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特開2022-181681充電施設における電動車の充電管理システム及び充電管理方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022181681
(43)【公開日】2022-12-08
(54)【発明の名称】充電施設における電動車の充電管理システム及び充電管理方法
(51)【国際特許分類】
   H02J 7/02 20160101AFI20221201BHJP
   H02J 7/00 20060101ALI20221201BHJP
   B60L 53/67 20190101ALI20221201BHJP
【FI】
H02J7/02 G
H02J7/00 P
H02J7/02 J
B60L53/67
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021088748
(22)【出願日】2021-05-26
(71)【出願人】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003199
【氏名又は名称】弁理士法人高田・高橋国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 洋孝
【テーマコード(参考)】
5G503
5H125
【Fターム(参考)】
5G503AA01
5G503BA02
5G503BB01
5G503CA08
5G503FA06
5H125AA02
5H125AC12
5H125AC23
5H125BC21
5H125BE01
5H125DD02
5H125EE27
5H125EE30
(57)【要約】
【課題】電動車の貸し出しサービスに提供される電動車の稼働率を向上させる。
【解決手段】充電施設における電動車の充電管理システムは、1又は複数台の充電装置が設けられた充電場において電動車を充電完了SOCまで充電し、充電完了SOCまで充電された充電済電動車を充電場から貸し出し待ちの車両が駐車される待機場に移動させる。充電管理システムは、待機場で待機している充電済電動車の台数が所定台数以下になったことを受けて、充電済電動車の台数が所定台数より多い場合の値よりも低い値に充電完了SOCを切り替える。
【選択図】図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
充電施設における電動車の充電管理システムであって、
前記充電施設は、1又は複数台の充電装置が設けられた充電場と、貸し出し待ちの車両が駐車される待機場と、を含み、
前記充電管理システムは、
前記充電場において前記電動車を充電完了SOCまで充電することと、
前記充電完了SOCまで充電された充電済電動車を前記充電場から前記待機場に移動させることと、
前記待機場で待機している前記充電済電動車の台数が所定台数以下になったことを受けて、前記充電済電動車の台数が前記所定台数より多い場合の値よりも低い値に前記充電完了SOCを切り替えることと、を実行するように構成されている
ことを特徴とする充電施設における電動車の充電管理システム。
【請求項2】
請求項1に記載の充電施設における電動車の充電管理システムにおいて、
前記充電場の満車時に前記充電場で充電中の充電中電動車よりも高いSOCを有する返却電動車が返却されたことを受けて、前記充電中電動車を前記返却電動車と入れ替えること、をさらに実行するように構成されている
ことを特徴とする充電施設における電動車の充電管理システム。
【請求項3】
請求項2に記載の充電施設における電動車の充電管理システムにおいて、
最も低いSOCを有する充電中電動車を前記返却電動車と入れ替える
ことを特徴とする充電施設における電動車の充電管理システム。
【請求項4】
請求項1乃至3の何れか1項に記載の充電施設における電動車の充電管理システムにおいて、
前記充電場に空きができたことを受けて、最も低いSOCを有する充電済電動車を前記待機場から前記充電場に移動させること、をさらに実行するように構成されている
ことを特徴とする充電施設における電動車の充電管理システム。
【請求項5】
充電施設における電動車の充電管理方法であって、
前記充電施設は、1又は複数台の充電装置が設けられた充電場と、貸し出し待ちの車両が駐車される待機場と、を含み、
前記充電管理方法は、
前記充電場において前記電動車を充電完了SOCまで充電することと、
前記充電完了SOCまで充電された充電済電動車を前記充電場から前記待機場に移動させることと、
前記待機場で待機している前記充電済電動車の台数が所定台数以下になったことを受けて、前記充電済電動車の台数が前記所定台数より多い場合の値よりも低い値に前記充電完了SOCを切り替えることと、を含む
ことを特徴とする充電施設における電動車の充電管理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、カーシェアリングサービスやカーレンタルサービス等の電動車の貸し出しサービスに用いて好適な充電施設における電動車の充電管理システム及び充電管理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、電動車を貸し出すカーシェアリングサービスやカーレンタルサービスにおいて、急速充電器による充電と普通充電器による充電とをうまくスケジューリングすることで電動車の稼働率を向上させる技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2014-039409号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
電動車の貸し出しサービスにおいては、返却された電動車を充電して再び貸し出し可能な状態にする必要がある。しかし、充電には充電容量に応じた時間を要するため、常に電動車を満充電状態まで充電する場合、電動車の稼働率の低下によって貸し出し可能な車両が不足するおそれがある。上記従来技術は電動車の稼働率を向上させる上で改善の余地がある。
【0005】
本開示は、上述のような課題に鑑みてなされたものである。本開示は、電動車の貸し出しサービスに提供される電動車の稼働率を向上させることができる技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示は充電施設における電動車の充電管理システムを提供する。充電施設は、1又は複数台の充電装置が設けられた充電場と、貸し出し待ちの車両が駐車される待機場とを含む。本開示の充電管理システムは、以下を実行するように構成されている。
・充電場において電動車を充電完了SOCまで充電すること
・充電完了SOCまで充電された充電済電動車を充電場から待機場に移動させること
・待機場で待機している充電済電動車の台数が所定台数以下になったことを受けて、充電済電動車の台数が所定台数より多い場合の値よりも低い値に充電完了SOCを切り替えること
【0007】
本開示の充電管理システムは、充電場の満車時に充電場で充電中の充電中電動車よりも高いSOCを有する返却電動車が返却されたことを受けて、充電中電動車を返却電動車と入れ替えること、をさらに実行するように構成されてもよい。この場合、最も低いSOCを有する充電中電動車を返却電動車と入れ替えてもよい。また、本開示の充電管理システムは、充電場に空きができたことを受けて、最も低いSOCを有する充電済電動車を待機場から充電場に移動させること、をさらに実行するように構成されてもよい。
【0008】
本開示は充電施設における電動車の充電管理方法を提供する。充電施設は、1又は複数台の充電装置が設けられた充電場と、貸し出し待ちの車両が駐車される待機場とを含む。本開示の充電管理方法は、以下のステップを含む。
・充電場において電動車を充電完了SOCまで充電すること
・充電完了SOCまで充電された充電済電動車を充電場から待機場に移動させること
・待機場で待機している充電済電動車の台数が所定台数以下になったことを受けて、充電済電動車の台数が所定台数より多い場合の値よりも低い値に充電完了SOCを切り替えること
【発明の効果】
【0009】
本開示の充電施設における電動車の充電管理システム及び充電管理方法によれば、待機場で待機している充電済電動車の台数が少なくなったときには、充電場で電動車に充電する際の充電完了SOCを低くされる。充電完了SOCが低くなると短時間で充電が完了するため、より早く待機場に充電済電動車を供給できるようになる。つまり、電動車の貸し出しサービスに提供される電動車の稼働率を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本開示の実施形態に係る充電管理システムが適用された充電施設の概略図である。
図2】本開示の実施形態に係る充電管理システムの構成を示すブロック図である。
図3】本開示の実施形態に係る充電管理システムにより実行される充電完了SOCの切り替えを説明するための概略図である。
図4】本開示の実施形態に係る充電管理システムにより実行される充電完了SOCの切り替えを説明するための概略図である。
図5】本開示の実施形態に係る充電管理システムにより実行される充電車両の入れ替え指示を説明するための概略図である。
図6】本開示の実施形態に係る充電管理システムにより実行される充電済車両の再充電指示を説明するための概略図である。
図7】本開示の実施形態に係る充電管理方法を説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照して本開示の実施形態について説明する。ただし、以下に示す実施形態において各要素の個数、数量、量、範囲等の数に言及した場合、特に明示した場合や原理的に明らかにその数に特定される場合を除いて、その言及した数に、本開示に係る思想が限定されるものではない。また、以下に示す実施形態において説明する構造等は、特に明示した場合や明らかに原理的にそれに特定される場合を除いて、本開示に係る思想に必ずしも必須のものではない。
【0012】
1.充電施設及び充電管理システムの構成
図1は、本開示の実施形態に係る充電管理システム40が適用された充電施設100の概略図である。充電施設100は、貸し出しサービスに提供される電動車2を貸し出し可能な状態に充電するとともに、貸し出し待ちの電動車2を待機させておく施設である。本実施形態の貸し出しサービスとは、例えば、カーシェアリングサービスである。貸し出しサービスに提供される電動車2は、充電可能なバッテリを有するEV、具体的には、BEVとPHEVである。ただし、本実施形態の貸し出しサービスに提供される電動車2は、バッテリ容量と充電出力を含めて同一スペックであるとする。
【0013】
充電施設100は、返却された電動車2が一時的に駐車される返却場10、電動車2への充電が行われる充電場20、及び、貸し出し待ちの電動車2が駐車される待機場30を備える。充電場20は、充電装置24が設けられた複数の充電用駐車枠22からなる。充電用駐車枠22に設けられる充電装置24は、ケーブルを電動車2に接続して充電を行う接触型でもよいし、地上側の送電コイルから電動車2側の受電コイルへワイヤレスで電力を伝送する非接触型でもよい。また、充電装置24は、急速充電装置でもよいし普通充電装置でもよい。待機場30は複数の待機用駐車枠32からなる。
【0014】
待機用駐車枠32は、貸し出しサービスで提供される電動車2の台数分だけ設けられている。本実施形態では、10台分の待機用駐車枠32が待機場30に設けられている。一方、充電用駐車枠22の数は、待機用駐車枠32の数よりも少ない。理想的には、充電用駐車枠22が貸し出しサービスで提供される電動車2の台数分だけ設けられていれば、待機場30は不要である。しかし、そのためには充電装置24を電動車2の台数分だけ用意する必要があり、設備コストが増大してしまう。そこで、充電施設100では、充電用駐車枠22は充電専用とし、充電が完了した電動車は待機用駐車枠32に移動させることで、少ない数の充電装置24による運用を可能にしている。なお、本実施形態では、3台分の充電用駐車枠22が充電場20に用意されている。
【0015】
本実施形態の充電管理システム40は、上述のような充電施設100において電動車2の充電管理を行う。充電管理システム40は、管理装置42と記憶装置44とを含む。管理装置42は、無線通信によって充電施設100内の電動車2と通信可能なコンピュータである。管理装置42は、充電施設100内の各電動車2のSOC(State Of Charge)と各電動車2の駐車場所とを管理する。記憶装置44は、管理装置42に内蔵された或いは外付けされたストレージ、若しくは、管理装置42にネットワークで接続されたデータサーバである。
【0016】
図2は、充電管理システム40の構成を示すブロック図である。充電管理システム40を構成する管理装置42は、少なくとも1つのプロセッサ42a(以下、単にプロセッサ42aと呼ぶ)とプロセッサ42aに結合された少なくとも1つのメモリ42b(以下、単にメモリ42bと呼ぶ)とを備えている。メモリ42bには、プロセッサ42aで実行可能な少なくとも1つのプログラム42c(以下、単にプログラム42cと呼ぶ)が記憶されている。
【0017】
プログラム42cは、充電施設100内の電動車2のSOCを管理することを管理装置42に実行させるプログラムを含む。そのプログラムがプロセッサ42aで実行された場合、管理装置42(プロセッサ42a)によって充電完了SOCの切り替え、充電車両の入れ替え指示、及び充電済車両の再充電指示の各処理が実行される。
【0018】
充電管理システム40を構成する記憶装置44には、データベース46が格納されている。データベース46には、充電施設100内の電動車2ごとのSOCが記録されている。また、データベース46には、電動車2ごとの駐車場所も併せて記録されている。管理装置42は、無線通信によって充電施設100内の各電動車2から最新のSOCを周期的に取得し、データベース46に記憶されたSOCを更新する。また、充電施設100内の電動車2の位置情報に基づいて、データベース46に記憶された駐車場所を更新する。データベース46に記憶された電動車2ごとのSOC及び駐車場所は、管理装置42による充電完了SOC切り替え、充電車両の入れ替え指示、及び充電済車両の再充電指示の各処理において用いられる。
【0019】
2.充電管理システムの機能
以下、充電管理システム40の機能について図3乃至図6を参照して説明する。
【0020】
図3及び図4は、充電管理システム40により実行される処理の一つである充電完了SOCの切り替えを説明するための概略図である。充電完了SOCは、充電装置24による電動車2の充電時、電動車2への充電が完了したと判定されるSOCである。ゆえに、充電完了SOCが電動車2のSOCの上限となる。充電完了SOCは、充電管理システム40からの通信によって電動車2に設定される。充電管理システム40は、待機場30に待機している充電済みの電動車2の台数に応じて、充電完了SOCの値を通常値と緊急対応値とで切り替える。
【0021】
充電完了SOCの通常値は、電動車2のバッテリを効率よく且つ劣化を抑えながら使用できる値に設定されている。本実施形態では、一例として、充電完了SOCの通常値は90%であるとする。待機場30に待機している充電済みの電動車2の台数が第1所定台数を越えている場合、充電管理システム40は、充電完了SOCを通常値に設定する。第1所定台数は、例えば、電動車2の貸し出し需要に耐えられる台数、つまり、同時に貸し出される可能性のある最大台数に設定される。本実施形態では、一例として、第1所定台数は5台であるとする。
【0022】
図3に示す例では、待機場30に待機している充電済みの電動車2の台数は第1所定台数よりも多い6台である。ゆえに、充電完了SOCは通常値である90%に設定される。充電場20において充電中の電動車2のSOCが90%に達した場合、充電装置24からの充電は停止される。SOC90%まで充電された充電済みの電動車2は、充電場20の充電用駐車枠22から待機場30の待機用駐車枠32へ移される。
【0023】
図4に示す例では、待機場30に待機している充電済みの電動車2の台数は第1所定台数以下の3台である。この場合、充電管理システム40は、充電完了SOCの値を通常値から緊急対応値に切り替える。緊急対応値は通常値よりも低い値に設定されている。充電完了SOCを下げることで、短時間で電動車2の充電が完了するようになる。電動車2の充電の完了までの時間が短縮されれば、貸し出しサービスに提供可能な電動車2をより早く待機場30に供給ができるようになる。つまり、貸し出しサービスに提供される電動車2の稼働率を向上させることができる。
【0024】
充電完了SOCを低い値にするほど、電動車2の充電の完了までの時間はより短縮される。しかし、充電完了SOCを過剰に低くすると、ユーザの利用に耐えうる走行距離を確保できなくなってしまう。このため、ユーザが申告した利用距離、ユーザが申告した利用時間から算出した距離、ユーザの平均利用距離等に基づいてユーザの利用に耐えうる下限走行距離が推定され、下限走行距離を確保できるSOCが充電完了SOCの緊急対応値として設定されている。本実施形態では、一例として、充電完了SOCの緊急対応値は70%であるとする。図4に示す例では、充電場20において充電中の電動車2のSOCが70%に達した場合、充電装置24からの充電は停止される。SOC70%まで充電された充電済みの電動車2は、充電場20の充電用駐車枠22から待機場30の待機用駐車枠32へ移される。
【0025】
次に、充電管理システム40により実行される処理の一つである充電車両の入れ替え指示について図5を用いて説明する。
【0026】
前述のように、充電場20の充電用駐車枠22の数は、貸し出しサービスに提供される電動車2の台数よりも少ない。このため、充電用駐車枠22が充電中の電動車2で満車になる場合がある。その場合、新たに返却された電動車2は、充電用駐車枠22の空きができるまで返却場10で待たされることになる。しかし、貸し出しサービスに提供される電動車2の稼働率を向上させるためには、貸し出しサービスに提供可能な電動車2をより早く待機場30に供給することが求められる。
【0027】
そこで、充電管理システム40は、より早く充電が完了する電動車2が優先的に充電用駐車枠22を利用できるように、新たに返却された電動車2のSOCが充電中の電動車2のSOCより高い場合、充電中の電動車2を返却された電動車2と入れ替える。このような入れ替えを行うことで、SOCが低い電動車2への充電をそのまま続けるよりも、充電完了までの時間を短縮することができる。つまり、貸し出しサービスに提供される電動車2の稼働率を向上させることができる。
【0028】
ただし、電動車2の入れ替えは、待機場30で待機している充電済みの電動車2の台数が不足している場合に行われる。充電済みの電動車2が不足していないのであれば、不要なオペレーションを極力減らすため、電動車2の入れ替えは行われない。充電管理システム40は、待機場30に待機している充電済みの電動車2の台数が第2所定台数以下の場合、充電車両の入れ替え指示を行う。第2所定台数は第1所定台数以下であることが好ましい。本実施形態では、一例として、第2所定台数は第1所定台数と同じく5台であるとする。
【0029】
図5に示す例では、充電場20において3台の電動車2B,2C,2Dが充電されている。そこに新たに電動車2Aが返却されてきたとする。電動車2Aの返却時点において、充電中の電動車2B,2C,2DのSOCがそれぞれ40%、65%、30%であるのに対し、返却された電動車2AのSOCは60%である。この場合、電動車2B或いは電動車2Dへの充電を続けるよりも、電動車2Aへの充電を優先させた方がより早く待機場30へ電動車2を供給することができる。
【0030】
電動車2Aへの充電を優先させる上では、電動車2AよりもSOCが低い電動車2Bと電動車2Dのどちらと入れ替えてもよい。しかし、電動車2Aの次に充電が完了する電動車の充電完了時間まで考慮すると、SOCがより低い方の電動車と入れ替えることが好ましい。図5に示す例では、充電管理システム40は、返却された電動車2AよりもSOCが低い電動車2B,2Dの中で、最もSOCが低い電動車2Dを返却された電動車2Aと入れ替えるように指示を出す。これにより、電動車2Aの次に充電が完了する電動車の充電完了までの時間を短縮することができる。
【0031】
次に、充電管理システム40により実行される処理の一つである充電済車両の再充電指示について図6を用いて説明する。
【0032】
上述のように、本実施形態では、待機場30で待機している充電済みの電動車2の台数が第1所定台数以下になった場合、充電完了SOCが通常値から緊急対応値に切り替えられる。このため、充電済みの電動車2の中には、他の電動車2よりもSOCが低い電動車2が含まれる場合がある。また、仮に満充電まで充電されていたとしても、電動車2のSOCは、待機場30での待機中に自然放電によって少しずつ減少する。しかし、貸し出しサービスにおけるユーザ満足度の観点からは、ユーザにはできるだけ満充電に近い電動車2を貸し出したい。
【0033】
そこで、充電管理システム40は、待機場30に十分な台数の充電済みの電動車2が待機しており、且つ、充電場20の充電用駐車枠22に空きがある場合、充電済みの電動車2の再充電を行うように指示を出す。具体的には、充電管理システム40は、待機場30に待機している充電済みの電動車2の台数が第3所定台数を超える場合、再充電指示を行う。第3所定台数は第1所定台数以上であることが好ましい。本実施形態では、一例として、第3所定台数は第1所定台数と同じく5台であるとする。再充電を行う電動車2は、待機場30に待機している電動車の中で最も低いSOCを有する電動車2である。
【0034】
図6に示す例では、待機場30に第3所定台数よりも多い6台の充電済みの電動車2H,2J,2K,2L,2M,2Nが待機している。充電場20は3台の電動車2E,2F,2Gで満車であったが、電動車2Fの充電が完了し、電動車2Fが待機場30の待機用駐車枠32に移動したことで、充電用駐車枠22に空きができている。充電管理システム40は、充電済みの電動車2H,2J,2K,2L,2M,2Nの中で最もSOCが低い電動車2Hを充電用駐車枠22へ移動させて再充電するように指示を出す。このとき、電動車2Hには、充電完了SOCとして通常値が設定される。これにより、電動車2Hがユーザに貸し出される際には、より満充電に近い状態で貸し出すことが可能になる。
【0035】
3.充電管理システムによる充電管理方法
次に、上述の充電管理システム40による充電管理方法について図7のフローチャートを用いて説明する。まず、ユーザから返却場10に電動車2が返却される(ステップS101)。電動車2の返却を受けて、充電管理システム40は、待機場30で待機している充電済みの電動車2の台数が第1所定台数以下かどうか判定する(ステップS102)。充電管理システム40は、待機台数が第1所定台数以下の場合、充電完了SOCを緊急対応値である70%に設定し(ステップS103)、待機台数が第1所定台数より多い場合、充電完了SOCを通常値である90%に設定する(ステップS104)。
【0036】
次に、充電管理システム40は、充電場20の充電用駐車枠22の残りの枠数を計算し、充電用駐車枠22に空きが無いか判定する(ステップS105)。充電用駐車枠22に空きが有る場合、返却された電動車2を空いている充電用駐車枠22に移動させる(ステップS106)。そして、ステップS103或いはステップS104で設定された充電完了SOCに従い、返却された電動車2への充電を開始させる(ステップS111)。
【0037】
充電用駐車枠22に空きが無い場合、充電管理システム40は、待機場30で待機している充電済みの電動車2の台数が第2所定台数以下かどうか判定する(ステップS107)。待機台数が第2所定台数より多い場合、返却された電動車2に対して充電用駐車枠22が空くのを待つよう指示する(ステップS109)。
【0038】
待機台数が第2所定台数以下の場合、充電管理システム40は、返却された電動車2のSOCと充電中の各電動車2のSOCと比較する。そして、返却された電動車2よりもSOCが低い充電中の電動車2の有無を判定する(ステップS108)。充電中のどの電動車2のSOCも返却された電動車2のSOCより高い場合、返却された電動車2に対して充電用駐車枠22が空くのを待つよう指示する(ステップS109)。
【0039】
充電中の電動車2の中に返却された電動車2よりもSOCが低い電動車が含まれる場合、充電管理システム40は、その中で最もSOCが低い電動車2を選択する。そして、選択された最もSOCが低い充電中の電動車2と、返却された電動車2とを入れ替えさせる(ステップS110)。充電管理システム40は、ステップS103或いはステップS104で設定された充電完了SOCに従い、返却された電動車2に対して充電を開始させる(ステップS111)。
【0040】
充電中の電動車2では、SOCがステップS103或いはステップS104で設定された充電完了SOCに達したかどうか判定される(ステップS112)。SOCが充電完了SOCに達するまでは、充電が継続される(ステップS113)。SOCが充電完了SOCに達したところで充電は完了し、充電管理システム40は、充電済みの電動車2を充電用駐車枠22から待機場30の待機用駐車枠32へ移動させる(ステップS114)。
【0041】
次に、充電管理システム40は、充電場20の充電用駐車枠22の残りの枠数を計算し、充電用駐車枠22に空きが有るか判定する(ステップS115)。充電用駐車枠22に空きが無いのであれば、何もすることなく充電済みの電動車2をそのまま待機場30で待機させておく。
【0042】
充電用駐車枠22に空きが有る場合、充電管理システム40は、待機場30で待機している充電済みの電動車2の台数が第3所定台数より多いかどうか判定する(ステップS116)。待機台数が第3所定台数以下の場合、何もすることなく充電済みの電動車2をそのまま待機場30で待機させておく。
【0043】
待機台数が第3所定台数より多い場合、充電管理システム40は、待機場30で待機している充電済みの電動車2の中で最もSOCが低い電動車2を空いている充電用駐車枠22へ移動させる(ステップS117)。そして、充電用駐車枠22へ戻された充電済みの電動車2に対し、充電完了SOCを通常値に設定して再充電を開始させる(ステップS111)。
【0044】
4.その他の実施形態
上述の実施形態では、充電済の電動車2の待機台数が第1所定台数以下かどうかによって充電完了SOCを切り替えているが、充電完了SOCを通常値から緊急対応値に切り替える閾値台数よりも、充電完了SOCを緊急対応値から通常値に切り替える閾値台数を大きくしてもよい。例えば、上述の実施形態のように電動車2の待機台数が5台以下になったら充電完了SOCを通常値から緊急対応値に切り替える場合、電動車2の待機台数が7台以上になったら充電完了SOCを緊急対応値から通常値に切り替えるようにしてもよい。第2所定台数及び第3所定台数についても同様である。
【0045】
充電施設100は、自動バレー駐車施設であってもよい。この場合、電動車2は、返却場10から指定された充電用駐車枠22までのルート、及び、充電用駐車枠22から指定された待機用駐車枠32までのルートを各種の情報に基づいて自動走行し、指定された充電用駐車枠22或いは待機用駐車枠32に自動駐車する。また、充電済電動車の再充電の場合には、電動車2は、待機用駐車枠32から指定された充電用駐車枠22までのルートを各種の情報に基づいて自動走行し、指定された充電用駐車枠22に自動駐車する。充電用駐車枠22に設置される充電装置24は、無人で充電可能な充電装置、例えば、電磁誘導を利用した非接触充電装置である。充電施設100内での自動走行及び自動駐車は、電動車2に搭載された車両制御システムによって行われる。車両制御システムは、自動バレー駐車システムとしての充電管理システム40に無線接続され、充電管理システム40からの指示に従って電動車2を自動走行及び自動駐車させる。
【符号の説明】
【0046】
2 電動車
10 返却場
20 充電場
22 充電用駐車枠
24 充電装置
30 待機場
32 待機用駐車枠
40 充電管理システム
42 管理装置
42b メモリ
42c プログラム
44 記憶装置
46 データベース
100 充電施設
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7