(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022181726
(43)【公開日】2022-12-08
(54)【発明の名称】害虫忌避機能付洗浄剤
(51)【国際特許分類】
C11D 7/24 20060101AFI20221201BHJP
C11D 7/20 20060101ALI20221201BHJP
C11D 7/12 20060101ALI20221201BHJP
C11D 7/22 20060101ALI20221201BHJP
C11D 3/48 20060101ALI20221201BHJP
A01P 1/00 20060101ALI20221201BHJP
A01P 3/00 20060101ALI20221201BHJP
A01P 17/00 20060101ALI20221201BHJP
A01N 27/00 20060101ALI20221201BHJP
A01N 59/16 20060101ALI20221201BHJP
A01N 25/04 20060101ALI20221201BHJP
A01N 25/10 20060101ALI20221201BHJP
【FI】
C11D7/24 ZAB
C11D7/20 ZBP
C11D7/12
C11D7/22
C11D3/48
A01P1/00
A01P3/00
A01P17/00
A01N27/00
A01N59/16 A
A01N25/04
A01N25/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021088831
(22)【出願日】2021-05-26
(71)【出願人】
【識別番号】592263540
【氏名又は名称】湯浅 勉
(74)【代理人】
【識別番号】100167531
【弁理士】
【氏名又は名称】箕村 義勝
(72)【発明者】
【氏名】湯浅 勉
【テーマコード(参考)】
4H003
4H011
【Fターム(参考)】
4H003DA05
4H003DA12
4H003EA16
4H003EA25
4H003EB02
4H003EB29
4H003EB42
4H003ED02
4H003FA26
4H003FA34
4H011AA02
4H011AC06
4H011BA01
4H011BA06
4H011BB01
4H011BB18
4H011BC18
4H011BC19
4H011BC20
4H011DA14
4H011DA17
4H011DD01
4H011DF03
4H011DF04
4H011DH07
4H011DH10
(57)【要約】
【課題】洗浄対象物を、洗浄、コーティング、抗菌などを行うことができる機能に加え、より効果的に洗浄、抗菌などを行うことができ、また、付加価値、例えばゴキブリなどの害虫を忌避することができる付加価値を有する害虫忌避機能付洗浄剤を提供する。
【解決手段】害虫忌避機能付洗浄剤は、リモネンと多孔質シリカと炭酸水素ナトリウムとフッ素樹脂とセルロースと無機銀系抗菌剤を有している。害虫忌避機能付洗浄剤を洗浄対象物に付着させ、乾燥された状態を維持することにより、ゴキブリなどの害虫を忌避することができ、維持の状態を終了させ、害虫忌避機能付洗浄剤を洗浄対象物から水洗い又は拭き取ることにより洗浄対象物を洗浄することができる。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
リモネンと多孔質シリカと炭酸水素ナトリウムとフッ素樹脂とセルロースと無機銀系抗菌剤を有する害虫忌避機能付洗浄剤であって、
前記リモネンと前記多孔質シリカを混在させることにより、前記多孔質シリカの孔に前記リモネンが浸み込み、前記多孔質シリカの孔に前記リモネンが染み込まれた状態の第1の混合剤が形成され、
前記第1の混合剤を用いて、前記第1の混合剤と前記炭酸水素ナトリウムと前記フッ素樹脂と前記セルロースと前記無機銀系抗菌剤を混在させ、混練させることにより第2の混合剤を形成させ、
前記形成された前記第2の混合剤を洗浄剤として用いることを特徴とする害虫忌避機能付洗浄剤。
【請求項2】
前記第2の混合剤を、洗浄対象物に付着させ、前記洗浄対象物に前記第2の混合剤が前記付着され、前記第2の混合剤が乾燥された状態において、前記乾燥した第2の混合剤を前記洗浄対象物から水洗い又は拭き取ることにより前記洗浄対象物を洗浄するように形成されていることを特徴とする請求項1に記載の害虫忌避機能付洗浄剤。
【請求項3】
前記第2の混合剤を、洗浄対象物に付着させ、前記洗浄対象物に前記第2の混合剤が前記付着され、前記第2の混合剤が乾燥された状態を維持することにより、害虫を忌避するように形成されており、前記維持の状態を終了させ、前記乾燥した第2の混合剤を前記洗浄対象物から拭き取ることにより前記洗浄対象物を洗浄するように形成されていることを特徴とする請求項1に記載の害虫忌避機能付洗浄剤。
【請求項4】
前記第2の混合剤は、水分を有し、前記水分と前記リモネンと前記多孔質シリカと前記炭酸水素ナトリウムと前記フッ素樹脂と前記セルロースと無機銀系抗菌剤のそれぞれが、予め定められた割合であることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載の害虫忌避機能付洗浄剤。
【請求項5】
前記予め定められた割合は、前記水分が約70%から約75%、前記リモネンが約3%、前記多孔質シリカが約10%、前記炭酸水素ナトリウムが約10%、前記フッ素樹脂が約2%、前記セルロースが約0.4%、及び無機銀系抗菌剤が約0.5%から1%であることを特徴とする請求項4に記載の害虫忌避機能付洗浄剤。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、害虫忌避機能付洗浄剤に関する。
【背景技術】
【0002】
ステンレス製品、プラスチック製品、磁器製品、ガラス製品などの洗浄対象物の表面を洗浄するための洗浄器具において洗浄及び磨きを主に行うものが普及している。また、ステンレス製品、プラスチック製品、磁器製品などの洗浄対象物の表面を洗浄及び磨くことに加えて洗浄対象物の表面をコーティング及び抗菌をすることができる抗菌機能を有する洗浄用具が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のとおり、ステンレス製品、プラスチック製品、磁器製品、ガラス製品などの洗浄対象物の表面を洗浄するための洗浄用具は、洗浄及び磨きを主に、行うものであり、これらの機能に加え、ステンレス製品、プラスチック製品、磁器製品、ガラス製品などの洗浄対象物の表面をコーティング及び抗菌を行うことができる洗浄器具も開発されているが、より効果的に洗浄、抗菌などができ、また、付加価値、例えばゴキブリなどの害虫を忌避することができる洗浄剤が求められていた。そこで本発明は、このような課題を解決するためになされたもので、ステンレス製品、プラスチック製品、磁器製品、ガラス製品などの洗浄対象物を、洗浄、コーティング、抗菌などを行うことができる機能に加え、より効果的に洗浄、抗菌などができ、また、付加価値、例えばゴキブリなどの害虫を忌避することができる付加価値を有する害虫忌避機能付洗浄剤を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために、本発明の害虫忌避機能付洗浄剤は、リモネンと多孔質シリカと炭酸水素ナトリウムとフッ素樹脂とセルロースと無機銀系抗菌剤を有する害虫忌避機能付洗浄剤であって、前記リモネンと前記多孔質シリカを混在させることにより、前記多孔質シリカの孔に前記リモネンが浸み込み、前記多孔質シリカの孔に前記リモネンが染み込まれた状態の第1の混合剤が形成され、前記第1の混合剤を用いて、前記第1の混合剤と前記炭酸水素ナトリウムとフッ素樹脂とセルロースと無機銀系抗菌剤を混在させ、混練させることにより第2の混合剤を形成させ、前記形成された第2の混合剤を洗浄剤として用いることを特徴とする。リモネンは揮発性香油であり多孔性シリカに含侵させエマルジョンジェル化させ対象物に付着させ水分蒸発と同時に気化忌避効果を発揮させる。
【0006】
本発明に係る害虫忌避機能付洗浄剤の態様について、前記第2の混合剤を、洗浄対象物に付着させ、前記洗浄対象物に前記第2の混合剤が前記付着され、前記第2の混合剤が乾燥された状態において、前記乾燥した第2の混合剤を前記洗浄対象物から拭き取ることにより前記洗浄対象物を洗浄するように形成されていることが好ましい。
【0007】
本発明に係る害虫忌避機能付洗浄剤の態様について、前記第2の混合剤を、洗浄対象物に付着させ、前記洗浄対象物に前記第2の混合剤が前記付着され、前記第2の混合剤が乾燥された状態を維持することにより、害虫を忌避するように形成されており、前記維持の状態を終了させ、前記乾燥した第2の混合剤を前記洗浄対象物から拭き取ることにより前記洗浄対象物を洗浄するように形成されていることが好ましい。
【0008】
本発明に係る害虫忌避機能付洗浄剤の態様について、前記第2の混合剤は、水分を有し、前記水分と前記リモネンと前記多孔質シリカと前記炭酸水素ナトリウムと前記フッ素樹脂と前記セルロースと無機銀系抗菌剤のそれぞれが、予め定められた割合であることが好ましい。
【0009】
本発明に係る害虫忌避機能付洗浄剤の態様について、前記予め定められた割合は、前記水分が約70%から約75%、前記リモネンが約3%、前記多孔質シリカが約10%、前記炭酸水素ナトリウムが約10%、前記フッ素樹脂が約2%、前記セルロースが約0.4%、及び無機銀系抗菌剤が約0.5%から1%とすることが好ましい。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、ステンレス製品、プラスチック製品、磁器製品ガラス製品などの洗浄対象物を、洗浄、コーティング、抗菌などを行うことができる機能に加え、より効果的に洗浄、抗菌などができ、また、付加価値、例えばゴキブリなどの害虫を忌避することができる付加価値を有する害虫忌避機能付洗浄剤を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態について説明する。
【0012】
本発明の害虫忌避機能付洗浄剤は、リモネンと多孔質シリカと炭酸水素ナトリウムとフッ素樹脂とセルロースと無機銀系抗菌剤を有している。害虫忌避機能付洗浄剤は、上記のリモネンと多孔質シリカを混在させることにより、多孔質シリカの孔にリモネンが浸み込み、多孔質シリカの孔にリモネンが染み込まれた状態において第1の混合剤が形成される。第1の混合剤は、粉状であるが水分を混ぜたときにはこの水分を含むことになる。
【0013】
上記第1の混合剤を用いて第2の混合剤を形成する。つまり第1の混合剤と炭酸水素ナトリウムとフッ素樹脂とセルロースと無機銀系抗菌剤を混在させ、そして混練させることにより第2の混合剤が形成される。第2の混合剤を洗浄剤としての機能を有する本発明の害虫忌避機能付洗浄剤とすることができる。
【0014】
害虫忌避機能付洗浄剤の使用について以下に説明する。第2の混合剤を、洗浄対象物に付着させ、洗浄対象物に第2の混合剤が付着され、その後、第2の混合剤が乾燥された状態において、乾燥した第2の混合剤を洗浄対象物から水洗い又は拭き取ることにより、洗浄対象物を洗浄することができる。例えば、第2の混合剤の乾燥は略30分から略1時間であり、この乾燥させた第2の混合剤を、例えば、水洗い又は布を用いて拭き取ることにより洗浄対象物を洗浄することができる。
【0015】
また、他の使用として、第2の混合剤を、洗浄対象物に付着させ、洗浄対象物に第2の混合剤が付着され、その後、第2の混合剤が乾燥された状態を維持することにより、ゴキブリなどの害虫を忌避することができる。そして維持の状態を終了させ、乾燥した第2の混合剤を洗浄対象物から水洗又は拭き取ることにより洗浄対象物を洗浄することができる。上記の第2の混合剤が乾燥された状態の維持は、例えば、夜間でありこの間、後述のリモネンの機能によりゴキブリなどの害虫を忌避することができる。
【0016】
また、第2の混合剤は、水分を有しており、水分とリモネンと多孔質シリカと炭酸水素ナトリウムとフッ素樹脂とセルロースと無機銀系抗菌剤のそれぞれが、予め定められた割合であることが好ましく、例えば、この予め定められた割合は、水分が約70%から約75%、リモネンが約3%、多孔質シリカが約10%、炭酸水素ナトリウムが約10%、フッ素樹脂が約2%、セルロースが約0.4%、及び無機銀系抗菌剤が約0.5%から1%(ソープフリーは無し)としてもよいが、これは一例であり限定されず適宜最適な割合を選択することができる。
【0017】
上記の特徴を有する害虫忌避機能付洗浄剤は、橘抽出精油であるリモネンによるゴキブリなどの害虫を忌避する機能を有しており、また、油脂、茶渋などのタンニン系の汚れを分解する機能を有している。害虫忌避機能付洗浄剤は、ジェル状のため壁面などの各種部所機材への使用が可能なものである。
【0018】
害虫忌避機能付洗浄剤は、石油系、界面活性剤、化学薬剤、乳化剤、動植物油剤石鹸等、不使用で比重の異なる素材を長期にわたり分離することが無く安定させることが出来た。リモネン配合によりゴキブリ対策、油分、タンニンなどを分解洗浄することができ、また、生分解性に優れ、河川海洋汚染や生物汚染性に優れており、さらに、無機銀系抗菌剤配合により、まな板、包丁などの調理器具、機械設備の洗浄、抗菌加工などに使用することができる。
【0019】
本発明に用いる抽出精油のリモネンは、チャバネ、ワモン、クロゴキブリなどのゴキブリに忌避効果があることが農水省発行の文献資料で報告されている。フッ素樹脂などは、ジェル状に加工されており、各種汚れに擦り合わせることで相手面に移行し、極薄膜状にコートされ防汚効果があり、汚れが取れやすく傷が付きにくくなるという効果を有している。
【0020】
本発明の害虫忌避機能付洗浄剤は、ステンレスシンク、まな板、包丁、調理テーブル、壁面、用具、器具などに擦るように塗り付け、数時間放置し香りの拡散、つまり精油リモネンにより、ゴキブリなどの害虫を忌避するという優れた効果が得られる。例えば、前日作業終了後、ジェル洗浄剤を付け翌日に水洗浄すると良好な結果が得られる。
【0021】
害虫忌避機能付洗浄剤は、プラスチック食器容器、弁当箱などに付着した臭気、ステンレスボトルのタンニン汚れ落とし、さらに、安全性が高いことにより食器、カトラリー、調理器具、まな板洗浄抗菌などにも使用することができ、洗浄後の特にワイングラスなどのグラス類の洗浄に適しているものであり、市水をそのまま利用してグラスを洗浄すると、スケールなどの石灰質や水溶性塩がグラスの表面に付着し、グラスの表面が曇ったような状態となるが、水処理装置やリンス剤を使うことなくグラスの輝きを維持することができるものである。
【0022】
また、本発明に用いる多孔質シリカは、多孔質高吸油性に優れゼオライト、タルク等の鉱物より5から10倍の吸油性をもっている。凝集構造を有し空隙は多孔質となり油材の吸液性を発揮する化学的不活性物質である。多孔質シリカは、例えば10ミクロンの粉であり穴を有しており表面張力及び毛細管現象により油と水を吸い込む機能を有しており、水分は蒸発されるが吸い込まれた精油は発揮することなく吸収された状態となっている。シリカは、水が蒸発し飛ばされると、油が吸収されている白い粉になり、この白い粉は、簡単に剥離される状態になっており水洗い又は布、スポンジ、歯ブラシなどで拭き取ることができる。
【0023】
炭酸水素ナトリウムは、弱アルカリ性で油汚れタンニン性の汚れ等に分解効果があり安全性にも優れており胃薬、ベーキングパウダーなどに使用されている。炭酸水素ナトリウムは水に8%ほど溶け残余部分はスクラブ効果を有する。
【0024】
フッ素樹脂は、優れた潤滑剥離性に優れており硬度が低く相手素材に対する摺動時においてクリープ効果で相手素材にごく微量に移動し、このように移動したフッ素樹脂は、持続性があり簡単に剥離することがない化学的不活性物質である。セルロースは、植物性の増粘材で食品添加物としても使用されている。
【0025】
以上、本発明の有する特徴及び優れた点を上記実施形態に記載したが、本発明は、本発明の原理の範囲内で、本願の特許請求の範囲で使用されている言葉を広く一般的な意味にまで広げて実施することができる。また、本発明の害虫忌避機能付洗浄剤については多様な実施形態が可能であり、それらについて本実施形態と異なる形態による実施は、本発明の技術的範囲に含まれる。