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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022181906
(43)【公開日】2022-12-08
(54)【発明の名称】ガスメータ
(51)【国際特許分類】
   G01F 3/22 20060101AFI20221201BHJP
【FI】
G01F3/22 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021089126
(22)【出願日】2021-05-27
(71)【出願人】
【識別番号】000116633
【氏名又は名称】愛知時計電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100112472
【弁理士】
【氏名又は名称】松浦 弘
(74)【代理人】
【識別番号】100202223
【弁理士】
【氏名又は名称】軸見 可奈子
(72)【発明者】
【氏名】中村 真悟
(72)【発明者】
【氏名】高鍬 光臣
(72)【発明者】
【氏名】冨田 堅哉
(72)【発明者】
【氏名】熊田 彩花
【テーマコード(参考)】
2F030
【Fターム(参考)】
2F030CA03
2F030CC13
2F030CF01
(57)【要約】
【課題】整流のための構造のコンパクト化を図ることが可能なガスメータを提供する。
【解決手段】本実施形態のガスメータ10では、整流用対向壁72の対向平面72Aのうち計測管50の入口50Aと対向し、かつ、入口50Aの開口縁より一回り小さい外縁部を有する対向領域72R上から、対向領域72Rの外縁部に沿った閉ループ状の整流用突部74が突出している。これにより、第2流入部屋31内に流れ込んだ燃料ガスは、整流用突部74の周囲から整流用突部74に向かって対向平面72Aの表面に沿って流れてから、整流用突部74により計測管50の入口50A側に向きを変えることで層流状態になるように整流される。つまり、本実施形態のガスメータ10では、整流用対向壁72から計測管50の入口50Aに向かって整流用突部74が突出するというコンパクトな構造で計測管50に流れ込むガスを整流することができる。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
上流側のガス管からガスが流れ込む流入部屋と、下流側のガス管へとガスが流れ出る流出部屋と、前記流入部屋と前記流出部屋との間を連絡しかつ一端部が前記流入部屋内に突出する計測管とを備え、前記計測管を通過するガスの流量を計測するガスメータであって、
前記流入部屋に設けられ、前記計測管の軸方向である第1方向と略直交しかつ前記計測管の入口と対向すると共に前記計測管の入口の開口面より広い対向平面を有する整流用対向壁と、
前記対向平面のうち前記計測管の入口と対向し、前記入口の開口縁に沿った外縁部を有する対向領域の前記外縁部又は前記対向領域の全体から突出する整流用突部と、を備えるガスメータ。
【請求項2】
前記整流用突部は、環状又は筒状をなしている請求項1に記載のガスメータ。
【請求項3】
前記計測管の入口の開口面と前記対向平面との間隔である第1間隔は、前記計測管の入口の最小の開口幅の0.2~0.4倍であり、
前記計測管の入口の開口面と前記整流用突部の先端面との間隔である第2間隔は、第1間隔の0.5~0.7倍である請求項1又は2に記載のガスメータ。
【請求項4】
前記第1方向と直交する方向から見て、前記整流用突部の外側面と前記対向平面との角部に、前記整流用突部の突出量に対して0.5倍以下の曲率半径の面取り面が形成されている請求項1から3の何れか1の請求項に記載のガスメータ。
【請求項5】
前記第1方向から見て、前記計測管の入口は四角形をなし、前記整流用突部の輪郭は、前記計測管の入口と相似する四角形或いはその四角形に内接する円形又は楕円形をなしている請求項1から4の何れか1の請求項に記載のガスメータ。
【請求項6】
前記整流用対向壁は、前記流入部屋の全体を、前記整流用対向壁より下流側と上流側とに区画すると共に外縁部に複数の通気孔を有するメッシュ構造部を有し、前記メッシュ構造部より内側に前記計測管の入口との対向領域を備える請求項1から5の何れか1の請求項に記載のガスメータ。
【請求項7】
前記メッシュ構造部は、前記整流用突部を三方又は四方から包囲している請求項6に記載のガスメータ。
【請求項8】
前記流入部屋を前記第1方向で第1流入部屋と第2流入部屋とに区画する仕切壁を備え、
前記整流用対向壁は、前記第2流入部屋の全体を、前記整流用対向壁より下流側と上流側とに区画し、
前記仕切壁には、前記整流用対向壁のうち前記メッシュ構造部より内側部分に対向する絞り開口が形成されている請求項6又は7に記載のガスメータ。
【請求項9】
前記流入部屋と前記流出部屋とそれらの間の中間部屋とを含みかつ前記第1方向に並ぶ複数の部屋と、前記第1流入部屋及び前記流出部屋に前記第1方向と直交する方向から連通しかつ前記ガス管が接続される1対の接続管と、前記第2流入部屋、前記流出部屋及び前記中間部屋の前面を開放する前面開口と、前記前面開口を閉塞する前面蓋と、を有するメータケースと、
前記メータケースのうち前記中間部屋を挟んで対向する1対の中間仕切壁に形成され、前側に開放する1対の切欠部と、
前記第2流入部屋に前方から嵌合される筐体の内部に前記整流用対向壁を有した構造の整流器と、備え、
前記計測管は、前記メータケースとは別部品であり、前記1対の切欠部に両端寄り位置を受容されると共に一端部を前記筐体に受容されている請求項8に記載のガスメータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、計測管を通過するガスの流量を計測するガスメータに関する。
【背景技術】
【0002】
この種のガスメータには、計測管に流入するガスを整流するための構造が備えられている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2019-144000号公報(段落[0019]、[0038]、[0039]及び図3
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来のガスメータに対し、整流のための構造のコンパクト化が求められている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するためになされた請求項1の発明は、上流側のガス管からガスが流れ込む流入部屋と、下流側のガス管へとガスが流れ出る流出部屋と、前記流入部屋と前記流出部屋との間を連絡しかつ一端部が前記流入部屋内に突出する計測管とを備え、前記計測管を通過するガスの流量を計測するガスメータであって、前記流入部屋に設けられ、前記計測管の軸方向である第1方向と略直交しかつ前記計測管の入口と対向すると共に前記計測管の入口の開口面より広い対向平面を有する整流用対向壁と、前記対向平面のうち前記計測管の入口と対向し、前記入口の開口縁に沿った外縁部を有する対向領域の前記外縁部又は前記対向領域の全体から突出する整流用突部と、を備えるガスメータである。
【0006】
請求項2の発明は、前記整流用突部は、環状又は筒状をなしている請求項1に記載のガスメータである。
【0007】
請求項3の発明は、前記計測管の入口の開口面と前記対向平面との間隔である第1間隔は、前記計測管の入口の最小の開口幅の0.2~0.4倍であり、前記計測管の入口の開口面と前記整流用突部の先端面との間隔である第2間隔は、第1間隔の0.5~0.7倍である請求項1又は2に記載のガスメータである。
【0008】
請求項4の発明は、前記第1方向と直交する方向から見て、前記整流用突部の外側面と前記対向平面との角部に、前記整流用突部の突出量に対して0.5倍以下の曲率半径の面取り面が形成されている請求項1から3の何れか1の請求項に記載のガスメータである。
【0009】
請求項5の発明は、前記第1方向から見て、前記計測管の入口は四角形をなし、前記整流用突部の輪郭は、前記計測管の入口と相似する四角形或いはその四角形に内接する円形又は楕円形をなしている請求項1から4の何れか1の請求項に記載のガスメータである。
【0010】
請求項6の発明は、前記整流用対向壁は、前記流入部屋の全体を、前記整流用対向壁より下流側と上流側とに区画すると共に外縁部に複数の通気孔を有するメッシュ構造部を有し、前記メッシュ構造部より内側に前記計測管の入口との対向領域を備える請求項1から5の何れか1の請求項に記載のガスメータである。
【0011】
請求項7の発明は、前記メッシュ構造部は、前記整流用突部を三方又は四方から包囲している請求項6に記載のガスメータである。
【0012】
請求項8の発明は、前記流入部屋を前記第1方向で第1流入部屋と第2流入部屋とに区画する仕切壁を備え、前記整流用対向壁は、前記第2流入部屋の全体を、前記整流用対向壁より下流側と上流側とに区画し、前記仕切壁には、前記整流用対向壁のうち前記メッシュ構造部より内側部分に対向する絞り開口が形成されている請求項6又は7に記載のガスメータである。
【0013】
請求項9の発明は、前記流入部屋と前記流出部屋とそれらの間の中間部屋とを含みかつ前記第1方向に並ぶ複数の部屋と、前記第1流入部屋及び前記流出部屋に前記第1方向と直交する方向から連通しかつ前記ガス管が接続される1対の接続管と、前記第2流入部屋、前記流出部屋及び前記中間部屋の前面を開放する前面開口と、前記前面開口を閉塞する前面蓋と、を有するメータケースと、前記メータケースのうち前記中間部屋を挟んで対向する1対の中間仕切壁に形成され、前側に開放する1対の切欠部と、前記第2流入部屋に前方から嵌合される筐体の内部に前記整流用対向壁を有した構造の整流器と、備え、前記計測管は、前記メータケースとは別部品であり、前記1対の切欠部に両端寄り位置を受容されると共に一端部を前記筐体に受容されている請求項8に記載のガスメータである。
【発明の効果】
【0014】
本開示のガスメータでは、上流側のガス管からガスが流れ込む流入部屋内に計測管の一端部が突出している。そして、本開示のガスメータでは、計測管の入口と対向する整流用対向壁の対向平面のうち計測管の入口と対向し、その入口の開口縁に沿った外縁部を有する対向領域の外縁部又は対向領域の全体から突出する整流用突部を備えている。この構造により、流入部屋内に流れ込んだガスは、乱流状態であっても、整流用突部の周囲から整流用突部に向かって対向平面の表面に沿って流れてから、整流用突部により計測管の入口側に向きを変えることで層流状態になるように整流される。つまり、本開示のガスメータでは、整流用対向壁から計測管の入口に向かって整流用突部が突出するというコンパクトな構造で計測管に流れ込むガスを整流することができる。なお、整流用突部は環状又は筒状をなしていてもよい(請求項2の発明)。
【0015】
しかも、整流用突部は、計測管の入口の開口縁に沿った外縁部を有しているので、対向平面の表面に沿って流れてきたガスが整流用突部により計測管の入口側に導かれる際に、計測管の入口の周方向で偏りが生じることが抑制され、計測管の入口の全周方向から均一に計測管内に流れ込ませることができる。
【0016】
また、計測管の断面形状は、四角形、円形、楕円形を含むどのような形状であってもよく、計測管の軸方向の位置に応じて計測管の断面形状が徐々に変化するようになっていてもよい。また、整流用突部は計測管の入口の形状に沿った形状であればどのような形状でもよく、例えば、計測管の入口が四角形であるときには、整流用突部の輪郭は、計測管の入口と相似する四角形或いはその四角形に内接する円形又は楕円形であってもよい(請求項5の発明)。
【0017】
ここで、整流用突部の先端が計測管の開口面から離れていてもよいし、整流用突部の外縁部が計測管の入口より小さい場合には、整流用突部の先端が計測管内に突入していてもよい。また、計測管の入口の開口面と対向平面との間隔や、計測管の入口の開口面に対する整流用突部の先端の位置はガスの平均的な流速や流量に応じて適宜適当な大きさにしてもよい。一般的な住居用のガスメータにおいて、例えば、計測管の入口の開口面と対向平面との間隔である第1間隔は、計測管の入口の最小の開口幅の0.2~0.4倍であり、計測管の入口の開口面と整流用突部の先端面との間隔である第2間隔は、第1間隔の0.5~0.7倍であることが好ましい(請求項3の発明)。また、計測管の軸方向である第1方向と直交する方向から見て、整流用突部の外側面と対向平面との角部には、整流用突部の側方から見て、整流用突部の突出量に対して0.5倍以下の曲率半径の面取り面が形成されていることが好ましい(請求項4の発明)。
【0018】
さらに、整流用対向壁が、流入部屋の全体を下流側と上流側とに区画すると共に、その外縁部に複数の通気孔を有するメッシュ構造部を備える構成とすれば(請求項6の発明)、流入部屋内に流れ込んだガスは、整流用突部により整流される前に、複数の通気孔で整流され、計測管に流れ込むガスを一層層流状態に整流することができる。ここで、メッシュ構造部は、整流用突部を三方又は四方から包囲する構成とすることが好ましい(請求項7の発明)。
【0019】
さらに、請求項8のように、流入部屋を第1方向で第1流入部屋と第2流入部屋とに区画する仕切壁を備え、整流用対向壁は、第2流入部屋の全体を下流側と上流側とに区画し、仕切壁には、整流用対向壁のうちメッシュ構造部より内側部分に対向する絞り開口が形成される構成とすれば、第2流入部屋に流れ込むガスの大部分が整流用対向壁のうちメッシュ構造部より内側部分で一旦受け止められてから第1方向と異なる方向に曲げられ、その後で複数の通気孔を通過することとなりさらにガスを整流することができる。
【0020】
また、請求項9のように、流入部屋と流出部屋とそれらの間の中間部屋とを含みかつ第1方向に並ぶ複数の部屋と、第1流入部屋及び流出部屋に第1方向と直交する方向から連通しかつガス管が接続される1対の接続管と、第2流入部屋、流出部屋及び中間部屋の前面を開放する前面開口と、前面開口を閉塞する前面蓋と、を有するメータケースを備えて、整流用対向壁をメータケースとは別部品として、第2流入部屋に前面開口から嵌合される筐体の内部に備えられる整流器の一部とすれば、組み付け及びメンテナンスを容易に行うことができると共に、ガスメータ内部の構造の設計の自由度の向上を図ることもできる。
【0021】
さらに、メータケースと別部品の計測管をメータケースに組み付ける場合には、整流器を計測管より先に前述のように前面開口からメータケースに組み付けた後で、計測管を、メータケースのうち中間部屋を挟んで対向する1対の中間仕切壁に形成されて前側に開放する1対の切欠部に受容させる構成とし、整流器の筐体が計測管の一端部を受容するようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】本発明の一実施形態に係るガスメータの斜視図
図2】ガスメータの分解斜視図
図3】ガスメータの正断面図
図4】ガスメータの前面カバー、前面蓋を取り外した状態の斜視図
図5】整流器の斜視図
図6】メータケースに整流器だけが組み付けられた状態の斜視図
図7】ガスメータの拡大正断面図
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、図1図7を参照して、本実施形態のガスメータ10について説明する。本実施形態のガスメータ10は、超音波を利用して燃料ガスの流量を計測する、所謂、ガスメータであって、ガス管99の途中に接続されるメータケース11に、遮断弁20(図2参照),計測管50(図3参照)、整流器70(図3参照)等を収容して備える。
【0024】
メータケース11は、例えばアルミのダイキャスト品であって、横方向に延びた略直方体状のダクト部12を有する。以下、ダクト部12が延びる第1の水平方向を「第1方向H1」といい、それと直交する第2の水平方向を「前後方向H2」という。また、前後方向H2のうち後述する前面フランジ16を有する側を「前側」等といい、その反対側を「後側」等ということとする。
【0025】
図2に示すように、ダクト部12のうち前方から見て左側(以下、単に「左側」といい、その反対側を単に「右側」という)にフード部13が備えられ、フード部13の左端開口が板状の蓋体15によって閉塞されている。フード部13とダクト部12との間は、弁装着壁14によって区画されている。また、ダクト部12内は、図3に示すように、弁装着壁14側から第1方向H1に順番に並ぶ第1~第3の仕切壁25,26,27により、同じく順番に並ぶ、第1流入部屋30、第2流入部屋31、中間部屋32及び流出部屋33に区画されている。なお、第1の仕切壁25が、特許請求の範囲の「仕切壁」に相当し、第2及び第3の仕切壁26,27が、特許請求の範囲の「1対の中間仕切壁」に相当する。
【0026】
ダクト部12の上面の左右の両端部には、1対の接続管23,24が突設されて第1流入部屋30と流出部屋33とに連通している。そして、第1流入部屋30に連通する一方の接続管23に燃料ガスの供給元側のガス管99(図2参照)が接続される一方、流出部屋33に連通する他方の接続管24に燃料ガスの使用者側のガス管99が接続される。
【0027】
図3に示すように、弁装着壁14には円形の貫通孔14Aが形成され、第1仕切壁25には、その貫通孔14Aと第1方向H1で対向する位置に、貫通孔14Aより小さい円形の絞り開口25Aが形成されている。また、図2に示すように、遮断弁20の固定フランジ20Fがフード部13側の弁装着壁14の開口縁に宛われて螺子止めされ、遮断弁20の弁体21が第1流入部屋30に収容されている。また、フード部13内は、遮断弁20のモータ22及び固定用フランジ20Fが収容される弁収容部屋13Kになっている。そして、遮断弁20の通電状態で、弁体21が絞り開口25Aから離間し(図3の状態)、非通電状態になると、弁体21が絞り開口25Aを閉塞する。
【0028】
メータケース11の前面には、図4に示すように、前面フランジ16が備えられている。前面フランジ16は、外縁部が横長の長方形をなし、ダクト部12から上下に張り出し、第1方向H1の左端部がフード部13と一体になっている。また、前面フランジ16の前面には、外縁部を除く全体を段付き状に陥没させて陥没部16Aが形成され、その陥没部16A内に、弁収容部屋13K、第2流入部屋31、中間部屋32及び流出部屋33の前面を開放する前面開口17が形成されている。
【0029】
第2流入部屋31には、前面開口17から後述する整流器70が収容されている。また、第2及び第3の仕切壁26,27には、前面開口17側が開口した矩形状の1対の切欠部29が備えられている(図6参照)。この1対の切欠部29に、角筒状をなした計測管50の両端寄り位置が嵌合されて(図4参照)、計測管50が第1方向H1に延びて流入部屋31と流出部屋33との間を連絡している(図3参照)。このとき、計測管50の入口50Aは第1の仕切壁25の絞り開口25Aと第1方向H1で対向する。また、計測管50には、図示しない1対の超音波素子が内蔵され、一方の超音波素子から送波された超音波が燃料ガスを伝播して他方の超音波素子に受波される伝搬時間に基づいて、回路基板98(図1参照)上の制御回路がガスの使用量を演算する。
【0030】
図2に示すように、前面開口17は、前面開口17より一回り大きな長方形の板状をなす前面蓋18によりその外周部をメータケース11に螺子止めされて閉塞される。このとき、前面蓋18の内面には、図示しないパッキンが敷設され、弁収容部屋13Kと第2流入部屋31との間、第2流入部屋31と中間部屋32との間、中間部屋32と流出部屋33との間が気密状態に区画される。
【0031】
なお、前面蓋18のうち中間部屋32に対向する部分には、ケーブル挿通孔18Aが形成され、計測管50の超音波素子の図示しないケーブルがケーブル挿通孔18Aを通して前面蓋18の前側に引き出されている。また、前面蓋18のうち弁収容部屋13Kに対向する部分には、ケーブル挿通孔18Bが備えられ、そのケーブル挿通孔18Bを通して遮断弁20の図示しないケーブルが前面蓋18の前側に引き出されている。また、陥没部16Aには、前面蓋18の前側に回路基板98が重ねて取り付けられ、回路基板98を覆うように前面カバー81が取り付けられる(図1参照)。そして、回路基板98に超音波素子、遮断弁20等が接続されている。そして、前述の如く回路基板98上の制御回路により、超音波素子を利用して燃料ガスの流量が計測されると共に、異常が検出されたとき、遮断弁20にて絞り開口25Aを閉塞する。
【0032】
さて、整流器70は、樹脂の成形品であって、図5に示すように、第1方向H1の両側が開放する矩形枠状をなす筐体71の内側に整流用対向壁72を備えた構造をなしている。このとき、整流器70の前面は、図4に示すように、第2及び第3の仕切壁26,27の前面と面一になっている。
【0033】
筐体71の後壁71Aは、第2流入部屋31内の後面全体に略重なる四角形をなし、筐体71の上壁71Bは、第2流入部屋31内の上面に略重なる四角形をなし、筐体71の下壁71Cは、第2流入部屋31内の下面に略重なる四角形をなしている。一方、筐体71の前壁71Dは、前面開口17を閉塞する前面蓋18の後面に略重なる四角形のうち第2仕切壁26側の外縁部における上下方向の中間部分に、一定幅で切除されてなる管受容部73が形成された形状をなしている。なお、上壁71Bには、両側縁部の略全体を下方に曲げてなる補強突壁71Hが形成されている(図5には、第2仕切壁26側の補強突壁71Hのみが示されている)。
【0034】
整流用対向壁72は、筐体71に一体成形されて、筐体71と略同一の壁厚の四角形の板状をなし、第2流入部屋31の全体を、上流側と下流側とに区画する(図3参照)。具体的には、整流用対向壁72は、筐体71の前壁71Dの管受容部73よりも左側に配置され、整流用対向壁72の外縁部の四辺全体が筐体71と一体になっていて、計測管50の入口50Aに隙間を空けて突き合わされる。ここで、整流用対向壁72の側面のうち計測管50の入口50Aに臨む対向平面72Aと、計測管50の入口50Aとの間隔を第1間隔とすると、本実施形態では、第1間隔は、計測管50の入口50Aの最小の開口幅の0.2~0.4倍となっている。
【0035】
対向平面72Aからは、計測管50の入口50Aに向かって整流用突部74が突出している。具体的には、整流用突部74は、対向平面72Aのうち、計測管50の入口50Aと対向しかつ、入口50Aの開口縁より一回り小さい外縁部を有する対向領域72R上に配置されている。そして、整流用突部74は対向領域72Rの外縁部から突出した閉ループ状をなし、第1方向H1から見た形状は、計測管50の入口と相似する四角形をなしている(図5参照)。つまり、整流用突部74は、計測管50の入口50Aの内方に向かって突出している。ここで、整流用突部74の先端面と計測管50の入口50Aとの間隔を第2間隔とすると、本実施形態では、第2間隔は、第1間隔の0.5~0.7倍となっている。また、第2方向H2から見て、整流用突部74の外側面と対向平面72Aとの角部は面取り面が形成されていて(図7参照)、例えば、整流用突部74の突出量に対して0.5倍以下の曲率半径となっている。
【0036】
また、整流用対向壁72は、複数の通気孔75Kが貫通形成されたメッシュ構造部75を有している。メッシュ構造部75は、対向平面72Aのうち整流用突部74を上方を除く三方から包囲するように配置されていて、計測管50の入口50Aに対向しない位置に配置されている。各通気孔75Kは、例えば、1対の対辺を上下方向に延びた状態に備える正六角形をなし、前後方向H2に列をなし、そのような列が上下方向に複数備えられている。また、上下方向で隣り合う通気孔75Kの列同士の間隔と前後方向H2で隣り合う通気孔75K同士の間隔とは略同じとなっている。さらに、上下方向で並ぶ複数の通気孔75Kは、千鳥配置になっている。
【0037】
整流器70は、計測管50より先にメータケース11に組み付けられて、図6に示すように、第2流入部屋31に嵌合される。その後、計測管50は、その両端寄り位置をメータケース11の第2及び第3の仕切壁26,27の1対の切欠部29に受容されてメータケース11に組み付けられる(図4参照)。このとき、計測管50の入口50A側の端部は、整流器70の筐体71に形成された管受容部73に受容される。
【0038】
本実施形態のガスメータ10の構成に関する説明は以上である。次に、このガスメータ10の作用効果について説明する。本実施形態のガスメータ10では、図7に示すように、ガス供給元のガス管99から燃料ガスが一方の接続管23内を下方に向かってメータケース11内に流れ込む。メータケース11内では、第1方向H1に並ぶ第2流入部屋31、計測管50、流出部屋33の順に燃料ガスが流れ、他方の接続管24内を上方に向かい、燃料ガスの使用者側のガス管99へと流れ出ていく。そして、計測管50に取り付けられる1対の超音波素子を利用して流量が計測される。本実施形態では、第2流入部屋31内に、計測管50のうち入口50A側の端部と整流用対向壁72とが備えられていて、整流用対向壁72の対向平面72Aのうち計測管50の入口50Aと対向し、かつ、入口50Aの開口縁より一回り小さい外縁部を有する対向領域72R上から、対向領域72Rの外縁部に沿った閉ループ状の整流用突部74が突出している。これにより、第2流入部屋31内に流れ込んだ燃料ガスは、整流用突部74の周囲から整流用突部74に向かって対向平面72Aの表面に沿って流れてから、整流用突部74により計測管50の入口50A側に向きを変えることで層流状態になるように整流される。つまり、本実施形態のガスメータ10では、整流用対向壁72から計測管50の入口50Aに向かって整流用突部74が突出するというコンパクトな構造で計測管50に流れ込むガスを整流することができる。
【0039】
しかも、整流用対向壁72は、メータケース11の前面開口17から第2流入部屋31に嵌合される整流器70の一部として設けられているので、組み付け及びメンテナンスを容易に行うことができると共に、ガスメータ内部の構造の設計の自由度の向上を図ることもできる。
【0040】
また、整流用突部74は、第1方向H1から見た形状が計測管50の入口50Aと相似する四角形をなしている。つまり、開口縁よりも内側で対向する閉ループ状をなしているので、対向平面72Aの表面に沿って流れてきた燃料ガスが整流用突部74により計測管50の入口50A側に導かれる際に、計測管50の入口50Aの周方向で燃料ガスの流入に偏りが生じることが抑制され、計測管50の入口50Aの全周方向から計測管50内に均一に流れ込ませることができる。
【0041】
さらに、整流用対向壁72は、複数の通気孔75Kを備えたメッシュ構造部75が設けられているので、第2流入部屋31内に流れ込んだ燃料ガスは、整流用突部74により整流される前に、複数の通気孔75Kで整流されるため、計測管50に流れ込む燃料ガスを一層層流状態に整流することができる。
【0042】
また、メッシュ構造部75は、対向平面72Aのうち第2流入部屋31の絞り開口25Aと第1方向H1で対向しない位置に配置されているので、第2流入部屋31に流れ込む燃料ガスの大部分が整流用対向壁72のうちメッシュ構造部75が設けられていない部分で一旦受け止められてから上下方向に曲げられた後で、次に複数の通気孔75を通過することとなりさらに燃料ガスを整流することができる。
【0043】
また、整流器70の筐体71には、前壁71Dに管受容部73が形成されているので、整流器70を先にメータケース11に組み付けて第2流入部屋31に嵌合した後で、計測管50をメータケース11の第2及び第3の仕切壁26,27の1対の切欠部29に受容させてメータケース11に組み付けた場合に、計測管50の入口50A側の端部が管受容部73に受容されて整流器70と干渉しないようにすることができる。
【0044】
[他の実施形態]
(1)前記実施形態のガスメータ10では、整流用突部74の形状が、第1方向H1から見て計測管50の入口50Aと相似する四角形をなしていたが、整流用突部74は計測管50の入口50Aの形状に沿った形状であればどのような形状でもよく、例えば、計測管50の入口50Aと相似する四角形に内接する円形又は楕円形であってもよい。
【0045】
(2)前記実施形態のガスメータ10では、計測管50の断面形状は、四角形であったが、円形、楕円形を含むどのような形状であってもよく、計測管50の軸方向の位置に応じて計測管50の断面形状が徐々に変化するようになっていてもよい。
【0046】
(3)前記実施形態のガスメータ10では、メッシュ構造部75は、対向平面72Aのうち整流用突部74を上方を除く三方から包囲するように配置されていたが、整流用突部74を四方から包囲するように配置されていてもよい。
【0047】
(4)前記実施形態のガスメータ10の整流用突部74は対向領域72Rの外縁部から突出した閉ループ形状であったが、対向領域72Rの全体から突出していてもよい。
【0048】
(5)前記実施形態のガスメータ10では、整流用突部74の先端が計測管50の入口50Aから離れていたが、整流用突部74の先端が計測管50内に突入していてもよい。
【0049】
(6)前記実施形態のガスメータ10は、前面に前面開口17及び前面蓋18を備えていたが、後面又は下面に前面開口17及び前面蓋18を備えた構成としてもよい。
【0050】
(7)前記実施形態のガスメータ10は、ダクト部12が水平方向に延び、1対の接続管23,24が上方に突出していたが、1対の接続管23,24が下方に突出したものや、接続管23,24の一方と他方とがダクト部12の上方と下方とに突出したもの、さらには、ダクト部12が上下方向に延び、1対の接続管23,24が水平方向に突出したものに本発明を適用してもよい。
【0051】
(8)前記実施形態のガスメータ10は、超音波素子を利用して燃料ガスの流量を計測する構成になっていたが、流量の計測原理はどのようなものであってもよい。
【0052】
なお、本明細書及び図面には、特許請求の範囲に含まれる技術の具体例が開示されているが、特許請求の範囲に記載の技術は、これら具体例に限定されるものではなく、具体例を様々に変形、変更したものも含み、また、具体例から一部を単独で取り出したものも含む。
【符号の説明】
【0053】
10 ガスメータ
11 メータケース
17 前面開口
18 前面蓋
23,24 1対の接続管
25 第1の仕切壁(仕切壁)
25A 絞り開口
26,27 第2及び第3の仕切壁(1対の中間仕切壁)
29 1対の切欠部
30 第1流入部屋
31 第2流入部屋
32 中間部屋
33 流出部屋
50 計測管
50A 計測管の入口
70 整流器
71 筐体
72 整流用対向壁
72A 対向平面
72R 対向領域
74 整流用突部
75 メッシュ構造部
75K 複数の通気孔
99 ガス管
H1 第1方向
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7