IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社デンソーの特許一覧

<>
  • 特開-車両用制御装置及び車両用制御方法 図1
  • 特開-車両用制御装置及び車両用制御方法 図2
  • 特開-車両用制御装置及び車両用制御方法 図3
  • 特開-車両用制御装置及び車両用制御方法 図4
  • 特開-車両用制御装置及び車両用制御方法 図5
  • 特開-車両用制御装置及び車両用制御方法 図6
  • 特開-車両用制御装置及び車両用制御方法 図7
  • 特開-車両用制御装置及び車両用制御方法 図8
  • 特開-車両用制御装置及び車両用制御方法 図9
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022181692
(43)【公開日】2022-12-08
(54)【発明の名称】車両用制御装置及び車両用制御方法
(51)【国際特許分類】
   G08G 1/09 20060101AFI20221201BHJP
   B60K 35/00 20060101ALI20221201BHJP
   B60W 60/00 20200101ALI20221201BHJP
   B60W 50/14 20200101ALI20221201BHJP
   B60W 30/00 20060101ALI20221201BHJP
【FI】
G08G1/09 H
B60K35/00 A
B60W60/00
B60W50/14
B60W30/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021088764
(22)【出願日】2021-05-26
(71)【出願人】
【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
(74)【代理人】
【識別番号】100106149
【弁理士】
【氏名又は名称】矢作 和行
(74)【代理人】
【識別番号】100121991
【弁理士】
【氏名又は名称】野々部 泰平
(74)【代理人】
【識別番号】100145595
【弁理士】
【氏名又は名称】久保 貴則
(72)【発明者】
【氏名】坂井 あす郁
(72)【発明者】
【氏名】小林 太郎
(72)【発明者】
【氏名】宮崎 夏子
(72)【発明者】
【氏名】野原 雅史
(72)【発明者】
【氏名】李 昊舟
(72)【発明者】
【氏名】松井 一博
(72)【発明者】
【氏名】崔 晋海
【テーマコード(参考)】
3D241
3D344
5H181
【Fターム(参考)】
3D241BA60
3D241CC01
3D241CC08
3D241CC17
3D241CE03
3D241CE04
3D241CE05
3D241DB01Z
3D241DC02Z
3D241DC26Z
3D344AA19
3D344AB01
3D344AC25
5H181AA01
5H181BB04
5H181BB05
5H181CC03
5H181CC04
5H181CC11
5H181CC12
5H181CC14
5H181CC27
5H181LL01
5H181LL02
(57)【要約】
【課題】対象車両と車車間通信でやりとり可能な周辺車両を、対象車両のユーザが直感的により容易に区別できるようにすることを可能にする。
【解決手段】他車両から車車間通信によって受信した、他車両で他車両別に設定された表示用の情報である設定表示情報、及び他車両の位置特定用の情報を取得する受信情報取得部105と、受信情報取得部105で取得した位置特定用の情報をもとに、自車に対する他車両の位置を特定する他車位置特定部106と、他車位置特定部106で特定した自車に対する他車両の位置と、受信情報取得部105で取得した設定表示情報とをもとに、表示装置91による表示を制御し、自車の前景中の他車両の位置に、設定表示情報が示す情報を重畳表示させる表示制御部100とを備える。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両で用いることが可能な車両用制御装置であって、
前記車両以外の他車両から車車間通信によって受信した、前記他車両で前記他車両別に設定された表示用の情報である設定表示情報、及び前記他車両の位置特定用の情報を取得する受信情報取得部(105)と、
前記受信情報取得部で取得した前記位置特定用の情報をもとに、前記車両に対する前記他車両の位置を特定する他車位置特定部(106)と、
前記車両の前景に画像を重畳表示させる表示装置(91)による表示を制御する表示制御部(100)とを備え、
前記表示制御部は、前記他車位置特定部で特定した前記車両に対する前記他車両の位置と、前記受信情報取得部で取得した前記設定表示情報とをもとに、前記車両の前景中の前記他車両の位置に、前記設定表示情報が示す情報を重畳表示させる車両用制御装置。
【請求項2】
請求項1に記載の車両用制御装置であって、
前記受信情報取得部は、前記設定表示情報として、前記他車両において設定された前記他車両若しくは前記他車両の乗員を疑似的に表す画像である疑似画像の表示用の情報を取得し、
前記表示制御部は、前記他車位置特定部で特定した前記車両に対する前記他車両の位置と、前記受信情報取得部で取得した前記設定表示情報とをもとに、前記車両の前景中の前記他車両の位置に、前記設定表示情報が示す情報としての、その他車両でその他車両について設定された前記疑似画像を重畳表示させる車両用制御装置。
【請求項3】
請求項2に記載の車両用制御装置であって、
運転者の監視義務のない自動運転である監視義務なし自動運転が可能な前記車両で用いることが可能であり、
前記表示制御部は、前記車両が前記監視義務なし自動運転中であって、且つ、前記車車間通信を介して前記他車両との間で前記車両の前景に重畳表示される画像を用いたオンラインゲームが行われる場合に、前記他車位置特定部で特定した前記車両に対する前記他車両の位置と、前記受信情報取得部で取得した前記設定表示情報とをもとに、前記車両の前景中の、前記オンラインゲームの相手となる前記他車両の位置に、その他車両でその他車両について設定された前記疑似画像を重畳表示させる車両用制御装置。
【請求項4】
請求項2又は3に記載の車両用制御装置であって、
前記受信情報取得部は、前記設定表示情報として、前記他車両において設定されたメッセージを表すテキストの表示用の情報も取得し、
前記表示制御部は、前記車両の前景中の前記他車両の位置に前記疑似画像を重畳表示させる場合であって、且つ、前記受信情報取得部で前記テキストの表示用の情報も取得した場合には、前記疑似画像が前記テキストの前記メッセージの内容を発話しているような表示態様で前記テキストを表示させる車両用制御装置。
【請求項5】
請求項1に記載の車両用制御装置であって、
前記受信情報取得部は、前記設定表示情報として、前記他車両において設定されたメッセージを表すテキストの表示用の情報を取得し、
前記表示制御部は、前記他車位置特定部で特定した前記車両に対する前記他車両の位置と、前記受信情報取得部で取得した前記設定表示情報とをもとに、前記車両の前景中の前記他車両の位置に、前記設定表示情報が示す情報としての、その他車両でその他車両について設定された前記テキストを重畳表示させる車両用制御装置。
【請求項6】
車両で用いることが可能な車両用制御装置であって、
前記車両についての表示用の情報である設定表示情報を設定する設定部(103,103a)と、
前記車両の位置特定用の情報を特定する位置特定部(101)と、
前記車両以外の他車両に、車車間通信によって情報を送信させる送信指示部(104,104a)とを備え、
前記送信指示部は、前記位置特定部で特定した前記位置特定用の情報と前記設定部で設定した前記設定表示情報とを、前記位置特定用の情報をもとに特定される前記車両の位置と前記設定表示情報とをもとに前記他車両の前景中の前記車両の位置に前記設定表示情報が示す情報を重畳表示させる前記他車両に、送信させる車両用制御装置。
【請求項7】
請求項6に記載の車両用制御装置であって、
前記設定部は、前記設定表示情報として、前記車両若しくは前記車両の乗員を疑似的に表す画像である疑似画像の表示用の情報を設定する車両用制御装置。
【請求項8】
請求項6に記載の車両用制御装置であって、
前記設定部(103a)は、前記設定表示情報として、メッセージを表すテキストの表示用の情報を設定し、
前記車両と前記車車間通信が可能な前記他車両である通信可能車両を特定する通信候補特定部(108)と、
前記通信候補特定部で特定した前記通信可能車両のうちから前記設定表示情報の送信先を決定する送信先決定部(109)とを備え、
前記送信指示部(104a)は、前記位置特定部で特定した前記位置特定用の情報と前記設定部で設定した前記設定表示情報とを、前記位置特定用の情報をもとに特定される前記車両の位置と前記設定表示情報とをもとに前記他車両の前景中の前記車両の位置に前記設定表示情報として前記テキストを重畳表示させる前記通信可能車両のうちの、前記送信先決定部で送信先と決定した前記通信可能車両に送信させる車両用制御装置。
【請求項9】
車両で用いることが可能な車両用制御方法であって、
少なくとも1つのプロセッサにより実行される、
前記車両以外の他車両から車車間通信によって受信した、前記他車両で前記他車両別に設定された表示用の情報である設定表示情報、及び前記他車両の位置特定用の情報を取得する受信情報取得工程と、
前記受信情報取得工程で取得した前記位置特定用の情報をもとに、前記車両に対する前記他車両の位置を特定する他車位置特定工程と、
前記車両の前景に画像を重畳表示させる表示装置(91)による表示を制御する表示制御工程とを含み、
前記表示制御工程では、前記他車位置特定工程で特定した前記車両に対する前記他車両の位置と、前記受信情報取得工程で取得した前記設定表示情報とをもとに、前記車両の前景中の前記他車両の位置に、前記設定表示情報が示す情報を重畳表示させる車両用制御方法。
【請求項10】
車両で用いることが可能な車両用制御方法であって、
少なくとも1つのプロセッサにより実行される、
前記車両についての表示用の情報である設定表示情報を設定する設定工程と、
前記車両の位置特定用の情報を特定する位置特定工程と、
前記車両以外の他車両に、車車間通信によって情報を送信させる送信指示工程とを含み、
前記送信指示工程では、前記位置特定工程で特定した前記位置特定用の情報と前記設定工程で設定した前記設定表示情報とを、前記位置特定用の情報をもとに特定される前記車両の位置と前記設定表示情報とをもとに前記他車両の前景中の前記車両の位置に前記設定表示情報が示す情報を重畳表示させる前記他車両に送信させる車両用制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、車両用制御装置及び車両用制御方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、自車のディスプレイに他車両が含まれる画像を表示させる場合に、その他車両と重ねてマルチメディア情報を表示させる技術が開示されている。特許文献1には、マルチメディア情報が対戦ゲームの場合に、自車に対応付けられるプレイヤゲーム媒体及び外部物体に対応付けられる敵ゲーム媒体が、自車と外部物体との相対位置を表すように、マルチメディア情報内に表示される技術が開示されている。また、特許文献1には、敵ゲーム媒体を、トラック,乗用車,バイク,歩行者といった外部物体の種類に応じて設定する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2019-133260号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1では、外部物体の種類に応じて敵ゲーム媒体の種類を設定するだけであるので、自車と通信でやり取りが可能な他車両を区別することが困難であった。よって、自車の周囲にいる他車両とコミュニケーションを試みたいと思った場合にも、コミュニケーションをとることのできる他車両を容易に把握することができなかった。
【0005】
この開示のひとつの目的は、対象車両と車車間通信でやりとり可能な周辺車両を、対象車両のユーザが直感的により容易に区別できるようにすることを可能にする車両用制御装置及び車両用制御方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的は独立請求項に記載の特徴の組み合わせにより達成され、また、下位請求項は、開示の更なる有利な具体例を規定する。特許請求の範囲に記載した括弧内の符号は、ひとつの態様として後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示すものであって、本開示の技術的範囲を限定するものではない。
【0007】
上記目的を達成するために、本開示の第1の車両用制御装置は、車両で用いることが可能な車両用制御装置であって、車両以外の他車両から車車間通信によって受信した、他車両で他車両別に設定された表示用の情報である設定表示情報、及び他車両の位置特定用の情報を取得する受信情報取得部(105)と、受信情報取得部で取得した位置特定用の情報をもとに、車両に対する他車両の位置を特定する他車位置特定部(106)と、車両の前景に画像を重畳表示させる表示装置(91)による表示を制御する表示制御部(100)とを備え、表示制御部は、他車位置特定部で特定した車両に対する他車両の位置と、受信情報取得部で取得した設定表示情報とをもとに、車両の前景中の他車両の位置に、設定表示情報が示す情報を重畳表示させる。
【0008】
上記目的を達成するために、本開示の第1の車両用制御方法は、車両で用いることが可能な車両用制御方法であって、少なくとも1つのプロセッサにより実行される、車両以外の他車両から車車間通信によって受信した、他車両で他車両別に設定された表示用の情報である設定表示情報、及び他車両の位置特定用の情報を取得する受信情報取得工程と、受信情報取得工程で取得した位置特定用の情報をもとに、車両に対する他車両の位置を特定する他車位置特定工程と、車両の前景に画像を重畳表示させる表示装置(91)による表示を制御する表示制御工程とを含み、表示制御工程では、他車位置特定工程で特定した車両に対する他車両の位置と、受信情報取得工程で取得した設定表示情報とをもとに、車両の前景中の他車両の位置に、設定表示情報が示す情報を重畳表示させる。
【0009】
これによれば、設定表示情報が示す情報の重畳表示は、自車と車車間通信でやり取り可能な他車両から設定表示情報を取得した場合に行われる。よって、設定表示情報が示す情報の重畳表示が行われることから、自車と車車間通信でやり取り可能な他車両をユーザが容易に区別することが可能になる。また、車両の前景中の他車両の位置に、設定表示情報が示す情報を重畳表示させるので、自車と車車間通信でやり取り可能な他車両をユーザが直感的に区別することが可能になる。その結果、対象車両と車車間通信でやりとり可能な周辺車両を、対象車両のユーザが直感的により容易に区別できるようにすることが可能になる。
【0010】
上記目的を達成するために、本開示の第2の車両用制御装置は、車両で用いることが可能な車両用制御装置であって、車両についての表示用の情報である設定表示情報を設定する設定部(103,103a)と、車両の位置特定用の情報を特定する位置特定部(101)と、車両以外の他車両に、車車間通信によって情報を送信させる送信指示部(104,104a)とを備え、送信指示部は、位置特定部で特定した位置特定用の情報と設定部で設定した設定表示情報とを、位置特定用の情報をもとに特定される車両の位置と設定表示情報とをもとに他車両の前景中の車両の位置に設定表示情報が示す情報を重畳表示させる他車両に、送信させる。
【0011】
上記目的を達成するために、本開示の第2の車両用制御方法は、車両で用いることが可能な車両用制御方法であって、少なくとも1つのプロセッサにより実行される、車両についての表示用の情報である設定表示情報を設定する設定工程と、車両の位置特定用の情報を特定する位置特定工程と、車両以外の他車両に、車車間通信によって情報を送信させる送信指示工程とを含み、送信指示工程では、位置特定工程で特定した位置特定用の情報と設定部で設定した設定表示情報とを、位置特定用の情報をもとに特定される車両の位置と設定表示情報とをもとに他車両の前景中の車両の位置に設定表示情報が示す情報を重畳表示させる他車両に送信させる。
【0012】
これによれば、自車と車車間通信でやり取り可能な他車両において、取得した設定表示情報が示す情報の重畳表示が行われる。よって、設定表示情報が示す情報の重畳表示が行われることから、他車両において、その他車両と車車間通信でやり取り可能な自車を他車両のユーザが容易に区別することが可能になる。また、自車の位置特定用の情報も送信させることで、他車両の前景中の自車の位置に、設定表示情報が示す情報を重畳表示させるので、他車両において、その他車両と車車間通信でやり取り可能な自車を他車両のユーザが直感的に区別することが可能になる。その結果、対象車両と車車間通信でやりとり可能な周辺車両を、対象車両のユーザが直感的により容易に区別できるようにすることが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】車両用システム1の概略的な構成の一例を示す図である。
図2】HCU10の概略的な構成の一例を示す図である。
図3】疑似画像の表示例を示す図である。
図4】メッセージテキストの表示例を示す図である。
図5】HCU10での重畳表示制御関連処理の流れの一例を示すフローチャートである。
図6】HCU10aの概略的な構成の一例を示す図である。
図7】メッセージテキストの表示例を示す図である。
図8】HCU10aでの送信指示関連処理の流れの一例を示すフローチャートである。
図9】HCU10aでの重畳表示制御関連処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
図面を参照しながら、開示のための複数の実施形態を説明する。なお、説明の便宜上、複数の実施形態の間において、それまでの説明に用いた図に示した部分と同一の機能を有する部分については、同一の符号を付し、その説明を省略する場合がある。同一の符号を付した部分については、他の実施形態における説明を参照することができる。
【0015】
(実施形態1)
<車両用システム1の概略構成>
以下、本開示の実施形態1について図面を用いて説明する。図1に示す車両用システム1は、自動運転が可能な車両(以下、自動運転車両)で用いることが可能なものである。車両用システム1は、図1に示すように、HCU(Human Machine Interface Control Unit)10、車外通信モジュール20、車内通信モジュール30、ロケータ40、地図データベース(以下、地図DB)50、周辺監視センサ60、車両制御ECU70、自動運転ECU80、表示装置91、車内カメラ92、及びユーザ入力装置93を含んでいる。例えば、HCU10、車外通信モジュール20、車内通信モジュール30、ロケータ40、地図DB50、周辺監視センサ60、車両制御ECU70、及び自動運転ECU80は車内LAN(図1のLAN参照)と接続される構成とすればよい。車両用システム1を用いる車両は、必ずしも自動車に限るものではないが、以下では自動車に用いる場合を例に挙げて説明を行う。
【0016】
自動運転車両の自動運転の度合い(以下、自動化レベル)としては、例えばSAEが定義しているように、複数のレベルが存在し得る。自動化レベルは、例えば以下のようにLV0~5に区分される。
【0017】
LV0は、システムが介入せずに運転者が全ての運転タスクを実施するレベルである。運転タスクは動的運転タスクと言い換えてもよい。運転タスクは、例えば操舵、加減速、及び周辺監視とする。LV0は、いわゆる手動運転に相当する。LV1は、システムが操舵と加減速とのいずれかを支援するレベルである。LV1は、いわゆる運転支援に相当する。LV2は、システムが操舵と加減速とのいずれをも支援するレベルである。LV2は、いわゆる部分運転自動化に相当する。LV1~2も自動運転の一部であるものとする。
【0018】
例えば、LV1~2の自動運転は、安全運転に係る監視義務(以下、単に監視義務)が運転者にある自動運転とする。監視義務としては、目視による周辺監視がある。LV1~2の自動運転は、セカンドタスクが許可されない自動運転と言い換えることができる。セカンドタスクとは、運転者に対して許可される運転以外の行為であって、予め規定された特定行為である。セカンドタスクは、セカンダリアクティビティ,アザーアクティビティ等と言い換えることもできる。セカンドタスクは、自動運転システムからの運転操作の引き継ぎ要求にドライバが対応することを妨げてはならないとされる。一例として、動画等のコンテンツの視聴,オンラインゲームの操作,スマートフォン等の操作,読書,食事等の行為が、セカンドタスクとして想定される。
【0019】
LV3の自動運転は、特定の条件下ではシステムが全ての運転タスクを実施可能であり、緊急時に運転者が運転操作を行うレベルである。LV3の自動運転では、システムから運転交代の要求があった場合に、運転手が迅速に対応可能であることが求められる。この運転交代は、車両側のシステムから運転者への監視義務の移譲と言い換えることもできる。LV3は、いわゆる条件付運転自動化に相当する。
【0020】
LV4の自動運転は、対応不可能な道路,極限環境等の特定状況下を除き、システムが全ての運転タスクを実施可能なレベルである。LV4は、いわゆる高度運転自動化に相当する。LV5の自動運転は、あらゆる環境下でシステムが全ての運転タスクを実施可能なレベルである。LV5は、いわゆる完全運転自動化に相当する。
【0021】
例えば、LV3~5の自動運転は、監視義務が運転者にない自動運転とする。つまり、監視義務なし自動運転に相当する。LV3~5の自動運転は、セカンドタスクが許可される自動運転と言い換えることができる。
【0022】
本施形態の自動運転車両は、自動化レベルが切り替え可能であるものとする。自動化レベルは、LV0~5のうちの一部のレベル間でのみ切り替え可能な構成であってもよい。本実施形態では、自動運転車両が、LV3以上の自動運転(つまり、監視義務なし自動運転)と、LV2以下の自動運転と、LV0の手動運転とを切り替え可能な場合を例に挙げて説明する。
【0023】
車外通信モジュール20は、少なくとも他車両との間で、無線通信を介して情報の送受信を行う。つまり、車車間通信を行う。車外通信モジュール20は、自車の外部のセンタとの間でも、無線通信を介して情報の送受信を行ってもよい。つまり、広域通信を行ってもよい。車外通信モジュール20は、路側に設置された路側機との間でも、無線通信を介して情報の送受信を行ってもよい。つまり、路車間通信を行ってもよい。
【0024】
車内通信モジュール30は、近距離無線通信を行うための通信モジュールである。車内通信モジュール30は、自車の乗員の携帯端末との間で通信接続が確立した場合に、その携帯端末との間で近距離無線通信を行う。近距離無線通信とは、例えば通信範囲が最大でも数メートル~数十メートル程度におさまる無線通信とする。本実施形態では、運転者の携帯端末と車内通信モジュール30との間で近距離無線通信を行う場合を例に挙げて説明を行う。近距離無線通信としては、例えばBluetooth(登録商標) Low Energyに準拠した無線通信を用いればよい。運転手の携帯端末としては、例えば多機能携帯電話機等が挙げられる。
【0025】
ロケータ40は、GNSS(Global Navigation Satellite System)受信機及び慣性センサを備えている。GNSS受信機は、複数の測位衛星からの測位信号を受信する。慣性センサは、例えばジャイロセンサ及び加速度センサを備える。ロケータ40は、GNSS受信機で受信する測位信号と、慣性センサの計測結果とを組み合わせることにより、ロケータ40を搭載した自車の車両位置(以下、車両位置)を逐次測位する。車両位置は、例えば緯度経度の座標で表されるものとする。なお、車両位置の測位には、車両に搭載された車速センサから逐次出力される信号から求めた走行距離も用いる構成としてもよい。
【0026】
図DB50は、不揮発性メモリであって、高精度地図データを格納している。高精度地図データは、ナビゲーション機能での経路案内に用いられる地図データよりも高精度な地図データである。地図DB50には、経路案内に用いられる地図データも格納していてもよい。高精度地図データには、例えば道路の三次元形状情報,車線数情報,各車線に許容された進行方向を示す情報等の自動運転に利用可能な情報が含まれている。他にも、高精度地図データには、例えば区画線等の路面標示について、両端の位置を示すノード点の情報が含まれていてもよい。なお、ロケータ40は、道路の三次元形状情報を用いることで、GNSS受信機を用いない構成としてもよい。例えば、ロケータ40は、道路の三次元形状情報と、道路形状及び構造物の特徴点の点群を検出するLIDAR(Light Detection and Ranging/Laser Imaging Detection and Ranging)若しくは周辺監視カメラ等の周辺監視センサ60での検出結果とを用いて、車両位置を特定する構成としてもよい。道路の三次元形状情報は、REM(Road Experience Management)によって撮像画像をもとに生成されたものであってもよい。
【0027】
なお、車外通信モジュール20は、外部サーバから配信される地図データを例えば広域通信で受信し、地図DB50に格納してもよい。この場合、地図DB50を揮発性メモリとし、車外通信モジュール20が車両位置に応じた領域の地図データを逐次取得する構成としてもよい。
【0028】
周辺監視センサ60は、自車の周辺環境を監視する。一例として、周辺監視センサ60は、歩行者,他車等の移動物体、及び路上の落下物等の静止物体といった自車周辺の障害物を検出する。他にも、自車周辺の走行区画線等の路面標示を検出する。周辺監視センサ60は、例えば、自車周辺の所定範囲を撮像する周辺監視カメラ、自車周辺の所定範囲に探査波を送信するミリ波レーダ、ソナー、LIDAR等のセンサである。周辺監視カメラは、逐次撮像する撮像画像をセンシング情報として自動運転ECU80へ逐次出力する。ソナー、ミリ波レーダ、LIDAR等の探査波を送信するセンサは、障害物によって反射された反射波を受信した場合に得られる受信信号に基づく走査結果をセンシング情報として自動運転ECU80へ逐次出力する。周辺監視センサ60で検出したセンシング情報は、自動運転ECU80を介して車内LANへ出力される構成とすればよい。
【0029】
車両制御ECU70は、自車の走行制御を行う電子制御装置である。走行制御としては、加減速制御及び/又は操舵制御が挙げられる。車両制御ECU70としては、操舵制御を行う操舵ECU、加減速制御を行うパワーユニット制御ECU及びブレーキECU等がある。車両制御ECU70は、自車に搭載された電子制御スロットル、ブレーキアクチュエータ、EPS(Electric Power Steering)モータ等の各走行制御デバイスへ制御信号を出力することで走行制御を行う。
【0030】
自動運転ECU80は、例えばプロセッサ、メモリ、I/O、これらを接続するバスを備え、メモリに記憶された制御プログラムを実行することで自動運転に関する処理を実行する。ここで言うところのメモリは、コンピュータによって読み取り可能なプログラム及びデータを非一時的に格納する非遷移的実体的記憶媒体(non-transitory tangible storage medium)である。また、非遷移的実体的記憶媒体は、半導体メモリ又は磁気ディスクなどによって実現される。
【0031】
自動運転ECU80は、車両制御ECU70を制御することにより、人による運転操作の代行を行う自動運転機能を実行する。自動運転ECU80は、ロケータ40で測位した車両位置、地図DB50から取得する地図データ、及び周辺監視センサ60でのセンシング情報から、自車の走行環境を認識する。一例としては、実際の走行環境を三次元で再現した仮想空間を生成する。自動運転ECU80は、認識した走行環境に基づき、自動運転機能によって自車を自動走行させるための走行計画を生成する。走行計画としては、長中期の走行計画と、短期の走行計画とが生成される。長中期の走行計画では、設定された目的地に自車を向かわせるための走行経路が規定される。短期の走行計画では、生成した自車周囲の仮想空間を用いて、長中期の走行計画に従った走行を実現するための予定走行軌跡が規定される。具体的に、車線追従及び車線変更のための操舵、速度調整のための加減速、停止位置での停車、停止位置からの発車、並びに障害物への近接回避のための制動及び操舵等の実行が、短期の走行計画に基づいて決定される。
【0032】
表示装置91は、情報を表示することで自車の運転者への情報提示を行う。表示装置91は、HCU10の指示に従って表示を行う。表示装置91は、表示面が運転席シートの前方側に位置する。例えば、表示装置91は、表示面が自車のフロントウインドシールドに位置すればよい。これにより、表示装置91は、自車の前景に画像を重畳表示させる。表示装置91としては、HUD(Head-Up Display)、フロントウインドシールドに設けられた透過型ディスプレイ等が挙げられる。HUDは、車室内のうちの例えばインスツルメントパネルに設けられる。HUDは、プロジェクタによって形成される表示像を、投影部材としてのフロントウインドシールドに既定された投影領域に投影する。フロントウインドシールドによって車室内側に反射された画像の光は、運転席に着座する乗員(つまり、運転者)によって知覚される。これにより、運転者は、フロントウインドシールドの前方にて結像される表示像の虚像を、前景の一部と重ねて視認可能となる。HUDは、フロントウインドシールドの代わりに、運転席の正面に設けられるコンバイナに表示像を投影する構成としてもよい。
【0033】
なお、自車には、表示装置91以外の表示器が設けられていてもよい。例えば、自車にコンビネーションメータ、CID(Center Information Display)等の表示器が設けられていてもよい。コンビネーションメータ及びCIDは、例えば液晶ディスプレイ等によって情報を表示する。コンビネーションメータは、運転席前方のインスツルメントパネルに配置される。CIDは、センタクラスタの上方に配置される。
【0034】
車内カメラ92は、自車の室内を撮像する。例えば、車内カメラ92は、近赤外光源及び近赤外カメラと、これらを制御する制御ユニット等とによって構成されているものとすればよい。車内カメラ92は、近赤外カメラを自車の運転席側に向けた姿勢にて、例えばインスツルメントパネルの上面に配置される。車内カメラ92は、近赤外光源によって近赤外光を照射された運転者を、近赤外カメラによって撮影する。撮影範囲は、少なくとも運転者の頭部を含むよう設定すればよい。近赤外カメラによる撮像画像は、制御ユニットによって画像解析される。制御ユニットは、撮像画像を画像解析して抽出した運転者の特徴量をもとに、運転者の目の位置及び視線方向を検出する。
【0035】
ユーザ入力装置93は、ユーザからの入力を受け付ける。ユーザ入力装置93は、ユーザからの操作入力を受け付ける操作デバイスとすればよい。操作デバイスとしては、メカニカルなスイッチであってもよいし、前述のCIDといった表示器と一体となったタッチスイッチであってもよい。なお、ユーザ入力装置93は、ユーザからの入力を受け付ける装置であれば、操作入力を受け付ける操作デバイスに限らない。例えば、ユーザからの音声によるコマンドの入力を受け付ける音声入力装置であってもよい。
【0036】
HCU10は、プロセッサ、揮発性メモリ、不揮発性メモリ、I/O、これらを接続するバスを備えるコンピュータを主体として構成される。HCU10は、表示装置91と、車内カメラ92と、ユーザ入力装置93と、車内LANとに接続されている。HCU10は、不揮発性メモリに記憶された制御プログラムを実行することにより、表示装置91での表示を制御する。このHCU10が車両用制御装置に相当する。本実施形態では、HCU10が自動運転として少なくとも監視義務なし自動運転が可能な車両で用いられる場合を例に挙げて説明を行う。なお、表示装置91での表示の制御に関するHCU10の構成については以下で詳述する。
【0037】
<HCU10の概略構成>
続いて、図2を用いてHCU10の概略構成についての説明を行う。HCU10は、表示装置91での表示の制御に関して、図2に示すように、表示制御部100、自車位置特定部101、端末情報取得部102、設定部103、送信指示部104、受信情報取得部105、他車位置特定部106、及びゲーム機能部107を機能ブロックとして備える。また、コンピュータによってHCU10の各機能ブロックの処理が実行されることが、車両用制御方法が実行されることに相当する。なお、HCU10が実行する機能の一部又は全部を、1つ或いは複数のIC等によりハードウェア的に構成してもよい。また、HCU10が備える機能ブロックの一部又は全部は、プロセッサによるソフトウェアの実行とハードウェア部材の組み合わせによって実現されてもよい。
【0038】
自車位置特定部101は、自車の位置特定用の情報(以下、位置特定用情報)を特定する。自車位置特定部101が、位置特定部に相当する。また、この自車位置特定部101での処理が位置特定工程に相当する。自車位置特定部101は、ロケータ40で測位した車両位置を、位置特定用情報として特定すればよい。端末情報取得部102は、車内通信モジュール30と近距離無線通信で接続された携帯端末の情報を、車内通信モジュール30を介して取得する。
【0039】
設定部103は、自車についての表示用の情報(以下、設定表示情報)を設定する。この設定部103での処理が設定工程に相当する。設定部103は、設定表示情報として、自車若しくは自車の乗員を疑似的に表す画像(以下、疑似画像)の表示用の情報を設定すればよい。疑似画像の表示用の情報を、以下ではDPI情報と呼ぶ。疑似画像の一例としては、キャラクター等を模したアバター,アイコン等がある。疑似画像の設定については、ユーザ入力装置93で受け付けるユーザからの入力に従って行われる構成とすればよい。例えば、予め用意された複数種類の疑似画像のうちから1つの疑似画像を選択することで疑似画像を設定する等すればよい。疑似画像の設定については、ユーザの携帯端末において選択された疑似画像を、端末情報取得部102を介して設定部103が取得することで行う構成としてもよい。なお、設定部103は、設定した疑似画像については、新たに疑似画像が設定し直されるまで、HCU10の不揮発性メモリに格納しておくことが好ましい。これによれば、自車を利用するたびに疑似画像を設定する手間を抑えることが可能になる。
【0040】
設定部103は、設定表示情報として、メッセージを表すテキスト(以下、メッセージテキスト)の表示用の情報を設定してもよい。メッセージテキストの表示用の情報を、以下ではDMT情報と呼ぶ。メッセージテキストは、自車の運転者が他車両の乗員に向けて伝えたい内容のメッセージを表すテキストとすればよい。メッセージテキストの設定については、ユーザ入力装置93で受け付けるユーザからの入力に従って行われる構成とすればよい。例えば、予め用意された複数種類のメッセージテキストのうちから1つのメッセージテキストを選択することでメッセージテキストを設定すればよい。他にも、ユーザが発話した内容を音声入力装置でテキスト変換した内容をメッセージテキストとして設定してもよい。メッセージテキストの設定については、ユーザの携帯端末において選択されたり音声入力されたりしたメッセージテキストを、端末情報取得部102を介して設定部103が取得することで行う構成としてもよい。
【0041】
送信指示部104は、車外通信モジュール20を介して、自車以外の他車両に、車車間通信によって情報を送信させる。この送信指示部104での処理が送信指示工程に相当する。送信指示部104は、自車位置特定部101で特定した位置特定用情報と設定部103で設定した設定表示情報とを、車両用システム1を用いる他車両に送信させる。送信指示部104は、この位置特定用情報と設定表示情報とを車外通信モジュール20に送り、車外通信モジュール20から車車間通信で他車両へ送信させる。車外通信モジュール20では、位置特定用情報と設定表示とを車車間通信で送信させる場合、送信元を特定可能な識別情報も送信させればよい。この識別情報としては、例えば車外通信モジュール20のユーザに固有のアカウント,車外通信モジュール20に固有のID等を用いればよい。
【0042】
送信指示部104は、設定表示情報としてDPI情報を車車間通信で送信させた場合には、その車車間通信の通信接続が解除されるまでは、DPI情報を再送しないことを好ましい。これによれば、車車間通信の通信接続中に同じDPI情報を何度も送信させる無駄を抑えることが可能になる。送信指示部104は、設定表示情報としてDMT情報を車車間通信で送信させる場合には、設定部103でメッセージテキストの設定が行われるごとに、DMT情報を車車間通信で送信させればよい。なお、送信指示部104は、設定表示情報を送信させるタイミングでない場合であっても、車車間通信の通信接続中に、位置特定用情報を逐次送信させる構成としてもよい。
【0043】
受信情報取得部105は、自車以外の車両用システム1を用いる他車両から車車間通信によって車外通信モジュール20で受信した、その他車両のHCU10でその他車両別に設定された設定表示情報及び他車両の位置特定用情報を取得する。この受信情報取得部105での処理が受信情報取得工程に相当する。
【0044】
他車位置特定部106は、受信情報取得部105で取得した他車両の位置特定用情報をもとに、自車に対するその他車両の位置(以下、他車両位置)を特定する。この他車位置特定部106での処理が他車位置特定工程に相当する。他車位置特定部106は、ロケータ40で測位した自車の車両位置と、他車両の位置特定用情報としての他車両の車両位置とから、他車両位置を特定する。
【0045】
ゲーム機能部107は、自車及び他車両の位置を少なくとも利用したゲームのアプリケーションを実行する。このゲームは、車外通信モジュール20による車車間通信を介して自車と他車両との間で行われるオンラインゲームであるものとする。つまり、自車の前景に重畳表示される画像を用いたオンラインゲーム(以下、単にオンラインゲーム)である。このオンラインゲームの画面には、表示装置91の表示面が用いられる。このオンラインゲームとしては、自動運転による車両制御下で実際の車両を用いて行うレーシングゲーム等が挙げられる。このようなレーシングゲームでは、ユーザ入力装置93等をコントローラとして、自動運転による車両制御下で周囲の車両を含む障害物に近接し過ぎない範囲で実際の車両を操作してレースを行うものとすればよい。なお、ゲーム機能部107でアプリケーションを実行するオンラインゲームとしては、レーシングゲーム以外の他車両を対戦相手に見立てたオンラインゲームであってもよい。例えば、対戦アクションゲーム,対戦パズルゲーム,シューティングゲーム等であってもよい。
【0046】
表示制御部100は、表示装置91による表示を制御する。この表示制御部100での処理が表示制御工程に相当する。表示制御部100は、他車位置特定部106で特定した他車両位置と、受信情報取得部105で取得した設定表示情報とをもとに、表示装置91を制御して、自車の前景中の他車両の位置に、設定表示情報が示す情報を重畳表示させる。表示制御部100は、設定表示情報がDPI情報である場合には、表示装置91によって、疑似画像を自車の前景中の他車両の位置に重畳表示させる。つまり、他車両で設定されたアバター,アイコンといった疑似画像を、自車の前景中のその他車両の位置に重畳表示させる。表示制御部100は、設定表示情報がDMT情報である場合には、表示装置91によって、メッセージテキストを自車の前景中の他車両の位置に重畳表示させる。つまり、他車両で設定されたメッセージテキストを、自車の前景中のその他車両の位置に重畳表示させる。
【0047】
表示制御部100は、予め設定されている、運転席における平均的な運転者の目の位置をもとに、自車の前景中の他車両の位置に、設定表示情報が示す情報を重畳表示させればよい。表示制御部100は、車内カメラ92で逐次検出する運転者の目の位置及び視線方向を用いることで、より精度良く、自車の前景中の他車両の位置に、設定表示情報が示す情報を重畳表示させることが好ましい。
【0048】
表示制御部100は、自車が監視義務なし自動運転中であって、且つ、車車間通信をして他車両との間で自車の前景に重畳表示される画像を用いたオンラインゲームが行われる場合に、自車の前景中の、オンラインゲームの相手となる他車両の位置に、その他車両でその他車両について設定された疑似画像を重畳表示させることが好ましい。これによれば、自車の運転者が、疑似画像で表されるキャラクターが実際に路面上を走っているかのように知覚してオンラインゲームを楽しむことが可能になる。この場合、表示制御部100は、他車位置特定部106で特定したオンラインゲームの相手となる他車両についての他車両位置と、受信情報取得部105で取得したDPI情報とをもとに、自車の前景中の、オンラインゲームの相手となる他車両の位置に、その他車両でその他車両について設定された疑似画像を重畳表示させればよい。受信情報取得部105でのDPI情報の取得は、オンラインゲームのアプリケーションが実行される前に行われるものとする。
【0049】
ここで、図3を用いて、疑似画像の表示例を示す。図3のOVが自車の前景中の他車両を示す。他車両OVは、自車とのオンラインゲームの相手であるものとする。図3のAvが他車両OVで設定された疑似画像を示す。図3に示す例では、カートに乗った人物のアバターを疑似画像として用いている。図3に示すように、疑似画像Avは、自車の前景中の他車両OVの位置に重畳表示される。
【0050】
なお、オンラインゲームの相手となる他車両の選択については、自車との間での車外通信モジュール20を用いた車車間通信が可能な他車両から取得したアカウントといった識別情報から選択可能とすればよい。例えば、車車間通信が可能な他車両のアカウントのリストを表示させて、そのリストから対戦を所望する他車両のアカウントをユーザ入力装置93で選択させる等すればよい。また、オンラインゲームに利用する車車間通信は、ユニキャスト型通信とすればよい。
【0051】
他車位置特定部106は、自車の前景中の他車両の位置に疑似画像を一旦重畳表示させた後は、周辺監視センサ60で検出するその他車両についての他車両位置を、他車両位置として逐次特定すればよい。そして、表示制御部100は、このようにして逐次特定する他車両位置をもとに、自車の前景中の他車両の位置を逐次追跡することで、他車両の位置に疑似画像を重畳表示させ続ければよい。他車位置特定部106は、車車間通信の相手となる他車両と周辺監視センサ60で検出している他車両との紐付けを、位置、速度、進行方向等の近似によって行えばよい。また、他車位置特定部106は、自動運転ECU80で認識する走行環境をもとに、周辺監視センサ60で検出している他車両についての他車両位置を特定すればよい。
【0052】
表示制御部100は、自車の前景中の他車両の位置に疑似画像を重畳表示させる場合であって、且つ、受信情報取得部105でDMT情報も取得した場合には、疑似画像がメッセージテキストのメッセージの内容を発話しているような表示態様でメッセージテキストを表示させることが好ましい。つまり、オンラインゲームのアプリケーションが実行されている場合であれば、オンラインゲームの相手となる他車両の位置に重畳表示される疑似画像がメッセージテキストのメッセージの内容を発話しているような表示態様でメッセージテキストを表示させることが好ましい。例えば、アバター,アイコンといった疑似画像に吹き出しの画像を重畳表示させ、その吹き出しの画像中にメッセージテキストを表示させることで、この疑似画像が発話しているように見せればよい。
【0053】
ここで、図4を用いて、メッセージテキストの表示例を示す。図4の例は、吹き出しの画像Sbが含まれる点を除けば、図3で示した例と同様である。図4に示すように、吹き出しの画像Sbは、自車の前景中の他車両OVの位置に重畳表示される疑似画像Avが発話しているように表示される。そして、吹き出しの画像Sbの中に、メッセージテキストが表示される。
【0054】
<HCU10での重畳表示制御関連処理>
ここで、図5のフローチャートを用いて、HCU10での設定表示情報が示す情報の重畳表示の制御に関する処理(以下、重畳表示制御関連処理)の流れの一例について説明する。図5のフローチャートは、例えば自車の内燃機関又はモータジェネレータを始動させるためのスイッチ(以下、パワースイッチ)がオンになった場合に開始される構成とすればよい。
【0055】
まず、ステップS1では、自車の自動化レベルがLV3以上の場合(S1でYES)には、ステップS2に移る。つまり、自車が監視義務なし自動運転中の場合に、ステップS2に移る。一方、自車の自動化レベルがLV2以下の場合(S1でNO)には、ステップS10に移る。つまり、自車が監視義務なし自動運転中でない場合には、ステップS10に移る。
【0056】
ステップS2では、自車の車外通信モジュール20を介した他車両との車車間通信が行われた場合(S2でYES)には、ステップS3に移る。一方、他車両との車車間通信が行われていない場合(S2でNO)には、ステップS10に移る。
【0057】
ステップS3では、受信情報取得部105が、他車両から車車間通信によって車外通信モジュール20で受信したDPI情報を取得する。S3では、DPI情報に加えて、他車両から車車間通信によって車外通信モジュール20で受信した他車両の位置特定用情報も取得すればよい。
【0058】
ステップS4では、ゲーム機能部107が他車両との間でのオンラインゲーム(以下、OG)を開始する場合(S4でYES)には、ステップS5に移る。一方、OGを開始しない場合(S4でNO)には、ステップS10に移る。OGについては、ユーザ入力装置93でOGの開始を指示する旨の入力を受け付けた場合に開始すればよい。
【0059】
ステップS5では、他車位置特定部106が、受信情報取得部105で取得したOGの対戦相手の他車両の位置特定用情報をもとに、その他車両についての他車両位置を特定する。なお、S5の処理は、S4の処理よりも前に実行する構成としてもよい。なお、S5では、後述するS6で自車の前景中の他車両の位置に疑似画像を一旦重畳表示させた後は、周辺監視センサ60で検出するその他車両についての他車両位置を、他車両位置として逐次特定する。
【0060】
ステップS6では、表示制御部100が、S3で取得したDPI情報とS5で特定した他車両位置とをもとに、自車の前景中の、OGの相手となる他車両の位置に、その他車両でその他車両について設定された疑似画像を重畳表示させる。
【0061】
ステップS7では、受信情報取得部105が、他車両から車車間通信によって車外通信モジュール20で受信したDMT情報を取得した場合(S7でYES)には、ステップS8に移る。つまり、他車両から車車間通信によってDMT情報が送信されてきた場合に、ステップS8に移る。一方、受信情報取得部105がDMT情報を取得していない場合(S7でNO)には、ステップS9に移る。つまり、他車両から車車間通信によってDMT情報が送信されてきていない場合には、ステップS9に移る。
【0062】
ステップS8では、表示制御部100が、S7で取得したDMT情報とS5で特定した他車両位置とをもとに、自車の前景中の疑似画像の表示位置若しくはその周囲に、疑似画像がメッセージテキストのメッセージの内容を発話しているような表示態様でメッセージテキストを表示させる。一例としては、アバター,アイコンといった疑似画像に吹き出しの画像を重畳表示させ、その吹き出しの画像中にメッセージテキストを表示させる。
【0063】
ステップS9では、OGが終了する場合(S9でYES)には、ステップS10に移る。一方、OGが終了しない場合(S9でNO)には、S5に戻って処理を繰り返す。ステップS10では、重畳表示制御関連処理の終了タイミングであった場合(S10でYES)には、重畳表示制御関連処理を終了する。一方、重畳表示制御関連処理の終了タイミングでなかった場合(S10でNO)には、S1に戻って処理を繰り返す。重畳表示制御関連処理の終了タイミングの一例としては、パワースイッチがオフになったこと等が挙げられる。
【0064】
なお、図5の例では、OGの対戦相手となる他車両に対してのみ、疑似画像を自車の前景中のその他車両の位置に重畳表示させる構成を示したが、必ずしもこれに限らない。例えば、OGが行われないLV2以下の運転においては、車車間通信を介してDPI情報,DMT情報を取得できた他車両について、疑似画像,メッセージテキストを自車の前景中のその他車両の位置に重畳表示させる構成としてもよい。この場合、車車間通信はブロードキャスト型通信であってもよい。また、複数の他車両からDPI情報,DMT情報を取得できた場合には、その複数の他車両のそれぞれの位置に、各他車両について設定された疑似画像,メッセージテキストを重畳表示させてもよい。
【0065】
<実施形態1のまとめ>
実施形態1の構成によれば、疑似画像,メッセージテキストの重畳表示は、自車と車車間通信でやり取り可能な他車両からDPI情報,DMT情報を取得した場合に行われる。よって、疑似画像,メッセージテキストの重畳表示が行われることから、自車と車車間通信でやり取り可能な他車両をユーザが容易に区別することが可能になる。また、車両の前景中の他車両の位置に、疑似画像,メッセージテキストを重畳表示させるので、自車と車車間通信でやり取り可能な他車両をユーザが直感的に区別することが可能になる。その結果、対象車両と車車間通信でやりとり可能な周辺車両を、対象車両のユーザが直感的により容易に区別できるようになる。
【0066】
また、実施形態1の構成によれば、自車と車車間通信でやり取り可能な他車両において、取得したDPI情報,DMT情報が示す疑似画像,メッセージテキストの重畳表示が行われる。よって、疑似画像,メッセージテキストの重畳表示が行われることから、他車両において、その他車両と車車間通信でやり取り可能な自車を他車両のユーザが容易に区別することが可能になる。また、自車の位置特定用の情報も送信させることで、他車両の前景中の自車の位置に、疑似画像,メッセージテキストを重畳表示させるので、他車両において、その他車両と車車間通信でやり取り可能な自車を他車両のユーザが直感的に区別することが可能になる。その結果、対象車両と車車間通信でやりとり可能な周辺車両を、対象車両のユーザが直感的により容易に区別できるようにすることが可能になる。
【0067】
(実施形態2)
実施形態1以外にも、以下の実施形態2のような構成としてもよい。以下では、実施形態2の一例について図を用いて説明する。実施形態2の車両用システム1は、HCU10の代わりにHCU10aを含む点を除けば、実施形態1の車両用システム1と同様である。
【0068】
<HCU10aの概略構成>
まず、図6を用いてHCU10aの概略構成についての説明を行う。HCU10aは、表示装置91での表示の制御に関して、図2に示すように、表示制御部100a、自車位置特定部101、端末情報取得部102、設定部103a、送信指示部104a、受信情報取得部105、他車位置特定部106、通信候補特定部108、及び送信先決定部109を機能ブロックとして備える。HCU10aは、表示制御部100、設定部103、及び送信指示部104の代わりに表示制御部100a、設定部103a、及び送信指示部104aを備える。HCU10aは、通信候補特定部108及び送信先決定部109を備える。HCU10aは、ゲーム機能部107を備えない。HCU10aは、以上の点を除けば、実施形態1のHCU10と同様である。このHCU10aも車両用制御装置に相当する。また、コンピュータによってHCU10aの各機能ブロックの処理が実行されることも、車両用制御方法が実行されることに相当する。
【0069】
設定部103aは、設定表示情報として少なくともDMT情報を設定する点を除けば、実施形態1の設定部103と同様である。この設定部103aでの処理も設定工程に相当する。なお、設定部103aは、設定表示情報としてDPI情報も設定しても構わない。
【0070】
送信指示部104aは、送信先決定部109で決定された送信先に、設定表示情報として少なくともDMT情報を送信させる点を除けば、実施形態1の送信指示部104と同様である。この送信指示部104aでの処理も送信指示工程に相当する。つまり、送信指示部104aは、自車位置特定部101で特定した位置特定用情報と設定部103で設定した少なくともDMT情報とを、車両用システム1を用いる後述の通信可能車両のうちの、送信先決定部109で送信先と決定した通信可能車両に送信させる。なお、送信指示部104aは、設定部103aで設定表示情報としてDPI情報も設定された場合には、DPI情報も送信させればよい。実施形態2では、車車間通信はユニキャスト型通信とすればよい。
【0071】
通信候補特定部108は、自車と車車間通信が可能な他車両(以下、通信可能車両)を設定表示情報の送信先の候補として特定する。通信可能車両とは、車車間通信の信号を自車の車外通信モジュール20で受信できている他車両とすればよい。通信候補特定部108は、自車の車外通信モジュール20をモニタすることで、通信可能車両を特定すればよい。通信候補特定部108は、通信可能車両が複数存在する場合には、その複数の通信可能車両を、設定表示情報の送信先の候補として特定する。
【0072】
表示制御部100aは、通信候補特定部108で特定した候補を示す表示(以下、候補表示)を行わせる点を除けば、実施形態1の表示制御部100と同様である。表示制御部100aは、候補表示を表示装置91に表示させてもよいし、前述のCID等に表示させてもよい。候補表示としては、候補として特定された通信可能車両のアカウントのリストを表示させる例が挙げられる。他にも、候補表示としては、CID等によって、自車と周辺車両との配置関係を表す画像中の、候補として特定された通信可能車両の位置に強調表示を行わせる例も挙げられる。自車のユーザ(つまり、乗員)は、ユーザ入力装置93への入力によって、候補表示される通信可能車両のうちから、設定表示情報の送信先を選択できるものとする。
【0073】
送信先決定部109は、ユーザ入力装置93で受け付ける、通信候補特定部108で特定した通信可能車両のうちから設定表示情報の送信先を選択する入力に応じて、通信可能車両のうちから設定表示情報の送信先を決定する。
【0074】
なお、送信先決定部109は、自車の動作に応じて、通信候補特定部108で特定した通信可能車両のうちから設定表示情報の送信先を決定する構成としてもよい。例えば、自車の車線変更時に、車線変更先の車線の後続車を設定表示情報の送信先と決定すればよい。他にも、非優先道路から優先道路への自車の合流時に、合流後の後続車を設定表示情報の送信先と決定してもよい。自車の動作の情報については、自動運転ECU80から取得する構成とすればよい。この場合には、表示制御部100aでの候補表示を省略させてもよい。
【0075】
以上の構成によれば、自車と車車間通信が可能な他車両のうち、ユーザが所望する他車両に、ユーザ入力装置93で受け付けるユーザからの入力に従って設定した少なくともDMT情報を送信する。よって、その他車両において、他車両の前景中の自車の位置に、自車のユーザからの入力に従って設定したメッセージテキストを重畳表示させることが可能になる。その結果、ユーザが所望する他車両に、自車からのメッセージであることをその他車両のユーザが直感的により容易に区別できるように、自車からのメッセージを伝えることが可能になる。
【0076】
ここで、図7を用いて、メッセージテキストの表示例を示す。図7のOVが自車の前景中の他車両を示す。他車両OVは、自車前方へ車線変更を行う車両とする。自車は、他車両OVから車車間通信によって位置特定用情報とDMT情報とを受信しているものとする。図7のSbが、メッセージテキストが表示される吹き出しの画像を示す。メッセージテキストは、道を譲ってもらったことに対する感謝を表す内容であるものとする。図7に示すように、吹き出しの画像Sbは、自車の前景中の他車両OVの位置に重畳表示される。これにより、他車両OVへ道を譲った自車のユーザが、他車両OVのユーザから感謝の気持ちを伝えられたと直感的に理解することが可能になる。
【0077】
<HCU10aでの送信指示関連処理>
ここで、図8のフローチャートを用いて、HCU10aで設定表示情報を送信させる制御に関する処理(以下、送信指示関連処理)の流れの一例について説明する。図8のフローチャートは、例えば自車のパワースイッチがオンになった場合に開始される構成とすればよい。
【0078】
まず、ステップS21では、設定部103aでDMT情報が設定された場合(S21でYES)に、ステップS22に移る。つまり、ユーザからの入力によってDMT情報が設定された場合に、ステップS22に移る。一方、設定部103でDMT情報が設定されていない場合(S22でNO)に、ステップS25に移る。
【0079】
ステップS22では、通信候補特定部108が、自車と車車間通信が可能な他車両(つまり、通信可能車両)を設定表示情報の送信先の候補として特定する。ステップS23では、送信先決定部109が、通信候補特定部108で特定した通信可能車両のうちから、自車の動作に応じて、設定表示情報の送信先を決定する。例えば、自車の車線変更時には、車線変更先の車線の後続車を設定表示情報の送信先と決定する。
【0080】
ステップS24では、送信指示部104aが、S22で決定された送信先に、S21で設定されたDMT情報と、自車位置特定部101で特定した位置特定用情報とを送信させる。なお、送信指示部104aは、設定部103aで設定表示情報としてDPI情報も設定された場合には、DPI情報も送信させる。
【0081】
ステップS25では、送信指示関連処理の終了タイミングであった場合(S25でYES)には、送信指示関連処理を終了する。一方、送信指示関連処理の終了タイミングでなかった場合(S25でNO)には、S21に戻って処理を繰り返す。送信指示関連処理の終了タイミングの一例としては、パワースイッチがオフになったこと等が挙げられる。
【0082】
<HCU10aでの重畳表示制御関連処理>
ここで、図9のフローチャートを用いて、HCU10aでの重畳表示制御関連処理の流れの一例について説明する。図9のフローチャートは、例えば自車のパワースイッチがオンになった場合に開始される構成とすればよい。図9のフローチャートは、自車の自動化レベルにかかわらず実行されるものとすればよい。
【0083】
まず、ステップS41では、自車の車外通信モジュール20を介した他車両との車車間通信が行われた場合(S41でYES)には、ステップS42に移る。一方、他車両との車車間通信が行われていない場合(S41でNO)には、ステップS45に移る。
【0084】
ステップS42では、受信情報取得部105が、他車両から車車間通信によって車外通信モジュール20で受信したDMT情報を取得する。S42では、DMT情報に加えて、他車両から車車間通信によって車外通信モジュール20で受信した他車両の位置特定用情報も取得すればよい。受信情報取得部105は、他車両から車車間通信によって車外通信モジュール20でDPI情報も受信していた場合には、そのDPI情報も取得すればよい。
【0085】
ステップS43では、他車位置特定部106が、受信情報取得部105で取得した他車両の位置特定用情報をもとに、その他車両についての他車両位置を特定する。ステップS44では、表示制御部100aが、S42で取得したDMT情報とS43で特定した他車両位置とをもとに、自車の前景中の、他車両の位置に、その他車両でその他車両について設定されたメッセージテキストを重畳表示させる。メッセージテキストの表示は、例えば表示開始から数秒等の一定時間経過後に終了させればよい。S42でDPI情報も取得していた場合には、そのDPI情報も用いて、自車の前景中の、他車両の位置に、その他車両でその他車両について設定された疑似画像を重畳表示させればよい。この場合、表示制御部100aは、その疑似画像がメッセージテキストのメッセージの内容を発話しているような表示態様でメッセージテキストを表示させればよい。
【0086】
ステップS45では、重畳表示制御関連処理の終了タイミングであった場合(S45でYES)には、重畳表示制御関連処理を終了する。一方、重畳表示制御関連処理の終了タイミングでなかった場合(S45でNO)には、S41に戻って処理を繰り返す。重畳表示制御関連処理の終了タイミングの一例としては、パワースイッチがオフになったこと等が挙げられる。
【0087】
実施形態2の構成であっても、車両の前景中の他車両の位置にメッセージテキストを重畳表示させるので、実施形態1と同様に、対象車両と車車間通信でやりとり可能な周辺車両を、対象車両のユーザが直感的により容易に区別できるようになる。
【0088】
(実施形態3)
前述の実施形態では、自車位置特定部101、設定部103,103a、送信指示部104,104aの機能をHCU10,10aが担う構成を示したが、必ずしもこれに限らない。例えば、自車位置特定部101、設定部103,103a、送信指示部104,104aの機能の少なくとも一部を車外通信モジュール20が担う構成としてもよい。この場合、車外通信モジュール20も車両用制御装置に相当する。設定部103,103aの機能を車外通信モジュール20が担う場合は、HCU10,10aから情報を取得することで、前述の実施形態の設定部103,103aと同様の処理を実現すればよい。送信指示部104,104aの機能を車外通信モジュール20が担う場合も同様である。
【0089】
なお、本開示は、上述した実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本開示の技術的範囲に含まれる。また、本開示に記載の制御部及びその手法は、コンピュータプログラムにより具体化された1つ乃至は複数の機能を実行するようにプログラムされたプロセッサを構成する専用コンピュータにより、実現されてもよい。あるいは、本開示に記載の装置及びその手法は、専用ハードウェア論理回路により、実現されてもよい。もしくは、本開示に記載の装置及びその手法は、コンピュータプログラムを実行するプロセッサと1つ以上のハードウェア論理回路との組み合わせにより構成された1つ以上の専用コンピュータにより、実現されてもよい。また、コンピュータプログラムは、コンピュータにより実行されるインストラクションとして、コンピュータ読み取り可能な非遷移有形記録媒体に記憶されていてもよい。
【符号の説明】
【0090】
1 車両用システム、10,10a HCU(車両用制御装置)、20 車外通信モジュール(車両用制御装置)、91 表示装置、100,100a 表示制御部、101 自車位置特定部(位置特定部)、103,103a 設定部、104,104a 送信指示部、105 受信情報取得部、106 他車位置特定部、108 通信候補特定部、109 送信先決定部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9