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特開2022-181677光ファイバアレイ及び光ファイバ接続構造
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022181677
(43)【公開日】2022-12-08
(54)【発明の名称】光ファイバアレイ及び光ファイバ接続構造
(51)【国際特許分類】
   G02B 6/26 20060101AFI20221201BHJP
   G02B 6/32 20060101ALI20221201BHJP
   G02B 6/02 20060101ALI20221201BHJP
   G02B 6/04 20060101ALI20221201BHJP
【FI】
G02B6/26
G02B6/32
G02B6/02 461
G02B6/04 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021088743
(22)【出願日】2021-05-26
(71)【出願人】
【識別番号】000002130
【氏名又は名称】住友電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100136722
【弁理士】
【氏名又は名称】▲高▼木 邦夫
(74)【代理人】
【識別番号】100174399
【弁理士】
【氏名又は名称】寺澤 正太郎
(74)【代理人】
【識別番号】100182006
【弁理士】
【氏名又は名称】湯本 譲司
(72)【発明者】
【氏名】島川 修
【テーマコード(参考)】
2H137
2H250
【Fターム(参考)】
2H137BA16
2H137BA18
2H137BA20
2H137BA21
2H137BA23
2H137BC12
2H137CA16A
2H137CA74
2H137CA77
2H137CC01
2H137EA02
2H137EA04
2H137EA06
2H137EA08
2H250AB01
2H250AC03
2H250AC04
2H250AC12
2H250AC13
2H250AC24
2H250AC25
2H250AC61
2H250AD34
2H250CA42
2H250CA47
2H250CA50
(57)【要約】      (修正有)
【課題】光ファイバのクラッド径が細くなる場合であっても、複数の光ファイバの位置精度を高めることができる光ファイバアレイ及び光ファイバ接続構造を提供する。
【解決手段】一実施形態に係る光ファイバアレイ10は、コア21及びクラッド22を有し、コア21内を伝搬する光のMFD(モードフィールド径:Mode Field Diameter)を拡大可能なビーム拡大部26を先端面25に有する複数のシングルコアファイバ20と、複数のシングルコアファイバ20が挿入される光ファイバ保持孔28、及び光ファイバ保持孔28が開口する端面29を有するフェルール23と、を備える。ビーム拡大部26における各シングルコアファイバ20のクラッド径C2は、先端面29に向かうに従って小さくなっている。光ファイバ保持孔28は、端面29に向かって内径が小さくなっており且つ先端面25が突き当たるテーパ部28bを有する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コア及びクラッドを有し、前記コア内を伝搬する光のMFDを拡大可能なビーム拡大部を先端面に有する複数のシングルコアファイバと、
前記複数のシングルコアファイバが挿入される光ファイバ保持孔、及び前記光ファイバ保持孔が開口する端面を有するフェルールと、
を備え、
前記ビーム拡大部における各前記シングルコアファイバのクラッド径は、前記先端面に向かうに従って小さくなっており、
前記光ファイバ保持孔は、前記端面に向かって内径が小さくなっており且つ前記先端面が突き当たるテーパ部を有する、
光ファイバアレイ。
【請求項2】
複数の前記シングルコアファイバが前記先端面において互いに接触している、
請求項1に記載の光ファイバアレイ。
【請求項3】
複数の前記シングルコアファイバの光軸方向に直交する面内における前記テーパ部の断面形状は、円形状である、
請求項1又は請求項2に記載の光ファイバアレイ。
【請求項4】
複数の前記シングルコアファイバの光軸方向に直交する面内における前記テーパ部の断面形状は、多角形状である、
請求項1又は請求項2に記載の光ファイバアレイ。
【請求項5】
複数の前記シングルコアファイバの光軸方向に対する前記テーパ部の傾斜角度が0.05°以上且つ1°以下である、
請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の光ファイバアレイ。
【請求項6】
前記フェルールがガラス製である、
請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の光ファイバアレイ。
【請求項7】
前記フェルールがセラミック製である、
請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の光ファイバアレイ。
【請求項8】
請求項1から請求項7のいずれか一項に記載の光ファイバアレイと、
マルチコアファイバと、
前記光ファイバアレイに対向する第1レンズと、
前記第1レンズと前記マルチコアファイバとの間に配置される第2レンズと、を備える、
光ファイバ接続構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、光ファイバアレイ及び光ファイバ接続構造に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、光ファイバのモードフィールド径の拡大方法及び拡大装置が記載されている。拡大装置は、基台と、基台上に設けられた複数の光ファイバ固定台とを備える。複数の光ファイバ固定台には光ファイバが一直線上に延びるように光ファイバが固定されている。複数の光ファイバ固定台の間に位置する光ファイバの一部は、被覆が除去された被覆除去部とされている。拡大装置は、当該被覆除去部に対向する位置に配置されるマイクロバーナを有する。当該被覆除去部は、マイクロバーナによって加熱される。この加熱に伴って、当該被覆除去部における光ファイバ中の添加剤が熱拡散して光ファイバのモードフィールド径が拡大する。
【0003】
特許文献2には、光ファイバの端部を加工する加工装置が記載されている。加工装置は、被覆を有する光ファイバが載せられるV溝が形成された一対のV溝部、一対のV溝部の間に位置する間隙部、及びV溝に載せられた光ファイバを押さえるV溝押さえを有するV溝部品を備える。加工装置は、間隙部に位置する光ファイバを加熱する放電電極を備える。放電電極は、光ファイバを加熱して光ファイバのコアに添加されたドーパントを拡散してコアの径を拡大させる。クラッドにはドーパントが添加されている。放電電極が光ファイバを加熱すると、クラッドに添加されたトーパントが光ファイバの外部に拡散すると共にクラッドの領域が縮小する。
【0004】
特許文献3には、複数の光ファイバを結線するガラスキャピラリ型のフェルールが記載されている。フェルールは、複数の光ファイバを保持する孔を有する。孔には4本又は6本の光ファイバが通されている。フェルールの内部において、複数の光ファイバの間には隙間が形成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平4-260007号公報
【特許文献2】特開2012-73408号公報
【特許文献3】米国特許出願公開第2002/0094172号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
前述したマイクロバーナが、ビーム拡大部を形成するために光ファイバを加熱すると、光ファイバのクラッド径が細くなることがある。光ファイバのクラッド径が細くなる場合、複数の光ファイバの間に形成される隙間が大きくなる。複数の光ファイバの間に形成される隙間が大きい場合、複数の光ファイバの位置精度が低下するという問題が生じうる。
【0007】
本開示は、光ファイバのクラッド径が細くなる場合であっても、複数の光ファイバの位置精度を高めることができる光ファイバアレイ及び光ファイバ接続構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示に係る光ファイバアレイは、コア及びクラッドを有し、コア内を伝搬する光のMFD(モードフィールド径:Mode Field Diameter)を拡大可能なビーム拡大部を先端面に有する複数のシングルコアファイバと、複数のシングルコアファイバが挿入される光ファイバ保持孔、及び光ファイバ保持孔が開口する端面を有するフェルールと、を備える。ビーム拡大部における各シングルコアファイバのクラッド径は、先端面に向かうに従って小さくなっている。光ファイバ保持孔は、端面に向かって内径が小さくなっており且つ当該先端面が突き当たるテーパ部を有する。
【0009】
本開示に係るファイバ接続構造は、前述した光ファイバアレイと、マルチコアファイバと、光ファイバアレイに対向する第1レンズと、第1レンズとマルチコアファイバとの間に配置される第2レンズと、を備える。
【発明の効果】
【0010】
本開示によれば、光ファイバのクラッド径が細くなる場合であっても、複数の光ファイバの位置精度を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図1は、実施形態に係る光ファイバ接続構造を示す図である。
図2図2は、実施形態に係る光ファイバアレイを示す側断面図である。
図3図3は、実施形態に係る複数のシングルコアファイバの光軸方向に直交する面内におけるフェルール及びシングルコアファイバを示す図である。
図4図4は、変形例に係るフェルール及びシングルコアファイバを示す図である。
図5図5は、変形例に係るフェルール及びシングルコアファイバを示す図である。
図6図6は、実施形態に係るフェルールの側断面図である。
図7図7は、変形例に係るフェルールの側断面図である。
図8図8は、変形例に係るフェルールの側断面図である。
図9図9は、実施形態に係る光ファイバアレイの組立方法を説明するための図である。
図10図10は、実施形態に係る光ファイバアレイの組立方法を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
[本願発明の実施形態の説明]
最初に、本願発明の実施形態の内容を列記して説明する。一実施形態に係る光ファイバアレイは、コア及びクラッドを有し、コア内を伝搬する光のMFDを拡大可能なビーム拡大部を先端面に有する複数のシングルコアファイバと、複数のシングルコアファイバが挿入される光ファイバ保持孔、及び光ファイバ保持孔が開口する端面を有するフェルールと、を備える。ビーム拡大部における各シングルコアファイバのクラッド径は、先端面に向かうに従って小さくなっている。光ファイバ保持孔は、端面に向かって内径が小さくなっており且つ当該先端面が突き当たるテーパ部を有する。
【0013】
一実施形態に係るファイバ接続構造は、前述した光ファイバアレイと、マルチコアファイバと、光ファイバアレイに対向する第1レンズと、第1レンズとマルチコアファイバとの間に配置される第2レンズと、を備える。
【0014】
この光ファイバアレイでは、複数のシングルコアファイバが先端面を有し、先端面にはコア内を伝搬する光のMFDを拡大可能なビーム拡大部が形成されている。複数のシングルコアファイバは、フェルールの光ファイバ保持孔に挿入された状態で当該フェルールに保持される。ビーム拡大部における各シングルコアファイバのクラッド径は、先端面に向かうに従って小さくなっている。フェルールは光ファイバ保持孔が開口する端面を有し、光ファイバ保持孔は当該端面に向かって内径が小さくなっているテーパ部を有する。テーパ部は、シングルコアファイバの先端面が突き当たる部位である。従って、複数のシングルコアファイバが光ファイバ保持孔に挿入されたときに先端面がテーパ部に突き当たった状態になっている。よって、シングルコアファイバのクラッド径が細くなる場合であっても複数のシングルコアファイバの位置をテーパ部に突き当てることによって確定させることができる。その結果、複数のシングルコアファイバの位置精度を高めることができる。実施形態に係る光ファイバ接続構造は、前述した光ファイバアレイを備えるため、前述した光ファイバアレイと同様の作用効果が得られる。
【0015】
複数のシングルコアファイバが先端面において互いに接触していてもよい。この場合、複数のシングルコアファイバが互いに接触することによって複数のシングルコアファイバの間に形成される隙間を低減できる。その結果、複数のシングルコアファイバの位置精度をより高めることができる。
【0016】
複数のシングルコアファイバの光軸方向に直交する面内におけるテーパ部の断面形状は、円形状であってもよい。この場合、光ファイバ保持孔のテーパ部の形状を簡易な形状とすることができる。
【0017】
複数のシングルコアファイバの光軸方向に直交する面内におけるテーパ部の断面形状は、多角形状であってもよい。
【0018】
複数のシングルコアファイバの光軸方向に対するテーパ部の傾斜角度が0.05°以上且つ1°以下であってもよい。この場合、光軸方向に対するテーパ部の傾斜角度が0.05°以上であることにより、光ファイバ保持孔に挿入されたシングルコアファイバの先端面をテーパ部に突き当てることができる。光軸方向に対するテーパ部の傾斜角度が1°以下であることにより、光ファイバ保持孔のテーパ部の傾斜角度が大きくなりすぎないようにすることができる。
【0019】
フェルールがガラス製であってもよい。この場合、フッ化水素酸等を使った液体エッチング加工によってガラス製のフェルールを作製することが可能であり、テーパ化処理を行うことも可能である。また、ガラス製のフェルールの線膨張率は光ファイバの線膨張率と近いため、ガラス製のフェルールを備えた光ファイバアレイの特性等が環境温度の変化に対して安定しやすい。
【0020】
フェルールがセラミック製であってもよい。この場合、例えばセラミック粉末を液体と混ぜてスラリー状にして金型に流し込む等、成型によってフェルールを容易に製造することができる。例えば先端部がテーパ状となる金型を用意することにより、先端部がテーパ状のフェルールを容易に製造できる。
【0021】
[本願発明の実施形態の詳細]
本開示の光ファイバアレイ及び光ファイバ接続構造の具体例を以下で図面を参照しながら説明する。なお、本発明は、後述する各例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の範囲における全ての変更が含まれることが意図される。図面の説明において同一又は相当する要素には同一の符号を付し、重複する説明を適宜省略する。また、図面は、理解の容易化のため、一部を誇張して描いており、寸法比率及び角度等は図面に記載されたものに限定されない。
【0022】
図1は、実施形態に係る光ファイバ接続構造1を示す図である。光ファイバ接続構造1は、例えば、レンズ結合型マルチコアファイバのファンイン・ファンアウト・デバイス(Fan-In/Fan-Out:FIFO)を構成する。光ファイバ接続構造1は、本実施形態に係る光ファイバアレイ10と、マルチコアファイバ30と、光ファイバアレイ10に対向する第1レンズ40と、第1レンズ40及びマルチコアファイバ30の間に配置される第2レンズ50とを備える。
【0023】
マルチコアファイバ30は複数のコア31とクラッド32とを有する。マルチコアファイバ30は、例えば、フェルール33に保持されている。マルチコアファイバ30は、シングルコアファイバ20側に向けられる先端面34を有する。例えば、先端面34は、平坦状とされており、光軸方向D1に直交する平面に対して傾斜している。すなわち、先端面34の法線が光軸方向D1に対して傾斜している。シングルコアファイバ20は、マルチコアファイバ30側に向けられる先端面25を有する。先端面25は、例えば先端面34と同様、平坦状とされており、先端面25の法線は光軸方向D1に対して傾斜している。
【0024】
第2レンズ50は、マルチコアファイバ30に対向する位置に配置されている。第2レンズ50は、マルチコアファイバ30の複数のコア31のそれぞれから出射した複数の光をマルチコアファイバ30との反対側において集光する。第1レンズ40は、シングルコアファイバ20に光軸方向D1に沿って対向する位置に配置されている。第1レンズ40及び第2レンズ50は、例えば、共に両凸面レンズである。
【0025】
光ファイバアレイ10は複数のシングルコアファイバ20を有し、各シングルコアファイバ20はコア21とクラッド22とを有する。光ファイバ接続構造1は、マルチコアファイバ30を通る光を複数のシングルコアファイバ20に分離、又は、複数のシングルコアファイバ20のそれぞれを通る光を1本のマルチコアファイバ30に結合させるファンイン・ファンアウト・デバイスである。光ファイバ接続構造1が扱う光は、例えば、1.55μm帯の波長を有する光である。
【0026】
光ファイバ接続構造1は、例えば、マルチコアファイバ30のそれぞれのコア31を通る光を複数のシングルコアファイバ20のそれぞれに向けて分割し、分割した光のそれぞれを増幅する光増幅器に用いられてもよい。光ファイバ接続構造1は、複数のシングルコアファイバ20のそれぞれから光を送信する光送信器、又は複数のシングルコアファイバ20のそれぞれから光を受信する光受信器に用いられてもよい。光ファイバ接続構造1では、マルチコアファイバ30、第2レンズ50、第1レンズ40及びシングルコアファイバ20が、この順で光軸方向D1に沿って並ぶように配置されている。マルチコアファイバ30及びシングルコアファイバ20は、空間を介して光結合(空間結合)されている。
【0027】
図2は、光ファイバアレイ10を示す図である。図3は、光ファイバアレイ10の光軸方向D1の端部を示す図である。図2及び図3に示されるように、例えば、複数のシングルコアファイバ20はフェルール23に束ねられている。一例として、4本のシングルコアファイバ20がフェルール23に充填されている。例えば、光軸方向D1に直交する平面内において複数のシングルコアファイバ20は四角形状(一例として正方形状)を成すように配置されている。複数のシングルコアファイバ20は互いに接触している。複数のシングルコアファイバ20の間には接着剤24が充填されている。
【0028】
シングルコアファイバ20は、TEC(Thermally Expanded Core)ファイバである。TECファイバであるシングルコアファイバ20は、先端面25においてコア21を伝搬する光のビーム径が拡大されるビーム拡大部26を備える。例えば、ビーム拡大部26は、テーパ状にコア21が拡大されたテーパ部26bを含むコア拡大部である。この場合、先端面25においてコア21が拡大されていることにより、シングルコアファイバ20内を伝搬してきた光のMFDは先端面25において光軸方向D1と直交する方向に広がっている。一例として、シングルコアファイバ20のMFDは10(μm)から30(μm)に拡大されている。
【0029】
ビーム拡大部26における各シングルコアファイバ20のクラッド22の直径(クラッド径)は、先端面25に向かうに従って小さくなっている。各シングルコアファイバ20は、先端面25に向かうに従ってクラッド径が小さくなる縮径部27を有し、縮径部27においてシングルコアファイバ20のクラッド径が先端面25に向かって小さくなっている。一例として、シングルコアファイバ20のクラッド径C1は125(μm)であり、先端面25におけるクラッド径C2は120(μm)である。
【0030】
フェルール23は、例えば、ガラス製である。しかしながら、フェルール23の材料はガラスに限られない。フェルール23は、例えば、ジルコニア(ZrO)等のセラミックによって構成されていてもよい。フェルール23は、複数のシングルコアファイバ20が挿入される光ファイバ保持孔28、及び光ファイバ保持孔28が開口する端面29を有する。
【0031】
光ファイバ保持孔28は、各シングルコアファイバ20の光軸方向D1に沿って延在している。光ファイバ保持孔28は、フェルール23を光軸方向D1に貫通している。端面29には、各シングルコアファイバ20の先端面25が露出している。例えば、フェルール23の端面29は各シングルコアファイバ20の先端面25と面一である。すなわち、端面29及び先端面25は同一平面上に位置している。
【0032】
光ファイバ保持孔28は、端面29に向かって内径が小さくなるテーパ部28bを有する。テーパ部28bにおいてフェルール23の光ファイバ保持孔28の内径が端面29に向かって小さくなっている。光軸方向D1に対するテーパ部28bの傾斜角度θは、例えば、0.05°以上且つ1°以下である。テーパ部28bにはシングルコアファイバ20の先端面25が突き当たっている。
【0033】
光軸方向D1に沿って見た端面29における光ファイバ保持孔28の形状は、例えば、円形状を呈する。この場合、円形状を呈する光ファイバ保持孔28の内部に複数(一例として4本)のシングルコアファイバ20が配置されている。複数のシングルコアファイバ20は、光ファイバ保持孔28の内部において互いに接触している。各シングルコアファイバ20の先端面25は、光ファイバ保持孔28の内面28cに接触している。複数のシングルコアファイバ20の間には接着剤24が充填されている。
【0034】
図4は、変形例に係るフェルール23Aの端面29Aを光軸方向D1に沿って見た側面図である。光軸方向D1に沿って見た端面29Aにおける光ファイバ保持孔28Aの形状は、多角形状を呈していてもよい。図4では、光軸方向D1に沿って見た端面29Aにおける光ファイバ保持孔28Aの形状が四角形状である例を示している。この場合、四角形状を呈する光ファイバ保持孔28Aの内部に複数のシングルコアファイバ20が配置されている。
【0035】
例えば、光軸方向D1に沿って見た光ファイバ保持孔28Aの形状は、光軸方向D1に直交する第1方向D2に沿って延びる一対の第1辺28dと、光軸方向D1及び第1方向D2の双方に直交する第2方向D3に沿って延びる一対の第2辺28fとを有する矩形状を呈する。各シングルコアファイバ20の先端面25は、例えば、光ファイバ保持孔28Aの第1辺28d及び第2辺28fに接触している。
【0036】
図5は、別の変形例に係るフェルール23Bの端面29B、及びシングルコアファイバ20Bの先端面25Bを光軸方向D1に沿って見た側面図である。図5の例では、円形状を呈する光ファイバ保持孔28Bの内部に7本のシングルコアファイバ20が配置されている。円形状を呈する光ファイバ保持孔28Bの内部に7本のシングルコアファイバ20が充填されている。
【0037】
図6は、光軸方向D1に延びる平面でフェルール23を切断したフェルール23の断面図である。図6の例では、光ファイバ保持孔28の端面29を含む領域にテーパ部28bが形成されている。すなわち、光ファイバ保持孔28の一部にテーパ部28bが形成されている。
【0038】
しかしながら、図7に示される変形例に係るフェルール23Cのように、光ファイバ保持孔28Cは、光軸方向D1の一端から他端まで延びるテーパ部28gを有していてもよい。すなわち、テーパ部28gは、フェルール23Cの端面29とは反対側に位置する他端面29dから端面29まで延びていてもよい。
【0039】
更に、図8に示される別の変形例に係るフェルール23Dのように、光ファイバ保持孔28Dは、光軸方向D1に沿って延びる平面でフェルール23Dを切断した断面において曲線状とされていてもよい。図8の例では、フェルール23Dの当該断面において光ファイバ保持孔28Dの傾き(傾斜角度θ)が端面29に向かうに従って小さくなっている。
【0040】
次に、本実施形態に係る光ファイバアレイを組み立てる組立方法の例について説明する。まず、図9に示されるように、TECファイバであるシングルコアファイバ20を用意する。例えば、バーナ又はアーク放電により含有物が拡散されて先端面25のMFDが拡大された複数のシングルコアファイバ20を用意する。複数のシングルコアファイバ20は接着剤Aによってバンドル化される。このとき、光軸方向D1における複数のシングルコアファイバ20の先端面25の位置が揃えられる。
【0041】
次に、図10に示されるように、フェルール23の光ファイバ保持孔28に複数のシングルコアファイバ20を挿入する。複数のシングルコアファイバ20は、フェルール23の他端面29dから光ファイバ保持孔28に挿入される。光ファイバ保持孔28に挿入された複数のシングルコアファイバ20の先端面25は光ファイバ保持孔28のテーパ部28bに突き当たる。光ファイバ保持孔28のテーパ部28bにシングルコアファイバ20の先端面25が突き当たっている状態で接着剤24が光ファイバ保持孔28に充填される。
【0042】
光ファイバ保持孔28に充填された接着剤24が硬化した後に、フェルール23の研磨が行われる。このとき、フェルール23のうち各シングルコアファイバ20の先端面25が露出するまで(例えば図10の1点鎖線で示す研磨面Sに達するまで)フェルール23及び接着剤24が研磨される。そして、図2に示されるように、複数のシングルコアファイバ20の先端面25が露出してフェルール23の端面29が各シングルコアファイバ20の先端面25に揃えられた後に、光ファイバアレイ10の組み立てが完了する。
【0043】
次に、本実施形態に係る光ファイバアレイ10及び光ファイバ接続構造1から得られる作用効果について説明する。光ファイバアレイ10では、複数のシングルコアファイバ20が先端面25を有し、先端面25にはコア21内を伝搬する光のMFDを拡大可能なビーム拡大部26が形成されている。複数のシングルコアファイバ20は、フェルール23の光ファイバ保持孔28に挿入された状態でフェルール23に保持される。
【0044】
ビーム拡大部26における各シングルコアファイバ20のクラッド径は、先端面25に向かうに従って小さくなっている。フェルール23は光ファイバ保持孔28が開口する端面29を有し、光ファイバ保持孔28は端面29に向かって内径が小さくなっているテーパ部28bを有する。テーパ部28bは、シングルコアファイバ20の先端面25が突き当たる部位である。
【0045】
従って、複数のシングルコアファイバ20が光ファイバ保持孔28に挿入されたときに先端面25がテーパ部28bに突き当たった状態になっている。よって、シングルコアファイバ20のクラッド径が細くなる場合であっても複数のシングルコアファイバ20の位置をテーパ部28bに突き当てることによって確定させることができる。その結果、複数のシングルコアファイバ20の位置を安定させることができるので、複数のシングルコアファイバ20の位置精度を高めることができる。
【0046】
本実施形態では、ビーム拡大部26のクラッド径が先端面25に向かうに従って細くなっている縮径部27を有するシングルコアファイバ20であっても、光ファイバ保持孔28における位置ずれを抑制することができる。その結果、複数のシングルコアファイバ20におけるコア21のピッチ(間隔)が安定するので、シングルコアファイバ20における結合損失を低減でき、光ファイバ接続構造1としての光の結合損失も低減できる。従って、光ファイバアレイ10を備える実施形態の光ファイバ接続構造1からも、光ファイバアレイ10と同様の作用効果が得られる。
【0047】
本実施形態に係る光ファイバアレイ10において、複数のシングルコアファイバ20は互いに接触している。この場合、複数のシングルコアファイバ20が互いに接触することによって複数のシングルコアファイバ20の間に形成される隙間を低減できる。その結果、複数のシングルコアファイバ20の位置精度をより高めることができる。
【0048】
複数のシングルコアファイバ20の光軸方向D1に直交する面内におけるテーパ部28bの断面形状は、円形状であってもよい。この場合、光ファイバ保持孔28のテーパ部28bの形状を簡易な形状とすることができる。
【0049】
複数のシングルコアファイバ20の光軸方向D1に直交する面内におけるテーパ部28bの断面形状は、多角形状であってもよい。
【0050】
本実施形態に係る光ファイバアレイ10において、複数のシングルコアファイバ20の光軸方向D1に対するテーパ部28bの傾斜角度θは0.05°以上且つ1°以下である。この場合、光軸方向D1に対するテーパ部28bの傾斜角度θが0.05°以上であることにより、光ファイバ保持孔28に挿入されたシングルコアファイバ20の先端面25をテーパ部28bに突き当てることができる。光軸方向D1に対するテーパ部28bの傾斜角度θが1°以下であることにより、光ファイバ保持孔28のテーパ部28bの傾斜角度θが大きくなりすぎないようにすることができる。
【0051】
フェルール23がガラス製であってもよい。この場合、フッ化水素酸等を使った液体エッチング加工によってガラス製のフェルールを作製することが可能であり、テーパ化処理を行うことも可能である。また、ガラス製のフェルール23の線膨張率は光ファイバの線膨張率と近いため、ガラス製のフェルール23を備えた光ファイバアレイ10の特性等が環境温度の変化に対して安定しやすい。
【0052】
フェルール23がセラミック製であってもよい。この場合、例えばセラミック粉末を液体と混ぜてスラリー状にして金型に流し込む等、成型によってフェルール23を容易に製造することができる。例えば先端部がテーパ状となる金型を用意することにより、先端部がテーパ状のフェルール23を容易に製造できる。
【0053】
以上、本開示に係る光ファイバアレイ及び光ファイバ接続構造の実施形態について説明した。しかしながら、本発明は、前述した実施形態に限定されない。すなわち、本発明が特許請求の範囲に記載された要旨の範囲内において種々の変形及び変更が可能であることは、当業者によって容易に認識される。例えば、光ファイバアレイ及び光ファイバ接続構造の各部の形状、大きさ、材料、数及び配置態様は上記の要旨の範囲内において適宜変更可能である。例えば、前述の実施形態では、マルチコアファイバ30の先端面34の法線、及びシングルコアファイバ20の先端面25の法線が光軸方向D1に対して傾斜している例について説明した。しかしながら、マルチコアファイバの先端面の法線、及びシングルコアファイバの先端面の法線の少なくともいずれかが光軸方向に対して傾斜していなくてもよい。このように先端面の向きについては適宜変更可能である。
【符号の説明】
【0054】
1…光ファイバ接続構造
10…光ファイバアレイ
20,20B…シングルコアファイバ
21…コア
22…クラッド
23,23A,23B,23C,23D…フェルール
24…接着剤
25,25B…先端面
26…ビーム拡大部
26b…テーパ部
27…縮径部
28,28A,28B,28C,28D…光ファイバ保持孔
28b,28g…テーパ部
28c…内面
28d…第1辺
28f…第2辺
29,29A,29B…端面
29d…他端面
30…マルチコアファイバ
31…コア
32…クラッド
33…フェルール
34…先端面
40…第1レンズ
50…第2レンズ
A…接着剤
C1,C2…クラッド径
D1…光軸方向
D2…第1方向
D3…第2方向
θ…傾斜角度
図1
図2
図3
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図10