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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022181982
(43)【公開日】2022-12-08
(54)【発明の名称】酸化染料の製造方法
(51)【国際特許分類】
   C09B 57/00 20060101AFI20221201BHJP
   C07D 209/08 20060101ALI20221201BHJP
   B01J 23/42 20060101ALI20221201BHJP
   C07B 61/00 20060101ALN20221201BHJP
【FI】
C09B57/00 Z
C07D209/08
B01J23/42 Z
C07B61/00 300
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021089248
(22)【出願日】2021-05-27
(71)【出願人】
【識別番号】000005887
【氏名又は名称】三井化学株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】後藤 謙一
【テーマコード(参考)】
4G169
4H039
【Fターム(参考)】
4G169AA02
4G169BB04B
4G169BC75A
4G169BC75B
4G169CB02
4G169DA05
4H039CA42
4H039CB10
(57)【要約】
【課題】簡便な操作を用いて、高純度で5,6-ジヒドロキシインドリンの酸塩を得ることができる酸化染料の製造方法を提供することである。
【解決手段】カルボン酸の存在下で、水素添加反応によりインドール誘導体をインドリン誘導体に変換し、インドリン誘導体を含む溶液を得る工程(I)と、前記インドリン誘導体を含む溶液に臭化水素を添加する工程(II)と、を含み、前記工程(I)における水素添加反応は、触媒を用い、前記触媒の添加量xmol%及び反応温度y℃が、下記式(1)及び下記式(2)の条件を満たす酸化染料の製造方法。y≦-2.5x+59.00式(1)0<x≦20.0式(2)
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
カルボン酸の存在下で、水素添加反応によりインドール誘導体をインドリン誘導体に変換し、前記インドリン誘導体を含む溶液を得る工程(I)と、
前記インドリン誘導体を含む溶液に臭化水素を添加する工程(II)と、
を含み、
前記工程(I)における前記水素添加反応は、触媒を用い、前記触媒の添加量xmol%及び反応温度y℃が、下記式(1)及び下記式(2)の条件を満たす酸化染料の製造方法。
y≦-2.5x+59.00 式(1)
0<x≦20.0 式(2)
【請求項2】
前記触媒は、4価の白金を含む請求項1に記載の酸化染料の製造方法。
【請求項3】
前記カルボン酸は、XCOOHで表され、前記Xが炭素数1~20のアルキル基である請求項1又は請求項2に記載の酸化染料の製造方法。
【請求項4】
前記工程(I)における前記水素添加反応は、前記触媒の添加量xmol%及び前記反応温度y℃が、さらに下記式(1-1)の条件を満たす請求項1~請求項3のいずれか1項に記載の酸化染料の製造方法。
y≦-2.5x+57.50 式(1-1)
【請求項5】
前記工程(I)における前記水素添加反応は、前記触媒の添加量xmol%及び前記反応温度y℃が、さらに下記式(1-2)の条件を満たす請求項1~請求項4のいずれか1項に記載の酸化染料の製造方法。
y≦-2.5x+55.00 式(1-2)
【請求項6】
前記工程(I)における前記水素添加反応は、前記触媒の添加量xmol%が、下記式(2-1)を満たす請求項1~請求項5のいずれか1項に記載の酸化染料の製造方法。
0.2≦x≦15.0 式(2-1)
【請求項7】
前記工程(I)における前記水素添加反応は、前記触媒の添加量xmol%が、下記式(2-2)を満たす請求項1~請求項6のいずれか1項に記載の酸化染料の製造方法。
0.5≦x≦10.0 式(2-2)
【請求項8】
前記工程(I)における前記水素添加反応は、前記反応温度y℃が、下記式(1-3)を満たす請求項1~請求項7のいずれか1項に記載の酸化染料の製造方法。
0≦y≦50.00 式(1-3)
【請求項9】
前記工程(I)における前記水素添加反応は、前記反応温度y℃が、下記式(1-4)を満たす請求項1~請求項8のいずれか1項に記載の酸化染料の製造方法。
5≦y≦45.00 式(1-4)
【請求項10】
前記インドリン誘導体が、下記式(II-I)で表される化合物を含む請求項1~請求項9のいずれか1項に記載の酸化染料の製造方法。
【化1】

〔式(II-I)中、R~Rは、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1~10の置換もしくは無置換のアルキル基、炭素数6~10の置換もしくは無置換のアリール基、酸素含有基、又はハロゲン原子である。R及びRは、それぞれ独立に、炭素数1~12の脂肪族基であるか、又は、一体となって、炭素数1~4のアルキレン基を表す。Xは塩素原子又は臭素原子であり、nは0又は1である。〕
【請求項11】
前記式(II-I)中、R~Rが水素原子である請求項10に記載の酸化染料の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、酸化染料の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
5,6-ジヒドロキシインドリンの酸塩は、空気中の酸素により酸化されて黒色のメラニンとなる性質を有する。そのため、5,6-ジヒドロキシインドリンの酸塩は、古くから前駆体型の酸化染料として用いられてきた。
【0003】
例えば、特許文献1には、染料前駆物質の酸化により酸化染料を生成する方法であって、染料前駆物質が、特定の構造式で示されるインドリンまたはその塩であり、該染料前駆物質を、インドール中間体を単離することなく一工程で酸化することにより酸化染料を生成することを特徴とする方法が記載されている。
【0004】
5,6-ジヒドロキシインドリン臭化水素酸塩の製造方法として、例えば特許文献2には、特定の構造式に相当する少なくとも5,6-ジヒドロキシインドリンおよびその酸付加塩を含む、ケラチン繊維、特にヒトの毛髪の染色組成物が記載されている。
【0005】
5,6-ジヒドロキシインドリン臭化水素酸塩の製造方法として、例えば特許文献3には、特定の構造式で示される5,6-ジヒドロキシインドリンの製法であって、特定の構造式で示されるインドリンエーテルを臭化水素酸と反応させて、その水性反応混合物から直接、5,6-ジヒドロキシインドリンを結晶化することによる、5,6-ジヒドロキシインドリンの製法が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】独国特許出願公開第4016177号明細書
【特許文献2】特許第2997564号公報
【特許文献3】特表平6-510054号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1~特許文献3の方法のような従来の方法では、5,6-ジヒドロキシインドリン臭化水素酸塩を高純度の結晶として取り出すための精製操作を行う必要があり、時間的又は製造効率的に課題があった。
そのため、簡便な操作を用いて、高純度で5,6-ジヒドロキシインドリンの酸塩を得ることができる酸化染料の製造方法が求められる。
【0008】
本開示の一実施形態が解決しようとする課題は、簡便な操作を用いて、高純度で5,6-ジヒドロキシインドリンの酸塩を得ることができる酸化染料の製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するための手段には、以下の態様が含まれる。
<1> カルボン酸の存在下で、水素添加反応によりインドール誘導体をインドリン誘導体に変換し、前記インドリン誘導体を含む溶液を得る工程(I)と、前記インドリン誘導体を含む溶液に臭化水素を添加する工程(II)と、を含み、
前記工程(I)における前記水素添加反応は、触媒を用い、前記触媒の添加量xmol%及び反応温度y℃が、下記式(1)及び下記式(2)の条件を満たす酸化染料の製造方法。
y≦-2.5x+59.00 式(1)
0<x≦20.0 式(2)
<2> 前記触媒は、4価の白金を含む<1>に記載の酸化染料の製造方法。
<3> 前記カルボン酸は、XCOOHで表され、前記Xが炭素数1~20のアルキル基である<1>又は<2>に記載の酸化染料の製造方法。
<4> 前記工程(I)における前記水素添加反応は、前記触媒の添加量xmol%及び前記反応温度y℃が、下記式(1-1)の条件を満たす<1>~<3>のいずれか1つに記載の酸化染料の製造方法。
y≦-2.5x+57.50 式(1-1)
<5> 前記工程(I)における前記水素添加反応は、前記触媒の添加量xmol%及び前記反応温度y℃が、下記式(1-2)の条件を満たす<1>~<4>のいずれか1つに記載の酸化染料の製造方法。
y≦-2.5x+55.00 式(1-2)
<6> 前記工程(I)における前記水素添加反応は、前記触媒の添加量xmol%が、0.2以上15以下である<1>~<5>のいずれか1つに記載の酸化染料の製造方法。
<7> 前記工程(I)における前記水素添加反応は、前記触媒の添加量xmol%が、0.5以上10以下である<1>~<6>のいずれか1つに記載の酸化染料の製造方法。
<8> 前記工程(I)における前記水素添加反応は、前記反応温度y℃が、0以上50以下である<1>~<7>のいずれか1つに記載の酸化染料の製造方法。
<9> 前記工程(I)における前記水素添加反応は、前記反応温度y℃が、5以上45以下である<1>~<8>のいずれか1つに記載の酸化染料の製造方法。
<10> 前記インドリン誘導体が、下記式(II-I)で表される化合物を含む<1>~<9>のいずれか1つに記載の酸化染料の製造方法。
【0010】
【化1】
【0011】
〔式(II-I)中、R~Rは、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1~10の置換もしくは無置換のアルキル基、炭素数6~10の置換もしくは無置換のアリール基、酸素含有基、又はハロゲン原子である。R及びRは、それぞれ独立に、炭素数1~12の脂肪族基であるか、又は、一体となって、炭素数1~4のアルキレン基を表す。Xは塩素原子又は臭素原子であり、nは0又は1である。〕
<11> 前記式(II-I)中、R~Rが水素原子である<10>に記載の酸化染料の製造方法。
【発明の効果】
【0012】
本開示の一実施形態によれば、簡便な操作を用いて、高純度で5,6-ジヒドロキシインドリンの酸塩を得ることができる酸化染料の製造方法を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下において、本開示の内容について詳細に説明する。以下に記載する構成要件の説明は、本開示の代表的な実施態様に基づいてなされることがあるが、本開示はそのような実施態様に限定されるものではない。
本開示において「~」を用いて示された数値範囲は、「~」の前後に記載される数値をそれぞれ最小値及び最大値として含む範囲を示す。
本開示において「工程」との語は、独立した工程だけではなく、他の工程と明確に区別できない場合であってもその工程の目的が達成されれば、本用語に含まれる。
本開示において組成物中の各成分の含有量は、組成物中に各成分に該当する物質が複数種存在する場合、特に断らない限り、組成物中に存在する当該複数種の物質の合計量を意味する。
【0014】
≪酸化染料の製造方法≫
本開示の酸化染料の製造方法は、カルボン酸の存在下で、水素添加反応によりインドール誘導体をインドリン誘導体に変換し、インドリン誘導体を含む溶液を得る工程(I)と、前記インドリン誘導体を含む溶液に臭化水素を添加する工程(II)と、を含み、
前記工程(I)における前記水素添加反応は、触媒を用い、前記触媒の添加量xmol%及び反応温度y℃が、下記式(1)及び下記式(2)の条件を満たす。
y≦-2.5x+59.00 式(1)
0<x≦20.0 式(2)
なお、触媒の添加量xの単位はmol%であり、反応温度yの単位は℃である。
【0015】
本開示において、酸化染料はメラニン前駆体型の酸化染料であり、メラニンのインドール骨格に置換基が導入されていない化合物、及び、メラニンのインドール骨格に置換基が導入されている化合物の両方を含む概念である。
本開示において、インドール誘導体は、インドール誘導体のインドール骨格に置換基が導入されていない化合物、及び、インドール誘導体のインドール骨格に置換基が導入されている化合物の両方を含む概念である。
本開示において、インドリン誘導体は、インドリン誘導体のインドリン骨格に置換基が導入されていない化合物、及び、インドリン誘導体のインドリン骨格に置換基が導入されている化合物の両方を含む概念である。
【0016】
本開示において「純度(質量%)」は、目的の生成物の量を実際に得られた生成物全体の量で除した値の百分率を意味する。
本開示において「収率(質量%)」は、実際に得られた量を理論的に計算して得られた量で除した値の百分率を意味する。
上記触媒の添加量xmol%は、インドール誘導体の物質量に対する触媒の物質量の百分率を意味する。
【0017】
酸化染料はメラニンへと酸化され易いため、酸化染料を製造する際、収率が低下し易かった。そのため、簡便な操作を用いて、効率的に、高純度の酸化染料前駆体及び酸化染料を合成する方法が求められていた。
【0018】
本発明者は、インドール誘導体からインドリン誘導体を得るための水素添加反応後に、カルボン酸とインドリン誘導体とが反応し、インドリン誘導体の窒素原子がアシル化された副生成物が生じ得るという知見を得た。即ち、インドール誘導体からインドリン誘導体を得るための水素添加反応後に、インドリン誘導体として、インドリン誘導体の窒素原子がアシル化されていない主生成物と、インドリン誘導体の窒素原子がアシル化された副生成物と、が存在し得るという知見を得た。
主生成物としては、例えば下記式(A)で表される化合物が挙げられる。
副生成物としては、例えば下記式(B)で表される化合物が挙げられる。式(B)中、Rは、例えばアセチル基表す。
【0019】
【化2】

【0020】
そして、本発明者は、上記副生成物は、インドリン誘導体と臭化水素との反応後に得られる5,6-ジヒドロキシインドリンの酸塩の純度を低下させる原因になることを見出した。
従来は、この純度の低下を回避するために精製工程を行っていた。しかし、精製工程を行うことによって収率が低下してしまうという問題がある。
これに対し、本発明者が鋭意検討した結果、本開示の酸化染料の製造方法を導き出した。即ち、本開示の酸化染料の製造方法は、本開示における工程(I)と、本開示における工程(II)と、を含み、工程(I)における前記水素添加反応は、触媒を用い、触媒の添加量xmol%及び反応温度y℃が、特定の条件を満たすことで、副生成物の生成を抑制し、簡便な操作を用いて、高純度で5,6-ジヒドロキシインドリンの酸塩を得ることができる。
本開示の酸化染料の製造方法は、必ずしも精製工程を必要としない。本開示の酸化染料の製造方法は、精製工程を行わなかったとしても、高純度で5,6-ジヒドロキシインドリンの酸塩を得ることができる。
また、本開示の酸化染料の製造方法は、高収率で5,6-ジヒドロキシインドリンの酸塩を得ることもできる。
【0021】
<工程(I)>
工程(I)は、カルボン酸の存在下で、水素添加反応によりインドール誘導体をインドリン誘導体に変換し、インドリン誘導体を含む溶液を得る工程である。
前記工程(I)における前記水素添加反応は、触媒を用い、前記触媒の添加量xmol%及び反応温度y℃が、下記式(1)及び下記式(2)の条件を満たす。
y≦-2.5x+59.00 式(1)
0<x≦20.0 式(2)
【0022】
式(1)は、工程(I)における前記水素添加反応における反応温度y℃の範囲を定める。
触媒の添加量xmol%及び反応温度y℃が、式(1)を満たすことで、副生成物の生成を抑制し、酸化染料の純度及び収率を高くすることができる。
【0023】
副生成物の生成を抑制し、酸化染料の純度及び収率を高くする観点から、工程(I)における前記水素添加反応は、触媒の添加量xmol%及び反応温度y℃が、下記式(1-1)の条件を満たすことが好ましい。
y≦-2.5x+57.50 式(1-1)
【0024】
副生成物の生成を抑制し、酸化染料の純度及び収率を高くする観点から、工程(I)における前記水素添加反応は、触媒の添加量xmol%及び反応温度y℃が、下記式(1-2)の条件を満たすことがより好ましい。
y≦-2.5x+55.00 式(1-2)
【0025】
y℃は、製造効率を適切に維持する観点から、0≦yを満たすことが好ましく、5.00≦yを満たすことがより好ましく、10.00≦yを満たすことがさらに好ましく、15.00≦yを満たすことが特に好ましく、20.00≦yを満たすことがより一層好ましい。
【0026】
副生成物の生成を抑制し、酸化染料の純度及び収率を高くする観点から、y≦50.00を満たすことが好ましく、y≦45を満たすことがより好ましく、y≦40.00を満たすことがさらに好ましい。
【0027】
工程(I)における前記水素添加反応は、反応温度y℃が、下記式(1-3)を満たすことが好ましく、下記式(1-4)を満たすことがより好ましい。
0≦y≦50.00 式(1-3)
5.00≦y≦45.00 式(1-4)
【0028】
式(2)は、工程(I)における前記水素添加反応に用いられる触媒の添加量xmol%の範囲を定める。
触媒の添加量xmol%が、x≦20.0を満たすことで、副生成物の生成を抑制し、酸化染料の純度及び収率を高くすることができる。
上記の観点から、触媒の添加量xmol%が、x≦15.0を満たすことが好ましく、x≦10.0を満たすことがより好ましい。
触媒の添加量xmol%が、0<xを満たすことで、製造効率を適切に維持することができる。
上記の観点、及び本開示の効果の再現性を高める観点から、触媒の添加量xmol%が、0.2≦xを満たすことが好ましく、0.5≦xを満たすことがより好ましい。
上記「本開示の効果の再現性を高める」とは、具体的には、例えば、触媒を反応釜中に均一に存在させて反応釜中で均一に反応を進行させることで、本開示の効果の再現性を高めることである。
【0029】
工程(I)における前記水素添加反応は、触媒の添加量xmol%は、下記式(2-1)を満たすことが好ましく、下記式(2-2)を満たすことがより好ましい。
0.2≦x≦15.0 式(2-1)
0.5≦x≦10.0 式(2-2)
【0030】
<溶媒>
工程(I)は、溶媒を用いて行う。
上記溶媒として、少なくともカルボン酸を含む。
(カルボン酸)
工程(I)は、カルボン酸の存在下で、水素添加反応によりインドール誘導体をインドリン誘導体に変換し、インドリン誘導体を含む溶液を得る。
工程(I)がカルボン酸の存在下で行われることで、反応容器の腐食を抑制しながら、水素添加反応の反応活性を高めることができる。
カルボン酸は、XCOOHで表される化合物であってもよい。上記Xは水素原子又は炭素数1~50の炭化水素基であり、好ましくは炭素数1~20の炭化水素基である。
【0031】
Xとしては、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、アリール基、アラルキル基、複素環の一価基等が挙げられる。
また上記の炭化水素基は置換基を含んでいてもよい。
上記置換基としては、水酸基、アルコキシ基、カルボニル基、アルデヒド基、カルボン酸基、エステル基、アミノ基、イミノ基、ニトリル基、ハロゲン等が挙げられる。
【0032】
カルボン酸は、XCOOHで表され、上記Xが炭素数1~20のアルキル基であることが好ましい。
【0033】
Xがアルキル基である場合、アルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、1-メチルプロピル基、ペンチル基、1-メチルブチル基、ヘキシル基、1-メチルペンチル基、ヘプチル基、オクチル基、1-メチルヘプチル基、ノニル基、デシル基、ドデシル基、テトラデシル基、ヘキサデシル基、オクタデシル基等が挙げられる。
【0034】
Xがアルキル基である場合、カルボン酸の具体例としては、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、イソ吉草酸、カプロン酸、エナント酸、カプリル酸、ペラルゴン酸、カプリン酸、ラウリン酸、ステアリン酸、蓚酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、スベリン酸、セバシン酸、酒石酸、リンゴ酸、乳酸等を挙げることができる。
【0035】
Xがシクロアルキル基である場合、カルボン酸の具体例としては、2-シクロプロペンカルボン酸、シクロペンタンカルボン酸、シクロヘキサンカルボン酸、1-テトラリンカルボン酸などが挙げられる。
【0036】
Xがアルケニル基である場合、カルボン酸の具体例としては、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、セネシオ酸、2-ペンテン酸、2-ヘキセン酸、2-ヘプテン酸、2-オクテン酸、2-ノネン酸、ゲラン酸、2-デセン酸、2-ドデセン酸、2-オクタデセン酸、ファルネシル酸、ゲラニルゲラン酸、ケイ皮酸、マレイン酸、フマル酸、トラウマト酸、シンナミリデン酢酸、ソルビン酸、ムコン酸、2,4-オクタジエン酸等を挙げることができる。
【0037】
Xがアリール基である場合、アリール基としては、炭素数が6~20であることが好ましい。
アリール基としては、フェニル基、トリル基、キシリル基、ハロゲン化フェニル基、ナフチル基、アントリル基、フェナントレン基、ペリレン基等が挙げられる。
Xがアリール基である場合、カルボン酸の具体例としては、安息香酸、o-トルイル酸、m-トルイル酸、p-トルイル酸、o-フルオロ安息香酸、m-フルオロ安息香酸、p-フルオロ安息香酸、2,3,4,5,6-ペンタフルオロ安息香酸、o-クロロ安息香酸、m-クロロ安息香酸、p-クロロ安息香酸、4-メトキシ安息香酸、ナフトエ酸、アントラセンカルボン酸、フェナントレンカルボン酸、ペリレンカルボン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸等を挙げることができる。
【0038】
Xがアラルキル基である場合、アラルキル基としては、炭素数が7~21であることが好ましい。
アラルキル基としては、ベンジル基、ナフチルメチル基、アントリルメチル基等が挙げられる。
Xがアラルキル基である場合、カルボン酸の具体例としては、フェニル酢酸、ナフチル酢酸、アントリル酢酸等を挙げることができる。
【0039】
Xが複素環の一価基である場合、複素環の一価基としては、複素環に含まれる炭素数が4~20であることが好ましい。
Xが複素環の一価基である場合、カルボン酸の具体例としては、2-フランカルボン酸、3-フランカルボン酸、ニコチン酸、イソニコチン酸等を挙げることができる。
【0040】
上記の中で、特に好ましいカルボン酸としては、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、セネシオ酸、2-ペンテン酸、2-ヘキセン酸、2-ヘプテン酸、2-オクテン酸、2-ノネン酸、ゲラン酸、2-デセン酸、2-ドデセン酸、2-オクタデセン酸、ファルネシル酸、ゲラニルゲラン酸、ケイ皮酸、マレイン酸、フマル酸、トラウマト酸、シンナミリデン酢酸、ソルビン酸、ムコン酸、2,4-オクタジエン酸、安息香酸、o-トルイル酸、m-トルイル酸、p-トルイル酸、o-フルオロ安息香酸、m-フルオロ安息香酸、p-フルオロ安息香酸、2,3,4,5,6-ペンタフルオロ安息香酸、o-クロロ安息香酸、m-クロロ安息香酸、p-クロロ安息香酸、4-メトキシ安息香酸、ナフトエ酸、アントラセンカルボン酸、フェナントレンカルボン酸、ペリレンカルボン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸等を挙げることができる。
本開示におけるカルボン酸は、1種含んでもよく、複数種含んでもよい。
【0041】
上記の中でも、反応性を高める観点、コストの観点、扱いやすさの観点、及び反応容器を腐食しない観点から、Xは、炭素数1~20のアルキル基であることが好ましく、炭素数1~10のアルキル基であることがより好ましく、炭素数1~5のアルキル基であることがさらに好ましく、メチル基であることが特に好ましい。
【0042】
工程(I)は、本開示における効果を阻害しない範囲内で、カルボン酸以外に、他の溶媒を含んでもよい。
カルボン酸を含む溶媒は、全体として、原料であるインドール誘導体を溶解できることが好ましい。カルボン酸を含む溶媒は、全体として、均一に混ざることが好ましい。
【0043】
カルボン酸の量(L)に対するインド―ル誘導体の物質量(mol)の比率は、0.01~0.8であることが好ましい。
カルボン酸の量(L)に対するインド―ル誘導体の物質量(mol)の比率が、0.01以上であることで、製造コストを低減させ、生産性を向上させることができる。
カルボン酸の量(L)に対するインド―ル誘導体の物質量(mol)の比率が、0.8以下とすることで、副反応の進行を抑制し、酸化染料の純度を上げることができる。
上記同様の観点から、カルボン酸の量(L)に対するインド―ル誘導体の物質量(mol)の比率は、0.05~0.6であることがより好ましく、0.1~0.5であることがさらに好ましく、0.2~0.5であることが特に好ましい。
【0044】
(他の添加物)
水素添加反応をさらに加速させる観点から、工程(I)において、ルイス酸及びブレンステッド酸からなる群から選択される少なくとも1つを用いてもよい。
ルイス酸としては、塩化スズ、塩化セリウム等が挙げられる。
ブレンステッド酸としては、硫酸、硝酸、ハロゲン化水素(例えば、ヨウ化水素、臭化水素、塩化水素など)、スルホン酸を有する有機化合物、リン酸を有する有機化合物等が挙げられる。
【0045】
(インドール誘導体)
インドール誘導体としては、特に制限なく用いることができる。
例えば、インドール誘導体としては、下記式(I)で表される化合物が挙げられる。
【0046】
【化3】
【0047】
〔式(I)中、R及びRは、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1~10の置換もしくは無置換のアルキル基、炭素数6~10の置換もしくは無置換のアリール基、酸素含有基、又はハロゲン原子である。R及びRは、それぞれ独立に、炭素数1~12の脂肪族基であるか、又は、一体となって、炭素数1~4のアルキレン基を表す。〕
式(I)中の置換基の詳細については、後述する。
【0048】
(インドリン誘導体)
インドリン誘導体は、工程(I)において、カルボン酸の存在下で、水素添加反応によりインドール誘導体を変換して得られる。
上述の通り、インドール誘導体からインドリン誘導体を得るための水素添加反応後に、インドリン誘導体として、インドリン誘導体の窒素原子がアシル化されていない主生成物と、インドリン誘導体の窒素原子がアシル化された副生成物と、が存在し得る。
そして、上記副生成物は、インドリン誘導体と臭化水素との反応後に得られる5,6-ジヒドロキシインドリンの酸塩の純度を低下させる原因になる。
本開示の酸化染料の製造方法では、水素添加反応によりインドール誘導体を変換する際に発生し得る上記副生成物の生成を抑制することで、高純度で5,6-ジヒドロキシインドリンの酸塩を得ることができる。
【0049】
インドリン誘導体は、酸塩であってもよい。インドリン誘導体の酸塩としては、例えば、塩酸塩、臭化水素酸塩等が挙げられる。
インドリン誘導体の酸塩は、水素添加反応により生じたインドリン誘導体について、工程(II)における脱保護は進行させず、単に塩酸、臭化水素酸等で処理することにより得られる。
インドリン誘導体の酸塩は、工程(II)において脱保護されることで酸化染料としてもよい。また、インドリン誘導体の酸塩自体を酸化染料として用いることもできる。
【0050】
インドリン誘導体は、下記式(II-I)で表される化合物を含むことが好ましい。
式(II-I)で表される化合物は、上述の主生成物に相当するインドリン誘導体である。
【0051】
【化4】
【0052】
〔式(II-I)中、R~Rは、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1~10の置換もしくは無置換のアルキル基、炭素数6~10の置換もしくは無置換のアリール基、酸素含有基、又はハロゲン原子である。R及びRは、それぞれ独立に、炭素数1~12の脂肪族基であるか、又は、一体となって、炭素数1~4のアルキレン基を表す。Xは塩素原子又は臭素原子であり、nは0又は1である。〕
上述の式(I)及び式(II-I)中の置換基について、以下に詳細に説明する。
【0053】
置換のアルキル基及び置換のアリール基における置換基は、具体的には、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基、ヘテロ環基、アルコキシ基、アリールオキシ基等が挙げられる。
これらの置換基は、アルキル基又はアリール基に1個だけ置換されていてもよく、2個以上置換されていてもよい。
これらの置換基がアルキル基又はアリール基に2個以上置換されている場合、各置換基は、単独の置換基で置換されていてもよく、異なる種類の置換基で置換されていてもよい。
【0054】
置換又は無置換アルキル基の具体例としては、メチル基、エチル基、n-プロピル基、n-ブチル基、n-ペンチル基、n-ヘキシル基、n-ヘプチル基、n-オクチル基等の炭素数1~10の直鎖アルキル基;
イソプロピル基、イソブチル基、sec-ブチル基、イソペンチル基、sec-ペンチル基、1-メチルペンチル基、2-メチルペンチル基、3-メチルペンチル基、4-メチルペンチル基、1-エチルブチル基、2-エチルブチル基、1-メチルヘキシル基、2-メチルヘキシル基、3-メチルヘキシル基、4-メチルヘキシル基、5-メチルヘキシル基、1-エチルペンチル基、2-エチルペンチル基、3-エチルペンチル基、1-n-プロピルブチル基、1-iso-プロピルブチル基、1-iso-プロピル-2-メチルプロピル基、1-メチルヘプチル基、2-メチルヘプチル基、3-メチルヘプチル基、4-メチルヘプチル基、5-メチルヘプチル基、6-メチルヘプチル基、1-エチルヘキシル基、2-エチルヘキシル基、3-エチルヘキシル基、4-エチルヘキシル基、1-n-プロピルペンチル基、2-n-プロピルペンチル基、1-iso-プロピルペンチル基、2-iso-プロピルペンチル基、1-n-ブチルブチル基、1-iso-ブチルブチル基、1-sec-ブチルブチル基、1-tert-ブチルブチル基、2-tert-ブチルブチル基等の炭素数2~10のモノアルキル置換アルキル基;
tert-ブチル基、tert-ペンチル基、1,1-ジメチルブチル基、1,2-ジメチルブチル基、1,3-ジメチルブチル基、2,3-ジメチルブチル基、1-エチル-2-メチルプロピル基、1,1-ジメチルペンチル基、1,2-ジメチルペンチル基、1,3-ジメチルペンチル基、1,4-ジメチルペンチル基、2,2-ジメチルペンチル基、2,3-ジメチルペンチル基、2,4-ジメチルペンチル基、3,3-ジメチルペンチル基、3,4-ジメチルペンチル基、1-エチル-1-メチルブチル基、1-エチル-2-メチルブチル基、1-エチル-3-メチルブチル基、2-エチル-1-メチルブチル基、2-エチル-3-メチルブチル基、1,1-ジメチルヘキシル基、1,2-ジメチルヘキシル基、1,3-ジメチルヘキシル基、1,4-ジメチルヘキシル基、1,5-ジメチルヘキシル基、2,2-ジメチルヘキシル基、2,3-ジメチルヘキシル基、2,4-ジメチルヘキシル基、2,5-ジメチルヘキシル基、3,3-ジメチルヘキシル基、3,4-ジメチルヘキシル基、3,5-ジメチルヘキシル基、4,4-ジメチルヘキシル基、4,5-ジメチルヘキシル基、1-エチル-2-メチルペンチル基、1-エチル-3-メチルペンチル基、1-エチル-4-メチルペンチル基、2-エチル-1-メチルペンチル基、2-エチル-2-メチルペンチル基、2-エチル-3-メチルペンチル基、2-エチル-4-メチルペンチル基、3-エチル-1-メチルペンチル基、3-エチル-2-メチルペンチル基、3-エチル-3-メチルペンチル基、3-エチル-4-メチルペンチル基、1-n-プロピル-1-メチルブチル基、1-n-プロピル-2-メチルブチル基、1-n-プロピル-3-メチルブチル基、1-iso-プロピル-1-メチルブチル基、1-iso-プロピル-2-メチルブチル基、1-iso-プロピル-3-メチルブチル基、1,1-ジエチルブチル基、1,2-ジエチルブチル基等の炭素数3~10のジアルキル置換アルキル基;
1,1,2-トリメチルプロピル基、1,2,2-トリメチルプロピル基、1,1,2-トリメチルブチル基、1,1,3-トリメチルブチル基、1,2,3-トリメチルブチル基、1,2,2-トリメチルブチル基、1,3,3-トリメチルブチル基、2,3,3-トリメチルブチル基、1,1,2-トリメチルペンチル基、1,1,3-トリメチルペンチル基、1,1,4-トリメチルペンチル基、1,2,2-トリメチルペンチル基、1,2,3-トリメチルペンチル基、1,2,4-トリメチルペンチル基、1,3,4-トリメチルペンチル基、2,2,3-トリメチルペンチル基、2,2,4-トリメチルペンチル基、2,3,4-トリメチルペンチル基、1,3,3-トリメチルペンチル基、2,3,3-トリメチルペンチル基、3,3,4-トリメチルペンチル基、1,4,4-トリメチルペンチル基、2,4,4-トリメチルペンチル基、3,4,4-トリメチルペンチル基、1-エチル-1,2-ジメチルブチル基、1-エチル-1,3-ジメチルブチル基、1-エチル-2,3-ジメチルブチル基、2-エチル-1,1-ジメチルブチル基、2-エチル-1,2-ジメチルブチル基、2-エチル-1,3-ジメチルブチル基、2-エチル-2,3-ジメチルブチル基等の炭素数4~10のトリアルキル置換アルキル基;
シクロペンチル基、シクロヘキシル基等の炭素数3~20の環状アルキル基;
メチルシクロペンチル基、メチルシクロヘキシル基、1,2-ジメチルシクロヘキシル基、1,3-ジメチルシクロヘキシル基、1,4-ジメチルシクロヘキシル基、エチルシクロヘキシル基等の炭素数4~10のアルキル置換環状アルキル基;
ベンジル基、4-メチルベンジル基等の炭素数7~10のアリール置換アルキル基;
フルオロメチル基、トリフルオロメチル基、クロロメチル基、ジクロロメチル基、トリクロロメチル基、ブロモメチル基、ジブロモメチル基、トリブロモメチル基、フルオロエチル基、クロロエチル基、ブロモエチル基、トリフルオロエチル基、ペンタフルオロエチル基、テトラクロロエチル基、ヘキサフルオロイソプロピル基等の、ハロゲン原子が一部又は全て置換された炭素数1~10のハロゲン化アルキル基;などが挙げられる。
【0055】
置換又は無置換のアリール基の具体例としては、
フェニル基、ナフチル基等の炭素数6~10のアリール基;
2-メチルフェニル基、3-メチルフェニル基、4-メチルフェニル基、2-エチルフェニル基、プロピルフェニル基、ブチルフェニル基等の炭素数7~10のモノアルキル置換アリール基;
2,3-ジメチルフェニル基、2,4-ジメチルフェニル基、2,5-ジメチルフェニル基、2,6-ジメチルフェニル基、3,4-ジメチルフェニル基、3,5-ジメチルフェニル基、3,6-ジメチルフェニル基等の炭素数8~10のジアルキル置換アリール基;
2,3,4-トリメチルフェニル基、2,3,5-トリメチルフェニル基、2,3,6-トリメチルフェニル基、2,4,5-トリメチルフェニル基、2,4,6-トリメチルフェニル基、3,4,5-トリメチルフェニル基等の炭素数9又は10のトリアルキル置換アリール基;
2-メトキシフェニル基、3-メトキシフェニル基、4-メトキシフェニル基、2-エトキシフェニル基、プロポキシフェニル基、ブトキシフェニル基等の炭素数4以下の置換又は無置換のアルコキシ基が置換した炭素数7~10のモノアルコキシアリール基;
2,3-ジメトキシフェニル基、2,4-ジメトキシフェニル基、2,5-ジメトキシフェニル基、2,6-ジメトキシフェニル基、3,4-ジメトキシフェニル基、3,5-ジメトキシフェニル基、3,6-ジメトキシフェニル基等の、炭素数4以下の置換又は無置換のアルコキシ基が置換した炭素数8~10のジアルコキシアリール基;
2,3,4-トリメトキシフェニル基、2,3,5-トリメトキシフェニル基、2,3,6-トリメトキシフェニル基、2,4,5-トリメトキシフェニル基、2,4,6-トリメトキシフェニル基、3,4,5-トリメトキシフェニル基等の、炭素数4以下の置換又は無置換のアルコキシ基が置換した炭素数9又は10のトリアルコキシアリール基;
クロロフェニル基、ジクロロフェニル基、トリクロロフェニル基、ブロモフェニル基、ジブロモフェニル基、ヨードフェニル基、フルオロフェニル基、クロロナフチル基、ブロモナフチル基、ジフルオロフェニル基、トリフルオロフェニル基、テトラフルオロフェニル基、ペンタフルオロフェニル基等の、ハロゲン原子が置換した炭素数6~10のアリール基;
トリフルオロメチルフェニル基、トリクロロメチルフェニル基等の、炭素数4以下で一部又は全てがハロゲン置換されたアルキル基が置換した炭素数7~10のハロゲン化アルキルアリール基;
N,N-ジメチルアミノフェニル基、N,N-ジエチルアミノフェニル基、N-フェニル-N-メチルアミノフェニル基、N-トリル-N-エチルアミノフェニル基、N-クロロフェニル-N-シクロヘキシルアミノフェニル基、N,N-ジトリルアミノフェニル基等の炭素数10以下のN,N-二置換アミノ置換アリール基;
メチルチオフェニル基、エチルチオフェニル基、メチルチオナフチル基、フェニルチオフェニル基等のアルキルチオアリール基又はアリールチオアリール基;などが挙げられる。
【0056】
酸素含有基としては、アルコキシ基、アリーロキシ基、エステル基、エーテル基、アシル基、カルボキシル基、カルボナート基、ヒドロキシ基、ペルオキシ基、カルボン酸無水物基等が挙げられる。
【0057】
ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられる。
【0058】
~Rが置換又は無置換のアルキル基を表す場合、アルキル基の炭素数は1~10であることが好ましく、1~5であることがより好ましく、1であることがさらに好ましい。
また、R~Rが置換又は無置換のアリール基を表す場合、アリール基の炭素数は6~10であることが好ましく、6であることがより好ましい。
【0059】
及びRは、それぞれ独立に、炭素数1~12の脂肪族基であるか、又は、一体となって、炭素数1~4のアルキレン基を表す。
即ち、R及びRは、互いに結合していてもよい。
及びRは、互いに結合している場合において、炭素数1~4のアルキレン基を形成する。
【0060】
炭素数1~12の脂肪族基としては、飽和脂肪族基(即ち、アルキル基)であっても、不飽和脂肪族基(即ち、アルケニル基又はアルキニル基)であってもよく、又、分岐構造及び環状構造の少なくとも一方を有していてもよい。
【0061】
炭素数1~12の脂肪族基の具体例としては、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、1-エチルプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、2-メチルブチル基、3,3-ジメチルブチル基、n-ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、1-メチルペンチル基、n-ヘキシル基、イソヘキシル基、sec-ヘキシル基、tert-ヘキシル基、n-ヘプチル基、イソヘプチル基、sec-ヘプチル基、tert-ヘプチル基、n-オクチル基、イソオクチル基、sec-オクチル基、tert-オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基などの直鎖状又は分岐状の飽和脂肪族基(即ち、アルキル基);
ビニル基、1-プロペニル基、アリル基(2-プロペニル基)、イソプロペニル基、1-ブテニル基、2-ブテニル基、3-ブテニル基、ペンテニル基、ヘキセニル基、2-メチル-2-プロペニル基、1-メチル-2-プロペニル基、2-メチル-1-プロペニル基、ヘキセニル基、エチニル基、1-プロピニル基、2-プロピニル基(プロパルギル基と同義)、1-ブチニル基、2-ブチニル基、3-ブチニル基、1-ペンチニル基、2-ペンチニル基、3-ペンチニル基、4-ペンチニル基、5-ヘキシニル基、1-メチル-2-プロピニル基、2-メチル-3-ブチニル基、2-メチル-3-ペンチニル基、1-メチル-2-ブチニル基、1,1-ジメチル-2-プロピニル、1,1-ジメチル-2-ブチニル基、1-ヘキシニル基などの直鎖状又は分岐状の不飽和脂肪族基(即ち、アルケニル基又はアルキニル基);
シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、1-シクロペンテニル基、1-シクロヘキセニル基などの環状脂肪族基;
などが挙げられる。
【0062】
炭素数1~12の脂肪族基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、ビニル基、アリル基、及びエチニル基が好ましく、メチル基及びエチル基がより好ましく、メチル基がさらに好ましい。
【0063】
炭素数1~4のアルキレン基としては、直鎖状のアルキレン基であってもよいし、分岐状のアルキレン基であってもよい。
【0064】
炭素数1~4のアルキレン基としては、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基及びイソプロピリデン基からなる群から選択される少なくとも1つが好ましく、メチレン基、エチレン基、及びイソプロピリデン基からなる群から選択される少なくとも1つがより好ましく、メチレン基がさらに好ましい。
【0065】
Xは塩素原子又は臭素原子であり、nは0又は1である。
即ち、式(II-I)で表されるインドリン誘導体は、塩の状態でなくてもよいし、塩酸塩又は臭化水素酸塩の状態であってもよい。
【0066】
式(II-I)で表される化合物の具体例としては、例えば、以下の化合物が挙げられる。ただし、式(II-I)で表される化合物は、これらに限定されるわけではない。
【0067】
【化5】
【0068】
酸化染料(即ち、5,6-ジヒドロキシインドリン誘導体)を効率的に製造する観点から、式(II-I)中、R~Rは水素原子であることが好ましい。
【0069】
(触媒)
工程(I)における前記水素添加反応は、触媒を用いる。
触媒としては、例えば、白金粉末、白金-活性炭素、白金-アルミナ、酸化白金(IV)、塩化白金(II)、塩化白金(IV)等の白金系触媒が挙げられる。
【0070】
触媒は、4価の白金を含むことが好ましい。
4価の白金を含む触媒としては、例えば、酸化白金(IV)、塩化白金(IV)などが挙げられる。
【0071】
水素添加反応は、常圧下及び加圧下のいずれでも行うことができる。
また本水素添加反応は、生成するインドリン誘導体の酸化を防ぐ観点から、水素と不活性気体(例えば、窒素、アルゴン等)との混合雰囲気中で行うこともできる。
【0072】
〔精製〕
本開示の酸化染料の製造方法において、工程(I)における前記水素添加反応によって得られたインドリン誘導体の溶液は、副生成物の発生を抑制できる。
そのため、本開示の酸化染料の製造方法において、工程(I)における前記水素添加反応によって得られたインドリン誘導体の溶液は、晶析等による特段の精製処理を行うことなく、続く工程(II)に用いることができる。
なお、必要に応じて触媒灰分を除く工程等を行ってもよい。
【0073】
インドリン誘導体の窒素原子がアシル化されていない主生成物(好ましくは式(II-I)で表される化合物)の含有量は、高純度の酸化染料を効率的に製造する観点から、インドリン誘導体の全質量に対して、92質量%以上であることが好ましく、94質量%以上であることがより好ましく、98質量%以上であることがさらに好ましい。
【0074】
水素添加反応の反応時間は、特に制限されない。
水素添加反応の反応時間は、製造効率を向上させる観点から、70時間以下が好ましく、50時間以下であることがより好ましく、30時間以下であることがさらに好ましく、15時間以下であることが特に好ましい。
また、水素添加反応の反応時間の下限値は特に制限されない。水素添加反応の反応時間は、例えば1分以上であってもよい。
【0075】
<工程(II)>
本開示の酸化染料の製造方法は、インドリン誘導体を含む溶液に臭化水素を添加する工程(II)を含む。
これによって、インドリン誘導体に対して脱保護を行い、酸化染料である5,6-ジヒドロキシインドリンの酸塩を得ることができる。
【0076】
臭化水素は脱保護剤として用いる。
臭化水素としては、臭化水素の気体をそのまま用いてもよく、水溶液である臭化水素酸を用いてもよい。また、臭化水素は、酢酸などの溶媒に溶解させた状態で用いることもできる。
【0077】
工程(II)において用いられる溶媒としては、例えば、水、酢酸、酢酸エチル、アセトニトリル、メタノール、エタノール、1-プロパノール、2-プロパノール、1-ブタノール、2-ブタノール、2-メチル-1-プロパノール、2-メチル-2-プロパノール、ヘキサン、シクロヘキサン、ヘプタン、トルエン、キシレン(即ち、オルトキシレン、メタキシレン、又はパラキシレン)、シクロヘキサノン等の溶媒が挙げられる。
【0078】
工程(II)における反応は、常圧下、減圧下のいずれでも行うことができる。
工程(II)における反応は、生成する酸化染料の酸化(メラニン化)を防ぐ観点から、不活性雰囲気下(例えば、窒素雰囲気下、アルゴン雰囲気下等)で行うことが好ましい。
【0079】
工程(II)における反応温度は、60℃~150℃であることが好ましい。
反応温度が60℃以上であることで、酸化染料の生成をより促進させることができる。
反応温度が150℃以下であることで、生成した酸化染料の分解を抑制し、生成率をより向上させることができる。
上記同様の観点から、工程(II)における反応温度は、80℃~140℃であることがより好ましく、100℃~130℃であることがさらに好ましい。
【0080】
工程(II)における反応時間は、インドリン誘導体と臭化水素との反応を効率よく進行させる観点から、30分~12時間であることが好ましく、1時間~6時間であることがより好ましい。
【0081】
本開示の酸化染料の製造方法においては、工程(II)により得られる反応液から溶媒を留去させることにより、目的とする酸化染料(即ち、5,6-ジヒドロキシインドリン誘導体)を高純度で取り出すことができる。
工程(II)の後、得られた酸化染料の一部又は全部が析出したスラリーの状態であっても、特段の分離、濾過等の処理をすることなく、そのまま溶媒を留去させることが、操作の簡便性の観点から好ましい。
【0082】
本開示の酸化染料の製造方法において、工程(II)の後に溶媒を留去して得られた酸化染料の湿潤固体を、メタノール、アセトン、アセトニトリル等の低沸点の溶媒で洗浄することもできる。これによって、後の乾燥を効率よく進めることができる。
【0083】
取り出された酸化染料を乾燥する方法としては、棚段式乾燥機での静置乾燥法;コニカル乾燥機での流動乾燥法;ホットプレート、オーブン等の装置を用いて乾燥させる方法;ドライヤーなどの乾燥機で温風又は熱風を供給する方法;等が挙げられる。
【0084】
取り出された酸化染料を乾燥する際の圧力は、常圧及び減圧のいずれであってもよい。
取り出された酸化染料を乾燥する際の温度は、40℃~150℃であることが好ましい。
温度が40℃以上であることで乾燥効率により優れる。
温度が150℃以下であることで、生成した酸化染料の分解を抑制し、安定した状態で取り出すことができる。
上記同様の観点から、取り出された酸化染料を乾燥する際の温度は、50℃~140℃であることがより好ましく、60℃~130℃であることがさらに好ましい。
【0085】
取り出された酸化染料は、そのまま用いてもよいし、例えば、溶媒中に分散又は溶解させて用いてもよいし、他の物質と混合して用いてもよい。
【0086】
<酸化染料組成物>
本開示の酸化染料組成物は、5,6-ジヒドロキシインドリンの酸塩を含む。
【0087】
(他の成分)
本開示の酸化染料組成物は、5,6-ジヒドロキシインドリンの酸塩以外の他の成分を含むことができる。
他の成分としては、例えば、酸化防止剤が挙げられる。
本開示の酸化染料組成物が酸化防止剤を含むことで、耐酸化安定性を高めることができる。
酸化防止剤としては、例えば、亜硫酸ナトリウム、亜硫酸水素ナトリウム、チオ硫酸ナトリウム、亜ジチオン酸ナトリウム等が挙げられる。
これらの中でも、チオ硫酸ナトリウム及び亜ジチオン酸ナトリウムが好ましく、亜ジチオン酸ナトリウムがより好ましい。
【実施例0088】
以下、本開示の実施例を示すが、本開示は以下の実施例には限定されない。
【0089】
〔実施例1〕
撹拌装置、温度計、ガス導入ライン、排気ライン、及び、コンデンサを備えた300mLのフラスコを準備した。300mLのフラスコを乾燥窒素ガスでパージした後、ここに、触媒としての酸化白金(IV)0.76g(3.35mmol)と、インドール誘導体としての5,6-ジメトキシインドール7.09g(0.04mol)と、カルボン酸としての酢酸150g(143ml)とを入れ、攪拌混合した。室温(25℃)で攪拌しながら、ガス導入ラインに水素を導入し、排気ラインを閉じて、フラスコ内部を水素微加圧状態とすることで反応を開始した。攪拌を10時間継続し、水素の吸収が飽和に達したところで、フラスコ内部を窒素ガスでパージし反応を停止した。
この反応液を濾過して触媒灰分を除いた液に、臭化水素酸(47質量%HBr)7.57g(0.044mol)を加えて、水素添加反応の生成物を含む溶液Aを得た。この溶液を1ml程度採取し、2kPa以下、80℃の条件で減圧乾燥させ、少量の薄茶色結晶を得た。
【0090】
得られた結晶を重ジメチルスルホキシド溶媒に溶解し、H-NMR分析を行った。得られたスペクトルのケミカルシフト〔ppm〕、及び積分値(比)は、それぞれ以下の通りであった。
H-NMR:2.81ppm(2H)、3.35ppm(2H)、3.62ppm(3H)、3.66ppm(3H)、5.05ppm(1H)、6.24ppm(1H)、6.73ppm(1H)
上記H-NMRのスペクトルパターンより、水素添加反応の生成物の主骨格は、5,6-ジメトキシインドリンであり、不純物は含まれていないことが確認された。
【0091】
以上のことから、本水素添加反応は、下記反応スキームのとおりにインドリン誘導体を生成していることが示された。
【0092】
【化6】
【0093】
次に、上述の溶液Aと、臭化水素酸(47質量%HBr)61.23g(0.356mol)とを濃縮器に入れ、5kPa以下、60℃の条件で酢酸を留去させた。酢酸の留出が止まったところで、常圧に戻し、加熱温度を150℃に上げ、この条件で3時間処理して濃縮させながら反応を行った。その後、150℃に加熱したまま5kPa以下に減圧して更に1時間処理して操作を終了した。濃縮器内に得られた固体にアセトニトリル100gを加えてスラリーとし、これを濾過して取り出した固体を、80℃の乾燥窒素通気で乾燥させることにより、濃茶色の粉体8.54gを得た。収率は92質量%であった。
【0094】
得られた粉体を重ジメチルスルホキシド溶媒に溶解し、H-NMR分析を行った。得られたスペクトルのケミカルシフト〔ppm〕、及び積分値(比)は、それぞれ以下の通りであった。
H-NMR:3.04ppm(2H)、3.67ppm(2H)、6.81ppm(1H)、6.87ppm(1H)、9.02ppm(1H)、10.59ppm(2H)
【0095】
また、得られた粉体を、燃焼分解イオンクロマトグラフィー法によりBr分を分析した。結果は、Br:34.2質量%であった。
5,6-ジヒドロキシインドリン臭化水素酸塩の理論Br分は34.4質量%であるため、本合成で得られた5,6-ジヒドロキシインドリン臭化水素酸塩の純度は99.4質量%であった。
【0096】
以上のことから、実施例1の製造方法は、下記反応スキームのとおりに5,6-ジヒドロキシインドリン臭化水素酸塩を生成していることが示された。
【0097】
【化7】
【0098】
〔実施例2〕
撹拌装置、温度計、ガス導入ライン、排気ライン、及び、コンデンサを備えた300mLのフラスコを準備した。上記300mLのフラスコを乾燥窒素ガスでパージした後、ここに、触媒としての酸化白金(IV)0.015g(0.066mmol)と、インドール誘導体としての5,6-ジメトキシインドール7.09g(0.04mol)と、カルボン酸としての酢酸150gとを入れ、攪拌混合した。40℃に加熱、攪拌しながら、ガス導入ラインに水素を導入し、排気ラインを閉じて、フラスコ内部を水素微加圧状態とすることで反応を開始した。反応を40℃で40時間継続し、水素の吸収が飽和に達したところで、フラスコ内部を窒素ガスでパージし反応を停止した。
この反応液を濾過して触媒灰分を除いた液に、臭化水素酸(47質量%HBr)7.57g(0.044mol)を加えて、水素添加反応の生成物を含む溶液Aを得た。この溶液Aを1ml程度採取し、2kPa以下、80℃の条件で減圧乾燥させ、少量の薄茶色結晶を得た。
【0099】
得られた結晶を重ジメチルスルホキシド溶媒に溶解し、H-NMR分析を行った。得られたスペクトルのケミカルシフト〔ppm〕、及び積分値(比)は、それぞれ以下の通りであった。
H-NMR:2.81ppm(2H)、3.35ppm(2H)、3.62ppm(3H)、3.66ppm(3H)、5.05ppm(1H)、6.24ppm(1H)、6.73ppm(1H)、2.10ppm(0.15H)、3.07ppm(0.10H)、3.43ppm(0.15H)、3.77ppm(0.15H)、4.04ppm(0.10H)、6.86ppm(0.05H)、7.80ppm(0.05H)
上記H-NMRのスペクトルパターンより、水素添加反応の生成物は、主生成物である5,6-ジメトキシインドリンが93.8質量%含まれるが、N-アセチル-5,6-ジメトキシインドリンも6.2質量%含まれていることが確認された。
【0100】
以上のことから、本水素添加反応は、下記反応スキームのとおりにインドリン誘導体を生成していることが示された。
【0101】
【化8】
【0102】
次に、上述の溶液Aと、臭化水素酸(47質量%HBr)61.23g(0.356mol)とを濃縮器に入れ、5kPa以下、60℃の条件で酢酸を留去させた。酢酸の留出が止まったところで、常圧に戻し、加熱温度を150℃に上げ、この条件で3時間処理して濃縮させながら反応を行った。その後、150℃に加熱したまま5kPa以下に減圧して更に1時間処理して操作を終了した。濃縮器内に得られた固体にアセトニトリル100gを加えてスラリーとし、これを濾過して取り出した固体を、80℃の下乾燥窒素通気で乾燥させることにより、濃茶色の粉体8.35gを得た。収率は90質量%であった。
【0103】
得られた粉体を重ジメチルスルホキシド溶媒に溶解し、H-NMR分析を行った。得られたスペクトルのケミカルシフト〔ppm〕、及び積分値(比)は、それぞれ以下の通りであった。
H-NMR:3.04ppm(2H)、3.67ppm(2H)、6.81ppm(1H)、6.87ppm(1H)、8.48ppm(1H)、10.60ppm(2H)。
【0104】
また、得られた粉体を、燃焼分解イオンクロマトグラフィー法によりBr分を分析した。結果は、Br:33.5質量%であった。
5,6-ジヒドロキシインドリン臭化水素酸塩の理論Br分34.4質量%であるため、本合成で得られた5,6-ジヒドロキシインドリン臭化水素酸塩の純度は97.3質量%であった。
【0105】
以上のことから、実施例2の製造方法は、下記反応スキームのとおりの5,6-ジヒドロキシインドリン臭化水素酸塩を生成していることが示された。
【0106】
【化9】
【0107】
〔実施例3〕
撹拌装置、温度計、ガス導入ライン、排気ライン、及び、コンデンサを備えた300mLのフラスコを準備した。上記300mLのフラスコを乾燥窒素ガスでパージした後、ここに、触媒としての酸化白金(IV)0.50g(2.2mmol)と、インドール誘導体としての5,6-ジメトキシインドール7.09g(0.04mol)と、カルボン酸としての酢酸150gとを入れ、攪拌混合した。40℃に加熱、攪拌しながら、ガス導入ラインに水素を導入し、排気ラインを閉じて、フラスコ内部を水素微加圧状態とすることで反応を開始した。反応を40℃で12時間継続し、水素の吸収が飽和に達したところで、フラスコ内部を窒素ガスでパージし反応を停止した。
この反応液を濾過して触媒灰分を除いた液に、臭化水素酸(47質量%HBr)7.57g(0.044mol)を加えて、還元反応の生成物を含む溶液Bを得た。この溶液を1ml程度採取し、2kPa以下、80℃の条件で減圧乾燥させ、少量の薄茶色結晶を得た。
【0108】
得られた結晶を重ジメチルスルホキシド溶媒に溶解し、H-NMR分析を行った。得られたスペクトルのケミカルシフト〔ppm〕、及び積分値(比)は、それぞれ以下の通りであった。
H-NMR:2.81ppm(2H)、3.35ppm(2H)、3.62ppm(3H)、3.66ppm(3H)、5.05ppm(1H)、6.24ppm(1H)、6.73ppm(1H)、2.10ppm(0.06H)、3.07ppm(0.04H)、3.43ppm(0.06H)、3.77ppm(0.06H)、4.04ppm(0.04H)、6.86ppm(0.02H)、7.80ppm(0.02H)
上記H-NMRのスペクトルパターンより、還元反応の生成物は、主に5,6-ジメトキシインドリンが97.8質量%含まれるが、N-アセチル-5,6-ジメトキシインドリンも2.2質量%含まれていることが確認された。
以上のことから、本還元反応は、下記反応スキームのとおりにインドリン化合物を生成していることが示された。
【0109】
【化10】
【0110】
次に、上述の溶液Bと、臭化水素酸(47質量%HBr)61.23g(0.356mol)とを濃縮器に入れ、5kPa以下、60℃の条件で酢酸を留去させた。酢酸の留出が止まったところで、常圧に戻し、加熱温度を150℃に上げ、この条件で3時間処理して濃縮させながら反応を行った。その後、150℃に加熱したまま5kPa以下に減圧して更に1時間処理して操作を終了した。濃縮器内に得られた固体にアセトニトリル100gを加えてスラリーとし、これを濾過して取り出した固体を、80℃の乾燥窒素通気で乾燥させることにより、濃茶色の粉体8.67gを得た。収率は93.4質量%であった。
【0111】
得られた粉体を重ジメチルスルホキシド溶媒に溶解し、H-NMR分析を行った。得られたスペクトルのケミカルシフト〔ppm〕、及び積分値(比)は、それぞれ以下の通りであった。
H-NMR:3.04ppm(2H)、3.67ppm(2H)、6.81ppm(1H)、6.87ppm(1H)、8.48ppm(1H)、10.60ppm(2H)
【0112】
また、得られた粉体を、燃焼分解イオンクロマトグラフィー法によりBr分を分析した。結果は、Br:34.1質量%であった。
5,6-ジヒドロキシインドリン臭化水素酸塩の理論Br分は34.4質量%であるため、本合成で得られた5,6-ジヒドロキシインドリン臭化水素酸塩の純度は99.1質量%であった。
【0113】
以上のことから、実施例3の製造方法は、下記反応スキームのとおりの5,6-ジヒドロキシインドリン臭化水素酸塩を生成していることが示された。
【0114】
【化11】

【0115】
〔実施例4〕
撹拌装置、温度計、ガス導入ライン、排気ライン、及び、コンデンサを備えた300mLのフラスコを準備した。上記300mLのフラスコを乾燥窒素ガスでパージした後、ここに、触媒としての酸化白金(IV)1.12g(4.93mmol)と、インドール誘導体としての5,6-ジメトキシインドール7.09g(0.04mol)と、カルボン酸としての酢酸150gとを入れ、攪拌混合した。室温(25℃)で攪拌しながら、ガス導入ラインに水素を導入し、排気ラインを閉じて、フラスコ内部を水素微加圧状態とすることで反応を開始した。攪拌を8時間継続し、水素の吸収が飽和に達したところで、フラスコ内部を窒素ガスでパージし反応を停止した。
この反応液を濾過して触媒灰分を除いた液に、臭化水素酸(47質量%HBr)7.57g(0.044mol)を加えて、還元反応の生成物を含む溶液Bを得た。この溶液を1ml程度採取し、2kPa以下、80℃の条件で減圧乾燥させ、少量の薄茶色結晶を得た。
【0116】
得られた結晶を重ジメチルスルホキシド溶媒に溶解し、H-NMR分析を行った。得られたスペクトルのケミカルシフト〔ppm〕、及び積分値(比)は、それぞれ以下の通りであった。
H-NMR:2.81ppm(2H)、3.35ppm(2H)、3.62ppm(3H)、3.66ppm(3H)、5.05ppm(1H)、6.24ppm(1H)、6.73ppm(1H)、2.10ppm(0.12H)、3.07ppm(0.08H)、3.43ppm(0.12H)、3.77ppm(0.12H)、4.04ppm(0.08H)、6.86ppm(0.04H)、7.80ppm(0.04H)
上記H-NMRのスペクトルパターンより、還元反応の生成物は、主に5,6-ジメトキシインドリンが95.2質量%含まれるが、N-アセチル-5,6-ジメトキシインドリンも4.8質量%含まれていることが確認された。
【0117】
以上のことから、本還元反応は、下記反応スキームのとおりにインドリン化合物を生成していることが示された。
【0118】
【化12】
【0119】
次に、上述の溶液Bと、臭化水素酸(47質量%HBr)61.23g(0.356mol)とを濃縮器に入れ、5kPa以下、60℃の条件で酢酸を留去させた。酢酸の留出が止まったところで、常圧に戻し、加熱温度を150℃に上げ、この条件で3時間処理して濃縮させながら反応を行った。その後、150℃に加熱したまま5kPa以下に減圧して更に1時間処理して操作を終了した。濃縮器内に得られた固体にアセトニトリル100gを加えてスラリーとし、これを濾過して取り出した固体を、80℃の乾燥窒素通気で乾燥させることにより、濃茶色の粉体8.79gを得た。収率は94.7質量%であった。
【0120】
得られた粉体を重ジメチルスルホキシド溶媒に溶解し、H-NMR分析を行った。得られたスペクトルのケミカルシフト〔ppm〕、及び積分値(比)は、それぞれ以下の通りであった。
H-NMR:3.04ppm(2H)、3.67ppm(2H)、6.81ppm(1H)、6.87ppm(1H)、8.48ppm(1H)、10.60ppm(2H)
【0121】
また、得られた粉体を、燃焼分解イオンクロマトグラフィー法によりBr分を分析した。結果は、Br:33.3質量%であった。
5,6-ジヒドロキシインドリン臭化水素酸塩の理論Br分は34.4質量%であるため、本合成で得られた5,6-ジヒドロキシインドリン臭化水素酸塩の純度は96.8質量%であった。
【0122】
以上のことから、実施例4の製造方法は、下記反応スキームのとおりの5,6-ジヒドロキシインドリン臭化水素酸塩を生成していることが示された。
【0123】
【化13】
【0124】
〔実施例5〕
撹拌装置、温度計、ガス導入ライン、排気ライン、及び、コンデンサを備えた300mLのフラスコを準備した。上記300mLのフラスコを乾燥窒素ガスでパージした後、ここに、触媒としての酸化白金(IV)1.50g(6.6mmol)と、インドール誘導体としての5,6-ジメトキシインドール7.09g(0.04mol)と、カルボン酸としての酢酸150gとを入れ、攪拌混合した。10℃に冷却、攪拌しながら、ガス導入ラインに水素を導入し、排気ラインを閉じて、フラスコ内部を水素微加圧状態とすることで反応を開始した。反応を10℃で6時間継続し、水素の吸収が飽和に達したところで、フラスコ内部を窒素ガスでパージし反応を停止した。この反応液を濾過して触媒灰分を除いた液に、臭化水素酸(47質量%HBr)7.57g(0.044mol)を加えて、還元反応の生成物を含む溶液Bを得た。この溶液を1ml程度採取し、2kPa以下及び80℃の条件で減圧乾燥させ、少量の薄茶色結晶を得た。
得られた結晶を重ジメチルスルホキシド溶媒に溶解し、H-NMR分析を行った。得られたスペクトルのケミカルシフト〔ppm〕、及び積分値(比)は、それぞれ以下の通りであった。
H-NMR:2.81ppm(2H)、3.35ppm(2H)、3.62ppm(3H)、3.66ppm(3H)、5.05ppm(1H)、6.24ppm(1H)、6.73ppm(1H)、2.10ppm(0.15H)、3.07ppm(0.10H)、3.43ppm(0.15H)、3.77ppm(0.15H)、4.04ppm(0.10H)、6.86ppm(0.05H)、7.80ppm(0.05H)
上記H-NMRのスペクトルパターンより、還元反応の生成物は、主に5,6-ジメトキシインドリンが94.2質量%含まれるが、N-アセチル-5,6-ジメトキシインドリンも5.8質量%含まれていることが確認された。
【0125】
以上のことから、本還元反応は、下記反応スキームのとおりにインドリン化合物を生成していることが示された。
【0126】
【化14】
【0127】
次に、上述の溶液Bと、臭化水素酸(47質量%HBr)61.23g(0.356mol)とを濃縮器に入れ、5kPa以下及び60℃の条件で酢酸を留去させた。酢酸の留出が止まったところで、常圧に戻し、加熱温度を150℃に上げ、この条件で3時間処理して濃縮させながら反応を行った。その後、150℃に加熱したまま5kPa以下に減圧して更に1時間処理して操作を終了した。濃縮器内に得られた固体にアセトニトリル100gを加えてスラリーとし、これを濾過して取り出した固体を、80℃の乾燥窒素通気で乾燥させることにより、濃茶色の粉体8.24gを得た。収率は88.8質量%であった。
【0128】
得られた粉体を重ジメチルスルホキシド溶媒に溶解し、H-NMR分析を行った。得られたスペクトルのケミカルシフト〔ppm〕、及び積分値(比)は、それぞれ以下の通りであった。
H-NMR:3.04ppm(2H)、3.67ppm(2H)、6.81ppm(1H)、6.87ppm(1H)、8.48ppm(1H)、10.60ppm(2H)。
また、得られた粉体を、燃焼分解イオンクロマトグラフィー法によりBr分を分析した。結果は、Br:33.5質量%であった。
5,6-ジヒドロキシインドリン臭化水素酸塩の理論Br分は34.4質量%であるため、本合成で得られた5,6-ジヒドロキシインドリン臭化水素酸塩の純度は97.4質量%であった。
【0129】
以上のことから、実施例5の製造方法は、下記反応スキームのとおりの5,6-ジヒドロキシインドリン臭化水素酸塩を生成していることが示された。
【0130】
【化15】
【0131】
〔実施例6〕
撹拌装置、温度計、ガス導入ライン、排気ライン、及び、コンデンサを備えた300mLのフラスコを準備した。上記300mLのフラスコを乾燥窒素ガスでパージした後、ここに、触媒としての酸化白金(IV)0.25g(1.1mmol)と、インドール誘導体としての5,6-ジメトキシインドール7.09g(0.04mol)と、カルボン酸としての酢酸150gとを入れ、攪拌混合した。45℃に加熱、攪拌しながら、ガス導入ラインに水素を導入し、排気ラインを閉じて、フラスコ内部を水素微加圧状態とすることで反応を開始した。反応を45℃で20時間継続し、水素の吸収が飽和に達したところで、フラスコ内部を窒素ガスでパージし反応を停止した。
この反応液を濾過して触媒灰分を除いた液に、臭化水素酸(47質量%HBr)7.57g(0.044mol)を加えて、還元反応の生成物を含む溶液Bを得た。この溶液を1ml程度採取し、2kPa、80℃の条件で減圧乾燥させ、少量の薄茶色結晶を得た。
【0132】
得られた結晶を重ジメチルスルホキシド溶媒に溶解し、H-NMR分析を行った。得られたスペクトルのケミカルシフト〔ppm〕、及び積分値(比)は、それぞれ以下の通りであった。
H-NMR:2.81ppm(2H)、3.35ppm(2H)、3.62ppm(3H)、3.66ppm(3H)、5.05ppm(1H)、6.24ppm(1H)、6.73ppm(1H)、2.10ppm(0.07H)、3.07ppm(0.05H)、3.43ppm(0.07H)、3.77ppm(0.07H)、4.04ppm(0.05H)、6.86ppm(0.02H)、7.80ppm(0.02H)
上記H-NMRのスペクトルパターンより、還元反応の生成物は、主に5,6-ジメトキシインドリンが97.1質量%含まれるが、N-アセチル-5,6-ジメトキシインドリンも2.9質量%含まれていることが確認された。
【0133】
以上のことから、本還元反応は、下記反応スキームのとおりにインドリン化合物を生成していることが示された。
【0134】
【化16】
【0135】
次に、上述の溶液Bと、臭化水素酸(47質量%HBr)61.23g(0.356mol)とを濃縮器に入れ、5kPa、60℃の条件で酢酸を留去させた。酢酸の留出が止まったところで、常圧に戻し、加熱温度を150℃に上げ、この条件で3時間処理して濃縮させながら反応を行った。その後、150℃に加熱したまま5kPaに減圧して更に1時間処理して操作を終了した。濃縮器内に得られた固体にアセトニトリル100gを加えてスラリーとし、これを濾過して取り出した固体を、80℃の乾燥窒素通気で乾燥させることにより、濃茶色の粉体8.55gを得た。収率は92.2質量%であった。
得られた粉体を重ジメチルスルホキシド溶媒に溶解し、H-NMR分析を行った。得られたスペクトルのケミカルシフト〔ppm〕、及び積分値(比)は、それぞれ以下の通りであった。
H-NMR:3.04ppm(2H)、3.67ppm(2H)、6.81ppm(1H)、6.87ppm(1H)、8.48ppm(1H)、10.60ppm(2H)
【0136】
また、得られた粉体を、燃焼分解イオンクロマトグラフィー法によりBr分を分析した。結果は、Br:34.1質量%であった。
5,6-ジヒドロキシインドリン臭化水素酸塩の理論Br分は34.4質量%であるため、本合成で得られた5,6-ジヒドロキシインドリン臭化水素酸塩の純度は99.1質量%であった。
【0137】
以上のことから、実施例6の製造方法は、下記反応スキームのとおりの5,6-ジヒドロキシインドリン臭化水素酸塩を生成していることが示された。
【化17】
【0138】
〔実施例7〕
撹拌装置、温度計、ガス導入ライン、排気ライン、及び、コンデンサを備えた300mLのフラスコを準備した。上記300mLのフラスコを乾燥窒素ガスでパージした後、ここに、触媒としての酸化白金(IV)0.76g(3.35mmol)と、インドール誘導体としての5,6-ジメトキシインドール7.09g(0.04mol)と、カルボン酸としての酢酸150gとを入れ、攪拌混合した。35℃に加熱、攪拌しながら、ガス導入ラインに水素を導入し、排気ラインを閉じて、フラスコ内部を水素微加圧状態とすることで反応を開始した。反応を35℃で8時間継続し、水素の吸収が飽和に達したところで、フラスコ内部を窒素ガスでパージし反応を停止した。この反応液を濾過して触媒灰分を除いた液に、臭化水素酸(47質量%HBr)7.57g(0.044mol)を加えて、水素添加反応の生成物を含む溶液Aを得た。この溶液を1ml程度採取し、2kPa以下、80℃の条件で減圧乾燥させ、少量の薄茶色結晶を得た。
【0139】
得られた結晶を重ジメチルスルホキシド溶媒に溶解し、H-NMR分析を行った。得られたスペクトルのケミカルシフト〔ppm〕、及び積分値(比)は、それぞれ以下の通りであった。
H-NMR:2.81ppm(2H)、3.35ppm(2H)、3.62ppm(3H)、3.66ppm(3H)、5.05ppm(1H)、6.24ppm(1H)、6.73ppm(1H)、2.10ppm(0.11H)、3.07ppm(0.07H)、3.43ppm(0.11H)、3.77ppm(0.11H)、4.04ppm(0.07H)、6.86ppm(0.04H)、7.80ppm(0.04H) 。
上記H-NMRのスペクトルパターンより、水素添加反応の生成物は、主に5,6-ジメトキシインドリンが95.6質量%含まれるが、N-アセチル-5,6-ジメトキシインドリンも4.4質量%含まれていることが確認された。
【0140】
以上のことから、本水素添加反応は、下記反応スキームのとおりにインドリン誘導体を生成していることが示された。
【0141】
【化18】
【0142】
次に、上述の溶液Aと、臭化水素酸(47質量%HBr)61.23g(0.356mol)とを濃縮器に入れ、5kPa以下、60℃の条件で酢酸を留去させた。酢酸の留出が止まったところで、常圧に戻し、加熱温度を150℃に上げ、この条件で3時間処理して濃縮させながら反応を行った。その後、150℃に加熱したまま5kPa以下に減圧して更に1時間処理して操作を終了した。濃縮器内に得られた固体にアセトニトリル100gを加えてスラリーとし、これを濾過して取り出した固体を、80℃の乾燥窒素通気で乾燥させることにより、濃茶色の粉体8.68gを得た。収率は93.5質量%であった。
【0143】
得られた粉体を重ジメチルスルホキシド溶媒に溶解し、H-NMR分析を行った。得られたスペクトルのケミカルシフト〔ppm〕、及び積分値(比)は、それぞれ以下の通りであった。
H-NMR:3.04ppm(2H)、3.67ppm(2H)、6.81ppm(1H)、6.87ppm(1H)、9.02ppm(1H)、10.59ppm(2H)
【0144】
また、得られた粉体を、燃焼分解イオンクロマトグラフィー法によりBr分を分析した。結果は、Br:34.0質量%であった。
5,6-ジヒドロキシインドリン臭化水素酸塩の理論Br分は34.4質量%であるため、本合成で得られた5,6-ジヒドロキシインドリン臭化水素酸塩の純度は98.8質量%であった。
【0145】
以上のことから、実施例7の製造方法は、下記反応スキームのとおりの5,6-ジヒドロキシインドリン臭化水素酸塩が得られることが示された。
【化19】
【0146】
〔実施例8〕
撹拌装置、温度計、ガス導入ライン、排気ライン、及び、コンデンサを備えた300mLのフラスコを準備した。上記300mLのフラスコを乾燥窒素ガスでパージした後、ここに、触媒としての酸化白金(IV)1.32g(5.8mmol)と、インドール誘導体としての5,6-ジメトキシインドール7.09g(0.04mol)と、カルボン酸としての酢酸150gとを入れ、攪拌混合した。20℃に保温、攪拌しながら、ガス導入ラインに水素を導入し、排気ラインを閉じて、フラスコ内部を水素微加圧状態とすることで反応を開始した。反応を20℃で6時間継続し、水素の吸収が飽和に達したところで、フラスコ内部を窒素ガスでパージし反応を停止した。
この反応液を濾過して触媒灰分を除いた液に、臭化水素酸(47質量%HBr)7.57g(0.044mol)を加えて、水素添加反応の生成物を含む溶液Bを得た。この溶液を1ml程度採取し、2kPa以下、80℃の条件で減圧乾燥させ、少量の薄茶色結晶を得た。
【0147】
得られた結晶を重ジメチルスルホキシド溶媒に溶解し、H-NMR分析を行った。得られたスペクトルのケミカルシフト〔ppm〕、及び積分値(比)は、それぞれ以下の通りであった。
H-NMR:2.81ppm(2H)、3.35ppm(2H)、3.62ppm(3H)、3.66ppm(3H)、5.05ppm(1H)、6.24ppm(1H)、6.73ppm(1H)、2.10ppm(0.14H)、3.07ppm(0.09H)、3.43ppm(0.14H)、3.77ppm(0.14H)、4.04ppm(0.09H)、6.86ppm(0.05H)、7.80ppm(0.05H) 。
上記H-NMRのスペクトルパターンより、水素添加反応の生成物は、主に5,6-ジメトキシインドリンが94.5質量%含まれるが、N-アセチル-5,6-ジメトキシインドリンも5.5質量%含まれていることが確認された。
【0148】
以上のことから、本水素添加反応は、下記反応スキームのとおりにインドリン誘導体を生成していることが示された。
【0149】
【化20】
【0150】
次に、上述の溶液Bと、臭化水素酸(47質量%HBr)61.23g(0.356mol)とを濃縮器に入れ、5kPa以下、60℃の条件で酢酸を留去させた。酢酸の留出が止まったところで、常圧に戻し、加熱温度を150℃に上げ、この条件で3時間処理して濃縮させながら反応を行った。その後、150℃に加熱したまま5kPa以下に減圧して更に1時間処理して操作を終了した。濃縮器内に得られた固体にアセトニトリル100gを加えてスラリーとし、これを濾過して取り出した固体を、80℃の乾燥窒素通気で乾燥させることにより、濃茶色の粉体8.28gを得た。収率は89.2質量%であった。
【0151】
得られた粉体を重ジメチルスルホキシド溶媒に溶解し、H-NMR分析を行った。得られたスペクトルのケミカルシフト〔ppm〕、及び積分値(比)は、それぞれ以下の通りであった。
H-NMR:3.04ppm(2H)、3.67ppm(2H)、6.81ppm(1H)、6.87ppm(1H)、8.48ppm(1H)、10.60ppm(2H)
また、得られた粉体を、燃焼分解イオンクロマトグラフィー法によりBr分を分析した。結果は、Br:33.2質量%であった。
5,6-ジヒドロキシインドリン臭化水素酸塩の理論Br分は34.4質量%であるため、本合成で得られた5,6-ジヒドロキシインドリン臭化水素酸塩の純度は96.5質量%であった。
【0152】
以上のことから、実施例8の製造方法は、下記反応スキームのとおりの5,6-ジヒドロキシインドリン臭化水素酸塩が得られることが示された。
【0153】
【化21】
【0154】
〔実施例9〕
撹拌装置、温度計、ガス導入ライン、排気ライン、及び、コンデンサを備えた300mLのフラスコを準備した。上記300mLのフラスコを乾燥窒素ガスでパージした後、ここに、触媒としての酸化白金(IV)1.12g(4.93mmol)と、インドール誘導体としての5,6-ジメトキシインドール7.09g(0.04mol)と、カルボン酸としての酢酸150gとを入れ、攪拌混合した。0℃に冷却、攪拌しながら、ガス導入ラインに水素を導入し、排気ラインを閉じて、フラスコ内部を水素微加圧状態とすることで反応を開始した。反応を0℃で24時間継続し、水素の吸収が飽和に達したところで、フラスコ内部を窒素ガスでパージし反応を停止した。
この反応液を濾過して触媒灰分を除いた液に、臭化水素酸(47質量%HBr)7.57g(0.044mol)を加えて、水素添加反応の生成物を含む溶液Bを得た。この溶液を1ml程度採取し、2kPa以下、80℃の条件で減圧乾燥させ、少量の薄茶色結晶を得た。
【0155】
得られた結晶を重ジメチルスルホキシド溶媒に溶解し、H-NMR分析を行った。得られたスペクトルのケミカルシフト〔ppm〕、及び積分値(比)は、それぞれ以下の通りであった。
H-NMR:2.81ppm(2H)、3.35ppm(2H)、3.62ppm(3H)、3.66ppm(3H)、5.05ppm(1H)、6.24ppm(1H)、6.73ppm(1H)、2.10ppm(0.04H)、3.07ppm(0.03H)、3.43ppm(0.04H)、3.77ppm(0.04H)、4.04ppm(0.03H)、6.86ppm(0.01H)、7.80ppm(0.01H) 。
上記H-NMRのスペクトルパターンより、水素添加反応の生成物は、主に5,6-ジメトキシインドリンが98.5質量%含まれるが、N-アセチル-5,6-ジメトキシインドリンも1.5質量%含まれていることが確認された。
【0156】
以上のことから、本水素添加反応は、下記反応スキームのとおりにインドリン誘導体を生成していることが示された。
【0157】
【化22】
【0158】
次に、上述の溶液Bと、臭化水素酸(47質量%HBr)61.23g(0.356mol)とを濃縮器に入れ、5kPa以下、60℃の条件で酢酸を留去させた。酢酸の留出が止まったところで、常圧に戻し、加熱温度を150℃に上げ、この条件で3時間処理して濃縮させながら反応を行った。その後、150℃に加熱したまま5kPa以下に減圧して更に1時間処理して操作を終了した。濃縮器内に得られた固体にアセトニトリル100gを加えてスラリーとし、これを濾過して取り出した固体を、80℃の乾燥窒素通気で乾燥させることにより、濃茶色の粉体8.79gを得た。収率は94.7質量%であった。
【0159】
得られた粉体を重ジメチルスルホキシド溶媒に溶解し、H-NMR分析を行った。得られたスペクトルのケミカルシフト〔ppm〕、及び積分値(比)は、それぞれ以下の通りであった。
H-NMR:3.04ppm(2H)、3.67ppm(2H)、6.81ppm(1H)、6.87ppm(1H)、8.48ppm(1H)、10.60ppm(2H)
また、得られた粉体を、燃焼分解イオンクロマトグラフィー法によりBr分を分析した。結果は、Br:34.2質量%であった。
5,6-ジヒドロキシインドリン臭化水素酸塩の理論Br分は34.4質量%であるため、本合成で得られた5,6-ジヒドロキシインドリン臭化水素酸塩の純度は99.4質量%であった。
【0160】
以上のことから、実施例9の製造方法は、下記反応スキームのとおりの5,6-ジヒドロキシインドリン臭化水素酸塩が得られることが示された。
【0161】
【化23】
【0162】
〔比較例1〕
撹拌装置、温度計、ガス導入ライン、排気ライン、及び、コンデンサを備えた300mLのフラスコを準備した。上記300mLのフラスコを乾燥窒素ガスでパージした後、ここに、触媒としての酸化白金(IV)0.015g(0.066mmol)と、インドール誘導体としての5,6-ジメトキシインドール7.09g(0.04mol)と、カルボン酸としての酢酸150gとを入れ、攪拌混合した。60℃に加熱、攪拌しながら、ガス導入ラインに水素を導入し、排気ラインを閉じて、フラスコ内部を水素微加圧状態とすることで反応を開始した。反応を60℃で30時間継続し、水素の吸収が飽和に達したところで、フラスコ内部を窒素ガスでパージし反応を停止した。この反応液を濾過して触媒灰分を除いた液に、臭化水素酸(47質量%HBr)7.57g(0.044mol)を加えて、水素添加反応の生成物を含む溶液Cを得た。この溶液を1ml程度採取し、2kPa以下、80℃の条件で減圧乾燥させ、少量の薄茶色結晶を得た。
【0163】
得られた結晶を重ジメチルスルホキシド溶媒に溶解し、H-NMR分析を行った。得られたスペクトルのケミカルシフト〔ppm〕、及び積分値(比)は、それぞれ以下の通りであった。
H-NMR:2.81ppm(2H)、3.35ppm(2H)、3.62ppm(3H)、3.66ppm(3H)、5.05ppm(1H)、6.24ppm(1H)、6.73ppm(1H)、2.10ppm(0.60H)、3.07ppm(0.40H)、3.43ppm(0.60H)、3.77ppm(0.60H)、4.04ppm(0.40H)、6.86ppm(0.20H)、7.80ppm(0.20H)
上記H-NMRのスペクトルパターンより、水素添加反応の生成物は、主に5,6-ジメトキシインドリンが79.9質量%含まれるが、N-アセチル-5,6-ジメトキシインドリンも20.1質量%含まれていることが確認された。
【0164】
以上のことから、本水素添加反応は、下記反応スキームのとおりにインドリン誘導体を生成していることが示された。
【0165】
【化24】
【0166】
次に、上述の溶液Cと、臭化水素酸(47質量%HBr)61.23g(0.356mol)とを濃縮器に入れ、5kPa以下、60℃の条件で酢酸を留去させた。酢酸の留出が止まったところで、常圧に戻し、加熱温度を150℃に上げ、この条件で3時間処理して濃縮させながら反応を行った。その後、150℃に加熱したまま5kPa以下に減圧して更に1時間処理して操作を終了した。濃縮器内に得られた固体にアセトニトリル100gを加えてスラリーとし、これを濾過して取り出した固体を、80℃の乾燥窒素通気で乾燥させることにより、黒色の粉体4.80gを得た。収率は51.7質量%であった。
【0167】
得られた粉体を重ジメチルスルホキシド溶媒に溶解し、H-NMR分析を行った。得られたスペクトルのケミカルシフト〔ppm〕、及び積分値(比)は、それぞれ以下の通りであった。
H-NMR:3.04ppm(2H)、3.67ppm(2H)、5.76(0.8H)、6.80ppm(1H)、6.86ppm(1H)、9.20ppm(1.5H)、10.54ppm(2H)その他、多数のベースラインノイズあり。
【0168】
また、得られた粉体を、燃焼分解イオンクロマトグラフィー法によりBr分を分析した。結果は、Br:23.3質量%であった。
5,6-ジヒドロキシインドリン臭化水素酸塩の理論Br分は34.4質量%であるため、本合成で得られた5,6-ジヒドロキシインドリン臭化水素酸塩の純度は67.7質量%であった。
【0169】
以上のことから、比較例1の製造方法は、下記反応スキームのとおり5,6-ジヒドロキシインドリン臭化水素酸塩を生成しているが、純度が低かった。
【0170】
【化25】
【0171】
〔比較例2〕
撹拌装置、温度計、ガス導入ライン、排気ライン、及び、コンデンサを備えた300mLのフラスコを準備した。上記300mLのフラスコを乾燥窒素ガスでパージした後、ここに、触媒としての酸化白金(IV)0.76g(3.35mmol)と、インドール誘導体としての5,6-ジメトキシインドール7.09g(0.04mol)と、カルボン酸としての酢酸150gとを入れ、攪拌混合した。40℃に加熱、攪拌しながら、ガス導入ラインに水素を導入し、排気ラインを閉じて、フラスコ内部を水素微加圧状態とすることで反応を開始した。反応を40℃で8時間継続し、水素の吸収が飽和に達したところで、フラスコ内部を窒素ガスでパージし反応を停止した。この反応液を濾過して触媒灰分を除いた液に、臭化水素酸(47質量%HBr)7.57g(0.044mol)を加えて、水素添加反応の生成物を含む溶液Cを得た。この溶液を1ml程度採取し、2kPa以下、80℃の条件で減圧乾燥させ、少量の薄茶色結晶を得た。
【0172】
得られた結晶を重ジメチルスルホキシド溶媒に溶解し、H-NMR分析を行った。得られたスペクトルのケミカルシフト〔ppm〕、及び積分値(比)は、それぞれ以下の通りであった。
H-NMR:2.81ppm(2H)、3.35ppm(2H)、3.62ppm(3H)、3.66ppm(3H)、5.05ppm(1H)、6.24ppm(1H)、6.73ppm(1H)、2.10ppm(0.45H)、3.07ppm(0.30H)、3.43ppm(0.45H)、3.77ppm(0.45H)、4.04ppm(0.30H)、6.86ppm(0.15H)、7.80ppm(0.15H)
上記H-NMRのスペクトルパターンより、水素添加反応の生成物は、主に5,6-ジメトキシインドリンが83.2質量%含まれるが、N-アセチル-5,6-ジメトキシインドリンも16.8質量%含まれていることが確認された。
【0173】
以上のことから、本水素添加反応は、下記反応スキームのとおりにインドリン誘導体を生成していることが示された。
【0174】
【化26】
【0175】
次に、上述の溶液Cと、臭化水素酸(47質量%HBr)61.23g(0.356mol)とを濃縮器に入れ、5kPa以下、60℃の条件で酢酸を留去させた。酢酸の留出が止まったところで、常圧に戻し、加熱温度を150℃に上げ、この条件で3時間処理して濃縮させながら反応を行った。その後、150℃に加熱したまま5kPa以下に減圧して更に1時間処理して操作を終了した。濃縮器内に得られた固体にアセトニトリル100gを加えてスラリーとし、これを濾過して取り出した固体を、80℃の乾燥窒素通気で乾燥させることにより、黒色の粉体6.80gを得た。収率は73.3質量%であった。
【0176】
得られた粉体を重ジメチルスルホキシド溶媒に溶解し、H-NMR分析を行った。得られたスペクトルのケミカルシフト〔ppm〕、及び積分値(比)は、それぞれ以下の通りであった。
H-NMR:3.04ppm(2H)、3.67ppm(2H)、5.76(0.8H)、6.80ppm(1H)、6.86ppm(1H)、9.20ppm(1.5H)、10.54ppm(2H)その他、多数のベースラインノイズあり。
【0177】
また、得られた粉体を、燃焼分解イオンクロマトグラフィー法によりBr分を分析した。結果は、Br:23.7質量% であった。
5,6-ジヒドロキシインドリン臭化水素酸塩の理論Br分は34.4質量%であるため、本合成で得られた5,6-ジヒドロキシインドリン臭化水素酸塩の純度は68.9質量%であった。
【0178】
以上のことから、比較例2の製造方法は、下記反応スキームのとおり5,6-ジヒドロキシインドリン臭化水素酸塩を生成しているが、純度が低かった。
【0179】
【化27】
【0180】
〔比較例3〕
撹拌装置、温度計、ガス導入ライン、排気ライン、及び、コンデンサを備えた300mLのフラスコを準備した。上記300mLのフラスコを乾燥窒素ガスでパージした後、ここに、触媒としての酸化白金(IV)1.50g(6.6mmol)と、インドール誘導体としての5,6-ジメトキシインドール7.09g(0.04mol)と、カルボン酸としての酢酸150gとを入れ、攪拌混合した。室温(25℃)で攪拌しながら、ガス導入ラインに水素を導入し、排気ラインを閉じて、フラスコ内部を水素微加圧状態とすることで反応を開始した。攪拌を6時間継続し、水素の吸収が飽和に達したところで、フラスコ内部を窒素ガスでパージし反応を停止した。この反応液を濾過して触媒灰分を除いた液に、臭化水素酸(47質量%HBr)7.57g(0.044mol)を加えて、水素添加反応の生成物を含む溶液Cを得た。この溶液を1ml程度採取し、2kPa以下、80℃の条件で減圧乾燥させ、少量の薄茶色結晶を得た。
【0181】
得られた結晶を重ジメチルスルホキシド溶媒に溶解し、H-NMR分析を行った。得られたスペクトルのケミカルシフト〔ppm〕、及び積分値(比)は、それぞれ以下の通りであった。
H-NMR:2.81ppm(2H)、3.35ppm(2H)、3.62ppm(3H)、3.66ppm(3H)、5.05ppm(1H)、6.24ppm(1H)、6.73ppm(1H)、2.10ppm(0.24H)、3.07ppm(0.16H)、3.43ppm(0.24H)、3.77ppm(0.24H)、4.04ppm(0.16H)、6.86ppm(0.08H)、7.80ppm(0.08H)
上記H-NMRのスペクトルパターンより、水素添加反応の生成物は、主に5,6-ジメトキシインドリンが90.8質量%含まれるが、N-アセチル-5,6-ジメトキシインドリンも9.2質量%含まれていることが確認された。
【0182】
以上のことから、本水素添加反応は、下記反応スキームのとおりにインドリン誘導体を生成していることが示された。
【0183】
【化28】
【0184】
次に、上述の溶液Cと、臭化水素酸(47質量%HBr)61.23g(0.356mol)とを濃縮器に入れ、5kPa以下、60℃の条件で酢酸を留去させた。酢酸の留出が止まったところで、常圧に戻し、加熱温度を150℃に上げ、この条件で3時間処理して濃縮させながら反応を行った。その後、150℃に加熱したまま5kPa以下に減圧して更に1時間処理して操作を終了した。濃縮器内に得られた固体にアセトニトリル100gを加えてスラリーとし、これを濾過して取り出した固体を、80℃の乾燥窒素通気で乾燥させることにより、黒色の粉体7.43gを得た。収率は80.1質量%であった。
【0185】
得られた粉体を重ジメチルスルホキシド溶媒に溶解し、H-NMR分析を行った。得られたスペクトルのケミカルシフト〔ppm〕、及び積分値(比)は、それぞれ以下の通りであった。
H-NMR:3.04ppm(2H)、3.67ppm(2H)、5.76(0.8H)、6.80ppm(1H)、6.86ppm(1H)、9.20ppm(1.5H)、10.54ppm(2H)その他、ベースラインノイズあり。
また、得られた粉体を、燃焼分解イオンクロマトグラフィー法によりBr分を分析した。結果は、Br:27.0質量%であった。
5,6-ジヒドロキシインドリン臭化水素酸塩の理論Br分は34.4質量%であるため、本合成で得られた5,6-ジヒドロキシインドリン臭化水素酸塩の純度は78.5質量%であった。
【0186】
以上のことから、比較例3の製造方法は、下記反応スキームのとおり5,6-ジヒドロキシインドリン臭化水素酸塩を生成しているが、純度が低かった。
【0187】
【化29】
【0188】
〔比較例4〕
撹拌装置、温度計、ガス導入ライン、排気ライン、及び、コンデンサを備えた300mLのフラスコを準備した。上記300mLのフラスコを乾燥窒素ガスでパージした後、ここに、触媒としての酸化白金(IV)0.50g(2.2mmol)と、インドール誘導体としての5,6-ジメトキシインドール7.09g(0.04mol)と、カルボン酸としての酢酸150gとを入れ、攪拌混合した。50℃に加熱、攪拌しながら、ガス導入ラインに水素を導入し、排気ラインを閉じて、フラスコ内部を水素微加圧状態とすることで反応を開始した。反応を50℃で12時間継続し、水素の吸収が飽和に達したところで、フラスコ内部を窒素ガスでパージし反応を停止した。この反応液を濾過して触媒灰分を除いた液に、臭化水素酸(47質量%HBr)7.57g(0.044mol)を加えて、水素添加反応の生成物を含む溶液Cを得た。この溶液を1ml程度採取し、2kPa以下、80℃の条件で減圧乾燥させ、少量の薄茶色結晶を得た。
【0189】
得られた結晶を重ジメチルスルホキシド溶媒に溶解し、H-NMR分析を行った。得られたスペクトルのケミカルシフト〔ppm〕、及び積分値(比)は、それぞれ以下の通りであった。
H-NMR:2.81ppm(2H)、3.35ppm(2H)、3.62ppm(3H)、3.66ppm(3H)、5.05ppm(1H)、6.24ppm(1H)、6.73ppm(1H)、2.10ppm(0.27H)、3.07ppm(0.18H)、3.43ppm(0.27H)、3.77ppm(0.27H)、4.04ppm(0.18H)、6.86ppm(0.09H)、7.80ppm(0.09H)
上記H-NMRのスペクトルパターンより、水素添加反応の生成物は、主に5,6-ジメトキシインドリンが89.8質量%含まれるが、N-アセチル-5,6-ジメトキシインドリンも10.2質量%含まれていることが確認された。
【0190】
以上のことから、本水素添加反応は、下記反応スキームのとおりにインドリン誘導体を生成していることが示された。
【0191】
【化30】
【0192】
次に、上述の溶液Cと、臭化水素酸(47質量%HBr)61.23g(0.356mol)とを濃縮器に入れ、5kPa以下、60℃の条件で酢酸を留去させた。酢酸の留出が止まったところで、常圧に戻し、加熱温度を150℃に上げ、この条件で3時間処理して濃縮させながら反応を行った。その後、150℃に加熱したまま5kPa以下に減圧して更に1時間処理して操作を終了した。濃縮器内に得られた固体にアセトニトリル100gを加えてスラリーとし、これを濾過して取り出した固体を、80℃の乾燥窒素通気で乾燥させることにより、黒色の粉体7.36gを得た。収率は79.3質量%であった。
【0193】
得られた粉体を重ジメチルスルホキシド溶媒に溶解し、H-NMR分析を行った。得られたスペクトルのケミカルシフト〔ppm〕、及び積分値(比)は、それぞれ以下の通りであった。
H-NMR:3.04ppm(2H)、3.67ppm(2H)、5.76(0.8H)、6.80ppm(1H)、6.86ppm(1H)、9.20ppm(1.5H)、10.54ppm(2H)その他、ベースラインノイズあり。
また、得られた粉体を、燃焼分解イオンクロマトグラフィー法によりBr分を分析した。結果は、Br:27.1質量%であった。
5,6-ジヒドロキシインドリン臭化水素酸塩の理論Br分は34.4質量%であるため、本合成で得られた5,6-ジヒドロキシインドリン臭化水素酸塩の純度は78.8質量%であった。
【0194】
以上のことから、比較例4の製造方法は、下記反応スキームのとおり5,6-ジヒドロキシインドリン臭化水素酸塩を生成しているが、純度が低かった。
【0195】
【化31】
【0196】
〔比較例5〕
撹拌装置、温度計、ガス導入ライン、排気ライン、及び、コンデンサを備えた300mLのフラスコを準備した。上記300mLのフラスコを乾燥窒素ガスでパージした後、ここに、触媒としての酸化白金(IV)1.12g(4.93mmol)と、インドール誘導体としての5,6-ジメトキシインドール7.09g(0.04mol)と、カルボン酸としての酢酸150gとを入れ、攪拌混合した。30℃に加熱、攪拌しながら、ガス導入ラインに水素を導入し、排気ラインを閉じて、フラスコ内部を水素微加圧状態とすることで反応を開始した。反応を30℃で8時間継続し、水素の吸収が飽和に達したところで、フラスコ内部を窒素ガスでパージし反応を停止した。この反応液を濾過して触媒灰分を除いた液に、臭化水素酸(47質量%HBr)7.57g(0.044mol)を加えて、水素添加反応の生成物を含む溶液Cを得た。この溶液を1ml程度採取し、2kPa以下、80℃の条件で減圧乾燥させ、少量の薄茶色結晶を得た。
【0197】
得られた結晶を重ジメチルスルホキシド溶媒に溶解し、H-NMR分析を行った。得られたスペクトルのケミカルシフト〔ppm〕、及び積分値(比)は、それぞれ以下の通りであった。
H-NMR:2.81ppm(2H)、3.35ppm(2H)、3.62ppm(3H)、3.66ppm(3H)、5.05ppm(1H)、6.24ppm(1H)、6.73ppm(1H)、2.10ppm(0.24H)、3.07ppm(0.16H)、3.43ppm(0.24H)、3.77ppm(0.24H)、4.04ppm(0.16H)、6.86ppm(0.08H)、7.80ppm(0.08H)
上記H-NMRのスペクトルパターンより、水素添加反応の生成物は、主に5,6-ジメトキシインドリンが90.8質量%含まれるが、N-アセチル-5,6-ジメトキシインドリンも9.2質量%含まれていることが確認された。
【0198】
以上のことから、本水素添加反応は、下記反応スキームのとおりにインドリン誘導体を生成していることが示された。
【0199】
【化32】
【0200】
次に、上述の溶液Cと、臭化水素酸(47質量%HBr)61.23g(0.356mol)とを濃縮器に入れ、5kPa以下、60℃の条件で酢酸を留去させた。酢酸の留出が止まったところで、常圧に戻し、加熱温度を150℃に上げ、この条件で3時間処理して濃縮させながら反応を行った。その後、150℃に加熱したまま5kPa以下に減圧して更に1時間処理して操作を終了した。濃縮器内に得られた固体にアセトニトリル100gを加えてスラリーとし、これを濾過して取り出した固体を、80℃の乾燥窒素通気で乾燥させることにより、黒色の粉体7.66gを得た。収率は82.5質量%であった。
【0201】
得られた粉体を重ジメチルスルホキシド溶媒に溶解し、H-NMR分析を行った。得られたスペクトルのケミカルシフト〔ppm〕、及び積分値(比)は、それぞれ以下の通りであった。
H-NMR:3.04ppm(2H)、3.67ppm(2H)、5.76(0.8H)、6.80ppm(1H)、6.86ppm(1H)、9.20ppm(1.5H)、10.54ppm(2H)その他、ベースラインノイズあり。
また、得られた粉体を、燃焼分解イオンクロマトグラフィー法によりBr分を分析した。結果は、Br:27.6質量%であった。
5,6-ジヒドロキシインドリン臭化水素酸塩の理論Br分は34.4質量%であるため、本合成で得られた5,6-ジヒドロキシインドリン臭化水素酸塩の純度は80.2質量%であった。
【0202】
以上のことから、比較例5の製造方法は、下記反応スキームのとおり5,6-ジヒドロキシインドリン臭化水素酸塩を生成しているが、純度が低かった。
【0203】
【化33】
【0204】
〔比較例6〕
撹拌装置、温度計、ガス導入ライン、排気ライン、及び、コンデンサを備えた300mLのフラスコを準備した。上記300mLのフラスコを乾燥窒素ガスでパージした後、ここに、触媒としての酸化白金(IV)1.71g(7.53mmol)と、インドール誘導体としての5,6-ジメトキシインドール7.09g(0.04mol)と、カルボン酸としての酢酸150gとを入れ、攪拌混合した。22℃に保温、攪拌しながら、ガス導入ラインに水素を導入し、排気ラインを閉じて、フラスコ内部を水素微加圧状態とすることで反応を開始した。反応を22℃で6時間継続し、水素の吸収が飽和に達したところで、フラスコ内部を窒素ガスでパージし反応を停止した。この反応液を濾過して触媒灰分を除いた液に、臭化水素酸(47質量%HBr)7.57g(0.044mol)を加えて、水素添加反応の生成物を含む溶液Cを得た。この溶液を1ml程度採取し、2kPa以下、80℃の条件で減圧乾燥させ、少量の薄茶色結晶を得た。
【0205】
得られた結晶を重ジメチルスルホキシド溶媒に溶解し、H-NMR分析を行った。得られたスペクトルのケミカルシフト〔ppm〕、及び積分値(比)は、それぞれ以下の通りであった。
H-NMR:2.81ppm(2H)、3.35ppm(2H)、3.62ppm(3H)、3.66ppm(3H)、5.05ppm(1H)、6.24ppm(1H)、6.73ppm(1H)、2.10ppm(0.42H)、3.07ppm(0.28H)、3.43ppm(0.42H)、3.77ppm(0.42H)、4.04ppm(0.28H)、6.86ppm(0.14H)、7.80ppm(0.14H)
上記H-NMRのスペクトルパターンより、水素添加反応の生成物は、主に5,6-ジメトキシインドリンが84.9質量%含まれるが、N-アセチル-5,6-ジメトキシインドリンも15.1質量%含まれていることが確認された。
【0206】
以上のことから、本水素添加反応は、下記反応スキームのとおりにインドリン誘導体を生成していることが示された。
【0207】
【化34】
【0208】
次に、上述の溶液Cと、臭化水素酸(47質量%HBr)61.23g(0.356mol)とを濃縮器に入れ、5kPa以下、60℃の条件で酢酸を留去させた。酢酸の留出が止まったところで、常圧に戻し、加熱温度を150℃に上げ、この条件で3時間処理して濃縮させながら反応を行った。その後、150℃に加熱したまま5kPa以下に減圧して更に1時間処理して操作を終了した。濃縮器内に得られた固体にアセトニトリル100gを加えてスラリーとし、これを濾過して取り出した固体を、80℃の乾燥窒素通気で乾燥させることにより、黒色の粉体7.29gを得た。収率は78.6質量%であった。
【0209】
得られた粉体を重ジメチルスルホキシド溶媒に溶解し、H-NMR分析を行った。得られたスペクトルのケミカルシフト〔ppm〕、及び積分値(比)は、それぞれ以下の通りであった。
H-NMR:3.04ppm(2H)、3.67ppm(2H)、5.76(0.8H)、6.80ppm(1H)、6.86ppm(1H)、9.20ppm(1.5H)、10.54ppm(2H)その他、多数のベースラインノイズあり。
また、得られた粉体を、燃焼分解イオンクロマトグラフィー法によりBr分を分析した。結果は、Br:25.6質量%であった。
5,6-ジヒドロキシインドリン臭化水素酸塩の理論Br分は34.4質量%であるため、本合成で得られた5,6-ジヒドロキシインドリン臭化水素酸塩の純度は74.4質量%であった。
【0210】
以上のことから、比較例6の製造方法は、下記反応スキームのとおり5,6-ジヒドロキシインドリン臭化水素酸塩を生成しているが、純度が低かった。
【0211】
【化35】

【0212】
〔比較例7〕
撹拌装置、温度計、ガス導入ライン、排気ライン、及び、コンデンサを備えた300mLのフラスコを準備した。上記300mLのフラスコを乾燥窒素ガスでパージした後、ここに、触媒としての酸化白金(IV)2.00g(8.8mmol)と、インドール誘導体としての5,6-ジメトキシインドール7.09g(0.04mol)と、カルボン酸としての酢酸150gとを入れ、攪拌混合した。10℃に冷却、攪拌しながら、ガス導入ラインに水素を導入し、排気ラインを閉じて、フラスコ内部を水素微加圧状態とすることで反応を開始した。反応を10℃で6時間継続し、水素の吸収が飽和に達したところで、フラスコ内部を窒素ガスでパージし反応を停止した。この反応液を濾過して触媒灰分を除いた液に、臭化水素酸(47質量%HBr)7.57g(0.044mol)を加えて、水素添加反応の生成物を含む溶液Cを得た。この溶液を1ml程度採取し、2kPa以下、80℃の条件で減圧乾燥させ、少量の薄茶色結晶を得た。
【0213】
得られた結晶を重ジメチルスルホキシド溶媒に溶解し、H-NMR分析を行った。得られたスペクトルのケミカルシフト〔ppm〕、及び積分値(比)は、それぞれ以下の通りであった。
H-NMR:2.81ppm(2H)、3.35ppm(2H)、3.62ppm(3H)、3.66ppm(3H)、5.05ppm(1H)、6.24ppm(1H)、6.73ppm(1H)、2.10ppm(0.33H)、3.07ppm(0.22H)、3.43ppm(0.33H)、3.77ppm(0.33H)、4.04ppm(0.22H)、6.86ppm(0.11H)、7.80ppm(0.11H)
上記H-NMRのスペクトルパターンより、水素添加反応の生成物は、主に5,6-ジメトキシインドリンが87.8質量%含まれるが、N-アセチル-5,6-ジメトキシインドリンも12.2質量%含まれていることが確認された。
【0214】
以上のことから、本水素添加反応は、下記反応スキームのとおりにインドリン誘導体を生成していることが示された。
【0215】
【化36】
【0216】
次に、上述の溶液Cと、臭化水素酸(47質量%HBr)61.23g(0.356mol)とを濃縮器に入れ、5kPa以下、60℃の条件で酢酸を留去させた。酢酸の留出が止まったところで、常圧に戻し、加熱温度を150℃に上げ、この条件で3時間処理して濃縮させながら反応を行った。その後、150℃に加熱したまま5kPa以下に減圧して更に1時間処理して操作を終了した。濃縮器内に得られた固体にアセトニトリル100gを加えてスラリーとし、これを濾過して取り出した固体を、80℃の乾燥窒素通気で乾燥させることにより、黒色の粉体7.12gを得た。収率は76.7質量%であった。
【0217】
得られた粉体を重ジメチルスルホキシド溶媒に溶解し、H-NMR分析を行った。得られたスペクトルのケミカルシフト〔ppm〕、及び積分値(比)は、それぞれ以下の通りであった。
H-NMR:3.04ppm(2H)、3.67ppm(2H)、5.76(0.8H)、6.80ppm(1H)、6.86ppm(1H)、9.20ppm(1.5H)、10.54ppm(2H)その他、多数のベースラインノイズあり。
また、得られた粉体を、燃焼分解イオンクロマトグラフィー法によりBr分を分析した。結果は、Br:24.2質量%であった。
5,6-ジヒドロキシインドリン臭化水素酸塩の理論Br分は34.4質量%であるため、本合成で得られた5,6-ジヒドロキシインドリン臭化水素酸塩の純度は70.3質量%であった。
【0218】
以上のことから、比較例7の製造方法は、下記反応スキームのとおり5,6-ジヒドロキシインドリン臭化水素酸塩を生成しているが、純度が低かった。
【0219】
【化37】
【0220】
各実施例及び比較例について、工程(I)における触媒の添加量xmol%、反応温度y℃、反応時間、及びインドリン誘導体中の窒素原子がアシル化されていない主生成物の含有量を表1に示す。
各実施例及び比較例について、工程(II)における5,6-ジヒドロキシインドリン臭化水素酸塩の収率及び純度を表1に示す。
触媒の添加量xは小数点1桁で、-2.5x+59.00は小数点2桁で、それぞれ計算した。
【0221】
【表1】

【0222】
表1に示す通り、カルボン酸の存在下で、水素添加反応によりインドール誘導体をインドリン誘導体に変換し、インドリン誘導体を含む溶液を得る工程(I)と、インドリン誘導体を含む溶液に臭化水素を添加する工程(II)と、を含み、工程(I)における前記水素添加反応は、触媒を用い、触媒の添加量xmol%及び反応温度y℃が、式(1)及び式(2)の条件を満たす酸化染料の製造方法を用いた実施例は、精製等の特別な操作を行うことなく、簡便な操作を用いて、高純度で5,6-ジヒドロキシインドリンの酸塩を得ることができた。
また、実施例は収率にも優れていた。
一方、y>-2.5x+59.00であるために式(1)を満たさない比較例1~比較例7は、高純度で5,6-ジヒドロキシインドリンの酸塩を得ることができなかった。また、比較例は収率も低かった。
【0223】
表2及び表3に、各実施例における最終収率、生成速度指数1及び生成速度指数2を示す。
最終収率[%]は、収率[%]×純度[%]/100で算出される値である。
生成速度指数1[%/hr]は、最終収率[%]/反応時間[hr]で算出される値である。
生成速度指数2[%/hr/mol%]は、生成速度指数1[%/hr]/触媒の添加量x[mol%]で算出される値である。
【0224】
【表2】

【0225】
表2に示す通り、より反応温度が低い実施例3は、より反応温度が高い比較例4と比較して、最終収率、生成速度指数1及び生成速度指数2に優れている。
また、より反応温度が低い実施例4は、より反応温度が高い比較例5と比較して、最終収率、生成速度指数1及び生成速度指数2に優れている。
一般に、反応温度を上げた場合に反応速度が上がる傾向にある。しかし、上記の通り、本開示の酸化染料の製造方法を用いることで、反応温度を下げた場合でも優れた最終収率及び反応速度が得られることがわかった。
【0226】
【表3】
【0227】
表3に示す通り、より触媒の添加量xが少ない実施例3は、より触媒の添加量xが多い比較例2と比較して、最終収率、生成速度指数1及び生成速度指数2に優れている。
また、より触媒の添加量xが少ない実施例5は、より触媒の添加量xが多い比較例7と比較して、最終収率、生成速度指数1及び生成速度指数2に優れている。
一般に、触媒の添加量xを多くした場合に反応速度が上がる傾向にある。しかし、上記の通り、本開示の酸化染料の製造方法を用いることで、触媒の添加量xを少なくした場合でも優れた最終収率及び反応速度が得られることがわかった。