IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ セイコーエプソン株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-後処理装置 図1
  • 特開-後処理装置 図2
  • 特開-後処理装置 図3
  • 特開-後処理装置 図4
  • 特開-後処理装置 図5
  • 特開-後処理装置 図6
  • 特開-後処理装置 図7
  • 特開-後処理装置 図8
  • 特開-後処理装置 図9
  • 特開-後処理装置 図10
  • 特開-後処理装置 図11
  • 特開-後処理装置 図12
  • 特開-後処理装置 図13
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022181878
(43)【公開日】2022-12-08
(54)【発明の名称】後処理装置
(51)【国際特許分類】
   B65H 31/36 20060101AFI20221201BHJP
【FI】
B65H31/36
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021089073
(22)【出願日】2021-05-27
(71)【出願人】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100179475
【弁理士】
【氏名又は名称】仲井 智至
(74)【代理人】
【識別番号】100216253
【弁理士】
【氏名又は名称】松岡 宏紀
(74)【代理人】
【識別番号】100225901
【弁理士】
【氏名又は名称】今村 真之
(72)【発明者】
【氏名】前田 陸
【テーマコード(参考)】
3F054
【Fターム(参考)】
3F054AA01
3F054AC01
3F054BA04
3F054BB03
3F054BB07
3F054BG13
3F054BH02
3F054BH07
3F054DA01
(57)【要約】
【課題】最上位の媒体の一部が、傾き補正が完了する前の段階で整合部と下位の媒体との間に入り込む可能性がある。この場合、処理トレイ上の複数の媒体の整合性が低下する虞がある。
【解決手段】後処理装置30は、処理トレイ42と、整合板44と、搬送部50と、補正部60と、制御部24とを備える。補正部60は、搬送部50と整合板44との間において処理トレイ42に対して進退可能に設けられる。補正部60は、進出状態において上用紙PAの端部と接触することで傾き補正を行う。制御部24は、搬送部50による上用紙PAの搬送動作と補正部60の進退動作を制御することにより、上用紙PAの端部が整合板44に到達する前に端部を補正部60に突き当て、補正部60に傾き補正を実行させる。
【選択図】図9
【特許請求の範囲】
【請求項1】
後処理部による後処理前の複数の媒体を載置可能な載置部と、
複数の前記媒体の端部を整合する整合部と、
複数の前記媒体のうち最上位にある上媒体を前記整合部に向けて搬送する搬送部と、
前記搬送部と前記整合部との間において前記載置部に対して進退可能に設けられた補正部であって、進出状態において前記上媒体の端部と接触することで、前記上媒体の搬送方向に対する傾き補正を行う前記補正部と、
前記搬送部による前記上媒体の搬送動作と前記補正部の進退動作を制御可能な制御部と、
を備え、
前記制御部は、
前記搬送部による前記上媒体の搬送動作と前記補正部の進退動作を制御することにより、前記上媒体の前記端部が前記整合部に到達する前に前記端部を前記補正部に突き当て、前記補正部に前記傾き補正を実行させる、
ことを特徴とする後処理装置。
【請求項2】
請求項1に記載の後処理装置において、
前記補正部は、
前記搬送方向と交差する媒体幅方向に延びる回転軸と、
前記回転軸を中心に回転される外周部と、を備え、
前記制御部は、
前記回転軸を回転させることで前記外周部の進出状態及び退避状態を切り替え、進出状態の前記外周部に前記上媒体の端部を接触させることで前記傾き補正を行わせる、
ことを特徴とする後処理装置。
【請求項3】
請求項2に記載の後処理装置において、
前記外周部は、前記回転軸から外側へ延びる羽根部であって前記回転軸の回転によって前記載置部に対し進退する羽根部であり、
前記制御部は、前記載置部に載置された前記媒体の枚数に基づいて前記回転軸の回転量を変更することで、前記羽根部の回転停止時の姿勢を変更する、
ことを特徴とする後処理装置。
【請求項4】
請求項3に記載の後処理装置において、
前記羽根部は、前記回転軸の回転方向に弾性変形可能であり、
前記載置部は、前記媒体が載置される載置面を有し、
前記載置面に載置された複数の前記媒体の枚数が基準枚数を超えている場合、前記媒体幅方向から見て、前記回転軸の回転が停止された状態における前記羽根部を延長した仮想線と、前記載置面とが成す角度を第1角度とし、
前記載置面に載置された複数の前記媒体の枚数が前記基準枚数以下の場合、前記媒体幅方向から見て、前記回転軸の回転が停止された状態における前記仮想線と前記載置面とが成す角度を第2角度として、
前記第1角度は、前記第2角度より小さい、
ことを特徴とする後処理装置。
【請求項5】
請求項3又は請求項4に記載の後処理装置において、
前記制御部は、前記羽根部が前記回転軸から前記整合部に向かう成分を有する方向に延びる状態において、前記回転軸の回転を停止させる、
ことを特徴とする後処理装置。
【請求項6】
請求項2から請求項5のいずれか一項に記載の後処理装置において、
前記制御部は、前記補正が終了するまで前記搬送部に前記上媒体を搬送させる場合、前記搬送部が前記上媒体に搬送力を付与する間の搬送時間を、前記媒体の情報に基づいて変更する、
ことを特徴とする後処理装置。
【請求項7】
請求項6に記載の後処理装置において、
前記媒体の情報は、前記媒体の厚さを含み、
前記制御部は、前記媒体の1枚当たりの厚さが厚さ閾値以上の場合、前記媒体の1枚当たりの厚さが前記厚さ閾値より小さい場合に比べて前記搬送時間を短くする、
ことを特徴とする後処理装置。
【請求項8】
請求項6に記載の後処理装置において、
液体を吐出することで前記媒体に記録を行う記録部から前記媒体が搬送され、
前記媒体の情報は、前記媒体の単位面積当たりにおける前記記録部からの前記液体の吐出比率を含み、
前記制御部は、前記吐出比率が吐出閾値以上の場合、前記吐出比率が前記吐出閾値より小さい場合に比べて前記搬送時間を短くする、
ことを特徴とする後処理装置。
【請求項9】
請求項8に記載の後処理装置において、
前記媒体における前記媒体幅方向の中央に対する一方の領域を第1領域とし、他方の領域を第2領域として、
前記第1領域における前記吐出比率を第1吐出比率とし、前記第2領域における前記吐出比率を第2吐出比率として、
前記媒体の情報は、前記第1吐出比率と前記第2吐出比率との差である差分比率を含み、
前記制御部は、前記差分比率が差分閾値以上の場合、前記差分比率が前記差分閾値より小さい場合に比べて前記搬送時間を長くする、
ことを特徴とする後処理装置。
【請求項10】
請求項1から請求項9のいずれか一項に記載の後処理装置において、
前記制御部は、前記載置部に積上げられた複数の前記媒体の枚数が枚数閾値を超えている場合のみ、前記補正部を進出させる制御を行う、
ことを特徴とする後処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、後処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1のシート束処理装置は、掻き込み回転体を有する。掻き込み回転体は、処理トレイ上に搬送されてくるシートを押圧しながら回転することで、該シートを規制部材に当接するまで送り込むと共に該シートのスキューを解消させている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2017-7850号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の構成では、媒体の一例であるシートが規制部材としての整合部に当接することで、シートの傾き補正が行われる。ここで、処理トレイ上に複数の媒体が載置されている状態において、最上位の媒体が整合部に当接するまで送り込まれた場合、最上位の媒体の一部が、傾き補正が完了する前の段階で整合部と下位の媒体との間に入り込む可能性がある。この場合、処理トレイ上の複数の媒体の整合性が低下する虞がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決する為の、本発明に係る後処理装置は、後処理部による後処理前の複数の媒体を載置可能な載置部と、複数の前記媒体の端部を整合する整合部と、複数の前記媒体のうち最上位にある上媒体を前記整合部に向けて搬送する搬送部と、前記搬送部と前記整合部との間において前記載置部に対して進退可能に設けられた補正部であって、進出状態において前記上媒体の端部と接触することで、前記上媒体の搬送方向に対する傾き補正を行う前記補正部と、前記搬送部による前記上媒体の搬送動作と前記補正部の進退動作を制御可能な制御部と、を備え、前記制御部は、前記搬送部による前記上媒体の搬送動作と前記補正部の進退動作を制御することにより、前記上媒体の前記端部が前記整合部に到達する前に前記端部を前記補正部に突き当て、前記補正部に前記傾き補正を実行させることを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】実施形態1に係る記録システムの全体構成を示す図。
図2】実施形態1に係る記録システムの一部のブロック図。
図3】実施形態1に係る後処理装置の一部を拡大した図。
図4】実施形態1に係る後処理装置における処理トレイ、搬送パドル及び補正パドルを示す図。
図5】実施形態1に係る後処理装置における補正パドルの回転状態を示す図。
図6】実施形態1に係る後処理装置において用いられる用紙の領域を示す図。
図7】実施形態1に係る後処理装置における処理トレイと補正パドルとの配置関係を示す図。
図8】実施形態1に係る後処理装置の処理トレイにおいて用紙の傾きが生じた状態を示す図。
図9】実施形態1に係る後処理装置の処理トレイにおいて用紙の傾き補正が行われる状態を示す図。
図10】実施形態1に係る後処理装置の処理トレイにおいて傾き補正が行われた用紙の端部が整合される状態を示す図。
図11】実施形態1に係る記録システムにおける各処理の流れを示すフローチャート。
図12】変形例に係る後処理装置の処理トレイにおいて用紙が傾く状態を示す図。
図13】変形例に係る後処理装置の処理トレイにおいて用紙の傾き補正が行われる状態を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、本発明について概略的に説明する。
第1の態様に係る後処理装置は、後処理部による後処理前の複数の媒体を載置可能な載置部と、複数の前記媒体の端部を整合する整合部と、複数の前記媒体のうち最上位にある上媒体を前記整合部に向けて搬送する搬送部と、前記搬送部と前記整合部との間において前記載置部に対して進退可能に設けられた補正部であって、進出状態において前記上媒体の端部と接触することで、前記上媒体の搬送方向に対する傾き補正を行う前記補正部と、前記搬送部による前記上媒体の搬送動作と前記補正部の進退動作を制御可能な制御部と、を備え、前記制御部は、前記搬送部による前記上媒体の搬送動作と前記補正部の進退動作を制御することにより、前記上媒体の前記端部が前記整合部に到達する前に前記端部を前記補正部に突き当て、前記補正部に前記傾き補正を実行させることを特徴とする。
【0008】
第1の態様によれば、前記制御部は、前記補正部を前記載置部に向けて進出させる。そして、前記制御部は、前記搬送部を動作させることで、前記上媒体を前記補正部に搬送させる。前記補正部は、前記上媒体の端部と接触することで、前記上媒体の前記搬送方向に対する傾き補正を行う。
さらに、前記制御部は、前記傾き補正の終了後、前記補正部を退避させると共に前記搬送部に前記上媒体を搬送させる。そして、前記上媒体の端部が前記整合部と接触することで、前記整合部による前記媒体の端部及び前記上媒体の端部の整合が行われる。
このように、前記上媒体が前記整合部に到達する前の段階において前記上媒体の傾き補正が行われることで、前記上媒体が前記整合部に到達した段階では、既に前記上媒体の傾きが抑制されている。つまり、前記上媒体が傾いたまま前記整合部に到達することが抑制されるので、前記上媒体が前記整合部と他の前記媒体との間に潜り込むことを抑制できる。これにより、前記載置部における複数の前記媒体の整合性の低下を抑制できる。
【0009】
第2の態様に係る後処理装置は、第1の態様において、前記補正部は、前記搬送方向と交差する媒体幅方向に延びる回転軸と、前記回転軸を中心に回転される外周部と、を備え、前記制御部は、前記回転軸を回転させることで前記外周部の進出状態及び退避状態を切り替え、進出状態の前記外周部に前記上媒体の端部を接触させることで前記傾き補正を行わせることを特徴とする。
本態様によれば、前記制御部が前記回転軸を回転させることで、前記外周部の進出状態及び退避状態が切り替わる。これにより、前記補正部の状態を切り替えるための他の部材が不要となるので、前記補正部がスライドする構成に比べて、前記補正部の構造を簡素化できる。
【0010】
第3の態様に係る後処理装置は、第2の態様において、前記外周部は、前記回転軸から外側へ延びる羽根部であって前記回転軸の回転によって前記載置部に対し進退する羽根部であり、前記制御部は、前記載置部に載置された前記媒体の枚数に基づいて前記回転軸の回転量を変更することで、前記羽根部の回転停止時の姿勢を変更することを特徴とする。
本態様によれば、前記載置部に載置された前記媒体の枚数に基づいて、前記回転軸の回転量が変更されることで、前記羽根部の回転停止時の姿勢、即ち前記載置部に対する前記羽根部の進退状態が変更される。これにより、前記載置部における複数の前記媒体の枚数の増減があったとしても、前記羽根部と前記上媒体との接触状態を維持可能となるので、前記羽根部から前記上媒体に作用する力の変化を抑制できる。
【0011】
第4の態様に係る後処理装置は、第3の態様において、前記羽根部は、前記回転軸の回転方向に弾性変形可能であり、前記載置部は、前記媒体が載置される載置面を有し、前記載置面に載置された複数の前記媒体の枚数が基準枚数を超えている場合、前記媒体幅方向から見て、前記回転軸の回転が停止された状態における前記羽根部を延長した仮想線と、前記載置面とが成す角度を第1角度とし、前記載置面に載置された複数の前記媒体の枚数が前記基準枚数以下の場合、前記媒体幅方向から見て、前記回転軸の回転が停止された状態における前記仮想線と前記載置面とが成す角度を第2角度として、前記第1角度は、前記第2角度より小さいことを特徴とする。
前記載置部における前記媒体の枚数が増えるほど、前記上媒体と前記回転軸との間の空間が狭くなる。
ここで、本態様によれば、複数の前記媒体の枚数が前記基準枚数を超えている場合、前記上媒体と前記回転軸との間の空間が狭くなるが、前記第1角度が前記第2角度より小さいことで、前記羽根部の姿勢が前記上媒体の姿勢に近づく。このため、当該空間内に前記羽根部を収容可能となる。つまり、複数の前記媒体の枚数が変動しても、前記羽根部と前記上媒体との接触状態を維持可能となるので、前記羽根部の変形量が変動することを抑制できる。
【0012】
第5の態様に係る後処理装置は、第3の態様又は第4の態様において、前記制御部は、前記羽根部が前記回転軸から前記整合部に向かう成分を有する方向に延びる状態において、前記回転軸の回転を停止させることを特徴とする。
本態様によれば、前記搬送部の動作によって搬送される前記上媒体が、前記羽根部に到達するとき、前記上媒体の前記端部は、前記羽根部と前記媒体とで形成される空間内に進入する。ここで、前記上媒体のカールなどの理由により、前記上媒体の前記端部が上方に反り上がることがあっても、前記上媒体の前記端部が前記羽根部と接触するので、前記上媒体の反り上がりを抑制できる。
【0013】
第6の態様に係る後処理装置は、第2の態様から第5の態様のいずれか1つにおいて、前記制御部は、前記補正が終了するまで前記搬送部に前記上媒体を搬送させる場合、前記搬送部が前記上媒体に搬送力を付与する間の搬送時間を、前記媒体の情報に基づいて変更することを特徴とする。
本態様によれば、前記制御部は、前記媒体の状態に基づいて前記搬送時間を変更するので、前記媒体の状態が変化した場合においても、前記上媒体の傾き補正を行うことができる。
【0014】
第7の態様に係る後処理装置は、第6の態様において、前記媒体の情報は、前記媒体の厚さを含み、前記制御部は、前記媒体の1枚当たりの厚さが厚さ閾値以上の場合、前記媒体の1枚当たりの厚さが前記厚さ閾値より小さい場合に比べて前記搬送時間を短くすることを特徴とする。
前記媒体の1枚当たりの厚さが前記厚さ閾値以上の場合、前記媒体は、前記搬送方向に作用する力に対する剛性が高くなる。前記上媒体の前記端部が前記補正部と接触した場合、前記上媒体の剛性が高いことで、前記上媒体から前記補正部に大きな力が作用し、前記上媒体が前記補正部を押しのける虞がある。
しかし、本態様によれば、前記搬送時間が短いことで、前記上媒体が前記補正部を押しのける前に傾き補正を終了できるので、前記上媒体の傾き補正を適切に行うことができる。
【0015】
第8の態様に係る後処理装置は、第6の態様において、液体を吐出することで前記媒体に記録を行う記録部から前記媒体が搬送され、前記媒体の情報は、前記媒体の単位面積当たりにおける前記記録部からの前記液体の吐出比率を含み、前記制御部は、前記吐出比率が吐出閾値以上の場合、前記吐出比率が前記吐出閾値より小さい場合に比べて前記搬送時間を短くすることを特徴とする。
前記吐出比率が前記吐出閾値以上の場合、前記吐出比率が前記吐出閾値より小さい場合に比べて、前記媒体に吐出される前記液体の量が多くなる。これにより、前記液体を多く含む前記媒体は、座屈され易くなるため、前記媒体の傾き補正が不十分となる可能性がある。
ここで、本態様によれば、前記吐出比率が前記吐出閾値以上の場合、前記制御部は、前記吐出比率が前記吐出閾値より小さい場合に比べて前記搬送時間を短くする。これにより、前記上媒体が座屈する前に傾き補正を終了できるので、前記上媒体の傾き補正を適切に行うことができる。
【0016】
第9の態様に係る後処理装置は、第8の態様において、前記媒体における前記媒体幅方向の中央に対する一方の領域を第1領域とし、他方の領域を第2領域として、前記第1領域における前記吐出比率を第1吐出比率とし、前記第2領域における前記吐出比率を第2吐出比率として、前記媒体の情報は、前記第1吐出比率と前記第2吐出比率との差である差分比率を含み、前記制御部は、前記差分比率が差分閾値以上の場合、前記差分比率が前記差分閾値より小さい場合に比べて前記搬送時間を長くすることを特徴とする。
前記差分比率が前記差分閾値以上の場合、前記差分比率が前記差分閾値より小さい場合に比べて、前記第1領域と前記第2領域とで付着する前記液体の量の差が大きくなることで、前記媒体における前記第1領域の変形量と前記第2領域の変形量との差も大きくなり、それに起因して前記媒体の前記補正部に到達するタイミングが前記第1領域と前記第2領域とでずれが生じ、適切に傾き補正ができなくなる虞がある。また、或いは、前記媒体の前記第1領域において生じる摩擦力と前記第2領域において生じる摩擦力との差が大きくなることにより、前記媒体に傾きが生じる虞がある。
ここで、本態様によれば、前記差分比率が前記差分閾値以上の場合、前記制御部は、前記差分比率が前記差分閾値より小さい場合に比べて前記搬送時間を長くする。これにより、前記上媒体における前記第1領域の変形量と前記第2領域の変形量との差、或いは、前記第1領域において生じる摩擦力と前記第2領域において生じる摩擦力との差が大きくなることがあっても、前記補正部と前記上媒体との接触時間が確保されるので、前記上媒体の傾き補正を適切に行うことができる。
【0017】
第10の態様に係る後処理装置は、第1の態様から第9の態様のいずれか1つにおいて、前記制御部は、前記載置部に積上げられた複数の前記媒体の枚数が枚数閾値を超えている場合のみ、前記補正部を進出させる制御を行うことを特徴とする。
前記載置部に積上げられた複数の前記媒体の枚数が前記枚数閾値を超えている場合、複数の前記媒体が積載されている分だけ複数の前記媒体と前記整合部との間に生じ得る空間部が大きくなり、前記上媒体の端部が該空間部に進入する量が増加する可能性がある。
ここで、本態様によれば、前記制御部が前記補正部を進出させる制御を行うことで、前記補正部による前記上媒体の傾き補正が行われるので、前記空間部への前記上媒体の進入量が減少し、複数の前記媒体の整合性の低下を抑制できる。
一方、前記載置部に積上げられた複数の前記媒体の枚数が前記枚数閾値以下の場合、複数の前記媒体と前記整合部との間の空間部が小さいため、前記上媒体の端部が該空間部に進入する量は少なくなる可能性が高い。換言すると、前記上媒体の傾き補正を行う必要性が低下する。
ここで、本態様によれば、前記制御部は、前記補正部を進出させる制御を行わない。これにより、前記後処理装置における複数の前記媒体の整合に要する時間を短くすることができる。
【0018】
以下、本発明に係る後処理装置の一例である実施形態について、具体的に説明する。
図1には、記録装置の一例である記録システム1が示される。記録システム1は、媒体の一例である用紙Pに対し、液体の一例であるインクQを吐出することで記録を行うインクジェット方式の装置として構成される。なお、各図において表すX-Y-Z座標系は直交座標系である。
【0019】
X方向は、媒体幅方向及び装置奥行方向の一例であり、水平方向である。X方向を示す矢印の基端側を-X方向、X方向を示す矢印の先端側を+X方向とする。
Y方向は、装置幅方向の一例であり、水平方向である。Y方向を示す矢印の先端側を+Y方向、Y方向を示す矢印の基端側を-Y方向とする。
Z方向は、装置高さ方向の一例であり、X方向及びY方向の両方と直交する方向である。Z方向を示す矢印の先端側を+Z方向、Z方向を示す矢印の基端側を-Z方向とする。以後の説明では、+Z方向を上方、-Z方向を下方と称する場合がある。
【0020】
A方向は、X方向から見た場合、Y方向と交差する方向であり、-Y方向の位置が+Y方向の位置に対して-Z方向に下がる斜め方向である。A方向を示す矢印の先端側を+A方向、A方向を示す矢印の基端側を-A方向とする。+A方向は、後述する処理トレイ42が延びる傾斜方向である。また、+A方向は、処理トレイ42において用紙Pが搬送される搬送方向の一例である。
B方向は、X方向から見た場合、A方向と直交する方向である。B方向を示す矢印の先端側を+B方向、B方向を示す矢印の基端側を-B方向とする。+B方向は、用紙Pが重なる積層方向の一例である。
【0021】
記録システム1は、+Y方向に向かって順に、記録ユニット2と、中間ユニット4と、後処理装置30とを有する。記録システム1では、記録ユニット2、中間ユニット4及び後処理装置30が互いに機械的及び電気的に接続される。中間ユニット4は、記録ユニット2から送り込まれた用紙Pを後処理装置30へ搬送する。
なお、記録システム1は、後述する画像形成部10において情報が記録された用紙Pに後処理を行うように構成される。記録システム1は、ユーザーによって操作される不図示の操作部を備えていてもよい。記録システム1は、外部のコンピューターから記録情報が送信されてもよい。
【0022】
記録システム1において、記録ユニット2から中間ユニット4を経由して後処理装置30へ、用紙Pが搬送される経路を搬送経路Tとする。搬送経路Tには、搬送機構部9(図2)が設けられる。
搬送機構部9は、記録システム1の全体に亘って設けられる。搬送機構部9は、不図示の複数のローラー対及び複数のモーターを含んで構成され、用紙Pを搬送する。具体的には、搬送機構部9は、収容カセット18から記録部20の記録領域へ用紙Pを搬送し、さらに、該記録領域から中間ユニット4を経て後処理装置30へ用紙Pを搬送する。
【0023】
記録ユニット2は、搬送される用紙Pに各種の情報を記録する。また、記録ユニット2は、一例として、画像形成部10と、スキャナー部12と、カセット収容部14と、不図示の搬送機構とを備える。
画像形成部10は、記録部20と、制御部24とを含んで構成される。スキャナー部12は、不図示の原稿の情報を読み取る。カセット収容部14は、複数の用紙Pを収容する複数の収容カセット18を有する。記録部20は、一例として、ラインヘッドとして構成される。また、記録部20は、複数のノズルから成る不図示の吐出部を備える。記録部20は、インクQを吐出することで用紙Pに記録を行う。
【0024】
図2に示されるように、コンピューターとして機能する制御部24は、CPU(Central Processing Unit)25、ROM(Read Only Memory)26、RAM(Random Access Memory)27及びストレージ28を含んで構成される。
制御部24は、記録システム1の各部の動作を制御可能である。具体的には、制御部24は、外部機器から入力された情報又はROM26若しくはストレージ28に記憶された情報に基づいて、記録部20、搬送機構部9、ステープラー40、排出部36、搬送部50、補正部60、用紙センサー33及びサイドカーソル41の動作を制御する。
【0025】
ROM26には、CPU25が実行するプログラムPRを含む各種データが格納されている。換言すると、ROM26は、コンピューターにおいて読み取り可能なプログラムPRが格納された記録媒体の一例である。記録媒体の他の例としては、CD(ComPAct Disc)、DVD(Digital Versatile Disc)、ブルーレイディスク、USB(Universal Serial Bus)メモリーなどがある。また、RAM27の一部において、プログラムPRの展開が可能である。
プログラムPRは、後処理装置30(図1)における後述する各ステップをCPU25に実行させるためのプログラムである。
【0026】
図1に示されるように、後処理装置30は、筐体32と、用紙センサー33(図2)と、下プレート35と、サイドカーソル41(図3)と、排出トレイ38と、ステープラー40とを含んで構成される。さらに、後処理装置30は、処理トレイ42と、整合板44と、搬送部50と、補正部60と、制御部24とを備える。制御部24は、一例として、後処理装置30の制御部としても機能する。後処理装置30は、記録部20から用紙Pが搬送される。
【0027】
筐体32の内部には、搬送経路Tの一部が形成される。
用紙センサー33(図2)は、搬送経路Tに設けられる。用紙センサー33は、一例として、不図示の出射部及び受光部を備える。そして、用紙センサー33は、出射部からの光が受光部において受光されたか否かを判定することで、用紙センサー33における用紙Pの通過時点及び搬送経路Tにおける用紙Pの位置を検出する。用紙センサー33において検出された用紙Pの通過時点の情報及び用紙Pの位置の情報は、制御部24に送信される。
下プレート35は、後述する補正部60に対する+Z方向に位置する。下プレート35は、Z方向に所定の厚さを有し且つX方向に延びる板材から成る。下プレート35は、搬送経路Tの一部において、搬送経路Tの底部を構成する。
【0028】
図3に示されるステープラー40は、後処理部の一例である。つまり、本実施形態では、後処理装置30における後処理の一例として、複数の用紙Pを綴じるステープル処理が行われる。具体的には、ステープラー40は、後述する処理トレイ42に積層された複数の用紙Pにおいて、+A方向の端部に不図示のステープル針を打針することで、用紙束Mを綴じる。
【0029】
サイドカーソル41は、処理トレイ42上に設けられる。また、サイドカーソル41は、X方向に間隔をあけて一対設けられる。サイドカーソル41は、不図示のモーター、ピニオン及びラックからなる駆動機構によって駆動される。サイドカーソル41は、処理トレイ42上に複数の用紙Pが積載された場合、X方向に移動されることで、複数の用紙PのX方向の両端部を揃える。なお、サイドカーソル41は、一例として、複数の用紙Pの+A方向の端部が整合板44によって整合された後、複数の用紙PのX方向の両端部を揃える。
排出トレイ38は、筐体32(図1)に設けられる。排出トレイ38には、ステープラー40によって綴じられた用紙束Mが排出される。
【0030】
処理トレイ42は、用紙Pが載置される載置部の一例である。処理トレイ42は、ステープラー40によるステープル処理前の複数の用紙Pを載置可能である。具体的には、処理トレイ42は、用紙Pが載置される載置面43を有する。載置面43は、A方向に沿って延びており、Y方向に対して傾斜している。
一例として、用紙Pは、載置面43において、X方向の寸法がA方向の寸法より長い状態で載置される。載置面43のX方向の長さは、記録システム1において使用可能な用紙Pの最大の長さより長い。
【0031】
処理トレイ42の-A方向の端部には、開口部45が形成されている。処理トレイ42は、開口部45を介して排出トレイ38と繋がっている。これにより、処理トレイ42に載置された用紙P又は用紙束M(図1)は、後述する搬送部50によって、開口部45を通して排出トレイ38に排出される。
ここで、処理トレイ42に載置され且つ積層された複数の用紙Pのうち、+B方向の最も高い位置、即ち最上位にある1枚の用紙Pを上用紙PA(図5)とし、上用紙PAに対して-B方向にある少なくとも1枚の用紙Pを下用紙PB(図5)とする。上用紙PAは、上媒体の一例である。
【0032】
整合板44は、整合部の一例である。整合板44は、複数の用紙Pの+A方向の端部が接触されることで、該端部を整合する。整合板44による複数の用紙Pの整合とは、それぞれの用紙Pにおける+A方向の端が+B方向に沿った直線上に並ぶように、それぞれの用紙Pを揃えることを意味する。
具体的には、整合板44は、処理トレイ42における+A方向の端部から+B方向に沿って直立する。整合板44は、一例として、X方向に間隔をあけて2つ設けられる。
【0033】
下プレート35における+Y方向の端部には、搬送ローラー対37が設けられる。搬送ローラー対37は、不図示のモーターによって回転されることで、搬送経路Tの用紙Pを処理トレイ42に向けて搬送する。
処理トレイ42における-A方向の端部には、一対の排出ローラー39が設けられる。一対の排出ローラー39は、不図示のモーターによって回転されることで、用紙束M(図1)を排出トレイ38に向けて排出する。
【0034】
搬送部50は、一例として、搬送パドル52と、搬送パドル52を駆動する搬送モーター58と、不図示のギヤとを含んで構成される。搬送モーター58の駆動は、制御部24(図2)によって制御される。
搬送部50は、上用紙PA(図5)を整合板44に向けて搬送する。このとき、下用紙PB(図5)は、既に整合板44と接触しているため、その場に留まる。
搬送パドル52は、処理トレイ42におけるA方向の中央より-A方向の部位に対して+Z方向に位置する。また、搬送パドル52は、処理トレイ42に向けて搬送される用紙Pに対して+Z方向に位置する。
【0035】
図4に示されるように、搬送パドル52は、X方向を軸方向として回転可能に設けられる。搬送パドル52は、一例として、円柱状の軸部53と、軸部53に設けられた延出部54とを備える。延出部54は、一例として、軸部53に対してX方向に間隔をあけて4つ設けられる。
延出部54は、板部54A、板部54B及び板部54Cから成る。板部54A、板部54B及び板部54Cのそれぞれの長さは同程度の長さである。
【0036】
軸部53のX方向の両端部は、不図示の支持フレームに回転可能に支持される。
板部54A、板部54B及び板部54Cは、一例として、ゴム製であり、軸部53の周方向において、互いに成す角度が60°程度となるように間隔をあけて設けられる。板部54A、板部54B及び板部54Cは、軸部53の外周面53Aの接線方向に延びる。なお、処理トレイ42から排出トレイ38(図1)に向けて用紙束Mを排出する場合、一例として、一対の排出ローラー39(図3)が主部として機能し、搬送パドル52が副部として機能するように構成してもよい。
【0037】
図3に示されるように、補正部60は、+A方向における搬送部50と整合板44との間において、処理トレイ42に対して進退可能に設けられる。補正部60は、進出状態において上用紙PA(図5)の+A方向の端部と接触することで、上用紙PAの搬送方向の一例としての+A方向に対する傾き補正を行う。
補正部60の進出状態とは、後述する補正パドル62と上用紙PAが接触可能となる位置において、補正パドル62の回転が停止された状態を意味する。
補正部60の退避状態とは、補正パドル62と上用紙PAが接触しない位置に補正パドル62が退避した状態を意味する。
【0038】
補正部60は、一例として、補正パドル62と、補正パドル62を駆動する補正モーター68と、不図示のギヤとを含んで構成される。補正モーター68の駆動は、制御部24(図2)によって制御される。
補正部60は、既述の傾き補正後に、補正パドル62が回転されることで、上用紙PAを整合板44に向けて搬送する。このとき、下用紙PB(図5)は、既に整合板44と接触しているため、その場に留まる。
補正パドル62は、処理トレイ42におけるA方向の中央より+A方向の部位に対して+Z方向に位置する。また、補正パドル62は、搬送ローラー対37に対する-Z方向に位置する。さらに、補正パドル62は、整合板44に向けて搬送される用紙Pに対して+Z方向に位置する。
【0039】
図5に示されるように、補正パドル62は、X方向を軸方向として回転可能に設けられる。補正パドル62は、一例として、回転軸63と、回転軸63を中心に回転される外周部64とを備える。
回転軸63は、+A方向と交差するX方向に延びる円柱状の部材である。回転軸63のX方向の両端部は、不図示の支持フレームによって回転可能に支持される。回転軸63は、外周面63Aを有する。回転軸63の中心を回転中心Cとする。
【0040】
図8に示されるように、外周部64は、一例として、回転軸63の外周面63Aから外側へ延びる2つの羽根部65で構成される。
2つの羽根部65は、回転軸63に対してX方向に間隔をあけて設けられる。2つの羽根部65のX方向の位置は、2つの延出部54のX方向の位置とほぼ同じ位置に揃えられている。2つの羽根部65は、回転軸63の回転によって処理トレイ42に対し進退する。
【0041】
図5に示されるように、羽根部65は、一例として、ゴム製であり、回転軸63の回転方向に弾性変形可能である。羽根部65は、外周面63Aから外側へ延びる羽根65A、羽根65B及び羽根65Cを備える。羽根65A、羽根65B及び羽根65Cは、一例として、回転軸63の周方向において、互いに成す角度が60°程度となるように間隔をあけて設けられる。羽根65A、羽根65B及び羽根65Cは、それぞれ回転軸63の外周面63Aの接線方向に延びる。また、羽根65A、羽根65B及び羽根65Cは、それぞれ同程度の長さを有する。
【0042】
処理トレイ42において積層された複数の用紙Pについて、予め設定された枚数を基準枚数NAとする。基準枚数NAの図示は省略する。基準枚数NAは、B方向における載置面43と回転中心Cとの距離、補正パドル62の大きさ及び変形可能範囲などに応じて設定を変更可能である。
図7に示されるように、載置面43に載置された複数の用紙Pの枚数が基準枚数NAを超えている場合、X方向から見て、回転軸63の回転が停止された状態における羽根部65(実線で示す羽根65C)を延長した仮想線K1と、載置面43とが成す角度を第1角度θ1〔°〕とする。
載置面43に載置された複数の用紙Pの枚数が基準枚数NA以下の場合、X方向から見て、回転軸63の回転が停止された状態における羽根部65(二点鎖線で示す羽根65C)を延長した仮想線K2と、載置面43とが成す角度を第2角度θ2〔°〕とする。
なお、回転軸63の回転が停止された状態とは、羽根部65の先端部が用紙Pに接して停止している状態を意味する。
図7では、一例として、用紙Pの枚数がNA+1枚の場合の仮想線K1と、用紙Pの枚数が0枚の場合の仮想線K2とが示されている。ここで、第1角度θ1は、第2角度θ2より小さい。
【0043】
後処理装置30において、搬送部50(図3)が上用紙PAに搬送力を付与する間の時間を搬送時間tAとする。換言すると、搬送時間tAは、用紙Pが+A方向に搬送されている間において、搬送パドル52(図3)と上用紙PAとが接触する時間を意味する。
搬送時間tAは、制御部24(図2)において、用紙Pの情報に基づいて変更される。
【0044】
搬送時間tAは、用紙Pの傾き補正を行うときの実行時間とみなせる。搬送時間tAは、搬送パドル52のように一回転の間に搬送部が用紙Pに断続的に接触する構成による搬送の第1時間と、不図示の搬送ローラーのように一回転の間に搬送部が用紙Pに連続的に接触する構成による搬送の第2時間とを両方含む概念である。
第1時間は、一例として、用紙Pの+A方向の端部が補正パドル62に突き当たった状態で、搬送パドル52が一回転する間に、延出部54が用紙Pに搬送力を付与している時間である。
第2時間は、一例として、用紙Pの+A方向の端部が補正パドル62に突き当たった状態で、搬送ローラーが複数回、回転する間に、該搬送ローラーが用紙Pに搬送力を付与している累計時間である。
【0045】
具体的には、搬送パドル52の場合、搬送部50から用紙Pへの搬送力の伝達は、搬送パドル52の回転に伴って間隔を空けて行われる。換言すると、用紙Pに形成されるループは一回転の間で解消される可能性がある。この場合、補正の実行時間(ループが形成される時間)は、搬送パドル52が一回転する間のうち、延出部54が用紙Pに搬送力を付与している時間となる。
一方、搬送ローラーの場合、搬送部から用紙Pへの搬送力の伝達は、搬送ローラーの回転に伴って連続的に行われることになる。このため、搬送中の用紙Pのループが連続的に増大していく状態となる。この場合、補正の実行時間は、搬送ローラーが複数回、回転する間の累計時間となる。
【0046】
本実施形態において、用紙Pの情報は、例として、用紙Pの1枚当たりの厚さd〔mm〕と、用紙Pの単位面積SA〔mm〕当たりにおける記録部20からのインクQの吐出比率RA〔%〕と、後述する差分比率ΔR〔%〕とを含む。なお、搬送時間tA、厚さd、単位面積SA、吐出比率RA及び差分比率ΔRの図示は省略する。
【0047】
インクQの吐出比率は、単位面積SAの領域の全体にインクQが吐出される場合を100%として、該領域のうちインクQが吐出される領域の面積の比率で表される。例えば、単位面積SAの半分に相当する領域にインクQが吐出された場合、吐出比率は50%となる。
【0048】
図6に示されるように、用紙PにおけるX方向の中央に対する一方(+X方向)の仮想領域を第1領域S1とし、他方(-X方向)の仮想領域を第2領域S2とする。また、第1領域S1における吐出比率RAを第1吐出比率RA1〔%〕とし、第2領域S2における吐出比率RAを第2吐出比率RA2〔%〕とする。さらに、第1吐出比率RA1と第2吐出比率RA2との差を差分比率ΔR〔%〕とする。
なお、用紙Pの表面だけでなく裏面にも記録される場合、第1吐出比率RA1を表面及び裏面で合計し、第2吐出比率RA2を表面及び裏面で合計して、差分比率ΔRを設定してもよい。あるいは、表面における差分比率ΔRと、裏面における差分比率ΔRとを比較してもよい。
【0049】
ここで、図1から図8までを参照して、制御部24による各制御についてまとめる。
制御部24は、搬送部50による上用紙PAの搬送動作と、補正部60の進退動作を制御可能である。制御部24は、搬送部50による上用紙PAの搬送動作と補正部60の進退動作を制御することにより、上用紙PAの+A方向の端部が整合板44に到達する前に該+A方向の端部を補正部60に突き当て、補正部60に傾き補正を実行させる。
【0050】
制御部24は、回転軸63を回転させることで外周部64の進出状態及び退避状態を切り替える。さらに、制御部24は、進出状態の外周部64に上用紙PAの+A方向の端部を接触させることで傾き補正を行わせる。
制御部24は、処理トレイ42に載置された用紙Pの枚数に基づいて回転軸63の回転量を変更することで、羽根部65の回転停止時の姿勢を変更する。例えば、既述の通り、第1角度θ1の状態となる場合の第1姿勢、第2角度θ2の状態となる場合の第2姿勢がある。
制御部24は、羽根部65が回転軸63から整合板44に向かう成分を有する方向に延びる状態において、回転軸63の回転を停止させる。羽根部65が回転軸63から整合板44に向かう成分は、一例として、+A方向の成分を意味する。
【0051】
制御部24は、用紙Pの傾き補正が終了するまで搬送部50に上用紙PAを搬送させる場合、搬送時間tAを、用紙Pの情報に基づいて変更する。
制御部24は、用紙Pの1枚当たりの厚さdが厚さ閾値Th1〔mm〕以上の場合、厚さdが厚さ閾値Th1より小さい場合に比べて搬送時間tAを短くする。
制御部24は、吐出比率RAが吐出閾値Th2〔%〕以上の場合、吐出比率RAが吐出閾値Th2より小さい場合に比べて搬送時間tAを短くする。
なお、厚さ閾値Th1及び吐出閾値Th2の図示は省略する。
【0052】
制御部24は、差分比率ΔRが差分閾値Th3〔%〕以上の場合、差分比率ΔRが差分閾値Th3より小さい場合に比べて搬送時間tAを長くする。
制御部24は、処理トレイ42に積上げられた複数の用紙Pの枚数が枚数閾値Th4〔枚〕を超えている場合のみ、補正部60の補正パドル62を進出させる制御を行う。
なお、差分閾値Th3及び枚数閾値Th4の図示は省略する。
【0053】
次に、記録システム1及び後処理装置30の作用について説明する。なお、記録システム1及び後処理装置30の各構成の符号については、図1から図7までを参照することとし、個別の図番の記載を省略する場合がある。また、用紙Pについては、特に説明の無い限り、上用紙PAを指すものとする。
【0054】
図11に表す各処理は、CPU25がROM26又はストレージ28から処理プログラムPRを読み出して、RAM27に展開して実行することにより行われる。なお、処理プログラムPRの処理開始時点において、補正パドル62の初期位置は、一例として、補正部60が退避状態となる場合の位置にあるものとする。
ステップS10において、CPU25は、搬送機構部9を用いて用紙Pの搬送を開始させると共に、記録部20を用いて用紙Pに記録を行う。そして、ステップS12に移行する。
ステップS12において、CPU25は、これから後処理が行われる用紙Pの枚数Nとして、N=1を設定する。そして、ステップS14に移行する。
ステップS14において、CPU25は、用紙Pの情報を取得する。用紙Pの情報は、厚さd、吐出比率RA及び差分比率ΔRを含む。そして、ステップS16に移行する。
ステップS16において、CPU25は、ステップS14において取得した用紙Pの情報に基づいて、搬送時間tAを設定する。そして、ステップS18に移行する。
【0055】
ステップS18において、CPU25は、枚数Nが枚数閾値Th4を超えているか否かを判断する。枚数Nが枚数閾値Th4を超えている場合(S18:Yes)、ステップS20に移行する。枚数Nが枚数閾値Th4以下の場合(S18:No)、ステップS22に移行する。
ステップS20において、CPU25は、補正モーター68を制御することで補正パドル62を回転させ、補正部60の状態を進出状態とする。そして、ステップS24に移行する。
ステップS22において、CPU25は、補正パドル62を回転させず、補正部60の状態を退避状態のままとする。そして、ステップS24に移行する。
【0056】
ステップS24において、CPU25は、用紙センサー33を用いて用紙Pの有無を検知する。そして、ステップS26に移行する。
ステップS26において、CPU25は、用紙Pが搬送部50に到達したか否かを判断する。用紙センサー33における用紙Pの検知結果が用紙有の場合(S26:Yes)、ステップS28に移行する。用紙センサー33における用紙Pの検知結果が用紙無しの場合(S26:No)、ステップS24に移行して、ステップS24及びステップS26を実行する。
【0057】
ステップS28において、CPU25は、搬送パドル52の回転を開始させることで、用紙Pの搬送を開始する。そして、ステップS30に移行する。このとき、図8に示されるように、用紙PがY方向に対して傾いた(斜行した)状態にあるものとする。ここでは、用紙Pの+A方向の端部において、+X方向の端部が-X方向の端部より+A方向に先行する傾き状態にあるものとする。
【0058】
図8及び図11に示されるように、ステップS30において、CPU25は、搬送部50の動作を制御する。用紙Pの情報に基づいて決定された搬送時間tAが経過するまで搬送パドル52を回転させることで、処理トレイ42の用紙Pを補正パドル62に向けて搬送させる。
ここで、補正パドル62が退避状態の位置にある場合、用紙Pの傾き補正は行われず、搬送動作が継続される。
一方、補正パドル62が進出状態の位置にある場合、搬送された用紙Pの+A方向の端部が補正パドル62と接触することで、用紙Pの傾き補正が行われる。具体的には、用紙Pの+A方向の端部且つ+X方向の部位が、-X方向の部位に先行して+X方向の補正パドル62と接触する。ここで、搬送部50による用紙Pの搬送が継続されるが、補正パドル62は停止されている。このため、用紙Pの補正パドル62と接触する+X方向の部位は、+A方向に移動できずに+B方向に膨らむ。
【0059】
続いて、図9に示されるように、用紙Pの+A方向の端部且つ-X方向の部位が、-X方向の補正パドル62と接触する。このとき、搬送パドル52が用紙Pから離れることで、用紙Pの+X方向の部位の膨らみが解消され、用紙Pの斜行が全体として解消される。このようにして、用紙Pの傾き補正が行われる。そして、ステップS32に移行する。
【0060】
図10及び図11に示されるように、ステップS32において、CPU25は、搬送パドル52及び補正パドル62を回転させることで、傾き補正が行われた用紙Pを整合板44に向けて送り込む。これにより、用紙Pの+A方向の端部が整合板44と接触する。そして、ステップS34に移行する。
【0061】
図11に示されるように、ステップS34において、CPU25は、予め設定された用紙Pの処理枚数と、枚数Nとを比較して、次の用紙Pの有無を判断する。次の用紙Pが無い場合(S34:Yes)、ステップS38に移行する。次の用紙Pが有る場合(S34:No)、ステップS36に移行する。
ステップS36において、CPU25は、用紙Pの枚数N=N+1とする。そして、ステップS14に移行して、既述の通り各ステップを実行する。以降の繰り返し処理では、複数の用紙Pのうち最上位のものが上用紙PAとなる。
【0062】
ステップS38において、CPU25は、サイドカーソル41を動作させることで複数の用紙PのX方向両端部を整合させた後、ステープラー40を用いて複数の用紙Pにステープル処理を行う。そして、ステップS40に移行する。
ステップS40において、CPU25は、排出部36を動作させることで用紙束Mを排出トレイ38に排出する。そして、プログラムを終了する。
【0063】
以上、説明した通り、後処理装置30によれば、制御部24は、補正部60を処理トレイ42に向けて進出させる。そして、制御部24は、搬送部50を動作させることで、上用紙PAを補正部60に搬送させる。補正部60は、上用紙PAの+A方向の端部と接触することで、上用紙PAの+A方向に対する傾き補正を行う。
さらに、制御部24は、傾き補正の終了後、補正部60を退避させると共に搬送部50に上用紙PAを搬送させる。そして、上用紙PAの+A方向の端部が整合板44と接触することで、整合板44による用紙Pの+A方向の端部及び上用紙PAの+A方向の端部の整合が行われる。
このように、上用紙PAが整合板44に到達する前の段階において上用紙PAの傾き補正が行われることで、上用紙PAが整合板44に到達した段階では、既に上用紙PAの傾きが抑制されている。つまり、上用紙PAが傾いたまま整合板44に到達することが抑制されるので、上用紙PAが整合板44と他の用紙Pとの間に潜り込むことを抑制できる。これにより、処理トレイ42における複数の用紙Pの整合性の低下を抑制できる。
【0064】
後処理装置30によれば、制御部24が回転軸63を回転させることで、外周部64の進出状態及び退避状態が切り替わる。これにより、補正部60の状態を切り替えるための他の部材が不要となるので、補正部60がスライドする構成に比べて、補正部60の構造を簡素化できる。
後処理装置30によれば、処理トレイ42に載置された用紙Pの枚数に基づいて、回転軸63の回転量が変更されることで、羽根部65の回転停止時の姿勢、即ち処理トレイ42に対する羽根部65の進退状態が変更される。これにより、処理トレイ42における複数の用紙Pの枚数の増減があったとしても、羽根部65と上用紙PAとの接触状態を維持可能となるので、羽根部65から上用紙PAに作用する力の変化を抑制できる。
【0065】
処理トレイ42における用紙Pの枚数が増えるほど、上用紙PAと回転軸63との間の空間が狭くなる。
ここで、後処理装置30によれば、複数の用紙Pの枚数が基準枚数NAを超えている場合、上用紙PAと回転軸63との間の空間が狭くなるが、第1角度θ1が第2角度θ2より小さいことで、羽根部65の姿勢が上用紙PAの姿勢に近づく。このため、当該空間内に羽根部65を収容可能となる。つまり、複数の用紙Pの枚数が変動しても、羽根部65と上用紙PAとの接触状態を維持可能となるので、羽根部65の変形量が変動することを抑制できる。
【0066】
後処理装置30によれば、搬送部50の動作によって搬送される上用紙PAが、羽根部65に到達するとき、上用紙PAの+A方向の端部は、羽根部65と用紙Pとで形成される空間内に進入する。ここで、上用紙PAのカールなどの理由により、上用紙PAの+A方向の端部が上方に反り上がることがあっても、上用紙PAの+A方向の端部が羽根部65と接触するので、上用紙PAの反り上がりを抑制できる。
後処理装置30によれば、制御部24は、用紙Pの状態に基づいて搬送時間tAを変更するので、用紙Pの状態が変化した場合においても、上用紙PAの傾き補正を行うことができる。
【0067】
用紙Pの1枚当たりの厚さdが厚さ閾値Th1以上の場合、用紙Pは、+A方向から作用する力に対する剛性が高くなる。上用紙PAの+A方向の端部が補正部60(補正パドル62)と接触した場合、上用紙PAの剛性が高いことで、上用紙PAから補正部60に大きな力が作用し、上用紙PAが補正部60を押しのける虞がある。
ここで、後処理装置30によれば、搬送時間tAが短いことで、上用紙PAが補正部60を押しのける前に傾き補正を終了できるので、上用紙PAの傾き補正を適切に行うことができる。
【0068】
吐出比率RAが吐出閾値Th2以上の場合、吐出比率RAが吐出閾値Th2より小さい場合に比べて、用紙Pに吐出されるインクQの量が多くなる。これにより、インクQを多く含む上用紙PAは、座屈され易くなるため、上用紙PAの傾き補正が不十分となる可能性がある。
ここで、後処理装置30によれば、吐出比率RAが吐出閾値Th2以上の場合、制御部24は、吐出比率RAが吐出閾値Th2より小さい場合に比べて搬送時間tAを短くする。これにより、上用紙PAが座屈する前に傾き補正を終了できるので、上用紙PAの傾き補正を適切に行うことができる。
なお、上用紙PAが普通紙の場合、+A方向から作用する力に対する上用紙PAの剛性は、上用紙PAが厚紙の場合に比べて低い。このため、普通紙の上用紙PAが補正部60(補正パドル62)を押しのける可能性は低い。
【0069】
差分比率ΔRが差分閾値Th3以上の場合、差分比率ΔRが差分閾値Th3より小さい場合に比べて、第1領域S1と第2領域S2とで付着するインクQの量の差が大きくなることで、用紙Pにおける第1領域S1の変形量と第2領域S2の変形量との差も大きくなり、それに起因して用紙Pの補正部60に到達するタイミングが第1領域S1と第2領域S2とでずれが生じ、適切に傾き補正ができなくなる虞がある。また、或いは、用紙Pの第1領域S1において生じる摩擦力と第2領域S2において生じる摩擦力との差が大きくなることにより、用紙Pに傾きが生じる虞がある。
ここで、後処理装置30によれば、差分比率ΔRが差分閾値Th3以上の場合、制御部24は、差分比率ΔRが差分閾値Th3より小さい場合に比べて搬送時間tAを長くする。これにより、上用紙PAにおける第1領域S1の変形量と第2領域S2の変形量との差、或いは、第1領域S1において生じる摩擦力と第2領域S2において生じる摩擦力との差が大きくなることがあっても、補正部60と上用紙PAとの接触時間が確保されるので、上用紙PAの傾き補正を適切に行うことができる。
【0070】
処理トレイ42に積上げられた複数の用紙Pの枚数が枚数閾値Th4を超えている場合、複数の用紙Pが積載されている分だけ複数の用紙Pと整合板44との間に生じ得る空間部が大きくなり、上用紙PAの+A方向の端部が該空間部に進入する量が増加する可能性がある。
ここで、後処理装置30によれば、制御部24が補正部60を進出させる制御を行うことで、補正部60による上用紙PAの傾き補正が行われるので、複数の用紙Pと整合板44との間の空間部への上用紙PAの進入量が減少し、複数の用紙Pの整合性の低下を抑制できる。
一方、処理トレイ42に積上げられた複数の用紙Pの枚数が枚数閾値Th4以下の場合、複数の用紙Pと整合板44との間の空間部が小さいため、上用紙PAの+A方向の端部が該空間部に進入する量は少なくなる可能性が高い。換言すると、上用紙PAの傾き補正を行う必要性が低下する。
ここで、後処理装置30によれば、複数の用紙Pの枚数が枚数閾値Th4以下の場合、制御部24は、補正部60を進出させる制御を行わない。これにより、後処理装置30における複数の用紙Pの整合に要する時間を短くすることができる。
【0071】
本発明の実施形態に係る記録システム及び後処理装置30は、以上説明した構成を有することを基本とするものであるが、本願発明の要旨を逸脱しない範囲内での部分的構成の変更や省略などを行うことも勿論可能である。
【0072】
〔変形例〕
図12には、変形例の後処理装置70が示される。後処理装置70は、後処理装置30(図8)において、搬送部50に換えて搬送部72を備え、補正部60に換えて補正部77を備える点が異なる。他の構成は、後処理装置30と同様の構成である。
搬送部72は、一例として、1本の搬送ローラー74と、不図示のギヤ及びモーターとから成る。
搬送ローラー74は、X方向に延びる円柱状の回転軸75と、回転軸75を中心に回転される円筒状の外周部76とを備える。搬送ローラー74は、用紙PのX方向の幅に相当する長さより長い。
回転軸75のX方向の両端部は、不図示のベアリングによって回転可能に支持される。このベアリングは、ばねによって-B方向に押し上げられる。換言すると、搬送ローラー74は、+B方向に退避可能に設けられる。搬送ローラー74は、処理トレイ42に積上げられた用紙Pの枚数が変わっても、上用紙PAとの接触状態が確保される。
【0073】
補正部77は、一例として、2本の補正ピン78と、不図示の駆動機構部とを備える。
2本の補正ピン78は、それぞれB方向に沿って延びる円柱状の部材から成る。2本の補正ピン78は、X方向に間隔をあけて位置する。+X方向の補正ピン78は、上用紙PAの+A方向の端部のうち、X方向の中央より+X方向の部分の一部と接触可能である。-X方向の補正ピン78は、上用紙PAの+A方向の端部のうち、X方向の中央より-X方向の部分の一部と接触可能である。
【0074】
不図示の駆動機構部は、2本の補正ピン78をB方向に沿って、上用紙PA及び処理トレイ42に対して-B方向及び+B方向に進退させる。2本の補正ピン78の進出状態では、2本の補正ピン78の少なくとも一方と上用紙PAとが接触可能となる。
ここで、上用紙PAの+A方向の端部の一部が、2本の補正ピン78のいずれか一方に接触して膨らむ。そして、上用紙PAの他の一部が他方の補正ピン78と接触する。このとき、搬送ローラー74が+B方向に退避されることで、上用紙PAの上用紙PAの膨らみが解消されると共に、上用紙PAの傾き補正が行われる。
【0075】
図13に示されるように、傾き補正が終了した後、不図示の駆動機構部は、2本の補正ピン78を+B方向に退避させる。そして、再び搬送ローラー74が上用紙PAと接触し、搬送ローラー74の回転が再開されることによって、上用紙PAが整合板44まで送り込まれる。
このように、上用紙PAが整合板44に到達する前の段階において上用紙PAの傾き補正が行われることで、上用紙PAが整合板44に到達した段階では、既に上用紙PAの傾きが抑制されている。つまり、上用紙PAが傾いたまま整合板44に到達することが抑制されるので、上用紙PAが整合板44と他の用紙Pとの間に潜り込むことを抑制できる。これにより、処理トレイ42における複数の用紙Pの整合性の低下を抑制できる。
【0076】
〔他の変形例〕
外周部は、パドル状や円筒状のものに限らず、断面が半円形状のものであってもよい。
羽根部65の羽根の枚数は、3枚に限らず、1枚、2枚、あるいは4枚以上の枚数であってもよい。また、それぞれの羽根の配置角度は、60°とは異なる角度に設定されてもよい。
第1角度θ1と第2角度θ2と等しい角度に設定してもよい。
制御部24は、羽根部65が回転軸63から整合板44とは反対に向かう成分を有する方向に延びる状態において、回転軸63の回転を停止させてもよい。
【0077】
制御部24は、用紙Pの情報に関わらず、搬送時間tAを一定に設定してもよい。
制御部24は、処理トレイ42に積上げられた複数の用紙Pの枚数が枚数閾値Th4以下の場合において、補正部60を進出させてもよい。
処理トレイ42の載置面43に少なくとも1つのリブが形成されていてもよい。
搬送パドル52を用紙Pに対して進退させる構成は、回転によって延出部54を進退させる構成に限らず、搬送パドル52全体を上下方向に移動する機構部を用いた構成であってもよい。
補正パドル62を用紙Pに対して進退させる構成は、回転によって外周部64を進退させる構成に限らず、補正パドル62全体を上下方向に移動する機構部を用いた構成であってもよい。また、補正パドル62に換えて円柱状の補正ローラーを用いると共に、補正ローラー全体を上下方向に移動する機構部を用いた構成であってもよい。
【0078】
インクQの吐出比率は、用紙Pに打ち込める(吐出可能な)インクQの最大ドット数に対して、実際に打ち込んだインクQのドット数の割合としてもよい。
【符号の説明】
【0079】
1…記録システム、2…記録ユニット、4…中間ユニット、9…搬送機構部、
10…画像形成部、12…スキャナー部、14…カセット収容部、18…収容カセット、
20…記録部、20…記録ヘッド、24…制御部、25…CPU、26…ROM、
27…RAM、28…ストレージ、30…後処理装置、32…筐体、
33…用紙センサー、35…下プレート、36…排出部、37…搬送ローラー対、
38…排出トレイ、39…排出ローラー、40…ステープラー、
41…サイドカーソル、42…処理トレイ、43…載置面、44…整合板、
45…開口部、50…搬送部、52…搬送パドル、53…軸部、53A…外周面、
54…延出部、54A…板部、54B…板部、54C…板部、58…搬送モーター、
60…補正部、62…補正パドル、63…回転軸、63A…外周面、64…外周部、
65…羽根部、65A…羽根、65B…羽根、65C…羽根、68…補正モーター、
70…後処理装置、72…搬送部、74…搬送ローラー、75…回転軸、76…外周部、
77…補正部、78…補正ピン、C…回転中心、d…厚さ、K1…仮想線、
K2…仮想線、M…用紙束、N…枚数、NA…基準枚数、P…用紙、Q…インク、
PA…上用紙、PB…下用紙、RA…吐出比率、RA1…第1吐出比率、
RA2…第2吐出比率、S1…第1領域、S2…第2領域、SA…単位面積、
T…搬送経路、Th1…厚さ閾値、Th2…吐出閾値、Th3…差分閾値、
Th4…枚数閾値、tA…搬送時間、ΔR…差分比率、θ1…第1角度、θ2…第2角度
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13