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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022181766
(43)【公開日】2022-12-08
(54)【発明の名称】エレベータ制御装置
(51)【国際特許分類】
   B66B 1/06 20060101AFI20221201BHJP
   B66B 5/02 20060101ALI20221201BHJP
【FI】
B66B1/06 L
B66B5/02 S
【審査請求】有
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021088921
(22)【出願日】2021-05-27
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2022-03-08
(71)【出願人】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100108431
【弁理士】
【氏名又は名称】村上 加奈子
(74)【代理人】
【識別番号】100153176
【弁理士】
【氏名又は名称】松井 重明
(74)【代理人】
【識別番号】100109612
【弁理士】
【氏名又は名称】倉谷 泰孝
(72)【発明者】
【氏名】山田 孝治
【テーマコード(参考)】
3F304
3F502
【Fターム(参考)】
3F304CA11
3F304EA05
3F304EA22
3F304EB01
3F502HB09
3F502HB10
3F502JA99
3F502KA21
3F502KA34
(57)【要約】

【課題】 昇降路内を昇降するかごの振動又は周辺の音から昇降路内の異常発生位置を特定した場合に、乗客に不安を与えることなく、昇降路の少なくとも一部の区間においてかごの運行を継続できるとともに、機器故障の可能性を低減できるエレベータ制御装置を提供する。
【解決手段】 昇降路H内を昇降するかご21に設置されたセンサ22の測定値に基づいて異常の有無を検知し、異常が検知された場合に測定値が測定されたときのかご21の昇降位置に基づいて昇降路H内の異常発生位置Mを特定する異常位置特定手段と、異常位置特定手段により特定された異常発生位置Mよりも上方の区間R1及び下方の区間R2のいずれか一方の区間内でかごを運行させる運行制御手段とを備えたエレベータ制御装置を提供する。
【選択図】 図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
昇降路内を昇降するかごに設置されたセンサの測定値に基づいて異常の有無を検知し、異常が検知された場合に当該測定値が測定されたときの前記かごの昇降位置に基づいて前記昇降路内の異常発生位置を特定する異常位置特定手段と、
前記異常位置特定手段により特定された前記異常発生位置よりも上方の区間及び下方の区間のいずれか一方の区間内で前記かごを運行させる運行制御手段と
を備えたエレベータ制御装置。
【請求項2】
前記かごを乗降した利用者の乗車階及び行先階の履歴を記憶する記憶手段を更に備え、
前記運行制御手段は、前記記憶手段に記憶された前記乗車階及び行先階の履歴を参照して、前記上方の区間及び前記下方の区間のそれぞれにおける前記かごの運行に対する需要を予測し、予測される需要がより高い方の区間内で前記かごを運行させる請求項1記載のエレベータ制御装置。
【請求項3】
前記運行制御手段は、前記上方の区間及び前記下方の区間のうち、サービス階数がより多い方の区間内で前記かごを運行させる請求項1記載のエレベータ制御装置。
【請求項4】
前記運行制御手段は、前記上方の区間及び前記下方の区間のうち、その区間の最下階乗場から最上階乗場までの床面垂直距離がより長い方の区間内で前記かごを運行させる請求項1記載のエレベータ制御装置。
【請求項5】
かごの呼びを受け付ける呼び受付手段を更に備え、
前記運行制御手段は、前記一方の区間内の移動に係るかごの呼びが前記呼び受付手段により受け付けられていない状態が一定時間以上続き、且つ、前記上方の区間及び前記下方の区間のうち前記一方の区間ではない他方の区間内の移動に係るかごの呼びが前記呼び受付手段により受け付けられている場合に、前記かごを運行させる区間を前記一方の区間から前記他方の区間へ変更する請求項1から4のいずれか一項に記載のエレベータ制御装置。
【請求項6】
複数の乗場それぞれにおける利用者のかご待ち時間を計測する待ち時間計測手段を更に備え、
前記運行制御手段は、前記上方の区間及び前記下方の区間のうち前記一方の区間ではない他方の区間内の乗場において、前記待ち時間計測手段により計測されたかご待ち時間が予め定められた基準待ち時間を超えた場合に、前記かごを運行させる区間を前記一方の区間から前記他方の区間へ変更する請求項1から5のいずれか一項に記載のエレベータ制御装置。
【請求項7】
前記運行制御手段は、前記かごを運行させる区間を変更する際に、利用者が乗車していない状態の前記かごを前記一方の区間内から前記他方の区間内へ移動させる請求項5又は6記載のエレベータ制御装置。
【請求項8】
前記異常位置特定手段は、前記かごが前記異常発生位置を通る際に異常の有無を再検知するものであり、
前記運行制御手段は、前記異常発生位置において異常が再検知されない場合、前記かごを運行させる区間を、前記異常位置特定手段により異常が検知される前に前記かごを運行させていた区間に変更する請求項1から7のいずれか一項に記載のエレベータ制御装置。
【請求項9】
第1の昇降路内を昇降する第1のかごに設置された第1のセンサの測定値に基づいて異常の有無を検知し、異常が検知された場合に当該測定値が測定されたときの前記第1のかごの昇降位置に基づいて前記第1の昇降路内の異常発生位置である第1の異常発生位置を特定する第1の異常位置特定手段と、
第2の昇降路内を昇降する第2のかごに設置された第2のセンサの測定値に基づいて異常の有無を検知し、異常が検知された場合に当該測定値が測定されたときの前記第2のかごの昇降位置に基づいて前記第2の昇降路内の異常発生位置である第2の異常発生位置を特定する第2の異常位置特定手段と、
前記第1のかご及び第2のかごの運行を制御する運行制御手段と、
かごの呼びを受け付ける呼び受付手段とを備え、
前記運行制御手段は、前記第1の異常位置特定手段により特定された前記第1の異常発生位置よりも上方の区間及び下方の区間のいずれか一方の区間内で前記第1のかごを運行させる共に、前記第2の異常位置特定手段により特定された前記第2の異常発生位置よりも上方の区間及び下方の区間のいずれか一方の区間内で前記第2のかごを運行させるものであり、前記第1の異常位置特定手段により前記第1の異常発生位置が特定され、当該第1の異常発生位置よりも上方の区間及び下方の区間のいずれか一方の区間内で前記第1のかごを運行させ、且つ、前記第2のかごを前記一方の区間を含むより広い区間内で運行させている場合において、前記呼び受付手段により前記一方の区間内の移動に係るかごの呼びを受け付けた場合、当該かごの呼びに前記第1のかごを前記第2のかごよりも優先して割り当てるエレベータ制御装置。
【請求項10】
前記運行制御手段は、前記第1の異常位置特定手段により前記第1の異常発生位置が特定され、当該第1の異常発生位置よりも上方の区間及び下方の区間のいずれか一方の区間内で前記第1のかごを運行させ、且つ、前記第2のかごを他方の区間を含むより広い区間内で運行させている場合において、前記呼び受付手段により他方の区間内の移動に係るかごの呼びを受け付けた場合、当該かごの呼びに前記第2のかごを割り当てる請求項9に記載のエレベータ制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、昇降路内を昇降するかごの振動又は周辺の音から昇降路内の異常発生位置を特定し、かごの運行を制御するエレベータ制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、昇降路内を昇降するかごの振動から昇降路内の異常発生位置を特定し、その位置を通るときのかごの振動を低減させ、かごの乗り心地を良くするための技術が知られている。特許文献1には、かごに働く加振力を相殺する力を発生させるためにガイドレールに沿ってかごを案内するローラガイドの回転を制御するエレベータ制御装置が開示されている。特許文献2には、かごが異常発生位置を通るときに、かごを一端停止又は減速走行させることによって、かご内の乗客が感じるかごの振動又は音を低減させるエレベータ制御装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005-145668号公報
【特許文献2】特開平5-330754号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上記従来のエレベータ制御装置では、かごに乗客を乗せて異常発生位置を通る運行が継続されるため、振動又は音の低減度合いが十分でない場合は乗客に不安を与えてしまうという問題が有る。また、異常発生位置を通る運行の継続は機器の故障に繋がる可能性が有る。
【0005】
そこで、本開示の目的は、昇降路内を昇降するかごの振動又は周辺の音から昇降路内の異常発生位置を特定した場合に、乗客に不安を与えることなく、昇降路の少なくとも一部の区間においてかごの運行を継続できるとともに、機器故障の可能性を低減できるエレベータ制御装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示に係るエレベータ制御装置は、昇降路内を昇降するかごに設置されたセンサの測定値に基づいて異常の有無を検知し、異常が検知された場合に測定値が測定されたときのかごの昇降位置に基づいて昇降路内の異常発生位置を特定する異常位置特定手段と、異常位置特定手段により特定された異常発生位置よりも上方の区間及び下方の区間のいずれか一方の区間内でかごを運行させる運行制御手段とを備えたものである。
【発明の効果】
【0007】
本開示に係るエレベータ制御装置によれば、昇降路内を昇降するかごの振動又は周辺の音から昇降路内の異常発生位置を特定した場合に、乗客に不安を与えることなく、昇降路の少なくとも一部の区間においてかごの運行を継続できるとともに、機器故障の可能性を低減できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】第1の実施の形態に係るエレベータシステムの概略構成を示す図である。
図2】乗車階及び行先階の履歴が記録された利用履歴テーブルの例を示す図である。
図3】異常発生位置とかごを運行させる区間との関係を示す図である。
図4】エレベータ制御装置により行われる区間運転開始までの処理の流れを示すフローチャートである。
図5】エレベータ制御装置により行われる区間運転開始後の処理の流れを示すフローチャートである。
図6】エレベータ制御装置のハードウェア構成図である。
図7】第2の実施の形態に係るエレベータシステムの概略構成を示す図である。
図8】異常発生位置とかごを運行させる区間との関係を示す図である。
図9】エレベータ制御装置により行われるかごの呼びに応じたかごの割当て処理の流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[第1の実施の形態]
以下、第1の実施の形態に係るエレベータシステム1について説明する。図1は、第1の実施の形態に係るエレベータシステム1の概略構成を示す図である。図1に示すように、エレベータシステム1は、エレベータ20と、エレベータ20の動きを制御するエレベータ制御装置30を備えている。
【0010】
エレベータ20は、昇降路内を昇降するかご21と、かご21に設置されてかご21の振動又は周辺の音を測定するセンサ22、ロープ(図示せず)を介してかご21を昇降させる巻上機23を備えている。また、エレベータ20は、各階の乗場に乗場操作部25を備えている。この乗場操作部25において、利用者は行先階を指定したかごの呼びを入力することができる。センサ22は、振動を測定する加速度センサ、音を測定するマイクロフォン等であり、かご21の上枠、下枠、かご内の壁面などに設置され、定期的に又は随時測定を行う。
【0011】
エレベータ制御装置30は、異常位置特定部32と、呼び受付部33と、待ち時間計測部34と、運行制御部35と、各種データが記憶された記憶部39を備えている。
【0012】
異常位置特定部32は、センサ22により測定された測定値に基づいて異常の有無を検知し、異常が検知された場合にその測定値が測定されたときのかご21の昇降位置に基づいて昇降路内の異常発生位置Mを特定する。具体的には、異常位置特定部32は、センサ22により測定された測定値を予め定められた第1の基準値V1と比較し、測定値が第1の基準値V1を超える場合は異常であると判断する。一方、測定値が第1の基準値Vを超えない場合は異常ではないと判断する。この第1の基準値V1は、予め定められ、記憶部39に記憶されているものとする。そして、異常位置特定部32は、異常が検知された場合にその測定値が測定されたときのかご21の昇降位置を昇降路内の異常発生位置Mとして特定する。このとき、かご21の昇降位置は、昇降路内におけるかご21の運行を制御する運行制御部35から取得してもよいし、他の従来の方法により取得してもよい。
【0013】
異常位置特定部32は、測定値が第1の基準値V1を超える場合は、測定値を予め定められた第2の基準値V2(>V1)とさらに比較する。そして、測定値が第2の基準値V2を超える場合は、かご21による運行を継続できない状態であると判断する。この第2の基準値V2は、予め定められ、記憶部39に記憶されているものとする。
【0014】
呼び受付部33は、乗場操作部25において入力された利用者からのかごの呼びを受け付ける。呼び受付部33は、各かごの呼びに係る乗車階及び行先階の情報を生成し、記憶部39に記憶された呼び登録テーブルT1にその情報を登録し管理する。このとき、行先階の情報としては、乗場操作部25において利用者により入力された行先階の情報が用いられる。乗車階の情報としては、そのかごの呼びが入力された乗場操作部25が設けられた乗場階の情報を用いるようにしてもよいし、乗場操作部25において乗車階を指定する利用者からの入力があった場合はその情報を用いるようにしてもよい。記憶部39に記憶された呼び登録テーブルT1は、運行制御部35によるかご21の運行制御において随時参照される。
【0015】
待ち時間計測部34は、複数の乗場それぞれにおける利用者のかご待ち時間を計測する。具体的には、待ち時間計測部34は、利用者が乗場操作部25においてかご呼びを入力した時点からの経過時間をかご21が到着するまで計測し続ける。
【0016】
運行制御部35は、エレベータ20の運行に関わる各種情報に基づいて、エレベータ20の各部を制御する。具体的には、運行制御部35は、呼び登録テーブルT1に登録されたかごの呼びを順次参照して、利用者を乗車階から行先階へ搬送するようにかご21を運行させる。このとき、運行制御部35は、巻上機23の動きを制御することによって、かご21を昇降路内で昇降させる。そして、運行制御部35は、利用者を乗車階から行先階へ搬送する度に、その乗車階及び行先階の情報を記憶部39に記憶された利用履歴テーブルT2に記録する。図2には、かご21を乗降した利用者の乗車階及び行先階の履歴が記録された利用履歴テーブルT2の例が示されている。
【0017】
また、運行制御部35は、たとえば図3に示すように、異常位置特定部32により異常発生位置Mが特定された場合、その異常発生位置Mよりも上方の区間R1及び下方の区間R2のいずれか一方の区間内でかご21を運行させる。たとえば昇降路Hの3階と4階の間の位置が異常発生位置Mとして特定された場合、運行制御部35は、たとえば1階から3階までの区間でかご21を運行させたり、4階から最上階までの区間でかご21を運行させたりすることができる。このとき、必要に応じてかご21を運行する区間内の一部の階をサービス対象外としてもよい。
【0018】
このとき、運行制御部35は、異常発生位置Mが終端階付近であるか否かを判断することによって、上方の区間R1と下方の区間R2が両方ともかご21による乗客の搬送が可能であるか、それともいずれか一方のみがかご21による乗客の搬送が可能かを判断する。ここで、終端階付近は、最下階からそのすぐ上の階床までの範囲と、最上階からそのすぐ下の階床までの範囲を意味する。異常発生位置Mが終端階付近である場合、異常発生位置Mが位置する終端側の区間は、その上下方向の長さが短すぎるため、かご21により乗客を搬送することが実質困難であり、異常発生位置Mが位置する終端側とは反対側の区間においてのみかご21による乗客の搬送が可能である。たとえば、異常発生位置Mが建物の最下階である1階と2階の階床との間の位置である場合、その下方には1階分の長さも無く、かご21による乗客の搬送は想定できない。このため、運行制御部35は、上方の区間R1及び下方の区間R2のいずれか一方(異常発生位置Mが位置する終端側とは反対側の区間)においてのみかご21による乗客の搬送が可能と判断された場合には、その乗客の搬送が可能な一方の区間内でかご21を運行させる。
【0019】
運行制御部35は、上方の区間R1及び下方の区間R2が両方ともかご21による乗客の搬送が可能と判断された場合には、所定の方法により選択されるいずれか一方の区間内でかご21を運行させる。たとえば記憶部39の利用履歴テーブルT2に記録された乗車階及び行先階の履歴を参照して、上方の区間R1及び下方の区間R2のそれぞれにおけるかごの運行に対する需要を予測し、その予測される需要がより高い方の区間内でかご21を運行させる。このとき、乗車階及び行先階の履歴に基づく需要の予測は、同じ時間帯又は少し先の時間帯における平均的な利用回数(乗車階及び行先階の記録の数)を求め、同程度のかご21の利用が需要として発生するものと予測することにより行う。
【0020】
なお、運行制御部35は、上記予測される需要がより高い方の区間内でかご21を運行させることに代えて、たとえばサービス階数がより多い方の区間内でかご21を運行させるものであってもよいし、その区間の最下階乗場から最上階乗場までの床面垂直距離がより長い方の区間内でかご21を運行させるものであってもよい。
【0021】
また、運行制御部35は、上方の区間R1と下方の区間R2のいずれか一方の区間内でかご21を運行させている場合において、定期的又は随時、かご21を運行させる区間の変更要否を判断する。たとえば、運行制御部35は、第1の状態であるか否かを判断し、第1の状態である場合に区間の変更が必要と判断する。ここで、第1の状態とは、現在運行中の区間(一方の区間)内の移動に係るかごの呼びが呼び受付部33に受け付けられていない状態が一定時間以上続き、且つ、他方の区間内の移動に係るかごの呼びが呼び受付部33に受け付けられている状態のことを言う。運行制御部35は、このかご呼びの受付状況に基づく区間変更の要否を判断することに代えて又は加えて、他方の区間内の乗場において待ち時間計測部34により計測されたかご待ち時間が予め定められた基準待ち時間Rtを超えた状態(以下、第2の状態という)であるか否かを判断し、第2の状態である場合に区間の変更が必要と判断するものであってもよい。この基準待ち時間Rtは、予め定められ、記憶部39に記憶されているものとする。
【0022】
そして、区間の変更が必要と判断された場合、運行制御部35は、かご21を運行させる区間を、現在運行中の一方の区間から他方の区間へ変更する。このとき、運行制御部35は、まず、現在運行中の区間におけるかご21の運行を終了させる。具体的には、かご21内に乗客がいない場合はすぐに、かご21内に乗客がいる場合はその乗客を行先階まで搬送した後に、新たな乗客の乗車を防ぐため、かご21内の照明を消し、ドアを閉じる制御を行う。その後、運行制御部35は、乗客を乗せていない状態のかご21を他方の区間へ移動させる。かご21が異常発生位置Mを通る際には、異常位置特定部32により異常の有無を再検知する処理が行われる。そして、運行制御部35は、異常発生位置Mにおいて異常が再検知された場合、異常が解消されていないと判断し、移動後の区間内でのかご21の運行を開始させる。一方、異常発生位置Mにおいて異常が再検知されない場合には、異常が解消されたと判断し、かご21を運行させる区間を、異常位置特定部32により異常が検知される前にかご21を運行させていた区間(昇降路Hの全区間)に変更する。
【0023】
記憶部39には、エレベータ制御装置30で用いられる各種情報が記憶されている。具体的には、第1の基準値V1、第2の基準値V2、呼び登録テーブルT1、利用履歴テーブルT2、基準待ち時間Rt等が記憶されている。
【0024】
以下、図4及び図5に示すフローチャートを参照して、エレベータ制御装置30により行われる処理の流れについて説明する。図4は、区間運転開始までの処理の流れを示すフローチャートであり、図5は、区間運転開始後の処理の流れを示すフローチャートである。図4に示すように、まず、センサ22が、昇降路H内を昇降するかご21の振動又は周辺の音を測定する(ステップS1)。次いで、異常位置特定部32が、センサ22により測定された測定値を予め定められた第1の基準値V1と比較し、測定値が第1の基準値V1を超えるか否か、すなわち異常であるか否かを判断する(ステップS2)。測定値が第1の基準値V1を超えないと判断された場合は(ステップS2、NO)、ステップS1に戻る。一方、測定値が第1の基準値V1を超えると判断された場合は(ステップS2、YES)、異常位置特定部32が、その測定値が測定されたときのかご21の位置を異常発生位置Mとして特定する(ステップS3)。
【0025】
次いで、異常位置特定部32が、測定値を予め定められた第2の基準値V2(>V1)と比較することによって、かご21による運行の継続可否を判断する(ステップS4)。測定値が第2の基準値V2を超えると判断された場合は(ステップS4、YES)、かご21による運行を継続できない状態、たとえば点検修理が必要な状態であるとして、かご21の運転を停止する(ステップS5)一方、測定値が第2の基準値V2を超えないと判断された場合は(ステップS4、NO)、ステップS6へ進む。
【0026】
ステップS6では、運行制御部35が、異常発生位置Mが終端階付近であるか否かを判断する(ステップS6)。ここで、終端階付近は、最下階からそのすぐ上の階床までの範囲と、最上階からそのすぐ下の階床までの範囲を意味する。異常発生位置Mが終端階付近であると判断された場合は(ステップS6、YES)、乗客の搬送が可能な一方の区間、すなわち異常発生位置Mが位置する終端側とは反対側の区間内でかご21を運行させる区間運転を開始する(ステップS7)。
【0027】
一方、異常発生位置Mが終端階付近ではないと判断された場合は(ステップS6、NO)、運行制御部35が、異常発生位置Mよりも上方の区間R1及び下方の区間R2の中からかご21を運行させる区間を決定する(ステップS8)。具体的には、運行制御部35が、記憶部39の利用履歴テーブルT2に記録された乗車階及び行先階の履歴を参照して、上方の区間R1及び下方の区間R2のそれぞれにおけるかごの運行に対する需要を予測し、その予測される需要がより高い方の区間を決定する。
【0028】
その後、運行制御部35が、決定された一方の区間内でかご21を運行させる区間運転を開始する(ステップS9)。このとき、乗場操作部25においては、一方の区間内又は他方の区間内の移動に係るかごの呼びのみを入力可能にし、異常発生位置Mを跨ぐ移動に係るかごの呼びは入力できないようにする。これにより、呼び受付部33においても、一方の区間内又は他方の区間内の移動に係るかごの呼びのみが受け付けられることとなる。
【0029】
次に、図5を参照して、区間運転開始後の処理の流れについて説明する。図5では、特に図4におけるステップS9の区間運転後の処理として、所定の条件を満たす場合にかご21を運行させる区間を変更する処理の流れが示されている。図5に示すように、まず、運行制御部35が、現在運行中の一方の区間内の移動に係るかごの呼びが呼び受付部33に受け付けられていない状態が一定時間以上続き、且つ、他方の区間内の移動に係るかごの呼びが呼び受付部33に受け付けられている状態(第1の状態)であるか否かを判断する(ステップS11)。第1の状態であると判断された場合は(ステップS11、YES)、ステップS13以降の処理によりかご21を運行させる区間が変更される。
【0030】
一方、第1の状態ではないと判断された場合は(ステップS11、NO)、運行制御部35が、他方の区間内の乗場において待ち時間計測部34により計測されたかご待ち時間が予め定められた基準待ち時間Rtを超えた状態(第2の状態)であるか否かを判断する(ステップS12)。第2の状態であると判断された場合は(ステップS12、YES)、ステップS13以降の処理によりかご21を運行させる区間が変更される。一方、第2の状態ではないと判断された場合は(ステップS12、NO)、ステップS11へ戻る。
【0031】
ステップS13では、運行制御部35が、現在運行中の区間におけるかご21の運行を終了させる処理を行う(ステップS13)。具体的には、かご21内に乗客がいない場合はすぐに、かご21内に乗客がいる場合はその乗客を行先階まで搬送した後に、新たな乗客の乗車を防ぐため、かご21内の照明を消し、ドアを閉じる制御を行う。その後、運行制御部35は、利用者が乗車していない状態のかご21を他方の区間内へ移動させる(ステップS14)。かご21が異常発生位置Mを通る際には、異常位置特定部32が、異常の有無を再検知する(ステップS15)。異常発生位置Mにおいて異常が再検知された場合(ステップS15、YES)、運行制御部35は、移動後の他方の区間内でかご21を運行させる区間運転を開始する(ステップS16)。一方、異常発生位置Mにおいて異常が再検知されない場合は(ステップS15、NO)、異常が検知される前にかご21を運行させていた区間内でかご21を運行させる通常運転に戻る(ステップS17)。
【0032】
以上説明したエレベータ制御装置30の各構成は、図6に示す、プロセッサ51、メモリ52及び信号入出力部53を備えたコンピュータにより構成されている。異常位置特定部32、呼び受付部33、待ち時間計測部34、及び運行制御部35の各機能は、このコンピュータにより実現される。即ち、コンピュータのメモリ52には、異常位置特定部32、呼び受付部33、待ち時間計測部34、及び運行制御部35の各機能を実現するためのプログラム(エレベータ制御プログラム)が格納されている。また、記憶部39に記憶される各種情報は、メモリ52に格納される。プロセッサ51は、メモリ52に格納されたプログラムに基づいて、エレベータ20及びエレベータ制御装置30の動きを制御するための演算処理を実行する。
【0033】
以上説明したように、第1の実施の形態に係るエレベータシステム1において、エレベータ制御装置30は、昇降路H内を昇降するかご21の振動又は周辺の音をそのかごに設置されたセンサ22により測定した測定値に基づいて異常の有無を検知し、異常が検知された場合に測定値が測定されたときのかご21の昇降位置に基づいて昇降路H内の異常発生位置Mを特定する異常位置特定部32を備えている。また、エレベータ制御装置30は、異常位置特定部32により特定された異常発生位置Mよりも上方の区間R1及び下方の区間R2のいずれか一方の区間内でかご21を運行させる運行制御部35を備えている。このため、昇降路H内で異常発生位置Mを特定した場合に、その特定された異常発生位置Mを含まない区間内でかご21の運行を継続することができる。すなわち、乗客を乗せたまま異常発生位置Mを通る運行は行われないため、乗客に不安を与えることがなく、また、機器故障の可能性も低減できる。
【0034】
なお、上記第1の実施の形態では、乗場操作部25において、利用者が行先階を指定したかごの呼びを入力可能な場合について説明したが、これに限定されない。乗場操作部25は、たとえば乗場の上下ボタンであるなど、行先階を指定できないものであってもよい。この場合、運行制御部35により異常発生位置Mよりも上方の区間R1及び下方の区間R2のいずれか一方の区間内でかご21を運行させる際には、そのかご21を運行させる区間内の乗場に設けられた乗場操作部25においてのみ、かごの呼びを入力可能にすることができる。
【0035】
また、上記第1の実施の形態では、異常位置特定部32が、測定値を第1の基準値V1と比較し、測定値が第1の基準値V1を超える場合に直ちに異常であると判断する場合について説明したが、異常位置特定部32は、同じ位置において測定値が所定の回数以上第1の基準値V1を超える場合に異常であると判断するものであってもよい。
【0036】
[第2の実施の形態]
以下、第2の実施の形態に係るエレベータシステム100について説明する。図7は、第2の実施の形態に係るエレベータシステム100の概略構成を示す図である。図7に示すように、エレベータシステム100は、エレベータ制御装置130によりその動きが制御される複数台のエレベータ20a,20bを備えている点で第1の実施の形態と相違する。以下の説明ではその相違点を中心に説明し、第1の実施の形態と同様の構成については説明を省略する。
【0037】
エレベータ20aは、第1の昇降路内を昇降する第1のかご21aと、第1のかご21aに設置されて第1のかご21aの振動又は周辺の音を測定するセンサ22aと、ロープ(図示せず)を介して第1のかご21aを昇降させる巻上機23aとを備えている。また、エレベータ20bは、第2の昇降路内を昇降する第2のかご21bと、第2のかご21bに設置されて第2のかご21bの振動又は周辺の音を測定するセンサ22bと、ロープ(図示せず)を介して第2のかご21bを昇降させる巻上機23bとを備えている。また、エレベータ20a、20bが設けられた建物の各階の乗場には、乗場操作部25が設けられている。
【0038】
異常位置特定部132は、センサ22aの測定値に基づいて異常の有無を検知し、異常が検知された場合にその測定値が測定されたときの第1のかご21aの昇降位置に基づいて第1の昇降路内の第1の異常発生位置を特定する。また、異常位置特定部132は、センサ22bの測定値に基づいて異常の有無を検知し、異常が検知された場合にその測定値が測定されたときの第2のかご21bの昇降位置に基づいて第2の昇降路内の第2の異常発生位置を特定する。この異常位置特定部132が、本開示における第1の異常位置特定手段と第2の異常位置特定手段に相当する。
【0039】
運行制御部135は、第1のかご21a及び第2のかご21bの運行を制御する。運行制御部135は、異常位置特定部132により第1の昇降路内で異常が検知された場合に、異常位置特定部132により特定された第1の異常発生位置よりも上方の区間及び下方の区間のいずれか一方の区間内で第1のかご21aを運行させる。また、運行制御部135は、異常位置特定部132により第2の昇降路内で異常が検知された場合に、異常位置特定部132により特定された第2の異常発生位置よりも上方の区間及び下方の区間のいずれか一方の区間内で第2のかご21bを運行させる。
【0040】
運行制御部135は、たとえば図8に示すように、異常位置特定部132により第1の昇降路Ha内で第1の異常発生位置M1が特定され、その第1の異常発生位置M1よりも上方の区間Ra1及び下方の区間Ra2のいずれか一方の区間内で第1のかご21aを運行させ、且つ、第2のかご21bをその一方の区間を含むより広い区間内で運行させている場合において、呼び受付部33により上記一方の区間内の移動に係るかごの呼びを受け付けた場合、そのかごの呼びに第1のかご21aを第2のかご21bよりも優先して割り当てる。また、呼び受付部33により区間運転中の区間とは別の区間内の移動に係るかごの呼びや、第1の異常発生位置M1を跨ぐ移動に係るかごの呼びを受け付けた場合、運行制御部135は、そのかごの呼びに第2のかご21bを割り当てる。このような割当ての構成により、かごの呼びを複数のエレベータ20a,20bに適宜分散させ、かごの待ち時間を低減させることができる。
【0041】
図9は、かごの呼びに応じたかごの割当て処理の流れを示すフローチャートである。図9に示すように、まず、運行制御部135は、呼び登録テーブルT1を参照して登録されたかごの呼びの有無を判断する(ステップS21)。登録されたかごの呼びがある場合(ステップS21、YES)、ステップS22以降の処理を行う。ステップS22では、登録されたかごの呼びが第1の異常発生位置M1を跨ぐ移動に係るかごの呼びであるか否かを判断する(ステップS22)。かごの呼びが第1の異常発生位置M1を跨ぐ移動に係るかごの呼びであると判断された場合(ステップS22、YES)、そのかごの呼びには区間運転中では無いかごを割り当てる(ステップS23)。一方、かごの呼びが第1の異常発生位置M1を跨ぐ移動に係るかごの呼びではないと判断された場合(ステップS22、NO)、そのかごの呼びが区間運転中の区間内の移動に係るかごの呼びであるか否かを判断する(ステップS24)。かごの呼びが区間運転中の区間内の移動に係るかごの呼びでは無いと判断された場合(ステップS24、NO)、そのかごの呼びには区間運転中では無いかごを割り当てる(ステップS23)。一方、かごの呼びが区間運転中の区間内の移動に係るかごの呼びであると判断された場合(ステップS24、YES)、そのかごの呼びには区間運転中のかごを割り当てる(ステップS25)。
【0042】
以上説明したように、第2の実施の形態に係るエレベータシステム1において、エレベータ制御装置130は、かごの呼びがどのような移動に係るものであるかに応じて割当るかごを決定する構成を有する。このため、かごの呼びを複数のエレベータ20a,20bに適宜分散させ、かごの待ち時間を低減させることができる。
【0043】
なお、上記第2の実施の形態では、理解を容易にするためエレベータが2台である場合を例示したが、3台以上であってもよい。
【符号の説明】
【0044】
1、100 エレベータシステム
20、20a、20b エレベータ
21 かご
22、22a、22b センサ
23、23a、23b 巻上機
25 乗場操作部
30、130 エレベータ制御装置
32、132 異常位置特定部
33 呼び受付部
34 待ち時間計測部
35、135 運行制御部
39 記憶部
51 プロセッサ
52 メモリ
53 信号入出力部
M 異常発生位置
M1 第1の異常発生位置
R1、Ra1 上方の区間
R2、Ra2 下方の区間
T1 呼び登録テーブル
T2 利用履歴テーブル
V1 第1の基準値
V2 第2の基準値
21a 第1のかご
21b 第2のかご
H、Ha、Hb 昇降路
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
【手続補正書】
【提出日】2021-12-20
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
昇降路内を昇降するかごに設置されたセンサの測定値に基づいて異常の有無を検知し、異常が検知された場合に当該測定値が測定されたときの前記かごの昇降位置に基づいて前記昇降路内の異常発生位置を特定する異常位置特定手段と、
前記異常位置特定手段により特定された前記異常発生位置よりも上方の区間及び下方の区間のいずれか一方の区間内で前記かごを運行させる運行制御手段と
かごの呼びを受け付ける呼び受付手段と
を備え、
前記運行制御手段は、前記一方の区間内の移動に係るかごの呼びが前記呼び受付手段により受け付けられていない状態が一定時間以上続き、且つ、前記上方の区間及び前記下方の区間のうち前記一方の区間ではない他方の区間内の移動に係るかごの呼びが前記呼び受付手段により受け付けられている場合に、前記かごを運行させる区間を前記一方の区間から前記他方の区間へ変更するエレベータ制御装置。
【請求項2】
昇降路内を昇降するかごに設置されたセンサの測定値に基づいて異常の有無を検知し、異常が検知された場合に当該測定値が測定されたときの前記かごの昇降位置に基づいて前記昇降路内の異常発生位置を特定する異常位置特定手段と、
前記異常位置特定手段により特定された前記異常発生位置よりも上方の区間及び下方の区間のいずれか一方の区間内で前記かごを運行させる運行制御手段と
複数の乗場それぞれにおける利用者のかご待ち時間を計測する待ち時間計測手段と
を備え、
前記運行制御手段は、前記上方の区間及び前記下方の区間のうち前記一方の区間ではない他方の区間内の乗場において、前記待ち時間計測手段により計測されたかご待ち時間が予め定められた基準待ち時間を超えた場合に、前記かごを運行させる区間を前記一方の区間から前記他方の区間へ変更するエレベータ制御装置。
【請求項3】
前記かごを乗降した利用者の乗車階及び行先階の履歴を記憶する記憶手段を更に備え、
前記運行制御手段は、前記記憶手段に記憶された前記乗車階及び行先階の履歴を参照して、前記上方の区間及び前記下方の区間のそれぞれにおける前記かごの運行に対する需要を予測し、予測される需要がより高い方の区間内で前記かごを運行させる請求項1または2記載のエレベータ制御装置。
【請求項4】
前記運行制御手段は、前記上方の区間及び前記下方の区間のうち、サービス階数がより多い方の区間内で前記かごを運行させる請求項1または2記載のエレベータ制御装置。
【請求項5】
前記運行制御手段は、前記上方の区間及び前記下方の区間のうち、その区間の最下階乗場から最上階乗場までの床面垂直距離がより長い方の区間内で前記かごを運行させる請求項1または2記載のエレベータ制御装置。
【請求項6】
前記運行制御手段は、前記かごを運行させる区間を変更する際に、利用者が乗車していない状態の前記かごを前記一方の区間内から前記他方の区間内へ移動させる請求項1から5のいずれか一項に記載のエレベータ制御装置。
【請求項7】
前記異常位置特定手段は、前記かごが前記異常発生位置を通る際に異常の有無を再検知するものであり、
前記運行制御手段は、前記異常発生位置において異常が再検知されない場合、前記かごを運行させる区間を、前記異常位置特定手段により異常が検知される前に前記かごを運行させていた区間に変更する請求項1から6のいずれか一項に記載のエレベータ制御装置。
【請求項8】
第1の昇降路内を昇降する第1のかごに設置された第1のセンサの測定値に基づいて異常の有無を検知し、異常が検知された場合に当該測定値が測定されたときの前記第1のかごの昇降位置に基づいて前記第1の昇降路内の異常発生位置である第1の異常発生位置を特定する第1の異常位置特定手段と、
第2の昇降路内を昇降する第2のかごに設置された第2のセンサの測定値に基づいて異常の有無を検知し、異常が検知された場合に当該測定値が測定されたときの前記第2のかごの昇降位置に基づいて前記第2の昇降路内の異常発生位置である第2の異常発生位置を特定する第2の異常位置特定手段と、
前記第1のかご及び第2のかごの運行を制御する運行制御手段と、
かごの呼びを受け付ける呼び受付手段とを備え、
前記運行制御手段は、前記第1の異常位置特定手段により特定された前記第1の異常発生位置よりも上方の区間及び下方の区間のいずれか一方の区間内で前記第1のかごを運行させる共に、前記第2の異常位置特定手段により特定された前記第2の異常発生位置よりも上方の区間及び下方の区間のいずれか一方の区間内で前記第2のかごを運行させるものであり、前記第1の異常位置特定手段により前記第1の異常発生位置が特定され、当該第1の異常発生位置よりも上方の区間及び下方の区間のいずれか一方の区間内で前記第1のかごを運行させ、且つ、前記第2のかごを前記一方の区間を含むより広い区間内で運行させている場合において、前記呼び受付手段により前記一方の区間内の移動に係るかごの呼びを受け付けた場合、当該かごの呼びに前記第1のかごを前記第2のかごよりも優先して割り当てるエレベータ制御装置。
【請求項9】
前記運行制御手段は、前記第1の異常位置特定手段により前記第1の異常発生位置が特定され、当該第1の異常発生位置よりも上方の区間及び下方の区間のいずれか一方の区間内で前記第1のかごを運行させ、且つ、前記第2のかごを他方の区間を含むより広い区間内で運行させている場合において、前記呼び受付手段により他方の区間内の移動に係るかごの呼びを受け付けた場合、当該かごの呼びに前記第2のかごを割り当てる請求項8に記載のエレベータ制御装置。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0006
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0006】
本開示に係るエレベータ制御装置は、昇降路内を昇降するかごに設置されたセンサの測定値に基づいて異常の有無を検知し、異常が検知された場合に測定値が測定されたときのかごの昇降位置に基づいて昇降路内の異常発生位置を特定する異常位置特定手段と、異常位置特定手段により特定された異常発生位置よりも上方の区間及び下方の区間のいずれか一方の区間内でかごを運行させる運行制御手段と、かごの呼びを受け付ける呼び受付手段とを備えたものであり、運行制御手段は、一方の区間内の移動に係るかごの呼びが呼び受付手段により受け付けられていない状態が一定時間以上続き、且つ、上方の区間及び下方の区間のうち一方の区間ではない他方の区間内の移動に係るかごの呼びが呼び受付手段により受け付けられている場合に、かごを運行させる区間を一方の区間から他方の区間へ変更するものである。