(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022181872
(43)【公開日】2022-12-08
(54)【発明の名称】成形機管理装置
(51)【国際特許分類】
B29C 45/76 20060101AFI20221201BHJP
G05B 19/418 20060101ALI20221201BHJP
【FI】
B29C45/76
G05B19/418 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021089067
(22)【出願日】2021-05-27
(71)【出願人】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100179475
【弁理士】
【氏名又は名称】仲井 智至
(74)【代理人】
【識別番号】100216253
【弁理士】
【氏名又は名称】松岡 宏紀
(74)【代理人】
【識別番号】100225901
【弁理士】
【氏名又は名称】今村 真之
(72)【発明者】
【氏名】厚田 耕佑
(72)【発明者】
【氏名】美濃羽 弘樹
【テーマコード(参考)】
3C100
4F206
【Fターム(参考)】
3C100AA29
3C100AA38
3C100AA57
3C100AA59
3C100AA70
3C100BB05
3C100BB13
3C100BB15
3C100BB17
3C100BB27
3C100BB33
3C100CC02
3C100EE12
4F206AP10
4F206JA07
4F206JL02
4F206JP21
4F206JP27
4F206JQ88
(57)【要約】
【課題】成形条件に関する数値情報を解析しやすくする。
【解決手段】成形機に接続可能な成形機管理装置は、成形機によって成形品が成形されたときの成形工程に関する数値情報と、成形品が生産されたときの人と機械と材料と方法との生産4要素に関する4要素情報とを時系列に従って記憶する記憶部と、生産4要素の変更時点によって区分される期間ごとの複数のグループに数値情報を分類し、複数のグループに分類された数値情報をグループ単位で出力部に出力させる出力制御部と、を備える。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
成形機に接続可能な成形機管理装置であって、
前記成形機によって成形品が成形されたときの成形工程に関する数値情報と、前記成形品が生産されたときの人と機械と材料と方法との生産4要素に関する4要素情報とを時系列に従って記憶する記憶部と、
前記生産4要素の変更時点によって区分される期間ごとの複数のグループに前記数値情報を分類し、前記複数のグループに分類された前記数値情報をグループ単位で出力部に出力させる出力制御部と、
を備える、成形機管理装置。
【請求項2】
請求項1に記載の成形機管理装置であって、
前記出力制御部は、前記生産4要素に関する第1条件が指定された場合、前記複数のグループのうち、前記第1条件に該当するグループに属する前記数値情報を前記出力部に出力させる、成形機管理装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の成形機管理装置であって、
前記出力制御部は、前記生産4要素の変更順序に関する第2条件が指定された場合、前記複数のグループのうちの前記第2条件に該当するグループに属する前記数値情報と、前記第2条件に該当するグループに属する前記数値情報に対応付けられた情報であって前記成形品の良否を表す良否情報とのうちの少なくとも一方を前記出力部に出力させる、成形機管理装置。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の成形機管理装置であって、
前記出力制御部は、前記数値情報の統計図を前記出力部に出力させる、成形機管理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、成形機管理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、成形機の稼働状況や成形品の品目や成形条件を示す帯グラフと、成形機の異常発生時期を示す線と、成形条件に関する数値を示す折れ線グラフとを同じ時間軸に沿って表示させる管理装置が開示されている。この管理装置は、成形機の稼働状況や成形品の品目や成形条件の変更があった場合には、変更前後で帯グラフの帯の色を異ならせて表示させる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
成形品の生産では、人(Man)、機械(Machine)、材料(Material)、および、方法(Method)の生産4要素のうちのいずれかの変化によって、成形条件に関する数値の好適な範囲が変化することがある。上述した管理装置では、成形機の稼働状況や成形品の品目や成形条件が変更されたタイミングが帯グラフによって表される。しかしながら、成形条件に関する数値を解析しやすくするためには、さらなる工夫の余地がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の一形態によれば、成形機に接続可能な成形機管理装置が提供される。この成形機管理装置は、前記成形機によって成形品が成形されたときの成形工程に関する数値情報と、前記成形品が生産されたときの人と機械と材料と方法との生産4要素に関する4要素情報とを時系列に従って記憶する記憶部と、前記生産4要素の変更時点によって区分される期間ごとの複数のグループに前記数値情報を分類し、前記複数のグループに分類された前記数値情報をグループ単位で出力部に出力させる出力制御部と、を備える。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】成形機管理システムの概略構成を示す説明図。
【
図3】表示されるグループが絞り込まれた状態を示す第1の説明図。
【
図4】表示されるグループが絞り込まれた状態を示す第2の説明図。
【発明を実施するための形態】
【0007】
A.第1実施形態:
図1は、第1実施形態における成形機管理装置500を備える成形機管理システム10の概略構成を示す説明図である。本実施形態における成形機管理システム10は、射出成形機100と、取出機200と、検査装置300と、端末装置400と、成形機管理装置500とを備えている。なお、以下の説明では、成形機管理装置500のことを単に管理装置500と呼ぶことがある。
【0008】
図1には、成形機管理システム10によって製造される成形品の流れが、実線矢印で示されている。成形機管理システム10は、射出成形機100によって成形品を成形し、取出機200によって射出成形機100から成形品を取り出して検査装置300に搬送し、検査装置300によって成形品を検査する。なお、取出機200や検査装置300のように、射出成形機100とともに成形品の生産に用いられる装置のことを周辺装置と呼ぶことがある。
【0009】
射出成形機100は、成形制御部110と、それぞれ図示しない射出装置と型締装置を備えている。射出装置には、成形品の材料を貯留するホッパーが装着される。型締装置には、キャビティーを有する成形型が装着される。成形型は、金属製でもよいし、セラミック製でもよいし、樹脂製でもよい。金属製の成形型のことを金型と呼ぶ。
【0010】
成形制御部110は、1つまたは複数のプロセッサーと、記憶装置と、外部との信号の入出力を行う入出力インターフェイスとを備えるコンピューターによって構成されている。成形制御部110は、複数のコンピューターによって構成されてもよい。後述する取出機200の取出制御部210、および、検査装置300の検査制御部310についても、成形制御部110と同様の構成である。
【0011】
成形制御部110は、射出成形機100の各部を制御して射出成形を行い、成形品を成形する。より具体的には、成形制御部110は、型締装置を制御して成形型を型締めし、射出装置を制御して材料を可塑化して成形型に射出することによって、成形型に設けられたキャビティーの形状に応じた形状を有する成形品を成形する。
【0012】
成形制御部110は、成形工程に関する数値情報を表す数値データを管理装置500に送信する。成形工程には、成形型を開閉する工程や、ホッパーから射出装置に材料を供給する工程や、ホッパーから供給された材料を可塑化する工程や、可塑化した材料を成形型に射出する工程などが含まれる。本実施形態では、数値データには、成形工程に関する数値情報として、成形条件の項目ごとの射出成形機100の設定値と計測値とが含まれている。成形条件は、例えば、射出圧力や、金型温度や、型締圧力などの複数の項目を有している。設定値とは、射出成形機100に設定される数値のことを意味し、計測値とは、射出成形機100に設けられた各種センサーによって計測される数値のことを意味する。計測値には、計測値が計測された時刻またはショット数が対応付けられており、設定値には、射出成形機100に設定値が設定された時刻またはショット数が対応付けられている。ショット数とは、射出成形の回数のことを意味する。1回の射出成形のことを1ショットと呼ぶ。なお、他の実施形態では、設定値と計測値とのいずれか一方が数値データに含まれていなくてもよい。設定値には、射出成形機100において計測値が計測された時刻またはショット数が対応付けられていてもよい。
【0013】
本実施形態の取出機200は、取出制御部210と、取出ロボットと、切断機とによって構成されている。取出制御部210は、取出ロボットおよび切断機の動作を制御する。取出ロボットは、例えば、水平多関節ロボットや垂直多関節ロボットである。取出ロボットは、射出成形機100の成形型から成形品を取り出す。切断機は、成形型で成形品とともに成形されるスプルーやランナーを、切断によって成形品から除去する機器である。本実施形態では、取出ロボットは、射出成形機100のエジェクターピンによって成形型から離型された成形品を、取出ロボットのアームの先端に取り付けられたエンドエフェクターによって把持して取り出す。その後、切断機によってスプルーやランナーが成形品から除去され、スプルーやランナーが除去された成形品が取出ロボットによって検査装置300に搬送される。なお、他の実施形態では、取出ロボットは、例えば、成形品を真空吸着して把持するロボットであってもよい。取出機200は、切断機を備えていなくてもよい。
【0014】
本実施形態の検査装置300は、検査制御部310とカメラとによって構成される。検査制御部310は、カメラを制御して成形品を撮像し、撮像した成形品の画像を解析することによって、成形品の外観検査および寸法検査を行う。
【0015】
検査制御部310は、射出成形機100によって成形された成形品の良否に関する良否情報を表す検査結果データを生成し、検査結果データを管理装置500に送信する。本実施形態では、検査結果データには、良否情報として、カメラを用いて測定された成形品の寸法に関する情報や、成形品の良否判定結果に関する情報、および、成形品の不良の種別に関する情報が含まれている。不良の種別には、成形品の寸法に問題のある寸法不良と、成形品の外観に問題のある外観不良とが含まれている。検査結果データには、検査装置300による成形品の検査が行われた時刻またはショット数が対応付けられている。なお、本実施形態では、検査制御部310によって検査結果データが自動生成されるが、他の実施形態では、作業員が、検査項目に従って実施した検査結果に基づいて検査結果データを作成してもよい。この場合、検査結果データは、例えば、図示しない入力部を介して検査制御部310に入力され、検査制御部310から管理装置500に送信される。
【0016】
端末装置400は、CPUと記憶装置と表示部450とを備えるコンピューターとして構成されている。端末装置400としては、例えば、タブレット端末やノート型パソコン、スマートフォンを適用できる。本実施形態では、表示部450にタッチパネル機能が備えられている。表示部450には、管理装置500から出力された各種の情報が表示される。なお、表示部450のことを出力部と呼ぶことがある。他の実施形態では、表示部450は、管理装置500に備えられてもよい。
【0017】
端末装置400は、成形品を生産するための生産4要素に関する4要素情報を含む各種情報を表す生産条件データを管理装置500に送信する。生産4要素とは、人(Man)、機械(Machine)、材料(Material)、および、方法(Method)の4つの要素のことを意味する。人とは、例えば、射出成形機100の運転を担当する作業員や、検査装置300による検査を担当する作業員など、成形品の生産に関与する者のことを意味する。機械とは、例えば、射出成形機100や、取出機200や、検査装置300など、成形品の生産に用いられる機械のことを意味する。材料とは、成形品の材料のことを意味する。方法とは、例えば、射出成形の方法や、成形型からの成形品の取り出し方法や、成形品の検査の方法など、成形品の生産方法のことを意味する。なお、生産4要素のことを4Mと呼び、4要素情報のことを4M情報と呼ぶことがある。
【0018】
本実施形態では、4要素情報は、作業者によって端末装置400に入力されて、端末装置400から管理装置500に送信される。なお、他の実施形態では、4要素情報のうちの少なくとも一部は、端末装置400以外の装置に入力されて、端末装置400以外の装置から管理装置500に送信されてもよい。例えば、4要素情報のうちの少なくとも一部は、例えば、射出成形機100に入力されて、射出成形機100から管理装置500に送信されてもよい。あるいは、4要素情報のうちの少なくとも一部は、管理装置500に入力されてもよい。4要素情報は、人手による入力ではなく、端末装置400あるいは管理装置500が、他の生産システムからネットワーク等を通じて取得してもよい。生産条件データには、4要素情報の他に、成形品の生産ロット番号に関する情報が含まれてもよい。生産ロット番号は、例えば、端末装置400に入力されて、管理装置500に送信されてもよい。
【0019】
管理装置500は、CPU501と記憶部502とを備えるコンピューターによって構成されている。記憶部502には、主記憶装置および補助記憶装置が含まれる。
【0020】
管理装置500は、射出成形機100、取出機200、検査装置300、および、端末装置400と通信可能に接続されている。本実施形態では、管理装置500は、ネットワークNTを介して、射出成形機100、取出機200、検査装置300、および、端末装置400と相互に通信可能に構成されている。ネットワークNTは、例えば、LANであってもよいし、WANであってもよいし、インターネットであってもよい。管理装置500は、ネットワークNTを介して、射出成形機100や取出機200や検査装置300や端末装置400と通信することによって、射出成形機100や取出機200や検査装置300や端末装置400とのデータの送受信等を実行する。
【0021】
管理装置500は、データ取得部510と、表示制御部520とを備えている。データ取得部510および表示制御部520は、CPU501が記憶部502に記憶されたプログラムを実行することによって実現される。なお、これらは回路によって実現されてもよい。
【0022】
データ取得部510は、射出成形機100から数値データを取得し、検査装置300から検査結果データを取得し、端末装置400から生産条件データを取得する。データ取得部510は、取得した数値データと検査結果データと生産条件データとを記憶部502に時系列に従って記憶させる。
【0023】
表示制御部520は、成形工程に関する数値情報と、成形品の良否に関する良否情報と、成形品の生産4要素に関する4要素情報とを、同一の時系列に沿ってそれぞれ表示部450に表示させる。表示制御部520は、数値情報と良否情報と4要素情報とを、生産4要素の変更時点によって区分される期間ごとの複数のグループに分類してグループ単位で表示部450に表示させる。表示制御部520は、記憶部502に記憶された数値データと検査結果データと生産条件データとを用いて、数値情報と良否情報と4要素情報とを表示部450に表示させるための表示データを生成する。表示データには、後述する期間表示領域、良否情報表示領域、4要素情報表示領域、および、数値情報表示領域を描画するためのデータが含まれる。表示制御部520は生成した表示データを端末装置400に送信する。端末装置400は、表示制御部520から送信された表示データに従い、表示部450に情報表示画面を表示する。なお、表示制御部520のことを出力制御部と呼ぶことがある。
【0024】
図2は、表示部450に表示される情報表示画面SC1を示す説明図である。情報表示画面SC1には、上から順に、良否情報表示領域RG1と、4要素情報表示領域RG2と、数値情報表示領域RG3とが設けられている。ただし、これらの配置の順序は任意である。各領域RG1~RG3の横方向の軸は、時間軸であり、良否情報表示領域RG1と、4要素情報表示領域RG2と、数値情報表示領域RG3とは、共通の時間軸を有している。つまり、良否情報表示領域RG1に表示される情報、4要素情報表示領域RG2に表示される情報、および、数値情報表示領域RG3に表示される情報は、同一の時系列に沿って表示される。なお、本実施形態では、横方向の軸は時間軸であるが、他の実施形態では、横方向の軸はショット数やロット数などの生産量に関する情報に基づいて規定されてもよい。
【0025】
良否情報表示領域RG1には、良否情報が時系列に従って表示される。本実施形態では、良否情報表示領域RG1の上段には、期間T1~T12を表すラベルが表示されている。良否情報表示領域RG1の下段には、各期間T1~T12における成形品の不良率が棒グラフで表示される。各期間T1~T12における不良率は、表示制御部520によって算出される。表示制御部520は、検査結果データを用いて各期間T1~T12における不良率を算出できる。なお、他の実施形態では、良否情報表示領域RG1には、不良率ではなく、不良数が棒グラフで表示されてもよい。良否情報表示領域RG1には、各期間T1~T12における成形品の不良率や不良数が折れ線グラフで表示されてもよい。
【0026】
4要素情報表示領域RG2には、4要素情報が時系列に従って表示される。本実施形態では、4要素情報表示領域RG2には、各期間T1~T12における生産4要素の状況が帯グラフで表示される。帯グラフには、帯の色や模様などによって、各期間T1~T12における生産4要素の状況が表される。
図2に示した例では、4要素情報表示領域RG2には、4つの帯グラフが表示されている。4つの帯グラフには、互いに異なる項目に関する生産4要素の状況が表される。各帯グラフには、例えば、誰が射出成形機100の運転を担当したか、誰が検査装置300による検査を担当したか、どのような成形条件が設定されていたか、どの材料ロットが成形品の材料として使用されたか、どの金型が射出成形機100に装着されていたか等の状況が表される。なお、4要素情報表示領域RG2に表示される帯グラフの数は、1つでもよいし、2つ以上でもよい。
【0027】
数値情報表示領域RG3には、成形工程に関する数値情報が時系列に従って表示される。上述したとおり、成形条件は、射出圧力や、金型温度や、型締圧力などの複数の項目を有している。本実施形態では、数値情報表示領域RG3には、成形条件の項目ごとの計測値が折れ線グラフで表示される。折れ線グラフには、各期間T1~T12における計測値の平均値あるいは中央値が表される。各期間T1~T12における計測値の平均値や中央値は、表示制御部520によって算出される。表示制御部520は、数値データを用いて各期間T1~T12における計測値の平均値や中央値を算出できる。折れ線グラフには、計測値の生値が表示されてもよい。
図2に示した例では、数値情報表示領域RG3には、2つの折れ線グラフが上下に並んで表示されている。上段の折れ線グラフには、射出圧力の計測値の平均値が表されており、下段の折れ線グラフには、金型温度の計測値の平均値が表されている。なお、数値情報表示領域RG3に表示される折れ線グラフの数は、1つでもよいし、3つ以上でもよい。数値情報表示領域RG3に表示される折れ線グラフには、計測値ではなく、設定値が表されてもよい。
【0028】
表示制御部520は、良否情報と4要素情報と数値情報とを、生産4要素の変更時点によって区分される期間ごとの複数のグループに分類して表示部450に表示させている。
図2に示した例では、4要素情報表示領域RG2に表示されているように、期間T1の開始時、期間T4の開始時、期間T7の開始時、期間T8の開始時、期間T10の開始時、および、期間T12の終了時に、生産4要素の条件が変更されている。表示制御部520は、良否情報と4要素情報と数値情報とを、期間T1の開始時から期間T3の終了時までの第1グループGR1と、期間T4の開始時から期間T6の終了時までの第2グループGR2と、期間T7の開始時から期間T7の終了時までの第3グループGR3と、期間T8の開始時から期間T9の終了時までの第4グループGR4と、期間T10の開始時から期間T12の終了時までの第5グループGR5とに分類して、グループ単位で表示部450に表示させている。
【0029】
図3は、指定された条件に該当するグループが表示された状態の情報表示画面SC1を示す第1の説明図である。
図4は、指定された条件に該当するグループが表示された状態の情報表示画面SC1を示す第2の説明図である。本実施形態では、表示制御部520は、ユーザーによって指定された生産4要素に関する条件に該当するグループが表示され、当該条件に該当しないグループが非表示にされた情報表示画面SC1を表示部450に表示させることができる。ユーザーは、端末装置400を介して上述した条件を指定できる。
【0030】
例えば、
図2に示した4要素情報表示領域RG2の項目「M3」の帯グラフには、期間T1の開始時から期間T3の終了時まで、期間T7の開始時から期間T7の終了時まで、および、期間T10の開始時から期間T12の終了時までは、材料ロット「B」の材料が射出成形に用いられたことが表されており、期間T4の開始時から期間T6の終了時まで、期間T8の開始時から期間T9の終了時までは、材料ロット「A」の材料が射出成形に用いられたことが表されているとする。材料ロット「A」という条件がユーザーによって指定された場合には、表示制御部520は、
図3に示すように、当該条件に該当する第2グループGR2と第4グループGR4とが表示され、当該条件に該当しない第1グループGR1と第3グループGR3と第5グループGR5とが非表示にされた情報表示画面SC1を表示部450に表示させる。一方、材料ロット「B」という条件がユーザーによって指定された場合には、表示制御部520は、
図4に示すように、当該条件に該当する第1グループGR1と第3グループGR3と第5グループGR5とが表示され、当該条件に該当しない第2グループGR2と第4グループGR4とが非表示にされた情報表示画面SC1を表示部450に表示させる。
【0031】
射出成形では、一般に、材料ロットの変更直後に不良率が上昇することがある。
図2の情報表示画面SC1を参照して解析を行うと、期間T4および期間T7は材料ロットの変更直後の期間であるため、期間T4での不良率の上昇および期間T7での不良率の上昇は、単に材料ロットの変更に起因すると結論付けられてしまう可能性がある。また、
図2の情報表示画面SC1を参照すると、期間T12は材料ロットの変更から十分に時間が経過した後の期間であるため、期間T12での不良率の上昇には、材料ロットの変更ではなく、他の原因があると考えられる。例えば、期間T12では射出圧力が比較的高いので、期間T12での不良率の上昇は、射出圧力の高さに起因すると考えられる。ところが、期間T12での射出圧力の方が期間T6での射出圧力よりも低いにもかかわらず、期間T12での不良率の方が期間T6での不良率よりも高い。そのため、期間T12での不良率の上昇が射出圧力の高さに起因するのか否かについて、
図2の情報表示画面SC1を参照しただけでは確証が得られず、不良率を低減するための対策を講じる前に検証が必要になる。
【0032】
これに対して、本実施形態では、
図3に示すように、材料ロット「A」の材料が射出成形に用いられたときの情報のみを情報表示画面SC1に表示させることができる。
図3の情報表示画面SC1を参照することによって、材料ロット「A」の材料を射出成形に用いた場合には、金型温度が低下すると不良率は上昇し、射出圧力が上昇しても不良率は上昇しないことが分かる。そのため、期間T4での不良率の上昇については、材料ロットの変更だけではなく、金型温度の低下が原因である可能性に気付くことができる。
【0033】
また、本実施形態では、
図4に示すように、材料ロット「B」の材料が射出成形に用いられたときの情報のみを情報表示画面SC1に表示させることもできる。
図4の情報表示画面SC1を参照することによって、材料ロット「B」の材料を射出成形に用いた場合には、射出圧力が上昇すると不良率は上昇し、金型温度が低下しても不良率は上昇しないことが分かる。そのため、期間T7での不良率の上昇については、材料ロットの変更だけではなく、射出圧力の上昇が原因である可能性に気付くことができる。また、期間T12での不良率の上昇については、射出圧力の上昇が原因であると特定できる。
【0034】
成形工程に関する計測値と不良率との相関関係を把握していない場合には、射出成形時にエラーやアラートを出力するための管理値を適切に設定することが難しい。管理値の上限値と下限値との差が小さすぎると、無駄なエラーやアラートが頻繁に出力されて、成形品の生産効率が低下する。一方、管理値の上限値と下限値との差が大きすぎると、エラーやアラートが出力されずに異常の発見が遅れて、成形品の不良率が上昇する。本実施形態では、生産4要素の状況ごとの計測値と不良率との相関関係を把握できるので、エラーやアラートを出力させるための管理値を設定するときに、生産4要素の状況に応じて管理値を設定することが可能になる。そのため、適時にエラーやアラートを出力させることができるようになるので、成形品の生産効率の低下や不良率の上昇を抑制できる。
【0035】
以上で説明した本実施形態における成形機管理装置500によれば、表示制御部520は、成形工程に関する計測値を、生産4要素の変更時点によって区分される期間ごとの複数のグループに分類して、成形工程に関する計測値がグループ単位で表された情報表示画面SC1を表示部450に表示させる。情報表示画面SC1には、成形工程に関する計測値の他に、成形品の不良率と生産4要素の状況とが同一の時系列に沿って表示される。そのため、ユーザーは、表示部450に表示された情報表示画面SC1を用いて、生産4要素の状況ごとに成形工程に関する計測値と成形品の不良率との相関関係を解析できる。特に、本実施形態では、表示制御部520は、
図3や
図4に示したように、ユーザーによって指定された生産4要素に関する条件に該当するグループが表示され、かつ、当該条件に該当しないグループが非表示にされた情報表示画面SC1を表示部450に表示させることができる。そのため、成形工程に関する計測値と成形品の不良率との相関関係を生産4要素の状況ごとに解析しやすくできる。
【0036】
B.第2実施形態:
図5は、第2実施形態の成形機管理装置500が表示させる情報表示画面SC2を示す説明図である。第2実施形態の成形機管理装置500では、生産4要素の変更順序に関する条件が指定された場合に、表示制御部520は、
図5に示すように、複数のグループのうち、指定された条件に該当するグループに属する情報が表された情報表示画面SC2を表示部450に表示させることが第1実施形態と異なる。その他の構成については、特に説明しない限り、第1実施形態と同じである。
【0037】
図5に示した情報表示画面SC2には、一例として、射出成形に用いられる金型が金型「A」から金型「B」に変更されたときの不良数の推移と、射出成形に用いられる金型が金型「B」から金型「A」に変更されたときの不良数の推移とが折れ線グラフで表されている。折れ線グラフの横軸はショット数を表しており、縦軸は不良数を表している。
図5に示した例では、10ショットごとの不良数が表されている。
図5に示した例では、金型「A」が用いられるときには溶融温度が比較的高い材料が用いられ、金型「B」が用いられるときには溶融温度が比較的低い材料が用いられる。金型「A」が用いられるときの金型温度の設定値の方が、金型「B」が用いられるときの金型温度の設定値よりも高い。
図5には、金型「B」から金型「A」に変更された場合の不良数の方が、金型「A」から金型「B」に変更された場合の不良数よりも少なくなることが表されている。金型「A」から金型「B」に変更された直後には、金型「A」が用いられたときの熱が型締装置や射出装置に残っており、金型温度が設定値よりも高くなったことが、金型「A」から金型「B」に変更された場合に不良数が多くなる原因と考えられる。なお、他の実施形態では、折れ線グラフの横軸は、ショット数ではなく、時間を表してもよい。折れ線グラフには、不良数ではなく、不良率などの不良数以外の良否情報が表示されてもよいし、射出成形機100の設定値や計測値などの成形工程に関する数値情報が表示されてもよいし、成形工程に関する数値情報と良否情報とが表示されてもよい。
【0038】
以上で説明した本実施形態における成形機管理装置500によれば、生産4要素の変更順序の違いが成形品の品質にどのような違いを生じさせるかを解析でき、解析結果を用いて不良数を低減できる。特に、本実施形態では、表示制御部520は、ショット数と不良数との関係を表示させるので、捨て打ちを何回実施すれば成形品の品質が安定するかを把握できる。そのため、捨て打ち回数過多による材料の消費量を低減でき、捨て打ちの回数不足による不良品の発生を抑制できる。
【0039】
C.第3実施形態:
図6は、第3実施形態の成形機管理装置500が表示させる情報表示画面SC3を示す説明図である。第3実施形態の成形機管理装置500では、生産4要素の変更順序に関する条件が指定された場合に、表示制御部520は、
図6に示すように、複数のグループのうち、指定された条件に該当するグループに属する情報が表された情報表示画面SC3を表示部450に表示させることが第1実施形態と異なる。その他の構成については、特に説明しない限り、第1実施形態と同じである。
【0040】
図6に示した情報表示画面SC3には、一例として、直近の1週間において、金型「A」から金型「B」に変更された後の1時間ごとの不良数の推移と、過去1年間において、金型「A」から金型「B」に変更された後の1時間ごとの不良数の推移とが折れ線グラフで表されている。折れ線グラフの横軸は時間を表しており、縦軸は不良数を表している。
図6には、過去1年間の不良数よりも直近の1週間の不良数の方が多いことが表されている。
図6に示した例では、金型「A」が用いられるときには溶融温度が比較的高い材料が用いられ、金型「B」が用いられるときには溶融温度が比較的低い材料が用いられる。金型「A」が用いられるときの金型温度の設定値の方が、金型「B」が用いられるときの金型温度の設定値よりも高い。
図6に示すように、時間が経過するほど不良数が少なくなるので、金型の温度が十分に低下すれば不良数が低下することが分かる。そこで、ユーザーは、不良数を少なくするために、金型の変更と試し打ちとの間に所定の長さの待機時間を設ける、金型「B」での生産開始時の金型の設定温度を通常よりも低くする、あるいは、パージ回数や捨て打ち回数を変更する等の対策を講じることができる。あるいは、生産計画の立案時に、金型「A」から金型「B」に変更するのではなく、金型「B」から金型「A」に変更する計画を立てることができるので、金型の変更順序を変更するだけで、不良率を低下させることができる。なお、他の実施形態では、折れ線グラフの横軸は、時間ではなく、ショット数やロット数などの生産量に関する情報を表してもよい。折れ線グラフには、不良数ではなく、不良率などの不良数以外の良否情報が表示されてもよいし、射出成形機100の設定値や計測値などの成形工程に関する数値情報が表示されてもよいし、成形工程に関する数値情報と良否情報とが表示されてもよい。
【0041】
以上で説明した本実施形態における成形機管理装置500によれば、生産4要素の変更順序の違いが成形品の品質にどのような違いを生じさせるかを解析でき、解析結果を用いて不良数を低減できる。特に、本実施形態では、直近の1週間における金型の変更直後の不良数の平均的な推移と、過去1年間における金型の変更直後の不良数の平均的な推移とを比較することができる。
図6に示した例では、直近の1年間の不良数の平均値よりも過去1週間の不良数の平均値の方が多い。そのため、直近の1週間では、例えば、金型の交換作業ミスなどの偶発的な要因があったと判断して作業ミスの有無を調査したり、金型の交換作業ミス以外の他の原因の有無の調査に移るなど、早期に適切な対策に移ることができる。
【0042】
D.第4実施形態:
図7は、第4実施形態の成形機管理装置500が表示させる情報表示画面SC4を示す説明図である。第4実施形態では、
図7に示すように、情報表示画面SC4の数値情報表示領域RG3には、折れ線グラフではなく、統計図によって数値情報が表示されることが第1実施形態と異なる。その他の構成については、特に説明しない限り、第2実施形態と同じである。
【0043】
図7に示すように、本実施形態では、表示制御部520は、各期間T1~T12に計測された計測値のばらつきを示す統計図を情報表示画面SC4の数値情報表示領域RG3に表示させる。表示制御部520は、各期間T1~T12に計測された計測値のばらつきを示す統計図として、箱ひげ図を表示させる。なお、他の実施形態では、表示制御部520は、箱ひげ図ではなく、正規分布を表すグラフを表示させてもよい。表示制御部520は、ユーザーが所定の切り替え操作を行った場合に、各期間T1~T12に計測された計測値のばらつきを、
図2に示すように折れ線グラフで表示させる表示モードと、
図7に示すように統計図で表示させるモードとを切り替えてもよい。
【0044】
以上で説明した本実施形態における成形機管理装置500によれば、表示制御部520が各期間T1~T12における計測値のばらつきを統計図で表示させるので、ユーザーは、数値情報のばらつきを考慮した解析を行うことができる。
【0045】
E.他の実施形態:
(E1)上述した各実施形態では、成形機管理システム10は、射出成形機100を備えている。これに対して、成形機管理システム10は、射出成形機100に代えて、プレス成形機や、押出成形機や、ブロー成型機や、鋳造機を備えてもよい。
【0046】
(E2)上述した各実施形態では、管理装置500の表示制御部520は、数値情報と良否情報と4要素情報とを表す情報表示画面SC1~SC4を表示部450に表示させる。これに対して、表示制御部520は、例えば、プリンターや、プロッターや、プロジェクターや、スピーカー等に数値情報と良否情報と4要素情報とを出力させてもよい。この場合、プリンターや、プロッターや、プロジェクターや、スピーカー等のことを出力部と呼び、表示制御部520のことを出力制御部と呼ぶことができる。
【0047】
F.他の形態:
本開示は、上述した実施形態に限られるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲において種々の形態で実現することができる。例えば、本開示は、以下の形態によっても実現可能である。以下に記載した各形態中の技術的特徴に対応する上記実施形態中の技術的特徴は、本開示の課題の一部又は全部を解決するために、あるいは、本開示の効果の一部又は全部を達成するために、適宜、差し替えや、組み合わせを行うことが可能である。また、その技術的特徴が本明細書中に必須なものとして説明されていなければ、適宜、削除することが可能である。
【0048】
(1)本開示の一形態によれば、成形機に接続可能な成形機管理装置が提供される。この成形機管理装置は、前記成形機によって成形品が成形されたときの成形工程に関する数値情報と、前記成形品が生産されたときの人と機械と材料と方法との生産4要素に関する4要素情報とを時系列に従って記憶する記憶部と、前記生産4要素の変更時点によって区分される期間ごとの複数のグループに前記数値情報を分類し、前記複数のグループに分類された前記数値情報をグループ単位で出力部に出力させる出力制御部と、を備える。
この形態の成形機管理装置によれば、グループ単位で出力部に出力された数値情報を用いて、生産4要素の状況ごとに数値情報の解析を行うことができる。
【0049】
(2)上記形態の成形機管理装置において、前記出力制御部は、前記生産4要素に関する第1条件が指定された場合、前記複数のグループのうち、前記第1条件に該当するグループに属する前記数値情報を前記出力部に出力させてもよい。
この形態の成形機管理装置によれば、生産4要素の状況ごとの数値情報の解析を容易化できる。
【0050】
(3)上記形態の成形機管理装置において、前記出力制御部は、前記生産4要素の変更順序に関する第2条件が指定された場合、前記複数のグループのうちの前記第2条件に該当するグループに属する前記数値情報と、前記第2条件に該当するグループに属する前記数値情報に対応付けられた情報であって前記成形品の良否を表す良否情報とのうちの少なくとも一方を前記出力部に出力させてもよい。
この形態の成形機管理装置によれば、生産4要素の変更履歴を考慮した解析を行うことができる。
【0051】
(4)上記形態の成形機管理装置において、前記出力制御部は、前記数値情報の統計図を前記出力部に出力させてもよい。
この形態の成形機管理装置によれば、出力部に出力された統計図を用いて、数値情報のばらつきを考慮した解析を行うことができる。
【0052】
本開示は、成形機管理装置以外の種々の形態で実現することも可能である。例えば、成形機管理システムや成形機管理方法等の形態で実現することができる。
【符号の説明】
【0053】
10…成形機管理システム、100…射出成形機、110…成形制御部、200…取出機、210…取出制御部、300…検査装置、310…検査制御部、400…端末装置、450…表示部、500…成形機管理装置、501…CPU、502…記憶部、510…データ取得部、520…表示制御部