(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022018196
(43)【公開日】2022-01-27
(54)【発明の名称】プリント配線板の製造方法およびプリント配線板
(51)【国際特許分類】
H05K 3/34 20060101AFI20220120BHJP
H01L 21/60 20060101ALI20220120BHJP
【FI】
H05K3/34 505A
H01L21/92 604A
H01L21/92 604S
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020121121
(22)【出願日】2020-07-15
(71)【出願人】
【識別番号】000000158
【氏名又は名称】イビデン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001542
【氏名又は名称】特許業務法人銀座マロニエ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 巧治
(72)【発明者】
【氏名】水谷 直希
【テーマコード(参考)】
5E319
【Fターム(参考)】
5E319AA03
5E319AC02
5E319AC11
5E319BB01
5E319CC33
5E319CD26
(57)【要約】
【課題】複数のめっきバンプの高さを揃える。
【解決手段】ベースめっき層24上にトップめっき層28が形成されるめっきバンプを複数有するプリント配線板10の製造方法であって、ソルダーレジスト層16上およびベースめっき層上にドライフィルムレジスト層32を形成することと、ドライフィルムレジスト層に、ベースめっき層を露出させる開口32aを形成することと、開口にめっきによりトップめっき層を形成することと、ドライフィルムレジスト層を除去することと、を含み、ドライフィルムレジスト層の開口は、複数のめっきバンプ間でめっきバンプの高さを揃えるよう、めっきバンプ毎に異なる開口径とする。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基部絶縁層を形成することと、
前記基部絶縁層上に導体層を形成することと、
前記基部絶縁層上および前記導体層上にソルダーレジスト層を形成することと、
前記ソルダーレジスト層に、前記導体層の一部を導体パッドとして露出させる開口を形成することと、
前記開口内にベースめっき層を形成することと、
前記ベースめっき層上にトップめっき層を形成することと、
前記トップめっき層をリフローすることでめっきバンプを形成することと、を含む、複数のめっきバンプを有するプリント配線板を製造する方法であって、
前記ベースめっき層上にトップめっき層を形成することは、
前記ソルダーレジスト層上および前記ベースめっき層上にドライフィルムレジスト層を形成することと、
前記ドライフィルムレジスト層に、前記ベースめっき層を露出させる開口を形成することと、
前記開口にめっきにより前記トップめっき層を形成することと、
前記ドライフィルムレジスト層を除去することと、を含み、
前記ドライフィルムレジスト層の開口は、前記複数のめっきバンプ間でめっきバンプの高さを揃えるよう、めっきバンプ毎に前記ベースめっき層の高さに応じた異なる開口径とする。
【請求項2】
請求項1に記載のプリント配線板の製造方法であって、前記ベースめっき層と前記導体パッドとの間に下地層を形成することをさらに含む。
【請求項3】
請求項2に記載のプリント配線板の製造方法であって、前記下地層が、ニッケル層、パラジウム層及び金層からなる。
【請求項4】
請求項1に記載のプリント配線板の製造方法であって、前記ベースめっき層と前記トップめっき層との間に中間層を形成することをさらに含む。
【請求項5】
請求項4に記載のプリント配線板の製造方法であって、前記中間層がニッケルを主成分とする。
【請求項6】
請求項1に記載のプリント配線板の製造方法であって、前記ベースめっき層が銅を主成分とする。
【請求項7】
請求項1に記載のプリント配線板の製造方法であって、前記トップめっき層がスズを主成分とする。
【請求項8】
複数のめっきバンプを有するプリント配線板であって、
基部絶縁層と、
前記基部絶縁層上に形成された導体層と、
前記基部絶縁層上および前記導体層上に形成され、かつ、前記導体層の一部を導体パッドとして露出させる開口を有するソルダーレジスト層と、
前記ソルダーレジスト層の開口内に形成されたベースめっき層と、前記ベースめっき層上に半球状に形成されたトップめっき層と、を含むめっきバンプと、
を有し、
前記複数のめっきバンプ間で、前記ベースめっき層の高さが異なり、めっきバンプの高さが略同じである。
【請求項9】
請求項8に記載のプリント配線板であって、前記ベースめっき層と前記導体パッドとの間に下地層を有する。
【請求項10】
請求項9に記載プリント配線板であって、前記下地層が、ニッケル層、パラジウム層及び金層からなる。
【請求項11】
請求項8に記載のプリント配線板であって、前記ベースめっき層と前記トップめっき層との間に中間層を有する。
【請求項12】
請求項11に記載のプリント配線板であって、前記中間層がニッケルを主成分とする。
【請求項13】
請求項8に記載のプリント配線板であって、前記ベースめっき層が銅を主成分とする。
【請求項14】
請求項8に記載のプリント配線板であって、前記トップめっき層がスズを主成分とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数のめっきバンプを有するプリント配線板の製造方法およびプリント配線板に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、複数のめっきバンプを有するプリント配線板の一例を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
図3は、従来の複数のめっきバンプを有するプリント配線板の一実施形態を示す図である。
図3において、プリント配線板51は、基部絶縁層61上にソルダーレジスト層62を形成し、ソルダーレジスト層62に形成された開口62a内の導体パッド63上にベースめっき層64を形成し、ベースめっき層64上にトップめっき層65を形成して、トップめっき層65をリフローしてめっきバンプ71を形成している。そして、複数のめっきバンプ71間において、各ベースめっき層64の高さが同じであり、各トップめっき層65の高さが同じである。
【0005】
この場合、複数のめっきバンプ71間において、ベースめっき層64の高さを揃えるための研磨や、めっきバンプ71の高さを揃えるためのフラッタニングを実施する必要があり、製造工程が複雑となっていた。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係るプリント配線板の製造方法は、基部絶縁層を形成することと、前記基部絶縁層上に導体層を形成することと、前記基部絶縁層上および前記導体層上にソルダーレジスト層を形成することと、前記ソルダーレジスト層に、前記導体層の一部を導体パッドとして露出させる開口を形成することと、前記開口内にベースめっき層を形成することと、前記ベースめっき層上にトップめっき層を形成することと、前記トップめっき層をリフローすることでめっきバンプを形成することと、を含む、複数のめっきバンプを有するプリント配線板を製造する方法であって、前記ベースめっき層上にトップめっき層を形成することは、前記ソルダーレジスト層上および前記ベースめっき層上にドライフィルムレジスト層を形成することと、前記ドライフィルムレジスト層に、前記ベースめっき層を露出させる開口を形成することと、前記開口にめっきにより前記トップめっき層を形成することと、前記ドライフィルムレジスト層を除去することと、を含み、前記ドライフィルムレジスト層の開口は、前記複数のめっきバンプ間でめっきバンプの高さを揃えるよう、めっきバンプ毎に前記ベースめっき層の高さに応じた異なる開口径とする。
【0007】
本発明に係るプリント配線板は、複数のめっきバンプを有するプリント配線板であって、基部絶縁層と、前記基部絶縁層上に形成された導体層と、前記基部絶縁層上および前記導体層上に形成され、かつ、前記導体層の一部を導体パッドとして露出させる開口を有するソルダーレジスト層と、前記ソルダーレジスト層の開口内に形成されたベースめっき層と、前記ベースめっき層上に半球状に形成されたトップめっき層と、を含むめっきバンプと、を有し、前記複数のめっきバンプ間で、前記ベースめっき層の高さが異なり、めっきバンプの高さが略同じである。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明の一実施形態のプリント配線板を説明するための断面図である。
【
図2】(a)~(d)は、それぞれ、本発明に係るプリント配線板の製造方法の一実施形態における各工程を説明するための図である。
【
図3】従来の複数のめっきバンプを有するプリント配線板の一実施形態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
<本発明のプリント配線板の製造方法により作製されたプリント配線板について>
本発明のプリント配線板の製造方法の一実施形態が、図面を参照して説明される。なお、
図1および
図2(a)~(d)に示す例において、各部材の寸法、特に高さ方向の寸法については、本発明の特徴をより良く理解できるようにするために、実際の寸法とは異なる寸法で記載している。
【0010】
図1には、実施形態の製造方法により作製されたプリント配線板10の一部が拡大して示されている。プリント配線板10は、コア基板(図示せず)の片面または両面に所定の回路パターンを有する導体層と樹脂絶縁層とを交互に積層してなるコア付き基板であってよい。コア基板の両面に導体層を形成する場合には、コア基板を介して対向する導体層同士は、スルーホール導体(図示せず)を介して接続されていてもよい。あるいは、プリント配線板10は、コア基板の代わりに支持板(図示せず)上で導体層と樹脂絶縁層とを交互に積層した後、支持板を除去してなるコアレス基板であってもよい。
【0011】
いずれにせよ、プリント配線板10は、
図1に示すように、少なくとも1層の樹脂絶縁層のうち最外に配置されたものである基部絶縁層12と、基部絶縁層12上に形成された、所定の回路パターンを有する導体層14と、基部絶縁層12および導体層14上に形成されたソルダーレジスト層16とを備えている。基部絶縁層12の下層には他の複数の導体層および樹脂絶縁層が交互に設けられている場合が多いが、図では省略されている。しかし、プリント配線板10は、1層の基部絶縁層12と1層の導体層14とからなるものでもよい。
【0012】
基部絶縁層12は、例えばシリカやアルミナ等の無機フィラーとエポキシ系樹脂とを含む樹脂組成物等で構成することができる。導体層14は導電性金属、例えば銅を主成分とする金属で形成される。ソルダーレジスト層16は、導体層14の一部を導体パッド14aとして露出させる開口16aを有している。開口16aのアスペクト比、つまり底部の口径に対する深さの比は0.5以下とすることができる。導体パッド14a上には下地層(図示せず)が形成されていてもよい。下地層としては、導体パッド14aの表面に形成されたニッケル層とニッケル層上に形成されたパラジウム層とパラジウム層上に形成された金層とを例示することができる。その他、ニッケル層とニッケル層上に形成された金層とを例示することができる。
【0013】
プリント配線板10はさらに、導体パッド14a上に形成されためっきバンプ20を備えている。めっきバンプ20は電源もしくはグランド線との接続あるいは信号線との接続に用いることができる。めっきバンプ20は、開口16a内に形成されたベースめっき層24と、ベースめっき層24上に形成されたトップめっき層28とを有する。ベースめっき層24上に、例えばニッケルを主成分とする中間層(図示せず)を形成することもできる。中間層の厚みは7μm以下とすることが好ましい。
【0014】
ベースめっき層24は、導電性金属、好ましくは銅を主成分とする金属から形成されている。ベースめっき層24はソルダーレジスト層16の表面(基部絶縁層12とは反対側の面)を超える高さまで形成することが好ましい。これによりめっきバンプ20が開口16a内に安定して保持される。ソルダーレジスト層16の表面からのベースめっき層24の厚みは3μm~20μmの範囲内とすることが好ましい。トップめっき層28は、ベースめっき層24よりも融点が低くリフロー処理により溶融して
図1に示すような略半球状に整形される金属、例えばスズを主成分とする金属からなる。トップめっき層28の厚み(めっきバンプ20の外周面においてトップめっき層28の下端からトップめっき層の頂部までの垂直方向の距離)は5μm~45μmの範囲とすることが好ましい。トップめっき層28の厚みをこの範囲とすることで、めっきバンプ20と、プリント配線板10に実装される半導体チップやメモリなど電子部品の接続パッド(図示せず)との間で良好な接続信頼性が得られる。
【0015】
本発明に係るプリント配線板では、複数のめっきバンプ20毎にベースめっき層24の高さが異なり、全めっきバンプ20の高さが同じである。なお、
図1に示す例では、導体層14の厚さが異なることが原因となり、ベースめっき層24の高さが異なっている。しかし、本発明では、その原因によらず、最終的にベースめっき層24の高さが異なっていればよい。
【0016】
<本発明のプリント配線板の製造方法について>
以下、本発明に係る
図1に示すプリント配線板10の製造方法を、
図2(a)~(d)を参照して説明する。
【0017】
図2(a)には、公知の方法を用いて、基部絶縁層12上に、所定の回路パターンを有する導体層14、ソルダーレジスト層16およびベースめっき層24が形成された中間体が示されている。基部絶縁層12の下層には他の複数の導体層および樹脂絶縁層が交互に形成されている場合が多いが、図では省略されている。複数の導体層および樹脂絶縁層はコア基板上もしくは後に除去可能な支持板上で積層することができる。しかし、プリント配線板10は、基部絶縁層12としての1層の樹脂絶縁層と1層の導体層14とからなるものでもよく、この場合この樹脂絶縁層が基部絶縁層12に相当する。
【0018】
基部絶縁層12には、シリカやアルミナ等の無機フィラーとエポキシ系樹脂とを含むビルドアップ用絶縁樹脂フィルムを用いることができる。ソルダーレジスト層16には、例えば炭酸ガスレーザまたはUV-YAGレーザ等により、導体層14の一部を導体パッド14aとして露出させる開口16aが形成される。開口16aのアスペクト比は0.5以下とするのが好ましい。導体パッド14a上には、めっきにより例えばニッケル層、パラジウム層、金層がこの順に積層されて下地層(図示せず)が形成されてもよい。ベースめっき層24は、ソルダーレジスト層16上に形成された、めっきバンプ20の形成予定部位に開口を有する所定パターンのめっきレジストを介して、例えば電解めっき処理を行うことで形成される。
【0019】
次に、
図2(b)に示すように、ソルダーレジスト層16上およびベースめっき層24上にドライフィルムレジスト層32を形成し、ドライフィルムレジスト層32に、ベースめっき層24を露出させる開口32aを形成する。ドライフィルムレジスト層32に開口32aを形成する方法の一例としては、ドライフィルムレジスト層32にマスクを介して開口32aの部分を露光して除去する方法をとることができる。次に、
図2(c)に示すように、ドライフィルムレジスト層32に形成した開口32aに、例えばスズを用いた電気めっきを施した後ドライフィルムレジスト層32を除去することで、ベースめっき層24上にスズからなるトップめっき層28を形成する。その後、
図2(d)に示すように、トップめっき層28をリフローすることで、複数のめっきバンプ20を得ることができる。
【0020】
上述した
図2(a)~(d)に一実施形態を示す本発明のプリント配線板の製造方法の特徴は、複数のめっきバンプ20において、ベースめっき層24の高さに応じてドライフィルムレジスト層32に形成する開口32aの開口径を調整することで、トップめっき層28のスズの量を管理し、最終的なめっきバンプ20の高さを制御することにある。すなわち、ドライフィルムレジスト層32の開口32aを、トップめっき層28をリフロー後の全めっきバンプ20の高さが一定になるよう、めっきバンプ20毎にベースめっき層24の高さに応じて異なる開口径とし、トップめっき層28の体積をめっきバンプ20毎に異ならせている。
【0021】
図2(a)~(d)に示す例では、
図2(a)に示すように、3か所のめっきバンプ20のうち、左端のベースめっき層24、中間のベースめっき層24、右端のベースめっき層24のそれぞれの高さが、高、中、低となっている。なお、全てのめっきバンプ20において、ベースめっき層24の径は略同じである。その場合、
図2(b)に示すように、左端のドライフィルムレジスト層32の開口32a、中間のドライフィルムレジスト層32の開口32a、右端のドライフィルムレジスト層32の開口32aのそれぞれの開口径を、小、中、大としている。電気めっきによりトップめっき層28を形成する際、トップめっき層28の厚さは全てのめっきバンプ20において同じである。そのため、上述したようにドライフィルムレジスト層32の開口32aの開口径を調整することで、
図2(c)に示すように、左端のめっきバンプ20、中間のめっきバンプ20、右端のめっきバンプ20のそれぞれのトップめっき層28の体積が、小、中、大となる。そのため、トップめっき層28をリフローすることで、
図2(d)に示すように、全てのめっきバンプ20の高さが一定になる。
【0022】
必要に応じて、
図2(a)に示す中間体における各ベースめっき層の高さを予め測定し、ソルダーレジスト層16の表面などに形成された製品の情報を記載する二次元コードにその測定値を取り込み、第2のメーカーがドライフィルムレジスト層32の開口32aを作製する際、その情報を利用することができる。また、めっきバンプ20の数は多量であるため、プリント配線板の表面を領域に分け、領域毎に開口32aの開口径を決めることもできる。さらに、プリント配線板の領域ごとにベースめっき層24の高さの傾向が予めわかる場合は、そのベースめっき層24の傾向に応じて各領域毎の開口32aの開口径を決めることもできる。
【0023】
本発明のプリント配線板の製造方法およびプリント配線板によれば、複数のめっきバンプ間において、ベースめっき層の高さを揃えるための研磨や、めっきバンプの高さを揃えるためのフラッタニングを実施する必要がなく、製造工程が簡単となる。
【符号の説明】
【0024】
10 プリント配線板
12 基部絶縁層
14 導体層
14a 導体パッド
16 ソルダーレジスト層
16a 開口
20 めっきバンプ
24 ベースめっき層
28 トップめっき層
32 ドライフィルムレジスト層
32a 開口