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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022181798
(43)【公開日】2022-12-08
(54)【発明の名称】プリンタ
(51)【国際特許分類】
   H02J 50/50 20160101AFI20221201BHJP
   H02J 50/10 20160101ALI20221201BHJP
   H02J 7/00 20060101ALI20221201BHJP
   B41J 3/36 20060101ALI20221201BHJP
【FI】
H02J50/50
H02J50/10
H02J7/00 301D
H02J7/00 A
B41J3/36 T
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021088963
(22)【出願日】2021-05-27
(71)【出願人】
【識別番号】000005267
【氏名又は名称】ブラザー工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104178
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 尚
(74)【代理人】
【識別番号】100152515
【弁理士】
【氏名又は名称】稲山 朋宏
(72)【発明者】
【氏名】柴 国偉
(72)【発明者】
【氏名】酒井 勇士
(72)【発明者】
【氏名】安田 勝
【テーマコード(参考)】
2C055
5G503
【Fターム(参考)】
2C055CC00
2C055CC01
2C055CC03
5G503AA01
5G503BA02
5G503BB01
5G503CA08
5G503CA10
5G503CC01
5G503CC02
5G503DA07
5G503DA19
5G503EA05
5G503GB01
5G503GB06
5G503GB08
(57)【要約】
【課題】プリンタ電池を充電する為の第1電力と、機器電池を充電する為の第2電力との比率を、給電装置により給電可能な最大の電力に応じて切り替えることが可能なプリンタを提供する。
【解決手段】プリンタは、給電装置から非接触で送電される電力を受電する受電部56と、受電部56により受電した電力による充電が可能な電池であるプリンタ電池5Bと、プリンタ電池5Bに充電された電力により駆動し、被印刷媒体に印刷を行う印刷部と、受電部56が受電した電力を、充電が可能な電池である機器電池を有する電子機器に非接触で送電する送電部57とを有する。プリンタは、給電装置が送電可能な最大の電力である最大電力を取得する。プリンタは、取得した最大電力に基づき、受電部56が受電した電力を、プリンタ電池5Bを充電する為の第1電力、及び、送電部57から送電する為の第2電力に分配する分配率を決定する。
【選択図】図10
【特許請求の範囲】
【請求項1】
給電装置から非接触で送電される電力を受電する受電部と、
前記受電部により受電した電力による充電が可能な電池であるプリンタ電池と、
前記プリンタ電池に充電された電力により駆動し、被印刷媒体に印刷を行う印刷部と、
前記受電部が受電した電力を、充電が可能な電池である機器電池を有する電子機器に非接触で送電する送電部と、
前記給電装置が送電可能な最大の電力である最大電力を取得する第1取得手段と、
前記第1取得手段により取得した前記最大電力に基づき、前記受電部が受電した電力を、前記プリンタ電池を充電する為の第1電力、及び、前記送電部から送電する為の第2電力に分配する分配率を決定する決定手段と
を備えたことを特徴とするプリンタ。
【請求項2】
前記印刷部による印刷動作の状態を判定する判定手段を備え、
前記決定手段は、
前記第1取得手段により取得した前記最大電力が所定閾値以上の場合且つ前記判定手段により印刷動作中であると判定された場合、前記第1電力の方が前記第2電力よりも大きい第1分配率を決定し、且つ、
前記第1取得手段により取得した前記最大電力が前記所定閾値以上の場合且つ前記判定手段により印刷動作中でないと判定された場合、前記第2電力の方が前記第1電力よりも大きい第2分配率を決定する第1決定手段を備えたことを特徴とする請求項1に記載のプリンタ。
【請求項3】
前記第1分配率及び前記第2分配率を受け付ける受付手段を備え、
前記第1決定手段は、
前記受付手段により受け付けた前記第1分配率又は前記第2分配率を決定することを特徴とする請求項2に記載のプリンタ。
【請求項4】
前記プリンタ電池の残容量を取得する第2取得手段を備え、
前記決定手段は、
前記第2取得手段により取得した前記プリンタ電池の残容量に応じて前記分配率を決定する第2決定手段を備えたことを特徴とする請求項1から3の何れかに記載のプリンタ。
【請求項5】
前記機器電池の残容量を取得する第3取得手段を備え、
前記決定手段は、
前記第3取得手段により取得した前記機器電池の残容量に応じて前記分配率を決定する第3決定手段を備えたことを特徴とする請求項1から4の何れかに記載のプリンタ。
【請求項6】
前記プリンタ電池の充電を優先する第1モード、又は、前記機器電池の充電を優先する第2モードを選択的に設定する設定手段を備え、
前記決定手段は、
前記第1取得手段により取得した前記最大電力が所定閾値以上の場合且つ前記設定手段により前記第1モードに設定されている場合、前記第1電力の方が前記第2電力よりも大きい第1分配率を決定し、
前記第1取得手段により取得した前記最大電力が前記所定閾値以上の場合且つ前記設定手段により前記第2モードに設定されている場合、前記第2電力の方が前記第1電力よりも大きい第2分配率を決定する第4決定手段を備えたことを特徴とする請求項1に記載のプリンタ。
【請求項7】
前記送電部は、前記受電部が受電した電力に加えて、前記プリンタ電池に充電された電力を送電可能であり、
前記第1取得手段により取得した前記最大電力が所定閾値未満の場合、前記プリンタ電池に充電された電力を、前記送電部により送電する第1制御手段を更に備えたことを特徴とする請求項1から6の何れかに記載のプリンタ。
【請求項8】
前記決定手段により決定した前記分配率で分配された前記第1電力により前記プリンタ電池を充電し、且つ、前記第2電力を前記送電部により送電する第2制御手段と、
前記第2制御手段により前記プリンタ電池の充電が完了した場合には、前記受電部が受電した電力がすべて前記送電部に送電されるように変更し、前記第2制御手段により前記機器電池の充電が完了した場合には、前記受電部が受電した電力のすべてが前記プリンタ電池の充電に使用されるように前記分配率を変更する変更手段と
を備えたことを特徴とする請求項1から7の何れかに記載のプリンタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プリンタに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、受電ユニットと送電ユニットとを備えたプリンタを開示する。受電ユニットは、給電装置から非接触で電力を受電する。プリンタは、受電した電力により、プリンタが備える充電式のバッテリー(以下、「プリンタ電池」という。)を充電する。送電ユニットは、商用電源から入力した交流を直流に変換して得た電力を、電子機器に非接触で送電する。電子機器に送電された電力により、電子機器が備える充電式のバッテリー(以下、「機器電池」という。)が充電される。又、プリンタは、印刷動作時に行われる駆動信号生成処理と、受電ユニット及び送電ユニットを駆動する電力伝達処理とを排他的に実行する。プリンタは、印刷モードや、プリンタ電池の充電容量等に応じ、駆動信号生成処理と電力伝達処理との何れか一方を優先して実行する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2017-81079号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記において、商用電源から得られた電力の代わりに、受電ユニットで受電される電力を、送電ユニットにより電子機器に送電する構成も考えられる。この場合、受電ユニットで受電される電力を、プリンタ電池を充電する為の電力(以下、「第1電力」という。)と、送電ユニットにより送電して機器電池を充電する為の電力(以下、「第2電力」という。)とに分配する必要がある。ここで、第1電力及び第2電力の比率は、給電装置により給電可能な最大の電力に応じて切り替えられることが好ましい。
【0005】
本発明の目的は、プリンタ電池を充電する為の第1電力と、機器電池を充電する為の第2電力との比率を、給電装置により給電可能な最大の電力に応じて切り替えることが可能なプリンタを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係るプリンタは、給電装置から非接触で送電される電力を受電する受電部と、前記受電部により受電した電力による充電が可能な電池であるプリンタ電池と、前記プリンタ電池に充電された電力により駆動し、被印刷媒体に印刷を行う印刷部と、前記受電部が受電した電力を、充電が可能な電池である機器電池を有する電子機器に非接触で送電する送電部と、前記給電装置が送電可能な最大の電力である最大電力を取得する第1取得手段と、前記第1取得手段により取得した前記最大電力に基づき、前記受電部が受電した電力を、前記プリンタ電池を充電する為の第1電力、及び、前記送電部から送電する為の第2電力に分配する分配率を決定する決定手段とを備えたことを特徴とする。
【0007】
本発明によれば、プリンタは、給電装置が送電可能な最大の電力である最大電力に基づき、第1電力(プリンタ電池を充電する為の電力)及び第2電力(機器電池を充電する為の電力)の分配率を決定できる。
【0008】
本発明において、前記印刷部による印刷動作の状態を判定する判定手段を備え、前記決定手段は、前記第1取得手段により取得した前記最大電力が所定閾値以上の場合且つ前記判定手段により印刷動作中であると判定された場合、前記第1電力の方が前記第2電力よりも大きい第1分配率を決定し、且つ、前記第1取得手段により取得した前記最大電力が前記所定閾値以上の場合且つ前記判定手段により印刷動作中でないと判定された場合、前記第2電力の方が前記第1電力よりも大きい第2分配率を決定する第1決定手段を備えてもよい。この場合、プリンタは、印刷動作中の時に、プリンタ電池を充電する為の第1電力を相対的に大きくし、印刷停止中の時に、機器電池を充電する為の第2電力を相対的に大きくできる。このため、プリンタは、プリンタ電池に充電された電力で印刷動作を適切に実行しつつ、印刷停止中に機器電池を効率的に充電できる。
【0009】
本発明において、前記第1分配率及び前記第2分配率を受け付ける受付手段を備え、前記第1決定手段は、前記受付手段により受け付けた前記第1分配率又は前記第2分配率を決定してもよい。この場合、ユーザは、第1分配率及び第2分配率を所望の値に設定できる。
【0010】
本発明において、前記プリンタ電池の残容量を取得する第2取得手段を備え、前記決定手段は、前記第2取得手段により取得した前記プリンタ電池の残容量に応じて前記分配率を決定する第2決定手段を備えてもよい。この場合、プリンタは、プリンタ電池の残容量に基づき、適切な分配率を決定できる。
【0011】
本発明において、前記機器電池の残容量を取得する第3取得手段を備え、前記決定手段は、前記第3取得手段により取得した前記機器電池の残容量に応じて前記分配率を決定する第3決定手段を備えてもよい。この場合、プリンタは、機器電池の残容量に基づき、適切な分配率を決定できる。
【0012】
本発明において、前記プリンタ電池の充電を優先する第1モード、又は、前記機器電池の充電を優先する第2モードを選択的に設定する設定手段を備え、前記決定手段は、前記第1取得手段により取得した前記最大電力が所定閾値以上の場合、且つ前記設定手段により前記第1モードに設定されている場合、前記第1電力の方が前記第2電力よりも大きい第1分配率を決定し、前記第1取得手段により取得した前記最大電力が前記所定閾値以上の場合、且つ前記設定手段により前記第2モードに設定されている場合、前記第2電力の方が前記第1電力よりも大きい第2分配率を決定する第4決定手段を備えてもよい。この場合、ユーザは、プリンタ電池の充電を優先して行うか、機器電池の充電を優先して行うかを設定できる。
【0013】
本発明において、前記送電部は、前記受電部が受電した電力に加えて、前記プリンタ電池に充電された電力を送電可能であり、前記第1取得手段により取得した前記最大電力が所定閾値未満の場合、前記プリンタ電池に充電された電力を、前記送電部により送電する第1制御手段を更に備えてもよい。プリンタは、給電装置により給電可能な最大電力が不足する場合、プリンタ電池の電力により機器電池を充電できる。
【0014】
本発明において、前記決定手段により決定した前記分配率で分配された前記第1電力により前記プリンタ電池を充電し、且つ、前記第2電力を前記送電部により送電する第2制御手段と、前記第2制御手段により前記プリンタ電池の充電が完了した場合には、前記受電部が受電した電力がすべて前記送電部に送電されるように変更し、前記第2制御手段により前記機器電池の充電が完了した場合には、前記受電部が受電した電力のすべてが前記プリンタ電池の充電に使用されるように変更する変更手段とを備えてもよい。プリンタは、プリンタ電池及び機器電池のうち一方の充電が完了した場合、プリンタ電池及び機器電池のうち他方を充電する為の電力を増加させることができる。このため、プリンタは、プリンタ電池及び機器電池の充電が完了するのに要する時間を短縮できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】プリンタ1、給電装置2、及び電子機器3の斜視図である。
図2】プリンタ1、給電装置2、及び電子機器3の電源系統図である。
図3】プリンタ1の電気的構成を示すブロック図である。
図4】メイン処理のフローチャートである。
図5】メイン処理のフローチャートであって、図4の続きである。
図6】メイン処理のフローチャートであって、図4の続きである。
図7】メイン処理のフローチャートであって、図6の続きである。
図8】第1スイッチSW1がオンされた状態の電力系統図である。
図9】第3スイッチSW3がオンされた状態の電力系統図である。
図10】第1スイッチSW1及び第2スイッチSW2がオンされた状態の電力系統図である。
図11】受付処理のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。参照する図面は、本発明が採用しうる技術的特徴を説明するために用いられるものであり、記載される装置の構成などは、それのみに限定する趣旨ではなく、単なる説明例である。本実施形態の説明では、図1の左下側、右上側、右下側、左上側、上側、下側を、それぞれプリンタ1の左側、右側、前側、後側、上側、下側とする。
【0017】
<プリンタ1の概要>
図1を参照して、プリンタ1の概要を説明する。プリンタ1は、テープカセットを使用するタイプの印刷装置である。プリンタ1は、略直方体形状の本体カバー10Aを備える。本体カバー10Aの前側の側面には、LED11が設けられる。本体カバー10Aの上側には、テープカセットの交換時に開閉されるカセットカバー10Bが設けられる。本体カバー10Aの内部には、テープカセット(図示略)が着脱可能に収容される。本体カバー10Aの左側面前方には、排出スリット12が設けられる。テープカセットには、被印刷媒体であるテープ(図示略)がロール状に巻回されて収容されている。後述の印刷部53により印刷されたテープは、排出スリット12を介して排出される。
【0018】
プリンタ1は、内蔵される二次電池(以下、「プリンタ電池5B」という。図2参照)により駆動する。プリンタ電池5Bを充電する為の電力は、ワイヤレス電力伝送により給電装置2から非接触で送電される。プリンタ電池5Bは、プリンタ1が給電装置2に載置された状態で充電される。更にプリンタ1は、スマートフォン等の電子機器3に対し、ワイヤレス電力伝送により非接触で電力を送電できる。電子機器3に内蔵される二次電池(以下、「機器電池3B」という。図2参照)は、プリンタ1の上面に電子機器3を近接させた状態で充電される。本実施形態において適用されるワイヤレス電力伝送の方式は、電磁誘導式である。なお、本実施形態において「非接触」とは、プリンタ1と給電装置2、及びプリンタ1と電子機器3との間で、互いの電力系統が直接接触していない状態であることを意味する。
【0019】
<電力系統>
図2は、プリンタ1、給電装置2、及び電子機器3の各々の電力系統を示す。給電装置2は、プリンタ1に非接触で電力を送電する為の送電部21を有する。送電部21は、送電制御部21A及びコイル2Sにより構成される。送電制御部21Aは、アダプタ23から供給される電力により駆動し、コイル2Sに流す電流を制御する。コイル2Sは、電流が流れることで磁束を発生させる。アダプタ23は、商用電源に接続されている。
【0020】
プリンタ1は、給電装置2から非接触で送電される電力を、受電部56で受電する。受電部56は、受電制御部56A及びコイル5Rにより構成される。コイル5Rには、給電装置2のコイル2Sにて発生した磁束に応じた誘導電流が流れる。受電制御部56Aは、コイル5Rに流れる誘導電流を直流に変換して出力する。受電制御部56Aから出力される電力は、プリンタ電池5B、及び、後述の送電部57に供給される。
【0021】
受電制御部56Aとプリンタ電池5Bとの間に、第1スイッチSW1及び第1可変抵抗VR1が介在する。第1スイッチSW1は、受電制御部56Aからプリンタ電池5Bに電力が供給された状態と、供給されない状態とに切り替える。第1スイッチSW1がオンの状態で、受電制御部56Aからプリンタ電池5Bに電力が供給される。この状態で、プリンタ電池5Bは、受電制御部56Aから出力される電力により充電される。第1可変抵抗VR1は、受電制御部56Aからプリンタ電池5Bに供給される電力を制御する。一方、第1スイッチSW1がオフの状態で、受電制御部56Aからプリンタ電池5Bへの電力の供給が停止される。
【0022】
受電制御部56Aと送電部57との間に、第2スイッチSW2及び第2可変抵抗VR2が介在する。第2スイッチSW2は、受電制御部56Aから送電部57に電力が供給された状態と、供給されない状態とに切り替える。第2スイッチSW2がオンの状態で、受電制御部56Aから送電部57に電力が供給される。第2可変抵抗VR2は、受電制御部56Aから送電部57に供給される電力を制御する。一方、第2スイッチSW2がオフの状態で、受電制御部56Aから送電部57への電力の供給が停止される。
【0023】
以下、給電装置2の送電部21からプリンタ1の受電部56に送電される電力を、「電力P」という。電力Pのうち、受電制御部56Aからプリンタ電池5Bに供給される電力であってプリンタ電池5Bを充電する為の電力を、「第1電力P1」という。電力Pのうち、受電制御部56Aから送電制御部57Aに供給される電力を、「第2電力P2」という。
【0024】
プリンタ電池5Bに充電された電力は、CPU51、記憶部52、印刷部53、及び送電部57に供給される。CPU51、記憶部52、及び印刷部53は、プリンタ電池5Bから供給される電力に基づいて駆動する。CPU51は、プリンタ1全体の制御を司る。記憶部52は、各種データを記憶可能である。印刷部53は、テープに印刷を行う為のサーマルヘッド(図示略)を含む。
【0025】
プリンタ電池5Bと送電部57との間に、第3スイッチSW3が介在する。第3スイッチSW3は、プリンタ電池5Bから送電部57に電力が供給された状態と、供給されない状態とに切り替える。第3スイッチSW3がオンの状態で、プリンタ電池5Bから送電部57に電力が供給される。一方、第3スイッチSW3がオフの状態で、プリンタ電池5Bから送電部57への電力の供給が停止される。
【0026】
送電部57は、電子機器3に非接触で電力を送電する。送電部57は、送電制御部57A及びコイル5Sにより構成される。送電制御部57Aは、受電制御部56A又はプリンタ電池5Bから供給される電力により駆動し、コイル5Sに流す電流を制御する。コイル5Sは、電流が流れることで磁束を発生させる。
【0027】
電子機器3は、プリンタ1から非接触で送電される電力を、受電部34で受電する。受電部34は、受電制御部34A及びコイル3Rにより構成される。コイル3Rには、プリンタ1のコイル5Sにて発生した磁束に応じた誘導電流が流れる。受電制御部34Aは、コイル3Rに流れる誘導電流を直流に変換して出力する。受電制御部34Aから出力される電力は、機器電池3Bに供給される。機器電池3Bは、受電制御部34Aから出力される電力により充電される。
【0028】
機器電池3Bに充電された電力は、CPU31、通信部32、及び表示部33に供給される。CPU31、通信部32、及び表示部33は、機器電池3Bから供給される電力に基づいて駆動する。CPU31は、電子機器3全体の制御を司る。通信部32は、電子機器3が無線通信を行う為の通信モジュールである。表示部33は、液晶ディスプレイである。
【0029】
又、受電制御部34Aは、機器電池3Bから供給される電力により駆動し、コイル3Rに電流を流すことができる。この場合、コイル3Rには、電流が流れることで磁束が発生する。このとき、プリンタ1のコイル5Sには、この磁束に応じた誘導電流が流れる。送電制御部57Aは、コイル5Sに流れる誘導電流を検出可能である。詳細は後述するが、プリンタ1は、コイル5Sに流れる誘導電流を送電制御部57Aにより検出することにより、電子機器3が近接した状態であるか否か、及び、機器電池3Bの充電状態を特定する。
【0030】
<電気的構成>
図3を参照して、プリンタ1の電気的構成について説明する。プリンタ1は、CPU51、記憶部52、印刷部53、受電部56、送電部57、入力インターフェース(I/F)58、第1スイッチSW1、第2スイッチSW2、第3スイッチSW3、第1可変抵抗VR1、及び第2可変抵抗VR2を有する。
【0031】
CPU51は、記憶部52、印刷部53、受電部56、送電部57、入力I/F58、第1スイッチSW1、第2スイッチSW2、第3スイッチSW3、第1可変抵抗VR1、及び第2可変抵抗VR2と電気的に接続する。記憶部52は、CPU51が後述の処理を実行する為のプログラム、印刷を行う為の印刷データ、及び分配率Rを記憶する。分配率Rは、受電部56により受電された電力Pを第1電力P1と第2電力P2(図2参照)に分配する比率を示す。記憶部52は、分配率Rとして第1分配率R1及び第2分配率R2を記憶する。第1分配率R1は、第1電力P1の方が第2電力P2よりも大きい所定の比率を示す。第2分配率R2は、第2電力P2の方が第1電力P1よりも大きい所定の比率を示す。第1分配率R1及び第2分配率R2は、ユーザによる入力操作が行われた場合に、記憶部52に記憶される(図11参照)。
【0032】
受電部56は、コイル5R(図2参照)に流れる誘導電流の有無を受電制御部56A(図2参照)により検出する。受電制御部56Aは、誘導電流の有無を示す信号を、給電装置2を検出した状態であるか否かを示す信号として、CPU51に出力する。又、受電部56は、コイル5Rに流れる誘導電流の最大値を、受電制御部56A(図2参照)により検出する。受電制御部56Aは、検出した誘導電流の最大値に基づき、給電装置2が送電可能な最大の電力(以下、「最大電力」という。)を算出する。受電制御部56Aは、算出した最大電力を示す信号を、CPU51に出力する。
【0033】
送電部57は、コイル5Sに流れる誘導電流の有無を送電制御部57A(図2参照)により検出する。送電制御部57Aは、誘導電流の有無を示す信号を、電子機器3を検出した状態であるか否かを示す信号として、CPU51に出力する。又、送電部57は、コイル3Sに流れる誘導電流の最大値を、電子機器3の機器電池3Bの残容量として検出する。送電制御部57Aは、機器電池3Bの残容量を示す信号を、CPU51に出力する。
【0034】
入力I/F58は、非図示の通信ケーブルを介してプリンタ1に接続された非図示の外部機器(例えば、PC)と通信を行う為のインターフェース素子である。入力I/F58は、外部機器が出力されるデータを受信し、CPU51に出力する。
【0035】
印刷部53は、CPU51による制御に応じてサーマルヘッドを発熱させることで、テープに印刷を行う。第1スイッチSW1、第2スイッチSW2、及び第3スイッチSW3は、各々、CPU51による制御に応じてオンオフする。第1可変抵抗VR1及び第2可変抵抗VR2は、各々、CPU51の制御に応じて抵抗値を変更する。
【0036】
<メイン処理>
図4図7を参照し、メイン処理について説明する。プリンタ1のCPU51は、プリンタ1の電源が投入された場合、記憶部52に記憶されたプログラムを読み出して実行することにより、メイン処理を開始する。なお、メイン処理が開始される時点で、第1スイッチSW1、第2スイッチSW2、及び第3スイッチSW3はすべてオフされているとする。又、第1可変抵抗VR1及び第2可変抵抗VR2の夫々の抵抗値は、0Ωに設定されているとする。
【0037】
図4に示すように、CPU51は、プリンタ1が給電装置2に載置された状態であるか否かを、受電部56から出力される信号に基づいて判定する(S11)。CPU51は、給電装置2を検出していない状態であることを示す信号を受電部56から受信した場合、プリンタ1が給電装置2に載置されていないと判定する(S11:NO)。この場合、CPU51は、処理をS11に戻す。一方、CPU51は、給電装置2を検出した状態であることを示す信号を受電部56から受信した場合、プリンタ1が給電装置2に載置されていると判定する(S11:YES)。なお、この状態で、給電装置2の送電部21から送電される電力が受電部56により受電されている。
【0038】
CPU51は、プリンタ電池5Bの残容量を、プリンタ電池5Bの電圧に基づいて取得する(S13)。CPU51は、取得したプリンタ電池5Bの残容量が、所定の最低閾値以上か判定する(S15)。CPU51は、プリンタ電池5Bの残容量が最低閾値以上と判定した場合(S15:YES)、処理をS23に進める。CPU51は、プリンタ電池5Bの残容量が最低閾値未満と判定した場合(S15:NO)、プリンタ電池5Bを充電する為に、処理をS17に進める。
【0039】
CPU51は、第1スイッチSW1をオフからオンに切り替える(S17)。これにより、受電部56にて受電された電力Pはプリンタ電池5Bに供給され、プリンタ電池5Bの充電が開始される(S17、図8の矢印Y11)。CPU51は、プリンタ電池5Bの残容量を、プリンタ電池5Bの電圧に基づいて特定する。CPU51は、特定したプリンタ電池5Bの残容量が最低閾値以上となったか判定する(S19)。CPU51は、プリンタ電池5Bの残容量が最低閾値未満であると判定した場合(S19:NO)、プリンタ電池5Bの充電を継続する為に、処理をS19に戻す。CPU51は、プリンタ電池5Bの残容量が最低閾値以上であると判定した場合(S19:YES)、第1スイッチSW1をオンからオフに切り替える(S21)。これにより、受電部56にて受電された電力Pのプリンタ電池5Bへの供給は停止されるので、プリンタ電池5Bの充電も完了する(S21)。CPU51は、処理をS23に進める。
【0040】
CPU51は、受電部56から出力される信号を検出し、給電装置2の最大電力を取得する(S23)。CPU51は、取得した最大電力が所定の電力閾値(例えば15W)以上か判定する(S25)。CPU51は、給電装置2の最大電力が電力閾値未満と判定した場合(S25:NO)、処理をS31(図5参照)に進める。
【0041】
図5に示すように、CPU51は、電子機器3がプリンタ1に近接した状態であるか否かを、送電部57から出力される信号に基づいて判定する(S31)。CPU51は、電子機器3を検出していない状態であることを示す信号を送電部57から受信した場合、電子機器3がプリンタ1に近接していないと判定する(S31:NO)。この場合、CPU51は、処理をS31に戻す。一方、CPU51は、電子機器3を検出した状態であることを示す信号を送電部57から受信した場合、電子機器3がプリンタ1に近接していると判定する(S31:YES)。CPU51は、プリンタ電池5Bから送電部57に電力を供給して電子機器3の機器電池3Bを充電するために、次の処理を実行する。
【0042】
CPU51は、第3スイッチSW3をオフからオンに切り替える(S33)。これにより、プリンタ電池5Bに充電された電力は送電部57に供給される(S33、図9の矢印Y12)。送電部57は、プリンタ電池5Bから供給される電力により駆動し、コイル5Sから磁束を発生させる。これにより、電子機器3に非接触で電力が送電される。
【0043】
CPU51は、送電部57から出力される信号を検出し、電子機器3の機器電池3Bの残容量を取得する。CPU51は、取得した残容量に基づき、機器電池3Bが満充電の状態となったか判定する(S35)。CPU51は、機器電池3Bが満充電の状態となっていないと判定した場合(S35:NO)、送電部57からの電力の送電を継続する為に、処理をS35に戻す。CPU51は、機器電池3Bが満充電の状態になったと判定した場合(S35:YES)、第3スイッチSW3をオンからオフに切り替える(S37)。これにより、プリンタ電池5Bに充電された電力の送電部57への供給は停止されるので、機器電池3Bの充電も終了する(S37)。CPU51は、処理をS11(図4参照)に戻す。
【0044】
一方、図4に示すように、CPU51は、受電部56から出力される信号に基づき取得した給電装置2の最大電力が電力閾値以上と判定した場合(S25:YES)、処理をS51(図6参照)に進める。
【0045】
図6に示すように、CPU51は、電子機器3がプリンタ1に近接した状態であるか否かを、送電部57から出力される信号に基づいて判定する(S51)。CPU51は、電子機器3を検出していない状態であることを示す信号を送電部57から受信した場合、電子機器3がプリンタ1に近接していないと判定する(S51:NO)。この場合、CPU51は、処理をS51に戻す。一方、CPU51は、電子機器3を検出した状態であることを示す信号を送電部57から受信した場合、電子機器3がプリンタ1に近接していると判定する(S51:YES)。CPU51は、受電部56により受電された電力Pをプリンタ電池5Bに供給してプリンタ電池5Bを充電し、且つ、送電部57に電力Pを供給して電子機器3の機器電池3Bを充電するために、次の処理を実行する。
【0046】
CPU51は、プリンタ1の動作状態を取得する(S53)。CPU51は、取得した動作状態に基づき、印刷部53による印刷動作中であるかを判定する(S53)。CPU51は、受電部56により受電した電力Pを第1電力P1と第2電力P2とに分配する為の分配率Rを、印刷動作中であるか否かに応じて決定する(S55)。
【0047】
具体的には、CPU51は、S53の処理によって印刷動作中と判定した場合、第1電力P1の方が第2電力P2よりも大きい第1分配率R1を記憶部52から読み出して決定する。この理由は、印刷動作中の場合、印刷部53を駆動する為にプリンタ電池5Bから印刷部53に電力を供給する必要があり、より多くの電力をプリンタ電池5Bに供給する必要がある為である。
【0048】
一方、CPU51は、S53の処理によって印刷動作中でないと判定した場合、第2電力P2の方が第1電力P1よりも大きい第2分配率R2を記憶部52から読み出して決定する。この理由は、印刷動作中でない場合、より多くの電力を送電部57に供給することによって、機器電池3Bの充電が完了するのに要する時間を短縮する為である。
【0049】
CPU51は、プリンタ電池5Bの残容量を、プリンタ電池5Bの電圧に基づいて取得する(S57)。CPU51は、送電部57から出力される信号を検出し、電子機器3の機器電池3Bの残容量を取得する(S59)。CPU51は、プリンタ電池5Bの残容量、及び、機器電池3Bの残容量に基づき、S55で決定した分配率R(第1分配率R1又は第2分配率R2)を修正して再決定する(S61)。例えば、プリンタ電池5Bの残容量が機器電池3Bの残容量よりも小さい場合、第1電力P1の比率が増加し且つ第2電力P2の比率が減少するように分配率Rを修正して再決定する。一方、例えば、機器電池3Bの残容量がプリンタ電池5Bの残容量よりも小さい場合、第2電力P2の比率が増加し且つ第1電力P1の比率が減少するように分配率Rを修正して再決定する。
【0050】
CPU51は、受電部56により受電された電力Pを、S61の処理によって再決定した分配率Rにより分配し、第1電力P1及び第2電力P2を決定する。CPU51は、決定した第1電力P1がプリンタ電池5Bに供給されるように、第1可変抵抗VR1の抵抗値を決定する。CPU51は、決定した抵抗値となるように第1可変抵抗VR1を設定する(S63)。同様に、CPU51は、決定した第2電力P2が送電部57に供給されるように、第2可変抵抗VR2の抵抗値を決定する。CPU51は、決定した抵抗値となるように第2可変抵抗VR2を設定する(S63)。
【0051】
CPU51は、第1スイッチSW1をオフからオンに切り替える(S65)。これにより、受電部56にて受電された電力Pのうち第1電力P1がプリンタ電池5Bに供給され、プリンタ電池5Bの充電が開始される(S65、図10の矢印Y21)。又、CPU51は、第2スイッチSW2をオフからオンに切り替える(S67)。受電部56にて受電された電力Pのうち第2電力P2分が送電部57に供給され、送電部57から電子機器3への送電が開始される。これにより、電子機器3の機器電池3Bの充電が開始される(S67、図10の矢印Y22)。CPU51は、処理をS81(図7参照)に進める。
【0052】
図7に示すように、CPU51は、プリンタ電池5Bの残容量を、プリンタ電池5Bの電圧に基づいて特定する。CPU51は、特定したプリンタ電池5Bの残容量に基づき、プリンタ電池5Bが満充電の状態となったか判定する(S81)。CPU51は、プリンタ電池5Bが満充電の状態となっていないと判定した場合(S81:NO)、処理をS87に進める。CPU51は、送電部57から出力される信号を検出し、電子機器3の機器電池3Bの残容量を取得する。CPU51は、取得した残容量に基づき、機器電池3Bが満充電の状態となったか判定する(S87)。CPU51は、機器電池3Bが満充電の状態となっていないと判定した場合(S87:NO)、処理をS93に進める。
【0053】
CPU51は、プリンタ電池5Bと機器電池3Bとの両方が満充電の状態となったか判定する(S93)。CPU51は、プリンタ電池5Bと機器電池3Bとの少なくとも一方が満充電になっていないと判定した場合(S93:NO)、処理をS81に戻す。
【0054】
CPU51は、プリンタ電池5Bが満充電の状態になったと判定した場合(S81:YES)、第1スイッチSW1をオンからオフに切り替える(S83)。これにより、受電部56により受電された電力Pのプリンタ電池5Bへの供給は停止されるので、プリンタ電池5Bの充電も完了する(S83)。CPU51は、受電部56により受電された電力Pが全て送電部57に供給されるように、第2可変抵抗VR2の抵抗値を0Ωに設定する(S85)。CPU51は、処理をS93に進める。
【0055】
CPU51は、機器電池3Bが満充電の状態になったと判定した場合(S87:YES)、第2スイッチSW2をオンからオフに切り替える(S89)。これにより、受電部56により受電された電力Pの送電部57への供給は停止されるので、送電部57による電力の送電も終了し、機器電池3Bの充電も完了する(S89)。CPU51は、受電部56により受電された電力Pが全てプリンタ電池5Bに供給されるように、第1可変抵抗VR1の抵抗値を0Ωに設定する(S91)。CPU51は、処理をS93に進める。
【0056】
CPU51は、プリンタ電池5Bと機器電池3Bとの両方が満充電の状態となったと判定した場合(S93:YES)、処理をS11(図4参照)に戻す。
【0057】
<受付処理>
図11を参照し、受付処理について説明する。プリンタ1のCPU51は、プリンタ1の電源が投入された場合、記憶部52に記憶されたプログラムを読み出して実行することにより、受付処理を開始する。受付処理は、メイン処理と並列して実行される。
【0058】
CPU51は、通信ケーブルを介してプリンタ1と接続した外部機器に対して分配率Rの入力操作が行われたかを、入力I/F58を介して判定する(S111)。CPU51は、外部機器に対して入力操作が行われていないと判定した場合(S111:NO)、処理をS111に戻す。CPU51は、外部機器に対して入力操作が行われたと判定した場合(S111:YES)、入力操作により入力された第1分配率R1及び第2分配率R2を受け付ける(S113)。CPU51は、受け付けた第1分配率R1及び第2分配率R2を記憶部52に記憶する(S115)。CPU51は、処理をS111に戻す。
【0059】
なお、CPU51は、メイン処理のS55(図6参照)の処理を行う場合、受付処理により記憶部52に記憶された第1分配率R1又は第2分配率R2を読み出すことによって、第1分配率R1又は第2分配率R2を分配率Rとして決定する(S55)。
【0060】
<本実施形態の作用、効果>
以上のように、プリンタ1は、給電装置2の最大電力が電力閾値以上の場合(S25:YES)、プリンタ電池5Bを充電する為の電力である第1電力P1と、機器電池3Bを充電する為の電力である第2電力P2との分配率Rを決定する(S55、S61)。このように、プリンタ1は、給電装置2が送電可能な最大の電力である最大電力に基づいて分配率Rを決定できる。
【0061】
プリンタ1は、印刷動作中であると判定した場合、プリンタ電池5Bを充電する為の第1電力P1が相対的に大きい第1分配率R1を決定する(S55)。これにより、プリンタ1は、プリンタ電池5Bの充電を効率よく行うことができるので、プリンタ電池5Bに充電された電力で印刷部53を駆動することによって印刷動作を適切に実行できる。一方、プリンタ1は、印刷動作中でないと判定した場合、機器電池3Bを充電する為の第2電力P2が相対的に大きい第2分配率R2を決定する(S55)。これにより、プリンタ1は、印刷動作中でない場合において機器電池3Bを効率的に充電できる。
【0062】
プリンタ1は、外部機器に対する入力操作により入力された第1分配率R1及び第2分配率R2を受け付け(S113)、記憶部52に記憶する(S115)。プリンタ1は、印刷動作中であるか否かに応じ、記憶部52に記憶された第1分配率R1又は第2分配率R2を決定する。このためユーザは、外部機器に対する入力操作を行うことにより、第1分配率R1及び第2分配率R2を所望の値に設定できる。
【0063】
プリンタ1は、プリンタ電池5Bの残容量を取得し(S57)、機器電池3Bの残容量を取得する(S59)。プリンタ1は、取得した残容量に応じ、S55で決定した分配率Rを修正して再決定する(S61)。この場合、プリンタ1は、プリンタ電池5Bの残容量、及び、機器電池3Bの夫々の残容量に基づき、適切な分配率を決定できる。
【0064】
プリンタ1は、給電装置2の最大電力が電力閾値未満の場合(S25:NO)、プリンタ電池5Bに充電された電力を送電部57に供給する(S33)。これにより送電部57は、電子機器3に電力送電し、電子機器3の機器電池3Bを充電する。この場合、プリンタ1は、給電装置2から送電される電力では、電子機器3の機器電池3Bを充電することができない場合でも、プリンタ電池5Bの電力により機器電池3Bを充電できる。
【0065】
プリンタ1は、プリンタ電池5B及び機器電池3Bの充電が開始された(S65、S67)後、プリンタ電池5Bが満充電となって充電を完了させた場合(S81:YES、S83)には、受電部56が受電した電力Pがすべて送電部57に供給されるように、第2可変抵抗VR2の値を0Ωに設定する(S85)。又、プリンタ1は、機器電池3Bが満充電となって充電を完了させた場合(S87:YES)には、受電部56が受電した電力Pがすべてプリンタ電池5Bに供給されるように、第1可変抵抗VR1の値を0Ωに設定する(S91)。この場合、プリンタ1は、プリンタ電池5B及び機器電池3Bのうち一方の充電が完了した場合、プリンタ電池5B及び機器電池3Bのうち他方を充電する為の電力を増加させることができる。このため、プリンタ1は、プリンタ電池5B及び機器電池3Bが満充電となるまでに要する時間を短縮できる。
【0066】
<変形例>
変形例に係るメイン処理について説明する。変形例に係るメイン処理は、記憶部52に記憶された動作モードに基づいて分配率Rが決定されるという点で、上記実施形態と相違する。
【0067】
変形例において、記憶部52には、動作モードとして第1モード又は第2モードが選択的に記憶される。第1モードは、プリンタ電池5Bの充電が優先される動作モードである。第2モードは、電子機器3の機器電池3Bの充電が優先される動作モードである。第1モード又は第2モードは、ユーザによる設定操作が行われた場合に、記憶部52に記憶される。
【0068】
変形例におけるメイン処理は、図6に示すフローチャートのS53、S55の処理のみが、上記実施形態と相違する。以下、図6を参照して説明する。CPU51は、電子機器3がプリンタ1に近接していると判定した場合(S51:YES)、記憶部52に記憶された動作モードとして第1モード又は第2モードを取得する(S53)。CPU51は、S53の処理によって第1モードを取得した場合、受電部56により受電した電力Pを第1電力P1と第2電力P2とに分配する為の分配率として、第1分配率R1を決定する(S55)。一方、CPU51は、S53の処理によって第2モードを取得した場合、受電部56により受電した電力Pを第1電力P1と第2電力P2とに分配する為の分配率として、第2分配率R2を決定する(S55)。S57の処理以降は、上記実施形態と同一である。
【0069】
変形例における受付処理は、図11に示すフローチャートのS111、113のみが、上記実施形態と相違する。CPU51は、通信ケーブルを介してプリンタ1と接続した外部機器に対して動作モードの入力操作が行われたかを、入力I/F58を介して判定する(S111)。CPU51は、外部機器に対して入力操作が行われたと判定した場合(S111:YES)、入力操作により入力された第1モード又は第2モードを選択的に受け付ける(S113)。CPU51は、選択的に受け付けた第1モード又は第2モードを記憶部52に記憶することにより、動作モードをプリンタ1に設定する(S115)。CPU51は、処理をS111に戻す。
【0070】
以上のように、変形例において、プリンタ1は、外部機器に対する設定操作により入力された動作モード(第1モード又は第2モード)に基づき、第1分配率R1又は第2分配率R2を分配率Rとして決定する(S55)。この場合、ユーザは、プリンタ電池5Bの充電を優先して行うか、機器電池3Bの充電を優先して行うかを、外部機器に対する設定操作により設定できる。
【0071】
<その他の変形例>
本発明は上記実施形態に限定されず、種々の変更が可能である。本発明において適用されるワイヤレス電力伝送の方式は、電磁誘導式に限定されず、他の周知の方式でもよい。例えばワイヤレス電力伝送の方式は、磁界共振式、電解結合式、電波受信式等でもよい。
【0072】
プリンタ1は、第1決定方法として、給電装置2の最大電力が電力閾値以上の場合に第1分配率R1を決定し、給電装置2の最大電力が電力閾値よりも小さい場合に第2分配率R2を決定してもよい。又は、プリンタ1は、第2決定方法として、給電装置2の最大電力が電力閾値以上の場合に第2分配率R2を決定し、給電装置2の最大電力が電力閾値よりも小さい場合に第1分配率R1を決定してもよい。更に、プリンタ1は、第1決定方法及び第2決定方法の何れを実行するかを、プリンタ1が印刷動作中であるか否かに応じて決定してもよい。
【0073】
プリンタ1は、給電装置2の最大電力と、第1分配率R1及び第2分配率R2とを対応付けたテーブルを、記憶部52に記憶してもよい。プリンタ1は、給電装置2の最大電力が電力閾値以上の場合(S25:YES)、S23の処理により取得した最大電力に対応する第1分配率R1及び第2分配率R2を、記憶部52のテーブルから読み出して取得してもよい。プリンタ1は、印刷動作中であるか否かに応じ、取得した第1分配率R1及び第2分配率R2のうち何れかを決定してもよい。
【0074】
プリンタ1は、S55の処理により決定した分配率Rを、プリンタ電池5Bの残容量のみに基づき修正して再決定してもよい。プリンタ1は、S55の処理により決定した分配率Rを、機器電池3Bの残容量のみに基づき修正して再決定してもよい。プリンタ電池5B又は機器電池3Bの残容量に基づいて分配率を修正する方法は、上記実施形態に限定されず、他の方法でもよい。例えば、プリンタ1は、取得したプリンタ電池5Bの残容量が、印刷部53を駆動できない程小さい場合、受電部56により受電した電力Pがすべてプリンタ電池5Bに供給されるように制御してもよい。又、例えばプリンタ1は、取得した機器電池3Bの残容量が、電子機器3が動作継続できない程小さい場合、受電部56により受電した電力Pがすべて送電部57に供給されるように制御してもよい。
【0075】
プリンタ1は、プリンタ電池5B及び機器電池3Bの夫々の残容量に基づき、動作モードを第1モードとするか第2モードとするかを決定してもよい。プリンタ1は、給電装置2の最大電力が電力閾値よりも大きい場合、受電部56により受電した電力を分配する分配率を、上記のように決定した動作モードに基づいて決定してもよい。
【0076】
プリンタ1は、給電装置2の最大電力が電力閾値未満の場合(S25:NO)、プリンタ電池5Bの電力を送電部57に供給する(S33)と同時に、受電部56により受電した電力Pを送電部57に供給してもよい。
【0077】
S15の処理において判断基準となる最低閾値、及び、S25の処理において判断基準となる電力閾値は、ユーザにより設定可能としてもよい。例えばプリンタ1が、通信ケーブルを介して接続する外部機器に対し、最低閾値及び電力閾値の入力操作が行われた場合、最低閾値及び電力閾値を取得して記憶部52に記憶してもよい。CPU51は、メイン処理を実行する場合において、記憶部52に記憶された最低閾値及び電力閾値を読み出し、判断基準として用いてもよい。
【0078】
<その他>
S23の処理を行うCPU51は、本発明の「第1取得手段」の一例である。S55、S61の処理を行うCPU51は、本発明の「決定手段」の一例である。S53の処理を行うCPU51は、本発明の「判定手段」の一例である。S55、S61の処理を行うCPU51は、本発明の「決定手段」の一例である。S55の処理を行うCPU51は、本発明の「第1決定手段」「第4決定手段」の一例である。S61の処理を行うCPU51は、本発明の「第2決定手段」「第3決定手段」の一例である。S33の処理を行うCPU51は、本発明の「第1制御手段」の一例である。S65、S67の処理を行うCPU51は、本発明の「第2制御手段」の一例である。S83、S85、S89、S91の処理を行うCPU51は、本発明の「変更手段」の一例である。S113の処理を行うCPU51は、本発明の「受付手段」「設定手段」の一例である。
【符号の説明】
【0079】
1 :プリンタ
2 :給電装置
3 :電子機器
3B :機器電池
5B :プリンタ電池
21 :送電部
34 :受電部
51 :CPU
56 :受電部
57 :送電部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11