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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022181981
(43)【公開日】2022-12-08
(54)【発明の名称】生体の情報を計測する装置
(51)【国際特許分類】
   A61B 5/02 20060101AFI20221201BHJP
   A61B 5/0245 20060101ALI20221201BHJP
【FI】
A61B5/02 310C
A61B5/0245 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】19
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021089244
(22)【出願日】2021-05-27
(71)【出願人】
【識別番号】000003067
【氏名又は名称】TDK株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002907
【氏名又は名称】弁理士法人イトーシン国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 守正
(72)【発明者】
【氏名】橋本 和則
(72)【発明者】
【氏名】宮本 浩二
【テーマコード(参考)】
4C017
【Fターム(参考)】
4C017AA10
4C017AA16
4C017AB02
4C017AC28
4C017FF15
(57)【要約】
【課題】生体の情報を計測し且つ生体に装着可能な装置において、生体の部位に対する接触部材の接触を安定化する。
【解決手段】装置1は、生体の部位101に接触可能な第1の外面12aを有する第1のケース12と、第1のケース12の少なくとも一部を収容可能な第2のケース21と、付勢機構30と、を備えている。第1のケース12は、第1の外面12aが露出するように第2のケース21に収容されている。付勢機構30は、生体に装着される際、第1の外面12aを生体の部位101に接触且つ追従させる付勢力を第1のケース12に付与する。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
生体に装着可能な装置であって、
前記生体の部位に接触可能な第1の外面を有する第1の部材と、
前記第1の部材の少なくとも一部を収容可能な第2の部材と、
付勢機構と、を備え、
前記第1の部材は、前記第1の外面が露出するように前記第2の部材に収容され、
前記付勢機構は、前記生体に装着される際、前記第1の外面を前記生体の部位に接触且つ追従させる付勢力を前記第1の部材に付与する、装置。
【請求項2】
前記付勢機構は、前記第1の部材に設けられた少なくとも1つの第1の磁石と、前記第2の部材に設けられた少なくとも1つの第2の磁石と、を含む、請求項1記載の装置。
【請求項3】
前記付勢力は、前記少なくとも1つの第1の磁石と前記少なくとも1つの第2の磁石との間に生じる吸引力によって生成される、請求項2記載の装置。
【請求項4】
前記少なくとも1つの第1の磁石と前記少なくとも1つの第2の磁石は、前記生体に装着される際、前記第1の外面の姿勢を前記生体の部位の傾きに追従させる、請求項3記載の装置。
【請求項5】
前記第1の部材は、前記生体に装着されていない状態において、前記吸引力によって前記第2の部材に保持されている、請求項3または4記載の装置。
【請求項6】
前記第1の部材は、更に、前記第1の外面とは反対側の第2の外面と、前記第1の外面と前記第2の外面とを接続する側面とを有し、
前記第2の部材は、前記側面に対向する壁面を有し、
前記少なくとも1つの第1の磁石は、前記第1の部材に設けられた複数の第1の磁石であり、
前記少なくとも1つの第2の磁石は、前記第2の部材に設けられた複数の第2の磁石である、請求項2ないし5のいずれかに記載の装置。
【請求項7】
前記付勢力は、前記少なくとも1つの第1の磁石と前記少なくとも1つの第2の磁石との間に生じる反発力によって生成される、請求項2記載の装置。
【請求項8】
前記付勢機構は、前記第1の部材と前記第2の部材との間に介在する少なくとも1つの弾性部材を含む、請求項1記載の装置。
【請求項9】
前記付勢力は、前記少なくとも1つの弾性部材が圧縮されることによって生じる反発力によって生成される、請求項8記載の装置。
【請求項10】
前記少なくとも1つの弾性部材は、互いに異なる位置に配置された複数の弾性部材である、請求項8または9記載の装置。
【請求項11】
前記複数の弾性部材は、前記生体に装着される際、前記第1の外面の姿勢を前記生体の部位の傾きに追従させる、請求項10記載の装置。
【請求項12】
更に、前記生体の情報を計測可能な計測センサを備え、
前記計測センサは、前記第1の部材に収容されている、請求項1ないし11のいずれかに記載の装置。
【請求項13】
生体の情報を計測可能な計測センサと、前記生体の部位に接触可能な第1の外面を有し且つ前記計測センサを収容する第1のケースとを含む第1の部品と、
前記生体の部位と対向する側に設けられた開口部を有し且つ前記第1の部品の少なくとも一部を収容可能な第2のケースを含む第2の部品と、
前記第1の部品と前記第2の部品との間において、前記第1の部品を前記開口部から前記生体の部位に向かう第1の方向に移動させる第1の付勢力と、前記第1の部品を前記第1の方向とは反対の第2の方向に移動させる第2の付勢力と、の少なくとも一方を発生可能な付勢機構と、を備え、
前記第1のケースは、前記第1の外面が前記開口部から露出する姿勢で前記第2のケース内に配置され、
前記付勢機構は、前記生体に装着される際、前記第1の外面が前記生体の部位に接触し且つ追従する方向に、前記第1の付勢力と前記第2の付勢力の少なくとも一方を前記第1のケースに付与する、装置。
【請求項14】
前記付勢機構は、前記第1のケースに設けられた少なくとも1つの第1の磁石と、前記第2のケースに設けられた少なくとも1つの第2の磁石と、を含み、
前記第1の付勢力と前記第2の付勢力は、前記少なくとも1つの第1の磁石と前記少なくとも1つの第2の磁石との間に生じる吸引力、および前記少なくとも1つの第1の磁石と前記少なくとも1つの第2の磁石との間に生じる反発力の少なくとも一方によって生成される、請求項13記載の装置。
【請求項15】
前記少なくとも1つの第1の磁石と前記少なくとも1つの第2の磁石は、前記生体に装着される際、前記第1の外面の姿勢が前記生体の部位の傾きに追従する方向に、前記第1の付勢力と前記第2の付勢力の少なくとも一方を前記第1のケースに付与する、請求項14記載の装置。
【請求項16】
前記第1のケースの少なくとも一部は、前記吸引力によって前記第2のケースの内部に保持されている、請求項14または15記載の装置。
【請求項17】
前記第1のケースは、更に、前記第1の外面とは反対側の第2の外面と、前記第1の外面と前記第2の外面とを接続する側面とを有し、
前記第2のケースは、更に、前記側面に対向する壁面を有し、
前記少なくとも1つの第1の磁石は、前記第1のケースの前記側面において、互いに異なる複数の第1の位置に配置された複数の第1の磁石を含み、
前記少なくとも1つの第2の磁石は、前記第2のケースの前記壁面において、互いに異なる複数の第2の位置に配置された複数の第2の磁石を含み、
前記生体に装着されていない状態においては、前記複数の第1の位置の各々と、前記複数の第2の位置の各々とが対向している、請求項14ないし16のいずれかに記載の装置。
【請求項18】
前記複数の第1の磁石のうちの一部および前記複数の第2の磁石のうちの一部は、前記生体に装着される際、前記第1のケースの一部に前記第1の付勢力を付与し、
前記複数の第1の磁石のうちの他の一部および前記複数の第2の磁石のうちの他の一部は、前記生体に装着される際、前記第1のケースの他の一部に前記第2の付勢力を付与する、請求項17記載の装置。
【請求項19】
前記第1のケースのうちの前記第1の外面を含む一部は、前記開口部から前記第2のケースの外側に突出する、請求項13ないし18のいずれかに記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、生体の情報を計測する装置であって、特に、生体に装着可能な装置に関する。
【背景技術】
【0002】
脈拍、体温、発汗量等の生体の情報を計測する装置の1つに、生体に装着可能な装置、いわゆるウェアラブルデバイスがある。ウェアラブルデバイスとしては、例えば特許文献1に開示されているように、腕時計構造を有する装置が知られている。
【0003】
ウェアラブルデバイスでは、種々の方法によって生体情報の計測精度の向上が図られている。特許文献1には、脈波検出用センサユニットを備えた脈波診断装置が開示されている。この脈波診断装置では、脈波検出用センサユニットが計測した脈波波形に基づくデータから加速度センサによって検出された体動波形に基づくデータを減算する演算処理を実行することによって、体動成分が除去された脈波補正データを生成している。
【0004】
非特許文献1には、光電脈波計測においては、センサの安定的な接触が重要であることと、皮膚とセンサの接触圧力を所定の大きさにすることによって、手首スナップ運動による信号の乱れを低減できることが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平10-248819号公報
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】堀口大介、佐々木健、「腕時計型光電脈波センサにおける体動ノイズ抑制機構の研究」、2014年度精密工学会春季大会学術講演会講演論文集、公益社団法人精密工学会、2014年3月1日、pp.865-866
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ウェアラブルデバイスにおいては、例えば、生体の情報を計測する計測センサが、生体の部位に対して安定して接触することで、生体の情報を適切に計測することができる。
【0008】
本開示に係る技術は、かかる事情を鑑みて開発されたものである。本開示に係る技術の目的の一つは、生体に安定して装着可能な装置等を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本開示の第1の観点に係る装置は、生体に装着可能な装置である。この装置は、生体の部位に接触可能な第1の外面を有する第1の部材と、第1の部材の少なくとも一部を収容可能な第2の部材と、付勢機構と、を備えている。第1の部材は、第1の外面が露出するように第2の部材に収容されている。付勢機構は、生体に装着される際、第1の外面を生体の部位に接触且つ追従させる付勢力を第1の部材に付与する。
【0010】
本開示の第2の観点に係る装置は、生体の情報を計測可能な計測センサと、生体の部位に接触可能な第1の外面を有し且つ計測センサを収容する第1のケースとを含む第1の部品と、生体の部位と対向する側に設けられた開口部を有し且つ第1の部品の少なくとも一部を収容可能な第2のケースを含む第2の部品と、第1の部品と第2の部品との間において、第1の部品を開口部から生体の部位に向かう第1の方向に移動させる第1の付勢力と、第1の部品を第1の方向とは反対の第2の方向に移動させる第2の付勢力の少なくとも一方を発生可能な付勢機構と、を備えている。第1のケースは、第1の外面が開口部から露出する姿勢で第2のケース内に配置されている。付勢機構は、生体に装着される際、第1の外面が生体の部位に接触し且つ追従する方向に、第1の付勢力と第2の付勢力の少なくとも一方を第1のケースに付与する。
【発明の効果】
【0011】
本開示に係る技術によれば、生体に安定して装着可能な装置等を提供することができる。例えば、本開示の第1の観点に係る装置によれば、生体の部位に対する第1の部材の接触を安定化することができる。
【0012】
また、例えば、本開示の第2の観点に係る装置によれば、生体の部位に対する第1のケースの接触を安定化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本開示の第1の実施の形態に係る装置の使用状態を示す説明図である。
図2】本開示の第1の実施の形態に係る装置の接触部材が接触する生体の部位を示す説明図である。
図3】本開示の第1の実施の形態に係る装置の本体を示す斜視図である。
図4】本開示の第1の実施の形態に係る装置の本体を示す斜視図である。
図5】本開示の第1の実施の形態に係る装置の本体を示す断面図である。
図6】本開示の第1の実施の形態に係る装置が装着された際の第1の状態を示す断面図である。
図7】本開示の第1の実施の形態に係る装置が装着された際の第2の状態を示す斜視図である。
図8】本開示の第1の実施の形態に係る装置が装着された際の第3の状態を示す斜視図である。
図9】本開示の第2の実施の形態に係る装置の本体を示す斜視図である。
図10図9に示した装置の第1の部品を示す斜視図である。
図11】本開示の第2の実施の形態に係る装置の本体を示す断面図である。
図12】本開示の第2の実施の形態に係る装置が装着された状態を示す斜視図である。
図13図12に示した装置の第1の部品を示す斜視図である。
図14】本開示の第2の実施の形態に係る装置が装着された状態を示す断面図である。
図15】本開示の第3の実施の形態に係る装置の本体を示す斜視図である。
図16】本開示の第3の実施の形態に係る装置の本体を示す斜視図である。
図17】本開示の第3の実施の形態に係る装置の本体を示す断面図である。
図18】本開示の第3の実施の形態に係る装置が装着された状態を示す断面図である。
図19】本開示の第4の実施の形態に係る装置における第1の部品と付勢機構を示す斜視図である。
図20】本開示の第4の実施の形態に係る装置の本体を示す断面図である。
図21】本開示の第4の実施の形態に係る装置が装着された際の第1の部品と付勢機構とを示す斜視図である。
図22】本開示の第4の実施の形態に係る装置が装着された状態を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
[第1の実施の形態]
以下、本開示に係る技術の実施形態について図面を参照して詳細に説明する。始めに、図1および図2を参照して、本開示の第1の実施の形態に係る装置の概略について説明する。図1は、本実施の形態に係る装置の使用状態を示す説明図である。図2は、本実施の形態に係る装置の接触部材が接触する生体の部位を示す説明図である。
【0015】
本実施の形態に係る装置1は、例えば、健康管理、医療または介護等の目的で生体の情報を計測する装置であり、生体に装着することが可能である。図1に示したように、装置1は、使用者100の手首に固定する腕時計型のウェアラブルデバイスである。
【0016】
装置1は、生体の情報として、例えば、脈拍、体温、発汗量等のうちの1つ以上の情報を計測することができる。本実施の形態では、生体の情報の計測は、計測センサを収容した接触部材が、生体における特定の部位に接触することによって行われる。図2において、符号101を付した破線の円は、接触部材が接触する部位(被測定部位)を示している。部位101は、例えば、使用者100の手首の近傍の部位であってよい。
【0017】
ここで、生体の情報を計測する計測センサの例として、脈拍を計測する計測センサについて説明する。脈拍を計測する計測センサは、脈波センサとも呼ばれる。脈波センサは、例えば、LED等の発光素子と、フォトダイオード等の受光素子とを含んでいる。発光素子から発生された光は、生体の部位に照射される。受光素子は、例えば、心臓の拍動等に伴う血流の変化量を、光の変化量として計測することができる。脈波センサは、受光素子が計測した光の変化量に基づいて、脈拍を計測する。なお、脈波センサには、生体を透過した光を計測する透過型と、生体から反射された光を計測する反射型がある。
【0018】
装置1は、計測センサを含む本体2と、本体2を手首に固定するベルト3とを備えている。本体2は、少なくとも、部位101に接触可能な第1の外面を有する第1の部材と、第1の部材の少なくとも一部を収容可能な第2の部材と、付勢機構とを備えている。第1の部材は、第1の外面が露出するように第2の部材に収容されている。付勢機構は、装置1が生体に装着された状態(装着状態)に、第1の外面を部位101に接触且つ追従させる付勢力を第1の部材に付与する。第1の部材は、上記接触部材に相当する部材の一例であり、計測センサを収容している。
【0019】
次に、図3ないし図5を参照して、装置1の本体2の構成について具体的に説明する。図3および図4は、装置1の本体2を示す斜視図である。図5は、装置1の本体2を示す断面図である。装置1の本体2は、第1の部品10と、第2の部品20と、付勢機構30とを備えている。なお、図3および図4では、便宜上、第1の部品10と第2の部品20を互いに離して描いている。
【0020】
第1の部品10は、生体の情報を計測可能な計測センサ11と、計測センサ11を収容する第1のケース12とを含んでいる。図3ないし図5に示した具体例の場合、第1のケース12は、円柱形状またはほぼ円柱形状に形成されている。また、第1のケース12は、部位101に接触可能な第1の外面12aと、第1の外面12aとは反対側の第2の外面12bと、第1の外面12aと第2の外面12bとを接続する側面12cとを有している。第1の外面12aと第2の外面12bは、第1のケース12の軸方向(円柱の軸方向)の両端に位置する。第1のケース12は、上記第1の部材、すなわち接触部材に相当する部材の一例である。なお、図3から図5に示した具体例の場合、第1の外面12aは、平面またはほぼ平面状に形成されているが、本開示に係る技術はこれに限定されない。第1の外面12aは、例えば、生体への接触あるいは押圧に適した形状に形成されていればよい。
【0021】
計測センサ11は、一例として、脈波センサを含んでいてもよい。この場合、計測センサ11は、発光素子の発光部および受光素子の受光部が第1の外面12aから露出するように、第1のケース12に収容される。図3および図4には、計測センサ11の外面に、発光素子の発光部および受光素子の受光部が設けられた例を示している。この例では、計測センサ11は、計測センサ11の上記外面と第1の外面12aとの間に段差が生じないように、第1のケース12に収容されている。
【0022】
計測センサ11は、体温を計測するセンサおよび発汗量を計測するセンサの少なくとも一方を含んでいてもよい。計測センサ11は、上記の例に限定されず、生体に接触して生体情報を計測可能な他のセンサを含んでいてもよい。
【0023】
第1の部品10は、第2の外面12bに設けられた表示部を含んでいてもよい。表示部は、計測情報や時刻等の情報を表示する。
【0024】
第1の部品10は、計測センサ11の検出信号を処理する図示しないプロセッサを含んでいてもよい。第1の部品10が表示部を含んでいる場合、表示部は、プロセッサによって制御されてもよい。また、第1の部品10は、更に、装置1の外部との間で信号の送受信を行う通信回路を含んでいてもよい。通信回路は、プロセッサによって制御されて、有線または無線によって、信号の送受信を行ってもよい。プロセッサと通信回路は、第1のケース12に収容されていてもよい。
【0025】
第2の部品20は、第1の部品10の少なくとも一部を収容可能な第2のケース21と、ベルト3(図1参照)を固定する取り付け部22,23とを含んでいる。第2のケース21は、装着状態において部位101(図2参照)と対向する側に設けられた開口部21aを有し、第1の部品10の少なくとも一部を収容する。第1のケース12は、第1の外面12aが開口部21aから露出する姿勢で第2のケース21内に配置されている。第2のケース21内において、第1のケース12は、姿勢(例えば、第2のケース21に対する第1のケース12の角度)および位置が変化可能である。すなわち、第1のケース12は、第2のケース21に対して傾いた状態で、第2のケース21に収容されてもよい。また、第1のケース12の少なくとも一部が第2のケース21に収容された状態で、第1のケース12は第2のケース21に対して相対的に移動可能であってよい。第2のケース21は、更に、第1のケース12の側面12cに対向する壁面21bを有している。第2のケース21は、上記第2の部材に相当する部材の一例である。
【0026】
第2のケース21は、第1のケース12の形状に対応する円筒形状またはほぼ円筒形状を有している。また、第2のケース21は、更に、開口部21aとは反対側に設けられた段差部21cと、段差部21cに設けられた開口部21dとを有している。段差部21cは、第1のケース12が開口部21d側から脱落することを防止するためのストッパーとして機能する。第1の部品10が表示部を含んでいる場合、表示部は、開口部21dから露出する。
【0027】
付勢機構30は、装着状態において、第1の外面12aを部位101に接触且つ追従させる付勢力を第1のケース12に付与する。より詳しく説明すると、付勢機構30は、第1の部品10と第2の部品20との間において、第1の部品10を開口部21aから部位101に向かう第1の方向D1に移動させる第1の付勢力と、第1の部品10を第1の方向D1とは反対の第2の方向D2に移動させる第2の付勢力の少なくとも一方を発生することができるように構成されている。そして、付勢機構30は、装着状態において、第1の外面12aが部位101に接触し且つ追従する方向に、第1の付勢力と第2の付勢力の少なくとも一方を第1のケース12に付与する。
【0028】
付勢機構30は、第1のケース12に設けられた少なくとも1つの第1の磁石と、第2のケース21に設けられた少なくとも1つの第2の磁石とを含んでいる。第1の付勢力と第2の付勢力は、少なくとも1つの第1の磁石と少なくとも1つの第2の磁石との間に生じる吸引力、および少なくとも1つの第1の磁石と少なくとも1つの第2の磁石との間に生じる反発力の少なくとも一方によって生成される。なお、上記に限定されず、第1の磁石の少なくとも一部、または、第2の磁石の少なくとも一部として、磁石の代わりに、磁石との間で吸引力を生じる磁性体を用いてもよい。
【0029】
本実施の形態では、付勢機構30は、第1の付勢力と第2の付勢力の両方を発生することができるように構成されていてもよい。また、少なくとも1つの第1の磁石は、例えば、第1のケース12の側面において、複数の互いに異なる位置(第1の位置)に配置された複数の第1の磁石31であってもよい。本実施の形態では、複数の第1の磁石31は、例えば、図3および図4に例示するように、第1のケース12に埋め込まれていてもよい。また、少なくとも1つの第2の磁石は、例えば、第2のケース21の壁面21bにおいて、複数の互いに異なる位置(第2の位置)に配置された複数の第2の磁石32であってもよい。本実施の形態では、複数の第2の磁石32は、例えば、図3および図4に例示するように、第2のケース21に埋め込まれていてもよい。第1のケース12の少なくとも一部が第2のケース21に収容された状態において、第1のケース12における第1の位置と、第2のケース21における第2の位置とは、互いに対向している。第1の付勢力と第2の付勢力とは、例えば、複数の第1の磁石31と複数の第2の磁石32との間に生じる吸引力によって生成される。
【0030】
複数の第1の磁石31は、それぞれ同じ構成(組成、形状、体積等)を備えていてもよい。また、複数の第2の磁石32は、それぞれ同じ構成(組成、形状、体積等)を備えていてもよい。なお、本開示に係る技術はこれに限定されず、装置全体として磁力による均衡が保たれる範囲において、第1の磁石31の構成と、第2の磁石32の構成は、適宜選択されてよい。
【0031】
図5は、装置1が装着されていない状態(以下、「非装着状態」と記す。)を示している。非装着状態において、複数の第1の位置の各々は、対応する第2の位置に対向している。複数の第1の磁石31と複数の第2の磁石32は、最も近くにある第1の磁石31と第2の磁石32との組である磁石対に吸引力が生じるように構成されている。第1のケース12の少なくとも一部は、複数の磁石対に生じる吸引力によって第2のケース21の内部に保持されている。非装着状態において、第1のケース12のうちの第1の外面12aを含む一部は、開口部21aから第2のケース21の外側に突出していてもよい。
【0032】
次に、図1図2図5ないし図8を参照して、装置1が装着された状態(以下、「装着状態」と記す。)における付勢機構30の動作について説明する。図6は、装置1の装着状態における第1の状態を示す断面図である。図7は、装置1の装着状態における第2の状態を示す斜視図である。図8は、装置1の装着状態における第3の状態を示す斜視図である。なお、図6ないし8では、便宜上、ベルト3および使用者100を省略している。
【0033】
装置1は、使用時には、第1のケース12の第1の外面12aの全体が部位101に接触するように、ベルト3を用いて使用者100の手首に巻かれる。第1の外面12aには、部位101から、第2の方向D2の外力が作用する。その結果、第1のケース12は、第2の方向D2に移動する。
【0034】
第1のケース12が第2の方向D2に移動すると、最も近くにある第1の磁石31と第2の磁石32の間の距離が大きくなり、これに応じて第1の磁石31と第2の磁石32の間に吸引力が働く。その結果、第1のケース12には、第1の方向D1の第1の付勢力が付与される。第1のケース12は、部位101から作用する外力と第1の付勢力が均衡する位置まで移動し、その位置で停止する。
【0035】
図6に示した第1の状態は、非装着状態において第1の外面12aが、部位101に平行またはほぼ平行となる姿勢で、装置1が装着された状態である。この場合、部位101から作用する外力は、第1の外面12aに均等に作用する。その結果、第1のケース12は、第2の方向D2に沿って平行またはほぼ平行に移動する。第1のケース12が停止した状態における第1の外面12aは、非装着状態における第1の外面12aに平行またはほぼ平行である。また、第1の状態では、複数の磁石対に生じる吸引力は、同じかほぼ同じであってもよい。
【0036】
図7に示した第2の状態と図8に示した第3の状態は、第1の外面12aが、部位101に対して傾いた姿勢で、装置1が装着された状態である。第1のケース12は、ある程度自由に動くことができるように、第2のケース21に収容されている。そのため、第2および第3の状態のいずれにおいても、第1のケース12は、部位101に追従して傾く。装置1が装着され第1のケース12が停止した状態における第1の外面12aは、非装着状態における第1の外面12aに対して傾いている。また、第2および第3の状態のいずれにおいても、部位101から第1の外面12aに作用する外力は、位置に応じて変化する。
【0037】
第2の状態は、第1の外面12aのうちの取り付け部22の近傍の部分に、取り付け部23(図3および図4参照)の近傍の部分に比べて相対的に小さな外力が作用した状態である。第2の状態では、複数の磁石対のうち、取り付け部22の近傍の磁石対を構成する第1の磁石31と第2の磁石32の間の距離よりも、その反対側である取り付け部23の近傍の磁石対を構成する第1の磁石31と第2の磁石32の間の距離の方がより大きくなる。すなわち、取り付け部23の近傍の磁石対に生じる吸引力により、取り付け部23の近傍に第1の方向D1の付勢力が働く。これにより、第1の外面12aの姿勢が、部位101の傾きに追従する。
【0038】
第3の状態は、第1の外面12aのうちの取り付け部22の近傍の部分に、取り付け部23(図3および図4参照)の近傍の部分に比べて相対的に大きな外力が作用した状態である。第3の状態では、複数の磁石対のうち、取り付け部23の近傍の磁石対を構成する第1の磁石31と第2の磁石32の間の距離よりも、その反対側である取り付け部22の近傍の磁石対を構成する第1の磁石31と第2の磁石32の間の距離の方がより大きくなる。すなわち、取り付け部22の近傍の磁石対に生じる吸引力により、取り付け部22の近傍に第1の方向D1の付勢力が働く。これにより、第1の外面12aの姿勢が、部位101の傾きに追従する。
【0039】
このように、複数の第1の磁石31と複数の第2の磁石32は、装置1が生体に装着された際、第1の外面12aの姿勢が部位101の傾きに追従するように、第1の付勢力を第1のケース12に付与する。第1ないし第3の状態のいずれにおいても、装置1が生体に装着され且つ第1のケース12が停止した状態における第1の外面12aは、部位101に平行またはほぼ平行となる。
【0040】
なお、第2および第3の状態は、第1の外面12aの傾きが比較的小さい場合の例を示している。第1ないし第3の状態のいずれにおいても、複数の第1の磁石31の各々は、装置1が生体に装着された際、第2の方向D2に移動する。その結果、複数の磁石対に生じる吸引力によって発生する付勢力は、全て第1の付勢力(例えば、第1の方向D1の付勢力)になる。
【0041】
一方、第1の外面12aの傾きが大きくなると、複数の第1の磁石31の一部が装着状態において第2の方向D2に移動し、複数の第1の磁石31の他の一部が装着状態において第1の方向D1に移動する場合がある。この場合、第2の方向D2に移動する第1の磁石を含む磁石対に生じる吸引力によって、第1の付勢力(例えば、第1の方向D1の付勢力)が発生し、第1の方向D1に移動する第1の磁石を含む磁石対に生じる吸引力によって、第2の付勢力(例えば、第2の方向D2の付勢力)が発生する。すなわち、この場合には、複数の第1の磁石31と複数の第2の磁石32は、装着状態において、第1の外面12aの姿勢が部位101の傾きに追従するように、第1のケース12の一部に第1の付勢力を付与し、第1のケース12の他の一部に第2の付勢力を付与する。
【0042】
次に、本実施の形態に係る装置1の作用および効果について説明する。第1のケース12の第1の外面12aの姿勢は、装着状態における装置1の位置やベルト3の巻き方によって変化し得る。そのため、第1の外面12aが、部位101に対して傾いた姿勢で、装置1が装着される場合がある。これに対し、本実施の形態では、上述のように、付勢機構30は、装着された際に、第1の外面12aが部位101に接触し且つ追従するように、第1の付勢力を第1のケース12に付与する。これにより、本実施の形態によれば、第1の外面12aが、部位101に対して傾いた場合であっても、第1の外面12aを部位101に平行またはほぼ平行にすることができる。これにより、本実施の形態によれば、第1の外面12aの広い範囲を部位101に安定して接触させることができる。
【0043】
また、本実施の形態では、磁石対を構成する第1の磁石31と第2の磁石32との間隔に応じて、磁石対に生じる吸引力より、第1のケース12に付勢力が付与される。第1の磁石31と第2の磁石32の間隔は、部位101から作用する外力が大きくなるに従って大きくなる。従って、第1のケース12において相対的に大きな外力が作用する部分においては、第1の磁石31と第2の磁石32の間の距離が相対的に大きくなる。第1のケース12において相対的に小さな外力が作用する部分においては、第1の磁石31と第2の磁石32の間の距離が相対的に小さくなる。換言すると、第1のケース12において、第1の磁石31と第2の磁石32との間隔が相対的に大きい部分には、その間隔を狭める方向に相対的に大きく変位するように付勢力が付与される。第1の磁石31と第2の磁石32の間隔が相対的に小さい部分には、その間隔を狭める方向に相対的に小さく変位するように付勢力が付与される。これにより、本実施の形態によれば、一定またはほぼ一定の接触圧力で、第1の外面12aを部位101に接触させることができる。
【0044】
また、本実施の形態によれば、一定またはほぼ一定の接触圧力で、第1の外面12aの適切な範囲(例えば、第1の外面12aの半分以上)を部位101に接触させることができることから、装置1が生体に装着された状態において、第1の外面12aが部位101からずれることを防止することができる。また、第1の外面12aが部位101に適切に押圧されることにより、部位101の表面(皮膚)が適度に張った状態(例えば、たるみが無い状態)に維持することができる。
【0045】
以上のことから、本実施の形態によれば、部位101に対する第1のケース12の接触を安定化することができる。
【0046】
また、一般的に、腕時計型のウェアラブルデバイスでは、ベルトの長さは、予め決められたピッチで調整される。そのため、ゆるめに締めたりきつめに締めたりというベルトの締め具合は、細かく調整することが難しい。また、ベルトの締め具合には個人の嗜好があるため、ベルトの締め具合は、使用者によって変化し得る。これに対し、本実施の形態では、ベルト3の締め具合の変化に起因する、部位101から作用する外力の変化を、付勢機構30によって吸収することができる。これにより、本実施の形態によれば、使用者が異なる場合であっても、一定またはほぼ一定の接触圧力で、第1の外面12aを部位101に接触させることができる。例えば、本実施の形態によれば、ベルト3をきつめに締めた場合に、部位101に過剰な接触圧力がかかることを防止することができる。
【0047】
また、本実施の形態によれば、部位101に対する第1のケース12の接触を安定化することができることから、生体情報の計測精度を改善することができる。例えば、前述の非特許文献1に記載されているように、LED等の発光素子とフォトダイオード等の受光素子を用いた脈波センサでは、皮膚とセンサの接触圧力を所定の大きさにすることによって、検出信号の乱れを低減することができる。本実施の形態では、付勢機構30によって、所定の接触圧力で、第1の外面12aを部位101に接触させることができる。これにより、本実施の形態によれば、脈波センサの検出信号の乱れを低減して、脈波の計測精度を改善することができる。
【0048】
また、本実施の形態では、前述のように、第1の外面12aの全体、あるいは比較的広い範囲(例えば、第1の外面12aの半分以上)を部位101に接触させることができる。これにより、本実施の形態によれば、第1の外面12aと部位101との間に、環境光が入射したり、発光素子の光が漏洩したりすることを防止することができる。これによっても、本実施の形態によれば、脈波の計測精度を改善することができる。
【0049】
また、一般的に、体温や発汗量を計測するセンサにおいても、接触圧力および接触面積が変化すると、検出信号が変動し得る。本実施の形態によれば、上述のように、部位101に対する第1のケース12の接触を安定化することができることから、体温や発汗量の計測精度を改善することができる。すなわち、本実施の形態によれば、生体と接触することで、生体の情報を計測する計測センサによる計測精度を改善することが可能である。
【0050】
[第2の実施の形態]
次に、本開示の第2の実施の形態について説明する。始めに、図9ないし図11を参照して、本実施の形態に係る装置の構成について説明する。図9は、本実施の形態に係る装置の本体を示す斜視図である。図10は、図9に示した装置の第1の部品を示す斜視図である。図11は、本実施の形態に係る装置の本体を示す断面図である。
【0051】
本実施の形態に係る装置1は、第1の実施の形態における本体2の代わりに、本体4を備えている。本体4は、第1の部品110と、第2の部品120と、付勢機構130とを備えている。
【0052】
第1の部品110は、生体の情報を計測可能な計測センサ111と、計測センサ111を収容する第1のケース112とを含んでいる。第1のケース112は、円柱形状またはほぼ円柱形状を有する本体部112Aと、フランジ部112Bとを含んでいる。また、第1のケース112は、部位101(図2参照)に接触可能な第1の外面112aと、第1の外面112aとは反対側の第2の外面112bとを有している。第1の外面112aは、本体部112Aの軸方向(円柱の軸方向)の一端に位置する。フランジ部112Bは、本体部112Aの軸方向(円柱の軸方向)の他端に接続されている。第2の外面112bは、フランジ部112Bの、本体部112Aの反対側の面によって構成されている。第1のケース112は、第1の実施の形態で説明した第1の部材、すなわち接触部材に相当する部材である。
【0053】
第1の実施の形態における計測センサ11と同様に、計測センサ111は、脈波センサ、体温を計測するセンサおよび発汗量を計測するセンサのうち、少なくとも脈波センサを含んでいてもよい。この場合、計測センサ111は、発光素子の発光部および受光素子の受光部が第1の外面112aから露出するように、第1のケース112に収容される。
【0054】
第2の部品120は、第1の部品110の少なくとも一部を収容可能な第2のケース121と、ベルト3(図1参照)を固定する取り付け部122,123とを含んでいる。第2のケース121には、第1の部品110を収容する空洞121Aが設けられている。また、第2のケース121は、装着状態において部位101(図2参照)と対向する側に設けられた開口部121aを有している。空洞121Aは、開口部121aに連通している。第1のケース112は、第1の外面112aが開口部121aから露出する姿勢で第2のケース121の空洞121A内に配置されている。空洞121A内において、第1のケース112は、位置が変化可能(空洞121A内を移動可能)である。第2のケース121は、第1の実施の形態で説明した第2の部材に相当する部材である。
【0055】
第2のケース121は、更に、空洞121Aに面し且つ第1のケース112の第2の外面112bに対向する面121bと、開口部121aの面121b側に設けられた段差部121cとを有している。段差部121cは、第1のケース112が開口部121aから脱落することを防止するためのストッパーとして機能する。
【0056】
第2の部品120は、更に、部位101とは反対側の面に設けられた表示部を含んでいてもよい。
【0057】
第1の部品110と第2の部品120の一方は、更に、計測センサ111の検出信号を処理する図示しないプロセッサを含んでいてもよい。第2の部品120が表示部を含んでいる場合、表示部は、プロセッサによって制御されてもよい。第2の部品120がプロセッサを含んでいる場合、プロセッサは、第1の部品110と第2の部品120との間に設けられた図示しない信号線を介して、計測センサ111の検出信号を取得してもよい。また、第1の部品110と第2の部品120の一方は、更に、装置1の外部との間で信号の送受信を行う通信回路を含んでいてもよい。通信回路は、プロセッサによって制御されて、有線または無線によって、信号の送受信を行ってもよい。
【0058】
付勢機構130は、装置1が生体に装着された際、第1の外面112aを部位101に接触且つ追従させる付勢力を第1のケース112に付与する。より詳しく説明すると、付勢機構130は、第1の部品110と第2の部品120との間において、第1の部品110を開口部121aから部位101に向かう第1の方向D11に移動させる第1の付勢力を発生することができるように構成されている。そして、付勢機構130は、装着状態において、第1の外面112aが部位101に接触し且つ追従する方向に、第1の付勢力を第1のケース112に付与する。
【0059】
付勢機構130は、第1のケース112の第2の外面112bに設けられた第1の磁石131と、第2のケース121の面121bに設けられた第2の磁石132とを含んでいる。第1の付勢力は、第1の磁石131と第2の磁石132との間に生じる反発力によって生成される。
【0060】
図11は、装置1が生体に装着されていない状態(非装着状態)を示している。非装着状態においては、第1の磁石131と第2の磁石132との間に生じる反発力によって、第1のケース112のフランジ部112Bが、第2のケース121の段差部121cに接している。
【0061】
次に、図12ないし図14を参照して、装置1が生体に装着された状態における付勢機構130の動作について説明する。図12は、装置1が生体に装着された状態を示す斜視図である。図13は、第1の部品110を示す斜視図である。図14は、装置1が生体に装着された状態を示す断面図である。なお、図12ないし図14では、便宜上、ベルト3および使用者100(図1参照)を省略している。
【0062】
本実施の形態では、装置1は、使用時には、第1のケース112の第1の外面112aの全体が部位101(図3参照)に接触するように、ベルト3を用いて使用者100の手首に巻かれる。第1の外面112aには、部位101から、第1の方向D11とは反対の第2の方向D12の外力が作用する。その結果、第1のケース112は、第2の方向D12に移動する。
【0063】
第1のケース112が第2の方向D12に移動すると、第1の磁石131と第2の磁石132との間に生じる反発力が大きくなる。その結果、第1のケース112には、第1の方向D11の第1の付勢力が付与される。第1のケース112は、部位101から作用する外力と第1の付勢力が均衡する位置で停止する。これにより、本実施の形態によれば、一定またはほぼ一定の接触圧力で、第1の外面112aを部位101に接触させることができる。
【0064】
なお、本実施の形態では、第1の外面112aの姿勢は、ほぼ一定である。本実施の形態におけるその他の構成、作用および効果は、第1の実施の形態と同様である。
【0065】
[第3の実施の形態]
次に、本開示の第3の実施の形態について説明する。始めに、図15ないし図17を参照して、本実施の形態に係る装置の構成について説明する。図15および図16は、本実施の形態に係る装置の本体を示す斜視図である。図17は、本実施の形態に係る装置の本体を示す断面図である。
【0066】
本実施の形態に係る装置1は、第1の実施の形態における本体2の代わりに、本体5を備えている。本体5は、第1の部品210と、第2の部品220と、付勢機構230とを備えている。なお、図15および図16では、便宜上、第1の部品210と第2の部品220を互いに離して描いている。
【0067】
第1の部品210は、生体の情報を計測可能な計測センサ211と、計測センサ211を収容する第1のケース212とを含んでいる。第1のケース212は、直方体と四角錐台とを合成したような形状を有している。また、第1のケース212は、部位101(図2参照)に接触可能な第1の外面212aと、第1の外面212aとは反対側の第2の外面212bとを有している。第1の外面112aは、四角錐台の一端に位置する。第2の外面212bは、直方体の一端(第1の外面112aと対向する面)に位置する。第1のケース212は、第1の実施の形態で説明した第1の部材、すなわち接触部材に相当する部材である。
【0068】
第1の実施の形態における計測センサ11と同様に、計測センサ211は、脈波センサ、体温を計測するセンサおよび発汗量を計測するセンサのうち、少なくとも脈波センサを含んでいてもよい。この場合、計測センサ211は、発光素子の発光部および受光素子の受光部が第1の外面212aから露出するように、第1のケース212に収容される。図15および図16には、計測センサ211の外面に、発光素子の発光部および受光素子の受光部が設けられた例を示している。この例では、計測センサ211は、計測センサ211の上記外面と第1の外面212aとの間に段差が生じないように、第1のケース212に収容されている。
【0069】
第1の部品210は、更に、第2の外面212bに設けられた表示部を含んでいてもよい。
【0070】
第1の部品210は、更に、計測センサ211の検出信号を処理する図示しないプロセッサを含んでいてもよい。第1の部品210が表示部を含んでいる場合、表示部は、プロセッサによって制御されてもよい。また、第1の部品210は、更に、装置1の外部との間で信号の送受信を行う通信回路を含んでいてもよい。通信回路は、プロセッサによって制御されて、有線または無線によって、信号の送受信を行ってもよい。プロセッサと通信回路は、第1のケース212に収容されていてもよい。
【0071】
第2の部品220は、第1の部品210の少なくとも一部を収容可能な第2のケース221と、ベルト3(図1参照)を固定する取り付け部222,223とを含んでいる。第2のケース221は、装置1を生体に装着した状態において部位101(図2参照)と対向する側に設けられた開口部221aを有し、第1の部品210の少なくとも一部を収容する。第1のケース212は、第1の外面212aが開口部221aから露出する姿勢で第2のケース221内に配置されていてもよい。第2のケース221内において、第1のケース212は、姿勢(例えば、第2のケース221に対する第1のケース212の傾き)および位置が変化可能であってもよい。第2のケース221は、第1の実施の形態で説明した第2の部材に相当する部材である。
【0072】
第2のケース221は、第1のケース212の形状に対応する角筒形状またはほぼ角筒形状を有している。また、第2のケース221は、更に、開口部221aとは反対側に設けられた板状部221cと、板状部221cに設けられた開口部221dとを有している。板状部221cは、第1のケース212が開口部221d側から脱落することを防止するためのストッパーとして機能する。第1の部品210が表示部を含んでいる場合、表示部は、開口部221dから露出してもよい。なお、第2のケース221において、例えば、開口部221dに透明なカバーが設けられていてもよい。
【0073】
付勢機構230は、装置1が生体に装着された際、第1の外面212aを部位101に接触且つ追従させる付勢力を第1のケース212に付与する。より詳しく説明すると、付勢機構230は、第1の部品210と第2の部品220との間において、第1の部品210を開口部221aから部位101に向かう第1の方向D21に移動させる第1の付勢力を発生することができるように構成されている。そして、付勢機構230は、装着状態において、第1の外面212aが部位101に接触し且つ追従する方向に、第1の付勢力を第1のケース212に付与する。
【0074】
付勢機構230は、第1のケース212と第2のケース221との間に介在する少なくとも1つの弾性部材を含んでいる。第1の付勢力は、少なくとも1つの弾性部材が圧縮されることによって生じる反発力によって生成される。
【0075】
本実施の形態では、少なくとも1つの弾性部材として、互いに異なる位置に配置された2つの弾性部材231,232が例示されている。弾性部材231,232は、例えば、発泡弾性体によって形成されていてもよい。なお、弾性部材231,232はこれに限定されず、例えば、弾性を備える樹脂、ゴムまたはばね等により構成されてもよい。弾性部材231,232は、いずれも、第2のケース221内において板状部221cに固定されている。弾性部材231は、取り付け部223よりも取り付け部222により近い位置に配置されている。弾性部材232は、取り付け部222よりも取り付け部223により近い位置に配置されている。
【0076】
図17は、装置1が装着されていない状態(非装着状態)を示している。非装着状態においては、第1のケース212は、例えば、弾性部材231,232が圧縮されないように、第2のケース221に収容されていてもよい。非装着状態において、第1のケース212のうちの第1の外面212aを含む一部は、開口部221aから第2のケース221の外側に突出していてもよい。なお、第1のケース212は、非装着状態において、弾性部材231,232に接していてもよいし、接していなくてもよい。
【0077】
次に、図18を参照して、装置1が生体に装着された際の、付勢機構230の動作について説明する。図18は、装置1が生体に装着された状態(装着状態)を示す断面図である。なお、図18では、便宜上、ベルト3および使用者100(図1参照)を省略している。
【0078】
装着状態において、装置1は、第1のケース212の第1の外面212aが部位101(図2参照)に接触するように、ベルト3を用いて使用者100の手首に巻かれる。第1の外面212aには、部位101から、第1の方向D21とは反対の第2の方向D22の外力が作用する。その結果、第1のケース212は、第2の方向D22に移動する。
【0079】
第1のケース212が第2の方向D22に移動すると、弾性部材231,232が圧縮され、弾性部材231,232に生じる反発力(復元力)が大きくなる。その結果、第1のケース212には、第1の方向D21に、第1の付勢力が付与される。第1のケース212は、部位101から作用する外力と第1の付勢力が均衡する位置で停止する。
【0080】
なお、図18は、第1の実施の形態における図6に示した第1の状態と同様に、第1の外面212aが、部位101に平行またはほぼ平行となる姿勢で、装置1が装着された状態を示している。この場合、部位101から作用する外力は、第1の外面212aに均等に作用する。その結果、第1のケース212は、第2の方向D22に沿って平行またはほぼ平行に移動する。この場合、第1のケース212が停止した状態における第1の外面212aは、第1の外面212aに平行またはほぼ平行である。また、図18に示した状態では、弾性部材231に生じる反発力と弾性部材232に生じる反発力は、同じかほぼ同じである。
【0081】
図示しないが、第1の実施の形態における図7および図8に示した第2および第3の状態と同様に、第1の外面212aが、部位101に対して傾いた姿勢で、装置1が装着された状態を想定する。この場合、第1のケース212は、部位101に追従して傾く。すなわち、この場合、装置1が生体に装着され第1のケース212が停止した状態における第1の外面212aは、装置1の非装着状態における第1の外面212aに対して傾いている。換言すると、第1のケース212は、第2のケース221に対して傾いた状態で、第2のケース221に収容されている。また、この状態では、部位101から第1の外面212aに作用する外力は、第1の外面212aの位置に応じて異なる。
【0082】
例えば、第1の外面212aのうちの取り付け部222の近傍の部分に、取り付け部223の近傍の部分に比べて相対的に小さな外力が作用した場合、弾性部材231に生じる反発力は、弾性部材232に生じる反発力よりも小さくなる。その結果、取り付け部222の近傍の付勢力は、取り付け部222の近傍の部分の付勢力に比べて相対的に小さくなる。これにより、第1の外面212aの姿勢が、部位101の傾きに追従する。
【0083】
このように、弾性部材231,232は、装着状態において、第1の外面212aの姿勢が部位101の傾きに追従するように、第1の付勢力を第1のケース212に付与する。これにより、本実施の形態によれば、一定またはほぼ一定の接触圧力で、第1の外面212aを部位101に接触させることができる。
【0084】
なお、弾性部材の数は、2つに限らず、3つ以上であってもよい。
【0085】
本実施の形態におけるその他の構成、作用および効果は、第1の実施の形態と同様である。
【0086】
[第4の実施の形態]
次に、本開示の第4の実施の形態について説明する。始めに、図19および図20を参照して、本実施の形態に係る装置の構成について説明する。図19は、本実施の形態に係る装置における第1の部品と付勢機構を示す斜視図である。図20は、本実施の形態に係る装置の本体を示す断面図である。
【0087】
本実施の形態に係る装置1の構成は、第1のケース112の構成と付勢機構130の構成を除いて、基本的には、第2の実施の形態に係る装置1の構成と同様であってもよい。本実施の形態では、第1のケース112のフランジ部112Bは、第1のケース112の本体部112Aの軸方向(円柱の軸方向)の一端と他端との間に設けられている。第1のケース112の第2の外面112bは、本体部112Aの軸方向(円柱の軸方向)の他端に位置する。
【0088】
また、本実施の形態では、付勢機構130は、第2の実施の形態における第1の磁石131および第2の磁石132の代わりに、弾性部材133を含んでいる。図19および図20に例示するように、弾性部材133として、例えば、ばねが用いられてもよい。なお、弾性部材133として、ばねの代わりに、発泡弾性体、ゴムまたは弾性を備える樹脂等が用いられてもよい。弾性部材133は、第2のケース121の空洞121A内であって、第1のケース112のフランジ部112Bと第2のケース121の面121bとの間に設けられている。第1の付勢力は、弾性部材133(例えば、ばね)が圧縮されることによって生じる反発力によって生成される。
【0089】
次に、図21および図22を参照して、本実施の形態に係る装置1が生体に装着された際の付勢機構130の動作について説明する。図21は、第1の部品110と付勢機構130を示す斜視図である。図22は、装置1の装着状態を示す断面図である。なお、図21および図22では、便宜上、ベルト3および使用者100(図1参照)を省略している。
【0090】
第2の実施の形態で説明したように、装置1を使用者100の手首に巻くと、第1の外面112aには、部位101(図2参照)から、第1の方向D11とは反対の第2の方向D12の外力が作用する。その結果、第1のケース112は、第2の方向D12に移動する。
【0091】
第1のケース112が第2の方向D12に移動すると、弾性部材133に生じる反発力(復元力)が大きくなる。その結果、第1のケース112には、第1の方向D11の第1の付勢力が付与される。第1のケース112は、部位101から作用する外力と第1の付勢力が均衡する位置で停止する。本実施の形態によれば、一定またはほぼ一定の接触圧力で、第1の外面112aを部位101に接触させることができる。
【0092】
本実施の形態におけるその他の構成、作用および効果は、第2の実施の形態と同様である。
【0093】
なお、本開示に係る技術は、上記各実施の形態に限定されず、種々の変更が可能である。例えば、複数の第1の磁石と複数の第2の磁石の各々の数と、弾性部材の数は、各実施の形態に示した例に限られず、適切に選択されてよい。
【符号の説明】
【0094】
1…装置、2…本体、3…ベルト、10…第1の部品、11…計測センサ、12…第1のケース、20…第2の部品、21…第2のケース、22…取り付け部、23…取り付け部、30…付勢機構、31…第1の磁石、32…第2の磁石、100…使用者、101…部位、D1…第1の方向、D2…第2の方向。
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