(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022182036
(43)【公開日】2022-12-08
(54)【発明の名称】試験装置及び試験方法
(51)【国際特許分類】
H01L 21/66 20060101AFI20221201BHJP
G01R 31/26 20200101ALI20221201BHJP
【FI】
H01L21/66 B
G01R31/26 J
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021089330
(22)【出願日】2021-05-27
(71)【出願人】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】中西 学
【テーマコード(参考)】
2G003
4M106
【Fターム(参考)】
2G003AA01
2G003AA02
2G003AA10
2G003AB01
2G003AB09
2G003AE01
2G003AF06
2G003AG03
4M106AA01
4M106BA01
4M106DD03
4M106DD23
4M106DH16
4M106DJ02
(57)【要約】
【課題】試験装置の電気的な負担が軽減する。
【解決手段】試験装置1は、導電ステージ10と、複数の電極棒13a,13bと、測定ヘッド20とを備える。測定ヘッド20は、導電ステージ10の載置面10aに対向している。測定ヘッド20は、電流源21と、複数の接触端子23a,23bと、第1プローブ25とを含む。複数の電極棒13a,13bは、導電ステージ10に接触している。複数の電極棒13a,13bの各々の少なくとも一部は、導電ステージ10の載置面10aの法線方向において、導電ステージ10の載置面10aに対して測定ヘッド20に近位している。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被試験体が載置される載置面を含む導電ステージを備え、前記被試験体は、半導体ウエハと、前記半導体ウエハに形成されている複数の半導体素子とを含み、
前記導電ステージに接触している複数のセンス端子と、
前記導電ステージに接触している複数の電極棒と、
前記載置面に対向している測定ヘッドと、
電圧計と、
コントローラとを備え、
前記複数の半導体素子は、各々、前記導電ステージに接触し得る第1電極と、第2電極とを含み、
前記複数のセンス端子は、各々、前記複数の電極棒のうち対応するものに相対的に近くに配置されており、
前記測定ヘッドは、電流源と、前記電流源に接続されている複数の接触端子と、前記複数の半導体素子のうちの一つの前記第2電極に接触し得る第1プローブとを含み、
前記複数の電極棒の各々の少なくとも一部は、前記載置面の法線方向において前記載置面に対して前記測定ヘッドに近位しており、
前記複数の電極棒は、各々、前記複数の接触端子のうち対応するものに電気的に導通可能であり、
前記電圧計は複数の電圧を測定可能であり、前記複数の電圧は、各々、前記複数のセンス端子のうち対応するものと前記第1プローブとの間の電圧であり、
前記コントローラは、前記複数の電圧から、前記複数の半導体素子のうちの前記一つの電圧を算出し得る、試験装置。
【請求項2】
前記電流源は、複数の定電流源であり、
前記複数の接触端子は、各々、前記複数の定電流源のうち対応するものに接続されている、請求項1に記載の試験装置。
【請求項3】
前記電流源は、経時変化電流源であり、
前記経時変化電流源は、直流電源と、前記直流電源に並列に接続されているコンデンサと、前記直流電源及び前記コンデンサに直列に接続されておりかつ前記複数の接触端子に接続されている負荷インダクタとを含む、請求項1に記載の試験装置。
【請求項4】
前記測定ヘッドは、スイッチをさらに含み、
前記電流源は、複数の定電流源及び経時変化電流源であり、
前記経時変化電流源は、直流電源と、前記直流電源に並列に接続されているコンデンサと、前記直流電源及び前記コンデンサに直列に接続されている負荷インダクタとを含み、
前記スイッチは、前記負荷インダクタと前記複数の接触端子との間に配置されており、
前記コントローラは、前記複数の定電流源及び前記スイッチを制御し得る、請求項1に記載の試験装置。
【請求項5】
前記複数の半導体素子は、各々、第3電極をさらに含み、
前記測定ヘッドは、前記第3電極に接触し得る第2プローブと、前記第2プローブに接続されている駆動回路とをさらに含む、請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の試験装置。
【請求項6】
前記載置面の平面視において、前記複数の電極棒は、前記載置面の中心に対して点対称に配置されている、請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の試験装置。
【請求項7】
前記コントローラは、前記複数の電圧の平均値を、前記複数の半導体素子のうちの前記一つの前記電圧として算出し得る、請求項1から請求項6のいずれか一項に記載の試験装置。
【請求項8】
前記測定ヘッドと前記導電ステージの前記載置面との間に配置される複数の電極板と、
前記導電ステージを移動させ得る移動機構とをさらに備え、
前記複数の電極板は、各々、前記複数の接触端子のうち対応するものに接触しており、かつ、前記複数の電極棒のうち対応するものに電気的に導通し得る、請求項1から請求項7のいずれか一項に記載の試験装置。
【請求項9】
請求項2に記載の前記試験装置を用いた試験方法であって、前記試験方法は、
前記被試験体を前記導電ステージの前記載置面に載置して、前記第1電極を前記導電ステージに接触させることと、
前記複数の電極棒の各々を、前記複数の接触端子のうち対応するものに電気的に導通させることと、
前記第1プローブを、前記複数の半導体素子のうちの前記一つの前記第2電極に接触させることと、
前記複数の定電流源から、前記複数の電極棒及び前記複数の接触端子を通して、前記複数の半導体素子のうちの前記一つに複数の定電流を供給することと、
前記電圧計を用いて前記複数の電圧を測定することと、
前記複数の電圧から、前記複数の半導体素子のうちの前記一つの前記電圧を算出することとを備える、試験方法。
【請求項10】
請求項3に記載の前記試験装置を用いた試験方法であって、前記試験方法は、
前記被試験体を前記導電ステージの前記載置面に載置して、前記第1電極を前記導電ステージに接触させることと、
前記複数の電極棒の各々を、前記複数の接触端子のうち対応するものに電気的に導通させることと、
前記第1プローブを、前記複数の半導体素子のうちの前記一つの前記第2電極に接触させることと、
前記経時変化電流源から、前記複数の電極棒及び前記複数の接触端子を通して、前記複数の半導体素子のうちの前記一つに複数の経時変化電流を供給することと、
前記電圧計を用いて前記複数の電圧を測定することと、
前記複数の電圧から、前記複数の半導体素子のうちの前記一つの前記電圧を算出することとを備える、試験方法。
【請求項11】
前記複数の半導体素子のうちの前記一つの前記電圧は、前記複数の電圧の平均値である、請求項9または請求項10に記載の試験方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、試験装置及び試験方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許第6072638号公報(特許文献1)は、パワーデバイスの電気的特性検査を検査するためのプローブ装置を開示している。プローブ装置は、移動可能な載置台と、プローブカードと、プローブカードホルダと、テストヘッドと、電気ケーブルとを備えている。載置台は、導体で形成されている載置面を含む。載置面に、複数のパワー半導体素子が形成されている半導体ウエハが搭載される。プローブカードは、複数のパワー半導体素子の電極に接触し得るプローブ針を支持する。プローブカードホルダは、プローブカードを支持する。テストヘッドは、プローブカードホルダに対して着脱可能である。電気ケーブルは、載置面の導体とテストヘッドとに接続されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1に開示されたプローブ装置では、電気ケーブルは、半導体ウエハ及びプローブカードホルダを迂回して延在している。そのため、電気ケーブルの長さが増加して、電気ケーブルの電気抵抗及び電気ケーブルの浮遊インダクタンスが増加する。パワー半導体素子の電気的特性を検査するための電流源をテストヘッドが含む場合、プローブ装置の電気的な負担が増加する。本開示は、上記の課題を鑑みてなされたものであり、その目的は、電気的な負担が軽減され得る試験装置及び試験方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の試験装置は、導電ステージと、複数のセンス端子と、複数の電極棒と、測定ヘッドと、電圧計と、コントローラとを備える。導電ステージは、被試験体が載置される載置面を含む。被試験体は、半導体ウエハと、半導体ウエハに形成されている複数の半導体素子とを含む。複数の半導体素子は、各々、導電ステージに接触し得る第1電極と、第2電極とを含む。複数のセンス端子は、導電ステージに接触している。複数のセンス端子は、各々、複数の電極棒のうち対応するものに相対的に近くに配置されている。測定ヘッドは、導電ステージの載置面に対向している。測定ヘッドは、電流源と、電流源に接続されている複数の接触端子と、複数の半導体素子のうちの一つの第2電極に接触し得る第1プローブとを含む。複数の電極棒は、導電ステージに接触している。複数の電極棒の各々の少なくとも一部は、導電ステージの載置面の法線方向において、導電ステージの載置面に対して測定ヘッドに近位している。複数の電極棒は、各々、複数の接触端子のうち対応するものに電気的に導通可能である。電圧計は複数の電圧を測定可能である。複数の電圧は、各々、複数のセンス端子のうち対応するものと第1プローブとの間の電圧である。コントローラは、複数の電圧から、複数の半導体素子のうちの一つの電圧を算出し得る。
【0006】
本開示の第一の局面の試験方法は、被試験体を導電ステージの載置面に載置して、第1電極を導電ステージに接触させることと、複数の電極棒の各々を、複数の接触端子のうち対応するものに電気的に導通させることと、第1プローブを、複数の半導体素子のうちの一つの第2電極に接触させることと、複数の定電流源から、複数の電極棒及び複数の接触端子を通して、複数の半導体素子のうちの一つに複数の定電流を供給することと、電圧計を用いて複数の電圧を測定することとを備える。複数の電圧は、各々、複数のセンス端子のうち対応するものと第1プローブとの間の電圧である。本実施の形態の試験方法は、複数の電圧から、複数の半導体素子のうちの一つの電圧を算出することをさらに備える。
【0007】
本開示の第二の局面の試験方法は、被試験体を導電ステージの載置面に載置して、第1電極を導電ステージに接触させることと、複数の電極棒の各々を、複数の接触端子のうち対応するものに電気的に導通させることと、第1プローブを、複数の半導体素子のうちの一つの第2電極に接触させることと、経時変化電流源から、複数の電極棒及び複数の接触端子を通して、複数の半導体素子のうちの一つに複数の経時変化電流を供給することと、電圧計を用いて複数の電圧を測定することとを備える。複数の電圧は、各々、複数のセンス端子のうち対応するものと第1プローブとの間の電圧である。本実施の形態の試験方法は、複数の電圧から、複数の半導体素子のうちの一つの電圧を算出することをさらに備える。
【発明の効果】
【0008】
本開示の試験装置及び本開示の試験方法によれば、複数の定電流源の各々と導電ステージとの間の電流経路が短くなり、当該電流経路の抵抗または浮遊インダクタンスが減少する。そのため、試験装置にかかる電気的な負担が軽減される。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図2】実施の形態1から実施の形態3の試験装置のブロック図である。
【
図4】実施の形態1の試験装置及び被試験体の概略部分拡大断面図である。
【
図5】半導体素子の試験中の実施の形態1の試験装置の概略図である。
【
図6】半導体素子の試験中の実施の形態1の試験装置の等価回路図である。
【
図7】別の半導体素子の試験中の実施の形態1の試験装置の概略図である。
【
図8】別の半導体素子の試験中の実施の形態1の試験装置の等価回路図である。
【
図9】実施の形態1の試験方法のフローチャートを示す図である。
【
図11】実施の形態2の試験方法のフローチャートを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本開示の実施の形態を説明する。なお、同一の構成には同一の参照番号を付し、その説明は繰り返さない。
【0011】
実施の形態1.
図1から
図8を参照して、実施の形態1の試験装置1を説明する。試験装置1は、複数の半導体素子の静特性を試験し得る装置である。半導体素子の静特性は、例えば、コレクタ-エミッタ間飽和電圧V
ce(sat)などである。試験装置1は、導電ステージ10と、複数のセンス端子12a,12bと、複数の電極棒13a,13bと、測定ヘッド20と、電圧計30と、コントローラ35と、移動機構11とを主に備える。試験装置1は、複数の電極板17a,17bをさらに備えてもよい。
【0012】
図1を参照して、導電ステージ10は、例えば、銅またはアルミニウムのような金属で形成されている。導電ステージ10の電気抵抗率は、被試験体40の半導体ウエハ41の電気抵抗率よりも十分に小さい。導電ステージ10は、被試験体40が載置される載置面10aと、側面10cとを含む。載置面10aは、例えば、x方向と、x方向に垂直なy方向とに沿って延在している。載置面10aの法線方向は、x方向及びy方向に垂直なz方向である。載置面10aは、外周10bを含む。側面10cは、外周10bにおいて、載置面10aに接続されている。導電ステージ10は、移動機構11によって動かされ得る可動ステージである。導電ステージ10は、例えば、真空チャック(図示せず)を含む。被試験体40は、真空チャックを用いて、導電ステージ10の載置面10aに吸着される。
【0013】
図3を参照して、被試験体40は、半導体ウエハ41と、半導体ウエハ41に形成されている複数の半導体素子(例えば、半導体素子42,43など)とを含む。複数の半導体素子は、例えば、絶縁ゲートバイポーラトランジスタ(IGBT)、金属酸化物半導体電界効果トランジスタ(MOSFET)またはダイオードのようなパワー半導体素子である。半導体ウエハ41及び複数の半導体素子は、例えば、シリコン(Si)、シリコンカーバイド(SiC)またはガリウムナイトライド(GaN)のような半導体材料で形成されている。
【0014】
図4を参照して、複数の半導体素子(例えば、半導体素子42,43)は、各々、第1電極45と、第2電極46とを含む。被試験体40が導電ステージ10の載置面10aに載置されたときに、第1電極45は、導電ステージ10の載置面10aに接触する。複数の半導体素子は、各々、第3電極47をさらに含んでもよい。複数の半導体素子がIGBTである場合には、第1電極45はエミッタ電極であり、第2電極46はコレクタ電極であり、第3電極47はゲート電極である。複数の半導体素子がMOSFETである場合には、第1電極45はドレイン電極であり、第2電極46はソース電極であり、第3電極47はゲート電極である。複数の半導体素子がダイオードである場合には、第1電極45はアノード電極であり、第2電極46はカソード電極であるが、ダイオードは、第3電極47を含まない。
【0015】
半導体ウエハ41は、主面41aと、主面41aとは反対側の主面41bとを含む。被試験体40が導電ステージ10の載置面10aに載置されたときに、主面41aは載置面10aに面している。複数の半導体素子(例えば、半導体素子42,43)は、例えば、縦型の半導体素子である。具体的には、第1電極45は、主面41a上に形成されている。第2電極46は、主面41b上に形成されている。第3電極47は、主面41b上に形成されている。
【0016】
図1を参照して、移動機構11は、導電ステージ10を移動させ得る。移動機構11は、例えば、アクチュエータである。移動機構11は、導電ステージ10をx方向、y方向及びz方向に移動させることができる。移動機構11は、載置面10aの中心を通りかつ載置面10aの法線方向に延在する軸を中心に、導電ステージ10を回転させることができてもよい。
【0017】
複数の電極棒13a,13bは、導電ステージ10(例えば、側面10c)に接触しており、導電ステージ10に電気的に接続されている。複数の電極棒13a,13bの各々の長手方向は、例えば、導電ステージ10の載置面10aの法線方向(z方向)である。複数の電極棒13a,13bの各々の少なくとも一部は、導電ステージ10の載置面10aの法線方向(z方向)において、導電ステージ10の載置面10aに対して測定ヘッド20に近位している。複数の電極棒13a,13bは、導電ステージ10からの遠位端14a,14bを含む。遠位端14a,14bの各々は、導電ステージ10の載置面10aの法線方向(z方向)において、導電ステージ10の載置面10aよりも、複数の接触端子23a,23bに近位している。複数の電極棒13a,13bは、導電ステージ10の載置面10aの平面視において、導電ステージ10の載置面10aの中心に対して点対称に配置されてもよい。
【0018】
複数の電極棒13a,13bは、各々、複数の接触端子23a,23bのうち対応するものに電気的に導通可能である。具体的には、電極棒13aは、接触端子23aに電気的に導通可能である。例えば、試験装置1が複数の電極板17a,17bを備える場合には、移動機構11を用いて導電ステージ10を測定ヘッド20に向けてz方向に移動させることにより、電極棒13aは電極板17aに接触して、電極板17aを介して接触端子23aに電気的に導通する。試験装置1が複数の電極板17a,17bを備えない場合には、移動機構11を用いて導電ステージ10を測定ヘッド20に向けてz方向に移動させることにより、電極棒13aは接触端子23aに接触して、接触端子23aに電気的に導通する。
【0019】
電極棒13bは、接触端子23bに電気的に導通可能である。例えば、試験装置1が複数の電極板17a,17bを備える場合には、移動機構11を用いて導電ステージ10を測定ヘッド20に向けて移動させることにより、電極棒13bは電極板17bに接触して、電極板17bを介して接触端子23bに電気的に導通する。試験装置1が複数の電極板17a,17bを備えない場合には、移動機構11を用いて導電ステージ10を測定ヘッド20に向けて移動させることにより、電極棒13bは接触端子23bに接触して、接触端子23bに電気的に導通する。
【0020】
複数のセンス端子12a,12bは、導電ステージ10に接触しており、導電ステージ10に電気的に接続されている。複数のセンス端子12a,12bは、各々、複数の電極棒13a,13bのうち対応するものに相対的に近くに配置されている。そのため、複数のセンス端子12a,12bの各々の電位は、実質的に、複数の電極棒13a,13bのうち対応するものの電位に等しいと見なされ得る。具体的には、センス端子12aは、複数の電極棒13a,13bのうち電極棒13aの最も近くに配置されている。センス端子12bは、複数の電極棒13a,13bのうち電極棒13bの最も近くに配置されている。そのため、センス端子12aの電位は、実質的に電極棒13aの電位に等しいと見なされ得る。センス端子12bの電位は、実質的に電極棒13bの電位に等しいと見なされ得る。
【0021】
測定ヘッド20は、導電ステージ10の上方に配置されている。測定ヘッド20は、導電ステージ10の載置面10aに対向している。測定ヘッド20は、導電ステージ10の載置面10aの法線方向(z方向)において導電ステージ10から離間されている。測定ヘッド20は、電流源21と、複数の接触端子23a,23bと、複数の電気配線24a,24bと、第1プローブ25とを含む。測定ヘッド20は、第2プローブ27と、駆動回路28と、電気配線29とをさらに含んでもよい。
【0022】
本実施の形態では、電流源21は、複数の定電流源22a,22bである。複数の接触端子23a,23bは、電流源21に接続されている。具体的には、複数の接触端子23a,23bは、各々、複数の定電流源22a,22bのうち対応するものに接続されている。例えば、接触端子23aは、電気配線24aを通じて、定電流源22aに接続されている。接触端子23bは、電気配線24bを通じて、定電流源22bに接続されている。
【0023】
第1プローブ25は、複数の半導体素子のうちの一つの第2電極46に接触し得る。具体的には、第1プローブ25は、複数の電極板17a,17bの間に設けられるスリット18を通り抜けている。移動機構11を用いて導電ステージ10を測定ヘッド20に向けて移動させることにより、第1プローブ25は、複数の半導体素子のうちの一つの第2電極46に接触する(
図4を参照)。第1プローブ25は、電気配線26を通じて、電圧計30に接続されている。
【0024】
第2プローブ27は、複数の半導体素子のうちの一つの第3電極47に接触し得る。具体的には、第2プローブ27は、複数の電極板17a,17bの間に設けられるスリット18を通り抜けている。移動機構11を用いて導電ステージ10を測定ヘッド20に向けて移動させることにより、第2プローブ27は、複数の半導体素子のうちの一つの第3電極47に接触する(
図4を参照)。
【0025】
図1を参照して、駆動回路28は、電気配線29を通じて、第2プローブ27に接続されている。駆動回路28は、第3電極47に制御電圧を供給し得る。駆動回路28が第3電極47にハイレベルの制御電圧を供給すると、複数の半導体素子のうちの一つはターンオンされる。駆動回路28が第3電極47にローレベルの制御電圧を供給すると、複数の半導体素子のうちの一つはターンオフされる。
【0026】
複数の電極板17a,17bは、導電ステージ10の載置面10aと、測定ヘッド20との間に配置される。複数の電極板17a,17bの間には、スリット18が形成されている。複数の電極板17a,17bは、互いに分離されている。複数の電極板17a,17bは、各々、複数の接触端子23a,23bのうち対応するものに接触している。例えば、電極板17aは、接触端子23aに接触している。接触端子23aは、電極板17aのおもて面に接触している。電極板17bは、接触端子23bに接触している。接触端子23bは、電極板17bのおもて面に接触している。
【0027】
複数の電極板17a,17bは、各々、複数の電極棒13a,13bのうち対応するものに電気的に導通し得る。例えば、電極板17aは、電極棒13aに電気的に導通し得る。移動機構11を用いて導電ステージ10を測定ヘッド20に向けて移動させることにより、電極棒13aは電極板17aの裏面に接触して、電極板17aに電気的に導通する。電極板17bは、電極棒13bに電気的に導通し得る。移動機構11を用いて導電ステージ10を測定ヘッド20に向けて移動させることにより、電極棒13bは電極板17bの裏面に接触して、電極板17bに電気的に導通する。
【0028】
導電ステージ10の載置面10aの平面視における複数の電極板17a,17bの各々の面積は、導電ステージ10の載置面10aの平面視における複数の接触端子23a,23bの各々の面積より大きい。導電ステージ10の載置面10aの平面視における複数の電極板17a,17bの各々の面積は、導電ステージ10の載置面10aの平面視における複数の電極棒13a,13bの各々の面積より大きい。
【0029】
電圧計30は、複数のセンス端子12a,12bと第1プローブ25とに電気的に接続されている。具体的には、電圧計30は、電気配線15aを通じて、センス端子12aに電気的に接続されている。電圧計30は、電気配線15bを通じて、センス端子12bに電気的に接続されている。電圧計30は、電気配線26を通じて、第1プローブ25に電気的に接続されている。
図6及び
図8を参照して、電圧計30は、複数の電圧(例えば、電圧V
1a,V
1bまたは電圧V
2a,V
2b)を測定可能である。複数の電圧は、各々、複数のセンス端子12a,12bのうち対応するものと第1プローブ25との間の電圧である。
【0030】
図3、
図4及び
図6を参照して、電圧V
1aは、半導体素子42を試験するために第1プローブ25を半導体素子42の第2電極46に接触させているときの、センス端子12aと第1プローブ25との間の電圧である。電圧V
1bは、半導体素子42を試験するために第1プローブ25を半導体素子42の第2電極46に接触させているときの、センス端子12bと第1プローブ25との間の電圧である。
図3、
図4及び
図8を参照して、電圧V
2aは、半導体素子43を試験するために第1プローブ25を半導体素子43の第2電極46に接触させているときの、センス端子12aと第1プローブ25との間の電圧である。電圧V
2bは、半導体素子43を試験するために第1プローブ25を半導体素子43の第2電極46に接触させているときの、センス端子12bと第1プローブ25との間の電圧である。
【0031】
図2を参照して、コントローラ35は、移動機構11に接続されている。コントローラ35は、移動機構11を制御し得る。
【0032】
コントローラ35は、測定ヘッド20に接続されている。コントローラ35は、測定ヘッド20を制御し得る。例えば、コントローラ35は、電流源21を制御し得る。コントローラ35は、複数の定電流源22a,22bの各々から電流が供給される動作状態と、複数の定電流源22a,22bの各々から電流が供給されない停止状態との間で、複数の定電流源22a,22bを切り替え可能である。コントローラ35は、駆動回路28を制御し得る。コントローラ35は、駆動回路28を制御して、駆動回路28から第3電極47に印加される制御電圧を制御し得る。
【0033】
コントローラ35は、電圧計30に接続されている。コントローラ35は、電圧計30において測定される複数の電圧(例えば、電圧V
1a,V
1b(
図6を参照))を受信する。コントローラ35は、複数の電圧から、第1プローブ25が接触している複数の半導体素子のうちの一つの電圧を算出し得る。コントローラ35は、例えば、複数の電圧の平均値を、複数の半導体素子のうちの一つの電圧として算出し得る。
【0034】
コントローラ35は、例えば、プロセッサと、RAM(Random Access Memory)と、ROM(Read Only Memory)のような記憶装置とを含むマイクロコンピュータである。プロセッサとして、例えば、CPU(Central Processing Unit)が採用され得る。RAMは、プロセッサによって処理されるデータを一時的に記憶する作業用メモリとして機能する。記憶装置には、例えば、プロセッサで実行されるプログラムなどが記憶されている。本実施の形態では、記憶装置に記憶されているプログラムをプロセッサが実行することで、コントローラ35は、移動機構11及び測定ヘッド20を制御するとともに、電圧計30から受信した複数の電圧から複数の半導体素子のうちの一つの電圧を算出する。マイクロコンピュータに代えて、FPGA(Field-Programmable Gate Array)が、コントローラ35として採用されてもよい。コントローラ35における各種処理は、ソフトウェアによって実行されることに限られず、専用のハードウェア(電子回路)によって実行されてもよい。
【0035】
図2及び
図5から
図9を参照して、本実施の形態の試験装置1を用いる本実施の形態の試験方法を説明する。
【0036】
図9を参照して、本実施の形態の試験方法は、被試験体40を導電ステージ10の載置面10aに載置すること(S1)を備える。第1電極45は、導電ステージ10の載置面10aに接触する。被試験体40は、例えば、導電ステージ10の真空チャック(図示せず)を用いて、導電ステージ10の載置面10aに吸着される。
【0037】
本実施の形態の試験方法は、測定ヘッド20に近づく方向に導電ステージ10を移動させること(S2)を備える。導電ステージ10を測定ヘッド20に近づく方向に移動させることによって、複数の電極棒13a,13bの各々は、複数の接触端子23a,23bのうち対応するものに電気的に導通し、第1プローブ25は、複数の半導体素子のうちの一つの第2電極46に電気的に導通し、第2プローブ27は、複数の半導体素子のうちの一つの第3電極47に電気的に導通する。
【0038】
具体的には、コントローラ35は、移動機構11を制御する。移動機構11は、複数の半導体素子のうちの一つ(例えば、半導体素子42)が第1プローブ25及び第2プローブ27の下方に位置するように、導電ステージ10をx方向及びy方向に移動させる。それから、移動機構11は、導電ステージ10を測定ヘッド20に向けてz方向に移動させる。
【0039】
試験装置1が複数の電極板17a,17bを備える場合には、電極棒13aは電極板17aに接触するとともに、電極棒13bは電極板17bに接触する。電極棒13aは、電極板17aを介して接触端子23aに電気的に導通する。電極棒13bは、電極板17bを介して接触端子23bに電気的に導通する。試験装置1が複数の電極板17a,17bを備えない場合には、電極棒13aは接触端子23aに接触するとともに、電極棒13bは接触端子23bに接触する。電極棒13aは、接触端子23aに電気的に導通する。電極棒13bは、接触端子23bに電気的に導通する。第1プローブ25は、複数の半導体素子のうちの一つの第2電極46に接触して、複数の半導体素子のうちの一つの第2電極46に電気的に導通する。第2プローブ27は、複数の半導体素子のうちの一つの第3電極47に接触して、複数の半導体素子のうちの一つの第3電極47に電気的に導通する。
【0040】
本実施の形態の試験方法は、複数の半導体素子のうちの一つをターンオンする(S3)ことを備える。具体的には、コントローラ35は、駆動回路28を制御する。駆動回路28は、複数の半導体素子のうちの一つ(例えば、半導体素子42)の第3電極47にハイレベルの制御電圧を供給する。複数の半導体素子のうちの一つは、ターンオンされる。
【0041】
本実施の形態の試験方法は、複数の定電流源22a,22bから、複数の電極棒13a,13b及び複数の接触端子23a,23bを通じて、複数の半導体素子のうちの一つに複数の定電流を供給する(S4)ことを備える。
【0042】
具体的には、コントローラ35は、複数の定電流源22a,22bを制御して、複数の定電流源22a,22bを動作状態に切り替える。複数の定電流源22a,22bは、各々、複数の接触端子23a,23bのうち対応するものに定電流を供給する。例えば、定電流源22aは、接触端子23aに第1定電流を供給する。定電流源22bは、接触端子23bに第2定電流を供給する。第1定電流は、接触端子23a、電極板17a、電極棒13a及び導電ステージ10を通じて、複数の半導体素子のうちの一つ(例えば、半導体素子42)の第1電極45に供給される。第2定電流は、接触端子23b、電極板17b、電極棒13b及び導電ステージ10を通じて、複数の半導体素子のうちの一つの第1電極45に供給される。こうして、複数の半導体素子のうちの一つに複数の定電流(例えば、第1定電流及び第2定電流)が供給される。
【0043】
本実施の形態の試験方法は、電圧計30を用いて複数の電圧を測定すること(S5)を備える。複数の電圧は、各々、複数のセンス端子12a,12bのうち対応するものと第1プローブ25との間の電圧である。
【0044】
図5及び
図6を参照して、例えば、電圧計30は、複数の半導体素子のうちの一つ(例えば、半導体素子42)について、第1プローブ25とセンス端子12aとの間の電圧V
1aと、第1プローブ25とセンス端子12bとの間の電圧V
1bとを測定する。電圧V
1aは、半導体素子42の特性電圧(例えば、コレクタ-エミッタ間飽和電圧V
42ce(sat))と、電極棒13aと半導体素子42との間の抵抗R
12に起因して発生する電圧V
12との和である。電圧V
1bは、半導体素子42の特性電圧(例えば、コレクタ-エミッタ間飽和電圧V
42ce(sat))と、電極棒13bと半導体素子42との間の抵抗R
13に起因して発生する電圧V
13との和である。なお、R
1aは、定電流源22aから電極棒13aまでの電気抵抗(電気配線24aの電気抵抗などを含む)である。R
1bは、定電流源22bから電極棒13bまでの電気抵抗(電気配線24bの電気抵抗などを含む)である。R
42は、半導体素子42のオン抵抗である。
【0045】
本実施の形態の試験方法は、複数の電圧から、複数の半導体素子のうちの一つの電圧を算出すること(S6)を備える。具体的には、コントローラ35は、電圧計30から複数の電圧(例えば、電圧V
1a,V
1b(
図6を参照))を受信する。コントローラ35は、複数の電圧から、複数の半導体素子のうちの一つ(例えば、半導体素子42)の電圧を算出する。複数の半導体素子のうちの一つの電圧は、例えば、複数の電圧の平均値である。
【0046】
本実施の形態の試験方法は、複数の半導体素子のうちの一つの電圧が規格を満たすか否かを判断すること(S7)を備える。具体的には、コントローラ35は、ステップS7において算出された複数の半導体素子のうちの一つ(例えば、半導体素子42)の電圧が規格を満たすか否かを判断する。複数の半導体素子のうちの一つの電圧が規格を満たす場合、コントローラ35は、複数の半導体素子のうちの一つが合格であると判定する(S8)。複数の半導体素子のうちの一つの電圧が規格を満たさない場合、コントローラ35は、複数の半導体素子のうちの一つが不合格であると判定する(S9)。
【0047】
本実施の形態の試験方法は、複数の定電流の供給を停止するとともに、複数の半導体素子のうちの一つをターンオフする(S10)ことを備える。具体的には、コントローラ35は、複数の定電流源22a,22bを制御して、複数の定電流源22a,22bを停止状態に切り替える。コントローラ35は、駆動回路28を制御する。駆動回路28は、複数の半導体素子のうちの一つ(例えば、半導体素子42)の第3電極47にローレベルの制御電圧を供給する。複数の半導体素子のうちの一つは、ターンオフされる。
【0048】
本実施の形態の試験方法は、測定ヘッド20から離れる方向に導電ステージ10を移動させること(S11)を備える。具体的には、コントローラ35は、移動機構11を制御する。移動機構11は、導電ステージ10を測定ヘッド20から離れるようにz方向に移動させる。
【0049】
複数の電極棒13a,13bの各々は、複数の接触端子23a,23bのうち対応するものから離れる。例えば、試験装置1が複数の電極板17a,17bを備える場合には、電極棒13aは電極板17aから離れるとともに、電極棒13bは電極板17bから離れる。電極棒13aは、接触端子23aに電気的に非導通になる。電極棒13bは、接触端子23bに電気的に非導通になる。試験装置1が複数の電極板17a,17bを備えない場合には、電極棒13aは接触端子23aから離れるとともに、電極棒13bは接触端子23bから離れる。電極棒13aは、接触端子23aに電気的に非導通になる。電極棒13bは、接触端子23bに電気的に非導通になる。第1プローブ25は、複数の半導体素子のうちの一つの第2電極46から離れて、複数の半導体素子のうちの一つの第2電極46に非道通になる。第2プローブ27は、複数の半導体素子のうちの一つの第3電極47から離れて、複数の半導体素子のうちの一つの第3電極47に非道通になる。
【0050】
本実施の形態の試験方法は、被試験体40の全ての半導体素子の試験が終了したか否かを判断すること(S12)を備える。具体的には、コントローラ35は、被試験体40の全ての半導体素子の試験が終了したか否かを判断する。
【0051】
被試験体40の全ての半導体素子の試験が終了していない場合には、複数の半導体素子のうちの別の半導体素子(例えば、半導体素子43)の試験を行うために、別の半導体素子について、ステップS2からステップS12を行う。
【0052】
図7及び
図8を参照して、例えば、半導体素子43の試験の際のステップS6では、電圧計30は、半導体素子43について、第1プローブ25とセンス端子12aとの間の電圧V
2aと、第1プローブ25とセンス端子12bとの間の電圧V
2bとを測定する。電圧V
2aは、半導体素子43の特性電圧(例えば、コレクタ-エミッタ間飽和電圧V
43ce(sat))と、電極棒13aと半導体素子43との間の抵抗R
22に起因して発生する電圧V
22との和である。電圧V
2bは、半導体素子43の特性電圧(例えば、コレクタ-エミッタ間飽和電圧V
43ce(sat))と、電極棒13bと半導体素子43との間の抵抗R
23に起因して発生する電圧V
23との和である。R
43は、半導体素子43のオン抵抗である。
【0053】
被試験体40の全ての半導体素子の試験が終了したとコントローラ35が判断するまで、ステップS2からステップS12を繰り返す。こうして、被試験体40の全ての半導体素子は試験される。これに対し、被試験体40の全ての半導体素子の試験が終了したとコントローラ35が判断すると、被試験体40の試験は終了する。
【0054】
本実施の形態の試験装置1及び試験方法の作用を説明する。以下に述べるように、本実施の形態の試験装置1及び試験方法によれば、試験装置1にかかる電気的負担が軽減されるとともに、試験装置1によって得られる半導体素子の電圧のばらつきが低減され得る。
【0055】
本実施の形態では、電流源21から導電ステージ10に至る電流経路が短くなる。電流源21の各々と導電ステージ10との間の電流経路における電圧降下が減少する。そのため、電流源21にかかる電気的負担が軽減されて、試験装置1にかかる電気的負担が軽減される。
【0056】
具体的には、測定ヘッド20は、導電ステージ10の載置面10aに対向して配置されている。複数の電極棒13a,13bの各々の少なくとも一部は、導電ステージ10の載置面10aの法線方向(z方向)において、導電ステージ10の載置面10aに対して測定ヘッド20に近位している。測定ヘッド20の電流源21は、複数の電極棒13a,13bを介して、導電ステージ10に電気的に接続されている。そのため、電流源21から導電ステージ10に至る電流経路の長さ(特に、電気配線24a,24bの長さ)が減少して、電流源21と導電ステージ10との間の電気抵抗が減少する。電流源21と導電ステージ10との間の電圧降下が減少する。電流源21の電気的負担が減少し得る。
【0057】
これに対し、第1比較例の試験装置では、電流源に接続されている電気配線が、特許文献1に記載されているように、半導体ウエハなどを迂回して延在している。そのため、電気配線の長さが増加して、電気配線における電圧降下が増大する。電流源の電気的負担が増加して、第1比較例の試験装置にかかる電気的負担が増加する。
【0058】
本実施の形態では、複数の定電流源22a,22bから複数の半導体素子のうちの一つに、互いに独立した複数の電流経路を通じて、複数の定電流が供給される。そのため、複数の電流経路の各々を流れる定電流が減少する。複数の電流経路の各々における電圧降下が減少する。複数の定電流源22a,22bにかかる電気的負担が軽減されて、試験装置1にかかる電気的負担が軽減される。
【0059】
例えば、複数の半導体素子のうちの一つ(例えば、半導体素子42)を試験する場合、定電流源22aから導電ステージ10に至る第1の電流経路を通じて、第1定電流が半導体素子42に供給されるとともに、定電流源22bから導電ステージ10に至る第2の電流経路を通じて、第2定電流が半導体素子42に供給される。第1の電流経路と第2の電流経路とは、互いに独立している。半導体素子42を試験するために、電流源21から半導体素子42に電流(I)を供給する必要がある場合、本実施の形態では、定電流源22a及び定電流源22bの各々から半分の大きさの電流(I/2)を半導体素子42に供給すればよい。第1の電流経路に流れる電流を約半分に減少させることできる。第2の電流経路に流れる電流を約半分に減少させることできる。そのため、第1の電流経路における電圧降下及び第2の電流経路における電圧降下は、減少する。定電流源22a及び定電流源22bの電気的負担が減少する。
【0060】
これに対し、第2比較例の試験装置では、一つの定電流源から導電ステージ10に至る一つの電流経路を通じて、電流(I)を、複数の半導体素子のうちの一つに供給している。そのため、第2比較例の電流経路における電圧降下は、本実施の形態の第1の電流経路における電圧降下より大きく、かつ、本実施の形態の第2の電流経路における電圧降下より大きい。そのため、一つの定電流源の電気的負担が増加して、第2比較例の試験装置にかかる電気的負担が増加する。
【0061】
本実施の形態では、複数の定電流源22a,22bから複数の半導体素子のうちの一つに、互いに独立した複数の電流経路を通じて、互いに等しい大きさの複数の定電流が供給され得る。そのため、試験装置1によって得られる半導体素子の電圧のばらつきが低減され得る。
【0062】
例えば、
図5及び
図6を参照して、複数の半導体素子のうちの一つ(例えば、半導体素子42)を試験する際に電圧計30で測定される電圧は、電圧V
1a及び電圧V
1bである。電圧V
1aのうち電圧V
12は、誤差電圧である。電圧V
1bのうち電圧V
13は、誤差電圧である。半導体素子42の特性電圧(例えば、コレクタ-エミッタ間飽和電圧V
42ce(sat))をより高精度に測定するためには、誤差電圧のばらつきを小さくする必要がある。
【0063】
本実施の形態では、複数の定電流源22a,22bから複数の半導体素子のうちの一つ(例えば、半導体素子42)に、互いに独立した複数の電流経路を通じて、複数の定電流が供給される。例えば、半導体素子42を試験するために、電流源21から半導体素子42に電流(I)を供給する必要がある場合、定電流源22a及び定電流源22bの各々から定電流(I/2)を半導体素子42に供給する。定電流源22aから導電ステージ10に至る第1の電流経路を通じて半導体素子42に供給される第1の電流と、定電流源22bから導電ステージ10に至る第2の電流経路通じて半導体素子42に供給される第2の電流とのばらつきが、減少するまたは無くなる。電圧V12と電圧V13との間のばらつきが、減少するまたは無くなる。誤差電圧のばらつきが減少するまたは無くなる。試験装置1によって得られる半導体素子の電圧のばらつきが低減され得る。
【0064】
これに対し、第3比較例の試験装置では、一つの定電流源から供給される定電流(I)を分割して複数の定電流を生成し、この複数の定電流を複数の電流経路を通じて、複数の半導体素子のうちの一つに供給する。複数の電流経路の長さは、通常、互いに異なるため、複数の電流経路の電気抵抗は、通常、互いに異なる。その結果、複数の定電流の大きさは、複数の電流経路の電気抵抗に応じて、互いに異なる。誤差電圧のばらつきが大きくなる。第3比較例の試験装置によって得られる半導体素子の電圧のばらつきが大きくなる。
【0065】
複数の電極棒13a,13bが、導電ステージ10の載置面10aの平面視において、導電ステージ10の載置面10aの中心に対して点対称に配置されている場合、半導体素子42と複数の電極棒13a,13bとの間の電流経路の長さと半導体素子43と複数の電極棒13a,13bとの間の電流経路の長さとの間の差が減少する。そのため、半導体素子42を試験する際に測定される電圧V1a,V1bと、半導体素子43を試験する際に測定される電圧V2a,V2bとの間の差が小さくなる。半導体素子42を試験する際の誤差電圧と半導体素子43を試験する際の誤差電圧との間のばらつきが減少する。試験装置1によって得られる半導体素子の電圧のばらつきが低減され得る。
【0066】
特に、半導体素子42と半導体素子43とが互いに導電ステージ10の載置面10aの中心に対して点対称に位置している場合、電圧V1aは電圧V2bに等しくなり、かつ、電圧V1bは電圧V2aに等しくなる。半導体素子42を試験する際の誤差電圧と半導体素子43を試験する際の誤差電圧との間のばらつきが、より一層減少する。
【0067】
さらに、半導体ウエハ41中の半導体素子の位置によって、半導体素子と電極棒13a(またはセンス端子12a)との間の電流経路の長さまたは電気抵抗と、半導体素子と電極棒13b(またはセンス端子12b)との間の電流経路の長さまたは電気抵抗とが変化する。そのため、半導体ウエハ41中の半導体素子の位置によって、電圧V1a,V2a及び電圧V1b,V2bは変化する。電圧計30で測定された複数の電圧の平均値を算出することによって、半導体ウエハ41中の半導体素子の位置に依存する半導体素子の電圧のばらつきは、減少する。
【0068】
本実施の形態では、定電流源22a,22bの数、接触端子23a,23bの数、電極板17a,17bの数及び電極棒13a,13bの数は、いずれも2つであるが、3つであってもよいし、4つであってもよいし、5つ以上であってもよい。これらの数が増加するにつれて、複数の定電流源22a,22bと導電ステージ10との間の電圧降下がさらに減少して、複数の定電流源22a,22bにかかる電気的負担がさらに軽減される。また、これらの数が増加するにつれて、半導体素子の誤差電圧のばらつきがさらに減少して、試験装置1によって得られる半導体素子の電圧のばらつきがさらに低減され得る。
【0069】
本実施の形態の試験装置1及び試験方法の効果を説明する。
【0070】
本実施の形態の試験装置1は、導電ステージ10と、複数のセンス端子12a,12bと、複数の電極棒13a,13bと、測定ヘッド20と、電圧計30と、コントローラ35とを備える。導電ステージ10は、被試験体40が載置される載置面10aを含む。被試験体40は、半導体ウエハ41と、半導体ウエハ41に形成されている複数の半導体素子とを含む。複数の半導体素子は、各々、導電ステージ10に接触し得る第1電極45と、第2電極46とを含む。複数のセンス端子12a,12bは、導電ステージ10に接触している。複数のセンス端子12a,12bは、各々、複数の電極棒13a,13bのうち対応するものに相対的に近くに配置されている。測定ヘッド20は、導電ステージ10の載置面10aに対向している。測定ヘッド20は、電流源21と、電流源21に接続されている複数の接触端子23a,23bと、複数の半導体素子のうちの一つの第2電極46に接触し得る第1プローブ25とを含む。複数の電極棒13a,13bは、導電ステージ10に接触している。複数の電極棒13a,13bの各々の少なくとも一部は、導電ステージ10の載置面10aの法線方向において、導電ステージ10の載置面10aに対して測定ヘッド20に近位している。複数の電極棒13a,13bは、各々、複数の接触端子23a,23bのうち対応するものに電気的に導通可能である。電圧計30は複数の電圧を測定可能である。複数の電圧は、各々、複数のセンス端子12a,12bのうち対応するものと第1プローブ25との間の電圧である。コントローラ35は、複数の電圧から、複数の半導体素子のうちの一つの電圧を算出し得る。
【0071】
そのため、電流源21と導電ステージ10との間の電流経路が短くなり、当該電流経路の抵抗が減少する。当該電流経路における電圧降下が減少して、電流源21にかかる電気的負担が軽減される。試験装置1にかかる電気的な負担が軽減される。
【0072】
本実施の形態の試験装置1では、電流源21は、複数の定電流源22a,22bである。複数の接触端子23a,23bは、各々、複数の定電流源22a,22bのうち対応するものに接続されている。
【0073】
そのため、複数の定電流源22a,22bの各々と導電ステージ10との間の電流経路が短くなり、当該電流経路の抵抗が減少する。当該電流経路における電圧降下が減少して、複数の定電流源22a,22bにかかる電気的負担が軽減される。試験装置1にかかる電気的な負担が軽減される。
【0074】
複数の定電流源22a,22bから複数の半導体素子のうちの一つに、互いに独立した複数の電流経路を通じて、複数の定電流が供給される。そのため、複数の電流経路の各々を流れる定電流が減少する。複数の電流経路の各々における電圧降下が減少して、複数の定電流源22a,22bにかかる電気的負担が軽減される。複数の電極棒13a,13bの各々と複数の半導体素子のうちの一つとの間の抵抗に起因して発生する誤差電圧(例えば、電圧V12,V13)が減少する。試験装置1によって得られる半導体素子の電圧のばらつきが低減され得る。
【0075】
本実施の形態の試験装置1では、複数の半導体素子は、各々、第3電極47をさらに含む。測定ヘッド20は、第3電極47に接触し得る第2プローブ27と、第2プローブ27に接続されている駆動回路28とをさらに含む。そのため、IGBTまたはMOSFETのような半導体スイッチング素子の試験が可能になる。
【0076】
本実施の形態の試験装置1では、導電ステージ10の載置面10aの平面視において、複数の電極棒13a,13bは、導電ステージ10の載置面10aの中心に対して点対称に配置されている。
【0077】
そのため、複数の電極棒13a,13bの各々と複数の半導体素子のうちの一つとの間の抵抗に起因して発生する誤差電圧(例えば、電圧V12,V13)が減少する。試験装置1によって得られる半導体素子の電圧のばらつきが低減され得る。
【0078】
本実施の形態の試験装置1では、コントローラ35は、複数の電圧の平均値を、複数の半導体素子のうちの一つの電圧として算出し得る。
【0079】
そのため、半導体ウエハ41中の半導体素子の位置に依存する誤差電圧のばらつきが減少する。試験装置1によって得られる半導体素子の電圧のばらつきが低減され得る。
【0080】
本実施の形態の試験装置1は、複数の電極板17a,17bと、導電ステージ10を移動させ得る移動機構11とをさらに備える。複数の電極板17a,17bは、測定ヘッド20と導電ステージ10の載置面10aとの間に配置される。複数の電極板17a,17bは、各々、複数の接触端子23a,23bのうち対応するものに接触しており、かつ、複数の電極棒13a,13bのうち対応するものに電気的に導通し得る。
【0081】
そのため、半導体ウエハ41中の様々な位置にある半導体素子を試験するために、移動機構11を用いて導電ステージ10を移動させても、複数の電極板17a,17bは、複数の電極棒13a,13bと複数の接触端子23a,23bとの電気的導通を可能にする。より大きな直径を有する半導体ウエハ41に形成されている複数の半導体素子の試験が可能になる。
【0082】
本実施の形態の試験装置1を用いる本実施の形態の試験方法は、被試験体40を導電ステージ10の載置面10aに載置して、第1電極45を導電ステージ10に接触させること(S1)と、複数の電極棒13a,13bの各々を、複数の接触端子23a,23bのうち対応するものに電気的に導通させること(例えば、S2)と、第1プローブ25を、複数の半導体素子のうちの一つの第2電極46に接触させること(例えば、S2)と、複数の定電流源22a,22bから、複数の電極棒13a,13b及び複数の接触端子23a,23bを通じて、複数の半導体素子のうちの一つに複数の定電流を供給すること(S4)と、電圧計30を用いて複数の電圧を測定すること(S5)とを備える。複数の電圧は、各々、複数のセンス端子12a,12bのうち対応するものと第1プローブ25との間の電圧である。本実施の形態の試験方法は、複数の電圧から、複数の半導体素子のうちの一つの電圧を算出すること(S6)をさらに備える。
【0083】
複数の定電流源22a,22bの各々と導電ステージ10との間の電流経路が短くなり、当該電流経路の抵抗が減少する。当該電流経路における電圧降下が減少して、複数の定電流源22a,22bにかかる電気的負担が軽減される。試験装置1にかかる電気的な負担が軽減される。
【0084】
複数の定電流源22a,22bから試験されるべき複数の半導体素子のうちの一つに、互いに独立した複数の電流経路を通じて、複数の定電流が供給される。そのため、複数の電流経路の各々を流れる定電流が減少する。複数の電流経路の各々における電圧降下が減少して、複数の定電流源22a,22bにかかる電気的負担が軽減される。複数の電極棒13a,13bの各々と複数の半導体素子のうちの一つとの間の抵抗に起因して発生する誤差電圧(例えば、電圧V12)が減少する。本実施の形態の試験方法によって得られる半導体素子の電圧のばらつきが低減され得る。
【0085】
本実施の形態の試験方法では、複数の半導体素子のうちの一つの電圧は、複数の電圧の平均値である。
【0086】
そのため、半導体ウエハ41中の半導体素子の位置に依存する誤差電圧のばらつきが減少する。本実施の形態の試験方法によって得られる半導体素子の電圧のばらつきが低減され得る。
【0087】
実施の形態2.
図2及び
図10を参照して、実施の形態2の試験装置1bを説明する。試験装置1bは、複数の半導体素子の動特性を試験し得る装置である。半導体素子の動特性は、例えば、半導体素子のターンオン時間、半導体素子のターンオフ時間、半導体素子のターンオン時の電流立ち上がり時間または半導体素子のターンオフ時の電流立ち下がり時間のような、半導体素子の過渡的な特性である。本実施の形態の試験装置1bは、実施の形態1の試験装置1と同様の構成を備えるが、主に以下の点で異なる。
【0088】
図10を参照して、試験装置1bでは、電流源21は、経時変化電流源50である。経時変化電流源50は、直流電源51と、コンデンサ52と、負荷インダクタ53とを含む。経時変化電流源50は、ダイオード54をさらに含んでもよい。
【0089】
直流電源51は、コンデンサ52を充電し得る。コンデンサ52は、直流電源51に並列に接続されている。負荷インダクタ53は、直流電源51及びコンデンサ52に直列に接続されている。負荷インダクタ53は、電気配線24a,24bを通じて、複数の接触端子23a,23bに接続されている。ダイオード54は、負荷インダクタ53に並列に接続されている。
【0090】
経時変化電流源50から出力される経時変化電流は、電気配線24a,24bにおいて分割されて、複数の経時変化電流が生成される。この複数の経時変化電流が複数の電流経路を通して、複数の半導体素子のうちの一つに供給される。具体的には、経時変化電流源50から出力される経時変化電流は、電気配線24a,24bにおいて、第1の経時変化電流と第2の経時変化電流とに分割される。第1の経時変化電流は、接触端子23a、電極板17a、電極棒13a及び導電ステージ10を通じて、複数の半導体素子のうちの一つに供給される。第2の経時変化電流は、接触端子23b、電極板17b、電極棒13b及び導電ステージ10を通じて、複数の半導体素子のうちの一つに供給される。
【0091】
図2及び
図11を参照して、本実施の形態の試験装置1bを用いる本実施の形態の試験方法を説明する。本実施の形態の試験方法は、実施の形態1の試験方法と同様であるが、以下の点で異なっている。
【0092】
本実施の形態の試験方法は、実施の形態1のステップS4に代えて、経時変化電流源50から、複数の電極棒13a,13b及び複数の接触端子23a,23bを通して、複数の半導体素子のうちの一つに複数の経時変化電流を供給すること(S4b)を備える。
【0093】
具体的には、ステップS3において複数の半導体素子のうちの一つをターンオンさせると、コンデンサ52、負荷インダクタ53、及び複数の半導体素子のうちの一つで構成される閉回路が形成される。コンデンサ52に充電された電荷は、電流として、この閉回路を流れる。この電流は、コンデンサ52から、負荷インダクタ53、電気配線24a,24b、接触端子23a,23b、電極板17a,17b、電極棒13a,13b及び導電ステージ10を経由して、複数の半導体素子のうちの一つの第1電極45(
図4を参照)に流れる。負荷インダクタ53に電流が流れることにより、負荷インダクタ53にエネルギーが蓄積される。負荷インダクタ53に流れる電流をiとし、コンデンサ52の電圧をVとすると、電流iと電圧Vとの関係は、V=Ldi/dtで表される。ただし、Lは、負荷インダクタ53のインダクタンスである。こうして、経時変化電流源50は、経時変化電流を出力する。
【0094】
この経時変化電流は、電気配線24a,24bにおいて、複数の経時変化電流に分割される。複数の経時変化電流は、複数の接触端子23a,23b、複数の電極板17a,17b、複数の電極棒13a,13b及び導電ステージ10を通じて、複数の半導体素子のうちの一つの第1電極45に供給される。例えば、第1の経時変化電流は、接触端子23a、電極板17a、電極棒13a及び導電ステージ10を通じて、複数の半導体素子のうちの一つの第1電極45に供給される。第2の経時変化電流は、接触端子23b、電極板17b、電極棒13b及び導電ステージ10を通じて、複数の半導体素子のうちの一つの第1電極45に供給される。
【0095】
本実施の形態の試験方法は、実施の形態1のステップS10に代えて、複数の半導体素子のうちの一つをターンオフして、複数の経時変化電流の供給を停止すること(S10b)を備える。具体的には、コントローラ35は、駆動回路28を制御する。駆動回路28は、複数の半導体素子のうちの一つの第3電極47にローレベルの制御電圧を供給する。複数の半導体素子のうちの一つは、ターンオフされる。複数の半導体素子のうちの一つがターンオフされると、ダイオード54は、負荷インダクタ53から流れる電流を還流させる。複数の半導体素子のうちの一つへの複数の経時変化電流の供給が停止される。負荷インダクタ53に蓄えられたエネルギーは、負荷インダクタ53とダイオード54とで形成される閉回路によって保持される。
【0096】
本実施の形態の試験装置1b及び試験方法の作用を説明する。
【0097】
半導体素子の動特性試験では、例えば半導体素子のターンオフ時に、サージ電圧が発生する。経時変化電流源50から導電ステージ10に至る電流経路の浮遊インダクタンスが大きいほど、サージ電圧は大きくなる。サージ電圧が大きくなると、試験装置1bにかかる電気的な負担が増加するとともに、より小さな耐圧を有する半導体素子の動特性試験を行うことができなくなる。
【0098】
本実施の形態では、実施の形態1と同様に、測定ヘッド20は、導電ステージ10の載置面10aに対向して配置されている。複数の電極棒13a,13bの各々の少なくとも一部は、導電ステージ10の載置面10aの法線方向(z方向)において、導電ステージ10の載置面10aに対して測定ヘッド20に近位している。測定ヘッド20の電流源21(経時変化電流源50)は、複数の電極棒13a,13bを介して、複数の半導体素子のうちの一つに電気的に接続されている。そのため、電流源21から導電ステージ10に至る電流経路の長さ(特に、電気配線24a,24bの長さ)が減少して、電流源21と導電ステージ10との間の浮遊インダクタンスが減少する。半導体素子の動特性試験の際に発生するサージ電圧が減少する。試験装置1bにかかる電気的な負担が軽減されるとともに、より小さな耐圧を有する半導体素子の動特性試験が可能になる。
【0099】
本実施の形態では、経時変化電流源50から出力される経時変化電流は、電気配線24a,24bにおいて分割されて、複数の経時変化電流が生成される。この複数の経時変化電流が複数の電流経路を通して、複数の半導体素子のうちの一つに供給される。このように、経時変化電流源50から導電ステージ10に至る電流経路の数は、複数である。そのため、複数の電流経路の各々の浮遊インダクタンスは減少する。半導体素子の動特性試験の際に発生するサージ電圧が減少する。試験装置1bにかかる電気的な負担が軽減されるとともに、より小さな耐圧を有する半導体素子の動特性試験が可能になる。
【0100】
第4比較例の試験装置では、経時変化電流源50から導電ステージ10に至る電流経路の数が一つである。本実施の形態における経時変化電流源50から導電ステージ10に至る電流経路の数をn(nは2以上の自然数)とすると、本実施の形態のn個の電流経路の各々の浮遊インダクタンスは、第4比較例の一つの電流経路の浮遊インダクタンスの約n分の一まで減少する。
【0101】
本実施の形態の試験装置1b及び試験方法は、以下の効果を奏する。
【0102】
本実施の形態の試験装置1bでは、電流源21は、経時変化電流源50である。経時変化電流源50は、直流電源51と、直流電源51に並列に接続されているコンデンサ52と、直流電源51及びコンデンサ52に直列に接続されておりかつ複数の接触端子23a,23bに接続されている負荷インダクタ53とを含む。
【0103】
そのため、本実施の形態の試験装置1bでは、実施の形態1の試験装置1と同様に、電流源21(経時変化電流源50)と導電ステージ10との間の電流経路が短くなる。当該電流経路の浮遊インダクタンスが減少する。半導体素子の動特性試験の際に発生するサージ電圧が減少する。試験装置1bにかかる電気的な負担が軽減されるとともに、より小さな耐圧を有する半導体素子の動特性試験が可能になる。
【0104】
また、本実施の形態の試験装置1bでは、経時変化電流源50から導電ステージ10に至る電流経路の数は、複数である。そのため、複数の電流経路の各々の浮遊インダクタンスは減少する。半導体素子の動特性試験の際に発生するサージ電圧が減少する。試験装置1bにかかる電気的な負担が軽減されるとともに、より小さな耐圧を有する半導体素子の動特性試験が可能になる。
【0105】
本実施の形態の試験装置1bを用いる本実施の形態の試験方法は、被試験体40を導電ステージ10の載置面10aに載置して、第1電極45を導電ステージ10に接触させること(S1)と、複数の電極棒13a,13bの各々を、複数の接触端子23a,23bのうち対応するものに電気的に導通させること(例えば、S2)と、第1プローブ25を、複数の半導体素子のうちの一つの第2電極46に接触させること(例えば、S2)と、経時変化電流源50から、複数の電極棒13a,13b及び複数の接触端子23a,23bを通して、複数の半導体素子のうちの一つに複数の経時変化電流を供給すること(S4b)と、電圧計30を用いて複数の電圧を測定すること(S5)とを備える。複数の電圧は、各々、複数のセンス端子12a,12bのうち対応するものと第1プローブ25との間の電圧である。本実施の形態の試験方法は、複数の電圧から、複数の半導体素子のうちの一つの電圧を算出すること(S6)をさらに備える。
【0106】
そのため、電流源21(経時変化電流源50)と導電ステージ10との間の電流経路が短くなる。当該電流経路の浮遊インダクタンスが減少する。半導体素子の動特性試験の際に発生するサージ電圧が減少する。試験装置1bにかかる電気的な負担が軽減されるとともに、より小さな耐圧を有する半導体素子の動特性試験が可能になる。
【0107】
また、経時変化電流源50から導電ステージ10に至る電流経路の数は、複数である。そのため、複数の電流経路の各々の浮遊インダクタンスは減少する。半導体素子の動特性試験の際に発生するサージ電圧が減少する。試験装置1bにかかる電気的な負担が軽減されるとともに、より小さな耐圧を有する半導体素子の動特性試験が可能になる。
【0108】
本実施の形態の試験方法では、複数の半導体素子のうちの一つの電圧は、複数の電圧の平均値である。
【0109】
そのため、半導体ウエハ41中の半導体素子の位置に依存する誤差電圧のばらつきが減少する。試験装置1bによって得られる半導体素子の電圧のばらつきが低減され得る。
【0110】
実施の形態3.
図2及び
図12を参照して、実施の形態3の試験装置1cを説明する。試験装置1cは、複数の半導体素子の静特性と動特性とを試験し得る装置である。本実施の形態の試験装置1cは、実施の形態1の試験装置1と同様の構成を備えるが、主に以下の点で異なる。
【0111】
図12を参照して、試験装置1cでは、測定ヘッド20は、電気配線58a,58bと、スイッチ59a,59bとをさらに含む。電流源21は、複数の定電流源22a,22b及び経時変化電流源50である。本実施の形態の経時変化電流源50は、実施の形態2の経時変化電流源50と同様に構成されている。負荷インダクタ53は、電気配線58aを通じて電気配線24aに接続されているとともに、電気配線58bを通じて電気配線24bに接続されている。スイッチ59a,59bは、負荷インダクタ53と複数の接触端子23a,23bとの間に配置されている。具体的には、スイッチ59aは、電気配線58aに設けられている。スイッチ59bは、電気配線58bに設けられている。
【0112】
図2及び
図12を参照して、コントローラ35は、複数の定電流源22a,22b及びスイッチ59a,59bを制御し得る。コントローラ35は、複数の定電流源22a,22bの各々から電流が供給される動作状態と、複数の定電流源22a,22bの各々から電流が供給されない停止状態との間で、複数の定電流源22a,22bを切り替え可能である。コントローラ35は、導通状態と非導通状態との間でスイッチ59a,59bを切り替え可能である。
【0113】
本実施の形態の試験装置1cを用いる本実施の形態の試験方法を説明する。
【0114】
本実施の形態の試験装置1cを用いて複数の半導体素子のうちの一つの静特性を試験する場合には、実施の形態1の試験方法のステップS1-S12(
図9を参照)を実行する。例えば、実施の形態1の試験方法のステップS4と同様に、複数の半導体素子のうちの一つに複数の定電流を供給する。
【0115】
具体的には、コントローラ35は、スイッチ59a,59bを非導通状態に切り替える。経時変化電流源50から複数の半導体素子のうちの一つに複数の経時変化電流は供給されない。コントローラ35は、複数の定電流源22a,22bを制御して、複数の定電流源22a,22bを動作状態に切り替える。複数の定電流(例えば、第1定電流及び第2定電流)が、接触端子23a,23b、電極板17a,17b、電極棒13a,13b及び導電ステージ10を通って、複数の半導体素子のうちの一つに供給される。こうして、複数の半導体素子のうちの一つの静特性が試験され得る。
【0116】
本実施の形態の試験装置1cを用いて複数の半導体素子のうちの一つの静特性を試験する場合には、実施の形態2の試験方法のステップS1-S3,S4b,S5-S9,S10b,S11,S12(
図11を参照)を実行する。例えば、実施の形態2の試験方法のステップS4bと同様に、複数の半導体素子のうちの一つに複数の経時変化電流を供給する。
【0117】
具体的には、コントローラ35は、複数の定電流源22a,22bを制御して、複数の定電流源22a,22bを停止状態に切り替える。複数の定電流源22a,22bから複数の半導体素子のうちの一つに複数の定電流は供給されない。コントローラ35は、スイッチ59a,59bを導通状態に切り替える。複数の経時変化電流が、接触端子23a,23b、電極板17a,17b、電極棒13a,13b及び導電ステージ10を通って、複数の半導体素子のうちの一つに供給される。こうして、複数の半導体素子のうちの一つの動特性が試験され得る。
【0118】
本実施の形態の試験装置1cは、以下の効果を奏する。
【0119】
本実施の形態の試験装置1cでは、測定ヘッド20は、スイッチ59a,59bをさらに含む。電流源21は、複数の定電流源22a,22b及び経時変化電流源50である。経時変化電流源50は、直流電源51と、直流電源51に並列に接続されているコンデンサ52と、直流電源51及びコンデンサ52に直列に接続されている負荷インダクタ53とを含む。スイッチ59a,59bは、負荷インダクタ53と複数の接触端子23a,23bとの間に配置されている。コントローラ35は、複数の定電流源22a,22b及びスイッチ59a,59bを制御し得る。
【0120】
そのため、本実施の形態の試験装置1cは、実施の形態1と同様に複数の半導体素子の静特性が試験し得るとともに、実施の形態2と同様に複数の半導体素子の動特性が試験し得る。
【0121】
今回開示された実施の形態1-3はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本開示の範囲は、上記した説明ではなく特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることを意図される。
【符号の説明】
【0122】
1,1b,1c 試験装置、10 導電ステージ、10a 載置面、10b 外周、10c 側面、11 移動機構、12a,12b センス端子、13a,13b 電極棒、14a,14b 遠位端、15a,15b 電気配線、17a,17b 電極板、18 スリット、20 測定ヘッド、21 電流源、22a,22b 定電流源、23a,23b 接触端子、24a,24b 電気配線、25 第1プローブ、26 電気配線、27 第2プローブ、28 駆動回路、29 電気配線、30 電圧計、35 コントローラ、40 被試験体、41 半導体ウエハ、41a,41b 主面、42,43 半導体素子、45 第1電極、46 第2電極、47 第3電極、50 経時変化電流源、51 直流電源、52 コンデンサ、53 負荷インダクタ、54 ダイオード、58a,58b 電気配線、59a,59b スイッチ。