(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022182053
(43)【公開日】2022-12-08
(54)【発明の名称】ゴミ取り用粘着ロール
(51)【国際特許分類】
A47L 25/00 20060101AFI20221201BHJP
C09J 7/38 20180101ALI20221201BHJP
C09J 201/00 20060101ALI20221201BHJP
【FI】
A47L25/00 A
C09J7/38
C09J201/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021089359
(22)【出願日】2021-05-27
(71)【出願人】
【識別番号】598096245
【氏名又は名称】ジョイボンド株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002066
【氏名又は名称】弁理士法人筒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】古舘 忠夫
【テーマコード(参考)】
4J004
4J040
【Fターム(参考)】
4J004AB01
4J004CE01
4J004FA08
4J040JB09
4J040NA05
(57)【要約】
【課題】粘着ロールによるゴミの剥ぎ取り効率を高める。
【解決手段】ゴミ取り用粘着ロール10は、粘着剤層が外面に設けられた基材シートを有する粘着シート21と、粘着シート21が装着される円筒形状の芯材12とからなる回転体11を有し、回転体11の回転中心軸Oに対して筋状に傾斜する複数本の粘着剤からなる突起25を粘着シート21の外面に突出して設け、回転体11をその外面を被清掃面Fに押し付けて転がしたときに、被清掃面Fに突起25が回転体11の長手方向に変形してゴミを付着する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
粘着剤層が外面に設けられた基材シートを有する粘着シートと、前記粘着シートが装着される円筒形状の芯材とからなる回転体を有するゴミ取り用粘着ロールであって、
前記回転体の回転中心軸に対して傾斜する複数本の粘着剤からなる筋状の突起を前記粘着シートの外面に設け、
前記回転体の外面を被清掃面に押し付けて前記回転体を転がしたときに、前記突起が前記回転体の長手方向に変形して前記被清掃面に押し付けられて前記被清掃面のゴミを付着する、ゴミ取り用粘着ロール。
【請求項2】
請求項1記載のゴミ取り用粘着ロールにおいて、
前記突起は、前記回転中心軸に対して一方に傾斜する複数本の第1の突起と、前記回転中心軸に対して他方に傾斜する複数本の第2の突起とを有する、ゴミ取り用粘着ロール。
【請求項3】
請求項2記載のゴミ取り用粘着ロールにおいて、
前記第1の突起は、前記回転体の長手方向中央部と一端部との間の領域に設けられ、前記第2の突起は、前記回転体の長手方向中央部と他端部との間の領域に設けられている、ゴミ取り用粘着ロール。
【請求項4】
請求項2記載のゴミ取り用粘着ロールにおいて、
前記第1の突起と前記第2の突起とを前記回転体の長手方向に隣り合って交互に設けた、ゴミ取り用粘着ロール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はゴミを付着して清掃を行う粘着剤層を備えたゴミ取り用粘着ロールに関する。
【背景技術】
【0002】
床面やカーペットのゴミを粘着剤層に付着させて清掃を行うためにゴミ取り用粘着ロールが使用される。この粘着ロールは、粘着クリーナとも言われており、一方面側に粘着剤層が設けられ、反対面側に剥離材層が設けられた粘着シートを有し、粘着シートは粘着剤層が外面となるように芯材に巻付けられている。粘着ロールを床面やカーペット等の被清掃面の上に転がして粘着剤層にゴミ付着させることにより、清掃を行うことができる。
【0003】
粘着ロールは、特許文献1に記載されるように、鉤形の柄つまりロール保持アームに回転自在に装着されており、使用者はロール保持アームを持って清掃作業を行うことができる。特許文献2に記載されるように、粘着シートにはこれの芯材への巻付け方向と直交する方向に切れ目が設けられており、粘着ロールから粘着シートの一部を廃棄することにより、粘着ロールの外周面は新たな粘着材層が露出される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2021-53283号公報
【特許文献2】実用新案登録第3140158号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来の粘着ロールは、粘着材層を被清掃面に押し付けて転がすことにより、ゴミを粘着材層に付着させるようにしている。しかしながら、被清掃面に付着したゴミによっては、単に粘着材層をゴミに押し付けて転がしただけでは、被清掃面から剥がし取ることができない場合がある。その場合には、作業者は被清掃面に残ったゴミを剥がし取る作業をさらに行わなければならない。このため、従来の粘着ロールではゴミ除去効率に限度がある。
【0006】
本発明の目的は、粘着ロールによるゴミの剥ぎ取り効率を高めることにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
ゴミ取り用粘着ロールは、粘着剤層が外面に設けられた基材シートを有する粘着シートと、前記粘着シートが装着される円筒形状の芯材とからなる回転体を有するゴミ取り用粘着ロールであって、前記回転体の回転中心軸に対して傾斜する複数本の粘着剤からなる筋状の突起を前記粘着シートの外面に設け、前記回転体の外面を被清掃面に押し付けて前記回転体を転がしたときに、前記突起が前記回転体の長手方向に変形して前記被清掃面に押し付けられて前記被清掃面のゴミを付着する。
【発明の効果】
【0008】
回転体の外面つまり粘着剤層の外面には、回転体の回転中心軸に対して傾斜した粘着剤製の突起が設けられているので、回転体を被清掃面に押し付けて被清掃面に対して転がすと、突起は回転方向に対して直角方向である回転体の長手方向に弾性変形して被清掃面に押し付けられる。弾性変形して被清掃面に押し付けられる突起により、被清掃面のゴミが確実に剥ぎ取られて、ゴミの剥ぎ取り効率を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】一実施の形態であるゴミ取り用粘着ロールを示す斜視図である。
【
図2】
図1のゴミ取り粘着ロールを示す拡大平面図である。
【
図4】芯材に巻き付けられる粘着シートの一部を展開して示す斜視図である。
【
図5】
図4における5-5線に沿う拡大断面図である。
【
図6】ゴミ取り用粘着ロールによるゴミの剥ぎ取り挙動を示す説明図である。
【
図7】他の実施の形態であるゴミ取り用粘着ロールを示す平面図である。
【
図8】他の実施の形態であるゴミ取り用粘着ロールにおける
図3と同様の部分を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。
図1~
図3に示すように、ゴミ取り用粘着ロール10は回転体11を有し、回転体11は円筒形状の芯材12を備えている。芯材12には芯材12よりも小径のボス部13が設けられており、ボス部13と芯材12は複数のアーム14により一体となっている。芯材12、ボス部13およびアーム14は樹脂により一体に成形されている。芯材12には金属製のロールシャフト15が取り付けられている。ロールシャフト15はボス部13が装着される先端の回転支持部16と、ハンドル17が設けられる基端部18と、回転支持部16と基端部18の間の屈曲した中間部19とを備えており、芯材12は回転支持部16により回転中心軸Oを中心に回転自在に支持されている。
【0011】
芯材12の長さとしては、例えば10~30cm程度とすることができるが、この長さに限られることはなく、適宜設定される。また、芯材12の外径としては、例えば4~5cm程度とすることができるが、この外径に限られることはなく、適宜設定される。
【0012】
芯材12には粘着シート21が装着されており、回転体11は芯材12と粘着シート21とにより形成される。
図4は芯材12に巻き付けられる粘着シート21の一部を展開して示す斜視図であり、
図5は
図4における5-5線に沿う拡大断面図である。
【0013】
粘着シート21は、紙、樹脂等からなる基材シート22と、基材シート22の外面に設けられた粘着剤層23と、基材シート22の内面に設けられた剥離剤層24とを備えている。粘着剤としては、アクリル系等の粘着剤が使用され、剥離剤としてはシリコーン系の剥離剤が使用される。
【0014】
粘着シート21の外面つまり粘着剤層23の外面にはそれぞれ粘着剤からなる複数本のビードつまり突起25が突出して設けられている。突起25は、
図1および
図2に示されるように、回転中心軸Oに対して傾斜して回転体11の外周面に筋状に延びて設けられている。
図2に示す回転体11においては、突起25は、回転中心軸Oに対して一方に傾斜する第1の突起25(a)と、回転中心軸Oに対して他方に傾斜する第2の突起25(b)とを有している。第1の突起25(a)は、回転体11の径方向線Rに対して一方に角度α傾斜している。第2の突起25(b)は、回転体11の径方向線Rに対して他方に角度β傾斜しており、角度αと角度βは、傾斜方向が逆であるが、角度はそれぞれ20度程度であり、相互に同一角度である。それぞれの角度としては、例えば、45度~10度の範囲程度に設定することが好ましい。
【0015】
第1の突起25(a)は、
図2に示されるように、回転体11の長手方向中央部Cを境界として、回転体11の長手方向中央部Cと一端部との間に設けられている。これに対して、第2の突起25(b)は、回転体11の長手方向中央部Cと他端部との間に設けられている。図においては、突起を第1と第2とで区別するときには、カッコ書きで符号a、bが示されており、区別しないときには突起を符号25で示している。
【0016】
粘着剤層23と突起25は、いずれも基材シート22の外面に粘着剤を印刷技術により塗布することにより形成され、粘着剤層23を形成するときに突起25を同時に形成してもよく、別工程において突起25のみを形成してもよい。
【0017】
回転体11は芯材12と芯材12に螺旋状に巻き付けられる帯状の粘着シート21とにより形成される。粘着シート21を展開して示すと、
図4の通りであり、粘着シート21の外面つまり粘着剤層23の外面には、筋状に突起25が形成されている。粘着シート21の幅寸法をWとすると、粘着剤層23の幅方向一方側の領域には第1の突起25(a)が形成され、幅方向他方側の領域には第2の突起25(b)が形成されている。
【0018】
帯状の粘着シート21には所定の長さ寸法L毎に、分離切断線26が設けられており、長さ寸法Lは、回転体11の外周面の回転方向の長さに相当している。したがって、粘着剤層23の外面に多くのゴミが付着したときには、2つの分離切断線26の間の1区画分を剥離することにより、新たな粘着剤層23が回転体11の外面に露出される。
【0019】
図1および
図2は、被清掃面Fの上面に粘着ロール10の回転体11を押し付けた状態を示している。
図6は被清掃面Fから見た回転体11の下側面を示す図であり、回転体11の外周面のうち被清掃面Fに接触する部分を示すと、例えば、2本の破線で囲まれる部分つまり回転体11の外周面のうち回転方向中央部分Sである。
【0020】
作業者がハンドル17を手に持ってハンドル17を押す方向Aに被清掃面Fに対して移動させると、回転体11はその外面が被清掃面Fに押し付けられて、
図6において符号Taで示す方向に回転つまり転がされる。これにより、粘着剤からなる突起25はそれぞれ回転体11の端部に向かう方向に弾性変形するので、突起25は被清掃面Fに対して回転体11の中央部に向かう方向に弾性力を加える。つまり、被清掃面Fに対してこれを回転体11の長手方向に収縮させる方向の力を加えて被清掃面Fの上のゴミを付着して剥ぎ取る。したがって、カーペット等のように軟らかなシート材の表面を被清掃面Fとすると、シート材は収縮する方向に変形する。
【0021】
一方、これとは逆に、ハンドル17を引く方向Bに被清掃面Fに対して移動させると、回転体11はその外面が被清掃面Fに押し付けられて、
図6において符号Tbで示す方向に回転つまり転がされる。これにより、突起25はそれぞれ回転体11の中央部に向かう方向に弾性変形するので、突起25は被清掃面Fに対して回転体11の端部に向かう方向に弾性力を加える。つまり、被清掃面Fに対してこれを回転体11の長手方向に広げる方向の力を加えて被清掃面Fの上のゴミを付着して剥ぎ取る。したがって、カーペット等のように軟らかなシート材の表面を被清掃面Fとすると、シート材は広がる方向に変形する。
【0022】
このように、粘着剤からなる筋状の複数の突起25は、回転体11の回転する方向に対して直交する方向、つまり回転体11の長手方向に弾性変形して被清掃面Fのゴミを付着させる。突起25の間における粘着剤層23の外面にもゴミが付着する。
図5においては、ハンドル17の部分を手に持って回転体11を被清掃面Fに押し付けて転がしたときに、それぞれの突起25が弾性変形している状態が矢印で示されている。
【0023】
このゴミ取り用粘着ロール10においては、回転体11の外面つまり粘着剤層23の外面に回転体11の回転中心軸Oに対して傾斜した突起25を設けたので、回転体11を被清掃面Fに押し付けて被清掃面Fに対して転がすと、突起25は回転方向に対して直角方向である回転体11の長手方向に変形して被清掃面Fに押し付けられるので、ゴミを移動させながら付着させるとともに、粘着剤層23に向けて押し付けることになり、被清掃面Fの上のゴミを剥ぎ取る効率を高めることができる。
【0024】
図7は、他の実施の形態であるゴミ取り用粘着ロール10を示す平面図である。このゴミ取り用粘着ロール10においては、回転体11の外周面に設けられた突起25は、回転中心軸Oに対して一方に傾斜する第1の突起25(a)と、回転中心軸Oに対して他方に傾斜する第2の突起25(b)とが回転体11の長手方向に隣り合って交互に設けられている。このように、傾斜方向が相違する第1の突起25(a)と第2の突起25(b)とを隣り合うように配置しても、上述のように、粘着剤からなる筋状の複数の突起25は、回転体11の回転する方向に対して直交する方向、つまり回転体11の長手方向に弾性変形して被清掃面Fのゴミが突起25に付着するとともに、突起25の間における粘着剤層23の外面にもゴミを付着させる。
【0025】
さらに、回転体11の外面に設けられる突起25の傾斜方向に同一方向とすることも可能である。その場合には、
図2に示した第1の突起25(a)または第2の突起25(b)が回転体11の外面の全体に設けられ、突起25が回転体11の外面に全体的に同一の方向に傾斜した粘着ロール10となる。
【0026】
図8は他の実施の形態であるゴミ取り用粘着ロール10における
図3と同様の部分を示す断面図である。
【0027】
このゴミ取り用粘着ロール10においては、芯材12とその外周面に装着される1枚の粘着シート21とにより回転体11が形成される。この粘着シート21には剥離剤層24は設けられておらず、基材シート22の内面には図示しない粘着剤層が設けられており、その粘着剤層が芯材12の外周面に貼り付けられる。この場合には、交換用の粘着シート21が積み重ねられて保管できるようにされており、回転体11の外面に多くのゴミが付着したときには、ゴミが付着した粘着シート21は芯材12の外面から剥離され、新たなものと交換される。
【0028】
このように、ゴミ取り用粘着ロール10としては、
図1に示されるように、芯材12に螺旋状に粘着シート21を巻き付けて粘着シートを積層するように装着する形態としてもよく、
図8に示されるように、1枚の粘着シート21を芯材12に装着する形態としてもよい。
【0029】
本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。例えば、図示する実施の形態においては、ロールシャフト15に1つの回転体11が設けられているが、複数の回転体11をロールシャフト15に設けるようにしてもよい。複数本の回転体11を設けるようにした場合には、第1の突起25(a)のみを備えた回転体と、第2の突起25(b)のみを備えた回転体とを混在させることができる。
【符号の説明】
【0030】
10 ゴミ取り用粘着ロール
11 回転体
12 芯材
13 ボス部
15 ロールシャフト
17 ハンドル
21 粘着シート
22 基材シート
23 粘着剤層
24 剥離剤層
25 突起
25(a) 第1の突起、
25(b) 第2の突起
26 分離切断線
C 長手方向中央部
F 被清掃面
O 回転中心軸
R 径方向線