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特開2022-182083情報処理プログラム、強調表示方法、及び情報処理装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022182083
(43)【公開日】2022-12-08
(54)【発明の名称】情報処理プログラム、強調表示方法、及び情報処理装置
(51)【国際特許分類】
   G06F 3/01 20060101AFI20221201BHJP
   G06F 3/0481 20220101ALI20221201BHJP
   G07D 11/60 20190101ALI20221201BHJP
【FI】
G06F3/01 510
G06F3/0481
G07D11/60
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021089409
(22)【出願日】2021-05-27
(71)【出願人】
【識別番号】000237639
【氏名又は名称】富士通フロンテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121083
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 宏義
(74)【代理人】
【識別番号】100138391
【弁理士】
【氏名又は名称】天田 昌行
(74)【代理人】
【識別番号】100074099
【弁理士】
【氏名又は名称】大菅 義之
(72)【発明者】
【氏名】久岡 武志
(72)【発明者】
【氏名】八木澤 英樹
(72)【発明者】
【氏名】植田 悠介
【テーマコード(参考)】
3E141
5E555
【Fターム(参考)】
3E141BA07
3E141EA01
3E141FJ02
3E141FJ05
5E555AA08
5E555AA54
5E555AA57
5E555BA32
5E555BA38
5E555BB32
5E555BB38
5E555CA42
5E555CB65
5E555DB41
5E555DC31
5E555DD08
5E555FA00
(57)【要約】
【課題】操作画面に表示された重要事項の確認の読み飛ばしを抑止することができる情報処理プログラムを提供すること。
【解決手段】情報処理プログラムは、操作者の視線に対応する視線座標データを取得し、取得した前記視線座標データに対応する取得文字数を算出し、算出した前記取得文字数が予め定められた基準文字数を満たさない場合に、前記視線座標データと予め定められた基準座標データとの差分に基づいて未確認座標データを算出し、算出した前記未確認座標データに対応する領域を強調表示する処理をコンピュータに実行させることを特徴とする。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
操作者の視線に対応する視線座標データを取得し、
取得した前記視線座標データに対応する取得文字数を算出し、
算出した前記取得文字数が予め定められた基準文字数を満たさない場合に、前記視線座標データと予め定められた基準座標データとの差分に基づいて未確認座標データを算出し、
算出した前記未確認座標データに対応する領域を強調表示する
処理をコンピュータに実行させることを特徴とする情報処理プログラム。
【請求項2】
算出した前記取得文字数が前記基準文字数を満たす場合に、次の取引へ遷移する処理をコンピュータに実行させる
ことを特徴とする請求項1に記載の情報処理プログラム。
【請求項3】
算出した前記取得文字数が前記基準文字数を満たさない場合に、未視認の個所があることを示すメッセージを前記操作者に報知させる処理をコンピュータに実行させる
ことを特徴とする請求項1または2に記載の情報処理プログラム。
【請求項4】
算出した前記未確認座標データに基づいて、前記メッセージを前記操作者に報知させる処理をコンピュータに実行させる
ことを特徴とする請求項3に記載の情報処理プログラム。
【請求項5】
前記視線座標データに対応する前記基準座標データに基づき項目を決定し、決定した前記項目ごとに、前記視線座標データに対応する前記取得文字数を算出させる処理をコンピュータに実行させる
ことを特徴とする請求項1~4のうち何れかに記載の情報処理プログラム。
【請求項6】
前記基準座標データに対する前記視線座標データの割合に基づいて、前記視線座標データに対応する前記取得文字数を算出させる処理をコンピュータに実行させる
ことを特徴とする請求項1~5のうち何れかに記載の情報処理プログラム。
【請求項7】
コンピュータによって実行される強調表示方法であって、
前記コンピュータが、
操作者の視線に対応する視線座標データを取得し、
取得した前記視線座標データに対応する取得文字数を算出し、
算出した前記取得文字数が予め定められた基準文字数を満たさない場合に、前記視線座標データと予め定められた基準座標データとの差分に基づいて未確認座標データを算出し、
算出した前記未確認座標データに対応する領域を強調表示する
ことを特徴とする強調表示方法。
【請求項8】
操作者の視線に対応する視線座標データを取得する視線座標取得部と、
取得した前記視線座標データに対応する取得文字数を算出する取得文字数算出部と、
算出した前記取得文字数が予め定められた基準文字数を満たさない場合に、前記視線座標データと予め定められた基準座標データとの差分に基づいて未確認座標データを算出し、
算出した前記未確認座標データに対応する領域を強調表示する強調表示部と、
を備えることを特徴とする情報処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理プログラム、強調表示方法、及び情報処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ATM(Automatic Teller Machine)やPC(Personal Computer)などの情報処理装置において、取引を行う場合には、操作者は、操作画面に表示された取引に関する入力値、警告、注意事項等の重要事項を目視にて確認する必要がある。
【0003】
操作者に、重要事項を確認させるために、操作画面に確認キーを設けて確認キーの押下させることにより、利用者に重要事項の確認を促す情報処理装置(ATM)の技術が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005-134945号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、情報処理装置において、重要事項の確認を操作者の目視に依存した場合には、操作画面に表示された重要事項の内容を操作者が読み飛ばしたり、内容の確認を怠ったりするケースが発生する。
【0006】
この結果、重要事項として利用手数料が発生する旨の案内をしているにも関わらず、操作者が気付かずに、クレームを受ける要因が発生することとなる。また、重要事項として入力された振込の宛先の入力ミスに気付かずに振込処理が実行され、別途キャンセルする処理等に煩わされ、時間やコストが発生することとなる。
【0007】
本発明は、上述課題に鑑み、操作画面に表示された重要事項の確認の読み飛ばしを抑止することができる情報処理プログラム、強調表示方法、及び情報処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述目的を達成するために、本発明の情報処理プログラムは、操作者の視線に対応する視線座標データを取得し、取得した前記視線座標データに対応する取得文字数を算出し、算出した前記取得文字数が予め定められた基準文字数を満たさない場合に、前記視線座標データと予め定められた基準座標データとの差分に基づいて未確認座標データを算出し、算出した前記未確認座標データに対応する領域を強調表示する処理をコンピュータに実行させることを特徴とする。
【0009】
また、本発明のコンピュータによって実行される強調表示方法は、前記コンピュータが、操作者の視線に対応する視線座標データを取得し、取得した前記視線座標データに対応する取得文字数を算出し、算出した前記取得文字数が予め定められた基準文字数を満たさない場合に、前記視線座標データと予め定められた基準座標データとの差分に基づいて未確認座標データを算出し、算出した前記未確認座標データに対応する領域を強調表示することを特徴とする。
【0010】
また、本発明の情報処理装置では、操作者の視線に対応する視線座標データを取得する視線座標取得部と、取得した前記視線座標データに対応する取得文字数を算出する取得文字数算出部と、算出した前記取得文字数が予め定められた基準文字数を満たさない場合に、前記視線座標データと予め定められた基準座標データとの差分に基づいて未確認座標データを算出し、算出した前記未確認座標データに対応する領域を強調表示する強調表示部と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、操作画面に表示された重要事項の確認の読み飛ばしを抑止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の実施形態に係る情報処理装置の外観構成の一例を説明する図である。
図2】本発明の実施形態に係る情報処理装置のハードウェア構成の一例を示す図である。
図3】強調表示処理に係る情報処理装置の機能ブロックの一例を示す図である。
図4】記憶部に記憶されている文字座標テーブルの一例である。
図5】表示部に表示される操作画面の一例を示す図である。
図6】表示部に表示される操作画面の一例を示す図である。
図7】コンピュータにより実行される強調表示処理の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態について、詳細に説明する。
【0014】
図1は、本発明の実施形態に係る情報処理装置1の外観構成の一例を説明する図である。図1に示す情報処理装置1は、例えば、銀行、コンビニエンスストア、スーパーマーケット、駅や空港のコンコースなどに設置されたATMなどの自動取引装置である。
【0015】
このような情報処理装置1では、情報処理装置1で金融取引等の取引を行う人、すなわち、操作者が、情報処理装置1の表示部22の操作画面2に表示された重要事項を確認する操作を行う。情報処理装置1でこのような取引を行う場合には、操作者に対し、取引に関する重要事項を目視で確認してもらう必要があるが、操作画面に表示された重要事項の内容を操作者が読み飛ばしたり、内容の確認を怠ったりするケースが発生する。そこで、操作画面に表示された重要事項の確認の読み飛ばしを抑止するために、本実施形態の情報処理装置1は、装置正面に撮像部27としてのカメラを配置している。
【0016】
図2は、本発明の実施形態に係る情報処理装置1のハードウェア構成の一例を示す図である。情報処理装置1は、制御部20、記憶部21、表示部22、入力部23、カード処理部24、紙幣処理部25、硬貨処理部26、撮像部27、及び音声出力部28を有する。
【0017】
制御部20は、情報処理装置1の全体を統括的に制御するもので、制御プログラムを読込んだCPU(Central Processing Unit)のソフトウェア処理により実現される。記憶部21は、例えばSSD(Solid State Drive)、HDD(Hard Disk Drive)などであり、制御プログラムや表示部22に表示される操作画面の画面データや各種データを記憶する。情報処理装置1は、コンピュータとして実現され得る。
【0018】
制御部20は、キャッシュカードがカード処理部24に挿入されたことを検出すると、表示部22に、情報処理装置1により金融取引等の取引を行う者、すなわち、操作者に重要事項の項目を確認させる操作画面2を表示する。実施形態では、表示部22は、タッチパネルディスプレイであるものとする。表示部22に表示される操作画面2の詳細については後述する。
【0019】
表示部22は、図1に示すように、金融取引等の取引の重要事項の確認を操作者に促す操作画面2や暗証番号を入力させる操作画面2を表示する。入力部23は、操作者からの指示を受け付けて、指示内容を制御部20に通知する。入力部23はタッチパネルディスプレイであり、表示部22と一体的に構成される。
【0020】
カード処理部24は、操作者が挿入したキャッシュカードのカード情報を読取り、読取ったカードの情報を制御部20に通知する。カードは、磁気カードあるいはICカードいずれでも良い。カード処理部24は、磁気カードの場合には、MS(Magnetic Stripe)データを読取り、読取ったMSデータを、制御部20に通知する。また、ICカードの場合には、ICチップからデータを読取り、読取ったICチップのデータを、制御部20に通知する。
【0021】
紙幣処理部25は、入金時には操作者から入金された紙幣を内部の紙幣収納部に格納し、出金時には内部の紙幣収納部から所定枚数の紙幣を繰出し出金する。硬貨処理部26は、入金時には操作者から入金された硬貨を内部の硬貨収納部に格納し、出金時には内部の硬貨収納部から所定枚数の硬貨を繰出し出金する。
【0022】
撮像部27は、操作画面2を操作する操作者の視線を検知するためのカメラである。撮像部27は、制御部20の制御に基づき、情報処理装置1を操作する操作者の視線を検知する。撮像部27は、操作画面2に表示されている重要事項に含まれる文字の位置に対する操作者の視線を検知する。
【0023】
撮像部27は、赤外線を撮影することができる赤外線カメラと、赤外線LED(light emitting diode)と、を備える。撮像部27は、赤外線LEDで操作者の顔を照らして、赤外線カメラで操作者の目を撮像する。撮像部27は、赤外線LEDを照らしてできた反射光の角膜上の位置(以下、「角膜反射」と称する)を基準点とし、瞳孔を動点として、角膜反射の位置に対する瞳孔の位置に基づいて、視線を検出する。
【0024】
例えば、左目の角膜反射よりも瞳孔が目じり側にあれば、撮像部27は、操作者は操作画面2の左側を見ていることを検出する。これに対して、角膜反射よりも瞳孔が目頭側にあれば、撮像部27は、操作者は操作画面2の右側を見ていることを検出する。
【0025】
上述の実施形態では、撮像部27はそれぞれ、赤外線カメラと、赤外線LEDと、を備え、赤外線LEDを照らしてできた角膜反射を基準点とし、瞳孔を動点として、角膜反射の位置に対する瞳孔の位置に基づいて視線を検出しているがこれに限られるものではない。例えば、撮像部27は、可視光を撮影する可視光カメラを備え、目頭を基準点とし、虹彩を動点として、目頭に対する虹彩の位置に基づいて、視線を検出することもできる。また、撮像部27は、鼻位置など顔の特徴点を起点として顔向きを判断し、目頭と目じりで目の範囲を把握し、さらに白目と黒目の割合から視線を検出しても良い。
【0026】
制御部20は、撮像部27が取得した操作者の視線に基づいて、操作者の視線に対応する視線座標データを取得する。音声出力部28は、例えばスピーカなどであり、入力部23による入力時に制御部20の制御に基づき音を発生する。
【0027】
図3は、強調表示処理に係る情報処理装置の機能ブロックの一例を示す図である。情報処理装置1の制御部20は、視線座標取得部31、取得文字数算出部32、未確認座標算出部33、強調表示部34、取引遷移部35、及び報知部36を備える。制御部20は、図3に示していない他の構成要素を含んでいてもよい。情報処理装置1の記憶部21は、文字座標テーブル41を備える。記憶部21は、図3に示していない他の情報を含んでいてもよい。文字座標テーブルの詳細については、後述の図4を参照して説明する。
【0028】
視線座標取得部31は、撮像部27が検出した操作者の視線に対応する視線座標データを取得する。視線座標取得部31は、記憶部21に記憶されている文字座標テーブル41を参照して、取得した視線座標データに対応する項目を基準座標データに基づいて決定する。視線座標データの情報は、操作者の視線に対応する操作画面2上の2次元の座標により表される。視線座標データは、操作者の視線に対応する座標データである。視線座標データは、3次元の座標やベクトル表示により表してもよい。視線座標データは、項目ごとに異なる座標により表される。文字座標テーブル41には、視線座標取得部31が取得した、撮像部27が検出した操作者の視線に対応する視線座標データが記憶される。項目の情報は、各画面名に対応する操作画面2において、操作者が確認すべき重要事項の文字が含まれる領域を一意に識別するための識別記号である。
【0029】
取得文字数算出部32は、視線座標取得部31が取得した視線座標データに対応する取得文字数を算出する。取得文字数算出部32は、算出した取得文字数の情報を記憶部21の文字座標テーブル41に記憶する。取得文字数の情報は、視線座標取得部31が取得した視線座標データに対応する取得文字数の情報である。取得文字数は、取得文字数算出部32が算出する。すなわち、取得文字数は、各項目において操作者が確認した文字数の情報である。
【0030】
例えば、取得文字数算出部32は、記憶部21に記憶されている文字座標テーブル41を参照して、視線座標データに対応する基準座標データに基づき項目を決定する。具体的には、取得文字数算出部32は、文字座標テーブル41を参照して、視線座標データが含まれる基準座標データを探索する。探索した結果、取得文字数算出部32は、視線座標データが含まれる基準座標データに対応する項目を決定する。基準座標データは、操作画面2における各項目の領域を表す座標の情報である。基準座標データは、操作画面2上の2次元の座標により表される。視線座標データは、3次元の座標やベクトル表示により表してもよい。基準座標データは、操作画面2における項目の領域を設定する。基準座標データは、項目ごとに異なる座標により表される。
【0031】
取得文字数算出部32は、決定した項目ごとに、視線座標データに対応する取得文字数を算出する。取得文字数算出部32は、基準座標データに対する視線座標データの割合に基づいて、視線座標データに対応する取得文字数を算出する。例えば、取得文字数算出部32は、基準座標データに含まれる視線座標データの割合を算出する。取得文字数算出部32は、算出した割合と、決定した項目に対応する設定文字数と、に基づいて取得文字数を算出する。設定文字数の情報は、各項目に表示される文字の文字数が設定されている。すなわち、設定文字数には、各項目において操作者が確認すべき文字の最大数が設定される。
【0032】
具体的には、予め視線座標データと取得文字数との関係が対応しており、取得された視線座標データの量に比例して、取得文字数が算出される。取得文字数算出部32は、算出した取得文字数の情報を決定した項目に対応する取得文字数として文字座標テーブル41に記憶する。
【0033】
なお、項目a1に関し、基礎座標データに含まれる視線座標データの割合が50%である場合、すなわち、操作者が項目に対応する基準座標データにより設定される領域の50%まで視認された場合には、取得文字数算出部32は、項目a1に対応する設定文字数「250」に対する割合「50%」を乗じた値「125」を取得文字数として算出してもよい。
【0034】
未確認座標算出部33は、文字座標テーブル41を参照して、取得した各項目の取得文字数と基準文字数とを比較する。基準文字数の情報は、各項目において操作者が確認すべき文字の文字数のうち、操作者が確認したと推定できる文字数が設定される。基準文字数は、設定文字数以下の情報が設定される。
【0035】
未確認座標算出部33は、比較した結果、算出した取得文字数が予め定められた基準文字数を満たすか否か、すなわち、各項目の取得文字数は基準文字数以上であるか否かを判定する。
【0036】
未確認座標算出部33は、算出した取得文字数が予め定められた基準文字数を満たさない、すなわち、各項目の取得文字数は基準文字数未満である場合に、視線座標データと予め定められた基準座標データとの差分に基づいて未確認座標データを算出する。
【0037】
強調表示部34は、未確認座標算出部33が算出した未確認座標データに対応する領域を強調表示する。強調表示とは、蛍光色、網掛け、点滅など、操作者が未確認の個所を目立つように表現する処理を含む。
【0038】
強調表示部34が、未確認座標データに対応する領域に対し強調表示を行うことにより、操作画面2に表示された重要事項を含む文字を含む領域に対し、網掛け処理を実行することができる。これにより、操作者は確認していない未視認の重要事項の領域を容易に把握することができる。その結果、操作画面2に表示された重要事項の確認の読み飛ばしを抑止することができる。
【0039】
取引遷移部35は、算出した取得文字数が基準文字数を満たす場合に、次の取引へ遷移する。遷移した結果、取引が終了するまでの間、取引遷移部35は、次の取引へ遷移する処理を実行する。これにより、取引遷移部35は、算出した取得文字数が基準文字数を満たさない場合には、取引を遷移させずに処理を待機するため、操作者が操作画面2に表示された重要事項の内容を操作者が読み飛ばしたり、内容の確認を怠ったりするケースの発生を抑止することができる。
【0040】
この結果、重要事項として利用手数料が発生する旨の案内をしているにも関わらず、操作者が気付かずに、クレームを受ける要因が発生することを抑止することができる。また、重要事項として入力された振込の宛先の入力ミスに気付かずに振込処理が実行され、別途キャンセルする処理等に煩わされ、時間やコストが発生することを抑止することができる。
【0041】
報知部36は、算出した取得文字数が基準文字数を満たさない場合、すなわち、各項目の取得文字数は基準文字数未満である場合に、未視認の領域があることを示すメッセージを操作者に報知する。算出した取得文字数が基準文字数を満たさない場合には、報知部36が、操作者に対し未視認のある領域があることを操作者に対し報知することで、操作者は確認していない未確認の重要事項があることを容易に把握することができる。その結果、操作画面2に表示された重要事項の確認の読み飛ばしを抑止することができる。この場合、報知部36は、文字座標テーブル41を参照して、算出した未確認座標データに基づいて、メッセージを操作者に報知する。
【0042】
図4は、記憶部21に記憶されている文字座標テーブル41の一例である。文字座標テーブル41には、画面名、及び項目の情報に対応して、基準座標データ、設定文字数、基準文字数、視線座標データ、及び取得文字数の情報が記憶される。文字座標テーブル41に記憶される情報のうち、画面名、項目、基準座標データ、設定文字数、及び基準文字数の情報は予め記憶されている情報である。文字座標テーブル41に記憶される情報のうち、視線座標データ、及び取得文字数の情報は、強調表示処理の実行に基づき適宜記憶される情報である。
【0043】
画面名の情報は、取引の遷移状態に応じて表示される操作画面2の種別を識別するための識別記号である。画面名の情報に対応して、例えば、後述の図5図6で説明するカードローンの申し込み画面や、振込画面の種別が識別される。
【0044】
図5図6は、表示部に表示される操作画面2の一例を示す図である。図5においては、操作画面2として、カードローン取引におけるカードローンの申し込み画面が表示されている。図5のカードローンの申し込み画面は、画面Aに対応する操作画面2の一例である。図6においては、操作画面2として、振込処理における振込画面が表示されている。図6の操作画面2は、画面Bに対応する操作画面2の一例である。
【0045】
図5(1)に示すように、表示部22の操作画面2には、画面名Aに対応する項目の領域として、a1、a2、及び、確認ボタン51が設定されている。項目a1、及び項目a2の領域には、それぞれカードローン取引において操作者が確認すべき文字が含まれている。
【0046】
強調表示処理が実行され、操作者により確認ボタン51が押下された場合に、項目a1の領域において取得された視線座標データの量に対応する取得文字数が基準文字数と比較した結果、項目a1に対応する算出した取得文字数が基準文字数に満たない場合には、制御部20は、視線座標データと基準座標データとの差分に基づいて未確認座標データを算出する。そして、制御部20は、図5(2)に示すように、算出した未確認座標データに対応する領域c1を強調表示する。図5(2)の例では、領域c1は、網掛けにより強調表示が行われている。これにより、操作者は確認していない未視認の重要事項の領域c1を容易に把握することができる。その結果、操作画面2の項目a1に表示された重要事項の確認の読み飛ばしを抑止することができる。
【0047】
また、制御部20は、項目a1の取得文字数は基準文字数未満である場合、未視認の領域があることを示すメッセージ61を操作画面2へ表示することにより操作者に報知する。その結果、操作画面2に表示された重要事項の確認の読み飛ばしを抑止することができる。
【0048】
図5と同様に、図6(1)に示すように、表示部22の操作画面2には、画面名Bに対応する項目の領域として、b1、b2、b3及び、確認ボタン51が設定されている。項目a1、及び項目a2の領域には、それぞれカードローン取引において操作者が確認すべき文字が含まれている。
【0049】
強調表示処理が実行され、操作者により確認ボタン51が押下された場合に、項目b2の領域において取得された視線座標データの量に対応する取得文字数が基準文字数と比較した結果、算出した取得文字数が基準文字数に満たない場合には、制御部20は、項目b2に対応する視線座標データと基準座標データとの差分に基づいて未確認座標データを算出する。そして、制御部20は、図6(2)に示すように、算出した未確認座標データに対応する領域c2を強調表示する。図6(2)の例では、領域c2は、網掛けにより強調表示が行われている。これにより、操作者は確認していない未視認の重要事項の領域c2を容易に把握することができる。その結果、操作画面2の項目b2に表示された重要事項の確認の読み飛ばしを抑止することができる。
【0050】
また、制御部20は、項目b2の取得文字数は基準文字数未満である場合、未視認の領域があることを示すメッセージ62を操作画面2へ表示することにより操作者に報知する。その結果、操作画面2に表示された重要事項の確認の読み飛ばしを抑止することができる。
【0051】
上述した情報処理装置1における全体の動作体系及び各部の機構的構成において、実施形態に係る強調表示処理を説明する。
【0052】
図7は、コンピュータにより実行される強調表示処理の一例を示すフローチャートである。はじめに、制御部20は、強調対象の取引画面3が表示部34に表示されたか否かを判定する(ステップS11)。強調対象の取引画面3が表示部34に表示されない場合(ステップS11)には、処理は待機となる。強調対象の取引画面3が表示部34に表示された場合(ステップS11:YES)には、制御部20は、撮像部27を制御して操作者の視線の検知を開始する。なお、ステップS12による操作者の視線の検知は、取引開始から継続して行われていてもよい。
【0053】
制御部20は、検知した視線に対応する視線座標データを取得する(ステップS13)。制御部20は、記憶部21に記憶されている文字座標テーブル41を参照して、取得した視線座標データに対応する項目を基準座標データに基づき決定する(ステップS14)。
【0054】
制御部20は、決定した項目に対応する視線座標データを文字座標テーブル41に記憶する(ステップS15)。制御部20は、操作画面2に表示された確認ボタン51が押下されたか否かを判定する(ステップS16)。確認ボタン51が押下されていない場合(ステップS16:NO)には、処理はステップS13に戻り、確認ボタンが押下されるまでの間、視線に対応する視線座標データを文字座標テーブル41に記憶する処理が継続して行われる。確認ボタン51が押下された場合(ステップS16:YES)には、制御部20は、文字座標テーブル41に記憶された視線座標データに対応する各項目の取得文字数を算出する(ステップS17)。
【0055】
制御部20は、文字座標テーブル41を参照して、算出した各項目の取得文字数と、各項目に対応する基準文字数とを比較する(ステップS18)。制御部20は、比較した結果、各項目の取得文字数は基準文字数以上であるか否かを判定する(ステップS19)。各項目の取得文字数は基準文字数未満である場合には、制御部20は、各項目の視線座標データと基準座標データとの差分に基づいて未確認座標データを算出する(ステップS20)。
【0056】
制御部20は、算出した未取得座標データに対応する領域を強調表示する(ステップS21)。制御部20は、未視認の個所があることを示すメッセージを操作者に報知する(ステップS22)。すなわち、算出した取得文字数が基準文字数を満たさない場合には、制御部20は、ステップS20で算出した未確認座標データに基づいて、表示部34に表示された操作画面2にメッセージを表示して操作者に報知する。制御部20は、操作画面2に表示するメッセージと併用して、または、単独で、未確認座標データに基づいて、メッセージを読み上げた音声データを音声出力部28で発音して操作者に報知してもよい。
【0057】
メッセージの報知後、処理はステップS13に戻り、ステップS13~ステップS19の処理が繰り返し実行される。そして、ステップS19において、各項目の取得文字数が基準文字数以上となった場合(ステップS19:YES)には、制御部20は、次の取引へ遷移する(ステップS23)。遷移した結果、取引が終了しない場合、すなわち、次の取引がある場合には、処理はステップS13に戻り、取引が終了となる(ステップS24:YES)までの間、ステップS13~ステップS24の処理が繰り返し実行される。遷移した結果、取引が終了した場合(ステップS24:NO)には、強調表示処理は終了となる。
【0058】
以上のように、本発明の実施形態によれば、制御部20は、操作画面2に表示されている重要事項に対する操作者の視線に対応する視線座標データを撮像部27から取得する。そして、制御部20は、取得した視線座標データに対応する取得文字数を算出して文字座標テーブル41に記憶する。制御部20は、文字座標テーブル41を参照して、算出した取得文字数が予め定められた基準文字数を満たすか否かを判定する。そして、判定の結果、算出した取得文字数が予め定められた基準文字数を満たさない場合に、制御部20は、文字座標テーブル41を参照して、視線座標データと予め定められた基準座標データとの差分に基づいて未確認座標データを算出し、算出した未確認座標データに対応する領域を強調表示する。
【0059】
これにより、制御部20は、図5(2)に示すように、算出した未確認座標データに対応する領域c1を強調表示する。これにより、操作者は確認していない未視認の重要事項の領域を容易に把握することができる。その結果、操作画面2の項目に表示された重要事項の確認の読み飛ばしを抑止することができる。
【0060】
以上、本発明の実施の形態を説明したが、本発明は、上述した実施の形態に限定されることなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々の改良・変更が可能である。
【0061】
上述の実施形態では、情報処理装置1の一例として自動取引装置を例にして説明しているがこれに限られるものではなく、表示部を備える、または表示部と接続される電子機器、PC(Personal Computer)、スマートフォン(Smartphone)、タブレットPC等により構成されていてもよい。
【符号の説明】
【0062】
1 情報処理装置
2 操作画面
20 制御部
21 記憶部
22 表示部
23 入力部
24 カード処理部
25 紙幣処理部
26 硬貨処理部
27 撮像部
28 音声出力部
31 視線座標取得部
32 取得文字数算出部
33 未確認座標算出部
34 強調表示部
35 取引遷移部
36 報知部
41 文字座標テーブル
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7