(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022182103
(43)【公開日】2022-12-08
(54)【発明の名称】冷蔵庫の扉
(51)【国際特許分類】
F25D 23/02 20060101AFI20221201BHJP
【FI】
F25D23/02 304A
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021089438
(22)【出願日】2021-05-27
(71)【出願人】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001081
【氏名又は名称】弁理士法人クシブチ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】藤井 嘉之
【テーマコード(参考)】
3L102
【Fターム(参考)】
3L102JA01
3L102KA01
3L102KE02
3L102KE04
(57)【要約】
【課題】冷蔵庫の扉において、面材の材質とデザインとの調和性によるデザインの制約を抑制する。
【解決手段】冷蔵庫の扉は、面材と、前記面材を支持するフレームとを備え、前記面材の端面の一部が前記冷蔵庫の外側に露出し、面材は、板状の基材と、基材に付着される着色層とを備え、前記着色層は、基材の表面と、基材の端面とに設けられている。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
冷蔵庫の扉であって、
前記扉は、面材と、前記面材を支持するフレームとを備え、
前記面材の端面の一部が前記冷蔵庫の外側に露出し、
前記面材は、板状の基材と、前記基材に付着される着色層とを備え、
前記着色層は、前記基材の表面と、前記基材の端面とに設けられていることを特徴とする冷蔵庫の扉。
【請求項2】
前記着色層は、前記基材の前記表面及び前記基材の前記端面に貼り付けられる加飾フィルムであることを特徴とする請求項1記載の冷蔵庫の扉。
【請求項3】
前記加飾フィルムは、前記基材の前記端面の全面に貼り付けられることを特徴とする請求項2記載の冷蔵庫の扉。
【請求項4】
前記基材の前記端面の少なくとも一部は、前記フレームの外側に露出し、
前記基材の前記端面のうち前記フレームの外側に露出する部分に、前記加飾フィルムが貼り付けられていることを特徴とする請求項2記載の冷蔵庫の扉。
【請求項5】
前記フレームは、前記基材の裏面を受ける支持面と、前記支持面から前記基材の板厚方向に突出する端面カバー部とを備え、
前記端面カバー部は、前記基材の前記端面に貼り付けられた前記加飾フィルムの一部を覆うことを特徴とする請求項2または3記載の冷蔵庫の扉。
【請求項6】
前記着色層は、前記基材の前記表面及び前記基材の前記端面に印刷される印刷層であることを特徴とする請求項1記載の冷蔵庫の扉。
【請求項7】
前記印刷層は、前記基材の前記端面の全面に印刷されることを特徴とする請求項6記載の冷蔵庫の扉。
【請求項8】
前記基材の前記端面の少なくとも一部は、前記フレームの外側に露出し、
前記基材の前記端面のうち前記フレームの外側に露出する部分に、前記印刷層が設けられていることを特徴とする請求項6記載の冷蔵庫の扉。
【請求項9】
前記基材は、ガラス板または樹脂板であることを特徴とする請求項1から8のいずれかに記載の冷蔵庫の扉。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、冷蔵庫の扉に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、貯蔵室の前面に設けられる扉体の前面パネルにこの前面パネルに付された色彩と異なる色彩を有するシートを貼ることのできる冷蔵庫を開示する。この冷蔵庫は、扉体と、前記扉体の前面パネルに貼り付けた弱粘性の接着剤付きのシートと、を備える。または、この冷蔵庫は、扉体と、前記扉体の鋼板製の前面パネルに貼り付けたマグネット付きのシートと、を備える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
昨今の冷蔵庫の扉は、扉の外表面を構成する面材の端面が露出しているものも多く、この露出部にもデザイン性が求められる。例えば、ガラスを面材に採用した昨今の冷蔵庫の扉は、面材に対する加飾を主に面材の庫内側(裏面側)に施しており、面材の材質とデザインとの調和が課題となり、デザインに制約が発生する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示における冷蔵庫の扉は、面材と、前記面材を支持するフレームとを備え、前記面材の端面の一部が前記冷蔵庫の外側に露出し、面材は、板状の基材と、基材に付着される着色層とを備え、前記着色層は、基材の表面と、基材の端面とに設けられている。
【発明の効果】
【0006】
本開示における冷蔵庫の扉は、面材の材質をユーザの目に触れさせない(目につきにくくする)ことができる。そのため、従来の面材にて課題であった、面材の材質とデザインとの調和性によるデザインの制約を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】実施の形態1における冷蔵庫の外観を示す斜視図
【
図6】表面及び端面に対する加飾フィルムの貼り付け状態を示す断面図
【
図7】実施の形態2において、
図2のIV-IV断面図に対応する図
【
図9】表面及び端面に対する印刷層の付着状態を示す断面図
【発明を実施するための形態】
【0008】
(本開示の基礎となった知見等)
発明者らが本開示に想到するに至った当時、冷蔵庫用の扉の面材はガラス板への加飾を面材の庫内側の面(面材の裏面)に施す仕様が主流であった。そのため、当該業界では、ガラスの材質とデザインとの調和を課題として、デザイン選定をするのが一般的であった。そうした状況下において、発明者らは、建材等の壁紙や印刷のデザインの自由度の高さをヒントにして、面材の庫外側へ加飾を実施するという着想を得た。そして、発明者らは、その着想を実現するには、面材の材質をユーザから隠ぺいするという課題があることを発見し、その課題を解決するために、本開示の主題を構成するに至った。
そこで、本開示は、面材の材質を隠し、デザインの制約を抑制する冷蔵庫の扉を提供する。
【0009】
以下、図面を参照しながら実施の形態を詳細に説明する。但し、必要以上に詳細な説明は省略する場合がある。例えば、既によく知られた事項の詳細説明、または、実質的に同一の構成に対する重複説明を省略する場合がある。
なお、添付図面および以下の説明は、当業者が本開示を十分に理解するために提供されるのであって、これらにより特許請求の範囲に記載の主題を限定することを意図していない。
【0010】
(実施の形態1)
以下、
図1~
図6を用いて、実施の形態1を説明する。
[1-1.構成]
図1は、冷蔵庫100の外観を示す斜視図である。冷蔵庫100は、貯蔵室を備える箱状の冷蔵庫本体101と、上記貯蔵室を閉塞する扉102,103,104,105,106,107とを備える。
冷蔵庫本体101は、金属製(例えば鉄板)の外箱と、硬質樹脂製(例えばABS樹脂)の内箱と、上記外箱と上記内箱との間に充填された発泡断熱材(例えばウレタン)とによって構成される。
【0011】
冷蔵庫本体101の上記貯蔵室は、冷蔵室、冷凍室、野菜室、製氷室、及び急速冷凍室の複数の貯蔵室に区分されている。冷蔵室は、食物等の保存物が凍らない冷蔵温度帯に維持される。
図1の扉102及び扉103は、観音開き式のドアであり、上記冷蔵室を閉塞する。ユーザは、扉102及び扉103を開閉可能である。
上記冷凍室は、冷凍保存のために冷凍温度帯に維持される。
図1の扉104は、冷凍室を閉塞するためのドアであり、ユーザが開閉可能である。
上記野菜室は、野菜を保存するために上記冷蔵室よりやや高い温度帯に維持される。
図1の扉105は、野菜室を閉塞するためのドアであり、ユーザが開閉可能である。
図1の扉106は、急速冷凍室を閉塞するためのドアであり、ユーザが開閉可能である。
図1の扉107は、製氷室を閉塞するためのドアであり、ユーザが開閉可能である。
【0012】
図2は、扉102を詳しく説明する斜視図である。
図3は、扉102の分解斜視図である。
図4は、
図2のIV-IV断面図である。
図1~
図4を参照し、扉102は、扉102が閉じた状態で上記冷蔵室の開口部を閉塞する内箱フレーム201と、内箱フレーム201の前面部に取り付けられるフレーム202と、扉102の前面を構成する面材203と、面材203をフレーム202に固定する接着部材204と、断熱材205とを備える。なお、
図3では断熱材205は不図示である。
【0013】
内箱フレーム201は、冷蔵庫100を正面から見た場合に、上下に長い長方形状である。
フレーム202は、面材203を支持する。フレーム202は、内箱フレーム201の外周に沿うように形成される枠状である。詳細には、フレーム202は、左右一対で上下に延びる側部フレーム202a,202bと、側部フレーム202aの上端部と側部フレーム202bの上端部とを左右に接続する上部フレーム202cと、側部フレーム202aの下端部と側部フレーム202bの下端部とを左右に接続する下部フレーム202dとを一体に備える。
【0014】
接着部材204は、フレーム202の前面に貼り付けられる両面テープである。接着部材204は、フレーム202に沿うように形成される枠状である。
接着部材204は、面材203の裏面(面材203の後面)とフレーム202の前面との間に挟まれる。
断熱材205は、面材203と内箱フレーム201との間でフレーム202に囲まれる空間に充填される。断熱材205は、例えば、発泡充填されるウレタンである。
【0015】
図5は、
図4において円で囲んだ部分の拡大図であり、面材203の断面を示す。
面材203は、冷蔵庫100を正面から見た場合に、扉102の外観面の大部分を構成する。
面材203は、面材203のベースとなる板状の基材210と、基材210の表面210aに着色する加飾フィルム211と、加飾フィルム211を基材210に接着する接着層212と、基材210の裏面210bと断熱材205との間に設けられる下地層213とを備える。
【0016】
図3~
図5を参照し、基材210は、冷蔵庫100を正面から見た場合に、上下に長い長方形状の矩形の板材である。
基材210の表面210aは、基材210の前面であって、冷蔵庫100の前面側の面である。すなわち、表面210aは、扉102を閉じた状態で冷蔵庫100の庫外に曝される面である。
基材210の裏面210bは、基材210の後面であって、冷蔵庫100の後面側の面である。すなわち、裏面210bは、扉102を閉じた状態で冷蔵庫100の庫内側に面する面である。
【0017】
正面視における基材210の外周面は、基材210の端面220である。基材210は矩形の板材であるため、端面220は、
図3に示すように、上端面220a、上端面220aに対向する下端面220b、及び左右一対の側端面220c,220dを備える。
【0018】
基材210は透光性を有するガラス板である。基材210は透明な板である。なお、基材210は、透光性を有する樹脂板であっても良い。
【0019】
基材210の裏面210bは、下地層213を介して断熱材205の前面に接着される。
下地層213は、基材210と断熱材205との接着性を向上させる層である。下地層213は、裏面210bに印刷によって形成される層である。
なお、下地層213は、例えば、接着剤を介したフィルム層、もしくはプライマー層であっても良い。下地層213がプライマー層である場合、下地層213は面材203に含まれない場合もある。
【0020】
図6は、
図4の下部の拡大図であって、表面210a及び端面220に対する加飾フィルム211の貼り付け状態を示す断面図である。なお、
図6では、接着層212及び下地層213は不図示である。
加飾フィルム211は、基材210に着色する着色層である。加飾フィルム211は、基材210の表面210a及び端面220に貼り付けられている。加飾フィルム211は、接着層212を介して表面210a及び端面220に接着される。
加飾フィルム211は、端面220の全面に貼り付けられる。すなわち、加飾フィルム211は、上端面220a、下端面220b、及び側端面220c,220dに貼り付けられる。
【0021】
加飾フィルム211は、表面210aに貼り付けられる表面側加飾フィルム部211aと、端面220に貼り付けられる端面側加飾フィルム部211bとが一体に連続する一枚のフィルムである。これにより、表面側加飾フィルム部211aと端面側加飾フィルム部211bとの間に加飾フィルムの継ぎ目は存在しない。このため、表面側加飾フィルム部211aのデザインと端面側加飾フィルム部211bのデザインとが連続し、デザイン性が良い。
【0022】
加飾フィルムとは、フィルムの一方の面(表面)に色または柄、もしくはその組み合わせが施された遮光性のフィルムを指し、一般に建材等の人目に触れる部分へ貼付けを前提に、デザイン性の向上を目的として作られたフィルムのことを指す。加飾フィルムは、意匠が施された面が平滑でなく、目視、接触により認知可能な凹凸があってもよい。加飾フィルムに凹凸がある場合、従来の加飾をガラス板の庫内側に施した場合の仕様ではできない3次元形状でのデザイン選定が可能となる。
【0023】
図4及び
図6を参照し、フレーム202の前面には、基材210の裏面210bを受ける支持面230と、支持面230に対し前方に突出する端面カバー部231とが設けられる。
基材210は、裏面210bに設けられる接着部材204を介して支持面230に接着される。なお、裏面210bは、下地層213及び接着部材204を介して支持面230に接着されても良い。
【0024】
端面カバー部231は、支持面230から基材210の板厚方向に突出するリブ状の突起である。
端面カバー部231は、冷蔵庫100の正面視で基材210の端面220を周囲から囲む枠状に形成される。
基材210は、端面カバー部231の枠内に嵌め込むようにフレーム202に配置され、端面カバー部231によって囲まれる。すなわち、端面カバー部231は、上端面220a、下端面220b、及び側端面220c,220dを周囲から覆って隠す。
面材203の端面203aは、基材210の端面220に加飾フィルム211を貼り付けることで形成される。面材203の端面203aの一部は、端面カバー部231によって覆われている。端面203aにおいて端面カバー部231によって覆われていない部分(後述の露出部220eに相当する部分)は、冷蔵庫100の外側に露出する。端面カバー部231によって面材203をフレーム202に位置決めできるとともに、端面カバー部231によって端面203aの一部を隠すことができる。
【0025】
詳細には、端面カバー部231の突出高さは、基材210の板厚よりも高さHだけ小さい。このため、基材210の端面220は、高さHの分だけ端面カバー部231から外側に露出する。端面220において高さHに対応する部分は、端面カバー部231に対し外側に露出する露出部220eである。
【0026】
端面側加飾フィルム部211bの一部は、端面カバー部231と端面220との間に挟まれている。
基材210の表面210aの全体は、表面側加飾フィルム部211aによって覆われており、ガラス板である基材210は、正面視において表面側加飾フィルム部211aによって隠される。
また、基材210の端面220の露出部220eは、端面側加飾フィルム部211bによって覆われており、露出部220eは、端面側加飾フィルム部211bによって隠される。
【0027】
基材210に対する加飾フィルム211の貼り付けは、手作業で行われる。表面210aと端面220とが接続されるコーナー部210cでは、加飾フィルム211を加熱し引っ張りながらコーナー部210cに貼付けることで、加飾フィルム211のシワの発生を抑えて貼り付けが可能になる。コーナー部210cは、例えば曲面形状または略45°の面取り形状に形成される。
【0028】
ここでは扉102を例に挙げて説明したが、加飾フィルム211に関する構造について、扉103,104,105,106,107も、扉102と同様に構成される。
【0029】
[1-2.作用]
フレーム202に組み込まれた面材203は、端面220の露出部220eが露出している。そのため、加飾フィルム211を、例えば、基材210の表面210aのみに貼り付けた場合、加飾フィルム211の端縁が露出してしまい、この端縁からの加飾フィルム211の剥がれといった品質問題が発生し易くなる。また、この場合、加飾フィルム211の端縁がユーザの目につくと同時に基材210が外側に露出してしまうため、例えば大理石を模した加飾フィルム211を貼った場合、加飾フィルム211の出来に依存せず、面材203が模造品であることが分かり易くなってしまう。そのため、基材210の端面220の全面、もしくは端面220においてユーザの目につき易い部分には、加飾フィルム211の貼り付けが必要となる。
【0030】
加飾フィルム211を基材210の表面210aおよび端面220に貼り付けることで、面材203の品位は加飾フィルム211のみに依存するようになる。面材203の品位が加飾フィルム211のみに依存するということは、基材210の材質に依らない自由なデザイン選択が可能になるということである。
端面220の露出部220eが端面側加飾フィルム部211bによって隠されるため、基材210が透明なガラス板であっても、露出部220eを介して基材210の裏面210b側の断熱材205等が視認されることを抑制できる。このため、扉102の外観性が良い。
【0031】
[1-3.効果等]
以上のように、本実施の形態において、冷蔵庫100の扉102は、面材203と、面材203を支持するフレーム202とを備え、面材203の端面203aの一部が冷蔵庫100の外側に露出し、面材203は、板状の基材210と、基材210に付着される着色層としての加飾フィルム211とを備え、加飾フィルム211は、基材210の表面210aと、基材210の端面220とに設けられている。
これにより、面材203の基材210の表面210a及び端面220は、加飾フィルム211によって隠され、面材203の基材210の材質は、ユーザに視認され難くなる。このため、面材203の材質とデザインとの調和性によるデザインの制約を抑制できる。
【0032】
また、本実施の形態において、着色層は、基材210の表面210a及び基材210の端面220に貼り付けられる加飾フィルム211である。
これにより、加飾フィルム211を表面210a及び端面220に貼り付けることで、簡単な構造で、面材203の基材210の材質をユーザに視認され難くできる。
【0033】
また、本実施の形態において、加飾フィルム211は、基材210の端面220の全面に貼り付けられる。
これにより、端面220の全面を加飾フィルム211によって覆うことができ、基材210の材質を効果的に隠すことができる。
【0034】
また、本実施の形態において、基材210の端面220の一部である露出部220eは、フレーム202の外側に露出し、露出部220eに、加飾フィルム211が貼り付けられている。
これにより、端面220の露出部220eを加飾フィルム211によって効果的に隠すことができる。
【0035】
さらに、本実施の形態において、フレーム202は、基材210の裏面210bを受ける支持面230と、支持面230から基材210の板厚方向に突出する端面カバー部231とを備え、端面カバー部231は、基材210の端面220に貼り付けられた加飾フィルム211の一部を覆う。
これにより、端面カバー部231によって、端面220に貼り付けられた加飾フィルム211を押さえることができ、端面220からの加飾フィルム211の剥がれを抑制できる。
【0036】
また、本実施の形態において、基材210は、ガラス板である。
これにより、基材210が透光性を有するガラス板であっても、端面220から基材210の裏面210b側が視認されることを、端面220に設けられる加飾フィルム211によって抑制できる。このため、扉102の外観性が良い。
【0037】
(実施の形態2)
以下、
図7~
図9を参照して、実施の形態2を説明する。この実施の形態2において、上記実施の形態1と同様に構成される部分については、同符号を付して説明を省略する。
[2-1.構成]
図7は、実施の形態2において、
図2のIV-IV断面図に対応する図である。
実施の形態2は、着色層が、加飾フィルム211ではなく、印刷層411である点が、上記実施の形態1と異なる。
扉302は、冷蔵室を閉塞するドアである。
扉302は、内箱フレーム201と、フレーム202と、扉302の前面を構成する面材403と、面材403をフレーム202に固定する接着部材204と、断熱材205とを備える。
【0038】
接着部材204は、面材403の裏面(面材403の後面)とフレーム202の前面との間に挟まれる。
断熱材205は、面材403と内箱フレーム201との間でフレーム202に囲まれる空間に充填される。断熱材205は、例えば、発泡充填されるウレタンである。
【0039】
図8は、
図7において円で囲んだ部分の拡大図であり、面材403の断面を示す。
面材403は、冷蔵庫100を正面から見た場合に、扉302の外観面の大部分を構成する。
面材403は、基材210と、基材210の表面210aに着色する印刷層411と、印刷層411の下地となるプライマー層412と、印刷層411の表面を保護するクリアコーティング層414と、裏面210bに設けられる下地層213とを備える。
なお、下地層213は、例えば、接着剤を介したフィルム層、もしくはプライマー層であっても良い。下地層213がプライマー層である場合、下地層213は面材403に含まれない場合もある。
【0040】
図9は、
図7の下部の拡大図であって、表面210a及び端面220に対する印刷層411の付着状態を示す断面図である。なお、
図6では、プライマー層412、クリアコーティング層414、及び下地層213は不図示である。
印刷層411は、基材210に着色する着色層である。基材210の表面210aにはプライマー層412が設けられる。印刷層411は、プライマー層412上に重ねて印刷されるインクによって形成される層である。印刷層411は、例えばインクジェット印刷によって形成されるが、シルク印刷やオフセット印刷等によって形成されても良く、印刷方法は限定されない。
【0041】
印刷層411は、基材210の表面210a及び端面220に印刷されている。印刷層411は、プライマー層412を介して表面210a及び端面220に印刷される。
印刷層411は、端面220の全面に印刷される。すなわち、印刷層411は、上端面220a、下端面220b、及び側端面220c,220dに印刷される。
【0042】
印刷層411は、表面210aに印刷される表面側印刷部411aと、端面220に印刷される端面側印刷部411bとが連続して印刷された層である。これにより、表面側印刷部411aと端面側印刷部411bとの間に印刷の継ぎ目は存在しない。このため、表面側印刷部411aのデザインと端面側印刷部411bのデザインとが連続し、デザイン性が良い。
【0043】
印刷層411は、意匠が施された面が平滑でなく、目視、接触により認知可能な凹凸があってもよい。印刷層411に凹凸がある場合、従来の加飾をガラス板の庫内側に施した場合の仕様ではできない3次元形状でのデザイン選定が可能となる。
【0044】
基材210は、端面カバー部231の枠内に嵌め込むようにフレーム202に配置され、端面カバー部231によって囲まれる。すなわち、端面カバー部231は、上端面220a、下端面220b、及び側端面220c,220dを周囲から覆って隠す。
面材403の端面403aは、基材210の端面220に印刷層411を設けることで形成される。端面403aの一部は、端面カバー部231によって覆われている。端面403aにおいて端面カバー部231によって覆われていない部分は、冷蔵庫100の外側に露出する。
【0045】
端面側印刷部411bの一部は、端面カバー部231と端面220との間に挟まれている。
基材210の表面210aの全体は、表面側印刷部411aによって覆われており、ガラス板である基材210は、正面視において表面側印刷部411aによって隠される。
また、基材210の端面220の露出部220eは、端面側印刷部411bによって覆われており、露出部220eは、端面側印刷部411bによって隠される。
【0046】
[2-2.作用]
フレーム202に組み込まれた面材403は、端面220の露出部220eが露出している。そのため、印刷層411を、例えば、基材210の表面210aのみに形成した場合、印刷層411の端縁が露出し、印刷層411の端縁がユーザの目につくと同時に基材210が外側に露出してしまう。このため、例えば大理石を模した印刷層411を形成した場合、印刷層411の出来に依存せず、面材403が模造品であることが分かり易くなってしまう。そのため、基材210の端面220の全面、もしくは端面220においてユーザの目につき易い部分には、印刷層411の貼り付けが必要となる。
【0047】
印刷層411を基材210の表面210aおよび端面220に形成することで、面材403の品位は印刷層411のみに依存するようになる。面材403の品位が印刷層411のみに依存するということは、基材210の材質に依らない自由なデザイン選択が可能になるということである。
端面220の露出部220eが端面側印刷部411bによって隠されるため、基材210が透明なガラス板であっても、露出部220eを介して基材210の裏面210b側の断熱材205等が視認されることを抑制できる。このため、扉302の外観性が良い。
【0048】
[2-3.効果等]
以上のように、本実施の形態において、冷蔵庫100の扉302は、面材403と、面材403を支持するフレーム202とを備え、面材403の端面403aの一部が冷蔵庫100の外側に露出し、面材403は、板状の基材210と、基材210に付着される着色層としての印刷層411とを備え、印刷層411は、基材210の表面210aと、基材210の端面220とに設けられている。
これにより、面材403の基材210の表面210a及び端面220は、印刷層411によって隠され、面材403の基材210の材質は、ユーザに視認され難くなる。このため、面材403の材質とデザインとの調和性によるデザインの制約を抑制できる。
【0049】
また、本実施の形態において、着色層は、表面210a及び端面220に印刷される印刷層411である。
これにより、印刷層411を表面210a及び端面220に印刷することで、簡単な構造で、面材403の基材210の材質をユーザに視認され難くできる。
【0050】
また、本実施の形態において、印刷層411は、端面220の全面に印刷される。
これにより、端面220の全面を印刷層411によって覆うことができ、基材210の材質を効果的に隠すことができる。
【0051】
また、本実施の形態において、端面220の一部である露出部220eは、フレーム202の外側に露出し、露出部220eに、印刷層411が設けられている。
これにより、端面220の露出部220eを印刷層411によって効果的に隠すことができる。
【0052】
また、本実施の形態において、基材210は、ガラス板である。
これにより、基材210が透光性を有するガラス板であっても、端面220から基材210の裏面210b側が視認されることを、端面220に設けられる印刷層411によって抑制できる。このため、扉302の外観性が良い。
【0053】
(他の実施の形態)
なお、本出願において開示する技術の例示として、実施の形態1及び2を説明した。しかしながら、本開示における技術は、これに限定されず、変更、置き換え、付加、省略などを行った実施の形態にも適用できる。
実施の形態1及び2では、加飾フィルム211及び印刷層411は、それぞれ端面220の全面に設けられるものとして説明したが、これに限らず、加飾フィルム211及び印刷層411は、端面220の一部であって、例えばユーザの目に付きやすい部分のみに設けられても良い。
実施の形態1及び2では、加飾フィルム211及び印刷層411は、それぞれ端面220の全面に設けられるものとして説明したが、これに限らず、端面220の一部である露出部220eのみに設けられても良い。この場合、端面220が端面カバー部231によって覆われる部分には、加飾フィルム211及び印刷層411が設けられないため、加飾フィルム211及び印刷層411の使用量を削減できる。
また、実施の形態1では、基材210はガラス板であるが、基材210は樹脂板であっても良い。基材210が樹脂板である場合、加飾フィルム211は、手作業で貼り付けずに、型を使用した基材210の成形の際に、インモールド成形によって基材210に一体成形されても良い。
また、実施の形態1及び2では、基材210はガラス板であるが、例えば基材が鋼板等の金属板で構成される冷蔵庫の扉において、基材の表面及び端面に加飾フィルム211または印刷層411を設けても良い。
【産業上の利用可能性】
【0054】
本開示は、冷蔵庫の外側に露出する面材を備える冷蔵庫の扉などに適用可能である。具体的には、冷蔵庫の扉において、回動して開閉される扉や、引き出し式の扉などに適用可能である。
【符号の説明】
【0055】
100 冷蔵庫
101 冷蔵庫本体
102 扉
103 扉
104 扉
105 扉
106 扉
107 扉
201 内箱フレーム
202 フレーム
202a,202b 側部フレーム
202c 上部フレーム
202d 下部フレーム
203 面材
203a 端面(面材の端面)
204 接着部材
205 断熱材
210 基材
210b 裏面
210c コーナー部
211 加飾フィルム
211b 端面側加飾フィルム部
212 接着層
213 下地層
220 端面(基材の端面)
220a 上端面
220b 下端面
220c 側端面
220d 側端面
220e 露出部
230 支持面
231 端面カバー部
302 扉
403 面材
403a 端面(面材の端面)
411 印刷層
411b 端面側印刷部
412 プライマー層
414 クリアコーティング層
H 高さ