(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022182130
(43)【公開日】2022-12-08
(54)【発明の名称】ラベル及びラベルの使用方法
(51)【国際特許分類】
G09F 3/10 20060101AFI20221201BHJP
【FI】
G09F3/10 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】17
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021089486
(22)【出願日】2021-05-27
(71)【出願人】
【識別番号】000130581
【氏名又は名称】サトーホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002468
【氏名又は名称】特許業務法人後藤特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】新田 晴彦
(57)【要約】
【課題】被着体の表面からの浮き上がりを抑制可能とする。
【解決手段】ラベルは、基材の片面に粘着剤層が設けられたラベルであって、基材の少なくとも一部に形成されたスリットと、基材の周縁の少なくとも一部に形成された波形部とを有する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材の片面に粘着剤層が設けられたラベルであって、
前記基材の少なくとも一部に形成されたスリットと、前記基材の周縁の少なくとも一部に形成された波形部とを有する、
ラベル。
【請求項2】
請求項1に記載のラベルであって、
前記スリットは、ミシン目である、
ラベル。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載のラベルであって、
前記スリットは、前記基材の全面に亘って形成されている、
ラベル。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれか一項に記載のラベルであって、
前記基材の他面に積層された表面基材をさらに有する、
ラベル。
【請求項5】
請求項1又は請求項2に記載のラベルであって、
前記スリットは、前記基材の全面に亘って形成され、前記基材の他面には、前記スリットを有しない表面基材が積層される、
ラベル。
【請求項6】
請求項1から請求項5のいずれか一項に記載のラベルであって、
前記基材の周縁には、前記波形部と直線部とが形成された、
ラベル。
【請求項7】
請求項1から請求項6のいずれか一項に記載のラベルであって、
前記基材は、矩形状であって、
前記基材の長手方向に延びる縁には、前記波形部と直線部とが形成され、
前記基材の短手方向に延びる縁は、直線により形成された、
ラベル。
【請求項8】
請求項1から請求項7のいずれか一項に記載のラベルであって、
前記波形部は、少なくとも一つの円弧形状を含む、
ラベル。
【請求項9】
請求項8に記載のラベルであって、
前記波形部は、前記基材の外方に膨らんだ円弧形状を複数含んで構成されている、
ラベル。
【請求項10】
請求項1から請求項9のいずれか一項に記載のラベルであって、
前記波形部は、前記基材の内方に向けて凹んだ凹部及び前記基材の外方に向けて突出した凸部のうち少なくとも一方を有する、
ラベル。
【請求項11】
請求項10に記載のラベルであって、
前記凹部及び前記凸部の一部又は全部は、曲線で形成されている、
ラベル。
【請求項12】
請求項1から請求項11のいずれか一項に記載のラベルであって、
前記波形部が連続して設けられた、
ラベル。
【請求項13】
請求項12に記載のラベルであって、
隣接する前記波形部の間に連鎖防止部を有する、
ラベル。
【請求項14】
請求項1から請求項13のいずれか一項に記載のラベルであって、
前記粘着剤層を形成する粘着剤のゲル分率が、38%以上42%以下である、
ラベル。
【請求項15】
請求項1から請求項14のいずれか一項に記載のラベルであって、
前記粘着剤層を形成する粘着剤の塗布量が、25g/m2以上28g/m2以下である、
ラベル。
【請求項16】
請求項1から請求項15のいずれか一項に記載のラベルであって、
前記粘着剤層は、前記粘着剤層を有する前記基材及び被着体のそれぞれをマイナス83℃の環境に15時間放置した後、常温に取り出して前記基材の前記粘着剤層を前記被着体に貼り付け、20分間放置後にJIS Z 0237 :2009に準拠した測定で得られた剥離強度が、500gf/25mm以上である、
ラベル。
【請求項17】
請求項1から請求項16のいずれか一項に記載のラベルの使用方法であって、
前記ラベルは、対向する縁それぞれの少なくとも一部に前記波形部を有し、
前記波形部同士が向かい合うようにして、曲面を有する被着体に前記ラベルを貼り付ける、
ラベルの使用方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ラベル及びラベルの使用方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、対象箇所に貼着されるラベルが知られている(特許文献1参照)。このラベルは、基材と、基材の裏面に設けられた粘着剤とを備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このようなラベルを、例えば、試験管に貼着すると、ラベルの端部が試験管の曲面に追従できずに浮き上がってしまうことがある。
【0005】
この場合、試験管に貼着されたラベルは、試験管から浮き上がった端部から剥がれ易くなる。
【0006】
そこで、本発明は、被着体の表面からのラベルの浮き上がりを抑制可能とすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のある態様によれば、基材の片面に粘着剤層が設けられたラベルであって、前記基材の少なくとも一部に形成されたスリットと、前記基材の周縁の少なくとも一部に形成された波形部とを有する。
【発明の効果】
【0008】
上記態様に係るラベルによれば、基材の少なくとも一部にスリットが形成されている。また、基材の周縁の少なくとも一部に、波形部が形成されている。
【0009】
このため、スリットによって基材の弾性を低くすることができるので、基材を円筒状の被着体の表面に追従させ易くなる。
【0010】
これにより、被着体の表面からのラベルの縁部の浮き上がりの抑制が可能となり、ラベルを剥がれ難くすることができる。
【0011】
また、基材の周縁の少なくとも一部に波形部が形成されている。このため、基材の縁が直線状に形成された場合と比較して、基材の周縁が被着体の表面に追従し易くなる。
【0012】
これにより、被着体の表面からのラベルの縁部の浮き上がりの抑制が可能となり、ラベルを剥がれ難くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本実施形態に係るラベル連続体を表面側からみた平面図である。
【
図2】
図1に示されたラベル連続体のセパレータに配置されたラベルの一つを拡大して示す平面図である。
【
図3】
図2に示すIII-III線における断面図である。
【
図5】第一変形例に係るラベルを表面側からみた平面図である。
【
図6】第二変形例に係るラベルを表面側からみた平面図である。
【
図8】第四変形例に係るラベルを表面側からみた平面図である。
【
図9】第五変形例に係るラベルを表面側からみた平面図である。
【
図10】第六変形例に係るラベルを表面側からみた平面図である。
【
図11】第七変形例に係るラベルを表面側からみた平面図である。
【
図12】第八変形例に係るラベルを表面側からみた平面図である。
【
図13】第九変形例に係るラベルを表面側からみた平面図である。
【
図14】第十変形例に係るラベルを表面側からみた平面図である。
【
図15】本実施形態に係るラベルが貼り付けられる試験管と、試験管にラベルを貼り付ける様子を示す説明図である。
【
図16】
図14に示したラベルが貼り付けられた被着体としての三角フラスコを示す図である。
【
図17】本実施形態に係るラベルが貼り付けられた被着体としての袋体を示す図である。
【
図18】第十一変形例に係るラベルを示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
[ラベル連続体]
本実施形態に係るラベル連続体10について説明する。
【0015】
図1は、本実施形態に係るラベル連続体10を表面側からみた平面図である。
図2は、
図1に示されたラベル連続体10のセパレータSに配置されたラベル12の一つを拡大して示す平面図である。
図3は、
図2に示すIII-III線における断面図である。
【0016】
図1及び
図2に示すように、ラベル連続体10は、複数のラベル12が長尺帯状のセパレータSに配置されたものである。各ラベル12は、それぞれ、セパレータSの長手方向(
図1に示すY方向)に配置されている。
【0017】
図3に示すように、このラベル12は、基材14と、基材14の一面に設けられるとともに粘着剤で構成された粘着剤層16と、を有する。また、
図1及び
図2に示すように、ラベル12は、基材14の対向する一対の縁部46、48の少なくとも一部に形成されたスリット50を有する。
【0018】
ラベル12は、基材14の対向する一対の縁20、22の少なくとも一部に形成されるとともに縁20、22に対して非平行な非平行部24、26と、直線部20A、22Aとを有する。なお、
図2では、縁部46のスリット50を省略している。
【0019】
本実施形態に係るラベル12は、矩形状であって、ラベル12の長手方向に延びる縁のそれぞれには、上述の非平行部24、26と直線部20A、22Aとが形成されている。また、ラベル12の短手方向に延びる縁を構成する端縁60、62は、直線により形成されている。
【0020】
各ラベル12は、一例として、長方形状に形成されている。各ラベル12は、各ラベル12の幅方向である短手方向に間隔をおいて配置されている。
【0021】
なお、本実施形態では、ラベル12が長方形状に形成された場合を例に挙げて説明するが、この形状に限定されるものではない。ラベル12は、円形、楕円形、台形など他の形状であってもよい。
【0022】
各ラベル12は、
図2及び
図3に示すように、長方形状の基材14と、基材14の一面に積層された粘着剤層16とを備える。粘着剤層16は、基材14の裏面に均一に塗布された粘着剤で構成される。各ラベル12の粘着剤層16は、セパレータSに剥離可能に仮着されている。
【0023】
<基材>
基材14は、一例として、ポリ塩化ビニル、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエチレンナフタレート等の樹脂フィルム単体又はこれら樹脂フィルムを複数積層してなる多層フィルムを使用することができる。
【0024】
本実施形態においては、基材14として、上記樹脂フィルム基材のほか、上質紙、中質紙、又はこれらを用いて形成された塗工紙等の紙基材を用いることができる。
【0025】
本実施形態において、基材14は、厚さ寸法が、10μm以上200μm以下のものを使用することができる。
【0026】
(非平行部(波形部))
基材14は、
図2に示したように、対向する一対の縁20、22の少なくとも一部に、縁20、22に対して非平行な非平行部24、26が形成されている。具体的に本実施形態の基材14は、セパレータSの長手方向(Y方向)において対向する一対の縁20、22の一部に、非平行部24、26が形成されている。
【0027】
これにより、基材14は、短手方向に設けられた長辺(20、22)に非平行部24、26が形成されている。なお、この非平行部24、26は、セパレータSの幅方向(以下、X方向と記す)に対して非平行である非平行部24、26と言い換えることができる。
【0028】
基材14の輪郭(外周)の一部をなす非平行部24、26は、長方形状に形成された基材14と同一平面において、各縁20、22よりも基材14の内方に向けて凹んだ凹部30、32を有する。
【0029】
すなわち、非平行部24、26は、波形に形成された波形部である。非平行部24、26を構成する波形部は、各縁20、22よりも基材14の内方に向けて凹んだ複数の凹部30、32で構成される。
【0030】
図4は、
図2の要部拡大図であり、基材14の一方の縁20に形成された非平行部24の要部が示されている。本実施形態において、
図2及び
図4に示したように、非平行部24は、Y方向において、縁20よりも基材14の内方に向けて凹んで形成された複数の凹部30がX方向に連続する構造を有する。
【0031】
なお、他方の縁22の非平行部26も上述の非平行部24と同様の構造を有するため、以下では、一方の非平行部24を例に挙げて説明する。
【0032】
図4に示したように、本実施形態において、非平行部24を構成する凹部30の縁は、基材14と同一平面(すなわち、Y方向)において、基材14の外方に膨らんだ曲線で形成されている。
【0033】
すなわち、非平行部24を構成する波形部は、少なくとも一つの円弧形状を含む。また、非平行部24を構成する波形部は、基材14の外方に膨らんだ円弧形状を複数含んで構成されている。
【0034】
本実施形態において、凹部30の縁は、点Omを中心とする正円Mの円弧40と、点Onを中心とする正円Nの円弧42とを含んで構成される。一方の円弧40の頂点Tmは、基材14の外方に向けて突出する。他方の円弧42の頂点Tnは、基材14の外方に向けて突出する。
【0035】
一方の点Omと他方の点Omとは互いに隣接し、一方の正円Mと他方の正円Nとは互いに重なる。一方の点Omを中心とする正円Mの円弧40と、他方の点Onを中心とする正円Nの円弧42とは、基材14の内方(すなわち、Y方向)に向けて、円弧状に凹んだ湾曲部44で接続される。
【0036】
ここで、この湾曲部44は、例えば、横に連なって並んだ円弧40、42の剥がれの連鎖を防止する連鎖防止部と言い換えることができる(詳細は後述する)。また、連鎖防止部を構成する湾曲部44の両脇に連続して形成された円弧40、42は、非平行部24、26を構成する波形部と言い換えることができる。
【0037】
これにより、本実施形態の凹部30の縁は、一方の円弧40と他方の円弧42と湾曲部44とで構成されている。また、各円弧40、42は、凸部を構成する。そして、凹部30の縁及び凸部の縁の一部又は全部は、曲線で形成される。
【0038】
本実施形態において、非平行部24、26を構成する凹部30、32は、水滴を排除する観点から、直線部分を含まないことが好ましく、円弧形状の重ね合わせにより構成されることが好ましい。本実施形態において、一例として、正円M、N、・・・の直径は、それぞれ5mmであり、互いに1mm重複するように設計されている。
【0039】
各非平行部24、26は、このような凹部30、32がX方向に複数連続することによって構成されている。
【0040】
本実施形態においては、非平行部24、26を有することにより、ラベル12の縁部が被着体の表面に追従し易くなる。このため、ラベル12縁部の被着体の表面からの浮き上がりを抑制し、剥がれ難くすることができる。
【0041】
また、ラベル12を貼着する際には、ラベル12と被着体の表面との間の水滴等を、非平行部24、26の各凹部30、32から排出し易くなる。このため、ラベル12の縁20、22が直線のみで形成された従来のラベルに比べて、ラベル12及び被着体間の水滴等の残存を抑制することができる。これにより、ラベル12と被着体との貼り付け状態を良好にすることができる。
【0042】
なお、水滴を排出する効果の観点において、各非平行部24、26は、ラベル12の縁全域に形成されることが好ましい。一方、ラベル12とセパレータSとに生ずるギャップを読み取ってラベル12の位置を把握するプリンタで印字する場合、給紙方向であるY方向の縁20、22に直線部20A、22Aを残すことが好ましい。
【0043】
(スリット)
このラベル12は、
図1及び
図2に示したように、対向する一対の縁部46、48の少なくとも一部にスリット50が形成される。なお、上述したように、
図2のラベル12では、前述した一方の非平行部24の説明を分かり易くするために、一方の縁部46に形成されたスリット50が省略されている。
【0044】
これにより、本実施形態のラベル12は、基材14の対向する一対の縁部46、48の少なくとも一部に形成されたスリット50と、基材14の対向する一対の縁20、22の少なくとも一部に形成された非平行部24、26とを有する。
【0045】
具体的に説明すると、ラベル12には、基材14の対向する一対の縁20、22に沿った縁部46、48に複数のスリット50が形成される。各縁部46、48のそれぞれには、隣接して略平行に延在する三本のスリット50が形成されている。各スリット50は、各縁20、22に沿って延在する。
【0046】
各スリット50は、
図3に示したように、本実施形態において、基材14及び粘着剤層16を貫通する。これにより、スリット50を境とした一方の粘着剤層16と他方の粘着剤層16とは、スリット50によって分断される。
【0047】
本実施形態におけるスリット50は、所定長さの切込部分であるカット部50Aと、切込がない部分であるアンカット部50Bとを交互に有するミシン目である。各スリット50において、スリット50を構成するカット部50Aとアンカット部50Bとは、直線状に配置されている。
【0048】
各スリット50の端は、基材14の端縁60、62に達しないように配置され、各スリット50と基材14の端縁60、62との間には、切り込みを有しない領域が形成される。これにより、スリット50の端部のカット部50Aが基材14の端縁60、62に達する場合と比較して、スリット50に沿った予期せぬ切断又はスリット50端部の捲れを抑制し、印字時のプリンタとの接触に起因した不具合を未然に抑制する。
【0049】
本実施形態のラベル12は、基材14の各縁部46、48にスリット50が形成されることによって、縁部46、48が曲がり易くなる。これにより、
図1におけるY方向を周方向として湾曲する面に対してラベル12を湾曲させ易い。
【0050】
このため、本実施形態に係るラベル12は、ラベル12の長さ方向が被着体である円筒体の軸方向に沿って貼着された場合には、基材14の縁部46、48が円筒体の表面に追従し易くなる。
【0051】
なお、本実施形態に係るラベル12においては、スリット50がラベル12の長さ方向に延在する場合について説明するが、これに限定されるものではない。このスリット50の延在方向は、ラベル12の長手方向でも短手方向であってもよい。
【0052】
また、プリンタでラベル12に印字する場合、スリット50の延在方向は、ラベル12が移動するラベル進行方向を基準としてラベル進行方向と並行であってもよいし、ラベル進行方向と直交するラベル12の幅方向であってもよい。
【0053】
なお、本実施形態に係るラベル12は、ラベル12の長さ方向が被着体である円筒体の軸方向に沿って貼着されるように、円筒体への貼着方向を指定するための情報が印字されていてもよい。
【0054】
<粘着剤層>
粘着剤層16に用いられる粘着剤としては、エマルジョン系粘着剤、ソルベント系粘着剤、ホットメルト系粘着剤などである。
【0055】
粘着剤層16を構成する粘着剤は、ゲル分率が、38%以上42%以下である。ゲル分率は、次のようにして測定した値である。
【0056】
(ゲル分率の測定方法)
粘着剤を酢酸エチルに浸漬し、50℃で12時間(一晩)経過後、溶けない部分である不溶分を測定する。そして、測定した値は、重量%で示す。
【0057】
具体的に説明すると、100gの粘着剤を酢酸エチルで溶かした場合、溶けることなく、不溶部の重量が100gであったとする。この場合、ゲル分率は、100%となる。
【0058】
粘着剤層16を形成する粘着剤は、基材14への塗布量が、25g/m2以上28g/m2以下である。
【0059】
また、粘着剤層16の剥離強度(接着力)は、次に示す条件で測定した場合に、500gf/25mm以上とする。
【0060】
(剥離強度の測定条件)
ラベル12と、ラベル12が貼り付けられる被着体とのそれぞれをマイナス83℃の環境に15時間放置する。そして、ラベル12と被着体とを常温に取り出し、ラベル12を被着体に貼り付けて、20分間放置する。その後、被着体に貼り付けられたラベルに対して、JIS Z 0237 :2009(粘着シート剥離強度試験)に準拠した測定を行なう。
【0061】
なお、本実施形態では、被着体に貼り付けられたラベル12を引っ張る方法(180度剥離)と、ラベル12を引っ張るためのクロスヘッドのスピード(300mm/分)とが、JIS Z 0237 :2009に準拠する。
【0062】
ここで、剥離強度が500gf/25mm未満の場合、十分な貼り付け状態が得られないことが経験上分かっている。
【0063】
<効果>
ラベル12は、基材14の片面に粘着剤層16が設けられたラベル12である。ラベル12は、基材14の少なくとも一部に形成されたスリット50と、基材14の周縁の少なくとも一部に形成された非平行部(波形部)24、26とを有する。
【0064】
基材14に形成されたスリット50の作用効果について説明する。ラベル12は、縁部46、48に形成されたスリット50によって弾性を低くすることができる。これにより、基材14を円筒状の被着体の表面に追従させ易くなる。
【0065】
このため、被着体の表面からのラベル12の浮き上がりの抑制が可能となり、ラベル12を剥がれ難くすることができる。
【0066】
次に、基材14に形成された非平行部24、26の作用効果について説明する。ラベル12は、基材14の縁20、22の少なくとも一部に非平行部(波形部)24、26が形成されている。このため、基材14の縁20、22が直線状に形成された場合と比較して、基材14の縁部46、48が被着体の表面に追従し易くなる。
【0067】
これにより、被着体の表面からのラベル12の縁部46、48の浮き上がりの抑制が可能となり、ラベル12を剥がれ難くすることができる。
【0068】
また、本実施形態に係るラベル12によれば、ラベル12と被着体の表面との間に水滴が存在しても、ラベル12が被着体の表面に貼り付けられる際に、ラベル12と被着体との間に存在する水滴が各非平行部24、26から外側へ排出され易くなる。
【0069】
このため、本実施形態に係るラベル12にあっては、被着体の表面が濡れている場合であっても、ラベル12の各縁20、22が直線的に形成されたラベルに比べて、被着体の表面から浮き上がりを抑制しつつ、被着体の表面に貼り付けることができる。
【0070】
具体的にラベル12が、一例として試験管に貼着される場合について説明する。ラベル12が貼着される試験管の材料としては、ポリメチルペンテン(商品名:TPX)等のように透明度が高く、表面張力がフッ素樹脂に次いで低い材料が使用されることがある。このようなポリメチルペンテン製試験管は、粘着剤層16が貼着し難いという特性を有する。その上、低温から高温に至る幅広い温度環境や、高湿環境に曝される。
【0071】
これに対して、本実施形態に係るラベル12によれば、基材14の縁部46、48に形成されたスリット50により、ラベル12のX方向が被着体である試験管の軸方向に沿って貼着された場合には、基材14の縁部46、48が試験管の表面に追従し易くなる。
【0072】
また、試験管の表面が濡れていても、ラベル12の縁20、22が直線的に形成されたラベル12に比べて、ラベル12の縁20、22の試験管の表面から浮き上がりを抑制しつつ、ラベル12を試験管の表面に貼り付けることができる。
【0073】
したがって、TPX製試験管のように、粘着剤が貼着し難い円筒体であっても、ラベル12の縁部46、48を円筒体の表面に沿って貼着することができ、縁部46、48の円筒体の表面からの浮き上がりを抑制することができる。
【0074】
また、本実施形態において、スリット50は、ミシン目である。
【0075】
このため、ラベル12の縁部46、48に線状の長いスリットが形成された場合と比較して、ラベル12のスリット50に沿った切断を抑制することができる。
【0076】
さらに、本実施形態において、非平行部24、26は、基材14の内方に向けて凹んだ凹部30、32及び基材14の外方に向けて突出した凸部のうち少なくとも一方を有する。
【0077】
この構成によれば、被着体に水滴が付着する場合であっても、ラベル12を被着体に貼着する際に、ラベル12と被着体との間の水滴を凹部30、32から押し出すことが可能となる。
【0078】
また、基材14の縁には、非平行部24、26を構成する凹部30、32又は凸部によって凹凸が形成される。
【0079】
ここで、本実施形態においては、非平行部24、26の一部が凹部30、32で構成されることにより、ラベル12には、ラベル12の外方に膨らんだ円弧40、42が凹部30,32の両脇に形成される。
【0080】
これにより、基材14の縁からの剥がれ応力を分散することができる。さらに、基材14の縁は、凹凸によって接着部の距離が長くなる。これにより、縁からの剥がれを抑制することができる。
【0081】
また、本実施形態において、凹部30、32及び凸部の一部又は全部は、曲線で形成されている。
【0082】
さらに、本実施形態において、波形部(非平行部24、26)は、少なくとも一つの円弧形状を含む。
【0083】
この構成によれば、凹部30、32及び凸部が矩形状に形成された場合と比較して、被着体の表面に付着した水滴の排出効果が高められる。
【0084】
また、本実施形態に係るラベル12は、粘着剤のゲル分率が、38%以上42%以下である。
【0085】
この構成において、粘着剤層16を形成する粘着剤のゲル分率が、38%未満であると、粘着剤層16が柔らかすぎるため、粘着剤層16を形成する粘着剤が染み出しやすくなる。また、粘着剤層16の強度が低下する為、保持力等が低くなりやすい傾向がある。
【0086】
また、粘着剤層16を形成する粘着剤のゲル分率が、42%を超えると、粘着剤層16が固くなる。この場合、ラベル12の凹凸面への貼り付き性の悪化が懸念される。
【0087】
これに対して、本実施形態では、粘着剤層16を形成する粘着剤のゲル分率を、38%以上42%以下とすることで、粘着剤層16を形成する粘着剤の染み出しを防止しつつ、ラベル12の保持力を維持することが可能となる。また、ラベル12の凹凸面への貼り付き性が向上する。
【0088】
また、本実施形態に係るラベル12は、粘着剤層16の塗布量が、25g/m2以上28g/m2以下である。
【0089】
この構成によれば、粘着剤層16の塗布量が、25g/m2未満であると、貼り付き性の悪化が懸念される。
【0090】
また、粘着剤層16の塗布量が、28g/m2を超えると、貼り付き性の向上は期待できるものの、粘着剤層16を形成する粘着剤の染み出しが懸念される。
【0091】
これに対して、本実施形態では、粘着剤層16の塗布量を、25g/m2以上28g/m2以下とすることで、貼り付き性を向上しつつ、粘着剤層16を形成する粘着剤の染み出しを抑制することができる。
【0092】
また、本実施形態に係るラベル12は、非平行部24、26が連続して設けられている。
【0093】
さらに、本実施形態に係るラベル12において、波形部(非平行部24、26)は、基材14の外方に膨らんだ円弧形状を複数含んで構成されている。
【0094】
さらに、本実施形態に係るラベル12は、隣接する非平行部24、26の間に湾曲部44(連鎖防止部)を有する。
【0095】
この構成によれば、一例として、非平行部24、26が外側に突出した円弧40、42で構成される場合、隣接する円弧40、42の間には、湾曲部44が配置され、この湾曲部44は、連鎖防止部として機能する。
【0096】
連鎖防止部について具体的に説明すると、連続する円弧40、42のうちいずれか一つが被着体から浮き上がったとしても、円弧40、42間の湾曲部44が連鎖防止部として機能することで、隣接する円弧40、42の連鎖的な浮き上がりを抑制することができる。
【0097】
また、本実施形態に係るラベル12において、粘着剤層16の剥離強度は、次に示す条件で測定した場合に、500gf/25mm以上である。
【0098】
ラベル12と、ラベル12が貼り付けられる被着体とのそれぞれをマイナス83℃の環境に15時間放置する。そして、ラベル12と被着体とを常温に取り出し、ラベル12を被着体に貼り付けて、20分間放置する。その後、被着体に貼り付けられたラベルに対して、JIS Z 0237 :2009に準拠した測定を行なう。
【0099】
この構成によれば、剥離強度が、500gf/25mm未満の場合と比較して、十分な貼り付け状態を得ることができる。
【0100】
なお、ラベル12の周縁の全てを波形の非平行部24、26として形成すると、セパレータSから剥がれ易くなる。これに対して、ラベル12の周縁部に直線部20A、22Aが形成されていることにより、セパレータSから容易にラベル12が剥がれてしまうことを防止できる。
【0101】
また、直線部20A、22Aによれば、ラベル12のギャップを読み取る構成を備えたプリンタを用いてラベル12に印字する際に、非平行部24,26においてラベル12のギャップを検出する場合に比べて、ギャップを正確に読み取ることができる。
【0102】
また、ラベル12の印字のための目印として用いられる、いわゆるアイマークを直線部20A,22Aに予め印刷しておくことにより、プリンタにおいて、非平行部24、26に印刷されたアイマークに基づいて印字のための位置合わせを行う場合に比べて、位置合わせを正確に行うことができる。
【0103】
また、直線部20A、22Aによれば、ラベル12を被着体に貼り付けた後に、ラベル12が被着体において、正しい位置及び正しい状態で貼り付けられているか否かを検査する場合であっても、非平行部24、26に基づいて検出する場合に比べて、正確に行うことができる。
【0104】
[ラベルの変形例]
次に、本実施形態に係るラベル連続体10に配置されるラベルの変形例について説明する。
【0105】
<第一変形例>
図5は、第一変形例に係るラベル80を表面側からみた平面図である。ラベル80は、基材14に形成された複数のスリット50のうち、縁部46、48に沿って隣接するスリット50のカット部50Aが縁20、22に沿った方向に対して互い違いに形成されている。
【0106】
ラベル80は、縁20、22に沿った第一仮想ラインL1上と、第一仮想ラインL1に略平行な第二仮想ラインL2上と、第二仮想ラインL2に略平行な第三仮想ラインL3上に、スリット50が形成されている。隣接するスリット50のカット部50Aは、Y方向で重ならないように、各スリットが配置されており、各スリット50のカット部50Aは、所定の運針数毎に形成されている。
【0107】
具体的に説明すると、各スリット50は、縁20、22に沿った第一仮想ラインL1、第二仮想ラインL2、及び第三仮想ラインL3上に配置されている。各ラインL1、L2、L3は、互いに略平行に延在する。第一仮想ラインL1上のスリット50のカット部50Aと、第二仮想ラインL2及び第三仮想ラインL3上のスリット50のカット部50Aとは、Y方向で隣接しないように配置される。
【0108】
これにより、第一変形例に係るラベル80では、Y方向において、第一仮想ラインL1及び第三仮想ラインL3上にカット部50Aが形成された部分と、中央に配置された第二仮想ラインL2上のみにカット部50Aが形成された部分とがある。
【0109】
上述したラベル12では、スリット50のカット部50Aが縁20、22に沿って等間隔に連続して形成されている。このため、基材14の縁部46、48において、曲がり易くなるが、基材14がスリット50を基点としてY方向に引き裂かれて分断され易くなる。
【0110】
これに対して、第一変形例に係るラベル80では、縁20、22に沿って隣接する一部のスリット50は、カット部50Aが等間隔に連続しない。そして、各スリット50のカット部50Aは、異なる仮想ラインL1、L2、L3において、所定の運針数毎に、縁20、22に沿った方向に対して互い違いに形成されている。
【0111】
このため、基材14の縁部46、48が被着体である円筒体の表面に追従し易くなる効果に加えて、次の効果を有する。すなわち、基材14がスリット50を基点としてY方向に引き裂かれる力が加わっても、隣接するスリット50が縁20、22に沿って繋がってしまうことがない。このため、上述したラベル12に比べて、基材14の一部が分離してしまうことを抑制できる。
【0112】
<第二変形例>
図6は、第二変形例に係るラベル90を表面側からみた平面図である。このラベル90は、スリット50が基材14の全面に亘って形成されているものである。
【0113】
このラベル90では、上述したラベル12と比較して、基材14全体が被着体である円筒体の表面に追従し易くなる。
【0114】
<第三変形例>
図7は、第三変形例に係るラベル100の断面図である。このラベル100は、基材14の他面に積層された表面基材102をさらに有する。表面基材102は、基材14の他面に積層された接着剤層104によって基材14に固定される。表面基材102は、スリット50を有しない。
【0115】
このラベル100では、基材14に形成されたスリット50が表面基材102によって覆われる。これにより、ラベル100の表面には、スリット50が露呈しない。
【0116】
このため、使用者にとっては、表面基材102に印字された情報がスリット50に重なることがなく、表面基材102に印字された情報が読み取り易くなる。
【0117】
この効果は、スリット50が基材14の全面に亘って形成された第二変形例のラベル90において、顕著となる。
【0118】
また、スリット50が表面基材102により覆われるため、スリット50が露呈していた場合に起こり得る印字斑の発生やラベル搬送の妨げを抑制することができる。
【0119】
<第四変形例>
図8は、第四変形例に係るラベル110を表面側からみた平面図である。このラベル110は、基材14にスリット50を有し、縁20、22に形成された非平行部112、114が、縁20、22よりもラベル110の外方に突出して凸部として形成されたものである。
【0120】
<第五変形例>
図9は、第五変形例に係るラベル120を表面側からみた平面図である。このラベル120は、基材14にスリット50を有し、縁20、22に形成された非平行部122、124が楕円の円弧の組み合わせにより形成されたものである。
【0121】
<第六変形例>
図10は、第六変形例に係るラベル130を表面側からみた平面図である。このラベル130は、基材14にスリット50を有し、縁20、22に正弦波状の非平行部132、134が形成されたものである。
【0122】
<第七変形例>
図11は、第七変形例に係るラベル140を表面側からみた平面図である。このラベル140は、基材14にスリット50を有し、縁20、22に三角波状の非平行部142、144が形成されたものである。
【0123】
<第八変形例>
図12は、第八変形例に係るラベル150を表面側からみた平面図である。このラベル150は、基材14にスリット50を有し、縁20、22に矩形波状の非平行部152、154が形成されたものである。
【0124】
<第九変形例>
図13は、第九変形例に係るラベル160を表面側からみた平面図である。このラベル160は、基材14にスリット50を有し、縁20、22に台形波状の非平行部162、164が形成されたものである。
【0125】
<第十変形例>
図14は、第十変形例に係るラベル170を表面側からみた平面図である。このラベル170は、基材14にスリット50を有し、縁20、22に非平行部172、174が形成されている。
【0126】
このラベル170において、縁20及び非平行部172は、X方向に対して所定の角度を成しており、縁20及び非平行部172に対向する縁22及び非平行部174は、X方向に沿った軸に対して、縁20及び非平行部172と線対称になるように形成されている。
【0127】
また、X方向において対向する端縁60、62は、対向する一方の縁20と他方の縁22との間の領域が先細る方向に凸になるような曲線に形成されている。
【0128】
以上説明した
図5から
図14に示された各ラベル80、90、100、110、120、130、140、150、160、170についても、上述したラベル12と同様に、被着体の表面に追従し易くなるため、被着体の表面から剥がれ難くすることができる。
【0129】
また、ラベルと被着体の表面との間の水滴を、ラベルと被着体の表面との間から押し出して外側へ排出することができるため、良好な貼り付け状態が得られる。
【0130】
[被着体]
次に、実施形態に係る被着体について説明する。
図15は、実施形態に係るラベル12が貼り付けられる試験管P1と、試験管P1にラベル12を貼り付ける様子を示す説明図である。
【0131】
本実施形態において、被着体は、ラベル12が貼り付けられる表面が曲面になった筒状体或いは管状体を呈するものである。一例として、被着体が試験管P1である場合について説明する。
【0132】
試験管P1の素材として、例えば、ポリメチルペンテンのように透明度が高く、表面張力がフッ素樹脂に次いで低い材料が使用されることがある。ポリメチルペンテン製試験管には、一般的なラベルを貼り付け難いという特性がある。
【0133】
その上、試験管P1は、採血や検体試験に用いられるため、極低温から高温に至る幅広い温度環境や高湿環境に曝される。また、このような用途では、例えば、試験管P1の表面に水滴等が付着した状態であっても、ラベル12を貼り付けなければならない場合があった。
【0134】
曲面を有する試験管P1にラベル12を使用する場合には、一例として、以下の使用方法が挙げられる。なお、以下の方法は、貼付装置等により実現可能である。
【0135】
まず、
図1に示されたラベル連続体10をY方向に搬送しながら、図示しないプリンタを用いて、ラベル12のそれぞれに必要な情報を印字する。
【0136】
続いて、対向する縁それぞれに波形部(非平行部24、26)を有するラベル12を波形部同士、すなわち、非平行部24と非平行部26とが向かい合うようにして、曲面を有する試験管P1に貼り付ける。
【0137】
一例として、セパレータSからラベル12を剥がし、
図15に示すように、ラベル12の縁20及び非平行部24を試験管P1の表面に当接させる。そして、ラベル12を搬送するとともに、ラベル12の搬送速度と同速度で試験管P1を回転方向Rに回転させながら、試験管P1の表面にラベル12を巻回し貼り付ける。
【0138】
本実施形態に係るラベル12によれば、試験管P1の表面に水滴等が付着していた場合であっても、非平行部24が試験管P1の表面に当接した際に、非平行部24に含まれる凹部30によって水滴等が放射状に押しのけられる。このため、ラベル12と試験管P1の表面との間に水滴等が入り込むことが抑制される。
【0139】
また、非平行部24が当接した後、ラベル12の搬送速度と同速度で試験管P1を回転方向Rに回転させてラベル12を試験管P1に貼り付ける。すると、試験管P1の表面に付着した水滴は、ラベル12と試験管P1とに挟まれて、ラベルの回転方向後方(搬送方向上流側)に押し出される。
【0140】
非平行部26には、凹部32が形成されていることにより、ラベル12と被着体との間の水滴が凹部32の円弧形状に向けた放射方向に排出され易くなっている。
【0141】
このため、ラベル12と被着体の表面との間において押し出された水滴は、搬送方向上流側に位置する縁22及び非平行部26からラベル12と被着体との間から外側に排出される。
【0142】
本実施形態に係るラベル12によれば、ラベル12と試験管P1との間の水滴の排出が促進されるため、良好な貼り付け状態が得られる。
【0143】
本実施形態に係るラベル12によれば、上述のような過酷な条件下で用いられる試験管P1に適用される場合であっても、上述のように、試験管P1表面に貼り付け易く、良好な貼り付け状態が得られる。このため、試験管P1表面からのラベル12の浮き上がりを抑制することができる。
【0144】
このように、ラベル12が浮き上がることなく貼り付けられた試験管P1を得ることができる。
【0145】
なお、試験管P1のような円筒状の被着体にラベル12を適用する際には、本実施形態に係るラベル12は、ラベル12のX方向が試験管P1の軸方向に沿って貼り付けられるように、試験管P1に対する貼り付け方向を指定するための情報が印字されていてもよい。
【0146】
次に、被着体の別の形態について説明する。
【0147】
図16は、第十変形例として
図14に示したラベル170が貼り付けられた被着体としての三角フラスコP2を示す図である。
【0148】
このラベル170は、各縁20、22がX方向に対して所定の角度を成し、一方の縁20に対向する他方の縁22がX方向に沿う軸に対して線対称になるように形成されている。また、X方向において対向する端縁60、62は、対向する縁20、22間の領域が先細る方向に凸になるような曲線に形成されている。このため、このラベル170は、三角フラスコP2のようにテーパ形状を有する被着体に対しても剥がれ難い。
【0149】
図17は、本実施形態に係るラベル12が貼り付けられた被着体としての袋体P3を示す図である。被着体は、
図17に示すように、液体或いは不定形物が封入されるような袋体P3であってもよい。
【0150】
なお、被着体は、
図16及び
図17に示す被着体以外にも、例えば、球体やラグビーボールのような三次曲面を有するものや箱体等であってもよい。
【0151】
ラベル12は、このような袋体P3に対しても、表面に貼り付け易く、また、良好な貼り付け状態が得られる。
【0152】
[その他の実施形態]
以上、本発明の実施形態について説明したが、上記実施形態は、本発明の適用例の一部を示したに過ぎず、本発明の技術的範囲を上記実施形態の具体的構成に限定する趣旨ではない。
【0153】
本実施形態においては、スリット50と非平行部24、26とを有するラベル12を例に挙げて説明したが、この構成に限定されるものではない。スリット50又は非平行部24、26の少なくとも一方を備えることによって、前述した作用効果を得ることができる。
【0154】
本実施形態において、スリット50には、基材14を貫通するように形成されているもののほか、V溝や凹溝のように、基材14を貫通しない、いわゆるエンボス加工のようなものも含む。
【0155】
本実施形態では、非平行部において、凹部30、32を構成する円弧の直径及び円の重複長さは、適宜変更可能である。
【0156】
本実施形態において、
図8から
図13を用いて説明した楕円形状の集合、正弦波状、三角波状、矩形波状及び台形波状は、この形状に限定されるものではない。また、楕円における長軸及び短軸、正弦波における振幅及び波長、矩形波における振幅及び波長等は、図面に記載された寸法比率に限定されない。非平行部を構成する形状の各寸法比率は、効果を奏する範囲において適宜変更可能である。
【0157】
本実施形態では、非平行部は、少なくとも一つの曲線形状を含んで構成されていればよい。非平行部のほかの例として、
図8から
図13を用いて説明した楕円形状の集合、正弦波状、三角波状、矩形波状及び台形波状のうちのいずれか、又はこれら全てが組み合わされた形状であってもよい。
【0158】
本実施形態において、非平行部は、基材14の対向する縁20、22のうちいずれか一方のみに形成されていてもよい。
【0159】
また、ラベル12は、
図18の第十一変形例に示すように、セパレータを有しない連続体200とすることもできる(ライナーレスラベル)。ミシン目等の切断線202で切り取ることで、単体のラベル12として使用することができる。切断線202が非平行部24、26を形成する。なお、
図18では、スリット50を省略している。
【実施例0160】
実施形態に係るラベル12に基づくサンプルを作製し、得られたサンプルについて各種測定を行い、ラベルとしての評価を行った。作製するサンプルは、サンプル1からサンプル5の五つである。以下、各サンプルの作製方法及びその評価について説明する。
【0161】
[サンプルの作製]
(基材)
各サンプルは、同一の基材を用いて作製した。基材の材料は、PE(ポリエチレン)とした。
【0162】
基材の厚さは、150μm、幅は、25mm、長さは、210mmとした。非平行部24、26の凹部30、32の縁を形成する正円M、Nの半径は、2.5mmとした。また、湾曲部44の半径は、0.5mmとした。
【0163】
各スリット50の幅は、3.0mmとした。また、各スリット50のカット部50Aの長さは、2.0mmとした。各スリット50のアンカット部50Bの長さは、1.0mmとした。そして、隣接するスリット50の離間長は、2.5mmとした。
【0164】
サンプル1の粘着剤層を粘着剤aで形成した。サンプル2の粘着剤層を粘着剤bで形成した。サンプル3の粘着剤層を粘着剤cで形成した。サンプル4の粘着剤層を粘着剤dで形成した。サンプル5の粘着剤層を粘着剤eで形成した。
【0165】
サンプル1の粘着剤層を形成する改良品Aの粘着剤aのゲル分率は、37.9%である。サンプル2の粘着剤層を形成する改良品Bの粘着剤bのゲル分率は、39.2%である。サンプル3の粘着剤層を形成する改良品Cの粘着剤cのゲル分率は、39.3%である。サンプル4の粘着剤層を形成する改良品Dの粘着剤dのゲル分率は、40.3%である。サンプル5の粘着剤層を形成する改良品Eの粘着剤eのゲル分率は、46.6%である。
【0166】
サンプル1の粘着剤層を形成する改良品Aの塗布量は、23.7g/m2である。サンプル2の粘着剤層を形成する改良品Bの塗布量は、25.5g/m2である。サンプル3の粘着剤層を形成する改良品Cの塗布量は、26.3g/m2である。サンプル4の粘着剤層を形成する改良品Dの塗布量は、27.9g/m2である。サンプル5の粘着剤層を形成する改良品Eの塗布量は、28.5g/m2である。
【0167】
[評価方法]
作製したサンプル1からサンプル5に対して剥離強度を測定して評価を行った。
【0168】
(試験方法)
短冊状の各サンプルを被着体に貼り付ける。被着体は、幅が、100mm、長さが100mmとし、被着体の素材は、PE(ポリエチレン)とする。
【0169】
被着体への各サンプルの貼り付け長さは、被着体のサイズを考慮して、90mmとした。2kgのローラを各サンプルの表面で転がして二往復させ、各サンプルを被着体に密着させ、この状態で、20分放置した。その後、試験機で各サンプルを引っ張って被着体から剥離し、剥離に要する力を測定して評価を行った。
【0170】
剥離強度が1000gf/25mm以上の場合の評価を「A」とする。剥離強度が500gf/25mm以上999gf/25mm以下の場合の評価を「B」とする。剥離強度が500gf/25mm未満の場合の評価を「C」とする。
【0171】
(常温試験)
前述した試験を、常温(25℃)で行った。
【0172】
(冷凍試験)
各サンプルと被着体とを、-83℃に保たれた極低温装置内に、15時間放置する。そして、各サンプル及び被着体を極低温装置から取り出し、被着体の表面の霜を除去する。そして、前述した条件で、各サンプルを被着体に貼り付けて20分間放置した後、試験を行った。
【0173】
[評価結果]
評価結果を第1表に示す。
【0174】
【0175】
第1表の試験結果において、「A」は、剥離に要する力が十分に大きく良好である、すなわち非常に大きな剥離強度があることを示す。「B」は、剥離に要する力が大きく良である、すなわち十分な剥離強度があることを示す。「C」は、剥離に要する力が小さく不良である、すなわち剥離強度が無いことを示す。
【0176】
なお、試験結果に示した「A」、「B」、及び「C」の分類は、剥離に要する力の大きさによって定められる。剥離に要する力の大きさの基準は、対象とするラベルごとに定められた最小値とする。
【0177】
そして、本試験では、常温試験及び冷凍試験の両者の評価が「B」以上の場合を、「合格」とした。
【0178】
この第1表から粘着剤層16を形成する粘着剤のゲル分率が、38%以上42%以下 であれば、ラベルとしての機能を十分に満たすことがわかる。
【0179】
また、粘着剤層16を形成する粘着剤の塗布量が、25g/m2以上28g/m2以下であれば、ラベルとしての機能を十分に満たすことがわかる。