(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022181587
(43)【公開日】2022-12-08
(54)【発明の名称】振動デバイス
(51)【国際特許分類】
B06B 1/06 20060101AFI20221201BHJP
H01L 41/09 20060101ALI20221201BHJP
H01L 41/053 20060101ALI20221201BHJP
【FI】
B06B1/06 Z
H01L41/09
H01L41/053
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021088619
(22)【出願日】2021-05-26
(71)【出願人】
【識別番号】000003067
【氏名又は名称】TDK株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100124062
【弁理士】
【氏名又は名称】三上 敬史
(72)【発明者】
【氏名】永井 慧大
(72)【発明者】
【氏名】江澤 敦
(72)【発明者】
【氏名】滝 辰哉
(72)【発明者】
【氏名】丸山 俊樹
【テーマコード(参考)】
5D107
【Fターム(参考)】
5D107AA04
5D107CC03
5D107CC10
5D107FF10
(57)【要約】
【課題】振動幅がそれぞれ異なる複数の振動デバイスを容易に実現し得る振動デバイスを提供する。
【解決手段】振動デバイスVD1は、第一方向D1に伸縮する圧電素子10と、圧電素子10の伸縮に伴って第一方向D1に振動する振動体30とを有する変位体1と、振動体30と物理的に連結され、振動体30の振動に伴って第二方向D2に振動する駆動体5とを備える。駆動体5は、変位体1と第二方向D2で対向するように変位体1から離間している駆動部51と、振動体30の第一方向D1での両端部30c,30dのうち対応する端部に連結されている第一端52c,53cと、駆動部51の第一方向D1での両端部51c,51dのうち対応する端部に連結されている第二端52d,53dとをそれぞれ有していると共に、第一端52c,53cから第二端52d,53dに向かうにつれて変位体1から離間している一対の連結部52,53とを有する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一方向に伸縮する圧電素子と、前記圧電素子の伸縮に伴って前記第一方向に振動する振動体と、を有している変位体と、
前記振動体と連結されており、前記振動体の振動に伴って前記第一方向と交差する第二方向に振動する駆動体と、を備え、
前記駆動体は、
前記変位体と前記第二方向で対向するように前記変位体から離間している駆動部と、
前記振動体の前記第一方向での両端部のうち対応する端部に連結されている第一端と、前記駆動部の前記第一方向での両端部のうち対応する端部に連結されている第二端とをそれぞれ有していると共に、前記第一端から前記第二端に向かうにつれて前記変位体から離間している一対の連結部と、有している、振動デバイス。
【請求項2】
前記圧電素子と前記振動体とは接合されている、請求項1に記載の振動デバイス。
【請求項3】
前記振動体と前記一対の連結部とは接合されている、請求項1又は2に記載の振動デバイス。
【請求項4】
前記駆動体は、前記変位体を前記第二方向で挟むように前記変位体の両側に配置されていると共に前記駆動部と前記一対の連結部とをそれぞれ有している第一駆動体と第二駆動体とを含んでいる、請求項1~3のいずれか一項に記載の振動デバイス。
【請求項5】
前記振動体は、前記圧電素子が収容される窪みを有し、
前記窪みは、前記圧電素子の前記第一方向での両端部のうち対応する端部と前記第一方向でそれぞれ対向し、かつ、連結されている一対の面を含んでおり、
前記圧電素子の伸縮が前記一対の面を通して前記振動体に伝わることにより、前記振動体が前記第一方向に振動する、請求項1~4のいずれか一項に記載の振動デバイス。
【請求項6】
前記振動体は、前記第二方向で互いに対向している一対の主面を有し、
前記圧電素子は、前記振動体を前記第二方向で挟むように前記振動体の両側に配置されている第一圧電素子と第二圧電素子とを含んでいる、請求項1~4のいずれか一項に記載の振動デバイス。
【請求項7】
前記振動体は、前記圧電素子を前記第二方向で挟むように前記圧電素子の両側に配置されている第一振動体と第二振動体とを含んでいる、請求項1~4のいずれか一項に記載の振動デバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、振動デバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
第一方向に伸縮する圧電素子と、当該圧電素子の伸縮に伴って第一方向と交差する第二方向に振動する駆動体とを備えている振動デバイスが知られている(たとえば、特許文献1参照)。圧電素子と駆動体とは、直接連結されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載された振動デバイスでは、以下の問題点が生じるおそれがある。
圧電素子と駆動体とが直接連結されているので、第二方向での駆動体の振動幅は、圧電素子の大きさ、たとえば、第一方向での長さによって制限される。以下、「第二方向での駆動体の振動幅」は、単に「振動幅」と称されることがある。
振動幅がそれぞれ異なる複数の振動デバイスを実現するためには、得たい振動幅に対応させて、サイズがそれぞれ異なる複数の圧電素子を用意する必要がある。たとえば、第一方向での長さがそれぞれ異なる複数の圧電素子を用意する必要がある。複数の圧電素子を用意することは、振動デバイスのコストアップを招くおそれがある。
振動幅が大きい振動デバイスを実現するためには、サイズが大きい圧電素子を用意する必要がある。しかしながら、サイズが大きい圧電素子は、圧電素子自体の機械的強度が低下するおそれがあり、振動幅が大きい振動デバイスの実現は容易ではない。機械的強度は、たとえば、曲げ強さである。
【0005】
本発明の一つの態様は、振動幅がそれぞれ異なる複数の振動デバイスを容易に実現し得る振動デバイスを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
一つの態様に係る振動デバイスは、第一方向に伸縮する圧電素子と、圧電素子の伸縮に伴って第一方向に振動する振動体と、を有している変位体と、振動体と連結されており、振動体の振動に伴って第一方向と交差する第二方向に振動する駆動体と、を備えている。駆動体は、変位体と第二方向で対向するように変位体から離間している駆動部と、振動体の第一方向での両端部のうち対応する端部に連結されている第一端と、駆動部の第一方向での両端部のうち対応する端部に連結されている第二端とをそれぞれ有していると共に、第一端から第二端に向かうにつれて変位体から離間している一対の連結部と、を有している。
【0007】
上記一つの態様によれば、一対の連結部は、第一端から第二端に向かうにつれて変位体から離間しており、変位体から一対の連結部に伝わる第一方向の振動を第二方向での駆動体の振動に変換する。駆動体の振動幅は、変位体のサイズに依存する。変位体のサイズは、たとえば、第一方向での長さを含む。変位体は、圧電素子と、圧電素子の伸縮に伴って振動する振動体とを有している。たとえば、互いに異なるサイズを有する複数の振動体が用意される場合、駆動体は、各振動体のサイズに対応する振動幅で第二方向に振動する。したがって、上記一つの態様では、振動幅がそれぞれ異なる複数の振動デバイスが容易に実現し得る。
【0008】
上記一つの態様では、圧電素子と振動体とは接合されていてもよい。圧電素子と振動体とが接合されている場合、圧電素子の伸縮が振動体に確実に伝わる。
【0009】
一つの態様では、振動体と一対の連結部とは接合されてもよい。振動体と一対の連結部とが接合されている場合、振動体の振動が駆動体に確実に伝わる。
【0010】
上記一つの態様では、駆動体は、変位体を第二方向で挟むように変位体の両側に配置されていると共に駆動部と一対の連結部とをそれぞれ有している第一駆動体と第二駆動体とを含んでいてもよい。
駆動体が上記第一及び第二駆動体を含んでいる場合、変位体の第二方向での両側で、第一方向での圧電素子の振動が、第一及び第二駆動体に伝わる。
【0011】
上記一つの態様では、振動体は、圧電素子が収容される窪みを有してもよい。窪みは、圧電素子の第一方向での両端部のうち対応する端部と第一方向でそれぞれ対向し、かつ、連結されている一対の面を含んでいてもよい。圧電素子の伸縮が一対の面を通して振動体に伝わることにより、振動体が第一方向に振動してもよい。
圧電素子の伸縮が、窪みが含む上記一対の面を通して振動体に伝わることにより、振動体が第一方向に振動する場合、圧電素子の伸縮が一対の面を通して確実に振動体に伝わる。
【0012】
上記一つの態様では、振動体は、第二方向で互いに対向している一対の主面を有してもよい。圧電素子は、振動体を第二方向で挟むように振動体の両側に配置されている第一圧電素子と第二圧電素子とを含んでいてもよい。
圧電素子が上記第一及び第二圧電素子を含んでいる場合、第一及び第二圧電素子の伸縮が一対の主面を通して確実に振動体に伝わる。
【0013】
上記一つの態様では、振動体は、圧電素子を第二方向で挟むように圧電素子の両側に配置されている第一振動体と第二振動体とを含んでいてもよい。
振動体が上記第一及び第二振動体を含んでいる場合、圧電素子の伸縮が、当該圧電素子を第二方向で挟んでいる第一及び第二振動体に確実に伝わる。
【発明の効果】
【0014】
本発明の一つの態様は、振動幅がそれぞれ異なる複数の振動デバイスを容易に実現し得る振動デバイスを提供する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】
図1は、一実施形態に係る振動デバイスを示す図である。
【
図2】
図2は、本実施形態に係る振動デバイスを示す分解斜視図である。
【
図5】
図5は、圧電素子の断面構成を示す図である。
【
図6】
図6は、本実施形態に係る振動デバイスの第一変形例を示す図である。
【
図7】
図7は、本実施形態に係る振動デバイスの第二変形例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
添付図面を参照して、本発明の実施形態及び変形例について詳細に説明する。なお、説明において、同一要素又は同一機能を有する要素には、同一符号を用いることとし、重複する説明は省略する。
【0017】
図1~
図5を参照しながら、振動デバイスVD1の構成を説明する。
図1は、一実施形態に係る振動デバイスを示す図である。
図2は、本実施形態に係る振動デバイスを示す分解斜視図である。
図3は、第一駆動体を示す斜視図である。
図4は、変位体を示す分解斜視図である。
図5は、圧電素子の断面構成を示す図である。
【0018】
振動デバイスVD1は、変位体1と複数の駆動体5とを備えている。変位体1は、圧電素子10と振動体30とを有している。圧電素子10は、たとえば、ユニモルフ型又はバイモルフ型の積層型圧電素子である。圧電素子10は、圧電効果により、第一方向D1に伸縮する。圧電素子10は、直方体形状を呈している。本明細書での「直方体形状」は、角部及び稜線部が面取りされている直方体の形状、及び、角部及び稜線部が丸められている直方体の形状を含む。変位体1は、少なくとも一つの圧電素子10を含んでいる。
【0019】
圧電素子10は、第二方向D2で互いに対向している一対の主面10a,10bを有している。第二方向D2は、第一方向D1と交差している。第二方向D2は、第一方向D1と直交していてもよい。圧電素子10は、一対の端部10c,10dを有している。一対の端部10c,10dは、圧電素子10の第一方向D1での両端部を規定している。
【0020】
本実施形態では、圧電素子10は、第一方向D1が長辺方向である長方形状を呈している。圧電素子10の第一方向D1での長さは、たとえば、66mmである。圧電素子10の第三方向D3での長さは、たとえば、30mmである。第三方向D3は、第一方向D1及び第二方向D2と交差している。第三方向D3は、第一方向D1及び第二方向D2と直交していてもよい。圧電素子10の第二方向D2での長さ、すなわち、圧電素子10の厚みは、たとえば、0.7mmである。
【0021】
圧電素子10は、素体11と、複数の外部電極12,13と、を有している。素体11は、第二方向D2で互いに対向している一対の主面11a,11b、第一方向D1で互いに対向している一対の側面11c、及び、第三方向D3で互いに対向している一対の側面11eを有している。主面11a,11bは、それぞれ、圧電素子10の主面10a,10bに対応している。本実施形態では、圧電素子10は、一対の外部電極12,13を有している。
【0022】
主面11a,11bは、四つの辺を有している。主面11a,11bは、矩形状を呈している。本明細書での「矩形状」は、たとえば、各角が面取りされている形状、及び、各角が丸められている形状を含む。本実施形態では、主面11a,11bは、第一方向D1が長辺方向である長方形状を呈している。主面11a,11bは、一対の長辺と一対の短辺とを有している。主面11a,11bは、正方形状を呈していてもよい。主面11a,11bは、円形状を呈していてもよい。この場合、素体11(圧電素子10)は、円板形状を呈する。
【0023】
一対の側面11cは、主面11a,11bを連結するように第二方向D2に延在している。一対の側面11cは、第三方向D3にも延在している。一対の側面11eは、主面11a,11bを連結するように第二方向D2に延在している。一対の側面11eは、第一方向D1にも延在している。主面11a,11bと側面11c,11eとは、間接的に隣り合っていてもよい。この場合、主面11a,11bと側面11c,11eとの間には、稜部が位置する。
【0024】
素体11は、複数の圧電体層を有している。本実施形態では、素体11は、6層の圧電体層15a,15b,15c,15d,15e,15fを有している。圧電体層15a,15b,15c,15d,15e,15fは、第二方向D2に積層されている。圧電体層15aは、主面11aを有している。圧電体層15fは、主面11bを有している。圧電体層15b,15c,15d,15eは、圧電体層15aと圧電体層15fとの間に位置している。本実施形態では、圧電体層15a,15b,15c,15d,15e,15fの厚みは、互いに同等である。「同等」は、必ずしも、値が一致していることだけを意味するのではない。予め設定した範囲での微差、製造誤差、又は測定誤差が含まれている場合でも、値が同等であるとしてもよい。
【0025】
圧電体層15a,15b,15c,15d,15e,15fは、圧電材料からなる。本実施形態では、圧電体層15a,15b,15c,15d,15e,15fは、圧電セラミック材料からなる。圧電セラミック材料は、たとえば、PZT[Pb(Zr、Ti)O3]、PT(PbTiO3)、PLZT[(Pb,La)(Zr、Ti)O3]、又はチタン酸バリウム(BaTiO3)を含む。圧電体層15a,15b,15c,15d,15e,15fは、たとえば、上述した圧電セラミック材料を含むセラミックグリーンシートの焼結体から構成される。実際の素体11では、圧電体層15a,15b,15c,15d,15e,15fは、圧電体層15a,15b,15c,15d,15e,15fの間の境界が認識できない程度に一体化されている。
【0026】
外部電極12,13は、主面11a上に配置されている。外部電極12,13は、たとえば、第一方向D1に並んでいる。外部電極12,13は、第二方向D2から見て、主面11aの全ての縁(四辺)から離間している。外部電極12,13は、第二方向D2から見て、たとえば、矩形状を呈している。本実施形態では、外部電極12,13は、長方形状の各角が丸められている形状を呈している。外部電極12,13は、第二方向D2から見て、互いに同形状を呈している。第二方向D2から見て、外部電極12,13の長辺方向は、たとえば、第一方向D1と一致し、外部電極12,13の短辺方向は、第三方向D3と一致している。外部電極12,13は、導電性材料からなる。導電性材料には、たとえば、Ag、Pd、Pt、又はAg-Pd合金が用いられる。外部電極12,13は、たとえば、上記導電性材料を含む導電性ペーストの焼結体として構成されている。
【0027】
圧電素子10は、素体11内に配置されている複数の内部電極を備えている。本実施形態では、圧電素子10は、5層の内部電極16a,16b,16c,16d,16eを有している。内部電極16a,16b,16c,16d,16eは、導電性材料からなる。導電性材料には、たとえば、Ag、Pd、Pt、又はAg-Pd合金が用いられる。内部電極16a,16b,16c,16d,16eは、たとえば、上記導電性材料を含む導電性ペーストの焼結体として構成されている。
【0028】
内部電極16a,16b,16c,16d,16eの外形形状は、第二方向D2から見て、たとえば、矩形状を呈している。本実施形態では、内部電極16a,16b,16c,16d,16eの外形形状は、長方形状を呈している。内部電極16a,16b,16c,16d,16eの長辺方向は、たとえば、第一方向D1である。第二方向D2から見て、内部電極16a,16b,16c,16d,16eの四つの角は、各角が丸められている形状を含んでいる。
【0029】
内部電極16a,16b,16c,16d,16eは、第二方向D2において異なる位置(層)に配置されている。内部電極16a,16b,16c,16d,16eの各々は、互いに、第二方向D2に間隔を有して対向している。内部電極16a,16b,16c,16d,16eは、素体11の表面には露出していない。すなわち、内部電極16a,16b,16c,16d,16eは、側面11c,11eには露出していない。内部電極16a,16b,16c,16d,16eは、第一方向D1及び第三方向D3から見て、主面11a,11bの全ての縁(四辺)から離間している。
【0030】
内部電極16aは、圧電体層15aと圧電体層15bとの間に位置している。内部電極16bは、圧電体層15bと圧電体層15cとの間に位置している。内部電極16cは、圧電体層15cと圧電体層15dとの間に位置している。内部電極16dは、圧電体層15dと圧電体層15eとの間に位置している。内部電極16eは、圧電体層15eと圧電体層15fとの間に位置している。
【0031】
外部電極12は、内部電極16dと複数の接続導体17aとにビア導体18aを通して電気的に接続されている。複数の接続導体17aは、それぞれ、内部電極16a,16b,16c,16eと同じ層に位置している。各接続導体17aは、各内部電極16a,16b,16c,16eに形成された開口内に位置している。各開口は、第二方向D2から見て、外部電極12に対応する位置に形成されている。各接続導体17aは、第二方向D2から見て、各内部電極16a,16b,16c,16eに囲まれている。各接続導体17aは、各内部電極16a,16b,16c,16eと離間している。
【0032】
各接続導体17aは、第二方向D2で外部電極12と対向しており、第二方向D2から見て、外部電極12と重なる位置に配置されている。各接続導体17aは、第二方向D2で内部電極16dと対向しており、第二方向D2から見て、内部電極16dと重なる位置に配置されている。ビア導体18aは、外部電極12と内部電極16dと複数の接続導体17aとの間に位置しており、第二方向D2から見て、外部電極12と重なる位置に配置されている。ビア導体18aは、第二方向D2で、対応する圧電体層15a,15b,15c,15d,15eを貫通している。
【0033】
外部電極12は、内部電極16bと複数の接続導体17bとにビア導体18bを通して電気的に接続されている。複数の接続導体17bは、それぞれ、内部電極16a,16c,16d,16eと同じ層に位置している。各接続導体17bは、各内部電極16a,16c,16d,16eに形成された開口内に位置している。各開口は、第二方向D2から見て、外部電極12に対応する位置に形成されている。各接続導体17bは、第二方向D2から見て、各内部電極16a,16c,16d,16eに囲まれている。各接続導体17bは、各内部電極16a,16c,16d,16eと離間している。各接続導体17bは、各接続導体17aと離間している。
【0034】
各接続導体17bは、第二方向D2で外部電極12と対向しており、第二方向D2から見て、外部電極12と重なる位置に配置されている。各接続導体17bは、第二方向D2で内部電極16bと対向しており、第二方向D2から見て、内部電極16bと重なる位置に配置されている。ビア導体18bは、外部電極12と内部電極16bと複数の接続導体17bとの間に位置しており、第二方向D2から見て、外部電極12と重なる位置に配置されている。ビア導体18bは、第二方向D2で、対応する圧電体層15a,15b,15c,15d,15eを貫通している。
【0035】
外部電極13は、内部電極16aと内部電極16cと内部電極16eと複数の接続導体17cとに、ビア導体18cを通して電気的に接続されている。複数の接続導体17cは、それぞれ、内部電極16b,16dと同じ層に位置している。各接続導体17cは、各内部電極16b,16dに形成された開口内に位置している。各開口は、第二方向D2から見て、外部電極13に対応する位置に形成されている。各接続導体17cの全縁は、第二方向D2から見て、各内部電極16b,16dに囲まれている。各開口は、第二方向D2から見て、外部電極13に対応する位置に形成されている。
【0036】
各接続導体17cは、第二方向D2で外部電極13と対向しており、第二方向D2から見て、外部電極13と重なる位置に配置されている。各接続導体17cは、第二方向D2において内部電極16a,16c,16eと対向しており、第二方向D2から見て、内部電極16a,16c,16eと重なる位置に配置されている。ビア導体18cは、外部電極13と内部電極16aと内部電極16cと内部電極16eと複数の接続導体17cとの間に位置しており、第二方向D2から見て、外部電極13と重なる位置に配置されている。ビア導体18cは、第二方向D2で、対応する圧電体層15a,15b,15c,15d,15eを貫通している。各接続導体17a,17b,17cは、第二方向D2から見て、矩形状を呈している。各接続導体17a,17b,17cの各角は、各角が丸められている形状を含んでいる。
【0037】
接続導体17a,17b,17c及びビア導体18a,18b,18cは、導電性材料からなる。導電性材料には、たとえば、Ag、Pd、Pt、又はAg-Pd合金が用いられる。接続導体17a,17b,17c及びビア導体18a,18b,18cは、たとえば、上記導電性材料を含む導電性ペーストの焼結体として構成されている。ビア導体18a,18b,18cは、対応する圧電体層15a,15b,15c,15d,15eを形成するためのセラミックグリーンシートに形成された貫通孔に充填された導電性ペーストが焼結することにより形成される。
【0038】
素体11の主面11bには、内部電極16a,16c,16eと電気的に接続されている導体と、内部電極16bと電気的に接続されている導体と、内部電極16dと電気的に接続されている導体は、配置されていない。本実施形態では、第二方向D2から見て、主面11bの全体が露出している。
【0039】
素体11の側面11c,11eにも、内部電極16a,16c,16eと電気的に接続されている導体と、内部電極16bと電気的に接続されている導体と、内部電極16dと電気的に接続されている導体は、配置されていない。本実施形態では、第一方向D1から見て、一対の側面11cの全体が露出している。第三方向D3から見て、一対の側面11eの全体が露出している。
【0040】
素体11では、圧電体層15bにおける内部電極16aと内部電極16bとで挟まれた領域と、圧電体層15cにおける内部電極16bと内部電極16cとで挟まれた領域と、圧電体層15dにおける内部電極16cと内部電極16dとで挟まれた領域と、圧電体層15eにおける内部電極16dと内部電極16eとで挟まれた領域とは、圧電的に活性な活性領域を構成する。すなわち、素体11では、内部電極16aと内部電極16bとの間、内部電極16bと内部電極16cとの間、内部電極16cと内部電極16dとの間、及び内部電極16dと内部電極16eとの間に、活性領域が形成される。第二方向D2から見て、内部電極16a,16b,16c,16d,16eの外縁が、活性領域と、圧電効果的に不活性な不活性領域との境界を成している。
【0041】
本実施形態では、活性領域は、第二方向D2から見て、複数の外部電極12,13を囲むように位置している。したがって、第二方向D2から見て、外部電極12,13が配置されている領域は、不活性領域である。第二方向D2から見て、素体11は、外部電極12と外部電極13との間に位置している領域に、活性領域を含んでいる。第二方向D2から見て、素体11は、外部電極12と外部電極13とが位置している領域の外側にも、活性領域を含んでいる。
【0042】
振動デバイスVD1は、配線部材14を備えており、外部電極12,13は、配線部材14と電気的に接続される。配線部材14を通して、外部電極12,13に電圧が印加される。配線部材14は、たとえば、フレキシブルプリント基板(FPC)又はフレキシブルフラットケーブル(FFC)からなる。
【0043】
本実施形態では、振動体30は、圧電素子10の伸縮に伴って第一方向D1に振動する。振動体30は、第二方向D2から見て、たとえば、矩形状を呈している。振動体30は、一対の主面30a,30bを有している。一対の主面30a,30bは、第二方向D2で互いに対向している。振動体30は、一対の端部30c,30dを有している。一対の端部30c,30dは、振動体30の第一方向D1での両端部を規定している。
【0044】
振動体30は、圧電素子10を収容するための窪み35を有している。圧電素子10は、窪み35に収容されている。窪み35は、たとえば、主面30aに開口するように、振動体30に形成される。窪み35を規定する面は、第一方向D1で対向している一対の面35c,35dを含んでいる。一対の面35c,35dは、圧電素子10の第一方向D1での端部10c,10dのうち対応する端部と第一方向D1でそれぞれ対向し、かつ、連結されている。本実施形態では、面35cは、端部10cと第一方向D1で対向し、かつ、物理的に連結されている。面35dは、端部10dと第一方向D1で対向し、かつ、物理的に連結されている。圧電素子10の第一方向D1での伸縮が一対の面35c,35dを通して振動体30に伝わることにより、振動体30は第一方向D1に振動する。窪み35は、第二方向D2から見て、たとえば、主面30aの中央領域に形成される。圧電素子10と振動体30とは接合されていてもよい。
【0045】
主面30aに直交する方向から見たときの、窪み35の内径サイズは、たとえば、素体11の平面サイズと同等以上である。本実施形態では、第二方向D2から見て、窪み35の開口縁36は、たとえば、長方形状を呈している。窪み35の開口縁36が長方形状を呈する場合、開口縁36の長辺の長さは、たとえば、約66.05mmである。開口縁36の短辺の長さは、たとえば、約30.05mmである。本実施形態では、開口縁36の長辺は、第一方向D1に沿っており、開口縁36の短辺は、第三方向D3に沿っている。
【0046】
窪み35は、有底であってもよく、無底であってもよい。窪み35が無底である場合、窪み35は、たとえば、振動体30を第二方向D2に貫通する貫通孔によって構成される。圧電素子10は、振動体30に形成された貫通孔に収容されてもよい。振動体30に形成された貫通孔も、一対の面35c,35dを含む。圧電素子10が振動体30に形成された貫通孔に収容される場合も、圧電素子10の第一方向D1での伸縮が、たとえば、一対の面35c,35dを通して振動体30に伝わることにより、振動体30が第一方向D1に振動する。主面30aに直交する方向から見たときの、貫通孔の内径サイズも、たとえば、素体11の平面サイズと同等以上である。
【0047】
第二方向D2から見て、振動体30が長方形状を呈する場合、振動体30の長辺の長さは、たとえば、80~200mmである。本実施形態では、振動体30の長辺は、第一方向D1に沿っている。振動体30の第一方向D1での長さは、圧電素子10の第一方向D1での長さより大きくてもよい。振動体30の短辺の長さは、たとえば、40~200mmである。本実施形態では、振動体30の短辺は、第三方向D3に沿っている。振動体30の第三方向D3での長さは、圧電素子10の第三方向D3での長さより大きくてもよい。第二方向D2から見て、振動体30が正方形状を呈する場合、振動体30の一辺の長さは、たとえば、40~200mmである。本実施形態では、第二方向D2から見たサイズがそれぞれ異なる複数の振動体30が用意され得る。振動体30が長方形状及び正方形状のいずれの形状を呈する場合にも、振動体30の第一方向D1での長さ、すなわち、振動体30の厚みは、たとえば、0.2~2.0mmである。
【0048】
振動体30は、たとえば、振動板である。振動体30は、圧電素子10の伸縮に伴って振動し得る材料からなる。振動体30は、たとえば、ガラス、樹脂、金属からなる。金属は、たとえば、Ni-Fe合金又はステンレス鋼を含む。本実施形態では、振動体30に、外部電極12,13と配線部材14との接続部分は接触していない。
【0049】
本実施形態では、振動デバイスVD1は、一対の駆動体5を備えている。一対の駆動体5は、変位体1を第二方向D2で挟むように変位体1の両側に配置されている。本実施形態では、一方の駆動体5は、振動体30の主面30a側に配置され、他方の駆動体5は、振動体30の主面30b側に配置されている。たとえば、一方の駆動体5が第一駆動体を構成する場合、他方の駆動体5が第二駆動体を構成する。
【0050】
駆動体5は、振動体30と連結されている。駆動体5は、振動体30と物理的に連結されていてもよい。駆動体5は、第一方向D1での圧電素子10の振動に伴って第二方向D2に振動する。すなわち、第一方向D1での圧電素子10の伸縮によって、振動体30が第一方向D1に振動し、第一方向D1での振動体30の振動に伴って、駆動体5が、第二方向D2に振動する。第一方向D1での圧電素子10の伸縮が、駆動体5によって第二方向D2に変換される。駆動体5の振動幅は、振動体30の第一方向での長さによって変化し得る。駆動体5は、たとえば、金属材料、又は樹脂材料からなる。金属材料は、たとえば、ステンレス鋼又はアルミニウムを含む。樹脂材料は、たとえば、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン共重合体樹脂(ABS樹脂)、ポリカーボネート樹脂(PC樹脂)又はポリフェニレンスルファイド樹脂(PPS樹脂)を含む。
【0051】
駆動体5は、駆動部51と、一対の連結部52,53とを有している。駆動部51は、変位体1と第二方向D2で対向するように変位体1から離間している。駆動部51は、一対の端部51c,51dを有している。端部51c,51dは、駆動部51の第一方向D1での両端部を規定している。駆動部51は、第一方向D1で連結部52,53に挟まれている。
【0052】
連結部52は、第一端52cと、第二端52dとを有している。第一端52cは、振動体30の第一方向D1での端部30c,30dのうち対応する端部30cに連結されている。本実施形態では、第一端52cは、端部30cに物理的に連結されている。第二端52dは、駆動部51の第一方向D1での端部51c,51dのうち対応する端部51cに連結されている。本実施形態では、第二端52dは、端部51cに物理的に連結されている。連結部52と振動体30とは接合されていてもよい。
【0053】
連結部53は、第一端53cと、第二端53dとを有している。第一端53cは、振動体30の第一方向D1での端部30c,30dのうち対応する端部30dに連結されている。本実施形態では、第一端53cは、端部30dに物理的に連結されている。第二端53dは、駆動部51の第一方向D1での端部51c,51dのうち対応する端部51dに連結されている。本実施形態では、第二端53dは、端部51dに物理的に連結されている。連結部53と振動体30とは接合されていてもよい。連結部52,53と振動体30とは接合されていてもよい。
【0054】
連結部52,53は、第一端52c,53cから第二端52d,53dに向かうにつれて変位体1から離間している。すなわち、連結部52は、第一端52cから第二端52dに向かうにつれて変位体1から離間している。連結部52は、周辺領域から中央領域に向かうに従って、変位体1から離間している。連結部53は、第一端53cから第二端53dに向かうにつれて変位体1から離間している。連結部53は、周辺領域から中央領域に向かうに従って、変位体1から離間している。
【0055】
連結部52は、第一部分52eと第二部分52fとを有していてもよい。
図1,2,4は、連結部52が、第一部分52eと第二部分52fとを有している例を示している。第一部分52eが第一端52cを含み、第二部分52fが第二端52dを含んでいる。本実施形態では、第一部分52eは、端部30cに物理的に連結されている。第一部分52eの全域が、端部30cに物理的に連結されていてもよい。第二部分52fは、端部30cに連結されていなくてもよい。第二部分52fは、当該第二部分52fと第一部分52eとの境界52gから、第二端52dに向かうにつれて変位体1から離間している。
図1に示されるように、第二部分52fは、振動体30と角度AG1を成している。角度AG1を変更することによって、第二部分52fが変位体1から離間する距離が調整され得る。本実施形態では、角度AG1は、1~20度である。
【0056】
連結部53は、第一部分53eと第二部分53fとを有していてもよい。
図1,2,4は、連結部53が、第一部分53eと第二部分53fとを有している例を示している。第一部分53eが第一端53cを含み、第二部分53fが第二端53dを含んでいる。本実施形態では、第一部分53eは、端部30dに物理的に連結されている。第一部分53eの全域が、端部30dに物理的に連結されていてもよい。第二部分53fは、端部30dに連結されていなくてもよい。第二部分53fは、当該第二部分53fと第一部分53eとの境界53gから、第二端53dに向かうにつれて変位体1から離間している。
図1に示されるように、第二部分53fは、振動体30と角度AG2を成している。角度AG2を変更することによって、第二部分53fが変位体1から離間する距離が調整され得る。本実施形態では、角度AG2は、1~20度である。本実施形態では、角度AG2は、角度AG1と同等である。角度AG2が角度AG1と同等であるとは、必ずしも、各角度AG1,AG2の値が完全に一致していることだけを意味するのではない。たとえば、各角度AG1,AG2の値が、製造誤差又は測定誤差だけ異なっている場合でも、角度AG2の値が角度AG1の値と同等であるとしてもよい。
【0057】
本実施形態では、駆動部51は、変位体1と略平行となるように配置されていてもよい。振動体30の主面30aから駆動部51の外表面51aまでの第二方向D2での距離は、たとえば、500μm~3mmである。駆動部51と連結部52,53とは、一体化されていてもよい。駆動体5と変位体1とは、一体化されていてもよい。駆動体5の厚みは、たとえば、0.1~2mmである。駆動体5が金属材料からなる場合、駆動体5の厚みは、たとえば、0.1~0.3mmである。駆動体5が樹脂材料からなる場合、駆動体5の厚みは、たとえば、0.2~2mmである。
【0058】
第二方向D2から見て、駆動体5は、たとえば、矩形状を呈している。第二方向D2から見て、駆動体5の外周縁は、振動体30の外周縁と一致していてもよい。本実施形態では、振動体30のサイズの変更に合わせて、駆動体5のサイズが変更され得る。振動体30の第一方向D1での長さの変更に合わせて、駆動体5の第一方向D1での長さが変更され得る。駆動体5の第一方向D1での長さの変更に合わせて、第二方向D2での駆動体5の振動幅が調整され得る。角度AG1,AG2を変更することによっても、振動幅が調整され得る。駆動体5全体の第一方向D1での長さの変更されない場合でも、たとえば、連結部52,53の長さを変更することによっても、振動幅が調整され得る。振動幅は、たとえば、圧電素子10の第一方向D1での伸縮幅の2~20倍である。
【0059】
本実施形態に係る振動デバイスVD1の効果について説明する。振動デバイスVD1は、第一方向D1に伸縮する圧電素子10と、圧電素子10の伸縮に伴って第一方向D1に振動する振動体30と、を有している変位体1と、振動体30と物理的に連結されており、振動体30の振動に伴って第一方向D1と交差する第二方向D2に振動する駆動体5と、を備えている。駆動体5は、変位体1と第二方向D2で対向するように変位体1から離間している駆動部51と、振動体30の第一方向D1での両端部30c,30dのうち対応する端部に物理的に連結されている第一端52c,53cと、駆動部51の第一方向D1での両端部51c,51dのうち対応する端部に物理的に連結されている第二端52d,53dとをそれぞれ有していると共に、第一端52c,53cから第二端52d,53dに向かうにつれて変位体1から離間している一対の連結部52,53と、を有している。
【0060】
振動デバイスVD1では、一対の連結部52,53は、第一端52cから第二端52dに向かうにつれて変位体1から離間しており、変位体1から一対の連結部52,53に伝わる第一方向D1の振動を第二方向D2での駆動体5の振動に変換する。駆動体5の振動幅は、変位体1のサイズに依存する。変位体1のサイズは、たとえば、第一方向D1での長さを含む。変位体1は、圧電素子10と、圧電素子10の伸縮に伴って振動する振動体30とを有している。たとえば、互いに異なるサイズを有する複数の振動体30が用意される場合、駆動体5は、各振動体30のサイズに対応する振動幅で第二方向D2に振動する。本実施形態では、では、振動幅がそれぞれ異なる複数の振動デバイスVD1が容易に実現し得る。
【0061】
振動デバイスVD1では、圧電素子10と振動体30とは接合されている。この場合、圧電素子10の伸縮が振動体30に確実に伝わる。
【0062】
振動デバイスVD1では、振動体30と一対の連結部52,53とは接合されている。この場合、振動体30の振動が駆動体5に確実に伝わる。
【0063】
振動デバイスVD1では、駆動体5は、一対の駆動体5を含んでいる。この場合、変位体1の第二方向D2での両側で、第一方向D1での圧電素子10の伸縮が、一対の駆動体5に伝わる。
【0064】
振動デバイスVD1では、圧電素子10は、一対の面35c,35dを含んでいる窪み35に収容されている。圧電素子10の伸縮が一対の面35c,35dを通して振動体30に伝わることにより、振動体30が第一方向D1に振動する。
この場合、圧電素子10の伸縮が一対の面35c,35dを通して確実に振動体30に伝わる。
【0065】
図6を参照して、振動デバイスVD1の第一変形例について説明する。
図6は、実施形態に係る振動デバイスの第一変形例を示す図である。第一変形例に係る振動デバイスVD2は、一対の圧電素子10を含んでいる点に関して、振動デバイスVD1と相違する。以下、振動デバイスVD1と振動デバイスVD2との相違点を主として説明する。
【0066】
図6に示されるように、振動デバイスVD2は、変位体1と駆動体5とを備えている。変位体1は、圧電素子10と振動体30とを有している。振動体30には、窪み35が形成されていなくてもよい。本変形例では、振動体30には、窪み35が形成されていない。窪み35の有無を除き、本変形例での振動体30は、上述した実施形態での振動体30と同じ構成を有する。
【0067】
本変形例では、上述の通り、変位体1は、複数の圧電素子10を備えている。本変形例では、変位体1は、一対の圧電素子10を備えている。たとえば、一方の圧電素子10が第一圧電素子を構成する場合、他方の圧電素子10が第二圧電素子を構成する。
【0068】
一対の圧電素子10は、振動体30を第二方向D2で挟むように振動体30の両側に配置されている。一方の圧電素子10は、振動体30を挟んで他方の圧電素子10とは反対側に配置される。本変形例では、一方の圧電素子10は、主面30a上に配置されている。一方の圧電素子10の主面10bが、たとえば、主面30aと接している。一方の圧電素子10は、振動体30と接合されていてもよい。他方の圧電素子10は、主面30b上に配置されている。他方の圧電素子10の主面10bが、たとえば、主面30bと接している。他方の圧電素子10は、振動体30と接合されていてもよい。一方の配線部材14は、圧電素子10の主面10a上に配置されている。一方の配線部材14は、一方の圧電素子10の外部電極12,13と電気的に接続されている。他方の配線部材14は、他方の圧電素子10の主面10a上に配置されている。他方の配線部材14は、他方の圧電素子10の外部電極12,13と電気的に接続されている。
【0069】
振動体30は、一対の圧電素子10の伸縮に伴って第一方向D1に振動する。一方の圧電素子10の第一方向D1での伸縮が主面30aを通して振動体30に伝わることにより、振動体30が第一方向D1に振動する。他方の圧電素子10の第一方向D1での伸縮が主面30bを通して振動体30に伝わることにより、振動体30が第一方向D1に振動する。一方の圧電素子10は、第二方向D2から見て、たとえば、主面30aの中央領域に配置される。他方の圧電素子10は、第二方向D2から見て、たとえば、主面30bの中央領域に配置される。一方の圧電素子10が配置される位置は、第二方向D2から見て、振動体30を挟んで、他方の圧電素子10が配置される位置と重なっていてもよい。一方の圧電素子10が配置される位置は、第二方向D2から見て、振動体30を挟んで、他方の圧電素子10が配置される位置と一致していてもよい。
【0070】
振動デバイスVD2は、一対の駆動体5を備えている。本変形例での各駆動体5は、上述した実施形態での駆動体5と同じ構成を有する。一対の駆動体5は、変位体1を第二方向D2で挟むように変位体1の両側に配置されている。本変形例では、一方の駆動体5は、主面30a側に配置され、他方の駆動体5は、主面30b側に配置されている。たとえば、一方の駆動体5が第一駆動体を構成する場合、他方の駆動体5が第二駆動体を構成する。
【0071】
振動デバイスVD2では、振動デバイスVD1と同様に、たとえば、互いに異なるサイズを有する複数の振動体30が用意される場合、駆動体5は、各振動体30のサイズに対応する振動幅で第二方向D2に振動する。本変形例でも、振動幅がそれぞれ異なる複数の振動デバイスVD2が容易に実現し得る。
【0072】
振動デバイスVD2では、振動体30は、第二方向D2で互いに対向している一対の主面30a,30bを有している。圧電素子10は、振動体30を第二方向D2で挟むように振動体30の両側に配置されている一対の圧電素子10を含んでいる。
この場合、一対の圧電素子10の伸縮が一対の主面30a,30bを通して確実に振動体3に伝わる。
【0073】
図7を参照して、振動デバイスVD1の第二変形例について説明する。
図7は、実施形態に係る振動デバイスの第二変形例を示す図である。第二変形例に係る振動デバイスVD3は、一対の振動体30を含んでいる点に関して、振動デバイスVD1と相違する。以下、振動デバイスVD1と振動デバイスVD3との相違点を主として説明する。
【0074】
図7に示されるように、振動デバイスVD3は、変位体1と駆動体5とを備えている。変位体1は、圧電素子10と、一対の振動体30とを有している。本変形例での圧電素子10は、上述した実施形態での圧電素子10と同じ構成を有していてもよい。本変形例での各振動体30には、窪み35が形成されていなくてもよい。本変形例では、各振動体30には、窪み35が形成されていない。窪み35の有無を除き、本変形例での各振動体30は、上述した実施形態での振動体30と同じ構成を有する。たとえば、一方の振動体30が第一振動体を構成する場合、他方の振動体30が第二振動体を構成する。
【0075】
一対の振動体30は、圧電素子10を第二方向D2で挟むように圧電素子10の両側に配置されている。本変形例では、圧電素子10は、一方の振動体30の主面30b上に配置されている。圧電素子10の主面10aが、たとえば、一方の振動体30の主面30bと接している。圧電素子10は、一方の振動体30と接合されていてもよい。圧電素子10は、他方の振動体30の主面30b上にも配置されている。圧電素子10の主面10bが、たとえば、他方の振動体30の主面30bと接している。圧電素子10は、他方の振動体30と接合されていてもよい。圧電素子10は、一対の振動体30に接合されていてもよい。
【0076】
一対の振動体30は、圧電素子10の伸縮に伴って第一方向D1に振動する。第一方向D1での圧電素子10の伸縮が主面30bを通して一方の振動体30に伝わることにより、一方の振動体30が第一方向D1に振動する。第一方向D1での圧電素子10の伸縮が主面30bを通して他方の振動体30に伝わることにより、他方の振動体30が第一方向D1に振動する。一方の振動体30は、圧電素子10を挟んで、他方の振動体30とは反対側に配置される。第二方向D2から見て、一方の振動体30は、圧電素子10を挟んで、他方の振動体30と重なっていてもよい。第二方向D2から見て、一方の振動体30の外周縁は、圧電素子10を挟んで、他方の振動体30の外周縁と一致していてもよい。圧電素子10は、第二方向D2から見て、たとえば、一方の振動体30の主面30bの中央領域に配置される。
【0077】
配線部材14は、たとえば、一方の振動体30の主面30a上に配置されている。配線部材14は、一方の振動体30を介して圧電素子10の外部電極12,13と電気的に接続されている。一方の振動体30には、たとえば、貫通孔が形成され、配線部材14は、貫通孔を介して外部電極12,13と電気的に接続されてもよい。本変形例では、外部電極12,13と配線部材14との接続部分は、一方の振動体30に接触していない。
【0078】
振動デバイスVD3は、一対の駆動体5を備えている。本変形例での各駆動体5は、上述した実施形態での駆動体5と同じ構成を有する。一対の駆動体5は、変位体1を第二方向D2で挟むように変位体1の両側に配置されている。本変形例では、一方の駆動体5は、一方の振動体30の主面30a側に配置され、他方の駆動体5は、他方の振動体30の主面30a側に配置されている。たとえば、一方の駆動体5が第一駆動体を構成する場合、他方の駆動体5が第二駆動体を構成する。
【0079】
一方の駆動体5は、一方の振動体30に連結されている。本変形例では、一方の駆動体5の第一端52cは、一方の振動体30の端部30cに物理的に連結され、第一端53cは、一方の振動体30の端部30dに物理的に連結されている。他方の駆動体5の第一端52cは、他方の振動体30の端部30cに物理的に連結され、第一端53cは、他方の振動体30の端部30dに物理的に連結されている。
【0080】
一対の駆動体5は、一対の振動体30の振動に伴って第二方向D2に振動する。すなわち、第一方向D1での圧電素子10の伸縮に伴って、一方の振動体30が第一方向D1に振動し、第一方向D1での一方の振動体30の振動に伴って、一方の駆動体5が、第二方向D2に振動する。第一方向D1での圧電素子10の伸縮に伴って、他方の振動体30も第一方向D1に振動し、第一方向D1での他方の振動体30の振動に伴って、他方の駆動体5が、第二方向D2に振動する。圧電素子10による第一方向D1の伸縮が、一対の駆動体5によって第二方向D2の振動に変換される。
【0081】
第二方向D2から見て、一対の駆動体5は、たとえば、矩形状を呈している。第二方向D2から見て、一方の駆動体5の外周縁は、一方の振動体30の外周縁と一致していてもよく、他方の駆動体5の外周縁は、他方の振動体30の外周縁と一致していてもよい。本変形例では、一方の振動体30のサイズの変更に合わせて、一方の駆動体5のサイズが変更され得る。一方の振動体30の第一方向D1での長さの変更に合わせて、一方の駆動体5の第一方向D1での長さが変更され得る。一方の駆動体5の第一方向D1での長さの変更に合わせて、一方の駆動体5の第二方向D2での振動幅が調整され得る。他方の振動体30のサイズの変更に合わせて、他方の駆動体5のサイズも変更され得る。他方の振動体30の第一方向D1での長さの変更に合わせて、他方の駆動体5の第一方向D1での長さが変更され得る。他方の駆動体5の第一方向D1での長さの変更に合わせて、他方の駆動体5の第二方向D2での振動幅がされ得る。
【0082】
振動デバイスVD3では、振動デバイスVD1と同様に、たとえば、互いに異なるサイズを有する複数の一対の振動体30が用意される場合、駆動体5は、各振動体30のサイズに対応する振動幅で第二方向D2に振動する。本変形例でも、振動幅がそれぞれ異なる複数の振動デバイスVD3が容易に実現し得る。
【0083】
振動デバイスVD3では、振動体30は、圧電素子10を第二方向D2で挟むように圧電素子10の両側に配置されている一対の振動体30を含んでいる。
この場合、圧電素子10の伸縮が、当該圧電素子10を第二方向D2で挟んでいる一対の振動体30に確実に伝わる。
【0084】
以上、本発明の好適な実施形態及び変形例について説明してきたが、本発明は必ずしも上述した実施形態及び変形例に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で様々な変更が可能である。
【0085】
振動デバイスVD1,VD3において、一対の主面10a,10bが第二方向D2で対向する方向となるように圧電素子10を用いた形態で説明してきたが、たとえば、圧電素子10は、一対の主面10a,10bが第一方向D1で対向する方向で用いられてもよい。この場合、圧電素子10が複数用いられ、複数の圧電素子10が第一方向D1に並ぶように配置される。振動デバイスVD2での一対の圧電素子10についても同様である。一対の圧電素子10がそれぞれ複数用いられ、複数の圧電素子10が、振動体30の第二方向D2での両側で、第一方向D1に並ぶように配置されてもよい。
圧電素子10は、素体11と、圧電体層15a,15b,15c,15d,15e,15fの積層方向で素体11を挟むように配置されている一対の外部電極12,13とを備えていてもよい。圧電素子10が素体11と上記一対の外部電極12,13とを備えている構成では、圧電素子10の上記積層方向での両側で、各外部電極12,13が配線部材14と電気的に接続される。圧電素子10が素体11と上記一対の外部電極12,13とを備えている構成では、各圧電素子10の外部電極12,13が、隣接する圧電素子10の外部電極12,13と電気的に接続されてもよい。各圧電素子10の外部電極12,13が互いに電気的に接続される構成では、複数の圧電素子が、たとえば、第一方向D1に並ぶように配置され得る。
圧電素子10は、素体11内に配置される導体を備えていなくてもよい。素体11内に配置される導体は、複数の内部電極16a,16b,16c,16d,16eを含む。圧電素子10が、素体11内に配置される導体を備えていない場合、たとえば、一対の外部電極12,13は、素体11を挟むように素体11に配置されていてもよい。
駆動体5の数は、一つでもよい。駆動体5の数が一つである場合、駆動体5は、振動体30の主面30a及び主面30bのいずれか一方側に配置される。
【符号の説明】
【0086】
1…変位体、5…駆動体、10…圧電素子、30…振動体、VD1…振動デバイス、VD2…振動デバイス、VD3…振動デバイス、D1…第一方向、D2…第二方向。