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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022181792
(43)【公開日】2022-12-08
(54)【発明の名称】撮像装置
(51)【国際特許分類】
   G03B 17/02 20210101AFI20221201BHJP
   G03B 15/00 20210101ALI20221201BHJP
   G02B 7/02 20210101ALI20221201BHJP
   G03B 11/00 20210101ALI20221201BHJP
   G02B 7/04 20210101ALI20221201BHJP
   H04N 5/225 20060101ALI20221201BHJP
【FI】
G03B17/02
G03B15/00 V
G02B7/02 Z
G03B11/00
G02B7/04 D
G02B7/02 E
H04N5/225 100
H04N5/225 600
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021088955
(22)【出願日】2021-05-27
(71)【出願人】
【識別番号】000001225
【氏名又は名称】日本電産コパル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109896
【弁理士】
【氏名又は名称】森 友宏
(72)【発明者】
【氏名】中村 優太
【テーマコード(参考)】
2H044
2H083
2H100
5C122
【Fターム(参考)】
2H044AE02
2H044AJ01
2H044AJ06
2H044BD02
2H083AA04
2H083AA26
2H083AA32
2H100AA11
2H100AA18
2H100BB05
2H100CC02
2H100CC04
5C122DA14
5C122EA54
5C122FB08
5C122FB17
5C122GE01
5C122GE05
5C122GE11
5C122GG17
(57)【要約】
【課題】コンパクトな構成によりレンズ鏡筒を光軸方向に移動させることができる撮像装置を提供する。
【解決手段】撮像装置1は、雌ネジ部24Aを有する鏡筒収容部24が形成されたフロントケース2と、鏡筒収容部24の内部に取付可能なレンズ鏡筒20とを備える。レンズ鏡筒20は、レンズ22を保持するレンズバレル23を有する。撮像装置1は、レンズ鏡筒20のレンズ23を通過した光を受光する撮像素子32をさらに備える。レンズバレル23は、鏡筒収容部24の雌ネジ部24Aに螺合する雄ネジ部81と、外周部の一部に操作部25が形成されたフランジ部82とを含む。フロントケース2には、鏡筒収容部24の内部に位置するフランジ部82を上方に露出させる切欠き部24Cが形成される。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
雌ネジ部を有する鏡筒収容部が形成された筐体と、
前記筐体の前記鏡筒収容部の内部に取付可能なレンズ鏡筒であって、
少なくとも1つのレンズと、
前記少なくとも1つのレンズを保持するレンズバレルと
を有するレンズ鏡筒と、
前記レンズ鏡筒の前記少なくとも1つのレンズを通過した光を受光する撮像素子と
を備え、
前記レンズ鏡筒の前記レンズバレルは、
前記筐体の前記鏡筒収容部の前記雌ネジ部に螺合する雄ネジ部と、
前記雄ネジ部の前方に位置し、外周部の少なくとも一部に操作部が形成されたフランジ部と、
を含み、
前記筐体には、前記鏡筒収容部の内部に位置する前記フランジ部を上方に露出させる切欠き部が形成される、
撮像装置。
【請求項2】
前記筐体の上面の前縁には上側凹部が形成され、
前記筐体の前記鏡筒収容部の一部と前記上側凹部とは前記切欠き部を通じて連通する、
請求項1に記載の撮像装置。
【請求項3】
前記筐体の前記鏡筒収容部を覆うように前記筐体に取り付けられるカバー部材であって、前記筐体の前記上側凹部に配置される第1のカバー片を有するカバー部材をさらに備える、請求項2に記載の撮像装置。
【請求項4】
前記カバー部材の前記第1のカバー片には、前記レンズ鏡筒の前記レンズバレルの前記フランジ部との干渉を避けるための逃げ凹部が形成される、請求項3に記載の撮像装置。
【請求項5】
前記筐体の前面の上縁には前側凹部が形成され、
前記カバー部材は、前記筐体の前記前側凹部に配置される第2のカバー片を有する、
請求項3又は4に記載の撮像装置。
【請求項6】
前記カバー部材は、特定の波長の光の透過を抑制するように構成される、請求項3から5のいずれか一項に記載の撮像装置。
【請求項7】
前記筐体の前記鏡筒収容部の内周壁と前記フランジ部の前記操作部との間には間隙が形成される、請求項1から6のいずれか一項に記載の撮像装置。
【請求項8】
前記レンズ鏡筒の中心軸は、前記筐体の下面よりも上面に近い位置にある、請求項1から7のいずれか一項に記載の撮像装置。
【請求項9】
前記筐体に形成された窓部を通して光を出射する少なくとも1つの光源をさらに備える、請求項1から8のいずれか一項に記載の撮像装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、撮像装置に係り、特にレンズを保持するレンズ鏡筒の位置を光軸方向に移動可能な撮像装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、自動車などの事故を防止するため、運転者の状態(注意力の低下や居眠りの兆候など)をモニタリングするドライバモニタリングシステム(DMS)の開発が進んでいる。このようなDMSとして、近赤外光などの光で運転者を照明しつつ運転者を撮像する撮像装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。このような撮像装置は自動車のダッシュボードやインストルメントパネルなどの化粧部に埋設されることが多いが、車室のデザインに影響を与えないようになるべくコンパクトにすることが求められている。
【0003】
このような撮像装置においては、レンズを保持するレンズ鏡筒に形成した雄ネジを筐体に形成した雌ネジに螺合させることで、レンズ鏡筒の位置を光軸方向に移動できるようにしてピント位置を調整することがなされている。例えば、レンズ鏡筒を外周側から治具で把持してレンズ鏡筒を回転させることでレンズ鏡筒を光軸方向に移動させている。この場合においては、レンズ鏡筒を外周側から治具で把持する必要があるため、レンズ鏡筒の周囲に治具を挿入するためのスペースを確保する必要がある。このため、筐体の寸法、特に高さ方向の寸法が大きくなる傾向にある。このような観点から、撮像装置の筐体の寸法を効果的に小さくすることができる技術が求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2019-95541号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、このような従来技術の問題点に鑑みてなされたもので、コンパクトな構成によりレンズ鏡筒を光軸方向に移動させることができる撮像装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様によれば、コンパクトな構成によりレンズ鏡筒を光軸方向に移動させることができる撮像装置が提供される。この撮像装置は、雌ネジ部を有する鏡筒収容部が形成された筐体と、上記筐体の上記鏡筒収容部の内部に取付可能なレンズ鏡筒とを備える。上記レンズ鏡筒は、少なくとも1つのレンズと、上記少なくとも1つのレンズを保持するレンズバレルとを有する。上記撮像装置は、上記レンズ鏡筒の上記少なくとも1つのレンズを通過した光を受光する撮像素子をさらに備える。上記レンズ鏡筒の上記レンズバレルは、上記筐体の上記鏡筒収容部の上記雌ネジ部に螺合する雄ネジ部と、上記雄ネジ部の前方に位置し、外周部の少なくとも一部に操作部が形成されたフランジ部とを含む。上記筐体には、上記鏡筒収容部の内部に位置する上記フランジ部を上方に露出させる切欠き部が形成される。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1図1は、本発明の一実施形態における撮像装置を示す斜視図である。
図2図2は、図1に示す撮像装置の分解斜視図である。
図3図3は、図1に示す撮像装置の縦断面図である。
図4図4は、図3のA-A線断面図である。
図5図5は、図1に示す撮像装置を自動車の車室に組み込んだ例を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明に係る撮像装置の実施形態について図1から図5を参照して詳細に説明する。図1から図5において、同一又は相当する構成要素には、同一の符号を付して重複した説明を省略する。また、図1から図5においては、各構成要素の縮尺や寸法が誇張されて示されている場合や一部の構成要素が省略されている場合がある。以下の説明では、特に言及がない場合には、「第1」や「第2」などの用語は、構成要素を互いに区別するために使用されているだけであり、特定の順位や順番を表すものではない。
【0009】
図1は、本発明の一実施形態における撮像装置1を示す斜視図、図2は、撮像装置1の分解斜視図である。本実施形態における撮像装置1は、上述したようなドライバモニタリングシステム(DMS)において用いられる撮像装置であるものとして説明するが、本発明に係る撮像装置は他の用途にも用いることが可能であることは言うまでもない。
【0010】
図1及び図2に示すように、この撮像装置1は、フロントケース2とリアケース3とから構成される筐体4を備えており、この筐体4の内部には、例えば近赤外光を出射する光源として2つのLED(発光ダイオード)31と、内部に少なくとも1つのレンズ22を保持するレンズ鏡筒20とが収容されている。なお、図1においては、理解を容易にするために、後述するカバー部材60の図示を省略している。また、本実施形態では、便宜的に、図1における+Y方向を「前」又は「前方」といい、-Y方向を「後」又は「後方」ということとする。また、図1における+Z方向を「上」又は「上方」といい、-Z方向を「下」又は「下方」ということとする。
【0011】
撮像装置1のフロントケース2とリアケース3との間には、LED31と撮像素子32が実装された回路基板30が収容されており、リアケース3の内部には信号ノイズを低減するためのシールド部材45が配置されている。回路基板30は、全体としてX方向(幅方向)に延びており、回路基板30の後面には、LEDコネクタ41及びカメラコネクタ42が取り付けられている。回路基板30及びリアケース3は、ネジ52によってフロントケース2に固定されている。
【0012】
リアケース3は、後方(-Y方向)に延びる円筒部51を有しており、この円筒部51の内部にカメラコネクタ42が挿入及び収容される。このカメラコネクタ42にはリアケース3の後方から相手方コネクタ(図示せず)を接続できるようになっており、撮像素子32で得られた信号がカメラコネクタ42を介して外部に出力されるようになっている。また、LEDコネクタ41の後端部はリアケース3から突出して外部に露出しており、このLEDコネクタ41にはリアケース3の後方から相手方コネクタ(図示せず)を接続できるようになっている。これにより、LEDコネクタ41を介してLED31に制御信号が入力されるようになっている。
【0013】
図2に示すように、フロントケース2の上面2Aの前縁には、-Z方向に凹んだ凹部11(上側凹部)が形成されており、フロントケース2の前面2Bの上縁には、-Y方向に凹んだ凹部12(前側凹部)が形成されている。前側凹部12の幅方向の略中央には、レンズ鏡筒20を収容する鏡筒収容部24が形成され、この鏡筒収容部24を挟んで幅方向の両側に窓部(開口)26が形成されている。鏡筒収容部24は、内部に雌ネジ部24Aを有している。このように、本実施形態では、フロントケース2の前側凹部12に鏡筒収容部24と窓部26とが幅方向に並んで形成されている。
【0014】
フロントケース2の前方には、フロントケース2の鏡筒収容部24及び窓部26の前方を覆うカバー部材60が取り付けられている。このカバー部材60は、図示しない接着材や両面テープなどによりフロントケース2に取り付けられる。また、このカバー部材60は、LED31から発される光を透過する材料から形成される。本実施形態では、LED31から近赤外光を出射し、撮像素子32では近赤外光の画像を取得するため、撮像素子32で得られる画像に対する可視光の影響を低減するためにカバー部材60として可視光波長域の光をカットする可視光カットフィルタを用いることができる。
【0015】
図3は撮像装置1の縦断面図である。図2及び図3に示すように、カバー部材60は、フロントケース2の上側凹部11内に配置される第1のカバー片61と、フロントケース2の前側凹部12内に配置される第2のカバー片62とを有している。第1のカバー片61はXY平面に沿って延び、第2のカバー片62はXZ平面に沿って延びており、第1のカバー片61と第2のカバー片62とは互いに直角に交差している。
【0016】
図3に示すように、カバー部材60の第1のカバー片61のZ方向に沿った厚さは、フロントケース2の上側凹部11のZ方向に沿った深さと略同一である。また、カバー部材60の第2のカバー片62のY方向に沿った厚さは、フロントケース2の前側凹部12のY方向に沿った深さと略同一である。このため、カバー部材60をフロントケース2に取り付けた状態では、フロントケース2の上面2Aと第1のカバー片61の表面とが略同一平面となる。したがって、フロントケース2の前面2Bと第2のカバー片62の表面とが略同一平面となり、撮像装置1の一体感が高まる。
【0017】
図3に示すように、レンズ鏡筒20は、1つ以上のレンズ22と、レンズ22を保持するレンズバレル23とを含んでいる。なお、図3の断面図においては、簡略化のために、複数のレンズをまとめて1つのレンズ22として模式的に示している。
【0018】
レンズバレル23は、フロントケース2の鏡筒収容部24の雌ネジ部24Aに螺合する雄ネジ部81と、雄ネジ部81の前方に位置するフランジ部82とを含んでいる。このフランジ部82は雄ネジ部81よりも径が大きくなっている。このレンズ鏡筒20の雄ネジ部81をフロントケース2の鏡筒収容部24の雌ネジ部24Aに螺合させることで、レンズ鏡筒20がフロントケース2の鏡筒収容部24の内部に取り付けられる。
【0019】
図3に示すように、撮像素子32は、レンズ鏡筒20のレンズ22を通過した光が結像する面に配置されており、レンズ22を通過した光を受光するように構成されている。また、図3に示すように、レンズ鏡筒20の中心軸(光軸)Pは、フロントケース2の上面2Aと下面2Cとの間の中央よりも上方に位置している。すなわち、レンズ鏡筒20の中心軸Pは、フロントケース2の下面2Cよりも上面2Aに近い位置にある。撮像装置1を車内のダッシュボードやインストルメントパネルなどの化粧部に埋設する場合には、レンズ鏡筒20以外の部分は化粧部に埋め込むことができる。したがって、このようにレンズ鏡筒20をフロントケース2内で上方寄りに配置することで、撮像装置1が化粧部から突出する高さを低くすることができる。これにより、撮像装置1が車室のデザインに与える影響を少なくすることができる。
【0020】
図4図3のA-A線断面図であるが、理解を容易にするためにレンズ鏡筒20を除く部材を断面で示している。先に説明した図3は、図4のB-B線断面に相当するものである。図4に示すように、フロントケース2の窓部26の後方には、回路基板30に実装されたLED31が位置している。このような構成により、フロントケース2の窓部26を通じてLED31からの光(照明光)を出射して撮影対象物(例えば運転者)を照明することができる。このように、本実施形態では、LED31からの光によって照明を行いつつ、撮像素子32による撮像を行うことができるので、より高品質の画像を取得することができる。
【0021】
図4に示すように、本実施形態では、レンズバレル23のフランジ部82の円筒状の外周部の一部が切り欠かれており、これにより治具(図示せず)によって把持可能な操作部25が形成されている。また、フロントケース2の鏡筒収容部24の内周壁24Bとフランジ部82の操作部25との間には上記治具が挿入できる程度の間隙Gが形成されている。
【0022】
図1に戻って、フロントケース2の上側凹部11には、鏡筒収容部24と上側凹部11とを連通する切欠き部24Cが形成されている。この切欠き部24Cを介して、鏡筒収容部24の内部に位置するフランジ部82が上方に露出するようになっている。このような構成によれば、カバー部材60をフロントケース2に取り付ける前に、レンズ鏡筒20のフランジ部82の上部をフロントケース2の切欠き部24Cを通じて露出させることが可能となる。したがって、フランジ部82の上方に操作部25にアクセスするための空間を確保することができ、治具で操作部25を把持してレンズ鏡筒20を回転させることが容易になる。これにより、レンズバレル23の雄ネジ部81と鏡筒収容部24の雌ネジ部24Aとの螺合を介してレンズ鏡筒20をY方向(光軸方向)に移動させてレンズ鏡筒20の位置を調整することができる。このようにレンズ鏡筒20をY方向に移動させることによって撮像素子32によって得られる画像のピント位置を調整することができる。
【0023】
また、レンズ鏡筒20の光軸方向の位置を調整した後は、フロントケース2の上面2Aに形成された上側凹部11にカバー部材60の第1のカバー片61が配置されるので、上述のように露出したレンズ鏡筒20のフランジ部82を第1のカバー片61で覆うことができる。この第1のカバー片61はフロントケース2の上面2Aに形成された上側凹部11に配置されるため、カバー部材60によって筐体4の厚さが増加することが抑制され、撮像装置1をコンパクト化できる。
【0024】
また、本実施形態においては、カバー部材60の第2のカバー片62がフロントケース2の前側凹部12に配置されているため、フロントケース2の鏡筒収容部24に収容されているレンズ鏡筒20がカバー部材60の第2のカバー片62によって保護される。また、この第2のカバー片62はフロントケース2の前面2Bに形成された前側凹部12に配置されているため、カバー部材60によって筐体4の奥行き(Y方向の長さ)が増加することが抑制され、撮像装置1をコンパクト化できる。
【0025】
また、本実施形態のカバー部材60の第1のカバー片61のレンズ鏡筒20のフランジ部82に対面する部分には、図4に示すように、レンズ鏡筒20のフランジ部82との干渉を避けるための逃げ凹部61Aが形成されている。このような逃げ凹部61Aを形成することにより、第1のカバー片61の他の部分での厚さを維持しつつ、第1のカバー片61とレンズバレル23のフランジ部82との干渉を避けることができる。すなわち、カバー部材60の強度を維持しつつ、第1のカバー片61の厚さを最小限にして撮像装置1をさらにコンパクト化することができる。
【0026】
なお、本実施形態における操作部25は円筒状のフランジ部82の外周部の一部を切り欠くことによって形成されているが、操作部25はこれに限られるものではなく、円筒状のレンズバレル23の外周部から突出する突起を操作部25とすることもできる。
【0027】
また、本実施形態では、フロントケース2の上側凹部11に切欠き部24Cが形成されているが、フロントケース2に上側凹部11を形成せずにフロントケース2の上面2Aに切欠き部24Cを形成してもよい。また、カバー部材60は必須のものではない。
【0028】
本明細書において使用した用語「上」、「下」、「上方」、「下方」、「上側」、「下側」、「前」、「前方」、「後」、「後方」、「幅方向」、「高さ方向」、その他の位置関係を示す用語は、図示した実施形態との関連において要素間の相対的な関係を特定するために使用されているだけであり、絶対的な位置関係を特定するものではない。したがって、撮像装置1の位置や姿勢が変われば、それに応じてこれらの用語が意味する方向も変化することに留意されたい。例えば、図5の撮像装置1Aのように、上述した撮像装置1を自動車の運転席Dと助手席Qとの間のダッシュボード100に埋め込んでもよく、この場合には上述した「上」や「上方」は鉛直上方を意味し、「下」や「下方」は鉛直下方を意味する。あるいは、図5の撮像装置1Bのように、上述した撮像装置1を自動車のルーフ部102に埋め込んでもよく、この場合には上述した「上」や「上方」は鉛直下方を意味し、「下」や「下方」は鉛直上方を意味することとなる。このような撮像装置1のLED31から例えば赤外線などを運転席Dに向かって照射し、レンズ22を通して撮像素子32によって撮像された運転者の画像から運手者の状態を分析する。
【0029】
以上述べたように、本発明の一態様によれば、コンパクトな構成によりレンズ鏡筒を光軸方向に移動させることができる撮像装置が提供される。この撮像装置は、雌ネジ部を有する鏡筒収容部が形成された筐体と、上記筐体の上記鏡筒収容部の内部に取付可能なレンズ鏡筒とを備える。上記レンズ鏡筒は、少なくとも1つのレンズと、上記少なくとも1つのレンズを保持するレンズバレルとを有する。上記撮像装置は、上記レンズ鏡筒の上記少なくとも1つのレンズを通過した光を受光する撮像素子をさらに備える。上記レンズ鏡筒の上記レンズバレルは、上記筐体の上記鏡筒収容部の上記雌ネジ部に螺合する雄ネジ部と、上記雄ネジ部の前方に位置し、外周部の少なくとも一部に操作部が形成されたフランジ部とを含む。上記筐体には、上記鏡筒収容部の内部に位置する上記フランジ部を上方に露出させる切欠き部が形成される。
【0030】
このような撮像装置によれば、カバー部材を筐体に取り付ける前に、レンズ鏡筒のフランジ部の上部を筐体の切欠き部を通じて露出させることが可能となる。したがって、フランジ部の上方に操作部にアクセスするための空間を確保することができ、治具で操作部を把持してレンズ鏡筒を回転させることが容易になる。これにより、レンズバレルの雄ネジ部と鏡筒収容部の雌ネジ部との螺合を介してレンズ鏡筒を光軸方向に移動させてレンズ鏡筒の位置を調整することができる。
【0031】
上記筐体の上面の前縁には上側凹部が形成されていてもよい。この場合には、上記筐体の上記鏡筒収容部の一部と上記上側凹部とが上記切欠き部を通じて連通していてもよい。また、上記撮像装置は、上記筐体の上記鏡筒収容部を覆うように上記筐体に取り付けられるカバー部材をさらに備えていてもよく、このカバー部材は、上記筐体の上記上側凹部に配置される第1のカバー片を有することが好ましい。
【0032】
このような構成によれば、レンズ鏡筒の光軸方向の位置を調整した後は、筐体の上面に形成された上側凹部に第1のカバー片が配置されるので、上述のように露出したレンズ鏡筒のフランジ部を第1のカバー片で覆うことができる。この第1のカバー片は筐体の上面に形成された上側凹部に配置されるため、カバー部材によって筐体の厚さが増加することが抑制され、撮像装置をコンパクト化できる。
【0033】
上記カバー部材の上記第1のカバー片には、上記レンズ鏡筒の上記レンズバレルの上記フランジ部との干渉を避けるための逃げ凹部が形成されていてもよい。このような逃げ凹部を形成することにより、第1のカバー片の他の部分での厚さを維持しつつ、第1のカバー片とレンズバレルのフランジ部との干渉を避けることができる。すなわち、カバー部材の強度を維持しつつ、第1のカバー片の厚さを最小限にして撮像装置をさらにコンパクト化することができる。
【0034】
また、上記筐体の前面の上縁には前側凹部が形成されていることが好ましい。また、上記カバー部材は、上記筐体の上記前側凹部に配置される第2のカバー片を有することが好ましい。この場合には、カバー部材の第2のカバー片によって筐体の鏡筒収容部に収容されているレンズ鏡筒を保護することが可能となる。また、この第2のカバー片は筐体の前面に形成された前側凹部に配置されるため、カバー部材によって筐体の奥行きが増加することが抑制され、撮像装置をコンパクト化できる。
【0035】
上記筐体の上記鏡筒収容部の内周壁と上記フランジ部の上記操作部との間には間隙が形成されていることが好ましい。この場合には、鏡筒収容部の内周壁とフランジ部の操作部との間の間隙に治具を挿入することができるため、レンズ鏡筒を回転させることが容易になる。
【0036】
上記レンズ鏡筒の中心軸は、上記筐体の下面よりも上面に近い位置にあることが好ましい。例えば、撮像装置を車内のダッシュボードやインストルメントパネルなどの化粧部に埋設する場合には、レンズ鏡筒以外の部分は化粧部に埋め込むことができるため、このようにレンズ鏡筒を筐体内で上方寄りに配置することで、撮像装置が化粧部から突出する高さを低くすることができる。したがって、撮像装置が車室のデザインに与える影響を少なくすることができる。
【0037】
上記撮像装置は、上記筐体に形成された窓部を通して光を出射する少なくとも1つの光源をさらに備えていてもよい。このような構成によれば、光源からの光によって照明を行いつつ、撮像素子による撮像を行うことができるので、より高品質の画像を取得することができる。この場合において、撮像素子で得られる画像の質を向上させるために、上記カバー部材は、特定の波長の光の透過を抑制するように構成されていることが好ましい。
【0038】
これまで本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されず、その技術的思想の範囲内において種々異なる形態にて実施されてよいことは言うまでもない。
【符号の説明】
【0039】
1 撮像装置
2 フロントケース
2A 上面
2B 前面
2C 下面
3 リアケース
4 筐体
11 上側凹部
12 前側凹部
20 レンズ鏡筒
22 レンズ
23 レンズバレル
24 鏡筒収容部
24A 雌ネジ部
24B 内周壁
24C 切欠き部
25 操作部
26 窓部
30 回路基板
31 LED(光源)
32 撮像素子
60 カバー部材
61 第1のカバー片
61A 逃げ凹部
62 第2のカバー片
81 雄ネジ部
82 フランジ部
G 間隙
図1
図2
図3
図4
図5