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特開2022-181762作業支援装置、作業支援方法、および作業支援プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022181762
(43)【公開日】2022-12-08
(54)【発明の名称】作業支援装置、作業支援方法、および作業支援プログラム
(51)【国際特許分類】
   B66B 7/00 20060101AFI20221201BHJP
【FI】
B66B7/00 J
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021088903
(22)【出願日】2021-05-27
(71)【出願人】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】肥後 亮佑
(72)【発明者】
【氏名】中本 秀一
(72)【発明者】
【氏名】石原 義之
【テーマコード(参考)】
3F305
【Fターム(参考)】
3F305AA21
3F305DA05
3F305DA09
3F305DA23
(57)【要約】
【課題】作業精度の向上を図る。
【解決手段】作業支援装置10は、アーム機構18と、第2判断部22Dと、取得部22Eと、導出部22Fと、駆動制御部22Gと、を備える。アーム機構18は、作業空間内に配置された作業台に搭載され、端部にツール部の設けられた機構である。取得部22Eは、作業空間における作業対象部およびツール部の撮影画像を取得する。導出部22Fは、撮影画像に基づいて、作業対象部とツール部との相対位置を導出する。駆動制御部22Gは、相対位置に基づいて、作業対象部の位置とツール部の位置とが一致するように、アーム機構18の駆動部30を制御する。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
作業空間内に配置された作業台に搭載され、端部にツール部の設けられたアーム機構と、
前記作業空間における作業対象部および前記ツール部の撮影画像を取得する取得部と、
前記撮影画像に基づいて、前記作業対象部と前記ツール部との相対位置を導出する導出部と、
前記相対位置に基づいて、前記作業対象部の位置と前記ツール部の位置とが一致するように前記アーム機構の駆動部を制御する駆動制御部と、
を備える作業支援装置。
【請求項2】
前記駆動制御部は、
前記作業対象部と前記ツール部との距離に応じた速度で前記ツール部の位置を前記作業対象部の位置へ移動させるように前記駆動部を制御する、
請求項1に記載の作業支援装置。
【請求項3】
前記駆動制御部は、
前記距離が遠いほど速くかつ前記距離が近いほど遅い速度で、前記ツール部の位置を前記作業対象部の位置へ移動させるように前記駆動部を制御する、
請求項2に記載の作業支援装置。
【請求項4】
前記駆動制御部は、
前記作業対象部と前記ツール部との距離の変動に応じた速度で、前記ツール部の位置を前記作業対象部の位置へ移動させるように前記駆動部を制御する、
請求項2に記載の作業支援装置。
【請求項5】
前記アーム機構はジョイント部によって連結された1または複数のアーム部および前記ツール部からなり、
前記導出部は、
前記作業台の揺れ量に基づいて、前記作業対象部に対する前記作業台の移動量を更に導出し、
前記駆動制御部は、
導出した前記移動量を相殺するように前記ジョイント部の位置を更に制御する、
請求項1~請求項4の何れか1項に記載の作業支援装置。
【請求項6】
レーザ光を照射するレーザ照射部と、
レーザ照射可能か否かを判断する第1判断部と、
レーザ照射可能と判断された場合、前記作業対象部にレーザ光を照射するように前記レーザ照射部を制御するレーザ制御部と、
を備え、
前記導出部は、
レーザ照射可能と判断された場合、前記撮影画像に含まれる前記レーザ光のスポット領域を前記作業対象部として特定し、特定した前記作業対象部と前記ツール部との前記相対位置を導出する、
請求項1~請求項5の何れか1項に記載の作業支援装置。
【請求項7】
前記レーザ制御部は、
前記作業対象部がレーザ照射不可能と判断された場合、前記作業対象部から第1方向に第1距離離間した離間位置にレーザ光を照射するように前記レーザ照射部を制御し、
前記導出部は、
前記作業対象部がレーザ照射不可能と判断された場合、前記撮影画像に含まれる前記レーザ光のスポット領域から前記第1方向の反対方向に前記第1距離離間した領域を前記作業対象部として特定し、特定した前記作業対象部と前記ツール部との前記相対位置を導出する、
請求項6に記載の作業支援装置。
【請求項8】
レーザ照射不可能と判断された場合、テンプレートマッチング処理が可能か否かを判断する第2判断部を備え、
前記導出部は、
テンプレートマッチング処理が可能と判断された場合、前記撮影画像に含まれるテンプレート画像に一致または類似する領域を前記作業対象部として特定し、特定した前記作業対象部と前記ツール部との相対位置を導出する、
請求項1~請求項7の何れか1項に記載の作業支援装置。
【請求項9】
前記作業対象部から前記ツール部に加わる第1の力を検出する検出部を備え、
前記駆動制御部は、
前記第1の力を相殺するように前記駆動部を制御する、
請求項1~請求項8の何れか1項に記載の作業支援装置。
【請求項10】
前記作業空間は、
エレベータの昇降路である、
請求項1~請求項9の何れか1項に記載の作業支援装置。
【請求項11】
作業空間における作業対象部、および、前記作業空間内に配置された作業台に搭載され且つ端部にツール部の設けられたアーム機構における前記ツール部、の撮影画像を取得し、
前記撮影画像に基づいて、前記作業対象部と前記ツール部との相対位置を導出し、
前記相対位置に基づいて、前記作業対象部の位置と前記ツール部の位置とが一致するように前記アーム機構の駆動部を制御する、
作業支援方法。
【請求項12】
作業空間における作業対象部、および、前記作業空間内に配置された作業台に搭載され且つ端部にツール部の設けられたアーム機構における前記ツール部、の撮影画像を取得するステップと、
前記撮影画像に基づいて、前記作業対象部と前記ツール部との相対位置を導出するステップと、
前記相対位置に基づいて、前記作業対象部の位置と前記ツール部の位置とが一致するように前記アーム機構の駆動部を制御するステップと、
をコンピュータに実行させるための作業支援プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、作業支援装置、作業支援方法、および作業支援プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
エレベータシャフトなどの作業空間内の作業を支援する装置が知られている。例えば、作業空間内の作業台に搭載されたロボット機構等によって作業支援を行うシステムが開示されている。また、作業空間の3Dモデルから穴やボルト等の作業対象部の位置を推定し、推定した位置に対する作業を支援するシステムが開示されている。また、壁面と工具との角度の検出結果を用いて工具の軸が壁面に対して垂直となるように工具の傾きを調整することで、壁面の作業対象部に対する作業を支援する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2020-7095号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、作業空間内に配置された作業台は作業空間内で揺れる場合がある。従来技術では、作業台の揺れ等により正確な位置合せが困難となり、作業精度が低下する場合があった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
実施形態の作業支援装置は、アーム機構と、取得部と、導出部と、駆動制御部と、を備える。アーム機構は、作業空間内に配置された作業台に搭載され、端部にツール部が設けられている。取得部は、前記作業空間における作業対象部および前記ツール部の撮影画像を取得する。導出部は、前記撮影画像に基づいて、前記作業対象部と前記ツール部との相対位置を導出する。駆動制御部は、前記相対位置に基づいて、前記作業対象部の位置と前記ツール部の位置とが一致するように前記アーム機構の駆動部を制御する。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】作業支援システムの模式図。
図2】作業支援装置の模式図。
図3】作業支援装置の機能ブロック図。
図4】撮影画像の模式図。
図5】作業支援装置の模式図。
図6】撮影画像の模式図。
図7】テンプレート画像の模式図。
図8】ボルト締め作業を示す模式図。
図9A】作業台の揺れ量に応じた制御の説明図。
図9B】作業台の揺れ量に応じた制御の説明図。
図10】情報処理のフローチャート。
図11】ハードウェア構成図。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下に添付図面を参照して、作業支援装置、作業支援方法、および作業支援プログラムを詳細に説明する。
【0008】
図1は、本実施形態の作業支援システム1の一例を示す模式図である。
【0009】
作業支援システム1は、作業空間2内で作業するユーザを支援するためのシステムである。
【0010】
作業空間2は、内側でユーザが作業可能な大きさの空間である。例えば、作業空間2は、エレベータの昇降路、車両等の物体が内側を移動するトンネル、下水道、等である。本実施形態では、作業空間2が、エレベータの昇降路である場合を一例として説明する。エレベータの昇降路は、エレベータシャフトと称される場合がある。
【0011】
作業空間2内には、作業空間2の延伸方向(矢印Z’方向)に沿って移動するエレベータが配置され、該エレベータが延伸方向に沿って移動する。以下では、作業空間2の延伸方向を、延伸方向Z’と称して説明する場合がある。本実施形態では、延伸方向Z’が鉛直方向に一致する場合を一例として説明する。なお、延伸方向Z’は、作業空間2の通路の延伸方向であればよく、鉛直方向に一致する形態に限定されない。
【0012】
本実施形態では、作業支援システム1のメンテナンス時などに、作業空間2内に作業台3を設置し、作業台3に乗ったユーザが作業空間2内で作業する場面を想定して説明する。
【0013】
作業台3は、メンテナンス時などに作業空間2内に配置され、作業空間2に対して取り外し可能に構成されている。作業空間2内に配置された作業台3は、ワイヤ4を介して、作業空間2の頂部に配置された変位部材5によって支持される。変位部材5によって、作業台3は、作業空間2内を延伸方向Z’に移動可能とされている。すなわち、作業台3は、作業空間2内を移動する移動部材の一例である。なお、図1には、作業台3が2本のワイヤ4によって支持された形態を一例として示す。しかし、作業台3は、1本以上のワイヤ4によって支持されていればよく、2本に限定されない。
【0014】
作業台3は、通常のエレベータなどの組み立て時に利用されるゴンドラユニットに設置されてもよい。また、作業台3は、ゴンドラユニットであってもよい。また、作業台3は、作業支援システム1専用に用意されたユニットであってもよい。また、作業台3は、作業空間2を移動するエレベータかごに設置された構成であってもよい。また、作業台3は、エレベータかご、であってもよい。
【0015】
作業支援装置10は、作業空間2内に配置された作業台3に設置されている。作業支援装置10は、作業台3に設置されることで、作業空間2内を延伸方向Z’に移動可能に配置された状態となる。
【0016】
図2は、作業支援装置10の一例の模式図である。
【0017】
作業支援装置10は、ロボット機構部11と、レーザ照射部20と、を備える。ロボット機構部11とレーザ照射部20とは通信可能に接続されている。
【0018】
ロボット機構部11は、作業支援装置10の本体部である。ロボット機構部11は、作業台3に搭載されている。
【0019】
レーザ照射部20はレーザ光Lを照射する。例えば、レーザ照射部20は、作業空間2の内壁面に固定して設置されている。なお、レーザ照射部20は、作業台3またはロボット機構部11に搭載されていてもよい。しかし、照射精度向上の観点から、レーザ照射部20は、作業空間2の内壁面に固定して設置されていることが好ましい。
【0020】
本実施形態では、レーザ照射部20は、後述する制御部22の制御によって作業対象50の作業対象部Tにレーザ光Lを照射する。
【0021】
作業対象50は、ロボット機構部11によって作業される対象の部材である。作業対象50は、例えば、作業空間2内の壁などの構造物である。作業対象部Tは、作業対象50における作業対象の領域または作業対象の物である。作業対象部Tは、例えば、作業対象50における穴または孔を設ける対象となる領域、作業対象50に取り付けるネジやボルトなどの部材などである。図2には、作業対象部Tが穴あけ対象の領域T1である形態を一例として示す。
【0022】
ロボット機構部11は、撮影部12と、距離センサ14と、力センサ16と、アーム機構18と、制御部22と、揺れ量センサ24と、を備える。
【0023】
アーム機構18は、ツール部18Aを保持するためのアシスト機構である。言い換えると、アーム機構18は、ツール部18Aのハンドリングを支援するための機構である。アーム機構18は作業台3に搭載されている。本実施形態では、アーム機構18は、支持台23を介して作業台3に設置されている。
【0024】
ツール部18Aは、作業空間2の作業時に用いられる部材である。ツール部18Aは、アーム機構18の延伸方向の端部に設けられている。ツール部18Aは、例えば、電動ドリル、インパクトドライバ、等の各種の道具または工具や、ブラケット、ガイドレール、カウンターウェイト、および部品などを取り付けるための各種の取付け部材、などである。図1には、ツール部18Aが電動ドリル18A1である形態を一例として示す。
【0025】
アーム機構18は、例えば、ツール部18Aと、アーム部18Bと、アーム部18Cと、アーム部18Dと、を備える。ツール部18Aおよびこれらの複数のアーム部(18B、18C、18D)は、1または複数のジョイント部19によって連結されてなる。本実施形態では、ツール部18Aとアーム部18Bとはジョイント部19Aによって連結されている。また、アーム部18Bとアーム部18Cとはジョイント部19Bによって連結されている。また、アーム部18Cとアーム部18Dとはジョイント部19Cによって連結されている。
【0026】
ジョイント部19には駆動部30が設けられている。駆動部30の駆動によってジョイント部19が駆動されることで、ジョイント部19の各々の位置、アーム機構18のツール部18Aの位置、およびアーム機構18の姿勢が調整される。
【0027】
ジョイント部19Aには、撮影部12、距離センサ14、および力センサ16が設けられている。
【0028】
撮影部12は、撮影によって撮影画像データを取得する。以下では、撮影画像データを、撮影画像と称して説明する。本実施形態では、撮影部12は、ツール部18Aおよび作業対象部Tの撮影画像を取得する。撮影部12は、ツール部18Aおよび作業対象部Tの撮影画像を取得可能な位置に設けられていればよく、ジョイント部19Aに設けられた形態に限定されない。また、作業支援装置10は、複数の撮影部12を備えた構成であってもよい。この場合、複数の撮影部12によってツール部18Aおよび作業対象部Tの撮影画像を撮影すればよい。
【0029】
距離センサ14は、ツール部18Aと作業対象50との距離を計測するためのセンサである。詳細には、距離センサ14は、ツール部18Aの先端部と作業対象50との最短距離を計測する。距離センサ14には、距離を計測可能な公知のセンサを用いればよい。距離センサ14は、ツール部18Aと作業対象50との距離を計測可能な位置に配置されていればよく、ジョイント部19Aに設けられた形態に限定されない。
【0030】
力センサ16は、ツール部18Aの外部からツール部18Aに加わる力を検出するセンサである。本実施形態では、力センサ16は、作業対象部Tからツール部18Aに加わる力を検出する。作業対象部Tからツール部18Aに加わる力は、第1の力に相当する。力センサ16は、第1の力を検出する検出部の一例である。力センサ16は、ツール部18Aの外部からツール部18Aに加わる力を検出可能な公知のセンサであればよい。また、力センサ16は、ツール部18Aの外部からツール部18Aに加わる力を検出可能な位置に配置されていればよく、ジョイント部19Aに設けられた形態に限定されない。
【0031】
揺れ量センサ24は、作業台3の揺れ量を検出するセンサである。揺れ量センサ24は、作業台3に設けられている。揺れ量センサ24は、例えば、加速度センサ、ジャイロセンサなどである。
【0032】
制御部22は、ロボット機構部11を制御する。制御部22の詳細は後述する。
【0033】
図3は、本実施形態の作業支援装置10の一例の機能ブロック図である。
【0034】
作業支援装置10は、ロボット機構部11と、レーザ照射部20と、を備える。ロボット機構部11とレーザ照射部20とは通信可能に接続されている。
【0035】
レーザ照射部20は、レーザ照射器20Aと、通信部20Bと、制御部20Cと、を備える。レーザ照射器20Aおよび通信部20Bと、制御部20Cとは、通信可能に接続されている。
【0036】
レーザ照射器20Aは、レーザ光Lを照射する装置である。レーザ照射器20Aは、例えば、レーザポインティングデバイス、プロジェクタなどであるが、これらに限定されない。レーザポインティングデバイスは、例えば、レーザ墨出し器などである。
【0037】
通信部20Bは、ロボット機構部11や他の情報処理装置と通信する通信機能部である。
【0038】
制御部20Cは、作業内容に応じた設計情報によって規定される作業位置にレーザ光Lを照射するように、レーザ照射器20Aを制御する。この制御により、制御部20Cは、レーザ照射器20Aから作業対象部Tへレーザ光Lを照射させる。制御部20Cは、例えば、ロボット機構部11から通信部20Bを介して設計情報を取得する。設計情報の詳細は後述する。制御部20Cは、サーバ装置などの情報処理装置から通信部20Bを介して設計情報を取得してもよい。
【0039】
次にロボット機構部11について説明する。
【0040】
ロボット機構部11は、撮影部12と、距離センサ14と、力センサ16と、アーム機構18と、制御部22と、揺れ量センサ24と、通信部26と、記憶部28と、駆動部30と、UI(ユーザ・インターフェース)部32と、を備える。
【0041】
撮影部12、距離センサ14、力センサ16、揺れ量センサ24、通信部26、記憶部28、駆動部30、および制御部22は、バスなどを介して通信可能に接続されている。
【0042】
通信部26は、レーザ照射部20や他の情報処理装置と通信する通信機能部である。
【0043】
記憶部28は、各種の情報を記憶する。記憶部28は、例えば、管理情報を記憶する。管理情報は、作業を管理するための情報である。例えば、管理情報は、1または複数の作業内容ごとに、作業対象部Tの位置を規定した情報である。詳細には、例えば、管理情報は、作業IDと、設計情報と、を対応付けた情報である。
【0044】
作業IDは、作業の識別情報である。例えば、作業IDは、作業順を表す番号などで表される。設計情報は、対応する作業IDによって識別される作業に関する情報である。
【0045】
設計情報は、例えば、作業位置情報と、作業対象部情報と、作業内容情報と、を含む。
【0046】
作業位置情報は、対応する作業IDによって識別される作業の作業位置を示す情報である。言い換えると、作業位置情報は、作業対象部Tの位置を示す情報である。
【0047】
作業対象部情報は、作業対象部Tを示す情報である。例えば、作業対象部情報は、作業対象部Tの種類、作業対象部Tの形状、レーザ光Lによる反射の有無、などを示す情報である。
【0048】
作業対象部Tの種類は、例えば、穴あけ対象の領域T1、ボルトT2などの作業対象部Tの種類を表す情報である。レーザ光Lによる反射有無を示す情報は、反射有または反射無を表す情報である。反射有とは、作業対象部Tにレーザ光Lが照射されると作業対象部Tの反射により作業対象部Tが撮影部12で撮影されないことを表す。反射無とは、作業対象部Tにレーザ光Lが照射されても作業対象部Tが撮影部12で撮影されることを表す。作業内容情報は、作業対象部Tに対する作業内容を表す情報である。作業内容情報は、例えば、作業対象部Tである穴あけ対象の領域T1への穴あけ、作業対象部TであるボルトT2のボルト締め、などを表す情報である。
【0049】
記憶部28は、通信部26を介して外部の情報処理装置などから受信した管理情報を記憶すればよい。
【0050】
記憶部28は、例えば、RAM(Random Access Memory)、フラッシュメモリ等の半導体メモリ素子、ハードディスク、光ディスク等である。なお、記憶部28は、ロボット機構部11または作業支援装置10の外部に設けられた記憶装置であってもよい。
【0051】
UI部32は、ユーザによる操作入力を受付ける機能、および、各種の情報を出力する機能を備える。例えば、UI部32は、ディスプレイ32Aと、入力部32Bと、を含む。
【0052】
ディスプレイ32Aは、各種の情報を表示する。ディスプレイ32Aは、例えば、公知の有機EL(Electro-Luminescence)ディスプレイ、LCD(Liquid Crystal Displayなどである。入力部32Bは、ユーザからの各種指示を受付ける。入力部32Bは、例えば、キーボード、マウス、タッチパネル、マイクロフォン、などである。
【0053】
制御部22は、専用または汎用コンピュータである。
【0054】
記憶部28および制御部22の少なくとも一方を、ネットワークを介して通信部26に接続されたサーバ装置などの情報処理装置に搭載した構成としてもよい。また、制御部22に含まれる後述する機能部の少なくとも1つを、ネットワークおよび通信部26を介して制御部22に接続されたサーバ装置などの情報処理装置に搭載してもよい。
【0055】
制御部22は、情報処理を実行する。制御部22は、受付部22Aと、第1判断部22Bと、レーザ制御部22Cと、第2判断部22Dと、取得部22Eと、導出部22Fと、駆動制御部22Gと、を備える。
【0056】
受付部22A、第1判断部22B、レーザ制御部22C、第2判断部22D、取得部22E、導出部22F、および駆動制御部22Gの少なくとも1つは、例えば、1または複数のプロセッサにより実現される。例えば、上記各部は、CPU(Central Processing Unit)などのプロセッサにプログラムを実行させること、すなわちソフトウェアにより実現してもよい。上記各部は、専用のIC(Integrated Circuit)などのプロセッサ、すなわちハードウェアにより実現してもよい。上記各部は、ソフトウェアおよびハードウェアを併用して実現してもよい。複数のプロセッサを用いる場合、各プロセッサは、各部のうち1つを実現してもよいし、各部のうち2以上を実現してもよい。
【0057】
受付部22Aは、UI部32から作業IDを受付ける。ユーザは、作業開始時にUI部32を操作することで、管理情報に含まれる所望の作業IDを選択する。受付部22Aは、ユーザによって選択された作業IDを受付ける。
【0058】
第1判断部22Bは、レーザ照射可能か否かを判断する。レーザ照射可能か否を判断するとは、レーザ光Lを作業対象部Tに照射可能であるか否かを判断することを意味する。例えば、第1判断部22Bは、受付部22Aで受付けた作業IDに対応する設計情報に含まれる、レーザ光Lによる反射の有無を表す情報を用いて、レーザ照射可能か否かを判断する。詳細には、第1判断部22Bは、作業対象部情報に含まれるレーザ光Lによる反射の有無を表す情報が、反射有を示す場合、レーザ照射不可能と判断する。また、第1判断部22Bは、作業対象部情報に含まれるレーザ光Lによる反射の有無を表す情報が、反射無を示す場合、レーザ照射可能と判断する。
【0059】
なお、第1判断部22Bは、作業対象部Tの素材に基づいてレーザ照射可能か否かを判断してもよい。この場合、管理情報は、作業対象物情報として、作業対象部Tの素材を表す素材情報を更に登録した構成とすればよい。第1判断部22Bは、作業IDに対応する素材情報が、レーザ光Lにより反射する素材であるか否かを判別することで、レーザ照射可能か否を判断してもよい。
【0060】
また、第1判断部22Bは、レーザ照射器20Aの故障を判別した場合、レーザ照射不可能と判断してもよい。また、第1判断部22Bは、レーザ照射器20Aの正常動作を判別した場合、レーザ照射可能と判断してもよい。
【0061】
レーザ制御部22Cは、レーザ照射可能と判断された場合、作業対象部Tにレーザ光Lを照射するようにレーザ照射部20を制御する。例えば、レーザ制御部22Cは、管理情報における作業IDに対応する設計情報に含まれる作業位置情報を特定する。そして、レーザ制御部22Cは、特定した作業位置情報、およびレーザ照射開始を表す情報を、通信部26を介してレーザ照射部20へ出力する。レーザ照射部20の制御部20Cは、ロボット機構部11から通信部20Bを介してレーザ照射開始を表す情報を受付けると、受付けた作業位置情報によって表される作業位置へレーザ光Lを照射するようにレーザ照射器20Aを制御する。このため、レーザ制御部22Cの制御によって、レーザ照射部20のレーザ照射器20Aから作業対象部Tの作業位置へレーザ光Lが照射される。
【0062】
具体的には、図2に示すように、レーザ照射部20から作業対象部Tの位置である作業位置へレーザ光L1が照射される。レーザ光L1は、作業対象部Tに照射されるレーザ光Lの一例である。レーザ光L1が照射されることで、作業対象50の作業位置にはレーザ光L1によるスポット領域P1が形成される。スポット領域P1は、スポット領域Pの一例である。スポット領域Pは、作業対象50におけるレーザ光Lの照射された領域である。
【0063】
図3に戻り説明を続ける。
【0064】
第2判断部22Dは、第1判断部22Bによってレーザ照射不可能と判断された場合、テンプレートマッチング処理が可能か否かを判断する。テンプレートマッチング処理とは、撮影画像からテンプレート画像を探索することで、撮影画像に含まれる作業対象部Tを特定する処理を表す。
【0065】
第2判断部22Dは、例えば、撮影部12から撮影画像を取得する。そして、第2判断部22Dは、取得した撮影画像に作業対象部Tが存在するか否かを判別することで、テンプレートマッチング処理が可能であるか否かを判断する。詳細には、第2判断部22Dは、受付部22Aで受付けた作業IDに対応する設計情報に含まれる作業対象部情報によって特定される作業対象部Tが撮影画像に存在するか否かを、公知の画像処理などにより判別すればよい。
【0066】
取得部22Eは、作業空間2における作業対象部Tおよびツール部18Aの撮影画像を取得する。例えば、制御部22は、駆動部30を駆動することで、選択を受付けた作業IDに対応する作業位置情報によって表される作業位置の近傍に、アーム機構18のツール部18Aを移動させる。制御部22は、作業位置情報および距離センサ14の検出結果に基づいて駆動部30を制御することで、撮影部12で作業対象部Tを撮影可能な位置にアーム機構18を移動させる。取得部22Eは、作業対象部Tを撮影可能な位置にアーム機構18が移動された状態で撮影部12によって撮影された撮影画像を取得する。
【0067】
図4は、撮影画像40の一例の模式図である。撮影画像40は、第1判断部22Bによってレーザ照射可能と判断され、レーザ制御部22Cによって作業対象部Tにレーザ光Lが照射された状態で撮影された撮影画像の一例である。
【0068】
図4に示すように、撮影画像40には、ツール部18Aおよびスポット領域P1が含まれる。図4には、ツール部18Aとして電動ドリル18A1が撮影された状態を示す。スポット領域P1は、作業対象部Tにレーザ光L1が照射されることで作業対象50に形成されたレーザ光L1のスポット領域Pである。
【0069】
導出部22Fは、撮影画像に基づいて、作業対象部Tとツール部18Aとの相対位置を導出する。
【0070】
取得部22Eによって撮影画像40が取得された場合を想定する。すなわち、第1判断部22Bによってレーザ照射可能と判断され、レーザ制御部22Cによって作業対象部Tにレーザ光Lが照射された状態で撮影された撮影画像を取得した場合を想定する。この場合、導出部22Fは、撮影画像40に含まれるレーザ光L1のスポット領域P1を、作業対象部Tとして特定する。そして、導出部22Fは、特定したスポット領域P1とツール部18Aとの相対位置を導出する。
【0071】
詳細には、導出部22Fは、撮影画像40におけるスポット領域P1の位置(Xr、Yr)を特定する。また、導出部22Fは、撮影画像40におけるツール部18Aの位置(Xt、Yt)を特定する。導出部22Fは、撮影画像40におけるツール部18Aの先端の位置をツール部18Aの位置として特定する。そして、導出部22Fは、これらの位置(Xr、Yr)および位置(Xt、Yt)を特定することで、スポット領域P1とツール部18Aとの相対位置を特定する。
【0072】
なお、レーザ制御部22Cは、作業対象部Tがレーザ照射不可能と判断された場合、作業対象部Tから第1方向に第1距離離間した離間位置にレーザ光Lを照射するようにレーザ照射部20を制御してもよい。
【0073】
図2を用いて説明する。この場合、レーザ制御部22Cは、作業対象部Tの位置であるスポット領域P1から第1方向Z1に第1距離E離間した位置に、レーザ光L2を照射するようにレーザ照射部20を制御する。詳細には、レーザ制御部22Cは、管理情報における受付部22Aで受付けた作業IDに対応する作業位置情報を特定する。そして、レーザ制御部22Cは、特定した作業位置情報によって表される作業位置から、第1方向Z1に第1距離E離間した位置を表す情報を、新たな作業位置情報としてレーザ照射部20へ送信すればよい。レーザ照射部20は、受付けた作業位置情報に基づいて、作業対象部Tの位置であるスポット領域P1から第1方向Z1に第1距離E離間した位置に、レーザ光L2を照射する。このため、作業対象50には、スポット領域P1から第1方向Z1に第1距離E離間した位置に、レーザ光L2によるスポット領域P2が形成される。
【0074】
この場合、導出部22Fは、撮影画像40に含まれるレーザ光L2のスポット領域P2から該第1方向Z1の反対方向に第1距離E離間した領域を、作業対象部Tとして特定すればよい。詳細には、導出部22Fは、撮影画像40に含まれるレーザ光L2のスポット領域P2から該第1方向Z1の反対方向に第1距離E離間した領域を、作業対象部Tの位置として特定する。そして、導出部22Fは、特定した作業対象部Tとツール部18Aとの相対位置を、上記と同様にして特定すればよい。すなわち、導出部22Fは、作業対象部Tの位置(Xr,Yr)と、アーム機構18の位置(Xt,Yt)と、を導出すればよい。
【0075】
図3に戻り説明を続ける。一方、第1判断部22Bによってレーザ照射不可能と判断され、且つ、第2判断部22Dによってテンプレートマッチング処理可能と判断された場合を想定する。
【0076】
例えば、以下の場合、レーザ照射不可能と判断され、且つ、テンプレートマッチング処理可能と判断される。
【0077】
図5は、作業支援装置10の他の一例の模式図である。図5に示す作業支援装置10は、ツール部18Aとして、電動ドリル18A1に替えてインパクトドライバ18A2を備える。また、図5には、作業対象部Tが、穴あけ対象の領域T1に替えてボルトT2である形態を示す。ボルトT2は、例えば、作業対象50Aと作業対象50Bの各々から突出して設けられた部材50Cを連結するボルトである。作業対象50A、作業対象50B、および部材50Cは、作業対象50の一例である。
【0078】
なお、図5に示す作業支援装置10は、作業対象50として作業対象50A、作業対象50B、および部材50Cを更に備え、電動ドリル18A1に替えてインパクトドライバ18A2、穴あけ対象の領域T1に替えてボルトT2を用いる点以外は、図2に示す作業支援装置10と同様の構成である。
【0079】
図5に示すように、作業対象部TがボルトT2である場合には、反射によってボルトT2が撮影されない場合がある。このため、ボルトT2に対する作業に関する設計情報には、作業対象部情報として、レーザ光Lによる反射有を示す情報が予め登録されている。このため、この場合、第1判断部22Bは、レーザ照射不可能と判断する。また、第2判断部22Dは、取得した撮影画像に作業対象部TであるボルトT2が存在することを判別する処理などにより、テンプレートマッチング処理が可能であると判断する。
【0080】
この場合、取得部22Eによって取得される撮影画像には、ボルトT2およびインパクトドライバ18A2が、作業対象部Tおよびツール部18Aとして含まれることとなる。
【0081】
図6は、撮影画像42の一例を示す模式図である。撮影画像42は、第1判断部22Bによってレーザ照射不可能と判断され、第2判断部22Dによってテンプレートマッチング処理可能と判断されたときに、撮影部12によって撮影される撮影画像の一例である。
【0082】
図6に示すように、撮影画像42には、ツール部18Aと作業対象部Tが含まれる。図6には、ツール部18Aとしてインパクトドライバ18A2が撮影され、作業対象部TとしてボルトT2が撮影された状態を示す。
【0083】
この場合、導出部22Fは、撮影画像42に含まれるテンプレート画像に一致または類似する領域を、作業対象部Tとして特定する。
【0084】
図7は、テンプレート画像44の一例を示す模式図である。テンプレート画像44は、例えば、作業IDに対応する設計情報に、作業対象部Tの形状を表す情報として予め登録されている。導出部22Fは、撮影画像40からテンプレート画像44を探索することで、テンプレート画像44に一致または類似する領域を、ボルトT2として特定する。詳細には、導出部22Fは、撮影画像40における、テンプレート画像44の特徴量に一致または類似する領域を、ボルトT2として特定する。特徴量には、任意のものを用いればよい。
【0085】
そして、導出部22Fは、特定した作業対象部Tとツール部18Aとの相対位置を、上記と同様にして導出すればよい。すなわち、導出部22Fは、撮影画像42における、ボルトT2の位置(Xr,Yr)およびインパクトドライバ18A2の位置(Xt,Yt)を導出する。
【0086】
図3に戻り説明を続ける。駆動制御部22Gは、導出部22Fで導出された作業対象部Tとツール部18Aとの相対位置に基づいて、作業対象部Tの位置とツール部18Aの位置とが一致するように、アーム機構18の駆動部30を制御する。
【0087】
詳細には、駆動制御部22Gは、ツール部18Aの位置が作業対象部Tの位置に一致するように駆動部30を制御することで、アーム機構18のジョイント部19の各々の位置を制御する。駆動制御部22Gは、時刻の各々に対するジョイント部19の各々の目標位置を導出し、各時刻にジョイント部19の各々が導出した目標位置に位置するように駆動部30を制御する。これらの制御により、駆動制御部22Gは、作業対象部Tの位置とツール部18Aの位置とが一致するように、アーム機構18の駆動部30を制御する。
【0088】
図4を用いて説明する。例えば、導出部22Fによって、作業対象部Tの位置(Xr,Yr)と、ツール部18Aの位置(Xt,Yt)と、が相対位置として導出された場合を想定する。
【0089】
この場合、駆動制御部22Gは、作業対象部Tの位置(Xr,Yr)が、ツール部18Aの位置(Xt,Yt)に一致するように、アーム機構18の駆動部30を制御する。このため、駆動制御部22Gの駆動制御によって、ツール部18Aの先端の位置が作業対象部Tの位置へと移動する。
【0090】
そして、ツール部18Aの先端の位置が作業対象部Tの位置へと到達すると、駆動制御部22Gは、ツール部18Aを作業対象部Tへと近づける。駆動制御部22Gは、距離センサ14による距離の検出結果を用いて、ツール部18Aと作業対象部Tへ近づければよい。そして、駆動制御部22Gは、受付部22Aで受付けた作業IDに対応する作業内容情報によって表される作業内容を実行するようにツール部18Aを制御すればよい。例えば、作業内容が穴あけ対象の領域T1への穴あけである場合を想定する。この場合、駆動制御部22Gは、作業対象50の穴あけ対象の領域T1へ、作業対象50に対して垂直に穴開け処理を実行するように、電動ドリル18A1を駆動制御すればよい。また、作業内容がボルトT2のボルト締めである場合を想定する。この場合、駆動制御部22Gは、ボルトT2のボルト締め処理を実行するようにボルトT2を駆動制御すればよい。
【0091】
なお、駆動制御部22Gは、作業対象部Tの位置(Xr,Yr)がツール部18Aの位置(Xt,Yt)に一致するようにアーム機構18の駆動部30を制御する際に、以下の速度制御処理を更に実行することが好ましい。
【0092】
図4を用いて説明する。駆動制御部22Gは、ツール部18Aが位置(Xt,Yt)から作業対象部Tの位置(Xr,Yr)に向かって所定速度で移動するように、駆動部30に対して速度制御処理を実行することが好ましい。
【0093】
具体的には、駆動制御部22Gは、作業対象部Tとツール部18Aとの距離に応じた速度で、ツール部18Aの位置を作業対象部Tの位置へ移動させるように駆動部30を制御する。
【0094】
詳細には、駆動制御部22Gは、作業対象部Tとツール部18Aとの距離が遠いほど速くかつ該距離が近いほど遅い速度で、ツール部18Aの位置を作業対象部Tの位置へ移動させるように駆動部30を制御する。
【0095】
すなわち、駆動制御部22Gは、下記式(1)および式(2)を満たす速度(Vx,Vy)で移動するように駆動部30を制御する。
【0096】
【数1】
【0097】
式(1)中、Vxは、撮影画像におけるX軸方向の移動速度である。式(2)中、Vyは、撮影画像におけるY軸方向の移動速度である。Kは、制御ゲインであり、任意の値を設定してよい。
【0098】
駆動制御部22Gが上記関係を満たす速度で移動するように駆動部30を制御することで、ツール部18Aの作業対象部Tへの移動中に作業台3が揺れた場合であっても、ツール部18Aを作業対象部Tへ向かって高精度に移動させることができる。
【0099】
なお、駆動制御部22Gは、作業対象部Tとツール部18Aとの距離の変動に応じた速度で、ツール部18Aの位置を作業対象部Tの位置へと移動させるように駆動部30を制御してもよい。言い換えると、駆動制御部22Gは、比例および積分による速度制御により、駆動部30を制御してもよい。
【0100】
具体的には、駆動制御部22Gは、下記式(3)および式(4)を満たす速度(Vx,Vy)で移動するように駆動部30を制御してもよい。
【0101】
【数2】
【0102】
式(3)中、Vxは、撮影画像におけるX軸方向の移動速度である。式(4)中、Vyは、撮影画像におけるY軸方向の移動速度である。Kは、制御ゲインであり、任意の値を設定してよい。Kiは、積分ゲインであり、任意の値を設定してよい。
【0103】
作業台3の揺れが非定常に繰り返される場合がある。このような場合、式(1)および式(2)に示す比例制御では、位置合せの誤差をゼロとすることが困難となる場合がある。このため、この場合、駆動制御部22Gが上記式(3)および式(4)に示す関係を満たす速度で移動するように駆動部30を制御することで、ツール部18Aの作業対象部Tへの移動中に作業台3の揺れが非定常に繰り返された場合であっても、ツール部18Aを作業対象部Tへ向かって高精度に移動させることができる。
【0104】
なお、ツール部18Aを作業対象部Tへ移動させる移動制御時、およびツール部18Aによる作業対象部Tに対する作業内容の実行時にも、作業台3の揺れなどによりツール部18Aと作業対象部Tとの位置にずれが生じる場合がある。
【0105】
このため、駆動制御部22Gは、ツール部18Aの作業対象部Tへの移動、および、ツール部18Aによる作業対象部Tに対する作業内容の実行、の双方の駆動制御時に、取得部22Eによって取得された撮影画像に応じた駆動部30の駆動制御を繰り返し実行することが好ましい。すなわち、駆動制御部22Gは、撮影画像から導出された上記相対位置に基づいたツール部18Aの位置と作業対象部Tの位置とが一致するように駆動部30を制御する駆動制御を、ツール部18Aの移動制御時およびツール部18Aによる作業内容の実行時の双方の期間、繰り返し実行することが好ましい。
【0106】
これらの処理により、駆動制御部22Gは、作業台3が揺れた場合であっても、ツール部18Aを作業対象部Tへ向かって高精度に移動させ、且つ、ツール部18Aの位置が作業対象部Tの位置へ一致した状態が維持されるように、駆動部30を駆動制御することができる。
【0107】
なお、駆動制御部22Gの制御によって、ツール部18Aが作業対象部Tに対して作業内容の作業を実行しているときに、作業台3が揺れる場合がある。この揺れによって、作業対象部Tからツール部18Aに力が加わる場合がある。
【0108】
図8を用いて説明する。図8は、インパクトドライバ18A2によるボルトT2のボルト締め作業実行中の一例を示す模式図である。作業台3の揺れなどによりインパクトドライバ18A2のボルトT2に対する位置がずれることで、ボルトT2からインパクトドライバ18A2に力が加わる場合がある。上述したように、力センサ16は、作業対象部Tなどの外部からツール部18Aに加わる力を検出する。例えば、力センサ16が、ボルトT2からインパクトドライバ18A2に加わる力として、第1の力Fbを検出した場合を想定する。
【0109】
この場合、駆動制御部22Gは、力センサ16で検出された第1の力Fbを相殺するように駆動部30を制御することが好ましい。具体的には、駆動制御部22Gは、インパクトドライバ18A2からボルトT2へ、検出された第1の力Fbと同じ強度および同じ方向の力である力Ftが加わるように、アーム機構18の駆動部30を制御する。
【0110】
このため、ボルトT2からインパクトドライバ18A2に加わる第1の力Fbが相殺される。すなわち、この場合、駆動制御部22Gは、作業台3の揺れを吸収するように、インパクトドライバ18A2であるアーム機構18を駆動させることができる。
【0111】
なお、ジョイント部19として、ダイレクトドライブモーターなどのバックドライバビリティの高い物を使用することで、作業台3揺れに対してなめらかにアーム機構18の姿勢が変化するように調整してもよい。
【0112】
なお、駆動制御部22Gは、作業台3の揺れ量に応じて、更に駆動部30を制御してもよい。
【0113】
図9Aおよび図9Bは、作業台3の揺れ量に応じた制御の一例の説明図である。
【0114】
例えば、作業対象部Tに対する作業台3の位置が、図9Aに示す位置から図9Bに示す位置にずれた場面を想定する。
【0115】
駆動制御部22Gは、作業台3の揺れ量に基づいて、作業対象部Tに対する作業台3の移動量を更に導出する。駆動制御部22Gは、揺れ量センサ24で検出された揺れ量を時間積分することで、時刻の各々における作業台3の揺れ方向および振幅を、作業台3の移動量として導出する。そして、駆動制御部22Gは、導出した移動量を相殺するように、ジョイント部19の位置を更に制御する。
【0116】
詳細には、ツール部18Aによる作業対象部Tに対する作業時には、ツール部18Aと作業対象部Tとの位置合せの誤差がゼロとなることが好ましい。このため、駆動制御部22Gは、作業台3の移動量として導出した作業台3の揺れ方向および振幅を、ツール部18Aの先端に対するロボット機構部11の目標移動量として用いる。そして、駆動制御部22Gは、この目標移動量および逆運動学を用いることで、ロボット機構部11のジョイント部19の各々の目標位置を導出する。
【0117】
駆動制御部22Gは、ツール部18Aを作業対象部Tの位置へ一致するように移動させるとき、およびツール部18Aによる作業対象部Tに対する作業中、これらの移動および作業の駆動処理のために算出したジョイント部19の目標位置に、上記導出した目標位置を重畳する。これらの処理により、駆動制御部22Gは、作業台3の揺れによるツール部18Aと作業対象部Tとの位置合せ誤差の影響を、更に低減することができる。
【0118】
次に、本実施形態の作業支援装置10が実行する情報処理の一例を説明する。
【0119】
図10は、本実施形態の作業支援装置10が実行する情報処理の一例を示すフローチャートである。
【0120】
受付部22Aが、UI部32から作業IDを受付ける(ステップS100)。ユーザは、作業開始時にUI部32を操作することで、管理情報に含まれる所望の作業IDを選択する。受付部22Aは、ユーザによって選択された作業IDを受付ける。
【0121】
第1判断部22Bは、レーザ照射可能か否かを判断する(ステップS102)。第1判断部22Bは、受付部22Aで受付けた作業IDに対応する設計情報に含まれる、レーザ光Lによる反射の有無を表す情報を用いて、レーザ照射可能か否かを判断する。
【0122】
レーザ照射可能と判断すると(ステップS102:Yes)、ステップS104へ進む。ステップS104では、レーザ制御部22Cが、作業対象部Tにレーザ光Lを照射するようにレーザ照射部20を制御する(ステップS104)。レーザ制御部22Cは、管理情報における作業IDに対応する設計情報に含まれる作業位置情報を特定する。そして、レーザ制御部22Cは、特定した作業位置情報によって表される作業位置へレーザ光Lを照射するようにレーザ照射器20Aを制御する。このため、レーザ制御部22Cの制御によって、レーザ照射部20のレーザ照射器20Aから作業対象部Tの作業位置へレーザ光Lが照射される。
【0123】
次に、取得部22Eが、作業空間2における作業対象部Tおよびツール部18Aの撮影画像を取得する(ステップS106)。例えば、取得部22Eは、図4に示す撮影画像40を取得する。
【0124】
次に、導出部22Fは、撮影画像40に基づいて、作業対象部Tとツール部18Aとの相対位置を導出する(ステップS108)。例えば、導出部22Fは、撮影画像40におけるスポット領域P1の位置(Xr、Yr)および電動ドリル18A1の位置(Xt、Yt)を、相対位置として導出する。そして、後述するステップS118へ進む。
【0125】
一方、ステップS102でレーザ照射不可能と判断すると(ステップS102:No)、ステップS110へ進む。
【0126】
ステップS110では、第2判断部22Dが、テンプレートマッチング処理可能か否かを判断する(ステップS110)。第2判断部22Dは、例えば、撮影画像に作業対象部Tが存在するか否かを判別することで、テンプレートマッチング処理可能であるか否かを判断する。
【0127】
テンプレートマッチング処理可能と判断すると(ステップS110:Yes)、ステップS112へ進む。
【0128】
ステップS112では、取得部22Eが、作業空間2における作業対象部Tおよびツール部18Aの撮影画像を取得する(ステップS112)。例えば、取得部22Eは、図6に示す撮影画像42を取得する。
【0129】
次に、導出部22Fは、撮影画像42に基づいて、作業対象部Tとツール部18Aとの相対位置を導出する(ステップS114)。例えば、導出部22Fは、撮影画像42に含まれるテンプレート画像44に一致または類似する領域を、ボルトT2として特定する。そして、導出部22Fは、特定したボルトT2の位置(Xr,Yr)およびインパクトドライバ18A2の位置(Xt,Yt)を、相対位置として導出する。そして、ステップS118へ進む。
【0130】
ステップS118では、駆動制御部22Gが、ステップS108またはステップS114で導出された作業対象部Tとツール部18Aとの相対位置に基づいて、作業対象部Tの位置とツール部18Aの位置とが一致するように、アーム機構18の駆動部30を制御する(ステップS118)。
【0131】
駆動制御部22Gは、ツール部18Aの位置が作業対象部Tの位置である作業位置に到達したか否かを判断する(ステップS120)。ステップS120で否定判断すると(ステップS120:No)、上記ステップS106またはステップS112へ戻る。詳細には、導出部22Fが直前の処理で撮影画像40から相対位置を導出した場合には、ステップS106へ戻る。一方、導出部22F直前の処理で撮影画像42から相対位置を導出した場合には、ステップS112へ戻ればよい。
【0132】
ステップS120で肯定判断すると(ステップS120:Yes)、ステップS122へ進む。
【0133】
ステップS122では、駆動制御部22Gは、ツール部18Aを作業対象部Tへと近づけ、ステップS100で受付けた作業IDに対応する作業内容情報によって表される作業内容を実行するようにツール部18Aを制御する(ステップS122)。ステップS122の処理によって、穴あけ対象の領域T1への電動ドリル18A1による穴開け処理、ボルトT2へのインパクトドライバ18A2によるボルト締め処理、などの作業が実行される。
【0134】
制御部22は、ステップS122の作業が終了したと判断するまで(ステップS122:Yes)否定判断(ステップS124:No)を繰り返す。ステップ122の作業が終了したと判断すると(ステップS124:Yes)本ルーチンを終了する。
【0135】
なお、ステップS124で否定判断した場合(ステップS124:No)、上記ステップS106またはステップS112へ戻ってもよい。詳細には、導出部22Fが直前の処理で撮影画像40から相対位置を導出した場合には、ステップS106へ戻る。一方、導出部22F直前の処理で撮影画像42から相対位置を導出した場合には、ステップS112へ戻ればよい。
【0136】
また、上述したように、ステップS118~ステップS120の処理において、駆動制御部22Gは、ツール部18Aが位置(Xt,Yt)から作業対象部Tの位置(Xr,Yr)に向かって所定速度で移動するように、駆動部30に対して速度制御処理を実行することが好ましい。所定速度は、上述したように、例えば、式(1)および式(2)、または、式(3)および式(4)を満たす速度である。
【0137】
また、上述したように、ステップS122の作業実行中、駆動制御部22Gは、力センサ16で検出された第1の力Fbを相殺するように駆動部30を更に制御することが好ましい。
【0138】
一方、上記ステップS110で否定判断すると、ステップS116へ進む。ステップS116では、ユーザが手動操作によりアーム機構18の位置および姿勢を調整して作業を実行する手動処理を実行する(ステップS116)。そして、本ルーチンを終了する。
【0139】
以上説明したように、本実施形態の作業支援装置10は、アーム機構18と、第2判断部22Dと、取得部22Eと、導出部22Fと、駆動制御部22Gと、を備える。アーム機構18は、作業空間2内に配置された作業台3に搭載され、端部にツール部18Aの設けられた機構である。取得部22Eは、作業空間2における作業対象部Tおよびツール部18Aの撮影画像を取得する。導出部22Fは、撮影画像に基づいて、作業対象部Tとツール部18Aとの相対位置を導出する。駆動制御部22Gは、相対位置に基づいて、作業対象部Tの位置とツール部18Aの位置とが一致するように、アーム機構18の駆動部30を制御する。
【0140】
ここで、従来技術では、作業空間2の3Dモデルから作業対象部Tの位置を推定し、推定した位置に対して作業を行っていた。また、従来技術では、壁面と工具との角度の検出結果を用いて工具の傾きを調整することで、壁面の作業対象部Tに対する作業を支援していた。
【0141】
しかし、作業空間2内に配置された作業台3は作業空間2内で揺れる場合がある。このため、作業空間の3Dモデルなどによって事前に推定された作業位置が、作業台3の揺れなどによって実際の作業位置から外れる場合があった。また、作業対象50とツール部18Aとの角度を検出しても、作業対象50における作業対象部Tの位置とツール部18Aの位置とが作業台3の揺れによってずれる場合があった。このため、従来技術では、作業台3の揺れ等により正確な位置合せが困難となり作業精度が低下する場合があった。
【0142】
一方、本実施形態の作業支援装置10は、作業対象部Tとツール部18Aとを撮影した撮影画像から相対位置を導出し、相対位置に基づいて、作業対象部Tの位置とツール部18Aの位置とが一致するように駆動部30を制御する。
【0143】
このため、本実施形態の作業支援装置10は、作業台3に揺れが発生した場合であっても、ツール部18Aと作業対象部T都の正確な位置合せを行うことができる。
【0144】
従って、本実施形態の作業支援装置10は、作業精度の向上を図ることができる。
【0145】
次に、上記実施形態の作業支援装置10における制御部22および制御部20Cの、ハードウェア構成の一例を説明する。
【0146】
図11は、制御部22およびレーザ制御部22Cの一例のハードウェア構成図である。
【0147】
上記実施形態の制御部22およびレーザ制御部22Cは、CPU86などの制御装置と、ROM(Read Only Memory)88やRAM(Random Access Memory)90やHDD(ハードディスクドライブ)92などの記憶装置と、各種機器とのインターフェースであるI/F部82と、各部を接続するバス96とを備えており、通常のコンピュータを利用したハードウェア構成となっている。
【0148】
上記実施形態の制御部22およびレーザ制御部22Cでは、CPU86が、ROM88からプログラムをRAM90上に読み出して実行することにより、上記各部がコンピュータ上で実現される。
【0149】
なお、上記実施形態の制御部22およびレーザ制御部22Cで実行される上記各処理を実行するためのプログラムは、HDD92に記憶されていてもよい。また、上記実施形態の制御部22およびレーザ制御部22C主制御部30で実行される上記各処理を実行するためのプログラムは、ROM88に予め組み込まれて提供されていてもよい。
【0150】
また、上記実施形態の制御部22およびレーザ制御部22Cで実行される上記処理を実行するためのプログラムは、インストール可能な形式または実行可能な形式のファイルでCD-ROM、CD-R、メモリカード、DVD(Digital Versatile Disk)、フレキシブルディスク(FD)等のコンピュータで読み取り可能な記憶媒体に記憶されてコンピュータプログラムプロダクトとして提供されるようにしてもよい。また、上記実施形態の制御部22およびレーザ制御部22Cで実行される上記処理を実行するためのプログラムを、インターネットなどのネットワークに接続されたコンピュータ上に格納し、ネットワーク経由でダウンロードさせることにより提供するようにしてもよい。また、上記実施形態の制御部22およびレーザ制御部22Cで実行される上記処理を実行するためのプログラムを、インターネットなどのネットワーク経由で提供または配布するようにしてもよい。
【0151】
なお、上記には、本発明の実施形態を説明したが、上記実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。この新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。この実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0152】
10 作業支援装置
12 撮影部
18 アーム機構
19 ジョイント部
20 レーザ照射部
22B 第1判断部
22C レーザ制御部
22D 第2判断部
22E 取得部
22F 導出部
22G 駆動制御部
30 駆動部
図1
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図5
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図9A
図9B
図10
図11