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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022181958
(43)【公開日】2022-12-08
(54)【発明の名称】給油口
(51)【国際特許分類】
   B60K 15/04 20060101AFI20221201BHJP
   F02M 37/00 20060101ALI20221201BHJP
【FI】
B60K15/04 E
B60K15/04 F
F02M37/00 301M
F02M37/00 301Q
【審査請求】未請求
【請求項の数】16
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021089215
(22)【出願日】2021-05-27
(71)【出願人】
【識別番号】000219602
【氏名又は名称】住友理工株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000648
【氏名又は名称】弁理士法人あいち国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】坂崎 一茂
(72)【発明者】
【氏名】下條 誠
(72)【発明者】
【氏名】朴 恩眞
(72)【発明者】
【氏名】小林 敬幸
【テーマコード(参考)】
3D038
【Fターム(参考)】
3D038CA15
3D038CA25
3D038CB01
3D038CC14
3D038CD14
(57)【要約】
【課題】給油口本体に対するノズルガイドの回転規制のための構造を簡易にすることができる給油口を提供する。
【解決手段】給油口本体11およびノズルガイド12の一方は、本体筒部21の内周面とガイド筒部31の外周面との間であって還流口21cを周方向に挟むように形成され、還流口21cから流入された燃料蒸気をフィラー配管接続口21bの方向へ誘導する誘導リブ23,24を備える。給油口本体11およびノズルガイド12の他方は、本体筒部21の内周面とガイド筒部31の外周面との間に形成され、給油口本体11とノズルガイド12との相対回転規制のために誘導リブ23,24に対して周方向の両方向に係止する係止部35を備える。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
給油ガンのノズルを挿入可能に形成され、フィラー配管が接続される給油口本体と、
前記給油口本体の内部に配置され、前記ノズルをガイドするための筒状のノズルガイドと、
を備える給油口であって、
前記給油口本体は、
筒状に形成され、一端に位置し前記ノズルを挿入可能なノズル挿入口、他端に位置し前記フィラー配管に接続されるフィラー配管接続口、および、周面に形成されブリーザ配管を介して還流された燃料蒸気を流入する還流口を備える本体筒部を備え、
前記ノズルガイドは、
筒状に形成され、前記本体筒部の内部において外周面が前記還流口に対向するように配置されるガイド筒部と、
前記ガイド筒部の外周面から径方向外側に突出し、前記ガイド筒部の周方向に延在するように形成され、前記本体筒部の内周面における前記還流口よりも前記ノズル挿入口側の位置に当接する逆流抑止部と、
を備え、
前記給油口本体および前記ノズルガイドの一方は、
前記本体筒部の内周面と前記ガイド筒部の外周面との間であって前記還流口を周方向に挟むように形成され、前記還流口から流入された前記燃料蒸気を前記フィラー配管接続口の方向へ誘導する誘導リブを備え、
前記給油口本体および前記ノズルガイドの他方は、
前記本体筒部の内周面と前記ガイド筒部の外周面との間に形成され、前記給油口本体と前記ノズルガイドとの相対回転規制のために前記誘導リブに対して周方向の両方向に係止する係止部を備える、給油口。
【請求項2】
前記誘導リブと前記係止部との係止位置は、前記本体筒部の前記フィラー配管接続口の内周面よりも径方向内側に位置し、前記ノズルガイドの前記ガイド筒部において前記ノズル挿入口とは反対側の端部の外周面よりも径方向外側に位置し、前記フィラー配管接続口側から視認可能な位置に設けられる、請求項1に記載の給油口。
【請求項3】
前記給油口本体は、前記誘導リブを備え、
前記誘導リブは、前記本体筒部の内周面から径方向内側に突出し、
前記ノズルガイドは、前記係止部を備え、
前記係止部は、前記ガイド筒部の外周面から径方向外側に突出し、前記ガイド筒部の軸方向に延在する係止リブである、請求項1または2に記載の給油口。
【請求項4】
前記係止リブは、前記誘導リブの突出高さよりも低く形成されている、請求項3に記載の給油口。
【請求項5】
前記係止リブは、前記誘導リブの突出方向の先端のみに係止する、請求項4に記載の給油口。
【請求項6】
前記係止リブは、前記誘導リブの突出方向の先端から前記誘導リブの突出方向の中間部までの範囲に係止する、請求項4に記載の給油口。
【請求項7】
前記係止リブは、
一対の前記誘導リブのそれぞれに対して、一対の前記誘導リブの対向面側に配置される一対の内側係止リブを備える、請求項3~6のいずれか1項に記載の給油口。
【請求項8】
前記係止リブは、
一対の前記誘導リブのそれぞれに対して、一対の前記誘導リブが対向する面の背面側に配置される一対の外側係止リブを備える、請求項3~7のいずれか1項に記載の給油口。
【請求項9】
前記係止リブは、
前記誘導リブに対して、一対の前記誘導リブの対向面側に配置される内側係止リブと、
前記誘導リブに対して、一対の前記誘導リブが対向する面の背面側に配置される外側係止リブと、
を備える、請求項3~6のいずれか1項に記載の給油口。
【請求項10】
前記誘導リブは、前記本体筒部の軸方向に平行に延在するように形成され、
前記内側係止リブは、前記ノズル挿入口とは反対側の端部に、前記ガイド筒部の軸方向に対して傾斜しており、前記ノズル挿入口とは反対側に行くに従って前記誘導リブの対向面から遠ざかる方向に傾斜したテーパ部を備える、請求項7または9に記載の給油口。
【請求項11】
前記誘導リブは、前記本体筒部の軸方向に平行に延在するように形成され、
前記外側係止リブは、前記ノズル挿入口とは反対側の端部に、前記ガイド筒部の軸方向に対して傾斜しており、前記ノズル挿入口とは反対側に行くに従って前記誘導リブの背面から遠ざかる方向に傾斜したテーパ部を備える、請求項8または9に記載の給油口。
【請求項12】
前記給油口本体は、前記誘導リブを備え、
前記誘導リブは、前記本体筒部の内周面から径方向内側に突出し、
前記ノズルガイドは、前記係止部を備え、
前記係止部は、前記ガイド筒部の外周面に形成され、前記ガイド筒部の軸方向に延在し、前記誘導リブの突出方向の先端が挿入される係止凹溝である、請求項1または2に記載の給油口。
【請求項13】
前記係止部は、一対の前記誘導リブのそれぞれの突出方向の先端が挿入される一対の前記係止凹溝である、請求項12に記載の給油口。
【請求項14】
前記誘導リブは、前記本体筒部の軸方向に平行に延在するように形成され、
前記係止凹溝は、
前記誘導リブに対して、一対の前記誘導リブの対向面側に位置する内側溝側面と、
前記誘導リブに対して、一対の前記誘導リブが対向する面の背面側に位置する外側溝側面と、
を備え、
前記内側溝側面は、前記ノズル挿入口とは反対側の端部に、前記ガイド筒部の軸方向に対して傾斜しており、前記ノズル挿入口とは反対側に行くに従って前記誘導リブの対向面から遠ざかる方向に傾斜したテーパ部を備える、請求項12または13に記載の給油口。
【請求項15】
前記誘導リブは、前記本体筒部の軸方向に平行に延在するように形成され、
前記係止凹溝は、
前記誘導リブに対して、一対の前記誘導リブの対向面側に位置する内側溝側面と、
前記誘導リブに対して、一対の前記誘導リブが対向する面の背面側に位置する外側溝側面と、
を備え、
前記外側溝側面は、前記ノズル挿入口とは反対側の端部に、前記ガイド筒部の軸方向に対して傾斜しており、前記ノズル挿入口とは反対側に行くに従って前記誘導リブの対向面から遠ざかる方向に傾斜したテーパ部を備える、請求項12または13に記載の給油口。
【請求項16】
前記ノズルガイドは、さらに、
前記ガイド筒部における前記ノズル挿入口とは反対側の端から径方向内側に突出し、挿入された前記ノズルの先端に当接可能なノズルストッパを備える、請求項1~15のいずれか1項に記載の給油口。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、給油口に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1~3には、給油ガンのノズルから供給された燃料をフィラー配管側に流通させる給油口本体と、給油口本体の内部に配置され給油ガンのノズルをガイドする筒状のノズルガイドとを備える給油口(フィラーネックとも称する)が記載されている。
【0003】
特許文献1,2に記載の給油口において、給油口本体に、ブリーザ配管を介して還流された燃料蒸気を流入する還流口が形成されている。そして、ノズルガイドには、還流口を周方向に挟むように形成され、還流口から流入された燃料蒸気を給油口本体のフィラー配管接続口の方向へ誘導する誘導リブが形成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第6307053号公報
【特許文献2】特許第6500726号公報
【特許文献3】特許第6325351号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
給油口に給油ガンのノズルが挿入された状態において、給油ガンのノズルの位置および姿勢を所定位置および所定姿勢とする必要がある。そのため、給油口本体とノズルガイドとの位置決めは非常に重要である。また、誘導リブにより、給油口本体の還流口から給油口本体のフィラー配管接続口側へ、燃料蒸気を誘導する構成において、給油口本体とノズルガイドとの回転方向の位置決めは非常に重要である。仮に、誘導リブが回転方向にずれていると、給油口本体の還流口から流入した燃料蒸気を、適切に、給油口本体のフィラー配管接続口側へ誘導することができない。
【0006】
位置決め手段が複雑な構造となると、対象部品の設計や成形金型の設計に要する工数が増大し、ひいては成形コストが高騰する。従って、位置決め手段としては、簡易な構成とすることが望まれる。また、ノズルガイドが位置決めされた状態において、作業者が、位置決めされたことを容易に確認することができることも重要である。さらに、給油口本体にノズルガイドを挿入する際において、給油口本体に対してノズルガイドの回転方向の位置決めを容易にできることが望まれる。
【0007】
本発明は、かかる背景に鑑みてなされたものであり、給油口本体に対するノズルガイドの回転規制のための構造を簡易にすることができる給油口を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一態様は、
給油ガンのノズルを挿入可能に形成され、フィラー配管が接続される給油口本体と、
前記給油口本体の内部に配置され、前記ノズルをガイドするための筒状のノズルガイドと、
を備える給油口であって、
前記給油口本体は、
筒状に形成され、一端に位置し前記ノズルを挿入可能なノズル挿入口、他端に位置し前記フィラー配管に接続されるフィラー配管接続口、および、周面に形成されブリーザ配管を介して還流された燃料蒸気を流入する還流口を備える本体筒部を備え、
前記ノズルガイドは、
筒状に形成され、前記本体筒部の内部において外周面が前記還流口に対向するように配置されるガイド筒部と、
前記ガイド筒部の外周面から径方向外側に突出し、前記ガイド筒部の周方向に延在するように形成され、前記本体筒部の内周面における前記還流口よりも前記ノズル挿入口側の位置に当接する逆流抑止部と、
を備え、
前記給油口本体および前記ノズルガイドの一方は、
前記本体筒部の内周面と前記ガイド筒部の外周面との間であって前記還流口を周方向に挟むように形成され、前記還流口から流入された前記燃料蒸気を前記フィラー配管接続口の方向へ誘導する誘導リブを備え、
前記給油口本体および前記ノズルガイドの他方は、
前記本体筒部の内周面と前記ガイド筒部の外周面との間に形成され、前記給油口本体と前記ノズルガイドとの相対回転規制のために前記誘導リブに対して周方向の両方向に係止する係止部を備える、給油口にある。
【発明の効果】
【0009】
上記給油口において、ノズルガイドが逆流抑止部を備えると共に、給油口本体およびノズルガイドの一方が一対の誘導リブを備える。つまり、逆流抑止部によって、給油口本体の本体筒部の還流口から流入された燃料蒸気がノズル挿入口側へ流通することが規制される。また、給油口本体の本体筒部の内周面、ノズルガイドのガイド筒部の外周面、および、一対の誘導リブにより、給油口本体の本体筒部の還流口から本体筒部のフィラー配管接続口側への誘導路が形成される。従って、給油口本体の本体筒部の還流口から流入した燃料蒸気は、当該誘導路によって、給油口本体のフィラー配管接続口側へ誘導される。そして、誘導された燃料蒸気は、給油ガンのノズルから供給された燃料の流通によって、給油口本体からフィラー配管へ排出される。
【0010】
また、給油口本体およびノズルガイドの一方が、一対の誘導リブを備えており、給油口本体およびノズルガイドの他方が、係止部を備えている。係止部は、本体筒部の内周面とガイド筒部の外周面との間に形成され、給油口本体とノズルガイドとの相対回転規制のために誘導リブに対して周方向の両方向に係止する。従って、誘導リブと係止部との係止により、給油口本体に対するノズルガイドの回転規制がなされ、ノズルガイドを適切な角度に位置決めすることができる。
【0011】
そして、給油口本体に対するノズルガイドの回転規制には、誘導リブが利用されている。つまり、誘導リブは、燃料蒸気の誘導機能に加えて、ノズルガイドの回転規制機能を有する。また、誘導リブの構造自体は、簡易な構造を有している。従って、回転規制のために別途専用構造を設ける場合に比べて、簡易な構造とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】燃料ラインの一部を示す図である。
図2】第一実施形態の給油口の側面図である。
図3】給油口をノズル挿入口とは反対側から見た図であって、図2のIII方向(図2の右側)から見た図である。
図4】給油口の軸方向断面図であって、図3のIV-IV断面図である。
図5】給油口の軸方向断面図であって、図3のV-V断面図である。
図6】給油口の径方向断面図であって、図4のVI-VI断面図である。
図7】給油口の径方向断面図であって、図4のVII-VII断面図である。
図8】給油口の径方向断面図であって、図4のVIII-VIII断面図である。
図9】第一実施形態の給油口を構成する給油口本体の軸方向断面図である。
図10】給油口本体の軸方向断面図であって、図9のX-X断面図である。
図11】給油口本体の径方向断面図であって、図9のXI-XI断面図である。
図12】給油口本体の径方向断面図であって、図9のXII-XII断面図である。
図13】給油口本体の径方向断面図であって、図9のXIII-XIII断面図である。
図14】第一実施形態の給油口を構成するノズルガイドの側面図である。
図15図14のノズルガイドをXV方向(図14の上方)から見た図である。
図16図14のノズルガイドをXVI方向(図14の下方)から見た図である。
図17】ノズルガイドをノズル挿入口とは反対側から見た図であって、図14のXVII方向(図14の右側)から見た図である。
図18】ノズルガイドの軸方向断面図であって、図17のXVIII-XVIII断面図である。
図19】ノズルガイドの径方向断面図であって、図14のXIX-XIX断面図である。
図20】ノズルガイドの径方向断面図であって、図14のXX-XX断面図である。
図21】第二実施形態の給油口をノズル挿入口とは反対側から見た図である。
図22】給油口の軸方向断面図であって、図21のXXII-XXII断面図である。
図23】給油口の軸方向断面図であって、図21のXXIII-XXIII断面図である。
図24】給油口の径方向断面図であって、図22のXXIV-XXIV断面図である。
図25】給油口の径方向断面図であって、図22のXXV-XXV断面図である。
図26】給油口の径方向断面図であって、図22のXXVI-XXVI断面図である。
図27】第二実施形態の給油口を構成するノズルガイドの側面図である。
図28図27のノズルガイドをXXVIII方向(図27の上方)から見た図である。
図29図27のノズルガイドをXXIX方向(図27の下方)から見た図である。
図30】ノズルガイドをノズル挿入口とは反対側から見た図であって、図27のXXX方向(図27の右側)から見た図である。
図31】ノズルガイドの軸方向断面図であって、図30のXXXI-XXXI断面図である。
図32】ノズルガイドの径方向断面図であって、図27のXXXII-XXXII断面図である。
図33】ノズルガイドの径方向断面図であって、図27のXXXIII-XXXIII断面図である。
図34】第三実施形態の給油口を構成するノズルガイドを上方から見た図である。
図35】第四実施形態の給油口を構成するノズルガイドを上方から見た図である。
図36】ノズルガイドをノズル挿入口とは反対側から見た図であって、図35のXXXVI方向(図35の右側)から見た図である。
図37】第五実施形態の給油口を構成するノズルガイドを上方から見た図である。
図38】ノズルガイドをノズル挿入口とは反対側から見た図であって、図37のXXXVIII方向(図37の右側)から見た図である。
図39】第六実施形態の給油口をノズル挿入口とは反対側から見た図であって、第一実施形態の図3に対応する図である。
図40】第六実施形態の給油口の径方向断面図であって、第一実施形態の図8に対応する図である。
図41】第六実施形態の給油口を構成するノズルガイドの側面図である。
図42】ノズルガイドをノズル挿入口とは反対側から見た図であって、図41のXXXXII方向(図41の右側)から見た図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
(1.燃料ライン1の構成)
燃料ライン1の構成について図1を参照して説明する。燃料ライン1とは、自動車において、給油口3から内燃機関(図示せず)までのラインである。ただし、以下においては、燃料ライン1の一部である給油口3と燃料タンク4との間について説明する。
【0014】
燃料ライン1は、給油口3、燃料タンク4、フィラー配管5、および、ブリーザ配管6を備える。給油口3は、給油ガン2のノズル2aを挿入可能となるように、自動車の外表面付近に設けられる。給油口3には、図示しない給油キャップが装着されるタイプと、給油キャップが装着されないキャップレスタイプとが存在する。燃料タンク4は、ガソリン等の液体燃料を貯留する。燃料タンク4に貯留された液体燃料は、図示しない内燃機関へ供給され、内燃機関を駆動するために用いられる。
【0015】
フィラー配管5(フィラーチューブ、フィラーホースとも称する)は、長尺状の樹脂製ホース(樹脂製チューブとも称する)により形成されている。ただし、フィラー配管5は、必要に応じて、ホース同士を接続するジョイントを備えることもできる。
【0016】
フィラー配管5は、給油口3と燃料タンク4とを接続する。給油口3に給油ガン2のノズル2aが挿入されて、ノズル2aから液体燃料が供給されることにより、液体燃料がフィラー配管5を通過して燃料タンク4に貯留される。ここで、燃料タンク4に液体燃料が満タンになると、フィラー配管5に液体燃料が貯留され、給油ガン2のノズル2aの先端に液体燃料が触れることにより、ノズル2aによる液体燃料の供給が自動的に停止される(オートストップ機能)。
【0017】
ブリーザ配管6(ブリーザチューブ、ブリーザホースとも称する)は、長尺状の樹脂製ホース(樹脂製チューブとも称する)により形成されている。ただし、ブリーザ配管6は、必要に応じて、ホース同士を接続するジョイントやバルブなどを備えることもできる。
【0018】
ブリーザ配管6は、燃料タンク4と給油口3とを接続する。ブリーザ配管6は、液体燃料がフィラー配管5を介して燃料タンク4に供給される際に、燃料タンク4内の燃料蒸気を給油口3に還流するための配管である。また、燃料給油中において、燃料タンク4が満タンになりオートストップ機能が作動すると、燃料タンク4から液体燃料が、ブリーザ配管6を介して給油口3に還流することもある。このように、ブリーザ配管6は、少なくとも給油中の燃料蒸気を還流し、さらにオートストップ時の液体の還流燃料を流通する。
【0019】
(2.第一実施形態の給油口3)
(2-1.給油口3の構成の概要)
第一実施形態の給油口3の構成の概要について、図2図5を参照して説明する。給油口3は、樹脂製の給油口本体11、樹脂製のノズルガイド12、入口金具13、シール部材14を備える。
【0020】
給油口本体11は、図2に示すように、給油口3の外形を構成する部材である。給油口本体11は、樹脂により成形されており、本形態においては1つの部材からなる。ただし、給油口本体11は、複数の部材を連結することにより構成されるようにしても良い。
【0021】
給油口本体11は、給油ガン2のノズル2a(図1に示す)を挿入可能に形成され、フィラー配管5(図1に示す)およびブリーザ配管6(図1に示す)が接続される。そこで、給油口本体11は、図4および図5に示すように、ノズル2aが挿入可能なノズル挿入口21a、フィラー配管5が接続されるフィラー配管接続口21b、ブリーザ配管6が接続されるブリーザ配管接続口22aを備える。
【0022】
ノズルガイド12は、図4および図5に示すように、樹脂により成形されており、筒状に形成されている。ノズルガイド12は、給油口本体11のノズル挿入口21aから挿入されて、給油口本体11の内部に配置される。ノズルガイド12は、給油ガン2のノズル2aをガイドするための部材である。詳細には、ノズルガイド12は、給油ガン2のノズル2aが挿入される際にノズル2aが所定位置に位置決めされるようにガイドする機能と共に、完全に挿入されたノズル2aを所定位置に所定姿勢の状態で位置決めする機能を有する。
【0023】
なお、本形態においては、ノズルガイド12の先端が、給油口本体11のフィラー配管接続口21bよりも外に突出している。ただし、ノズルガイド12の全てが、給油口本体11の内部に配置されるようにしても良い。この場合、ノズルガイド12の先端は、給油口本体11のフィラー配管接続口21bよりも内側に位置する状態となる。
【0024】
入口金具13は、図4および図5に示すように、金属により成形されており、筒状に形成されている。本形態においては、入口金具13は、折り返し筒状に形成されている。すなわち、入口金具13は、軸方向断面において、U字状に形成されている。つまり、入口金具13は、内側筒部13aと外側筒部13bとを備える。
【0025】
入口金具13は、給油口本体11のノズル挿入口21a側に装着されている。本形態においては、入口金具13のU字状の対向空間に、給油口本体11のノズル挿入口21aの部分が挿入される。そして、入口金具13の外側筒部13bが、給油口本体11に例えばカシメなどにより係止される。一方、入口金具13の内側筒部13aは、ノズルガイド12に当接しており、ノズルガイド12の位置決めを行う。さらに、入口金具13の内側筒部13aには、雌螺子が形成されており、図示しない給油キャップが螺合される。
【0026】
シール部材14は、給油口本体11のノズル挿入口21a側の外周面と入口金具13の外側筒部13bの内周面に挟まれた状態で配置されている。シール部材14は、例えば、Oリングなどが適用され、給油口本体11の内部領域と外部領域との間をシールする。
【0027】
(2-2.給油口本体11の詳細構成)
給油口本体11の詳細構成について、図9図13を参照して説明する。給油口本体11は、本体筒部21、ブリーザ筒部22、一対の誘導リブ23,24を備える。
【0028】
本体筒部21は、筒状に形成されており、直線状の中心軸線を有する。本体筒部21は、一端(図9の左端)に位置し、ノズル2aを挿入可能なノズル挿入口21aを備える。本体筒部21は、他端(図9の右端)に位置し、フィラー配管5に接続されるフィラー配管接続口21bを備える。つまり、ノズル挿入口21aとは反対側の端に、フィラー配管接続口21bが位置する。フィラー配管5は、本体筒部21のうちフィラー配管接続口21b側の外周面に嵌装される。そこで、本体筒部21のうちフィラー配管接続口21b側の外周面は、軸方向に凹凸状に形成され、フィラー配管5に係止される。
【0029】
本体筒部21は、周面に形成され、ブリーザ配管6を介して還流された燃料蒸気を流入する還流口21cを備える。還流口21cは、本体筒部21の軸方向の中間に位置しており、例えば円形に形成されている。
【0030】
本体筒部21のノズル挿入口21a側の外周面には、環状溝21dが形成されている。環状溝21dには、シール部材14(図4および図5に示す)が配置される。本体筒部21の内周面は、ノズル挿入口21aからフィラー配管接続口21bへ向かって、段形状に縮径している。従って、本体筒部21の内周面には、ノズル挿入口21a側に法線を有する段差面21e,21fが形成されている。段差面21e,21fは、還流口21cよりもノズル挿入口21a側に位置する。
【0031】
本体筒部21のうちフィラー配管接続口21b側の内周面21gは、円筒内周面形状を有しており、本体筒部21の中で最も小径に形成されている。本形態においては、当該内周面21gは、還流口21cが形成されている部位の内径よりも小径に形成されている。従って、作業者が本体筒部21のフィラー配管接続口21b側から本体筒部21の内部を見た場合において、作業者は、還流口21cの部位を視認することはできない。また、作業者が本体筒部21のフィラー配管接続口21b側から本体筒部21の内部を見た場合において、段差面21e,21fを視認することもできない。
【0032】
一方、本体筒部21のうちノズル挿入口21a側の内周面は、還流口21cが形成されている部位の内径よりも大径に形成されている。従って、作業者が本体筒部21のノズル挿入口21a側から本体筒部21の内部を見た場合において、還流口21cの部位を視認することができる。さらに、作業者は、ノズル挿入口21a側から、段差面21e,21fを視認することができる。
【0033】
ブリーザ筒部22は、筒状に形成され、一端が本体筒部21の還流口21cの周縁に接続される。本形態においては、ブリーザ筒部22は、直線状の中心軸線を有する筒状に形成されている。ただし、ブリーザ筒部22は、例えば、L字筒状に形成しても良い。また、本形態においては、ブリーザ筒部22の軸方向は、本体筒部21の軸方向に対して傾斜した方向となるように、本体筒部21に接続されている。
【0034】
ブリーザ筒部22は、還流口21cとは反対側に、ブリーザ配管6に接続されるブリーザ配管接続口22aを備える。ブリーザ配管6は、ブリーザ筒部22のうちブリーザ配管接続口22a側の外周面に嵌装される。そこで、ブリーザ筒部22のうちブリーザ配管接続口22a側の外周面は、軸方向に凹凸状に形成され、ブリーザ配管6に係止される。
【0035】
一対の誘導リブ23,24は、本体筒部21の内周面から径方向内側に突出する。一対の誘導リブ23,24は、板状に形成されており、本体筒部21の軸方向に平行に延在するように形成されている。一対の誘導リブ23,24は、還流口21cを周方向に挟むように形成され、還流口21cから流入された燃料蒸気をフィラー配管接続口21bの方向へ誘導する。本形態においては、一対の誘導リブ23,24は、同一形状に形成されており、一対の誘導リブ23,24の対向面が平行となるように配置されている。
【0036】
一対の誘導リブ23,24は、本体筒部21のうち、還流口21cの位置から、フィラー配管接続口21b側へ延在するように配置されている。一対の誘導リブ23,24におけるノズル挿入口21a側の端は、本体筒部21の段差面21fに一致する。
【0037】
一対の誘導リブ23,24におけるフィラー配管接続口21b側の端は、フィラー配管接続口21bよりも軸方向内側に位置する。つまり、一対の誘導リブ23,24の当該端は、還流口21cとフィラー配管接続口21bとの間に位置する。ただし、一対の誘導リブ23,24の端は、フィラー配管接続口21bと同一位置に位置するようにしても良いし、フィラー配管接続口21bよりも軸方向外側に位置しても良い。
【0038】
一対の誘導リブ23,24において、還流口21c付近の径方向内側の先端面23a,24aは、軸方向に対して傾斜しており、ノズル挿入口21a側が最も径方向外側に位置する。一方、一対の誘導リブ23,24において、フィラー配管接続口21b側の径方向内側の先端面23b,24bは、軸方向に平行に形成されている。
【0039】
(2-3.ノズルガイド12の詳細構成)
ノズルガイド12の詳細構成について、図14図20を参照して説明する。ノズルガイド12は、ガイド筒部31と、ノズルストッパ32、位置決め突起33と、逆流抑止部34と、係止部35とを備える。なお、以下の説明において、図14の左側は、ノズル挿入口21a側に相当し、図14の右側は、ノズル挿入口21aとは反対側に相当する。
【0040】
ガイド筒部31は、直線状の中心軸線を有する筒状に形成されている。ガイド筒部31は、一端に入口開口31aを有し、他端に出口開口31bを有する。入口開口31aが、給油口本体11のノズル挿入口21a側に位置し、出口開口31bが、ノズル挿入口21aとは反対側に位置する。
【0041】
ガイド筒部31は、第一筒部41、第二筒部42および第三筒部43を備える。第一筒部41は、筒状に形成されており、一端にガイド筒部31の入口開口31aを有する。第一筒部41は、入口開口31aを最大径とし、僅かな角度を有するテーパ筒状に形成されている。第二筒部42は、筒状に形成されており、第一筒部41の下流端に連続して接続される。第二筒部42は、第一筒部41側を最大径とし、第一筒部41よりも大きなテーパ角度を有するテーパ筒状に形成されている。
【0042】
第三筒部43は、筒状に形成されており、第二筒部42の下流端に連続して接続される。第三筒部43は、円筒状に形成される。第三筒部43の軸方向中間部には、径方向内側と径方向外側とを連通する円形孔43aが形成されている。さらに、第三筒部43の軸方向中間部において、円形孔43aに対して周方向において反対側に、円形孔43aより大きな孔43bが形成されている。
【0043】
ノズルストッパ32は、ガイド筒部31における入口開口31aとは反対側の端、すなわち第三筒部43の下流端から径方向内側に突出する。ノズルストッパ32が、ガイド筒部31の出口開口31bを形成する。ノズルストッパ32は、給油ガン2のノズル2aの先端に当接可能であって、ノズル2aが当接することでノズル2aを位置決めする。
【0044】
位置決め突起33は、ガイド筒部31の入口開口31a側の外周面、すなわち第一筒部41の上流端の外周面から径方向外側に突出する。位置決め突起33は、周方向に延在するように形成されている。特に、位置決め突起33は、周方向全周に亘って形成されている。
【0045】
逆流抑止部34は、ガイド筒部31の中間部分の外周面、具体的には第一筒部41と第二筒部42の境界の外周面から径方向外側に突出する。逆流抑止部34は、周方向に延在するように形成されている。特に、逆流抑止部34は、周方向全周に亘って形成されている。
【0046】
係止部35は、ガイド筒部31の外周面から径方向外側に突出し、ガイド筒部31の軸方向に延在する係止リブである。本形態において、係止リブとしての係止部35は、一対の内側係止リブ51,52、および、一対の外側係止リブ53,54を備える。
【0047】
一対の内側係止リブ51,52は、第三筒部43の円形孔43aを周方向に挟むように形成されている。第三筒部43が存在しないと仮定した状態において、一対の内側係止リブ51,52は、対向している。また、一対の内側係止リブ51,52は、全長に亘って、ガイド筒部31の軸方向に平行に形成されている。つまり、一対の内側係止リブ51,52は、全長に亘って、相互に平行に配置されている。
【0048】
一対の内側係止リブ51,52は、第二筒部42の上流端から第三筒部43の軸方向中間部までの範囲に形成されている。つまり、一対の内側係止リブ51,52の上流端は、逆流抑止部34に接続されている。
【0049】
一対の内側係止リブ51,52の突出高さは、全長に亘ってほぼ同程度である。また、一対の内側係止リブ51,52の突出高さは、第二筒部42の勾配の最大高さよりも十分に小さい。つまり、一対の内側係止リブ51,52において、第二筒部42の外周面に位置する部位51a,52aの突出方向の先端面は、第二筒部42の傾斜に沿って傾斜している。一対の内側係止リブ51,52において、第三筒部43の外周面に位置する部位51b,52bの突出方向の先端面は、第三筒部43の軸方向に平行である。さらに、一対の内側係止リブ51,52の突出高さは、一対の誘導リブ23,24の突出高さよりも低く形成されている。
【0050】
一対の内側係止リブ51,52において、相互に対向する面の背面同士の離間距離は、給油口本体11の一対の誘導リブ23,24の対向面同士の離間距離と同程度である。詳細には、一対の内側係止リブ51,52における背面同士の離間距離が、一対の誘導リブ23,24の対向面同士の離間距離よりも僅かに短い。
【0051】
一対の外側係止リブ53,54は、一対の内側係止リブ51,52と同様に、第三筒部43の円形孔43aを周方向に挟むように形成されている。また、一対の外側係止リブ53,54は、一対の内側係止リブ51,52と同様に、第二筒部42の上流端から第三筒部43の軸方向中間部までの範囲に形成されている。つまり、一対の外側係止リブ53,54の上流端は、逆流抑止部34に接続されている。さらに、一対の外側係止リブ53,54は、一対の内側係止リブ51,52と同程度の長さを有する。
【0052】
一対の外側係止リブ53,54の突出高さは、全長に亘ってほぼ同程度である。本形態においては、一対の外側係止リブ53,54の突出高さは、一対の内側係止リブ51,52の突出高さと同程度である。
【0053】
従って、一対の外側係止リブ53,54において、第二筒部42の外周面に位置する部位53a,54aの突出方向の先端面は、第二筒部42の傾斜に沿って傾斜している。一対の外側係止リブ53,54において、第三筒部43の外周面に位置する部位53b,53c,54b,54cの突出方向の先端面は、第三筒部43の軸方向に平行である。さらに、一対の外側係止リブ53,54の突出高さは、一対の誘導リブ23,24の突出高さよりも低く形成されている。
【0054】
ここで、一対の外側係止リブ53,54において、第三筒部43の外周面のうち上流側に位置する部位53b,54bは、第三筒部43の軸方向(ガイド筒部31の軸方向)に平行に形成されている。一方、一対の外側係止リブ53,54において、第三筒部43の外周面のうち下流側に位置する部位53c,54cは、第三筒部43の軸方向(ガイド筒部31の軸方向)に対して傾斜している。具体的には、当該部位53c,54cは、出口開口31b側に行くに従って、一対の内側係止リブ51,52から遠ざかる方向に傾斜したテーパ部を構成する。
【0055】
一対の外側係止リブ53,54において、相互に対向する面同士の離間距離は、給油口本体11の一対の誘導リブ23,24が対向する面の背面同士の離間距離と同程度である。詳細には、一対の外側係止リブ53,54における対向面同士の離間距離が、一対の誘導リブ23,24の背面同士の離間距離よりも僅かに長い。
【0056】
内側係止リブ51と外側係止リブ53の部位53a,53bとの離間距離は、誘導リブ23の厚みとほぼ同等である。一方、内側係止リブ51と外側係止リブ53の部位53cとの離間距離は、誘導リブ23の厚みより大きい。また、内側係止リブ52と外側係止リブ54の部位54a,54bとの離間距離は、誘導リブ24の厚みとほぼ同等である。一方、内側係止リブ52と外側係止リブ54の部位54cとの離間距離は、誘導リブ24の厚みより大きい。
【0057】
(2-4.給油口本体11とノズルガイド12との組付け方法および組付け状態)
給油口本体11とノズルガイド12との組付け方法および組付け状態について、図3図8を参照して説明する。
【0058】
給油口本体11の本体筒部21のノズル挿入口21a側から、ノズルガイド12を挿入する。ノズルガイド12は、ガイド筒部31の第三筒部43側から、給油口本体11の本体筒部21に挿入する。このとき、給油口本体11の本体筒部21を軸方向から見た場合において、給油口本体11の一対の誘導リブ23,24と、ノズルガイド12の係止部35との位置を一致させる。詳細には、誘導リブ23が、内側係止リブ51と外側係止リブ53との間に位置し、誘導リブ24が、内側係止リブ52と外側係止リブ54との間に位置する状態とする。
【0059】
ここで、給油口本体11の本体筒部21において、一対の誘導リブ23,24の突出方向の先端は、フィラー配管接続口21b側の内周面21gよりも径方向内側に位置する。従って、作業者は、フィラー配管接続口21b側から、一対の誘導リブ23,24の突出方向の先端を視認することができる。
【0060】
また、ノズルガイド12において、一対の内側係止リブ51,52および一対の外側係止リブ53,54の突出方向の先端は、ガイド筒部31の第三筒部43の外周面よりも径方向外側に位置する。従って、作業者は、出口開口31b側から、一対の内側係止リブ51,52の突出方向の先端、および、一対の外側係止リブ53,54の突出方向の先端を視認することができる。
【0061】
従って、一対の誘導リブ23,24と一対の内側係止リブ51,52との係止位置は、本体筒部21のフィラー配管接続口21bの内周面よりも径方向内側に位置し、ノズルガイド12のガイド筒部31においてノズル挿入口21aとは反対側の端部の外周面よりも径方向外側に位置する。そのため、当該係止位置は、フィラー配管接続口21b側から視認可能な位置に設けられる。
【0062】
また、一対の誘導リブ23,24と一対の外側係止リブ53,54との係止位置は、同様に、本体筒部21のフィラー配管接続口21bの内周面よりも径方向内側に位置し、ノズルガイド12のガイド筒部31においてノズル挿入口21aとは反対側の端部の外周面よりも径方向外側に位置する。そのため、当該係止位置は、フィラー配管接続口21b側から視認可能な位置に設けられる。
【0063】
従って、作業者は、本体筒部21のフィラー配管接続口21b側から見た場合において、一対の誘導リブ23,24と、一対の内側係止リブ51,52および一対の外側係止リブ53,54とを視認しながら、これらの位置が一致している状態とすることができる。
【0064】
そして、作業者が上記のとおり視認しながら、ノズルガイド12を給油口本体11の本体筒部21に挿入する。そうすると、一対の誘導リブ23,24におけるノズル挿入口21a側の部分が、ノズルガイド12の内側係止リブ51,52と外側係止リブ53,54との間に進入する。本形態においては、誘導リブ23,24の突出方向(径方向内側)の先端のみが、内側係止リブ51,52と外側係止リブ53,54との間に進入する。
【0065】
一対の外側係止リブ53,54の出口開口31b側の部位53c,54cは、テーパ状に形成されている。詳細には、一対の外側係止リブ53,54の当該部位53c,54cは、本体筒部21のノズル挿入口21aとは反対側(フィラー配管接続口21b側)に行くに従って、一対の誘導リブ23,24の背面から遠ざかる方向に傾斜している。
【0066】
従って、当該テーパ状の部位53c,54cは、一対の誘導リブ23,24が一対の内側係止リブ51,52および一対の外側係止リブ53,54に対して僅かにずれていたとしても、許容することができる。つまり、一対の誘導リブ23,24が一対の内側係止リブ51,52および一対の外側係止リブ53,54の間に進入する初期において、進入が容易となる。その後、一対の誘導リブ23,24は、外側係止リブ53,54のテーパ状の部位53c、54cによって、所望の角度位置に向かってガイドされる。
【0067】
一対の内側係止リブ51,52が、一対の誘導リブ23,24のそれぞれに対して、一対の誘導リブ23,24の対向面側に配置される。つまり、内側係止リブ51が、誘導リブ23の突出方向の先端に対して周方向一方に係止する。内側係止リブ52が、誘導リブ24の突出方向の先端に対して周方向他方に係止する。
【0068】
また、一対の外側係止リブ53,54が、一対の誘導リブ23,24のそれぞれに対して、一対の誘導リブ23,24が対向する面の背面側に配置される。つまり、外側係止リブ53が、誘導リブ23の突出方向の先端に対して周方向他方に係止する。外側係止リブ54が、誘導リブ24の突出方向の先端に対して周方向一方に係止する。
【0069】
このように、一対の内側係止リブ51,52および一対の外側係止リブ53,54が、一対の誘導リブ23,24に対して、周方向の両方向に係止することで、給油口本体11とノズルガイド12との相対回転が規制される。
【0070】
作業者が上記のとおり視認しながら、ノズルガイド12を給油口本体11の本体筒部21にさらに奥深く挿入すると、一対の誘導リブ23,24における傾斜した先端面23a,24aが、ノズルガイド12の第二筒部42に接近する状態となる。この状態において、一対の誘導リブ23,24と一対の内側係止リブ51,52および一対の外側係止リブ53,54との係止により、給油口本体11に対するノズルガイド12の回転規制がなされ、ノズルガイド12を給油口本体11に対して適切な角度に位置決めすることができる。
【0071】
ノズルガイド12が給油口本体11の本体筒部21に完全に挿入された状態において、ノズルガイド12の逆流抑止部34が、本体筒部21の段差面21fに当接する。逆流抑止部34と段差面21fとの位置は、還流口21cよりもノズル挿入口21a側に位置する。つまり、逆流抑止部34が段差面21fに当接することによって、還流口21cから還流されてきた燃料蒸気が、ノズル挿入口21a側に逆流することを抑制する。
【0072】
また、ノズルガイド12の位置決め突起33は、本体筒部21の段差面21eに当接するか、もしくは、僅かに隙間を介して対向する。ここで、位置決め突起33は、上述したように、入口金具13が装着されることで、入口金具13と本体筒部21の段差面21eとの間に挟まれる。このように、位置決め突起33が入口金具13と段差面21eとに挟まれることによって、ノズルガイド12が給油口本体11に対して軸方向に位置決めされる。
【0073】
ノズルガイド12のガイド筒部31の第二筒部42および第三筒部43の外周面が、還流口21cに対向するように配置されている。さらに、ノズルガイド12のガイド筒部31の第二筒部42および第三筒部43の外周面と、本体筒部21における還流口21cよりもフィラー配管接続口21b側の内周面との間には、隙間が形成されている。
【0074】
そして、一対の誘導リブ23,24は、本体筒部21の内周面とガイド筒部31の外周面との間であって還流口21cを周方向に挟むように形成されている。さらに、一対の内側係止リブ51,52および一対の外側係止リブ53,54は、本体筒部21の内周面とガイド筒部31の外周面との間に形成されており、一対の誘導リブ23,24の突出方向の先端に対して、周方向の両方向に係止する。
【0075】
給油口本体11の本体筒部21の内周面、ノズルガイド12のガイド筒部31の外周面、および、一対の誘導リブ23,24により、給油口本体11の本体筒部21の還流口21cから本体筒部21のフィラー配管接続口21b側への誘導路が形成される。従って、給油口本体11の本体筒部21の還流口21cから流入した燃料蒸気は、当該誘導路によって、給油口本体11のフィラー配管接続口21b側へ誘導される。そして、誘導された燃料蒸気は、給油ガン2のノズル2aから供給された燃料の流通によって、給油口本体11からフィラー配管5へ排出される。
【0076】
さらに、ノズルガイド12において、一対の内側係止リブ51,52が軸方向に延在するように形成されている。従って、一対の内側係止リブ51,52も、上記誘導路を形成する部材として機能する。さらに、一対の誘導リブ23,24の突出方向の先端と一対の内側係止リブ51,52とが周方向に対向する位置関係となることで、誘導路を流通する燃料蒸気が、一対の誘導リブ23,24と一対の内側係止リブ51,52との隙間を通過しにくくすることができる。つまり、還流口21cから流入した燃料蒸気を、フィラー配管5側へ流通させることができる。
【0077】
さらに、ノズルガイド12において、一対の外側係止リブ53,54が軸方向に延在するように形成されている。従って、一対の誘導リブ23,24の突出方向の先端面とノズルガイド12のガイド筒部31の外周面との隙間を通過した燃料蒸気は、一対の誘導リブ23,24と一対の外側係止リブ53,54との隙間をさらに通過しなければ、上記誘導路から周方向に流通することができない。
【0078】
このように、一対の外側係止リブ53,54が設けられることによって、上記誘導路から周方向に流通することを、さらに抑制することができる。この結果、還流口21cから流入した燃料蒸気を、フィラー配管5へ流通させることができる。
【0079】
ところで、上述したように、給油口本体11に対するノズルガイド12の回転規制には、一対の誘導リブ23,24が利用されている。つまり、一対の誘導リブ23,24は、燃料蒸気の誘導機能に加えて、ノズルガイド12の回転規制機能を有する。また、一対の誘導リブ23,24の構造自体は、簡易な構造を有している。従って、回転規制のために別途専用構造を設ける場合に比べて、簡易な構造とすることができる。
【0080】
(3.第二実施形態の給油口3)
第二実施形態の給油口3について図21図33を参照して説明する。ここで、第二実施形態の給油口3の構成において、第一実施形態の給油口3の実質的に同一の構成には同一符号を付す。
【0081】
第二実施形態の給油口3は、第一実施形態の給油口3に対して、ノズルガイド12の係止部35が異なる。ノズルガイド12の構成について、図27図33を参照して説明する。第一実施形態においては、係止部35が係止リブであったのに対して、第二実施形態においては、係止部35が係止凹溝である。
【0082】
ノズルガイド12は、係止部35として、一対の係止凹溝61,62を備える。ここで、係止凹溝61は、第一実施形態の内側係止リブ51と外側係止リブ53との間に対応し、実質的な機能は同一である。係止凹溝62は、第一実施形態の内側係止リブ52と外側係止リブ54との間に対応し、実質的な機能は同一である。
【0083】
係止凹溝61は、内側溝側面71aと外側溝側面71bを備える。係止凹溝61における内側溝側面71aは、第一実施形態の内側係止リブ51の背面に対応する。係止凹溝61における外側溝側面71bは、第一実施形態の外側係止リブ53の対向面に対応する。係止凹溝62は、内側溝側面72aと外側溝側面72bを備える。係止凹溝62における内側溝側面72aは、第一実施形態の内側係止リブ52の背面に対応する。係止凹溝62における外側溝側面72bは、第一実施形態の外側係止リブ54の対向面に対応する。
【0084】
また、一対の係止凹溝61,62は、軸方向において、第二筒部42に位置する部位61a,62a、第三筒部43のうち上流側に位置する部位61b、62b、第三筒部43のうち下流側に位置する部位61c、62cを備える。上記部位61a,62aは、第一実施形態における部位51a,53a,52a,54aに対応する。上記部位61b,62bは、第一実施形態における部位51b,53b,52b,54bに対応する。上記部位61c,62cは、第一実施形態における部位51b,53c,52b,54cに対応する。
【0085】
給油口本体11とノズルガイド12との組付け方法および組付け状態について、図21図26に示す。上述したように、係止部35として、第一実施形態における係止リブ51~54を係止凹溝61,62に変更している。一対の係止凹溝61,62には、一対の誘導リブ23,24の突出方向の先端が挿入される。そして、図21図26に示すように、両者の機能は、同一である。従って、第二実施形態の給油口3は、第一実施形態と同様の効果を発揮する。
【0086】
(4.第三実施形態の給油口3)
第三実施形態の給油口3について図34を参照して説明する。第一実施形態の給油口3においては、ノズルガイド12が、一対の内側係止リブ51,52および一対の外側係止リブ53,54を備えることとした。そして、一対の外側係止リブ53,54が、下流側にテーパ部を有し、一対の内側係止リブ51,52は、ガイド筒部31の軸方向に平行に形成された。
【0087】
図34に示すように、本形態における給油口3におけるノズルガイド12は、一対の外側係止リブ53,54のみならず、一対の内側係止リブ51,52も、下流側にテーパ部を備える。これにより、給油口本体11にノズルガイド12を挿入する際に、より挿入しやすくなる。
【0088】
(5.第四実施形態の給油口3)
第四実施形態の給油口3について図35および図36を参照して説明する。第一実施形態の給油口3においては、ノズルガイド12が、一対の内側係止リブ51,52および一対の外側係止リブ53,54を備えることとした。
【0089】
第四実施形態の給油口3においては、ノズルガイド12が、一対の外側係止リブ53,54を備えるのに対して、一対の内側係止リブ51,52を備えない。本形態においても、第一実施形態と同様の効果を発揮する。ただし、第一実施形態の方が、挿入性、係止力、燃料蒸気が周方向に流通することを規制する力について優れている。
【0090】
(6.第五実施形態の給油口3)
第五実施形態の給油口3について図37および図38を参照して説明する。図34に示す第三実施形態の給油口3においては、ノズルガイド12は、一対の内側係止リブ51,52および一対の外側係止リブ53,54を備えることとした。
【0091】
第五実施形態の給油口3においては、ノズルガイド12が、一対の内側係止リブ51,52を備えるのに対して、一対の外側係止リブ53,54を備えない。本形態においても、第三実施形態と同様の効果を発揮する。ただし、第三実施形態の方が、挿入性、係止力、燃料蒸気が周方向に流通することを規制する力について優れている。
【0092】
(7.第六実施形態の給油口3)
第六実施形態の給油口3について図39図42を参照して説明する。第一実施形態の給油口3においては、ノズルガイド12の一対の内側係止リブ51,52および一対の外側係止リブ53,54は、一対の誘導リブ23,24の突出方向の先端のみに係止する。
【0093】
本形態のノズルガイド12は、一対の内側係止リブ51,52の突出高さを高くする。つまり、一対の内側係止リブ51,52は、一対の誘導リブ23,24の突出方向の先端から、一対の誘導リブ23,24の突出方向の中間部までの範囲に係止する。つまり、係止範囲が大きい。
【0094】
本形態によれば、一対の内側係止リブ51,52による係止力が高くなる。さらに、作業者による係止部位の視認性が良好となる。さらに、還流口21cから流入した燃料時期が、周方向に流通することをより抑制することができる。
【0095】
なお、本形態においては、一対の内側係止リブ51,52のみの高さを高くした。この他に、一対の外側係止リブ53,54のみの高さを高くしても良い。また、一対の内側係止リブ51,52および一対の外側係止リブ53,54の両者の高さを高くするようにしても良い。
【0096】
(8.その他)
上記において、係止部35としての係止リブおよび係止凹溝は、軸方向に延在するようにした。この他に、係止リブおよび係止凹溝は、軸方向に延在する構成ではなく、局所的な突起や局所的な凹所としても良い。この場合、係止部35としての係止突起および係止凹所は、誘導リブ23,24の一部のみに係止するようになる。
【0097】
また、上記において、給油口本体11の本体筒部21が誘導リブ23,24を備え、ノズルガイド12が係止部35を備えることとした。この他に、ノズルガイド12が、誘導リブ23,24を備え、給油口本体11の本体筒部21が、係止部35を備えるようにしても良い。ただし、視認性の観点においては、給油口本体11の本体筒部21が誘導リブ23,24を備える構成の方が優れている。
【符号の説明】
【0098】
2 給油ガン
2a ノズル
3 給油口
5 フィラー配管
6 ブリーザ配管
11 給油口本体
12 ノズルガイド
21 本体筒部
21a ノズル挿入口
21b フィラー配管接続口
21c 還流口
23,24 誘導リブ
31 ガイド筒部
34 逆流抑止部
35 係止部
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