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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022181957
(43)【公開日】2022-12-08
(54)【発明の名称】表示装置
(51)【国際特許分類】
   G02F 1/13 20060101AFI20221201BHJP
   G02F 1/17 20190101ALI20221201BHJP
   G03B 21/60 20140101ALI20221201BHJP
   G03B 21/14 20060101ALI20221201BHJP
   G03B 21/10 20060101ALI20221201BHJP
【FI】
G02F1/13 505
G02F1/17
G03B21/60
G03B21/14 Z
G03B21/10 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021089213
(22)【出願日】2021-05-27
(71)【出願人】
【識別番号】000003997
【氏名又は名称】日産自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100102141
【弁理士】
【氏名又は名称】的場 基憲
(74)【代理人】
【識別番号】100137316
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 宏
(72)【発明者】
【氏名】鍋谷 俊太
(72)【発明者】
【氏名】太田 最実
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 文紀
(72)【発明者】
【氏名】島田 真紀
(72)【発明者】
【氏名】吉田 雅夫
【テーマコード(参考)】
2H021
2H088
2K101
2K203
【Fターム(参考)】
2H021BA09
2H088EA02
2H088GA02
2H088GA15
2H088GA18
2H088HA29
2H088MA10
2K101AA36
2K101AA54
2K101AA65
2K101EE02
2K101EE04
2K101EE22
2K101EE53
2K101EJ16
2K203FA62
2K203FA82
2K203FB03
2K203GC22
2K203GC27
2K203GC30
2K203HB26
2K203MA40
(57)【要約】
【課題】透明状態からスクリーン状態に変化するまでの時間を短縮できる表示装置を提供する。
【解決手段】本発明の表示装置は、紫外光によって光散乱性が増加し、可視光によって光散乱性が低下する表示機能層を有する画像表示体と、上記画像表示体に上記紫外光を投光する紫外光投光部と、制御装置と、を備える。
そして、上記画像表示体が、上記表示機能層を2つの透明基板で挟持して成り、上記2つの透明基板が、それぞれ上記表示機能層側に電極を有し、上記表示機能層が、液晶分子と、アゾベンゼンと、電解質とを含み、上記制御装置が、上記画像表示体に上記紫外光を投光する前に、上記表示機能層に交番電界を印加し、液晶分子を揺らすこととしたため、紫外光照射に対する応答性が向上し、透明状態からスクリーン状態に変化するまでの時間を短縮できる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
紫外光によって光散乱性が増加し、可視光によって光散乱性が低下する表示機能層を有する画像表示体と、
上記画像表示体に上記紫外光を投光する紫外光投光部と、
制御装置と、を備える表示装置であって、
上記画像表示体が、上記表示機能層を2つの透明基板で挟持して成り、
上記2つの透明基板が、それぞれ上記表示機能層側に電極を有し、
上記表示機能層が、液晶分子と、アゾベンゼン分子と、電解質とを含み、
上記制御装置が、上記画像表示体に上記紫外光を投光する前に、上記表示機能層に交番電界を印加することを特徴とする表示装置。
【請求項2】
上記表示機能層の電解質含有量が、0.2質量%以下であることを特徴とする請求項1に記載の表示装置。
【請求項3】
上記表示機能層に印加する交番電界が、下記式(1)で表されるEc(V/m)よりも大きいことと特徴とする請求項1又は2に記載の表示装置。
【数1】
但し、式(1)中、εは液晶誘電率(F/m)、K11は液晶スプレー弾性定数(N)、K33は液晶ベンド弾性定数(N)、λxは対流波長(m)、dは表示機能層の厚さ(m)を表す。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示装置に係り、更に詳細には、透明状態とスクリーン状態とに切り替わる画像表示体を有する表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
光学状態が光を透過する状態と光を散乱する状態との間で変化する画像表示体と、該画像表示体に可視光を投影して映像を表示するプロジェクタを有する表示装置が知られている。
【0003】
特許文献1には、画像表示体に紫外光を照射して該画像表示体の光散乱性を増加させて透明状態から白濁したスクリーン状態に変化させる表示装置が開示されている。
【0004】
この画像表示体は、液晶とアゾベンゼンとを含み、紫外光によって上記アゾベンゼン分子をトランス体からシス体に変化させ、シス体のアゾベンゼンの屈曲した分子構造によって液晶分子の配列を乱し、光散乱性を増加させる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2018-185511号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載の画像表示体にあっては、紫外光の照射開始からスクリーン状態に変化するまでに一定の時間を要するので、透明状態からスクリーン状態への応答速度を向上させることが望まれる。
【0007】
本発明は、このような従来技術の有する課題に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、透明状態からスクリーン状態に変化するまでの時間を短縮できる表示装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者は、上記目的を達成すべく鋭意検討を重ねた結果、画像表示体に紫外光を投光する前に液晶分子を揺らすことにより、上記目的が達成できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0009】
即ち、本発明の表示装置は、紫外光によって光散乱性が増加し、可視光によって光散乱性が低下する表示機能層を有する画像表示体と、上記画像表示体に上記紫外光を投光する紫外光投光部と、制御装置と、を備える。
そして、上記画像表示体が、上記表示機能層を2つの透明基板で挟持して成り、上記2つの透明基板が、それぞれ上記表示機能層側に電極を有し、上記表示機能層が、液晶分子と、アゾベンゼンと、電解質とを含み、上記制御装置が、上記画像表示体に上記紫外光を投光する前に、上記表示機能層に交番電界を印加することを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、透明状態からスクリーン状態に変化させる紫外光を投光する前に、上記表示機能層に交番電界を印加し、液晶分子を揺らすこととしたため、透明状態からスクリーン状態への変化時間を短縮した表示装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の画像表示体の断面図である。
図2】本発明の画像表示装置の応答速度を測定した状態を説明する図である。
図3】画像表示体に交番電界を印加せずに紫外光を照射したときの、紫外光照射開始からの経過時間と表示機能層の可視光透過率の関係を示すグラフである。
図4】画像表示体に紫外光を照射する前に交番電界を印加したときの、紫外光照射開始からの経過時間と表示機能層の可視光透過率の関係を示すグラフである。
図5】スクリーン化応答時間と印加電界との関係を示すグラフである。
図6】電解質含有量と透明状態の画像表示体のヘイズ値との関係を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の表示装置について詳細に説明する。
上記表示装置は、画像表示体と、紫外光投光部と、制御装置と、を備える。
【0013】
<画像表示体>
画像表示体は、図1に示すように、紫外光によって光散乱性が増加し、可視光によって光散乱性が低下する表示機能層を2つの透明基板で挟持して成り、上記2つの透明基板はそれぞれ透明電極を上記表示機能層側に有する。
【0014】
上記表示機能層は、2つの垂直配向膜で、液晶分子とアゾベンゼン分子と電解質とを両側から挟んだ構造をしている。
【0015】
表示機能層が透明状態から光を散乱し白濁したスクリーン状態になるメカニズムについて説明する。
【0016】
上記液晶分子は、硬直なメソゲン骨格と柔軟な長鎖アルキル基とが組み合わさり、光学的異方性、誘電異方性を有するネマティック液晶である。
【0017】
また、上記アゾベンゼン分子は、紫外光を受光するとトランス体からシス体に構造が変化する性質を有する。アゾベンゼン分子のトランス体は平面構造をしているのに対し、シス体は屈曲した立体的な構造をしている。
なお、図1では、トランス体のアゾベンゼン分子を直線、シス体のアゾベンゼン分子をL字型で示している。
【0018】
透明状態では、図1の左側に示すように、アゾベンゼンの分子構造が平面のトランス体であり、液晶分子は方向性の秩序をもって配向性を有するネマティック相を形成している。この配向したネマティック相の液晶分子は、垂直配向膜によって該垂直配向膜に対して立った方向を向いて配列しているので、表示機能層を光が透過する。
【0019】
表示機能層に紫外光を照射するとアゾベンゼンがシス体に異性化する。アゾベンゼンが平面構造から屈曲した構造に変化することで、図1の右側に示すように、液晶分子の配列が乱れるので、光が散乱して表示機能層が白濁する。
【0020】
上記アゾベンゼンの光異性化の反応速度は非常に速く、ピコ秒(10-12秒)単位の時間スケールで起こる。
【0021】
しかし、液晶分子には、液晶分子同士が方向性の秩序を持ち、一定方向を向いて並ぶように配向させる会合力や、上記配向した液晶分子を垂直配向膜の方向に向けて配列させる力が作用している。
【0022】
これらの液晶分子を配列させる作用は、シス体に異性化したアゾベンゼンによる液晶分子の配列を乱す作用を減殺するので、紫外光照射に対する透明状態からスクリーン状態に変化するまでの応答速度が遅くなる。
【0023】
本発明においては、紫外光照射前に表示機能層に交番電界を印加し、液晶分子を揺らしているので、液晶分子を表示機能層の厚み方向に向かせる液晶分子と垂直配向膜との相互作用や、液晶分子同士を方向性の秩序をもって並ばせる会合力が弱まる。
【0024】
したがって、紫外光を照射し、アゾベンゼンをシス体に異性化させると、直ちに液晶分子の配列が乱れるので、結果としてスクリーン状態にするために必要とされるシス体に異性化するアゾベンゼンの量が少なくなり、透明状態からスクリーン状態への変化時間を短縮することができる。
【0025】
そして、上記アゾベンゼン分子のシス体は、可視光下に放置又は可視光に暴露することでトランス体に戻る。すると、液晶分子も元の配列状態に戻り、表示機能層を光が透過するので表示機能層が透明になる。
【0026】
上記液晶分子としては、表示装置に用いられている従来公知の液晶分子を使用することができる。液晶分子は、分子構造が同じである単一種の液晶分子のみから成るものであってもよいが、分子構造が異なる複数種の液晶分子を含む混合物であることが好ましい。
【0027】
分子構造が異なる複数種の液晶分子を含む混合物であると、液晶分子間での電界の変化に対する感受性や、電界の向きに追従する速度が異なり、電界の変化に対する応答性に差が生じる。
【0028】
したがって、すべての液晶分子が同時に電界の向きの変化に呼応して同じ方向を向くのではなく、各液晶分子の向く方向にバラツキが生じて液晶分子間の会合力が弱まるため、紫外光照射に対する応答性がさらに向上する。
【0029】
上記液晶分子としては、誘電率異方性を有するP型ネマティック液晶としては、例えば、E44、MLC2172(いずれもMerck社製)を使用できる。
【0030】
上記アゾベンゼン分子としては、表示装置に用いられている従来公知のアゾベンゼン分子を使用できるが、下記構造式(1)で示すアゾベンゼン分子は液晶をねじる力が強いので、表示機能層が白濁しスクリーン状態になるまでの時間を短縮できる。
【0031】
【化1】
但し、構造式(1)中、Rは炭素数5~10の直鎖アルキル基を表す。
【0032】
電解質は表示機能層に導電性を付与する。電解質を含有する表示機能層は、交番電界を印加することで、電荷分布が生じて上記液晶分子を揺らすことができる。
【0033】
上記電解質としては、上記液晶分子と分離せず混合する従来公知の電解質を使用できる。
例えば、TEMPO(2、2、6、6-Tetramethylpiperidine-1-Oxyl Free radical)、BMIN-BF([1-butyl-3-methylimideazolium]BF)、CTAB(Cetrimonium bromide)、TBAB(Tetrabutyl ammoniumu bromide)、CTAI(Cetrimonium Iodide)、CTAI(Cetrimonium triiodide)などを挙げることができる。
【0034】
表示機能層の電解質の含有量は、0.2質量%以下であることが好ましい。
電解質と液晶分子とは、屈折率が同じでではないので、電解質と電解質との界面で光が散乱し易い。電解質含有量を0.2質量%以下にすることで、表示機能層の透明性を向上させることができる。
【0035】
電解質の含有量の下限値は、表示機能層に電荷分布が生じさせることができれば特に制限はないが、実質的には0.05質量%程度である。
【0036】
上記透明基板としては、ガラスや樹脂等を使用できる。
【0037】
<紫外光投光部>
紫外光投光部は、上記画像表示体の光散乱性を変化させる紫外光を発光する光源である。この紫外光は、上記アゾベンゼンの吸収帯にピーク波長を有すればよいが、アゾベンゼンの最大吸収ピークの±5nmの範囲内にピークを有する紫外光であることが好ましい。
【0038】
上記光源としては、LEDや半導体レーザーなどの単波長の光を出射する光源の他、連続光を出射する高圧水銀ランプなども使用できる。
【0039】
<制御装置>
制御装置は、表示機能層に印加する交番電界や、表示機能層に照射する紫外光の制御を行う。具体的には、表示機能層に交番電界を印加し、表示機能層に紫外光の照射を開始するのと同時、又は紫外光の照射を開始した後に交番電界の印加を止める。
【0040】
表示機能層に印加する交番電界は、下記式(1)で表されるEc(V/m)より大きいことが好ましい。
【0041】
【数1】
但し、式(1)中、εは液晶誘電率(F/m)、K11は液晶スプレー弾性定数(N)、K33は液晶ベンド弾性定数(N)、λxは対流波長(m)、dは表示機能層の厚さ(m)を表す。
【0042】
交番電界がEcより大きいことで、液晶分子を揺らす力が、液晶を配列させる力を上回り、透明状態から白濁するまでの時間を短縮できる。
【0043】
また、表示機能層に印加する上記交番電界の周波数は、表示機能層の液晶分子にもよるが40~70Hzであることが好ましい。また、表示機能層に紫外光を照射する前に交番電界を印加する時間は10ms程度であることが好ましい。
【0044】
表示機能層に照射する紫外光は、表示機能層全体に照射しても、表示機能層の一部に照射してもよい。一部に照射し透明部と白濁部とを形成することで表示機能層に画像を表示することができる。
【0045】
上記表示装置は、必要に応じて、白濁した画像表示体を透明にする第1可視光を投光する第1可視光投光部や、白濁した画像表示体に着色画像を表示する第2可視光を投光する第2可視光投光部を有することができる。これら第1可視光投光部と第2可視光投光部とは一体型の可視光投光部であってもよく、上記制御装置はこれらの制御をも行う。
【実施例0046】
以下、本発明を実施例により詳細に説明するが、本発明は下記実施例に限定されるものではない。
【0047】
透明ガラスの一方の面に透明電極(酸化インジウムスズ:ITO膜)を全面に成膜した透明基板を得て、上記透明電極上に垂直配向膜(ポリイミド)を全面に成膜した。
【0048】
複数種の液晶分子を含むネマティック液晶(Merck社製:E44)83.65質量%、下記構造式(2)で表されるアゾベンゼン分子5.1質量%、下記構造式(3)で表される光非応答性キラル2.9質量%、電解質(Cetrimonium bromide ;CTAB)0.1質量%、下記構造式(4)で表される重合性モノマー7.5質量%、重合開始剤(IGM Resins B.V.社製:IRGAUCERE819)0.75質量%、を含む混合液を作製した。
【0049】
【化2】
【0050】
【化3】
【0051】
【化4】
【0052】
2枚の透明基板を垂直配向膜が内側になるように配置し、加熱しながら2枚の透明基板の間に上記混合液を注入した。一方の透明基板の側から波長が420~450nmの光を照射して上記モノマーを重合させ、表示機能層の厚さ方向に間仕切りを有する画像表示体を得た。
【0053】
この画像表示体の仕様を以下に示す。
液晶誘電率(εa) :1.5849E-10( F/m)
液晶スプレー弾性定数(K11 :6.37E-12(N)
液晶ベンド弾性定数(K33 :8.6E-12(N)
対流波長(λx) :0.000002(m)
表示機能層厚さ(d) :0.00001(m)
【0054】
この画像表示体に図2に示すように紫外光を照射して、紫外光照射開始から白濁してスクリーン状態になるまでの応答時間を測定した。
【0055】
(応答速度測定方法)
紫外光投光部より波長365nm、20mW/cmの紫外光を画像表示体に照射するとともに画像表示体に交番電圧を印加し、紫外光照射中の画像表示体の可視光透過率変化を測定した。
【0056】
可視光透過率の変化は、可視光投光部(Laser diode)から波長650nmの光を画像表示体に投光し、画像表示体を透過した光をフォトダイオードで受光してオシロスコープを用いて測定した。
可視光投光部と画像表示体との距離は約8cm、画像表示体とフォトダイオードとの距離は約20cmとした。
【0057】
(電圧印加方法)
波形発生器から任意の周波数・波形を有する制御電圧を出力し、電圧増幅器で昇圧した後、画像表示体に印加した。
【0058】
交番電界を印加せずに紫外光を照射したときの、紫外光照射開始からの経過時間と、表示機能層の可視光透過率の関係を図3に示す。
【0059】
図3のグラフに示すように、紫外光照射開始後の約2秒間は可視光透過率がほとんど低下していないことから、アゾベンゼンがシス体に変化しても、液晶分子はしばらくの間配向し配列した状態を維持し、アゾベンゼンが異性化してもすぐにはその配列を乱していないことが分かる。
【0060】
図4に、表示機能層に電界周波数50Hzの矩形波の交番電界を3.5×10(V/m)で印加した場合の紫外線照射開始からの経過時間と、表示機能層の可視光透過率の関係を示す。
【0061】
図4のグラフから、液晶分子を揺らすことで紫外光照射とほぼ同時に可視光透過率が低下し始めており、液晶分子はアゾベンゼンの異性化に直ちに応答して、その配向を解いて配列を乱していることが分かる。
【0062】
この画像表示体に印加する交番電界を変化させて画像表示体が白濁しスクリーン状態になるまでの時間を測定した。図5に、スクリーン化応答時間と印加電界との関係を示す。 なお、画像表示体のヘイズ値が50%以上、かつ可視光透過率が透明のときの1/eになったときをスクリーン状態とした。
【0063】
この画像表示体は、印加する交番電界Ecを2.75(V/m)より大きくすることで、液晶分子を揺らす力が液晶を配列させる力を上回り、透明状態からスクリーン状態になるまでの時間を短縮できることが分かる。
【0064】
また、電解質の含有量を変えた画像表示体を作製して、透明状態の画像表示体のヘイズ値を測定した。図6に電解質の含有量と画像表示体のヘイズ値との関係を示す。
【0065】
図6から、電解質含有量が0.2質量%以下であると、ヘイズ値が20%以下であり透明であることが分かる。
【符号の説明】
【0066】
1 画像表示体
2 表示機能層
21 液晶分子
22 アゾベンゼン分子
23 電解質
24 垂直配向膜
3 透明基板
31 透明電極
4 紫外光投光部
5 可視光投光部
6 制御装置
61 波形発生器
62 電圧増幅器
7 フォトダイオード
8 オシロスコープ
図1
図2
図3
図4
図5
図6