(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022182137
(43)【公開日】2022-12-08
(54)【発明の名称】エアレスタイヤ
(51)【国際特許分類】
B60C 7/00 20060101AFI20221201BHJP
B60B 9/26 20060101ALI20221201BHJP
【FI】
B60C7/00 H
B60B9/26
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021089499
(22)【出願日】2021-05-27
(71)【出願人】
【識別番号】000183233
【氏名又は名称】住友ゴム工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104134
【弁理士】
【氏名又は名称】住友 慎太郎
(74)【代理人】
【識別番号】100156225
【弁理士】
【氏名又は名称】浦 重剛
(74)【代理人】
【識別番号】100168549
【弁理士】
【氏名又は名称】苗村 潤
(74)【代理人】
【識別番号】100200403
【弁理士】
【氏名又は名称】石原 幸信
(74)【代理人】
【識別番号】100206586
【弁理士】
【氏名又は名称】市田 哲
(72)【発明者】
【氏名】石田 孝明
(72)【発明者】
【氏名】山根 正勝
【テーマコード(参考)】
3D131
【Fターム(参考)】
3D131BB19
3D131BC01
3D131BC13
3D131BC23
3D131BC31
3D131BC36
3D131BC42
3D131CC03
3D131EA08U
(57)【要約】
【課題】 加硫成形後の冷却によるトレッドリングの形状変化を抑制して耐久性能を向上し得るエアレスタイヤを提供する。
【解決手段】 接地面2aを有するトレッドリング2と、トレッドリング2のタイヤ半径方向の内側に配されかつ車軸に固定されるハブ3と、トレッドリング2とハブ3とを連結するためのスポーク4とを備えたエアレスタイヤ1である。トレッドリング2は、接地面2aの側に配された外側補強層6と、外側補強層6のタイヤ半径方向の内側に距離を隔てて配された内側補強層7とを含んでいる。外側補強層6は、外側補強コード8aが配された少なくとも1枚の外側プライ8を含んでいる。内側補強層7は、内側補強コード9aが配された少なくとも1枚の内側プライ9を含んでいる。内側補強コード9aのタイヤ周方向に対する角度θ2は、外側補強コード8aのタイヤ周方向に対する角度θ1よりも大きい。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
エアレスタイヤであって、
接地面を有するトレッドリングと、前記トレッドリングのタイヤ半径方向の内側に配されかつ車軸に固定されるハブと、前記トレッドリングと前記ハブとを連結するためのスポークとを備え、
前記トレッドリングは、前記接地面の側に配された外側補強層と、前記外側補強層のタイヤ半径方向の内側に距離を隔てて配された内側補強層とを含み、
前記外側補強層は、外側補強コードが配された少なくとも1枚の外側プライを含み、
前記内側補強層は、内側補強コードが配された少なくとも1枚の内側プライを含み、
前記内側補強コードのタイヤ周方向に対する角度は、前記外側補強コードのタイヤ周方向に対する角度よりも大きい、
エアレスタイヤ。
【請求項2】
前記外側プライは、前記接地面の側に配された第1外側プライと、前記第1外側プライのタイヤ半径方向の内側で前記第1外側プライに隣接して配された第2外側プライとを含み、
前記第1外側プライの前記外側補強コードと前記第2外側プライの前記外側補強コードとは、タイヤ周方向に対して、同じ角度で互いに反対向きに傾斜している、請求項1に記載のエアレスタイヤ。
【請求項3】
前記内側プライは、前記スポークの側に配された第1内側プライと、前記第1内側プライのタイヤ半径方向の外側で前記第1内側プライに隣接して配された第2内側プライとを含み、
前記第1内側プライの前記内側補強コードと前記第2内側プライの前記内側補強コードとは、タイヤ周方向に対して、同じ角度で互いに反対向きに傾斜している、請求項1又は2に記載のエアレスタイヤ。
【請求項4】
前記トレッドリングは、前記接地面が形成される外側ゴム層と、前記スポークに接する内側ゴム層と、前記外側ゴム層と前記内側ゴム層との間に配される中間ゴム層とを含み、
前記外側補強層は、前記中間ゴム層と前記外側ゴム層との間に配され、
前記内側補強層は、前記中間ゴム層と前記内側ゴム層との間に配される、請求項1ないし3のいずれか1項に記載のエアレスタイヤ。
【請求項5】
前記トレッドリングは、前記中間ゴム層、前記外側補強層及び前記内側補強層のタイヤ軸方向の両側で、前記外側ゴム層と前記内側ゴム層とを接続する一対のサイドウォールゴムを含む、請求項4に記載のエアレスタイヤ。
【請求項6】
前記外側ゴム層の成形収縮率は、前記中間ゴム層の成形収縮率よりも大きい、請求項4又は5に記載のエアレスタイヤ。
【請求項7】
前記外側ゴム層のタイヤ半径方向の厚さが、前記内側ゴム層のタイヤ半径方向の厚さよりも大きい、請求項4ないし6のいずれか1項に記載のエアレスタイヤ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高圧空気を用いることなく、自らの構造によって荷重を支持することができるエアレスタイヤに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、トレッドリングとハブとをスポークで連結したエアレスタイヤが種々知られている。例えば、下記特許文献1には、接地面を有する円筒状のトレッドリングと、車軸に固定されるハブと、高分子材料からなるスポークとを含むエアレスタイヤが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1のトレッドリングは、加硫成形後の冷却により、ゴムが収縮することで、トレッドリングの内周面がタイヤ子午線断面においてタイヤ半径方向の外側に向けて凸状に湾曲することがあった。このようなトレッドリングは、スポークとの接着面を剥離させる力が作用し、エアレスタイヤの耐久性能を低下させるおそれがあった。
【0005】
本発明は、以上のような実状に鑑み案出されたもので、加硫成形後の冷却によるトレッドリングの形状変化を抑制して耐久性能を向上し得るエアレスタイヤを提供することを主たる目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、エアレスタイヤであって、接地面を有するトレッドリングと、前記トレッドリングのタイヤ半径方向の内側に配されかつ車軸に固定されるハブと、前記トレッドリングと前記ハブとを連結するためのスポークとを備え、前記トレッドリングは、前記接地面の側に配された外側補強層と、前記外側補強層のタイヤ半径方向の内側に距離を隔てて配された内側補強層とを含み、前記外側補強層は、外側補強コードが配された少なくとも1枚の外側プライを含み、前記内側補強層は、内側補強コードが配された少なくとも1枚の内側プライを含み、前記内側補強コードのタイヤ周方向に対する角度は、前記外側補強コードのタイヤ周方向に対する角度よりも大きいことを特徴とする。
【0007】
本発明のエアレスタイヤにおいて、前記外側プライは、前記接地面の側に配された第1外側プライと、前記第1外側プライのタイヤ半径方向の内側で前記第1外側プライに隣接して配された第2外側プライとを含み、前記第1外側プライの前記外側補強コードと前記第2外側プライの前記外側補強コードとは、タイヤ周方向に対して、同じ角度で互いに反対向きに傾斜しているのが望ましい。
【0008】
本発明のエアレスタイヤにおいて、前記内側プライは、前記スポークの側に配された第1内側プライと、前記第1内側プライのタイヤ半径方向の外側で前記第1内側プライに隣接して配された第2内側プライとを含み、前記第1内側プライの前記内側補強コードと前記第2内側プライの前記内側補強コードとは、タイヤ周方向に対して、同じ角度で互いに反対向きに傾斜しているのが望ましい。
【0009】
本発明のエアレスタイヤにおいて、前記トレッドリングは、前記接地面が形成される外側ゴム層と、前記スポークに接する内側ゴム層と、前記外側ゴム層と前記内側ゴム層との間に配される中間ゴム層とを含み、前記外側補強層は、前記中間ゴム層と前記外側ゴム層との間に配され、前記内側補強層は、前記中間ゴム層と前記内側ゴム層との間に配されるのが望ましい。
【0010】
本発明のエアレスタイヤにおいて、前記トレッドリングは、前記中間ゴム層、前記外側補強層及び前記内側補強層のタイヤ軸方向の両側で、前記外側ゴム層と前記内側ゴム層とを接続する一対のサイドウォールゴムを含むのが望ましい。
【0011】
本発明のエアレスタイヤにおいて、前記外側ゴム層の成形収縮率は、前記中間ゴム層の成形収縮率よりも大きいのが望ましい。
【0012】
本発明のエアレスタイヤにおいて、前記外側ゴム層のタイヤ半径方向の厚さが、前記内側ゴム層のタイヤ半径方向の厚さよりも大きいのが望ましい。
【発明の効果】
【0013】
本発明のエアレスタイヤにおいて、トレッドリングは、接地面の側に配された外側補強層と、前記外側補強層のタイヤ半径方向の内側に距離を隔てて配された内側補強層とを含み、前記外側補強層は、外側補強コードが配された少なくとも1枚の外側プライを含み、前記内側補強層は、内側補強コードが配された少なくとも1枚の内側プライを含み、前記内側補強コードのタイヤ周方向に対する角度は、前記外側補強コードのタイヤ周方向に対する角度よりも大きい。
【0014】
このようなトレッドリングは、加硫成形後の冷却に伴うタイヤ半径方向の内側のタイヤ軸方向の収縮を抑制し、内周面をタイヤ子午線断面において平坦な状態に維持することができる。このため、本発明のエアレスタイヤは、加硫成形後の冷却によるトレッドリングの形状変化を抑制してスポークとの接着性を向上し、耐久性能を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明のエアレスタイヤの一実施形態を示す斜視図である。
【
図3】トレッドリング及びスポークの部分断面斜視図である。
【
図4】トレッドリングのタイヤ子午線断面図である。
【
図5】トレッドリングの内部構造を示す展開平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施の一形態が図面に基づき詳細に説明される。
図1は、本実施形態のエアレスタイヤ1を示す斜視図であり、
図2は、エアレスタイヤ1の側面図である。
図1及び
図2に示されるように、本実施形態のエアレスタイヤ1は、接地面2aを有するトレッドリング2と、トレッドリング2のタイヤ半径方向の内側に配されるハブ3と、トレッドリング2とハブ3とを連結するためのスポーク4とを備えている。
【0017】
ハブ3は、車両の車軸(図示省略)に固定される固定部3aを含むのが望ましい。このようなエアレスタイヤ1は、高圧空気を用いずに、ハブ3及びスポーク4によってトレッドリング2に作用する荷重を支持することができる。このため、本実施形態のエアレスタイヤ1は、パンクするおそれがない。
【0018】
スポーク4は、例えば、タイヤ軸方向の幅がタイヤ周方向の厚さよりも大きい複数の板状のスポーク板5を含んでいる。このようなスポーク4は、トレッドリング2に荷重が作用したときに、ハブ3よりも上方に位置するスポーク板5に引張力が作用し、ハブ3よりも下方に位置するスポーク板5に圧縮力が作用することで、荷重を支持することができる。
【0019】
図3は、トレッドリング2及びスポーク4の部分断面斜視図であり、
図4は、トレッドリング2のタイヤ子午線断面図である。
図3及び
図4に示されるように、本実施形態のトレッドリング2は、接地面2aと内周面2bとの間で、接地面2aの側に配された外側補強層6と、外側補強層6のタイヤ半径方向の内側に距離を隔てて配された内側補強層7とを含んでいる。
【0020】
図5は、トレッドリング2の内部構造を示す展開平面図である。
図3ないし
図5に示されるように、本実施形態の外側補強層6は、外側補強コード8aが配された少なくとも1枚の外側プライ8を含んでいる。本実施形態の内側補強層7は、内側補強コード9aが配された少なくとも1枚の内側プライ9を含んでいる。
【0021】
本実施形態の内側補強コード9aのタイヤ周方向に対する角度θ2は、外側補強コード8aのタイヤ周方向に対する角度θ1よりも大きい。このようなトレッドリング2は、加硫成形後の冷却に伴うタイヤ半径方向の内側のタイヤ軸方向の収縮を抑制し、内周面2bをタイヤ子午線断面において平坦な状態に維持することができる。このため、本実施形態のエアレスタイヤ1は、加硫成形後の冷却によるトレッドリング2の形状変化を抑制してスポーク4との接着性を向上し、耐久性能を向上することができる。
【0022】
より好ましい態様として、外側プライ8は、接地面2aの側に配された第1外側プライ8Aと、第1外側プライ8Aのタイヤ半径方向の内側で第1外側プライ8Aに隣接して配された第2外側プライ8Bとを含んでいる。
【0023】
本実施形態の第1外側プライ8Aの外側補強コード8aと第2外側プライ8Bの外側補強コード8aとは、タイヤ周方向に対して、同じ角度θ1で互いに反対向きに傾斜している。外側補強コード8aは、例えば、金属コード、有機繊維コード等から形成されている。第1外側プライ8Aの外側補強コード8aと第2外側プライ8Bの外側補強コード8aとは、同じ材料から形成されるのが望ましい。このような外側補強層6は、タイヤ軸方向のバランスに優れており、エアレスタイヤ1の操縦安定性能を向上させることができる。
【0024】
内側プライ9は、スポーク4に接する内周面2bの側に配された第1内側プライ9Aと、第1内側プライ9Aのタイヤ半径方向の外側で第1内側プライ9Aに隣接して配された第2内側プライ9Bとを含むのが望ましい。
【0025】
本実施形態の第1内側プライ9Aの内側補強コード9aと第2内側プライ9Bの内側補強コード9aとは、タイヤ周方向に対して、同じ角度θ2で互いに反対向きに傾斜している。内側補強コード9aは、例えば、金属コード、有機繊維コード等から形成されている。第1内側プライ9Aの内側補強コード9aと第2内側プライ9Bの内側補強コード9aとは、同じ材料から形成されるのが望ましい。このような内側補強層7は、タイヤ軸方向のバランスに優れており、エアレスタイヤ1の操縦安定性能を向上させることができる。
【0026】
図3ないし
図5に示されるように、トレッドリング2は、接地面2aが形成される外側ゴム層10と、スポーク4に接する内周面2bが形成される内側ゴム層11と、外側ゴム層10と内側ゴム層11との間に配される中間ゴム層12とを含んでいる。このようなトレッドリング2は、外側ゴム層10、内側ゴム層11及び中間ゴム層12のゴム材料を調整することで、エアレスタイヤ1の耐久性能と乗り心地性能とを両立することができる。
【0027】
本実施形態の外側補強層6は、中間ゴム層12と外側ゴム層10との間に配されている。本実施形態の内側補強層7は、中間ゴム層12と内側ゴム層11との間に配されている。このような外側補強層6及び内側補強層7は、トレッドリング2の剛性を高め、エアレスタイヤ1の耐久性能と操縦安定性能とを向上することができる。
【0028】
トレッドリング2は、中間ゴム層12、外側補強層6及び内側補強層7のタイヤ軸方向の少なくとも一方側で、外側ゴム層10と内側ゴム層11とを接続するサイドウォールゴム13を含んでいる。
【0029】
本実施形態のトレッドリング2は、中間ゴム層12、外側補強層6及び内側補強層7のタイヤ軸方向の両側で、外側ゴム層10と内側ゴム層11とを接続する一対のサイドウォールゴム13を含んでいる。このようなトレッドリング2は、中間ゴム層12、外側補強層6及び内側補強層7が外部の障害物等に接触するおそれがなく、エアレスタイヤ1の耐久性能を向上させることができる。
【0030】
本実施形態の外側ゴム層10の成形収縮率は、中間ゴム層12の成形収縮率よりも大きい。ここで、成形収縮率とは、加硫成形後の冷却に伴いゴムが収縮する割合である。このようなトレッドリング2は、加硫成形後の冷却に伴うタイヤ半径方向の内側のタイヤ軸方向の収縮を抑制し、内周面2bをタイヤ子午線断面において平坦な状態に維持することに役立つ。
【0031】
図4に示されるように、本実施形態の外側ゴム層10のタイヤ赤道Cにおけるタイヤ半径方向の厚さt1は、内側ゴム層11のタイヤ半径方向の厚さt2よりも大きい。このようなトレッドリング2は、外側ゴム層10と内側ゴム層11とで成形収縮率が同一のゴム材料を用いた場合にも、厚さの差により収縮力に差をつけることができ、内周面2bをタイヤ子午線断面において平坦な状態に維持することに役立つ。
【0032】
図1、
図3ないし
図5に示されるように、トレッドリング2は、走行時に路面に接地する接地面2aに、タイヤ周方向に延びる複数の、本実施形態では2本の周方向溝14が形成されている。このようなトレッドリング2は、排水性が良好であり、エアレスタイヤ1のウェット性能を向上することができる。接地面2aは、このような態様に限定されるものではなく、例えば、ブロック状であってもよく、複数の凹部が形成されていてもよい。
【0033】
図1及び
図2に示されるように、ハブ3は、例えば、金属等の非弾性体により形成されている。ハブ3は、車軸に固定される円盤状の固定部3aと、スポーク4に連結される円筒状の円筒部3bとを有するのが望ましい。ハブ3の固定部3aは、例えば、複数の固定用孔が形成されている。ハブ3の固定部3aは、このような態様に限定されるものではなく、例えば、専用の車軸に対して、ワンタッチで取付可能なものであってもよい。
【0034】
図1ないし
図3に示されるように、スポーク4は、例えば、弾性を有する高分子材料から形成されている。高分子材料は、単一のエラストマー、2種以上の複合エラストマー、繊維入りエラストマー等から適宜選択されるのが望ましい。このようなスポーク4は、軽量化と柔軟性と強度とのバランスに優れており、エアレスタイヤ1の低燃費性能と乗り心地性能と耐久性能とをバランスよく向上させることに役立つ。
【0035】
本実施形態のスポーク4は、複数のスポーク板5と、トレッドリング2に連結される外側円筒部15と、ハブ3に連結される内側円筒部16とを含んでいる。これにより、スポーク板5のそれぞれは、トレッドリング2及びハブ3に間接的に連結されている。
【0036】
このようなスポーク4は、ハブ3及びトレッドリング2に強固に連結することができ、エアレスタイヤ1の耐久性能を向上させることができる。なお、スポーク4は、例えば、外側円筒部15と内側円筒部16とが省略されて、スポーク板5のそれぞれがトレッドリング2及びハブ3に直接的に連結されてもよい。
【0037】
スポーク板5のそれぞれは、タイヤ軸方向から見て、略S字状に湾曲しているのが望ましい。このようなスポーク4は、圧縮力が作用したときに容易に変形し、接地時の衝撃を緩和することができるので、エアレスタイヤ1の乗り心地性能を向上させることができる。
【0038】
スポーク板5は、スポーク板5の厚さ方向から見て、タイヤ軸方向の一方側に配された第1スポーク板5Aと、他方側に配された第2スポーク板5Bとを含んでいる。第1スポーク板5Aと第2スポーク板5Bとは、例えば、タイヤ周方向に交互に配されている。このようなスポーク板5は、軽量化とタイヤ軸方向のバランスとを両立することができ、エアレスタイヤ1の低燃費性能と操縦安定性能とを両立させることができる。
【0039】
スポーク板5のそれぞれは、タイヤ軸方向に対して傾斜して延びるのが望ましい。このようなスポーク4は、タイヤ周方向における剛性を向上し、エアレスタイヤ1の耐久性能が向上させることができる。
【0040】
以上、本発明の特に好ましい実施形態について詳述したが、本発明は、上述の実施形態に限定されることなく、種々の態様に変形して実施され得る。
【実施例0041】
図1ないし
図5に示されるエアレスタイヤのトレッドリングが表1の仕様に基づき、試作された。表1では、タイヤ周方向に対して各補強コードの一方向への傾斜が+、他方向への傾斜が-で示されている。試作されたトレッドリングを用いて、タイヤ子午線断面が平坦な中子で加硫成形した後の冷却によるトレッドリングの形状変化がテストされた。主な共通仕様及びテスト方法は、次のとおりである。
【0042】
<共通仕様>
トレッドリング幅 : 155.0mm
トレッドリング外径 : 524.0mm
トレッドリング内径 : 476.8mm
外側ゴム層厚さ : 7.0mm
内側ゴム層厚さ : 0.8mm
【0043】
<テスト方法>
加硫成形後に冷却されたトレッドリングをCTで撮影して、タイヤ子午線断面における内周面の曲率半径が計測された。結果は、比較例1を100とする指数で表され、数値が大きいほど曲率半径が大きく平坦に近いことを示す。
【0044】
【0045】
テストの結果、実施例のトレッドリングは、比較例に対して、タイヤ子午線断面が平坦に近く、加硫成形後の冷却によるトレッドリングの形状変化を抑制してスポークとの接着性を向上し、エアレスタイヤの耐久性能を向上し得ることが確認された。