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特開2022-181699位置検知システム、位置検知装置、位置検知方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022181699
(43)【公開日】2022-12-08
(54)【発明の名称】位置検知システム、位置検知装置、位置検知方法
(51)【国際特許分類】
   G01S 19/48 20100101AFI20221201BHJP
   G08B 21/02 20060101ALI20221201BHJP
【FI】
G01S19/48
G08B21/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021088776
(22)【出願日】2021-05-26
(71)【出願人】
【識別番号】000211307
【氏名又は名称】中国電力株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000176
【氏名又は名称】一色国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】梶山 勝哉
【テーマコード(参考)】
5C086
5J062
【Fターム(参考)】
5C086AA22
5C086AA53
5C086CA06
5C086CA25
5C086DA08
5C086FA02
5C086FA17
5J062AA09
5J062CC07
5J062CC15
5J062FF01
5J062HH05
(57)【要約】      (修正有)
【課題】衛星測位は、オープンスカイ環境であれば高い精度で位置を検知できるが、変電所構内のように鉄構が周囲にある場合、衛星からの電波が届きにくく、計測精度が落ちることがある。
【解決手段】作業員によって保持され、ビーコンを発する発信部と、電気所の鉄構に設置され、前記ビーコンを受信する受信部と、前記作業員の位置を衛星測位方式により検知する検知部と、前記検知部及び前記受信部と通信する制御部と、を備え、前記制御部は、前記受信部から受信した情報及び前記検知部から受信した情報のうち、より精度の高い位置が取得できる情報に基づいて、前記作業員の位置を算出する算出処理を実行する、位置検知システム。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
作業員によって保持され、ビーコンを発する発信部と、
電気所の鉄構に設置され、前記ビーコンを受信する受信部と、
前記作業員の位置を衛星測位方式により検知する検知部と、
前記検知部及び前記受信部と通信する制御部と、を備え、
前記制御部は、
前記受信部から受信した情報及び前記検知部から受信した情報のうち、より精度の高い位置が取得できる情報に基づいて、前記作業員の位置を算出する算出処理を実行する、
位置検知システム。
【請求項2】
前記制御部は、前記受信部から受信した情報に基づいて前記位置が計測可能であるとき、前記算出処理において、
前記検知部から受信した情報に優先して、前記受信部から受信した情報に基づいて前記作業員の位置を算出する、請求項1に記載の位置検知システム。
【請求項3】
前記鉄構は、平面視で複数のグリッドを形成するように配置された複数の鉄柱を備え、
前記受信部は、前記複数のグリッド及び前記複数の鉄柱のうち、他のグリッドに周囲を包囲されたグリッドを形成する所定の鉄柱に設置される、請求項1または2に記載の位置検知システム。
【請求項4】
前記受信部は、前記所定の鉄柱の頂部に設置される、請求項3に記載の位置検知システム。
【請求項5】
前記制御部は、
前記算出処理で算出された前記位置に基づき、前記電気所の配電系統の充電部に前記作業員が近接したか判断する判断処理と、
前記判断処理に基づき、前記作業員が前記充電部に接近したときに警報を発する警報処理と、をさらに実行する請求項1から4のいずれか1項に記載の位置検知システム。
【請求項6】
表示部をさらに備え、
前記制御部は、
前記充電部を前記表示部に表示させる処理と、
前記警報を前記表示部に表示させる処理と、をさらに実行する、請求項5に記載の位置検知システム。
【請求項7】
作業員によって保持される発信部からのビーコンを受信する受信部、及び、前記作業員の位置を衛星測位方式により検知する検知部の両方と通信する制御部を備え、
前記制御部は、
前記受信部から受信した情報及び前記検知部から受信した情報のうち、より精度の高い位置が取得できる情報に基づいて、前記作業員の位置を算出する算出処理を実行する、位置検知装置。
【請求項8】
作業員によって保持される発信部からのビーコンを受信する受信部、及び、前記作業員の位置を衛星測位方式により検知する検知部の両方と通信する制御部に対して、
前記受信部から受信した情報及び前記検知部から受信した情報のうち、より精度の高い位置が取得できる情報に基づいて、前記作業員の位置を算出する算出処理を実行させる、位置検知方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、位置検知システム、位置検知装置、位置検知方法に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、電界強度分布図により感電災害の危険範囲を表示する警報表示装置が知られている。(例えば特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2019-106010号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1には、広範囲でセンチメートル級の精度が必要であるため,衛星測位の中でも特に精度の高い測位方法を適用する必要がある。
【0005】
しかし、特許文献1に係る方法では、オープンスカイ環境であれば高い精度で位置を検知できるが、変電所構内のように鉄構が周囲にある場合、衛星からの電波が届きにくく、計測精度が落ちることがある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前述した課題を解決する主たる本発明は、一態様として、作業員によって保持され、ビーコンを発する発信部と、電気所の鉄構に設置され、前記ビーコンを受信する受信部と、前記作業員の位置を衛星測位方式により検知する検知部と、前記検知部及び前記受信部と通信する制御部と、を備え、前記制御部は、前記受信部から受信した情報及び前記検知部から受信した情報のうち、より精度の高い位置が取得できる情報に基づいて、前記作業員の位置を算出する算出処理を実行する、位置検知システムを提供する。
【0007】
本発明の他の特徴については、添付図面および本明細書の記載により明らかとなる。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、作業員の感電事故を防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本実施形態に係る充電近接感知システムの構成の一例を示す図である。
図2】本実施形態に係る電気所の俯瞰図である。
図3】本実施形態に係る電気所における、鉄柱の配置図である。
図4】本実施形態における発信機の一例を示す図である。
図5】本実施形態に係る充電近接感知装置のハードウェア構成の一例を示す図である。
図6】本実施形態に係る配電系統の単線結線図の一例を示す図である。
図7】本実施形態に係る配電系統の三次元画像の一例を示す正面図である。
図8】本実施形態に係る配電系統の三次元画像の一例を示す斜視図である。
図9】本実施形態に係る充電情報テーブルの一例を示す図である。
図10】本実施形態に係る支援装置のハードウェア構成の一例を示す図である。
図11】本実施形態に係る充電近接感知システムの処理フローを示す図である。
図12】本実施形態に係る充電近接感知システムの処理フローのうち、位置判定処理の詳細を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本明細書および添付図面の記載により、少なくとも以下の事項が明らかとなる。以下の説明において、同一符号を付した部分は同一の要素を表し、その基本的な構成および動作は同様であるものとする。
===充電近接感知システム1===
【0011】
図1を参照しつつ、位置検知システムの一実施形態である充電近接感知システム1について、以下のとおり説明する。図1は、本実施形態に係る充電近接感知システム1の構成の一例を示す図である。
【0012】
充電近接感知システム1は、電気所200の電気設備における充電部を、作業員がリアルタイムに把握するためのシステムである。より具体的に述べると、充電近接感知システム1は、例えば、電気所200の電気設備の点検において、電気設備の開閉器の開閉状態に応じて変化する充電部を三次元画像に表示させる。
【0013】
電気所200には例えば変電所が含まれ、主に、図2及び図3に示すような鋼製の鉄柱201と大梁202によって構成された鉄構を備える。なお、以下においては、図2に示すように、鉄構の配置方向と平行となるようにX、Yの各方向及び軸を定め、説明に用いることとする。
【0014】
複数の鉄柱201は、図2及び図3に示すようにX、Yの各方向に整列するように配置される。詳細には、図3で鉄柱201の通り芯を用いて示すように、鉄柱201は、平面視で長方形(本実施形態では正方形)のグリッド(区画ともいう)を形成するように配置される。平面視において各鉄柱201はグリッドの各頂点を形成する、ということもできる。大梁202は、XまたはY方向に延び、隣接する鉄柱201の間に架渡される。
【0015】
電気設備点検を行う作業員は、充電部を表示する三次元画像を確認して、感電危険領域(第1近接区域、第2近接区域)を把握しつつ点検することができる。また、電気所200とは異なる場所において作業員の作業状況を監視する支援員は、三次元画像を確認しながら、作業員の位置を把握することができる。さらに、充電近接感知システム1は、作業員が感電危険領域に接近または感電危険領域内に入域したとき、作業員および支援員に警報を発する。これにより、作業員の感電事故を防止することができる。
【0016】
このような機能を有する充電近接感知システム1は、作業員が携帯する充電近接感知装置10、発信機110、及びGPS受信機111と、支援員が操作監視する支援装置20と、電気所200に設置された受信機100、方位検知センサー101、及び通信機102と、を含んで構成されている。
【0017】
発信機110は、電波でビーコンを発信することにより作業員の位置を報知する機能を有する。発信機110は、一例として図4に示すように、作業員の被るヘルメットに取り付けられる。このように発信機110が作業員に携帯または所持されることにより、作業員の位置を充電近接感知システム1に知らせることが可能となる。
【0018】
GPS受信機111は、衛星測位システム、特にGPS(Global Positioning System)を用いて位置を計測する機能を有する。GPS受信機111は、作業員に所持され、衛星からの電波を受信することにより、地球上における作業員の緯度、経度を計測する。また、GPS受信機111は、充電近接感知装置10及び通信機102と通信可能であり、充電近接感知システム1を構成する他の装置に対し作業員の位置を知らせることができる。
【0019】
各受信機100は、発信機110が発するビーコンを受信可能な位置、かつ、GPS受信機111による測位が困難な位置に配置される。
【0020】
具体的に述べると、図2及び図3に示すように、受信機100は、周囲を他のグリッドに包囲されているようなグリッド(以下、区画Rとする)において配置される。平面視において詳細にみると、受信機100が設置された区画Rは、その周囲が8つの隣接するグリッドによって包囲されているという特徴を持つ。受信機100は、平面視で区画Rの各頂点に配置された鉄柱201(以下では、特に鉄柱201Aとする)にそれぞれ設置される。各受信機100は、発信機110のビーコンを確実に受信できるように、鉄柱201Aの上端部に設置されることが好ましい(図2)。
【0021】
区画Rは、その周辺が鋼製の鉄柱201及び大梁202に包囲されており、衛星からの電波を受信しにくい。そのため区画R内では、GPSを用いた測位が困難であるか、測位が可能であっても良好な精度を得ることが難しい。区画Rの4隅にある鉄柱201Aの上端部に受信機100を設置することにより、区画Rにおいてビーコンを用いた測位が可能となり、GPSによる測位のバックアップとすることができる。
【0022】
通信機102は、電気所200及び操作所に設置され、受信機100などの各装置と通信して作業員の位置情報など各種の情報を受信するとともに、充電近接感知装置10及び支援装置20の間で、情報を送受信する機能を有する。
【0023】
==充電近接感知装置10==
【0024】
図1図9を参照しつつ、充電近接感知装置10について、以下のとおり説明する。図5は、本実施形態に係る充電近接感知装置10のハードウェア構成の一例を示す図である。図6は、本実施形態に係る配電系統の単線結線図の一例を示す図である。図7は、本実施形態に係る配電系統の三次元画像の一例を示す正面図である。図8は、本実施形態に係る配電系統の三次元画像の一例を示す斜視図である。図9は、本実施形態に係る充電情報テーブル12aの一例を示す図である。
【0025】
充電近接感知装置10は、作業員が視覚を通じて充電部を確認するための装置である。充電近接感知装置10は、例えば、メガネ型の端末や、タブレット型の端末である。なお、図1では、メガネ型の充電近接感知装置10を示している。充電近接感知装置10は、例えば予め記憶部12に記憶されている情報に基づいて充電部を示す三次元画像を、作業員が視覚で確認できるように表示させる機能を有する。
【0026】
このような機能を有する充電近接感知装置10は、図5に示すように、演算処理部11と、記憶部12と、表示部13と、入力部14と、出力部15と、メモリ16と、を含んで構成されている。
【0027】
演算処理部11は、例えばCPUあるいはMPUなどで構成されている。演算処理部11は、メモリ16に格納されているプログラムを読み出すことにより、以下述べる各種機能を実現する。図5に示すように、演算処理部11は、画像処理部11aと、第1表示処理部11bと、第2表示処理部11cと、位置判定部11dと、方位判定部11eと、警報判定部11fと、を有する。
【0028】
画像処理部11aは、三次元画像を記憶部12から取得する機能を有する。三次元画像は、例えば配電系統を前方から見た二次元で示す単線結線図(図6)と、配電系統を上方から見た二次元で示す単線結線図(不図示)と、に基づいて生成される三次元で示す画像(図7図8)である。三次元画像は、例えば3DCADで描かれる画像である。画像処理部11aは、支援装置20から送信される開閉器の開閉状態を示す開閉情報に基づいて、三次元画像上の充電部を特定する。より具体的には、画像処理部11aは、開閉情報に等しい記憶部12の充電情報を取得し、該充電情報に基づいて、三次元画像に対して、充電部を赤で表示し、非充電部を青で表示して充電状態を示す。なお、表示される充電部は、充電箇所が露出している部分のみであるか、ケーブルなどのように充電箇所が露出していない部分も含むのか、のいずれでもよい。なお、画像処理部11aは、二次元で示す単線結線図から三次元画像を生成する機能を有していてもよい。
【0029】
第1表示処理部11bは、画像処理部11aが取得した三次元画像における充電部に第1近接区域を表示させる機能を有する。第1表示処理部11bは、記憶部12の充電情報テーブル12aから第1近接区域を示す情報を取得し、該第1近接区域を三次元画像に表示する。第1近接区域とは、作業員がこれ以上充電部に近接してはならない区域であって、例えば労働安全衛生規則344条で規定されているような電圧階級に応じて定められている距離であり、例えば公称電圧33kVにおいては充電部から50cm離れた区域である。ただし、作業員は、第1近接区域を任意に設定できるものとする。図7図8において、第1近接区域を一点鎖線で示す。
【0030】
第2表示処理部11cは、画像処理部11aが取得した三次元画像における充電部に第2近接区域を表示させる機能を有する。第2表示処理部11cは、記憶部12の充電情報テーブル12aから第2近接区域を示す情報を取得し、該第2近接区域を三次元画像に表示する。第2近接区域とは、例えば、充電部を中心として、第1近接区域を含む区域である。言い換えると、第2近接区域とは、第1近接区域よりも充電部から離れた所定の区域である。この区域においては、活線近接作業として、充電部に対する必要な離隔距離を確保するための標識を設けることや、監視人により作業を監視させる等必要な安全確保措置を講じる必要がある。第2近接区域は、図7図8において二点鎖線で示す区域であり、例えば公称電圧33kVにおいて充電部から120cm離れた区域である。ただし、作業員は、第2近接区域を任意に設定できるものとする。
【0031】
位置判定部11dは、受信機100から位置を示す位置情報を取得して、該位置情報に基づいて三次元画像上における作業員の位置を表示させる機能を有する。各受信機100は、図1に示すように、作業員が所持する発信機110が発するビーコンを受信する。位置判定部11dは、複数の受信機100からのビーコンの受信時間のずれに基づいて、発信機110の位置を三次元の座標を示す情報として計算する。
【0032】
また、位置判定部11dは、GPS受信機111から位置を三次元の座標として示す情報を取得して、該位置情報に基づいて三次元画像上における作業員の位置を表示させる機能を有する。
【0033】
方位判定部11eは、既設の方位検知センサー101から移動方向を示す方向情報を取得して、該方向情報に基づいて三次元画像における作業員の移動方向を表示させる機能を有する。ここで、方位検知センサー101は、図1に示すように、例えば、受信機100と一体的に構成されている。方位判定部11eは、例えば、方向情報に基づいて、位置判定部11dが表示する作業員の位置に対して、矢印などで方向を表示する。これにより、方位判定部11eは、三次元画像上に作業員の移動方向を表示できるため、作業員は自らの位置および移動方向に基づいて充電部との関係を確認できることから、作業員の感電事故を防止できる。
【0034】
警報判定部11fは、第1近接区域または第2近接区域に作業員が近づいたときに、所定の警報を発する機能を有する。所定の警報とは、作業員と充電部との位置関係に応じた警報である。具合的に述べると、警報判定部11fは、例えば、三次元画像上において作業員の位置が、第2近接区域に近接すると第1警報音を発し、第1近接区域に近接すると第2警報音を発し、第1近接区域内に入ると第3警報音を発する。また、警報判定部11fは、第1~第3警報音に対応する警報情報を支援装置20に出力する。これにより、支援装置20が第1~第3警報音を発することができるため、支援員は、作業員が感電の危険を有していることを把握できる。
【0035】
記憶部12は、演算処理部11が各種処理を実行するための各種情報を格納する機能を有する。記憶部12は、少なくとも、充電情報テーブル12aを格納している。図9に示すように、充電情報テーブル12aは、各配電系統の開閉器の開閉状態に応じて変化する充電部に関する情報を含む三次元画像を示す画像情報を格納するテーブルである。そして、画像情報には、第1近接区域に係る情報および第2近接区域に係る情報が対応付けられている。
【0036】
図9に示すように、充電情報テーブル12aは、電気所200を示す番号が入力される“電気所”項目と、電気所200における配電系統を示す番号が入力される“系統”項目と、支援装置20から送信される配電系統の三次元画像を示す画像情報が入力される“画像情報”項目と、三次元画像における開閉器の開閉状態に応じて変化する充電部を示す番号が入力される“充電情報”項目と、該充電部における第1近接区域を示す情報が入力される“第1区域”項目と、該充電部における第2近接区域を示す情報が入力される“第2区域”項目と、を対応付けて格納している。なお、充電情報とは、複数の開閉器のうち、何れの開閉器が“開”状態で、何れの開閉器が“閉”状態であるか、についての組み合わせにおける充電部を示す情報である。つまり、充電情報は、例えば、配電系統における開閉器の組み合わせの数だけ示される。
【0037】
表示部13は、三次元画像を表示する機能を有する、例えば液晶ディスプレイである。表示部13には、少なくとも充電部および第1近接区域を表示する三次元画像が表示される。入力部14は、外部の装置または支援装置20から出力される各種情報が入力されるインターフェイスである。出力部15は、支援装置20に各種情報を出力するためのネットワークインターフェイスである。なお、入力部14および出力部15は、図1に示すように、例えば通信機102を介して支援装置20と無線通信可能な仕様(Wi-Fiなど)である。メモリ16は、演算処理部11が処理するためのプログラムを格納する装置である。メモリ16は、例えば、ハードディスクドライブ、SSDあるいは光学式記憶装置などで構成されている。
【0038】
==支援装置20==
【0039】
図1図10を参照しつつ、支援装置20について、以下のとおり説明する。図10は、本実施形態に係る支援装置20のハードウェア構成の一例を示す図である。
【0040】
支援装置20は、充電近接感知装置10から送信される情報に基づいて、支援員に三次元画像上における作業員の位置を知らせる機能を有する。また、支援装置20は、例えば、二次元の単線結線図から三次元の画像を生成する機能を有する。さらに、他の装置103から配電系統の開閉器の開閉状態を示す開閉情報を受信し、該開閉情報に基づいて、配電系統の充電部を特定する機能を有していてもよい。そして、支援装置20は、記憶部22の充電情報テーブル22aに格納している各種情報を、充電近接感知装置10に送信する機能を有する。このような機能を有する支援装置20は、図10に示すように、演算処理部21と、記憶部22と、表示警報部23と、入力部24と、出力部25と、メモリ26と、を含んで構成されている。
【0041】
演算処理部21は、例えばCPUあるいはMPUなどで構成されている。演算処理部21は、メモリ26に格納されているプログラムを読み出すことにより、以下述べる各種機能を実現する。図10に示すように、演算処理部21は、画像生成部21aと、開閉判定部21bと、充電処理部21cと、位置処理部21dと、を有する。
【0042】
画像生成部21aは、三次元画像を生成または記憶部22から取得する機能を有する。画像生成部21aが生成または取得する三次元画像は、充電近接感知装置10の画像処理部11aが取得する三次元画像と同じである。画像生成部21aが三次元画像を生成する場合、画像生成部21aは、例えば配電系統を前方から見た二次元で示す単線結線図(図6)と、配電系統を上方から見た二次元で示す単線結線図(不図示)と、に基づいて三次元画像(図7図8)を生成する。生成された三次元画像を示す画像情報は、記憶部22に格納される。
【0043】
開閉判定部21bは、配電系統における開閉器(遮断器を含む)の開閉状態を判定する機能を有する。開閉判定部21bは、開閉器から接点信号を取得して開閉状態を判定するか、支援装置20とは他の装置103(図1参照)から開閉状態を示す開閉情報を取得するか、のいずれの機能を有していてもよい。開閉判定部21bは、開閉器の開閉状態をリアルタイムに判定する。これにより、支援装置20は、開閉状態に応じて変化する充電部をリアルタイムに特定できる。
【0044】
充電処理部21cは、配電系統の充電状態を後述する表示警報部23に表示させる機能を有する。配電系統の充電状態は、画像情報と開閉情報とに基づいて示される。より具体的には、充電処理部21cは、開閉情報に等しい記憶部22の充電情報を取得して、該充電情報に基づいて、三次元画像に対して、充電部を赤で表示し、非充電部を青で表示して充電状態を示す。さらに、第1近接区域および第2近接区域を表示する機能を有していてもよい。なお、表示される充電部は、充電箇所が露出している部分のみであるか、ケーブルなどのように充電箇所が露出していない部分も含むのか、のいずれでもよい。該充電表示処理部により、支援員は、表示警報部23を通じて充電部を確認できる。
【0045】
位置処理部21dは、充電近接感知装置10から送信される位置情報および方位情報に基づいて、三次元画像上における作業員の位置および方位を表示警報部23に表示させる機能を有する。
【0046】
記憶部22は、プログラムや各種情報を記憶する装置である。記憶部22は、例えば、ROM、RAMあるいはフラッシュメモリなどで構成されている。記憶部22には、少なくとも充電情報テーブル22aが格納されている。なお、充電情報テーブル22aについては、充電近接感知装置10が格納する充電情報テーブル12aと同じであるため、その説明を省略する。
【0047】
表示警報部23は、三次元画像を表示する機能を有する、例えばスピーカー付の液晶ディスプレイである。表示警報部23には、少なくとも充電部および作業員の位置を表示する三次元画像が表示される。また、充電近接感知装置10から出力される警報情報を受信すると、警報情報に応じた警報を発する。これにより、支援員は、作業員と充電部との位置関係を把握できるため、作業員の安全をサポートできる。入力部24は、外部の装置または充電近接感知装置10から出力される各種情報が入力されるインターフェイスである。出力部25は、充電近接感知装置10に各種情報を出力するためのネットワークインターフェイスである。なお、入力部24および出力部25は、図1に示すように、例えば通信機102を介して充電近接感知装置10と無線通信可能な仕様(Wi-Fiなど)である。メモリ26は、演算処理部21が処理するためのプログラムを格納する装置である。メモリ26は、例えば、ハードディスクドライブ、SSDあるいは光学式記憶装置などで構成されている。
===処理フロー===
【0048】
図11を参照しつつ、充電近接感知システム1の処理フローについて説明する。図11は、本実施形態に係る充電近接感知システム1の処理フローを示す図である。
【0049】
先ず、充電近接感知装置10の処理手順について説明する。充電近接感知装置10は、支援装置20と通信可能に同期する。
【0050】
先ず、充電近接感知装置10の画像処理部11aは、記憶部12から三次元画像を読み込むとともに、支援装置20から開閉情報を受信する(S10)。画像処理部11aは、開閉情報と記憶部12の充電情報テーブル12aの充電情報とを照合し、三次元画像上の充電部を特定する。これにより、画像処理部11aは、出力部25などに表示した三次元画像上に充電部を表示できる。
【0051】
次に、充電近接感知装置10の第1表示処理部11bは、記憶部12から充電情報に対応する第1近接区域を示す情報(“第1エリア”項目)を取得する。これにより、第1表示処理部11bは、三次元画像上に第1近接区域を表示する(S11)。また、第2表示処理部11cは、記憶部12から充電情報に対応する第2近接区域を示す情報(“第2エリア”項目)を取得する。これにより、第2表示処理部11cは、三次元画像上に第2近接区域を表示する(S12)。
【0052】
次に、充電近接感知装置10の位置判定部11dは、受信機100及びGPS受信機111からビーコンの受信情報を取得する。これにより、位置判定部11dは、三次元画像上に作業員の位置を表示できる。位置判定部11dは、位置情報を支援装置20に出力する(S13)。これにより、支援装置20においても三次元画像上に作業員の位置を表示できる。作業員及び支援員は、作業員の位置と充電部との関係を確認できることから、作業員の感電事故を防止できる。このステップS13における位置判定処理の詳細については、後述する。
【0053】
次に、充電近接感知装置10の方位判定部11eは、方位検知センサー101から方位情報を取得する。これにより、方位判定部11eは、三次元画像上に作業員の移動している方位を表示できる。方位判定部11eは、方位情報を支援装置20に出力する(S14)。これにより、支援装置20においても三次元画像上に作業員の移動している方位を表示させる。
【0054】
次に、充電近接感知装置10の表示部13は、充電部を表示する三次元画像に作業員の位置および方位を示した画像を表示する(S15)。作業員は、表示部13に表示した三次元画像を見ることにより、充電部、第1近接区域および第2近接区域を確認しつつ、自らの位置と移動方位を確認することができる。
【0055】
次に、充電近接感知装置10の警報判定部11fは、第1近接区域または第2近接区域と作業員との位置関係を判定する。警報判定部11fは、作業員が第2近接区域に接近しているか、第1近接区域に接近しているか、第1近接区域に入域しているか、を判定する(S16)。言い換えると、警報条件を満たしているか、を判定する。
【0056】
警報条件を満たしている場合(S16:YES)、警報判定部11fは、警報条件に応じた警報を発する(S17)。終了コマンドが入力されない限り、処理をS13から繰り返す。警報条件を満たしていない場合(S16:NO)、警報判定部11fは、処理をS13から繰り返す。これにより、充電近接感知装置10は、作業員の位置をリアルタイムに監視することができる。
【0057】
次に、支援装置20の処理手順について説明する。先ず、支援装置20は、充電近接感知装置10と通信可能に同期する。
【0058】
先ず、支援装置20は、他の装置103から三次元画像を示す画像情報を取得し、該画像情報を記憶部22に記憶する(S20)。次に、支援装置20の画像生成部21aは、記憶部22から三次元画像を読み込む(S21)。次に、支援装置20の開閉判定部21bは、他の装置103から開閉器の開閉状態を示す開閉情報を取得するとともに、該開閉情報を充電近接感知装置10に出力する(S22)。
【0059】
次に、支援装置20の充電処理部21cは、記憶部22から開閉情報を読み込むとともに、該開閉情報と記憶部22の充電情報テーブル22aの充電情報とを照合することにより、三次元画像上の充電部を特定する(S23)。これにより、充電処理部21cは、三次元画像上に充電部を表示できる。
【0060】
次に、支援装置20の位置処理部21dは、充電近接感知装置10から位置情報と方位情報とを受信するとともに、該位置情報と該方位情報とに基づいて、三次元画像上に作業員の位置および方位を表示させる(S24)。
【0061】
次に、支援装置20の表示警報部23は、充電部を表示する三次元画像に作業員の位置および方位を示した画像を表示する(S25)。支援員は、表示警報部23に表示した三次元画像を見ることにより、充電部、第1近接区域、第2近接区域、作業員の位置および作業員の移動方位を確認することができる。さらに、表示警報部23は、充電近接感知装置10から警報情報を受信する。これにより、表示警報部23は、警報情報に応じた警報を発する(S25)。
【0062】
次に、支援装置20の開閉判定部21bは、他の装置103から取得する開閉情報に基づいて、開閉器の開閉状態が変化しているか否かを判定する(S26)。開閉状態が変化している場合(S26:YES)、開閉判定部21bは、S22に移行して処理を繰り返す。開閉状態が変化していない場合(S26:NO)、開閉判定部21bは、終了コマンドが入力されない限り、処理を繰り返す。これにより、支援装置20は、図8に示すような三次元画像を表示させて、作業員の位置をリアルタイムに監視しつつ、作業員の感電危険を未然に確認することができる。
【0063】
<位置判定詳細>
図12に位置判定処理(S13)の詳細を示す。
【0064】
ステップS131において位置判定部11dは、受信機100が受信したビーコンを示す情報を、通信機102を介して受信する。次に位置判定部11dは、各受信機100間におけるビーコン受信時刻のずれを解析し、発信機110の位置、すなわち作業員の位置を算出する(S132)。
【0065】
さらに位置判定部11dは、GPS受信機111からの情報を受信する(S133)。これにより、GPS受信機111の位置、すなわち作業員の位置を取得する。
【0066】
次に位置判定部11dは、ステップS132で取得したビーコンに基づく情報と、ステップS133で取得したGPSによる情報とを比較する(S134)。位置の比較は、取得した位置の精度を比較することによって行われる。例えば、位置判定部11dは、GPS受信機111が取得した誤差情報を調べ、GPSによる計測の精度とビーコンによる計測の精度とを比較する。位置判定部11dは、より正確な精度が得られた計測方法を選択する。
【0067】
別の方法として、ビーコンによる測位が可能である場合には、GPSによる測位に優先して、ビーコンを用いた測位を用いるものとすることも可能である。これは、ビーコンによる測位が可能であるのは主に区画R内部においてであり、発信機110と受信機100との距離が近く、充分な精度が得られることを考慮したものである。
【0068】
ビーコンによる測位ができない場合や、GPSによる測位ができない場合には、ビーコン及びGPSのうち計測可能な方法が選択される。
【0069】
最終的に位置判定部11dは、ステップS134で選択された測位方法によって計測された位置を、作業員の位置として決定する(S135)。このような方法を用いることにより、作業員の位置を正確に把握することが可能となる。
===その他の実施形態===
【0070】
上記において、充電近接感知装置10は、方位判定部11eを含んで構成されているように記載したが、これに限定されない。充電近接感知装置10は、方位判定部11eを含んでいなくてもよく、少なくとも三次元画像上における作業員の位置が把握できればよい。
【0071】
上記において、充電近接感知装置10は、警報判定部11fを含んで構成されているように記載したが、これに限定されない。充電近接感知装置10は、警報判定部11fを含んでいなくてもよく、少なくとも三次元画像上における作業員の位置が把握できればよい。
===まとめ===
【0072】
以上説明したように、位置検知システム1は、作業員によって保持されてビーコンを発する発信機110(本発明の発信部に相当)と、電気所の鉄構に設置されてビーコンを受信する受信機100(受信部に相当)と、作業員の位置を衛星測位方式により検知するGPS受信機111(検知部に相当)と、GPS受信機111及び受信機100と通信する演算処理部11(制御部に相当)と、を備える。演算処理部11は、受信機100から受信した情報及び前記検知部から受信した情報のうち、精度の高い情報に基づいて、前記作業員の位置を算出する算出処理を実行する(S13)。
【0073】
このような構成とすることにより、作業員の位置を正確に把握することが可能となり、作業時における危険の予知または防止を的確に実施できる。
【0074】
制御部は、受信機100から受信した情報に基づいて測位可能であるとき、GPS受信機111から受信した情報に優先して、受信機100から受信した情報に基づいて作業員の位置を算出する。
【0075】
上記構成は、ビーコンによる測位が可能であるのは主に区画R内部においてであり、発信機110と受信機100との距離が近く、充分な精度が得られることを考慮したものである。ビーコンによる測位が可能であるときに、ビーコンによる測位を優先して用いることにより、精度の高い位置を取得することができる。
【0076】
電気所200の鉄構は、グリッド状に配置された複数の鉄柱201を備え、前記受信部は、他のグリッドに包囲された区画Rを形成する鉄柱201Aに設置される。
【0077】
鋼製の鉄柱201に包囲され、衛星からの電波受信が困難な区画Rでは、GPSを用いた測位が困難であるか、測位が可能であっても良好な精度を出すことが難しい。鉄柱201Aに受信機100を設置することにより、区画Rにおいてビーコンを用いた測位が可能となり、GPSによる測位を補完することができる。
【0078】
また、受信機100は、鉄柱201Aの頂部に取り付けられる。鉄柱201Aの頂部に設置されることにより、受信機100は、発信機110から電波を確実に受信することができる。
【0079】
演算処理部11は、出された位置に基づき、電気所200の配電系統の充電部に前記作業員が近接したか判断する判断処理(S16)と、判断処理に基づき、前記作業員が前記充電部に接近したときに警報を発する警報処理(S17)と、をさらに実行する。
【0080】
また、演算処理部11は、充電部を表示部13に表示させる処理と、警報を出力部25に表示させる処理と、をさらに実行する。
【0081】
上記構成では、作業員が充電部に接近したときに警報が発せられるため、作業員は危険を察知して事故を防止し、安全に作業を遂行することができる。
【符号の説明】
【0082】
1 充電近接感知システム
10 充電近接感知装置
11a 画像処理部
11b 第1表示処理部
11c 第2表示処理部
11d 位置判定部
11f 警報判定部
20 支援装置
100 受信機
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12