(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022182110
(43)【公開日】2022-12-08
(54)【発明の名称】給紙装置
(51)【国際特許分類】
B65H 3/06 20060101AFI20221201BHJP
B65H 5/06 20060101ALI20221201BHJP
【FI】
B65H3/06 350Z
B65H3/06 340E
B65H5/06 J
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021089452
(22)【出願日】2021-05-27
(71)【出願人】
【識別番号】000208743
【氏名又は名称】キヤノンファインテックニスカ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100097043
【弁理士】
【氏名又は名称】浅川 哲
(74)【代理人】
【識別番号】100197996
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 武彦
(72)【発明者】
【氏名】小澤 政利
(72)【発明者】
【氏名】横山 尚己
(72)【発明者】
【氏名】竹下 尚人
(72)【発明者】
【氏名】桧垣 明治
(72)【発明者】
【氏名】坂本 卓也
(72)【発明者】
【氏名】畑川 和義
(72)【発明者】
【氏名】矢澤 裕
(72)【発明者】
【氏名】相川 憲稔
【テーマコード(参考)】
3F049
3F343
【Fターム(参考)】
3F049AA01
3F049DB05
3F049EA00
3F049LA01
3F049LB01
3F049LB08
3F343FA01
3F343FA09
3F343FB01
3F343FC03
3F343GA01
3F343GB01
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3F343GD01
3F343HA16
3F343HA17
3F343JA01
3F343KB04
3F343KB06
3F343KB12
3F343KB19
3F343LA04
3F343LA15
3F343LC11
3F343LC12
3F343LD10
(57)【要約】
【課題】 送出ローラによるシートの送り出し位置への下降動作と、給紙ローラによるシートの給紙動作とを別駆動とすることで、シートのジャムを低減することができる給紙装置を提供することである。
【解決手段】 シートSを積載する積載トレイ221と、該積載トレイ221に積載されたシートSを送り出す送出ローラ231、該送出ローラ231によって送り出されたシートSを給紙する給紙ローラ232、該給紙ローラ232によって給紙されたシートSを所定の搬送方向に向けて搬送する搬送ローラ235を有するシート給送部230と、を備えた給紙装置200において、前記送出ローラ231及び給紙ローラ232を回転駆動する給送モータ301と、前記搬送ローラ235を回転駆動すると共に、前記送出ローラ231を前記積載トレイ221の上方において昇降駆動する搬送モータ302と、を設けた。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シートを積載する積載トレイと、
前記積載トレイに積載されたシートを送り出す送出ローラ、該送出ローラによって送り出されたシートを給紙する給紙ローラ、該給紙ローラによって給紙されたシートを所定の搬送方向に向けて搬送する搬送ローラを有するシート給送部と、を備えた給紙装置において、
前記送出ローラ及び給紙ローラを回転駆動する第1駆動手段と、
前記搬送ローラを回転駆動すると共に、前記送出ローラを前記積載トレイの上方において昇降駆動する第2駆動手段と、を設けた給紙装置。
【請求項2】
前記第1駆動手段は、一方向の回転で前記送出ローラ及び給紙ローラをシートの給紙方向に向けて回転させる第1駆動モータを有し、
前記第2駆動手段は、一方向の回転で前記搬送ローラをシートの搬送方向に向けて回転させると共に前記送出ローラを下降させ、他方向の回転で前記送出ローラを上昇させる第2駆動モータを有する請求項1に記載の給紙装置。
【請求項3】
前記送出ローラは、前記積載トレイに積載されたシートの上面に当接して送り出す送り出し位置と、前記シートの上面から離間した退避位置との間で昇降移動する請求項1に記載の給紙装置。
【請求項4】
前記積載トレイは、給紙装置本体から引き出し可能な収納庫に配置され、
前記送出ローラ、給紙ローラ及び搬送ローラを有するシート給送部が前記収納庫と一体に設けられている請求項1に記載の給紙装置。
【請求項5】
前記収納庫が給紙装置本体から引き出される際に、前記送出ローラが前記積載トレイの上方を開放する位置に上昇する請求項4に記載の給紙装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シートの送り出しから給紙及び搬送動作を行うシート給送機構を備えた給紙装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、給紙装置に備わるシート給送機構は、昇降可能な積載トレイに積載されたシートの上面に当接してシートを送り出す送出ローラと、送り出されたシートをニップして給紙する給紙ローラと、前記送出ローラ及び給紙ローラを回転駆動する駆動モータ等を備えている。前記送出ローラは、アーム状のホルダ部材を介して給紙ローラの回転軸に連結されており、給紙ローラの回転に伴ってホルダ部材を昇降可能としている。これによって、送出ローラは、積載トレイに積載されている最上位のシートの上面に当接する送り出し位置とシートの上面から上方に離間した退避位置との間を移動することができる。このようなシート給送機構にあっては、ワンウェイクラッチによって、駆動モータの逆転が送出ローラ及び給紙ローラに伝達されないように構成されている。このため、駆動モータの正転によって送出ローラ及び給紙ローラをシートの給送方向に回転駆動すると共にホルダ部材を下降させ、駆動モータの逆転によってホルダ部材を上昇させるようにしている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の機構においては、一つの駆動モータによって、送出ローラ231及び給紙ローラ232を回転駆動すると共に、ローラホルダ353に取り付けられている送出ローラ231を下降させていた。ところが、上記シート給送機構が収納庫と共に筐体から引き出される構造の給紙装置においては、収納庫を筐体から引き出した状態でシートの補充の障害とならないように、送出ローラを上方に大きく退避させる必要がある。例えば、
図9に示したように、シートSが給紙ローラ232と分離ローラ233とによってニップされた状態(
図9(a))で、駆動モータを駆動して前記送出ローラ231が下降させると、給紙ローラ232の回転によって、シートSがさらに下流側に進み、第2シート検出センサ705に到達することが頻繁に発生する(
図9(b))。この場合、第2シート検出センサ705はシートSのジャムを検出するため、シートSの給紙開始時に第2シート検出センサ705にてシートSが検出されるとシートジャムとして報知され、その都度にシートを取り除かなければならなかった。
【0005】
そこで本発明は、送出ローラによるシートの送り出し位置への下降動作と、給紙ローラによるシートの給紙動作とを別駆動とすることで、シートのジャムを低減することができる給紙装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る給紙装置は、シートを積載する積載トレイと、前記積載トレイに積載されたシートを送り出す送出ローラ、該送出ローラによって送り出されたシートを給紙する給紙ローラ、該給紙ローラによって給紙されたシートを所定の搬送方向に向けて搬送する搬送ローラを有するシート給送部と、を備えた給紙装置において、
前記送出ローラ及び給紙ローラを回転駆動する第1駆動手段と、前記搬送ローラを回転駆動すると共に、前記送出ローラを前記積載トレイの上方において昇降駆動する第2駆動手段と、を設けた。
【発明の効果】
【0007】
上記給紙装置によれば、送出ローラ及び給紙ローラを回転駆動する第1の駆動手段と、搬送ローラを回転駆動する第2の駆動手段とを備え、前記送出ローラの昇降駆動を第2の駆動手段によって行うことで、送出ローラ及び給紙ローラの回転動作と送出ローラの昇降動作とが干渉することがない。これによって、シートの送出から給紙及び搬送までの一連の動作にジャムが生じることなく円滑なシート搬送を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明の給紙装置を備えた画像形成システムの全体構成を示す断面図である。
【
図2】給紙装置から収納庫を引き出した状態を示す平面図である。
【
図4】シート給送部の駆動機構を示す斜視図である。
【
図5】給紙装置の制御構成を示すブロック図である。
【
図6】(a)送出ローラがシートの上面から離間した退避位置にある状態、(b)送出ローラがシートの上面に向けて下降する状態、(c)送出ローラがシートを送り出す送り出し位置にある状態を示す説明図である。
【
図7】収納庫の引出時におけるシート給送部の動作フローチャートである。
【
図8】収納庫の装着時におけるシート給送部の動作フローチャートである。
【
図9】従来のシート給送部の動作を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、添付図面を参照しつつ本発明の実施の形態を詳細に説明する。
図1は画像形成装置101と、この画像形成装置101に連結可能な本発明の給紙装置200と、を備えた画像形成システム100の全体構成を示したものである。以下の説明では、画像形成装置101の一例として、電子写真方式を用いたレーザプリンタシステムについて説明する。なお、画像形成装置101は、プリンタ以外に複写機、ファクシミリ、複合機などであってもよく、電子写真方式に限らず、インクジェット方式などの他の方式であってもよい。
【0010】
給紙装置200には、複数枚のシートが収納可能な収納庫210が備えられており、この収納庫210から画像形成装置101に向けてシートを連続して給紙することができる。なお、シートの種類としては、普通紙、薄紙、厚紙などの他、プラスチックシート等が使用できる。
【0011】
図1に示したように、画像形成装置101は、内部に備わる給紙部120(複数の給紙カセット121)や給紙装置200内の収納庫210から給紙される各種のシートを1枚ずつ分離した状態で画像形成部110に搬送する。そして、前記画像形成部110においてシートに画像形成した後、排出トレイ129に排出する。
【0012】
画像形成装置101には、シートの搬送及び画像形成処理を実行制御する制御部140を備えており、画像形成部110に給紙するシートを前記給紙部120、給紙装置200から選択し、印刷方法や印刷部数等を指定する。
【0013】
画像形成装置101に備わる画像読取装置102は、プラテン103上に載置された原稿に走査光学系光源による光を照射すると共に、反射光をCCDに入力することにより原稿画像を読み取る。また、画像読取装置102には、自動原稿送り装置(ADF)104を接続することができ、トレイ105上にセットされた原稿を自動的に画像読取装置102の読取部に搬送して、原稿画像を読み取ることも可能である。そして、読み取った原稿画像は電気信号に変換されて、後述する画像形成部110のレーザスキャナ113に伝送される。なお、レーザスキャナ113は、外部の端末機器等から送信されてくる画像データが入力される場合もある。
【0014】
給紙部120は、各種のシートを収納する複数の給紙カセット121と、送出ローラ122と、搬送ローラ対125等を備えている。前記給紙カセット121内に収納されているシートは、所定のタイミングで昇降動作して回転する前記送出ローラ122と搬送ローラ対125とによって1枚ずつ分離される。
【0015】
画像形成搬送経路150は、搬送ローラ対131、レジストローラ対133を備えている。搬送ローラ対131からレジストローラ対133によって導かれたシートは、所定のタイミングで画像形成部110に送り込まれる。また、前記給紙装置200から給紙されるシートは、搬送ローラ対237及び接続路151を介して前記画像形成搬送経路150に合流して画像形成装置101内に搬送される。
【0016】
画像形成部110は、感光ドラム111、帯電器112、レーザスキャナ113、現像器114、転写器115、クリーナ117等を備えている。画像形成時には、感光ドラム111が回転駆動し、最初に帯電器112により感光ドラム111の表面が一様に帯電される。そして、画像信号に応じて発光されるレーザスキャナ113からのレーザ光が帯電された感光ドラム111に照射されることで、感光ドラム111上に静電潜像が形成される。さらに、このようにして感光ドラム111上に形成された静電潜像は、現像器114によってトナー像として顕像化される。
【0017】
その後、感光ドラム111上のトナー像は、転写器115によってシートに転写される。さらに、トナー像が転写されたシートは、定着器116に搬送されてトナー像の定着が行われ、その後、排出ローラ対119を介して排出トレイ129に排出される。
【0018】
前記シートの裏面にトナー像を形成する場合には、定着器116から排出されたシートをスイッチバック経路118に搬送する。そして、スイッチバック経路118により表裏を反転した状態で、シートを再度、画像形成部110の転写器115に搬送する。裏面にトナー像が転写されたシートは、定着器116に搬送され、トナー像の定着が行われた後、排出ローラ対119により排出トレイ129に排出される。なお、転写後に感光ドラム111上に残った転写残トナーは、クリーナ117により除去される。
【0019】
次に、
図2乃至
図6に基づいて給紙装置200の詳細について説明する。
図2に示したように、給紙装置200内には、シートを収納する収納庫210が収容されており、例えば、収納庫210の前面に設けられている操作部(引出ボタン)205を押すことによって、筐体204から引き出し可能となっている。前記引出ボタン205を押すと、給紙装置200内に設けられている引出ソレノイド(図示せず)が作動する。この引出ソレノイドの作動によって、収納庫210を保持しているロック機構が解除され、バネ部材等の付勢力によって筐体204から押し出される。これによって、収納庫210の上部が開放され、シートの補充が可能な状態となる。
【0020】
図3に示したように、収納庫210は、シート収納部220と、シート収納部220から画像形成装置101に向けてシートを給送するシート給送部230とを有する。シート収納部220は、シートが積載される積載トレイ221を有する。積載トレイ221は、昇降機構226によって上下方向に移動する。
【0021】
前記昇降機構226は、昇降モータ227、駆動プーリ228a、ガイドプーリ228b、ワイヤ228c、レール229を有する。ワイヤ228cは、ガイドプーリ228bを介して、積載トレイ221と駆動プーリ228aとに連結されている。積載トレイ221は、レール229に沿って上下方向に移動可能に支持されている。昇降モータ227によって駆動プーリ228aが回転することで、ワイヤ228cの巻取り、引き出し動作が行われ、このワイヤ228cの動作がガイドプーリ228bを介して積載トレイ221に伝達される。このようにして、積載トレイ221は、レール229に沿って昇降する。
【0022】
前記積載トレイ221は、シートを積載する際に、所定の積載位置まで下降し、収納庫210が筐体204から引き出されてシートを積載していく間に徐々に下降する。そして、引き出された収納庫210を筐体204内に装着し、積載トレイ221上に積載されたシートSが給送されると、積載トレイ221は徐々に上昇していく。
【0023】
本実施形態の給紙装置200は、シート給送部230を構成している各ローラの交換などのメンテナンス性の向上と共に、ジャムしたシートの排除や積載トレイ221へのシートの補充を容易にすべく、
図2に示したように、シート給送部230が収納庫210と共に筐体204から引き出される構造となっている。シート給送部230は、積載トレイ221の上方に設けられており、
図3に示したように、シートSを送り出す送出ローラ231、給送ローラ対234及び搬送ローラ対237が上流側から下流側に向けて配置されている。前記給送ローラ対234は、前記送出ローラ231によって送り出されたシートSを給送する給紙ローラ232と、この給紙ローラ232と共にシートSをニップした状態で1枚に分離する分離ローラ233とによって構成されている。また、搬送ローラ対237は、搬送ローラ235と、この搬送ローラ235に従動する従動ローラ236とで構成されている。
【0024】
送出ローラ231は、積載トレイ221に積載されているシートの先端上面と対向する位置に設けられ、積載トレイ221に積載された最上位のシートSの上面に適宜の押圧力によって当接される。
【0025】
給送ローラ対234は、送出ローラ231から2枚以上のシートが重なって給送された場合に1枚に分離して搬送する。給紙ローラ232は、給送モータ301の駆動によってシートの給紙方向に向けて回転し、送出ローラ231から給送されたシートを搬送する。一方、分離ローラ233は、給紙ローラ232とは逆方向に回転して、送出ローラ231から2枚以上のシートが送られた場合に、最上位シート以外のシートを積載トレイ221側に押し戻す。なお、分離ローラ233にはトルクリミッタ(図示せず)が内蔵されており、給送ローラ対234に送られたシートが1枚のみの場合には、給紙ローラ232により搬送されるシートによって連れ回るようになっている。
【0026】
給送ローラ対234によって給紙されたシートは、第2駆動手段(搬送モータ)302によるシートの搬送方向に向けた搬送ローラ235の回転によって、画像形成装置101に向けて搬送される。
【0027】
本実施形態のシート給送部230は、後述するように、給送モータ301によって給紙ローラ232及び送出ローラ231を回転駆動し、搬送モータ302によって搬送ローラ235が回転駆動すると共に送出ローラ231を積載トレイ221の上方において昇降駆動する。
【0028】
図4は上記シート給送部230の詳細な構成を示したものである。シート給送部230は、給紙ローラ232及び送出ローラ231に至る給送伝達機構331と、搬送ローラ235に至る搬送伝達機構332とによって構成されている。
【0029】
給送モータ301及び搬送モータ302は、例えば、パルスモータであり、給紙装置200の筐体204(
図2参照)に設けられている。このため、給送伝達機構331においては、収納庫210を筐体204から引き出した際、給送モータ301から給紙ローラ232までの駆動伝達経路を離脱可能とするため、給送カップリング303を介して接続されている。また、搬送伝達機構332においても、搬送モータ302から搬送ローラ235までの駆動伝達経路を離脱可能とするため、搬送カップリング304を介して接続されている。
【0030】
給送伝達機構331は、給送モータ301から給送カップリング303までのモータ駆動部311と、給送カップリング303から送出ローラ231までの給送ローラ駆動部321とによって構成されている。給送カップリング303は、収納庫210を筐体204に挿入した状態で給送モータ301と送出ローラ231との間を駆動伝達可能に接続し、収納庫210が引き出される際に給送モータ301と送出ローラ231との間の駆動接続を解除する。
【0031】
搬送伝達機構332は、搬送モータ302から搬送カップリング304までのモータ駆動部312と、搬送カップリング304から搬送ローラ235までの搬送ローラ駆動部322とによって構成されている。搬送カップリング304は、収納庫210を筐体204に挿入した状態で搬送モータ302と搬送ローラ235との間を駆動伝達可能に接続し、収納庫210が引き出される際に搬送モータ302と搬送ローラ235との間の駆動接続を解除する。
【0032】
給送伝達機構331における給送モータ301の回転駆動は、プーリP1からプーリP2にタイミングベルトT1を介して伝達される。プーリP2の駆動は、給送カップリング303を介してギヤG1から給紙ローラ232の駆動軸232aに取り付けられたギヤG3に伝達されて、給紙ローラ232がシートを搬送する方向に回転する。給紙ローラ232の駆動軸232aにはギヤG6が設けられており、ギヤG7を介して送出ローラ231の駆動軸231aのギヤG8に伝達される。これによって、送出ローラ231にも給送モータ301の駆動が伝達される。なお、給紙ローラ232の内部にはワンウェイクラッチOW1が配置されており、ジャム処理時において給紙ローラ232と分離ローラ233とよってニップされているシートを引き抜く際に、給紙ローラ232が空転するようになっている。
【0033】
搬送伝達機構332における搬送モータ302の回転駆動は、プーリP5からプーリP6にタイミングベルトT3を介して伝達される。プーリP6の駆動は、搬送カップリング304を介してギヤG4から搬送ローラ235の駆動軸235aに取り付けられたギヤG5に伝達されて、搬送ローラ235がシートを搬送する方向に回転する。ギヤG5の内部にはワンウェイクラッチOW2が配置されており、ジャム処理時において搬送ローラ対237にニップされているシートを引き抜く際に、搬送ローラ235が空転するようになっている。
【0034】
給紙ローラ232の駆動軸232aには、送出ローラ231を支持するローラホルダ353が回転可能に取り付けられている。さらに給紙ローラ232の駆動軸232aには、ローラホルダ353を昇降させる昇降アーム350が回転可能に取り付けられている。この昇降アーム350は、搬送モータ302の正逆転によって給紙ローラ232の駆動軸232aを支点として上下方向に回動するように構成されている。そして、昇降アーム350は、上方向の回動でローラホルダ353に係合してローラホルダ353を下から押し上げ、ローラホルダ353及びローラホルダ353に支持される送出ローラ231を上昇させる。一方、昇降アーム350が下方向に回動すると、ローラホルダ353が自重によって下降し、それに伴って送出ローラ231が下降する。
【0035】
次に、搬送モータ302の駆動を昇降アーム350に伝達する昇降伝達機構を
図4に基づいて説明する。搬送モータ302が一方向の回転(正転(CW))駆動すると、その駆動は搬送カップリング304、プーリP7、タイミングベルトT4、プーリP8、プーリP9、タイミングベルトT5、プーリP10、昇降アーム350の順に伝達され、昇降アーム350が下方に回動する。昇降アーム350の下方への回動に伴って、昇降アーム350に係合支持されていたローラホルダ353も追従して自重で下降する。これによって、ローラホルダ353に設けられた送出ローラ231も下降する(
図6(b)参照)。そして、ローラホルダ353がホルダーストッパ(図示せず)に当接することで送出ローラ231の下降が停止する。また、昇降アーム350がアームストッパ(図示せず)に当接するとワンウェイクラッチOW3の作用によって昇降アーム350は停止する。このような状態となったときは、搬送ローラ235の駆動軸235aは空転するようになっている。なお、プーリP8とプーリP9は同軸上に設けられ、プーリP8はプーリP7との間にタイミングベルトT4が掛けられており、プーリP9はプーリP10との間にタイミングベルトT5が掛けられている。
【0036】
一方、搬送モータ302が他方向の回転(逆転(CCW))駆動すると、駆動軸235bが搬送方向とは逆方向に回転する。この回転がプーリP7からプーリP8へタイミングベルトT4を介して伝達され、さらに、プーリP8からプーリP9、タイミングベルトT5を介して駆動軸232aに取り付けられているプーリP10及びプーリP10と一体の昇降アーム350に伝達される。これによって、昇降アーム350が上方に回動してローラホルダ353に下方から係合し、ローラホルダ353を上方に押し上げる。そして、送出ローラ231が上昇する(
図6(a)参照)。このとき、搬送ローラ235は、駆動軸235aに取り付けられているワンウェイクラッチOW2の作用によって回転が阻止される。上昇したローラホルダ353及び昇降アーム350は、
図6(a)に示したすように、フォトインタラプタからなる退避センサ352によって検出されることによって停止する。ここで停止した位置を退避位置とする。
【0037】
このように、搬送モータ302の回転を正転(CW)と逆転(CCW)とに切り替えることによって、送出ローラ231をシートSの上面に当接させて送り出す送り出し位置(
図6(c))と、この送り出し位置から上方に退避した退避位置(
図6(a))との間を昇降させることができる。
【0038】
次に、
図3及び
図5を参照して、制御部203を中心とした給紙装置200の制御構成について説明する。制御部203は、CPU、ROM、RAM等からなり、入出力インターフェイスとして、検出部、駆動部、操作部、表示部を備えている。CPUは、ROMに格納された制御手順に対応するプログラムを読み出しながら各部の制御を行う。RAMには、作業用データや入力データが格納されており、CPUは、前述のプログラム等に基づいてRAMに収納されたデータを参照して制御を行う。検出部は、上面検出センサ700、下限検出センサ701、エンプティセンサ702、第1シート検出センサ704、第2シート検出センサ705、退避センサ352及び装着センサ等によって構成されている。駆動部は、給送モータ301、搬送モータ302、昇降モータ227、引出ソレノイド(図示せず)によって構成されている。筐体204には引出ボタン205が備えられており、引出ソレノイドを制御して収納庫210を引き出し可能とする。表示部206には、例えばLED等の警告灯を備え、収納庫210内のシートがなくなった場合や、搬送経路の途中でシートがジャムした場合などにLEDを点灯させてその旨を操作者に知らせる。
【0039】
上面検出センサ700は、
図3に示したように送出ローラ231の近傍に配置され、積載トレイ221に積載された最上位のシートと接触することで該シートを検出する。上面検出センサ700によってシートが検出されると、送出ローラ231によるシートの送り出しが可能となる。下限検出センサ701は、積載トレイ221の下限位置を検出する。上述したように、積載トレイ221は、シート積載時に徐々に下降していく。そして、下限検出センサ701によって、積載トレイ221が下限位置に到達したことを検出すると、積載トレイ221の下降が停止する。また、積載トレイ221の上方には、シートの積載の有無を検出するエンプティセンサ702が配置されている。エンプティセンサ702は、送出ローラ231に対し上流側に離れた位置でシートの有無を検出する。そして、エンプティセンサ702によって積載トレイ221上にシートがないと判定された場合に、表示部206にその旨を報知する。
【0040】
装着センサ(図示せず)は、収納庫210が筐体204の装着位置に装着されたか否かを検出する。制御部203は、装着センサにより収納庫210が筐体204に装着されたことを検出すると、後述するように、送出ローラ231を下降させる。
【0041】
図6に示したように、第1シート検出センサ704は、給紙ローラ232の下流側近傍に配置され、給送ローラ対234によって給紙されたシートSの先端Saを検出する。第2シート検出センサ705は、搬送ローラ235の上流側近傍に配置され、給送ローラ対234によって給紙されたシートSの先端Saが到達したことを検知する。これによって、搬送ローラ235の正転(CW)が開始され、シートを接続路151に向けて搬送する。また、第2シート検出センサ705は、シートの給紙を開始する際にシートを検出すると、経路800内にシートが残留していると判断して残留ジャムとする。さらに、所定時間にシートを検出し続けるとシートが滞留しているとして滞留ジャムとする。
【0042】
次に、
図6及び
図7に基づいて、収納庫210を筐体204から引き出す際の動作について説明する。制御部203は、引出ボタン205が押されたことを検出する(
図7(ST11))と、搬送モータ302を逆転(CCW)する(
図7(ST12))。これによって、昇降アーム350が給紙ローラ232の駆動軸232aを支点として上方に回動を開始する。このとき、昇降アーム350はローラホルダ353に係合し、ローラホルダ353及び送出ローラ231を上昇させる。なお、制御部203は、引出ボタン205が押されたことを検出すると、搬送モータ302を逆転(CCW)させ、同時に昇降モータ227を駆動して積載トレイ221をシート補充する位置まで下降させる。
【0043】
図6(a)に示したように、送出ローラ231を回転支持するローラホルダ353に設けられている検出フラグ351が退避センサ352によって検出(
図7(ST13))されることで、制御部203は送出ローラ231が退避位置に移動したことを認識し、搬送モータ302の駆動を停止する(
図7(ST14))。これによって、昇降アーム350の上方への回動が停止され、昇降アーム350及びローラホルダ353が起立した状態となる。このとき、送出ローラ231は積載トレイ221の上方から退避し、給紙ローラ232の略直上になる退避位置に移動するので、収納庫210内へのシートの補充が容易になる。なお、制御部203は、送出ローラ231の上昇開始から退避位置までの一定時間が経過したときに搬送モータ302の駆動を停止して、送出ローラ231を退避位置に停止させるようにしてもよい。
【0044】
制御部203は、送出ローラ231が給紙ローラ232の略直上になる退避位置に移動すると、引出ソレノイド(図示せず)をONとし(
図7(ST15))、収納庫210のロックを解除する。収納庫210のロックが解除されると、操作者がシート給送部230を含む収納庫210を手動で引き出すことが可能となる。収納庫210が引き出されると、装着センサがOFFとなる(
図7(ST16))。制御部203は、装着センサがOFFとなる引出ソレノイドもOFFとする(
図7(ST17))。
【0045】
なお、前記送出ローラ231の前記退避位置(
図6(a))に向けた移動は、積載トレイ221にシートが積載可能な位置まで収納庫210が引き出される間に行われればよい。したがって、搬送モータ302を収納庫210に設け、駆動伝達経路を搬送カップリング304によって離脱させない構成とすれば、引出ボタン205の操作によって送出ローラ231の前記退避位置への移動を開始すると同時に収納庫210のロックを解除することもできる。また、収納庫210の引出位置への移動を自動で行うようにした場合に、送出ローラ231の退避位置への移動と収納庫210の引出位置への移動とを同時に行うようにしてもよい。
【0046】
本実施形態では、シート給送部230が収納庫210と一体に設けられているため、収納庫210が筐体204から引き出された際に、送出ローラ231がシートの上面に当接する送り出し位置に下降したままの状態であると、シートの積載がしづらくなる。このため、収納庫210が筐体204から引き出される際に、前記退避位置に送出ローラ231が持ち上がることで、積載トレイ221へのシートの補充が容易となる。
【0047】
次に、
図6及び
図8に基づいて収納庫210を筐体204内の装着位置に挿入する際のシート給送部230の動作について説明する。制御部203は、収納庫210が装着位置に装着されたことを装着センサによって検出(
図8(ST21))されると、搬送モータ302を正転(CW)する(
図8(ST22))。これによって、昇降アーム350が給紙ローラ232の駆動軸232aを支点として下方に回動を開始し、この昇降アーム350の下方への回動に追従してローラホルダ353及び送出ローラ231が自重で下降する。
【0048】
制御部203は、搬送モータ302を正転(CW)させた時点から所定量駆動(
図8(ST23))し、搬送モータ302を停止する(
図8(ST24))。搬送モータ302を所定量駆動させる間にローラホルダ353はホルダーストッパ(図示せず)に当接して停止し、昇降アーム350はアームストッパ(図示せず)に当接して停止する。これによって、昇降アーム350、ローラホルダ353、送出ローラ231が
図6(a)の状態から(b)の状態に移行する。その後、制御部203は、昇降モータ227を駆動して積載トレイ221を上昇させる。これによって、積載トレイ221上のシートの上面が送出ローラ231に接触して、送出ローラ231を押し上げる。そして、制御部203は、シートSの上面が上面検出センサ700で検出された時点から昇降モータ227にて積載トレイ221を所定量上昇させて昇降モータ227を停止させる。これによって、シートSの上面は給紙位置に位置付けられる(
図6(c))。そして、この状態から画像形成装置101から給紙指令を受けると給送モータ301を駆動して、シートを給紙する。
【0049】
搬送伝達機構332は、収納庫210が筐体204内の装着位置から引き出された引出位置に到達する前に、送出ローラ231を退避位置に上昇させ、収納庫210が装着位置に移動した後に送出ローラ231を下降させるようにしている。なお、前記退避位置から送り出し位置への送出ローラ231の移動量は、給紙ローラ232の回転中心と送出ローラ231の回転中心とを通る仮想線が給紙ローラ232の回転中心を中心として60°以上あればよく、上方スペースに余裕があれば80°~90°が好ましい。
【0050】
本実施形態では、送出ローラ231の昇降駆動を、給送モータ301を駆動源とする給送伝達機構331から切り離し、搬送モータ302を駆動源とする搬送伝達機構332に連結した。これによって、送出ローラ231の下降動作と、送出ローラ231及び給紙ローラ232の回転動作とが干渉することがなくなり、シートの送り出し時における給送エラーやジャムを確実に防止することができる。また、前記送出ローラ231の昇降動作を、搬送モータ302を駆動源とする搬送伝達機構332側で行わせることで、機構が複雑化することなく、制御を変更することで対応が可能となる。
【0051】
上記実施形態では、給紙装置200に1つの収納庫を備えているが、複数の収納庫からなる多段構成であってもよい。また、シート給送部230が収納庫210と共に筐体204から引き出される構成としたが、引き出すことなく給紙装置200の上部天板(図示せず)を開放してシートをセットする構成に用いてもよい。このような構成にあっては、送出ローラ231の動作の開始は、前記上部天板の開放前でも解放後でもよい。なお、給送モータ301等を制御する制御部203を給紙装置200に設けたが、これらの制御を画像形成装置101の制御部140により行うようにしてもよい。
【符号の説明】
【0052】
100 画像形成システム
101 画像形成装置
102 画像読取装置
110 画像形成部
119 排出ローラ対
120 給紙部
121 給紙カセット
122 送出ローラ
125 搬送ローラ対
129 排出トレイ
131 搬送ローラ対
133 レジストローラ対
140 制御部
150 画像形成搬送経路
151 接続路
200 給紙装置
203 制御部
204 筐体
205 引出ボタン
206 表示部
210 収納庫
220 シート収納部
221 積載トレイ
226 昇降機構
227 昇降モータ
230 シート給送部
231 送出ローラ
231a 駆動軸
232 給紙ローラ
232a 駆動軸
233 分離ローラ
234 給送ローラ対
235 搬送ローラ
235a 駆動軸
236 従動ローラ
237 搬送ローラ対
301 給送モータ(第1駆動手段)
302 搬送モータ(第2駆動手段)
303 給送カップリング
304 搬送カップリング
311 モータ駆動部
312 モータ駆動部
321 給送ローラ駆動部
322 搬送ローラ駆動部
331 給送伝達機構
332 搬送伝達機構
350 昇降アーム
351 検出フラグ
352 退避センサ
353 ローラホルダ
700 上面検出センサ
701 下限検出センサ
702 エンプティセンサ
704 第1シート検出センサ
705 第2シート検出センサ
800 経路
G1、G3、G4、G5、G6、G7、G8 ギヤ
P1、P2、P5、P6、P7、P8、P9、P10 プーリ
T1、T3、T4、T5 タイミングベルト
OW1、OW2、OW3 ワンウェイクラッチ
S シート
Sa 先端