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特開2022-181963ブレーキ制御装置及びブレーキ制御方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022181963
(43)【公開日】2022-12-08
(54)【発明の名称】ブレーキ制御装置及びブレーキ制御方法
(51)【国際特許分類】
   B60T 7/12 20060101AFI20221201BHJP
   B60T 8/00 20060101ALI20221201BHJP
   B60T 8/28 20060101ALI20221201BHJP
   B60T 8/24 20060101ALI20221201BHJP
【FI】
B60T7/12 B
B60T8/00 Z
B60T8/28 A
B60T8/24
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021089222
(22)【出願日】2021-05-27
(71)【出願人】
【識別番号】509186579
【氏名又は名称】日立Astemo株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000350
【氏名又は名称】ポレール弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 貴廣
(72)【発明者】
【氏名】臼井 拓也
(72)【発明者】
【氏名】後藤 大輔
【テーマコード(参考)】
3D246
【Fターム(参考)】
3D246DA01
3D246EA17
3D246FA04
3D246GA09
3D246GA21
3D246GB12
3D246GB24
3D246GC16
3D246HA03A
3D246HA04A
3D246HA30A
3D246HA48B
3D246HA64A
3D246HA72A
3D246HA81A
3D246HA84A
3D246HA86B
3D246HA93A
3D246HA96A
3D246HB09A
3D246HB09B
3D246HC07
3D246JB02
3D246JB11
3D246JB12
3D246JB22
3D246JB43
3D246JB47
3D246JB51
3D246LA02Z
3D246LA13Z
(57)【要約】
【課題】
段差や凹凸のある道路の走行時に発生する車体振動を効果的に抑制可能な高性能なブレーキ制御装置を提供する。
【解決手段】
車両に備えられる複数の車輪のいずれかである第1車輪の挙動から走行環境を推定する走行環境推定部と、前記第1車輪とは異なる第2車輪が前記走行環境の影響を受けるタイミングを車速に基づいて演算するタイミング演算部と、を備え、前記走行環境推定部の推定結果と前記タイミング演算部の演算結果に基づいて、前記複数の車輪のいずれかの制動を制御することを特徴とする。
【選択図】 図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に備えられる複数の車輪のいずれかである第1車輪の挙動から走行環境を推定する走行環境推定部と、
前記第1車輪とは異なる第2車輪が前記走行環境の影響を受けるタイミングを車速に基づいて演算するタイミング演算部と、を備え、
前記走行環境推定部の推定結果と前記タイミング演算部の演算結果に基づいて、前記複数の車輪のいずれかの制動を制御するブレーキ制御装置。
【請求項2】
請求項1に記載のブレーキ制御装置であって、
前記走行環境は、路面の段差または凹凸であるブレーキ制御装置。
【請求項3】
請求項1に記載のブレーキ制御装置であって、
前記車両の前進時に、前記第1車輪である前輪が上昇方向に動く場合は、前記タイミングで後輪を制動し、
前記前輪が下降方向に動く場合は、前記タイミングで前輪を制動するブレーキ制御装置。
【請求項4】
請求項1に記載のブレーキ制御装置であって、
前記車両の後進時に、前記第1車輪である後輪が上昇方向に動く場合は、前記タイミングで前輪を制動し、
前記後輪が下降方向に動く場合は、前記タイミングで後輪を制動するブレーキ制御装置。
【請求項5】
請求項1に記載のブレーキ制御装置であって、
前記タイミング演算部は、前記車両のホイールベースと前記車速に基づいて前記タイミングを演算するブレーキ制御装置。
【請求項6】
請求項1に記載のブレーキ制御装置であって、
前記走行環境推定部は、前記車両の上下方向変化量に基づいて前記走行環境を推定するブレーキ制御装置。
【請求項7】
請求項1に記載のブレーキ制御装置であって、
前記タイミングで制動する車輪のスリップ率が所定値以上の場合、前記タイミングでの制動を停止するブレーキ制御装置。
【請求項8】
請求項1に記載のブレーキ制御装置であって、
制動対象の車輪が前記タイミングで既に制動されている場合は、前記タイミングで当該車輪の制動力をより大きくするブレーキ制御装置。
【請求項9】
請求項1に記載のブレーキ制御装置であって、
前記車両は、前方情報を取得する前方情報取得手段を有し、
前記前方情報に基づいて得られる路面情報に基づいて、制動対象となる制動輪の選定と、前記制動輪を制動するタイミングおよび制動量の演算を実行し、
当該演算したタイミングで前記制動輪の制動を制御するブレーキ制御装置。
【請求項10】
以下のステップを有するブレーキ制御方法;
(a)第1車輪の上下動を検出し、当該検出したデータを基に路面の段差または凹凸を推定するステップ、
(b)ブレーキの応答遅れを推定するステップ、
(c)前記(a)ステップにおいて推定した段差または凹凸に対し、前記第1車輪の通過から第2車輪が到達するまでの時間を推定するステップ、
(d)車両の進行方向および前記第1車輪の状態に基づき制動対象となる制動輪を選定するステップ、
(e)前記第2車輪が前記段差または凹凸に到達した際に前記(d)ステップにおいて選定した制動輪に付与する制動力を演算するステップ、
(f)前記(b)ステップにおいて推定した前記ブレーキの応答遅れと、前記(c)ステップにおいて推定した時間から、前記制動輪の制動開始タイミングを演算するステップ、
(g)前記(f)ステップにおいて演算した制動開始タイミングで、前記(e)ステップにおいて演算した制動力を前記制動輪に付与するステップ。
【請求項11】
請求項10に記載のブレーキ制御方法であって、
(h)前記車両の前部および後部のばね上変化を演算するステップ、
(i)前記(h)ステップにおいて演算した前記車両の前部および後部のばね上変化から、車両ばね上前後変化差分を演算するステップ、
(j)前記(i)ステップにおいて演算した前記車両ばね上前後変化差分の正負を判定し、正の場合には前記車両の前輪に付与する制動力を演算し、負の場合には前記車両の後輪に付与する制動力を演算するステップ、を有し、
前記(g)ステップにおいて、前記(e)ステップで演算した制動力に、前記(j)ステップで演算した制動力を加算するブレーキ制御方法。
【請求項12】
請求項10に記載のブレーキ制御方法であって、
(k)前方情報を検出し、当該検出した前方情報を基に路面の段差または凹凸を推定するステップ、
(l)ブレーキの応答遅れを推定するステップ、
(m)前記(k)ステップにおいて推定した段差または凹凸が前記第1車輪に到達するまでの時間を推定するステップ、
(n)前記(k)ステップにおいて推定した段差または凹凸に応じて前記第1車輪が前記段差や凹凸に到達した際に制動力を付与する制動輪を選定し、当該制動輪に対して付与する予見制振制動力を演算するステップ、
(o)前記(l)ステップで推定した前記ブレーキの応答遅れと、前記(m)ステップで推定した時間から、前記制動輪の制動開始タイミングを演算するステップ、を有し、
前記(g)ステップにおいて、前記(e)ステップで演算した制動力に、前記(n)ステップで演算した予見制振制動力を加算するブレーキ制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ブレーキ制御装置の構成とその制御に係り、特に、走行中の段差や凹凸乗り上げ等に対して発生する車体振動の抑制に有効な技術に関する。
【背景技術】
【0002】
電子制御サスペンションの進化とともに、自動車の乗り心地向上に向けた要素技術の1つとして、ブレーキ制御による車体振動抑制技術の開発が進められている。段差や凹凸のある道路の走行時には、小さな振動はエンジントルクの制御により、大きな振動はブレーキ制御を追加することで乗り心地が向上する。
【0003】
本技術分野の背景技術として、例えば、特許文献1のような技術がある。特許文献1には、段差踏破時の衝撃を緩和するための電動ブレーキの制御装置が開示されている。
【0004】
この従来技術(特許文献1)では、路面検出センサで段差が検出されると、ブレーキの制動量,タイミングを演算し、段差を踏破する前に全輪にブレーキを掛け、ノーズアップした状態で段差を乗り越えることで段差踏破時の衝撃を緩和している。
【0005】
また、特許文献2には、大きな車両挙動に際し、挙動抑制を図ることができるブレーキ制御装置が開示されている。
【0006】
この従来技術(特許文献2)では、ピッチ運動の抑制を、ショックアブソーバの作動により行なうのではなく、車両のピッチ角速度の変化に応じて車輪を制動することで実現している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2003-72535号公報
【特許文献2】特開2011-140303号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、上記特許文献1や特許文献2のような制御を適用する電動ブレーキ装置には、ドライバによるブレーキペダルの操作によらず制動力を発生させるために、ブレーキパッドをディスクに押圧するための動力源をもつ機構を有する。
【0009】
その機構として各輪に備えたモータと減速機で構成され、回転/直動変換機構により直動するピストンで押圧する電動機構や、電動ポンプとバルブで構成され、液圧により直動するピストンで押圧する液圧機構がある。
【0010】
これらのシステムでは、ブレーキ制御装置が車両の挙動に応じて各輪に発生させる要求制動力等の制御量を演算し、液圧機構、電動機構はこの制御量に基づいて制御され、ブレーキパッドが車輪に制動力を発生させる。
【0011】
このような構成の場合、要求制動力に応じてモータを駆動し、ピストンを押圧するための力を発生させるための制動指令に対して、モータの応答遅れや液圧の伝達遅れ等により指令で要求する制動力に到達するまでに遅れが発生することがある。
【0012】
そのため、上記特許文献1や特許文献2に記載されている手法は段差等の凹凸に対して適切なタイミングで制動が実行されず、衝撃緩和効果やピッチ抑制効果が十分に得られないばかりか、段差の通過とは関係ないタイミングでの制動力発生に対し、ドライバが違和感を覚える可能性がある。
【0013】
そこで、本発明の主たる目的は、段差や凹凸のある道路の走行時に発生する車体振動を効果的に抑制可能な高性能なブレーキ制御装置及びブレーキ制御方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記課題を解決するために、本発明は、車両に備えられる複数の車輪のいずれかである第1車輪の挙動から走行環境を推定する走行環境推定部と、前記第1車輪とは異なる第2車輪が前記走行環境の影響を受けるタイミングを車速に基づいて演算するタイミング演算部と、を備え、前記走行環境推定部の推定結果と前記タイミング演算部の演算結果に基づいて、前記複数の車輪のいずれかの制動を制御することを特徴とする。
【0015】
また、本発明は、(a)第1車輪の上下動を検出し、当該検出したデータを基に路面の段差または凹凸を推定するステップ、(b)ブレーキの応答遅れを推定するステップ、(c)前記(a)ステップにおいて推定した段差または凹凸に対し、前記第1車輪の通過から第2車輪が到達するまでの時間を推定するステップ、(d)車両の進行方向および前記第1車輪の状態に基づき制動対象となる制動輪を選定するステップ、(e)前記第2車輪が前記段差または凹凸に到達した際に前記(d)ステップにおいて選定した制動輪に付与する制動力を演算するステップ、(f)前記(b)ステップにおいて推定した前記ブレーキの応答遅れと、前記(c)ステップにおいて推定した時間から、前記制動輪の制動開始タイミングを演算するステップ、(g)前記(f)ステップにおいて演算した制動開始タイミングで、前記(e)ステップにおいて演算した制動力を前記制動輪に付与するステップ、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、段差や凹凸のある道路の走行時に発生する車体振動を効果的に抑制可能な高性能なブレーキ制御装置及びブレーキ制御方法を実現することができる。
【0017】
これにより、ドライバの視点の変化が抑えられることによる走行の安全性の向上や、車体の振動の抑制による乗り心地の向上、乗り物酔いの低減等の効果が見込まれる。
【0018】
上記した以外の課題、構成及び効果は、以下の実施形態の説明により明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明の実施例1に係る車両のブレーキ装置の概略構成を示す図である。
図2図1におけるブレーキ装置の制動機構の概略構成を示す図である。
図3】前輪のみを制動した場合の車体挙動を示す車両の側面図である。
図4】後輪のみを制動した場合の車体挙動を示す車両の側面図である
図5】本発明の実施例1に係る車両のブレーキ制御装置による制御を示すブロック図である。
図6】本発明の実施例1に係る車両のブレーキ装置の制御方法を示すフローチャートである。
図7】本発明の実施例2に係る車両のブレーキ装置による制御を示すブロック図である。
図8】本発明の実施例2に係る車両のブレーキ装置の制御方法を示すフローチャートである。
図9】本発明の実施例3に係る前方認識装置を備えた車両の側面図である。
図10】本発明の実施例3に係る車両のブレーキ装置による制御を示すブロック図である。
図11】本発明の実施例3に係る車両のブレーキ装置の制御方法を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施形態について図面を用いて詳細に説明する。なお、各図面において、同一の構成については同一の符号を付し、重複する部分についてはその詳細な説明は省略する。また、本発明は以下の実施形態に限定されることなく、本発明の技術的な概念の中で種々の変形例や応用例をもその範囲に含むものである。
【実施例0021】
図1から図6を参照して、本発明の実施例1に係る車両のブレーキシステムとその制御方法について説明する。図1は、本実施例の車両のブレーキ装置の概略構成を示しており、図2は、図1の制動機構の概略構成を示している。また、図3及び図4は、車両を側面から見た概略図であり、前後輪それぞれを制動した場合の車体の挙動変化を示している。図5は、本実施例のブレーキ制御装置で実行される制御を示すブロック図であり、図6は、その制御方法を示すフローチャートである。
【0022】
本実施例の車両1は、図1及び図2に示すように、一対の前輪2FL,2FRと、一対の後輪2RL,2RRと、を備えており、前輪2FL,2FRと後輪2RL,2RRに対してそれぞれ制動力を付与する制動機構4FL,4FR,4RL,4RRを備えている。
【0023】
車両1の制動機構5は、ブレーキ用電動モータ25FL,25FR,25RL,25RRの回転によって動作してブレーキディスクBDを挟み込む電動ディスクブレーキ(電動ブレーキ機構)から構成されている。さらに、4輪の電動ブレーキ機構をそれぞれ独立に制御し、車両1が発生する制動力を調整するブレーキ制御装置30を備えている。
【0024】
ここで、4輪の電動ブレーキ機構は同じ構成とされており、例えば、図2に示した左前輪の制動機構4FLの概略図のように、電動機構24はブレーキ用電動モータ25FLによってブレーキパッド26をブレーキディスクBDに押し付け、押圧力を生成して制動力を発生させている。ブレーキ用電動モータ25FLの回転力は、回転/直動変換機構27によって直動運動に変換されて、ブレーキパッド26をブレーキディスクBDに押し付けて制動力を付与している。
【0025】
また、ブレーキパッド26の押圧力を調整するため、図示しない電流センサで検出されるモータの電流値から推定、または図示しない推力センサで検出される押圧力に基づいてブレーキ用電動モータ25FLの回転はブレーキ制御装置30内に備えた駆動回路28によって制御されている。回転/直動変換機構27は、例えば、送りねじ機構を採用して、回転運動を直動運動に変換している。
【0026】
さらに、ブレーキ制御装置30と電動ブレーキ機構は、制御信号線23で接続されている。制御信号線23はブレーキ制御装置30から制御指令情報を電動ブレーキ機構に入力し、電動ブレーキ機構の押圧力やブレーキ用電動モータ25FLの電流値等の駆動状態情報をブレーキ制御装置30に出力する役割を果たす。
【0027】
図1に示すように、ブレーキ操作センサ17により検出されたブレーキペダル16の操作量情報(ブレーキペダルのストローク、踏力等)は、ブレーキ制御装置30に送信される。また、車両1の前輪2FL,2FRと後輪2RL,2RRには車輪回転速度センサ34がそれぞれ取り付けられており、車輪速度情報をブレーキ制御装置30に送信している。
【0028】
また、ブレーキ制御装置30内には車両運動センサ35も設置されており、車両運動センサ35は、車両1の加速度、ヨーレイト等の車両挙動情報を検出し、ブレーキ制御装置30に送信している。また、車両1の各車輪付近の車体側には車体上下動センサ36FL,36FR,36RL,36RRが設置され、車体の上下の動きを検出し、ブレーキ制御装置30に送信している。この車体上下動センサ36FL,36FR,36RL,36RRは、例えば、車体の上下方向の速度、加速度、位置を検出する。
【0029】
このような車両1に搭載されたブレーキ制御装置30においては、運転者によるブレーキペダル16のストローク、踏力等から得られる操作情報、車輪回転速度センサ34から得られる前後輪の車輪速度情報、車両運動センサ35から得られる車両1の車両挙動情報等基づいて、各輪に備えた電動ブレーキ機構に制御指令を送信し、制動機構4FL,4FR,4RL,4RRの動作を制御している。
【0030】
ブレーキペダル16の操作情報、車両1の車輪速度情報や車両挙動情報、電動ブレーキ機構動作状態情報等に基づいて、ブレーキ制御装置30は前輪2FL,2FRと後輪2RL,2RRで制動力に対応した制御量を演算し、各輪の制動機構4FL,4FR,4RL,4RRに送信する。
【0031】
そして、各輪の制動機構4FL,4FR,4RL,4RRは、ブレーキ制御装置30の制御量指令値に基づいて、ブレーキ用電動モータ25FL,25FR,25RL,25RRの動作を制御して、制動力を調整している。
【0032】
図3及び図4を用いて、前後の制動機構4FL,4FR,4RL,4RRを操作した際の車体の動きを説明する。なお、図3及び図4は、図中左方向に走行する車両1を横から見た図である。
【0033】
図3に示すように、前輪2FL,2FRの制動機構4FL,4FRのみで制動力41FL,41FRを発生させると車両1の重心には前方方向の力42が作用し、図中反時計回りに車両1が回転する方向に動くため、車両後部が持ち上がる状態になる。
【0034】
一方、前輪2FL、2FRの接地点はサスペンションの構成によって決まる瞬間回転中心周りに移動する。そのため制動力41FL、41FRによって車体には車体上方向にアンチダイブ力43が作用するが、車両全体としては車体後部が上がる状態になる。
【0035】
また、図4に示すように、後輪2RL,2RRの制動装置4RL,4RRのみで制動力44RL,44RRを発生させると、図3と同様に車両1の重心には前方方向の力42が作用し、図中反時計回りに車両1が回転する方向に動くため車両後部が持ち上がる状態になる。
【0036】
しかし、サスペンションの構成によって決まる瞬間回転中心周りに移動する後輪2RL,2RRの接地点に作用する制動力44RL,44RRによって車体には車体下方向にアンチリフト力45が作用するため、車両全体としては車体後部が下がる状態になる。
【0037】
以上のような動作を行う車両1とブレーキ装置において、制動機構4FL,4FR,4RL,4RRは、ブレーキ用電動モータ25FL,25FR,25RL,25RRの慣性、回転/直動変換機構27の摩擦、ブレーキパッド26とブレーキディスクBDの隙間等の影響によりブレーキ制御装置30の指令に対して制動力の発生が遅れる。
【0038】
図5及び図6を用いて、車両1の進行方向に段差や凹凸等がある場合に、段差や凹凸の通過時に生じる車体の振動を抑制することを目的としたブレーキ制御装置30で行う制御について説明する。
【0039】
図5の制御ブロック図は、本実施例で説明する制御を実現するためにブレーキ制御装置30内に搭載される制御ブロックの一例を示す。また、図6に示す制御フローは、要求制動力に基づきブレーキ制御装置30により行われる制御を示し、所定時間毎に起動されるものとする。
【0040】
≪ステップS10≫
先ず、ステップS10においては、車両1が前方向に走行中に段差に差し掛かり、最初に第1輪として前輪が段差を通過する際に、車体上下動センサ36FL,36FR,36RL,36RRの値に基づいて第1輪の上下動を検出し、ステップS11に移行する。
【0041】
≪ステップS11≫
次に、ステップS11においては、第1輪が段差を通過する際のデータを基に段差の凹凸形状を凹凸推定部51により推定して、ステップS12に移行する。この時使用するデータには、例えば、上下動センサ36FL,36FR,36RL,36RRで検出される位置、速度、加速度やそれぞれの値の各車輪間における差分等を利用する。また、凹凸推定部51により推定される値は、凹凸の高さH、幅W等を含むものとする。
【0042】
≪ステップS12≫
次に、ステップS12においては、ブレーキ応答推定部52で制動機構4FL,4FR,4RL,4RRの応答遅れTbを推定して、ステップS13に移行する。この推定には、例えば、あらかじめブレーキ制御装置30内に保存された制動機構4FL,4FR,4RL,4RRの応答遅れの情報を用いることにしてもよい。または、ブレーキパッド26とブレーキディスクBDの隙間を詰めてブレーキパッド26が押し付けられるまでの時間をブレーキパッド26とブレーキディスクBDの隙間の値と電動モータ25の回転速度とから求めることにしてもよい。
【0043】
≪ステップS13≫
次に、ステップS13においては、第2輪到達時間推定部53で第1輪通過から第2輪が段差に到達するまでの時間Tcを推定する。この時間Tcは、例えば、車両1のホイールベース値Lと車両1の速度情報を使ってTc=L/Tsと求めることにするとよい。
【0044】
≪ステップS14≫
次に、ステップS14においては、車速をもとに車両1の進行方向を判定する。進行方向が前進の場合はステップS15に移行し、進行方向が後退の場合にはステップS18に移行する。
【0045】
≪ステップS15≫
ステップS15においては、制動輪選定部54で前進時の第1輪の変化の状態を判定する。第1輪の変化が上昇の場合はステップS16に移行し、下降の場合はステップS17に移行する。
【0046】
≪ステップS16≫
ステップS16においては、制動輪選定部54で第2輪が段差に到達した際に制動する車輪を後輪2RL,2RRに選定する。
【0047】
≪ステップS17≫
ステップS17においては、制動輪選定部54で第2輪が段差に到達した際に制動する車輪を前輪2FL,2FRに選定する。
【0048】
≪ステップS18≫
ステップS18においては、制動輪選定部54で後退時の第1輪の変化の状態を判定する。第1輪の変化が上昇の場合はステップS19に移行し、下降の場合はステップS20に移行する。
【0049】
≪ステップS19≫
ステップS19においては、制動輪選定部54で第2輪が段差に到達した際に制動する車輪を前輪2FL,2FRに選定する。
【0050】
≪ステップS20≫
ステップS20においては、制動輪選定部54で第2輪が段差に到達した際に制動する車輪を後輪2RL,2RRに選定する。
【0051】
≪ステップS21≫
ステップS21においては、制振制動力演算部55で第2輪が段差に到達した際に制動輪に対して付与する制動力を演算する。この制動力は、ステップS11で推定した凹凸形状に基づいて演算する。例えば、凹凸の高さH、幅Wに基づいて制動力の大きさを決めることにするとよい。
【0052】
≪ステップS22≫
次に、ステップS22においては、タイミング演算部56において、ステップS12で推定した制動機構4FL,4FR,4RL,4RRの応答遅れTbとステップS13で演算した第2輪の凹凸到達時間Tcに基づき、制動輪の制動開始タイミングTsを演算する。例えば、第1輪が到達した時点からTs=Tc―Tbにより求める時間として第2輪が段差に到達するよりもTbだけ早く動作を開始することにするとよい。
【0053】
≪ステップS23≫
次に、ステップS23においては、ステップS16,ステップS17,ステップS19,ステップS20で求められた制動輪に対してステップS22で演算した制振制動力指令が付与される。この際、事前にブレーキペダル16の操作等で制動力を発生させる指令がある場合にはこの指令に加算することにするとよい。
【0054】
≪ステップS24≫
次に、ステップS24においては、各輪の制振制動力指令に基づいて各輪の制動機構4FL,4FR,4RL,4RRが制動力を発生させる。
【0055】
このようなフローにより、制動機構4FL,4FR,4RL,4RRを駆動して各輪に制動力を発生させることによって、第2輪が段差に到達するタイミングで制動輪に対して制振制動力を遅れなく付与することができる。
【0056】
また、第1輪が通過する際に段差の凹凸形状を推定するため、第2輪が段差を通過する際の車体の変動量に合わせた制振制動力を付与でき、高い振動の抑制効果を得ることができる。
【0057】
また、ステップS14~S20で示したように、車両1の進行方向及び第1輪の変化の方向に応じて制動輪を変更することで、第2輪が段差に到達した際に制振効果を得ることができる。
【0058】
また、ステップS16のフローとなる車両が前進、かつ第1輪が上昇する際には、第2輪も上昇することが予測される。そこで、第2輪が上昇するタイミングで後輪の制動機構4RL,4RRで制動することによって車体の後部が下がる効果が得られるため、第2輪の上昇による車体の変動を抑制する効果が得られる。
【0059】
また、ステップS17のフローとなる車両が前進、かつ第1輪が下降する際には、第2輪も下降することが予測される。そこで、第2輪が下降するタイミングで前輪の制動機構4FL,4FRで制動することによって車体の後部が上がる効果が得られるため、第2輪の下降による車体の変動を抑制する効果が得られる。
【0060】
また、ステップS19のフローとなる車両が後退、かつ第1輪が上昇する際には、第2輪も上昇することが予測される。そこで、第2輪が上昇するタイミングで前輪の制動機構4FL,4FRで制動することによって車体の前部が下がる効果が得られるため、第2輪の上昇による車体の変動を抑制する効果が得られる。
【0061】
また、ステップS20のフローとなる車両が後退、かつ第1輪が下降する際には、第2輪も下降することが予測される。そこで、第2輪が下降するタイミングで後輪の制動機構4RL,4RRで制動することによって車体の前部が上がる効果が得られるため、第2輪の下降による車体の変動を抑制する効果が得られる。
【0062】
この制御の実行により、第2輪が第1輪に続いて段差を通過する際に、第2輪の変動による車体の変動が抑制されるため、車体の振動やピッチングが抑制され、車両1のドライバの視点の動きが少なくなることによる操縦安全性の向上や、乗り心地の向上による乗り物酔いの低減等の効果を得ることができる。
【0063】
また、ステップS13において、車両1のホイールベース値Lと車両1の速度情報を使って第1輪通過から第2輪が段差に到達するまでの時間Tcを推定するとしたが、第1輪が段差に対して斜めに侵入した場合は車速とホイールベースLから推定される時間Tcよりも短い時間で車輪の変動が発生するため、この変動を第2輪の変動によるものとみなさないように閾値等を用いて判定することにするとよい。
【0064】
さらに、それぞれの車輪の変動から段差の凹凸形状を推定し、第2輪となる前後いずれかの車輪の2つの車輪の段差への到達時間のずれを加味して制動タイミングを演算する。これによって、段差に対して車両1が斜めに侵入した場合にも前述の内容とほぼ同様の制振効果を得ることができる。
【0065】
また、凹凸形状の推定には、車体上下動センサ36FL,36FR,36RL,36RRの値の変化を用いるとしたが、それ以外の車輪測、車両運動センサ35の変動等を利用して車両1のモデルに基づいて路面の凹凸形状の推定をすることにしてもほぼ同様の効果が得られる。
【0066】
また、車輪のスリップ率が所定値よりも大きい場合には、車輪ロックを回避するために制振制動付与を行わないことにするとよい。
【0067】
また、制動対象の車輪が制動開始タイミングで既に制動されている場合は、制動タイミングでの当該車輪の制動力をそれまでよりも大きくするとよい。
【0068】
以上説明したように、本実施例のブレーキ制御装置は、車両1に備えられる複数の車輪2FL,2FR,2RL,2RRのいずれかである第1車輪の挙動から走行環境を推定する走行環境推定部(凹凸推定部51)と、第1車輪とは異なる第2車輪が走行環境の影響を受けるタイミングを車速に基づいて演算するタイミング演算部56を備えており、走行環境推定部(凹凸推定部51)の推定結果とタイミング演算部56の演算結果に基づいて、複数の車輪2FL,2FR,2RL,2RRのいずれかの制動を制御する。
【0069】
これにより、段差や凹凸のある道路の走行時に発生する車体振動を効果的に抑制することができる。
【0070】
なお、本実施例では、4輪に電動ディスクブレーキを備えた構成を例に挙げて説明したが、電動ポンプと電磁バルブで構成された液圧ユニットによって4輪に備えられたシリンダの圧力によるブレーキパッド押圧力を調整する構成に、本実施例のブレーキ装置を適用した場合も同等の効果が得られる
【実施例0071】
図7及び図8を参照して、本発明の実施例2に係る車両のブレーキシステムとその制御方法について説明する。図7は、本実施例のブレーキ制御装置で実行される制御を示すブロック図であり、実施例1(図5)の変形例に相当する。図8は、本実施例のブレーキ制御装置で実行される制御の一部であるFB制振制動力演算部71の演算を示すフローチャートであり、実施例1のフローチャート(図6)のステップS23の演算結果と加算される。
【0072】
図8に示す本実施例の制御フローは、実施例1の図6に示す制御フローと同時に実行され、図6のステップS23の演算結果と加算されるFB(フィードバック)制振制動力を演算する部分になる。以下、FB制動力演算部71の制御フローを説明する。
【0073】
≪ステップS31≫
先ず、ステップS31においては、車両前部のばね上変化を演算し、ステップS32に移行する。ここで、ばね上変化は、例えば、車両ばね上に設置された加速度計で検出される上下方向加速度に基づく上下方向速度にするとよい。
【0074】
≪ステップS32≫
次に、ステップS32においては、車両後部のばね上変化を演算し、ステップS33に移行する。ここで、ばね上変化は、例えば、車両ばね上に設置された加速度計で検出される上下方向加速度に基づく上下方向速度にするとよい。
【0075】
≪ステップS33≫
次に、ステップS33においては、車両ばね上変化差分を演算し、ステップS34に移行する。ここで、ばね上変化差分は、ステップS31及びS32で演算した車両前後のばね上上下方向の差分にするとよい。
【0076】
≪ステップS34≫
次に、ステップS34においては、車両ばね上変化差分の正負を判定する。正の場合(YES)にはステップS35に移行し、負の場合(NO)にはステップS36に移行する。
【0077】
≪ステップS35≫
ステップS35においては、前輪制動機構4FL,4FRに付与する制振制動力を演算し、ステップS37に移行する。例えば、制振制動力は、ばね上前後変化差分に対応した大きさに設定するとよい。
【0078】
≪ステップS36≫
ステップS36においては、後輪制動機構4RL,4RRに付与する制振制動力を演算し、ステップS37に移行する。例えば、制振制動力は、ばね上前後変化差分の時間変化に相関のある大きさに設定するとよい。
≪ステップS37≫
ステップS37においては、図6のステップS23の演算結果と加算され、制振制動力指令として付与し、図6のステップS24に移行し、各輪の制動機構4FL,4FR,4RL,4RRを制御して制動力を発生させる。
【0079】
本実施例では、前後のばね上変化をフィードバック(FB)した制振制動力を付与する。ブレーキの応答遅れにより第1輪が段差を通過する際の制振効果は小さいが、第2輪が段差を通過する際には第1輪の情報を使った制振制動力も付与されるため、実施例1に記載したものと同等の車体制振効果を得ることができる。
【0080】
また、これによって、実施例1と同様に、ドライバの視点の動きが少なくなることによる操縦安全性の向上や、乗り心地の向上による乗り物酔いの低減等の効果を得ることができる。
【実施例0081】
図9から図11を参照して、本発明の実施例3に係る車両のブレーキシステムとその制御方法について説明する。図9は、車両1を側面から見た図であり、車両前方に前方認識装置91を備えている。図10は、本実施例のブレーキ制御装置で実行される制御を示すブロック図であり、実施例2(図7)の変形例に相当する。また、図11は、本実施例のブレーキ制御装置で実行される制御の一部である予見制振制動力演算部101の演算を示すフローチャートであり、実施例2と同様に、実施例1のフローチャート(図6)のステップS23の演算結果と加算される。
【0082】
図11に示す本実施例の制御フローは、実施例1の図6に示す制御フローと同時に実行され、図6のステップS23の演算結果と加算される予見制振制動力を演算する部分になる。以下、予見制動力演算部101の制御フローを説明する。
【0083】
≪ステップS41≫
先ず、ステップS41においては、前方認識装置91を用いて前方情報を検出し、ステップS42に移行する。ここで、前方認識装置91は、カメラやレーザー変位計等の前方の路面情報を検出可能な装置で、前方情報は画像データや時系列の変位データ等であるとよい。
【0084】
≪ステップS42≫
次に、ステップS42においては、前方情報を基に段差の凹凸形状を推定して、ステップS43に移行する。例えば、ステップS41で検出した画像、変位データをもとに凹凸の高さH、幅W等を含む情報を推定するものとする。
【0085】
≪ステップS43≫
次に、ステップSS43においては、ブレーキ応答推定部52で制動機構4FL,4FR,4RL,4RRの応答遅れTbを推定して、ステップS44に移行する。例えば、この推定はあらかじめブレーキ制御装置30内に保存された制動機構4FL,4FR,4RL,4RRの応答遅れの情報を用いることにしてもよい。または、ブレーキパッド26とブレーキディスクBDの隙間を詰めてパッド26が押し付けられるまでの時間をブレーキパッド26とブレーキディスクBDの隙間の値とブレーキ用電動モータ25FL,25FR,25RL,25RRの回転速度とから求めることにしてもよい。
【0086】
≪ステップS44≫
次に、ステップS44においては、前方認識装置91で検出された路面の段差や凹凸が第1輪に到達するまでの時間を推定し、ステップS45に移行する。この時間は、例えば前方認識装置91の検出位置と車両1までの距離と車両1の速度情報を使って求めることにするとよい。
【0087】
≪ステップS45≫
次に、ステップS45においては、路面の段差や凹凸形状に応じて第1輪が段差や凹凸に到達した際に制振制動力を付与する制動輪を選定し、第1輪が段差や凹凸に到達した際に制動輪に対して付与する予見制振制動力を演算し、ステップS46に移行する。この予見制振制動力は、ステップS42で推定した凹凸形状に基づいて演算する。例えば、凹凸の高さや幅に基づいて制動力の大きさを決めることにするとよい。
【0088】
≪ステップS46≫
次に、ステップS46においては、ステップS43で推定した制動機構4FL,4FR,4RL,4RRの応答遅れとステップS44で演算した第1輪の凹凸到達時間に基づき、第1輪が段差に到達した際の制動輪の制動開始タイミングを演算し、ステップS47に移行する。例えば、前方認識装置91で凹凸を認識した時点から第1輪が段差に到達するよりも制動機構4FL,4FR,4RL,4RRの応答遅れ分だけ早く動作を開始することにするとよい。
【0089】
≪ステップS47≫
次に、ステップS47においては、ステップS46で演算されたタイミングで、ステップS45で演算された予見制動力指令を制動輪に付与する。その後、図6のステップS23の演算結果と加算され、制振制動力指令として付与し、図6のステップS24に移行し、各輪の制動機構4FL,4FR,4RL,4RRを制御して制動力を発生させる。
【0090】
本実施例では、実施例2の構成に加えて、前方認識装置91による車両前方情報を用いた予見制振制動力を付与することができる。
【0091】
これによって、ブレーキの応答遅れを加味して第1輪が段差を通過する際の制振制御を行うため、高い制振効果を得ることができる。また、第2輪が段差を通過する際には第1輪の情報を使った制振制動力も付与されるため、実施例1、2に記載したものと同等以上の車体制振効果を得ることができる。
【0092】
また、これによって、実施例1、2と同様に、ドライバの視点の動きが少なくなることによる操縦安全性の向上や、乗り心地の向上による乗り物酔いの低減等の効果を得ることができる。
【0093】
なお、本発明は上記した実施例に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、上記した実施例は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施例の構成の一部を他の実施例の構成に置き換えることが可能であり、また、ある実施例の構成に他の実施例の構成を加えることも可能である。また、各実施例の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。
【符号の説明】
【0094】
1…車両、2FL,2FR…(一対の)前輪、2RL,2RR…(一対の)後輪、4FL,4FR,4RL,4RR,5…制動機構(電動ディスクブレーキ)、16…ブレーキペダル、17…ブレーキ操作センサ、23…制御信号線、24…電動機構、25FL,25FR,25RL,25RR…ブレーキ用電動モータ、26…ブレーキパッド、27…回転/直動変換機構、28…駆動回路、30…ブレーキ制御装置、34…車輪回転速度センサ、35…車両運動センサ、36FL,36FR,36RL,36RR…車体上下動センサ、41FL,41FR,44RL,44RR…制動力、42…前方方向の力、43…アンチダイブ力、45…アンチリフト力、51…凹凸推定部、52…ブレーキ応答推定部、53…第2輪到達時間推定部、54…制動輪選定部、55…制振制動力演算部、56…タイミング演算部、71…FB制振制動力演算部、91…前方認識装置、101…予見制振制動力演算部、BD…ブレーキディスク。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11