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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022182100
(43)【公開日】2022-12-08
(54)【発明の名称】自律走行型ロボット
(51)【国際特許分類】
   G05D 1/02 20200101AFI20221201BHJP
   A47L 9/28 20060101ALI20221201BHJP
【FI】
G05D1/02 H
A47L9/28 E
A47L9/28 A
A47L9/28 L
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021089434
(22)【出願日】2021-05-27
(71)【出願人】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109210
【弁理士】
【氏名又は名称】新居 広守
(74)【代理人】
【識別番号】100137235
【弁理士】
【氏名又は名称】寺谷 英作
(74)【代理人】
【識別番号】100131417
【弁理士】
【氏名又は名称】道坂 伸一
(72)【発明者】
【氏名】井口 泰成
(72)【発明者】
【氏名】三浦 祐太
(72)【発明者】
【氏名】本田 廉治
(72)【発明者】
【氏名】津坂 優子
【テーマコード(参考)】
3B057
5H301
【Fターム(参考)】
3B057DA00
3B057DA04
3B057DE01
3B057DE06
5H301AA02
5H301AA10
5H301BB11
5H301CC03
5H301CC06
5H301CC10
5H301DD01
5H301DD06
5H301GG08
5H301GG10
5H301GG17
5H301HH10
(57)【要約】
【課題】走行範囲内における各種条件に応じて走行態様を変更可能な自律走行型ロボットを提供する。
【解決手段】自律走行型掃除機100は、床面上を走行する本体部10と、走行範囲内において所定の境界及び所定の領域の種類を取得する取得部110と、種類に対する走行態様を受け付ける入力部70と、入力部70が受け付けた走行態様に基づいて、当該走行態様に対応した種類の所定の境界または所定の領域における本体部10の走行を制御する制御部170とを備える。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
床面上を走行する本体部と、
走行範囲内において所定の境界及び所定の領域の少なくとも一方の種類を取得する取得部と、
前記種類に対する走行態様を受け付ける受付部と、
前記受付部が受け付けた前記走行態様に基づいて、当該走行態様に対応した前記種類の前記所定の境界または前記所定の領域における前記本体部の走行を制御する制御部とを備える
自律走行型ロボット。
【請求項2】
前記取得部は、
前記所定の境界の種類を取得する境界取得部と、
前記所定の領域の種類を取得する領域取得部との少なくとも1つを有する
請求項1に記載の自律走行型ロボット。
【請求項3】
前記境界取得部は、
前記所定の境界に対して光を照射する第一光センサ部と、
前記所定の境界に対して超音波を照射する第一超音波センサ部と、
前記第一光センサ部の検出結果及び前記第一超音波センサ部の検出結果に基づいて前記所定の境界の種類を検出する第一検出部と、を有する
請求項2に記載の自律走行型ロボット。
【請求項4】
前記境界取得部は、前記所定の境界の種類が入力される入力部である
請求項2または3に記載の自律走行型ロボット。
【請求項5】
前記領域取得部は、
前記所定の領域に対して光を照射する第二光センサ部と、
前記所定の領域に対して超音波を照射する第二超音波センサ部と、
前記第二光センサ部の検出結果及び前記第二超音波センサ部の検出結果に基づいて前記所定の領域の種類を検出する第二検出部と、を有する
請求項2~4のいずれか一項に記載の自律走行型ロボット。
【請求項6】
前記境界取得部は、
前記床面の有無を検出する床面有無センサ部と、
前記床面有無センサ部の検出結果に基づいて、前記所定の領域の種類を検出する第二検出部と、を有する
請求項2~5のいずれか一項に記載の自律走行型ロボット。
【請求項7】
前記領域取得部は、
前記本体部の傾きを検出するジャイロセンサ部を有し、
前記第二検出部は、前記ジャイロセンサ部の検出結果に基づいて前記所定の領域の種類を検出する
請求項5または6に記載の自律走行型ロボット。
【請求項8】
前記領域取得部は、前記所定の領域の種類が入力される入力部である
請求項2~7のいずれか一項に記載の自律走行型ロボット。
【請求項9】
前記本体部は、前記床面上を清掃する清掃部を有する
請求項1~8のいずれか一項に記載の自律走行型ロボット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自律走行型ロボットに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、自律走行型ロボットの一例として、自律的に走行しながら床面上を掃除する自律走行型掃除機が知られている(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第4277214号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このような自律走行型ロボットにおいては、走行範囲の地図を予め取得して、その地図に基づいて走行を行う場合がある。ここで、走行範囲内における各種条件(例えばガラス壁、段差、スロープなど)に応じて、自律走行型ロボットの走行態様を変更したいという要望がある。
【0005】
このため、本発明の目的は、走行範囲内における各種条件に応じて走行態様を変更可能な自律走行型ロボットを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様に係る自律走行型ロボットは、床面上を走行する本体部と、走行範囲内において所定の境界及び所定の領域の少なくとも一方の種類を取得する取得部と、前記種類に対する走行態様を受け付ける受付部と、前記受付部が受け付けた前記走行態様に基づいて、当該走行態様に対応した前記種類の前記所定の境界または前記所定の領域における前記本体部の走行を制御する制御部とを備える。
【発明の効果】
【0007】
本発明の一態様に係る自律走行型ロボットによれば、走行範囲内における各種条件に応じて走行態様を変更することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】実施の形態に係る自律走行型掃除機の外観を示す側面図である。
図2】実施の形態に係る自律走行型掃除機の外観を示す正面図である。
図3】実施の形態に係る自律走行型掃除機の外観を示す底面図である。
図4】実施の形態に係る自律走行型掃除機の特徴的な機能構成を示すブロック図である。
図5】実施の形態に係る地図情報に基づく地図の一例を示す模式図である。
図6】実施の形態に係る入力部での、走行態様の受付画面を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下では、本発明に係る自律走行型ロボットとしての自律走行型掃除機の実施の形態について、図面を用いて詳細に説明する。なお、以下に説明する実施の形態は、いずれも本発明の好ましい一具体例を示すものである。したがって、以下の実施の形態で示される数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置及び接続形態、ステップ、ステップの順序等は、一例であり、本発明を限定する主旨ではない。
【0010】
なお、当業者が本発明を十分に理解するために添付図面及び以下の説明を提供するのであって、これらによって特許請求の範囲に記載の主題を限定することを意図するものではない。
【0011】
また、各図は、模式図であり、必ずしも厳密に図示されたものではない。また、各図において、実質的に同一の構成に対しては同一の符号を付しており、重複する説明は省略又は簡略化される場合がある。
【0012】
また、以下の実施の形態においては、略円柱状等の「略」を用いた表現を用いている。例えば、略円柱状とは、完全に円柱状であることを意味するだけでなく、実質的に円柱状である。すなわち、例えば表面に多少の凹凸等も含んだ円柱も含むことも意味する。他の「略」を用いた表現についても同様である。
【0013】
また、以下の実施の形態においては、所定の空間のフロアを走行して掃除する自律走行型掃除機を鉛直上方側から見た場合を上面視とし、鉛直下方側から見た場合を底面視として記載する場合がある。
【0014】
(実施の形態)
[構成]
まず、実施の形態に係る自律走行型掃除機100の構成について説明する。図1は、実施の形態に係る自律走行型掃除機100の外観を示す側面図である。図2は、実施の形態に係る自律走行型掃除機100の外観を示す正面図である。図3は、実施の形態に係る自律走行型掃除機100の外観を示す底面図である。
【0015】
自律走行型掃除機100は、走行範囲である所定の空間を自律走行して掃除する自律走行型掃除機である。まず、自律走行型掃除機100は、所定の空間内の床面上を走り回ることで、所定の空間内の地図を示す地図情報(データ)を生成する。
【0016】
次に、自律走行型掃除機100は、生成した地図情報に基づいて、所定の空間を掃除する際に走行する走行経路を算出する。次に、自律走行型掃除機100は、算出した走行経路で、所定の空間内を走行して掃除する。
【0017】
自律走行型掃除機100は、例えば、SLAM(Simultaneous Localization and Mapping)により、掃除する所定の空間の地図情報の生成と、生成した地図情報に示される地図における自律走行型掃除機100の自己位置の推定とを行う。
【0018】
自律走行型掃除機100は、例えば、本体部10と、2つの車輪20と、2つのサイドブラシ30と、レーザ測距計40と、メインブラシ50と、入力部70と、第一超音波センサ部71と、第二超音波センサ部72と、光センサ部73と、床面有無センサ部74とを備えている。
【0019】
本体部10は、自律走行型掃除機100が備える各構成要素を収容しており、円柱状の筐体11を有している。なお、本体部10の上面視における形状は、特に限定されない。本体部10の上面視形状は、例えば、略矩形状でもよいし、略三角形状でもよい。図3に示すように、本体部10は、下面に吸込口12を有する。
【0020】
2つの車輪20は、自律走行型掃除機100を走行させるための駆動輪であり、本体部10の下面に回転自在に設けられている。
【0021】
サイドブラシ30は、本体部10の下面に設けられ、所定の空間の床面を掃除するためのブラシである。本実施の形態では、自律走行型掃除機100は、2つのサイドブラシ30を備えている。自律走行型掃除機100に備わるサイドブラシ30の数は、1つでもよし、3つ以上でもよく、特に限定されない。
【0022】
レーザ測距計40は、自律走行型掃除機100と、所定の空間内における物体、壁面等との距離を測定するための第一光センサ部である。レーザ測距計40は、例えば、いわゆるLIDAR(Light Detection and Ranging)である。レーザ測距計40は、例えば、本体部10の上部に設けられている。
【0023】
メインブラシ50は、吸込口12に配置されており、回転することで床面のゴミを吸込口12に吸引させるためのブラシである。
【0024】
入力部70は、本体部10の上面であって、レーザ測距計40の後方に配置されている。入力部70は、使用者によって操作されることで各種指示を受け付ける部位である。具体的には、入力部70は、タッチパネルである。このため、入力部70は、各種情報を表示する表示部としても機能する。なお、入力部70と表示部とはそれぞれ別体であっても構わない。また、入力部70は、本体部10と通信自在な、例えばスマートフォン、タブレット端末などの通信端末であってもよい。この場合、本体部10には通信端末が装着自在な器具が設けられていてもよい。
【0025】
第一超音波センサ部71は、本体部10の上面とレーザ測距計40との間に回転自在に設けられており、発信部と受信部とを有している。具体的には、第一超音波センサ部71は、発信部で超音波を水平方向に発信し、対象物から反射してくる超音波を受信部で受信することにより、対象物までの距離を測定する。つまり、第一超音波センサ部71は、回転しながら超音波を発信することで、本体部10の周囲(前方、側方及び後方など)に配置された複数の対象物との距離を測定できるようになっている。第一超音波センサ部71は、レーザ測距計40では検出できない、光を透過する透光部材(ガラス、アクリル板など)からなる対象物を検出することが可能である。
【0026】
第二超音波センサ部72は、本体部10の下面に設けられており、発信部と受信部とを有している。具体的には、第二超音波センサ部72は、発信部で超音波を下方に発信し、対象物から反射してくる超音波を受信部で受信することにより、対象物までの距離を測定する。第二超音波センサ部72は、光センサ部73では検出できない透光部材からなる対象物を検出することが可能である。
【0027】
光センサ部73は、本体部10の下面に設けられており、発光部と受光部とを有している。光センサ部73は、発信部で例えば赤外光を下方に向けて照射し、対象物から反射してくる赤外光を受光部で受光することにより、対象物までの距離を測定する。光センサ部73は、第二光センサ部の一例である。
【0028】
床面有無センサ部74は、本体部10の下面に設けられた機械式のセンサである。例えば、床面有無センサ部74は、通常時においては一定長さだけ、本体部10の下面から突出しており、本体部10が床面を走行する際には先端部が床面に当接している。下方に凹む段差が床面にある場合、当該段差に本体部10が至ると床面有無センサ部74の先端部が通常時よりも下降することで当該段差を検出できるようになっている。
【0029】
図4は、実施の形態に係る自律走行型掃除機の特徴的な機能構成を示すブロック図である。図4に示すように、自律走行型掃除機100は、入力部70と、取得部110と、エンコーダ140と、地図作成部150と、記憶部220と、掃除計画生成部160と、制御部170と、吸引部41と、駆動部25と、清掃部35と、を備える。
【0030】
取得部110は、所定の空間における地図情報を作成するために必要な情報を取得する。具体的には、取得部110は、境界取得部120と、領域取得部130とを有している。
【0031】
境界取得部120は、所定の空間内の各領域を区画するための境界を示す境界情報と、当該境界の種類とを取得する部位である。境界取得部120は、レーザ測距計40と、第一超音波センサ部71と、第一検出部122とを有している。第一検出部122は、レーザ測距計40の検出結果及び第一超音波センサ部71の検出結果に基づいて所定の境界の種類を検出する処理部である。例えば、境界の種類が一般的な壁である場合には、レーザ測距計40で発せられた光は当該壁により反射され、第一超音波センサ部71から発信された超音波も当該壁により反射される。つまり、第一検出部122は、レーザ測距計40が反射光を受光し、第一超音波センサ部71が反射超音波を受信した場合には、境界の種類を一般的な壁として検出する。
【0032】
一方、境界の種類が透光部材などである場合には、レーザ測距計40で発せられた光は当該透光部材を透過するのに対し、第一超音波センサ部71から発信された超音波は当該透光部材で反射される。つまり、第一検出部122は、レーザ測距計40が反射光を受光せず、第一超音波センサ部71が反射超音波を受信した場合には、境界の種類を透光部材として検出する。
【0033】
領域取得部130は、所定の空間内の各領域の種類を取得する部位である。具体的には、領域取得部130は、ジャイロセンサ部131と、光センサ部73と、第二超音波センサ部72と、床面有無センサ部74と、第二検出部132とを有している。
【0034】
ジャイロセンサ部131は、本体部10に搭載されており、当該本体部10の姿勢を検出する。本体部10は、床面の傾斜に応じて傾くことになる。つまり、ジャイロセンサ部131が本体部10の傾きを検出することで、床面の傾斜を検出できるセンサとも言える。
【0035】
第二検出部132は、光センサ部73の検出結果、第二超音波センサ部72の検出結果及びジャイロセンサ部131の検出結果に基づいて所定の領域の種類を検出する処理部である。例えば、床面有無センサ部74が床面を検出している状態で、床面の種類が、光を透過しない一般的な床である場合には、光センサ部73で発せられた光は当該床により反射され、第二超音波センサ部72から発信された超音波も当該床により反射される。つまり、第二検出部132は、床面有無センサ部74が床面を検出し、光センサ部73が反射光を受光し、第二超音波センサ部72が反射超音波を受信した場合には、領域の種類を光を透過しない床(一般的な床)として検出する。
【0036】
また、床面有無センサ部74が床面を検出している状態であって、床面の種類が、透光部材である場合には、光センサ部73で発せられた光は当該透光部材を透過するのに対し、第二超音波センサ部72から発信された超音波は透光部材で反射される。つまり、第二検出部132は、光センサ部73が反射光を受光せず、第二超音波センサ部72が反射超音波を受信した場合には、領域の種類を透光部材として検出する。
【0037】
なお、透光部材であっても光を反射するが、大半の光は透光部材を透過するので、一般的な壁または床と比較しても反射光の受光量はわずかである。このため、第一検出部122または第二検出部132は、レーザ測距計40または光センサ部73での反射光の受光量が、一般的な壁または床よりも大幅に小さい場合には、反射光を受光していないと判断してもよい。
【0038】
また、ジャイロセンサ部131が本体部10の傾きを検出している場合には、第二検出部132は、領域の種類としてスロープを検出する。一方、ジャイロセンサ部131が本体部10の傾きを検出していない場合には、第二検出部132は、領域の種類として平坦な床を検出する。
【0039】
また、床面有無センサ部74が床面を検出していない状態は、当該領域に床面が存在していないということである。つまり、床面有無センサ部74が床面を検出していない状態では、第二検出部132は、光センサ部73の検出結果と第二超音波センサ部72の検出結果とがいずれであっても、領域の種類を段差として検出する。
【0040】
エンコーダ140は、駆動部25に備わる一対の車輪モータ26の回転角を検出する。エンコーダ140からの情報により、自律走行型掃除機100の走行量、旋回角度、速度、加速度、角速度などを算出することができる。
【0041】
地図作成部150は、エンコーダ140の検出結果、レーザ測距計40の検出結果及びジャイロセンサ部131の検出結果に基づいて、所定の空間内の自己位置を認識しながら所定の空間内の平面的な地図情報を作成する処理部である。このとき、地図作成部150は、地図情報に含まれる各境界に対して、第一検出部122が検出した境界の種類を関連付ける。同様に、地図作成部150は、地図情報に含まれる各領域に対して、第二検出部132が検出した領域の種類を関連付ける。
【0042】
図5は、実施の形態に係る地図情報に基づく地図の一例を示す模式図である。図5に示すように、所定の空間を囲む各境界L1~L7のうち、境界L1の種類を透光部材とし、その他の境界L2~L7を一般的な壁として、第一検出部122が検出している場合には、これらの検出結果が各境界L1~L7に対して関連付けられて地図情報に含まれている。また、所定の空間をなす領域R1の種類を平坦な一般的な床とし、領域R2の種類を段差として、第二検出部132が検出している場合には、これらの検出結果が各領域R1、R2に対して関連付けられて地図情報に含まれている。
【0043】
ここで、入力部70は、境界の種類及び領域の種類に対する走行態様が受け付けられる受付部の一例である。図6は、実施の形態に係る入力部70での、走行態様の受付画面を示す説明図である。ここで、走行態様としては、対象までの接近距離と、領域内での走行速度とが含まれている。例えば、境界の種類に対する走行態様は、対象までの接近距離が入力部70で受け付けられるようになっている。また、領域の種類のうち、段差の場合にはその中を走行できないので、段差までの接近距離が入力部70で受け付けられるようになっている。領域の種類のうち、平坦な床及びスロープでは、その中を走行する際の速度が入力部70で受け付けられるようになっている。このように、ユーザは境界の種類及び領域の種類のそれぞれに対する走行態様を入力部70で登録することで、各種類において所望の走行態様を自律走行型掃除機100に実行させることができる。なお、走行態様には、掃除の態様(吸引モータ43の吸引力、ブラシモータ36の回転数)なども含まれてもいてもよい。
【0044】
記憶部220は、走行パターンデータベース222を記憶する記憶装置である。記憶部220は、例えば、HDD(Hard Disk Drive)、フラッシュメモリ等により実現される。また、記憶部220には、例えば、制御部170等の各種処理部が実行する制御プログラムが記憶されている。走行パターンデータベース222は、掃除計画生成部160が掃除計画を生成する際に用いられる。走行パターンデータベース222は、壁などの障害物に対する自律走行型掃除機100の走行パターンがデータベース化されている。例えば、走行パターンデータベース222には、自律走行型掃除機100から障害物までの距離が所定距離以上である場合には自律走行型掃除機100が当該障害物まで近づくように移動する走行パターン、自律走行型掃除機100から障害物までの距離が所定距離未満である場合には自律走行型掃除機100が当該障害物に沿って移動する走行パターンなどが含まれている。
【0045】
掃除計画生成部160は、自律走行型掃除機100が所定の空間をどのように走行して掃除するかを示す掃除計画(計画情報)を生成する処理部である。例えば、掃除計画生成部160は、地図作成部150が作成した地図情報に基づいて、自律走行型掃除機100の走行経路、具体的には、車輪モータ26の回転数、車輪20の向き等の駆動部25の制御方法である走行方法を決定した掃除計画を生成する。このとき、掃除計画生成部160は、地図情報に基づいて、走行パターンデータベース222に含まれる各走行パターンを反映させながら掃除計画を生成する。さらに、掃除計画生成部160は、入力部70で受け付けられた境界の種類及び領域の種類のそれぞれの走行態様を、地図情報に含まれる各境界及び各領域に対応付けながら掃除計画を生成する。
【0046】
また、掃除計画生成部160は、吸引部41の制御方法(例えば、吸引力、より具体的には、吸引モータ43の回転数)、車輪モータ26の回転数、車輪20の向き等の駆動部25の制御方法、及び、清掃部35の制御方法(例えば、ブラシモータ36の回転数)等を含む掃除方法を示す掃除計画を生成する。
【0047】
このように、掃除計画生成部160は、掃除計画を生成し、その生成した掃除計画に基づいて自律走行型掃除機100、より具体的には、吸引部41、駆動部25、及び、清掃部35を制御部170に制御させる。
【0048】
制御部170は、掃除計画生成部160が生成した計画情報に基づいて、吸引部41、駆動部25、及び、清掃部35を制御することで、自律走行型掃除機100に所定の空間を自律走行させて掃除させる。つまり、制御部170は、入力部70が受け付けた走行態様に基づいて、当該走行態様に対応した種類の所定の境界または所定の領域における本体部10の走行を制御する。
【0049】
地図作成部150、第一検出部122、第二検出部132、掃除計画生成部160及び制御部170などの各種処理部は、例えば、上記した処理を実行するための制御プログラムと、当該制御プログラムを実行するCPUと、RAMと、ROMとから実現される。これらの各処理部は、1つ又は複数のCPUで実現されてもよい。
【0050】
吸引部41は、所定の空間の床面を吸引することで、当該床面のゴミを吸引するための機構である。吸引部41は、例えば、吸引モータ43を備える。
【0051】
吸引モータ43、ファンと接続され、当該ファンを回転させることで床面のゴミを吸引するためのモータである。
【0052】
駆動部25は、自律走行型掃除機100を走行させるための機構である。駆動部25は、例えば、一対の車輪モータ26を備える。各車輪モータ26は、左右それぞれの車輪20と接続され、各車輪20を回転駆動させるためのモータである。
【0053】
自律走行型掃除機100は、駆動部25が有する2つの車輪20の回転が独立して制御されることで、直進、後退、左回転、右回転等、自在に走行することができる。なお、自律走行型掃除機100は、車輪モータ26により回転させない車輪(補助輪)をさらに備えてもよい。
【0054】
清掃部35は、床面を清掃するための部位である。清掃部35は、メインブラシ50等のブラシと接続され、メインブラシ50等のブラシを駆動(回転)させるためのブラシモータを有している。
【0055】
[効果等]
以上のように、実施の形態に係る自律走行型掃除機100は、床面上を走行する本体部10と、走行範囲内において所定の境界及び所定の領域の種類を取得する取得部110と、種類に対する走行態様を受け付ける入力部70と、入力部70が受け付けた走行態様に基づいて、当該走行態様に対応した種類の所定の境界または所定の領域における本体部10の走行を制御する制御部170とを備える。
【0056】
これによれば、ユーザが境界の種類及び領域の種類のそれぞれに対する走行態様を入力部70で登録することで、各種類において所望の走行態様を自律走行型掃除機100に実行させることができる。したがって、走行範囲内における各種条件に応じて走行態様を変更可能な自律走行型掃除機100を提供することができる。
【0057】
取得部110は、所定の境界の種類を取得する境界取得部120と、所定の領域の種類を取得する領域取得部130とを有する。
【0058】
これによれば、境界取得部120により、所定の境界の種類を確実に取得することができるとともに、領域取得部130により、所定の領域の種類を確実に取得することができる。
【0059】
境界取得部120は、所定の境界に対して光を照射するレーザ測距計40と、所定の境界に対して超音波を照射する第一超音波センサ部71と、レーザ測距計40の検出結果及び第一超音波センサ部71の検出結果に基づいて所定の境界の種類を検出する第一検出部122と、を有する。
【0060】
これによれば、第一検出部122が、レーザ測距計40の検出結果及び第一超音波センサ部71の検出結果に基づいて所定の境界の種類を検出するので、所定の境界の種類を自動で検出することが可能である。したがって、所定の境界の種類を登録する手間を抑制できる。
【0061】
領域取得部130は、所定の領域に対して光を照射する光センサ部73と、所定の領域に対して超音波を照射する第二超音波センサ部72と、光センサ部73の検出結果及び第二超音波センサ部72の検出結果に基づいて所定の領域の種類を検出する第二検出部132と、を有する。
【0062】
これによれば、第二検出部132が、光センサ部73の検出結果及び第二超音波センサ部72の検出結果に基づいて所定の領域の種類を検出するので、所定の領域の種類を自動で検出することが可能である。したがって、所定の領域の種類を登録する手間を抑制できる。
【0063】
領域取得部130は、床面の有無を検出する床面有無センサ部74と、床面有無センサ部74の検出結果に基づいて、所定の領域の種類を検出する第二検出部132と、を有する。
【0064】
これによれば、第二検出部132が、床面有無センサ部74の検出結果に基づいて所定の領域の種類を検出するので、所定の領域の種類を自動で検出することが可能である。特に、床面有無センサ部74が機械的なセンサであるので、所定の領域の種類が段差である場合に確実に検出することが可能である。
【0065】
領域取得部130は、本体部10の傾きを検出するジャイロセンサ部131を有し、第二検出部132は、ジャイロセンサ部131の検出結果に基づいて所定の領域の種類を検出する。
【0066】
これによれば、第二検出部132が、ジャイロセンサ部131の検出結果に基づいて所定の領域の種類を検出するので、所定の領域が平坦な床かスロープかを自動で検出することが可能である。所定の領域の種類をより多様に検出することができるので、より細やかな条件に応じて走行態様を変更することが可能である。
【0067】
本体部10は、床面上を清掃する清掃部35を有しているので、各種条件に応じた走行態様で床面を清掃することが可能である。したがって、清掃効率も高めることが可能である。
【0068】
なお、本発明は、上記自律走行型掃除機100の制御方法に含まれるステップをコンピュータに実行させるプログラムとして実現されてもよい。この場合、本実施の形態に係る自律走行型掃除機100の制御方法が、コンピュータにより簡便に実行され得る。
【0069】
また、本発明は、上記プログラムを記録したコンピュータによって読み取り可能なCD-ROM等の非一時的な記録媒体として実現されてもよい。また、本発明は、そのプログラムを示す情報、データ又は信号として実現されてもよい。そして、それらプログラム、情報、データ及び信号は、インターネット等の通信ネットワークを介して配信されてもよい。
【0070】
(その他の実施の形態)
以上、本発明に係る自律走行型掃除機等について、上記実施の形態に基づいて説明したが、本発明は、上記実施の形態に限定されるものではない。
【0071】
例えば、上記実施の形態では、取得部110が走行範囲内において所定の境界及び所定の領域の種類を取得する場合を例示したが、取得部110は所定の境界及び所定の領域の一方の種類のみを取得してもよい。つまり、取得部110は、境界取得部120と、領域取得部130との一方のみを有していればよい。
【0072】
また、上記実施の形態では、第二検出部132が、床面有無センサ部74の検出結果に基づいて所定の領域の種類が段差であるか否かを検出している場合を例示した。ここで、所定の領域が段差である場合には、光センサ部73で発せられた光は段差を通過するとともに、第二超音波センサ部72から発信された超音波も段差を通過する。つまり、第二検出部132は、光センサ部73が反射光を受光せず、第二超音波センサ部72も反射超音波を受信しない場合には、領域の種類を段差として検出してもよい。この場合、床面有無センサ部74がなくとも段差を検出することが可能となり、自律走行型掃除機100の部品点数を削減することも可能である。また、光センサ部73の検出結果と第二超音波センサ部72の検出結果とで段差を検出しつつ、床面有無センサ部74の検出結果で段差を検出することを併用すれば、段差をより確実に検出することが可能である。
【0073】
また、上記実施の形態では、境界取得部120が自動で所定の境界の種類を取得する場合を例示した。しかしながら、ユーザが入力部70で各境界の種類を入力することも可能である。この場合には、入力部70が境界取得部の一例である。ユーザが自ら各境界の種類を入力部70に入力するので、より正確に境界の種類を取得することが可能である。なお、領域取得部130は、例えばCADデータなどの設計データを有線または無線により取得し、当該設計データ内に書き込まれた各境界の種類を取得してもよい。
【0074】
また、上記実施の形態では、領域取得部130が自動で所定の領域の種類を取得する場合を例示した。しかしながら、ユーザが入力部70で各領域の種類を入力することも可能である。この場合には、入力部70が領域取得部の一例である。ユーザが自ら各領域の種類を入力部70に入力するので、より正確に領域の種類を取得することが可能である。例えば、所定の領域の種類をより細かに入力することも可能である。なお、領域取得部130は、例えばCADデータなどの設計データを有線または無線により取得し、当該設計データ内に書き込まれた各境界の種類を取得してもよい。この場合、光を透過しない床の種類をより細分化して取得することができる。光を透過しない床の種類としては、例えば絨毯、タイル、大理石、木材、フローリング、畳などが挙げられる。
【0075】
また、上記実施の形態では自律走行型掃除機が備える掃除計画生成部及び制御部等の処理部は、それぞれCPUと制御プログラムとによって実現されると説明した。例えば、それぞれの当該処理部の構成要素は、それぞれ1つ又は複数の電子回路で構成されてもよい。1つ又は複数の電子回路は、それぞれ、汎用的な回路でもよいし、専用の回路でもよい。1つ又は複数の電子回路には、例えば、半導体装置、IC(Integrated Circuit)、又は、LSI(Large Scale Integration)等が含まれてもよい。IC又はLSIは、1つのチップに集積されてもよく、複数のチップに集積されてもよい。ここでは、IC又はLSIと呼んでいるが、集積の度合いによって呼び方が変わり、システムLSI、VLSI(Very Large Scale Integration)、又は、ULSI(Ultra Large Scale Integration)と呼ばれるかもしれない。また、LSIの製造後にプログラムされるFPGA(Field Programmable Gate Array)も同じ目的で使うことができる。
【0076】
また、本発明の全般的又は具体的な態様は、システム、装置、方法、集積回路又はコンピュータプログラムで実現されてもよい。或いは、当該コンピュータプログラムが記憶された光学ディスク、HDD(Hard Disk Drive)若しくは半導体メモリ等のコンピュータ読み取り可能な非一時的記録媒体で実現されてもよい。また、システム、装置、方法、集積回路、コンピュータプログラム及び記録媒体の任意な組み合わせで実現されてもよい。
【0077】
また、上記実施の形態では、自律走行型ロボットとして自律走行型掃除機100を例示して説明したが、自律走行可能なロボットであれば掃除機能を有していなくてもよい。その他の自律走行型ロボットとしては、自律走行型監視機、自律走行型配達機などが挙げられる。
【0078】
その他、実施の形態及び変形例に対して当業者が思いつく各種変形を施して得られる形態や、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で実施の形態における構成要素及び機能を任意に組み合わせることで実現される形態も本発明に含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0079】
本発明は、自律走行可能な自律走行型ロボットに広く利用可能である。
【符号の説明】
【0080】
10 本体部
11 筐体
12 吸込口
20 車輪
25 駆動部
26 車輪モータ
30 サイドブラシ
35 清掃部
36 ブラシモータ
40 レーザ測距計(第一光センサ部)
41 吸引部
43 吸引モータ
50 メインブラシ
70 入力部(受付部)
71 第一超音波センサ部
72 第二超音波センサ部
73 光センサ部(第二光センサ部)
74 床面有無センサ部
100 自律走行型掃除機
110 取得部
120 境界取得部
122 第一検出部
130 領域取得部
131 ジャイロセンサ部
132 第二検出部
140 エンコーダ
150 地図作成部
160 掃除計画生成部
170 制御部
220 記憶部
222 走行パターンデータベース
L1~L7 境界
R1、R2 領域
図1
図2
図3
図4
図5
図6