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特開2022-182054電動格納ユニットを備えた車両用視認装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022182054
(43)【公開日】2022-12-08
(54)【発明の名称】電動格納ユニットを備えた車両用視認装置
(51)【国際特許分類】
   B60R 1/06 20060101AFI20221201BHJP
   B60R 1/074 20060101ALI20221201BHJP
【FI】
B60R1/06 D
B60R1/074
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021089363
(22)【出願日】2021-05-27
(71)【出願人】
【識別番号】000147660
【氏名又は名称】株式会社ペンストン
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】弁理士法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】河野 寛
(72)【発明者】
【氏名】藤井 雅之
(72)【発明者】
【氏名】吉井 翼
(72)【発明者】
【氏名】小島 真也
【テーマコード(参考)】
3D053
【Fターム(参考)】
3D053FF23
3D053FF26
3D053GG06
3D053GG11
3D053GG12
3D053HH18
3D053HH52
3D053JJ01
3D053JJ21
3D053JJ53
3D053KK02
3D053LL08
(57)【要約】
【課題】電動格納ユニットを備えた車両用視認装置において、電動格納ユニットの駆動機構のうちサンギアを、ドライブウォーム等を支持するケースで支持して、位置のバラツキを抑制しつつも、サンギアのケースへのラジアル方向の力が、局所的に作用しないように構成して、電動モータから回転力が作用した場合に、サンギアが位置変位することなく、歯車の歯当りが変化して異音等が発生しないようにできる車両用視認装置を提供する。
【解決手段】サンギア62とドライブウォーム71とを、ケース20で位置決め支持するように構成して、前記サンギア62のケース20への位置決め位置を、そのサンギア62の外周面62b1に設定している。
【選択図】図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の側方に設置されて、展開位置と折畳位置との間を回動するように構成された電動格納ユニットを備えた車両用視認装置であって、
前記電動格納ユニットは、ケースの内部に設けた電動モータと、
該電動モータの回転力を、車両側に設けたシャフト回りで前記ケースが回動するように伝達する駆動機構と、を備えて、
前記駆動機構には、前記シャフト回りに回転規制された状態で設置されたサンギアと、該サンギアに対して前記電動モータからの回転力を伝達するドライブウォームとを備えており、
前記サンギアと前記ドライブウォームとを、前記ケースで位置決め支持するように構成して、
前記サンギアのケースへの位置決め位置を、該サンギアの外周面に設定した
ことを特徴とする電動格納ユニットを備えた車両用視認装置。
【請求項2】
前記サンギアのケースへの位置決め位置である前記外周面を、該サンギアの下方側に突出させた円筒支持部の外周面とした
ことを特徴とする請求項1記載の電動格納ユニットを備えた車両用視認装置。
【請求項3】
前記サンギアの前記外周面と前記ケースの支持位置との間に、摩擦抵抗を低減するワッシャー部材を介装した
ことを特徴とする請求項1又は2記載の電動格納ユニットを備えた車両用視認装置。
【請求項4】
前記ワッシャー部材が、周面部と底面部とからなる断面略L字状の環状部材で構成されている
ことを特徴とする請求項3記載の電動格納ユニットを備えた車両用視認装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、車両のサイドミラーのような電動格納ユニットを備えた車両用視認装置において、電動格納ユニットの駆動機構の各部材の位置のバラツキを抑えることができる車両用視認装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、車両のサイドミラーのように、車両の側方に設置された車両用視認装置においては、不使用時等に、電動格納ユニットを使って回動して、車両側方で折畳まれるように構成することが知られている。
【0003】
この電動格納ユニットは、内部に設けた電動モータの回転力を、駆動機構を使って、具体的には、モータ軸に設けたウォームと、ウォームホイールと、ドライブウォームと、車体側のシャフトに固定したサンギアと、を使って、車両側のシャフト回りを回動するように構成されている。
【0004】
ところで、これら駆動機構である、ウォームとウォームホイールとドライブウォームとサンギアとは、それぞれの歯車を噛合させて回転力を伝達するが、これらの歯車の歯当りは、各部材の位置関係が一定でないと、位置のバラツキが生じて異音が生じる。
【0005】
そこで、下記特許文献1では、ウォームホイールやドライブウォームを支持するケース(回動部材)にサンギア(制限ギア)を支持させることで、これら駆動機構の支持位置を変化させず、これら歯車の歯当りを安定させるものが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許第6662565号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、電動格納ユニットにおいては、電動モータの回転力を、モータ軸に設けたウォームからウォームホイールに伝達して、そのウォームホイールと一体に回転するドライブウォームを介して、サンギアに回転力を伝達するように構成している。
【0008】
このとき、サンギアには、回転方向の力(サンギアの周方向の力)とラジアル方向の力(サンギアの径方向の力)がドライブウォームから作用するが、ラジアル方向の力がサンギアの位置を変化させることになるため、前述の特許文献1では、サンギアのラジアル方向の支持をケース(回動部材)で行うように構成している。
【0009】
もっとも、この特許文献1のサンギアの支持構造を詳細に見てみると、ケース(26)に支持筒(28)を設けて、この支持筒(28)に対して、ギアプレート(制限ギア、サンギア)(48)の径方向内側部分(内周面)を支持させている(図1、段落[0051]、段落[0056]参照)。
【0010】
ところが、このようにサンギアの内周面を、ケースの支持筒に支持させると、ラジアル方向の力が、サンギアのギア径よりも小径部分に作用することになるため、ケースの支持筒に対して局所的に荷重が作用してしまい、その支持筒に変形が生じ、その結果、サンギアに変位が生じて、歯車の歯当りが変化するおそれがある。
【0011】
本発明は、斯かる点に鑑みてなされたものであり、その目的は、電動格納ユニットを備えた車両用視認装置において、電動格納ユニットの駆動機構のうちサンギアを、ドライブウォーム等を支持するケースで支持して、位置のバラツキを抑制しつつも、サンギアのケースへのラジアル方向の力が、局所的に作用しないように構成して、電動モータから回転力が作用した場合に、サンギアが位置変位することなく、歯車の歯当りが変化して異音等が発生しないようにできる車両用視認装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
その目的を達成するために、この発明では、車両の側方に設置されて、電動格納ユニットを備えた車両用視認装置において、車体側のシャフトに対して回転規制されたサンギアを、ドライブウォーム等を支持するケースで支持するにあたり、サンギアの外周面で、ケースに対して位置決めしたことを特徴とするものである。
【0013】
具体的に、第1の発明では、車両の側方に設置されて、展開位置と折畳位置との間を回動するように構成された電動格納ユニットを備えた車両用視認装置であって、前記電動格納ユニットは、ケースの内部に設けた電動モータと、該電動モータの回転力を、車両側に設けたシャフト回りで前記ケースが回動するように伝達する駆動機構と、を備えて、前記駆動機構には、前記シャフト回りに回転規制された状態で設置されたサンギアと、該サンギアに対して前記電動モータからの回転力を伝達するドライブウォームとを備えており、前記サンギアと前記ドライブウォームとを、前記ケースで位置決め支持するように構成して、前記サンギアのケースへの位置決め位置を、該サンギアの外周面に設定したことを特徴とするものである。
【0014】
この構成によれば、サンギアとドライブウォームとをケースで位置決め支持するように構成して、サンギアのケースへの位置決め位置を、そのサンギアの外周面に設定したことで、サンギアのケースへのラジアル方向の力が、サンギアのギア径とほぼ同程度の外周面に作用することになる。
【0015】
このため、サンギアのラジアル方向の力が、ケースに対して局所的に作用せず、広い範囲に分散して作用することになるため、ケースの支持位置が変形することなく、サンギアが位置変位することもない。
【0016】
なお、サンギアのケースへの位置決め位置がサンギアの外周面であれば、具体的な支持位置については、どこであっても構わない。例えば、サンギアの外周表面に歯車を設けない平滑な面を設けてケースに位置決め支持させれば、どのような構造であっても良い。
【0017】
また、車両用視認装置については、車両の後方を視認できる構造であれば、ミラーであっても、カメラであっても良い。
【0018】
第2の発明では、前記サンギアのケースへの位置決め位置である前記外周面を、該サンギアの下方側に突出させた円筒支持部の外側面としたことを特徴とするものである。
【0019】
この構成によれば、サンギアのケースへの位置決め位置が、サンギアの下方側に突出させた円筒支持部の外側面であることで、サンギアの下側位置で、ケースへの位置決めが行われることになる。
【0020】
このため、サンギアのドライブウォームとの噛合位置を、上方からケースで隠れることなく目視することができる。
【0021】
よって、サンギアとドライブウォームとの噛合状態を、ケースに組み込んだ後に、確認することができ、これらの歯車の歯当りを正確な位置で確実に確保することができる。
【0022】
第3の発明では、前記サンギアの前記外周面と前記ケースの支持位置との間に、摩擦抵抗を低減するワッシャー部材を介装したことを特徴とするものである。
【0023】
この構成によれば、サンギアの外周面とケースの支持位置との間に、ワッシャー部材を介装しているため、サンギアの外周面とケースの支持位置との間の摩擦抵抗を低減することができる。
【0024】
このため、ケースが回動する際に、サンギアとケースの間で相対変位が生じて、両者の間で摩擦が生じても、回転抵抗が大きくならないため、ケースの回動がスムーズに生じることになる。
【0025】
よって、サンギアをケースで支持することで、ケース回動時に両者の間で相対変位が生じるが、回転抵抗を少なくできるため、電動モータの負荷の増加を抑えることができ、電動モータの故障を防ぐことができる。
【0026】
第4の発明では、前記ワッシャー部材が、周面部と底面部とからなる断面略L字状の環状部材で構成されていることを特徴とするものである。
【0027】
この構成によれば、ワッシャー部材が、周面部と底面部とからなる断面略L字状の環状部材であることで、サンギアの外周面と下面において、ケースとの摩擦抵抗が低減されることになる。
【0028】
このため、ケースが回動する際に生じる、サンギアとケースとの間の、ラジアル方向の力と、スラスト方向(サンギアの軸方向)の力に対して、ワッシャー部材が作用して、両者の間での摩擦抵抗を低減することができる。
【0029】
よって、サンギアとケースとの間の回転抵抗を、より確実に低減することができ、よりスムーズに、車両用視認装置を回動させることができる。
【発明の効果】
【0030】
以上、説明したように、本発明によれば、サンギアのラジアル方向の力が、ケースに対して局所的に作用することがなく、広い範囲に分散して作用することになるため、ケースの支持位置が変形することなく、サンギアが位置変位することもない。
【0031】
よって、電動格納ユニットを備えた車両用視認装置において、電動格納ユニットの駆動機構のうちサンギアを、ドライブウォーム等を支持するケースで支持して、位置のバラツキを抑制しつつも、サンギアのケースへのラジアル方向の力が、局所的に作用しないように構成して、電動モータから回転力が作用した場合でも、サンギアが位置変位することなく、歯車の歯当りが変化して異音等が発生しないようにできる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
図1】本発明の実施形態1に係る電動格納ユニットを備えた車両用視認装置の展開状態と折畳状態を説明する全体平面図である。
図2】実施形態1に係る車両用視認装置に内蔵された電動格納ユニットの平面図である。
図3】実施形態1に係る車両用視認装置に内蔵された電動格納ユニットの後面図である。
図4】実施形態1に係る車両用視認装置に内蔵された電動格納ユニットの分解斜視図である。
図5図2のX-X線矢視断面図である。
図6】カバーとホルダーを取り除いた状態の電動格納ユニットの平面図である。
図7】電動格納ユニットの駆動機構を説明する斜視図である。
図8図6のY-Y線矢視断面図である。
図9】サンギア等を含めた詳細斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下、本発明の実施形態を、図面に基づいて詳細に説明する。以下の好ましい実施形態の説明は、本質的に例示に過ぎず、本発明、その適用物、或いはその用途を制限することを意図するものではない。
【0034】
(実施形態1)
まず、図1乃至図4を使って、本実施形態1の電動格納ユニットを備えた車両用視認装置の構造について説明する。なお、各図に示す各矢印の方向によって各方角を示す。
【0035】
本実施形態の車両用視認装置1は、例えば、図1に示すような車両のサイドドア2に立設されるサイドミラー装置1であり、このサイドミラー装置1は、車両から車両側方(右側)に突出するように設けられている。このサイドミラー装置1は、鏡面3を設けたサイドミラー本体4と、ミラーベース5と、を備えており、ミラーベース5を、固定ボルト6によってサイドドア2に固設することで、サイドドア2に立設している。なお、図示しないが、車両の反対側のサイドドアにも、同様に車両から車両側方(左側)に突出するようにサイドミラー装置1を立設している。
【0036】
また、サイドミラー本体4は、このサイドミラー本体4の内部に内蔵した電動格納ユニットUを介してミラーベース5に設置されており、この電動格納ユニットUの作動によって、実線で示した展開状態と、一点鎖線で示した折畳状態の間を回動するように構成している。
【0037】
図2は、前述の電動格納ユニットUを上方から見た平面図で、図3は、その電動格納ユニットUを車両後方からから見た後面図で、図4は、その電動格納ユニットUを分解した斜視図ある。
【0038】
前述の電動格納ユニットUは、ミラーベース5に固定されるシャフト10と、そのシャフト10回りで回動するケース20と、そのケース20の上部でケース20の内部空間を覆うカバー30と、ケース20内部でその内部空間を上下に仕切るホルダー40と、を備えている。
【0039】
前述のシャフト10は、下部に、ミラーベース5にボルト締結される締結固定部11を設けており、中間部に、ケース20等を支持する支持受け部12を設けており、その上部に上方に伸びてケース20等の回転中心となるシャフト本体部13を設けている。
【0040】
前述のケース20は、異形の箱型形状で内部が空洞となった上方が開放したケース本体21と、そのケース本体21の下部前方と下部後方と下部側方にそれぞれ設けた3つの下部ケーシング固定部22…と、ケース本体21の車両側方の上部位置と下部位置に設けた2つの側部ケーシング固定部23,23と、ケース本体21の上部の周囲に設けた複数のカバー係止部24…とを、備えている。
【0041】
前述のカバー30は、前記ケース20の上方に位置する略蓋状のカバー本体31と、そのカバー本体21の車両内方側でシャフト10上端を支持する円形開口状のシャフト受け部32と、そのカバー本体30の車両側方側(右側)で電源ハーネス(図示せず)を接続する接続口33と、そのカバー本体30の周囲で前記ケース20のカバー係止部24…に係合する複数のケース係合部34…とを、備えている。
【0042】
前述のホルダー40は、ケース20の内部空間に設置されて、電動モータMを包囲して保持する略矩形形状のモータ保持部41と、ケース20の内部空間を上下に仕切る水平方向延びる平板状の仕切り部42とを、備えている。また、このホルダー40には、電動モータMの回転駆動状態を制御する回路基板Bを支持する基板支持部43が設けられている。また、前記仕切り部42にはシャフト10の上端を保持する円形開口状のシャフト保持部44を設けている。そして、このホルダー40は、その周縁で3本のスクリュー部材45…によって上方からケース20に対して固定されている。
【0043】
一方、前述のシャフト10には、支持受け部12の上方に、下から順に、プレートシャフト51、シャフトワッシャー52、そして、プレートケース53が組み付けられている。このうち、前述のプレートシャフト51がシャフト10の支持受け部12に固定されて、前述のプレートケース53がケース20の底面に固定されて、これらプレートシャフト51とプレートケース53で、ケース20、すなわち電動格納ユニットUの回動範囲を規定するように構成されている。また、前述のシャフトワッシャー52によって、ケース20とシャフト10の間の摩擦抵抗を低減するようにしている。
【0044】
さらに、前述のシャフト10には、ケース20に組み込んだ後に、下から順に、ケースワッシャー61、サンギア62、アッパークラッチ63、スプリング64、スプリングストッパー65が組み付けられている。前述のケースワッシャー61は、サンギア62とケース20との間に位置して、サンギア62とケース20との間の摩擦抵抗を低減するようにしている。
【0045】
前述のサンギア62は、後述するドライブウォーム71と噛合して電動モータMからの回転駆動力を受けて、シャフト10回りにケース20が回動するように構成している。もっとも、このサンギア62は、シャフト10に固定されておらず、シャフト10に対して遊嵌状態とされている。
【0046】
前述のアッパークラッチ63は、サンギア62の内周に設けた複数のクラッチ突起62a…と嵌合する複数のクラッチ受け部63a…を下面部に設けており、内周面にシャフト10のシャフト本体部13に設けた複数の凹状溝部13a…に嵌合する複数の凸条部63b…を設けている。
【0047】
前述のスプリング64は、螺旋形状のコイルスプリング部材で構成されており、下方のアッパークラッチ63に対して下方へ付勢力を付与するようにしている。
【0048】
前述のスプリングストッパー65は、内周に設けた係合部65aを、シャフト10のシャフト本体13に形成した環状の係止凹部13bに嵌め込むことで、シャフト本体13に固定されており、シャフト本体13からスプリング64が抜け落ちるのを防止している。
【0049】
そして、このように、アッパークラッチ63とスプリング64とスプリングストッパー65が構成されることで、アッパークラッチ63には、サンギア62を下方に押し込む力が付与されて、サンギア62がアッパークラッチ63を介してシャフト10と一体的になるように固定されている。
【0050】
このため、後述するように、通常時には、サンギア62とシャフト10が一体となって、電動モータMからの回転駆動力をサンギア62が受けると、ケース20等がシャフト10回りに回動して、ドアミラー本体4が展開状態と折畳状態との間を回動するものの、サイドミラー本体4が衝撃等を受けた異常時には、サンギア62のクラッチ突起62aがアッパークラッチ63を押し上げて、クラッチが解除されるため、サンギア62とシャフト10が分離して、ケース20等がシャフト10回りを回動して、ドアミラー本体4が回動することになる。
【0051】
このように、サイドミラー本体4が衝撃等を受けた異常時には、サンギア62とシャフト10を分離させることができるため、電動モータMや後述する駆動機構Kの故障や破損を防止することができる。
【0052】
次に、図5乃至図7を使って、本実施形態1の電動格納ユニットUの駆動機構Kの構造について説明する。
【0053】
図5に示すように、ホルダー40のモータ保持部41に保持された電動モータMは、モータ軸Maが下方に延びるように配置されている。このモータ軸Maには、円筒状のウォーム72が嵌め込まれており、このウォーム72に対して、図7に示すように円板状のウォームホイール73が噛合している。そして、このウォームホイール73の同軸上に前述のドライブウォーム71が設けられており、このウォームホイール73と一体的に回転するように構成されている。そして、このドライブウォーム71が前述のサンギア62と噛合するように構成されている。
【0054】
すなわち、図6に示すように、駆動機構Kは、上下方向に延びる電動モータMのモータ軸Maの回転駆動力を、水平方向且つ斜め前方向きに配置したドライブウォーム71の軸を介して、サンギア62に伝達するように構成しているのである。
【0055】
そして、このドライブウォーム71の軸は、両端の軸部71a,71aが共にケース20に設けた軸受部25,25で軸支されており、両持ち支持でケース20に強固に支持されている。
【0056】
このように、電動格納ユニットUの駆動機構Kが構成されているため、電動モータMの回転方向に応じて、サンギア62回りにドライブウォーム71等が回動し、ケース20が回動する。そして、このようにケース20が回動することにより、ケース20に固定されたサイドミラー本体4が、展開状態の位置と折畳状態の位置との間を回動するのである。
【0057】
次に、図8図9を使って、本実施形態1のサンギア62とアッパークラッチ63とケースワッシャー61とシャフト10とケース20との関係を説明する。
【0058】
前述したように、シャフト10とアッパークラッチ63は、シャフト本体部13の凹状溝部13a…(図4参照)とアッパークラッチ63の凸条部63b…が嵌合しているため、回転方向において、一体的になるように構成している。また、サンギア62とアッパークラッチ63も、クラッチ突起62a…とクラッチ受け部63a…が嵌合しているため、クラッチが解除されない限り、一体的になるように構成している。このため、サンギア62は、アッパークラッチ63を介してシャフト10と一体的になり、シャフト10がミラーベース5(図1参照)に固定されているため、サンギア62も回転方向で固定されることになる。
【0059】
もっとも、サンギア62は、図8に示すように、シャフト10との間に僅かな隙間sを設けており、シャフト10には支持されていない。これは、駆動機構K(図6参照)のドライブウォーム71を支持するケース20と別部材であるシャフト10に対して、サンギア62を支持させると、ドライブウォーム71とサンギア62との位置関係が変化して、歯当りが変化し異音が発生する。
【0060】
このため、本実施形態では、サンギア62を、ケースワッシャー61を介してケース20側に支持させている。このように、ケース20側にサンギア62を支持させることで、ドライブウォーム71と同じ部材(20)に支持させることができるため、両者の位置関係が変化することなく、歯当りが変化することを防止することができる。
【0061】
さらに、このサンギア62の支持構造について詳細に説明すると、サンギア62の下部には円筒状の円筒支持部62bを突出するように設けており、また、この円筒支持部62bの外周側位置には、断面L字状のケースワッシャー61を配置して、さらに、その外周側位置のケース20には、上方に突出した受け壁部26を設けている。
【0062】
前述の円筒支持部62bは、その外周面62b1がサンギア62のギア径Lsよりもやや小さい径Lを有するものの、サンギア62の内周面の径Lnより大きな径となるように構成している。そして、この円筒支持部62bの外周面62b1は、平滑な面で形成されている。
【0063】
前述のケースワッシャー61は、周面部61aと底面部61bとからなる断面L字状の環状の硬質プラスチック製素材、例えばPOM(ポリオキシメチレン・polyoxymethylene)素材によって構成している。このケースワッシャー61の周面部61aでは、サンギア62の円筒支持部62bから作用するラジアル方向(サンギア62の径方向)の荷重を受けて、ケースワッシャー61の底面部61aでは、サンギア26の円筒支持部62bの下面から作用するスラスト方向(サンギア62の軸方向)の荷重を受けるように構成している。
【0064】
前述のケース20の受け壁部26は、ケースワッシャー61の周面部61aと同じ高さに形成されており、ケースワッシャー61を内部に嵌め込めるように、ケース20の内部に円環状に形成している。
【0065】
また、ケース20の受け壁部26を円環状に形成することで、サンギア62が径方向で、ケースワッシャー61を介してケース20側に確実に支持されることになる。
【0066】
このように、サンギア62の円筒支持部62bが、ケース20の円環状の受け壁部26に支持されることで、サンギア62の内周面62cをケース20で支持した場合に比較して、サンギア62からのケース20側に作用する荷重を、広い範囲で分散して支持することができる。このため、ケース20に対して局所的に荷重が作用することを防ぐことができる。
【0067】
すなわち、サンギア62は、ドライブウォーム71から回転駆動力を受けることで、支持されるケース20に対して荷重を伝達することになるが、ケース20側に支持される箇所が、サンギア62の円筒支持部62bの外周面62b1であり、サンギア62の内周面62cよりも広い範囲で支持されるため、荷重を受ける面積として広い範囲で荷重を伝達することができる。このため、ケース20に対して局所的に荷重が作用することを防ぐことができるのである。
【0068】
また、ケースワッシャー61が、サンギア62の円筒支持部61bとケース20の受け壁部26の間に介在することで、両者の間で相対回転が生じる際の摩擦抵抗を低減することができる。このため、両者の間の回転抵抗を少なくすることができる。
【0069】
特に、ケースワッシャー61が、周面部61aと底面部61bとを有する断面L字状の環状部材であるため、サンギア62の円筒支持部62bから作用するラジアル方向のみならず、スラスト方向の荷重に対しても、摩擦抵抗を低減できるため、確実に、回転抵抗を少なくすることができる。
【0070】
以上のように、本実施形態では、車両の側方に設置されて、展開位置と折畳位置との間を回動するように構成された電動格納ユニットUを備えたサイドミラー装置1であって、前記電動格納ユニットUは、ケース20の内部に設けた電動モータMと、その電動モータMの回転力を、車両側に設けたシャフト10回りで前記ケース20が回動するように伝達する駆動機構Kと、を備えて、その駆動機構Kには、前記シャフト20回りに回転規制された状態で設置されたサンギア62と、そのサンギア62に対して前記電動モータMからの回転力を伝達するドライブウォーム71とを備えており、前記サンギア62と前記ドライブウォーム71とを、前記ケース20で位置決め支持するように構成して、前記サンギア62のケース20への位置決め位置を、そのサンギア62の外周面62b1に設定している。
【0071】
これにより、サンギア62のケース20へのラジアル方向の力が、サンギア62のギア径Lsとほぼ同程度の外周面62b1(L)に作用することになる。
【0072】
このため、サンギア62のラジアル方向の力が、ケース20に対して局所的に作用せず、広い範囲に分散して作用することになるため、ケース20の支持位置が変形することなく、サンギア62が位置変位することもない。
【0073】
よって、電動格納ユニットUを備えたサイドミラー装置1において、電動格納ユニットUの駆動機構Kのうちサンギア62を、ドライブウォーム71等を支持するケース20で支持して、位置のバラツキを抑制しつつも、サンギア62のケース20へのラジアル方向の力が、局所的に作用しないように構成して、電動モータMから回転力が作用した場合でも、サンギア62が位置変位することなく、歯車の歯当りが変化して異音等が発生しないようにできる。
【0074】
また、本実施形態では、前記サンギア62のケース20への位置決め位置を、そのサンギア62の下方側に突出させた円筒支持部62bの外周面62b1としている。
【0075】
これにより、サンギア62の下側位置で、ケース20への位置決めが行われることになる。
【0076】
このため、組付作業者は、サンギア62のドライブウォーム71との噛合位置を、上方からケース20で隠れることなく目視で確認することができる。
【0077】
よって、サンギア62とドライブウォーム71との噛合状態を、ケース20に組み込んだ後に、確認することができ、これらの歯車の歯当りを正確な位置で確実に確保することができる。
【0078】
また、本実施形態では、前記サンギア62の前記外周面62b1と前記ケース20の支持位置(26)との間に、摩擦抵抗を低減するケースワッシャー61を介装している。
【0079】
これにより、サンギア62の外周面62b1とケース20の支持位置(26)との間の摩擦抵抗を低減することができる。
【0080】
このため、ケース20が回動する際に、サンギア62とケース20の間で相対変位が生じて、両者の間で摩擦が生じても、回転抵抗が大きくならないため、ケース20の回動がスムーズに生じることになる。
【0081】
よって、サンギア62をケース20で支持することで、ケース20回動時に両者の間で相対変位が生じるが、回転抵抗を少なくできるため、電動モータMの負荷の増加を抑えることができ、電動モータMの故障を防ぐことができる。
【0082】
また、本実施形態では、前記ケースワッシャー61が、周面部61aと底面部61bとからなる断面略L字状の環状部材で構成されている。
【0083】
これにより、サンギア62の外周面62b1と下面において、ケース20との摩擦抵抗が低減されることになる。
【0084】
このため、ケース20が回動する際に生じる、サンギア62とケース20との間の、ラジアル方向の力と、スラスト方向の力に対して、ケースワッシャー61が作用して、両者の間での摩擦抵抗を低減することができる。
【0085】
よって、サンギア62とケース20との間の回転抵抗を、より確実に低減することができ、よりスムーズに、サイドミラー装置1を回動させることができる。
【0086】
(その他の実施形態)
次に、その他の実施形態について説明する。
【0087】
まず、前述の実施形態では、サンギア62のケース20への位置決め位置を、サンギア62の下側の円筒支持部62bの外周面62b1としたが、これに限定されず、サンギア62の外周表面に歯車を設けない平滑な面を設けてケース20に位置決め支持させるものであっても良い。例えば、こうした平滑な面をサンギア62の上側に設けても良い。
【0088】
また、サンギア62のギア径Lsよりも大きな円筒部を設けて、この円筒部でサンギア62のケース20への位置決めを行うようにしても良い。
【0089】
さらに、車両用視認装置の視認構造についても、前述の実施形態のミラーに限定されず、車両後方を確認できるものであれば、カメラ等であっても良い。
【産業上の利用可能性】
【0090】
以上説明したように、本発明は、電動格納ユニットを備えた車両用視認装置において有用である。
【符号の説明】
【0091】
1…サイドミラー装置(車両用視認装置)
U…電動格納ユニット
M…電動モータ
K…駆動機構
10…シャフト
20…ケース
62…サンギア
62b1…外周面
71…ドライブウォーム
図1
図2
図3
図4
図5
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図7
図8
図9