(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022181720
(43)【公開日】2022-12-08
(54)【発明の名称】加工機
(51)【国際特許分類】
G05B 19/409 20060101AFI20221201BHJP
B26D 5/00 20060101ALI20221201BHJP
B26D 1/02 20060101ALI20221201BHJP
【FI】
G05B19/409 C
B26D5/00 Z
B26D1/02 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021088822
(22)【出願日】2021-05-26
(71)【出願人】
【識別番号】000002897
【氏名又は名称】大日本印刷株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100122529
【弁理士】
【氏名又は名称】藤枡 裕実
(74)【代理人】
【識別番号】100135954
【弁理士】
【氏名又は名称】深町 圭子
(74)【代理人】
【識別番号】100119057
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 英生
(74)【代理人】
【識別番号】100131369
【弁理士】
【氏名又は名称】後藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100171859
【弁理士】
【氏名又は名称】立石 英之
(72)【発明者】
【氏名】柿崎 俊
(72)【発明者】
【氏名】小坂 昭仁
(72)【発明者】
【氏名】近藤 孝士
【テーマコード(参考)】
3C027
3C269
【Fターム(参考)】
3C027BB10
3C269AB01
3C269BB07
3C269PP05
3C269QC01
3C269QD02
3C269QD05
3C269QE21
(57)【要約】
【課題】 本開示は、加工機による加工に伴う作業を円滑に行うことが可能な加工機を提供する。
【解決手段】 対象物に対して加工を行う加工部10と、加工部10を制御する制御部30と、制御部30からの情報を表示する表示部51と、制御部30に対して指示を行う指示部52と、を有し、制御部30は、加工部10からの情報に基づいて加工部10を停止する制御を行い、指示部52に対する操作に基づいて加工部10の運転を再開する制御を行う、加工機。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象物に対して加工を行う加工部と、
前記加工部を制御する制御部と、
前記制御部からの情報を表示する表示部と、
前記制御部に対して指示を行う指示部と、を有し、
前記制御部は、前記加工部からの情報に基づいて前記加工部を停止する制御を行い、前記指示部に対する操作に基づいて前記加工部の運転を再開する制御を行う、加工機。
【請求項2】
前記表示部と前記指示部は、タッチパネルで構成されており、
予め設定された単位作業と、当該単位作業に対応する前記指示部である指示ボタンが並べて配置されている、請求項1に記載の加工機。
【請求項3】
前記単位作業を1以上有する作業セットが複数存在し、前記対象物の品目ごとに前記作業セットが対応付けられており、
前記単位作業と当該単位作業に対応する前記指示ボタンの組が複数表示される場合、
前記単位作業と前記指示ボタンの各組は、前記表示部の画面において、画面の一方の側から他方の側へ作業の実行順に配置されている、請求項2に記載の加工機。
【請求項4】
前記各単位作業に対応する音声を出力する音声出力部を有する、請求項2または請求項3に記載の加工機。
【請求項5】
前記音声出力部から出力される音声は、前記指示ボタンが操作された場合に切り替わる、請求項4に記載の加工機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、加工機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、様々な対象物に対して、切断加工、折加工、接着加工等、様々な加工を行う加工機が用いられている。例えば、薄いシート状の加工対象物を、スリッター刃により搬送方向に沿って分離するスリッター機も利用されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
スリッター機で加工を行う際、スリッター機への供給は、シートを巻いた巻取ロールの状態で行われる。そして、1つの巻取ロールにおけるシートの長さは有限であるため、複数の巻取ロールを継ぎ足しながら、全体の加工を行うことになる。この際、巻取ロールごとの継ぎ足しは人による作業で行われる。また、そのような作業を行う際に、所定の箇所に位置を決めるためのテープを貼る等の作業も行われている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記スリッター機等の従来の加工機では、加工機による加工と作業者による作業が混在し、加工機の停止時に、作業者が円滑に作業を行うことが難しいという問題がある。
【0006】
そこで、本開示は、加工機による加工に伴う作業を円滑に行うことが可能な加工機を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、本開示では、
対象物に対して加工を行う加工部と、
前記加工部を制御する制御部と、
前記制御部からの情報を表示する表示部と、
前記制御部に対して指示を行う指示部と、を有し、
前記制御部は、前記加工部からの情報に基づいて前記加工部を停止する制御を行い、前記指示部に対する操作に基づいて前記加工部の運転を再開する制御を行う、加工機を提供する。
【0008】
本開示の加工機において、
前記表示部と前記指示部は、タッチパネルで構成されており、
予め設定された単位作業と、当該単位作業に対応する前記指示部である指示ボタンが並べて配置されていてもよい。
【0009】
本開示の加工機において、
前記単位作業を1以上有する作業セットが複数存在し、前記対象物の品目ごとに前記作業セットが対応付けられており、
前記単位作業と当該単位作業に対応する前記指示ボタンの組が複数表示される場合、
前記単位作業と前記指示ボタンの各組は、前記表示部の画面において、画面の一方の側から他方の側へ作業の実行順に配置されていてもよい。
【0010】
本開示の加工機は、
前記各単位作業に対応する音声を出力する音声出力部を有してもよい。
【0011】
本開示の加工機において、
前記音声出力部から出力される音声は、前記指示ボタンが操作された場合に切り替わってもよい。
【発明の効果】
【0012】
本開示によれば、加工機による加工に伴う作業を円滑に行うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図2】
図1におけるスリット加工部の詳細図である。
【
図3】本開示の一実施形態に係る加工機の機能ブロック図である。
【
図8】本実施形態に係る加工機の処理動作を示すフローチャートである。
【
図9】継ぎ関係パターン1(耳出し有り+両面貼り有り)の確認画面を示す図である。
【
図10】継ぎ関係パターン1(耳出し有り+両面貼り有り)の確認画面を示す図である。
【
図11】継ぎ関係パターン1(耳出し有り+両面貼り有り)の確認画面を示す図である。
【
図12】継ぎ関係パターン1(耳出し有り+両面貼り有り)の確認画面を示す図である。
【
図13】継ぎ関係パターン2(耳出し無し+両面貼り有り)の確認画面を示す図である。
【
図14】継ぎ関係パターン3(耳出し有り+表面貼り有り)の確認画面を示す図である。
【
図15】継ぎ関係パターン4(耳出し無し+表面貼り有り)の確認画面を示す図である。
【
図16】(1)巻外確認パターン1(巻外カット位置指定有り)の確認画面を示す図である。
【
図17】(1)巻外確認パターン2(巻外カット位置指定無し)の確認画面を示す図である。
【
図18】(2)巻芯カット位置確認の確認画面を示す図である。
【
図19】(3)止めテープ確認の確認画面を示す図である。
【
図20】(4)紙管止め切れ目の確認画面を示す図である。
【
図21】(5)エンドテープ確認パターン1(エンドテープに耳出し有り)の確認画面を示す図である。
【
図22】(5)エンドテープ確認パターン2(エンドテープに耳出し無し)の確認画面を示す図である。
【
図23】表示部51に表示された欠陥検知結果画面を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本開示の好適な実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。
【0015】
<1.加工機本体の概略>
本実施形態に係る加工機は、従来からある加工機本体に、加工機本体を制御する機構と作業の通知を行う機構を備えている。ここでは、まず、本実施形態に係る加工機が備える加工機本体の概略について説明する。
図1は、加工機本体部分の概略を示す側面図である。
図2は、
図1におけるスリット加工部20の詳細図である。本実施形態では、加工機本体として、巻取ロールから巻き出されたシートSをスリット(切断)するスリッター機を用いた例について説明する。特に、本実施形態では、マジックカット(登録商標)と呼ばれる微細な貫通孔が多数形成されたシートをスリットするとともに、貫通孔の検査を行うスリッター機を用いた例について説明する。
【0016】
加工部10は、セットされた巻取ロールからシートSを巻き出して供給する巻き出し部11、スリットされて分離された各シートをそれぞれ巻き取る巻き取り部12を有し、複数の搬送ローラ13を介してシートを搬送する。
図1の例では、搬送ローラ13a~13jを有している。途中にスリット加工部20を有し、シートSの搬送方向に沿って、シートSをスリットする。例えば、9つのスリット加工部20を有する場合、広幅の1つのシートSは、10列のシートSに分離される。分離後のシートSは、それぞれ巻き取り部12により巻き取られる。
図1の側面図では、巻き取り部12a、12bの2つの巻き取り部が上下に配置された状態で見えている。紙面の奥方向には、他の8つの巻き取り部12が隠れた状態となっている。10個の巻き取り部12は、上軸(上側)に5個、下軸(下側)に5個それぞれ配置されている。加工部10の各要素は、破線で示した筐体15に納められている。
【0017】
図2に示すように、スリット加工部20は、2つの搬送ローラ13f、13g付近にスリット刃ホルダ23を有する。スリット刃ホルダ23はスリット刃(図示省略)を保持しており、スリット加工時には、スリット刃がシートSに当たる位置まで移動する。上方の搬送ローラ13f付近でスリット刃によりスリットされたシートSは下方の搬送ローラ13gにより搬送される。
図2に示すように、上下の搬送ローラ13f、13g間を流れるシートSを挟む位置に、レーザーセンサ14が配置される。レーザーセンサ14は、レーザー発光部14aとレーザー受光部14bにより構成されている。レーザー発光部14aとレーザー受光部14bは、上下の搬送ローラ13f、13g間を流れるシートSを挟んで、互いに対向するようにして設置されている。
【0018】
<2.装置構成>
本実施形態に係る加工機について説明する。
図3は、本実施形態に係る加工機の構成を示す機能ブロック図である。
図3に示すように、本実施形態に係る加工機は、加工部10,制御部30、表示部51、指示部52、音声出力部60を有している。
【0019】
加工部10は、所定の加工を行う加工機本体であり、本実施形態では、
図1,
図2に示したような、スリット加工機である。制御部30は、加工部10を含め、本実施形態に係る加工機の全体を制御する手段である。制御部30は、所定の演算や制御を実行するものであり、プログラマブルロジックコントローラ(PLC)により実現される。制御部30は、CPU、主メモリ、不揮発性の記憶装置を備えた汎用のコンピュータにより実現することも可能である。制御部30をコンピュータにより実現する場合、加工部10、表示部51、指示部52、音声出力部60を制御するためのプログラムを記憶装置に記憶しておき、CPUがプログラムを主メモリに読み出して実行する。
【0020】
記憶装置には、加工対象とする品目に関する情報が記憶されている。各品目は、品目の番号である品番を特定する識別情報である品番コードで管理されており、依頼した得意先を特定する識別情報である得意先コードと品目とが対応付けられている。各品目については、行うべき作業が対応付けて記憶されている。各作業は、単位作業と、複数の単位作業からなる作業セットとして管理されている。すなわち、制御部30内の記憶装置では、各作業セットについて1以上の単位作業が対応付けて記憶されている。後述するように、各品目に必要な作業セットは、作業者がタッチパネルを用いた操作により設定することができる。作業者の指示に基づいて、制御部30は、品目コードと作業セットを対応付けて記憶装置に記憶する。
【0021】
表示部51は、加工部10の状態を表示する表示手段であり、液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ等の表示デバイスにより実現される。指示部52は、制御部30に対して作業者が指示を行うための手段である。制御部30に対して指示を行うことができれば、指示部52は、どのような態様で実現されてもよい。本実施形態では、表示部51と指示部52をタッチパネル50により実現している。したがって、本実施形態では、指示部52は、表示部51に表示された指示ボタン等により実現される。作業者は、表示部51に表示された指示ボタンに触れることにより制御部30に対して指示を行うことになる。音声出力部60は、スピーカを備えており、制御部30から受け取った情報を音声出力する。
【0022】
制御部30は、加工部10から受信した情報に基づいて、様々な情報を表示部51に表示したり、音声出力部60から音声出力したりする。また、制御部30は、記憶装置内に記憶された品目の情報に基づいて、その品目に応じた制御を加工部10に対して行う。さらに、制御部30は、作業者がタッチパネル50を用いて入力するための画面データを表示部51に表示させるとともに、作業者により触れられた位置を認識して対応する処理を実行する。
【0023】
<3.品目の設定>
次に、本実施形態に係る加工機における品目の設定について説明する。品目の設定とは、加工部10において加工を行う各品目について、必要な作業を設定することである。品目の設定の際は、
図4~
図6に示したような表示画面を用いる。まず、品目の設定の際に、表示部51に表示される表示画面について説明する。
図4は初期画面を示す図である。初期状態では、
図4に示すような初期画面が表示部51に表示される。初期画面においては、画面上方に「音声ガイダンスシステム」というシステム名が表示されている。本実施形態では、音声出力部60により作業の通知を音声でも行うため、音声ガイダンスシステムという表記を行っている。また、初期画面の画面下方に「新規登録」「呼出」という2つのボタンが表示されている。初期画面においては、作業者は、この2つのボタンのどちらかを選択可能になっている。本実施形態では、タッチパネル50で表示部51と指示部52を実現しているため、表示部51に表示されたボタンに作業者が触れることにより、制御部30は、そのボタンに対応する指示や選択を認識する。
【0024】
図5は、新規登録画面を示す図である。新規登録画面は、新たな品目を登録する際に用いられる画面である。
図4の初期画面において、作業者により「新規登録」ボタンが選択された場合に、新規登録画面が表示される。新規登録画面の右下方には、「得意先コード」と「品番コード」の入力欄が用意されている。「得意先コード」は得意先を特定する識別情報であり、「品番コード」は各品目の番号である品番を特定する識別情報である。
【0025】
1つの品番(品目)について、新規登録画面においては、必要な作業セットの選択を行うことができる。作業セットとは複数の単位作業が組み合わされたものである。本実施形態に係る加工機では、以下の作業セットが選択可能となっている。スリット後のシートが巻き取り部12に巻き取られた時点である巻き終わり停止時、巻取ロールのシートの端と端を継ぐ継ぎ関係、のそれぞれについて、複数の作業セットが選択可能になっている。
【0026】
(巻き終わり停止時)
(1)巻外確認
パターン1:巻外カット位置指定有り
パターン2:巻外カット位置指定無し
(2)巻芯カット位置確認
(3)止めテープ確認
(4)紙管止め切れ目
(5)エンドテープ確認
パターン1:エンドテープに耳出し有り
パターン2:エンドテープに耳出し無し
【0027】
(継ぎ関係)
パターン1:耳出し有り+両面貼り有り
パターン2:耳出し無し+両面貼り有り
パターン3:耳出し有り+表面貼り有り
パターン4:耳出し無し+表面貼り有り
【0028】
図5の新規登録画面では、画面左方において、巻き終わり停止時の各作業セット名が表示されており、各作業セット名の右側に選択ボタン(図において楕円形の外形で表示)が表示されている。また、画面中央において、継ぎ関係の各作業セット名が表示されており、各作業セット名の右側に選択ボタン(図において楕円形の外形で表示)が表示されている。各作業セット名の右側に表示されている選択ボタンに作業者が触れることにより、その作業セットが、画面右下の品番コードに必要な作業セットとして選択される。
【0029】
図5の新規登録画面の右方には、リセットボタンと新規登録ボタンが表示されている。リセットボタンが作業者により操作されると、それまでに選択された作業セットが全てリセットされて、選択されなかったことになる。新規登録ボタンが作業者により操作されると、制御部30は、それまでに選択された作業セット全てを品番コードに対応付けて、記憶装置に登録する。このようにして、記憶装置には、各品目についての必要な作業セットが登録される。
【0030】
図6は、呼出画面を示す図である。呼出画面は、既に登録された品目を修正する際に用いられる画面である。
図4の初期画面において「呼出」ボタンが操作された場合に、呼出画面が表示される。呼出画面の右下方には、
図5の新規登録画面と同様、「得意先コード」と「品番コード」の入力欄が用意されている。呼出画面においては、「得意先コード」と「品番コード」を入力して、対応する作業セット情報を呼び出すことができる。
【0031】
図6の呼出画面は、画面右方のボタンが異なっている他は、
図5の新規登録画面と同じである。
図6の呼出画面の右方には、
図5の新規登録画面と同様、リセットボタンが表示されている。ただし、
図6の呼出画面においては、
図5の新規登録ボタンに代えて呼出ボタンが表示されている。さらに、チェック転送ボタンが表示されている。チェック転送ボタンが作業者によりタッチされると、制御部30は、修正された作業セット全てを品番コードに対応付けて、記憶装置に登録する。このようにして、記憶装置には、各品目についての必要な作業セットが登録される。
【0032】
図5の新規登録画面により品目が登録されたら、その品目に対して加工部10による加工が可能となる。そして、加工部10による加工を開始する。すなわち、加工機本体である加工部10の運転を行う。
図7は、運転画面を示す図である。運転画面は、加工機本体の運転中、すなわち加工部10による加工中の状態を示す画面である。上述のように、本実施形態に係る加工機本体では、スリット加工と並行してマジックカットの加工及び検査(チェック)を行っている。そのため、
図7の運転画面の上方には、「チェック中」の表示がなされている。
【0033】
図7の運転画面の左方には、測長と継ぎ回数が表示されている。測長は、加工中のシートの長さであり、加工部10が備えるヤードメーター(図示省略)が計測することにより得られる。継ぎ回数は、巻取ロールを継いだ回数である。加工部10の運転中は、測長と継ぎ回数の数字は継続して増えていく。
図7の例では、測長は510m(メートル)、継ぎ回数が1回の時の状態を示している。
【0034】
図7の運転画面の右方には、確認運転設定について表示されている。
図7の例では、確認運転設定として、エンドテープ確認、上軸耳出し、下軸耳出し、蛇行確認の4項目について、それぞれ100cm、310cm、50cm、230cmであることが表示されている。
【0035】
<4.処理動作>
次に、本実施形態に係る加工機の処理動作について説明する。
図8は、本実施形態に係る加工機の処理動作を示すフローチャートである。本実施形態に係る加工機の処理動作は、品目に設定された作業セットにより異なる。
図8では、作業セットとして、継ぎ関係のパターン1「耳出し有り+両面貼り有り」が設定されている場合について説明する。より具体的には、
図5の新規登録画面または
図6の呼出画面において、継ぎ関係として「パターン1耳出し有り+両面貼り」が設定されている場合について説明する。
【0036】
本実施形態に係る加工機は、通常の加工機と同様に、加工部の運転を行う(ステップS1)。すなわち加工部10による通常の加工処理を行う。上述のように、本実施形態では、スリット加工を行う。加工部10の運転時には、ヤードメーターにより、常に走行位置を確認している。ヤードメーターからの計測結果は、制御部30に送られる。そして、制御部30は、その計測結果を表示部51に表示する。加工部10の運転時には、表示部51には、
図7に示したような運転画面が表示される。
【0037】
ヤードメーターからの計測結果が所定の値になると、加工部10は運転を停止する(ステップS2)。各品目については、巻き終わりの位置が事前に設定されている。そのため、ヤードメーターからの計測結果が、事前に設定された巻き終わりの位置に達した時に、制御部30は加工部10を停止する。そして、接合台(図示省略)を上げる処理を行う(ステップS3)。具体的には、制御部30が、加工部10における接合台を上げる処理を行う。続いて、作業セットの表示および音声出力を行う(ステップS4)。具体的には、制御部30が、表示部51に対して確認すべき作業セットの内容を表示させるとともに、音声出力部60から音声を出力させる。
【0038】
図9は、表示部51に表示される確認画面を示す図である。ステップS4では、表示部51には、継ぎパターン1(耳出し有り+両面貼り)の場合、
図9に示したような確認画面が表示される。継ぎパターン1(耳出し有り+両面貼り)の場合、
図9に示すように、確認画面の中央付近には、3つの単位作業が上下方向に並べて表示される。そして、各単位作業の右方には、確認ボタンが表示される。
図9の例では、上から順にBa、Bb、Bcの3つの確認ボタンが表示されている。確認ボタンは、確認画面の表示開始時には全て「未確認」と表示され、確認ボタンが操作されると、「確認済」と表示される。「未確認」の状態と「確認済」の状態では、確認ボタンの表示態様を変えることが好ましい。表示態様の変化として、「未確認」と「確認済」の文字表記の変化のみであってもよいが、確認ボタンの色を変化させてもよい。例えば、地味な色と派手な色で使い分けてもよい。本実施形態では、「未確認」の状態に比べて「確認済」の状態では、確認ボタンの枠線が太くなるように表示態様を変えて表示している。
【0039】
図9の例では、3つの単位作業が表示されている。これは、「継ぎ位置確認、両面貼り確認」、「上軸耳出し確認」、「下軸耳出し確認」の3つの単位作業が、「継ぎパターン1耳出し有り+両面貼り」の作業セットを構成する単位作業であることを示している。単位作業は、加工部10を停止した際、再度運転する前に行う一連の作業である。そのため、必ずしも1つの作業ではなく、2つ以上の作業であってもよい。単位作業は、実際に行う順序に応じて画面において1つの方向に沿って順に表示されている。
図9の例では、画面上側から下側に向かって、行うべき順序に従って表示されている。
図9の例では、1番上の単位作業として、「継ぎ位置確認、両面貼り確認」と表示されている。そのため、作業者は、継ぎの作業と、両面貼りの作業を行い、確認すべきであることを知ることができる。
【0040】
一方、音声出力部60からは、確認画面の1番上に表示された単位作業に対応する内容が音声出力される。具体的には、「継ぎ位置確認、両面貼り確認」を促す音声ガイダンスが行われる。「継ぎ位置確認、両面貼り確認」を促す音声ガイダンスとしては、例えば、「継ぎ位置を確認して下さい。両面貼りを確認して下さい。」等のメッセージを音声出力することができる。作業者は、確認画面による表示と音声ガイダンスの内容に基づいて、行うべき作業を知ることができる。
【0041】
この時点で加工部10は、接合台が下がった状態で停止している。この状態で、作業者は、実作業を行う(ステップS5)。すなわち、下がった接合台において、巻取ロールのシートS同士の継ぎ作業を行う。そのため、継ぎ作業を容易に行うことができる。継ぎパターン1である場合、継ぎ作業は、両面貼りで行う。そして、作業者は、接合台を下げる作業を行う(ステップS6)。この作業は、作業者が手動で接合台を元の位置に戻す作業である。
【0042】
作業者は、実作業を終えたら、確認画面において、確認ボタンの操作を行う(ステップS7)。具体的には、作業者自身が行った単位作業に対応する確認ボタンに触れる操作を行う。上述のように、単位作業は、行うべき順序に応じて上から順番に表示されている。また、確認ボタンは「未確認」と「確認済」の状態で異なる態様で表示されている。そのため、作業者は、単位作業の内容をしっかりと読まなくても「未確認」の状態の確認ボタンのうち1番上のものを操作すればよい。
【0043】
確認ボタンの操作が行われると、制御部30は、操作された確認ボタンの切り替え表示と音声出力内容の切り替えを行う(ステップS8)。例えば、確認ボタンBaがタッチされた結果、確認ボタンBaの表示は、
図9に示す「未確認」の状態から、
図10に示す「確認済」の状態に変化することになる。そして、制御部30が音声出力部60から出力する音声出力内容も切り替わる。
【0044】
図10のように、確認ボタンBaの表示が「確認済」の状態に変化したことにより、「未確認」の状態の確認ボタンのうち一番上にある確認ボタンBbに対応する単位作業としては、「上軸耳出し確認」と表示されている。そのため、作業者は、「上軸耳出し」作業を行うべきであることを知ることができる。「耳出し」とは、外部から見て認識可能なように、巻取ロールから耳のように飛び出すように、所定の位置にテープを貼る作業である。「上軸」とは、上下の巻き取り部12a、12bのうち、上側の軸である巻き取り部12aを意味する。後述の「下軸耳出し」は、下側の軸である巻き取り部12bに対して耳出し作業を行うことを意味する。
【0045】
一方、音声出力部60からは、確認画面の2番目に表示された単位作業に対応する内容が音声出力される。具体的には、「上軸耳出し確認」を促す音声ガイダンスが行われる。「上軸耳出し確認」を促す音声ガイダンスとしては、例えば、「上軸の耳出しを確認して下さい。」等のメッセージを音声出力することができる。作業者は、確認画面による表示と音声ガイダンスの内容に基づいて、行うべき作業を知ることができる。
【0046】
また、確認ボタンが操作されたことにより、制御部30は加工部10の運転を再開する(ステップS9)。この際、加工部10は、制御部30からの指示に基づいてシートを走行させる。そして、再開後、ヤードメーターからの計測結果が所定の値になると、加工部10は運転を停止する(ステップS10)。具体的には、ヤードメーターによる計測値を利用して、事前に設定された長さだけ走行させた時点で停止することにより行われる。
【0047】
このように加工部10が停止した状態で、作業者は、再び実作業を行う(ステップS11)。具体的には、表示部51の表示内容、音声出力部60からの音声ガイダンスに従い、上軸耳出し作業を行う。
【0048】
作業者は、上軸耳出しの実作業を終えたら、確認画面において、再び確認ボタンの操作を行う。具体的には、作業者自身が行った単位作業に対応する確認ボタンに触れる操作を行う。この時点では、上から2番目の確認ボタンBbを操作することになる。操作すべき確認ボタンは、単位作業の内容を見て決定するようにしてもよいが、「未確認」の状態の確認ボタンのうち1番上のものを操作してもよい。
【0049】
確認ボタンBbの操作が行われると、制御部30は、操作された確認ボタンの切り替え表示と音声出力内容の切り替えを行う(ステップS12)。例えば、確認ボタンBbが操作された結果、確認ボタンBbの表示は、
図10に示す「未確認」の状態から、
図11に示す「確認済」の状態に変化することになる。そして、制御部30が音声出力部60から出力する音声ガイダンスも切り替わる。
【0050】
図11のように、確認ボタンBbの表示が「確認済」の状態に変化したことにより、「未確認」の状態である確認ボタンBcに対応する単位作業として、「下軸耳出し確認」と表示されている。そのため、作業者は、「下軸耳出し」作業を行うべきであることを知ることができる。
【0051】
一方、音声出力部60からは、確認画面の上から3番目に表示された単位作業に対応する内容が音声出力される。具体的には、「下軸耳出し確認」を促す音声ガイダンスが行われる。「下軸耳出し確認」を促す音声ガイダンスとしては、例えば、「下軸の耳出しを確認して下さい。」等のメッセージを音声出力することができる。作業者は、確認画面による表示と音声ガイダンスの内容に基づいて、行うべき作業を知ることができる。
【0052】
また、確認ボタンが操作されたことにより、制御部30は加工部10の運転を再開する(ステップS13)。この際、加工部10は、制御部30からの指示に基づいてシートを走行させる。そして、再開後、ヤードメーターからの計測結果が所定の値になると、加工部10は運転を停止する(ステップS14)。具体的には、ヤードメーターによる計測値を利用して、事前に設定された長さだけ走行させた時点で停止することにより行われる。
【0053】
このように加工部10が停止した状態で、作業者は、再び実作業を行う(ステップS15)。具体的には、表示部51の表示内容、音声出力部60からの音声ガイダンスに従い、下軸耳出し作業を行う。
【0054】
作業者は、下軸耳出しの実作業を終えたら、確認画面において、再び確認ボタンの操作を行う。具体的には、作業者自身が行った単位作業に対応する確認ボタンに触れる操作を行う。この時点では、上から3番目(1番下側)の確認ボタンBcを操作することになる。押すべき確認ボタンは、単位作業の内容を見て決定するようにしてもよいが、「未確認」の状態の確認ボタンのうち1番上のものを押してもよい。
図11に示すように、この時点では、「未確認」の状態の確認ボタンは1つしか残っていないので、作業者は迷わず、作業を終えたばかりの「下軸耳出し確認」に対応する確認ボタンを操作することが可能となる。
【0055】
確認ボタンBcの操作が行われると、制御部30は、操作された確認ボタンBcの切り替え表示と音声出力の切り替えを行う(ステップS16)。例えば、確認ボタンBcがタッチされた結果、確認ボタンBcの表示は、
図11に示す「未確認」の状態から、
図12に示す「確認済」の状態に変化することになる。そして、制御部30が音声出力部60から出力する音声ガイダンスは終了する。
【0056】
また、確認ボタンが操作されたことにより、制御部30は加工部10の運転を再開する(ステップS17)。この際、加工部10は、制御部30からの指示に基づいてシートSを走行させる。以降、加工部10は、ステップS1と同様、シートSに加工を行う。そして、ヤードメーターによる走行値が所定の値に達した場合に、繰り返し、ステップS1~ステップS17の処理を行う。
【0057】
以上のように、本実施形態に係る加工機は、対象物に対して加工を行う加工部10と、加工部10を制御する制御部30と、制御部30からの情報を表示する表示部51と、制御部30に対して指示を行う指示部52と、を有し、制御部30は、加工部10からの信号に基づいて加工部10を停止する制御を行い、指示部52への操作の検出に基づいて加工部10の運転を再開する制御を行うので、必要な作業が行われていない状態で加工部の運転を再開してしまうようなケアレスミスの発生を低減することができる。
【0058】
また、本実施形態に係る加工機は、表示部51と指示部52が、タッチパネル50で構成されており、行うべき単位作業と当該単位作業に対応する指示部である指示ボタンが並べて配置されているので、各単位作業について、実行して確認したことを加工機に伝えることができる。
【0059】
また、本実施形態に係る加工機は、単位作業を1以上有する作業セットが複数存在し、品目ごとに作業セットが対応付けられており、単位作業と当該単位作業に対応する指示ボタンの組が複数表示される場合、単位作業と指示ボタンの各組は表示部51の画面において、画面の一方の側から他方の側へ作業の実行順に配置されているので、作業者は、単位作業を終えた後、例えば上から順に指示ボタンを操作することにより、単位作業を実行したことを簡易に加工機に伝えることができる。
【0060】
上記の実施形態では、作業セットが、「継ぎ関係」のパターン1(耳出し有り+両面貼り有り)の場合について説明したが、他のパターンの場合も同様にして、処理を行う。すなわち、パターン2(耳出し無し+両面貼り有り)、パターン3(耳出し有り+表面貼り有り)パターン4(耳出し無し+表面貼り有り)の場合も、品目に対して登録した後、対応する単位作業を表示部51に表示するとともに、音声出力部60から音声出力して、行うべき作業を作業者に通知することができる。
【0061】
また、作業セットが、「巻き終わり停止時」の場合も同様にして、処理を行う。すなわち、(1)巻外確認パターン1(巻外カット位置指定有り)、(1)巻外確認パターン2(巻外カット位置指定無し)、(2)巻芯カット位置確認、(3)止めテープ確認、(4)紙管止め切れ目、(5)エンドテープ確認パターン1(エンドテープに耳出し有り)、(5)エンドテープ確認パターン2(エンドテープに耳出し無し)の場合も、品目に対して登録した後、対応する単位作業を表示部51に表示するとともに、音声出力部60から音声出力して、行うべき作業を作業者に通知することができる。
【0062】
作業セットが、「継ぎ関係」のパターン2(耳出し無し+両面貼り有り)、パターン3(耳出し有り+表面貼り有り)パターン4(耳出し無し+表面貼り有り)の場合は、それぞれ、加工部10の運転が停止した後、
図13、
図14、
図15に示したような確認画面が表示される。「継ぎ関係」のパターン1(耳出し有り+両面貼り有り)の場合の
図9と比較すると、表示される単位作業が異なっている。
【0063】
作業セットが、「巻き終わり停止時」の(1)巻外確認パターン1(巻外カット位置指定有り)、(1)巻外確認パターン2(巻外カット位置指定無し)、(2)巻芯カット位置確認、(3)止めテープ確認、(4)紙管止め切れ目、(5)エンドテープ確認パターン1(エンドテープに耳出し有り)、(5)エンドテープ確認パターン2(エンドテープに耳出し無し)の場合は、それぞれ、加工部10の運転が停止した後、
図16~
図22に示したような確認画面が表示される。「継ぎ関係」のパターン1(耳出し有り+両面貼り有り)の場合の
図9と比較すると、表示される単位作業が異なっている。
【0064】
また、本実施形態では、加工部10においてレーザーセンサ14がシートSに形成された貫通孔の欠陥を検知する。欠陥を検知すると、レーザーセンサ14は、欠陥がある旨の情報を制御部30に送信する。制御部30は、レーザーセンサ14から欠陥がある旨の情報を取得した時点におけるヤードメーターの測定値を取得し、その値を欠陥検知結果として記憶装置内に記憶する。そして、制御部30は、記憶した欠陥検知結果を、所定のタイミングで表示部51に表示する。
【0065】
図23は、表示部51に表示された欠陥検知結果画面を示す図である。
図23に示すように、欠陥検知結果画面には、例えば「マジックカットチェック」などのタイトルが表示される。そして、加工部10が有する各センサ(レーザーセンサ14)の検知結果が表示される。図の例では、10個の各センサについて、その下方に3つの検知結果が表示されている。検知結果としては、ヤードメーターによる、シートSの走行開始位置からの長さが表示されている。
【0066】
以上、本開示の好適な実施形態について説明したが、本開示は、上記実施形態に限定されず、種々の変形が可能である。例えば、上記実施形態では、貫通孔を検知するセンサを備えたスリッター機について説明したが、対象物に対して加工を行い、作業者による作業を伴う加工機であれば、どのような加工機であってもよい。
【符号の説明】
【0067】
10・・・加工部
11・・・巻き出し部
12・・・巻き取り部
13・・・搬送ローラ
14・・・レーザーセンサ
14a・・・レーザー発光部
14b・・・レーザー受光部
20・・・スリット加工部
30・・・制御部
50・・・タッチパネル
51・・・表示部
52・・・指示部
60・・・音声出力部