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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022181721
(43)【公開日】2022-12-08
(54)【発明の名称】ロータ機構及び飛翔体
(51)【国際特許分類】
   B64C 27/473 20060101AFI20221201BHJP
   B64C 27/605 20060101ALI20221201BHJP
   B64C 27/26 20060101ALI20221201BHJP
   B64C 11/16 20060101ALI20221201BHJP
【FI】
B64C27/473
B64C27/605
B64C27/26
B64C11/16
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021088823
(22)【出願日】2021-05-26
(71)【出願人】
【識別番号】520265871
【氏名又は名称】スカイリンクテクノロジーズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100183564
【弁理士】
【氏名又は名称】西村 伸也
(72)【発明者】
【氏名】前田 巖
(72)【発明者】
【氏名】森本 高広
(57)【要約】
【課題】ヘリコプターの有するブレードの制御機能を有しながら、比較的空気の流れの速い中で、ブレードを折り畳んだり開いたりすることができるロータ機構及び飛翔体を提供することを課題とする。
【解決手段】回転駆動機構7により回転駆動される第1ブレード3a及び第2ブレード3bを備え、且つ、飛翔体20の本体20aに設けられるロータ機構であって、第1ブレード3a及び第2ブレード3bを所定の停止位置に調整する位置調整機構12と、第1ブレード3a及び第2ブレード3bを揃えるように畳んだり開いたりする、畳む/開く機構11と、所定の飛行条件13aを満たしている場合に位置調整機構12又は畳む/開く機構11を作動させる制御部13とを備えている、ロータ機構1。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数枚のブレードを備え、飛翔体の本体に設けられるロータ機構であって、
前記ブレードを所定の停止位置に位置調整する位置調整機構と、
前記ブレードを畳んだり開いたりする、畳む/開く機構と、
前記飛翔体の飛行状態が所定の条件を満たすと、前記停止位置で前記ブレードを畳むのを許し、又は、前記ブレードを開くのを許す制御部とを備えている、ロータ機構。
【請求項2】
前記ブレードの運転位置と前記本体側の下降位置との間で前記ブレードを昇降する昇降機構をさらに備えており、
前記制御部は、前記ブレードを畳んだ後若しくは畳む際に、前記ブレードを下降するのを許し、又は、前記ブレードを上昇した後若しくは上昇の際に、前記ブレードを開くのを許す、請求項1記載のローラ機構。
【請求項3】
前記ブレードが第1ブレード及び第2ブレードを備えており、
前記畳む/開く機構が、
シャフトと、
前記シャフトと前記第1ブレードとを連結する第1ハブと、
前記シャフトの内部に軸方向に移動自在に設けられ、且つ、前記軸を中心として回転自在な内シャフトと、
前記内シャフトに連結され、前記第1ハブ又は前記シャフトに係合され、前記第2ブレードの基端に取付けられる第2ハブとを備えており、
前記内シャフトを上方又は下方に移動させ、前記第1ハブ又は前記シャフトと前記第2ハブとの係合を解除し、
前記シャフトと前記内シャフトを逆回転させ、前記第1ブレード及び前記第2ブレードをそれぞれ反対向きに回動させて所定の方向に揃える、請求項1又は2記載のロータ機構。
【請求項4】
第1ブレード及び第2ブレードを備え、且つ、飛翔体の本体に設けられるロータ機構であって、
シャフトと、
前記シャフトと前記第1ブレードとを連結するハブと、
前記シャフトの内部に軸方向に移動自在で、且つ、前記軸を中心として回転自在な内シャフトと、
前記内シャフトに連結され、前記第1ハブ又は前記シャフトに係合され、前記第2ブレードの基端に取付けられる第2ハブとを備えており、
前記内シャフトを上方又は下方に移動させ、前記第1ハブ又は前記シャフトと前記第2ハブとの係合を解除し、
前記シャフトと前記内シャフトを逆回転させ、前記第1ブレード及び第2ブレードをそれぞれ反対向きに回動させて所定の方向に揃える、ロータ機構。
【請求項5】
前記第1ブレード及び前記第2ブレードを所定の停止位置に調整する位置調整機構をさらに備えている、請求項4記載のロータ機構。
【請求項6】
前記第1ブレード及び前記第2ブレードの運転位置と前記本体側の下降位置との間で前記第1ブレード及び前記第2ブレードを昇降する昇降機構を備えている、請求項4又は5記載のロータ機構。
【請求項7】
前記第1ブレード及び前記第2ブレードのピッチ角をそれぞれ変更するピッチ角変更機構をさらに備えている、請求項1、2、3、4、5若しくは6のいずれかに記載のロータ機構。
【請求項8】
前記ピッチ角変更機構が、
第1スワッシュプレートと、
前記第1スワッシュプレートと前記第1ブレードを連結し、前記第1ブレードのピッチ角を変更するための第1ロッドと、
第2スワッシュプレートと、
前記第2スワッシュプレートと前記第2ブレードを連結し、前記第2ブレードのピッチ角を変更するための第2ロッドと、
前記第1スワッシュプレートと前記第2スワッシュプレートを連結し、且つ、前記第1スワッシュプレートの動きを前記第2スワッシュプレートに伝達し、前記第2ハブの上方又は下方への移動に対応して伸縮する伝達機構とからなる、請求項7記載のロータ機構。
【請求項9】
本体と、
前記本体に設けられる請求項1、2、3、4、5、6、7若しくは8のいずれかに記載のロータ機構とからなる、飛翔体。
【請求項10】
前記本体から左右に延びている左右の固定翼と、
前記左右の固定翼にそれぞれ設けられる推進用プロペラとからなる請求項9記載の飛翔体。
【請求項11】
前記本体から左右に延びている左右の翼と、
前記左右の翼にそれぞれ設けられるプロペラ機構とからなり、
前記翼又はプロペラ機構が傾動することにより、前記プロペラ機構の向きを変化させる、請求項10記載の飛翔体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ロータ機構及び飛翔体に関する。さらには詳しくは、垂直離着陸機のロータ機構及び飛翔体に関する。
【背景技術】
【0002】
航空機、ヘリコプター、ドローン等のブレードを折りたたむ機構として、ローターハブに設けられたドラッグ・ヒンジを中心にブレードを手動又は自動で折りたたむ機構が知られている。
【0003】
その他、例えば特許文献1には、推進用のエンジンの他に、垂直離着陸および移行段階において用いられるブレード・ロータを備えた航空機が開示されている。その航空機は、水平飛行時に、垂直離着陸に用いるブレード・ロータを停止している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007-137423号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
飛行中のような、比較的空気の流れの速い中でブレードを折り畳むのは難しい。さらに、外気流等の外的要因に影響されることなく、ヘリコプターの有するブレードの制御機能を有しながら、ブレードを折り畳むのは一層難しい。
【0006】
また推進用のプロペラ及び垂直離陸用のプロペラを備えた航空機において、プロペラが大径であると、垂直離着陸時のメリットは大きい。一方で、大径のプロペラは水平飛行時には飛行の抵抗になる。
【0007】
そこで本発明は、ヘリコプターの有するブレードの制御機能を有しながら、比較的空気の流れの速い中で、ブレードを畳んだり開いたりすることができるロータ機構及び飛翔体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
(1)本発明のロータ機構は、複数枚のブレードを備え、飛翔体の本体に設けられるロータ機構であって、前記ブレードを所定の停止位置に位置調整する位置調整機構と、前記ブレードを揃えるように畳んだり開いたりする、畳む/開く機構機構と、前記飛翔体の飛行状態が所定の条件を満たすと、前記停止位置で前記ブレードを揃えるように畳むのを許し、又は、前記ブレードを開くのを許す制御部とを備えていることを特徴としている。
【0009】
(2)このようなロータ機構は、前記ブレードの運転位置と前記本体側の下降位置との間で前記ブレードを昇降する昇降機構をさらに備えており、前記制御部は、前記ブレードを畳んだ後若しくは畳む際に、前記ブレードを下降するのを許し、又は、前記ブレードを上昇した後若しくは上昇の際に、前記ブレードを開くのを許すのが好ましい。
【0010】
(3)また前記ブレードが第1ブレード及び第2ブレードを備えており、前記畳む/開く機構が、シャフトと、前記シャフトと前記第1ブレードとを連結するハブと、前記シャフトの内部に軸方向に移動自在に設けられ、且つ、前記軸を中心として回転自在な内シャフトと、前記内シャフトに連結され、前記第1ハブ又は前記シャフトに係合され、前記第2ブレードの基端に取付けられる第2ハブとを備えており、前記内シャフトを上方又は下方に移動させ、前記第1ハブ又は前記シャフトと前記第2ハブとの係合を解除し、前記シャフトと前記内シャフトを逆回転させ、前記第1ブレード及び前記第2ブレードをそれぞれ反対向きに回動させて所定の方向に揃えるのが好ましい。
【0011】
(4)本発明のロータ機構のさらに他の態様は、第1ブレード及び第2ブレードを備え、且つ、飛翔体の本体に設けられるロータ機構であって、前記シャフトと、前記シャフトと前記第1ブレードとを連結するハブと、前記シャフトの内部に軸方向に移動自在に設けられ、且つ、前記軸を中心として回転自在な内シャフトと、前記内シャフトに連結され、前記第1ハブ又は前記シャフトに係合され、前記第2ブレードの基端に取付けられる第2ハブとを備えており、前記内シャフトを上方又は下方に移動させ、前記第1ハブ又は前記シャフトと前記第2ハブとの係合を解除し、前記シャフトと前記内シャフトを逆回転させ、前記第1ブレード及び第2ブレードをそれぞれ反対向きに回動させて所定の方向に揃えることを特徴としている。
【0012】
(5)このようなロータ機構は、前記第1ブレード及び第2ブレードを所定の停止位置に調整する位置調整機構をさらに備えているのが好ましい。
【0013】
(6)また前記第1ブレード及び前記第2ブレードの運転位置と前記本体側の下降位置との間で前記第1ブレード及び前記第2ブレードを昇降する昇降機構を備えているのが好ましい。
【0014】
(7)また前記第1ブレード及び前記第2ブレードのピッチ角をそれぞれ変更するピッチ角変更機構をさらに備えているのが好ましい。
【0015】
(8)さらに前前記ピッチ角変更機構が、第1スワッシュプレートと、前記第1スワッシュプレートと前記第1ブレードを連結し、前記第1ブレードのピッチ角を変更するための第1ロッドと、第2スワッシュプレートと、前記第2スワッシュプレートと前記第2ブレードを連結し、前記第2ブレードのピッチ角を変更するための第2ロッドと、前記第1スワッシュプレートと前記第2スワッシュプレートを連結し、前記第1スワッシュプレートの動きを前記第2スワッシュプレートに伝達し、且つ、前記第2ハブの上方又は下方への移動に対応して伸縮する伝達機構とからなるのが好ましい。
【0016】
(9)本発明の飛翔体は、本体と、前記本体に設けられる上述のロータ機構とからなる、ことを特徴とする。
【0017】
(10)このような飛翔体は、前記本体から左右に延びている左右の固定翼と、前記左右の固定翼にそれぞれ設けられる推進用プロペラとからなるのが好ましい。
【0018】
(11)また、前記本体から左右に延びている左右の翼と、前記左右の翼にそれぞれ設けられるプロペラ機構とからなり、前記翼又はプロペラ機構が傾動することにより、前記プロペラ機構の向きを変化させるものであるのが好ましい。
【発明の効果】
【0019】
本発明のロータ機構及び飛翔体は、水平飛行時の空気抵抗を小さくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1図1は飛行状態に対応した飛翔体に設けたロータ機構の様子を示す概略図である。
図2図2はロータ機構の概略図である。
図3図3はロータ機構の一実施形態を示す概略図である。
図4図4はブレードを開いた状態における各構成の位置関係を示す概略図である。
図5図5はピッチ角変更機構が作動する様子を示す概略図である。
図6図6図3のハブを下げた状態を示す概略図である。
図7図7図6のブレードを回動した状態を示す概略図ある。
図8図8はブレードを回動した状態における各構成の位置関係を示す概略図である。
図9図9はブレードを畳む様子を示すフローチャートの一例である。
図10図10は飛行条件の一実施形態のデータ構造を示す概略図である。
図11図11はブレードを開く様子を示すフローチャートの一例である。
図12図12はロータ機構の他の実施形態を示す概略図である。
図13図13は昇降機構の一実施形態を示す概略図である。
図14図14aは図13のA-A矢視を部分的に断面にした概略図、図14bは図13の昇降機構が作動している様子を示す概略図である。
図15図15は昇降機構の他の実施形態を示す概略図である。
図16図16図15の昇降機構が作動している様子を示す概略図である。
図17図17aはロータ機構を用いた飛翔体の一実施形態を示す平面図、図17bは図17aの側面図である。
図18図18aはロータ機構を用いた飛翔体の他の実施形態を示す平面図、図18bは図18aの側面図である。
図19図19は制御部のハードウェア構成の一実施形態を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
[1.概略説明]
<第1実施形態>
(飛翔体20)
まず図1を用いて本発明の飛翔体を説明する。図に示す飛翔体20(状態S1参照)は、本体20aと、その本体20aの上面側に設けられる本発明のロータ機構1とを備えている。ロータ機構1、31、32は垂直離陸用のプロペラ6を備えている。プロペラ6はハブ9とブレード3とからなる。本体20aの前後方向の中央付近には左右一対の主翼21、21が設けられている。各主翼21に、推進用のプロペラ22が設けられている。飛翔体20は垂直離陸状態若しくはホバリング状態(図の下方の状態S1)と、水平飛行状態(図の上方の状態S2、状態S3)とからなる状態を有している。
【0022】
(状態S1)
状態S1では飛翔体20は、ヘリコプター同様にロータ機構1、31、32のプロペラ6により、下方へ空気を押し出す力の反作用で浮力を得ている。ブレード3は垂直離陸状態若しくはホバリング状態のために回転する運転位置41aにある。運転位置41aは本体20aの上面を基準にしたハブ9又はブレードの付け根付近の高さ位置である。状態S1は垂直離陸状態若しくはホバリング状態の他に、ブレード3を制御してヘリコプターと同様の飛行をする状態である。状態S1において、高速で水平飛行をすると、ロータ機構1、31、32が空気抵抗となる。
【0023】
(状態S2)
状態S2では飛翔体20は、水平飛行時にロータ機構31、32のブレード3を進行方向と逆向きに揃えて、空気抵抗を少なくしている。このため高速で飛行することができる。水平飛行時には、推進用のプロペラ22で推進し、主翼21によって生み出される揚力を利用し高度を保つ。本実施形態では、ブレード3を揃える所定の方向を進行方向と逆向きにしている。
【0024】
(状態S3)
状態S3では飛翔体20は、水平飛行時にロータ機構31、32を収納部41(二点鎖線参照)に収納し、さらに空気抵抗を少なくしている。このときのブレード3の位置を下降位置(収納位置)41bとする。なお収納部41を備えていなくてもよい。ロータ機構1の収納とは、収納部41に収納しなくてもよい。収納とは、回転翼3を本体20a側に下降させたり、回転翼3を畳んだり、回転翼3を位置調整したりすることのいずれか1つ又は2つ以上を含む。
【0025】
(収納部41)
収納部41は本体20aの上面に設けられている。収納部41は上方が開口した筒状の部材である。収納部41はブレード3を下降させたロータ機構31、32の一部又は全部を収納する。収納部41の具体的な形状については、後述の図17及び図18に記載されている。
【0026】
なお以後の説明において、前後・上下・左右の方向について、図中に記載された矢印で示している。例えば前後方向とは、平面視で本体20aが延びている方向である。例えば、前方とは水平飛行している際の飛翔体20の飛行している方向である。例えば左右方向とは、平面視で左右の主翼21、21が延びている方向である。例えば上下方向とは、本体20aのプロペラ6側を上方とし、前後方向及び左右方向に垂直な方向である。
【0027】
またロータ機構において、畳む/開く機構11及び昇降機構19、33(後述する)を備えたものを符号31、32で示しており、畳む/開く機構11を備えているが昇降機構19、33を備えていないものを符号1、1aで示している。まず畳む/開く機構11を備えているロータ機構1から説明をする。
【0028】
[2.各構成]
(ロータ機構1)
次いで、図2を用いてロータ機構の概略を説明する。ロータ機構1は、回転駆動機構7により回転駆動されるシャフト2に設けられた複数枚のブレード3を備えている。さらにロータ機構1は、シャフト2の停止位置を調整する位置調整機構12と、複数枚のブレード3を揃えるように畳んだり開いたりする、畳む/開く機構11と、飛行状態の所定条件(飛行条件)13aを満たしている場合に、位置調整機構12又は畳む/開く機構11を作動させる制御部13とを備えている。図では回転翼の3の付け根の付近はカバー6aで覆われている。なお図2ではブレード3が3枚の場合を示している。
【0029】
(回転駆動機構7、クラッチ7a)
ここから図3をさらに加えて説明する。回転駆動機構7としては、例えば、ターボシャフトエンジン、或いは、電動モータが挙げられる。本実施形態では、例えば、ターボシャフトエンジンを用いている。ターボシャフトエンジンとシャフト2の間にはクラッチ7aが介在している。ターボシャフトエンジンからの回転駆動力は、ウォームギア7bを介して駆動軸7cに伝達される。駆動軸7cの回転駆動力はギアボックス5に伝達される。
【0030】
ここから図3及び図4を用いて、さらに詳細に説明する。図3に示しているロータ機構1は、ブレード3を回転させている状態である(状態T1)。この状態T1では、飛翔体20が上昇又はホバリングをする。水平飛行もできるが、高速で水平飛行をすると、ロータ機構1が空気抵抗となる。図1の状態S1に対応している。また図3で記載されているブレード3の位置は、前記停止位置である。前記停止位置では、ブレード3は左右方向に平行に延びている。
【0031】
(ギアボックス5)
本体20aにはギアボックス5が設けられている。ギアボックス5の中央付近には、駆動軸7cの先端付近が突入している。駆動軸7cの先端には駆動傘歯車7dが設けられている。
ギアボックス5の上方付近には、軸受5a、5aが上下に設けられている。それらの軸受5a、5aはシャフト2の下端側を2か所で枢軸している。なお軸受5aの数は1つでもよいし、3つ以上でもよい。
ギアボックス5の下方付近には、アイドルギアとしての傘歯車5bが回動自在に設けられている。アイドル傘歯車5bは、駆動傘歯車7dと噛合っている。アイドル傘歯車5bの中心には貫通孔5cが形成されている。貫通孔5cの内面には軸方向に延びているスプラインの内歯5dが形成されている。貫通孔5cには後述する内シャフト4の下端付近が回動自在に通されている。
【0032】
(内シャフト駆動部8)
ギアボックス5の下方で、且つ、本体20aの下面側には、内シャフト駆動部8が設けられている。内シャフト駆動部8はシリンダ機構である。そのシリンダ機構は、例えば、回転数をコントロールできるサーボモータ(図示せず)を備えている。そのサーボモータの駆動により、シリンダ機構のシリンダロッド8aのストローク量を制御している。図ではシリンダロッド8aが伸びている様子を示している。
シリンダロッド8aの先端は把持部8bに連結されている。なお、ボールジョイントなどを用いて、シリンダロッド8aの先端を把持部8bに回動自在に連結してもよい。
把持部8bは後述する内シャフト4の下端付近の鍔部4aを回転自在に把持する。
【0033】
(シャフト2)
シャフト2の基端には傘歯車2aが設けられている。シャフト2の傘歯車2aは駆動傘歯車7dと噛合っている。シャフト2は筒状の部材である。シャフト2の筒内は軸孔2bである。
【0034】
(内シャフト4)
内シャフト4は、シャフト2の軸孔2b内でシャフト2の軸を回転中心として回転自在である。さらに内シャフト4は、軸孔2b内で軸方向に移動自在に収納されている。図では内シャフト4の上端はシャフト2の軸孔2bから上方に突出している。
内シャフト4の下端付近には、アイドル傘歯車5bの内歯5dと噛合うスプラインの外歯4bが形成されている。スプラインの内歯5dと外歯4bは、内シャフト駆動部8がシリンダロッド8aを縮めて、内シャフト4を下方に移動させると、噛合うようにされている。図ではスプラインの内歯5dと外歯4bは噛合っていない。内シャフト4は、アイドル傘歯車5bの貫通孔5c内で回転自在である。
【0035】
(連結部材4c)
内シャフト4の上端には、連結部材4cが設けられている。連結部材4cは有底筒状の部材である。内シャフト4が下降すると、連結部材4cの筒状内にシャフト2が収納される(図6参照)。内シャフト4が下降すると、連結部材4cの内底面がシャフト2の上端面に近づく。本実施形態では、内シャフト4が下降すると、連結部材4cの内底面とシャフト2の上端面は接する。
【0036】
(ハブ9)
ハブ9はシャフト2及び内シャフト4の先端付近に設けられている。ハブ9は第1ハブ9aと、第2ハブ9bとからなる。第1ハブ9aは筒状の部材である。第1ハブ9aはシャフト2の上端付近の外周に取付けられている。第1ハブ9aはシャフト2と共に回転する。第1ハブ9aの外周にはスプラインの外歯9cが形成されている。
第2ハブ9bは連結部材4cに連結されている。第2ハブ9bは筒状の部材である。第2ハブ9bは第1ハブ9aの外周に設けられている。第2ハブ9bの内周には外歯9cに噛合うスプラインの内歯9dが形成されている。図ではそれぞれの外歯9c及び内歯9dが噛合っている。第2ハブ9bは第1ハブ9aに係合している。
【0037】
(ブレード3)
本実施形態ではブレード3は2枚である。ブレード3は、第1ブレード3aと、第2ブレード3bとからなる。第1ブレード3aは第1ハブ9aから外向きに延びている。第2ブレード3bは第2ハブ9bから外向きに延びている。なおブレード3は3枚以上としてもよい。
【0038】
(ブレード3の配置)
図4図3を上面から見た概略図である。図4に示すように、第1ブレード3a及び第2ブレード3bは、飛行方向Bと直交する左右方向に、それぞれ反対向きに延びている。
【0039】
(ピッチ用シャフト10)
ブレード3はピッチ用シャフト10を介してハブ9(図3参照)に連結されている。ピット用シャフト10の先端にはブレード3の基端が連結されている。ピット用シャフト10にはアーム10aが取り付けられている。
【0040】
(畳む/開く機構11)
畳む/開く機構11は、シャフト2、内シャフト4、アイドル傘歯車5b、内シャフト駆動部8及びハブ9を備えている。
【0041】
本実施形態のロータ機構1は、シーソ型若しくは無間接型である。なお半関節型を採用してもよい。
またロータ機構1は、回転翼3のピッチ角を変更するピッチ角変更機構14(後述する)をさらに備えている。ピッチ角変更機構14はプロペラ6の回転面となすピッチ角を変更する。
【0042】
(位置調整機構12)
図2に戻って、位置調整機構12は、本実施形態では、例えば、シャフト2及び内シャフト4を回動する電動モータ12aと、シャフト2及び/又は内シャフト4の回転位置を検出するエンコーダ12bと、位置調整後にシャフト2及び/又内シャフト4の回転をロックするロック機構12cとを備えている。
【0043】
(電動モータ12a)
電動モータ12aは、DCまたはACのサーボモータである。例えば、エンコーダ12bで検出した情報をコントローラ(制御部13)へフィードバックすることでシャフト2及び/又は内シャフト4の回転位置を制御する。なおサーボモータの他にステッピングモータを用いてもよい。電動モータ12aとして、従来公知のものを用いてもよい。
【0044】
(エンコーダ12b)
エンコーダ12bは、回転していることを物理的な変化量としてセンサ素子で検知する。検知した回転・角度情報を電気信号として外部に発信する。例えば、シャフト2及び/又は内シャフト4について、回転位置の情報、さらには回転量、回転速度、回転方向の情報の1つ以上を取得する。機械式、光学式、磁気式、電磁誘導式の検出方式のものを用いてもよい。エンコーダ12bとして、従来公知のものを用いてもよい。
【0045】
ロック機構12cは、図示しないロックピンをシャフト2に挿し込むものや、ブレーキパッドでシャフト2を狭持するものなど、シャフト2の回転を規制する機構である。本実施形態ではシャフト2と共に内シャフト4をロックしている。なお、どちらか一方をロックするようにしてもよい。
【0046】
(制御部13)
制御部13は、所定の飛行条件13aを満たしている場合に、位置調節機構12又は畳む/開く機構11を作動させる。本実施形態では、制御部13は停止位置で数枚のブレード3を揃えるように畳むのを許し、又は、ブレード3を開くのを許す。
具体的には、制御部13は飛行条件13aを満たしているか判断するための情報を取得する。情報としては、例えば、飛翔体20の飛行状態を示すものとして、水平飛行時の飛行速度である。飛行速度が、飛翔体20が安全に飛行できる速度、すなわち予め定められた速度、例えば失速速度以上であることを判断条件とする。一例として、失速速度として、主翼21によって生み出される揚力を利用し高度を保つことができる速度としてもよい。条件を満たすと、位置調節機構12又は畳む/開く機構11を作動できると判断する。
その他の判断のための飛行状態を示す情報として、飛翔体20の飛行高度、飛行位置、対気速度、姿勢、天候、飛行時間の1つ若しくは複数を用いてもよい。失速速度にこれらを1つ以上加えて判断するための飛行条件13aとしてもよい。
【0047】
(ピッチ角変更機構14)
図3に戻って、次にピッチ角変更機構を説明する。図3に示しているピッチ角変更機構14は、本体20a側に部材に設けられるピッチ角駆動部15と、ピッチ角駆動部15に連結され、略中央にシャフト2が通され、第1、第2ブレード3a、3bのそれぞれのピッチ角を変更する第1、第2スワッシュプレート16、17と、第1スワッシュプレート16の動きを第2スワッシュプレート17に伝達する伝達機構18と、第1、第2スワッシュプレート16、17に一端が連結され、他端が第1、第2ブレード3a、3bにそれぞれ連結される第1、第2ロッド16c、17cとを備えている。
図3に示している第1、第2スワッシュプレート16、17は傾いていない。傾いていない状態をU1とする。
【0048】
(ピッチ角駆動部15)
ピッチ角駆動部15はシリンダ機構である。そのシリンダ機構は、例えば、回転数をコントロールできるサーボモータ(図示せず)を備えている。そのサーボモータの駆動により、シリンダ機構のシリンダロッド15aのストローク量を制御している。
シリンダ15の基端は本体20a側に部材に連結されている。シリンダロッド15aの先端は第1スワッシュプレート16の固定プレート16a(後述する)に連結されている。これらの連結は、左右方向及び前後方向の軸に回動自在に連結されている。なおボールジョイントなどを用いて、回動自在に連結してもよい。
ピッチ角駆動機構15は、シャフト2の周囲に90度の位置になるように、2つ配置されている。なお図では把握を容易にするため、2つのピッチ角駆動機構15、15は90°以上離して記載されている。ピッチ角駆動機構15は1つ又は3つ以上でもよい。
【0049】
(第1、第2スワッシュプレート16、17)
第1、第2スワッシュプレート16、17は構造がほぼ同じなので、第1スワッシュプレート16を説明し、第2スワッシュプレート17については共通する部分の詳細な説明を省略する。
第1スワッシュプレート16は、リング状で、その中央にシャフト2が通され、シャフト2の軸方向に移動自在で、且つ、シャフト2の軸芯に対して傾動自在な固定プレート16aと、固定プレート16aと共に移動し、固定プレート16aに摺動自在で、略中央にシャフト2が通され、シャフト2と共に回転する回転プレート16bとを備えている。回転プレート16bは第1トルクリンク16dにより、シャフト2に連結されている。
第2スワッシュプレート17は、固定プレート17aと、回転プレート17bとを備えている。回転プレート17bは、第2トルクリンク17dにより、第2ハブ9bに連結されている。第2スワッシュプレート17にはシャフト2の軸芯を中心にした平面視で円弧状の孔17eが形成されている(図4参照)。
【0050】
(第1、第2ロッド16c、17c)
第1ロッド16cは、その基端(図の下方の端部)は、回転プレート16bに連結されている。第1ロッド16cは、第2スワッシュプレート17の円弧状の孔17eを貫通して、第1ブレード3a側のアーム10a(図4参照)に連結されている。
第2ロッド17cは、その基端(図の下方の端部)は、回転プレート17bに連結され第2ブレード3b側のアーム10b(図4参照)に連結されている。
【0051】
(ブレード3のピッチ角の回動量)
第1、第2ロッド16c、17cの上下の移動量により、第1、第2ブレード3a、3bのそれぞれのピッチ角の回動量が変化する。第1、第2ロッド16c、17cの上下の移動量に対する第1、第2ブレード3a、3bのそれぞれのピッチ角の回動量は、アーム10b、10bの長さを調整することにより変更できる。
【0052】
(伝達機構18)
伝達機構18はシリンダ機構である。そのシリンダ機構は、例えば、回転数をコントロールできるサーボモータ(図示せず)を備えている。そのサーボモータの駆動により、シリンダ機構のシリンダロッド18aのストローク量を制御している。
シリンダ18の基端は第1スワッシュプレート16の固定プレート16aに連結されている。シリンダロッド18aの先端は第2スワッシュプレート17の固定プレート17aに連結されている。これらの連結は、第1スワッシュプレート16が傾動できるように左右方向及び前後方向の軸に回動自在に連結されている。ボールジョイントなどを用いて、回動自在に連結してもよい。なお、図ではシリンダロッド18aが伸びている状態である。
伝達機構18はシャフト2の周囲に90度の位置になるように、2つ配置されている(図4参照)。図では伝達機構18はピッチ角駆動機構15の上方に上下方向の軸に同軸になるように配置されているが、同軸でなくてもよい。なおピッチ角駆動機構15は1つ又は3つ以上でもよい。
【0053】
(ピッチ角を変更する様子)
図3及び図5を用いてピッチ角を変更する様子を説明する。状態U1では第1、第2スワッシュプレート16、17はシャフト2に対して傾いていない。
【0054】
(サイクリックピッチ制御)
ピッチ角駆動部15、15のシリンダロッド15a、15aのストローク量を制御することにより、例えば、第1スワッシュプレート16を図の右方を上方に傾ける。例えば、サイクリックピッチ制御の様子を示す。
【0055】
(第1ブレード3aのピッチ角)
第1ロッド16cによりアーム10aが上方に押動され、ピッチ用シャフト10は軸周りに回動する(状態U2)。このためピッチ用シャフト10と共に第1ブレード3aが回動し、ピッチ角が変更される。
【0056】
(第2ブレード3bのピッチ角)
第1スワッシュプレート16の動きは伝達機構18、18を介して第2スワッシュプレート17に伝達される。第1スワッシュプレート16と第2スワッシュプレート17は、ほぼ平行に傾く。第2ロッド17cによりアーム10aが下方に引かれ、ピッチ用シャフト10は第1ブレード3aと反対の軸周りに回動する(状態U2)。このためピッチ用シャフト10と共に第2ブレード3bが第1ブレード3aと反対に回動し、ピッチ角が変更される。
【0057】
(コレクティブピッチ制御)
第1スワッシュプレート16を傾けないで、本体20aにほぼ平行に上下動すると、第2スワッシュプレート17は追従するように上下に同じ量で移動する。第1、第2ロッド16c、17cの作動量はほぼ同じである。またブレードを基準としたアーム10aの回転方向は同じである。すなわちピッチ角の変更量が同じである。このため、コレクティブピッチ制御ができる。
【0058】
(畳む/開く機構11が作動する様子、状態T1)
図3図6図7及び図8を用いてロータ機構1がブレード3を畳む様子を説明する。図3ではブレード3は開いている。
【0059】
(状態T2)
まず図6を用いて第2シャフト4を下方に移動する様子を説明する。畳む/開く機構11の内シャフト駆動部8のサーボモータが駆動し、シリンダロッド8aが縮む。シリンダロッド8aは内ロッド4を下方に引き込む。内シャフト4の下側では、スプラインである内シャフト4の外歯4bとアイドル傘歯車5bの内歯5dとが噛合う。一方で、内シャフト4の上側では、連結部材4cを介して第2ハブ9bが下方に移動する。第2ハブ9bと第1ハブ9aのスプラインの噛合いが外れる。第2ハブ9bと第1ハブ9aの係合が解除される。
その際に伝達機構18、18のシリンダロッド18a、18aを縮める。これにより第2ロッド17cをそのままに、第2ブレード3bを下げることができる。
【0060】
(状態T3)
電動モータ12a(図2参照)を回転駆動すると、駆動傘歯車7dを介してシャフト2が回転する。シャフト2の回転により、第1ハブ9a及び第1ブレード3aが、例えばR方向に回動する(図4参照)。このとき第1トルクリンク16dを介して、第1スワッシュプレート16の回転プレート16b及び第1ロッド16cはR方向に回動している。
一方、駆動傘歯車7dを介してアイドル傘歯車5bが回転する。アイドル傘歯車5bとスプラインで噛合っている内シャフト4が、シャフト2と反対向きに回転する。内シャフト4の回転により、連結部材4cを介して第2ハブ9b及び第2ブレード3bが、第1ブレード3aと反対向きに、L方向(図4参照)に回動する。このとき第2トルクリンク17dを介して、第2スワッシュプレート17の回転プレート17b及び第2ロッド17cはL方向に回動する。
第1ブレード3aと第2ブレード3bは、互いに反対向きに、互いに近づくように回動する。第1、第2ブレード3a、3bは上下に重なるように、後方に向けて折り畳まれる(図7及び図8参照)。
このとき、第1ロッド16aは第2スワッシュプレートの円弧状の孔17e内に引き込まれるように進む。
【0061】
開く際には、畳まれた状態である状態T3から、互いに反対向きに第1ブレード3a及び第2ブレード3bを回動する。次いで、開いた状態T2となる。その後、内シャフト4を上げて、第1ハブ9aと第2ハブ9bのスプラインを噛合わせる(状態T1)。
【0062】
[3.ブレード3を畳む方法(ロータ機構の収納方法29)]
次に図9を用いてロータ機構を収納する方法を説明する。図9は飛翔体20のロータ機構(図1参照)の収納方法29を示す概略図である。また図9で示しているフローチャートは、制御部13で用いられる後述する収納プログラム57の処理の一実施形態を示している。
【0063】
(工程V1)
本実施形態では、制御部13は、図示しない検出器から飛行速度、飛行姿勢の情報を取得する。取情報取得部13gは検出器から得た情報を取得する(図2参照)。
【0064】
(工程V2)
飛行速度及び飛行姿勢の情報について、飛行条件13a(図2参照)に基づいて、水平飛行であり、且つ、失速速度以上であることを確認する。飛行条件13aを満たすと、例えば、制御部13はブレード3を畳むのを判断する。
【0065】
(飛行条件13a)
図10は飛行条件の一実施形態を示すデータ構造の概略図である。図10に示す飛行条件13aには、複数の条件がID13b毎に記載されている。例えば、飛行速度13c、飛行姿勢13d、飛行高度13e、対気速度13fが条件として挙げられる。これらの値は、条件を特定できる情報であればよく、文字列、数字の他、入力内容に紐付けた識別番号としてもよい。
本実施形態では、飛行速度13c及び飛行姿勢13dに基づいて、ブレード3を畳む判断をしている。飛行速度13c及び飛行姿勢13dに他の飛行に関する条件を加えてもよい。例えば、飛行高度13e及び/又は対気速度13fを条件として加えてもよい。
また飛行速度13c及び飛行姿勢13dの代わりに、飛行高度13e、対気速度13f以外の他の飛行に関する条件を用いてブレード3を畳む判断をしてもよい。
【0066】
(工程V3)
図9に戻って、回転駆動機構7(図2参照)は回転数を落とし、ブレード3を位置調整可能な程度の回転にする。
【0067】
(工程V4)
クラッチ7a(図2参照))を切って、エンジン側からの駆動力がシャフト2に伝達されないようにする。
【0068】
(工程V5)
電動モータ12a(図2参照))が駆動する。
【0069】
(工程V6)
エンコーダ12bにより回転位置を取得し、電動モータ12aにより所定の停止位置までシャフト2を回転する。所定の位置で電動モータ12aを停止する。本実施形態では、飛翔体20の進行方向を前後方向とし、飛翔体20のシャフト2の延びている方向を上下方向とし、前進方向を向いて左右方向に第1ブレード3a及び第2ブレード3bが配置される位置までシャフト2を回転する。ここで停止位置とはブレード3が延びている方向と左右方向とがほぼ平行になる位置である。
【0070】
(工程V7)
畳む/開く機構11を作動し、第1ブレード3a及び第2ブレード3bを畳む。
【0071】
(工程V8)
ロック機構12cでシャフト2をロックする。
【0072】
[4.ブレード3を開く方法(ロータ機構の展開方法30)]
次に図11を用いてロータ機構を展開する方法を説明する。図11はロータ機構の展開方法30を示す概略図である。展開方法30は収納方法29と共通する部分があるので、同じ部分の説明は省略する。また図11で示しているフローチャートは、制御部13で用いられる後述する展開プログラム58の処理の一実施形態を示している。
【0073】
(工程V1)
飛行速度及び飛行姿勢の情報を取得する。
(工程V2)
飛行速度及び飛行姿勢の情報について、飛行条件13a(図10参照)に基づいて、水平飛行であり、且つ、失速速度以上であることを確認する。制御部13はブレード3を開くのを判断する。ブレード3を開くときと畳むときで、異なる飛行条件13aを用いてもよい。
【0074】
(工程V10)
ロック機構12cを解除する。
【0075】
(工程V11)
畳む/開く機構11を作動し、第1ブレード3a及び第2ブレード3bを開く。
【0076】
(工程V12)
クラッチ7aを操作し、回転駆動機構7からの回転駆動力をシャフト2に伝達させる。
【0077】
[5.他の実施形態]
<第2実施形態>
(ロータ機構1a)
図12はロータ機構1のさらに他の実施形態を示す概略図である。本実施形態の説明において、前述した第1実施形態と異なる部分を説明し、同じ部分には同じ符号を付し、その説明は省略する。
図12に示しているロータ機構1aは、第2ハブ9bが第1ハブ9aの下方に配置されている。シャフト2の外周で、且つ、第1ハブ9aの下方付近には、スプラインの外歯2cが形成されている。第2ハブ9bの内歯9dは、シャフト2の外歯2cと噛合っている。本実施形態では第1ハブ9の外歯9cとは噛合っていない。
また内シャフト4が下方に移動すると、第2ハブ9bは下方に移動する。第2ハブ9bの下方の移動により、シャフト2の外歯2cとの噛合いが外れる。第2ハブ9bは、連結部材4を介して内シャフト4から伝達される回転駆動力により、シャフト2の周りを回動する。これにより第2ブレード3bを畳むことができる。
次いで内シャフト4を上昇させると、第2ハブ9bは上方に移動する。第2ハブ9bの上方への移動により、第2ハブ9bの内歯9dとシャフト2の外歯2cとが再び噛合う。このため、シャフト2の回転により、第1ブレード3a及び第2ブレード3bは回転する。
【0078】
<第3実施形態>
(ロータ機構31)
図13はロータ機構1のさらに他の実施形態を示す概略図である。本実施形態の説明において、前述した第1実施形態と異なる部分を説明し、同じ部分には同じ符号を付し、その説明は省略する。図13に示しているロータ機構31は、傾動シャフト23及び傾動内シャフト24、さらに昇降機構19を備えている点で、第1実施形態と異なる。なお図では、プロペラ6(図3参照)及びその周囲の部位の図示を省略している。
【0079】
(傾動シャフト23)
傾動シャフト23は、回転駆動軸7cにより回転駆動力が伝達される下部シャフト23aと、下部シャフト23aの先端側の回動軸23dで回動自在に連結される中部シャフト23bと、中部シャフト23bの先端の回動軸23d(図14a参照)で回動自在に連結される上部シャフト23cとからなる。回動軸23d、23dの回動軸は、ブレード3の停止位置の調整後において、本体20aの左右方向の軸に平行な軸である。
【0080】
(傾動内シャフト24)
傾動内シャフト24は、傾動シャフト23とほぼ同じように3分割されている。下部シャフト24a、中部シャフト24b及び上部シャフト24cからなる。また回動軸24d、24d(図14a参照)で回動自在に連結されている。ブレード3の停止位置の調整後において、回動軸24d、24dは、回動軸23d、23dとほぼ同軸になるように配置されている。このため、傾動シャフト23は内部に傾動内シャフト24を通した状態で上下の軸周りに回動する。
【0081】
(昇降機構19)
図13には昇降機構19を示している。昇降機構19は、本体20aに設けられる傾動駆動部25と、傾動駆動部25に傾動され、本体20aの前後方向に並列に設けられ、基端側が前後方向に回動自在にされる同長の前後の脚リンク27a、27aと、前後の脚リンク27a、27aの先端側を回動自在に連結する中間リンク27bと、中間リンク27bに設けられ、上部シャフト23cを枢軸するベース26(図14a参照)とを備えている。本体20aと、脚リンク27a、27aと、中間リンク27bとは平行クランク機構27を形成している。
また図13に示しているブレード3は運転位置41a(図1参照)にある。この状態を状態W1とする。
【0082】
(傾動駆動部25)
傾動駆動部25はシリンダ機構を用いている。傾動機構25は、例えば、回転数をコントロールできるサーボモータ(図示せず)を備えている。そのサーボモータの駆動により、シリンダ機構のシリンダロッド25aのストローク量を制御している。傾動駆動部25の基端付近は、本体20aに対し左右方向(紙面を貫く方句)に平行な軸25b周りに回動自在にされている。一方、シリンダロッド25aの先端は図の前側の脚リンク27aに軸25bと平行な軸周りに回動自在にされている。
なお傾動駆動部25を、シャフト23を挟んで反対側(図の後側)に設け、シリンダロッド25aを後側の脚リンク27aに連結して、平行クランク機構27を前側に傾動するようにしてもよい。
【0083】
(平行クランク機構27)
図14aは図13のA-A矢視図である。図14aに示しているように、平行クランク機構は、傾動シャフト23の左右に一対で設けられている。平行クランク機構27は、本体20aを静止節とし、一対の脚リンク27a、27aをそれぞれ原動節及び従動節とし、中間リンク27bを中間節としている。
【0084】
(ベース26)
ベース26は一対の平行クランク機構27、27の中間リンク27b、27b同士を連結するように設けられる板状の部材である。ベース26の中央付近は開口しており、その開口付近には軸受部材26aが設けられている。軸受部材26aは上部シャフト23cを枢軸している。
【0085】
(ロータ機構31の昇降する様子)
図14a及び図14bを用いてロータ機構31を昇降する様子を説明する。図14bに示すように、昇降機構19の傾動駆動部25のサーボモータが駆動し、シリンダロッド25aが伸びる。シリンダロッド25aは前側の脚リンク27aを後方に押動する。平行クランク機構27は後側に傾動する(状態W2)。中部シャフト23b及びその内部の中部内シャフト24bの傾動時に、ベース26と本体20aとの平行は維持されている。ベース26と共に上部シャフト23c及びその内部の上部内シャフト24cは、傾かないで、そのまま後方に移動する。中部シャフト23b及び中部内シャフト24bは、下方の回動軸23d及び24dを中心に後方に傾動する。
シリンダロッド25aがさらに伸びると、一対の脚リンク27a、27a、中間リンク27b、中部シャフト23b及びその内部の中部内シャフト24bが、ほぼ一直線に倒れる(状態W3)。
一方で上昇する際には、シリンダロッド25aを縮めて、倒れた状態T3の平行クランク機構27を、状態W2を経て立ち上った状態W1に引き起こす。昇降中にベース26の上面、上部シャフト23c及びその内部の上部内シャフト24cは傾かない。ベース26は左右方向に、上部シャフト23c及び上部内シャフト24は上下方向に平行な状態を維持している。
【0086】
<第4実施形態>
(ロータ機構32)
図15はロータ機構1のさらに他の実施形態を示す概略図である。本実施形態の説明において、前述した第1実施形態と異なる部分を説明し、同じ部分には同じ符号を付し、その説明は省略する。図15に示しているロータ機構32は、昇降機構33を備えている。図のロータ機構32は、上昇した状態であり、ブレード3(図16参照)が回転する状態X1である。また図ではプロペラ6(図3参照)及びその周囲の部位の図示を省略している。
ロータ機構32は、上下に二分割されたシャフト34と、昇降機構33とを備えている点で第1実施形態と異なる。シャフト34は、回転駆動機構7により回転駆動する下方の筒状シャフト35と、筒状シャフト35に係合する上方の噛合シャフト36とを備えている。筒状シャフト35の内面には、スプラインの内歯35aが形成されている。噛合シャフト36の外周には、内歯35aに噛合するスプラインの外歯36aが形成されている。
昇降機構33は、本体20aに設けられた上下動駆動部37と、上下動駆動部37により噛合シャフト36と共に上下動し、且つ、噛合シャフト36を枢軸するベース38とからなる。
【0087】
(筒状シャフト35)
筒状シャフト35の内部には、噛合シャフト36が軸方向に移動自在である。筒状シャフト35の回転駆動力は、筒状シャフト35の内歯35aと噛合シャフト36の外歯36aの噛合いにより、噛合シャフト36に伝達される。
【0088】
(噛合シャフト36)
噛合シャフト36の中ほどで、外歯36aの上方には、半径方向の外向きに突出する鍔部36bが設けられている。
【0089】
(上下動駆動部37)
上下動駆動部37はシリンダ機構を用いている。上下動駆動部37は、例えば、回転数をコントロールできるサーボモータ(図示せず)を備えている。そのサーボモータの駆動により、シリンダ機構のシリンダロッド37aのストローク量を制御している。上下動駆動部37は基端が本体20aに取り付けられ、シリンダロッド37aの先端がベース38の下面に取り付けられている。なお図では、上下動駆動部37は2つ設けられているが、3つ以上設けてもよい。
【0090】
(ベース38)
ベース38は中央の開口38aが形成されている。その内面には軸受部材38b、38bが設けられている。軸受部材38bは噛合マスト36の鍔部36bを回転自在に支持している。軸受部材38bは鍔部36bから受ける荷重を支持している。軸受部材38bは鍔部36bの上下の面にそれぞれ設けられている。
【0091】
(ロータ機構32が昇降する様子)
次に図15に加え、さらに図16を用いてロータ機構32が昇降する様子を説明する。図16の状態X1はブレード3が運転される状態である。図15に示すように2本の上下動駆動部37、37のシリンダロッド37a、37aは伸びている。ロータ機構32のハブ9は運転位置41aにある。
図16の状態X2では、内シャフト4を下方に移動して、第1ハブ9aと第2ハブ9bの噛合いを外し、係合を解除している。その際に内シャフト駆動部8のシリンダロッド8a及び伝達機構18の伝達ロッド18a(図15参照)を下げている。内シャフト4の下方への移動により、内シャフト4の外歯4bとアイドル傘歯車5bの内歯5dとは噛合い、係合している。その後、ブレード3は畳まれる。
図16の状態X3は、ブレード3が畳まれた後、ブレード3を下降させた収納した状態である。2本の上下動駆動部37、37(図15参照)のシリンダロッド37a、37aを同期させて、同じストローク量で下降させる。このとき、ベース38の上面は傾かず、ベース38と共に噛合シャフト36は下降する。さらに内シャフト駆動部8のシリンダロッド8aは前記同じストローク量で縮む。このため内シャフト4は、噛合シャフト36と同じ量だけ下方に移動する。このとき内シャフト4の外歯4bは下方に移動し、アイドル傘歯車5bの内歯5dとの噛合いは解除されている(図15参照)。
【0092】
再び、ロータ機構33を上昇する際には、前述したのと逆の手順(状態X3からX2)で、上下動駆動部37、37のシリンダロッド37a、37a及び内シャフト駆動部8のシリンダロッド8aを同期して、同じストローク量で伸ばす。内シャフト4の外歯4bとアイドル傘歯車5bの内歯5dを噛合させる。次いでブレード3を開く。その後、内シャフト駆動部8のシリンダロッド8aを伸ばし、第2ハブ9bを第1ハブ9aの係合する(状態X1)。
【0093】
(収納方法39)
図9に戻って、ロータ機構31、32を収納する様子を説明する。ロータ機構31、32の収納は、ブレード3を折り畳んだ後に行う。このため図9の畳む工程V7を終えてからの工程を説明する。また図9で示しているフローチャートは、制御部13で用いられる後述する収納プログラム57aの処理の一実施形態を示している。
【0094】
(工程V8)
折畳方法29でブレード3を畳んだ後(工程V7)、ロータ機構31については傾動シャフト23及び/又は傾動内シャフト24をロック機構16c(図2参照)によりロックする。またロータ機構32についてはシャフト34及び/又は内シャフト4をロック機構16cによりロックする。
【0095】
(工程V9)
昇降機構19、33を作動し、ブレード3を収納部41(図1参照)に収納する。
【0096】
(展開方法40)
次に図11を用いてロータ機構31、32を展開する方法を説明する。ブレード3の上昇の後に、ブレード3を開く。このため図11のブレード3を開く工程までの説明をする。なお展開方法40は収納方法29と共通する部分があるので、同じ部分には同じ符号を付して、詳細な説明は省略する。また図11で示しているフローチャートは、制御部13で用いられる後述する展開プログラム58aの処理の一実施形態を示している。
【0097】
(工程V1)
飛行速度及び飛行姿勢の情報を取得する。
(工程V2)
飛行速度及び飛行姿勢の情報について、飛行条件13a(図10参照)に基づいて、水平飛行であり、且つ、失速速度以上であることを確認する。制御部13はロータ機構31、32の上昇を判断する。
【0098】
(工程V13)
昇降機構19、33を作動し、ブレード3を上昇する。
【0099】
(工程V11)
その後に、畳む/開く機構11を作動し、第1ブレード3a及び第2ブレード3bを開く。
【0100】
[6.飛翔体]
(飛翔体45)
図17aはロータ機構を用いた飛翔体を示す平面図、図17bは図17aの側面図である。
図17a及び図17bには飛翔体45(20)を示している。飛翔体45は、本体45aと、本体の中央付近で、且つ、その上面に設けられる前述のロータ機構1、1a、31、32とからなる。本体45aの上面には上方が開口した筒状の収納部19が設けられている。収納部41には下降したロータ機構31、32が収納される。
【0101】
また本体45aの中央付近の左右からは固定翼46、46が延びている。さらに本体45aの前側の左右からは前翼47、47が延びている。それらの前翼47、47にはそれぞれ推進用プロペラ48、48が設けられている。また本体45aの後側の左右からは尾翼49、49が延びている。
【0102】
(飛翔体50)
図18aはロータ機構を用いた他の飛翔体を示す平面図、図18bは図18aの側面図である。本飛翔体の説明において、前述した飛翔体と異なる部分を説明し、同じ部分には同じ符号を付し、その説明は省略する。
図18a及び図18bには飛翔体50(20)を示している。飛翔体50の本体50aの左右からは翼51、51が延びている。翼51、51にはプロペラ52、52がそれぞれ設けられている。飛翔体50の翼51又はプロペラ52は回動する。飛翔体50は、チルトウイング又はチルトロータと呼ばれるタイプの飛翔体である。飛翔体50のプロペラ52は垂直離陸用のプロペラと、推進用プロペラとを兼ねている。飛翔体50のロータ機構1、1a、31、32は前述の飛翔体45に比べて回転翼3の半径が小さい。この飛翔体50においてロータ機構1、1a、31、32は機体の制御に用いられる。飛翔体50は前翼47を備えていない。垂直尾翼53を備えている。
【0103】
[7.ハードウェア構成]
次に、図19を用いて制御部13のハードウェア構成を説明する。図19に示すように、この実施形態の制御部13にはコンピュータが用いられている。そのコンピュータは例えば、CPU54を備えており、そのCPU54には、不揮発性メモリ55、揮発性メモリ56、光を用いた記録デバイス(例えば、DVD)、あるいは磁気を用いた記録デバイス、さらにはUSBやSDカードなど書き換え可能なデバイス59を読み込むドライブ60および外部とネットワークを介して通信するための通信回路61がバスライン62を介して接続されている。不揮発性メモリ55、揮発性メモリ56(以下メモリ55等という。)は記録部である。さらに記録部には、制御部13に用いるロータ機構の収納プログラム57、57a、展開プログラム58、58a、飛行条件13a、さらにはOS63(オペレーティングシステム)、ブラウザプログラム63aが記録されている。
【0104】
プログラム57、57a、58、58aは、制御部13にインストールされている。そのプログラム57、57a、58、58aは、ブラウザプログラム63aおよびOS63の機能を利用して、協働して動作するものである。なおプログラム57、57a、58、58aは、ブラウザプログラム63aおよびOS63と異なる別個のプログラムと協働して動作してもよい。
プログラム57、57a、58、58a、条件13a、ブラウザプログラム63aおよびOS63は、例えばDVD、さらにはUSBやSDカードなど書き換え可能なデバイス59に記録されており、ドライブ60を介して、記録部にインストールされる。
【0105】
[8.その他]
上述した実施形態、変形例は、それぞれを適宜に組み合わせて用いることができる。
回転翼3の枚数は2枚以上であればよい。
上述した実施形態では第2ハブ9bを下方に移動させて、第1ハブ9aとの噛合を解除したが、第2ハブ9bを上方に移動させて噛合を解除してもよい。その場合、伝達ロッド18aを伸ばし、内さらにシャフト駆動部8のシリンダロッド8bを伸ばす。
ロック機構12cでシャフト2をロックする代わりに、内シャフト4又は駆動軸7cをロックするようにしてもよい。またシャフト2、内シャフト4、駆動軸7aの全て又はそれらの内の1つ以上をロックするようにしてもよい。
停止位置としては、ブレード3が前後方向に平行に向いている位置でもよい。その他、予め定めた位置であればよい。
第1ブレード3a及び第2ブレード3bは進行方向と逆向きになるように揃えているが、進行方向に向けるようにして揃えてもよい。
ロータ機構32において、ブレード3を昇降しながら、ブレード3を折り畳んでもよい。
飛翔体20を、飛行するものでなく、例えば、車、ホバークラフトのように、地上を推進する機体20としてもよい。
飛翔体20は、操縦者が乗っていてもよいし、地上コントロール局や管制から遠隔操縦されていてもよい。
飛翔体20としては、飛行機、ヘリコプターあるいはドローンなどである。例えば、飛翔体20は、垂直離着陸機(VTOL機)または離陸時に短距離を滑走し、着陸時に垂直着陸する短距離離陸垂直着陸機(STOVL機)として用いてもよい。
上述した実施形態、変形例において、収納部41を備えていなくても良い。
【0106】
[9.まとめ]
(1)本発明のロータ機構1、1a、31、32は、複数枚のブレード3を備え、飛翔体20の本体20aに設けられるロータ機構1、1a、31、32であって、ブレード3を所定の停止位置に位置調整する位置調整機構12と、ブレード3を畳んだり開いたりする、畳む/開く機構11と、飛翔体20の飛行状態が所定の条件13aを満たすと、停止位置でブレード3を揃えるように畳むのを許し、又は、ブレードを開くのを許す制御部13とを備えていることを特徴としている。
このためブレード3を畳むので、水平飛行時の空気抵抗を削減できる。水平飛行時の高速化の向上が図れる。水平飛行中の上下方向からの風に対して安定性が向上する。水平飛行時の運動性の向上が図れる。
【0107】
(2)このようなロータ機構31、32は、ブレード3の運転位置41aと本体側の下降位置41bとの間でブレード3を昇降する昇降機構19、33をさらに備えており、制御部13は、ブレード3を畳んだ後若しくは畳む際に、ブレード3を下降するのを許し、又は、ブレード3を上昇した後若しくは上昇の際に、ブレード3を展開するのを許すので、一層水平飛行時の空気抵抗を削減できる。
【0108】
(3)またブレード3が第1ブレード3a及び第2ブレード3bを備えており、畳む/開く機構11が、シャフト2と、シャフト2と第1ブレード3aとを連結する第1ハブ9aと、シャフト2の内部に軸方向に移動自在に設けられ、且つ、前記軸を中心として回転自在な内シャフト4と、内シャフト4に連結され、第1ハブ9a又はシャフト2に係合され、第2ブレード3bの基端に取付けられる第2ハブ9bとを備えており、内シャフト4を上方又は下方に移動させ、第1ハブ9a又はシャフト2と第2ハブ9bとの係合を解除し、シャフト2と内シャフト4を逆回転させ、第1ブレード3a及び第2ブレード3bをそれぞれ反対向きに回動させて所定の方向に揃えるので、比較的空気の流れの速い中でブレード3を折り畳むことができる。
【0109】
(4)本発明のロータ機構のさらに他の態様は、第1ブレード3a及び第2ブレード3bを備え、且つ、飛翔体20の本体20aに設けられるロータ機構1、1a、31、32であって、シャフト2と、シャフト2と第1ブレード3aとを連結する第1ハブ9aと、シャフト2の内部に軸方向に移動自在に設けられ、且つ、前記軸を中心として回転自在な内シャフト4と、内シャフト4に連結され、第1ハブ9a又はシャフト2に係合され、第2ブレード3aの基端に取付けられる第2ハブ9bとを備えており、内シャフト4を上方又は下方に移動させ、第1ハブ9a又はシャフト2と第2ハブ9bとの係合を解除し、シャフト2と内シャフト4を逆回転させ、第1ブレード3a及び第2ブレード3bをそれぞれ反対向きに回動させて所定の方向に揃えることを特徴としている。
ブレード3を畳むので、水平飛行時の空気抵抗を削減できる。水平飛行中の上下方向からの風に対して安定性が向上する。水平飛行時の運動性、高速化の向上及び抵抗減少が図れる。
【0110】
(5)このようなロータ機構1、1a、31、32は、第1ブレード3a及び第2ブレード3bを所定の停止位置に調整する位置調整機構12をさらに備えているので、所定の位置でブレード3を畳むので、動作が確実である。
【0111】
(6)また第1ブレード3a及び第2ブレード3bの運転位置41aと本体側の下降位置41bとの間で第1ブレード3a及び第2ブレード3bを昇降する昇降機構19、33を備えているので、水平飛行時の空気抵抗を一層削減できる。
【0112】
(7)また第1ブレード3a及び第2ブレード3bのピッチ角をそれぞれ変更するピッチ角変更機構14をさらに備えているので、ホバリングなどヘリコプターのごとく飛行する際にブレード3を制御できる。
【0113】
(8)さらにピッチ角変更機構14が、第1スワッシュプレート16と、第1スワッシュプレート16と第1ブレード3aを連結し、第1ブレード3aのピッチ角を変更するための第1ロッド16aと、第2スワッシュプレート17と、第2スワッシュプレート17と第2ブレード3bを連結し、第2ブレード3bのピッチ角を変更するための第2ロッド17cと、第1スワッシュプレート16と第2スワッシュプレート17を連結し、第1スワッシュプレート16の動きを第2スワッシュプレート17に伝達し、且つ、第2ハブ9aの上方又は下方への移動に対応して伸縮する伝達機構18とからなるので、ブレード3を畳むことができ、且つ、ブレード3によりホバリングなどヘリコプターのごとく飛行する際にブレード3を制御できる。
【0114】
(9)本発明の飛翔体45(20)は、本体45aと、本体45aに設けられる上述のロータ機構1、1a、31、32とからなることを特徴としている。このため空気抵抗を削減できるので、燃費がよい。
【0115】
(10)このような飛翔体45は、本体45aから左右に延びている固定翼46と、左右の固定翼46にそれぞれ設けられる推進用プロペラ48とからなるので、空気抵抗を削減でき、速度が上昇する。
【0116】
(11)また本体50aから左右に延びている左右の翼51と、左右の翼51にそれぞれ設けられるプロペラ機構52とからなり、翼51又はプロペラ機構52が傾動することにより、プロペラ機構52の向きを変化させるので、上昇時の飛行が安定し、水平飛行時には空気抵抗を削減できる。
【符号の説明】
【0117】
1 ロータ機構
1a ロータ機構(第2実施形態)
2 シャフト
2a 傘歯車
2b 軸孔
2c 外歯
3 ブレード
3a 第1ブレード
3b 第2ブレード
4 内シャフト
4a 鍔部
4b 外歯
4c 連結部材
5 ギアボックス
5a 軸受
5b アイドル傘歯車
5c 貫通孔
5d 内歯
6 プロペラ
6a カバー
7 回転駆動機構
7a クラッチ
7b ウォームギア
7c 駆動軸
7d 駆動傘歯車
8 内シャフト駆動部
8a シリンダロッド
8b 把持部
9 ハブ
9a 第1ハブ
9b 第2ハブ
9c 外歯
9d 内歯
10 ピッチ用シャフト
10a アーム
10b 回動部
11 畳む/開く機構
12 位置調整機構
12a 電動モータ
12b エンコーダ
12c ロック機構
13 制御部
13a 飛行条件
13b ID
13c 飛行速度
13d 飛行姿勢
13e 飛行高度
13f 対気速度
13g 情報取得部
14 ピッチ角変更機構
15 ピッチ角駆動部
15a シリンダロッド
16 第1スワッシュプレート
16a 固定プレート
16b 回転プレート
16c 第1ロッド
16d 第1トルクリンク
17 第2スワッシュプレート
17a 固定プレート
17b 回転プレート
17c 第2ロッド
17d 第2トルクリンク
17e 円弧状の孔
18 伝達機構
18a 伝達ロッド
19 昇降機構
20 飛翔体
20a 本体
21 主翼
22 推進用のプロペラ
23 傾動シャフト
23a 下部シャフト
23b 中部シャフト
23c 上部シャフト
23d 回動部
24 傾動内シャフト
24a 下部内シャフト
24b 中部内シャフト
24c 上部内シャフト
24d 回動部
25 傾動駆動部
25a シリンダロッド
25b 軸
26 ベース
26a 軸受部材
27 平行クランク機構
27a 脚リンク
27b 中間リンク
29 畳む方法
30 開く方法
31 ロータ機構(第3実施形態)
32 ロータ機構(第4実施形態)
33 昇降機構
34 シャフト
35 筒状シャフト
35a 内歯
36 噛合シャフト
36a 外歯
36b 鍔部
37 上下動駆動部
38 ベース
38a 開口
38b 軸受部材
39 収納方法
40 上昇方法
41 収納部
41a 回転位置
41b 収納位置
45 飛翔体
45a 本体
46 固定翼
47 前翼
48 推進用プロペラ
49 尾翼
50 飛翔体
51 翼
52 プロペラ機構
53 垂直尾翼
54 CPU
55 不揮発性メモリ
56 揮発性メモリ
57 プログラム
57a プログラム
58b プログラム
58c プログラム
59 デバイス
60 ドライブ
61 通信回路
62 バスライン
63 OS
63a ブラウザプログラム
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19