(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022182059
(43)【公開日】2022-12-08
(54)【発明の名称】電動工具
(51)【国際特許分類】
B25H 7/00 20060101AFI20221201BHJP
B25F 5/00 20060101ALI20221201BHJP
B25F 5/02 20060101ALI20221201BHJP
【FI】
B25H7/00 C
B25F5/00 H
B25F5/00 D
B25F5/02
【審査請求】有
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021089372
(22)【出願日】2021-05-27
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2022-10-03
(71)【出願人】
【識別番号】519157727
【氏名又は名称】マクセルイズミ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001726
【氏名又は名称】特許業務法人綿貫国際特許・商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】兵藤 圭太
【テーマコード(参考)】
3C064
【Fターム(参考)】
3C064AA20
3C064AB01
3C064AC02
3C064AC05
3C064AC08
3C064BA01
3C064BA02
3C064BA08
3C064BA12
3C064BA18
3C064BA32
3C064BA34
3C064BB10
3C064BB12
3C064BB17
3C064BB31
3C064BB62
3C064BB78
3C064BB86
3C064CA03
3C064CA06
3C064CA07
3C064CA24
3C064CA53
3C064CA60
3C064CA61
3C064CA85
3C064CB10
3C064CB17
3C064CB52
3C064CB62
3C064CB69
3C064CB70
3C064CB71
3C064CB86
3C064CB92
(57)【要約】
【課題】屋外や高所などにおいても作業性に優れており、従来品よりもコンパクトで使い勝手の良い構造の、ボルト穴の位置合わせに用いる電動工具を提供する。
【解決手段】電動工具1は、ボルト穴位置合わせピン55を掴むチャック8と、チャック8を牽引してボルト穴位置合わせピン55を引き込むピストン9が配されたシリンダ部4と、前記ピストン4を作動させる作動油をシリンダ部4に送液する油圧ポンプ7aと、油圧ポンプ7aを駆動するモータ7bとが配された本体部2と、前記シリンダ部4と前記本体部2とを連結して前記作動油を通す連結部3と、前記モータ7bに電力を供給する二次電池6を備えた構成である。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ボルト穴位置合わせピンを掴むチャックと前記チャックを牽引して前記ボルト穴位置合わせピンを引き込むピストンとが配されたシリンダ部と、前記ピストンを作動させる作動油を前記シリンダ部に送液する油圧ポンプと前記油圧ポンプを駆動するモータとが配された本体部と、前記シリンダ部と前記本体部とを連結して前記作動油を通す連結部と、前記モータに電力を供給する二次電池を備えること
を特徴とする電動工具。
【請求項2】
前記作動油を通す第1管路と第2管路が前記連結部に形成されており、前記第1管路は第1接続部にて前記本体部に接続されており、前記第2管路は第2接続部にて前記シリンダ部に接続されており、かつ、前記第1管路と前記第2管路とは管路接続部にて互いに接続されていること
を特徴とする請求項1記載の電動工具。
【請求項3】
前記連結部と前記本体部とは前記第1接続部を通る第1軸線周りに互いに回動可能に連結されていること
を特徴とする請求項2記載の電動工具。
【請求項4】
前記連結部と前記シリンダ部とは前記第2接続部を通る第2軸線周りに互いに回動可能に連結されており、前記シリンダ部と前記連結部との回動を規制し位置決めするクランプ部を備えること
を特徴とする請求項2または3記載の電動工具。
【請求項5】
前記シリンダ部は、前記本体部から離れる方向に第1ハンドルが配されていること
を特徴とする請求項1~4のいずれか一項記載の電動工具。
【請求項6】
前記シリンダ部は、前記連結部と逆向きの所定位置に吊り下げ用金具が配されていること
を特徴とする請求項1~5のいずれか一項記載の電動工具。
【請求項7】
前記本体部はアダプタを備え、前記二次電池は電池パックの状態で前記アダプタに接続されていること
を特徴とする請求項1~6のいずれか一項記載の電動工具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ボルト穴の位置合わせに用いる電動工具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、構造用金属部材を組み合わせるに際しボルト穴位置合わせピンを油圧力によって引っ張って矯正する装置が知られている(特許文献1:特公昭52-10285号公報)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1記載の装置は、油圧ポンプとシリンダ部とを油圧ホースで繋いでいるので装置の総重量が大きくなってしまい、可搬性に劣る。また、構造用鉄骨等の金属部材を屋外で組み合わせるに際し、商用電源がない場所で作業するときは発電機が必要になり、商用電源があったとしても電源コードが必要になるので、作業範囲が限定される。また一例として、都心などで足場を組む際には静音性が求められており、発電機の作動音は騒音になる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、上記事情に鑑みてなされ、屋外や高所などにおいても作業性に優れており、従来品よりもコンパクトで使い勝手の良い構造の、ボルト穴の位置合わせに用いる電動工具を提供することを目的とする。
【0006】
一実施形態として、以下に開示する解決策により、前記課題を解決する。
【0007】
本発明に係る電動工具は、ボルト穴位置合わせピンを掴むチャックと前記チャックを牽引して前記ボルト穴位置合わせピンを引き込むピストンとが配されたシリンダ部と、前記ピストンを作動させる作動油を前記シリンダ部に送液する油圧ポンプと前記油圧ポンプを駆動するモータとが配された本体部と、前記シリンダ部と前記本体部とを連結して前記作動油を通す連結部と、前記モータに電力を供給する二次電池を備えることを特徴とする。
【0008】
この構成によれば、電動工具に備わっている二次電池がモータに電力を供給し、モータが油圧ポンプを駆動し、油圧ポンプが連結部を通じて作動油をシリンダ部に送液し、シリンダ部がチャックを牽引してボルト穴位置合わせピンを引き込むので、電源コードおよび油圧ホースが不要になって作業範囲が拡大できる。よって、コンパクトで使い勝手の良い構造にできる。
【0009】
前記作動油を通す第1管路と第2管路が前記連結部に形成されており、前記第1管路は第1接続部にて前記本体部に接続されており、前記第2管路は第2接続部にて前記シリンダ部に接続されており、かつ、前記第1管路と前記第2管路とは管路接続部にて互いに接続されていることが好ましい。この構成によれば、最短経路で本体部におけるポンプ室とシリンダ部におけるピストン室とを繋ぐことができるので、送液効率をより一層高めることができる。
【0010】
前記連結部と前記本体部とは前記第1接続部を通る第1軸線周りに互いに回動可能に連結されていることが好ましい。この構成によれば、連結部を介して本体部とシリンダ部との位置が可変になって、位置合わせピンの位置や方向に合わせて本体部とシリンダ部との相対角度を調整できる。よって、作業性がより向上する。
【0011】
前記連結部と前記シリンダ部とは前記第2接続部を通る第2軸線周りに互いに回動可能に連結されており、前記シリンダ部と前記連結部との回動を規制し位置決めするクランプ部を備えることが好ましい。この構成によれば、クランプ部にてロックしてシリンダ部と連結部の緩みを防止しつつ、クランプ部にてロック解除してシリンダ部を第2軸線周りに回動可能にできるので、作業の安全性がより向上できる。一例として、前記クランプ部は、シリンダ部の回動を90度や45度等の規定角度でロック可能な構成である。一例として、前記クランプ部は、前記シリンダ部の凸部に嵌め合う凹部が形成されており、ロック状態を保持するバネが内蔵されており、かつ、前記バネの付勢力に抗して前記ロック状態を解除するツマミネジが配されている。これにより、クランプ部によるロック操作及びロック解除操作が片手でも容易にできる。
【0012】
前記第1軸線と前記第2軸線とは直交する関係または交差する関係にあるので、第1接続部における回動と第2接続部における回動とを組み合わせることでシリンダ部と本体部との相対位置の調整の自由度はさらに高くできるので、作業性がより一層向上する。一例として、前記連結部が前記第1接続部を通る第1軸線周りに回動可能に連結されており、かつ、前記連結部が前記第2接続部を通る第2軸線周りに回動可能に前記シリンダ部に連結されている構成である。これにより、本体部とシリンダ部との相対角度を二軸で自在に調整できるので、位置合わせピンの位置や方向に合わせて本体部とシリンダ部との相対角度をより広範囲に調整できる。よって、作業性がより一層向上する。一例として、前記シリンダ部は、前記ピストンの軸線に直交かつ前記第2管路を通る第2軸線周りに回動可能に前記連結部に連結されている構成である。これにより、送液経路における第2管路の長さを最短にできるとともに回動の際に必要な力も小さくて済む。一例として、前記本体部は、前記ピストンの軸線に平行かつ前記第1管路を通る第1軸線周りに回動可能に前記連結部に連結されている構成である。これにより、送液経路における第1管路の長さを最短にできるとともに回動の際に必要な力も小さくて済む。一例として、前記シリンダ部は、前記ピストンが後退し後端の出口から突出する構成にする場合がある。これにより、シリンダ部を小型かつ軽量にできる。一例として、前記シリンダ部は、前記ピストンが後退しても後端の出口から突出しない構成にする場合がある。これにより、作業の安全性がより高められる。
【0013】
一例として、前記シリンダ部は、前記本体部から離れる方向に第1ハンドルが配されている。この構成により、シリンダ部を小型かつ軽量にしつつ、第1ハンドルを持って作業できるので、作業の安全性がより高められる。また、屋外や高所などでの作業時間が長くなった場合は、リチウムイオン電池やニッケル水素電池等の二次電池を適用した電池パックを交換して作業時間を延長できる。電池パックは他の電動工具と共用することが可能であり、充電器も一台で対応できる。よって、作業現場に合わせた合理的な構成にできる。
【0014】
一例として、前記シリンダ部は、前記連結部と逆向きの所定位置に吊り下げ用金具が配されている。この構成により、落下防止用ロープなどを吊り下げ用金具に取り付けて作業する際に、吊り下げたときの重心バランスがよくなるので、屋外や高所などでの作業における安全性により配慮した構成にできる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、屋外や高所などにおいても作業性に優れており、従来品よりもコンパクトで使い勝手の良い構造の、ボルト穴の位置合わせに用いる電動工具が実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】
図1は本発明の実施形態に係る電動工具の例を示す概略の斜視図である。
【
図2】
図2は本実施形態の電動工具の使用態様において位置合わせピンを掴む直前の状態を示す概略の部分断面図である。
【
図3】
図3は本実施形態の電動工具の使用態様において位置合わせピンを掴んで牽引した状態を示す概略の部分断面図である。
【
図5】
図5Aは本実施形態に係るクランプ部の例を示す部分断面図であり、
図5Bは本実施形態に係るクランプ部の他の例を示す部分断面図である。
【
図6】
図6Aは本実施形態に係るクランプ部の例におけるロック解除状態を示す概略の部分拡大図であり、
図6Bは本実施形態に係るクランプ部の例におけるロック状態を示す概略の部分拡大図である。
【
図7】
図7Aは本実施形態に係る連結部の例を示す部分断面図であり、
図7Bは
図7Aにおける管路接続部の横断面図である。
【
図8】
図8は本実施形態に係る連結部の他の例を示す部分断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態について詳しく説明する。本実施形態は、橋梁、足場、建築構造物、その他既知の構造用鉄骨等の金属部材をボルト及びナットを用いて組み合わせるに際し、ボルト穴位置合わせピンを油圧力によって牽引する電動工具である。なお、実施形態を説明するための全図において、同一の機能を有する部材には同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する場合がある。
【0018】
図1~
図3は、本実施形態に係る電動工具1の例を示す概略の図である。電動工具1は、第1ハンドル21が配されたシリンダ部4と第2ハンドル22が配された本体部2とが連結部3にて連結された構成であり、現場で作業者が手に持って使用するコードレスタイプの工具である。ここで、電動工具1の各部の位置関係を説明し易くするため、図中にX,Y,Zの矢印で向きを示している。ピストン9は、第3軸線P3に沿って往復動する。つまり、ピストン9は、図中のY方向矢印の側に前進し、図中のY方向矢印の反対側に後退する。
【0019】
図2と
図3に示すように、ボルト穴位置合わせピン55は、中央がテーパ形状になって先端部の外径が後端部の外径よりも小さく設定された金属製の棒状部材であり、先端側に雄螺子が形成されている。構造用鉄骨等の金属部材51は、複数個所にボルト穴51aが形成されており、また、構造用鉄骨等の金属部材52は、複数個所にボルト穴52aが形成されている。これら金属部材51と金属部材52はいずれもサイズが大きいために温度差等による熱膨張度合いの違いや加工精度等の影響で、
図2に示すように、ボルト穴51aとボルト穴52aとの位置ずれが生じる。そこで、ボルト穴位置合わせピン55をボルト穴51a及びボルト穴52aのうちの数カ所(2~4箇所)に所定間隔で挿入する。
【0020】
次に、
図3に示すように、電動工具1でボルト穴位置合わせピン55の先端側を掴みつつ手前側に牽引することでボルト穴51a及びボルト穴52aの位置を矯正する。その後、矯正によって所望の位置になったボルト穴51a及びボルト穴52aを、ボルト53及びナット54で締結する。そして、締結作業の進行状況に応じて、電動工具1でボルト穴位置合わせピン55をさらに牽引して引き抜く。引き抜いた後、矯正されて所望の位置になったボルト穴51a及びボルト穴52aをボルト53及びナット54にて締結する。すべてのボルト穴51a及びボルト穴52aにボルト53及びナット54が配設された状態で増し締めする。
【0021】
図7Aは可動式の連結部3の例を示す部分断面図である。
図7Bは第1管路11と管路接続部13を通る第1軸線P1にて管路接続部13をZ方向矢印方向に視た断面図である。
図7Aと
図7Bに示すように、連結部3は、作動油を送液する第1管路11と、管路接続部13を介して第1管路11に接続された第2管路12と、第1管路11と第2管路12とを接続する管路接続部13が形成されている。一例として、管路接続部13は、円環形状の第1流路13aと当該第1流路13aを前後方向で直線状に繋ぐ第2流路13bとからなる。第1管路11は第1流路13aに接続されており、第2管路12は第2流路13bに接続されている。また、連結部3と本体部2とは第1接続部11aにて連結されており、連結部3とシリンダ部4とは第2接続部12aにて連結されている。第1管路11は、油圧ポンプ7aに近い一次側が大径となっており、管路接続部13に近い二次側が小径となっている。これにより、効率的に作動油の油圧を上昇させて送液することができる。
【0022】
本体部2は、金属製または金属と樹脂とを組み合わせた構成の筐体2aを有する。本体部2は、シリンダ部4のピストン室4bへ作動油を送液する油圧ポンプ7aと、油圧ポンプ7aを駆動するモータ7bと、モータ7bを制御する制御回路7cが内蔵されている。モータ7b及び制御回路7cは二次電池6から供給される電力にて作動する。二次電池6が構成された電池パックは、本体部2の第2ハンドル22に直結したアダプタ5に脱着可能に接続されている構成である。二次電池6は、一例として電池パックの状態でスライド嵌合など既知の取付構造にてアダプタ5に取り付けられる。二次電池6としては、リチウムイオン電池やニッケル水素電池等が適用できる。
【0023】
シリンダ部4は、ボルト穴位置合わせピン55を掴む金属製でコレット型のチャック8と、チャック8を牽引するピストン9とが収容されている。チャック8は、軸方向にスリットが3個所ないしは4箇所形成されており、コレットにおける各爪部の内周側には、ボルト穴位置合わせピン55の雄螺子に対応した雌螺子が形成されている。ボルト穴位置合わせ作業は、
図2に示すように、シリンダ部4の入口4aにボルト穴位置合わせピン55を挿入する。そして第1ハンドル21の上側の中間部に配設された起動スイッチ2cを押釦し、制御回路7cの制御にてモータ7bを作動させてモータ7bに連結した油圧ポンプ7aからピストン室4bに作動油を送液する。作動油がピストン室4bに送液されると、
図3に示すように、ピストン9がシリンダ部4の出口4cから一部が突出するように動いてチャック8の先端部を締めつつ後方側に牽引する。
【0024】
シリンダ部4は、チャック8およびピストン9を通る第3軸線P3に対して本体部2から離れる方向に傾斜した第1ハンドル21が配されている。グリップ形状の第2ハンドル22は、筐体2aの一部を構成しており、アダプタ5が接続されている。第2ハンドル22は、アダプタ5との接続側に向かって連結部3から離れるように傾斜している。ローラ状の把持部を有する第1ハンドル21は、シリンダ部4の後方外側面の両側に把持部を支持する各アームが固定されており、ピストン9が突き出る出口4cの位置を外しつつ把持部側が本体部2から離れるように傾斜している。
【0025】
第1軸線P1は第1管路11、第1接続部11a、油圧ポンプ7aおよびモータ7bを通る。第2軸線P2は第2管路12、第2接続部12aおよびピストン室4bを通る。第3軸線P3はチャック8およびピストン9を通る。一例として、第1管路11と第2管路12とは直交している。少なくとも第1管路11と第2管路12とは交差している。一例として、第1軸線P1と第2軸線P2とは直交している。少なくとも第1軸線P1と第2軸線P2とは交差している。一例として、第1軸線P1と第3軸線P3とは平行である。第4軸線P4は第2ハンドル22における把持部の中心と管路接続部13とを通る。そして、第4軸線P4は第1軸線P1、第2軸線P2、第3軸線P3および第5軸線P5のすべてと交差している。また、第5軸線P5は第1ハンドル21における把持部の中心と管路接続部13とを通る。そして、第5軸線P5は第1軸線P1、第2軸線P2、第3軸線P3および第4軸線P4のすべてと交差している。
【0026】
第1ハンドル21における把持部と、第2ハンドル22における把持部とはY方向矢印の逆向きの後方側に向かって互いに離れるようにそれぞれ傾斜して配設されている。
図2に示すように、一例として、第2軸線P2と第4軸線P4とが交差する角度K2は30度以上60度以下に設定される。また、一例として、第3軸線P3と第5軸線P5とが交差する角度K1は30度以上60度以下に設定される。
【0027】
図4Aは電動工具1の概略の左側面図であり、
図4Bは電動工具1の概略の正面図であり、
図4Cは電動工具1の概略の右側面図である。シリンダ部4は、第2接続部12aを通る第2軸線P2周りに、C1方向に180度回動可能に連結部3に連結されている。本体部2は、第1接続部11aを通る第1軸線P1周りに、C2方向に360度回動可能に連結部3に連結されている。第1接続部11aにおけるC2方向の回動と、第2接続部12aにおけるC1方向の回動とを組み合わせることで、シリンダ部4と本体部2との相対位置の調整の自由度はさらに高くなって作業性がより向上する。
【0028】
図1と
図2の例では、シリンダ部4は、連結部3と逆向きの所定位置に吊り下げ用金具29aと吊り下げ用金具29bとが所定間隔で配されている。吊り下げ用金具29aと吊り下げ用金具29bは落下防止用ロープを取付けるために、いずれもシリンダ部4の上面側に配されている。これにより、落下防止用ロープなどを吊り下げ用金具に取り付けて作業する際に、吊り下げたときの重心バランスがよくなるので、屋外や高所などでの作業における安全性により配慮した構成にできる。吊り下げ用金具29aと吊り下げ用金具29bは、一例として、アイボルトまたはアイナットである。
【0029】
一例として、シリンダ部4は、棒形状の持ち手を取付可能なネジ穴4eが左側面側に配されており、また、棒形状の持ち手を取付可能なネジ穴4fが右側面側に配されている。これにより、例えば手が小さな作業者が作業するに際して、利き手に応じて棒形状の持ち手を取付けることで、シリンダ部4における持ち手を持って作業することができるので、作業者の体格に依らず使い勝手がよい構成にできる。
図1と
図2の例では、第2軸線P2をZ方向にしてシリンダ部4を上側にしたときに、第1ハンドル21は重心直下に設けられており、第2ハンドル22は重心から離れた位置に設けられている。吊り下げ用金具29aは第1ハンドル21の前の位置に配されており、吊り下げ用金具29bは第1ハンドル21の後の位置に配されている。また、吊り下げ用金具29aは油圧ポンプ7aの前の位置に配されており、吊り下げ用金具29bは油圧ポンプ7a後の位置に配されている。この構成により、第1ハンドル21で本体部2を持ちながら第2ハンドル22でシリンダ部4を持つ際に、両手で持ち易い配置関係が維持される。つまり、重心バランスがよくなるので、第1ハンドル21と第2ハンドル22を持って作業することが容易にできる。
【0030】
本実施形態は、シリンダ部4の回動を規制するクランプ部24を有する。クランプ部24は、第2軸線P2を通ってシリンダ部4から下向きに突出した凸部4dに嵌め合う凹部24cが形成されている。凹部24cは、凸部4dの外形に適合する切欠き形状になっている。
図5Aは回動式のクランプ部24の例を示す部分断面図である。クランプ部24は、連結部3の外形に合わせた四角枠形状であり、連結部3をX方向に貫通するシャフト24aに支持された状態で、シリンダ部4と嵌め合い可能に連結されている。
図5Aの例は、シャフト24aに対してクランプ部24を下向きに回動させてロック解除し、シリンダ部4を動かすことで、バネ24dの復元力によってクランプ部24を上向きに回動させてシリンダ部4の回動を45度や90度等の規定角度でロック可能な構成である。
【0031】
図5Bはスライド式のクランプ部の例を示す部分断面図である。クランプ部24は、連結部3の外形に合わせた四角枠形状であり、連結部3をX方向に貫通するシャフト24aに支持された状態で、シリンダ部4と嵌め合い可能に連結されている。
図5Bの例は、シャフト24aに対してクランプ部24をガイド穴24eに沿って下向きにスライドさせてロックを解除し、シリンダ部4を動かすことで、バネ24dの復元力によってクランプ部24を上向きにスライドさせてシリンダ部4の回動を45度や90度等の規定角度でロック可能な構成である。
【0032】
一例として
図6Aに示すように、クランプ部24を、凸部4dから凹部24cが外れる位置まで、E1方向に回動させることで、ロックが解除される。そして、
図6Bに示すように、クランプ部24を、凸部4dに凹部24cが嵌め合う位置まで、E2方向に回動させると、ロックされる。クランプ部24には、ロック状態を保持するバネ24dが内蔵されている。また、バネ24dの付勢力に抗してロック状態を解除するツマミネジ24bが配されている。一例として、バネ24dは圧縮コイルバネである。この構成により、ロックの操作が片手でも容易にできる。そして、ロックしてシリンダ部4と連結部3の緩みを防止しつつ、ロックを解除してシリンダ部4を回動可能にできるので、作業の安全性がより向上できる。
【0033】
図7Aは可動式の連結部3の例を示す部分断面図であり、
図7Bは管路接続部13の横断面図である。上述のとおり、可動式の連結部3にすることで、シリンダ部4と本体部2との相対位置がより自由に調整可能な構成にできる。
【0034】
図8は固定式の連結部31の例を示す部分断面図である。固定式の連結部31の場合、管路接続部23は
直交する第1管路11と第2管路12とを円形状など単純な形状で接続しており、シリンダ部4と本体部2との間隔を縮めてよりコンパクトな構成にできる。
【0035】
上述の例では、構造用鉄骨等の金属部材51と金属部材52とを組み合わせるに際しボルト穴位置合わせピン55を引っ張って金属部材51と金属部材52との連結位置を矯正する場合について説明したが、この例に限定されない。本実施形態は、橋梁、足場、建築構造物、建設機械、その他既知の構造用金属部材を組み合わせる際のボルト穴の位置合わせなどに広く適用できる。また、上述の例では、本体部2に着脱可能に二次電池6が電池パックの状態で取り付けられている構成を説明したが、この例に限定されない。本実施形態は、二次電池6が内蔵されている構成や、これらを組み合わせた構成にする場合がある。
【0036】
本発明は、以上説明した実施例に限定されることなく、本発明を逸脱しない範囲において種々変更が可能である。
【符号の説明】
【0037】
1 電動工具
2 本体部、2a 筐体、2c 起動スイッチ
3 連結部
4 シリンダ部、4a 入口、4b ピストン室、4c 出口、4d 凸部
5 アダプタ
6 二次電池(電池パック)
7a 油圧ポンプ、7b モータ、7c 制御回路
8 チャック
9 ピストン
11 第1管路、11a 第1接続部
12 第2管路、12a 第2接続部
13 管路接続部
21 第1ハンドル
22 第2ハンドル
24 クランプ部、24a シャフト、24b ツマミネジ、24c 凹部、24d バネ
29a、29b 吊り下げ用金具
51 金属部材、51a ボルト穴
52 金属部材、52a ボルト穴
53 ボルト
54 ナット
55 位置合わせピン
P1 第1軸線
P2 第2軸線
P3 第3軸線
P4 第4軸線
P5 第5軸線