(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022182166
(43)【公開日】2022-12-08
(54)【発明の名称】電力変換装置
(51)【国際特許分類】
H02M 7/48 20070101AFI20221201BHJP
G01R 15/20 20060101ALI20221201BHJP
【FI】
H02M7/48 Z
G01R15/20 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021089552
(22)【出願日】2021-05-27
(71)【出願人】
【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
(74)【代理人】
【識別番号】100106149
【弁理士】
【氏名又は名称】矢作 和行
(74)【代理人】
【識別番号】100121991
【弁理士】
【氏名又は名称】野々部 泰平
(74)【代理人】
【識別番号】100145595
【弁理士】
【氏名又は名称】久保 貴則
(72)【発明者】
【氏名】松下 淳矢
(72)【発明者】
【氏名】今井 洋平
(72)【発明者】
【氏名】福田 好秀
【テーマコード(参考)】
2G025
5H770
【Fターム(参考)】
2G025AA15
2G025AB02
2G025AC01
5H770AA21
5H770BA02
5H770CA01
5H770CA06
5H770DA03
5H770DA10
5H770DA21
5H770DA30
5H770DA41
5H770HA02W
5H770HA02Y
5H770JA11W
5H770JA13W
5H770PA11
5H770QA13
5H770QA21
5H770QA24
5H770QA28
5H770QA40
(57)【要約】
【課題】電流センサによる電流の検出精度を高めることができる電力変換装置を提供する。
【解決手段】電力変換装置10は、リアクトルユニット30及び電流センサ51を有している。リアクトルユニット30はコイル31を有している。コイル31は軸方向αに延びている。電流センサ51は、第1センサ素子52及び第2センサ素子53を有している。電流センサ51は、バスバ60の一部である接続部61に対して設けられている。第1センサ素子52及び第2センサ素子53は、接続部61に流れる電流により生じる接続磁束Mを検出する。第1センサ素子52と第2センサ素子53とは、径方向βに並べられている。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電源(102)から電気負荷(MG1,MG2)に供給される電力を変換する電力変換装置(10)であって、
軸方向(α)に延び、電流が流れるコイル(31)と、
前記コイルから離間した位置に設けられ、電流が流れる通電部(61)と、
前記通電部に流れる電流を検出する電流センサ(51)と、
を備え、
前記電流センサは、前記通電部に流れる電流により生じる磁束を被検出磁束(M)として検出する第1センサ素子(52)及び第2センサ素子(53)を有し、前記第1センサ素子と前記第2センサ素子とが前記コイルの径方向(β)に並ぶように設けられている、電力変換装置。
【請求項2】
前記第1センサ素子及び前記第2センサ素子は、前記軸方向において前記コイルから離間した位置に設けられている、請求項1に記載の電力変換装置。
【請求項3】
前記第1センサ素子及び前記第2センサ素子は、前記軸方向において前記通電部よりも前記コイル側に設けられている、請求項1又は2に記載の電力変換装置。
【請求項4】
前記第1センサ素子の中心と前記第2センサ素子の中心とを通って前記径方向に延びる仮想の素子中心線(Cs)は、前記コイルの中心を通って前記軸方向に延びる仮想のコイル中心線(Cc)に直交している、請求項1~3のいずれか1つに記載の電力変換装置。
【請求項5】
前記コイル及び複数の前記電流センサを収容し、前記コイルの径方向(β)が長手方向になるように延びた装置ケース(20)を備え、
複数の前記電流センサは、前記コイルから前記軸方向に離間した位置において前記径方向に並べられている、請求項1~4のいずれか1つに記載の電力変換装置。
【請求項6】
前記装置ケースは、
前記コイルを収容したコイル領域(20Sb)と、
複数の前記電流センサを収容し、前記径方向に延び、前記軸方向において前記コイル領域に並ぶ位置に設けられたセンサ領域(20Sc)と、
を有している請求項5に記載の電力変換装置。
【請求項7】
前記センサ領域は、前記コイル領域に対して前記軸方向に重複しない位置に設けられている、請求項6に記載の電力変換装置。
【請求項8】
前記電流センサは、複数相の前記通電部のそれぞれに設けられ、前記センサ領域に複数収容されており、
少なくとも1つの前記電流センサは、前記コイル領域に対して前記軸方向に重複する位置に設けられている、請求項6に記載の電力変換装置。
【請求項9】
前記装置ケースは、
電力を変換するためのパワー素子(T11,T12,T21~T25,T31~T36)を有するパワーモジュール(22)を収容し、前記径方向において前記コイル領域に並ぶ位置であって、前記軸方向において前記センサ領域に並ぶ位置に設けられたパワー領域(20Sa)、
を有している請求項6~8のいずれか1つに記載の電力変換装置。
【請求項10】
前記センサ領域は、前記コイル領域の少なくとも一部と前記パワー領域の少なくとも一部との両方に対して前記軸方向に重複する位置に設けられている、請求項9に記載の電力変換装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この明細書における開示は、電力変換装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、電流を検出する電流センサについて開示されている。この電流センサは、電流により生じる磁束を検出する磁気センサを2つ有しており、2つの磁気センサの出力の差を検出して電流を検出する。特許文献1では、磁気センサの検出対象になる電流が流れる配線に対して、平行に延びる隣接配線が配置された構成を想定している。特許文献1では、隣接配線に流れる電流により外部磁束が生じたとしても、2つの磁気センサが外部磁束に交差する方向に並ぶように電流センサが配置されていることで、2つの磁気センサの差が外部磁束の影響を受けない、とされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1では、1本の隣接配線が直線状に延びているため、この隣接配線により生じる外部磁束が円状になりやすい。しかしながら、コイルを流れる電流により生じる磁束が外部磁束になる構成では、この外部磁束がコイルの中心線に沿って長く延びたような形状になりやすい。このため、外部磁束の形状に合わせて、2つの磁気センサが外部磁束に交差する方向に並ぶように電流センサを配置する、ということが困難になると考えられる。例えば、外部磁束に対する電流センサの位置がずれて、2つの磁気センサが外部磁束に沿って並んだ状態になると、2つの磁気センサが外部磁束を検出する向きが互いに逆になりやすい。この場合、2つの磁気センサのそれぞれが外部磁束を検出した結果に差が生じ、この差がノイズとして電流センサの検出結果に含まれることがある。このようにして電流の検出精度が低下することが懸念される。
【0005】
本開示の1つの目的は、電流センサによる電流の検出精度を高めることができる電力変換装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この明細書に開示された複数の態様は、それぞれの目的を達成するために、互いに異なる技術的手段を採用する。また、特許請求の範囲及びこの項に記載した括弧内の符号は、1つの態様として後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示す一例であって、技術的範囲を限定するものではない。
【0007】
上記目的を達成するため、開示された1つの態様は、
電源(102)から電気負荷(MG1,MG2)に供給される電力を変換する電力変換装置(10)であって、
軸方向(α)に延び、電流が流れるコイル(31)と、
コイルから離間した位置に設けられ、電流が流れる通電部(61)と、
通電部に流れる電流を検出する電流センサ(51)と、
を備え、
電流センサは、通電部に流れる電流により生じる磁束を被検出磁束(M)として検出する第1センサ素子(52)及び第2センサ素子(53)を有し、第1センサ素子と第2センサ素子とがコイルの径方向(β)に並ぶように設けられている、電力変換装置である。
【0008】
上記態様では、コイルを流れる電流により生じる磁束を外部磁束と称すると、この外部磁束は軸方向に延びるように偏平したような形状になりやすい。この外部磁束は、曲がりが緩やかな部分が軸方向に延び、曲がりがきつい部分が径方向に延びた状態になっている。また、曲がりが緩やかな部分は、コイルから径方向に離間した位置に存在しやすい。曲がりがきつい部分は、コイルから軸方向に離間した位置に存在しやすく、曲がりが緩やかな部分に比べて短い。
【0009】
そこで、上記態様によれば、第1センサ素子と第2センサ素子とがコイルの径方向に並べられている。このため、例えば、コイルから径方向に離間した位置に配置された電流センサでは、第1センサ素子と第2センサ素子とが外部磁束の曲がりが緩やかな部分を径方向に跨いだ状態になりやすい。換言すれば、第1センサ素子と第2センサ素子とが外部磁束の曲がりが緩やかな部分に沿って並んだ状態にはなりにくい。
【0010】
また、コイルから軸方向に離間した位置に配置された電流センサでは、外部磁束の曲がりがきつい部分が比較的短いことに起因して、この曲がりがきつい部分が第1センサ素子及び第2センサ素子から径方向にずれた位置に存在しやすい。換言すれば、第1センサ素子と第2センサ素子とが外部磁束の曲がりがきつい部分に沿って並んだ状態にはなりにくい。
【0011】
以上のように、電流センサがコイルから径方向及び軸方向のいずれに離間した位置に配置されていても、第1センサ素子と第2センサ素子とが外部磁束に沿って並んだ状態になるということが生じにくい。したがって、第1センサ素子が検出する外部磁束の向きと第2センサ素子が検出する外部磁束の向きとが互いに逆になるということを抑制できる。これにより、電流センサによる電流の検出精度を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】第1実施形態における駆動システムの構成を示す図。
【
図3】パワーユニット及びセンサユニットの構成を示す図。
【
図4】第1センサ素子及び第2センサ素子の各検出値について説明するための図。
【
図5】比較例における第1センサ素子及び第2センサ素子の各検出値について説明するための図。
【
図7】ボビン及びコイル体を第1スナップフィット側から見た図。
【
図8】
図7における受け面及び係合面周辺の拡大図。
【
図9】ボビン及びコイル体を第2フランジ部側から見た図。
【
図10】第1ボビン部に組み付けられる前の第2ボビン部の構成を示す図。
【
図11】変形例1における電力変換装置の構成を示す概略平面図。
【
図12】変形例2における電力変換装置の構成を示す概略平面図。
【
図13】変形例3における電力変換装置の構成を示す概略平面図。
【
図14】変形例4における電力変換装置の構成を示す概略平面図。
【
図15】第2実施形態における第1センサ素子及び第2センサ素子の各検出値について説明するための図。
【
図16】第3実施形態におけるボビン及びコイル体を第1スナップフィット側から見た図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に、図面を参照しながら本開示を実施するための複数の形態を説明する。各形態において先行する形態で説明した事項に対応する部分には同一の参照符号を付して重複する説明を省略する場合がある。各形態において構成の一部のみを説明している場合は、構成の他の部分については先行して説明した他の形態を適用することができる。各実施形態で具体的に組み合わせが可能であることを明示している部分同士の組み合わせばかりではなく、特に組み合わせに支障が生じなければ、明示していなくても実施形態同士を部分的に組み合せることも可能である。
【0014】
<第1実施形態>
図1に示す駆動システム100は、例えばハイブリッド自動車といった車両に搭載されている。駆動システム100は、バッテリ102、モータMG1,MG2、電力変換装置10を有している。駆動システム100は、モータMG1,MG2を駆動して車両の駆動輪を駆動するシステムである。
【0015】
バッテリ102は、充放電可能な2次電池で構成された直流電圧源であり、電力変換装置10を介してモータMG1,MG2に電力を供給する電源に相当する。2次電池は、例えばリチウムイオン電池、ニッケル水素電池である。
【0016】
電力変換装置10は、バッテリ102の直流電力をモータMG1,MG2の駆動に適した交流電力に変換する。電力変換装置10は、モータMG1,MG2により発電された交流電力を、バッテリ102を充電可能な直流電力に変換する。電力変換装置10にとっては、バッテリ102及びモータMG1,MG2は外部機器である。
【0017】
モータMG1は、図示しないエンジンと共に車両の駆動源として機能する。モータMG1は、主に電動機として機能する。モータMG1は、例えば減速時や制動時に発電機として機能する。モータMG2は、主に発電機として機能する。モータMG2は、例えばエンジン始動時に交流電力の供給を受けて電動機として機能する。このように、電力変換装置10は、双方向の電力変換が可能とされている。モータMG1,MG2が電気負荷に相当する。
【0018】
電力変換装置10は、昇圧コンバータ11及びインバータ12,13を備えている。昇圧コンバータ11の入力端は、バッテリ102側の低電圧系電力ライン103に接続され、昇圧コンバータ11の出力端は、インバータ12,13側の高電圧系電力ライン104に接続されている。低電圧系電力ライン103は、バッテリ102と昇圧コンバータ11とを電気的に接続する電力ラインであり、高電圧系電力ライン104は、昇圧コンバータ11と各インバータ12,13とを電気的に接続する電力ラインである。
【0019】
低電圧系電力ライン103の高電位側と低電位側との間には、平滑用のコンデンサ105が接続されている。高電圧系電力ライン104の高電位側と低電位側との間には、平滑用のコンデンサ106が接続されている。低電圧系電力ライン103であって、コンデンサ105との接続点とバッテリ102との間には、図示しないシステムメインリレーが設けられている。
【0020】
昇圧コンバータ11は、バッテリ102の出力電圧をモータ駆動に適した電圧まで昇圧する。すなわち、昇圧コンバータ11は、低電圧系電力ライン103の電力を昇圧して、高電圧系電力ライン104に供給する。また、昇圧コンバータ11は、インバータ12,13により変換された直流電力を、バッテリ102に充電可能な電力まで降圧する。すなわち、昇圧コンバータ11は、高電圧系電力ライン104の電力を降圧して、低電圧系電力ライン103に供給する。バッテリ102の出力電圧は、例えば300ボルト程度であり、昇圧コンバータ11の出力は、例えば600ボルト程度である。
【0021】
昇圧コンバータ11は、リアクトルL、2つのスイッチング素子T11,T12、及び2つのダイオードD11,D12を有している。スイッチング素子T11,T12は、スイッチング素子T11を高電位側として、高電圧系電力ライン104の高電位側と低電位側との間で直列接続されている。スイッチング素子T11,T12としては、IGBTやパワーMOSFETなどの半導体素子を採用することができる。本実施形態では、スイッチング素子T11,T12としてnチャネル型のIGBTを採用している。スイッチング素子T11,T12がパワー素子に相当する。
【0022】
ダイオードD11,D12は、対応するスイッチング素子T11,T12に対して逆並列に接続されている。ダイオードD11,D12のアノードが、対応するスイッチング素子T11,T12のエミッタ電極に接続されている。
【0023】
リアクトルLの一端は、低電圧系電力ライン103の高電位側、すなわちコンデンサ105の正極側の端子に接続されている。リアクトルLの他端は、スイッチング素子T11,T12の接続点に接続されている。
【0024】
インバータ12,13は、入力された直流電力を所定周波数の三相交流に変換し、対応するモータMG1,MG2に出力する。また、インバータ12,13は、対応するモータMG1,MG2により発電された電力を交流電力から直流電力に変換する。モータMG2により発電された電力は、ハイブリッド自動車の走行状態やバッテリ102のSOCに応じて使い分けられる。SOCはState Of Chargeの略称である。
【0025】
例えば通常走行時では、モータMG2により発電された電力は、そのままモータMG1を駆動させる電力となる。一方、バッテリ102のSOCが予め定められた値よりも低い場合、モータMG2により発電された電力は、インバータ13により交流から直流に変換された後、昇圧コンバータ11により電圧が調整されて、バッテリ102に蓄積される。モータMG1により発電された電力は、インバータ12により交流から直流に変換された後、昇圧コンバータ11により電圧が調整されて、バッテリ102に蓄えられる。
【0026】
インバータ12は、高電圧系電力ライン104に接続されている。インバータ12は、6つのスイッチング素子T21~T26、及び、6つのダイオードD21~D26を有している。スイッチング素子T21,T22は、スイッチング素子T21を高電位側として、高電圧系電力ライン104の高電位側と低電位側との間で直列接続され、U相上下アームを構成している。スイッチング素子T21,T22の接続点は、モータMG1の図示しないU相コイルに電気的に接続されている。スイッチング素子T23,T24は、スイッチング素子T23を高電位側として、高電圧系電力ライン104の高電位側と低電位側との間で直列接続され、V相上下アームを構成している。スイッチング素子T23,T24の接続点は、モータMG1の図示しないV相コイルに電気的に接続されている。スイッチング素子T25,T26は、スイッチング素子T25を高電位側として、高電圧系電力ライン104の高電位側と低電位側との間で直列接続され、W相上下アームを構成している。スイッチング素子T25,T26の接続点は、モータMG1の図示しないW相コイルに電気的に接続されている。
【0027】
スイッチング素子T21~T26としては、IGBTやパワーMOSFETなどの半導体素子を採用することができる。本実施形態では、スイッチング素子T21~T26としてnチャネル型のIGBTを採用している。ダイオードD21~D26は、対応するスイッチング素子T21~T26に対して逆並列に接続されている。ダイオードD21~D26のアノードが、対応するスイッチング素子T21~T26のエミッタ電極に接続されている。スイッチング素子T21~T26がパワー素子に相当する。
【0028】
インバータ13も、インバータ12と同様の構成とされている。インバータ13は、6つのスイッチング素子T31~T36、及び、対応するスイッチング素子T31~T36に対して逆並列に接続された6つのダイオードD31~D36を有している。スイッチング素子T31,T32は、スイッチング素子T31を高電位側として、高電圧系電力ライン104の高電位側と低電位側との間で直列接続され、その接続点は、モータMG2の図示しないU相コイルに電気的に接続されている。スイッチング素子T33,T34は、スイッチング素子T33を高電位側として、高電圧系電力ライン104の高電位側と低電位側との間で直列接続され、その接続点は、モータMG2の図示しないV相コイルに電気的に接続されている。スイッチング素子T35,T36は、スイッチング素子T35を高電位側として、高電圧系電力ライン104の高電位側と低電位側との間で直列接続され、その接続点は、モータMG2の図示しないW相コイルに電気的に接続されている。
【0029】
スイッチング素子T31~T36としては、IGBTやパワーMOSFETなどの半導体素子を採用することができる。本実施形態では、スイッチング素子T31~T36としてnチャネル型のIGBTを採用している。ダイオードD31~D36は、対応するスイッチング素子T31~T36に対して逆並列に接続されている。ダイオードD31~D36のアノードが、対応するスイッチング素子T31~T36のエミッタ電極に接続されている。スイッチング素子T31~T36がパワー素子に相当する。
【0030】
電力変換装置10は、電流センサ51を備えている。電流センサ51は、昇圧コンバータ11及びインバータ12,13のそれぞれに設けられている。電流センサ51は、接続ライン11a,12a,13aのそれぞれに流れる電流を検出する。接続ライン11aは、リアクトルLと、スイッチング素子T11,T12の接続点を電気的に接続している。接続ライン12aは、インバータ12の各相上下アームの接続点を、モータMG1の対応する相のコイルに接続するための接続ラインである。接続ライン13aは、インバータ13の各相上下アームの接続点を、モータMG2の対応する相のコイルに接続するための接続ラインである。
【0031】
次に、電力変換装置10の構造について説明する。
図2に示すように、電力変換装置10は、装置ケース20、パワーユニット21、コンデンサユニット25、リアクトルユニット30、センサユニット50を有している。
【0032】
パワーユニット21、コンデンサユニット25、リアクトルユニット30及びセンサユニット50は、装置ケース20に収容されており、内部機器と称されることがある。装置ケース20の内面にはケース床面20a及びケース内壁面20bが含まれている。ユニット21,25,30,50は、ケース床面20aに沿って並べられている。電力変換装置10については、互いに直交した方向をX方向、Y方向、Z方向と称し、ケース床面20aに直交する方向がZ方向であるとする。装置ケース20においては、例えばパワーユニット21とリアクトルユニット30とがX方向に並べられている。
【0033】
装置ケース20は、内部空間20Sを有している。内部空間20Sは、ユニット21,25,30,50を収容しており、収容空間と称されることがある。内部空間20Sは、ケース床面20a及びケース内壁面20bにより形成されている。装置ケース20は、平面視で長方形状になっている。装置ケース20は、X方向が長手方向になるように延びている。装置ケース20においては、Y方向が短手方向になっている。ケース床面20aは、一対の長辺と一対の短辺とを有しており、長方形になっている。ケース床面20aにおいては、長辺がX方向に延びており、短辺がY方向に延びている。
【0034】
装置ケース20は、ケース壁部200を有している。ケース壁部200はケース内壁面20bを形成している。ケース壁部200には、第1壁部201及び第2壁部202が含まれている。第1壁部201は、X方向に延びており、ケース床面20aを介して一対設けられている。第2壁部202は、Y方向に延びており、ケース床面20aを介して一対設けられている。
【0035】
パワーユニット21は、上記した昇圧コンバータ11及びインバータ12,13を構成している。パワーユニット21は複数のパワーカード22(
図3参照)を有している。複数のパワーカード22には上下アームがそれぞれ形成されている。複数のパワーカード22は、電力を変換するためのスイッチング素子T11等のパワー素子を有しており、パワーモジュールに相当する。複数のパワーカード22は、X方向に所定ピッチで並べられている。パワーユニット21は、パワーカード22を例えば7つ有している。昇圧コンバータ11は、1つのパワーカード22により構成されている。インバータ12,13は、それぞれ3つのパワーカード22により構成されている。パワーユニット21は半導体モジュールと称されることがあり、パワーカード22は半導体装置と称されることがある。
【0036】
パワーユニット21は、上記した複数のパワーカード22に加えて、図示しない複数の冷却器を有している。そして、冷却器とパワーカード22がX方向に交互に積層されて、パワーユニット21が構成されている。
【0037】
昇圧コンバータ11を構成するパワーカード22は、スイッチング素子T11、T12及びダイオードD11,D12を有している。インバータ12を構成するU相のパワーカード22は、スイッチング素子T21,T22及びダイオードD21,D22を有し、V相のパワーカード22は、スイッチング素子T23,T24及びダイオードD23,D24を有している。インバータ12を構成するW相のパワーカード22は、スイッチング素子T25,T26及びダイオードD25,D26を有している。
【0038】
インバータ13を構成するU相のパワーカード22は、スイッチング素子T31,T32及びダイオードD31,D32を有し、V相のパワーカード22は、スイッチング素子T33,T34及びダイオードD33,D34を有している。インバータ12を構成するW相のパワーカード22は、スイッチング素子T35,T36及びダイオードD35,D36を有している。
【0039】
コンデンサユニット25は、コンデンサ105,106を構成するコンデンサ素子と、コンデンサ素子を保護するユニット本体とを有している。このユニット本体は、コンデンサ素子を収容したコンデンサケースを有している。
【0040】
リアクトルユニット30は、リアクトルLを構成しているリアクトル装置である。リアクトルユニット30は、コイル31及びコア40を有している。コイル31は、リアクトルLを構成するリアクトル素子であり、受動素子である。コイル31は、絶縁電線等の巻線により形成されている。巻線は、巻回された状態でコイル31を形成している。コア40は、磁性体により形成されており、コイル31と共に磁気回路を構成している。コイル31は、コア40の一部に巻回された状態になっている。コア40には、コイル31に流れる電流により生じた磁束が通る。リアクトルユニット30は、コイルユニット及びコイル装置と称されることがある。
【0041】
図2、
図3に示すように、センサユニット50は、装置ケース20に複数設けられている。複数のセンサユニット50は、例えばX方向に並べられている。センサユニット50は、電流センサ51及びバスバ60を有している。1つのセンサユニット50は、電流センサ51及びバスバ60を1つずつ有している。電流センサ51は、装置ケース20に複数設けられている。センサユニット50は、電流検出装置に相当し、電流センサ装置と称されることがある。センサユニット50は、バスバ60付きの電流センサ51であり、電流センサ51付きのバスバ60でもある。なお、
図2においては、バスバ60の図示を省略している。
【0042】
バスバ60は、導電性を有しており、金属材料等により形成された導電部材である。バスバ60は、電流が流れる通電経路を形成しており、通電部材に相当する。バスバ60は、全体として板状になっており、全体としてZ方向に直交する方向に延びている。板状の細長部材により形成されている。バスバ60は、銅などの金属板に対して打ち抜き加工や曲げ加工などが行われることで形成されている。
【0043】
バスバ60は、パワーカード22に電気的に接続されている。バスバ60には、パワーカード22への通電に伴って電流が流れる。バスバ60は、複数のパワーカード22のそれぞれに対して個別に設けられている。複数のバスバ60には、接続ライン11a,12a,13aのそれぞれを形成するバスバ60が含まれている。バスバ60は、装置ケース20に例えば7本設けられている。接続ライン11a,12a,13aを形成するバスバ60は、順に1本、3本、3本である。これら7本のバスバ60は、例えばX方向においてパワーユニット21からリアクトルユニット30に向けて、インバータ12のU相、V相、W相、インバータ13のU相、V相、W相、昇圧コンバータ11に対応する順に並べられている。
【0044】
昇圧コンバータ11において、バスバ60は、スイッチング素子T11,T12の接続点とリアクトルLとを電気的に中継する。すなわち、接続ライン11aの一部を構成する。インバータ12において、例えばU相のバスバ60は、スイッチング素子T21,T22の接続点とモータMG1のU相コイルとを電気的に中継する。すなわち、接続ライン12aの一部を構成する。インバータ13において、例えばU相のバスバ60は、スイッチング素子T31,T32の接続点とモータMG2のU相コイルとを電気的に中継する。すなわち、接続ライン13aの一部を構成する。
【0045】
図3、
図4に示すように、バスバ60は、接続部61、カード側ベース部68及び反対側ベース部69を有している。接続部61は、通電経路においてカード側ベース部68と反対側ベース部69との間に設けられている。接続部61は、カード側ベース部68と反対側ベース部69とにかけ渡された状態になっており、カード側ベース部68と反対側ベース部69とを接続している。接続部61、カード側ベース部68及び反対側ベース部69は、樹脂材料等により形成された被覆部により被覆されている。被覆部は絶縁性を有しており、接続部61、カード側ベース部68及び反対側ベース部69を保護している。
【0046】
カード側ベース部68は、接続部61からパワーカード22側に向けて延びており、パワーカード22に電気的に接続されている。反対側ベース部69は、接続部61からパワーカード22とは反対側に向けて延びており、内部機器又は外部機器に電気的に接続されている。例えば、昇圧コンバータ11に含まれるバスバ60においては、反対側ベース部69がリアクトルLに電気的に接続されている。インバータ12に含まれるバスバ60においては、反対側ベース部69が端子部を介してモータMG1に電気的に接続されている。インバータ13に含まれるバスバ60においては、反対側ベース部69が端子部を介してモータMG2に電気的に接続されている。端子部は、装置ケース20に設置された端子台に含まれており、バスバ60等の導電部材が接続されている。
【0047】
バスバ60は、パワーユニット21とセンサユニット50とにかけ渡された状態になっている。バスバ60は、パワーユニット21とセンサユニット50との両方に含まれている。バスバ60においては、少なくともカード側ベース部68がパワーユニット21に含まれており、少なくとも接続部61がセンサユニット50に含まれている。本実施形態では、接続部61、カード側ベース部68及び反対側ベース部69がいずれもセンサユニット50に含まれている。
【0048】
カード側ベース部68及び反対側ベース部69はいずれも板状に形成されている。カード側ベース部68及び反対側ベース部69は、それぞれの板面がX方向に直交する方向に延びた状態で、それぞれY方向に延びている。カード側ベース部68及び反対側ベース部69にとっては、Y方向が長手方向であり、Z方向が幅方向であり、X方向が厚さ方向である。カード側ベース部68と反対側ベース部69とは、互いにX方向に離間した位置に設けられている。カード側ベース部68及び反対側ベース部69においては、それぞれの一部がX方向に重複している。カード側ベース部68と反対側ベース部69とでは、互いに重複した部分が接続部61により接続されている。
【0049】
接続部61は、全体として板状に形成されており、全体としてZ方向に延びている。接続部61は、一対の板面を有しており、これら板面がX方向に直交する向きで設けられている。接続部61は、カード側ベース部68と反対側ベース部69とを通電可能に接続しており、通電部に相当する。
【0050】
電流センサ51は、バスバ60に流れる電流を検出する電流検出部である。本実施形態では、電流センサ51は、接続部61に流れる電流を検出対象として、接続部61に流れる電流が生成する磁束を検出し、この磁束により電流を検出する。電流センサ51は、磁束を収束するための集磁コアを有しておらず、コアレス式の電流センサである。
【0051】
図4に示すように、電流センサ51は、第1センサ素子52、第2センサ素子53及びセンサ本体54を有している。センサ素子52,53は、磁界を検出する磁気センサである。センサ素子52,53は、磁界の磁束を検出し、磁束密度に応じた検出信号を出力する。センサ素子52,53は、磁気信号を電気信号に変換する素子であり、磁電変換素子と称されることがある。センサ素子52,53は、例えばホール素子により形成されている。センサ素子52,53は、所定の検出方向を有しており、センサ素子52,53を検出方向に通る磁束を検出することが可能である。例えば、センサ素子52,53の検出信号には、センサ素子52,53を通る磁束のうち検出方向に延びる成分に関する情報が含まれる一方で、検出方向に直交する成分に関する情報が含まれない。すなわち、センサ素子52,53は、センサ素子52,53に鎖交する磁束のうち検出方向に延びる成分を検出する一方で、検出方向に直交する成分を検出しない。
【0052】
センサ本体54は、樹脂材料等により全体として板状に形成されており、センサ素子52,53を覆った状態で収容している。センサ本体54は、センサ素子52,53が磁束を検出可能な状態でセンサ素子52,53を保護しており、素子保護部に相当する。センサ本体54は、被覆部に接着剤等で接合されていることでバスバ60に固定されている。
【0053】
電流センサ51は、図示しないセンサ端子及びセンサ基板を有している。センサ端子は、金属材料等により細長形状に形成されており、センサ素子52,53に電気的に接続されている。センサ端子は、一端がセンサ本体54に埋め込まれた状態で、他端側がセンサ本体54から突出している。
【0054】
センサ基板には、バスバ60に流れる電流を検出する検出回路が設けられている。検出回路は、センサ素子52,53及びセンサ端子の両方に電気的に接続されている。検出回路は、センサ素子52,53から入力された検出信号を用いて電流を算出し、この算出結果を電流センサ51の検出信号としてセンサ端子から出力する。電流センサ51は、検出信号を制御装置に対して出力する。制御装置は、電力変換装置10に含まれており、昇圧コンバータ11、インバータ12,13を制御する。例えば、制御装置は、スイッチング素子T11,T12,T21~T26,T31~T36の駆動を制御する。
【0055】
電流センサ51は、差分式の電流検出部である。電流センサ51は、第1センサ素子52が検出した検出値と第2センサ素子53が検出した検出値との差分を算出し、この差分を用いて電流を算出する。電流センサ51においては、検出回路が第1センサ素子52及び第2センサ素子53の各検出値のそれぞれを用いて磁束密度を算出し、これら磁束密度の差分を算出する。検出回路は、この差分を用いて電流を算出する。
【0056】
図2に示すように、装置ケース20の内部空間20Sには、パワー領域20Sa、リアクトル領域20Sb及びセンサ領域20Scが含まれている。パワー領域20Saは、内部空間20Sのうちパワーユニット21を収容した領域である。パワー領域20Saの外周縁は、パワーユニット21の外周縁に沿って延びている。パワー領域20Saは、1つの空間部であり、複数のパワーカード22及び複数のバスバ60にかけ渡された状態になっている。パワー領域20Saの外周縁には、少なくとも1つのパワーカード22の外面が部分的に含まれている。
【0057】
リアクトル領域20Sbは、内部空間20Sのうちリアクトルユニット30を収容した領域であり、1つの空間部である。リアクトル領域20Sbの外周縁は、リアクトルユニット30の外周縁に沿って延びている。例えば、平面視においてはリアクトル領域20Sbの外周縁がリアクトルユニット30の外周縁に一致している。リアクトル領域20Sbはコイル領域に相当する。
【0058】
センサ領域20Scは、内部空間20Sのうち複数の電流センサ51を収容した領域である。センサ領域20Scは、1つの空間部であり、複数の電流センサ51にかけ渡された状態になっている。センサ領域20Scの外周縁には、少なくとも1つの電流センサ51の外面が部分的に含まれている。
【0059】
複数の電流センサ51は、ケース内壁面20bに沿って並べられている。例えば、複数の電流センサ51は、第1壁部201に沿ってX方向に1列に並べられている。センサ領域20Scは、複数の電流センサ51の配置に合わせた大きさ及び形状になっている。例えば、センサ領域20Scは、ケース内壁面20bに沿って延びており、細長形状になっている。センサ領域20Scは、第1壁部201に沿ってX方向に延びている。
【0060】
装置ケース20においては、パワー領域20Saとリアクトル領域20Sbとが第1壁部201に沿ってX方向に並べられている。パワー領域20Saとリアクトル領域20Sbとは、X方向に隣り合っており、互いに極力近づいた状態で配置されている。センサ領域20Scは、パワー領域20Sa及びリアクトル領域20Sbに対して第2壁部202に沿ってY方向に並べられている。センサ領域20Scは、X方向においてパワー領域20Saとリアクトル領域20Sbとにかけ渡された状態になっている。センサ領域20Scは、パワー領域20Sa及びリアクトル領域20Sbのそれぞれに対してY方向に対向している。
【0061】
センサ領域20Scは、パワー領域20Saに対してY方向に重複した部分と、リアクトル領域20Sbに対してY方向に重複した部分とを有している。センサ領域20Scは、X方向においてパワー領域20Saよりもリアクトル領域20Sbの反対側には突出していない。センサ領域20Scは、パワー領域20Sa及びリアクトル領域20Sbに対してX方向にずれた位置に設けられている。例えば、X方向において、リアクトル領域20Sbを介してパワー領域20Saとは反対側では、リアクトル領域20Sbがセンサ領域20Scよりも突出した状態になっている。また、センサ領域20Scは、X方向においてリアクトル領域20Sbよりもパワー領域20Saの反対側には突出していない。例えば、X方向において、パワー領域20Saを介してリアクトル領域20Sbとは反対側では、パワー領域20Saがセンサ領域20Scよりも突出した状態になっている。
【0062】
センサ領域20Scにおいて、パワー領域20Saに対してY方向に重複した部分には、少なくとも1つの電流センサ51の全体が含まれている。この部分に含まれた電流センサ51は、パワー領域20Saに対してY方向に重複した位置に設けられている。例えば、インバータ12のU相、V相、W相、及びインバータ13のU相のそれぞれについて電流を検出する4つの電流センサ51が、パワー領域20Saに対してY方向に重複する位置にある。
【0063】
センサ領域20Scにおいて、リアクトル領域20Sbに対してY方向に重複した部分には、少なくとも1つの電流センサ51の全体が含まれている。この部分に含まれた電流センサ51は、リアクトル領域20Sbに対してY方向に重複した位置に設けられている。例えば、インバータ13のW相と昇圧コンバータ11とのそれぞれについて電流を検出する2つの電流センサ51が、リアクトル領域20Sbに対してY方向に重複する位置にある。
【0064】
なお、本実施形態では、電流センサ51の全体がリアクトル領域20Sbに対してY方向に重複する位置にある電流センサ51について、リアクトル領域20Sbに対してY方向に重複する位置にあるとしている。このため、電流センサ51の一部だけがリアクトル領域20Sbに対してY方向に重複する位置にある電流センサ51については、リアクトル領域20Sbに対してY方向に重複する位置にあるとはしていない。これらについては、パワー領域20Saに対しても同様である。
【0065】
図4に示すように、リアクトルユニット30は、コイル中心線CcがY方向に延びる向きに設けられている。コイル中心線Ccは、コイル31の中心を通って直線状に延びた仮想の中心線である。コイル31について、コイル中心線Ccが延びる方向を軸方向αと称すると、この軸方向αと、コイル中心線Ccの径方向βと、コイル中心線Ccの周方向γとは互いに直交している。コイル31においては、軸方向αがY方向に一致している。
【0066】
コイル31においては、巻線が周方向γに巻回されており、環状部32が周方向γに延びている。周方向γは、巻線の巻回方向に相当する。コイル31においては、巻線により形成された環状部32が軸方向αに複数並んでいる。コイル中心線Ccは、複数の環状部32のそれぞれの中心を通っている。環状部32は、コイル中心線Ccの周りを一周しており、全体として面取りされたような矩形環状になっている。コイル31の内側には、軸方向αに延びた中空部が形成されている。
【0067】
リアクトルユニット30については、コイル31を流れる電流によりコイル磁束Mcが生じる。コイル磁束Mcには、コイル31を流れる電流により生じた全ての磁束のうち、コア40から外部に漏れだした磁束が含まれている。コイル磁束Mcは、コイル31の長手方向に延びるように偏平したような形状になっている。すなわち、コイル磁束Mcは、コイル中心線Ccに沿って軸方向αに延びるように偏平したような形状になっている。コイル磁束Mcにとっては、軸方向αが長手方向になっており、径方向βが短手方向になっている。例えば、コイル磁束Mcは、コイル31の内側を電流センサ51から遠ざかるように進む向きになっている。
【0068】
複数のセンサユニット50のそれぞれにおいて、電流センサ51はバスバ60の接続部61に対して設けられている。電流センサ51は、軸方向αにおいて接続部61に並ぶ位置に設けられている。電流センサ51は、例えば軸方向αにおいて接続部61よりもリアクトルユニット30側に設けられている。電流センサ51においては、例えばセンサ本体54が接続部61の被覆部に接触した状態になっている。
【0069】
バスバ60については、接続部61を流れる電流により接続磁束Mが生じる。接続磁束Mは、接続部61の周りを周回するように延びている。電流センサ51は、センサ素子52,53が接続磁束Mを検出できるように設けられている。接続磁束Mは、センサ素子52,53が検出する検出対象であり、被検出磁束に相当する。コイル磁束Mcは、被検出磁束ではなく、センサ素子52,53にとっては外部磁束に該当する。
【0070】
第1センサ素子52と第2センサ素子53とは、径方向βに所定間隔で並べられている。例えば、センサ素子52,53はX方向に並べられている。X方向においては、第1センサ素子52と第2センサ素子53との間に接続部61の中心がある。第1センサ素子52は、接続部61からX方向に離間した位置にある。第2センサ素子53は、第1センサ素子52とは反対側に向けて、接続部61からX方向に離間した位置にある。第1センサ素子52と第2センサ素子53とは、接続部61を流れる電流の向きに直交する方向に並べられている。
【0071】
電流センサ51において、センサ素子52,53の中心を通って径方向βに直線状に延びた仮想線を素子中心線Csと称すると、この素子中心線Csは、コイル中心線Ccに直交している。第1センサ素子52と第2センサ素子53とは、素子中心線Csに沿って径方向βに並べられている。
【0072】
電流センサ51においては、第1センサ素子52の検出方向と第2センサ素子53の検出方向とが同じに設定されている。センサ素子52,53の各検出方向は、Y方向になっている。すなわち、センサ素子52,53の各検出方向は軸方向αになっている。
【0073】
電流センサ51においては、センサ素子52,53が接続磁束Mを検出する。第1センサ素子52の検出値には、接続磁束Mを検出した第1接続値D1が含まれている。第2センサ素子53の検出値には、接続磁束Mを検出した第2接続値D2が含まれている。第1センサ素子52が検出する接続磁束Mの向きと、第2センサ素子53が検出する接続磁束Mの向きとは、軸方向αにおいて互いに逆になっている。このため、第1接続値D1及び第2接続値D2のうち一方が正の値になり、他方が負の値になる。すなわち、第1接続値D1と第2接続値D2とは、センサ素子52,53の検出方向において接続磁束Mの向きが互いに逆であることを示す値になる。
【0074】
第1センサ素子52と第2センサ素子53とは、全体として、接続磁束Mに沿って並んだ状態になっている。電流センサ51は、接続磁束Mが第1センサ素子52と第2センサ素子53とにかけ渡された状態になる位置に配置されている。
【0075】
コイル31により生じるコイル磁束Mcがセンサ素子52,53に届いた場合、センサ素子52,53は、接続磁束Mに加えてコイル磁束Mcを検出することになる。この場合、第1センサ素子52の検出値には、第1接続値D1に加えて、コイル磁束Mcを検出した第1コイル値Dc1が含まれる。第2センサ素子53の検出値には、第1接続値D1に加えて、コイル磁束Mcを検出した第2コイル値Dc2が含まれている。
【0076】
図4に示すように、第1センサ素子52が検出するコイル磁束Mcの向きと、第2センサ素子53が検出するコイル磁束Mcの向きと、が同じである場合、第1コイル値Dc1及び第2コイル値Dc2の両方が、正の値及び負の値のうち一方になる。すなわち、第1コイル値Dc1と第2コイル値Dc2とは、センサ素子52,53の検出方向においてコイル磁束Mcの向きが同じであることを示す値になる。このため、第1センサ素子52の検出値と第2センサ素子53の検出値との差分においては、第1接続値D1と第2接続値D2との差分が含まれる一方で、第1コイル値Dc1と第2コイル値Dc2とは相殺される。このように、第1センサ素子52と第2センサ素子53とでコイル磁束Mcの検出向きが同じ場合、電流センサ51の検出精度がコイル値Dc1,Dc2により低下するということが抑制される。
【0077】
コイル磁束Mcには、長曲がり部Mca及び短曲がり部Mcbが含まれている。コイル磁束Mcにおいて、軸方向αに延びた部分が長曲がり部Mcaであり、径方向βに延びた部分が短曲がり部Mcbである。長曲がり部Mcaは、軸方向αに延びており、コイル磁束Mcにおいて比較的曲がりが緩やかな部分である。長曲がり部Mcaは、コイル31から径方向βに離間した位置にある。短曲がり部Mcbは、径方向βに延びており、コイル磁束Mcにおいて比較的曲がりがきつい部分である。短曲がり部Mcbは、コイル31から軸方向αに離間した位置にある。短曲がり部Mcbは、長曲がり部Mcaに比べて、曲がりがきつく且つ短い。例えば、径方向βでの短曲がり部Mcbの長さ寸法は、軸方向αでの長曲がり部Mcaの長さ寸法よりも小さい。
【0078】
本実施形態では、複数の電流センサ51が、コイル31から軸方向αに離間した位置において径方向βに並べられている。コイル31から軸方向αに離間した領域では、第1センサ素子52と第2センサ素子53とが短曲がり部Mcbに沿って並ぶ可能性がある。しかし、短曲がり部Mcbは径方向βに比較的短くなっているため、短曲がり部Mcbが通る位置に電流センサ51がある可能性が比較的低くなっている。すなわち、第1センサ素子52と第2センサ素子53とが短曲がり部Mcbに沿って並ぶ可能性が比較的低くなっている。
【0079】
例えば、
図4に示す電流センサ51は、コイル31に対してコイル中心線Ccに沿って軸方向αに並ぶ位置にある。すなわち、この電流センサ51は、径方向βにおいて短曲がり部Mcbからコイル中心線Cc側に離間した位置にある。この電流センサ51においては、第1センサ素子52と第2センサ素子53とが短曲がり部Mcbに沿って並んだ状態になりにくい。この電流センサ51においては、第1コイル値Dc1及び第2コイル値Dc2の両方が正の値及び負の値のうち一方になり、これらコイル値Dc1,Dc2により電流の検出精度が低下するということが生じにくい。また、複数の電流センサ51のうち、径方向βにおいて短曲がり部Mcbからコイル中心線Ccとは反対側に離間した位置にある電流センサ51についても、第1センサ素子52と第2センサ素子53とが短曲がり部Mcbに沿って並んだ状態になりにくい。
【0080】
電力変換装置10について、例えば本実施形態とは異なる比較例10xを想定する。
図5に示すように、比較例10xのリアクトルユニット30は、コイル中心線CcがX方向に延びる向きに設けられている。比較例10xでは、電流センサ51が、コイル31から径方向βに離間した位置において軸方向αに並べられている。比較例10xでは、軸方向αがX方向に一致しており、電流センサ51においてセンサ素子52,53がコイル中心線Ccに沿って軸方向αに並んでいる。このため、比較例10xでは、第1センサ素子52と第2センサ素子53とが長曲がり部Mcaに沿って並ぶ可能性が高くなってしまう。
【0081】
図5に示す電流センサ51は、比較例10xにおいて、複数の電流センサ51のうち、センサ素子52,53が長曲がり部Mcaに沿って並んだ電流センサ51である。この電流センサ51においては、第1センサ素子52が検出するコイル磁束Mcの向きと、第2センサ素子53が検出するコイル磁束Mcの向きとが、Y方向において互いに逆になっている。このため、第1コイル値Dc1及び第2コイル値Dc2のうち一方が正の値になり、他方が負の値になる。この場合、第1センサ素子52の検出値と第2センサ素子53の検出値との差分においては、第1コイル値Dc1と第2コイル値Dc2とが相殺されずに、第1コイル値Dc1と第2コイル値Dc2との差分が含まれてしまう。このように、第1センサ素子52と第2センサ素子53とでコイル磁束Mcの検出向きが異なる場合、電流センサ51の検出精度がコイル値Dc1,Dc2により低下することが懸念される。
【0082】
図6に示すように、リアクトルユニット30はコイル体35を有している。コイル体35は、コイル31を含んで構成されている。コイル体35は、コイル31に加えて、第1コイル端子33及び第2コイル端子34を有している。第1コイル端子33は、コイル31を形成している巻線の一端を有しており、巻線においてコイル31から延びた部位である。第2コイル端子34は、コイル31を形成している巻線の他端を有しており、巻線においてコイル31から延びた部位である。
【0083】
図9に示すように、コイル31は、第1コイル端面311、第2コイル端面312、コイル側面313を有している。これらコイル端面311,312及びコイル側面313は、コイル31の外面に含まれている。コイル31においては、軸方向αに並ぶ一対の端面のうち一方が第1コイル端面311であり、他方が第2コイル端面312である。第1コイル端面311及び第2コイル端面312は、軸方向αに直交しており、コイル中心線Ccの周りを環状に延びている。本実施形態では、コイル31を形成する巻線として板状の平角導線が用いられている。第1コイル端面311及び第2コイル端面312は、平角導線の板面により形成されている。
【0084】
コイル側面313は、第1コイル端面311と第2コイル端面312とにかけ渡された状態になっている。コイル31においては、複数の環状部32が軸方向αに連なった状態になっている。コイル側面313は、複数の環状部32のそれぞれの外面により形成されており、全体として軸方向αに延びている。コイル側面313は、径方向βに直交しており、周方向γに延びている。
【0085】
コイル側面313は、複数の側面部313aを有している。複数の側面部313aは、周方向γに並べられている。周方向γに隣り合う2つの側面部313aは互いに接続されている。複数の側面部313aには、径方向βに直交する方向に延びた平坦面と、径方向βの外側である径方向外側に向けて膨らむように曲がった湾曲面と、が含まれている。平坦面と湾曲面とは、周方向γに交互に並べられており、複数ずつ設けられている。なお、側面部313aの全てが平坦面及び湾曲面のうち一方になっていてもよい。
【0086】
図6、
図9において、第1コイル端子33と第2コイル端子34とは、軸方向αにおいてコイル31から互いに逆向きに延びている。第1コイル端子33は、第1コイル端面311から第2コイル端面312とは反対側に向けて延びている。第2コイル端子34は、第2コイル端面312から第1コイル端面311とは反対側に向けて延びている。第1コイル端子33と第2コイル端子34とは、周方向γに並べられている。第1コイル端子33と第2コイル端子34とは、Z方向においてコイル中心線Ccから同じ側に離間した位置にある。第1コイル端子33と第2コイル端子34とは、X方向に並べられている。第1コイル端子33及び第2コイル端子34は、複数の側面部313aの少なくとも1つに周方向に重複する位置にある。複数の側面部313aのうち、第1コイル端子33が重複する側面部313aと、第2コイル端子34が重複する側面部313aとは、互いに異なっている。
【0087】
図6、
図7に示すように、リアクトルユニット30はボビン70を有している。ボビン70は、コイル31を保持している。ボビン70は、コイル31において隣り合う2つの環状部32が軸方向αに互いに離間するということを規制する機能を有している。この機能によれば、隣り合う2つの環状部32の間に隙間が生じるということがボビン70により規制される。
【0088】
ボビン70は、胴部71、第1フランジ部72、第2フランジ部73を有している。胴部71は、筒状の部位であり、コイル中心線Ccに沿って軸方向αに延びている。胴部71は、コイル31の中空部に挿通された状態になっている。コイル31においては、巻線が胴部71の周りに巻回された状態になっている。
【0089】
第1フランジ部72及び第2フランジ部73はいずれも、胴部71から径方向βに延びた板状の部位である。第1フランジ部72と第2フランジ部73とは、軸方向αに互いに離間した位置にある。例えば、胴部71において一方の端部に第1フランジ部72が設けられており、他方の端部に第2フランジ部73が設けられている。軸方向αにおいては、第1フランジ部72と第2フランジ部73との間にコイル31が設けられている。第1フランジ部72及び第2フランジ部73は、軸方向αにおいてコイル31を両側から挟み込んだ状態になっている。
【0090】
第1フランジ部72は第1フランジ面72aを有している。第1フランジ面72aは、第1フランジ部72が有する一対の板面のうち、第2フランジ部73を向いた板面である。第2フランジ部73は第2フランジ面73aを有している。第2フランジ面73aは、第2フランジ部73が有する一対の板面のうち、第1フランジ部72を向いた板面である。第1フランジ面72aと第2フランジ面73aとは、コイル31を介して互いに対向している。
【0091】
ボビン70は、第1ボビン部701及び第2ボビン部702という2つの部材を有している。第1ボビン部701と第2ボビン部702とが互いに組み付けられることでボビン70が形成されている。第1ボビン部701及び第2ボビン部702は、樹脂材料等により形成されており、絶縁性を有している。
【0092】
第1ボビン部701は、第1フランジ部72及び第1胴711を有している。第1胴711は、筒状の部位であり、第1フランジ部72から軸方向αに延びている。第2ボビン部702は、第2フランジ部73及び第2胴712を有している。第2胴712は、筒状の部位であり、第2フランジ部73から軸方向αに延びている。ボビン70においては、第1胴711の先端面と第2胴712の先端面とが互いに重ねられた状態になっている。ボビン70においては、第1胴711及び第2胴712により胴部71が形成されている。
【0093】
図7~
図9に示すように、ボビン70は、第1スナップフィット801及び第2スナップフィット802を有している。スナップフィット801,802は、第1フランジ部72と第2フランジ部73とを連結している。スナップフィット801,802は、連結ベース部81、第1アーム部851及び第2アーム部852を有している。連結ベース部81には溝部821,822が設けられており、アーム部851,852には突出部861,862が設けられている。連結ベース部81は、第1フランジ部72及び第2フランジ部73のうち一方に設けられており、アーム部851,852は他方に設けられている。スナップフィット801,802においては、突出部861,862が溝部821,822に係合していることで連結ベース部81とアーム部851,852とが連結されている。
【0094】
スナップフィット801,802は、径方向βにおいてコイル31よりも外側に設けられており、コイル側面313に対向している。スナップフィット801,802とは、周方向γに並べられている。コイル側面313においては、第1スナップフィット801が対向する側面部313aと、第2スナップフィット802が対向する側面部313aとは、互いに異なっている。第1スナップフィット801と第2スナップフィット802とは、コイル中心線Ccを介して径方向βに並べられている。
【0095】
第1スナップフィット801と第2スナップフィット802とでは、連結ベース部81とアーム部851,852との位置関係が軸方向αにおいて逆になっている。第1スナップフィット801では、第1フランジ部72にアーム部851,852が設けられ、第2フランジ部73に連結ベース部81が設けられている。第1スナップフィット801においては、アーム部851,852が第1ボビン部701に含まれ、連結ベース部81が第2ボビン部702に含まれている。一方、第2スナップフィット802では、第1フランジ部72に連結ベース部81が設けられ、第2フランジ部73にアーム部851,852が設けられている。第2スナップフィット802においては、連結ベース部81が第1ボビン部701に含まれ、アーム部851,852が第2ボビン部702に含まれている。
【0096】
基本的に第1スナップフィット801と第2スナップフィット802とは、連結ベース部81とアーム部851,852との位置関係が逆になっていること以外について、基本的に同じ構成になっている。本実施形態では、第1スナップフィット801についての詳細な説明を行い、第2スナップフィット802についての詳細な説明は省略する。
【0097】
図7に示すように、第1スナップフィット801においては、連結ベース部81が第2フランジ部73から第1フランジ部72に向けて軸方向αに延びている。連結ベース部81は、軸方向αにおいて胴部71よりも短く且つ第2胴712よりも長い。連結ベース部81は、全体として板状に形成されている。連結ベース部81の板面は、径方向βに直交する方向に延びた平坦面になっている。連結ベース部81にとっての厚さ方向は径方向βになっている。連結ベース部81にとっての幅方向は、径方向βに直交する接線方向であるが、本実施形態では、説明の便宜上、連結ベース部81については接線方向のことを径方向βと称することがある。接線方向の称し方については、アーム部851,852も同様である。
【0098】
連結ベース部81は、ベース先端部81a及びベース根本部81bを有している。ベース先端部81a及びベース根本部81bは、周方向γに延びている。ベース根本部81bは、連結ベース部81と第2フランジ部73との境界部に配置されている。ベース先端部81aは、ベース根本部81bから軸方向αに離間した位置にある。ベース先端部81aは、軸方向αにおいて第2フランジ部73よりも第1フランジ部72に近い位置にある。
【0099】
連結ベース部81は、第1側面811及び第2側面812を有している。第1側面811及び第2側面812は、軸方向αに延びており、ベース先端部81aとベース根本部81bとにかけ渡された状態になっている。第1側面811と第2側面812とは、周方向γに離間しており、周方向γにおいて互いに反対を向いている。
【0100】
図7、
図8に示すように、連結ベース部81においては、第1側面811に第1溝部821が設けられている。第1溝部821は、第2側面812に向けて凹んだ凹部であり、径方向βに開放されていることで溝状になっている。第1溝部821は第1受け面821aを有している。第1受け面821aは、第1アーム部851の第1突出部861が係合する被係合部である。第1受け面821aは、第1溝部821の内面に含まれている。第1溝部821の内面において第1突出部861が係合する部位が第1受け面821aである。第1受け面821aは、軸方向αにおいてベース根本部81b側を向いており、例えば軸方向αに直交する方向に延びている。
【0101】
連結ベース部81においては、第2側面812に第2溝部822が設けられている。第2溝部822は、第1側面811に向けて凹んだ凹部であり、径方向βに開放されていることで溝状になっている。第2溝部822は第2受け面822aを有している。第2受け面822aは、第2アーム部852の第2突出部862が係合する被係合部である。第2受け面822aは、第2溝部822の内面に含まれている。第2溝部822の内面において第2突出部862が係合する部位が第2受け面822aである。第2受け面822aは、軸方向αにおいてベース根本部81b側を向いており、例えば軸方向αに直交する方向に延びている。
【0102】
連結ベース部81は、第1受け面821a及び第2受け面822aを支持しており、受支持部に相当する。第1うけ
第1溝部821及び第2溝部822は、軸方向αに複数ずつ並べられている。複数の第1溝部821は、第1側面811に沿って並べられている。これにより、複数の第1受け面821aが第1側面811に沿って並べられている。軸方向αにおいては、複数の第1溝部821のそれぞれの幅寸法が同じになっている。これにより、複数の第1受け面821aは、軸方向αに等間隔で配置されている。複数の第2溝部822は、第2側面812に沿って並べられている。このため、複数の第2受け面822aが第2側面812に沿って並べられている。軸方向αにおいては、複数の第2溝部822のそれぞれの幅寸法が同じになっている。このため、複数の第2受け面822aは、軸方向αに等間隔で配置されている。
【0103】
軸方向αにおいて、複数の第1受け面821aの設置間隔と、複数の第2受け面822aの設置間隔とは同じになっている。例えば、軸方向αにおいて隣り合う2つの第1受け面821aの離間距離を第1受け距離L1と称し、隣り合う2つの第2受け面822aの離間距離を第2受け距離L2と称すると、第1受け距離L1と第2受け距離L2とは同じになっている。本実施形態では、第1受け距離L1が第1溝部821の幅寸法と同じであり、第2受け距離L2が第2溝部822の幅寸法と同じである。
【0104】
第1受け面821aと第2受け面822aとは、周方向γに横並びに設けられており、周方向γに互いに離間している。複数の第1受け面821aが設けられた第1領域と、複数の第2受け面822aが設けられた第2領域とは、周方向γに横並びに配置されている。第1領域及び第2領域は、軸方向αにおいてベース先端部81aよりもベース根本部81bに近い位置にある。第1領域及び第2領域は、第2胴712の先端面から第2フランジ部73側に離間した位置にある。
【0105】
連結ベース部81においては、周方向γの幅寸法が均一になっていない。例えば、連結ベース部81は幅広部81c及び幅狭部81dを有している。幅広部81cと幅狭部81dとは軸方向αに並べられている。幅広部81cは、幅狭部81dよりもベース根本部81b側にある。例えば、幅広部81cはベース根本部81bからベース先端部81aに向けて延びており、幅狭部81dはベース先端部81aからベース根本部81bに向けて延びている。周方向γにおいては、幅広部81cの幅寸法が幅狭部81dの幅寸法よりも大きくなっている。幅広部81cと幅狭部81dとの境界部である幅境界部は、軸方向αにおいてベース先端部81aよりもベース根本部81bに近い位置にある。例えば、幅境界部は第2胴712の先端面から第2フランジ部73に離間した位置にある。軸方向αにおいては、幅広部81cの長さ寸法が幅狭部81dの長さ寸法よりも小さくなっている。
【0106】
連結ベース部81においては、複数の第1受け面821a及び複数の第2受け面822aが幅狭部81dに設けられている。第1領域及び第2領域は、幅狭部81dにおいてベース先端部81aよりも幅広部81cに近い位置に配置されている。
【0107】
図7に示すように、第1スナップフィット801においては、アーム部851,852が第1フランジ部72から第2フランジ部73に向けて軸方向αに延びている。アーム部851,852は、軸方向αにおいて胴部71よりも短く且つ第1胴711よりも長い。アーム部851,852は、全体として板状に形成されている。アーム部851,852の板面は、径方向βに直交する方向に延びた平坦面になっている。アーム部851,852にとっての厚さ方向は径方向βになっている。周方向γにおいて、アーム部851,852は全体として連結ベース部81よりも細い。アーム部851,852は弾性変形可能になっている。アーム部851,852は、少なくとも周方向γに向けて撓むように弾性変形することが可能である。なお、連結ベース部81も弾性変形可能になっていてもよい。ただし、アーム部851,852が連結ベース部81よりも弾性変形しやすくなっていることが好ましい。
【0108】
第1アーム部851と第2アーム部852とは、周方向γに並べられている。周方向γにおいては、第1アーム部851と第2アーム部852との間に連結ベース部81が入り込んだ状態になっている。第1アーム部851は、連結ベース部81から周方向γに離間した位置にあり、周方向γにおいて第1側面811に対向している。第2アーム部852は、第1アーム部851とは反対側に向けて連結ベース部81から離間した位置にあり、周方向γにおいて第2側面812に対向している。
【0109】
第1ボビン部701はアーム接続部87を有している。アーム接続部87は、周方向γにおいて第1アーム部851と第2アーム部852との間に設けられており、第1アーム部851と第2アーム部852とを接続している。アーム接続部87は、第1フランジ部72から第2フランジ部73に向けて軸方向αに延びている。アーム接続部87は、軸方向αにおいてベース先端部81aから第1フランジ部72側に離間した位置にある。
【0110】
図7、
図8に示すように、第1突出部861は、周方向γにおいて第1アーム部851から連結ベース部81に向けて突出している。第1突出部861は、第1アーム部851の先端部に設けられている。第1突出部861は第1係合面861aを有している。第1係合面861aは、第1受け面821aに係合する係合部であり、第1係合部に相当する。第1受け面821aは、第1係合面861aの係合を受ける受け部であり、第1受け部に相当する。
【0111】
第1係合面861aは、第1突出部861の外面に含まれている。第1突出部861の外面において第1受け面821aに係合する部位が第1係合面861aである。第1係合面861aは、軸方向αにおいてベース先端部81a側を向いており、例えば軸方向αに直交する方向に延びている。第1突出部861は、複数の第1溝部821のうち1つの第1溝部821に入り込んだ状態になっている。これにより、第1係合面861aは、複数の第1受け面821aのうち1つの第1受け面821aに係合している。第1スナップフィット801においては、第1アーム部851の弾性変形により第1受け面821aに対する第1係合面861aの係合及び解除が可能になっている。
【0112】
第2突出部862は、周方向γにおいて第2アーム部852から連結ベース部81に向けて突出している。第2突出部862は、第2アーム部852の先端部に設けられている。第2突出部862は第2係合面862aを有している。第2係合面862aは、第2受け面822aに係合する係合部であり、第2係合部に相当する。第2受け面822aは、第2係合面862aの係合を受ける受け部であり、第2受け部に相当する。
【0113】
第2係合面862aは、第2突出部862の外面に含まれている。第2突出部862の外面において第2受け面822aに係合する部位が第2係合面862aである。第2係合面862aは、軸方向αにおいてベース先端部81a側を向いており、例えば軸方向αに直交する方向に延びている。第2突出部862は、複数の第2溝部822のうち1つの第2溝部822に入り込んだ状態になっている。これにより、第2係合面862aは、複数の第2受け面822aのうち1つの第2受け面822aに係合している。第1スナップフィット801においては、第2アーム部852の弾性変形により第2受け面822aに対する第2係合面862aの係合及び解除が可能になっている。
【0114】
第1アーム部851には1つの第1係合面861aが設けられている。第2アーム部852には1つの第2係合面862aが設けられている。第1係合面861aと第2係合面862aとは、周方向γに横並びに設けられている。
【0115】
第1ボビン部701及び第2ボビン部702は、連結ベース部81及びアーム部851,852のそれぞれを有している。第1ボビン部701及び第2ボビン部702のそれぞれにおいて、連結ベース部81とアーム部851,852とで軸方向αの長さがほぼ同じになっている。
【0116】
図9、
図10に示すように、第2ボビン部702は、第1スナップフィット801に含まれる連結ベース部81と、第2スナップフィット802に含まれるアーム部851,852とを有している。第2ボビン部702においては、連結ベース部81とアーム部851,852とが、径方向βにおいてコイル中心線Ccを介して互いに反対側に配置されている。第1ボビン部701は、第2スナップフィット802に含まれる連結ベース部81と、第1スナップフィット801に含まれるアーム部851,852とを有している。第1ボビン部701においても、連結ベース部81とアーム部851,852とが、径方向βにおいてコイル中心線Ccを介して互いに反対側に配置されている。
【0117】
第1ボビン部701と第2ボビン部702とは、互いに組み付けられる向きが逆になっているだけで、同じ形状及び大きさの部材である。このため、第1スナップフィット801と第2スナップフィット802とは対称形状になっている。第1スナップフィット801と第2スナップフィット802とは、軸方向αにおける向きが逆になっているだけであり、回転対称の関係になっている。このように第1スナップフィット801と第2スナップフィット802とが対称形状になっていることで、第1フランジ部72と第2フランジ部73とを平行に連結できる構成が複数の受け面821a,822aにより実現されている。
【0118】
図7~
図9に示すように、ボビン70は、第1クラッシュリブ76及び第2クラッシュリブ77を有している。第1クラッシュリブ76は、第1フランジ部72に設けられており、第1ボビン部701に含まれている。第1クラッシュリブ76は、第1フランジ面72aに設けられた凸状のリブであり、第1フランジ面72aから第1コイル端面311に向けて突起している。第1クラッシュリブ76は、第1フランジ面72aと第1コイル端面311との間に設けられている。第1クラッシュリブ76は、第1フランジ面72aと第1コイル端面311との間に挟まった状態になっており、第1コイル端面311に押し付けられている。
【0119】
第2クラッシュリブ77は、第2フランジ部73に設けられており、第2ボビン部702に含まれている。第2クラッシュリブ77は、第2フランジ面73aに設けられた凸状のリブであり、第2フランジ面73aから第2コイル端面312に向けて突起している。第2クラッシュリブ77は、第2フランジ面73aと第2コイル端面312との間に設けられている。第2クラッシュリブ77は、第2フランジ面73aと第2コイル端面312との間に挟まった状態になっており、第2コイル端面312に押し付けられている。
【0120】
図7、
図8に示すように、軸方向αにおいて、第1クラッシュリブ76の第1リブ高さH1は、第1受け面821aについての第1受け距離L1及び第2受け面822aについての第2受け距離L2のいずれよりも小さい。この第1リブ高さH1は、第1フランジ面72aと第1コイル端面311との離間距離と同じになっている。リブ高さH1,H2は、クラッシュリブ76,77がフランジ部72,73から突出した寸法であり、突出寸法に相当する。
【0121】
軸方向αにおいて、第2クラッシュリブ77の第2リブ高さH2は、第1受け面821aについての第1受け距離L1及び第2受け面822aについての第2受け距離L2のいずれよりも小さい。この第2リブ高さH2は、第1フランジ面72aと第1コイル端面311との離間距離と同じになっている。また、第1リブ高さH1と第2リブ高さH2とはほぼ同じになっている。
【0122】
リアクトルユニット30を製造する製造工程においては、作業者は、第1フランジ部72と第2フランジ部73とでコイル31を挟み付けるようにして、第1ボビン部701と第2ボビン部702とを組み付けてボビン70を形成する。クラッシュリブ76,77は、第1ボビン部701と第2ボビン部702との組み付けに伴って、コイル端面311,312に押し付けられることで潰れるように変形したリブである。クラッシュリブ76,77は、変形した状態でコイル端面311,312を押圧しており、潰しリブや押圧リブと称されることがある。クラッシュリブ76,77は、第1ボビン部701と第2ボビン部702との組み付けに伴って低くなる。第1ボビン部701と第2ボビン部702とが組み付けられる前においては、クラッシュリブ76,77の高さ寸法が第1受け距離L1及び第2受け距離L2のいずれよりも大きくなっている。
【0123】
図7~
図9に示すように、クラッシュリブ76,77は、フランジ面72a,72bに複数設けられている。第1クラッシュリブ76は、径方向βにおいて第1フランジ面72aの内周縁及び外周縁のいずれからも離間した位置に設けられている。例えば、第1クラッシュリブ76は、径方向βにおいて第1フランジ面72aの内周縁と外周縁との中間位置にある。第2クラッシュリブ77は、径方向βにおいて第2フランジ面73aの内周縁及び外周縁のいずれからも離間した位置に設けられている。例えば、第2クラッシュリブ77は、径方向βにおいて第2フランジ面73aの内周縁と外周縁との中間位置にある。
【0124】
クラッシュリブ76,77は、スナップフィット801,802から周方向γに離間した位置にある。すなわち、クラッシュリブ76,77は、径方向βにおいてスナップフィット801,802に重複しない位置にある。第1クラッシュリブ76及び第2クラッシュリブ77は、周方向γにおいて第1スナップフィット801を介して並ぶようにそれぞれ一対設けられている。一対の第1クラッシュリブ76の離間距離と、一対の第2クラッシュリブ77の離間距離とは、いずれもコイル31の内径よりも小さくなっている。一対の第1クラッシュリブ76と一対の第2クラッシュリブ77とは軸方向αに並んだ位置にある。また、第1クラッシュリブ76及び第2クラッシュリブ77は、第2スナップフィット802に対して同様に、周方向γにおいて第2スナップフィット802を介して並ぶようにそれぞれ一対設けられている。
【0125】
ボビン70は第1挿通部74及び第2挿通部75を有している。第1挿通部74は、第1フランジ部72に設けられており、第1コイル端子33を挿通させている。第1挿通部74は、第1フランジ部72を軸方向αに貫通しており、切り欠きや挿通孔により形成されている。第1コイル端子33は、コイル31から第1挿通部74を通って軸方向αに延びている。第2挿通部75は、第2フランジ部73に設けられており、第2コイル端子34を挿通させている。第2挿通部75は、第2フランジ部73を軸方向αに貫通しており、切り欠きや挿通孔により形成されている。第2コイル端子34は、コイル31から第2挿通部75を通って軸方向αに延びている。
【0126】
第1挿通部74及び第2挿通部75は、コイル側面313において複数の側面部313aのいずれかに径方向βに重複する位置にある。複数の側面部313aのうち、第1挿通部74が径方向βに重複する側面部313aと、第2挿通部75が径方向βに重複する側面部313aと、は互いに異なっている。また、複数の側面部313aのうち、挿通部74,75が径方向βに重複する側面部313aと、スナップフィット801,802に径方向βに重複する側面部313aと、は互いに異なっている。この構成は、コイル端子33が径方向βに重複する側面部313aと、スナップフィット801,802に径方向βに重複する側面部313aと、が互いに異なっている、という構成のことである。
【0127】
図6に示すように、コア40は、コア内周部41、コア外周部42、第1ブロック部43及び第2ブロック部44を有している。コア内周部41は、コイル中心線Ccに沿って軸方向αに延びている。コア内周部41は、ボビン70の胴部71に挿通されることで、コイル31の中空部に挿通された状態になっている。コイル31においては、巻線がコア内周部41の周りに巻回された状態になっている。コア外周部42は、コア内周部41と共に軸方向αに延びている。コア外周部42は、コア内周部41を介して径方向βに並べて一対設けられている。
【0128】
第1ブロック部43及び第2ブロック部44は、コア内周部41及びコア外周部42を介して軸方向αに並べられている。これらブロック部43,44はいずれも、径方向βに延びており、コア内周部41とコア外周部42とを接続している。軸方向αにおいて、コア内周部41及びコア外周部42のそれぞれの一方の端部が第1ブロック部43により接続されており、それぞれの他方の端部が第2ブロック部44により接続されている。
【0129】
コア40は、第1コア端面40a、第2コア端面40b及びコア側面40cを有している。第1コア端面40a、第2コア端面40b及びコア側面40cはいずれもコア40の外周面に含まれている。コア40においては、外面の一部が外周面である。第1コア端面40aと第2コア端面40bとは、軸方向αに並べられており、軸方向αにおいて互いに反対を向いている。第1コア端面40aは、第1ブロック部43の外面において第2ブロック部44とは反対側を向いた部位であり、第1反対面に相当する。第2コア端面40bは、第2ブロック部44の外面において第1ブロック部43とは反対側を向いた部位であり、第2反対面に相当する。第1コア端面40a及び第2コア端面40bはいずれも、軸方向αに直交する方向に延びており、互いに平行になっている。
【0130】
コア側面40cは、径方向βに並べて一対設けられている。一対のコア側面40cは、径方向βにおいて互いに反対を向いている。コア側面40cは、コア外周部42の外面においてコア内周部41とは反対側を向いた部位である。コア側面40cは、径方向βに直交する方向に延びている。コア側面40cは、軸方向αにおいて第1コア端面40aと第2コア端面40bとにかけ渡された状態になっている。
【0131】
コア40は、第1コア部45及び第2コア部46という2つの部材を有している。第1コア部45と第2コア部46とが互いに磁気的に接続されていることでコア40が形成されている。第1コア部45は、第1ブロック部43、第1内周部451及び第1外周部452を有している。第1内周部451及び第1外周部452は、第1ブロック部43から軸方向αに延びている。第1外周部452は、第1コア部45に一対含まれている。第2コア部46は、第2ブロック部44、第2内周部461及び第2外周部462を有している。第2内周部461及び第2外周部462は、第2ブロック部44から軸方向αに延びている。第2外周部462は、第2コア部46に一対含まれている。第1コア部45及び第2コア部46は、全体としてE字形状になっており、Eコアと称されることがある。
【0132】
第1内周部451の先端面を第1内端面451aと称し、第2内周部461の先端面を第2内端面461aと称すると、コア40においては、第1内端面451aと第2内端面461aとが互いに重ねられた状態になっている。コア40においては、第1内周部451及び第2内周部461によりコア内周部41が形成されている。第1内端面451a及び第2内端面461aはいずれも、軸方向αに直交する方向に延びており、第1コア端面40a及び第2コア端面40bに平行になっている。
【0133】
第1外周部452の先端面を第1外端面452aと称し、第2外周部462の先端面を第2外端面462aと称すると、コア40においては、第1外端面452aと第2外端面462aとが互いに重ねられた状態になっている。コア40においては、第1外周部452及び第2外周部462によりコア外周部42が形成されている。第1外端面452a及び第2外端面462aはいずれも、軸方向αに直交する方向に延びており、第1コア端面40a及び第2コア端面40bに平行になっている。
【0134】
リアクトルユニット30は、リアクトルケース90及び板バネ110を有している。リアクトルケース90は、コイル31、コア40、ボビン70及び板バネ110を収容しており、収容ケースに相当する。リアクトルケース90は、第1ケース面91、第2ケース面92及びケース延び面93を有している。
【0135】
第1ケース面91、第2ケース面92及びケース延び面93はいずれも、リアクトルケース90の内面に含まれている。第1ケース面91は、リアクトルケース90の内面において第1コア端面40aに対向する部位であり、第1対向面に相当する。第2ケース面92は、リアクトルケース90の内面において第2コア端面40bに対向する部位であり、第2対向面に相当する。第1ケース面91と第2ケース面92とは、軸方向αに並べられており、軸方向αにおいてコア40を介して互いに対向している。第1ケース面91及び第2ケース面92は、軸方向αに直交する方向に延びている。
【0136】
ケース延び面93は、リアクトルケース90の内面においてコア側面40cに対向する部位である。ケース延び面93は、第1ケース面91と第2ケース面92とが並んだ方向である軸方向αに延びており、延び面に相当する。ケース延び面93は、径方向βに並べて一対設けられている。一対のケース延び面93は、径方向βにおいてコア40を介して互いに対向している。ケース延び面93は、径方向βに直交する方向に延びている。ケース延び面93は、軸方向αにおいて第1ケース面91と第2ケース面92とにかけ渡された状態になっている。
【0137】
板バネ110は、第1コア部45と第2コア部46とを互いに近づく向きに押圧しており、押圧バネに相当する。板バネ110は、金属材料等により形成されたバネ部材であり、弾性変形により生じる復元力により第1コア部45と第2コア部46とが近づく向きに付勢している。板バネ110は、板状の部材が折り曲げられるなどして形成されており、全体として板バネ110の厚さ方向に膨らむように曲がっている。コア40は、板バネ110の内側に入り込んだ状態になっている。板バネ110は、コア40の外周面に沿って延びており、第1コア端面40a、第2コア端面40b及びコア側面40cに対向している。
【0138】
板バネ110は、第1バネ部111、第2バネ部112及び支持バネ部113を有している。第1バネ部111、第2バネ部112及び支持バネ部113は、全体として板状に形成されている。第1バネ部111と第2バネ部112とは、コア40を介して軸方向αに並べられている。第1バネ部111及び第2バネ部112は、それぞれの板面が軸方向αに直交する向きで設けられている。
【0139】
支持バネ部113は、第1バネ部111及び第2バネ部112を支持している。支持バネ部113は、第1バネ部111と第2バネ部112とを接続している。支持バネ部113においては、一方の端部から第1バネ部111が延びており、他方の端部から第2バネ部112が延びている。支持バネ部113は、リアクトルケース90の内面に沿って延びている。支持バネ部113は、第1ケース面91と第2ケース面92とにかけ渡された状態になっている。
【0140】
支持バネ部113は、第1支持部113a、第2支持部113b及び接続支持部113cを有している。接続支持部113cは、第1支持部113aと第2支持部113bとを接続している。接続支持部113cは、コア側面40cとケース延び面93との間に設けられている。接続支持部113cは、ケース延び面93に沿って軸方向αに延びており、ケース延び面93に重ねられている。接続支持部113cにおいては、一方の端部から第1支持部113aが延びており、他方の端部から第2支持部113bが延びている。
【0141】
第1支持部113aは、第1バネ部111を支持している。第1支持部113aは、第1コア端面40aと第1ケース面91との間に設けられている。第1支持部113aは、接続支持部113cから径方向βに延びている。第2支持部113bは、第2バネ部112を支持している。第2支持部113bは、第2コア端面40bと第2ケース面92との間に設けられている。第2支持部113bは、接続支持部113cから径方向βに延びている。第1支持部113aと第2支持部113bとは、軸方向αにおいてコア40を介して対向している。
【0142】
第1バネ部111は、軸方向αにおいて第1コア部45を介して第2コア部46とは反対側に設けられている。第1バネ部111は、第1コア端面40aに対向しており、第1コア端面40aに沿って延びている。第1バネ部111は、第1コア部45を第2コア部46に向けて押圧している。第1バネ部111は、全体として第1支持部113aに対して接続支持部113c側に折り返された状態になっている。第1バネ部111は、第1支持部113aから接続支持部113cに向けて径方向βに延びている。第1バネ部111は、第1支持部113aと第1コア端面40aとの間に設けられている。
【0143】
第1バネ部111は、全体として第1コア端面40aに向けて膨らむように曲がった形状になっている。第1バネ部111は第1頂部111aを有している。第1頂部111aは、第1バネ部111において最も第1コア端面40aに近い部位である。換言すれば、第1頂部111aは、第1バネ部111において最も第1支持部113aから離間した部位である。第1バネ部111においては、第1頂部111aが第1コア端面40aに押し付けられた状態になっている。第1バネ部111においては、少なくとも第1頂部111aが第1コア端面40aに接触している。
【0144】
第2バネ部112は、軸方向αにおいて第2コア部46を介して第1コア部45とは反対側に設けられている。第2バネ部112は、第2コア端面40bに対向しており、第2コア端面40bに沿って延びている。第2バネ部112は、第2コア部46を第1コア部45に向けて押圧している。第2バネ部112は、全体として第2支持部113bに対して接続支持部113c側に折り返された状態になっている。第2バネ部112は、第2支持部113bから接続支持部113cに向けて径方向βに延びている。第2バネ部112は、第2支持部113bと第2コア端面40bとの間に設けられている。
【0145】
第2バネ部112は、全体として第2コア端面40bに向けて膨らむように曲がった形状になっている。第2バネ部112は第2頂部112aを有している。第2頂部112aは、第2バネ部112において最も第2コア端面40bに近い部位である。換言すれば、第2頂部112aは、第2バネ部112において最も第2支持部113bから離間した部位である。第2バネ部112においては、第2頂部112aが第2コア端面40bに押し付けられた状態になっている。第2バネ部112においては、少なくとも第2頂部112aが第2コア端面40bに接触している。
【0146】
板バネ110は、少なくとも一部が弾性変形した状態でリアクトルケース90の内面とコア40との間に収容されている。板バネ110は、第1頂部111aが第1支持部113aに近づくように、且つ第2頂部112aが第2支持部113bに近づくように、弾性変形している。板バネ110においては、少なくとも第1バネ部111が弾性変形している。板バネ110は、第1バネ部111の復元力により第1コア部45を第2コア部46に向けて付勢している。板バネ110においては、少なくとも第2バネ部112が弾性変形している。板バネ110は、第2バネ部112の復元力により第2コア部46を第1コア部45に向けて付勢している。第1バネ部111及び第2バネ部112は、それぞれの少なくとも一部が弾性変形した状態になっている。
【0147】
次に、リアクトルユニット30を製造する製造方法について説明する。リアクトルユニット30の製造工程には、コイル31にボビン70を取り付けるボビン工程と、コア40に板バネ110を装着するバネ工程と、が含まれている。ボビン工程は、ボビン70を製造する製造方法を有しており、ボビン70の製造工程でもある。バネ工程は、コイル体35、コア40、ボビン70、板バネ110をリアクトルケース90に収容させる工程である。
【0148】
ボビン工程において、作業者は、コイル体35に第1ボビン部701及び第2ボビン部702を取り付ける。作業者は、第1胴711がコイル31の中空部に入り込むように、且つ第2胴712がコイル31の中空部に入り込むように、第1ボビン部701と第2ボビン部702とを組み付ける。作業者は、第1ボビン部701が有するアーム部851,852の間に第2ボビン部702が有する連結ベース部81を入り込ませて第1スナップフィット801を形成する。また、作業者は、第2ボビン部702が有するアーム部851,852の間に第1ボビン部701が有する連結ベース部81を入り込ませて第2スナップフィット802を形成する。
【0149】
作業者は、フランジ部72,73をコイル31に押し付けてクラッシュリブ76,77をコイル端面311,312で押し潰すように変形させながら、スナップフィット801,802において係合面861a,862aを受け面821a,822aに係合させる。このように、クラッシュリブ76,77を変形させることで、第1フランジ部72及び第2フランジ部73とコイル31との間に遊びとしての隙間が生じにくくなる。このため、コイル31において隣り合う2つの環状部32の間に隙間が生じにくくなり、これら環状部32の間に異物が進入しにくくなる。
【0150】
バネ工程において、作業者は、ボビン70が装着された状態のコイル体35にコア40を取り付ける。作業者は、コイル体35及びボビン70を挟み込むように第1コア部45と第2コア部46とを組み付けてコア40を形成する。作業者は、板バネ110をコア40に装着する装着作業と、板バネ110及びコア40等をリアクトルケース90に収容する収容作業とを行う。作業者は、装着作業及び収容作業の少なくとも一方で板バネ110を弾性変形させる。これにより、板バネ110は、弾性変形した状態でリアクトルケース90に収容される。
【0151】
<構成群A>
ここまで説明した本実施形態によれば、第1センサ素子52と第2センサ素子53とが径方向βに並べられている。このため、コイル31から軸方向αに離間した電流センサ51では、コイル磁束Mcのうち短曲がり部Mcbが比較的短いことに起因して、この短曲がり部Mcbが第1センサ素子52及び第2センサ素子53から径方向βにずれた位置に存在しやすい。換言すれば、第1センサ素子52と第2センサ素子53とが短曲がり部Mcbに沿って並んだ状態にはなりにくい。したがって、第1センサ素子52が検出するコイル磁束Mcの向きと第2センサ素子53が検出するコイル磁束Mcの向きとが互いに逆になるということを抑制できる。すなわち、センサ素子52,53が検出する検出値にコイル磁束Mcがノイズとして含まれることを抑制できる。これにより、電流センサ51による電流の検出精度を高めることができる。
【0152】
本実施形態では、電流センサ51が集磁コアを有していないコアレス式であるため、センサ素子52,53が検出する検出値がコイル磁束Mcによる影響を受けやすい。これに対して、本実施形態によれば、センサ素子52,53が検出する検出値にコイル磁束Mcが含まれる可能性が低いため、これら検出値がコイル磁束Mcによる影響を受けることを抑制できる。
【0153】
本実施形態によれば、電流センサ51において、第1センサ素子52及び第2センサ素子53は、コイル31から軸方向αに離間した位置に設けられている。このため、これら第1センサ素子52と第2センサ素子53とが短曲がり部Mcbに沿って並ぶという確率を低減できる。したがって、コイル31から軸方向αに離間した位置において径方向βに並べられた複数の電流センサ51については、第1センサ素子52と第2センサ素子とが短曲がり部Mcbに沿って並んだという電流センサ51の数を極力少なくできる。
【0154】
本実施形態によれば、第1センサ素子52と第2センサ素子53とは、軸方向αにおいて接続部61よりもコイル31側に設けられている。この構成では、接続部61とコイル31との間というデッドスペースになりやすい領域を第1センサ素子52及び第2センサ素子53の設置スペースとして有効利用できる。換言すれば、装置ケース20において内部空間20Sという限られた空間において、デッドスペースになりやすい領域に電流センサ51を配置できる。このため、装置ケース20及び電力変換装置10の小型化を図ることが可能になる。
【0155】
本実施形態によれば、センサ素子52,53の中心を通って径方向βに延びる素子中心線Csは、コイル31の中心を通って軸方向αに延びるコイル中心線Ccに直交している。コイル磁束Mcにおいては、素子中心線Csに沿って径方向βに延びる部分が最も短いため、素子中心線Csとコイル中心線Ccとが直交していることで、第1センサ素子52と第2センサ素子53とがコイル磁束Mcに沿って並ぶ可能性を最も低くできる。
【0156】
本実施形態において、軸方向αに延びるように偏平したコイル磁束Mcでは、径方向βでの長さ寸法が最も小さくなっている。そこで、本実施形態によれば、第1センサ素子52と第2センサ素子53とが径方向βに並べられている。この構成では、例えば第1センサ素子52と第2センサ素子53とが軸方向αに互いに離間した位置にある構成に比べて、第1センサ素子52と第2センサ素子53とがコイル磁束Mcに沿って並ぶという可能性を低減できる。換言すれば、第1センサ素子52及び第2センサ素子53をコイル磁束Mcによるノイズの影響を最も受けにくい位置に配置できる。
【0157】
本実施形態では、複数の電流センサ51は、コイル31から軸方向αに離間した位置において径方向βに並べられている。この構成では、電流センサ51とコイル31とが装置ケース20にとっての短手方向に並べられているため、電流センサ51とコイル31との離間距離を大きくすることが困難になる。このため、コイル磁束Mcが電流センサ51に届きやすく、センサ素子52,53が検出するコイル値Dc1,Dc2が大きくなりやすい。したがって、電流センサ51の検出精度がコイル値Dc1,Dc2により低下しやすくなることが懸念される。
【0158】
これに対して、本実施形態によれば、第1センサ素子52と第2センサ素子53とが径方向βに並べられているため、これら第1センサ素子52と第2センサ素子53とがコイル磁束Mcに沿って並ぶということを抑制できる。これにより、装置ケース20において電流センサ51とコイル31との離間距離が小さくなっていたとしても、電流センサ51の検出精度がコイル値Dc1,Dc2により低下するということを抑制できる。
【0159】
本実施形態によれば、リアクトル領域20Sbとセンサ領域20Scとが軸方向αに並ぶように配置されている。この構成では、センサ領域20Scに配置された複数の電流センサ51のいずれについても、第1センサ素子52と第2センサ素子53とがコイル磁束Mcに沿って並ぶという可能性を低減できる。
【0160】
本実施形態によれば、センサ領域20Scに収容された複数の電流センサ51のうち、少なくとも1つの電流センサ51がリアクトル領域20Sbに対して軸方向αに重複する位置に設けられている。この構成では、複数の電流センサ51の少なくとも1つの電流センサ51については、第1センサ素子52と第2センサ素子53とがコイル磁束Mcに沿って並ぶことを高い確率で抑制できる。これにより、コイル磁束Mcによるノイズの影響をより確実に抑制できる。
【0161】
特に、U相、V相、W相という3相のそれぞれに対して設けられた3つの電流センサ51について、少なくとも1つの電流センサ51がリアクトル領域20Sbに対して軸方向αに重複する位置に設けられている。このため、3相のうち、この電流センサ51が設けられた相については、電流の検出精度をより確実に高めることができる。
【0162】
本実施形態によれば、装置ケース20の内部において、パワー領域20Saは、リアクトル領域20Sbに対して径方向βに並ぶ位置であって、センサ領域20Scに対して軸方向αに並ぶ位置に設けられている。この構成では、内部空間20Sにおいて、リアクトル領域20Sbに対して径方向βに並び、且つセンサ領域20Scに対して軸方向αに並ぶ領域をパワー領域20Saとして有効利用できる。このため、電力変換装置10の体格を大きくすることなく、パワーユニット21、リアクトルユニット30及び電流センサ51といった電気部品を、装置ケース20の内部に効果的に配置できる。
【0163】
本実施形態によれば、センサ領域20Scは、リアクトル領域20Sbの少なくとも一部とパワー領域20Saの少なくとも一部との両方に対して軸方向αに重複する位置に設けられている。この構成では、センサ領域20Scに対して軸方向αに隣り合う領域について、リアクトル領域20Sb及びパワー領域20Saの位置関係に関する自由度を高めることができる。これにより、装置ケース20の内部において、パワーユニット21、リアクトルユニット30及び電流センサ51といった電気部品の配置に関する自由度を高めることができる。
【0164】
<構成群B>
本実施形態によれば、第1フランジ部72と第2フランジ部73とがスナップフィット801,802により連結されている。この構成では、コイル31が軸方向αに伸びるように変形することがクラッシュリブ76,77により規制される。このため、コイル31において、隣り合う2つの環状部32が軸方向αに離間するということが生じにくくなっている。これにより、隣り合う2つの環状部32の間に異物が進入するということを抑制できる。
【0165】
しかも、クラッシュリブ76,77が、フランジ部72,73に設けられ、コイル端面311,312に向けて突出し、コイル端面311,312に押し付けられた状態になっている。この構成では、第1フランジ部72と第2フランジ部73との間において、受け距離L1,L2よりも小さいコイル31の遊びが生じる、ということをクラッシュリブ76,77により抑制できる。また、この構成では、リアクトルユニット30やボビン70について製造による細かい公差が生じたとしても、この公差をクラッシュリブ76,77により吸収することができる。
【0166】
さらに、リブ高さH1,H2が受け距離L1,L2よりも小さい。この構成では、クラッシュリブ76,77がコイル31の延びを規制する上で、リブ高さH1,H2を必要最小限になっている。これにより、リブ高さH1,H2が大きすぎることに起因して、リアクトルユニット30の製造後に意図せずにクラッシュリブ76,77が変形してコイル31の遊びが生じる、ということを抑制できる。
【0167】
本実施形態によれば、連結ベース部81において、周方向γのうち一方に向けて開放された第1受け面821aに第1係合面861aが係合され、他方に向けて開放された第2受け面822aに第2係合面862aが係合されている。この構成では、例えば第1受け面821a及び第2受け面822aのうち一方だけが連結ベース部81に設けられた構成に比べて、連結ベース部81に対してアーム部851,852が相対的に傾くということが生じにくくなっている。すなわち、コイル端面311,312に対してフランジ部72,73が相対的に傾くということが生じにくくなっている。このため、フランジ部72,73がコイル31を挟み込んだ状態をスナップフィット801,802により保持できる。
【0168】
本実施形態によれば、クラッシュリブ76,77は、周方向γにおいてスナップフィット801,802を介して一対並べられている。この構成では、例えばクラッシュリブ76,77が、周方向γにおいてスナップフィット801,802の片側にだけ設けられた構成に比べて、フランジ部72,73がコイル端面311,312に対して傾くということが生じにくくなっている。このため、一対のクラッシュリブ76,77により、周方向γにおいてコイル31を全体的に均等に保持することができる。
【0169】
本実施形態によれば、複数の受け面821a,821bは、軸方向αにおいてベース先端部81aよりもベース根本部81bに近い位置に設けられている。この構成では、連結ベース部81において複数の受け面821a,822aよりもベース根本部81b側の部分を極力短くできるため、この部分の強度が不足するということが生じにくい。スナップフィット801,802によりコイル31を全体的に均等に保持することができる。また、この構成では、例えばコイル31の長さ寸法に合わせて、連結ベース部81において複数の受け面821a,822aとベース先端部81aとの間に新たに受け面821a,822aを追加することが可能である。このため、スナップフィット801,802の汎用性を高めることができる。
【0170】
本実施形態によれば、周方向γにおいて、アーム部851,852が連結ベース部81よりも細い。このため、係合面861a,862aと受け面821a,821bとが係合する際に連結ベース部81がアーム部851,852よりも弾性変形しやすい、という構成を実現できる。したがって、リアクトルユニット30の製造工程において、作業者が係合面861a,862aと受け面821a,821bとを係合させる際に、少ない荷重で第1ボビン部701と第2ボビン部702とを組み付けることができる。このように、作業者が第1ボビン部701と第2ボビン部702とを組み付ける際の作業負担を低減できる。
【0171】
本実施形態によれば、受け面821a,822aは、連結ベース部81において、幅広部81c及び幅狭部81dのうち幅狭部81dに設けられている。この構成では、係合面861a,862aは、受け面821a,822aを通過して幅広部81c側に行きすぎると、突出部861,862が幅広部81cに接触することになる。このため、スナップフィット801,802において、幅広部81cは、受け面821a,822aと係合面861a,862aとの行き違いを規制するストッパとしての機能を発揮することができる。
【0172】
本実施形態によれば、第1スナップフィット801と第2スナップフィット802とでは、受け距離L1,L2が同じになっている。この構成では、径方向βにおいて第1スナップフィット801側と第2スナップフィット802側とで、第1フランジ部72と第2フランジ部73との離間距離が異なる、ということが生じにくくなっている。このため、隣り合う2つの環状部32の間に異物が進入するということを周方向γの全体について均等に抑制できる。また、この構成では、径方向βにおいて第1スナップフィット801側と第2スナップフィット802側とで、クラッシュリブ76,77が吸収する交差を均等化できる。このため、周方向γ全体で均等に公差を吸収することができる。
【0173】
本実施形態によれば、コイル側面313において複数の側面部313aのうち、径方向βにおいてスナップフィット801,802に重複する側面部313aと、軸方向αにおいてコイル端子33,34に重複する側面部313aとが互いに異なっている。この構成では、スナップフィット801,802とコイル端子33,34とを、互いに干渉しないように配置することが容易になる。この場合、スナップフィット801,802及びコイル端子33,34の形状や大きさに関する自由度が向上するため、スナップフィット801,802の強度を十分に高めることができる。
【0174】
本実施形態によれば、第1ボビン部701及び第2ボビン部702のうち一方には、第1スナップフィット801に含まれる受け面821a,822aと第1挿通部74とが設けられている。他方には、第2スナップフィット802に含まれる受け面821a,822aと第2挿通部75とが設けられている。この構成では、スナップフィット801,802に加わる荷重が第1ボビン部701と第2ボビン部702とに均等に分かれやすく、且つ挿通部74,75による強度低下の可能性が第1ボビン部701と第2ボビン部702とに分かれやすい。したがって、第1ボビン部701及び第2ボビン部702のうち一方に荷重が集中すること、及び第1ボビン部701及び第2ボビン部702のうち一方に強度低下が集中すること、を抑制できる。このように、第1ボビン部701及び第2ボビン部702のうち一方が他方よりも異常が発生しやすくなるということを抑制できる。
【0175】
しかも、スナップフィット801,802においては、幅狭部81dという幅広部81cから一段落ちた部位に受け面821a,822aが設けられている。このため、受け面821a,822aに付与される荷重が幅広部81c全体に加わりやすい。したがって、スナップフィット801,802において、連結ベース部81という受け面821a,822aが設けられた部位の強度を全体的に向上させることができる。
【0176】
<構成群C>
本実施形態によれば、第1コア部45と第2コア部46とが互いに近づく向きに板バネ110により押圧されている。この構成では、第1コア部45と第2コア部46とを密着させる密着力が板バネ110により付与されるため、軸方向αにおいて第1コア部45と第2コア部46とが互いに離間するということを板バネ110により抑制できる。
【0177】
しかも、板バネ110においては、第1コア部45を第2コア部46に向けて押圧する第1バネ部111と、第2コア部46を第1コア部45に向けて押圧する第2バネ部112とが、支持バネ部113により接続され且つ支持されている。この構成では、軸方向αにおける第1コア部45及び第2コア部46の長さ寸法について製造による公差が生じたとしても、この公差を第1バネ部111、第2バネ部112及び支持バネ部113の少なくとも1つの弾性変形により吸収できる。これにより、第1バネ部111と第2バネ部112との間でコア40の遊びが生じることや、第1バネ部111と第2バネ部112との間にコア部45,46を入り込ませることができないこと、を抑制できる。したがって、第1コア部45と第2コア部46とを密着させることに板バネ110の弾性力を活用しやすい構成を実現できる。
【0178】
本実施形態によれば、第1コア部45においては、第1内端面451a及び第1外端面452aに平行に延びた第1コア端面40aが第1バネ部111により押圧される。また、第2コア部46においては、第2内端面461a及び第2外端面462aに平行に延びた第2コア端面40bが第2バネ部112により押圧される。この構成では、バネ部111,112がコア端面40a,40bを押圧する押圧力が径方向βに分散されにくくなっている。このため、板バネ110による付勢力を第1コア部45と第2コア部46との密着に効率良く用いることができる。
【0179】
本実施形態によれば、支持バネ部113は、第1外周部452と第2外周部462との境界部を軸方向αに跨ぐように、第1外周部452及び第2外周部462に沿って延びている。この構成では、径方向βにおいてコア外周部42を介してコイル31とは反対側に支持バネ部113が配置されるため、支持バネ部113とコイル31とが互いに干渉するということが生じにくい。また、この構成では、リアクトルユニット30の製造工程において、作業者がコア40及びコイル31をリアクトルケース90に収容させる場合に、支持バネ部113とコア外周部42とをまとめて把持することが容易になる。このため、作業者がコア40及びコイル31をリアクトルケース90に収容する際の作業負担を低減できる。
【0180】
本実施形態によれば、第1バネ部111は、第1コア部45を第2コア部46に向けて押圧することに加えて、第1支持部113aを第1ケース面91に向けて押圧する。また、第2バネ部112は、第2コア部46を第1コア部45に向けて押圧することに加えて、第2支持部113bを第2ケース面92に向けて押圧する。この構成では、第1ケース面91と第2ケース面92との間においてコア40が軸方向αに移動することを板バネ110の付勢力により抑制できる。
【0181】
本実施形態によれば、支持バネ部113において、第1バネ部111と第2バネ部112とを接続した接続支持部113cがケース延び面93に重ねられている。この構成では、板バネ110がリアクトルケース90に対して径方向βに位置ずれすることが、ケース延び面93により規制される。これにより、板バネ110と共にコア40がリアクトルケース90に対して径方向βに位置ずれすることを抑制できる。
【0182】
<変形例1>
上記第1実施形態において、センサ領域20Scは、パワー領域20Sa及びリアクトル領域20Sbに対して径方向βに揃った位置に設けられていてもよい。例えば、変形例1では、
図11に示すように、X方向において、リアクトル領域20Sbを介してパワー領域20Saとは反対側では、センサ領域20Scの端部とリアクトル領域20Sbの端部とがY方向に重複した位置にある。また、X方向において、パワー領域20Saを介してリアクトル領域20Sbとは反対側では、センサ領域20Scの端部とパワー領域20Saの端部とがY方向に重複した位置にある。
【0183】
なお、センサ領域20Scは、X方向においてパワー領域20Sa及びリアクトル領域20Sbの少なくともよりも突出した状態になっていてもよい。例えば、X方向において、リアクトル領域20Sbを介してパワー領域20Saとは反対側では、センサ領域20Scがリアクトル領域20Sbよりも突出した状態になっていてもよい。また、X方向において、パワー領域20Saを介してリアクトル領域20Sbとは反対側では、センサ領域20Scがパワー領域20Saよりも突出した状態になっていてもよい。
【0184】
<変形例2>
上記第1実施形態において、少なくとも1つの電流センサ51がリアクトル領域20Sbに対してY方向に重複する位置にあればよい。例えば、変形例2では、
図12に示すように、1つだけの電流センサ51がリアクトル領域20Sbに対してY方向に重複する位置に設けられている。この電流センサ51が設けられたバスバ60及び接続部61については、電流の検出精度をより確実に高めることができる。
【0185】
<変形例3>
上記第1実施形態において、少なくとも1つの電流センサ51がパワー領域20Saに対してY方向に重複する位置にあればよい。例えば、変形例3では、
図13に示すように、1つだけの電流センサ51がパワー領域20Saに対してY方向に重複する位置に設けられている。このように、センサ領域20Scに対するパワー領域20Saの相対的な位置については自由度が高くなっている。本変形例では、複数の電流センサ51に、パワー領域20Saに対してY方向に重複する位置にある電流センサ51と、リアクトル領域20Sbに対してY方向に重複する位置にある電流センサ51と、が1つずつ含まれている。なお、電流センサ51は、パワー領域20Saに対してY方向に重複する位置に1つも設けられていなくてもよい。例えば、センサ領域20Scがパワー領域20SaからX方向に離間した位置に設けられていてもよい。
【0186】
<変形例4>
上記第1実施形態において、電流センサ51は、リアクトル領域20Sbに対してY方向に重複する位置に1つも設けられていなくてもよい。例えば、変形例4では、
図14に示すように、センサ領域20Scは、リアクトル領域20SbからX方向に離間した位置にある。この構成でも、センサ領域20Scに収容された全ての電流センサ51については、第1センサ素子52と第2センサ素子53とがX方向に並んでいることで、これらセンサ素子52,53がコイル磁束Mcに沿って並ぶという確率を低減できる。
【0187】
<第2実施形態>
第1実施形態では、複数の電流センサ51がいずれも軸方向αにおいてコイル31から離間した位置に設けられていた。これに対して、第2実施形態では、少なくとも1つの電流センサ51が径方向βにおいてコイル31に横並びに設けられている。第2実施形態で特に説明しない構成、作用、効果については上記第1実施形態と同様である。第2本実施形態では、上記第1実施形態と異なる点を中心に説明する。
【0188】
図15に示す電流センサ51は、径方向βにおいてコイル31から離間した位置であって、径方向βにおいてコイル31に横並びの位置に設けられている。この電流センサ51においては、第1センサ素子52と第2センサ素子53とがコイル磁束Mcのうち長曲がり部Mcaを径方向βに跨いだ状態になっている。換言すれば、第1センサ素子52と第2センサ素子53とが長曲がり部Mcaに沿って並んだ状態にはなっていない。この電流センサ51では、上記第1実施形態において軸方向αにおいてコイル31に横並びの位置に設けられた電流センサ51と同様に、第1コイル値Dc1及び第2コイル値Dc2の両方が正の値及び負の値のうち一方になる。したがって、上記第1実施形態と同様に、センサ素子52,53が検出する検出値にコイル磁束Mcがノイズとして含まれることを抑制できる。
【0189】
<第3実施形態>
第1実施形態では、クラッシュリブ76,77が径方向βにおいてスナップフィット801,802に重複しない位置に設けられていた。これに対して、第3実施形態では、クラッシュリブ76,77が径方向βにおいてスナップフィット801,802に重複する位置に設けられている。第3実施形態で特に説明しない構成、作用、効果については上記第1実施形態と同様である。第3本実施形態では、上記第1実施形態と異なる点を中心に説明する。
【0190】
図16に示すように、クラッシュリブ76,77は、径方向βにおいてスナップフィット801,802に並ぶ位置に設けられている。例えば、第1スナップフィット801については、第1クラッシュリブ76が第1アーム部851と第2アーム部852との間に設けられている。この第1クラッシュリブ76は、第1アーム部851及び第2アーム部852のいずれからも周方向γに離間した位置にある。この第1クラッシュリブ76は、例えば第1アーム部851と第2アーム部852とのほぼ中央の位置にある。
【0191】
第1スナップフィット801については、第2クラッシュリブ77が第1受け面821aと第2受け面822aとの間に設けられている。この第2クラッシュリブ77は、第1受け面821a及び第2受け面822aのいずれからも周方向γに離間した位置にある。この第2クラッシュリブ77は、例えば第1受け面821aと第2受け面822aとのほぼ中央の位置にある。
【0192】
第2スナップフィット802については、第1クラッシュリブ76が第1受け面821aと第2受け面822aとの間に設けられている。この第1クラッシュリブ76は、第1受け面821a及び第2受け面822aのいずれからも周方向γに離間した位置にある。この第1クラッシュリブ76は、例えば第1受け面821aと第2受け面822aとのほぼ中央の位置にある。
【0193】
第2スナップフィット802については、第2クラッシュリブ77が第1アーム部851と第2アーム部852との間に設けられている。この第2クラッシュリブ77は、第1アーム部851及び第2アーム部852のいずれからも周方向γに離間した位置にある。この第2クラッシュリブ77は、例えば第1アーム部851と第2アーム部852とのほぼ中央の位置にある。
【0194】
本実施形態によれば、クラッシュリブ76,77は、周方向γにおいて第1受け面821aと第2受け面822aとの間に設けられている。リアクトルユニット30の製造工程において、作業者は、受け面821a,822aと係合面861a,862aとを係合させるために、第1フランジ部72と第2フランジ部73とを接近させる。作業者が、フランジ部72,73におけるスナップフィット801,802に重複する部分を押圧した場合、フランジ部72,73におけるクラッシュリブ76,77に重複する部分が押圧されることになる。この場合、受け面821a,822aと係合面861a,862aとを係合させる作業と、クラッシュリブ76,77を押し潰すように変形させる作業と、がまとめて行われることになる。したがって、第1ボビン部701と第2ボビン部702との組み付け作業を容易化できる。また、この構成では、周方向γにおいてスナップフィット801,802に重複する位置でクラッシュリブ76,77によりコイル31を確実に保持できる。
【0195】
<他の実施形態>
この明細書の開示は、例示された実施形態に制限されない。開示は、例示された実施形態と、それらに基づく当業者による変形態様を包含する。例えば、開示は、実施形態において示された部品、要素の組み合わせに限定されず、種々変形して実施することが可能である。開示は、多様な組み合わせによって実施可能である。開示は、実施形態に追加可能な追加的な部分をもつことができる。開示は、実施形態の部品、要素が省略されたものを包含する。開示は、1つの実施形態と他の実施形態との間における部品、要素の置き換え、又は組み合わせを包含する。開示される技術的範囲は、実施形態の記載に限定されない。開示される技術的範囲は、特許請求の範囲の記載によって示され、さらに特許請求の範囲の記載と均等の意味及び範囲内での全ての変更を含むものと解されるべきである。
【0196】
<構成群A>
上記各実施形態において、複数の電流センサ51は、軸方向αに並べられていてもよい。また、複数の電流センサ51は、1列に並べられていなくてもよい。例えば、複数の電流センサ51が複数列で複数ずつ並べられていてもよい。複数の電流センサ51に、センサ素子52,53が径方向βに並んだ電流センサ51が少なくとも1つ含まれていれば、センサ素子52,53が軸方向αに並んだ電流センサ51が含まれていてもよい。電流センサ51は、電力変換装置10に1つだけ含まれていてもよい。
【0197】
上記各実施形態において、電流センサ51において第1センサ素子52と第2センサ素子53とは、径方向βに並んでいれば、X方向ではなくZ方向に並んでいてもよい。また、第1センサ素子52と第2センサ素子53とは、素子中心線Csに対して傾斜した方向に並んでいてもよい。さらに、センサ素子52,53においては、素子中心線Csがコイル中心線Ccに直交していなくてもよい。
【0198】
上記各実施形態において、センサ素子52,53が接続部61による接続磁束Mを検出可能であれば、センサ素子52,53の並び方向は、接続部61を流れる電流の向きに直交していなくてもよい。例えば、接続部61は、バスバ60においてZ方向に膨らんだり凹んだりするように曲がっていてもよく、接続部61の板面がZ方向に延びる向きで設けられていてもよい。また、電流センサ51が電流を検出する検出対象は、電流が流れる通電部であれば、バスバ60において接続部61でなくてもよく、バスバ60でなくてもよい。例えば、センサ素子52,53にとっての被検出磁束は、バスバ60において接続部61とは異なる部位を流れる電流により生じる磁束でもよく、電力変換装置10においてバスバ60とは異なる通電部を流れる電流により生じる磁束でもよい。
【0199】
上記各実施形態において、センサ素子52,53は、接続部61による接続磁束を検出可能な位置であれば、接続部61に対してどの位置にあってもよい。例えば、センサ素子52,53は、接続部61を介してコイル31とは反対側に設けられていてもよい。
【0200】
上記各実施形態において、電流センサ51は、第1センサ素子52の検出値と第2センサ素子53の検出値とを用いて電流を算出すれば、必ずしも差分式の電流センサでなくてもよい。例えば、電流センサ51は、第1センサ素子52の検出値と第2センサ素子53の検出値との和を算出し、この算出結果を用いて電流を算出してもよい。
【0201】
上記各実施形態において、1つの電流センサ51には、磁束を検出するセンサ素子が3つ以上含まれていてもよい。例えば、電流センサ51が、第1センサ素子52及び第2センサ素子53に加えて、第3センサ素子を有していてもよい。このように、電流センサ51がセンサ素子を3つ有している構成では、電流センサ51において、3つのセンサ素子のそれぞれの検出値を用いて電流が算出される。
【0202】
<構成群B>
上記各実施形態において、スナップフィット801,802において、受け面821a,822aと係合面861a,862aとがそれぞれの少なくとも一部が逆の構成になっていてもよい。例えば、連結ベース部81に受け面821a,822aではなく係合面861a,862aが設けられ、アーム部851,852に係合面861a,862aではなく受け面821a,822aが設けられていてもよい。また、係合面861a,862aが径方向βに複数並べられていてもよい。すなわち、受け面821a,822a及び係合面861a,862aの少なくとも一方が軸方向αに複数並べられていてもよい。さらに、受け面821a,822aと係合面861a,862aとが係合する場合に、連結ベース部81が弾性変形してもよい。
【0203】
上記各実施形態において、第1受け面821aと第2受け面822aとは、軸方向αにずれた位置に設けられていてもよい。また、第1受け距離L1と第2受け距離L2とは異なっていてもよい。さらに、軸方向αに並ぶ複数の受け面821a,822aについて、複数の受け距離L1,L2は異なっていてもよい。
【0204】
上記各実施形態において、スナップフィット801,802は、周方向γに並べられていれば、径方向βに並んでいなくてもよい。第1ボビン部701は、連結ベース部81及びアーム部851,852の少なくとも一方を複数有していてもよい。同様に、第2ボビン部702は、連結ベース部81及びアーム部851,852の少なくとも一方を複数有していてもよい。ボビン70は、スナップフィット801,802等のスナップフィットを1つだけ有していてもよく、3つ以上有していてもよい。
【0205】
上記各実施形態において、リブ高さH1,H2は、受け距離L1,L2より小さくなくてもよい。また、リブ高さH1,H2が受け距離L1,L2より小さい構成では、リブ高さH1,H2の合計が受け距離L1,L2より小さくてもよい。さらに、第1リブ高さH1と第2リブ高さH2とは異なっていてもよい。
【0206】
上記各実施形態において、クラッシュリブ76,77は、径方向βにおいてフランジ面72a,73aの内周端や外周端に設けられていてもよい。複数のクラッシュリブ76,77には、周方向γにおいてスナップフィット801,802に重複したクラッシュリブ76,77と、スナップフィット801,802から周方向γに離間したクラッシュリブ76,77との両方が含まれていてもよい。
【0207】
上記各実施形態において、ボビン70は、第1クラッシュリブ76及び第2クラッシュリブ77のうち一方だけを有していてもよい。すなわち、ボビン70は、第1クラッシュリブ76及び第2クラッシュリブ77の少なくとも一方を有していてもよい。
【0208】
<構成群C>
上記各実施形態において、板バネ110では、第1バネ部111が第1支持部113aに対して接続支持部113c側に折り返された状態になっていなくてもよい。同様に、第2バネ部112が第2支持部113bに対して接続支持部113c側に折り返された状態になっていなくてもよい。
【0209】
上記各実施形態において、リアクトルケース90に対するコア40の相対的な変位が板バネ110により規制される構成になっていれば、板バネ110のどの部位がリアクトルケース90に対して固定されていてもよい。例えば、支持バネ部113がケース延び面93に固定されていれば、第1バネ部111が第1ケース面91から離間した位置にあり、第2バネ部112が第2ケース面92から離間した位置にあってもよい。
【0210】
<共通>
上記各実施形態において、電力変換装置10が搭載される車両としては、乗用車やバス、建設作業車、農業機械車両などがある。また、車両は移動体の1つであり、電力変換装置10が搭載される移動体としては、車両の他に電車や飛行機、船舶などある。電力変換装置10としては、インバータ装置やコンバータ装置などがある。このコンバータ装置としては、交流入力直流出力の電源装置、直流入力直流出力の電源装置、交流入力交流出力の電源装置などがある。
【0211】
<構成群Aの特徴>
【0212】
[特徴A1]
電源(102)から電気負荷(MG1,MG2)に供給される電力を変換する電力変換装置(10)であって、
軸方向(α)に延び、電流が流れるコイル(31)と、
コイルから離間した位置に設けられ、電流が流れる通電部(61)と、
通電部に流れる電流を検出する電流センサ(51)と、
を備え、
電流センサは、通電部に流れる電流により生じる磁束を被検出磁束(M)として検出する第1センサ素子(52)及び第2センサ素子(53)を有し、第1センサ素子と第2センサ素子とがコイルの径方向(β)に並ぶように設けられている、電力変換装置。
【0213】
[特徴A2]
第1センサ素子及び第2センサ素子は、軸方向においてコイルから離間した位置に設けられている、特徴A1に記載の電力変換装置。
【0214】
[特徴A3]
第1センサ素子及び第2センサ素子は、軸方向において通電部よりもコイル側に設けられている、特徴A1又はA2に記載の電力変換装置。
【0215】
[特徴A4]
電流センサは、第1センサ素子と第2センサ素子とがコイルの径方向(β)に並ぶように設けられている、特徴A1~A3のいずれか1つに記載の電力変換装置。
【0216】
[特徴A5]
コイル及び複数の電流センサを収容し、コイルの径方向(β)が長手方向になるように延びた装置ケース(20)を備え、
複数の電流センサは、コイルから軸方向に離間した位置において径方向に並べられている、特徴A1~A4のいずれか1つに記載の電力変換装置。
【0217】
[特徴A6]
装置ケースは、
コイルを収容したコイル領域(20Sb)と、
複数の電流センサを収容し、径方向に延び、軸方向においてコイル領域に並ぶ位置に設けられたセンサ領域(20Sc)と、
を有している特徴A5に記載の電力変換装置。
【0218】
[特徴A7]
センサ領域は、コイル領域に対して軸方向に重複しない位置に設けられている、特徴A6に記載の電力変換装置。
【0219】
[特徴A8]
電流センサは、複数相の通電部のそれぞれに設けられ、センサ領域に複数収容されており、
少なくとも1つの電流センサは、コイル領域に対して軸方向に重複する位置に設けられている、特徴A6に記載の電力変換装置。
【0220】
[特徴A9]
装置ケースは、
電力を変換するためのパワー素子(T11,T12,T21~T25,T31~T36)を有するパワーモジュール(22)を収容し、径方向においてコイル領域に並ぶ位置であって、軸方向においてセンサ領域に並ぶ位置に設けられたパワー領域(20Sa)、
を有している特徴A5~A8のいずれか1つに記載の電力変換装置。
【0221】
[特徴A10]
センサ領域は、コイル領域の少なくとも一部とパワー領域の少なくとも一部との両方に対して軸方向に重複する位置に設けられている、特徴A9に記載の電力変換装置。
【0222】
<構成群Bの特徴>
例えば特開2020-136321号公報には、コイルを備えたリアクトルについて開示されている。このリアクトルでは、コイルがコアに巻回された状態になっている。コイルにおいては、コイルを形成する巻線の環状部が複数並べられている。コイルにおいては、隣り合う環状部の間に異物が進入することが懸念される。下記特徴B1によれば、隣り合う環状部の間に異物が進入することを抑制できる。
【0223】
[特徴B1]
電源(102)に通電可能に接続されるリアクトル装置(30)であって、
巻線により形成された環状部(32)が軸方向(α)に複数並べられたコイル(31)と、
コイルを保持するボビン(70)と、
を備え、
ボビンは、
コイルの一方の端面(311)に重ねられた第1フランジ部(72)と、
軸方向においてコイルを介して第1フランジ部とは反対側に設けられ、コイルの他方の端面(312)に重ねられた第2フランジ部(73)と、
軸方向に並べられた複数の受け部(821a,822a)と、複数の受け部の少なくとも1つに係合する係合部(861a,862a)とを有し、受け部と係合部との係合により第1フランジ部と第2フランジ部とを連結しているスナップフィット(801,802)と、
第1フランジ部及び第2フランジ部の少なくとも一方に設けられ、コイルの端面に向けて突出し、コイルの端面に押し付けられた状態になっているクラッシュリブ(76,77)と、
を有し、
軸方向において、クラッシュリブの突出寸法(H1,H2)は隣り合う2つの受け部の離間距離(L1,L2)よりも小さい、リアクトル装置。
【0224】
[特徴B2]
スナップフィットは、
受け部として、巻線の巻回方向(γ)のうち一方に向けて開放され軸方向に並べられた複数の第1受け部(821a)と、巻回方向のうち他方に向けて開放され軸方向に並べられた複数の第2受け部(822a)と、が設けられ、第1フランジ部及び第2フランジ部のうち一方から他方に向けて延びた受け支持部(81)と、
係合部として、第1受け部に係合する第1係合部(861a)と、第2受け部に係合する第2係合部(862a)と、が設けられ、第1フランジ部及び第2フランジ部のうち他方から一方に向けて延びた係合支持部(851,852)と、
を有している特徴B1に記載のリアクトル装置。
【0225】
[特徴B3]
クラッシュリブは、巻回方向において第1受け部と第2受け部との間に設けられている、特徴B2に記載のリアクトル装置。
【0226】
[特徴B4]
クラッシュリブは、巻回方向においてスナップフィットを介して一対設けられている、特徴B2,B3に記載のリアクトル装置。
【0227】
[特徴B5]
複数の受け部は、受け支持部の先端部(81a)よりも根本部(81b)に近い位置に設けられている、特徴B2~B4のいずれか1つに記載のリアクトル装置。
【0228】
[特徴B6]
巻回方向において、係合支持部は受け支持部よりも細い、特徴B2~B5のいずれか1つに記載のリアクトル装置。
【0229】
[特徴B7]
受け支持部は、
受け支持部の根本部(81b)から先端部(81a)に向けて延びた幅広部(81c)と、
先端部から根本部に向けて延び、巻回方向において幅広部よりも幅が狭い幅狭部(81d)と、
を有しており、
第1受け部及び第2受け部は、幅広部及び幅狭部のうち幅広部に設けられている、特徴B2~B6のいずれか1つに記載のリアクトル装置。
【0230】
[特徴B8]
スナップフィットは、コイルの中心を通って軸方向に延びる仮想のコイル中心線(Cc)を介してコイルの径方向(β)に並ぶように一対設けられており、
一対のスナップフィットでは、それぞれの離間距離が同じになっている、特徴B1~B7のいずれか1つに記載のリアクトル装置。
【0231】
[特徴B9]
コイルから延び、巻線により形成されたコイル端子(33,34)を備え、
コイルの側面(313)には、巻線の巻回方向(γ)に並べられた複数の側面部(313a)が含まれており、
複数の側面部のうち、コイルの径方向(β)においてスナップフィットに重複する側面部と、軸方向において端子部に重複する側面部とは互いに異なっている、特徴B1~B7のいずれか1つに記載のリアクトル装置。
【0232】
[特徴B10]
スナップフィットとして、
第1スナップフィット(801)と、
巻線の巻回方向(γ)において第1スナップフィットに並べられた第2スナップフィット(802)と、
を備え、
ボビンは、スナップフィットにより互いに連結された一対のボビン部として、第1フランジ部を含む第1ボビン部(701)と、第2フランジ部を含む第2ボビン部(702)と、を有しており、
第1ボビン部においては、第1スナップフィットが有する複数の受け部に第1フランジ部が接続されており、一対の端子部のうち一方の端子部を挿通させた第1挿通部(74)が第1フランジ部に設けられており、
第2ボビン部においては、第2スナップフィットが有する複数の受け部に第2フランジ部が接続されており、他方の端子部を挿通させた第2挿通部(75)が第2フランジ部に設けられている、特徴B1~B9のいずれか1つに記載のリアクトル装置。
【0233】
[特徴B11]
巻線により形成された環状部(32)が軸方向(α)に複数並べられたコイル(31)を保持するボビン(70)であって、
コイルの一方の端面(311)に重ねられた第1フランジ部(72)と、
軸方向においてコイルを介して第1フランジ部とは反対側に設けられ、コイルの他方の端面(312)に重ねられた第2フランジ部(73)と、
軸方向に並べられた複数の受け部(821a,822a)と、複数の受け部の少なくとも1つに係合する係合部(861a,862a)とを有し、受け部と係合部との係合により第1フランジ部と第2フランジ部とを連結しているスナップフィット(801,802)と、
第1フランジ部及び第2フランジ部の少なくとも一方に設けられ、コイルの端面に向けて突出し、コイルの端面に押し付けられた状態になっているクラッシュリブ(76,77)と、
を備え、
軸方向において、クラッシュリブの突出寸法(H1,H2)は隣り合う2つの受け部の離間距離(L1,L2)よりも小さい、ボビン。
【0234】
<構成群Cの特徴>
例えば特開2020-136321号公報に開示されたリアクトルでは、コイルがコアに巻回された状態になっている。コアとしては、少なくとも2つのコア部が組み合わされて形成された分割コアがある。例えば、第1コア部及び第2コア部という2つのコア部が組み合わされた構成では、第1コア部と第2コア部とが互いに離間することが懸念される。下記特徴C1によれば、第1コア部と第2コア部とが互いに離間することを抑制できる。
【0235】
[特徴C1]
電源(102)に通電可能に接続されるリアクトル装置(30)であって、
軸方向(α)に延び、電流が流れるコイル(31)と、
第1コア部(45)及び第1コア部に軸方向に並べられた第2コア部(46)を有し、コイルに流れる電流により生じた磁束が通るコア(40)と、
第1コア部と第2コア部とを互いに近づく向きに押圧する押圧バネ(110)と、
を備え、
押圧バネは、
第1コア部を介して第2コア部とは反対側に設けられ、第1コア部を第2コア部に向けて押圧する第1バネ部(111)と、
第2コア部を介して第1コア部とは反対側に設けられ、第2コア部を第1コア部に向けて押圧する第2バネ部(112)と、
第1バネ部及び第2バネ部を接続し且つ支持している支持バネ部(113)と、
を有している、リアクトル装置。
【0236】
[特徴C2]
第1コア部は、第2コア部に対向する第1対向面(451a,452a)と、第1対向面に平行に延び軸方向において第1対向面とは反対側にある第1反対面(40a)と、を有しており、
第2コア部は、第1コア部に対向する第2対向面(461a,462a)と、第2対向面に平行に延び軸方向において第2対向面とは反対側にある第2反対面(40b)と、を有しており、
第1バネ部は、第1反対面を第2コア部に向けて押圧し、
第2バネ部は、第2反対面を第1コア部に向けて押圧する、特徴C1に記載のリアクトル装置。
【0237】
[特徴C3]
第1コア部は、
コイルの外周側に設けられ、軸方向に延びた第1外周部(452)、を有しており、
第2コア部は、
コイルの外周側において第1外周部に軸方向に並ぶ位置に設けられ、軸方向に延びた第2外周部(462)、を有しており、
支持バネ部は、第1外周部と第2外周部との境界部を軸方向に跨ぐように、第1外周部及び第2外周部に沿って延びている、特徴C1又はC2に記載のリアクトル装置。
【0238】
[特徴C4]
コイル、コア及び押圧バネを収容する収容ケース(90)を備え、
収容ケースは、第1バネ部を介して第1コア部に対向する第1対向面(91)と、第2バネ部を介して第2コアに対向する第2対向面(92)と、を有しており、
支持バネ部は、第1バネ部と第1対向面との間に設けられ第1バネ部を支持している第1支持部(113a)と、第2バネ部と第2対向面との間に設けられ第2バネ部を支持している第2支持部(113b)と、を有しており、
第1バネ部は、第1コア部を第2コア部に向けて押圧することに加えて、第1支持部を第1対向面に向けて押圧し、
第2バネ部は、第2コア部を第1コア部に向けて押圧することに加えて、第2延び部を第2対向面に向けて押圧する、特徴C1~C3のいずれか1つに記載のリアクトル装置。
【0239】
[特徴C5]
収容ケースは、第1対向面と第2対向面とが並んだ方向(α)に延びた延び面(93)を有しており、
支持バネ部は、
第1支持部と第2支持部とを接続し、延び面に重ねられた接続支持部(113c)、を有している特徴C4に記載のリアクトル装置。
【符号の説明】
【0240】
<構成群A>
10…電力変換装置、20…装置ケース、20Sa…パワー領域、20Sb…リアクトル領域としてのコイル領域、20Sc…センサ領域、22…パワーモジュールとしてのパワーカード、31…コイル、51…電流センサ、52…第1センサ素子、53…第2センサ素子、61…通電部としての接続部、102…電源としてのバッテリ、M…被検出磁束、MG1,MG2…電気負荷としてのモータ、T11,T12…パワー素子としてのスイッチング素子、T21~T26…パワー素子としてのスイッチング素子、T31~T36…パワー素子としてのスイッチング素子、Cc…コイル中心線、Cs…素子中心線、α…軸方向、β…径方向。
【0241】
<構成群B>
30…リアクトル装置としてのリアクトルユニット、31…コイル、311…第1コイル端面、312…第2コイル端面、313…側面としてのコイル側面、313a…側面部、32…環状部、33…コイル端子としての第1コイル端子、34…コイル端子としての第2コイル端子、70…ボビン、701…第1ボビン部、702…第2ボビン部、72…第1フランジ部、73…第2フランジ部、74…第1挿通部、75…第2挿通部、76…クラッシュリブとしての第1クラッシュリブ、77…クラッシュリブとしての第2クラッシュリブ、801…スナップフィットとしての第1スナップフィット、802…スナップフィットとしての第2スナップフィット、81…受け支持部としての連結ベース部、81a…先端部としてのベース先端部、81b…根本部としてのベース根本部、81c…幅広部、81d…幅狭部、821a…受け部及び第1受け部としての第1受け面、822a…受け部及び第2受け部としての第2受け面、851…係合支持部としての第1アーム部、852…係合支持部としての第2アーム部、861a…係合部及び第1係合部としての第1係合面、862a…係合部及び第2係合部としての第2係合面、102…電源としてのバッテリ、Cc…コイル中心線、H1…突出寸法としての第1リブ高さ、H2…突出寸法としての第2リブ高さ、L1…離間距離としての第1受け距離、L2…離間距離としての第2受け距離、β…径方向、γ…巻回方向としての周方向。
【0242】
<構成群C>
30…リアクトル装置としてのリアクトルユニット、31…コイル、40…コア、40a…第1反対面としての第1コア端面、40b…第2反対面としての第2コア端面、45…第1コア部、451a…第1対向面としての第1内端面、452…第1外周部、452a…第1対向面としての第1外端面、46…第2コア部、461a…第2対向面としての第2内端面、462…第2外周部、462a…第2対向面としての第2外端面、90…収容ケースとしてのリアクトルケース、91…第1対向面としての第1ケース面、92…第2対向面としての第2ケース面、93…延び面としてのケース延び面、102…電源としてのバッテリ、110…押圧バネとしての板バネ、111…第1バネ部、112…第2バネ部、113…支持バネ部、113a…第1支持部、113b…第2支持部、113c…接続支持部、α…軸方向。