(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022181771
(43)【公開日】2022-12-08
(54)【発明の名称】車両検知装置、車両検知方法および車両検知プログラム
(51)【国際特許分類】
G08G 1/16 20060101AFI20221201BHJP
【FI】
G08G1/16 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021088926
(22)【出願日】2021-05-27
(71)【出願人】
【識別番号】000237592
【氏名又は名称】株式会社デンソーテン
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】村角 周樹
(72)【発明者】
【氏名】三野 敦
(72)【発明者】
【氏名】藤本 知之
(72)【発明者】
【氏名】谷 泰司
(72)【発明者】
【氏名】笠目 知秀
【テーマコード(参考)】
5H181
【Fターム(参考)】
5H181AA01
5H181CC04
5H181CC12
5H181CC14
5H181FF04
5H181FF25
5H181FF27
5H181FF32
5H181LL01
5H181LL04
5H181LL06
5H181LL15
(57)【要約】
【課題】他車両の自車両走行車線への割り込みを検知する検知範囲を適切に設定して、割り込みの検知精度を向上させることができる車両検知装置、車両検知方法および車両検知プログラムを提供する。
【解決手段】実施形態の一態様に係る車両検知装置においては、設定部と、取得部とを備える。設定部は、自車両が走行する自車両走行車線と隣接する隣接車線を走行する他車両の自車両走行車線への割り込みを検知する検知範囲を設定する。取得部は、自車両の運転状態に関する運転状態情報を取得する。また、設定部は、取得部によって取得された運転状態情報に応じて検知範囲を変更する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
自車両が走行する自車両走行車線と隣接する隣接車線を走行する他車両の前記自車両走行車線への割り込みを検知する検知範囲を設定する設定部と、
前記自車両の運転状態に関する運転状態情報を取得する取得部と
を備え、
前記設定部は、
前記取得部によって取得された前記運転状態情報に応じて前記検知範囲を変更すること
を特徴とする車両検知装置。
【請求項2】
前記取得部は、
前記自車両の速度、前記自車両と前記他車両との相対速度、前記自車両走行車線の曲率、前記隣接車線に対する前記自車両走行車線の位置、および、前記自車両の操舵角の少なくともいずれかを前記運転状態情報として取得すること
を特徴とする請求項1に記載の車両検知装置。
【請求項3】
前記設定部は、
前記運転状態情報に応じて、前記検知範囲のうち前記自車両の前後方向における検知距離を変更すること
を特徴とする請求項1または2に記載の車両検知装置。
【請求項4】
前記取得部は、
前記自車両走行車線がカーブ路であるときの前記自車両走行車線の曲率を前記運転状態情報として取得し、
前記設定部は、
前記自車両走行車線の曲率に応じて、前記検知範囲を前記カーブ路の内側へ変位させること
を特徴とする請求項1~3のいずれか一つに記載の車両検知装置。
【請求項5】
前記取得部は、
前記自車両走行車線の曲率を前記運転状態情報として取得し、
前記設定部は、
前記自車両走行車線の曲率に応じて、前記検知範囲のうち前記自車両の車幅方向における検知幅を変更すること
を特徴とする請求項1~4のいずれか一つに記載の車両検知装置。
【請求項6】
前記取得部は、
前記自車両走行車線および前記隣接車線がカーブ路であるときの前記隣接車線に対する前記自車両走行車線の位置を前記運転状態情報として取得し、
前記設定部は、
前記自車両走行車線が前記隣接車線に対して前記カーブ路の内側に位置する場合、前記自車両走行車線の前記曲率に応じて前記検知幅が小さくなるように変更し、前記自車両走行車線が前記隣接車線に対して前記カーブ路の外側に位置する場合、前記自車両走行車線の前記曲率に応じて前記検知幅が大きくなるように変更すること
を特徴とする請求項5に記載の車両検知装置。
【請求項7】
前記取得部は、
前記自車両の操舵角を前記運転状態情報として取得し、
前記設定部は、
前記操舵角に応じて、前記自車両の前後方向に対する前記検知範囲の角度を変更すること
を特徴とする請求項1~6のいずれか一つに記載の車両検知装置。
【請求項8】
前記設定部は、
前記検知範囲が前記自車両走行車線の両側を区画する区画線の内側に位置するように、前記検知範囲の形状を変更すること
を特徴とする請求項1~7のいずれか一つに記載の車両検知装置。
【請求項9】
自車両が走行する自車両走行車線と隣接する隣接車線を走行する他車両の前記自車両走行車線への割り込みを検知する検知範囲を設定する設定工程と、
前記自車両の運転状態に関する運転状態情報を取得する取得工程と
を含み、
前記設定工程は、
前記取得工程によって取得された前記運転状態情報に応じて前記検知範囲を変更すること
を特徴とする車両検知方法。
【請求項10】
自車両が走行する自車両走行車線と隣接する隣接車線を走行する他車両の前記自車両走行車線への割り込みを検知する検知範囲を設定する設定手順と、
前記自車両の運転状態に関する運転状態情報を取得する取得手順と
をコンピュータに実行させ、
前記設定手順は、
前記取得手順によって取得された前記運転状態情報に応じて前記検知範囲を変更すること
を特徴とする車両検知プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両検知装置、車両検知方法および車両検知プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば自車両走行車線を走行する自車両において、自車両走行車線と隣接する隣接車線を走行する他車両の自車両走行車線への割り込みを検知する技術が種々提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来技術には、他車両の自車両走行車線への割り込みを検知する検知範囲を適切に設定して、割り込みの検知精度を向上させるという点で、改善の余地があった。
【0005】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、他車両の自車両走行車線への割り込みを検知する検知範囲を適切に設定して、割り込みの検知精度を向上させることができる車両検知装置、車両検知方法および車両検知プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決し、目的を達成するために、本発明は、車両検知装置において、設定部と、取得部とを備える。設定部は、自車両が走行する自車両走行車線と隣接する隣接車線を走行する他車両の前記自車両走行車線への割り込みを検知する検知範囲を設定する。取得部は、前記自車両の運転状態に関する運転状態情報を取得する。また、前記設定部は、前記取得部によって取得された前記運転状態情報に応じて前記検知範囲を変更する。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、他車両の自車両走行車線への割り込みを検知する検知範囲を適切に設定して、割り込みの検知精度を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、実施形態に係る車両検知方法の概要を示す図である。
【
図2】
図2は、車両検知装置を備えた車両検知システムの構成例を示すブロック図である。
【
図3】
図3は、自車両の速度に応じた検知範囲の変更を説明する図である。
【
図4】
図4は、自車両と他車両との相対速度に応じた検知範囲の変更を説明する図である。
【
図5】
図5は、自車両走行車線の曲率等に応じた検知範囲の変更を説明する図である。
【
図6】
図6は、検知範囲の変更の他の例を説明する図である。
【
図7】
図7は、検知範囲の変更の他の例を説明する図である。
【
図8】
図8は、検知範囲の変更の他の例を説明する図である。
【
図9】
図9は、検知範囲の変更の他の例を説明する図である。
【
図10】
図10は、自車両走行車線の曲率等に応じた検知範囲の変更を説明する図である。
【
図11】
図11は、検知範囲の変更の他の例を説明する図である。
【
図12】
図12は、検知範囲の変更の他の例を説明する図である。
【
図13】
図13は、検知範囲の変更の他の例を説明する図である。
【
図14】
図14は、検知範囲の変更の他の例を説明する図である。
【
図15】
図15は、検知部における割り込み判定処理を説明する図である。
【
図16】
図16は、車両検知装置が実行する処理手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、添付図面を参照して、本願の開示する車両検知装置、車両検知方法および車両検知プログラムの実施形態を詳細に説明する。なお、以下に示す実施形態によりこの発明が限定されるものではない。
【0010】
<車両検知装置による車両検知方法の概要>
以下では先ず、実施形態に係る車両検知装置による車両検知方法の概要について
図1を参照して説明する。
図1は、実施形態に係る車両検知方法の概要を示す図である。
【0011】
実施形態に係る車両検知方法は、例えば車両検知装置10によって実行される。具体的に説明すると、
図1に示すように、車両検知装置10は、自動車などの車両Aに搭載される。
【0012】
ここで、車両Aは自車両であり、以下では車両Aを「自車両A」と記載する場合がある。また、
図1において車両Bは、自車両Aとは異なる他車両であり、以下では車両Bを「他車両B」と記載する場合がある。また、自車両Aは、自車両走行車線Laを走行し、他車両Bは、自車両走行車線Laと隣接する隣接車線Lbを走行するものとする。なお、隣接車線Lbは、言い換えると他車両走行車線であるともいえる。
【0013】
ところで、隣接車線Lbを走行する他車両Bは、自車両走行車線Laへ割り込みを行うことがある(矢印G参照)。詳しくは、他車両Bは、自車両Aの前方の自車両走行車線Laへ車線変更して急な割り込みを行うことがある。
【0014】
そこで、本実施形態に係る車両検知装置10は、上記した他車両Bの自車両走行車線Laへの割り込みを検知するとともに、割り込みの検知精度を向上させることができるような構成とした。
【0015】
以下、かかる構成について具体的に説明すると、車両検知装置10は、自車両Aの前方の自車両走行車線Laに検知範囲Cを設定する(ステップS1)。検知範囲Cは、隣接車線Lbを走行する他車両Bの自車両走行車線Laへの割り込みを検知するための、仮想的な範囲である。なお、
図1に示す検知範囲Cの形状は、予め設定された形状(初期設定された形状)である。
【0016】
車両検知装置10は、他車両Bが車線変更して検知範囲C内に移動した場合、他車両Bの割り込みを検知する、詳しくは、他車両Bの車線変更が自車両Aから比較的近い位置で行われた急な割り込みであると判定し、他車両Bの割り込みを検知する。
【0017】
ここで、上記した検知範囲Cが適切に設定されていないと、他車両Bの割り込みを検知することができず、割り込みの検知精度の低下を招くおそれがある。なお、
図1では、他車両Bの車線変更が急な割り込みであると判定されるべきものであるにもかかわらず、他車両Bが検知範囲C内に移動していないため、車両検知装置10が他車両Bの割り込みを検知できない例を示している。
【0018】
そのため、本実施形態に係る車両検知装置10においては、自車両Aの運転状態に関する運転状態情報を取得する(ステップS2)。運転状態情報の一例としては、自車両Aの速度などである。
【0019】
次いで、車両検知装置10は、取得された運転状態情報に応じて検知範囲Cを変更する(ステップS3)。なお、
図1の例では、変更後の検知範囲を符号Caで示している。例えば、車両検知装置10は、運転状態情報である自車両Aの速度に応じて、検知範囲Cのうち自車両Aの前後方向における検知距離を変更する、詳しくは、自車両Aの速度の増加に伴って自車両Aの前後方向における検知距離が長くなるように変更する。別言すれば、車両検知装置10は、自車両Aの速度の増加に伴って、他車両Bの車線変更が急な割り込みであると判定する範囲(検知範囲C)が長くなるように変更する。
【0020】
このように、本実施形態にあっては、検知範囲Cを適切に変更して設定することができる、言い換えると、検知範囲Cを自車両Aの運転状態に即した範囲(変更後の検知範囲Ca)に設定することができる。
【0021】
これにより、本実施形態においては、他車両Bの自車両走行車線Laへの割り込みを精度良く検知することができ、割り込みの検知精度を向上させることができる。なお、
図1の例では、車両検知装置10は、変更後の検知範囲Caを用いることで、車線変更した他車両Bが検知範囲Ca内に移動するようになるため、他車両Bの割り込みを検知することができる。
【0022】
また、車両検知装置10は、上記した他車両Bの割り込みを検知した場合に、例えば自車両Aの運転者へ通知することで、運転者に対して、ブレーキ操作の準備を行うなど割り込みに対応する動作の準備を行うことを促すことが可能になる。
【0023】
なお、上記では、運転状態情報が自車両Aの速度である例を示したが、これに限定されるものではない。すなわち、運転状態情報は、自車両Aの速度に加えて、あるいは代えて、例えば自車両Aと他車両Bとの相対速度などその他の種類の運転状態に関する情報を含んでもよく、これについては後述する。
【0024】
<車両検知システムの構成>
次に、実施形態に係る車両検知装置10を備えた車両検知システムの構成について、
図2を用いて説明する。
図2は、車両検知装置10を備えた車両検知システム1の構成例を示すブロック図である。なお、
図2のブロック図では、本実施形態の特徴を説明するために必要な構成要素のみを機能ブロックで表しており、一般的な構成要素についての記載を省略している。
【0025】
換言すれば、
図2のブロック図に図示される各構成要素は機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。例えば、各機能ブロックの分散・統合の具体的形態は図示のものに限られず、その全部または一部を、各種の負荷や使用状況などに応じて、任意の単位で機能的または物理的に分散・統合して構成することが可能である。
【0026】
図2に示すように、車両検知システム1は、車両検知装置10と、カメラ11と、GPS(Global Positioning System)装置12と、車速センサ13と、操舵角センサ14と、出力部15とを備え、自車両Aに搭載される。
【0027】
カメラ11は、自車両Aの適宜位置に設置され、例えば自車両Aの前方など自車両Aの周辺を撮像する。カメラ11は、例えばレンズと、CCD(Charge Coupled Device)やCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)などの撮像素子とを備えたカメラであるが、これに限定されるものではない。カメラ11は、撮像された撮像画像を車両検知装置10へ出力する。
【0028】
GPS装置12は、GPS衛星(不図示)から送信される測位信号に基づいて、自車両Aの現在地(例えば現在の走行位置)を測位する。GPS装置12は、自車両Aの現在地を示す信号を車両検知装置10へ出力する。
【0029】
車速センサ13は、自車両Aの速度を検出し、検出された自車両Aの速度を示す信号を車両検知装置10へ出力する。操舵角センサ14は、自車両Aのステアリングホイール(不図示)の操舵角を検出し、検出された操舵角を示す信号を車両検知装置10へ出力する。
【0030】
出力部15は、例えば他車両Bの割り込みを検知した場合の通知など、各種の情報を出力する。例えば、出力部15は、スピーカなどの音声出力部やディスプレイなどの表示部を含み、通知などの各種の情報を自車両Aの運転者へ出力する。
【0031】
車両検知装置10は、制御部20と、記憶部30とを備える。制御部20は、取得部21、設定部22および検知部23を備える。記憶部30は、検知範囲情報31を記憶する。
【0032】
ここで、車両検知装置10は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、データフラッシュ、入出力ポートなどを有するコンピュータや各種の回路を含む。
【0033】
コンピュータのCPUは、たとえば、ROMに記憶されたプログラムを読み出して実行することによって、制御部20の取得部21、設定部22および検知部23として機能する。
【0034】
また、制御部20の取得部21、設定部22および検知部23の少なくともいずれか一つまたは全部をASIC(Application Specific Integrated Circuit)やFPGA(Field Programmable Gate Array)等のハードウェアで構成することもできる。
【0035】
また、記憶部30は、たとえば、RAMやデータフラッシュに対応する。RAMやデータフラッシュは、検知範囲情報31や、各種プログラム(車両検知プログラム等)の情報等を記憶することができる。なお、車両検知装置10は、有線や無線のネットワークで接続された他のコンピュータや可搬型記録媒体を介して上記したプログラムや各種情報を取得することとしてもよい。
【0036】
検知範囲情報31は、他車両Bの割り込みを検知する検知範囲に関する情報である。例えば、検知範囲情報31には、自車両Aの運転状態情報に応じて変更する検知範囲(後述する検知距離や検知幅など)に関する情報が含まれるが、これに限定されるものではない。なお、検知範囲情報31に基づいた検知範囲の変更については、
図3以降を参照して後述する。
【0037】
<車両検知装置の構成>
続いて、車両検知装置10について説明する。制御部20の取得部21は、自車両Aの運転状態に関する運転状態情報を取得する。例えば、取得部21は、自車両Aの速度(自車速)を運転状態情報として取得することができる。具体的には、取得部21は、車速センサ13から出力される自車両Aの速度を示す信号を取得し、取得された自車両Aの速度を設定部22へ出力する。
【0038】
また、取得部21は、自車両Aと他車両Bとの相対速度を運転状態情報として取得することができる。一例として、取得部21は、カメラ11によって撮像された撮像画像を解析して、隣接車線Lbを走行する他車両Bとの相対速度を算出して取得する。そして、取得部21は、取得された自車両Aと他車両Bとの相対速度を設定部22へ出力する。
【0039】
なお、上記において取得部21は、自車両Aと他車両Bとの相対速度をカメラ11による撮像画像から取得するようにしたが、これに限られず、例えばミリ波レーダなどその他の装置を用いて相対速度を取得してもよい。
【0040】
また、取得部21は、自車両走行車線Laの曲率を運転状態情報として取得することができる。詳しくは、取得部21は、自車両走行車線Laがカーブ路であるときの自車両走行車線Laの曲率を取得することができる。
【0041】
例えば、取得部21は、GPS装置12の出力に基づいて自車両Aの現在地(現在の走行位置)を取得する。また、取得部21は、地図情報を図示しない外部サーバや予め記憶させた記憶部30から取得する。そして、取得部21は、取得された自車両Aの現在地と地図情報とに基づき、走行中の自車両走行車線Laの曲率を取得し、取得された自車両走行車線Laの曲率を設定部22へ出力する。
【0042】
なお、上記において取得部21は、GPS装置12の出力等に基づいて曲率を取得するようにしたが、これに限られず、例えばカメラ11による撮像画像を解析して自車両走行車線Laを区画する区画線の形状等から曲率を取得するなど、その他の手法を用いてもよい。
【0043】
また、取得部21は、隣接車線Lbに対する自車両走行車線Laの位置を運転状態情報として取得することができる。ここで、自車両走行車線Laの位置とは、自車両走行車線Laおよび隣接車線Lbがカーブ路であるときの隣接車線Lbに対する自車両走行車線Laの位置であり、具体的には、自車両走行車線Laが隣接車線Lbに対してカーブ路の内側に位置するか、外側に位置するかを意味する。
【0044】
例えば、取得部21は、カメラ11による撮像画像を解析して、隣接車線Lbに対する自車両走行車線Laの位置を取得し、取得された自車両走行車線Laの位置を設定部22へ出力する。
【0045】
なお、上記において取得部21は、カメラ11による撮像画像に基づいて自車両走行車線Laの位置を取得するようにしたが、これに限られず、例えばGPS装置12の出力である自車両Aの現在地(現在の走行位置)と地図情報とに基づいて自車両走行車線Laの位置を取得するなど、その他の手法を用いてもよい。
【0046】
また、取得部21は、自車両Aの操舵角を運転状態情報として取得することができる。例えば、取得部21は、操舵角センサ14から出力される操舵角を示す信号を取得し、取得された自車両Aの操舵角を設定部22へ出力する。
【0047】
なお、上記では、取得部21は、自車両Aの速度や、自車両Aと他車両Bとの相対速度など複数の情報を取得するようにしたが、これら複数の情報の全てを取得することを要さず、一部を取得する構成であってもよい。すなわち、取得部21は、自車両Aの速度、自車両Aと他車両Bとの相対速度、自車両走行車線Laの曲率、隣接車線Lbに対する自車両走行車線Laの位置、および、自車両Aの操舵角の少なくともいずれかを運転状態情報として取得する構成であってもよい。
【0048】
このような運転状態情報を用いることで、後述する設定部22においては、検知範囲を自車両Aの運転状態により一層即した範囲に設定することが可能になる。
【0049】
設定部22は、自車両Aの前方の自車両走行車線Laに、他車両Bの自車両走行車線Laへの割り込みを検知する検知範囲C(
図1参照)を設定する。そして、設定部22は、検知範囲Cを設定した後、取得部21によって取得された運転状態情報に応じて検知範囲Cを変更する。
【0050】
これにより、本実施形態にあっては、検知範囲Cを適切に変更して設定することができる、言い換えると、検知範囲Cを自車両Aの運転状態に即した範囲に設定することができることから、他車両Bの自車両走行車線Laへの割り込みの検知精度を向上させることができる。
【0051】
以下、運転状態情報に応じた検知範囲Cの変更について詳しく説明する。設定部22は、取得された運転状態情報と記憶部30の検知範囲情報31とに基づいて、検知範囲Cを変更する。
【0052】
先ず、運転状態情報が自車両Aの速度である場合の検知範囲Cの変更について
図3を参照して説明する。
図3は、自車両Aの速度に応じた検知範囲Cの変更を説明する図である。
【0053】
図3に示すように、設定部22は、自車両Aの速度に応じて、検知範囲Cのうち自車両Aの前後方向における検知距離Dを変更する。例えば、設定部22は、自車両Aの速度が予め設定された基準速度を超えて増加した場合、速度の増加に伴って自車両Aの前後方向における検知距離Dが長くなるように変更する。すなわち、設定部22は、変更後の検知範囲C11の検知距離D11が、変更前の検知距離Dより長くなるように変更する(D11>D)。なお、基準速度は、初期に設定される検知範囲Cに適した自車両Aの速度を示す値に設定されるが、これに限られず、任意の値に設定可能である。
【0054】
このように、設定部22は、自車両Aの速度が増加して比較的高速で走行するような場合、他車両Bの車線変更が急な割り込みであると判定する範囲(検知範囲C)が長くなるように変更する。これにより、本実施形態にあっては、自車両Aの速度が増加した運転状態に即した検知範囲C11に設定することができる。
【0055】
一方、例えば、設定部22は、自車両Aの速度が基準速度を下回って減少した場合、速度の減少に伴って自車両Aの前後方向における検知距離Dが短くなるように変更する。すなわち、設定部22は、変更後の検知範囲C12の検知距離D12が、変更前の検知距離Dより短くなるように変更する(D12<D)。また、自車両Aが停車中の場合には他車両Bの割り込み判定を行わないようにしてもよい(D12=0)。
【0056】
このように、設定部22は、自車両Aの速度が減少して比較的低速で走行するような場合、他車両Bの車線変更が急な割り込みであると判定する範囲(検知範囲C)が短くなるように変更する。これにより、本実施形態にあっては、自車両Aの速度が減少した運転状態に即した検知範囲C12に設定することができる。
【0057】
次いで、運転状態情報が自車両Aと他車両Bとの相対速度である場合の検知範囲Cの変更について
図4を参照して説明する。
図4は、自車両Aと他車両Bとの相対速度に応じた検知範囲Cの変更を説明する図である。
【0058】
図4に示すように、設定部22は、自車両Aと他車両Bとの相対速度に応じて、検知範囲Cのうち自車両Aの前後方向における検知距離Dを変更する。例えば、設定部22は、相対速度の絶対値が予め設定された基準相対速度を下回って減少した場合、相対速度の減少に伴って自車両Aの前後方向における検知距離Dが長くなるように変更する。すなわち、設定部22は、変更後の検知範囲C21の検知距離D21が、変更前の検知距離Dより長くなるように変更する(D21>D)。なお、基準相対速度は、初期に設定される検知範囲Cに適した相対速度を示す値に設定されるが、これに限られず、任意の値に設定可能である。
【0059】
このように、設定部22は、自車両Aと他車両Bとの相対速度が減少して、自車両Aの速度と他車両Bの速度とが比較的近い状態で走行するような場合、他車両Bの車線変更が急な割り込みであると判定する範囲(検知範囲C)が長くなるように変更する。これにより、本実施形態にあっては、自車両Aと他車両Bとの相対速度が減少した運転状態に即した検知範囲C21に設定することができる。
【0060】
一方、例えば、設定部22は、相対速度の絶対値が基準相対速度を超えて増加した場合、相対速度の増加に伴って自車両Aの前後方向における検知距離Dが短くなるように変更する。すなわち、設定部22は、変更後の検知範囲C22の検知距離D22が、変更前の検知距離Dより短くなるように変更する(D22<D)。
【0061】
このように、設定部22は、自車両Aと他車両Bとの相対速度が増加して、自車両Aの速度と他車両Bの速度とが比較的離れた状態で走行するような場合、他車両Bの車線変更が急な割り込みであると判定する範囲(検知範囲C)が短くなるように変更する。これにより、本実施形態にあっては、自車両Aと他車両Bとの相対速度が増加した運転状態に即した検知範囲C22に設定することができる。
【0062】
このように、設定部22は、運転状態情報である、自車両Aの速度、自車両Aと他車両Bとの相対速度に応じて、検知範囲Cのうち自車両Aの前後方向における検知距離Dを変更するようにした。これにより、設定部22は、自車両Aの速度や相対速度などの運転状態に即した適切な検知範囲を設定することができる。
【0063】
次いで、自車両走行車線Laおよび隣接車線Lbがカーブ路である場合の検知範囲Cの変更について
図5~
図14を参照しつつ説明する。なお、
図5~
図9の例は、自車両走行車線Laが隣接車線Lbに対してカーブ路の内側に位置する場合を示し、
図10~
図14の例は、自車両走行車線Laが隣接車線Lbに対してカーブ路の外側に位置する場合を示している。
【0064】
先ず、運転状態情報に、自車両走行車線Laの曲率、および、隣接車線Lbに対する自車両走行車線Laの位置がカーブ路の内側であることが含まれる場合の検知範囲Cの変更について
図5を参照して説明する。
図5は、自車両走行車線Laの曲率等に応じた検知範囲Cの変更を説明する図である。
【0065】
図5に示すように、例えば自車両Aの前方の自車両走行車線Laには、上記したように、初期に設定される検知範囲Cが設定されるものとする。このとき、例えば自車両Aがカーブ路に進入すると、カーブ路の形状によっては、検知範囲Cの一部が隣接車線Lbへはみ出し、隣接車線Lbと重複してしまうことがある。詳しくは、カーブ路の曲がりの度合い(例えば曲率)によっては、検知範囲Cの一部がカーブ路の外側に位置する隣接車線Lbと重複し、また、重複する範囲もカーブ路の曲率が増加するにつれて増大する。このため、例えば他車両Bは、隣接車線Lbを走行しているときであっても、重複した検知範囲C内に入ってしまい、これにより、他車両Bは自車両走行車線Laへ割り込みしていないにもかかわらず、車両検知装置10において他車両Bの割り込みが誤検知されるおそれがある。
【0066】
そこで、設定部22は、自車両走行車線Laの曲率に応じて検知範囲Cを変更するようにした。例えば、設定部22は、曲率が予め設定された基準曲率を越えて比較的大きい場合、曲率に応じて自車両Aの前後方向における検知距離Dが短くなるように変更する。すなわち、設定部22は、変更後の検知範囲C31の検知距離D31が、変更前の検知距離Dより短くなるように変更する(D31<D)。なお、基準曲率は、初期に設定される検知範囲Cに適した曲率を示す値であって、検知範囲Cの一部が隣接車線Lbと重複しないと推定される値に設定されるが、これに限られず、任意の値に設定可能である。
【0067】
これにより、本実施形態にあっては、運転状態である自車両走行車線Laの曲率に即した検知範囲C31に設定することができ、検知範囲C31の一部が隣接車線Lbと重複しにくくなる。そのため、上記したような他車両Bの割り込みが誤検知されることを抑制することができる。
【0068】
上記では、検知距離Dが変更されることで、他車両Bの割り込みの誤検知を抑制するようにしたが、これに限定されるものではない。以下、他車両Bの割り込みの誤検知を抑制する、検知範囲Cの変更の他の例について
図6~
図9を用いて説明する。
図6~
図9は、検知範囲Cの変更の他の例を説明する図である。
【0069】
図6に示すように、設定部22は、自車両走行車線Laの曲率に応じて、検知範囲Cのうち自車両Aの車幅方向における検知幅Eを変更する。詳しくは、設定部22は、曲率が基準曲率を越えて比較的大きい場合、曲率に応じて検知幅Eがカーブ路の内側へ小さくなるように変更する(カーブ路の内側へ狭めるように変更する)。すなわち、設定部22は、変更後の検知範囲C32の検知幅E32が、変更前の検知幅Eより小さくなるように変更する(E32<E)。
【0070】
これにより、本実施形態にあっては、運転状態である自車両走行車線Laの曲率に即した検知範囲C32に設定することができ、検知範囲C32の一部が隣接車線Lbと重複しにくくなる。そのため、上記したような他車両Bの割り込みが誤検知されることを抑制することができる。
【0071】
また、
図7に示すように、設定部22は、自車両走行車線Laの曲率に応じて、検知範囲Cをカーブ路の内側へ変位させる。詳しくは、設定部22は、曲率が基準曲率を越えて比較的大きい場合、曲率に応じて検知範囲Cの位置をカーブ路の内側へ変更する、言い換えると、カーブ路の内側へずらすようにする。
図7の例では、変更後の検知範囲を符号C33で示している。
【0072】
これにより、本実施形態にあっては、運転状態である自車両走行車線Laの曲率に即した検知範囲C33に設定することができ、検知範囲C33の一部が隣接車線Lbと重複しにくくなる。そのため、上記したような他車両Bの割り込みが誤検知されることを抑制することができる。
【0073】
また、
図8に示すように、設定部22は、自車両Aの操舵角に応じて、自車両Aの前後方向に対する検知範囲Cの角度を変更する。ここでは、自車両Aがカーブ路を走行しているため、自車両Aはカーブ路の内側に向けて操舵されることとなる。そのため、検知範囲Cは、操舵角に応じて先端側Cxがカーブ路の内側へずれる。
図8の例では、変更後の検知範囲を符号C34で示している。
【0074】
これにより、本実施形態にあっては、運転状態である自車両Aの操舵角に即した検知範囲C34に設定することができ、検知範囲C34の一部が隣接車線Lbと重複しにくくなる。そのため、上記したような他車両Bの割り込みが誤検知されることを抑制することができる。
【0075】
また、
図9に示すように、設定部22は、検知範囲Cが自車両走行車線Laの両側を区画する区画線Fの内側に位置するように、検知範囲Cの形状を変更する。例えば、設定部22は、カメラ11による撮像画像を解析して自車両走行車線Laを区画する区画線Fを検出し、検知範囲Cの形状を、検出された両側の区画線Fの内側に位置するような形状に変更する。
図9の例では、変更後の検知範囲を符号C35で示している。
【0076】
これにより、本実施形態にあっては、両側の区画線Fに沿った検知範囲C35に設定することができ、検知範囲C35の一部が隣接車線Lbと重複しない。そのため、上記したような他車両Bの割り込みが誤検知されることを抑制することができる。
【0077】
なお、上記した
図5~
図9の説明では、理解の便宜のため、検知範囲Cの変更の例を個別に説明したが、これら各種の検知範囲Cの変更は、適宜に組み合わせることができる。すなわち、例えば
図5~
図7の例を組み合わせ、設定部22は、自車両走行車線Laの曲率に応じて、検知距離Dを短くし、検知幅Eを小さくし、検知範囲Cをカーブ路の内側へ変位させるように、検知範囲Cを変更してもよい。
【0078】
また、設定部22は、自車両走行車線Laがカーブ路である場合においても、運転状態情報である、自車両Aの速度や自車両Aと他車両Bとの相対速度に応じて、検知範囲Cのうち自車両Aの前後方向における検知距離Dを変更してもよい。
【0079】
続いて、自車両Aがカーブ路の外側を走行する場合について説明する。具体的には、運転状態情報に、自車両走行車線Laの曲率、および、隣接車線Lbに対する自車両走行車線Laの位置がカーブ路の外側であることが含まれる場合の検知範囲Cの変更について
図10を参照して説明する。
図10は、自車両走行車線Laの曲率等に応じた検知範囲Cの変更を説明する図である。
【0080】
図10に示すように、例えば自車両Aの前方の自車両走行車線Laには、初期に設定される検知範囲Cが設定されるものとする。このとき、例えば自車両Aがカーブ路に進入すると、カーブ路の形状によっては、検知範囲Cの一部が隣接車線Lbから過度に離れてしまうことがある。詳しくは、カーブ路の曲がりの度合い(例えば曲率)によっては、検知範囲Cの先端側Cx付近が隣接車線Lbから離れることがある。このとき、例えば、検知範囲Cの一部が隣接車線Lbから離れた位置から、他車両Bが自車両走行車線Laへ車線変更して急な割り込みをした場合、検知範囲Cに入らないため、他車両Bの割り込みを検知できない、すなわち未検知となるおそれがある。
【0081】
そこで、設定部22は、自車両走行車線Laの曲率に応じて検知範囲Cを変更するようにした。例えば、設定部22は、曲率が基準曲率を越えて比較的大きい場合、曲率に応じて自車両Aの前後方向における検知距離Dが長くなるように変更する。すなわち、設定部22は、変更後の検知範囲C41の検知距離D41が、変更前の検知距離Dより長くなるように変更する(D41>D)。なお、ここでの基準曲率は、初期に設定される検知範囲Cに適した曲率を示す値であって、検知範囲Cの一部が隣接車線Lbから過度に離れないと推定される値に設定されるが、これに限られず、任意の値に設定可能である。
【0082】
これにより、本実施形態にあっては、運転状態である自車両走行車線Laの曲率に即した検知範囲C41に設定することができる。従って、
図10の例では、他車両Bが自車両走行車線Laへ急な割り込みをした場合に、検知範囲C41に入ることとなって割り込みを検知することができる、すなわち、上記したような他車両Bの割り込みが未検知となることを抑制することができる。
【0083】
上記では、検知距離Dが変更されることで、他車両Bの割り込みの未検知を抑制するようにしたが、これに限定されるものではない。以下、他車両Bの割り込みの未検知を抑制する、検知範囲Cの変更の他の例について
図11~
図14を用いて説明する。
図11~
図14は、検知範囲Cの変更の他の例を説明する図である。
【0084】
図11に示すように、設定部22は、自車両走行車線Laの曲率に応じて、検知範囲Cのうち自車両Aの車幅方向における検知幅Eを変更する。詳しくは、設定部22は、曲率が基準曲率を越えて比較的大きい場合、曲率に応じて検知幅Eがカーブ路の内側へ大きくなるように変更する(カーブ路の内側へ拡げるように変更する)。すなわち、設定部22は、変更後の検知範囲C42の検知幅E42が、変更前の検知幅Eより大きくなるように変更する(E42>E)。
【0085】
これにより、本実施形態にあっては、運転状態である自車両走行車線Laの曲率に即した検知範囲C42に設定することができ、検知範囲C42の一部が隣接車線Lbから離れにくくなる。そのため、上記したような他車両Bの割り込みが未検知となることを抑制することができる。
【0086】
また、
図12に示すように、設定部22は、自車両走行車線Laの曲率に応じて、検知範囲Cをカーブ路の内側へ変位させる。詳しくは、設定部22は、曲率が基準曲率を越えて比較的大きい場合、曲率に応じて検知範囲Cの位置をカーブ路の内側へ変更する、言い換えると、カーブ路の内側へずらすようにする。
図12の例では、変更後の検知範囲を符号C43で示している。
【0087】
これにより、本実施形態にあっては、運転状態である自車両走行車線Laの曲率に即した検知範囲C43に設定することができ、検知範囲C43の一部が隣接車線Lbから離れにくくなる。そのため、上記したような他車両Bの割り込みが未検知となることを抑制することができる。
【0088】
また、
図13に示すように、設定部22は、自車両Aの操舵角に応じて、自車両Aの前後方向に対する検知範囲Cの角度を変更する。ここでは、自車両Aがカーブ路を走行しているため、自車両Aはカーブ路の内側に向けて操舵されることとなる。そのため、検知範囲Cは、操舵角に応じて先端側Cxがカーブ路の内側へずれる。
図13の例では、変更後の検知範囲を符号C44で示している。
【0089】
これにより、本実施形態にあっては、運転状態である自車両Aの操舵角に即した検知範囲C44に設定することができ、検知範囲C44の一部が隣接車線Lbから離れにくくなる。そのため、上記したような他車両Bの割り込みが未検知となることを抑制することができる。
【0090】
また、
図14に示すように、設定部22は、検知範囲Cが自車両走行車線Laの両側を区画する区画線Fの内側に位置するように、検知範囲Cの形状を変更する。
図14の例では、変更後の検知範囲を符号C45で示している。
【0091】
これにより、本実施形態にあっては、両側の区画線Fに沿った検知範囲C45に設定することができ、検知範囲C45の一部が隣接車線Lbから離れない。そのため、上記したような他車両Bの割り込みが未検知となることを抑制することができる。
【0092】
なお、上記した
図10~
図14の説明では、理解の便宜のため、検知範囲Cの変更の例を個別に説明したが、これら各種の検知範囲Cの変更は、適宜に組み合わせることができる。すなわち、例えば
図10~
図12の例を組み合わせ、設定部22は、自車両走行車線Laの曲率に応じて、検知距離Dを長くし、検知幅Eを大きくし、検知範囲Cをカーブ路の内側へ変位させるように、検知範囲Cを変更してもよい。
【0093】
また、上記において、検知範囲が自車両Aの運転状態情報に応じて変更される例を示したが、かかる運転状態情報は、自車両Aの車速などに限定されるものではない。すなわち、例えば、自車両走行車線Laが高速道路などにおける追越車線であることが運転状態情報として取得された場合、設定部22は、自車両Aの速度が比較的高速であることが推定されるため、自車両Aの前後方向における検知距離が長くなるように変更してもよい。すなわち、自車両Aが追越車線を走行している場合、他車両Bの車線変更が急な割り込みであると判定する範囲(検知範囲C)が長くなるように変更してもよい。
【0094】
また、例えば、自車両走行車線Laの傾斜状態が運転状態情報として取得された場合、設定部22は、傾斜状態に応じて自車両Aの前後方向における検知距離を変更するようにしてもよい。一例としては、設定部22は、自車両走行車線Laの傾斜状態が下り傾斜(すなわち下り坂)である場合、自車両Aの速度が増加しやすいことから、検知距離が長くなるように変更してもよい。一方、設定部22は、自車両走行車線Laの傾斜状態が上り傾斜(すなわち上り坂)である場合、自車両Aの速度が減少しやすいことから、検知距離が短くなるように変更してもよい。
【0095】
図2の説明に戻ると、検知部23は、他車両Bの自車両走行車線Laへの割り込みを検知する。例えば、検知部23は、カメラ11によって撮像された撮像画像を解析して、他車両Bを検出する。そして、検知部23は、検出された他車両Bが、設定部22によって設定あるいは変更された検知範囲に入ってきた場合、他車両Bが車線変更し、かかる車線変更が自車両Aから比較的近い位置で行われた急な割り込みであると判定し、他車両Bの割り込みを検知する。
【0096】
検知部23は、他車両Bの割り込みを検知した場合、自車両Aの運転者へ通知することができる。例えば、検知部23は、他車両Bの割り込みを検知したことを示す信号を出力部15へ送信し、出力部15である音声出力部や表示部を介して、他車両Bの割り込みを通知する。これにより、運転者に対して、ブレーキ操作の準備を行うなど割り込みに対応する動作の準備を行うことを促すことが可能になる。
【0097】
なお、他車両Bの割り込みを検知したときの処理は、上記した運転者への通知に限定されるものではなく、その他の処理が行われてもよい。すなわち、検知部23は、他車両Bの割り込みを検知した場合、例えばドライブレコーダに対して、撮像画像を記憶部30に上書きが禁止された状態で記録する指示信号を出力し、割り込みした他車両Bの撮像画像を保存する処理などを行うようにしてもよい。なお、例えば車両検知装置10やカメラ11などは、ドライブレコーダの一部として機能してもよい。
【0098】
ここで、他車両Bが検知範囲Cに入ってきた場合であっても、他車両Bの割り込みではないことがある。そのような場合、本実施形態に係る検知部23は、他車両Bの割り込みと判定しないようする。これについて、
図15を参照しつつ説明する。
図15は、検知部23における割り込み判定処理を説明する図である。
【0099】
図15に示すように、自車両Aと他車両Bとが同一車線(ここでは自車両走行車線La)を走行しているものとする。そして、他車両Bが検知範囲Cの先端側Cxから入ってくる場合、他車両Bの割り込みではないため、検知部23は、他車両Bの割り込みであると判定しない、言い換えると、他車両Bの割り込みであると判定することを禁止する。
【0100】
これにより、検知部23は、同一車線を走行する他車両Bに対して割り込みであると判定することがなく、よって隣接車線Lbを走行する他車両Bの自車両走行車線Laへの割り込みを精度良く検知することができる。
【0101】
<実施形態に係る車両検知装置の制御処理>
次に、車両検知装置10における具体的な処理手順について
図16を用いて説明する。
図16は、車両検知装置10が実行する処理手順を示すフローチャートである。
【0102】
図16に示すように、車両検知装置10の制御部20は、自車両Aの前方の自車両走行車線Laに検知範囲Cを設定する(ステップS10)。次いで、制御部20は、自車両Aの運転状態に関する運転状態情報を取得する(ステップS11)。次いで、制御部20は、取得された運転状態情報に応じて検知範囲Cを変更する(ステップS12)。
【0103】
次いで、制御部20は、設定あるいは変更された検知範囲に他車両Bが進入するなどして、他車両Bの急な割り込みを検知したか否かを判定する(ステップS13)。制御部20は、他車両Bの割り込みを検知したと判定された場合(ステップS13,Yes)、例えば自車両Aの運転者へ通知などの割り込み対応処理を実行する(ステップS14)。
【0104】
一方、制御部20は、他車両Bの割り込みを検知していないと判定された場合(ステップS13,No)、ステップS11に戻ってステップS11以降の処理を実行する。
【0105】
上述してきたように、実施形態に係る車両検知装置10は、設定部22と、取得部21とを備える。設定部22は、自車両Aが走行する自車両走行車線Laと隣接する隣接車線Lbを走行する他車両Bの自車両走行車線Laへの割り込みを検知する検知範囲Cを設定する。取得部21は、自車両Aの運転状態に関する運転状態情報を取得する。また、設定部22は、取得部21によって取得された運転状態情報に応じて検知範囲Cを変更する。これにより、他車両Bの自車両走行車線Laへの割り込みを検知する検知範囲Cを適切に設定して、割り込みの検知精度を向上させることができる。
【0106】
なお、上記した実施形態において、カメラ11の撮像画像を用いて他車両Bの割り込みを検知する検知範囲の設定等について説明したが、検知範囲は上記に限定されるものではない。すなわち、レーダ装置などその他の装置を用いて他車両Bの割り込みを検知する検知範囲の設定等についても、本実施形態に係る車両検知装置10を適用することができる。
【0107】
さらなる効果や変形例は、当業者によって容易に導き出すことができる。このため、本発明のより広範な態様は、以上のように表しかつ記述した特定の詳細および代表的な実施形態に限定されるものではない。したがって、添付の特許請求の範囲およびその均等物によって定義される総括的な発明の概念の精神または範囲から逸脱することなく、様々な変更が可能である。
【符号の説明】
【0108】
1 車両検知システム
10 車両検知装置
20 制御部
21 取得部
22 設定部
23 検知部