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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022181667
(43)【公開日】2022-12-08
(54)【発明の名称】ハンドル
(51)【国際特許分類】
   B60R 21/215 20110101AFI20221201BHJP
   B62D 1/04 20060101ALI20221201BHJP
   B60R 11/04 20060101ALI20221201BHJP
【FI】
B60R21/215
B62D1/04
B60R11/04
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021088726
(22)【出願日】2021-05-26
(71)【出願人】
【識別番号】000241463
【氏名又は名称】豊田合成株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100076473
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 昭夫
(72)【発明者】
【氏名】矢嶋 孝敏
(72)【発明者】
【氏名】山田 隆徳
(72)【発明者】
【氏名】家田 純一
【テーマコード(参考)】
3D020
3D030
3D054
【Fターム(参考)】
3D020BA20
3D020BC10
3D020BD05
3D030DB62
3D030DB77
3D054AA02
3D054BB02
(57)【要約】
【課題】意匠性を良好にして、簡便に、ハンドルのボス部に、エアバッグ装置と機能部品とを並設できるハンドルを提供すること。
【解決手段】操舵時に操舵中心軸COを中心として回転操作する操舵部と、操舵中心軸側のボス部Bと、操舵部とボス部とを連結するスポーク部と、を備えて、ボス部にエアバッグ装置20と機能部品60とが配設されてなるハンドルWである。エアバッグ装置は、エアバッグ32と、折り畳まれたエアバッグを覆い、かつ、膨張時のエアバッグに押されて開くドア部40を有したパッド37と、エアバッグに膨張用ガスを供給するインフレーター26と、エアバッグ、パッド、及び、インフレーターを保持して、ハンドル本体1に連結されるホルダ21と、を備える。機能部品は、開き時のドア部と干渉しないドア部に隣接するエリアで、かつ、平面視で視認できるボス部の上面側のエリアとして、ホルダに保持されて、配設されている。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
操舵時に操舵中心軸を中心として回転操作する操舵部と、該操舵部の中央側の前記操舵中心軸側に位置するボス部と、前記操舵部と前記ボス部とを連結するスポーク部と、を備えるとともに、前記ボス部にエアバッグ装置と機能部品とが配設されて構成されるハンドルであって、
前記エアバッグ装置が、
作動時に膨張用ガスを流入させて膨張するエアバッグと、
前記ボス部の上面側に配置されて、折り畳まれた前記エアバッグを覆い、かつ、膨張時の前記エアバッグに押されて開くドア部を有したパッドと、
前記エアバッグに膨張用ガスを供給するインフレーターと、
前記エアバッグ、前記パッド、及び、前記インフレーターを保持して、前記ハンドルの本体に連結されるホルダと、
を備え、
前記機能部品が、開き時の前記ドア部と干渉しない前記ドア部に隣接するエリアで、かつ、平面視で視認できる前記ボス部の上面側のエリアとして、前記ホルダに保持されて、配設されていることを特徴とするハンドル。
【請求項2】
操舵時に操舵中心軸を中心として回転操作する操舵部と、該操舵部の中央側の前記操舵中心軸側に位置するボス部と、前記操舵部と前記ボス部とを連結するスポーク部と、を備えるとともに、前記ボス部にエアバッグ装置と機能部品とが配設されて構成されるハンドルであって、
前記エアバッグ装置が、
作動時に膨張用ガスを流入させて膨張するエアバッグと、
前記ボス部の上面側に配置されて、折り畳まれた前記エアバッグを覆い、かつ、膨張時の前記エアバッグに押されて開くドア部を有したパッドと、
前記エアバッグに膨張用ガスを供給するインフレーターと、
前記エアバッグ、前記パッド、及び、前記インフレーターを保持して、前記ハンドルの本体に連結されるホルダと、
を備え、
前記パッドが、
折り畳まれた前記エアバッグの上方を覆って、前記ドア部を配設させたバッグカバー部と、開き時の前記ドア部と干渉しないエリアであって、上面側を前記バッグカバー部の上面側の意匠面と連なるように、配設されて、前記機能部品を配置させる部品配置部と、を備えた天井壁部と、
該天井壁部の下面から下方に延びて前記ホルダに保持される側壁部と、
を備えて、
前記機能部品が、前記パッド若しくは前記ホルダに保持されて、配設されていることを特徴とするハンドル。
【請求項3】
前記機能部品が、運転者を撮影可能なカメラから構成されていることを特徴とする請求項1若しくは請求項2に記載のハンドル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、操舵時に操舵中心軸を中心として回転操作する操舵部、操舵部の中央側の操舵中心軸側に位置するボス部、及び、操舵部とボス部とを連結するスポーク部、を備えるとともに、ボス部にエアバッグ装置とカメラ等の機能部品とが配設されて構成されるハンドルに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、エアバッグ装置とカメラ等の機能部品とが配設されるハンドルでは、機能部品が、ハンドルの芯金部位に保持される構成としたり、あるいは、ボス部の上面側のパッド内に埋設されるように保持される構成としていた(例えば、特許文献1参照)。また、機能部品が、パッド(パッド)のドア部と一体的に開くように、曲げ変形可能な保持部材に保持されて配設されるハンドルもあった(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開第2016/109227号
【特許文献2】特開2020-63017号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、従来のエアバッグ装置において、特許文献1に記載されたように、機能部品が、ハンドルの芯金部位に保持される構成では、機能部品とエアバッグ装置との一体感が阻害されて、ハンドルのボス部の意匠性が良好でなくなってしまう。また、特許文献1には、機能部品がパッド内に埋設されるように図示されているものが例示されているものの、機能部品とエアバッグ装置との具体的な取付状態が不明であって、エアバッグ装置自体の作動に支障のないように、エアバッグ装置と機能部品とを並設させる点に、課題が生ずる。また、特許文献2に記載されたように、機能部品がエアバッグ装置のドア部の開き動作と一体的に移動する構成では、ボス部に、エアバッグ装置と機能部品とが並設される構成として、意匠性が良好であるものの、移動する機能部品を保持する部材の強度等を考慮する必要が生じ、簡便に、機能部品をハンドルに搭載し難い。
【0005】
本発明は、上述の課題を解決するものであり、意匠性を良好にして、簡便に、ハンドルのボス部に、エアバッグ装置と機能部品とを並設できるハンドルを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る第1番目のハンドルは、操舵時に操舵中心軸を中心として回転操作する操舵部と、該操舵部の中央側の前記操舵中心軸側に位置するボス部と、前記操舵部と前記ボス部とを連結するスポーク部と、を備えるとともに、前記ボス部にエアバッグ装置と機能部品とが配設されて構成されるハンドルであって、
前記エアバッグ装置が、
作動時に膨張用ガスを流入させて膨張するエアバッグと、
前記ボス部の上面側に配置されて、折り畳まれた前記エアバッグを覆い、かつ、膨張時の前記エアバッグに押されて開くドア部を有したパッドと、
前記エアバッグに膨張用ガスを供給するインフレーターと、
前記エアバッグ、前記パッド、及び、前記インフレーターを保持して、前記ハンドルの本体に連結されるホルダと、
を備え、
前記機能部品が、開き時の前記ドア部と干渉しない前記ドア部に隣接するエリアで、かつ、平面視で視認できる前記ボス部の上面側のエリアとして、前記ホルダに保持されて、配設されていることを特徴とする。
【0007】
本発明に係る第1番目のハンドルでは、機能部品が、エアバッグ装置における主要構成部品であるエアバッグ、パッド、及び、インフレーターを保持して、ハンドルの本体に対して連結されるホルダ、に、保持される構成であり、簡便に、かつ、安定して、ボス部に配設できる。また、機能部品は、開き時のドア部と干渉しないエリアで、かつ、平面視で視認できるエリアとして、エアバッグ装置自体の構成部品であるホルダに保持されて、配設されることから、エアバッグ装置と一体感を生じさせて、意匠性を良好にして、配設させることが可能となるとともに、エアバッグの膨張時に、パッドのドア部と干渉せずに、配設されることから、エアバッグ装置の作動に支障なく、配設させることができる。
【0008】
したがって、本発明に係る第1番目のハンドルでは、エアバッグ装置の作動に支障を生じさせずに、意匠性を良好にして、かつ、簡便に、ハンドルのボス部に、エアバッグ装置と機能部品とを並設できる。
【0009】
本発明に係る第2番目のハンドルは、操舵時に操舵中心軸を中心として回転操作する操舵部と、該操舵部の中央側の前記操舵中心軸側に位置するボス部と、前記操舵部と前記ボス部とを連結するスポーク部と、を備えるとともに、前記ボス部にエアバッグ装置と機能部品とが配設されて構成されるハンドルであって、
前記エアバッグ装置が、
作動時に膨張用ガスを流入させて膨張するエアバッグと、
前記ボス部の上面側に配置されて、折り畳まれた前記エアバッグを覆い、かつ、膨張時の前記エアバッグに押されて開くドア部を有したパッドと、
前記エアバッグに膨張用ガスを供給するインフレーターと、
前記エアバッグ、前記パッド、及び、前記インフレーターを保持して、前記ハンドルの本体に連結されるホルダと、
を備え、
前記パッドが、
折り畳まれた前記エアバッグの上方を覆って、前記ドア部を配設させたバッグカバー部と、開き時の前記ドア部と干渉しないエリアであって、上面側を前記バッグカバー部の上面側の意匠面と連なるように、配設されて、前記機能部品を配置させる部品配置部と、を備えた天井壁部と、
該天井壁部の下面から下方に延びて前記ホルダに保持される側壁部と、
を備えて、
前記機能部品が、前記パッド若しくは前記ホルダに保持されて、配設されていることを特徴とする。
【0010】
本発明に係る第2番目のハンドルでは、機能部品が、パッドの天井壁部における部品配置部に配置され、部品配置部が、パッドにおけるドア部を配設させたバッグカバー部の上面側の意匠面と連なるように配設されていることから、機能部品を、バッグカバー部と部品配置部とを一体感を生じさせたパッドの天井壁部に、意匠性を良好にして、配設可能となる。さらに、機能部品は、開き時のドア部と干渉しないエリアで、エアバッグ装置自体の構成部品であるホルダに対して、直接的に、若しくは、パッドを介在させて、間接的に、保持されることから、簡便に、かつ、安定して、ボス部に配設できるとともに、エアバッグの膨張時に、パッドのドア部と干渉せずに、配設されることから、エアバッグ装置の作動に支障がない。
【0011】
したがって、本発明に係る第2番目のハンドルでも、エアバッグ装置の作動に支障を生じさせずに、意匠性を良好にして、かつ、簡便に、ハンドルのボス部に、エアバッグ装置と機能部品とを並設できる。
【0012】
前記機能部品としては、運転者を撮影可能なカメラを例示できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明に係る第1実施形態のハンドルの平面図である。
図2】第1実施形態のハンドルのボス部におけるエアバッグ装置の拡大平面図である。
図3】第1実施形態のエアバッグ装置の概略縦断面図であり、図2のIII-III部位に対応する。
図4】第1実施形態のエアバッグ装置の概略拡大断面図であり、図3のIV部位付近を示す。
図5】第1実施形態のハンドルのエアバッグ装置の概略縦断面図であり、図2のV-V部位に対応する。
図6】第1実施形態のハンドルのエアバッグ装置における底面側から見た概略斜視図である。
図7】第1実施形態における上面側から見たエアバッグ装置と機能部品との概略分解斜視図である。
図8】第1実施形態における底面側から見たエアバッグ装置と機能部品との概略分解斜視図である。
図9】第1実施形態のパッドの底面図である。
図10】第2実施形態のハンドルの平面図である。
図11】第2実施形態のハンドルのエアバッグ装置の拡大平面図である。
図12】第2実施形態のエアバッグ装置の概略縦断面図であり、図11のXII-XII部位に対応する。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の第1実施形態を図面に基づいて説明すると、第1実施形態のエアバッグ装置20と機能部品としてのカメラ60とは、図1~3に示すように、車両における運転者が操舵するハンドルWに搭載される。ハンドルWは、操舵時に操舵中心軸COを中心として回転操作する略円環状の操舵部Rと、操舵部Rの中央側の操舵中心軸CO側に位置するボス部Bと、操舵部Rとボス部Bとを連結する3本のスポーク部Sと、を備えるとともに、ボス部Bにエアバッグ装置20と機能部品としてのカメラ60とが配設されている。
【0015】
なお、本明細書での上下・左右・前後の方向は、ハンドルWを車両のステアリングシャフトSS(図3参照)にナットN止めして接続させた状態における車両の直進操舵時を基準として、上下方向は、そのステアリングシャフトSSの軸方向に沿った上下方向に対応し、左右方向は、そのステアリングシャフトSSの軸直交方向の車両の左右方向に対応し、前後方向は、そのステアリングシャフトの軸直交方向の車両の前後方向に対応している(図1参照)。
【0016】
ハンドルWの本体(ハンドル本体)1は、操舵部R、ボス部B、及び、スポーク部Sを相互に連結するように配設される芯金2と、操舵部Rと操舵部R近傍のスポーク部Sの芯金2の部位を覆うウレタン等からなる被覆層7と、を備えて構成されている。さらに、ボス部Bの外周縁から各スポーク部Sの上面側には、加飾用のベゼル13が配設されている。
【0017】
芯金2は、操舵部Rに配置されるリング芯金部3、ボス部Bに配置されてステアリングシャフトSSと接続されるボス芯金部4、及び、各スポーク部Sに配置されてリング芯金部3とボス芯金部4とを連結するスポーク芯金部5、から構成される。スポーク芯金部5は、実施形態の場合、左右と後方との3本の各スポーク部Sに配設されており、前部側の左右のスポーク部Sでは、それぞれ、1本ずつ配設され、後部側のスポーク部Sには、左右に分岐した2本が配設されている。
【0018】
そして、芯金2のボス芯金部4の周縁には、エアバッグ装置20の後述する各ホーンスイッチ体57の組付ピン58を固定させる固定部9が、配設されている(図1,3参照)。固定部9は、下狭まりのテーパ状に貫通する係止孔10と、ボス芯金部4の下面側に配置されて、組付ピン58の先端を係止する係止ピン11と、を配設させて構成されている。係止ピン11は、復元可能に、ボス芯金部4の下面に沿って、撓み可能なばね材から形成されている。
【0019】
また、ハンドル本体1は、ボス部Bの下面側に、図示しないロアカバーを配設させて構成されている。
【0020】
エアバッグ装置20は、図1~8に示すように、膨張用ガスを流入させて膨らむエアバッグ32と、エアバッグ32に膨張用ガスを供給するインフレーター26と、折り畳まれたエアバッグ32を覆ってボス部Bの上面側に配置される合成樹脂製のパッド37と、エアバッグ32、インフレーター26、及び、パッド37を保持する板金製のホルダ21と、リテーナ28と、を備えて構成されている。
【0021】
エアバッグ32は、球状に近似した厚みのある略円板状の膨張完了形状として、下部側に膨張用ガスを流入するために円形に開口した流入用開口33を備え、流入用開口33の周縁34には、リテーナ28のボルト28bを貫通させる貫通孔34aが4個形成されている。
【0022】
インフレーター26は、上部に膨張用ガスを吐出させる複数のガス吐出口26bを設けた円柱状の本体部26aを備え、本体部26aの外周面には、四角環状のフランジ部26cが突設されている。フランジ部26cには、リテーナ28のボルト28bを貫通させる貫通孔26dが形成されている。
【0023】
リテーナ28は、四角環状の板金製の本体28aを備え、四隅に、下方に突出するボルト28bを突設させている。リテーナ28はエアバッグ32内の流入用開口33の周縁34に配設され、各ボルト28bをエアバッグ32の貫通孔34a、ホルダ21の貫通孔22b、及び、インフレーター26のフランジ部26cの貫通孔26dに、順に貫通させ、各ボルト28bにナット29を締結させることにより、ホルダ21に、エアバッグ32とインフレーター26とを取り付けている。
【0024】
ホルダ21は、図2~8に示すように、金属板から構成されて、底壁部22と、底壁部22の外周縁の前縁と左右の斜め後方から上方に延びる3つの側壁部23(F,L,R)と、を備えて構成されている。底壁部22は、中央に、インフレーター26の本体部26aを下方から挿入可能な円形の挿入孔22aを配設させ、また、挿入孔22aの周縁には、既述のボルト28bを貫通させる貫通孔22bを配設させている。さらに、底壁部22の外周縁付近には、パッド37を取付固定するための係止孔22cが、4箇所に配設されている。各係止孔22cは、パッド37の後述する係止脚部53を係止する部位であり、挿入孔22aから離れた縁側を、係止縁22dとし、挿入孔22a側の縁には、係止孔22c内に進入させるように上方へ曲げて、係止脚部53を係止縁22d側に押圧して、係止脚部53の係止を強固にするための舌片22eが配設されている(図5参照)。
【0025】
また、底壁部22の各組付座22fには、複数(実施形態では3個)のホーンスイッチ体57が各々取り付けられており、これらのホーンスイッチ体57の組付ピン58を利用して、エアバッグ装置20が、ハンドル本体1のボス芯金部4に取付固定されている。
【0026】
なお、ホーンスイッチ体57は、内部に可動側接点・固定側接点(図符号省略)を配設させており、エアバッグ装置20を押し下げると、可動側接点が固定側接点に接触して、ホーンを作動させるように使用される。
【0027】
また、側壁部23(F,L,R)は、係止孔22cの外縁側に配設されて、パッド37における各係止孔22cに係止される係止脚部53付近が、エアバッグ32の膨張時に外側に膨らむ際の支持を行えるように、構成されている。
【0028】
そして、前部側の側壁部23Fは、機能部品としてのカメラ60の撮像本体部61を保持する保持片部24を構成しており、上端に、前方に延びて、撮像本体部61を保持する保持座24aが、配設されている。保持座24aは、パッド37の後述する部品配置部44の下方に配置されて、撮像本体部61をボルト67止めするためのボルト67を挿通させる取付孔24bと、撮像本体部61の位置決め突起61aを嵌合させる位置決め孔24cと、を備えて構成されている。
【0029】
パッド37は、図1~9に示すように、オレフィン系熱可塑性エラストマー等の合成樹脂製として、ハンドルWの中央付近のボス部Bの上面側に配設されている。パッド37は、略円板状の天井壁部38と、天井壁部38の下面側から下方に延びる略円筒状の側壁部50と、を備えて構成されている。天井壁部38は、パッド37の上面側の意匠面37aを構成する部位となり、略円形の平面部38aと、平面部38aの外周縁に位置して緩やかに下方に曲がる縁部38bと、を備えた形状としている。
【0030】
さらに、天井壁部38のエリアとしては、折り畳まれたエアバッグ32の上方を覆って、ドア部40(L,R)を配設させたバッグカバー部39と、開き時のドア部40と干渉しないエリアであって、上面44a側をバッグカバー部39の上面39a側の意匠面37aの後部37abと連なるように、配設されて、機能部品としてのカメラ60を配置させる部品配置部44と、を備えて構成されている。部品配置部44は、天井壁部38の前縁側に配置されて、天井壁部38の前縁側の中央の弓形のエリアとし、カメラ60のカバー65を取り付けるように、上下に貫通する配設孔45を配設させている。バッグカバー部39と部品配置部44とは、それぞれの上面39a,44a側が、連続的に連なるパッド37の意匠面37aを構成している。換言すれば、バッグカバー部39の上面39aが、意匠面37aの後部37abを構成し、部品配置部44の上面44aが、意匠面37aの前部37aaを構成して、これらの後部37abと前部37aaとにより、パッド37の天井壁部38に、連続的に連なる一体感のある意匠面37aが形成されている。
【0031】
なお、カバー65は、ポリカーボネート等から形成されて、可視光を遮蔽して、赤外線を透過するフィルタの機能を有し、さらに、上面65a側は、部品配置部44の配設孔45の周縁と連続的に連なるように、構成されて、配設孔45の周縁ととともに、部品配置部44の上面44a側におけるパッド37の意匠面37aの前部37aaを、構成している。
【0032】
側壁部50は、天井壁部38の下面側におけるバッグカバー部39のエリアを囲むように、配設されており、前部側の略左右方向に沿って下方に延びる略長方形板状の前壁部51と、前壁部51の左右両縁相互を略円環状に連結するようにして、天井壁部38の下面から下方に延びる略円筒状の後壁部52と、を備えて構成されている。天井壁部38における前壁部51の前方側のエリアが、部品配置部44としている。
【0033】
そして、前壁部51の下端の左右両縁付近と、後壁部52の下端の左右両側付近に、既述の係止脚部53が配設されている。各係止脚部53は、側壁部50から下方に延びる首部53aの下端に、外方へ突出する係止頭部53bを配設させて構成され、各係止頭部53bが、既述のホルダ21の係止孔22cにおける係止縁22dに係止されることとなる。
【0034】
天井壁部38におけるバッグカバー部39のドア部40(L,R)は、膨張するエアバッグ32に押されて、観音扉のように左右両側に開くように配設されており、左右のドア部40L,40Rは、周囲に、破断し易い薄肉の破断予定部42を配設させている。破断予定部42は、図9に示すように、前壁部51の内縁側に左右方向の中央付近から後方に延びる縦線部42aと、縦線部42aの前端42aaから前壁部51の内縁と後壁部52の前部側の内縁との左右両側に延びる前横線部42bと、縦線部42aの後端42abから後壁部52の後部側の内縁の左右両側に延びる後横線部42cと、を備えて構成されている。また、前横線部42bと後横線部42cとの間の左右の部位における後壁部52の内縁側が、それぞれ、左右のドア部40L,4Rの開き時のヒンジ部41L,41Rとしている。そして、ドア部40L,40Rは、ヒンジ部41L,41Rを回転中心として、左右の斜め後向きに開くことから(図1の二点鎖線参照)、部品配置部44と干渉せずに、開くことができる。
【0035】
天井壁部38における部品配置部44には、可視光をカットして赤外線を透過させるカバー65を配設させる配設孔45が配設され、カバー65は、接着剤や一体成形等を利用して、配設孔45に組み付けられており、カバー65の下方に、レンズ部62を備えた撮像本体部61が配設される。
【0036】
機能部品としてのカメラ60は、赤外線を利用して、運転者の瞳付近を撮影し、円滑にハンドルWを操舵可能な運転可能状態、あるいは、居眠り等の状態として運転不能状態、としているかを判定する判定手段に、撮影データを出力するものである。カメラ60は、部品配置部44の配設孔45に組み付けられるカバー65と、カバー65の下方のレンズ部62及び赤外線を照射する赤外線LED63を備えた撮像本体部61と、を備えて構成されており、撮像本体部61には、撮像本体部61をホルダ21の保持座24aに組み付けるためのボルト67を挿通させる取付孔64と、保持座24aの位置決め孔24cに嵌合させる位置決め突起61aと、が配設されている。そのため、カメラ60の撮像本体部61は、ホルダ21の保持座24aの上面に配置させて、位置決め孔24cに位置決め突起61aを嵌合させるとともに、ボルト67を取付孔64と保持座24aの取付孔24bとに貫通させて、ボルト67にナット68を締結させることにより、ホルダ21の保持座24aに保持されることとなる。
【0037】
第1実施形態のエアバッグ装置20では、組み立て時、エアバッグ32内にリテーナ28の本体28aを入れるとともに、各ボルト28bを、貫通孔34aを利用して、エアバッグ32外に突出させた状態で、エアバッグ32を折り畳む。
【0038】
また、ホルダ21に対して、各組付座22fを利用してホーンスイッチ体57を取り付けるとともに、保持片部24の保持座24aに、位置決め孔24cへの位置決め突起61aの嵌合や、ボルト67及びナット68、を利用して、カメラ60の撮像本体部61を取り付ける。そして、折り畳まれたエアバッグ32の下面側から突出するボルト28bを、ホルダ21の貫通孔22bに貫通させるとともに、インフレーター26の本体部26aを、下方から、ホルダ21の挿入孔22aに挿入させつつ、各ボルト28bをインフレーター26のフランジ部26cの各貫通孔26dに貫通させ、各ボルト28bにナット29を締結して、ホルダ21に対して、エアバッグ32とインフレーター26とを取付固定する。
【0039】
その後、カバー65を組付済みのパッド37の各係止脚部53を、ホルダ21の各係止孔22cに挿入させ、各舌片22eを係止脚部53の内周面側に押し付けて、各係止脚部53の係止頭部53bを、各係止孔22cの係止縁22dに係止させるようにして、パッド37をホルダ21に取付固定すれば、カメラ60を保持させたエアバッグ装置20を組み立てることができる。
【0040】
その後、ステアリングシャフトSSに締結済みのハンドル本体1の各固定部9の係止孔10に対して、エアバッグ装置20の各ホーンスイッチ体57の組付ピン58を、挿入係止させて、エアバッグ装置20をハンドル本体1に取り付ければ、カメラ60を並設させたエアバッグ装置20を、ハンドルWとともに、車両に搭載することができる。
【0041】
なお、カメラ60から延びる撮影データ出力用や電力入力用の図示しないリード線は、インフレーター26の作動用信号入力用の図示しないリード線とともに、ハンドル本体1から延びる所定のコネクタに接続させておく。
【0042】
車両に搭載された第1実施形態のハンドルWでは、エアバッグ装置20の作動前の状態では、パッド37の天井壁部38における部品配置部44に配置されたカメラ60の撮像本体部61が、運転者の瞳付近を撮影して、その撮影データを所定の判定手段に出力する。なお、運転者を撮影するカメラ60が、ハンドルWのボス部Bの上面側に搭載されており、操舵時、ハンドルWのスポーク部S等に邪魔されずに運転者を撮影することができ、運転者を撮影する際に好適としている。
【0043】
そして、エアバッグ装置20の作動時には、インフレーター26がガス吐出口26bから膨張用ガスを吐出することから、エアバッグ32が膨張し、パッド37の天井壁部38におけるバッグカバー部39の各ドア部40L,40Rを押すことから、各ドア部40L,40Rは、周囲の破断予定部42を破断させて、図1の二点鎖線や図5のBに示すように、ヒンジ部41L,41Rを開き時の回転中心として、押し開かされ、パッド37の天井壁部38のバッグカバー部39が、エアバッグ32の突出用開口47を開口させることとなる。そのため、膨張するエアバッグ32は、突出用開口47から突出して、操舵部Rを覆うように、展開膨張して、運転者を保護可能に、膨張を完了させることとなる。
【0044】
以上のように、第1実施形態のハンドルWでは、機能部品としてのカメラ60が、エアバッグ装置20における主要構成部品であるエアバッグ32、パッド37、及び、インフレーター26を保持して、ハンドル本体1に対して連結されるホルダ21、に、保持される構成であり、簡便に、かつ、安定して、ボス部Bに配設できる。また、機能部品としてのカメラ60は、開き時のドア部40L,40Rと干渉しないエリアで、かつ、平面視で視認できるエリアとして、エアバッグ装置20自体の構成部品であるホルダ21に保持されて、配設されることから、エアバッグ装置20と一体感を生じさせて、意匠性を良好にして、配設させることが可能となるとともに、エアバッグ32の膨張時に、パッド37のドア部40L,40Rと干渉せずに、配設されることから、エアバッグ装置20の作動に支障なく、配設させることができる。
【0045】
したがって、第1実施形態のハンドルWでは、エアバッグ装置20の作動に支障を生じさせずに、意匠性を良好にして、かつ、簡便に、ハンドルWのボス部Bに、エアバッグ装置20と機能部品としてのカメラ60とを並設できる。
【0046】
なお、第1実施形態のカメラ60のホルダ21への保持形態は、カメラ60の撮像本体部61が、直接的に、ホルダ21の保持片部24の保持座24aに取り付けられて保持され、カメラ60のカバー65が、パッド37の部品配置部44と側壁部50とを介在させて、間接的に、ホルダ21の底壁部22に、保持される形態としている。すなわち、第1実施形態のカメラ60は、撮像本体部61が、保持座24aを利用して、直接的にホルダ21に保持され、カバー65が、パッド37の部品配置部44を利用して、間接的に、ホルダ21に保持される構造としているが、カバー65を、撮像本体部61に連結させて、配設孔45から突出させる構成として、カバー65も、撮像本体部61とともに、ホルダ21に直接的に、保持される構成としてもよい。
【0047】
また、第1実施形態のハンドルWでは、パッド37が、折り畳まれたエアバッグ32の上方を覆って、ドア部40L,40Rを配設させたバッグカバー部39と、開き時のドア部40L,40Rと干渉しないエリアであって、上面44a側を、バッグカバー部39の上面39a側の意匠面37aの後部37abと連なるように、配設されて、機能部品としてのカメラ60(詳しくはカバー65)を配置させる部品配置部44と、を備えた天井壁部38と、天井壁部38の下面から下方に延びてホルダ21に保持される側壁部50と、を備えて、カメラ60(詳しくは撮像本体部61)が、ホルダ21に保持されて、配設されている。
【0048】
すなわち、このハンドルWでは、機能部品としてのカメラ60が、パッド37の天井壁部38における部品配置部44に配置され、部品配置部44の上面44aが、カバー65の上面65aとともに、パッド37におけるドア部40L,40Rを配設させたバッグカバー部39の上面39a側の意匠面37aの後部37abと連なるように、意匠面37aの前部37aaとして、配設されていることから、カメラ60を、バッグカバー部39と部品配置部44とを一体感を生じさせたパッド37の天井壁部38において、意匠性を良好にして、配設可能となる。さらに、カメラ60は、開き時のドア部40L,40Rと干渉しないエリアで、エアバッグ装置20自体の構成部品であるホルダ21に対して、直接的に、若しくは、パッド37を介在させて、間接的に、保持されることから、簡便に、かつ、安定して、ボス部Bに配設できるとともに、エアバッグ32の膨張時に、パッド37のドア部40L,40Rと干渉せずに、配設されることから、エアバッグ装置20の作動に支障がない。
【0049】
したがって、第1実施形態のハンドルWは、意匠面37aの観点から見て、エアバッグ装置20の作動に支障を生じさせずに、意匠性を良好にして、かつ、簡便に、ハンドルWのボス部Bに、エアバッグ装置と機能部品とを並設できる。
【0050】
なお、第1実施形態の機能部品としてのカメラ60は、撮像本体部61が、ホルダ21の保持片部24に直接的に保持され、カバー65が、パッド37を介在させて(詳しくは、部品配置部44の配設孔45の周縁の天井壁部38と側壁部50とを介在させて)、間接的に、ホルダ21に保持されているが、図10~12に示す第2実施形態のハンドルWAのように、パッド37Aの側壁部50Aの前壁部51に取り付けられるブラケット70を利用して、カメラ60の撮像本体部61を、パッド37Aに保持させてもよい。
【0051】
この第2実施形態のハンドルWAは、第1実施形態と同様のハンドル本体1と、機能部品としてのカメラ60と、第1実施形態と若干異なるエアバッグ装置20Aと、を備えて構成されている。
【0052】
エアバッグ装置20Aでは、ホルダ21Aとパッド37Aとの構造が、一部、第1実施形態の構造と異なっている。ホルダ21Aでは、第1実施形態のホルダ21の保持片部24が配設されておらず、パッド37Aでは、側壁部50Aの前壁部51Aに、ブラケット70の取付片部72を止めるための取付孔55が配設されている。
【0053】
ブラケット70は、板金製として、上下方向に延びる取付片部72と、取付片部72の上端で前方に延びる保持座71と、を備えたL字状として、取付片部72に、パッド37Aの前壁部51Aの取付孔55とともに、ボルト74を挿通させる取付孔72aが形成されている。ボルト74には、ナット75が締結されて、ブラケット70の取付片部72が、パッド37Aの側壁部50Aにおける前壁部51Aに、取り付けられることとなる。保持座71には、第1実施形態の保持片部24の保持座24aと同様に、撮像本体部61の位置決め突起を嵌合させる図示しない位置決め孔と、ナット68を利用して、カメラ60の撮像本体部61をボルト67止めするためのボルト67を貫通させる取付孔71aと、が形成されている。
【0054】
第2実施形態のハンドルWAでは、カメラ60の保持構造として、カメラ60のカバー65が、第1実施形態と同様に、パッド37Aの部品配置部44の配設孔45の周縁に固着され、カメラ60におけるレンズ部62や赤外線LED63を備えた撮像本体部61が、パッド37Aの前壁部51Aに取り付けられるブラケット70の保持座71に保持されて、共に、パッド37Aを介在させて、間接的に、カメラ60が、ホルダ21Aに保持される構成としている。
【0055】
なお、パッド37A自体は、第1実施形態と同様に、側壁部50Aの下端に設けられた図示しない係止脚部を利用して、ホルダ21Aに保持される構成としている。
【0056】
この第2実施形態でも、第1実施形態と同様の作用、効果を得ることができる。
【0057】
また、各実施形態では、機能部品として、カメラ60を例示したが、LED等を利用した表示装置を使用してもよい。
【符号の説明】
【0058】
1…ハンドル本体、20,20A…エアバッグ装置、21,21A…ホルダ、24…保持片部、24a…保持座、26…インフレーター、32…エアバッグ、37,37A…パッド、37a…意匠面、37aa…前部、37ab…後部、38…天井壁部、39…バッグカバー部、39a…上面、40(L,R)…ドア部、44…部品配置部、44a…上面、45…配設孔、50,50A…側壁部、51…前壁部、55…取付孔、60…(機能部品)カメラ、61…撮像本体部、62…レンズ部、63…赤外線LED、65…カバー、65a…上面、70…ブラケット、71…保持座、72…取付片部、72a…取付孔、
R…操舵部、B…ボス部、S…スポーク部、W,WA…ハンドル。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12