってもよい。ステップS2でNoの場合には、本制御は終了する。
【0031】
ステップS2でYesの場合には、ECU100は過給域走行時間が凍結限界時間よりも長くなったか否かを判定する(ステップS3)。過給域走行時間とは、エンジン10の動作点が過給領域に属してハイブリッド車両1の走行が継続されている時間である。凍結限界時間は、予め実験により取得されておりECU100のメモリに予め記憶されている。凍結限界時間は、外気温が所定温度以下の場合に、新気導入通路34を逆流するブローバイガス中の水分が凍結するのに必要となる時間である。尚、凍結限界時間は、固定値であってもよいし、外気温が低いほど短く算出される変動値であってもよい。また、凍結限界時間は、例えば新気導入通路34が比較的長く、外気温が0℃以下の場合に新気導入通路34を逆流するブローバイガス中の水分が早期に凍結するおそれがある場合には、上記凍結限界時間をゼロに設定してもよい。ステップS3でNoの場合には、本制御を終了する。ステップS1~S3の処理は、エンジン10の要求動作点が過給領域にある場合において、外気温に基づいて新気導入通路34を流れるブローバイガス中の水分が凍結するか否かを判定する判定部が実行する処理の一例である。
【0032】
ステップS3でYesの場合には、ECU100はSOCセンサ7sに基づいて取得したSOCが所定SOC以上であるか否かを判定する(ステップS4)。所定SOCとは、後述する第2MG52の出力トルクを増大させることが可能なSOCである。ステップS4でNoの場合、本制御は終了する。
【0033】
ステップS4でYesの場合には、ECU100はエンジン10の動作点を過給領域からNA領域に移行して、第2MG52の出力を増大する(ステップS5)。具体的には、ECU100は、エンジン10での燃料噴射量や吸入空気量を制御することにより、エンジン10の動作点を過給領域からNA領域に移行する。また、ECU100は、PCU55を制御することにより第2MG52に供給される電力を増大させることにより、第2MG52の出力を増大する。ここで、上記の「第2MG52の出力を増大する」には、既に駆動中の第2MG52の出力を増大させることのみならず、停止状態にある第2MG52を駆動させることをも含む。ステップS5の処理は、判定部により肯定判定がなされた場合には、エンジン10の動作点をNA領域に制御し、且つ第2MG52によるエンジン10の駆動をアシストするための出力を判定部により否定判定がなされた場合よりも増大させる駆動制御部が実行する処理の一例である。
【0034】
図5は、エンジン10の動作点の過給領域からNA領域の移行の説明図である。図5のグラフでは、横軸はエンジン10の回転速度Neを示し、縦軸はエンジン10の出力トルクTQeを示す。図5には、過給領域とNA領域との境界線BLが破線で図示されている。境界線BLよりも低負荷側がNA領域であり、境界線BLよりも高負荷側が過給領域である。図5には、動作線L1の一例が図示されている。動作線L1は、エンジン10の回転速度Neと出力トルクTQeとの関係を表す動作線である。例えば、エンジン10の動作点が動作線L1上であって過給領域にある動作点P1である場合に、ステップS5で説明したように、ECU100はエンジン10の動作点を動作点P1からNA領域内の動作点P2へと移行させる。これにより、ブローバイガスの新気導入通路34の逆流を抑制でき、氷がコンプレッサ20aに衝突することを抑制できるので、コンプレッサ20aの耐久性の低下を抑制できる。また、この場合にECU100は第2MG52の出力を増大させるため、エンジン10の動作点を移行させたことに伴うハイブリッド車両1の出力の低下を抑制できる。
【0035】
尚、第2MG52の出力の増大分は、エンジン10の動作点を動作点P1から動作点P2に移行させたことによるエンジン10の出力の低下分に対応していることが好ましい。この場合、エンジン10の出力の低下分は、動作点P1から動作点P2へのエンジン10の出力トルクTQeの低下分に回転速度Neの低下分を乗算することにより算出できる。
【0036】
上記ステップS5では、エンジン10の動作点を過給領域からNA領域に移行させたが、必ずしもエンジン10の動作点をNA領域に移行することに限定されない。例えば、ステップS1~S4でYesと判定された場合でのエンジン10の動作点よりも、過給領域内であってNA領域側に移行させてもよい。この場合においても、新気導入通路34を逆流するブローバイガスの流量を低減することができるので、氷がコンプレッサ20aに衝突することを抑制してコンプレッサ20aの耐久性の低下を抑制することができるからである。
【0037】
以上、本発明の実施例について詳述したが、本発明はかかる特定の実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
【符号の説明】
【0038】
1 ハイブリッド車両
10 エンジン
11 機関本体
16 吸気通路
20 過給機
20a コンプレッサ
34 新気導入通路
36 ブローバイガス還流通路
52 第2MG(モータ)
図1
図2
図3
図4
図5