(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022181977
(43)【公開日】2022-12-08
(54)【発明の名称】カラオケ装置およびカラオケシステム
(51)【国際特許分類】
G10K 15/04 20060101AFI20221201BHJP
【FI】
G10K15/04 302D
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021089237
(22)【出願日】2021-05-27
(71)【出願人】
【識別番号】390004710
【氏名又は名称】株式会社第一興商
(74)【代理人】
【識別番号】100111202
【弁理士】
【氏名又は名称】北村 周彦
(74)【代理人】
【識別番号】100139365
【弁理士】
【氏名又は名称】中嶋 武雄
(72)【発明者】
【氏名】鎌田 政之
【テーマコード(参考)】
5D208
【Fターム(参考)】
5D208CA10
5D208CC12
(57)【要約】
【課題】互いに離れた場所にいる複数の利用者が一緒にカラオケを楽しむ態様の変化に応じ、複数の利用者がそれぞれの場所に設置されたカラオケ装置から出力される音声を共有する状態と共有しない状態とを容易に切り替えることができるようにする。
【解決手段】カラオケ装置Aは、演奏音声信号および集音音声信号に対応する音声データをカラオケ装置Bへ送信する音声通信部25と、カラオケ装置A、Bがカラオケ演奏を行っている状態であるか否かをそれぞれ判断する状態判断部27と、カラオケ装置A、Bがカラオケ演奏を行っている状態である場合には、音声通信部25によるカラオケ装置Aからカラオケ装置Bへの音声データの送信を禁止し、カラオケ装置A、Bがカラオケ演奏を行っていない場合には、音声通信部25によるカラオケ装置Aからカラオケ装置Bへの音声データの送信を許可する音声送信制御部28とを備えている。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
他のカラオケ装置と通信可能なカラオケ装置であって、
カラオケ演奏を行い、当該カラオケ演奏の音声信号を演奏音声信号として出力するカラオケ演奏部と、
音声を集音し、当該集音した音声の信号を集音音声信号として出力する集音部と、
前記カラオケ演奏部から出力された前記演奏音声信号および前記集音部から出力された前記集音音声信号に対応する音声データを前記他のカラオケ装置へ送信する音声送信部と、
前記カラオケ演奏部によるカラオケ演奏が開始されたとき、前記カラオケ演奏部によるカラオケ演奏が開始されたことを示す自機演奏開始情報を前記他のカラオケ装置へ送信し、前記カラオケ演奏部によるカラオケ演奏が終了したとき、前記カラオケ演奏部によるカラオケ演奏が終了したことを示す自機演奏終了情報を前記他のカラオケ装置へ送信する情報送信部と、
前記他のカラオケ装置によるカラオケ演奏が開始されたことを示す他機演奏開始情報を前記他のカラオケ装置から受信し、前記他のカラオケ装置によるカラオケ演奏が終了したことを示す他機演奏終了情報を前記他のカラオケ装置から受信する情報受信部と、
前記情報受信部により受信された前記他機演奏開始情報および前記他機演奏終了情報に基づいて、前記他のカラオケ装置がカラオケ演奏を行っている状態であるか否かを判断する他機状態判断部と、
前記カラオケ演奏部がカラオケ演奏を行っている状態であり、かつ前記他機状態判断部の判断の結果、前記他のカラオケ装置がカラオケ演奏を行っている状態である場合には、前記音声送信部による前記音声データの前記他のカラオケ装置への送信を禁止し、前記カラオケ演奏部がカラオケ演奏を行っていない状態であり、かつ前記他機状態判断部の判断の結果、前記他のカラオケ装置がカラオケ演奏を行っていない状態である場合には、前記音声送信部による前記音声データの前記他のカラオケ装置への送信を許可する音声送信制御部とを備えていることを特徴とするカラオケ装置。
【請求項2】
前記音声送信制御部は、前記カラオケ演奏部がカラオケ演奏を行っていない状態であり、かつ前記他機状態判断部の判断の結果、前記他のカラオケ装置がカラオケ演奏を行っている状態である場合には、前記音声送信部による前記音声データの前記他のカラオケ装置への送信を禁止し、前記カラオケ演奏部がカラオケ演奏を行っている状態であり、かつ前記他機状態判断部の判断の結果、前記他のカラオケ装置がカラオケ演奏を行っていない状態である場合には、前記音声送信部による前記音声データの前記他のカラオケ装置への送信を許可することを特徴とする請求項1に記載のカラオケ装置。
【請求項3】
前記カラオケ演奏部と前記他のカラオケ装置とが同一の楽曲を同時にカラオケ演奏する制御を行う同時演奏制御部を備え、
前記音声送信制御部は、前記同時演奏制御部の制御により前記カラオケ演奏部と前記他のカラオケ装置とが同一の楽曲を同時にカラオケ演奏する場合には、前記演奏音声信号に対応する音声データを前記音声送信部が前記他のカラオケ装置へ送信することを禁止し、かつ前記集音音声信号に対応する音声データを前記音声送信部が前記他のカラオケ装置へ送信することを許可することを特徴とする請求項1または2に記載のカラオケ装置。
【請求項4】
他のカラオケ装置と通信可能なカラオケ装置であって、
カラオケ演奏を行い、当該カラオケ演奏の音声信号を演奏音声信号として出力するカラオケ演奏部と、
音声を集音し、当該集音した音声の信号を集音音声信号として出力する集音部と、
前記他のカラオケ装置により行われたカラオケ演奏の音声信号および前記他のカラオケ装置により集音された音声の音声信号に対応する他機音声データを前記他のカラオケ装置から受信する音声受信部と、
前記カラオケ演奏部から出力された前記演奏音声信号に対応する音声、前記集音部から出力された前記集音音声信号に対応する音声、および前記音声受信部により受信された前記他機音声データに対応する音声を放音する放音部と、
前記カラオケ演奏部によるカラオケ演奏が開始されたとき、前記カラオケ演奏部によるカラオケ演奏が開始されたことを示す自機演奏開始情報を前記他のカラオケ装置へ送信し、前記カラオケ演奏部によるカラオケ演奏が終了したとき、前記カラオケ演奏部によるカラオケ演奏が終了したことを示す自機演奏終了情報を前記他のカラオケ装置へ送信する情報送信部と、
前記他のカラオケ装置によるカラオケ演奏が開始されたことを示す他機演奏開始情報を前記他のカラオケ装置から受信し、前記他のカラオケ装置によるカラオケ演奏が終了したことを示す他機演奏終了情報を前記他のカラオケ装置から受信する情報受信部と、
前記情報受信部により受信された前記他機演奏開始情報および前記他機演奏終了情報に基づいて、前記他のカラオケ装置がカラオケ演奏を行っている状態であるか否かを判断する他機状態判断部と、
前記カラオケ演奏部がカラオケ演奏を行っている状態であり、かつ前記他機状態判断部の判断の結果、前記他のカラオケ装置がカラオケ演奏を行っている状態である場合には、前記放音部による前記他機音声データに対応する音声の放音を禁止し、前記カラオケ演奏部がカラオケ演奏を行っていない状態であり、かつ前記他機状態判断部の判断の結果、前記他のカラオケ装置がカラオケ演奏を行っていない状態である場合には、前記放音部による前記他機音声データに対応する音声の放音を許可する放音制御部とを備えていることを特徴とするカラオケ装置。
【請求項5】
前記放音制御部が前記他機音声データに対応する音声の放音を禁止から許可に切り替え、これに応じて前記放音部が前記他機音声データに対応する音声の放音を開始または再開する場合、前記放音制御部または前記放音部は前記他機音声データに対応する音声をフェードインさせることを特徴とする請求項4に記載のカラオケ装置。
【請求項6】
相互に通信可能に接続された請求項1に記載の複数のカラオケ装置、または相互に通信可能に接続された請求項4に記載の複数のカラオケ装置を備えたカラオケシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、他のカラオケ装置と相互に通信可能なカラオケ装置、および相互に通信可能な複数のカラオケ装置を備えたカラオケシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、下記の特許文献1に記載されているように、互いに離れた場所にいる複数の利用者が、それら利用者が所持している楽器からそれぞれ出力される音声データを、インターネット等の通信ネットワークを利用して送受信し合うことにより、リアルタイムで合奏をすることができる技術が知られている。この技術によれば、例えば、互いに離れた場所にいる利用者U1およびU2はそれぞれ、利用者U1の楽器からの音声と利用者U2の楽器からの音声との双方を同時に聴くことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
例えば、上述したような技術を利用することにより、互いに離れた場所に設置されたカラオケ装置間で、カラオケ演奏およびカラオケ歌唱等の音声データを通信ネットワークを利用して送受信し合うことにより、互いに離れた場所にいる複数の利用者がリアルタイムで一緒にカラオケを楽しむことができるカラオケシステムを実現することができるものと考えられる。しかしながら、このようなカラオケシステムを実現するに当たり、次のような問題がある。
【0005】
例えば、互いに離れた場所にいる複数の利用者U1およびU2が上記技術を利用して楽器で合奏を行う場合、その目的は利用者U1およびU2が互いに同一の楽曲を合奏することであるので、基本的には、利用者U1およびU2のそれぞれが、利用者U1の楽器からの音声と利用者U2の楽器からの音声との双方を同時に聴くことができる状態、すなわち、利用者U1と利用者U2とで各楽器からの音声を共有する状態が継続的に形成されれば、それで十分であると考えられる。
【0006】
ところが、例えば、それぞれ複数の利用者からなる2つのグループG1およびG2が互いに離れた別々のカラオケルーム内にそれぞれ入り、これらグループG1およびG2が上記技術を利用して一緒にカラオケを楽しむ場合には、グループG1とグループG2とで、グループG1が利用しているカラオケ装置からの音声とグループG2が利用しているカラオケ装置からの音声とを共有する状態と、共有しない状態とを容易に切り替えることができるようにすることが望まれる。
【0007】
すなわち、グループG1およびG2にそれぞれ属する利用者が一緒にカラオケを楽しむ態様には、例えば、グループG1に属する利用者とグループG2に属する利用者とがそれぞれ互いに談笑する態様もあれば、グループG1に属する一人の利用者とグループG2に属する一人の利用者とが一時的に並行して異なる楽曲を別々にカラオケ歌唱する態様もある。グループG1に属する利用者とグループG2に属する利用者とがそれぞれ互いに談笑する態様の場合、グループG1とグループG2とで各カラオケ装置からの音声を共有する状態を形成することが望ましい。一方、グループG1に属する一人の利用者とグループG2に属する一人の利用者とが一時的に並行して異なる楽曲を別々にカラオケ歌唱する態様の場合には、グループG1とグループG2とで各カラオケ装置からの音声を共有しない状態を形成することが望ましい。さらに、グループG1およびG2にそれぞれ属する利用者が一緒にカラオケを楽しむ間に、上記2つの態様が何度も切り替わることがある。各利用者は各カラオケ装置を操作し、カラオケ装置間における音声データの通信等のオン・オフを手動で切り替えることができる。しかしながら、上記2つの態様が切り替わるごとに、そのような手動操作を行うことは煩雑である。
【0008】
本発明は例えば上述したような問題に鑑みなされたものであり、本発明の課題は、互いに離れた場所にいる複数の利用者が一緒にカラオケを楽しむ態様の変化に応じて、複数の利用者がそれぞれの場所に設置されたカラオケ装置から出力される音声を共有する状態と共有しない状態とを容易に切り替えることができるカラオケ装置およびカラオケシステムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本発明の第1のカラオケ装置は、他のカラオケ装置と通信可能なカラオケ装置であって、カラオケ演奏を行い、当該カラオケ演奏の音声信号を演奏音声信号として出力するカラオケ演奏部と、音声を集音し、当該集音した音声の信号を集音音声信号として出力する集音部と、前記カラオケ演奏部から出力された前記演奏音声信号および前記集音部から出力された前記集音音声信号に対応する音声データを前記他のカラオケ装置へ送信する音声送信部と、前記カラオケ演奏部によるカラオケ演奏が開始されたとき、前記カラオケ演奏部によるカラオケ演奏が開始されたことを示す自機演奏開始情報を前記他のカラオケ装置へ送信し、前記カラオケ演奏部によるカラオケ演奏が終了したとき、前記カラオケ演奏部によるカラオケ演奏が終了したことを示す自機演奏終了情報を前記他のカラオケ装置へ送信する情報送信部と、前記他のカラオケ装置によるカラオケ演奏が開始されたことを示す他機演奏開始情報を前記他のカラオケ装置から受信し、前記他のカラオケ装置によるカラオケ演奏が終了したことを示す他機演奏終了情報を前記他のカラオケ装置から受信する情報受信部と、前記情報受信部により受信された前記他機演奏開始情報および前記他機演奏終了情報に基づいて、前記他のカラオケ装置がカラオケ演奏を行っている状態であるか否かを判断する他機状態判断部と、前記カラオケ演奏部がカラオケ演奏を行っている状態であり、かつ前記他機状態判断部の判断の結果、前記他のカラオケ装置がカラオケ演奏を行っている状態である場合には、前記音声送信部による前記音声データの前記他のカラオケ装置への送信を禁止し、前記カラオケ演奏部がカラオケ演奏を行っていない状態であり、かつ前記他機状態判断部の判断の結果、前記他のカラオケ装置がカラオケ演奏を行っていない状態である場合には、前記音声送信部による前記音声データの前記他のカラオケ装置への送信を許可する音声送信制御部とを備えていることを特徴とする。
【0010】
また、上記本発明の第1のカラオケ装置において、前記音声送信制御部は、前記カラオケ演奏部がカラオケ演奏を行っていない状態であり、かつ前記他機状態判断部の判断の結果、前記他のカラオケ装置がカラオケ演奏を行っている状態である場合には、前記音声送信部による前記音声データの前記他のカラオケ装置への送信を禁止し、前記カラオケ演奏部がカラオケ演奏を行っている状態であり、かつ前記他機状態判断部の判断の結果、前記他のカラオケ装置がカラオケ演奏を行っていない状態である場合には、前記音声送信部による前記音声データの前記他のカラオケ装置への送信を許可するようにしてもよい。
【0011】
また、上記本発明の第1のカラオケ装置において、前記カラオケ演奏部と前記他のカラオケ装置とが同一の楽曲を同時にカラオケ演奏する制御を行う同時演奏制御部を備え、前記音声送信制御部は、前記同時演奏制御部の制御により前記カラオケ演奏部と前記他のカラオケ装置とが同一の楽曲を同時にカラオケ演奏する場合には、前記音声送信部が前記演奏音声信号に対応する音声データを前記他のカラオケ装置へ送信することを禁止し、かつ前記音声送信部が前記集音音声信号に対応する音声データを前記他のカラオケ装置へ送信することを許可するようにしてもよい。
【0012】
また、上記課題を解決するために、本発明の第2のカラオケ装置は、他のカラオケ装置と通信可能なカラオケ装置であって、カラオケ演奏を行い、当該カラオケ演奏の音声信号を演奏音声信号として出力するカラオケ演奏部と、音声を集音し、当該集音した音声の信号を集音音声信号として出力する集音部と、前記他のカラオケ装置により行われたカラオケ演奏の音声信号および前記他のカラオケ装置により集音された音声の音声信号に対応する他機音声データを前記他のカラオケ装置から受信する音声受信部と、前記カラオケ演奏部から出力された前記演奏音声信号に対応する音声、前記集音部から出力された前記集音音声信号に対応する音声、および前記音声受信部により受信された前記他機音声データに対応する音声を放音する放音部と、前記カラオケ演奏部によるカラオケ演奏が開始されたとき、前記カラオケ演奏部によるカラオケ演奏が開始されたことを示す自機演奏開始情報を前記他のカラオケ装置へ送信し、前記カラオケ演奏部によるカラオケ演奏が終了したとき、前記カラオケ演奏部によるカラオケ演奏が終了したことを示す自機演奏終了情報を前記他のカラオケ装置へ送信する情報送信部と、前記他のカラオケ装置によるカラオケ演奏が開始されたことを示す他機演奏開始情報を前記他のカラオケ装置から受信し、前記他のカラオケ装置によるカラオケ演奏が終了したことを示す他機演奏終了情報を前記他のカラオケ装置から受信する情報受信部と、前記情報受信部により受信された前記他機演奏開始情報および前記他機演奏終了情報に基づいて、前記他のカラオケ装置がカラオケ演奏を行っている状態であるか否かを判断する他機状態判断部と、前記カラオケ演奏部がカラオケ演奏を行っている状態であり、かつ前記他機状態判断部の判断の結果、前記他のカラオケ装置がカラオケ演奏を行っている状態である場合には、前記放音部による前記他機音声データに対応する音声の放音を禁止し、前記カラオケ演奏部がカラオケ演奏を行っていない状態であり、かつ前記他機状態判断部の判断の結果、前記他のカラオケ装置がカラオケ演奏を行っていない状態である場合には、前記放音部による前記他機音声データに対応する音声の放音を許可する放音制御部とを備えていることを特徴とする。
【0013】
また、上記本発明の第2のカラオケ装置において、前記放音制御部が前記他機音声データに対応する音声の放音を禁止から許可に切り替え、これに応じて前記放音部が前記他機音声データに対応する音声の放音を開始または再開する場合、前記放音制御部または前記放音部は前記他機音声データに対応する音声をフェードインさせるようにしてもよい。
【0014】
上記課題を解決するために、本発明のカラオケシステムは、相互に通信可能な複数の上記本発明の第1のカラオケ装置、または相互に通信可能な複数の上記本発明の第2のカラオケ装置を備えている。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、互いに離れた場所にいる複数の利用者が一緒にカラオケを楽しむ態様の変化に応じて、複数の利用者がそれぞれの場所に設置されたカラオケ装置から出力される音声を共有する状態と共有しない状態とを容易に切り替えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明の第1の実施形態のカラオケ装置を含むカラオケシステムの構成を示すブロック図である。
【
図2】本発明の第1の実施形態のカラオケ装置の構成を示すブロック図である。
【
図3】本発明の第1の実施形態のカラオケ装置における自機ステータス情報および他機ステータス情報の設定並びに音声データの送信に関する処理を示すフローチャートである。
【
図4】本発明の第1の実施形態のカラオケ装置における音声送信制御処理を示すフローチャートである。
【
図5】本発明の第1の実施形態において、カラオケシステムを構成する2機のカラオケ装置の状態と音声送信の禁止・許可との関係を示す表である。
【
図6】本発明の第2の実施形態のカラオケ装置における音声送信制御処理を示すフローチャートである。
【
図7】本発明の第2の実施形態において、カラオケシステムを構成する2機のカラオケ装置の状態と音声送信の禁止・許可との関係を示す表である。
【
図8】本発明の第3の実施形態のカラオケ装置の構成を示すブロック図である。
【
図9】本発明の第3の実施形態のカラオケ装置における音声送信制御処理を示すフローチャートである。
【
図10】本発明の第4の実施形態のカラオケ装置の構成を示すブロック図である。
【
図11】本発明の第4の実施形態のカラオケ装置における音声送信制御処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
(第1の実施形態)
[カラオケシステム]
図1は本発明の第1の実施形態のカラオケ装置が適用されたカラオケシステム1を示している。
図1に示すように、カラオケシステム1は、2機のカラオケ装置A、Bと、映像通信用サーバ装置2と、これらカラオケ装置A、Bおよび映像通信用サーバ装置2をそれぞれ相互に通信可能に接続する例えばインターネット等の通信ネットワーク3とを備えている。2機のカラオケ装置A、Bはそれぞれ互いに離れた場所に設けられている。例えば、カラオケ装置A、Bはそれぞれ別々のカラオケルーム内に設置されている。カラオケ装置A、Bは、両者間で、音声データ、映像データ、および他の情報の通信を相互に行う。なお、他の情報とは、後述する演奏開始情報、演奏終了情報等である。また、カラオケ装置A、Bは、両者間で、音声データおよび他の情報については、ピア・トゥ・ピア方式により相互に通信を行い、映像データについては、映像通信用サーバ装置2を介してサーバ・クライアント方式により相互に通信を行う。
【0018】
[カラオケ装置の構成]
2機のカラオケ装置A、Bは互いに同一の構成を有し、それぞれが本発明の第1の実施形態のカラオケ装置である。以下、カラオケ装置Aの構成について説明する。
【0019】
図2はカラオケ装置Aの構成を示している。
図2に示すように、カラオケ装置Aは、カラオケ演奏部11、集音部12、放音部16、撮影部19、表示部20、通信接続制御回路21、記憶部22および制御部23を備えている。
【0020】
カラオケ演奏部11は、シンセサイザを備え、例えばMIDI(Musical Instrument Digital Interface)等の規格による楽曲データに基づいてカラオケ演奏を行う。カラオケ演奏部11は、カラオケ演奏のデジタル音声信号を演奏音声信号として放音部16および制御部23に出力する。
【0021】
集音部12は、歌唱用マイクロフォン13、周囲音収集用マイクロフォン14および音声入力回路15を備えている。歌唱用マイクロフォン13は、利用者(歌唱者)のカラオケ歌唱を集音するマイクロフォンである。周囲音収集用マイクロフォン14は、例えばカラオケ装置Aが設置されたカラオケルーム内の音、具体的には、カラオケルーム内にいる複数の利用者の会話音声等を集音するマイクロフォンである。音声入力回路15は、歌唱用マイクロフォン13により集音された音声のアナログ音声信号、および周囲音収集用マイクロフォン14により集音された音声のアナログ音声信号をデジタル音声信号に変換した上で混合する機能を有している。また、集音部12は、歌唱用マイクロフォン13および周囲音収集用マイクロフォン14により集音された利用者のカラオケ歌唱および会話等の音声のデジタル音声信号を集音音声信号として放音部16および制御部23に出力する。
【0022】
放音部16は、音声出力回路17およびスピーカ18を備えている。音声出力回路17はデジタル音声信号をアナログ音声信号に変換し、変換したアナログ音声信号をスピーカ18へ出力する機能を有している。放音部16は、カラオケ演奏部11から出力された演奏音声信号に対応する音声、集音部12から出力された集音音声信号に対応する音声、およびカラオケ装置Bから送信され、カラオケ装置Aの音声通信部25により受信された音声データに対応する音声等を、カラオケ装置Aが設置されたカラオケルーム内に放音する。
【0023】
撮影部19は例えばカメラである。撮影部19は、カラオケ装置Aを利用してカラオケ歌唱を行う利用者等を撮影し、その映像信号を制御部23に出力する。表示部20は例えば大画面を有するディスプレイ装置である。表示部20は、撮影部19により撮影された映像、楽曲の歌詞、およびカラオケ装置Bから送信され、映像通信部30により受信された映像データに対応する映像等を表示する。
【0024】
通信接続制御回路21は、カラオケ装置Aがカラオケ装置Bおよび映像通信用サーバ装置2と相互に通信可能となるように、カラオケ装置Aを通信ネットワーク3に接続する回路であり、例えば、モデムまたは光回線終端装置等である。
【0025】
記憶部22は、各種情報、データ、プログラム等を記憶する装置であり、例えば半導体メモリまたはハードディスクドライブ等である。
【0026】
制御部23は、中央演算処理装置(CPU)、画像処理装置(GPU)、主記憶メモリ等を備え、カラオケ装置Aにおける種々の制御を行う。制御部23には、カラオケ演奏部11、集音部12、放音部16、撮影部19、表示部20、通信接続制御回路21および記憶部22が接続されている。また、制御部23は、例えば記憶部22に記憶されたコンピュータプログラムを読み取って実行することにより、総合制御部24、音声通信部25、情報通信部26、状態判断部27、音声送信制御部28、映像制御部29および映像通信部30として機能する。
【0027】
総合制御部24は、カラオケ装置Aにおけるプロセス管理、ユーザインタフェースの構築・制御、およびカラオケ装置Aが取り扱う情報およびデータの管理等を行う機能を有している。
【0028】
音声通信部25は、カラオケ演奏部11から出力された演奏音声信号、および集音部12から出力された集音音声信号に対応する音声データをカラオケ装置Bへ送信する機能を有している。具体的に説明すると、カラオケ装置Aにおいて、カラオケ演奏部11によりカラオケ演奏が行われているとき、カラオケ演奏部11から演奏音声信号が出力される。また、利用者がカラオケ歌唱を行っているとき、集音部12から集音音声信号が出力される。また、カラオケ装置Aが設置されたカラオケルーム内の利用者の会話音声等も集音音声信号として集音部12から出力される。音声通信部25は、カラオケ演奏部11から出力された演奏音声信号を受け取り、また、集音部12から出力された集音音声信号を受け取り、これら演奏音声信号および集音音声信号を含む音声データを通信接続制御回路21および通信ネットワーク3を介してカラオケ装置Bへ送信する。
【0029】
また、音声通信部25は、カラオケ装置Bから送信された音声データ(他機音声データ)を受信する機能を有している。具体的に説明すると、カラオケ装置Aと同一の構成を有するカラオケ装置Bは、カラオケ装置Bにより行われたカラオケ演奏の演奏音声信号、およびカラオケ装置Bにより集音された音声の集音音声信号に対応する音声データをカラオケ装置Bからカラオケ装置Aへ送信する。カラオケ装置Aの音声通信部25は、カラオケ装置Bから送信された音声データを通信ネットワーク3および通信接続制御回路21を介して受信する。そして、音声通信部25は、受信した音声データに含まれる演奏音声信号および集音音声信号を放音部16に出力する。放音部16は、音声通信部25から出力された演奏音声信号に対応する音声および集音音声信号に対応する音声を、カラオケ装置Aが設置されたカラオケルーム内に放音する。これにより、カラオケ装置Bにより行われたカラオケ演奏の音声、並びにカラオケ装置Bにより集音されたカラオケ歌唱の音声およびカラオケ装置Bが設置されたカラオケルーム内の会話音声が、カラオケ装置Aの放音部16から、カラオケ装置Aが設置されたカラオケルーム内に放音される。なお、音声通信部25は音声送信部および音声受信部の具体例である。
【0030】
情報通信部26は、カラオケ演奏部11によるカラオケ演奏が開始されたとき、カラオケ演奏部11によるカラオケ演奏が開始されたこと、すなわち、カラオケ装置Aによるカラオケ演奏が開始されたことを示す演奏開始情報(自機演奏開始情報)を、通信接続制御回路21および通信ネットワーク3を介してカラオケ装置Bへ送信する。また、情報通信部26は、カラオケ演奏部11によるカラオケ演奏が終了したとき、カラオケ演奏部11によるカラオケ演奏が終了したこと、すなわち、カラオケ装置Aによるカラオケ演奏が終了したことを示す演奏終了情報(自機演奏終了情報)を、通信接続制御回路21および通信ネットワーク3を介してカラオケ装置Bへ送信する。
【0031】
また、情報通信部26は、カラオケ装置Bから送信された演奏開始情報(他機演奏開始情報)および演奏終了情報(他機演奏終了情報)を受信する。すなわち、カラオケ装置Aと同一の構成を有するカラオケ装置Bは、カラオケ装置Bによるカラオケ演奏が開始されたとき、カラオケ装置Bによるカラオケ演奏が開始されたことを示す演奏開始情報をカラオケ装置Aに送信し、カラオケ装置Bによるカラオケ演奏が終了したとき、カラオケ装置Bによるカラオケ演奏が終了したことを示す演奏終了情報をカラオケ装置Aに送信する。情報通信部26は、これら演奏開始情報および演奏終了情報を、通信ネットワーク3および通信接続制御回路21を介して受信する。なお、情報通信部26は情報送信部および情報受信部の具体例である。
【0032】
状態判断部27は、カラオケ演奏部11によるカラオケ演奏が開始されたこと、およびカラオケ演奏部11によるカラオケ演奏が終了したことに基づいて、カラオケ装置Aがカラオケ演奏を行っている状態になったか、カラオケ演奏を行っていない状態になったかを判断する。以下、カラオケ演奏を行っている状態を「演奏状態」といい、カラオケ演奏を行っていない状態を「演奏停止状態」という。具体的に説明すると、状態判断部27は、制御部23によるカラオケ演奏部11の制御状況またはカラオケ演奏部11の動作に基づいて、カラオケ演奏部11によるカラオケ演奏が開始されたか否かを認識し、カラオケ演奏部11によるカラオケ演奏が開始されたときに、カラオケ装置Aが演奏状態になったと判断する。また、状態判断部27は、制御部23によるカラオケ演奏部11の制御状況またはカラオケ演奏部11の動作に基づいて、カラオケ演奏部11によるカラオケ演奏が終了したか否かを認識し、カラオケ演奏部11によるカラオケ演奏が終了したときに、カラオケ装置Aが演奏停止状態になったと判断する。
【0033】
また、状態判断部27は、カラオケ装置Bから送信され、情報通信部26により受信された演奏開始情報および演奏終了情報に基づいて、カラオケ装置Bが演奏状態になったか、演奏停止状態になったかを判断する。具体的には、状態判断部27は、演奏開始情報がカラオケ装置Bから送信されて情報通信部26により受信されたとき、カラオケ装置Bが演奏状態になったと判断する。また、状態判断部27は、演奏終了情報がカラオケ装置Bから送信されて情報通信部26により受信されたとき、カラオケ装置Bが演奏停止状態になったと判断する。
【0034】
また、記憶部22には、カラオケ装置Aが演奏状態であるか演奏停止状態であるかを示す自機ステータス情報、およびカラオケ装置Bが演奏状態であるか演奏停止状態であるかを示す他機ステータス情報が記憶されている。状態判断部27は、カラオケ装置Aが演奏状態になったと判断したとき、自機ステータス情報を「演奏状態」に設定し、カラオケ装置Aが演奏停止状態になったと判断したとき、自機ステータス情報を「演奏停止状態」に設定する。また、状態判断部27は、カラオケ装置Bが演奏状態になったと判断したとき、他機ステータス情報を「演奏状態」に設定し、カラオケ装置Bが演奏停止状態になったと判断したとき、他機ステータス情報を「演奏停止状態」に設定する。
【0035】
音声送信制御部28は、記憶部22に記憶された自機ステータス情報および他機ステータス情報に基づいて、カラオケ装置Aが演奏状態であるか、演奏停止状態であるか、およびカラオケ装置Bが演奏状態であるか、演奏停止状態であるかを判断し、その判断結果に基づいて、音声通信部25によるカラオケ装置Aからカラオケ装置Bへの音声データの送信を許可するか、禁止するかを決定する。具体的には、音声送信制御部28は、カラオケ装置Aが演奏状態であり、かつカラオケ装置Bが演奏状態である場合には、音声通信部25によるカラオケ装置Aからカラオケ装置Bへの音声データの送信を禁止する。また、音声送信制御部28は、カラオケ装置Aが演奏状態であり、かつカラオケ装置Bが演奏停止状態である場合には、音声通信部25によるカラオケ装置Aからカラオケ装置Bへの音声データの送信を許可する。また、音声送信制御部28は、カラオケ装置Aが演奏停止状態であり、かつカラオケ装置Bが演奏状態である場合には、音声通信部25によるカラオケ装置Aからカラオケ装置Bへの音声データの送信を許可する。また、音声送信制御部28は、カラオケ装置Aが演奏停止状態であり、かつカラオケ装置Bが演奏停止状態である場合には、音声通信部25によるカラオケ装置Aからカラオケ装置Bへの音声データの送信を許可する。
【0036】
映像制御部29は、撮影部19により撮影された利用者の映像、楽曲の歌詞、およびカラオケ装置Bから送信されて映像通信部30により受信された映像データに対応する映像を表示部20の画面に表示するために、これらの映像を重ね合わせる処理、またはこれらの映像を切り替える処理等を行う。映像通信部30は、撮影部19により撮影された利用者の映像に対応する映像データをカラオケ装置Bに送信し、また、カラオケ装置Bから送信された映像データを受信する。映像制御部29および映像通信部30により、カラオケ装置Bから送信された映像データに対応する映像が、カラオケ装置Aの表示部20に表示される。これにより、例えば、カラオケ装置Aの利用者は、カラオケ装置Bが設置されたカラオケルーム内においてカラオケ歌唱をする他の利用者の姿を、カラオケ装置Aが設置されたカラオケルーム内で見ることができる。
【0037】
[カラオケ装置における処理]
図3は、カラオケ装置Aにおける、自機ステータス情報および他機ステータス情報の設定並びに音声データの送信に関する処理のメインルーチン(以下、これを「メイン処理」という。)を示している。
図4はそのメイン処理において実行されるサブルーチンである音声送信制御処理を示している。なお、
図3および
図4、並びに後の
図5において、「装置A」はカラオケ装置Aを指し、「装置B」はカラオケ装置Bを指す。
【0038】
メイン処理は、2機のカラオケ装置AおよびBがいずれも作動している状態であるときに実行される処理である。例えば、グループG1に属する複数の利用者が、カラオケ装置Aが設置されているカラオケルーム内に入り、カラオケ装置Aの利用を開始し、かつグループG2に属する複数の利用者が、カラオケ装置Bが設置されているカラオケルーム内に入り、カラオケ装置Bの利用を開始したとき、
図3に示すメイン処理が、2機のカラオケ装置AおよびBの双方において開始される。
【0039】
カラオケ装置A、Bのそれぞれにおいてメイン処理が開始されると、
図3において、まず、カラオケ装置Aとカラオケ装置Bとの間において通信が開始される(ステップS1)。
【0040】
以下、カラオケ装置Aにおけるメイン処理を中心に説明する。カラオケ装置Aとカラオケ装置Bとの間において通信が開始された後、カラオケ装置Aの状態判断部27は、自機ステータス情報および他機ステータス情報の双方を「演奏停止状態」に設定する(ステップS2)。続いて、音声通信部25は、カラオケ装置Aからカラオケ装置Bへの音声データの送信を開始する(ステップS3)。
【0041】
続いて、状態判断部27は、カラオケ演奏部11によるカラオケ演奏が開始されたか否かを判断する(ステップS4)。カラオケ演奏部11によるカラオケ演奏が開始されたとき(ステップS4:YES)、状態判断部27は、カラオケ装置Aが演奏状態になったと判断し、自機ステータス情報を「演奏状態」に設定する(ステップS5)。また、カラオケ演奏部11によるカラオケ演奏が開始されたとき、情報通信部26が、カラオケ装置Aによるカラオケ演奏が開始されたことを示す演奏開始情報をカラオケ装置Bへ送信する(ステップS6)。さらに、カラオケ演奏部11によるカラオケ演奏が開始され、状態判断部27により自機ステータス情報が「演奏状態」に設定された後、音声送信制御部28および音声通信部25が音声送信制御処理を実行する(ステップS7)。
【0042】
ここで、
図4を用いて、音声送信制御処理について説明する。音声送信制御処理は、音声送信制御部28が、カラオケ装置Aが演奏状態であるか、演奏停止状態であるか、およびカラオケ装置Bが演奏状態であるか、演奏停止状態であるかに基づいて、カラオケ装置Aからカラオケ装置Bへの音声データの送信を許可するか、禁止するかを決定し、カラオケ装置Aからカラオケ装置Bへの音声データの送信を許可する場合には、カラオケ装置Aからカラオケ装置Bへの音声データの送信を開始または再開するように音声通信部25を制御し、カラオケ装置Aからカラオケ装置Bへの音声データの送信を禁止する場合には、カラオケ装置Aからカラオケ装置Bへの音声データの送信を停止するように音声通信部25を制御する処理である。
【0043】
具体的には、
図4において、音声送信制御部28は、記憶部22に記憶されている自機ステータス情報および他機ステータス情報を参照し、自機ステータス情報が「演奏状態」であり、かつ他機ステータス情報が「演奏状態」である場合(ステップS21:YES、かつステップS22:YES)、カラオケ装置Aからカラオケ装置Bへの音声データの送信を停止するように(すでに停止している場合には停止を継続するように)、音声通信部25を制御する(ステップS23)。
【0044】
一方、音声送信制御部28は、自機ステータス情報が「演奏状態」でない場合、または他機ステータス情報が「演奏状態」でない場合には(ステップS21:NO、またはステップS22:NO)、カラオケ装置Aからカラオケ装置Bへの音声データの送信を開始または再開するように(すでに送信している場合には送信を継続するように)、音声通信部25を制御する(ステップS24)。
【0045】
一方、
図3中のステップS4において、カラオケ演奏部11によるカラオケ演奏が開始されたか否かを状態判断部27が判断した結果、カラオケ演奏部11によるカラオケ演奏が開始されていないとき(ステップS4:NO)、総合制御部24は、ステップS5、S6およびS7を実行せずに、処理をステップS4からステップS8へ直接移行させる。
【0046】
続いて、状態判断部27は、カラオケ演奏部11によるカラオケ演奏が終了したか否かを判断する(ステップS8)。カラオケ演奏部11によるカラオケ演奏が終了したとき(ステップS8:YES)、状態判断部27は、カラオケ装置Aが演奏停止状態になったと判断し、自機ステータス情報を「演奏停止状態」に設定する(ステップS9)。また、カラオケ演奏部11によるカラオケ演奏が終了したとき、情報通信部26が、カラオケ装置Aによるカラオケ演奏が終了したことを示す演奏終了情報をカラオケ装置Bへ送信する(ステップS10)。さらに、カラオケ演奏部11によるカラオケ演奏が終了し、状態判断部27により自機ステータス情報が「演奏停止状態」に設定された後、音声送信制御部28および音声通信部25が
図4に示す音声送信制御処理を実行する(ステップS11)。
【0047】
一方、
図3中のステップS8において、カラオケ演奏部11によるカラオケ演奏が終了したか否かを状態判断部27が判断した結果、カラオケ演奏部11によるカラオケ演奏が終了していないとき(ステップS8:NO)、総合制御部24は、ステップS9、S10およびS11を実行せずに、処理をステップS8からステップS12へ直接移行させる。
【0048】
続いて、状態判断部27は、演奏開始情報がカラオケ装置Bから送信されて情報通信部26により受信されたか否かを判断する(ステップS12)。演奏開始情報が情報通信部26により受信されたとき(ステップS12:YES)、状態判断部27は、カラオケ装置Bが演奏開始状態になったと判断し、他機ステータス情報を「演奏状態」に設定する(ステップS13)。そして、状態判断部27により他機ステータス情報が「演奏状態」に設定された後、音声送信制御部28および音声通信部25が
図4に示す音声送信制御処理を実行する(ステップS14)。
【0049】
一方、
図3中のステップS12において、演奏開始情報が情報通信部26により受信されたか否かを判断した結果、演奏開始情報が情報通信部26により受信されていないとき(ステップS12:NO)、総合制御部24は、ステップS13およびS14を実行せずに、処理をステップS12からステップS15へ直接移行させる。
【0050】
続いて、状態判断部27は、演奏終了情報がカラオケ装置Bから送信されて情報通信部26により受信されたか否かを判断する(ステップS15)。演奏終了情報が情報通信部26により受信されたとき(ステップS15:YES)、状態判断部27は、カラオケ装置Bが演奏停止状態になったと判断し、他機ステータス情報を「演奏停止状態」に設定する(ステップS16)。そして、状態判断部27により他機ステータス情報が「演奏停止状態」に設定された後、音声送信制御部28および音声通信部25が
図4に示す音声送信制御処理を実行する(ステップS17)。
【0051】
一方、
図3中のステップS15において、演奏終了情報が情報通信部26により受信されたか否かを判断した結果、演奏終了情報が情報通信部26により受信されていないとき(ステップS15:NO)、総合制御部24は、ステップS16およびS17を実行せずに、処理をステップS15からステップS4へ移行させる。以上のメイン処理は、カラオケ装置Aおよびカラオケ装置Bが作動している間、継続される。
【0052】
以上説明した通り、本発明の第1の実施形態のカラオケ装置Aは、カラオケ装置Aによるカラオケ演奏が開始されたとき演奏開始情報をカラオケ装置Aからカラオケ装置Bへ送信し、カラオケ装置Aによるカラオケ演奏が終了したとき演奏終了情報をカラオケ装置Aからカラオケ装置Bへ送信すると共に、カラオケ装置Bから送信された演奏開始情報および演奏終了情報を受信する情報通信部26と、カラオケ演奏部11によるカラオケ演奏の開始および終了に基づいて、カラオケ装置Aが演奏状態であるか、演奏停止状態であるかを判断すると共に、カラオケ装置Bから送信された演奏開始情報および演奏終了情報に基づいて、カラオケ装置Bが演奏状態であるか、演奏停止状態であるかを判断する状態判断部27と、状態判断部27による判断結果を示す自機ステータス情報および他機ステータス情報に基づいて、カラオケ装置Aが演奏状態であるか、演奏停止状態であるか、およびカラオケ装置Bが演奏状態であるか、演奏停止状態であるかを判断し、その判断結果に基づいて、音声通信部25によるカラオケ装置Aからカラオケ装置Bへの音声データの送信を許可するか、禁止するかを決定する音声送信制御部28とを備えている。
【0053】
同様に、本発明の第1の実施形態のカラオケ装置Bは、カラオケ装置Bによるカラオケ演奏が開始されたとき演奏開始情報をカラオケ装置Bからカラオケ装置Aへ送信し、カラオケ装置Bによるカラオケ演奏が終了したとき演奏終了情報をカラオケ装置Bからカラオケ装置Aへ送信すると共に、カラオケ装置Aから送信された演奏開始情報および演奏終了情報を受信する情報通信部26と、カラオケ演奏部11によるカラオケ演奏の開始および終了に基づいて、カラオケ装置Bが演奏状態であるか、演奏停止状態であるかを判断すると共に、カラオケ装置Aから送信された演奏開始情報および演奏終了情報に基づいて、カラオケ装置Aが演奏状態であるか、演奏停止状態であるかを判断する状態判断部27と、状態判断部27による判断結果を示す自機ステータス情報および他機ステータス情報に基づいて、カラオケ装置Bが演奏状態であるか、演奏停止状態であるか、およびカラオケ装置Aが演奏状態であるか、演奏停止状態であるかを判断し、その判断結果に基づいて、音声通信部25によるカラオケ装置Bからカラオケ装置Aへの音声データの送信を許可するか、禁止するかを決定する音声送信制御部28とを備えている。
【0054】
このような構成を備えた本実施形態のカラオケ装置AおよびBによれば、互いに離れた場所にいる複数の利用者が一緒にカラオケを楽しむ態様の変化に応じて、複数の利用者がそれぞれの場所に設置されたカラオケ装置AおよびBから出力される音声を共有する状態と共有しない状態とを自動的に切り替えることができる。
【0055】
この本実施形態のカラオケ装置AおよびBの作用効果につき、
図5を用いて説明する。例えば、互いに離れた場所に、カラオケ装置Aが設置されたカラオケルームR1と、カラオケ装置Bが設置されたカラオケルームR2があり、グループG1に属する複数の利用者Pa、Pb、…がカラオケルームR1内に入り、グループG2に属する複数の利用者Qa、Qb、…がカラオケルームR2内に入り、グループG1に属する複数の利用者Pa、Pb、…とグループG2に属する複数の利用者Qa、Qb、…とが一緒にカラオケを楽しむとする。この場合、グループG1およびG2にそれぞれ属する利用者が一緒にカラオケを楽しむ態様として、例えば、
(I)カラオケ歌唱の合間などにグループG1、G2にそれぞれ属する利用者同士がカラオケルームR1、R2を跨いで談笑する態様、
(II)カラオケルームR1内において、グループG1に属する一人の利用者Paがカラオケ歌唱を行い、カラオケルームR1内におけるグループG1に属する他の利用者、およびカラオケルームR2内におけるグループG2に属するすべての利用者が、利用者Paのカラオケ歌唱を鑑賞する態様、
(III)カラオケルームR2内において、グループG2に属する一人の利用者Qaがカラオケ歌唱を行い、カラオケルームR2内におけるグループG2に属する他の利用者、およびカラオケルームR1内におけるグループG1に属するすべての利用者が、利用者Qaのカラオケ歌唱を鑑賞する態様、
(IV)カラオケルームR1内において、グループG1に属する一人の利用者Pbがカラオケ歌唱を行い、それと並行して、カラオケルームR2内において、グループG2に属する一人の利用者Qbが、利用者Paがカラオケ歌唱する楽曲とは異なる楽曲のカラオケ歌唱を行う態様がある。
【0056】
まず、(I)の態様では、カラオケ歌唱の合間などにグループG1、G2にそれぞれ属する利用者同士が談笑しているので、いずれのカラオケルーム内でもカラオケ歌唱が行われていない。したがって、この態様においては、カラオケ装置AおよびBはいずれも演奏停止状態である。このとき、
図5中の(I)に示すように、カラオケ装置Aの音声送信制御部28がカラオケ装置Aからカラオケ装置Bへの音声データの送信を許可し、かつカラオケ装置Bの音声送信制御部28がカラオケ装置Bからカラオケ装置Aへの音声データの送信を許可する。したがって、カラオケ装置Aからカラオケ装置Bへの音声データの送信と、カラオケ装置Bからカラオケ装置Aへの音声データの送信とがいずれも自動的に開始される。その結果、カラオケルームR2内におけるグループG2に属する各利用者の会話音声がカラオケ装置AによってカラオケルームR1内に放音されると共に、カラオケルームR1内におけるグループG1に属する各利用者の会話音声がカラオケ装置BによってカラオケルームR2内に放音される。よって、グループG1、G2にそれぞれ属する利用者はカラオケルームR1、R2を跨いで容易に談笑することができる。
【0057】
次に、(II)の態様では、カラオケルームR1内においては利用者Paがカラオケ歌唱を行っており、カラオケルームR2内においては誰もカラオケ歌唱を行っていないので、カラオケ装置Aは演奏状態であり、カラオケ装置Bは演奏停止状態である。このとき、
図5中の(II)に示すように、カラオケ装置Aの音声送信制御部28がカラオケ装置Aからカラオケ装置Bへの音声データの送信を許可し、かつカラオケ装置Bの音声送信制御部28がカラオケ装置Bからカラオケ装置Aへの音声データの送信を許可する。したがって、カラオケ装置Aからカラオケ装置Bへの音声データの送信と、カラオケ装置Bからカラオケ装置Aへの音声データの送信とがいずれも自動的に開始される。その結果、カラオケルームR1内における利用者Paのカラオケ歌唱の音声およびカラオケ装置Aによるカラオケ演奏の音声が、カラオケ装置AによってカラオケルームR1内に放音されると共に、カラオケ装置BによってカラオケルームR2内に放音される。さらに、カラオケルームR2内におけるグループG2に属する各利用者の相の手の音声がカラオケ装置AによってカラオケルームR1内に放音される。よって、利用者Paは、そのカラオケ歌唱を、カラオケルームR1内にいる利用者だけでなく、カラオケルームR2内にいる利用者にも聴かせることができ、また、カラオケルームR1内にいる利用者だけでなく、カラオケルームR2内にいる利用者も利用者Paのカラオケ歌唱を鑑賞し、または相の手を送ることができる。
【0058】
次に、(III)の態様では、カラオケルームR1内においては誰もカラオケ歌唱を行っておらず、カラオケルームR2内においては利用者Qaがカラオケ歌唱を行っているので、カラオケ装置Aは演奏停止状態であり、カラオケ装置Bは演奏状態である。このとき、
図5中の(III)に示すように、カラオケ装置Aの音声送信制御部28がカラオケ装置Aからカラオケ装置Bへの音声データの送信を許可し、かつカラオケ装置Bの音声送信制御部28がカラオケ装置Bからカラオケ装置Aへの音声データの送信を許可する。したがって、カラオケ装置Aからカラオケ装置Bへの音声データの送信と、カラオケ装置Bからカラオケ装置Aへの音声データの送信とがいずれも自動的に開始される。その結果、カラオケルームR2内における利用者Qaのカラオケ歌唱の音声およびカラオケ装置Bによるカラオケ演奏の音声が、カラオケ装置BによってカラオケルームR2内に放音されると共に、カラオケ装置AによってカラオケルームR1内に放音される。さらに、カラオケルームR1内におけるグループG1に属する各利用者の相の手の音声がカラオケ装置BによってカラオケルームR2内に放音される。よって、利用者Qaは、そのカラオケ歌唱を、カラオケルームR2内にいる利用者だけでなく、カラオケルームR1内にいる利用者にも聴かせることができ、また、カラオケルームR2内にいる利用者だけでなく、カラオケルームR1内にいる利用者も利用者Qaのカラオケ歌唱を鑑賞し、または相の手を送ることができる。
【0059】
次に、(IV)の態様では、カラオケルームR1内において利用者Pbがカラオケ歌唱を行い、それと並行して、カラオケルームR2内において利用者Qbが、利用者Pbがカラオケ歌唱している楽曲とは異なる楽曲のカラオケ歌唱を行っているので、カラオケ装置Aおよびカラオケ装置Bはいずれも演奏状態である。このとき、
図5中の(IV)に示すように、カラオケ装置Aの音声送信制御部28がカラオケ装置Aからカラオケ装置Bへの音声データの送信を禁止し、かつカラオケ装置Bの音声送信制御部28がカラオケ装置Bからカラオケ装置Aへの音声データの送信を禁止する。したがって、カラオケ装置Aからカラオケ装置Bへの音声データの送信と、およびカラオケ装置Bからカラオケ装置Aへの音声データの送信とがいずれも自動的に停止される。その結果、カラオケルームR1内における利用者Pbのカラオケ歌唱の音声、カラオケ装置Aによるカラオケ演奏の音声、およびカラオケルームR1内にいる利用者による相の手や会話の音声はいずれもカラオケルームR2内には放音されない。これと同時に、カラオケルームR2内における利用者Qbのカラオケ歌唱の音声、カラオケ装置Bによるカラオケ演奏の音声、およびカラオケルームR2内にいる利用者の相の手や会話の音声はいずれもカラオケルームR1内には放音されない。よって、利用者Pbは、カラオケルームR2内における音声に邪魔されることなく、カラオケルームR1内においてカラオケ歌唱に専念することができ、利用者Qbは、カラオケルームR1内における音声に邪魔されることなく、カラオケルームR2内においてカラオケ歌唱に専念することができる。
【0060】
(第2の実施形態)
本発明の第2の実施形態のカラオケシステムは、上述した本発明の第1の実施形態のカラオケシステム1と同様に、通信ネットワークを介して相互に通信可能に接続された2機のカラオケ装置A、Bを備えているが、第2の実施形態のカラオケ装置Aは、第1の実施形態のカラオケ装置Aと比較して、音声送信制御部が行う処理の内容が一部異なる。具体的には、第1の実施形態のカラオケ装置Aの音声送信制御部28は、カラオケ装置Aが演奏停止状態であり、かつカラオケ装置Bが演奏状態である場合には、音声通信部25によるカラオケ装置Aからカラオケ装置Bへの音声データの送信を許可する。これに対し、第2の実施形態のカラオケ装置Aの音声送信制御部は、カラオケ装置Aが演奏停止状態であり、かつカラオケ装置Bが演奏状態である場合には、音声通信部によるカラオケ装置Aからカラオケ装置Bへの音声データの送信を禁止する。
【0061】
図6は、第2の実施形態のカラオケ装置Aの音声送信制御部により実行される音声送信制御処理を示している。
図6において、第2の実施形態のカラオケ装置Aの音声送信制御部は、自機ステータス情報が「演奏状態」であり、かつ他機ステータス情報が「演奏状態」である場合(ステップS31:YES、かつステップS32:YES)、カラオケ装置Aからカラオケ装置Bへの音声データの送信を停止するように(すでに停止している場合には停止を継続するように)、音声通信部を制御する(ステップS34)。
【0062】
また、第2の実施形態のカラオケ装置Aの音声送信制御部は、自機ステータス情報が「演奏状態」であり、かつ他機ステータス情報が「演奏状態」でない場合には(ステップS31:YES、かつステップS32:NO)、カラオケ装置Aからカラオケ装置Bへの音声データの送信を開始または再開するように(すでに送信している場合には送信を継続するように)、音声通信部を制御する(ステップS35)。
【0063】
また、第2の実施形態のカラオケ装置Aの音声送信制御部は、自機ステータス情報が「演奏状態」でなく、かつ他機ステータス情報が「演奏状態」である場合には(ステップS31:NO、かつステップS33:YES)、カラオケ装置Aからカラオケ装置Bへの音声データの送信を停止するように(すでに送信が停止している場合には停止を継続するように)、音声通信部を制御する(ステップS36)。
【0064】
また、第2の実施形態のカラオケ装置Aの音声送信制御部は、自機ステータス情報が「演奏状態」でなく、かつ他機ステータス情報が「演奏状態」でない場合には(ステップS31:NO、かつステップS33:NO)、カラオケ装置Aからカラオケ装置Bへの音声データの送信を開始または再開するように(すでに送信している場合には送信を継続するように)、音声通信部を制御する(ステップS37)。
【0065】
また、第2の実施形態のカラオケ装置Bは第2の実施形態のカラオケ装置Aと同一の構成を有している。したがって、第2の実施形態のカラオケ装置Bの音声送信制御部は、カラオケ装置Bが演奏停止状態であり、かつカラオケ装置Aが演奏状態である場合には、音声通信部によるカラオケ装置Bからカラオケ装置Aへの音声データの送信を禁止する。
【0066】
このような構成を備えた第2の実施形態のカラオケ装置AおよびBによれば、第1の実施形態で例示した(II)の態様、すなわち、カラオケルームR1内において、グループG1に属する一人の利用者Paがカラオケ歌唱を行い、カラオケルームR1内におけるグループG1に属する他の利用者、およびカラオケルームR2内におけるグループG2に属するすべての利用者が、利用者Paのカラオケ歌唱を鑑賞する態様において、
図7中の(II)に示すように、カラオケ装置Aは演奏状態であり、カラオケ装置Bは演奏停止状態であるので、カラオケ装置Aの音声送信制御部がカラオケ装置Aからカラオケ装置Bへの音声データの送信を許可し、かつカラオケ装置Bの音声送信制御部がカラオケ装置Bからカラオケ装置Aへの音声データの送信を禁止する。したがって、カラオケ装置Aからカラオケ装置Bへの音声データの送信が自動的に開始され、同時に、カラオケ装置Bからカラオケ装置Aへの音声データの送信が自動的に停止される。その結果、カラオケルームR1内における利用者Paのカラオケ歌唱の音声およびカラオケ装置Aによるカラオケ演奏の音声が、カラオケ装置AによってカラオケルームR1内に放音されると共に、カラオケ装置BによってカラオケルームR2内に放音される。しかしながら、カラオケルームR2内における音声はカラオケルームR1内には放音されない。よって、利用者Paはそのカラオケ歌唱をカラオケルームR1内にいる利用者だけでなく、カラオケルームR2内にいる利用者にも聴かせることができる。また、利用者Paは、カラオケルームR2内における音声に邪魔されることなく、カラオケルームR1内において、カラオケ歌唱に専念することができる。
【0067】
また、第1の実施形態で例示した(III)の態様、すなわち、カラオケルームR2内において、グループG2に属する一人の利用者Qaがカラオケ歌唱を行い、カラオケルームR2内におけるグループG2に属する他の利用者、およびカラオケルームR1内におけるグループG1に属するすべての利用者が、利用者Qaのカラオケ歌唱を鑑賞する態様において、
図7中の(III)に示すように、カラオケ装置Aは演奏停止状態であり、カラオケ装置Bは演奏状態であるので、カラオケ装置Aの音声送信制御部がカラオケ装置Aからカラオケ装置Bへの音声データの送信を禁止し、かつカラオケ装置Bの音声送信制御部がカラオケ装置Bからカラオケ装置Aへの音声データの送信を許可する。したがって、カラオケ装置Aからカラオケ装置Bへの音声データの送信が自動的に停止され、同時に、カラオケ装置Bからカラオケ装置Aへの音声データの送信が自動的に開始される。その結果、カラオケルームR2内における利用者Qaのカラオケ歌唱の音声およびカラオケ装置Bによるカラオケ演奏の音声が、カラオケ装置BによってカラオケルームR2内に放音されると共に、カラオケ装置AによってカラオケルームR1内に放音される。しかしながら、カラオケルームR1内における音声はカラオケルームR2内には放音されない。よって、利用者Qaはそのカラオケ歌唱をカラオケルームR2内にいる利用者だけでなく、カラオケルームR1内にいる利用者にも聴かせることができる。また、利用者Qaは、カラオケルームR1内における音声に邪魔されることなく、カラオケルームR2内においてカラオケ歌唱に専念することができる。
【0068】
(第3の実施形態)
本発明の第3の実施形態のカラオケシステムは、通信ネットワークを介して相互に通信可能に接続された2機のカラオケ装置C、Dを備えている。2機のカラオケ装置C、Dは互いに同一の構成を有している。
図8は本発明の第3の実施形態のカラオケ装置Cの構成を示している。なお、
図8において、上述した本発明の第1の実施形態のカラオケ装置Aと同一の構成要素には同一の符号を付している。第3の実施形態のカラオケ装置Cにおいて、第1の実施形態のカラオケ装置Aと同一の構成要素については説明を省略する。
【0069】
図8に示すように、カラオケ装置Cは同時演奏制御部35を備えている。カラオケ装置Dも同時演奏制御部35を備えている。同時演奏制御部35は、カラオケ装置Cとカラオケ装置Dとにおいて、同一の楽曲を同時にカラオケ演奏する制御を行う。この制御により、二人の利用者のうち、一方の利用者がカラオケ装置Cを利用し、他方の利用者がカラオケ装置Dを利用して、これら二人の利用者が同一の楽曲をデュエットすることができる。
【0070】
具体的に説明すると、カラオケ装置Cの制御部23が有する時計の時刻と、カラオケ装置Dの制御部23が有する時計の時刻とは正確に一致している。まず、カラオケ装置Cの利用者がカラオケ装置Cの動作モードをデュエットモードに切り替えると共に、カラオケ装置Dの利用者がカラオケ装置Dの動作モードをデュエットモードに切り替える。次に、例えば、カラオケ装置Cの利用者が楽曲を予約する。これに応じ、カラオケ装置Cの同時演奏制御部35は、予約された楽曲の楽曲識別情報、および当該楽曲の演奏を開始する時刻を示す時刻情報をカラオケ装置Dに送信する。カラオケ装置Dの同時演奏制御部35は、カラオケ装置Cから送信された楽曲識別情報および時刻情報に基づいて楽曲の予約を行う。そして、時刻情報が示す時刻が到来した時点で、カラオケ装置Cおよびカラオケ装置Dが、予約された同一の楽曲のカラオケ演奏を同時に開始する。
【0071】
カラオケ装置Cの音声送信制御部36は、カラオケ装置Cが演奏状態であり、カラオケ装置Dが演奏状態であり、かつカラオケ装置Cの動作モードがデュエットモードである場合には、音声通信部25が演奏音声信号に対応する音声データをカラオケ装置Cからカラオケ装置Dへ送信することを禁止し、かつ音声通信部25が集音音声信号に対応する音声データをカラオケ装置Cからカラオケ装置Dへ送信することを許可する。
【0072】
図9は、カラオケ装置Cの音声送信制御部36により実行される音声送信制御処理を示している。
図9において、カラオケ装置Cの音声送信制御部36は、自機ステータス情報が「演奏状態」であり、他機ステータス情報が「演奏状態」であり、かつデュエットモードである場合(ステップS41:YES、ステップS42:YES、かつステップS43:YES)、演奏音声信号に対応する音声データのカラオケ装置Cからカラオケ装置Dへの送信を停止し(すでに停止している場合には停止を継続し)、かつ集音音声信号に対応する音声データのカラオケ装置Cからカラオケ装置Dへの送信を開始または再開するように(すでに送信している場合には送信を継続するように)、音声通信部25を制御する(ステップS44)。
【0073】
また、音声送信制御部36は、自機ステータス情報が「演奏状態」であり、他機ステータス情報が「演奏状態」であり、かつデュエットモードでない場合(ステップS41:YES、ステップS42:YES、かつステップS43:NO)、演奏音声信号に対応する音声データおよび集音音声信号に対応する音声データのカラオケ装置Cからカラオケ装置Dへの送信を停止するように(すでに停止している場合には停止を継続するように)、音声通信部25を制御する(ステップS45)。
【0074】
また、音声送信制御部36は、自機ステータス情報が「演奏状態」でない場合、または他機ステータス情報が「演奏状態」でない場合には(ステップS41:NO、またはステップS42:NO)、演奏音声信号に対応する音声データおよび集音音声信号に対応する音声データのカラオケ装置Cからカラオケ装置Dへの送信を開始または再開するように(すでに送信している場合には送信を継続するように)、音声通信部25を制御する(ステップS46)。
【0075】
また、カラオケ装置Dはカラオケ装置Cと同一の構成を有している。したがって、カラオケ装置Dの音声送信制御部36は、カラオケ装置Dが演奏状態であり、カラオケ装置Cが演奏状態であり、かつカラオケ装置Dの動作モードがデュエットモードである場合には、音声通信部25が演奏音声信号に対応する音声データをカラオケ装置Dからカラオケ装置Cへ送信することを禁止し、かつ音声通信部25が集音音声信号に対応する音声データをカラオケ装置Dからカラオケ装置Cへ送信することを許可する。
【0076】
このような構成を備えた本実施形態のカラオケ装置CおよびDによれば、例えば、互いに離れた場所にあるカラオケルームR3とカラオケルームR4があり、カラオケルームR3内にカラオケ装置Cが設置され、カラオケルームR4内にカラオケ装置Dが設置されており、カラオケルームR3内でカラオケ装置Cを利用してカラオケを行う利用者Paと、カラオケルームR4内でカラオケ装置Dを利用してカラオケを行う利用者Qaとが同一の楽曲をデュエットする態様において、カラオケ装置CおよびDは次のように動作する。
【0077】
カラオケ装置CおよびDの同時演奏制御部35の制御により、楽曲の演奏を同時に開始する時刻が到来したとき、カラオケ装置Cのカラオケ演奏部11によるカラオケ演奏が開始され、同時に、カラオケ装置Dのカラオケ演奏部11によるカラオケ演奏が開始される。このとき、カラオケ装置Cの状態判断部27が自機ステータス情報を「演奏状態」に設定し、カラオケ装置Dの状態判断部27が自機ステータス情報を「演奏状態」に設定する(
図3中のステップS5を参照)。続いて、カラオケ装置Cの情報通信部26が演奏開始情報をカラオケ装置Dに送信し、カラオケ装置Dの情報通信部26が演奏開始情報をカラオケ装置Cに送信する(
図3中のステップS6を参照)。続いて、カラオケ装置Cがカラオケ装置Dから送信された演奏開始情報を受信したとき、カラオケ装置Cの状態判断部27が他機ステータス情報を「演奏状態」に設定する。また、カラオケ装置Dがカラオケ装置Cから送信された演奏開始情報を受信したとき、カラオケ装置Dの状態判断部27が他機ステータス情報を「演奏状態」に設定する(
図3中のステップS13を参照)。その後、カラオケ装置Cの音声送信制御部36により
図9に示す音声送信制御処理が実行され、カラオケ装置Dの音声送信制御部36により
図9に示す音声送信制御処理が実行される(
図3中のステップS14を参照)。この時点では、カラオケ装置Cにおいて、自機ステータス情報および他機ステータス情報がいずれも「演奏状態」に設定され、かつデュエットモードであるので、カラオケ装置Cの音声送信制御部36は、演奏音声信号に対応する音声データのカラオケ装置Cからカラオケ装置Dへの送信を停止し、かつ集音音声信号に対応する音声データのカラオケ装置Cからカラオケ装置Dへの送信を開始または再開するように音声通信部25を制御する(
図9中のステップS44を参照)。また、この時点で、カラオケ装置Dにおいて、自機ステータス情報および他機ステータス情報がいずれも「演奏状態」に設定され、かつデュエットモードであるので、カラオケ装置Dの音声送信制御部36は、演奏音声信号に対応する音声データのカラオケ装置Dからカラオケ装置Cへの送信を停止し、かつ集音音声信号に対応する音声データのカラオケ装置Dからカラオケ装置Cへの送信を開始または再開するように音声通信部25を制御する(
図9中のステップS44を参照)。その結果、カラオケルームR3内における利用者Paのカラオケ歌唱の音声が、カラオケ装置CによってカラオケルームR3内に放音されると共に、カラオケ装置DによってカラオケルームR4内に放音される。同時に、カラオケルームR4内における利用者Qaのカラオケ歌唱の音声が、カラオケ装置DによってカラオケルームR4内に放音されると共に、カラオケ装置CによってカラオケルームR3内に放音される。しかしながら、カラオケ装置Cによるカラオケ演奏の音声は、カラオケルームR3内には放音されるも、カラオケルームR4内には放音されない。また、カラオケ装置Dによるカラオケ演奏の音声は、カラオケルームR4内には放音されるも、カラオケルームR3内には放音されない。よって、利用者Paは、カラオケルームR3内において、利用者Qaのカラオケ歌唱の音声とカラオケ装置Cによるカラオケ演奏の音声を聴くことができ、利用者Qaは、カラオケルームR4内において、利用者Paのカラオケ歌唱の音声とカラオケ装置Dによるカラオケ演奏の音声を聴くことができる。このように、利用者PaおよびQaはそれぞれデュエット相手の歌唱をリアルタイムで聴きながら、あたかもデュエット相手と同じカラオケルーム内でデュエットしているような臨場感溢れるカラオケ歌唱を楽しむことができる。また、カラオケルームR3においても、カラオケルームR4においても、カラオケ装置Cによるカラオケ演奏の音声とカラオケ装置Dによるカラオケ装置の音声とが重複することがないので、利用者PaおよびQaはそれぞれ楽曲のカラオケ演奏を明確に聴くことができる。
【0078】
(第4の実施形態)
本発明の第4の実施形態のカラオケシステムは、通信ネットワークを介して相互に通信可能に接続された2機のカラオケ装置E、Fを備えている。2機のカラオケ装置E、Fは互いに同一の構成を有している。
図10は本発明の第4の実施形態のカラオケ装置Eの構成を示している。なお、
図10において、上述した本発明の第1の実施形態のカラオケ装置Aと同一の構成要素には同一の符号を付している。第4の実施形態のカラオケ装置Eにおいて、第1の実施形態のカラオケ装置Aと同一の構成要素については説明を省略する。
【0079】
図10に示すように、カラオケ装置Eは、音声送信制御部を備えておらず、その代わりに放音制御部41を備えている。放音制御部41は、記憶部22に記憶された自機ステータス情報および他機ステータス情報に基づいて、カラオケ装置Eが演奏状態であるか、演奏停止状態であるか、およびカラオケ装置Fが演奏状態であるか、演奏停止状態であるかを判断し、その判断結果に基づいて、カラオケ装置Fから送信された音声データに対応する音声をカラオケ装置Eの放音部16から放音することを許可するか、禁止するかを決定する。具体的には、放音制御部41は、カラオケ装置Eが演奏状態であり、かつカラオケ装置Fが演奏状態である場合には、カラオケ装置Fから送信された音声データに対応する音声をカラオケ装置Eの放音部16から放音することを禁止する。また、放音制御部41は、カラオケ装置Eが演奏状態であり、かつカラオケ装置Fが演奏停止状態である場合には、カラオケ装置Fから送信された音声データに対応する音声をカラオケ装置Eの放音部16から放音することを許可する。また、放音制御部41は、カラオケ装置Eが演奏停止状態であり、かつカラオケ装置Fが演奏状態である場合には、カラオケ装置Fから送信された音声データに対応する音声をカラオケ装置Eの放音部16から放音することを許可する。また、放音制御部41は、カラオケ装置Eが演奏停止状態であり、かつカラオケ装置Fが演奏停止状態である場合には、カラオケ装置Fから送信された音声データに対応する音声をカラオケ装置Eの放音部16から放音することを許可する。
【0080】
図11は、カラオケ装置Eの放音制御部41により実行される放音制御処理を示している。
図11に示すように、放音制御部41は、自機ステータス情報が「演奏状態」であり、かつ他機ステータス情報が「演奏状態」である場合(ステップS51:YES、かつステップS52:YES)、カラオケ装置Fから送信された音声データに対応する音声をカラオケ装置Eの放音部16から放音することを停止するように(すでに停止している場合には停止を継続するように)、放音部16の音声出力回路17を制御する(ステップS53)。
【0081】
一方、放音制御部41は、自機ステータス情報が「演奏状態」でない場合、または他機ステータス情報が「演奏状態」でない場合には(ステップS51:NO、またはステップS52:NO)、カラオケ装置Fから送信された音声データに対応する音声をカラオケ装置Eの放音部16から放音することを開始または再開するように(すでに放音している場合には放音を継続するように)、放音部16の音声出力回路17を制御する(ステップS54)。
【0082】
このような構成を有する本発明の第4の実施形態のカラオケ装置EおよびFによっても、本発明の第1の実施形態のカラオケ装置AおよびBと同様の作用効果を得ることができる。
【0083】
さらに、第4の実施形態のカラオケ装置Eにおいて、放音制御部41がカラオケ装置Fから送信された音声データに対応する音声の放音を禁止から許可に切り替え、これに応じて放音部16がカラオケ装置Fから送信された音声データに対応する音声の放音を開始または再開する場合、放音制御部41が、放音部16の音声出力回路17を制御し、カラオケ装置Fから送信された音声データに対応する音声の音量をゼロから所定値まで徐々に増加させることにより、カラオケ装置Fから送信された音声データに対応する音声をフェードインさせてもよい。これにより、例えば、カラオケ装置Eによるカラオケ演奏が終了した途端に、カラオケ装置Fによるカラオケ演奏の音声が、カラオケ装置Eの放音部16から急に放音されることを避けることができる。なお、音声のフェードインに関し、上記構成に代え、カラオケ装置Fから送信された音声データに対応する音声の放音を開始または再開させる指示を放音部16が放音制御部41から受けたとき、放音部16の音声出力回路17が、自発的に、カラオケ装置Fから送信された音声データに対応する音声をフェードインさせるようにしてもよい。音声のフェードインに関し、カラオケ装置Fもカラオケ装置Eと同じく構成されている。
【0084】
なお、上記第4の実施形態に上記第2の実施形態を適用し、カラオケ装置Eにおいて、放音制御部41により、カラオケ装置Eが演奏状態であり、かつカラオケ装置Fが演奏停止状態である場合には、カラオケ装置Fから送信された音声データに対応する音声をカラオケ装置Eの放音部16から放音することを禁止するようにしてもよい。この場合には、カラオケ装置Fをこのカラオケ装置Eと同一の構成とし、カラオケ装置Fにおいて、放音制御部41により、カラオケ装置Fが演奏状態であり、かつカラオケ装置Eが演奏停止状態である場合には、カラオケ装置Eから送信された音声データに対応する音声をカラオケ装置Fの放音部16から放音することを禁止するようにする。
【0085】
また、本発明を、それぞれ互いに通信可能である3機以上のカラオケ装置を備え、3機以上のカラオケ装置がそれぞれ設置された3箇所以上の場所にいる利用者が一緒にカラオケを行うことができるカラオケシステムにも適用することができる。
【0086】
例えば、第1の実施形態のカラオケ装置を3機以上備えたカラオケシステムにおいて、2機以上のカラオケ装置が演奏状態である場合には、すべてのカラオケ装置で音声データの送信を禁止する。また、1機のカラオケ装置のみが演奏状態である場合、またはすべてのカラオケ装置が演奏停止状態である場合には、すべてのカラオケ装置で音声データの送信を許可する。これにより、第1の実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0087】
また、第2の実施形態のカラオケ装置を3機以上備えたカラオケシステムにおいて、2機以上のカラオケ装置が演奏状態である場合には、すべてのカラオケ装置で音声データの送信を禁止する。また、1機のカラオケ装置のみが演奏状態である場合には、演奏状態のカラオケ装置で音声データの送信を許可し、かつ演奏停止状態のカラオケ装置で音声データの送信を禁止する。また、すべてのカラオケ装置が演奏停止状態である場合には、すべてのカラオケ装置で音声データの送信を許可する。これにより、第2の実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0088】
また、第3の実施形態のカラオケ装置を3機以上備えたカラオケシステムにおいて、少なくとも、すべてのカラオケ装置が演奏状態かつデュエットモードである場合には、すべてのカラオケ装置で演奏音声信号に対応する音声データの送信を禁止し、かつ集音音声信号に対応する音声データの送信を許可する。また、いずれのカラオケ装置もデュエットモードでない場合において、2機以上のカラオケ装置が演奏状態である場合には、すべてのカラオケ装置で、演奏音声信号および集音音声信号に対応する音声データの送信を禁止する。また、1機のカラオケ装置のみが演奏状態である場合、またはすべてのカラオケ装置が演奏停止状態である場合には、すべてのカラオケ装置で、演奏音声信号および集音音声信号に対応する音声データの送信を許可する。これにより、第3の実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0089】
また、本発明は、請求の範囲および明細書全体から読み取ることのできる発明の要旨または思想に反しない範囲で適宜変更可能であり、そのような変更を伴うカラオケ装置およびカラオケシステムもまた本発明の技術思想に含まれる。
【符号の説明】
【0090】
1 カラオケシステム
3 通信ネットワーク
A~F カラオケ装置
11 カラオケ演奏部
12 集音部
16 放音部
23 制御部
25 音声通信部(音声送信部、音声受信部)
26 情報通信部(情報送信部、情報受信部)
27 状態判断部(他機状態判断部)
28、36 音声送信制御部
35 同時演奏制御部
41 放音制御部