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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022181837
(43)【公開日】2022-12-08
(54)【発明の名称】多段圧縮冷凍装置
(51)【国際特許分類】
   F25B 1/10 20060101AFI20221201BHJP
   F25B 1/00 20060101ALI20221201BHJP
【FI】
F25B1/10 E
F25B1/00 396D
F25B1/00 311B
F25B1/00 321Q
F25B1/00 371F
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021089018
(22)【出願日】2021-05-27
(71)【出願人】
【識別番号】516299338
【氏名又は名称】三菱重工サーマルシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100100077
【弁理士】
【氏名又は名称】大場 充
(74)【代理人】
【識別番号】100136010
【弁理士】
【氏名又は名称】堀川 美夕紀
(74)【代理人】
【識別番号】100130030
【弁理士】
【氏名又は名称】大竹 夕香子
(74)【代理人】
【識別番号】100203046
【弁理士】
【氏名又は名称】山下 聖子
(72)【発明者】
【氏名】石田 寿幸
(72)【発明者】
【氏名】塩谷 篤
(72)【発明者】
【氏名】山田 実希
(72)【発明者】
【氏名】黒田 直樹
(72)【発明者】
【氏名】岡田 有二
(72)【発明者】
【氏名】笹谷 有悟
(72)【発明者】
【氏名】松本 航平
(72)【発明者】
【氏名】在本 崚平
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 真悟
(57)【要約】
【課題】圧縮段数の増加により冷凍サイクルの効率を向上させつつ、広範囲の運転条件に亘り安定して動作させることが可能な冷凍装置を提供する。
【解決手段】冷凍装置は、複数段の圧縮機構を含み、段数Nが3以上である圧縮部と、圧縮部からの吐出冷媒を外気へと放熱させる第1熱交換器と、複数段の各段に与えられる複数の減圧機構を含む減圧部と、減圧部を経た冷媒を熱負荷から吸熱させる第2熱交換器と、減圧機構と減圧機構との間にそれぞれ与えられる複数の気液分離器と、複数の気液分離器にそれぞれ対応し、対応する気液分離器から圧縮機構間に気相の冷媒を供給する複数の中間圧インジェクション流路と、複数の中間圧インジェクション流路の少なくとも一つに設けられるバルブと、を備える。バルブを動作させると、冷媒が循環する有効段数が変わる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
冷凍サイクルにより冷媒を循環させる冷凍装置であって、
直列に接続されてそれぞれ前記冷媒を圧縮する複数段の圧縮機構を含み、段数が3以上である圧縮部と、
前記圧縮部により低段から高段へと複数のステップに亘り圧縮されて前記圧縮部から吐出された前記冷媒を、外気へと放熱させる第1熱交換器と、
前記複数段の各段に与えられる複数の減圧機構を含み、前記第1熱交換器を経た前記冷媒の圧力を複数のステップに亘り減少させる減圧部と、
前記減圧部を経た前記冷媒を熱負荷から吸熱させる第2熱交換器と、
前記減圧機構と前記減圧機構との間にそれぞれ与えられる複数の気液分離器と、
前記複数の気液分離器にそれぞれ対応し、対応する前記気液分離器から前記圧縮機構と前記圧縮機構との間に気相の前記冷媒を供給する複数の中間圧インジェクション流路と、
前記複数の中間圧インジェクション流路の少なくとも一つに設けられるバルブと、を備え、
前記バルブを動作させることで、前記冷媒が循環する有効段数が可変に構成されている、
冷凍装置。
【請求項2】
前記バルブは、前記複数の中間圧インジェクション流路のうち最も高圧の前記中間圧インジェクション流路に設けられる、
請求項1に記載の冷凍装置。
【請求項3】
前記冷媒は、二酸化炭素を少なくとも一部に含む、
請求項1または2に記載の冷凍装置。
【請求項4】
前記段数は、4以上であり、
前記バルブは、前記複数の中間圧インジェクション流路のうち、高圧側の前記中間圧インジェクション流路の少なくとも一つと、低圧側の前記中間圧インジェクション流路の少なくとも一つとに設けられている、
請求項1から3のいずれか一項に記載の冷凍装置。
【請求項5】
いずれかの前記圧縮機構としての低段側圧縮機構から吐出された前記冷媒を前記外気と熱交換させて、前記低段側圧縮機構と直列に接続されている前記圧縮機構としての高圧側圧縮機構に流入させる中間熱交換器を備える、
請求項1から4のいずれか一項に記載の冷凍装置。
【請求項6】
前記圧縮部は、
直列に接続される複数の前記圧縮機構と、前記複数の圧縮機構を収容するハウジングと、前記複数の圧縮機構を駆動する電動機と、を備えた複数段電動圧縮機を含む、
請求項1から5のいずれか一項に記載の冷凍装置。
【請求項7】
前記バルブを動作させる指令を発生させる制御装置を備え、
前記制御装置は、前記外気の温度に応じて前記指令を発生させることにより、前記有効段数を変化させる、
請求項1から6のいずれか一項に記載の冷凍装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、多段に亘り冷媒を圧縮する冷凍装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、2段圧縮機構を備えた冷凍装置を開示する。かかる冷凍装置は、密閉ハウジング内に低段圧縮機構および高段圧縮機構を備えた電動圧縮機と、放熱器と、高圧膨張弁と、気液分離器と、低圧膨張弁と、蒸発器と、ガスインジェクション配管とを備えている。ガスインククション配管により、気液分離器から電動圧縮機のハウジング内に導入されたガス冷媒は、低段圧縮機構からハウジング内に吐出された冷媒と共に高段圧縮機構へと吸入される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2017-44420号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
地球温暖化係数(GWP;Global Warming Potential)の低減、およびエネルギー消費効率(COP;Coefficient of Performance)の向上を目的として、GWPが低い冷媒が採用されるとともに、2段圧縮機構を含む冷凍装置の開発および製品化が進められている。
冷媒としてCOを含む冷媒が採用される場合には、高圧運転に伴い高い冷媒吐出温度を許容限度に抑えるため、放熱器に設定される高圧と、蒸発器に設定される低圧との間の中間圧のガス冷媒を気液分離器から低段圧縮機構と高段圧縮機構との間に導入すること(中間圧ガスインジェクション)が有効である。かかる構成によれば、低段圧縮機構から吐出される冷媒の温度と比べて低温のガス冷媒のインジェクションにより、吐出温度を抑制することができる。それに加え、気液分離器から低圧膨張弁に液冷媒が供給されることにより、蒸発器によって得られるエンタルピが単段圧縮の場合に対して拡大するため、冷凍能力を増加させ、COPを向上させることができる。
【0005】
低GWPの冷媒を採用する冷凍装置にあって、圧縮機構の段数をさらに増やしていくことにより、圧縮機からの吐出温度を抑制しつつ、COPが高められた冷凍装置を実現することが望まれる。しかしながら、本開示の発明者による試験研究によると、圧縮機構の段数を例えば「4」に増やした冷凍装置は、外気温等の運転条件によっては安定して動作しない。かかる冷凍装置は、N個の圧縮機構と、N個の膨張弁と、N-1個の気液分離器と、N-1個のガスインジェクション配管とを備える。
【0006】
以上より、本開示は、圧縮段数の増加により冷凍サイクルの効率を向上させつつ、広範囲の運転条件に亘り安定して動作させることが可能な冷凍装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示は、冷凍サイクルにより冷媒を循環させる冷凍装置であって、直列に接続されてそれぞれ冷媒を圧縮する複数段の圧縮機構を含み、段数が3以上である圧縮部と、圧縮部により低段から高段へと複数のステップに亘り圧縮されて圧縮部から吐出された冷媒を、外気へと放熱させる第1熱交換器と、複数段の各段に与えられる複数の減圧機構を含み、第1熱交換器を経た冷媒の圧力を複数のステップに亘り減少させる減圧部と、減圧部を経た冷媒を熱負荷から吸熱させる第2熱交換器と、減圧機構と減圧機構との間にそれぞれ与えられる複数の気液分離器と、複数の気液分離器にそれぞれ対応し、対応する気液分離器から圧縮機構と圧縮機構との間に気相の冷媒を供給する複数の中間圧インジェクション流路と、複数の中間圧インジェクション流路の少なくとも一つに設けられるバルブと、を備える。かかる冷凍装置は、バルブを動作させることで、冷媒が循環する有効段数が可変に構成されている。
本願発明において中間圧インジェクション流路に設けられるバルブは、冷凍装置を安定して運転させることを目的として、運転条件に応じて、冷凍装置の運転中に開閉させることができる。これに加えて、他の目的、例えば、冷凍装置の停止時に冷媒の移動を防ぐために、当該バルブを閉じることも妨げられない。
【発明の効果】
【0008】
本開示の冷凍装置によれば、複数の中間圧インジェクション流路の少なくとも一つに設けられるバルブを開または閉に切り替えることにより、冷媒が循環する有効段数が可変に構成されている。そのため、最大の段数による冷凍サイクルによりCOPを向上させつつ、最大の段数により運転させると運転状態が不安定となる場合には、運転中にバルブを閉じて最大の段数に対して有効段数を減らすことにより、冷凍装置を安定して運転させることができる。
本開示によれば、バルブの開閉による有効段数の変更により種々の運転条件における冷媒の状態のそれぞれに適合するサイクルを容易に実現することができるので、広範囲の運転条件に亘り安定して運転可能な多段圧縮の冷凍装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】第1実施形態に係る冷凍装置の回路構成を示す図である。
図2図1に示す冷凍装置の通常運転モードにおけるモリエール線図である。
図3図1に示す冷凍装置の高外気温モードにおけるモリエール線図である。
図4】第1実施形態の変形例に係る冷凍装置の回路構成を示す図である。
図5】第2実施形態に係る冷凍装置の回路構成を示す図である。
図6図5に示す冷凍装置の低外気温モードにおけるモリエール線図である。
図7】変形例に係る冷凍装置の回路構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、添付図面を参照しながら、本開示の一実施形態について説明する。
〔第1実施形態〕
(冷凍サイクルの基本要素)
図1に示す多段圧縮式の冷凍装置1は、冷凍サイクルにより冷媒を循環させることにより、外気を熱源として、適宜な熱負荷(例えば、装置筐体内の空気および収容物品)を冷却する。
冷凍装置1は、冷凍サイクルをなす基本要素として、冷媒を圧縮する圧縮部10と、冷媒を外気へと放熱させる放熱器E1(第1熱交換器)と、冷媒の圧力を減少させる減圧部20と、熱負荷から冷媒へと吸熱させる吸熱器E2(第2熱交換器)とを備えている。圧縮部10により圧縮された冷媒は、放熱器E1、減圧部20、および吸熱器E2をこの順序で流れ、圧縮部10へと吸入される。
【0011】
本実施形態の冷凍装置1の冷媒回路には、二酸化炭素(CO)を少なくとも一部に含む冷媒が封入されている。かかる冷媒は、COの単一冷媒、あるいは、COに例えばR32冷媒を10~20%程度の比率で混合させた混合冷媒に相当する。二酸化炭素のGWPは「1」である。他の冷媒、例えば、HFC(Hydro Fluoro Carbon)の臨界温度に対して二酸化炭素の臨界温度は低い。そのため、冷凍装置1の通常運転モードにおいて、本実施形態の冷媒は、複数段に亘り冷媒を圧縮する圧縮部10により臨界圧力Pを超える圧力まで圧縮され、他の冷媒が用いられる場合よりも高圧側Hの設定圧力が高い状態で運転される。
【0012】
(複数段の圧縮機構・減圧機構)
圧縮部10は、直列に接続される複数の圧縮機構11~14を含んでいる。第1段圧縮機構11、第2段圧縮機構12、第3段圧縮機構13、および第4段圧縮機構14は、低圧側Lから高圧側Hへと複数のステップに亘り冷媒を順次圧縮する。圧縮部10の段数Nは3以上であり、一例として段数Nは「4」である。第1段~第4段は、n1,n2,n3,n4の符号により示されている。
【0013】
後述するように、段数Nは、冷凍装置1の運転モードに応じて変更される。図2は、通常運転モードにおいて想定される冷媒の圧力と比エンタルピとの関係を示すモリエール線図である。図2に示されているr1,r2…等の記号は、図1に示されている同じ記号と対応している。
【0014】
本実施形態の冷凍装置1は、2つの電動圧縮機101,102と、電動圧縮機101,102のそれぞれの電動機や膨張弁等の動作を制御可能な制御装置15と、電動圧縮機101,102の間に設けられる中間冷却熱交換器16とを備えている。
第1電動圧縮機101は、直列に接続される第1段圧縮機構11および第2段圧縮機構12と、それら圧縮機構11,12を収容するハウジング101Aと、圧縮機構11,12を回転駆動する電動機101Bとを備えている。
第2電動圧縮機102は、直列に接続される第3段圧縮機構13および第4段圧縮機構14と、それら圧縮機構13,14を収容するハウジング102Aと、圧縮機構13,14を回転駆動する電動機102Bとを備えている。
【0015】
それぞれ同一の電動機により駆動されるいずれも複数段の圧縮機構を備えた2つの電動圧縮機101,102を組み合わせることにより、段数Nの多段圧縮冷凍装置1が実現されている。そのため、制御装置15は、2つの電動機101B,102Bのそれぞれの回転数を制御すればよい。したがって、各段の圧縮機構11~14が個別に対応する電動機により駆動される場合と比べ、冷凍装置1の制御は容易である。また、圧縮部10が、それぞれに圧縮機構、電動機、およびハウジングを備えた4台の圧縮機からなる場合と比べ、冷凍装置1の小型化および軽量化を図ることができる。
【0016】
中間冷却熱交換器16は、第2段圧縮機構12から吐出された冷媒を外気への放熱により冷却し、第3段圧縮機構13の吸入部へと供給する(図2における作動点r4からr5へ)。
【0017】
第1段圧縮機構11は、例えば、ピストンロータおびシリンダを含むロータリー式圧縮機構に相当する。第3段圧縮機構13も同様である。第2段圧縮機構12は、例えば、一対のスクロール部材を含むスクロール式圧縮機構に相当する。第4段圧縮機構14も同様である。
【0018】
圧縮部10が複数段の圧縮機構11~14からなることに対応して、減圧部20は、各段(n1,n2,n3,n4)に与えられる、圧縮の段数Nと同数の減圧機構21~24を含んでいる。減圧機構21~24はそれぞれ、膨張弁、あるいはキャピラリーチューブ等であってよい。第4段減圧機構24、第3段減圧機構23、第2段減圧機構22、および第1段減圧機構21は、この順序で、放熱器E1を経た冷媒の圧力を複数のステップに亘り順次減少させる。
【0019】
図2に示すように、複数段n1,n2,n3,n4の圧縮機構11~14により冷媒が圧縮されることで、冷媒の圧力が段階的に増大する。これに伴い冷媒の吐出温度が上昇する。
冷媒を外気へと放熱させる中間冷却熱交換器16の作用により冷媒の温度を低下させることで(図2の矢印A1参照)、圧縮部10の全体としての吐出温度の抑制に寄与することができる。
【0020】
第1段n1への吸入圧力と第2段n2からの吐出圧力との間の圧力を第1中間圧Pと称する。同様に、第2段n2への吸入圧力と第3段n3からの吐出圧力との間の圧力を第2中間圧Pと称し、第3段n3への吸入圧力と第4段n4からの吐出圧力との間の圧力を第3中間圧Pと称する。P<P<Pの関係が成り立つ。
高圧側Hにおける放熱器E1の設定圧力Pと、低圧側Lにおける吸熱器E2の設定圧力Pと、中間圧(P,P,P)とから決まる各段n1,n2,n3,n4の圧力比に基づいて、冷媒は、相変化を伴い圧力およびエンタルピを変化させながら、冷凍装置1の冷媒回路を循環する。
【0021】
(中間圧ガスインジェクション)
冷凍装置1は、第1~4段減圧機構21~24の段と段との間における冷媒の気液分離により得られた中間圧のガス冷媒を第1~第4段圧縮機構11~14のそれぞれの間に供給するガスインジェクションを実施する。そのため、冷凍装置1は、第1~第4段減圧機構21~24のそれぞれの間に与えられるN-1個の気液分離器31~33と、気液分離器31~33にそれぞれ対応するN-1個の中間圧インジェクション流路41~43とを備えている。
【0022】
通常運転モードにおいて、第4段圧縮機構14から吐出され、放熱器E1および第4段減圧機構24を経た冷媒の圧力(r12,r13,r14)、すなわち第3中間圧Pは、臨界圧力P以下に留まる。
第3中間圧気液分離器33(受液器)は、第4段減圧機構24から貯留タンク33Aの内部に冷媒を受け入れて気相と液相とに分離させる。これは、図2に示すように、r12から、r13およびr14への状態変化に相当する。
貯留タンク33Aの内部において冷媒は、密度差に基づいて気相と液相とに分離される。液面よりも上方の気相領域33Bには、第3中間圧インジェクション流路43が接続されている。
【0023】
第3中間圧インジェクション流路43は、気相領域33Bから第3中間圧Pのガス冷媒を第4段圧縮機構14の吸入部へと供給する(r13からr8へ)。第3中間圧インジェクション流路43により第4段圧縮機構14へ供給されるガス冷媒の温度は、第3段圧縮機構13から吐出される冷媒の温度よりも低い。そのため、第3中間圧インジェクション流路43により供給する冷媒と、第3段圧縮機構13から吐出される冷媒との全体として、第4段圧縮機構14へと吸入させる冷媒の温度が低下する(r7からr8へ)。そうすると、第4段圧縮機構14から吐出される冷媒の温度も低下するから、中間圧ガスインジェクションは、吐出温度の低減に寄与する。
【0024】
一方、貯留タンク33Aに貯留される第3中間圧Pの液冷媒は、貯留タンク33Aから流れ出て第3段減圧機構23により減圧される(r14からr15へ)。減圧機構23を含め、減圧機構21~23に液冷媒が供給されることによれば、吸熱器E2における蒸発過程に相当するエンタルピの拡大により(第3段減圧機構23について図2の矢印A2参照)、COPを向上させることができる。
【0025】
以上で述べた吐出温度の低減と、エンタルピ拡大による効率向上は、第3中間圧P、第2中間圧P、および第1中間圧Pのそれぞれについて言える。本実施形態の4段に限らず、5段、6段と段数Nを増やすことで、吐出温度の低減および効率向上の効果を高めることが可能である。
【0026】
第2中間圧Pおよび第1中間圧Pのそれぞれのガスインジェクションについても、上述の第3中間圧Pのガスインジェクションと同様である。
第3段減圧機構23を経た冷媒は、第2中間圧気液分離器32へと受け入れられ、第3中間圧気液分離器33と同様に気相と液相とに分離される。これは、r15から、r16およびr17への状態変化に相当する。
【0027】
第2中間圧気液分離器32の気相領域には、第2中間圧インジェクション流路42が接続されている。第2中間圧インジェクション流路42により、第2中間圧Pのガス冷媒を第3段圧縮機構13の吸入部へと供給すると(r16からr6へ)、中間冷却熱交換器16から流出して第3段圧縮機構13へと吸入される冷媒の温度が低下する(r5からr6へ)。第2段圧縮機構12と第3段圧縮機構13との間においては、中間圧Pのインジェクション作用に加え、中間冷却熱交換器16による作用(r4からr5へ)によっても第3段圧縮機構13への吸入温度が低下するため、吐出温度をより抑えることができる。
第2中間圧気液分離器32から流れ出る第2中間圧Pの液冷媒は、第2段減圧機構22により減圧される(r17からr18へ)。
【0028】
第2段減圧機構22を経た冷媒は、第1中間圧気液分離器31へと受け入れられて気相と液相とに分離される。これは、r18から、r19およびr20への状態変化に相当する。
第1中間圧気液分離器31の気相領域に接続される第1中間圧インジェクション流路41により、第1中間圧Pのガス冷媒を第2段圧縮機構12の吸入部へと供給すると(r18からr3へ)、第2段圧縮機構12へと吸入させる冷媒の温度が低下する(r2からr3へ)。
第1中間圧気液分離器31から流れ出る第1中間圧Pの液冷媒は、第1段減圧機構21により減圧される(r20からr21へ)。第1段減圧機構21を経た冷媒は、吸熱器E2により熱負荷から吸熱することで蒸発し、第1段圧縮機構11へと吸入される(r21からr22,r1へ)。
【0029】
制御装置15により冷凍装置1が通常運転モードに設定されている状態で運転されるとき、冷凍装置1に備わる段数N分の圧縮、膨張、および中間圧インジェクションが行われることにより、低GWPの冷媒を使用しつつCOPを向上させ、かつ吐出温度を許容限度以下に維持しながら冷凍装置1を安定して運転させることができる。
しかしながら、例えば外気温が、通常運転モードで想定する外気温の範囲に対して過大である場合には、冷凍装置1を最大の段数Nで運転させると、運転状態が不安定となり得、冷媒を循環させることができないこともあり得る。
多段圧縮を経て圧縮部10から吐出されるCO冷媒の温度が臨界圧力Pを超えることは許容されるとしても、外気温の上昇に伴い放熱器E1による冷媒の放熱量が減少することで、第3中間圧P(r12,r13,r14)が臨界圧力Pを超えたならば、第3中間圧気液分離器33において冷媒が凝縮しないので気液分離を行うことはできず、超臨界状態の冷媒の挙動は安定しないので、安定した制御を行うことが難しい。超臨界流体の圧力、温度、流量等を予測して運転状態を安定させることは難しい。
【0030】
そこで、外気温が過大である運転条件、あるいは他の運転条件を含め、広い範囲に亘り冷凍装置1を安定して運転させるため、冷凍装置1は、中間圧インジェクション流路41~43から任意に選択される少なくとも一つに設けられるバルブ(V3)を備えている。
本実施形態の冷凍装置1は、最も高圧側Hの第3中間圧インジェクション流路43に設けられる第3中間圧バルブV3を備えている。
第3中間圧バルブV3は、電磁弁であり、制御装置15から発せられる指令に基づいて開または閉に切り替えられる。
【0031】
冷凍装置1は、通常運転モードにおいては、第3中間圧バルブV3が開いた状態で、第1~第3中間圧インジェクション流路41~43により第1~第3中間圧P,P,Pのインジェクションを実施しつつ、図2に示すように冷媒の圧力およびエンタルピを変化させながら運転される。このとき、冷媒が循環している段数としての有効段数Nは、冷凍装置1に備わる段の総数Nに相当する「4」である。
【0032】
(高外気温モード)
冷媒が臨界圧力を超える程に外気温が過大である場合には、制御装置15は、第3中間圧バルブV3を閉じて第1中間圧インジェクション流路41および第2中間圧インジェクション流路42のみにより中間圧インジェクションを実施する高外気温モードへと冷凍装置1の運転モードを切り替える。高外気温モードでは、第4段減圧機構24を経ても超臨界状態にある冷媒が、第3中間圧気液分離器33の貯留タンク33Aの内部を通過し、第3段減圧機構23により減圧された後に第2中間圧気液分離器32へと流入する(r12,r13,r14からr15へ)。このとき貯留タンク33Aには液冷媒が貯留されない(図4に示す貯留タンク33Aの内部の状態に相当)。
【0033】
第3中間圧バルブV3が閉じられると、第3中間圧インジェクション流路43を冷媒が流れないので、通常運転モードにおける第3段n3および第4段n4が圧縮・膨張工程において一段にまとまる結果、有効段数Nが「3」に減少する。図3に高外気温モードにおける冷媒の状態を示すように、冷凍装置1は、n1~n3の3段圧縮・3段膨張のサイクルにより運転される。超臨界状態の冷媒の圧力が第3段減圧機構23により減少するため(r12,r13,r14からr15へ)、第2中間圧Pが臨界圧力P以下に維持される。そのため、冷凍装置1は安定して運転される。
【0034】
通常運転モードにおいて、制御装置15は、例えば、外気温と高圧側Hの設定圧力との対応を示すマップデータ等と、温度センサ17により検知される外気温とを用いることにより、外気温の検知結果に対応するマップデータ上の高圧側H圧力が、余裕を見込んで臨界圧力Pよりも低く設定された第1閾値圧力T図3)に対して大きいか否かを判定する。外気温の検知結果に対応するマップデータ上の高圧側H圧力が第1閾値圧力Tに対して大きい場合には、制御装置15は、第3中間圧バルブV3を閉じて、通常運転モードから高外気温モードへと移行する。
高外気温モードにおいても外気温を継続して監視し、例えば、外気温の検知結果に対応するマップデータ上の高圧側H圧力が第1閾値圧力Tよりも低い第2閾値圧力Tに対して小さい場合には、制御装置15は、第3中間圧バルブV3を開いて、高外気温モードから通常運転モードへと復帰する。
【0035】
以上で説明した第1実施形態の冷凍装置1によれば、中間圧インジェクション流路41~43の少なくとも一つに設けられるバルブV3を開または閉に切り替えることにより、冷媒が循環する有効段数Nが可変に構成されている。そのため、通常運転モードにおいては最大の段数Nによる冷凍サイクルによりCOPを向上させつつ、高圧側Hの中間圧が臨界圧力Pを超える程に外気温が上昇した場合には、高圧側Hの中間圧インジェクション流路43に設けられているバルブV3を閉じて有効段数Nを減らすことにより、冷凍装置1を安定して運転させることができる。
つまり、本実施形態によれば、超臨界状態にまで圧縮される冷媒を扱いながらも、超臨界状態の冷媒挙動の予測等に基づく難しい制御が必要とならずに、バルブV3の開閉による有効段数Nの変更により種々の運転条件における冷媒の状態のそれぞれに適合するサイクルを容易に実現することができる。したがって、広範囲の運転条件に亘り安定して運転可能な多段圧縮の冷凍装置1を提供することができる。
【0036】
冷凍装置1は、第3中間圧インジェクション流路43に設けられるバルブV3に加え、他の中間圧インジェクション流路42,41に設けられるバルブを備えていてもよい。例えば、図4に示すように、第2中間圧インジェクション流路42にも、制御装置15により開閉可能なバルブV2が設けられることは妨げられない。図4に示す高外気温モードにおいては、中間圧バルブV2,V3のうち、黒色で示す第3中間圧バルブV3のみが閉じられる。
【0037】
〔第2実施形態〕
次に、図5および図6を参照し、第2実施形態について説明する。以下、第1実施形態とは相違する事項を中心に説明する。第1実施形態と同様の構成要素には同じ符号を付している。
図5に示す冷凍装置1-2は、第1実施形態の冷凍装置1とは異なる運転条件に対応するため、第1中間圧インジェクション流路41に第1中間圧バルブV1を備えている。冷凍装置1-2は、第1実施形態の冷凍装置1と同様に、第3中間圧インジェクション流路43に設けられる第3中間圧バルブV3も備えている。第1中間圧バルブV1を備えていることを除いて、第2実施形態の冷凍装置1-2は、第1実施形態の冷凍装置1と同様に構成されている。
【0038】
冷凍装置1-2は、冷凍装置1と同様に第3中間圧バルブV1を備えているため、中間圧バルブV1,V3のうち第3中間圧バルブV3のみを閉じて有効段数Nを「3」に減少させることにより、上述の高外気温モードを行うことができる。
【0039】
高外気温モードとは逆に、外気温が低いと、高圧側Hの設定圧力Pと低圧側Lの設定圧力Pとの圧力比が小さくなる。当該圧力比が各段に按分されることになるため、通常運転モードと同様に最大段数Nで運転させると、各段n1,n2,n3,n4の圧力比が小さくなる。各段の圧力比が、気液分離器31~33からそれぞれ圧縮機構12~14へと冷媒を搬送するために必要な圧力比に対して不足する程に外気温が低い場合は、各段に冷媒を循環させることができない。
この場合には、制御装置15は、第1中間圧バルブV1および第3中間圧バルブV3の両方を閉じることで、通常運転モードから低外気温モード(低圧力比運転モード)へと冷凍装置1-2の運転モードを切り替える。低外気温モードでは、第2中間圧インジェクション流路42のみを通じて中間圧インジェクションを実施する。
【0040】
図6は、低外気温モードにおける冷媒の状態を示している。第1中間圧バルブV1および第3中間圧バルブV3が閉じられることで、有効段数Nは「2」に減少し、このとき冷凍装置1-2は、2段圧縮・2段膨張のサイクルにより運転される。段の総数Nに対して有効段数Nが減少した分、気液分離器31~33のそれぞれから圧縮機構12~14への冷媒の搬送に足りる圧力が各段に確保されるので、冷凍装置1は安定して運転される。
【0041】
通常運転モードにおいて、制御装置15は、例えば、外気温と各段の圧力比との対応を示すマップデータ等と、温度センサ17により検知される外気温とを用いることにより、外気温の検知結果に対応するマップデータ上の各段圧力比が、中間圧インジェクションに必要な各段圧力比を考慮した各段の第1圧力比Rに対して大きいか小さいかを判定する。外気温の検知結果に対応するマップデータ上の各段圧力比が各段の第1圧力比Rに対して小さい場合には、制御装置15は、第1中間圧バルブV1および第3中間圧バルブV3を閉じて、通常運転モードから低外気温モードへと移行する。
外気温を継続して監視し、例えば、外気温の検知結果に対応するマップデータ上の各段の圧力比が、各段の第2圧力比R(R<R)に対して大きい場合には、制御装置15は、中間圧バルブV1,V3を開き、低外気温モードから通常運転モードへと復帰する。
【0042】
以上で説明した第2実施形態の冷凍装置1-2によれば、高圧側Hおよび低圧側Lのそれぞれに一つずつ設けられている中間圧バルブV1,V3のうち少なくとも第3中間圧バルブV3を閉じることにより、段の総数である4段に対して有効段数Nを3段と2段とに変化させることができる。そうすると、第1実施形態の冷凍装置1に対してより広範囲の運転条件に亘り冷凍装置1-2を安定して運転させることができる。
【0043】
有効段数Nを減少させる観点だけから言えば、低外気温モードにおいて、第2実施形態の中間圧バルブV1,V3のうちいずれか一方のみを閉じることができる。例えば、第3中間圧バルブV3のみを閉じ、第1中間圧インジェクション流路41と第2中間圧インジェクション流路42とによる中間圧インジェクションの実施に足りる圧力比が各段n1,n2,n3に確保される場合である。外気温を検知しつつ、例えば、中間圧バルブV1~V3のうち、全部が開いた状態(4段)、中間圧バルブV3のみが閉じた状態(3段)、および中間圧バルブV1,V3の両方が閉じた状態(2段)のうちの最も安定する段数にて冷凍装置1-2を運転させることができる。
あるいは、第1中間圧バルブV1のみを閉じ、第3中間圧インジェクション流路43と第2中間圧インジェクション流路42とによる中間圧インジェクションの実施に足りる圧力比を各段n2,n3,n4に確保してもよい。後者の場合、第3中間圧Pが臨界圧力Pを超える程に外気温が高い環境では冷凍装置1-2が使用されないとすれば、第3中間圧インジェクション流路43への中間圧バルブV3の設置を省くことができる。
【0044】
第2実施形態において、第2中間圧インジェクション流路42にも開閉バルブを設けることは妨げられない。但し上記第2実施形態では、低外気温モードを含めた全ての運転モードにおいて常時、第2中間圧インジェクション流路42を通じた中間圧インジェクションを行うことで2段圧縮・2段膨張サイクルを維持するから、第2中間圧インジェクション流路42には中間圧バルブを設置しないことにより装置コストを抑えることができる。
【0045】
段の総数Nが「4」よりも多い場合、例えば、「5」や「6」である場合であっても、第2実施形態と同様に、段数Nを減少させて冷凍装置を運転させることができる。
例えば、段数Nが「5」である場合には、冷凍装置は、高圧側Hの第4中間圧インジェクション流路および第3中間圧インジェクション流路の少なくとも一つに設けられる中間圧バルブと、高圧側Hの第4中間圧インジェクション流路および第3中間圧インジェクション流路の少なくとも一つに設けられる中間圧バルブとを備えている。
この場合において、冷凍装置が、第4中間圧バルブV4、第3中間圧バルブV3、第2中間圧バルブV2、および第1中間圧バルブV1を備えているとすると、低外気温モードにおいては、例えば、第1中間圧バルブV1、第3中間圧バルブV3、および第4中間圧バルブV4を閉じて2段サイクルで運転させたり、あるいは、第1中間圧バルブV1および第4中間圧バルブV4を閉じて3段サイクルで運転させたりすることが可能である。つまり、有効段数Nを「2」または「3」に変更することができる。
【0046】
〔変形例〕
図示を省略するが、第1~第3中間圧インジェクション流路41~43にそれぞれ、つまり中間圧インジェクション流路41~43の全数に対して中間圧バルブを設けることも可能である。その場合において、冷凍装置に備わる3つの中間圧バルブV1,V2,V3のいずれも閉じることで、有効段数Nを「1」にまで減少させることが可能となる。
また、冷凍装置に備わる3つの中間圧バルブV1,V2,V3のうちの一つまたは二つのバルブを常時開放とし、残りの中間圧バルブのみを開閉させることにより、要求される種々の運転条件に冷凍装置を対応させることができる。このとき常時開放されるバルブでも、冷凍装置に使用される冷媒や、冷凍装置の使用地域に適した外気温範囲等の運転条件によっては、運転モードに応じて閉じることができる。つまり、同じ冷媒回路を冷媒や使用環境温度、あるいは用途等が異なる複数の製品に展開することかできる。
【0047】
図7に示す冷凍装置1-3は、複数段の電動圧縮機(図1の101,102)を備えていない。冷凍装置1-3に備わる圧縮機構11~13はそれぞれ、電動機10Mおよびハウジング10Hと共に、単段の圧縮機として構成されている。
冷凍装置1-3は、第1、第2中間圧インジェクション流路41,42のうち高圧側Hの第2中間圧インジェクション流路42に第2中間圧バルブV2を備えているとともに、低圧側Lの第1中間圧インジェクション流路41に第1中間圧バルブV1を備えている。
【0048】
外気温が高いため、第1、第2中間圧インジェクション流路41,42のいずれも使用して中間圧インジェクションを実施した場合に第2中間圧Pが臨界圧力Pを超えるとするならば、最も高圧側Hの第2中間圧バルブV2を閉じることにより、冷凍装置1-3を2段圧縮・2段膨張サイクルで運転させるとよい。
また、外気温が低いため、第1、第2中間圧インジェクション流路41,42の両方を使用して中間圧インジェクションを実施した場合に各段の圧力比が不足するとするならば、あるいは他の理由から、中間圧バルブV1,V2のいずれか一方または両方を閉じることにより、2段圧縮・2段膨張サイクルまたは1段圧縮・膨張サイクルで冷凍装置1-3を運転させるとよい。
【0049】
冷凍装置1-3は、中間冷却熱交換器16(図1)を備えていないが、吐出温度を低減させるために、圧縮機構11,12の間、および圧縮機構12,13の間の少なくともいずれかに中間冷却熱交換器16を設けることができる。
上述の冷凍装置1,1-2においても、中間冷却熱交換器16は、必要に応じて設けられていれば足りる。
【0050】
上記以外にも、上記実施形態で挙げた構成を取捨選択したり、他の構成に適宜変更したりすることが可能である。
例えば、上記各実施形態において、圧縮機構11~14を保護するため、気液分離器31~33に液位センサを設けることが可能である。液位センサにより、貯留タンクに過大な量の液冷媒が貯留されていることが検知されたならば、制御装置15により、対応する中間圧インジェクション流路の中間圧バルブを閉じるとよい。そうすることで、液冷媒の流入による圧縮機構の損傷を未然に防ぐことができる。
【0051】
〔付記〕
以上で説明した冷凍装置は、以下のように把握される。
〔1〕冷凍サイクルにより冷媒を循環させる冷凍装置1,1-2,1-3は、直列に接続されてそれぞれ冷媒を圧縮する複数段の圧縮機構11~14を含み、段数Nが3以上である圧縮部10と、圧縮部10により低段から高段へと複数のステップに亘り圧縮されて圧縮部10から吐出された冷媒を、外気へと放熱させる第1熱交換器(E1)と、複数段の各段に与えられる複数の減圧機構21~24を含み、第1熱交換器(E1)を経た冷媒の圧力を複数のステップに亘り減少させる減圧部20と、減圧部20を経た冷媒を熱負荷から吸熱させる第2熱交換器(E2)と、減圧機構21~24のうちの減圧機構間にそれぞれ与えられる複数の気液分離器31~33と、複数の気液分離器31~33にそれぞれ対応し、対応する気液分離器31~33から圧縮機構11~14のうちの圧縮機構間に気相の冷媒を供給する複数の中間圧インジェクション流路41~43と、複数の中間圧インジェクション流路41~43の少なくとも一つに設けられるバルブV1,V2,V3と、を備える。バルブV1,V2,V3を動作させることで、冷媒が循環する有効段数Nが可変に構成されている。
〔2〕バルブV3は、複数の中間圧インジェクション流路41~43のうち最も高圧の中間圧インジェクション流路41~43に設けられる。
〔3〕冷媒は、二酸化炭素を少なくとも一部に含む。
〔4〕段数Nは、4以上であり、バルブV1,V2,V3は、複数の中間圧インジェクション流路41~43のうち、高圧側の中間圧インジェクション流路41~43の少なくとも一つと、低圧側の中間圧インジェクション流路41~43の少なくとも一つとに設けられている。
〔5〕冷凍装置1,1-2,1-3は、いずれかの圧縮機構11~14としての低圧側圧縮機構から吐出された冷媒を外気と熱交換させて、低圧側圧縮機構と直列に接続されている圧縮機構としての高圧側圧縮機構に流入させる中間冷却熱交換器16を備える。
〔6〕圧縮部10は、直列に接続される複数の圧縮機構11,12(または13,14)と、複数の圧縮機構11,12(または13,14)を収容するハウジング(101A等)と、複数の圧縮機構11,12(または13,14)を駆動する電動機(101B等)と、を備えた複数段電動圧縮機101,102を含む。
〔7〕冷凍装置1,1-2,1-3は、バルブV1,V2,V3を動作させる指令を発生させる制御装置15を備え、制御装置15は、外気の温度に応じて指令を発生させることにより、有効段数Nを変化させる。
【符号の説明】
【0052】
1,1-2,1-3 冷凍装置
10 圧縮部
10H ハウジング
10M 電動機
11 第1段圧縮機構
12 第2段圧縮機構
13 第3段圧縮機構
14 第4段圧縮機構
15 制御装置
16 中間冷却熱交換器(中間熱交換器)
17 温度センサ
20 減圧部
21 第1段減圧機構
22 第2段減圧機構
23 第3段減圧機構
24 第4段減圧機構
31 第1中間圧気液分離器
32 第2中間圧気液分離器
33 第3中間圧気液分離器
33A 貯留タンク
33B 気相領域
41 第1中間圧インジェクション流路
42 第2中間圧インジェクション流路
43 第3中間圧インジェクション流路
101 第1電動圧縮機(複数段電動圧縮機)
101A ハウジング
101B 電動機
102 第2電動圧縮機(複数段電動圧縮機)
102A ハウジング
102B 電動機
E1 放熱器(第1熱交換器)
E2 吸熱器(第2熱交換器)
H 高圧側
L 低圧側
N 段数
有効段数
第1中間圧
第2中間圧
第3中間圧
臨界圧力
,P 設定圧力
,R 圧力比
第1閾値圧力
第2閾値圧力
V1 第1中間圧バルブ
V2 第2中間圧バルブ
V3 第3中間圧バルブ
n1~n4 段
r1~r22 作動点
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7