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特開2022-181873情報処理装置、三次元造形システム、三次元造形装置、および、情報表示方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022181873
(43)【公開日】2022-12-08
(54)【発明の名称】情報処理装置、三次元造形システム、三次元造形装置、および、情報表示方法
(51)【国際特許分類】
   B29C 64/386 20170101AFI20221201BHJP
   B29C 64/118 20170101ALI20221201BHJP
   B33Y 10/00 20150101ALI20221201BHJP
   B33Y 30/00 20150101ALI20221201BHJP
   B33Y 50/00 20150101ALI20221201BHJP
【FI】
B29C64/386
B29C64/118
B33Y10/00
B33Y30/00
B33Y50/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021089068
(22)【出願日】2021-05-27
(71)【出願人】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100179475
【弁理士】
【氏名又は名称】仲井 智至
(74)【代理人】
【識別番号】100216253
【弁理士】
【氏名又は名称】松岡 宏紀
(74)【代理人】
【識別番号】100225901
【弁理士】
【氏名又は名称】今村 真之
(72)【発明者】
【氏名】山▲崎▼ 茂
【テーマコード(参考)】
4F213
【Fターム(参考)】
4F213AC01
4F213AC04
4F213WA25
4F213WB01
4F213WL02
4F213WL85
4F213WL87
4F213WL96
(57)【要約】
【課題】造形品質にかかわる情報を事前に確認することのできる技術を提供する。
【解決手段】情報処理装置は、造形材料を吐出しながら移動する吐出部の移動経路を表した経路情報、及び、移動経路における造形材料の吐出量を表す吐出量情報を含み、三次元造形物を造形するための造形データに基づいて、三次元造形物の空隙領域を特定するデータ処理部と、造形データに基づいて生成される三次元造形物の形状を表す第1形状データの少なくとも一部を表示部に表示する表示制御部と、を備え、表示制御部は、表示部に対して、少なくとも一部の第1形状データにおける空隙領域を特定可能な表示を行う。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
造形材料を吐出しながら移動する吐出部の移動経路を表した経路情報、及び、前記移動経路における前記造形材料の吐出量を表す吐出量情報を含み、三次元造形物を造形するための造形データに基づいて、前記三次元造形物の空隙領域を特定するデータ処理部と、
前記造形データに基づいて生成される前記三次元造形物の形状を表す第1形状データの少なくとも一部を表示部に表示する表示制御部と、を備え、
前記表示制御部は、前記表示部に対して、少なくとも一部の前記第1形状データにおける前記空隙領域を特定可能な表示を行う、
情報処理装置。
【請求項2】
請求項1に記載の情報処理装置であって、
前記表示制御部は、前記第1形状データの輪郭と、前記空隙領域の範囲を表す画像とを前記表示部に表示する、情報処理装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の情報処理装置であって、
前記表示制御部は、前記表示部に表示されている少なくとも一部の前記第1形状データの前記空隙領域の範囲をマークする、情報処理装置。
【請求項4】
請求項3に記載の情報処理装置であって、
前記データ処理部は、前記三次元造形物が存在する領域を複数のボクセルに分割し、前記ボクセル毎に空隙領域の割合を第1割合として算出し、
前記表示制御部は、前記ボクセル毎に前記第1割合に応じたマークを前記表示部に表示する、情報処理装置。
【請求項5】
請求項4に記載の情報処理装置であって、
前記データ処理部は、前記ボクセルに対して予め定められた方向において重なるボクセルの空隙領域の割合を第2割合として算出し、
前記表示制御部は、前記第1割合に応じたマークを前記第2割合に応じて変更して前記表示部に表示する、情報処理装置。
【請求項6】
請求項4または5に記載の情報処理装置であって、
前記データ処理部は、ボクセルの大きさの指定を受け付ける、情報処理装置。
【請求項7】
請求項4から6までのいずれか一項に記載の情報処理装置であって、
前記表示制御部は、前記第1割合が予め定めた割合以上である場合に、前記表示部にアラートを表示する、情報処理装置。
【請求項8】
請求項4から7までのいずれか一項に記載の情報処理装置であって、
前記データ処理部は、前記第1割合が予め定めた割合以上であるボクセルの空隙領域を前記造形材料で埋めるよう、前記造形データを修正する、情報処理装置。
【請求項9】
請求項1から8までのいずれか一項に記載の情報処理装置であって、
前記データ処理部は、
前記三次元造形物の形状を表す第2形状データを取得し、
前記第2形状データに基づいて、前記三次元造形物の形状を複数の層にスライスした層データを生成し、
前記層データに含まれる層毎に、前記経路情報、及び、前記吐出量情報、を含む前記造形データを生成する、情報処理装置。
【請求項10】
請求項9に記載の情報処理装置であって、
前記データ処理部は、前記第1形状データと前記第2形状データとに基づいて、前記三次元造形物の空隙領域を特定する、情報処理装置。
【請求項11】
請求項9または10に記載の情報処理装置であって、
前記データ処理部は、ユーザーにより選択されたスライス方向に応じて前記三次元造形物の形状をスライスして前記層データを生成し、
前記表示制御部は、前記スライス方向に応じた前記空隙領域を特定可能な表示を行う、情報処理装置。
【請求項12】
請求項1から11までのいずれか一項に記載の情報処理装置と、
前記造形データに従って前記三次元造形物を造形する三次元造形装置と、
を備える三次元造形システム。
【請求項13】
請求項1から11までのいずれか一項に記載の情報処理装置と接続可能な三次元造形装置。
【請求項14】
造形材料を吐出しながら移動する吐出部の移動経路を表した経路情報、及び、前記移動経路における前記造形材料の吐出量を表す吐出量情報を含み、三次元造形物を造形するための造形データに基づいて、前記三次元造形物の空隙領域を特定する特定工程と、
前記造形データに基づいて生成される前記三次元造形物の形状を表す第1形状データの少なくとも一部を表示部に表示する表示工程と、を備え、
前記表示工程では、前記表示部に対して、少なくとも一部の前記第1形状データにおける前記空隙領域を特定可能な表示を行う、
情報表示方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、情報処理装置、情報表示方法、三次元造形システム、および、三次元造形装置に関する。
【背景技術】
【0002】
三次元造形システムに関し、特許文献1には、3Dプリンターに造形させる造形物を表現する造形物データを生成し、その造形物データに基づいて、作業者が造形物の形状などを事前に確認するためのプレビュー画像を表示する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2018-47623号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1のように、プレビュー画像を表示することで、ユーザーが意図しない造形物が造形されることを抑制することができる。しかし、従来のプレビュー画像では、ユーザーが事前に形状を確認できるにとどまり、造形品質にかかわる情報を事前に確認することが困難であった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の第1の形態によれば、情報処理装置が提供される。この情報処理装置は、造形材料を吐出しながら移動する吐出部の移動経路を表した経路情報、及び、前記移動経路における前記造形材料の吐出量を表す吐出量情報を含み、三次元造形物を造形するための造形データに基づいて、前記三次元造形物の空隙領域を特定するデータ処理部と、前記造形データに基づいて生成される前記三次元造形物の形状を表す第1形状データの少なくとも一部を表示部に表示する表示制御部と、を備え、前記表示制御部は、前記表示部に対して、少なくとも一部の前記第1形状データにおける前記空隙領域を特定可能な表示を行う。
【0006】
本開示の第2の形態は、上記情報処理装置と、前記造形データに従って前記三次元造形物を造形する三次元造形装置と、を備える三次元造形システムである。
【0007】
本開示の第3の形態は、上記情報処理装置と接続可能な三次元造形装置である。
【0008】
本開示の第4の形態によれば、情報表示方法が提供される。この情報表示方法は、造形材料を吐出しながら移動する吐出部の移動経路を表した経路情報、及び、前記移動経路における前記造形材料の吐出量を表す吐出量情報を含み、三次元造形物を造形するための造形データに基づいて、前記三次元造形物の空隙領域を特定する特定工程と、前記造形データに基づいて生成される前記三次元造形物の形状を表す第1形状データの少なくとも一部を表示部に表示する表示工程と、を備え、前記表示工程では、前記表示部に対して、少なくとも一部の前記第1形状データにおける前記空隙領域を特定可能な表示を行う。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】三次元造形システムの概略構成を示す説明図である。
図2】フラットスクリューの概略構成を示す斜視図である。
図3】スクリュー対面部の概略平面図である。
図4】三次元造形物が造形されていく様子を模式的に示す説明図である。
図5】造形データ生成処理のフローチャートである。
図6】層データの一例を示す図である。
図7】三次元造形処理のフローチャートである。
図8】空隙領域を有する第1形状データの表示例を示す図である。
図9】空隙領域の第1の表示例を示す図である。
図10】空隙領域の第2の表示例を示す図である。
図11】空隙領域の第3の表示例を示す図である。
図12図11の横断面を示す図である。
図13図11の縦断面を示す図である。
図14】第1造形データにボクセルを重ね合わせて示した図である。
図15】第2実施形態において表示されるマークを示す図である。
図16】空隙領域特定処理のフローチャートである。
図17】空隙占有率の他の表示態様を示す説明図である。
図18】アラート表示の説明図である。
図19】造形データの第1の修正例を示す図である。
図20】造形データの第2の修正例を示す図である。
図21】空隙領域が消失した様子を示す第1の図である。
図22】空隙領域が消失した様子を示す第2の図である。
図23】円錐台状の第1形状データの表示例を示す図である。
図24図23の第1形状データの断面を示す図である。
図25図24に示す空隙領域をボクセルによって表示した例を示す図である。
図26】各層の内部領域を蛇行した経路によって埋めた例を示す第1の図である。
図27図26の空隙領域をボクセルによって表示した図である。
図28】各層の内部領域を蛇行した経路によって埋めた例を示す第2の図である。
図29図28の空隙領域をボクセルによって表示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
A.第1実施形態:
図1は、第1実施形態における三次元造形システム10の概略構成を示す説明図である。図1には、互いに直交するX,Y,Z方向を示す矢印が示されている。X方向およびY方向は、水平面に平行な方向であり、Z方向は、鉛直上向きに沿った方向である。X,Y,Z方向を示す矢印は、他の図においても、図示の方向が図1と対応するように適宜、図示してある。以下の説明において、方向の向きを特定する場合には、各図において矢印が指し示す方向を「+」、その反対の方向を「-」として、方向表記に正負の符合を併用する。以下では、+Z方向のことを「上」、-Z方向のことを「下」ともいう。
【0011】
三次元造形システム10は、制御部101と、制御部101と接続可能な三次元造形装置100とを備えている。三次元造形装置100は、造形材料を生成して吐出する造形部110と、三次元造形物の基台となる造形用のステージ210と、造形材料の吐出位置を制御する移動機構230と、を備える。三次元造形装置100は、図示していないチャンバーに収容されてもよい。
【0012】
造形部110は、制御部101の制御下において、固体状態の材料を溶融させてペースト状にした造形材料をステージ210上に吐出する。造形部110は、造形材料に転化される前の材料の供給源である材料供給部20と、材料を造形材料へと転化させる造形材料生成部30と、造形材料を吐出する吐出部60と、を備える。
【0013】
材料供給部20は、造形材料生成部30に、造形材料を生成するための原材料MRを供給する。材料供給部20は、例えば、原材料MRを収容するホッパーによって構成される。材料供給部20は、下方に排出口を有している。当該排出口は、連通路22を介して、造形材料生成部30に接続されている。原材料MRは、ペレットや粉末等の形態で材料供給部20に投入される。本実施形態では、ペレット状のABS樹脂の材料が用いられる。
【0014】
造形材料生成部30は、材料供給部20から供給された原材料MRを溶融させて流動性を発現させたペースト状の造形材料を生成し、吐出部60へと導く。造形材料生成部30は、スクリューケース31と、駆動モーター32と、フラットスクリュー40と、スクリュー対面部50と、を有する。フラットスクリュー40は、ローターあるいはスクロールとも呼ばれ、スクリュー対面部50はバレルとも呼ばれる。
【0015】
図2は、フラットスクリュー40の下面48側の概略構成を示す斜視図である。図2に示したフラットスクリュー40は、技術の理解を容易にするため、図1に示した上面47と下面48との位置関係を、鉛直方向において逆向きとした状態で示されている。図3は、スクリュー対面部50の上面52側を示す概略平面図である。フラットスクリュー40は、その中心軸に沿った方向である軸線方向における高さが直径よりも小さい略円柱状を有する。フラットスクリュー40は、その回転中心となる回転軸RXがZ方向に平行になるように配置される。
【0016】
フラットスクリュー40は、スクリューケース31内に収納されている。フラットスクリュー40の上面47側は駆動モーター32に連結されており、フラットスクリュー40は、駆動モーター32が発生させる回転駆動力によって、スクリューケース31内で回転する。駆動モーター32は、制御部101の制御下において駆動する。なお、フラットスクリュー40は、減速機を介して駆動モーター32によって駆動されてもよい。
【0017】
フラットスクリュー40の、回転軸RXと交差する面である下面48には、渦状の溝部42が形成されている。上述した材料供給部20の連通路22は、フラットスクリュー40の側面から、当該溝部42に連通する。図2に示すように、本実施形態では、溝部42は、凸条部43によって隔てられて3本分形成されている。なお、溝部42の数は、3本に限られず、1本でもよいし、2本以上であってもよい。溝部42は、渦状に限らず、螺旋状あるいはインボリュート曲線状であってもよいし、中央部から外周に向かって弧を描くように延びる形状であってもよい。
【0018】
フラットスクリュー40の下面48は、スクリュー対面部50の上面52に面しており、フラットスクリュー40の下面48の溝部42と、スクリュー対面部50の上面52との間には空間が形成される。造形部110では、フラットスクリュー40とスクリュー対面部50との間のこの空間に、材料供給部20から図2に示した材料流入口44へと原材料MRが供給される。
【0019】
スクリュー対面部50には、回転しているフラットスクリュー40の溝部42内に供給された原材料MRを加熱するためのヒーター58が埋め込まれている。スクリュー対面部50には、連通孔56に接続され、連通孔56から外周に向かって渦状に延びている複数の案内溝54が形成されている。なお、案内溝54の一端は、連通孔56に接続されていなくてもよい。また、案内溝54は省略することも可能である。
【0020】
フラットスクリュー40の溝部42内に供給された原材料MRは、溝部42内において溶融されながら、フラットスクリュー40の回転によって溝部42に沿って流動し、造形材料としてフラットスクリュー40の中央部46へと導かれる。中央部46に流入した流動性を発現しているペースト状の造形材料は、図3に示したスクリュー対面部50の中心に設けられた連通孔56を介して吐出部60に供給される。なお、造形材料では、造形材料を構成する全ての種類の物質が溶融していなくてもよい。造形材料は、造形材料を構成する物質のうちの少なくとも一部の種類の物質が溶融することによって、全体として流動性を有する状態に転化されていればよい。
【0021】
吐出部60は、造形材料を吐出するノズル61と、フラットスクリュー40とノズル61との間に設けられた造形材料の流路65と、流路65を開閉する流量調整部70と、造形材料を吸引して一時的に貯留する吸引部75と、を有する。ノズル61は、流路65を通じて、スクリュー対面部50の連通孔56に接続されている。ノズル61は、造形材料生成部30において生成された造形材料を、先端の吐出口62からステージ210に向かって吐出する。ノズル61の周囲には、ステージ210上に吐出された造形材料の温度低下を抑制するヒーターが配置されてもよい。
【0022】
流量調整部70は、流路65内で回転することにより流路65の開度を変化させる。本実施形態において、流量調整部70は、バタフライバルブによって構成されている。流量調整部70は、制御部101による制御下において、第1駆動部74によって駆動される。第1駆動部74は、例えば、ステッピングモーターによって構成される。制御部101は、第1駆動部74を用いて、バタフライバルブの回転角度を制御することによって、造形材料生成部30からノズル61に流れる造形材料の流量、つまり、ノズル61から吐出される造形材料の流量を調整することができる。流量調整部70は、造形材料の流量を調整すると共に、造形材料の流出のオン/オフを制御する。
【0023】
吸引部75は、流路65において流量調整部70と吐出口62との間に接続されている。吸引部75は、ノズル61からの造形材料の吐出停止時に、流路65中の造形材料を一時的に吸引することによって、造形材料が吐出口62から糸を引くように垂れる尾引き現象を抑制する。本実施形態において、吸引部75は、プランジャーにより構成されている。吸引部75は、制御部101による制御下において、第2駆動部76によって駆動される。第2駆動部76は、例えば、ステッピングモーターや、ステッピングモーターの回転力をプランジャーの並進運動に変換するラックアンドピニオン機構等によって構成される。
【0024】
例えば、制御部101は、ノズル61からの造形材料の吐出を停止させる際には、まず、流量調整部70を制御して造形材料の流出をオフにし、その後、吸引部75を制御して造形材料を吸引する。そして、ノズル61からの造形材料の吐出を再開させる際には、吸引部75によって吸引した材料を、吸引部75を制御して送出した後に、流量調整部70を制御して造形材料の流出をオンにする。このように制御部101が流量調整部70および吸引部75を制御することで、造形材料の吐出応答性を向上させることができる。
【0025】
ステージ210は、ノズル61の吐出口62に対向する位置に配置されている。第1実施形態では、ノズル61の吐出口62に対向するステージ210の造形面211は、X,Y方向、すなわち水平方向に平行となるように配置される。三次元造形装置100は、後述する三次元造形処理において、吐出部60からステージ210の造形面211に向けて造形材料を吐出させて層を積層することによって三次元造形物を造形する。ステージ210には、ステージ210上に吐出された造形材料が急激に冷却することを抑制するためのヒーターが備えられてもよい。
【0026】
移動機構230は、ステージ210とノズル61との相対位置を変化させる。本実施形態では、ノズル61の位置が固定されており、移動機構230は、ステージ210を移動させる。移動機構230は、3つのモーターの駆動力によって、ステージ210をX,Y,Z方向の3軸方向に移動させる3軸ポジショナーによって構成される。移動機構230は、制御部101の制御下において、ノズル61とステージ210との相対的な位置関係を変更する。本明細書において、特に断らない限り、ノズル61の移動とは、ノズル61をステージ210に対して相対的に移動させることを意味する。
【0027】
なお、他の実施形態では、移動機構230によってステージ210を移動させる構成の代わりに、ステージ210の位置が固定された状態で、移動機構230がステージ210に対してノズル61を移動させる構成が採用されてもよい。また、移動機構230によってステージ210をZ方向に移動させ、ノズル61をX,Y方向に移動させる構成や、移動機構230によってステージ210をX,Y方向に移動させ、ノズル61をZ方向に移動させる構成が採用されてもよい。これらの構成であっても、ノズル61とステージ210との相対的な位置関係が変更可能である。
【0028】
制御部101は、三次元造形装置100全体の動作を制御する制御装置である。制御部101は、1つ、または、複数のプロセッサーと、記憶装置と、外部との信号の入出力を行う入出力インターフェイスとを備えるコンピューターによって構成される。制御部101には、液晶ディスプレイや有機ELディスプレイ等によって構成された表示部105が接続されている。制御部101は、記憶装置上に読み込んだプログラムや命令をプロセッサーが実行することによって、データ処理部102や表示制御部103としての機能を発揮する。データ処理部102は、造形データの生成や三次元造形物の空隙領域の特定を行う。表示制御部103は、造形データに基づいて生成される三次元造形物の形状を表す第1形状データの少なくとも一部を表示部105に表示する。制御部101は、データ処理部102によって生成された造形データに従って、流量調整部70および吐出部60を含む造形部110と、移動機構230とを制御してステージ210上に三次元造形物を造形する。制御部101は、コンピューターによって構成される代わりに、各機能の少なくとも一部を実現するための複数の回路を組み合わせた構成により実現されてもよい。制御部101のことを情報処理装置ともいう。
【0029】
データ処理部102は、三次元造形物の形状を表す三次元CADデータなどの第2形状データを取得し、その第2形状データに基づいて、三次元造形物の形状を、ユーザーによって指定されたスライス方向に応じて複数の層にスライスした層データを生成する。そして、その層データに含まれる層毎に、吐出部60の移動経路を表す経路情報と、各移動経路における造形材料の吐出量を表す吐出量情報と含む造形データを生成する。吐出部60の移動経路とは、ノズル61が、造形材料を吐出しながら、ステージ210の造形面211に沿って移動する経路である。更に、データ処理部102は、第1形状データと第2形状データとに基づいて、三次元造形物の空隙領域を特定する。データ処理部102によって実行される処理内容の詳細は後述する。
【0030】
経路情報は、複数の部分経路から構成される。各部分経路は、開始点と終了点とによって表される直線状の経路である。吐出量情報は、各部分経路に対して個別に対応付けられる。本実施形態において、吐出量情報によって表される吐出量は、その部分経路において単位時間あたりに吐出される造形材料の量である。なお、他の実施形態では、各部分経路に対して、その部分経路全体において吐出される造形材料の総量が、吐出量情報として対応付けられてもよい。
【0031】
上述した第1形状データおよび第2形状データは、ともに、三次元造形物の形状を表すデータであるが、第2形状データは、造形データの生成元となるデータであり、例えば、三次元CADソフトや三次元CGソフトを用いて造形対象の三次元造形物をモデリングしたデータである。第1形状データは、後述する造形データ生成処理によって第2形状データを造形データに変換し、その造形データによって表される三次元造形物の形状を表示部105に表示するための画像データである。従って、第2形状データを表示部105に表示させた場合には、造形しようとする理想的な三次元造形物が画面上に表されるが、第1形状データを表示部105に表示させた場合には、例えば図8に示されているように、線状の造形材料が層状に積み重ねられることによって表された三次元造形物が画面上に表示される。
【0032】
図4は、三次元造形装置100において三次元造形物が造形されていく様子を模式的に示す説明図である。三次元造形装置100では、上述したように、造形材料生成部30において、回転しているフラットスクリュー40の溝部42に供給された固体状態の原材料MRが溶融されて造形材料MMが生成される。制御部101は、ステージ210の造形面211とノズル61との距離を保持したまま、ステージ210の造形面211に沿った方向に、ステージ210に対するノズル61の位置を変えながら、ノズル61から造形材料MMを吐出させる。ノズル61から吐出された造形材料MMは、ノズル61の移動方向に連続して堆積されていく。こうしたノズル61による走査によって、ノズル61の走査経路に沿って線状に延びる造形部位である線状部位LPが造形される。
【0033】
制御部101は、上記のノズル61による走査を繰り返して層MLを形成する。制御部101は、1つの層MLを形成した後、ステージ210に対するノズル61の位置を、Z方向に移動させる。そして、これまでに形成された層MLの上に、さらに層MLを積み重ねることによって三次元造形物を造形していく。
【0034】
制御部101は、例えば、一層分の層MLを完了した場合のノズル61のZ方向への移動や、各層で独立する複数の造形領域がある場合には、ノズル61からの造形材料の吐出を一時的に中断させることがある。この場合、流量調整部70によって流路65を閉塞させて、吐出口62からの造形材料MMの吐出を停止させる。制御部101は、ノズル61の位置を変更した後、流量調整部70によって流路65を開くことによって、変更後のノズル61の位置から造形材料MMの堆積を再開させる。
【0035】
図5は、制御部101によって実行される造形データ生成処理のフローチャートである。造形データ生成処理は、三次元造形物を造形するのに先立って三次元造形物の造形に用いられる造形データを生成するとともに、その造形データによって表される三次元造形物の形状を視覚的に表示部105に表示するための情報表示方法を実現する処理である。
【0036】
図5に示すように、ステップS100において、データ処理部102は、外部から入力された三次元造形物の形状を表す三次元CADデータなどの第2形状データを、ユーザーによって指定されたスライス方向に沿って複数の層にスライスし、層データを生成する。層データは、スライス方向に沿った断面における三次元造形物の輪郭を表すデータである。図6には、層データLDが表す輪郭に相当する部分を太線によって示している。図6は、層データLDの一例を示す図である。
【0037】
ステップS110において、データ処理部102は、外殻造形データを生成する。外殻造形データとは、層データLDが表す輪郭の内側に接する外殻領域を形成するためのデータである。外殻領域とは、三次元造形物の外観に影響を与える領域である。外殻造形データには、三次元造形物の輪郭に沿った最外周を造形するための経路が含まれる。外殻造形データは、三次元造形物の最外周を造形するための経路情報だけではなく、最外周の内側1周分を含む経路情報を含んでもよい。外殻領域を形成するための経路情報の周回数は、任意に設定可能であってもよい。
【0038】
図6には、外殻造形データZD1が、最も外側の経路情報とその内側1周分の経路情報によって構成されている例を示している。これらの経路情報は、外殻領域を造形するための複数の部分経路PP1を含む。上記のとおり、各部分経路PP1は、直線状の経路である。それぞれの部分経路PP1には、ステージ210に堆積される造形材料が所望の線幅Ssとなる量の吐出量が吐出量情報として対応付けられる。
【0039】
ステップS120において、データ処理部102は、内部造形データを生成する。内部造形データとは、層データLDが表す外殻の内側の領域であって、三次元造形物のうちの外殻領域以外の領域である内部領域を造形するためのデータである。内部領域は、三次元造形物の外観よりも、三次元造形物の強度に与える影響が大きい領域である。
【0040】
図6には、内部造形データZD2が、外殻造形データZD1の内側に表されている例を示している。図6では、内部造形データZD2が表す内部領域を埋める経路情報は、複数の部分経路PP2によって蛇行するように形成されている。内部領域を埋める経路のパターンは、種々のパターンの中から任意に選択可能である。
【0041】
上記のとおり、各部分経路PP2は、直線状の経路である。それぞれの部分経路PP2には、ステージ210に堆積される造形材料が所望の線幅Ssとなる量の吐出量が吐出量情報として対応付けられる。なお、本実施形態では、外殻造形データZD1において造形される経路の線幅と、内部造形データZD2よって造形される経路の線幅とが、同じ線幅Ssであるものとしたが、これらは、異なる線幅であってもよい。
【0042】
以下では、ステップS110において生成される外殻造形データと、ステップS120において生成される内部造形データとを、まとめて、「造形データ」という。造形データは、吐出部60が造形材料を吐出しつつ移動する経路を複数の部分経路によって表した経路データと、各部分経路における造形材料の吐出量を表す吐出量情報を含む吐出量データとを含む。
【0043】
ステップS130において、データ処理部102は、以上の処理をすべての層データについて完了したか否か判断する。全ての層データについて終了していなければ、データ処理部102は、次の層データについて、ステップS110とステップS120との処理を繰り返す。
【0044】
全ての層データについて造形データの生成を完了した場合、ステップS140において、データ処理部102は、生成された造形データに基づいて、三次元造形物の空隙領域を特定する。データ処理部102は、層データのうち、造形データによって埋まる領域を除いた領域を空隙領域として特定する。そして、ステップS150において、表示制御部103が、造形データに基づいて生成される三次元造形物の形状を表す第1形状データの少なくとも一部を表示部105に表示する表示処理を実行する。この表示処理では、表示制御部103は、表示部105に対して、表示している少なくとも一部の第1形状データにおける空隙領域を特定可能な表示を行う。空隙領域を特定可能な表示のことを空隙情報ともいう。空隙領域特定処理および表示処理の具体例については後述する。表示処理が終了すると、データ処理部102は、当該造形データ生成処理を終了する。なお、ステップS140の処理のことを特定工程ともいい、ステップS150の処理のことを、表示工程ともいう。
【0045】
図7は、制御部101によって実行される三次元造形処理のフローチャートである。三次元造形処理は、図5に示した造形データ生成処理において生成された造形データを用いて制御部101によって実行される処理である。図5に示した造形データ生成処理と図7に示した三次元造形処理とが実行されることによって、三次元造形装置100による三次元造形物の製造方法が実現される。
【0046】
ステップS200において、制御部101は、上述した造形データ生成処理によって生成された造形データを取得する。そして、造形データから、三次元造形物を構成する複数の層のうち、1つの層について、上述した外殻造形データと内部造形データとを読み込む。本実施形態では、制御部101は、まず、三次元造形物を構成する複数の層のうち、重力方向において最も下側に位置する層の造形データを読み込む。
【0047】
ステップS210において、制御部101は、第1造形処理を実行する。第1造形処理では、制御部101は、外殻造形データに含まれる部分経路および各部分経路に対応付けられた吐出量情報に従い、移動機構230および吐出部60を制御して、現在の層について外殻領域を形成する。
【0048】
ステップS220において、制御部101は、第2造形処理を実行する。第2造形処理では、制御部101は、内部造形データに含まれる部分経路および各部分経路に対応付けられた吐出量情報に従い、移動機構230および吐出部60を制御して、現在の層について内部領域を形成する。
【0049】
ステップS230において、制御部101は、全ての層について造形を完了したか否かを判断する。全ての層について造形が完了していなければ、制御部101は、処理をステップS200に戻して、次の層、すなわち、現在の層の重力方向上側に隣接する層について造形データを読み込み、ステップS210およびステップS220の処理を実行する。この場合、ステップS210では、吐出部60からの造形材料の吐出に先立ち、制御部101は、移動機構230を制御して、ノズル61の位置を、ステージ210から1層分、上昇させる。全ての層について造形が完了した場合、制御部101は、当該三次元造形処理を完了する。
【0050】
以下では、図8図13を参照して、図5のステップS150において実行される表示処理について説明する。表示制御部103は、表示処理において、以下で説明する様々な表示を表示部105に行わせることができる。以下に説明する各表示は、ユーザーが制御部101に対して所定の操作を行うことによって切り換えること可能である。なお、表示制御部103は、以下で説明する全ての表示を実行可能でなくてもよく、いずれか1つ以上の表示を実行可能であればよい。
【0051】
図8は、空隙領域を有する第1形状データFD1の表示例を示す図である。表示制御部103は、表示部105に対して、図8に示すような、三次元造形物の形状を表す第1形状データFD1を表示する。図8に示した第1形状データFD1は、層データ生成時に指定されたスライス方向に沿った複数の層を有し、各層の中心に空隙領域が存在している。表示制御部103は、ユーザーから、マウスやキーボードなどの入力装置を介して所定の表示操作を受け付けることで、第1形状データFD1の全部または一部を表示させることができる。そのため、表示制御部103は、第1形状データFD1の任意の領域や任意の断面、任意の層、任意の部分経路を表示部105に表示させることができる。
【0052】
図9は、空隙領域の第1の表示例を示す図である。表示制御部103は、第1形状データFD1のうち、ユーザーによって指定された層の輪郭OLを表示すると共に、その層における空隙領域の範囲を表す画像IMを表示部105に表示させることができる。
【0053】
図10は、空隙領域の第2の表示例を示す図である。表示制御部103は、図10に示すように、第1形状データFD1に含まれる複数の層について、各層の輪郭OLをワイヤーフレーム状に表示し、更に、各層の空隙領域の範囲を表す画像IMを表示部105に表示させることができる。このような表示を行うことにより、ユーザーは、複数の層について輪郭と空隙領域を同時に確認できる。
【0054】
図11は、空隙領域の第3の表示例を示す図である。表示制御部103は、三次元造形物の全体を表す第1形状データFD1上に、空隙領域を着色によりマークして表示させることができる。このような表示を行うことにより、ユーザーは、立体的に表示された第1形状データFD1上において、空隙領域の形状や範囲を確認できる。なお、図11では、着色された範囲をクロスハッチングによって示している。
【0055】
図12は、図11の横断面を示す図である。図13は、図11の縦断面を示す図である。表示制御部103は、ユーザーからの所定の操作を受け付けることで、図12図13に示すように、図11に示した第1形状データFD1の任意の断面を表示することが可能である。つまり、図12および図13には、第1形状データFD1の一部が示されている。表示制御部103は、表示部105に表示された少なくとも一部の第1形状データFD1上に、空隙領域の範囲を着色によって表示することができる。このような表示を行うことにより、ユーザーは、第1形状データFD1の内部における空隙領域を容易に確認できる。
【0056】
以上で説明した第1実施形態によれば、第1形状データFD1における空隙領域を特定可能な表示を表示部105に対して行うので、造形品質にかかわる三次元造形物の空隙領域を造形前に事前に確認することができる。そのため、予期しない造形の失敗を抑制できる。
【0057】
また、本実施形態では、図9図10に示したように、三次元造形物を表す第1形状データFD1の輪郭OLと、空隙領域の範囲を表す画像IMとを表示部105に表示できる。そのため、三次元造形物の輪郭OLに対する空隙領域の大きさを確認しやすい。
【0058】
また、本実施形態では、図11図13に示したように、表示部105に表示されている少なくとも一部の第1形状データFD1の空隙領域の範囲を着色によってマークすることができる。そのため、三次元造形物における空隙領域の位置や範囲を確認しやすい。なお、本実施形態では、空隙領域を着色することによってマークしたが、例えば、空隙領域の外周を線によって囲んでマークしてもよいし、空隙領域を含む範囲に楕円や長方形を表示することによってマークを行ってもよい。また、例えば、丸印や星印などの特定の印を空隙領域にマークしてもよい。
【0059】
また、本実施形態では、ユーザーにより選択されたスライス方向に応じて三次元造形物の形状をスライスして層データを生成し、そのスライス方向に応じた空隙領域として、スライス方向に沿った断面における空隙領域を表示できる。そのため、三次元造形物の積層方向に垂直な任意の断面における空隙領域の位置や範囲を容易に確認できる。また、スライス方向を様々に変更することで、空隙領域の重なりや空隙の少ないスライス方向をシミュレーションすることも可能である。
【0060】
B.第2実施形態:
第2実施形態では、第1実施形態と異なる態様により空隙領域の表示を行う。第2実施形態における三次元造形システム10の構成は、第1実施形態と同じである。
【0061】
図14は、ワイヤーフレーム状に表した第1造形データにボクセルVXを重ね合わせて示した図である。図15は、第2実施形態において表示されるマークを示す図である。第2実施形態では、データ処理部102は、三次元造形物が存在する領域を、図14に示すように、格子状の複数のボクセルVXに分割し、ボクセルVX毎の空隙領域の割合を空隙占有率として算出する。そして、表示制御部103が、ボクセルVX毎に、空隙占有率に応じたマークを表示部105に表示する。なお、ボクセルとは、3次元空間における単位体積のことをいう。空隙占有率のことを第1割合ともいう。
【0062】
図16は、第2実施形態においてデータ処理部102により実行される空隙領域特定処理のフローチャートである。この空隙領域特定処理は、図5に示したステップS140において実行される処理である。本実施形態における空隙領域特定処理では、まず、データ処理部102は、ステップS141において、処理対象の層を特定する。
【0063】
データ処理部102は、次に、ステップS142において、処理対象の層に含まれるボクセル毎に、そのボクセル内を造形材料によって埋めるべき領域A1を算出する。埋めるべき領域A1は、CADデータ、すなわち、第2形状データから求められる層データによって表される輪郭内の領域である。例えば、ドーナツ状の三次元造形物のように、内部に穴や空洞を有する三次元造形物の場合には、それらの穴や空洞に対応する領域は、埋めるべき領域A1には含まれない。
【0064】
データ処理部102は、ステップS143において、図5のステップS110およびステップS120において生成された造形データによって埋まる領域A2をボクセル毎に算出する。造形データによって埋まる領域A2は、造形データに含まれる経路と、その経路に対応付けられた吐出量とによって定まるため、ステップS142において算出される埋めるべき領域A1と、ステップS143で算出される埋まる領域A2とは、必ずしも一致しない。
【0065】
データ処理部102は、ステップS144において、ステップS142で算出された埋めるべき領域A1から、ステップS143で算出された造形データによって埋まる領域A2を除外することにより、ボクセル毎に空隙領域を特定する。
【0066】
ステップS145では、データ処理部102は、ボクセル毎に、ステップS144によって特定された空隙領域、すなわち、埋めるべき領域A1から埋まる領域A2を除外した領域を、ステップS142で算出された埋めるべき領域A1で除することにより、ボクセル毎に空隙占有率を算出する。
【0067】
ステップS146において、データ処理部102は、以上で説明した一連の処理を、全ての層について完了したが判断し、完了していなければ処理をステップS141に戻して、処理対象の層を移動させる。全ての層について完了した場合、当該空隙領域特定処理を終了する。
【0068】
図16に示した空隙領域特定処理が終了すると、表示制御部103は、図5のステップS150に示す表示処理において、ボクセル毎に空隙占有率を表示部105に表示する。本実施形態では、図15に示すように、ワイヤーフレーム状に表示された層の輪郭および空隙領域に対して、ボクセルVXを重ね合わせて表示し、各ボクセルVXに対して、空隙占有率に応じた着色によりマークを行う。図15以降では、着色されたボクセルにハッチングを付している。空隙占有率の区分とマークの色の対応関係の例を以下に示す。
【0069】
空隙占有率 91~100% 赤
空隙占有率 71~ 90% 橙
空隙占有率 51~ 70% 黄
空隙占有率 21~ 50% 緑
空隙占有率 1~ 20% 青
空隙占有率 0% 着色なし
【0070】
以上で説明した第2実施形態によれば、ボクセルVX毎に、空隙占有率に応じて着色によるマークを表示部105に表示するので、ヒートマップ状に、空隙占有率を表示することができる。そのため、ユーザーは、視覚的に空隙の密集度を確認できる。なお、図15では、ワイヤーフレーム状に表示された層の輪郭および空隙領域に対して、ボクセルVXを重ね合わせて表示しているが、ボクセルVXは、図8に示すような立体的な第1形状データFD1に重ね合わせて表示してもよい。
【0071】
また、本実施形態では、第1形状データと、第2形状データから算出される層データとに基づいて、三次元造形物の空隙領域を特定するため、第1形状データのみから空隙領域を特定するよりも精度良く空隙領域を特定できる。
【0072】
図17は、空隙占有率の他の表示態様を示す説明図である。上述した第2実施形態において、複数の層に亘って対応する位置に空隙領域が存在する場合には、表示制御部103は、表示部105に表示されるボクセルVX1の空隙占有率のマークを、隣接する層のボクセルVX2の空隙占有率に応じて変更してもよい。具体的には、例えば、データ処理部102は、図16に示したステップS141~S145の処理を、予め定められた方向において重なる2つの層について実行する。すると、2つの層について、それぞれ、ボクセルVX1,VX2毎に、空隙占有率が算出される。表示対象の一方のボクセルVX1の空隙占有率のことを第1割合といい、他方のボクセルVX2の空隙占有率のことを第2割合という。続いて、データ処理部102は、第1割合に応じたボクセルVX1の着色を、積層方向に隣接するボクセルVX2の第2割合に応じて変更する。例えば、表示制御部103は、表示対象のボクセルVX1の着色を、積層方向においてそのボクセルVX1に重なるボクセルVX2の第2割合に応じて、黄から橙のように、着色のレベルを高める。こうすることにより、ユーザーは、複数の層にわたる空隙の密集度を視覚的に確認できる。なお、データ処理部102は、積層方向に隣接するボクセルの空隙占有率が同程度の場合に限って、着色のレベルを高める処理を行ってもよい。
【0073】
図18は、アラート表示の説明図である。第2実施形態において、表示制御部103は、空隙占有率が予め定めた割合以上のボクセルについて、表示部105にアラートを表示してもよい。アラートの態様としては、例えば、図18に示すように、矢印によって対象のボクセルVXを指し示すことによってアラートを行ってもよい。また、例えば、対象のボクセルVXを点滅させることによってアラートを行ってもよい。アラートを表示することにより、三次元造形物の強度が、ユーザーが意図せずに低下することを抑制できる。
【0074】
アラートは、個々のボクセルについて行ってもよいし、一定範囲のボクセル群、例えば、2×2×2の8個や、3×3×3の27個といったボクセル群単位でアラートを表示指定もよい。例えば、赤と橙のボクセルの合計数が80%以上を占めるボクセル群については、強度低下アラートとして、「警告」を表すアラートを表示してもよい。また、赤と橙のボクセルの合計数が60~80%を占めるボクセル群については、強度低下アラートとして、「注意」を表すアラートを表示してもよい。「警告」と「注意」とは、例えば、矢印の色や、点滅の周期を変更することによって区別することができる。
【0075】
上記のように、表示部105にアラートが表示された場合、データ処理部102は、ユーザーからの指示に応じて、あるいは、自動的に、空隙占有率が予め定めた割合以上であるボクセルの空隙領域を造形材料で埋まるように造形データを修正してもよい。
【0076】
図19は、造形データの第1の修正例を示す図である。図19に示した例では、データ処理部102は、各部分経路の線径が0.7mmから0.75mmになるように吐出量情報を修正することによって、空隙領域を埋めている。このように、空隙領域が埋まるように造形データを修正することで、三次元造形物の強度を高めることができる。
【0077】
図20図22は、造形データの第2の修正例を示す図である。図20に示した例では、データ処理部102は、空隙領域に対して部分経路PP3を追加することによって造形データを修正している。図20では、独立した部分経路PP3を追加しているが、既存の経路に新たな部分経路を接続してもよいし、既存の経路を延長してもよい。データ処理部102は、空隙領域の幅に応じて、追加する部分経路PP3の線幅を調整することが好ましい。図20のように空隙領域が埋められた場合、図9のように空隙領域を表示させようとすると、図21に示すように、空隙領域は消失し、層の輪郭OLのみが表示されるようになる。また、図15に示したように、ボクセルによって空隙占有率を表示させようとすると、図22に示すように、各ボクセルVXの着色が消失し、ボクセルVXを示す格子のみが視認可能となる。
【0078】
図23図29に基づいて、造形データの第3の修正例を説明する。図23は、円錐台状の第1形状データFD1の表示例を示す図である。図24は、図23の第1形状データFD1の断面を示す図である。図23および図24に示した第1形状データFD1では、複数の同心円が配置されることによって各層の内部領域が構成されている。円錐台形状では、層の高さに応じて同心円の直径が変化するため、図24に示すように、円錐台の中心軸に沿って空隙領域が発生する。そのため、このような空隙領域をボクセルによって表示すると、図25に示すように、円錐台の中心軸を含むボクセルに着色が表示される。
【0079】
データ処理部102は、このような空隙領域を造形材料で埋めるように、内部領域を埋める造形パターンを変更しても良い。図26には、各層の内部領域を、図6に示したように、蛇行した経路によって埋めた例を示している。このような経路によって内部領域を埋めることで、円錐台の中心軸付近に空隙領域が生じることを抑制できる。ただし、図26に示した例では、内部領域と外殻領域との間に空隙領域が発生している。そのため、このような空隙領域をボクセルによって表示すると、図27のように、内部領域と外殻領域との間を含むボクセルに着色が表示される。
【0080】
図28には、各層の内部領域を、図26に示したように、蛇行した経路によって埋めつつ、1層毎に、蛇行させる方向を90度変更させた例を示している。この場合、内部領域と外殻領域との間の空隙領域を更に縮小することが可能になる。そのため、このような空隙領域をボクセルによって表示すると、図29のように、内部領域と外殻領域との間を含むボクセルに着色が表示され、図27に示した着色のレベルよりも低いレベルの着色が行われる。内部領域を埋めるパターンは、空隙領域が小さくなるように、データ処理部102が自動的に選択してもよいし、例えば、内部領域の強度と外殻領域の強度とのどちらを優先するかに応じて、ユーザーまたはデータ処理部102がパターンを選択してもよい。なお、図23図29に示した第1形状データの形状は例示であり、修正対象となる第1形状データの形状は円錐台に限定されない。
【0081】
第2実施形態において、データ処理部102は、入力装置を介して、ユーザーからボクセルの大きさの指定を受け付けることが可能である。例えば、ユーザーは、10mm3 や1mm3 などの大きさを指定可能である。ボクセルのサイズが10mm3 であれば、大まかに空隙占有率を表示することができる。また、演算回数が減るため、各ボクセルの空隙占有率の表示完了までの速度を高めることができる。また、ボクセルのサイズが1mm3であれば、空隙占有率を詳細に表示することができる。そのため、ボクセルの大きさを指定可能であれば、ユーザーは、空隙領域を多角的に分析できる。
【0082】
C.他の実施形態:
(C1)上記実施形態では、表示部105は、制御部101に接続されている。これに対して、表示部105は、制御部101あるいは三次元造形システム10の外部に配置されていてもよく、ネットワークを通じて、制御部101から表示部105に表示画面が伝送されてもよい。
【0083】
(C2)上記実施形態において、造形部110は、フラットスクリュー40によって材料を可塑化している。これに対して造形部110は、例えば、インラインスクリューを回転させることによって材料を可塑化するものであってもよい。また、造形部110として、熱溶解積層法に用いられるヘッドを採用してもよい。
【0084】
(C3)上記実施形態では、バタフライバルブによって構成された流量調整部70を用いて造形材料の流量を調整している。これに対して、造形材料の流量は、フラットスクリュー40の回転数を制御することによって調整してもよい。
【0085】
(C4)上記実施形態では、制御部101が、造形データ生成処理と三次元造形処理の両方を実行している。これに対して、造形データ生成処理と三次元造形処理とは、異なる制御部によって実行されてもよい。
【0086】
(C5)上記実施形態では、データ処理部102が造形データを生成する機能を備えている。これに対して、データ処理部102は、造形データを生成する機能を備えていなくてもよい。この場合、データ処理部102は、外部の装置によって生成された造形データを取得して、その造形データを用いて、空隙領域特定処理や表示処理を実行する。
【0087】
(C6)上記実施形態では、空隙領域を特定可能な表示として、画像やマーク、ボクセルなどの例を示した。これに対して、空隙領域を特定可能な表示は、例えば、空隙領域の面積や位置を表す数値情報であってもよい。
【0088】
(C7)上記実施形態では、材料供給部20に供給される原材料として、ペレット状のABS樹脂の材料が用いられる。これに対して、三次元造形装置100は、例えば、熱可塑性を有する材料や、金属材料、セラミック材料等の種々の材料を主材料として三次元造形物を造形することができる。ここで、「主材料」とは、三次元造形物の形状を形作っている中心となる材料を意味し、三次元造形物において50重量%以上の含有率を占める材料を意味する。上述した造形材料には、それらの主材料を単体で溶融したものや、主材料とともに含有される一部の成分が溶融してペースト状にされたものが含まれる。
【0089】
主材料として熱可塑性を有する材料を用いる場合には、造形材料生成部30において、当該材料が可塑化することによって造形材料が生成される。「可塑化」とは、熱可塑性を有する材料に熱が加わり溶融することを意味する。
【0090】
熱可塑性を有する材料としては、例えば、下記の熱可塑性樹脂材料を用いることができる。
<熱可塑性樹脂材料の例>
ポリプロピレン樹脂(PP)、ポリエチレン樹脂(PE)、ポリアセタール樹脂(POM)、ポリ塩化ビニル樹脂(PVC)、ポリアミド樹脂(PA)、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン樹脂(ABS)、ポリ乳酸樹脂(PLA)、ポリフェニレンサルファイド樹脂(PPS)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリカーボネート(PC)、変性ポリフェニレンエーテル、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレートなどの汎用エンジニアリングプラスチック、ポリサルフォン、ポリエーテルサルフォン、ポリフェニレンサルファイド、ポリアリレート、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリエーテルイミド、ポリエーテルエーテルケトンなどのエンジニアリングプラスチック。
【0091】
熱可塑性を有する材料には、顔料や、金属、セラミック、その他に、ワックス、難燃剤、酸化防止剤、熱安定剤などの添加剤等が混入されていてもよい。熱可塑性を有する材料は、造形材料生成部30において、フラットスクリュー40の回転とヒーター58の加熱によって可塑化されて溶融した状態に転化される。熱可塑性を有する材料の溶融によって生成された造形材料は、ノズル61から吐出された後、温度の低下によって硬化する。
【0092】
熱可塑性を有する材料は、そのガラス転移点以上に加熱されて完全に溶融した状態でノズル61から射出されることが望ましい。例えば、ABS樹脂は、ガラス転移点が約120℃であり、ノズル61からの射出時には約200℃であることが望ましい。
【0093】
三次元造形装置100では、上述した熱可塑性を有する材料の代わりに、例えば、以下の金属材料が主材料として用いられてもよい。この場合には、下記の金属材料を粉末状にした粉末材料に、造形材料の生成の際に溶融する成分が混合されて、原材料として造形材料生成部30に投入されることが望ましい。
<金属材料の例>
マグネシウム(Mg)、鉄(Fe)、コバルト(Co)やクロム(Cr)、アルミニウム(Al)、チタン(Ti)、銅(Cu)、ニッケル(Ni)の単一の金属、もしくはこれらの金属を1つ以上含む合金。
<前記合金の例>
マルエージング鋼、ステンレス、コバルトクロムモリブデン、チタニウム合金、ニッケル合金、アルミニウム合金、コバルト合金、コバルトクロム合金。
【0094】
三次元造形装置100においては、上記の金属材料の代わりに、セラミック材料を主材料として用いることが可能である。セラミック材料としては、例えば、二酸化ケイ素、二酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウムなどの酸化物セラミックスや、窒化アルミニウムなどの非酸化物セラミックスなどが使用可能である。主材料として、上述したような金属材料やセラミック材料を用いる場合には、ステージ210に配置された造形材料はレーザーの照射や温風などによる焼結によって硬化されてもよい。
【0095】
材料供給部20に原材料として投入される金属材料やセラミック材料の粉末材料は、単一の金属の粉末や合金の粉末、セラミック材料の粉末を、複数種類、混合した混合材料であってもよい。また、金属材料やセラミック材料の粉末材料は、例えば、上で例示したような熱可塑性樹脂、あるいは、それ以外の熱可塑性樹脂によってコーティングされていてもよい。この場合には、造形材料生成部30において、その熱可塑性樹脂が溶融して流動性が発現されるものとしてもよい。
【0096】
材料供給部20に原材料として投入される金属材料やセラミック材料の粉末材料には、例えば、以下のような溶剤を添加することもできる。溶剤は、下記の中から選択される1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
<溶剤の例>
水;エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル等の(ポリ)アルキレングリコールモノアルキルエーテル類;酢酸エチル、酢酸n-プロピル、酢酸iso-プロピル、酢酸n-ブチル、酢酸iso-ブチル等の酢酸エステル類;ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類;メチルエチルケトン、アセトン、メチルイソブチルケトン、エチル-n-ブチルケトン、ジイソプロピルケトン、アセチルアセトン等のケトン類;エタノール、プロパノール、ブタノール等のアルコール類;テトラアルキルアンモニウムアセテート類;ジメチルスルホキシド、ジエチルスルホキシド等のスルホキシド系溶剤;ピリジン、γ-ピコリン、2,6-ルチジン等のピリジン系溶剤;テトラアルキルアンモニウムアセテート(例えば、テトラブチルアンモニウムアセテート等);ブチルカルビトールアセテート等のイオン液体等。
【0097】
その他に、材料供給部20に原材料として投入される金属材料やセラミック材料の粉末材料には、例えば、以下のようなバインダーを添加することもできる。
<バインダーの例>
アクリル樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、セルロース系樹脂或いはその他の合成樹脂又はPLA(ポリ乳酸)、PA(ポリアミド)、PPS(ポリフェニレンサルファイド)、PEEK(ポリエーテルエーテルケトン)或いはその他の熱可塑性樹脂。
【0098】
D.他の形態:
本開示は、上述の実施形態に限られるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲において種々の構成で実現することができる。例えば、以下に記載する各形態中の技術的特徴に対応する実施形態の技術的特徴は、上述の課題の一部又は全部を解決するために、あるいは、上述の効果の一部又は全部を達成するために、適宜、差し替えや、組み合わせを行うことが可能である。また、その技術的特徴が本明細書中に必須なものとして説明されていなければ、適宜、削除することが可能である。
【0099】
(1)本開示の第1の形態によれば、情報処理装置が提供される。この情報処理装置は、造形材料を吐出しながら移動する吐出部の移動経路を表した経路情報、及び、前記移動経路における前記造形材料の吐出量を表す吐出量情報を含み、三次元造形物を造形するための造形データに基づいて、前記三次元造形物の空隙領域を特定するデータ処理部と、前記造形データに基づいて生成される前記三次元造形物の形状を表す第1形状データの少なくとも一部を表示部に表示する表示制御部と、を備え、前記表示制御部は、前記表示部に対して、少なくとも一部の前記第1形状データにおける前記空隙領域を特定可能な表示を行う。
この形態によれば、第1形状データにおける空隙領域を特定可能な表示を表示部に対して行うので、造形品質にかかわる三次元造形物の空隙領域を造形前に事前に確認することができる。そのため、予期しない造形の失敗を抑制できる。
【0100】
(2)上記形態において、前記表示制御部は、前記第1形状データの輪郭と、前記空隙領域の範囲を表す画像とを前記表示部に表示してもよい。この形態によれば、三次元造形物の輪郭に対する空隙領域の大きさを確認しやすい。
【0101】
(3)上記形態において、前記表示制御部は、前記表示部に表示されている少なくとも一部の前記第1形状データの前記空隙領域の範囲をマークしてもよい。この形態によれば、表示中の第1形状データにおける空隙領域の範囲を確認しやすい。
【0102】
(4)上記形態において、前記データ処理部は、前記三次元造形物が存在する領域を複数のボクセルに分割し、前記ボクセル毎に空隙領域の割合を第1割合として算出し、前記表示制御部は、前記ボクセル毎に前記第1割合に応じたマークを前記表示部に表示してもよい。この形態によれば、視覚的に空隙の密集度を確認できる。
【0103】
(5)上記形態において、前記データ処理部は、前記ボクセルに対して予め定められた方向において重なるボクセルの空隙領域の割合を第2割合として算出し、前記表示制御部は、前記第1割合に応じたマークを前記第2割合に応じて変更して前記表示部に表示してもよい。この形態によれば、複数の層にわたる空隙の密集度を視覚的に確認できる。
【0104】
(6)上記形態において、前記データ処理部は、ボクセルの大きさの指定を受け付けてもよい。この形態によれば、ユーザーは、空隙領域を多角的に分析できる。
【0105】
(7)上記形態において、前記表示制御部は、前記第1割合が予め定めた割合以上である場合に、前記表示部にアラートを表示してもよい。この形態によれば、三次元造形物の強度が、ユーザーが意図せずに低下することを抑制できる。
【0106】
(8)上記形態において、前記データ処理部は、前記第1割合が予め定めた割合以上であるボクセルの空隙領域を前記造形材料で埋めるよう、前記造形データを修正してもよい。この形態によれば、三次元造形物の強度を高めることができる。
【0107】
(9)上記形態において、前記データ処理部は、前記三次元造形物の形状を表す第2形状データを取得し、前記第2形状データに基づいて、前記三次元造形物の形状を複数の層にスライスした層データを生成し、前記層データに含まれる層毎に、前記経路情報、及び、前記吐出量情報、を含む前記造形データを生成してもよい。
【0108】
(10)上記形態において、前記データ処理部は、前記第1形状データと前記第2形状データとに基づいて、前記三次元造形物の空隙領域を特定してもよい。この形態によれば、第1形状データのみから空隙領域を特定するよりも精度良く空隙領域を特定できる。
【0109】
(11)上記形態において、前記データ処理部は、ユーザーにより選択されたスライス方向に応じて前記三次元造形物の形状をスライスして前記層データを生成し、前記表示制御部は、前記スライス方向に応じた前記空隙領域を特定可能な表示を行ってもよい。この形態によれば、スライス方向に応じて空隙領域を容易に確認できる。
【0110】
(12)本開示の第2の形態は、上記情報処理装置と、前記造形データに従って前記三次元造形物を造形する三次元造形装置と、を備える三次元造形システムである。
【0111】
(13)本開示の第3の形態は、上記情報処理装置と接続可能な三次元造形装置である。
【0112】
(14)本開示の第4の形態によれば、情報表示方法が提供される。この情報表示方法は、造形材料を吐出しながら移動する吐出部の移動経路を表した経路情報、及び、前記移動経路における前記造形材料の吐出量を表す吐出量情報を含み、三次元造形物を造形するための造形データに基づいて、前記三次元造形物の空隙領域を特定する特定工程と、前記造形データに基づいて生成される前記三次元造形物の形状を表す第1形状データの少なくとも一部を表示部に表示する表示工程と、を備え、前記表示工程では、前記表示部に対して、少なくとも一部の前記第1形状データにおける前記空隙領域を特定可能な表示を行う。
【符号の説明】
【0113】
10…三次元造形システム、20…材料供給部、22…連通路、30…造形材料生成部、31…スクリューケース、32…駆動モーター、40…フラットスクリュー、42…溝部、43…凸条部、44…材料流入口、46…中央部、47…上面、48…下面、50…スクリュー対面部、52…上面、54…案内溝、56…連通孔、58…ヒーター、60…吐出部、61…ノズル、62…吐出口、65…流路、70…流量調整部、74…第1駆動部、75…吸引部、76…第2駆動部、100…三次元造形装置、101…制御部、102…データ処理部、103…表示制御部、105…表示部、110…造形部、210…ステージ、211…造形面、230…移動機構
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