IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ダイキン工業株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-空気調和機 図1
  • 特開-空気調和機 図2
  • 特開-空気調和機 図3
  • 特開-空気調和機 図4
  • 特開-空気調和機 図5
  • 特開-空気調和機 図6
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022181565
(43)【公開日】2022-12-08
(54)【発明の名称】空気調和機
(51)【国際特許分類】
   F25B 41/40 20210101AFI20221201BHJP
【FI】
F25B41/40 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021088586
(22)【出願日】2021-05-26
(71)【出願人】
【識別番号】000002853
【氏名又は名称】ダイキン工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】弁理士法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】濱舘 潤一
(72)【発明者】
【氏名】小池 史朗
(72)【発明者】
【氏名】竹仲 則博
(72)【発明者】
【氏名】石井 郁司
(72)【発明者】
【氏名】升井 友洋
(72)【発明者】
【氏名】神谷 成毅
(72)【発明者】
【氏名】楮畑 和哉
(72)【発明者】
【氏名】高橋 孝幸
(72)【発明者】
【氏名】清水 基史
(72)【発明者】
【氏名】筒井 正浩
(72)【発明者】
【氏名】原田 真征
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 正敏
(72)【発明者】
【氏名】村田 勝則
(72)【発明者】
【氏名】倉守 哲丈
(72)【発明者】
【氏名】杉戸 輝彦
(72)【発明者】
【氏名】安積 孝治
(72)【発明者】
【氏名】東 裕子
(57)【要約】
【課題】冷媒配管の耐圧特性を確保しつつ成形の自由度を向上させることができるようにする。
【解決手段】空気調和機は、蒸気圧縮式の冷凍サイクルに用いられ、冷媒を送る冷媒配管(P10、P20、P13、P23)を備え、前記冷媒配管(P10、P20、P13、P23)は、オーステナイト系のステンレス鋼を含む。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
蒸気圧縮式の冷凍サイクルで用いられ、冷媒を送る冷媒配管(P10、P20、P13、P23)を備え、
前記冷媒配管(P10、P20、P13、P23)は、オーステナイト系のステンレス鋼を含む、空気調和機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、空気調和機に関する。
【背景技術】
【0002】
空気調和機は、冷媒配管により圧縮機、凝縮器、膨張弁、蒸発器等を接続して冷媒回路を構成する。冷媒回路では、充填された冷媒が冷媒配管により循環することにより蒸気圧縮式の冷凍サイクルが行われる。冷媒配管として、銅素材のものが用いられることがある(例えば、特許文献1)。
【0003】
しかし、銅素材の冷媒配管は、高圧に耐えられる耐圧特性を確保することが困難になる可能性がある等の問題がある。そこで、冷媒配管としてステンレス鋼素材のものを使用する代替案がある。ステンレス鋼素材の冷媒配管は、銅素材の冷媒配管に比べて耐圧特性が良いので、高圧にも破損のおそれが少ない点で有利である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2020-165562号公報
【発明の概要】
【0005】
しかし、ステンレス鋼素材の冷媒配管は、強度と硬度が高く、耐圧特性が高いため、成形の自由度が低く、管接続のための拡管作業、管曲げ作業等に不利であるという問題がある。
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本開示の目的は、冷媒配管の耐圧特性を確保しつつ成形の自由度を向上させることができる空気調和機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の第1の態様は、空気調和機を対象とする。空気調和機は、蒸気圧縮式の冷凍サイクルにおいて冷媒を送る。冷媒配管(P10、P20、P13、P23)を備え、前記冷媒配管(P10、P20、P13、P23)は、オーステナイト系のステンレス鋼を含む。
【0008】
第1の態様では、冷媒配管(P10、P20、P13、P23)の耐圧特性を確保しつつ成形の自由度を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本技術の空気調和機の構成の例示を示す図である。
図2】空調能力と冷媒配管の外径とを対応付けた表を示す。
図3】空調能力と冷媒配管の外径とを対応付けた表を示す。
図4】空調能力と冷媒配管の外径とを対応付けた表を示す。
図5】空調能力と冷媒配管の外径とを対応付けた表を示す。
図6】冷媒配管の外径と、冷媒配管の第1肉厚と、冷媒配管の第2肉厚と、最大曲げRとを対応付けた表である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。なお、図中、同一または相当部分については同一の参照符号を付し、詳細な説明およびそれに付随する効果等の説明は繰り返さない。
【0011】
(実施形態)
図1は、空気調和機(1)の構成を例示している。空気調和機(1)は、熱交換ユニット(10)を含む。熱交換ユニット(10)は、ガス側連絡配管(101)および液側連絡配管(102)により利用側ユニット(90)と接続されて冷媒回路(100)を構成している。冷媒回路(100)では、充填された冷媒が循環することにより蒸気圧縮式の冷凍サイクルが行われる。空気調和機(1)は、利用側ユニット(90)を含む。利用側ユニット(90)には、利用側熱交換器(91)が設けられている。利用側熱交換器(91)は、空気と冷媒を熱交換させる。例えば、熱交換ユニット(10)は、屋外に設けられる室外ユニット(室外機)であり、利用側ユニット(90)は、室内空間の冷房と暖房を行う室内ユニット(室内機)である。
【0012】
熱交換ユニット(10)は、ガス側連絡配管(101)が接続されるガス閉鎖弁(V1)と、液側連絡配管(102)が接続される液閉鎖弁(V2)と、圧縮機(30)と、熱交換器(40)と、ファン(11)と、膨張弁(12)と、四方切換弁(13)と、アキュムレータ(14)と、オイルセパレータ(15)とを備えている。また、熱交換ユニット(10)は、圧縮機(30)と熱交換器(40)とを接続する第1冷媒配管(P1)と、圧縮機(30)とガス閉鎖弁(V1)とを接続する第2冷媒配管(P2)と、熱交換器(40)と液閉鎖弁(V2)とを接続する第3冷媒配管(P3)とを備えている。
【0013】
この例では、第1冷媒配管(P1)には、オイルセパレータ(15)と四方切換弁(13)とが設けられている。第1冷媒配管(P1)は、吐出配管(P10)と、第3配管部(P13)とを有している。吐出配管(P10)は、圧縮機(30)で圧縮された冷媒の吐出をガイドする。吐出配管(P10)は、圧縮機(30)の吐出ポートと四方切換弁(13)の第1ポートとを接続する。吐出配管(P10)は、圧縮機(30)の吐出ポートとオイルセパレータ(15)の入口とを接続する第1配管部(P11)と、オイルセパレータ(15)の出口と四方切換弁(13)の第1ポートとを接続する第2配管部(P12)とを有している。第3配管部(P13)は、四方切換弁(13)の第2ポートと熱交換器(40)とを接続する。第2冷媒配管(P2)には、アキュムレータ(14)と四方切換弁(13)が設けられている。第2冷媒配管(P2)は、吸入配管(P20)と、第6配管部(P23)とを有している。吸入配管(P20)は、圧縮機(30)への冷媒の吸入をガイドする。吸入配管(P20)は、圧縮機(30)の吸入ポートとアキュムレータ(14)の出口とを接続する第4配管部(P21)と、アキュムレータ(14)の入口と四方切換弁(13)の第4ポートとを接続する第5配管部(P22)とを有している。第6配管部(P23)は、四方切換弁(13)の第3ポートとガス閉鎖弁(V1)とを接続する。第3冷媒配管(P3)には、膨張弁(12)が設けられている。
【0014】
圧縮機(30)は、吸入した冷媒を圧縮して吐出する。圧縮機(30)は、蒸気圧縮式の冷凍サイクルにおいて冷媒を圧縮する。オイルセパレータ(15)は、圧縮機(30)から吐出された冷媒から冷凍機油を分離する。四方切換弁(13)は、第1ポートと第2ポートとを連通するとともに第3ポートと第4ポートとを連通する第1状態(図1の実線で示す状態)と、第1ポートと第3ポートとを連通するとともに第2ポートと第4ポートとを連通する第2状態(図1の破線で示す状態)とに切り換え可能となっている。ファン(11)は、熱交換器(40)に空気を搬送する。熱交換器(40)は、ファン(11)により搬送された空気と冷媒とを熱交換させる。膨張弁(12)は、冷媒を減圧するための機構であり、開度が調節可能となっている。
【0015】
四方切換弁(13)を第1状態(図1の実線で示す状態)に設定して圧縮機(30)とファン(11)とを駆動させると、熱交換器(40)が凝縮器となり、利用側熱交換器(91)が蒸発器となり、空気調和機(1)が冷房運転を行う。冷房運転が行われると、圧縮機(30)で圧縮された冷媒は、吐出配管(P10)を介し吐出されて、第1ポートから四方切換弁(13)に流入し、第2ポートから第3配管部(P13)を介して排出される。第3配管部(P13)を介して排出された冷媒は、熱交換器(40)に流入して凝縮され、熱交換ユニット(10)から排出される。熱交換ユニット(10)から排出された冷媒は、第3冷媒配管(P3)および液側連絡配管(102)を介して利用側ユニット(90)に流入して減圧された後、利用側ユニット(90)の利用側熱交換器(91)で蒸発する。前記蒸発した冷媒は、ガス側連絡配管(101)を介して熱交換ユニット(10)に流入する。熱交換ユニット(10)に流入した冷媒は、第6配管部(P23)を介して第3ポートから四方切換弁(13)に流入し、第4ポートを介して四方切換弁(13)から排出される。そして、四方切換弁(13)から排出された冷媒は、吸入配管(P20)を介して圧縮機(30)へ送られ、圧縮機(30)に吸入される。このようなサイクルが繰り返され得る。冷房運転が行われると、熱交換器(40)において冷媒の熱が空気に放出され、利用側熱交換器(91)において空気の熱が冷媒に吸収される。
【0016】
四方切換弁(13)を第2状態(図1の破線で示す状態)に設定して圧縮機(30)とファン(11)とを駆動させると、利用側熱交換器(91)が凝縮器となり、熱交換器(40)が蒸発器となり、空気調和機(1)が暖房運転を行う。暖房運転が行われると、圧縮機(30)で圧縮された冷媒は、吐出配管(P10)を介して吐出されて、第1ポートから四方切換弁(13)に流入し、第3ポートから第6配管部(P23)を介して排出される。第6配管部(P23)を介して排出された冷媒は、ガス側連絡配管(101)を介して利用側ユニット(90)に流入して利用側熱交換器(91)で凝縮された後、液側連絡配管(102)および第3冷媒配管(P3)を介して熱交換器(40)へ送られる。熱交換器(40)へ送られた冷媒は、熱交換器(40)で蒸発し、第3配管部(P13)を介して第2ポートから四方切換弁(13)に流入し、第4ポートを介して四方切換弁(13)から排出される。そして、四方切換弁(13)から排出された冷媒は、吸入配管(P20)を介して圧縮機(30)へ送られ、圧縮機(30)に吸入される。このようなサイクルが繰り返され得る。暖房運転が行われると、利用側熱交換器(91)において冷媒の熱が空気に放出され、熱交換器(40)において空気の熱が冷媒に吸収される。
【0017】
以下では、吐出配管(P10)、吸入配管(P20)、第3配管部(P13)、および第6配管部(P23)を総称して、冷媒配管(P10、P20、P13、P23)と記載することがある。
【0018】
(冷媒)
空気調和機(1)の冷房または暖房運転のために、熱交換ユニット(10)(室外機)および利用側ユニット(90)(室内機)には冷媒が循環することができる。本実施形態の冷媒は、GWPが低いものを採用する。冷媒には、例えば、単一冷媒としてR32またはR134aが含まれてもよい。冷媒には、例えば、R32が50%以上含有された混合冷媒が使用されてもよい。
【0019】
また、冷媒には、R32とR410aとを含む混合冷媒が含まれていてもよい。また、冷媒には、R134aとR513aとを含む混合冷媒が含まれていてもよい。また、冷媒には、R1234yfが含まれていてもよい。
【0020】
また、冷媒として、R32とR125とR1234yfとの混合冷媒、R1234yfとR134aとを含むR513B、R1234yf、R744とR32とR125とR1234yfとR134aとを含むR463A、R32とR125とR1234yfとを含むR452B、R32とR1234yfとの混合冷媒、R32とR1234yfとを含むR454B、R32とR125とR1234yfとR134aとを含むR449A、R32とR125とR1234yfとを含むR452A、R32とR1234yfとを含むR454A、R32とR125とR1234yfとR134aを含むR449C、R32とR1234yfとを含むR454C、R1234yfとR134aとを含むR513A、R1336mzz(Z)、R1336mzz(E)、R1336mzz(Z)とR1130(E)とを含むR514A、R32とR125とR1234ze(E)との混合冷媒、R32とR125とR1234ze(E)とを含むR447B、R32とR125とR1234ze(E)とを含むR447A、R32とR1234yfとR1234ze(E)との混合冷媒、R32とR1234ze(E)との混合冷媒、R32とR1234ze(E)とButaneとを含むR446A、R32とR125とR1234yfとR134aとR1234ze(E)とを含むR448A、R32とR125とR1234yfとR134aとR1234ze(E)との混合冷媒、R32とR125とR1234yfとR134aとの混合冷媒、R32とR1234yfとR152aとR1234ze(E)との混合冷媒、R744とR32とR1234yfとを含むR455A、R32とR125とR134aとR1234yfとの混合冷媒、R32とR125とR1234yfとR134aとR1234ze(E)との混合冷媒、R32とR152aとR1234ze(E)との混合冷媒、R32とR152aとR1234ze(E)とを含むR444B、R1234yfとR134aとR1234ze(E)との混合冷媒、R134aとR1234ze(E)とを含むR450A、R1234ze(E)とR227eaとを含むR515A、R1234ze(E)とR227eaとを含むR515B、R1234ze(E)、R1233zd(E)、R32とR125とCF3Iとの混合冷媒、R32とR1234yfとR134aとの混合冷媒、R32とR1234yfとR1234ze(E)とを含むR459A、R32とR125とR1234yfとを含むR452C、R32とR125とR1234yfとR134aを含むR449B、R32とR1234yfとR134aとの混合冷媒、R32とR1234yfとR152aとの混合冷媒、R32とR1234yfとの混合冷媒、R-32とR290とR1234yfとを含むR465A、R32とR1234yfとR152aとを含むR457A、R32とR125とR1234yfとR134aとの混合冷媒、R32とR1234yfとR134aとの混合冷媒、R1234yfとR134aとR152aとの混合冷媒、R1234yfとR134aとR152aとを含むR516A、R1123とR32との混合冷媒、R1123とR32とR1234yfとの混合冷媒、R1123、R1224yd(Z)、R744とR32とR1234ze(E)との混合冷媒、R32とR134aとR1234zeとの混合冷媒、R32とR125とR134aとR1234ze(E)とを含むR460A、R32とR1234yfとR1234ze(E)とを含むR459B、R32とR125とR134aとR1234ze(E)を含むR460B、R744とR32とR1234ze(E)との混合冷媒、R32とR134aとR1234ze(E)とを含む456A、R744とR134aとR1234ze(E)を含むR445A、R32とR152aとR1234ze(E)とを含むR444A、R1132a、R1132(E)とR1123との混合冷媒、R1132(E)とR1123とR1234yfとの混合冷媒、R1132(E)とR1123とR1234yfとR32との混合冷媒、R1132(E)とR1234yfとR32との混合冷媒、R1132(E)とR1234yfとR32とCO2との混合冷媒、R1132(E)とR1123とR32との混合冷媒、R32、R32とR125とR134aとを含むR407H、R32とR125とR134aとR600とR601aとを含むR438A、R32とR125とCF3Iとを含むR466A、R32とR125とR134aとを含むR407F、R1233zd(E)、R134a、R32とR125とを含むR410A、R22、R125とR134aとR143aとを含むR404A、R123、NH3を含むR717、CO2を含むR744、Propaneを含むR290、iso-Butaneを含むR600a、または、Propeneを含むR1270が使用されてもよい。
【0021】
(冷媒配管)
冷媒配管(P10、P20、P13、P23)は、SUS304、SUS304L等のオーステナイト系のステンレス鋼で構成される配管である。
【0022】
冷媒配管(P10、P20、P13、P23)は、デルタフェライト基地組織を有する延性のステンレス素材(オーステナイト系のステンレス鋼)を含む。冷媒配管(P10、P20、P13、P23)を構成するステンレス素材において、デルタフェライト基地組織の含有量は少ない方がよい。デルタフェライト基地組織の含有量は、粒度面積を基準として5%以下、好ましくは2%以下、さらに好ましくは1%以下である。なお、デルタフェライト基地組織が含有されていなくてもよい。冷媒配管(P10、P20、P13、P23)は、ステンレス素材を含み、強いながらも加工性に優れる性質を有する。
【0023】
冷媒配管(P10、P20、P13、P23)を構成するステンレス素材は、粒度面積を基準として90%以上、好ましくは99%以上のオーステナイト基地組織を有し、1%以下のデルタフェライト基地組織を有することがよい。ステンレス素材は、例えば、0.03%以下の炭素、1.0%以下のケイ素、2%以下のマンガン、18%~20%のクロム、9.0%~13.0%のニッケル、0.045%以下のリン、0.03%以下の硫黄等を含む。
【0024】
冷媒配管(P10、P20、P13、P23)を構成するステンレス素材の平均粒度の大きさは、組成および/または熱処理条件に応じて決定される。ステンレス素材の平均粒度の大きさは、ステンレス素材の強度および硬度に影響を及ぼす。例えば、平均粒度の大きさが小さいほど、ステンレス素材の強度および硬度は大きくなり、平均粒度の大きさが大きいほど、ステンレス素材の強度および硬度は小さくなる。このためには、ステンレス素材の平均粒度の大きさが30~60μmに制限されることが好ましい。
【0025】
(冷媒配管の外径)
図1図5を参照して、冷媒配管(P10、P20、P13、P23)の外径について説明する。図1図5に示すように、冷媒配管(P10、P20、P13、P23)の外径は、空気調和機(1)の空調能力に応じて設定される。
【0026】
図2図5に示す表において、行には空調能力(kw)が表される。空調能力は、空気調和機(1)の空調能力を示す。空気調和機(1)の空調能力は、圧縮機(30)の圧縮能力に基づいて決定される。空調能力には、冷房能力または暖房能力が含まれてもよい。
【0027】
図2図5に示す表において、列には冷媒配管(P10、P20、P13、P23)の種類(吐出配管(P10)、吸入配管(P20)、第3配管部(P13)、および第6配管部(P23))が表される。
【0028】
図2図5に示す表は、空調能力と冷媒配管(P10、P20、P13、P23)の外径とを対応付けている。図2図5に示す表は、冷媒配管(P10、P20、P13、P23)の種類毎に複数の空調能力の各々と対応する対応欄を設け、当該対応欄において対応する空調能力に応じた冷媒配管(P10、P20、P13、P23)の外径に関する情報(外径の範囲、および外径の具体例)を記載する。冷媒配管(P10、P20、P13、P23)の外径の単位は、「mm」である。
【0029】
図2図5に示す表において、「外径の範囲」は、空調能力と対応付けられる冷媒配管(P10、P20、P13、P23)の外径の上限と下限とを示す。図2図5の表に示すように、「外径の範囲」は、複数の冷媒配管(P10、P20、P13、P23)の各々について、空調能力毎に設定される。図2に示すように、例えば、空調能力2.2kwの場合、冷媒配管(P10、P20、P13、P23)のうちの第3配管(P13)の外径の範囲は、9mm以上、11mm以下である。
【0030】
図2図5に示す表において、「外径の具体例」は、冷媒配管(P10、P20、P13、P23)の外径の具体例であり、対応する「外径の範囲」で規定された上限と下限との範囲内の値である。図2に示すように、例えば、空調能力2.2kwの場合、冷媒配管(P10、P20、P13、P23)のうちの第3配管(P13)の外径の具体例は、9mm、9.5mm、および、11mmである。
【0031】
図2図5に示す表において、「一体型」は、アキュムレータ(14)(図1参照)が圧縮機(30)の直前に配置され、アキュムレータ(14)と圧縮機(30)とが略一体に構成される空気調和機(1)を示す。「一体型」の空気調和機(1)の場合、吸入配管(P20)は第5配管部(P22)で構成される。「一体型」は、例えば、空調能力が低いタイプの空気調和機(1)に多い。「分離型」は、アキュムレータ(14)が圧縮機(30)と分離されており、別体に構成されている空気調和機(1)を示す。「分離型」の空気調和機(1)の場合、吸入配管(P20)は第4配管部(P21)と第5配管部(P22)とで構成される。の「分離型」は、例えば、空調能力が高いタイプの空気調和機(1)に多い。
【0032】
図2図5に示す表において、「同径型」は、圧縮機(30)の吐出ポートの径と、四方切換弁(13)の第1ポートの径とが同じ大きさを有することにより、同一の径を有する吐出配管(P10)を示す。「異径型」は、圧縮機(30)の吐出ポートの径と、四方切換弁(13)の第1ポートの径とが異なる大きさを有することで、圧縮機(30)に接続される圧縮機(30)側と、四方切換弁(13)に接続される四方切換弁(13)側とにそれぞれ異なる外径の配管が接続され、当該異なる外径を有する配管同士が連結されて吐出配管(P10)を構成する場合を示す。「圧縮機(30)側」は、「異径型」の吐出配管(P10)において、圧縮機(30)および四方切換弁(13)のうち、圧縮機(30)に接続される側の配管を示す。「四方切換弁(13)側」は、「異径型」の吐出配管(P10)において、圧縮機(30)および四方切換弁(13)のうち、四方切換弁(13)に接続される配管を示す。
【0033】
図2図5の表に示すように、空気調和機(1)の空調能力毎に冷媒配管(吐出配管(P10)、吸入配管(P20)、第3配管部(P13)、および第6配管部(P23))の外径の範囲が設定される。これにより、冷媒配管(P10、P20、P13、P23)の外径は、図2図5の表において空調能力と対応付けられる「外径の範囲」内の値(例えば、「外径の具体例」に示す値)となるように設定され得る。その結果、空気調和機(1)の空調能力に応じて冷媒配管(P10、P20、P13、P23)の外径を決定できる。
【0034】
(本実施例の効果)
以上のように、冷媒配管(P10、P20、P13、P23)は、蒸気圧縮式の冷凍サイクルで用いられ、冷媒を送る。冷媒配管(P10、P20、P13、P23)は、オーステナイト系のステンレス鋼を含む。これにより、冷媒配管(P10、P20、P13、P23)の延性を確保できるので、冷媒配管(P10、P20、P13、P23)の成形の自由度を向上させることができる。
【0035】
また、本実施例の冷媒配管(P10、P20、P13、P23)は、オーステナイト系のステンレス鋼を含むことで、銅素材の冷媒配管に比べて、強度および硬度を大きくできるので、冷媒配管(P10、P20、P13、P23)の耐圧特性を確保できる。その結果、飽和蒸気圧の高い様々な種類の冷媒を使用できる。
【0036】
また、本実施例の冷媒配管(P10、P20、P13、P23)は、オーステナイト系のステンレス鋼を含むことで、銅素材の冷媒配管に比べて、応力マージンが高いので、振動吸収能力が優れる。これにより、振動および騒音の吸収のために冷媒配管(P10、P20、P13、P23)を長くする必要がないので、冷媒配管(P10、P20、P13、P23)の設置のための空間の確保が容易となり、冷媒配管(P10、P20、P13、P23)の長さの縮小による製造コストを低減できる。
【0037】
また、本実施例の冷媒配管(P10、P20、P13、P23)は、オーステナイト系のステンレス鋼を含むことで、銅配管に比べて耐食性に優れるので、配管の寿命を長くすることができる。
【0038】
また、本実施例の冷媒配管(P10、P20、P13、P23)は、オーステナイト系のステンレス鋼を含むことで、強度が銅素材の冷媒配管に比べて大きいため、冷媒配管(P10、P20、P13、P23)の肉厚を薄くしても、冷媒の状態変動時の圧力等の高圧に耐えられる耐圧特性を確保できる。
【0039】
また、本実施例の冷媒配管(P10、P20、P13、P23)は、オーステナイト系のステンレス鋼を含むことで、銅配管に比べて市場価格が安価な素材で構成できるので、冷媒配管(P10、P20、P13、P23)の製造コストを低減できる。
【0040】
(冷媒配管の肉厚、最大曲げR)
図6は、冷媒配管(P10、P20、P13、P23)の外径と、冷媒配管(P10、P20、P13、P23)の第1肉厚と、冷媒配管(P10、P20、P13、P23)の第2肉厚と、最大曲げRとを対応付けた表である。
【0041】
図6において、第1肉厚(非KHK:法定冷凍トン5t未満)、および、第2肉厚(KHK:法定冷凍トン5t以上)は、対応する外径を有する冷媒配管(P10、P20、P13、P23)の肉厚を示す。第1肉厚は、法定冷凍トンが5t未満の空気調和機に用いられる冷媒配管(P10、P20、P13、P23)の肉厚である。第2肉厚は、法定冷凍トンが5t以上の空気調和機に用いられる冷媒配管(P10、P20、P13、P23)の肉厚である。法定冷凍トンが5t以上の空気調和機に冷媒配管(P10、P20、P13、P23)が用いられる場合、KHK(高圧ガス保安協会)の認証が必要となり、冷媒配管(P10、P20、P13、P23)の肉厚に制限が課される。これにより、図6に示す表において、外径が同じでも第1肉厚と第2肉厚との間に差が生じる場合がある。例えば、冷媒配管(P10、P20、P13、P23)の外径が15mmの場合、第1肉厚は0.6mmに設定されるのに対し、第2肉厚は0.7mmに設定される。
【0042】
図6において、最大曲げRは、冷媒配管(P10、P20、P13、P23)を曲げて冷媒配管(P10、P20、P13、P23)の曲げ加工を行う際の曲げ半径の最大値(上限値)を示す。例えば、冷媒配管(P10、P20、P13、P23)の外径が15mmの場合、最大曲げRは25mmに設定される。
【0043】
以上のように、空気調和機(1)においてオーステナイト系のステンレス鋼を含む冷媒配管(P10、P20、P13、P23)が用いられる場合、冷媒配管(P10、P20、P13、P23)の第1肉厚、第2肉厚および最大曲げRは、図6に示す表おいて冷媒配管(P10、P20、P13、P23)の外径と対応付けられた大きさを有するように設定され得る。
【0044】
以上、実施形態および変形例を説明したが、特許請求の範囲の趣旨および範囲から逸脱することなく、形態や詳細の多様な変更が可能なことが理解されるであろう。また、以上の実施形態および変形例は、本開示の対象の機能を損なわない限り、適宜組み合わせたり、置換したりしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0045】
以上説明したように、本開示は、空気調和機について有用である。
【符号の説明】
【0046】
1 空気調和機
10 熱交換ユニット
11 ファン
12 膨張弁
13 四方切換弁
14 アキュムレータ
15 オイルセパレータ
30 圧縮機
40 熱交換器
90 用側ユニット
91 利用側熱交換器
100 冷媒回路
101 ガス側連絡配管
102 液側連絡配管
P1 第1冷媒配管
P11 第1配管部
P12 第2配管部
P13 第3配管部
P2 第2冷媒配管
P21 第4配管部
P22 第5配管部
P23 第6配管部
P3 第3冷媒配管
V1 ガス閉鎖弁
V2 液側連絡配管
図1
図2
図3
図4
図5
図6