(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022181665
(43)【公開日】2022-12-08
(54)【発明の名称】情報処理装置
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/10 20120101AFI20221201BHJP
【FI】
G06Q50/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021088722
(22)【出願日】2021-05-26
(71)【出願人】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】520123032
【氏名又は名称】株式会社KINTO
(74)【代理人】
【識別番号】110002860
【氏名又は名称】弁理士法人秀和特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】利根 優太
(72)【発明者】
【氏名】飯 潔倫
(72)【発明者】
【氏名】田中 唯之
(72)【発明者】
【氏名】石塚 真規
(72)【発明者】
【氏名】矢野 佑一郎
(72)【発明者】
【氏名】天野 成章
(72)【発明者】
【氏名】前田 優介
(72)【発明者】
【氏名】矢崎 圭
(72)【発明者】
【氏名】濱田 優
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049CC11
(57)【要約】
【課題】車両の再販時における価値を精度よく判定する。
【解決手段】第一の車両の塗装の色である第一の塗装色を取得し、前記第一の塗装色による塗装の少なくとも一部分に上塗りされる、易剥離層を含む塗装の色である第二の塗装色を取得し、前記第一の塗装色または前記第二の塗装色に基づいて、前記第一の車両の現在または将来の評価額を取得する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一の車両の塗装の色である第一の塗装色を取得することと、
前記第一の塗装色による塗装の少なくとも一部分に上塗りされる、易剥離層を含む塗装の色である第二の塗装色を取得することと、
前記第一の塗装色または前記第二の塗装色に基づいて、前記第一の車両の現在または将来の評価額を取得することと、
を実行する制御部を有する、情報処理装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記第一の塗装色または前記第二の塗装色に基づいて、所定の期間が経過した後における、前記第一の車両の予想評価額を取得する、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記第一の塗装色および前記第二の塗装色に基づいて、所定の期間が経過した後における、前記第一の車両の予想評価額を取得する、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記第一の塗装色に基づいて、前記所定の期間が経過した後で前記易剥離層を剥離した場合における前記第一の車両の予想評価額を取得する、
請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記所定の期間が経過した後で前記易剥離層を剥離した場合における前記第一の車両の第一の予想評価額と、前記易剥離層を剥離しない場合における前記第一の車両の第二の予想評価額の双方を取得する、
請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記制御部は、前記予想評価額に基づいて、前記第一の車両を少なくとも前記所定の期間利用するユーザが、前記第一の車両の対価として支払う金額を決定する、
請求項2から5のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記金額は、前記第一の車両の価格から、前記予想評価額を減じた額に基づいて決定される、
請求項6に記載の情報処理装置。
【請求項8】
ユーザが利用する前記第一の車両の仕様を決定する情報処理装置であって、
前記制御部は、所定の期間が経過した後で前記易剥離層を剥離した場合における前記第一の車両の予想評価額を、前記第一の塗装色ごとに取得する、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項9】
前記制御部は、前記予想評価額を、前記第一の塗装色ごとに前記ユーザに提示し、前記ユーザから、前記第一の塗装色の指定を受け付ける、
請求項8に記載の情報処理装置。
【請求項10】
前記制御部は、前記予想評価額が、所定額よりも高い塗装色を前記第一の塗装色として決定する、
請求項8に記載の情報処理装置。
【請求項11】
前記第一の車両は、前記所定の期間の間、前記ユーザに貸与される車両であり、
前記制御部は、前記予想評価額に基づいて、前記第一の車両の貸与条件を決定する、
請求項8から10のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項12】
前記第一の塗装色は、第一のカテゴリから選択され、
前記第二の塗装色は、前記第一のカテゴリよりも色のバリエーションが多い第二のカテゴリから選択される、
請求項1から11のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項13】
前記第一の塗装色は、パール層を含んでなる車体色である、
請求項12に記載の情報処理装置。
【請求項14】
第一の車両の塗装の色である第一の塗装色を取得することと、
前記第一の塗装色による塗装の少なくとも一部分に上塗りされる、易剥離層を含む塗装の色である第二の塗装色を取得することと、
前記第一の塗装色または前記第二の塗装色に基づいて、前記第一の車両を少なくとも所定の期間利用するユーザが、前記第一の車両の対価として支払う金額を決定することと、
を実行する制御部を有する、情報処理装置。
【請求項15】
前記制御部は、前記第一の塗装色または前記第二の塗装色に基づいて、前記所定の期間が経過した後における、前記第一の車両の予想評価額を取得し、
前記予想評価額に基づいて、前記金額を決定する、
請求項14に記載の情報処理装置。
【請求項16】
前記制御部は、前記第一の塗装色に基づいて、前記所定の期間が経過した後で前記易剥離層を剥離した場合における前記第一の車両の予想評価額を取得し、
前記予想評価額に基づいて、前記金額を決定する、
請求項15に記載の情報処理装置。
【請求項17】
前記金額は、前記第一の車両の価格から、前記予想評価額を減じた額に基づいて決定される、
請求項15または16に記載の情報処理装置。
【請求項18】
第一の塗装が施された第一の車両について、易剥離層を含む第二の塗装による上塗りの有無を取得することと、
前記第二の塗装の有無に基づいて、所定の期間が経過した後における前記第一の車両の予想評価額を取得することと、
を実行する制御部を有する、情報処理装置。
【請求項19】
前記制御部は、前記第一の車両が前記第二の塗装を有する場合に、前記所定の期間が経過した後において前記第二の塗装を剥離した場合における前記第一の車両の予想評価額を取得する、
請求項18に記載の情報処理装置。
【請求項20】
前記制御部は、前記第一の車両に前記第二の塗装が施されていない場合と比較して、前記第一の車両に前記第二の塗装が施されている場合において、前記第一の車両の前記予想評価額をより高く算出する、
請求項19に記載の情報処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、車両の価値評価に関する。
【背景技術】
【0002】
中古自動車を売却する際の評価額は、車体色によって変動することが知られている。これに関連する発明として、例えば、特許文献1には、車体色を含む車両の仕様に基づいて、当該車両の評価額を算出するシステムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示は、車両の再販時における価値を精度よく判定することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の第一の態様は、第一の車両の塗装の色である第一の塗装色を取得することと、前記第一の塗装色による塗装の少なくとも一部分に上塗りされる、易剥離層を含む塗装の色である第二の塗装色を取得することと、前記第一の塗装色または前記第二の塗装色に基づいて、前記第一の車両の現在または将来の評価額を取得することと、を実行する制御部を有する、情報処理装置である。
【0006】
また、本開示の第二の態様は、第一の車両の塗装の色である第一の塗装色を取得することと、前記第一の塗装色による塗装の少なくとも一部分に上塗りされる、易剥離層を含む塗装の色である第二の塗装色を取得することと、前記第一の塗装色または前記第二の塗装色に基づいて、前記第一の車両を少なくとも所定の期間利用するユーザが、前記第一の車両の対価として支払う金額を決定することと、を実行する制御部を有する、情報処理装置である。
【0007】
また、本開示の第三の態様は、第一の塗装が施された第一の車両について、易剥離層を含む第二の塗装による上塗りの有無を取得することと、前記第二の塗装の有無に基づいて、所定の期間が経過した後における前記第一の車両の予想評価額を取得することと、を実行する制御部を有する、情報処理装置である。
【0008】
また、本開示の他の態様は、上記の情報処理装置が実行する方法、当該方法をコンピュータに実行させるためのプログラム、または、該プログラムを非一時的に記憶したコンピュータ可読記憶媒体である。
【発明の効果】
【0009】
本開示によれば、車両の再販時における価値を精度よく判定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図2】契約管理サーバ、ディーラーサーバ、およびユーザ端末の構成を説明する図。
【
図4】契約管理サーバに記憶される残価データの例。
【
図5】ディーラーサーバに記憶される車両データの例。
【
図7】契約管理サーバが実行する処理のフローチャート。
【
図9】契約時においてディーラーサーバが実行する処理のフローチャート。
【
図10】契約終了時においてディーラーサーバが実行するフロー図。
【
図11】第二の実施形態においてユーザに提示される画面の例。
【
図12】第二の実施形態においてユーザに提示される画面の例。
【
図13】第三の実施形態において契約管理サーバが実行する処理のフローチャート。
【
図14】第三の実施形態においてユーザに提示される画面の例。
【
図16】第四の実施形態においてユーザに提示される画面の例。
【発明を実施するための形態】
【0011】
自動車を中古車として売却する際の評価額は、当該自動車の車体色によって変動することが知られている。例えば、中古車市場において人気の高い色の車両は、そうでない色の車両よりも高い評価額となりうる。
【0012】
一方、契約期間中において、定期的な料金の支払いを受けることでユーザに車両を貸与する契約形態(リース、サブスクリプションとも呼ばれる)が知られている。斯様な形態においては、ユーザは、希望する色の車両の貸与を受けることができる。
しかし、ユーザが希望する車体色は、必ずしも中古車市場において評価の高い色であるとは限らない。すなわち、ユーザが希望する車体色によっては、車両が返却された後の売却額に差が出てしまうという課題がある。本開示に係る情報処理装置は、かかる課題を解決する。
【0013】
本開示の第一の態様に係る情報処理装置は、第一の車両の塗装の色である第一の塗装色を取得することと、前記第一の塗装色による塗装の少なくとも一部分に上塗りされる、易剥離層を含む塗装の色である第二の塗装色を取得することと、前記第一の塗装色または前記第二の塗装色に基づいて、前記第一の車両の現在または将来の評価額を取得することと、を実行する制御部を有する。
【0014】
易剥離層とは、車体に施工可能であり、かつ、事後的に剥がせる塗膜層を指す。易剥離層を含む塗装とは、例えば、剥離可能なフィルム状の塗膜と通常の塗装の組み合わせであってもよいし、塗料の層自体が剥離可能なもの(易剥離性塗料)であってもよい。
易剥離層を含む塗装を車両に上塗りすることで、当該上塗りされた塗装を事後的に剥離できる(すなわち、車体色を元に戻すことができる)ようになる。
【0015】
このような、車体色の変更が可能な車両を発注する際は、将来のリセールバリューを考慮して第一の塗装色と第二の塗装色の組み合わせを決定することが好ましい。
そこで、本開示に係る情報処理装置は、第一の塗装色または第二の塗装色に基づいて、現在または将来における、第一の車両の評価額を取得する。
評価額は、所定の期間が経過した後(例えば、車両のリース契約が終了した後)における評価額であってもよい。
かかる形態によると、車両のリセールバリューを確保したまま、ユーザの希望に合った車体色の車両を提供することが可能になる。
なお、制御部は、前記第一の塗装色および/または前記第二の塗装色に基づいて、所定の期間が経過した後における、前記第一の車両の予想評価額を取得することを特徴として
もよい。
【0016】
また、前記制御部は、前記第一の塗装色に基づいて、前記所定の期間が経過した後で前記易剥離層を剥離した場合における前記第一の車両の予想評価額を取得することを特徴としてもよい。
易剥離層を剥離した場合、車両が第一の塗装色に復元される。よって、第一の塗装色に基づいて予想評価額を得ることができる。
【0017】
また、前記制御部は、前記所定の期間が経過した後で前記易剥離層を剥離した場合における前記第一の車両の第一の予想評価額と、前記易剥離層を剥離しない場合における前記第一の車両の第二の予想評価額の双方を取得することを特徴としてもよい。
易剥離層や上塗り塗装の耐用年数によっては、上塗りによる塗装が施された車両の価値が、そうでない車両よりも高くなる場合がある。よって、このようなケースを考慮し、二種類の予想評価額を取得するようにしてもよい。
【0018】
また、前記制御部は、前記予想評価額に基づいて、前記第一の車両を少なくとも前記所定の期間利用するユーザが、前記第一の車両の対価として支払う金額を決定することを特徴としてもよい。
例えば、第一の車両が、リース車両や割賦販売される車両である場合、所定の期間が経過した後における予想評価額(すなわち、残価)に基づいて月々の支払額を決定するようにしてもよい。
例えば、ユーザの支払い金額は、第一の車両の価格から、予想評価額を減じた額に基づいて決定されてもよい。
なお、制御部は、予想評価額を算出せずに、第一の塗装色または第二の塗装色に基づいて、ユーザの支払い金額を直接決定してもよい。
【0019】
また、情報処理装置は、ユーザが利用する前記第一の車両の仕様を決定する情報処理装置であって、前記制御部は、所定の期間が経過した後で前記易剥離層を剥離した場合における前記第一の車両の予想評価額を、前記第一の塗装色ごとに取得することを特徴としてもよい。
第一の車両がリース車両である場合など、所定の期間が経過した後で易剥離層を剥離することが前提である場合、第一の塗装色ごとに予想評価額を取得することで、最適な第一の塗装色を決定することができる。
【0020】
また、前記制御部は、前記予想評価額を、前記第一の塗装色ごとに前記ユーザに提示し、前記ユーザから、前記第一の塗装色の指定を受け付けることを特徴としてもよい。
また、前記制御部は、前記予想評価額が、所定額よりも高い塗装色を前記第一の塗装色として決定することを特徴としてもよい。
かかる構成によると、より残価が高くなる第一の塗装色を決定することができる。
【0021】
また、前記第一の車両は、前記所定の期間の間、前記ユーザに貸与される車両であり、前記制御部は、前記予想評価額に基づいて、前記第一の車両の貸与条件を決定することを特徴としてもよい。
リースやサブスクリプションなどによって車両を貸与する場合、当該車両の利用料金は、契約終了後の車両の残価に基づいて決定される場合が多い。よって、予想評価額に基づいて、利用料金をはじめとする契約条件を決定するようにしてもよい。
【0022】
また、前記第一の塗装色は、第一のカテゴリから選択され、前記第二の塗装色は、前記第一のカテゴリよりも色のバリエーションが多い第二のカテゴリから選択されることを特徴としてもよい。また、前記第一の塗装色は、パール層を含んでなる車体色であることを
特徴としてもよい。
一般的に、ホワイト系、パール系、ブラック系などの車体色は、それ以外の車体色と比較して残価が高い傾向にあるためである。
【0023】
本開示の別態様に係る情報処理装置は、第一の塗装が施された第一の車両について、易剥離層を含む第二の塗装による上塗りの有無を取得することと、前記第二の塗装の有無に基づいて、所定の期間が経過した後における前記第一の車両の予想評価額を取得することと、を実行する制御部を有する。
【0024】
易剥離層を用いた上塗り塗装が施された場合、第一の塗装が保護されるため、上塗り塗装が施されていない車両と比較して、同じ車体色であっても評価額が高くなりうる。そこで、第二の塗装の有無に基づいて、第一の車両の予想評価額を得るようにしてもよい。
この場合、第一の車両に第二の塗装が施されていない場合と比較して、第一の車両に第二の塗装が施されている場合において、第一の車両の予想評価額をより高く算出するようにしてもよい。
【0025】
以下、本開示の具体的な実施形態について図面に基づいて説明する。各実施形態に記載されているハードウェア構成、モジュール構成、機能構成等は、特に記載がない限りは開示の技術的範囲をそれらのみに限定する趣旨のものではない。
【0026】
(第一の実施形態)
第一の実施形態に係る車両貸与システムの概要について、
図1を参照しながら説明する。本実施形態に係る車両貸与システムは、契約管理サーバ100と、ディーラーサーバ200と、ユーザ端末300と、を含んで構成される。
なお、以下の説明においては、車両の貸与契約をリース契約と称する。
【0027】
契約管理サーバ100は、ユーザがリース事業者と結んでいる、車両のリース契約を管理するサーバ装置である。本実施形態では、車両のリース契約とは、ユーザが毎月の利用料金を支払うことで、所定のリース事業者が所有している車両の使用者として当該ユーザを公的機関に登録する契約である。契約の期間は、事前に定められ、例えば、一ヶ月程度から数年とすることができる。契約管理サーバ100は、ユーザ端末300とインタラクションを行うことで、リース契約の締結を行う。
【0028】
ディーラーサーバ200は、ユーザに貸与される複数の車両を提供する販売店(カーディーラー)が有するサーバ装置である。ディーラーサーバ200は、契約管理サーバ100から、車両の貸与契約に関するデータを取得し、新規に貸与契約が締結された場合に、車両の発注を行う。車両の発注は、複数の車両拠点に対して行われる。車両拠点とは、例えば、在庫車が所属するカープールや、車両の製造工場である。
なお、ユーザに貸与される車両の元の車体色と、当該ユーザが希望する車体色が異なる場合、ディーラーサーバ200は、車両拠点に対して、易剥離性塗料による車両の塗装を指示する。
【0029】
ユーザ端末300は、車両貸与サービスを利用するユーザが所持するコンピュータである。ユーザは、ユーザ端末300を介して契約管理サーバ100にアクセスし、車両の貸与契約を申し込むことができる。なお、ユーザは、希望条件(例えば、契約期間、希望する車種、車体色、その他の属性など)を契約管理サーバ100に送信してもよい。
【0030】
図2は、本実施形態に係る車両貸与システムに含まれる、契約管理サーバ100、ディーラーサーバ200、およびユーザ端末300の構成要素をより詳細に示した図である。ここではまず、ユーザ端末300について説明する。
ユーザ端末300は、例えば、パーソナルコンピュータ、スマートフォン、携帯電話、タブレットコンピュータ、個人情報端末といった、個人が利用するコンピュータである。ユーザ端末300は、制御部301、記憶部302、通信部303、および入出力部304を含んで構成される。
【0031】
制御部301は、ユーザ端末300が行う制御を司る演算装置である。制御部301は、CPU(Central Processing Unit)などの演算処理装置によって実現することができ
る。
制御部301は、契約管理サーバ100にアクセスしてインタラクションを行う機能を実行する。当該機能は、ユーザ端末300で動作するウェブブラウザや、専用のアプリケーションソフトウェアによって実現されてもよい。
【0032】
記憶部302は、主記憶装置と補助記憶装置を含んで構成される。主記憶装置は、制御部301によって実行されるプログラムや、当該制御プログラムが利用するデータが展開されるメモリである。補助記憶装置は、制御部301において実行されるプログラムや、当該制御プログラムが利用するデータが記憶される装置である。補助記憶装置には、制御部301で実行されるプログラムをアプリケーションとしてパッケージ化したものを記憶してもよい。また、これらのアプリケーションを実行するためのオペレーティングシステムを記憶してもよい。補助記憶装置に記憶されたプログラムが主記憶装置にロードされ、制御部301によって実行されることで、以降に説明する処理が行われる。
【0033】
主記憶装置は、RAM(Random Access Memory)やROM(Read Only Memory)を含んでもよい。また、補助記憶装置は、EPROM(Erasable Programmable ROM)やハード
ディスクドライブ(HDD、Hard Disk Drive)を含んでもよい。さらに、補助記憶装置
は、リムーバブルメディア、すなわち可搬記録媒体を含んでもよい。
【0034】
通信部303は、ユーザ端末300をネットワークに接続するための無線通信インタフェースである。通信部303は、例えば、無線LANや3G、LTE、5G等の移動体通信サービスを介して、契約管理サーバ100と通信可能に構成される。
入出力部304は、ユーザが行った入力操作を受け付け、ユーザに対して情報を提示するユニットである。本実施形態では一つのタッチパネルディスプレイからなる。すなわち、液晶ディスプレイとその制御手段、タッチパネルとその制御手段から構成される。
【0035】
次に、契約管理サーバ100について説明する。
契約管理サーバ100は、ユーザ端末300から送信されたリクエストに基づいて、車両のリース契約を締結するサーバ装置である。
【0036】
本実施形態では、契約管理サーバ100は、ユーザ端末300とのインタラクションを行うためのWebサーバを実行可能に構成されてもよい。この場合、例えば、ユーザ端末300が、ブラウザを用いてWebサービスにアクセスすることで、リース契約の締結手続きを行うことができる。なお、契約管理サーバ100は、Webサーバ以外の手段によってサービスを提供してもよい。例えば、ユーザ端末300にインストールされた専用のアプリケーションソフトウェアと所定のプロトコルによって対話するサービスを契約管理サーバ100において実行してもよい。
【0037】
契約管理サーバ100は、汎用のコンピュータにより構成することができる。すなわち、契約管理サーバ100は、CPUやGPU等のプロセッサ、RAMやROM等の主記憶装置、EPROM、ハードディスクドライブ、リムーバブルメディア等の補助記憶装置を有するコンピュータとして構成することができる。補助記憶装置には、オペレーティングシステム(OS)、各種プログラム、各種テーブル等が格納され、そこに格納されたプロ
グラムを主記憶装置の作業領域にロードして実行し、プログラムの実行を通じて各構成部等が制御されることによって、後述するような、所定の目的に合致した各機能を実現することができる。ただし、一部または全部の機能はASICやFPGAのようなハードウェア回路によって実現されてもよい。
【0038】
契約管理サーバ100は、制御部101、記憶部102、および、通信部103を有して構成される。
制御部101は、契約管理サーバ100が行う制御を司る演算装置である。制御部101は、CPUなどの演算処理装置によって実現することができる。
制御部101は、条件決定部1011、および、データ送信部1012の2つの機能モジュールを有して構成される。各機能モジュールは、記憶されたプログラムをCPUによって実行することで実現してもよい。
【0039】
条件決定部1011は、ユーザ端末300とインタラクションを行うことで、リース契約の条件を決定する。条件決定部1011は、リース契約の内容として、少なくとも以下の事項を決定する。
(1)リース車両の車種
(2)リース契約の期間
(3)リース車両の第一車体色
(4)リース車両の第二車体色
【0040】
第一車体色とは、リース車両が本来有している車体色(第一の塗装色)である。また、第二車体色とは、易剥離性塗料によって行う塗装の色(第二の塗装色)である。
本実施形態では、所定の車体色(第一車体色)を持つ車両に対して、易剥離性塗料によって、指定された色(第二車体色)の塗装を上塗りによって施す。これにより、リース車両のユーザは、リース期間中において、希望する車体色の車両を利用することができる。また、車両が返却された後に、易剥離性塗料を剥離することで、リセールバリューの高い車体色に戻すことができる。
第一の実施形態では、第一車体色を、所定のルールに従って装置が決定し、第二車体色を、当該車両の貸与を受けるユーザが指定する。
【0041】
データ送信部1012は、条件決定部1011が決定したリース契約の内容に従って契約データを生成し、ディーラーサーバ200に送信する。
【0042】
記憶部102は、主記憶装置と補助記憶装置を含んで構成される。主記憶装置は、制御部101によって実行されるプログラムや、当該制御プログラムが利用するデータが展開されるメモリである。補助記憶装置は、制御部101において実行されるプログラムや、当該制御プログラムが利用するデータが記憶される装置である。
【0043】
また、記憶部102は、契約データ102A、および、残価データ102Bを記憶する。
【0044】
契約データ102Aは、データ送信部1012によって生成される。
図3は、契約データ102Aの一例である。図示したように、契約データ102Aは、ユーザの識別子、車種の識別子、第一車体色の識別子、第二車体色の識別子、その他のリース契約に係る情報(例えば、契約期間、利用料金等)を含む。
【0045】
残価データ102Bは、車体色ごとの車両の残価に関するデータである。残価とは、所定の期間が経過した後における車両の評価額である。
ここで、車両の残価について説明する。車両を中古車として売却する際の評価額は、車
種や経年によって変わりうる。さらに、同じ車種および経年であっても、評価額は、車体の色によって変わりうる。
そこで、契約管理サーバ100は、リース契約を締結する際に、契約終了時における、車体色ごとの予想残価に基づいて、リース車両の車体色(第一車体色)を決定する。予想残価がより高い車体色を選択した場合、リース契約が終了した後における車両の評価額が高くなるため、毎月の利用料金を低く抑えることができる。
【0046】
図4に、残価データ102Bの例を示す。残価データ102Bは、所定の契約期間が経過した後における車両の残価を、第一車体色ごとに記述したデータである。残価データは、図示したように、車種の識別子、第一車体色の識別子、適用期間、契約期間、および設定残価を含む。設定残価は、事業者によって予め保証された残価である。設定残価は、所定の契約期間が終了し、易剥離性塗料を剥離した後における車両の残価である。設定残価は、中古車市場における予想評価額に基づいて設定されたもの(予想残価)であってもよい。
適用期間は、残価データが有効である期間である。中古車の相場は日々変動するため、適用期間を設けることで、情報の鮮度を保つことができる。
図示した例では、車種:V001、第一車体色:P001である車両を2021年4月に契約した場合、3年が経過した後で、残価が150万円となる。
残価データ102Bは、中古車市場の相場に応じて適宜アップデートされる。
【0047】
前述した各データは、プロセッサによって実行されるデータベース管理システム(DBMS)のプログラムが、記憶装置に記憶されるデータを管理することで構築されてもよい。この場合、各データは、例えばリレーショナルデータベースとすることができる。
【0048】
通信部103は、契約管理サーバ100をネットワークに接続するための通信インタフェースである。通信部103は、例えば、ネットワークインタフェースボードや、無線通信のための無線通信インタフェースを含んで構成される。
【0049】
次に、ディーラーサーバ200について説明する。
ディーラーサーバ200は、ユーザに貸与される複数の車両を管理し、リース契約が締結された場合に、車両が属する拠点(車両拠点)に対して、車両を発注する装置である。さらに、第一車体色および第二車体色の指定がされている場合に、指定された車体色を持つ車両を、指定された色で上塗りする旨の指示を行う。例えば、第一車体色として白色が指定され、第二車体色として赤色が指定された場合、車体色が白色である車両をリース車両として決定し、当該車両が属している車両拠点に対して、「当該車両を赤色によって上塗り塗装し、出荷する」旨の指示を発行する。
【0050】
ディーラーサーバ200は、契約管理サーバ100と同様に、汎用のコンピュータにより構成することができる。すなわち、ディーラーサーバ200は、CPUやGPU等のプロセッサ、RAMやROM等の主記憶装置、EPROM、ハードディスクドライブ、リムーバブルメディア等の補助記憶装置を有するコンピュータとして構成することができる。
【0051】
ディーラーサーバ200は、制御部201、記憶部202、および、通信部203を有して構成される。
制御部201は、ディーラーサーバ200が行う制御を司る演算装置である。制御部201は、CPUなどの演算処理装置によって実現することができる。
制御部201は、管理部2011、および、指示部2012の2つの機能モジュールを有して構成される。各機能モジュールは、記憶されたプログラムをCPUによって実行することで実現してもよい。
【0052】
管理部2011は、リース車両としてユーザに貸与される複数の車両の発注を管理する。具体的には、車両の発注に関するデータ(例えば、発注先の車両拠点、在庫状況、納期など)をリース車両の仕様ごと(例えば、車種および車体色ごと)に管理する。車両の発注に関するデータは、後述する車両データ202Aに記憶される。
【0053】
指示部2012は、車両のリース契約が締結された場合に、車両を発注する旨のデータ(発注データ)を生成し、適切な車両拠点に対して送信する。車両が在庫車である場合、発注データは、当該車両が属するカープールに送信されてもよい。また、車両が受注生産である場合、発注データは、車両の製造工場に送信されてもよい。また、指示部2012は、第一車体色と第二車体色が異なっている場合に、車両拠点に対して、易剥離性塗料による車両の塗装を指示する。
【0054】
記憶部202は、主記憶装置と補助記憶装置を含んで構成される。主記憶装置は、制御部201によって実行されるプログラムや、当該制御プログラムが利用するデータが展開されるメモリである。補助記憶装置は、制御部201において実行されるプログラムや、当該制御プログラムが利用するデータが記憶される装置である。
【0055】
また、記憶部202は、車両データ202Aを記憶する。
図5は、車両データ202Aの一例である。図示したように、車両データ202Aは、車種の識別子、車種の識別子、第一車体色の識別子、ステータス、納期、発注先の車両拠点の識別子などを含む。なお、図中における納期Aは、第一車体色のまま車両を納車する場合の納期であり、納期Bは、易剥離性塗料によって上塗り塗装を行う場合における納期である。車両データ202Aは、車両の生産状況に応じて適宜アップデートされる。
【0056】
通信部203は、ディーラーサーバ200をネットワークに接続するための通信インタフェースである。通信部203は、例えば、ネットワークインタフェースボードや、無線通信のための無線通信インタフェースを含んで構成される。
【0057】
なお、
図2に示した構成は一例であり、図示した機能の全部または一部は、専用に設計された回路を用いて実行されてもよい。また、図示した以外の、主記憶装置および補助記憶装置の組み合わせによってプログラムの記憶ないし実行を行ってもよい。
【0058】
ここで、易剥離性塗料について簡単に説明する。
図6(A)は、車体が有するボディ部材(例えば鋼板)と、ボディ部材に形成された塗膜を示す概略断面図である。図示したように、ボディ部材は、金属加工され、電着層が形成された鋼板10と、電着層の上に順に形成された中塗り層20、ベース層30、および、クリア層40を有する。
【0059】
ボディ部材の外側面には、塗膜50が形成されている。塗膜50は、易剥離性塗料を塗装することにより形成された塗料の層であって、通常の塗膜と比べ、力を加えることで容易に剥離できるという性質を持っている。塗膜50は、例えば噴霧法で易剥離性塗料をボディ部材に塗装することにより形成される。易剥離性塗料としては、例えばキシレン、エチルベンゼン、酸化防止剤、メチルエチルケトン、シリカ反応物、酸化チタン(ナノ粒子)、および、有機溶剤等からなる塗料が挙げられる。
【0060】
易剥離性塗料による車両の上塗り塗装は、所定の車両拠点において、車両の出荷前に行うことができる。これにより、車両の車体色を容易に変更(すなわち、第一車体色から第二車体色へ変更)することができる。塗膜50の剥離も同様である。塗膜50を、所定の車両拠点において剥離することで、車両の車体色をオリジナルのものに戻す(すなわち、第二車体色から第一車体色へ戻す)ことができる。オリジナルの塗装は塗膜50によって保護されているため、ボディの塗装が劣化していない中古車を得ることができる。
【0061】
なお、本例ではボディ部材として鋼板を例示したが、ボディ部材は、樹脂部材であってもよい。この場合、中塗り層20はプライマー層となる。また、塗膜50の上にさらにクリア層を設けてもよい。
なお、
図6(A)の例は、塗料自体に易剥離性を与えたものであるが、易剥離性を有する層の上に通常の塗装を施してもよい。例えば、
図6(B)に示したように、塗膜50と同様の材料によって、着色されていない剥離層60を形成し、剥離層60の上に、ベース層30Aおよびクリア層40Aを形成してもよい。ベース層30Aは、ベース層30とは異なる色を持つ塗料の層である。かかる形態においても、剥離層60を剥離することで、塗料の層を除去することができる。本明細書では、剥離層と、その上に塗布される塗料を全て含めて「易剥離性塗料」と称する。
【0062】
なお、本例では、第一車体色および第二車体色としてそれぞれ一色を例示したが、第一車体色および第二車体色は、複数の色からなってもよい。例えば、複数の色を所定のパターンによって配置したものを、第一車体色または第二車体色としてもよい。また、本明細書における「色」または「車体色」とは、単一層の塗膜だけでなく、複数の塗料ないし材料の層によって表現されるものであってもよい。複数の層は、例えば、クリア層、ガラスフレーク層、マイカ層、パール層などを含んでいてもよい。
また、第二車体色による上塗り塗装は、第一車体色による塗装の少なくとも一部に対して行うものであってもよい。すなわち、第二車体色による上塗り塗装は、第一車体色による塗装のすべてを覆うものでなくてもよい。例えば、第一車体色が黒色である場合、その一部に青色の上塗りを行うことで、黒色と青色のツートンカラーを持つ車両を得ることができる。
【0063】
車両貸与システムに含まれるサーバ装置の説明に戻る。
図7は、契約管理サーバ100が実行する処理を示したフローチャートである。
図7に示した処理は、例えば、ユーザが契約管理サーバ100にログインしたタイミングで開始される。処理を開始するタイミングにおいて、契約管理サーバ100は、ユーザの識別が完了しているものとする。
【0064】
ステップS11~S16の処理は、条件決定部1011によって実行される。
ステップS11では、リース車両の車種および契約期間を決定する。本ステップでは、予め設定された複数の車種から、貸与を受ける車種を当該ユーザに選択させる。また、予め設定された契約期間から、ユーザが希望する契約期間を当該ユーザに選択させる。これらの選択は、例えば、
図8に示したような画面を介してユーザに行わせてもよい。
図8の例では、符号801が、車種を選択させるためのGUI部品である。また、符号803が、契約期間を選択させるためのGUI部品である。
【0065】
ステップS12およびS13では、リース車両の車体色(第一車体色)を決定する。まず、ステップS12において、残価データ102Bを参照し、契約期間の終了後における車体色ごとの残価を取得する。
次に、ステップS13において、契約期間の終了後における車体色ごとの残価に基づいて、リース車両の車体色(第一車体色)を決定する。第一車体色は、所定の基準に基づいて装置が決定することができる。例えば、以下のような基準を用いることができる。
(1)複数の車体色のうち、最も残価が高い車体色を第一車体色として決定する
(2)残価が所定の値よりも高い車体色を第一車体色として決定する
【0066】
なお、所定の値とは、該当する車種の新車価格に基づいた値とすることができる。例えば、3年後の残価が、新車価格の65%よりも高い色を第一車体色とすることができる。
一般的に、残価が高い車体色は、中古車市場における人気によって決まる。例えば、パ
ール層を含む車体色は、それ以外の車体色よりも人気があり、残価が高い傾向にある。そのため、第一車体色として選択可能な色は、第二車体色として選択可能な色よりも限定される。
【0067】
次に、ステップS14において、第二車体色の選択を取得する。本ステップでは、予め設定された複数の第二車体色をユーザに提示し、希望する色をユーザに選択させる。
図8の例では、符号802が、第二車体色を選択させるためのGUI部品である。
【0068】
次に、ステップS15で、その他の契約条件を決定する。その他の契約条件の一つに、例えば、月額利用料金がある。
例えば、3年契約が満了した後でリース車両を返却する場合、車両価格から3年後の残価を減じた額に基づいて月額利用料金が決定される。よって、ステップS13で決定した第一車体色に基づいて、月額利用料金を決定することができる。
【0069】
ステップS16では、車両の納期を照会する。具体的には、ステップS13において決定した第一車体色を有する車両に、ステップS14において決定した第二車体色の上塗りを施した場合における、車両の納期をディーラーサーバ200に問い合わせる。ディーラーサーバ200は、車両データ202Aに基づいて、リクエストされた車両の納期を決定し、回答する。
【0070】
ステップS17では、データ送信部1012が、決定された契約条件に基づいて契約データを生成し、ディーラーサーバ200へ送信する。
【0071】
図9は、ディーラーサーバ200が実行する処理を示したフローチャートである。
図9に示した処理は、例えば、契約管理サーバ100が発注データを送信したタイミングで開始される。
まず、ステップS21で、管理部2011が、車両の発注先となる車両拠点を決定する。本ステップでは、例えば、車両データ202Aを参照して、契約データが示す仕様の車両の在庫を確認し、在庫車を納車するか、新規生産を行うかを決定する。
ステップS22では、指示部2012が、上塗り塗装が必要であるか否かを判定する。上塗り塗装が必要な場合とは、例えば、第一車体色と第二車体色が異なる場合である。
【0072】
上塗り塗装が必要である場合、処理はステップS23へ遷移し、指示部2012が、塗装指示を含む発注データを生成する。発注データには、車両の仕様のほか、第一車体色、第二車体色などが含まれる。発注データを受け取った車両拠点は、仕様に合った車両を準備(または製造)し、第二車体色による塗装を行う。
上塗り塗装が必要ない場合、処理はステップS24へ遷移し、指示部2012が、塗装指示を含まない発注データを生成する。
生成された発注データは、車両拠点へ送信される。なお、発注データの送信が完了したタイミングで、ディーラーサーバ200は、契約管理サーバ100に対して、車両の発注が完了した旨の通知を行ってもよい。当該通知には、納期に関する情報が含まれていてもよい。車両拠点は、発注データに従ってリース車両を準備し、ユーザに納車する。
【0073】
次に、車両のリース契約が終了(満了)した後における処理について説明する。
図10は、契約終了時においてディーラーサーバ200が実行する処理を示したフローチャートである。図示した処理は、例えば、契約管理サーバ100から、契約が終了したことを通知するデータを受信した場合に開始される。
【0074】
まず、ステップS31で、管理部2011が、返却されるリース車両が入庫する車両拠点を決定する。
ステップS32では、指示部2012が、リース車両からの塗装の剥離が必要であるか否かを判定する。例えば、納車時に当該車両に上塗り塗装が施されていた場合、塗装の剥離が必要であると判定される。
【0075】
塗装の剥離が必要である場合、処理はステップS33へ遷移し、指示部2012が、塗装剥離指示を含む入庫データを生成する。入庫データは、契約が終了したリース車両の入庫を通知するためのデータであって、契約の識別子およびリース車両の識別子、入庫予定日時などを含むデータである。入庫データを受け取った車両拠点は、当該車両の受け入れを行う。また、入庫データに塗装剥離指示が含まれている場合、車両拠点は、当該車両に上塗りされた塗装の剥離を行う。
【0076】
塗装の剥離が必要ない場合、処理はステップS34へ遷移し、指示部2012が、塗装剥離指示を含まない入庫データを生成する。
生成された入庫データは、車両拠点へ送信される。入庫データの送信が完了すると、ディーラーサーバ200は、契約管理サーバ100に対して、入庫に関する案内を送信する。当該通知には、入庫日時に関する情報が含まれていてもよい。車両拠点は、入庫データに従ってリース車両を受け入れ、必要に応じて、上塗りされた塗装の剥離を行う。
【0077】
以上説明したように、第一の実施形態に係る車両貸与システムでは、契約管理サーバ100が、ユーザに貸与される車両のオリジナルの車体色と、上塗りされる易剥離性塗料の色の組み合わせを決定する。この際、契約期間が終了した後における、易剥離性塗料を剥離した車両の予想残価を考慮することで、適切な色の組み合わせを生成することが可能になる。これにより、より残価が高くなる車両の仕様を決定することができ、リース契約中における料金の支払額を抑えることができる。
【0078】
(第一の実施形態の変形例)
第一の実施形態では、残価データによって、契約期間が満了した後の車両の残価を求め、当該残価に基づいて、車両のリース料金(月額利用料金)を決定した。しかし、車両の残価を求める処理は必須ではない。例えば、第一車体色、もしくは、第一車体色および第二車体色の組み合わせに基づいて、車両のリース料金(月額利用料金)を直接決定するようにしてもよい。このため、車体色とリース料金とを関連づけたデータを契約管理サーバ100に記憶させてもよい。
【0079】
(第二の実施形態)
第一の実施形態では、契約管理サーバ100が、リース車両のオリジナルの車体色(第一車体色)を決定した。一方、契約終了後で、車両をユーザが買い取ることが想定される場合、第一車体色をユーザに選択させてもよい。
【0080】
本実施形態では、ステップS13~S14において、条件決定部1011が、
図11に示したような画面をユーザに提示し、第一車体色および第二車体色をユーザに選択させる。
図11の例では、符号1101が、第一車体色を選択させるためのGUI部品であって、符号1102が、第二車体色を選択させるためのGUI部品である。
【0081】
本実施形態では、条件決定部1011は、車体色ごとの残価をユーザに提示することができる。
図12は、契約終了後における、第一車体色ごとの車両の残価を案内する画面の例である。このような画面をユーザに提示したうえで、第一車体色をユーザに選択させてもよい。かかる形態によると、ユーザは、契約終了後における車両の残価を考慮して、第一車体色を検討することができる。
なお、契約終了後に車両がリース事業者に返却される可能性がある場合、第一車体色は、残価が所定の値よりも高い車体色グループの中から選択させることが好ましい。
【0082】
(第三の実施形態)
第一および第二の実施形態では、車両に対して易剥離性塗料による塗装を行うことが前提となっている。一方で、易剥離性塗料による塗装を行うか否かをユーザが選択可能としてもよい。第三の実施形態は、ユーザに、易剥離性塗料による塗装の有無を選択させ、当該選択に基づいて車両の残価を算出する実施形態である。
【0083】
図13は、第三の実施形態において契約管理サーバ100が実行する処理のフローチャートである。図示した処理は、
図7に示したステップS13およびS14に代わって実行される。
図14は、当該フローにおいてユーザに提供される画面の例である。
【0084】
まず、ステップS41で、第一車体色の選択を取得する。
図14の例では、符号1401が、第一車体色を選択させるためのGUI部品である。
次に、ステップS42で、上塗り塗装の希望の有無を判定する。
図14の例では、符号1402が、上塗り塗装の有無を選択させるためのGUI部品である。
【0085】
ステップS42で、ユーザが上塗り塗装を希望した場合、処理はステップS43へ遷移し、第二車体色の選択を取得する。
図14の例では、符号1403が、第二車体色を選択させるためのGUI部品である。
次に、ステップS44で、塗装を剥離した後における車両の残価を案内する。この処理は、第二の実施形態と同様である。
【0086】
ステップS42で、ユーザが上塗り塗装を希望していない場合、処理はステップS45へ遷移し、第一車体色に基づいて、契約終了後における車両の残価を案内する。
なお、残価を案内するステップと、車体色の選択を受け付けるステップは逆であってもよいし、双方のステップが繰り返し実行されてもよい。
【0087】
ステップS44で案内される残価と、ステップS45で案内される残価は、ともに、第一車体色に基づくものである。しかし、上塗り塗装を施す場合、第一車体色による塗装が、上塗り塗装によって保護されるため、塗装の劣化が少なくなる。そこで、契約管理サーバ100は、上塗り塗装を施さない場合と比較して、上塗り塗装を施す場合において、車両の残価を高くする補正を行う。補正は、所定の数式やテーブル等を用いて行うことができる。
このように、第三の実施形態では、易剥離性塗料を上塗りすることによる塗装の保護効果を考慮して、車両の残価を算出することができる。
【0088】
(第四の実施形態)
第一ないし第三の実施形態では、第一車体色に基づいて、所定の期間が経過した後における車両の残価を決定した。これらの実施形態は、所定の期間が経過した後において、易剥離性塗料を剥離して車両の再販を行うことを前提とした実施形態である。
【0089】
一方で、車両が製造されてからの年数が易剥離性塗料の耐用年数よりも短い場合、「易剥離性塗料による塗装が施された車両自体」に価値が生じうる。このような車両は、再販時の価値が高く、かつ、特定の車体色を好むユーザにとっても価値がある車両となる。
第四の実施形態は、第一車体色と第二車体色の組み合わせに基づいて、車両の残価を決定する実施形態である。
【0090】
第四の実施形態では、契約管理サーバ100が、(1)所定の期間が経過した後で易剥離性塗料を剥離した場合における車両の残価と、(2)易剥離性塗料を剥離しない場合における車両の残価、の双方を取得し、ユーザに提示する。
【0091】
図15は、第四の実施形態における残価データの例である。本実施形態では、図示したように、車両の残価が、第一車体色と第二車体色の組み合わせによって定義されている。
また、第一車体色および第二車体色の選択を取得する際に、当該残価データを参照し、車体色の組み合わせごとの残価をユーザに案内する。例えば、
図12に示したような、易剥離性塗料の剥離を行った(第一車体色に戻した)場合の残価と、
図16に示したような、易剥離性塗料の剥離を行わない(第二車体色のままにした)場合の残価を出力する。これにより、車両の予想評価額をより正確にユーザに案内することが可能となる。
【0092】
(変形例)
上記の実施形態はあくまでも一例であって、本開示はその要旨を逸脱しない範囲内で適宜変更して実施しうる。
例えば、本開示において説明した処理や手段は、技術的な矛盾が生じない限りにおいて、自由に組み合わせて実施することができる。
【0093】
また、実施形態の説明では、リース車両をユーザに貸与する形態を例示したが、本開示に係る情報処理装置は、リース以外の形態に適用することもできる。本開示に係る情報処理装置は、例えば、残価設定型ローンなどの販売形態(すなわち、車両の価格から、所定の期間が経過した後の残価を減じた額に基づいてユーザによる支払額が決まる販売形態)に適用することもできる。
【0094】
さらに、新車の販売時に、易剥離性塗料の使用をユーザに提案し、ユーザの同意があった場合に、第一車体色および第二車体色を決定し、仕様に合った車両を納車するようにしてもよい。この場合、所定の期間が経過後に、ユーザの希望に基づいて、易剥離性塗料の剥離を行うようにしてもよい。この場合、契約管理サーバ100は、ユーザに販売される車両の仕様を決定する装置として機能する。
【0095】
さらに、実施形態の説明では、第一車体色と第二車体色を異なる色としたが、両者は同じ色であってもよい。易剥離性塗料を使用することで、元の塗装色を保護する効果を得ることができる。
また、実施形態の説明では、第一車体色、または、第一車体色と第二車体色の組み合わせに基づいて車両の残価を取得したが、第二車体色のみに基づいて車両の残価を取得するようにしてもよい。
【0096】
また、1つの装置が行うものとして説明した処理が、複数の装置によって分担して実行されてもよい。あるいは、異なる装置が行うものとして説明した処理が、1つの装置によって実行されても構わない。コンピュータシステムにおいて、各機能をどのようなハードウェア構成(サーバ構成)によって実現するかは柔軟に変更可能である。
【0097】
本開示は、上記の実施形態で説明した機能を実装したコンピュータプログラムをコンピュータに供給し、当該コンピュータが有する1つ以上のプロセッサがプログラムを読み出して実行することによっても実現可能である。このようなコンピュータプログラムは、コンピュータのシステムバスに接続可能な非一時的なコンピュータ可読記憶媒体によってコンピュータに提供されてもよいし、ネットワークを介してコンピュータに提供されてもよい。非一時的なコンピュータ可読記憶媒体は、例えば、磁気ディスク(フロッピー(登録商標)ディスク、ハードディスクドライブ(HDD)等)、光ディスク(CD-ROM、DVDディスク・ブルーレイディスク等)など任意のタイプのディスク、読み込み専用メモリ(ROM)、ランダムアクセスメモリ(RAM)、EPROM、EEPROM、磁気カード、フラッシュメモリ、光学式カード、電子的命令を格納するために適した任意のタイプの媒体を含む。
【符号の説明】
【0098】
100・・・契約管理サーバ
101,201,301・・・制御部
102,202,302・・・記憶部
103,203,303・・・通信部
200・・・ディーラーサーバ
300・・・ユーザ端末
304・・・入出力部