(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022182034
(43)【公開日】2022-12-08
(54)【発明の名称】原稿読取装置および画像形成装置
(51)【国際特許分類】
H04N 1/04 20060101AFI20221201BHJP
G06T 1/00 20060101ALI20221201BHJP
【FI】
H04N1/04 106A
H04N1/12 Z
G06T1/00 430J
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021089328
(22)【出願日】2021-05-27
(71)【出願人】
【識別番号】000005049
【氏名又は名称】シャープ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000947
【氏名又は名称】弁理士法人あーく事務所
(72)【発明者】
【氏名】福留 正一
(72)【発明者】
【氏名】森本 泰正
(72)【発明者】
【氏名】山中 久志
(72)【発明者】
【氏名】青木 礼至
【テーマコード(参考)】
5B047
5C072
【Fターム(参考)】
5B047AA01
5B047AB02
5B047BA01
5B047BB02
5B047BC05
5B047BC09
5B047BC11
5B047BC14
5B047BC18
5B047BC20
5B047BC23
5B047CA13
5B047CA14
5B047CA23
5B047DA04
5B047DC01
5B047DC09
5C072AA01
5C072BA01
5C072BA04
5C072BA08
5C072BA20
5C072DA02
5C072DA04
5C072EA05
5C072FB12
5C072LA02
5C072LA15
5C072LA18
5C072MA01
5C072MB01
5C072NA01
5C072NA04
5C072RA03
5C072RA04
5C072RA16
5C072UA02
5C072UA11
5C072XA01
(57)【要約】
【課題】簡易な装置構成と高精度なクロップモードとを両立できる原稿読取装置および画像形成装置を提供する。
【解決手段】原稿読取装置10は、原稿搬送方向に沿って走査可能であり、原稿読取位置を決定づける第1走査ユニット103と、第1走査ユニット103に対して、搬送される原稿を挟む位置に設けられるガイド板113とを備えている。ガイド板113における第1走査ユニット103との対向面には、白色シート114が貼付された第1色部と、ガイド板113の板金色(例えばグレー)となる第2色部とが原稿搬送方向に沿って形成されている。クロップモードでの原稿読取時には、原稿読取位置が第2色部と対向する位置P2とされる。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
原稿のサイズ検出または斜行検出し補正する画像切り出しモードを有する原稿読取装置であって、
原稿の搬送を行う原稿搬送部と、
前記原稿搬送部によって搬送される原稿を読み取る画像読取部と、
前記画像読取部に対して、搬送される原稿を挟む位置に設けられ、前記画像読取部に対向して設けられる対向部材とを備えており、
前記対向部材における前記画像読取部との対向面には、白色である第1色を有する第1色部と、前記第1色部とは異なる第2色を有する第2色部とが、前記原稿搬送方向に沿って形成されており、
前記画像切り出しモードでの原稿読取時には、前記原稿読取位置が前記第2色部と対向する位置とされることを特徴とする原稿読取装置。
【請求項2】
請求項1に記載の原稿読取装置であって、
前記原稿搬送方向に沿って、前記第1色部が上流側に設けられ、前記第2色部が下流側に設けられていることを特徴とする原稿読取装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の原稿読取装置であって、
前記画像切り出しモード以外のモードにおいて、前記原稿搬送部によって搬送される原稿の読取時には、前記画像読取部は、前記原稿読取位置が前記第1色部と対向する位置とされることを特徴とする原稿読取装置。
【請求項4】
請求項1から3の何れか1項に記載の原稿読取装置であって、
前記対向部材は前記第2色を有しており、前記第1色部は白色のシートを貼付もしくは白色の塗料を塗布して形成されていることを特徴とする原稿読取装置。
【請求項5】
請求項1から4の何れか1項に記載の原稿読取装置であって、
原稿が厚紙である場合には、原稿が厚紙でない場合に対し、前記第1色部および前記第2色部のうちの下流側にある前記原稿読取位置が、より下流側とされることを特徴とする原稿読取装置。
【請求項6】
請求項1から5の何れか1項に記載の原稿読取装置であって、
前記第1色部および前記第2色部に対するそれぞれの前記原稿読取位置は、前記第1色部および前記第2色部の読取データに基づいて変更して設定可能であり、
前記原稿読取位置の設定は、当該原稿読取装置での原稿読取ジョブ毎に実施されることを特徴とする原稿読取装置。
【請求項7】
請求項6に記載の原稿読取装置であって、
前記原稿読取位置の設定は、複数の読取候補位置での読取を行って読取データを記憶し、記憶された前記読取データに基づいて、複数の前記読取候補位置の中から前記原稿読取位置を決定することを特徴とする原稿読取装置。
【請求項8】
請求項6に記載の原稿読取装置であって、
前記原稿読取位置の設定は、複数の読取候補位置に対しての読取を順次行い、ある読取候補位置において汚れが無いと判断された場合、その読取候補位置を原稿読取位置に決定し、それ以降の読取候補位置に対する読取を省略することを特徴とする原稿読取装置。
【請求項9】
請求項1から8の何れか1項記載の原稿読取装置であって、
シェーディング補正時には、前記画像読取部は、前記原稿読取位置が前記第1色部と対向する位置とされることを特徴とする原稿読取装置。
【請求項10】
請求項1から9の何れか1項に記載の原稿読取装置を備えることを特徴とする画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、原稿のサイズ検出または斜行検出し補正する画像切り出しモード(クロップモード)を有する原稿読取装置、およびそれを備えた画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
マルチコピー機などの画像形成装置では、原稿の画像を読み取る原稿読取装置が備えられている。原稿読取装置は、原稿読取部と、その上面に配置される原稿搬送部とを備えており、原稿搬送部の原稿トレイに載置された原稿束から原稿を1枚ずつ搬送し、搬送される原稿を原稿読取部にて自動読取することが可能である。
【0003】
また、原稿読取装置では、原稿読取部におけるレンズ収差や照明ムラを補正するためのシェーディング補正が行われる。シェーディング補正は、白色基準板を光源にて照射し、その反射光の読取データに基づいて行われる。
【0004】
搬送される原稿の自動原稿送り読取を行うモード(自動原稿送り読取モード)では、原稿の斜行が発生する場合がある。通常の原稿読取装置では、原稿の斜行が発生した場合、読み取った画像データにおいて原稿が傾いた状態となる。これに対して、原稿読取時に原稿の斜行を自動的に検出および補正するクロップモードを有する原稿読取装置が知られている。
【0005】
クロップモードでは、原稿の読取範囲を実際の原稿サイズよりも広く設定し、読み取った原稿の画像データから原稿の境界を検出する。そして、検出された境界よりも外側のデータ(領域外データ)をトリミング(除去)するとともに、領域外データをトリミングした後の残りデータが傾いていた場合には、その傾きを補正して読取原稿データとする。また、A3・B4などの定形サイズだけではなく、領収書など不定形サイズの原稿サイズを検出し、切り出すことができる。
【0006】
但し、このようなクロップモードでは、原稿読取部における原稿読取位置が白色基準板と対向している場合、白色用紙を用いた原稿に対しては、原稿の境界を正確に検出することができず、領域外データを正確にトリミングすることができない。すなわち、白色基準板が原稿読取位置に常に対抗している原稿読取装置では、クロップモードを実現できない(もしくはクロップモードの精度が著しく低下する)。
【0007】
これに対し、特許文献1には、原稿読取時には白色基準板を原稿読取位置から移動させる、もしくは、原稿読取時には白色基準板を遮光板にて覆うことで、自動原稿送り読取モードでのトリミングを可能とすることが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、特許文献1の技術では、シェーディング補正時と原稿読取時とで白色基準板もしくは遮光板の位置を変える必要がある。すなわち、白色基準板もしくは遮光板を移動部材として設ける必要がある。このため、原稿読取装置の構成が複雑となり、装置の大型化やコストアップといった課題が発生する。
【0010】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、簡易な装置構成と高精度なクロップモードとを両立できる原稿読取装置および画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記の課題を解決するために、本発明の第1の態様である原稿読取装置は、原稿のサイズ検出または斜行検出し補正する画像切り出しモードを有する原稿読取装置であって、原稿の搬送を行う原稿搬送部と、前記原稿搬送部によって搬送される原稿を読み取る画像読取部と、前記画像読取部に対して、搬送される原稿を挟む位置に設けられ、前記画像読取部に対向して設けられる対向部材とを備えており、前記対向部材における前記画像読取部との対向面には、白色である第1色を有する第1色部と、前記第1色部とは異なる第2色を有する第2色部とが、前記原稿搬送方向に沿って形成されており、前記画像切り出しモードでの原稿読取時には、前記原稿読取位置が前記第2色部と対向する位置とされることを特徴としている。
【0012】
上記の構成によれば、画像切り出しモードでの原稿読取時には、原稿読取位置を第2色部(白色以外、例えばグレー)と対向する位置とすることで、高精度の画像切り出しモードを実現できる。また、対向面が白色の場合は、薄紙原稿の下地かぶりが発生しにくく、パンチ穴原稿の影も出にくいため、コピーモードに適している。原稿読取位置の変更は、読取ユニットの移動によって行うことができるため、対向部材を移動可能に設ける必要がなく、原稿読取装置を簡易な構成とすることができる。
【0013】
また、上記原稿読取装置は、前記原稿搬送方向に沿って、前記第1色部が上流側に設けられ、前記第2色部が下流側に設けられている構成とすることができる。
【0014】
また、上記原稿読取装置は、前記画像切り出しモード以外のモードにおいて、前記原稿搬送部によって搬送される原稿の読取時には、前記画像読取部は、前記原稿読取位置が前記第1色部と対向する位置とされる構成とすることができる。
【0015】
また、上記原稿読取装置は、前記対向部材は前記第2色を有しており、前記第1色部は白色のシートを貼付もしくは白色の塗料を塗布して形成されている構成とすることができる。
【0016】
また、上記原稿読取装置は、原稿が厚紙である場合には、原稿が厚紙でない場合に対し、前記第1色部および前記第2色部のうちの下流側にある前記原稿読取位置が、より下流側とされる構成とすることができる。
【0017】
上記の構成によれば、厚紙原稿の搬送によって対向部材が下流側にずれた場合であっても、対向部材の位置ずれによって原稿読取位置が第1色部と第2色部との間の境界線と重なることを防止できる。
【0018】
また、上記原稿読取装置では、前記第1色部および前記第2色部に対するそれぞれの前記原稿読取位置は、前記第1色部および前記第2色部の読取データに基づいて変更して設定可能であり、前記原稿読取位置の設定は、当該原稿読取装置での原稿読取ジョブ毎に実施される構成とすることができる。
【0019】
上記の構成によれば、第1色部および前記第2色部の読取データに基づいて原稿読取位置を設定することで、原稿読取位置の汚れ(コンタクトガラスへの汚れの付着など)によって読取画像に画像欠陥が生じることを回避できる。
【0020】
また、上記原稿読取装置では、前記原稿読取位置の設定は、複数の読取候補位置での読取を行って読取データを記憶し、記憶された前記読取データに基づいて、複数の前記読取候補位置の中から前記原稿読取位置を決定する構成とすることができる。
【0021】
また、上記原稿読取装置では、前記原稿読取位置の設定は、複数の読取候補位置に対しての読取を順次行い、ある読取候補位置において汚れが無いと判断された場合、その読取候補位置を原稿読取位置に決定し、それ以降の読取候補位置に対する読取を省略する構成とすることができる。
【0022】
また、上記原稿読取装置は、シェーディング補正時には、前記画像読取部は、前記原稿読取位置が前記第1色部と対向する位置とされる構成とすることができる。
【0023】
また、上記の課題を解決するために、本発明の第2の態様である画像形成装置は、上記記載の原稿読取装置を備えることを特徴としている。
【発明の効果】
【0024】
本発明の原稿読取装置および画像形成装置は、画像切り出しモードでの原稿読取時には原稿読取位置を第2色部(白色以外)と対向させることで、簡易な装置構成と高精度な画像切り出しモードとの両立を実現することができるといった効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】本発明が適用可能な原稿読取装置の概略構成を示す断面図である。
【
図2】実施の形態1の原稿読取装置において、原稿読取部の上面を示す斜視図である。
【
図3】原稿読取装置におけるクロップモードの処理手順を示す説明図である。
【
図4】原稿読取装置における原稿読取領域付近の拡大図である。
【
図5】実施の形態2に係る原稿読取装置における原稿読取位置の設定方法を示す説明図である。
【
図6】実施の形態2に係る原稿読取装置における自動原稿送り読取モードでの読取動作を示すフローチャートである。
【
図7A】第1色部において汚れが無い読取候補位置での読取データの一例を示す図である。
【
図7B】第1色部において汚れがある読取候補位置での読取データの一例を示す図である。
【
図7C】第2色部において汚れが無い読取候補位置での読取データの一例を示す図である。
【
図7D】第1色部と第2色部との境界付近の読取候補位置での読取データの一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
〔実施の形態1〕
以下、本発明の実施の形態1について、図面を参照して詳細に説明する。尚、以下の説明において、上流側および下流側とは、原稿搬送方向における上流側および下流側を示している。
【0027】
図1は、本発明が適用可能な原稿読取装置10の略概構成を示す断面図である。原稿読取装置10は、複写機、複合機、ファクシミリ装置などの画像形成装置において備えられ、原稿の複写時やファクス送信時などに原稿の画像を読み取る。
【0028】
原稿読取装置10は、
図1に示すように、原稿読取部100と、その上面に配置されるADF(Auto Document Feeder:自動原稿搬送装置(原稿搬送部))110とからなる。ADF110は、その奥一辺をヒンジ(図示せず)により原稿読取部100の奥一辺に軸支され、その手前部分を上下させることにより開閉される。
図2は、ADF110を取り外した状態での原稿読取部100の上面を示す斜視図である。原稿読取部100の上面には、プラテンガラス101とコンタクトガラス102とが原稿搬送方向に沿って並んで配置されている。
【0029】
原稿読取部100は、原稿を読み取るための機構として、第1走査ユニット103、第2走査ユニット104、結像レンズ105およびCCD(Charge Coupled Device)106を有している。第1走査ユニット103は、原稿を照射する光源と、原稿からの反射光(原稿反射光)を第2走査ユニット104に向けて反射する反射ミラーとを備えている。第2走査ユニット104は、原稿反射光を結像レンズ105に向けて反射する複数の反射ミラーを備えている。結像レンズ105は、原稿反射光をCCD106に対して集光する。CCD106は、入射された原稿反射光を読み取り、読取原稿データとして出力する。
【0030】
原稿読取部100は、大別すると、手動原稿台読取モードと自動原稿送り読取モードとの2種類の原稿読取モードを有している。尚、
図1においては、第1走査ユニット103および第2走査ユニット104の位置は、自動原稿送り読取モードでの配置位置を示している。
【0031】
手動原稿台読取モードでは、ADF110を開いて原稿読取部100のプラテンガラス101を開放し、プラテンガラス101上に原稿を載置する。原稿読取部100は、プラテンガラス101上に載置された原稿の画像を、第1走査ユニット103および第2走査ユニット104を走査しながら読み取る。
【0032】
自動原稿送り読取モードでは、ADF110の原稿トレイ111に載置された原稿束から原稿を1枚ずつ原稿搬送部によって搬送し、そして原稿読取領域に搬送して読み取る。すなわち、画像読取部は停止した状態で、搬送される原稿を読み取ることになる。このとき、コンタクトガラス102の下方には第1走査ユニット103が位置しており、ADF110に搬送される原稿は、コンタクトガラス102上を通過する際に画像が読み取られる。すなわち、自動原稿送り読取モードでは、コンタクトガラス102上に原稿読取領域が存在する。画像を読み取られた原稿はさらに搬送され、ADF110の排紙トレイ112上へ排出される。
【0033】
さらに、原稿読取装置10は、自動原稿送り読取モードでの動作において、通常モード以外にクロップモード(画像切り出しモード)を有している。ここでのクロップモード以外のモードである通常モードとは、原稿の読取範囲を実際の原稿サイズに合わせ、CCD106にて読み取った原稿の画像データをそのまま読取原稿データとして出力する読取モードである。一方、クロップモードでは、
図3に示すように、原稿の読取範囲を実際の原稿サイズよりも広く設定し、CCD106にて読み取った原稿の画像データから原稿の境界を検出する。そして、検出された境界よりも外側のデータ(領域外データ)をトリミング(除去)するとともに、領域外データをトリミングした後の残りデータが傾いていた場合には、その傾きを補正して読取原稿データとする。
【0034】
本実施の形態1に係る原稿読取装置10は、簡易な構成で高精度のクロップモードを行える点に特徴を有する。以下、この特徴点について説明する。
【0035】
図4は、原稿読取装置10における原稿読取領域付近の拡大図である。
図4に示すように、原稿読取領域付近では、コンタクトガラス102の上方にガイド板(対向部材)113が配置され、ガイド板113の下面(コンタクトガラス102との対向面)の一部領域には白色シート114が貼付されている。ガイド板113は、ADF110側において板金にて設けられており、自動原稿送り読取モードでの動作時に、原稿読取領域を搬送される原稿をコンタクトガラス102に密着させるように押し付ける機能を有する。ガイド板113は、図示しない弾性部材(例えばバネ部材)によってコンタクトガラス102に向けて付勢されている。
【0036】
原稿読取装置10の原稿読取領域では、上流側(
図4では左側)でガイド板113に白色シート114が貼付されており、下流側(
図4では右側)でガイド板113の板金が露出している。すなわち、原稿読取領域では、ガイド板113の下面において、白色シート114が貼付され、第1色(すなわち白)を有する第1色部と、板金が露出し、第2色(例えばグレー)を有する第2色部とが原稿搬送方向に沿って形成されている。尚、第2色は、白以外であれば特に限定されるものではないが、R,G,Bの3原色の全てにおいて白とのコントラストが大きくなるグレー系の色とすることが好ましい。また、第2色をグレーとすれば、ガイド板113の板金色をそのまま第2色とすることができる。
【0037】
また、上流側でガイド板113に白色シート114が貼付されており、下流側でガイド板113の板金が露出していることにより、逆段差にならないので、原稿がジャムすることはない。
【0038】
原稿読取装置10は、通常モードでの原稿読取を行うときには、原稿読取部100における原稿読取位置をガイド板113の第1色部と対向する位置(
図4における上流側読取位置P1)とする。すなわち、。原稿読取位置を第1色部と対向させた場合は、薄紙原稿の下地かぶりが発生しにくく、パンチ穴原稿の影も出にくいため、コピーモードに適している。また、白色シート114を白色基準板として用いることでシェーディング補正を行うことも可能である。一方、原稿読取装置10は、クロップモードでの原稿読取を行うときには、原稿読取部100における原稿読取位置をガイド板113の第2色部と対向する位置(
図4における下流側読取位置P2)とする。尚、原稿読取部100における原稿読取位置は、原稿読取部100における第1走査ユニット103の位置によって決まる。
【0039】
このように、原稿読取装置10では、クロップモードでの原稿読取を行うときに、原稿読取位置をガイド板113の第2色部と対向させることで、
図3の左図に示すように、原稿の読取範囲の画像データにおいて、原稿の境界内外でのコントラストが大きくなる。その結果、原稿の境界が検出しやすくなり、領域外データを正確にトリミングすることができるため、高精度のクロップモードを実現することができる。
【0040】
尚、上記構成では、原稿読取位置を変更するために、第1走査ユニット103(および第2走査ユニット104)を移動させる必要があるが、そもそも原稿読取装置10は手動原稿台読取モードのために第1走査ユニット103および第2走査ユニット104が走査可能となっている。したがって、原稿読取部100側でも、クロップモードのための特別な構成変更の必要は無い。
【0041】
尚、上記説明の原稿読取装置10では、ガイド板113に白色シート114を貼付することで第1色部を形成しているが、本発明はこれに限定されるものではなく、ガイド板113に白色塗料を塗布することで第1色部を形成してもよい。また、第2色部においても、シート貼付や塗料の塗布によって第2色を実現してもよい。
【0042】
また、上記説明の原稿読取装置10では、上流側を第1色部、下流側を第2色部としているが、本発明はこれに限定されるものではなく、上流側を第2色部、下流側を第1色部としてもよい。
【0043】
〔実施の形態2〕
上記実施の形態1に係る原稿読取装置10では、原稿読取部100における原稿読取位置を上流側読取位置P1と下流側読取位置P2との間で変更可能となっている。このとき、上流側読取位置P1および下流側読取位置P2は予め設定された所定位置であってもよいが、上流側読取位置P1および下流側読取位置P2自体が変更可能であってもよい。すなわち、上流側読取位置P1および下流側読取位置P2のそれぞれは、第1色部および前記第2色部の読取データに基づいて変更して設定可能であってもよい。
【0044】
例えば、コンタクトガラス102表面に汚れが付着していた場合、その汚れの箇所が自動原稿送り読取モードの原稿読取位置と重なっていれば、読取原稿データにおいて副走査方向のスジ状の画像欠陥が生じる。このような場合、原稿読取位置を変更して汚れの箇所と重ならないにすれば、読取原稿データにおける画像欠陥を回避できる。本実施の形態2では、原稿読取位置を適宜変更して適切な箇所に設定することのできる原稿読取装置10について説明する。尚、本実施の形態2に係る原稿読取装置10は、装置構成自体は実施の形態1に係る原稿読取装置10と同じであり、自動原稿送り読取モード時の動作制御によって原稿読取位置の設定を行うことができる。
【0045】
図5は、本実施の形態2に係る原稿読取装置10における原稿読取位置の設定方法を示す説明図である。
図6は、本実施の形態2に係る原稿読取装置10における自動原稿送り読取モードでの読取動作を示すフローチャートである。
【0046】
図5に示すように、本実施の形態2の原稿読取装置10では、第1色部および第2色部のそれぞれにおいて、複数の読取候補位置が設定される。尚、
図5の例では、第1色部において4か所の読取候補位置P11~P14が設定され、第2色部において3か所の読取候補位置P21~P23が設定されているが、読取候補位置の数は特に限定されるものではない。原稿読取位置の設定は、これら複数の読取候補位置の中から適切な位置を選択することで行われる。
【0047】
また、原稿読取位置の設定は、原稿読取装置10での原稿読取ジョブ毎に実施されることが好ましく、原稿読取装置10でのジョブ終了時点で実施されることがより好ましい。すなわち、ジョブ終了時点で原稿読取位置の設定を行うようにすれば、次回のジョブ開始時に原稿読取位置の設定を行う必要がなく、ジョブを速やかに開始できる。
図6のフローチャートは、原稿読取位置の設定が、原稿読取装置10でのジョブ終了時点で行われる場合の手順を例示する。
【0048】
原稿読取装置10での原稿読取ジョブが終了すると、原稿読取位置の設定が開始され、最初に原稿読取部100における走査ユニット(第1走査ユニット(画像読取部)103、第2走査ユニット104)が、最上流位置に移動し(S1)、その後、下流側への移動を開始する(S2)。
【0049】
走査ユニットの位置が読取候補位置に到達すると(S3でYES)、原稿読取装置10は、その読取候補位置での読取を実行し、読取候補位置での読取データを記憶する(S4)。そして、読取が終了していない読取候補位置が残っていれば(S5でNO)、S2~S4のステップを繰り返す。全ての読取候補位置に対して読取が終了すると(S5でYES)、第1色部および第2色部のそれぞれにおいて、記憶していた読取候補位置での読取データに基づいて適切な原稿読取位置を決定する(S6、S7)。尚、適切な原稿読取位置とは、コンタクトガラス102に汚れがなく、読取原稿データに画像欠陥を生じさせることのない原稿読取位置を指す。
【0050】
ここで、原稿読取位置の決定方法について、
図7A~
図7Dを参照して説明する。
図7A~
図7Dは、読取候補位置での読取データの例であり、縦軸がCCD106によるRGB出力値、横軸が主走査方向位置を示している。
【0051】
図7Aは、第1色部において汚れが無い読取候補位置での読取データの一例を示している。この読取データは、主走査方向に沿ってなだらかな弓状の形状を示している。すなわち、読取データが
図7Aに示すようななだらかな弓状の形状を示していれば、その読取候補位置には汚れが無いと判断できる。尚、ここでの読取データがなだらかな弓状の形状を示しているのは、シェーディング補正前の読取データを用いており、結像レンズ105のレンズ収差によって中央部に比べ周辺部が暗くなる現象が起きているためである。但し、原稿読取位置の設定には、シェーディング補正後の読取データを用いてもよい。シェーディング補正後の読取データを用いれば、読取データは弓状とはならず、RGB出力値が一定の直線状となる(読取候補位置に汚れが無い場合)。
【0052】
図7Bは、第1色部において汚れがある読取候補位置での読取データの一例を示している。この読取データは、概ね主走査方向に沿ってなだらかな弓状の形状を示しているが、汚れのある箇所ではRGB出力値が大きく(急峻に)低下する。すなわち、
図7Bに示すように、読取データの少なくとも一部においてRGB出力値(読取値)の低下があれば、その読取候補位置には汚れがあると判断できる。言い換えれば、主走査方向に沿った何れの箇所でもRGB出力値の急峻な低下が無ければ、その読取候補位置には汚れが無いと判断できる。
【0053】
図5に示す例では、読取候補位置P11において汚れがあり、読取候補位置P12~P13において汚れが無い状態が例示されている。この場合、読取候補位置P11での読取データは
図7Bに示すような形状となり、読取候補位置P12~P13での読取データは
図7Aに示すような形状となる。その結果、適切な原稿読取位置は、読取候補位置P12~P13の中から選択することができる。尚、適切な原稿読取位置となる読取候補位置が複数ある場合は、予め定められた所定のルールに従って原稿読取位置を決定すればよい。例えば、最も上流側の読取候補位置を原稿読取位置として選択するようにすれば、
図5の例では読取候補位置P12が原稿読取位置に決定される。
【0054】
図7Cは、第2色部において汚れが無い読取候補位置での読取データの一例を示している。この読取データは、
図7Aの読取データに比べてRGB出力値が全体的に低くなっているが、主走査方向に沿ってなだらかな弓状の形状を示している点は
図7Aの読取データと同じである。すなわち、第2色部においても、読取データが
図7Cに示すようななだらかな弓状の形状を示していれば、その読取候補位置には汚れが無いと判断できる。
【0055】
また、図示は省略しているが、第2色部においても汚れがある読取候補位置では、RGB出力値が大きく低下する。このため、第2色部においても、読取データの少なくとも一部においてRGB出力値の低下があれば、その読取候補位置には汚れがあると判断できる。したがって、第2色部においても、第1色部と同様の方法で、複数の読取候補位置(例えば、
図5の読取候補位置P21~P23)の中から適切な原稿読取位置を決定することができる。
【0056】
また、原稿読取部100とADF110との間に傾きがある場合、より具体的には、原稿読取部100側での読取ライン(主走査方向ライン)と、ADF110側での第1色部と第2色部との間の境界線(
図5における境界線L1)との間に傾きがある場合、境界線L1付近に設定された読取候補位置では、
図7Dに示すような読取データとなる場合がある。
図7Dに示す読取データは、主走査方向に沿ったある位置を境に、RGB出力値が大きく変化している。このような読取データは、原稿読取部100の読取ラインが境界線L1と交差することによって生じるものであり、読取ラインと境界線L1との交差点を境にして、読取ラインが第1色部と重複する側ではRGB出力値が大きくなり、読取ラインが第2色部と重複する側ではRGB出力値が小さくなる。無論、読取データが
図7Dに示すような形状を示す場合も、その読取候補位置は不適と判断される。
【0057】
尚、上記説明の原稿読取装置10では、複数の読取候補位置の全てにおいて読取が行われ、これら複数の読取候補位置の中から適切な原稿読取位置を決定しているが、本発明はこれに限定されるものではない。具体的には、複数の読取候補位置に対して読取を順次行うが、ある読取候補位置において汚れが無いと判断された場合、その読取候補位置を原稿読取位置に決定し、それ以降の読取候補位置に対する読取は省略してもよい。
【0058】
例えば、
図5に示すように、読取候補位置P11に汚れがあり、読取候補位置P12に汚れが無い場合、読取候補位置P11およびP12についての読取を順次行えば、読取候補位置P12の読取終了時点で、読取候補位置P12において汚れが無いと判断することができる。この時点で、読取候補位置P12を第1色部の原稿読取位置に決定し、これ以降の読取候補位置P13およびP14については読取を省略することができる。
【0059】
同様に、第2色部については、読取候補位置P21に汚れが無いため、読取候補位置P21の読取終了時点で読取候補位置P21を第2色部の原稿読取位置に決定し、これ以降の読取候補位置P22およびP23については読取を省略することができる。
【0060】
また、上記説明の原稿読取装置10では、原稿読取位置の設定を、原稿読取装置10でのジョブ終了時点で実施する場合を例示しているが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、利用者が、原稿読取装置10の使用モードとして、通常モードもしくはクロップモードのモード選択を行った時点で原稿読取位置の設定を行うようにしてもよい。
【0061】
〔実施の形態3〕
原稿読取装置10を自動原稿送り読取モードで用いることで、搬送される原稿からコンタクトガラス102に塵や埃が付着することがある。このような塵や埃はコンタクトガラス102の下流側に堆積しやすいことから、原稿読取装置10における原稿読取位置は、基本的にはできるだけ上流側に設定されることが好ましい。
【0062】
一方、厚紙の原稿を自動原稿送り読取モードで読み取る場合、厚紙原稿によってガイド板113が押し上げられ、厚紙原稿の搬送に伴ってガイド板113の位置が下流側にずれることがある。そして、原稿読取位置をできるだけ上流側に設定するために、原稿読取位置(特に、下流側読取位置P2)が第1色部と第2色部との間の境界線L1に対して近くなりすぎると、ガイド板113の位置ずれによって適切な画像読取が行えない場合がある。
【0063】
例えば、第2色部が第1色部の下流側にあり、クロップモードでの原稿読取を行う場合においてガイド板113が下流側にずれると、トリミングすべき領域側データが全面グレーとならず、領域外データ(
図3参照)に白色部分が混じってトリミングの精度が低下する恐れがある。また、例えば、第1色部が第2色部の下流側にあり、通常モードでの原稿読取を行う場合においてガイド板113が下流側にずれると、読取原稿データのエッジにグレー部分が混じる恐れがある(搬送原稿に斜行が生じていた場合)。
【0064】
このため、原稿読取装置10では、原稿が厚紙である場合には、厚紙でない場合(普通紙などである場合)に比べ、原稿読取位置をさらに下流側に変更するようにしてもよい(原稿読取位置をより下流側としてもよい)。例えば、原稿が厚紙である場合には、原稿が普通紙などである場合に比べ、原稿読取位置を下流側に所定量オフセットするようにしてもよい。尚、原稿が厚紙であるか否かは、利用者の操作入力によって判定可能である。例えば、原稿読取装置10は、原稿が厚紙である場合の厚紙モードを有しており、利用者が操作部から厚紙モードの選択入力を行えば、原稿読取装置10では、原稿が厚紙であると認識できる。また、原稿読取位置を下流側に変更するのは、下流側にある原稿読取位置(すなわち、下流側読取位置P2)のみでよい。
【0065】
今回開示した実施形態は全ての点で例示であって、限定的な解釈の根拠となるものではない。したがって、本発明の技術的範囲は、上記した実施形態のみによって解釈されるものではなく、特許請求の範囲の記載に基づいて画定される。また、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内での全ての変更が含まれる。
【0066】
例えば、上記説明では、第2色をグレー系とする場合、第2色部としてガイド板113の板金を露出させた構成を例示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、第2色部はグレー系に塗装したりグレー系のシートを貼付したりする構成であってもよい。
【符号の説明】
【0067】
10 原稿読取装置
100 原稿読取部
101 プラテンガラス
102 コンタクトガラス
103 第1走査ユニット(画像読取部)
104 第2走査ユニット
105 結像レンズ
106 CCD
110 ADF(原稿搬送部)
111 原稿トレイ
112 排紙トレイ
113 ガイド板(対向部材)
114 白色シート