(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022182183
(43)【公開日】2022-12-08
(54)【発明の名称】シート排出装置およびそれを備えた画像形成装置
(51)【国際特許分類】
B65H 31/02 20060101AFI20221201BHJP
B65H 5/00 20060101ALI20221201BHJP
G03G 15/00 20060101ALI20221201BHJP
【FI】
B65H31/02
B65H5/00 A
G03G15/00 440
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021089580
(22)【出願日】2021-05-27
(71)【出願人】
【識別番号】000006150
【氏名又は名称】京セラドキュメントソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001933
【氏名又は名称】弁理士法人 佐野特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小川 識太郎
【テーマコード(参考)】
2H072
3F054
3F101
【Fターム(参考)】
2H072AA24
2H072CA01
2H072FB08
2H072HB03
2H072JA02
2H072JA06
3F054AA01
3F054AB01
3F054AC02
3F054BA04
3F054BG15
3F054CA07
3F054CA23
3F054DA16
3F101AA05
3F101LA02
3F101LB03
(57)【要約】
【課題】排出されるシートの除電状態を調整することで、シートの排出方向の積載位置ずれを抑制可能なシート排出装置およびそれを備えた画像形成装置を提供する。
【解決手段】シート排出装置は、シート排出部と、シート排出部から排出されるシートが積載されるシート積載部と、シート排出部から排出されるシートを除電する除電部材と、制御部と、を備えたシート排出装置である。制御部は、除電部材によるシートの除電を制御し、シート排出部から排出されるシートの電荷が除去された除電領域が異なる除電パターンでシートを除電可能である。制御部は、シート排出部からシートを連続して排出する場合、先行シートは第1のパターンで除電し、後行シートは、第1のパターンで除電された先行シートの電荷が残存した非除電領域に対応する位置に除電領域を形成し、先行シートの除電領域に対応する位置に非除電領域を形成する第2のパターンで除電する。
【選択図】
図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シートを排出するシート排出部と、
シート排出方向に対し前記シート排出部の下流側に配置され、前記シート排出部から排出される前記シートが積載されるシート積載部と、
前記シート排出部から排出される前記シートを除電する除電部材と、
前記除電部材による前記シートの除電を制御する制御部と、
を備えたシート排出装置において、
前記制御部は、
前記シート排出部から排出される前記シートの電荷が除去された除電領域が異なる除電パターンで前記シートを除電可能であり、
前記シート排出部から前記シートを連続して排出する場合、先行シートは第1のパターンで除電し、後行シートは、前記第1のパターンで除電された前記先行シートの電荷が残存した非除電領域に対応する位置に前記除電領域を形成し、前記先行シートの前記除電領域に対応する位置に前記非除電領域を形成する第2のパターンで除電することを特徴とするシート排出装置。
【請求項2】
前記除電部材の配置を切り替える切替機構を備え、
前記制御部は、前記切替機構によって前記除電部材の配置を切り替えることにより、前記シートに形成される前記除電領域を変更することを特徴とする請求項1に記載のシート排出装置。
【請求項3】
前記切替機構は、前記除電部材を、前記シート排出部から排出される前記シートの幅方向の全域に接触する除電位置と、前記シート排出部から排出される前記シートに接触しない退避位置とに切替可能であることを特徴とする請求項2に記載のシート排出装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記切替機構により、1枚の前記シートの排出が終了する毎に、前記除電部材を前記除電位置と前記退避位置に交互に切り替えることを特徴とする請求項3に記載のシート排出装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記切替機構により、1枚の前記シートの排出中に、前記除電部材を前記除電位置と前記退避位置に交互に移動させて、前記シート排出方向に分割された前記除電領域と前記非除電領域とをそれぞれ1つ以上含む前記除電パターンを形成することを特徴とする請求項3に記載のシート排出装置。
【請求項6】
前記除電部材は、前記シートの幅方向に交互に配置された第1除電部と第2除電部とを有し、前記制御部は、前記除電部材を前記第1除電部のみが前記シートに接触する第1の位置と、前記第2除電部のみが前記シートに接触する第2の位置とに切替可能であり、
前記制御部は、1枚の前記シートの排出中に、前記除電部材を前記第1の位置と前記第2の位置に交互に移動させて、前記シート排出方向および前記幅方向に分割された前記除電領域と前記非除電領域とをそれぞれ2つ以上含む前記除電パターンを形成することを特徴とする請求項2に記載のシート排出装置。
【請求項7】
前記シート排出部に搬送される前記シートの通過を検知するシート検知部を備え、
前記制御部は、前記切替機構により、前記シート検知部により検知された前記シートの通過タイミングに基づいて前記除電部材を切り替えることを特徴とする請求項2乃至請求項6のいずれかに記載のシート排出装置。
【請求項8】
前記除電部材は、前記シートに接触する導電性のブラシ部と、前記ブラシ部の一端が固定される支軸と、を有し、
前記制御部は、前記切替機構により、前記支軸を回転させて前記ブラシ部を移動させることにより、前記シートに形成される前記除電領域を変更することを特徴とする請求項2乃至請求項7のいずれかに記載のシート排出装置。
【請求項9】
前記シートに画像を形成する画像形成部と、
前記画像形成部によって画像が形成された前記シートを排出する請求項1乃至請求項8のいずれかに記載のシート排出装置と、
を備えた画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シートを排出するシート排出装置、およびそれを備えた複写機、プリンター等の画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
複写機、レーザープリンター等の画像形成装置には、電子写真プロセスにより所望の画像が形成された用紙、或いは、原稿搬送装置により原稿読取部に搬送され、原稿画像の読み取りが行われた後の原稿を排出するための用紙排出装置が設けられている。
【0003】
このような用紙排出装置においては、特に低温低湿環境において、排出される用紙が摩擦帯電することに起因して用紙排出トレイへの積載不良が発生するという問題点があった。そこで、例えば特許文献1に示すように、排紙ローラー対の下流側で、先端がシート搬送経路に略直交し、搬送されるシートの排紙ローラー対と当接する当接領域を覆うように設けられ、排紙ローラー対により搬送されたシートを除電する除電ブラシを備えるシート排出装置が開示されている。
【0004】
特許文献2には、一枚毎に搬送される各部の処理済用紙のうち最初又は最後の少なくとも1枚以上の用紙を除電し、かつ除電される用紙以外の処理済用紙を帯電させてから排紙台へ排出し、処理済用紙を各部ごとに静電吸着させる排紙装置および排紙方法が開示されている。
【0005】
特許文献3には、用紙の排出方向と交差する幅方向に沿って延びる支持部材に、用紙との接触部が幅方向に交互に配置された第1除電体及び第2除電体とを有する除電部材を、第1除電体のみが用紙に接触する第1接触姿勢と、第2除電体のみが用紙に接触する第2接触姿勢とに、所定のタイミングで交互に切り換えられるように設けられた排出装置及び画像形成装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2001-341913号公報
【特許文献2】特開平11-314830号公報
【特許文献3】特開2020-70125号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献2の方法では、各部を構成する用紙のうち、除電される用紙以外の処理済用紙は帯電しているため、用紙間で電気的に反発してずれが発生し、積載性(スタック性)が悪くなるおそれがあった。また、特許文献3の構成では、除電部材の第1除電体と第2除電体とを所定のタイミングで交互に用紙に接触させることで、除電される領域が排出される用紙1枚ごとに用紙幅方向に互い違いに形成されるため、用紙幅方向の積載性(スタック性)は向上するが、排出方向の積載性(スタック性)については考慮されていなかった。
【0008】
本発明は、上記問題点に鑑み、排出されるシートの除電状態を調整することで、シートの排出方向の積載位置ずれを抑制可能なシート排出装置およびそれを備えた画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために本発明の第1の構成は、シート排出部と、シート積載部と、除電部材と、制御部と、を備えたシート排出装置である。シート排出部は、シートを排出する。シート積載部は、シート排出方向に対しシート排出部の下流側に配置され、シート排出部から排出されるシートが積載される。除電部材は、シート排出部から排出されるシートを除電する。制御部は、除電部材によるシートの除電を制御する。制御部は、シート排出部から排出されるシートの電荷が除去された除電領域が異なる除電パターンでシートを除電可能である。制御部は、シート排出部からシートを連続して排出する場合、先行シートは第1のパターンで除電し、後行シートは、第1のパターンで除電された先行シートの電荷が残存した非除電領域に対応する位置に除電領域を形成し、先行シートの除電領域に対応する位置に非除電領域を形成する第2のパターンで除電する。
【発明の効果】
【0010】
本発明の第1の構成によれば、シート排出部からシートを連続して排出する場合、後行シートには、先行シートの非除電領域に対応して除電領域が形成され、除電領域に対応して非除電領域が形成されるため、排出されるシートの排出位置がずれた場合に、排出されるシートの非除電領域と直前にシート積載部に積載されたシートの非除電領域が重なり合って電気的に反発し、反発しない位置まで移動した後に積載される。これにより、シート排出部から排出されるシートの、直前にシート積載部に積載されたシートに対するシート排出方向のずれを抑制し、シートを適正な位置に正しく積載(スタック)可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明の用紙排出装置30を備えた画像形成装置100の概略断面図
【
図2】画像形成装置100に搭載される本発明の第1実施形態に係る用紙排出装置30を用紙排出方向下流側から見た正面図
【
図3】第1実施形態の用紙排出装置30の側面断面図
【
図4】第1実施形態の用紙排出装置30に装着される除電ブラシ40およびブラシ切替機構50の斜視図
【
図5】
図4におけるブラシ切替機構50の要部を示す部分拡大図であって、除電ブラシ40が除電位置に配置された状態(
図5(a))および退避位置に配置された状態(
図5(b))を示す図
【
図6】画像形成装置100の制御経路の一例を示すブロック図
【
図7】第1実施形態の用紙排出装置30を備えた画像形成装置100における用紙Sの除電制御の第1の制御例を示すフローチャート
【
図8】第1の制御例によって除電された用紙Sが用紙排出トレイ24上に排出される様子を示す斜視図
【
図9】第1実施形態の用紙排出装置30を備えた画像形成装置100における用紙Sの除電制御の第2の制御例を示すフローチャート
【
図10】第2の制御例によって除電された用紙Sが用紙排出トレイ24上に排出される様子を示す斜視図
【
図11】本発明の第2実施形態に係る用紙排出装置30に搭載される除電ブラシ40およびブラシ切替機構50の斜視図
【
図12】
図11におけるブラシ切替機構50の要部を示す部分拡大図であって、除電ブラシ40の第1ブラシ部が除電位置に配置された状態(
図12(a))および第2ブラシ部が除電位置に配置された状態(
図12(b))を示す図
【
図13】第2実施形態の用紙排出装置30を備えた画像形成装置100における用紙Sの除電制御の第3の制御例を示すフローチャート
【
図14】第3の制御例によって除電された用紙Sが用紙排出トレイ24上に排出される様子を示す斜視図
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態について詳細に説明する。
図1は、本発明の用紙排出装置30を備えた画像形成装置100の内部構成を示す概略図である。
図1に示すように、画像形成装置100は、いわゆる胴内排出型のデジタル複合機であって、大まかには、本体ハウジング20と、その上部に配設された上ハウジング21とで構成されている。
【0013】
本体ハウジング20は、下ハウジング20aと、その上方で
図1の右側部に沿って位置し、上ハウジング21に連結される連結ハウジング20bと、から構成されている。下ハウジング20a内には、下部に配設された給紙部4と、給紙部4の側方及び上方に配設された用紙搬送部5と、給紙部4の上方に配設された画像形成部6と、画像形成部6の用紙搬送方向下流側(
図1の右側)に配設された定着部7とが備えられている。連結ハウジング20bには、定着後の用紙Sを搬送して本体ハウジング20から排出するための用紙排出部が設けられている。また、上ハウジング21の直下における連結ハウジング20bの左側方には、左側面及び正面に向けて大きく開放された胴内排出空間22が形成されている。
【0014】
画像形成部6は、電子写真プロセスによって、用紙S上に所定のトナー像を形成するものであり、回転可能に軸支された像担持体である感光体ドラム10と、感光体ドラム10の周囲にその回転方向に沿って配設される帯電装置11、露光装置12、現像装置13、転写装置14、クリーニング装置15、及び不図示の除電装置を備えている。
【0015】
上ハウジング21内には、画像読取部8が設けられている。画像読取部8は、原稿の画像情報を読み取るものであり、原稿を1枚ずつ読み取らせる場合には、原稿搬送装置3を開いて上ハウジング21の上面に設けられたコンタクトガラス上に原稿を載置する。また、原稿束を自動的に読み取らせる場合には、原稿束を、閉じた状態の原稿搬送装置3の給紙トレイ上に載置することにより、原稿束から原稿が1枚ずつ自動的に順次コンタクトガラス上に送り込まれる。
【0016】
以下、上記のように構成された画像形成装置100の基本的な動作を説明する。先ず、
図1の反時計回り方向に回転する感光体ドラム10の表面が帯電装置11によって一様に帯電される。そして、画像読取部8で読み取られた画像情報に基づくビーム光が露光装置12から感光体ドラム10の周面に照射され、感光体ドラム10の表面に静電潜像が形成される。この静電潜像に現像装置13から現像剤としてのトナーが供給されることによりトナー像が形成される。
【0017】
トナー像の形成と並行して、用紙Sが給紙部4から用紙搬送路5に送出され、レジストローラー対9で一旦停止する。そして、レジストローラー対9で停止した用紙Sは所定のタイミングでトナー像が形成された感光体ドラム10に向けて搬送され、転写ローラー等からなる転写装置14により感光体ドラム10の表面のトナー像が用紙Sに転写される。トナー像が転写された用紙Sは感光体ドラム10から分離され、定着部7に向けて搬送され、定着部7を通過することで加熱、加圧処理されてトナー像が定着される。
【0018】
用紙Sへのトナー像の転写処理が完了した感光体ドラム10は、クリーニング装置15で周面に残留している残留トナーが除去された後、除電装置(不図示)で残留電荷を除去する除電処理が施される。その後、帯電装置11により再び周面に帯電処理が施され、以下同様にして画像形成が行われる。
【0019】
定着部7を通過した用紙Sは、垂直上方に向かう垂直搬送路16に沿って連結ハウジング20b内に搬送される。垂直搬送路16の上部は連結ハウジング20b内で左方に向かって上下2つの搬送路に分岐している。分岐部に配置された切り替えガイド17によって、下方の搬送路に案内された用紙Sは、第1排出ローラー対18から左方に排出され、胴内排出空間22の底面に形成された用紙排出トレイ24上にストックされる。一方、切り替えガイド17によって上方の搬送路に案内された用紙Sは、第2排出ローラー対19から左方に排出され、第2用紙排出トレイ25上に排出される。
【0020】
図2は、画像形成装置100に搭載される本発明の第1実施形態に係る用紙排出装置30を用紙排出方向下流側(
図1の左側)から見た正面図である。
図3は、第1実施形態の用紙排出装置30の側面断面図(
図2のAA′矢視断面図)である。用紙排出装置30は、用紙排出口31と、用紙排出口31に用紙を案内する上搬送ガイド32aおよび下搬送ガイド32bと、第1排出ローラー対18と、用紙検知センサー27と、用紙排出口31と、コルゲーション部材33と、除電ブラシ40と、ブラシ切替機構50とを有する。
【0021】
第1排出ローラー対18は、用紙排出方向に対し用紙排出口31の上流側直近に、用紙幅方向(
図2の左右方向)において略均等に4対配置されている。第1排出ローラー対18は、垂直搬送路16から搬送された用紙Sを用紙排出トレイ24(
図1参照)に排出する。各第1排出ローラー対18は、駆動モーター(図示せず)により正逆回転可能なゴム製の排出ローラー18aと、排出ローラー18aに従動して回転する樹脂製の排出コロ18bとで構成されている。
【0022】
用紙検知センサー27は、第1排出ローラー対18の上流側に配置され、上搬送ガイド32aおよび下搬送ガイド32bを通過して用紙排出口31に搬送される用紙Sの通過を検知する。検知結果は制御部90(
図6参照)に送信される。用紙検知センサー27としては、例えば発光部と受光部とを有する検知部を備えたPI(フォトインタラプター)センサーや、PIセンサーとアクチュエーターとを組み合わせた構成が挙げられる。
【0023】
各第1排出ローラー対18の間には、用紙排出口31から排出される用紙Sの上面を押圧するコルゲーション部材33が配置されている。コルゲーション部材33は、上搬送ガイド32aに上下方向に移動可能に支持されており、圧縮バネ(図示せず)によって下向きに付勢されている。
【0024】
用紙排出口31から排出される用紙Sは、第1排出ローラー対18のニップ部Nに挟持されるとともに、コルゲーション部材33の下端部33aによりニップ部Nよりも下方に押圧される。その結果、用紙Sは排出方向から見て波打ち形状に撓み、コシを付けられた状態で用紙排出トレイ24上に排出される。これにより、自重により下方に垂れ下がった状態で排出される用紙Sの先端が用紙排出トレイ24の上面に引っ掛かり、丸まった状態で積載される不具合を防止することができる。
【0025】
用紙排出方向(
図3の右から左方向)に対し用紙排出口31の下流側直近には除電ブラシ40が配置されている。除電ブラシ40は、ブラシ部40aと、ブラシ部40aの一端が固定される支軸40bとを有する。ブラシ部40aは、導電性の繊維で形成される多数のブラシ毛が、支軸40bの軸方向と略直交するように、用紙排出口31の幅方向(
図2の左右方向)の略全域に亘って配置されている。
【0026】
支軸40bの一端部はリンク部材53(
図4参照)に固定され、他端部は上搬送ガイド32aに設けられた軸受孔(図示せず)に回転可能に支持されている。支軸40bは導電性材料で形成されており、ブラシ部40aは、支軸40bを介して画像形成装置100の本体フレーム(図示せず)に接地(アース)されている。
【0027】
図4は、第1実施形態の用紙排出装置30に装着される除電ブラシ40およびブラシ切替機構50の斜視図である。
図5は、
図4におけるブラシ切替機構50の要部を示す部分断面図である。
図4に示すように、ブラシ切替機構50は、ソレノイド51とリンク部材53とを有する。
【0028】
図5(a)に示すように、リンク部材53の一端部(下端部)には除電ブラシ40の支軸40bが固定されている。リンク部材53の他端部(上端部)には長穴状の係合穴53aが形成されている。係合穴53aには、ソレノイド51のプランジャー55に設けられた係合ピン57が係合している。
【0029】
図5(a)の状態ではソレノイド51に通電されておらず、プランジャー55はソレノイド51から突出しており、係合ピン57は係合穴53aの下端部に係合している。このとき、リンク部材53は略垂直に保持されており、除電ブラシ40はブラシ部40aを略垂直下向きにした姿勢で保持されている。これにより、除電ブラシ40は、ブラシ部40aが用紙排出口31から排出される用紙Sに接触して用紙Sの電荷を除去する除電位置(
図3参照)に配置されている。
【0030】
図5(a)の状態からソレノイド51に通電されると、プランジャー55がソレノイド51内に引き込まれる。その結果、係合ピン57がリンク部材53の係合穴53a内を上方に移動しながらリンク部材53を時計回り方向に揺動させる。これにより、
図5(b)に示すように、除電ブラシ40はブラシ部40aが用紙排出方向に対し下流側(
図5の左側)に傾斜した姿勢となる。
【0031】
図5(b)の状態では、除電ブラシ40は、ブラシ部40aが用紙排出口31から排出される用紙Sに接触しない退避位置に配置されている。以上の通り、ブラシ切替機構50は、ソレノイド51への通電のオン/オフによって、除電ブラシ40を除電位置と退避位置とに選択配置することができる。
【0032】
図6は、画像形成装置100の制御経路の一例を示すブロック図である。なお、画像形成装置100を使用する上で装置各部の様々な制御がなされるため、画像形成装置100全体の制御経路は複雑なものとなる。そこで、ここでは制御経路のうち、本発明の実施に必要となる部分を重点的に説明する。
【0033】
画像入力部60は、画像形成装置100にパソコン等から送信される画像データを受信する受信部である。画像入力部60より入力された画像信号はデジタル信号に変換された後、一時記憶部94に送出される。
【0034】
操作部80には、液晶表示部81、各種の状態を示すLED82が設けられており、画像形成装置100の状態を示したり、画像形成状況や印字部数を表示したりするようになっている。画像形成装置100の各種設定はパソコンのプリンタードライバーから行われる。
【0035】
制御部90は、中央演算処理装置としてのCPU(Central Processing Unit)91、読み出し専用の記憶部であるROM(Read Only Memory)92、読み書き可能な記憶部であるRAM(Random Access Memory)93、一時的に画像データ等を記憶する一時記憶部94、カウンター95、画像形成装置100内の各装置に制御信号を送信したり操作部80からの入力信号を受信したりする複数(ここでは2つ)のI/F(インターフェイス)96を少なくとも備えている。
【0036】
ROM92には、画像形成装置100の制御用プログラムや、制御上の必要な数値等、画像形成装置100の使用中に変更されることがないようなデータ等が収められている。RAM93には、画像形成装置100の制御途中で発生した必要なデータや、画像形成装置100の制御に一時的に必要となるデータ等が記憶される。また、RAM93(或いはROM92)には、後述する用紙Sの除電制御に用いる除電ブラシ40の揺動タイミングも記憶される。
【0037】
一時記憶部94は、パソコン等から送信される画像データを受信する画像入力部(図示せず)より入力され、デジタル信号に変換された画像信号を一時的に記憶する。カウンター95は、印字枚数を累積してカウントする。
【0038】
また、制御部90は、画像形成装置100における各部分、装置に対し、CPU91からI/F96を通じて制御信号を送信する。また、各部分、装置からその状態を示す信号や入力信号がI/F96を通じてCPU91に送信される。制御部90が制御する各部分、装置としては、例えば、画像形成部6、定着装置7、用紙排出装置30、画像入力部60、操作部80等が挙げられる。
【0039】
次に、第1実施形態の用紙排出装置30を備えた画像形成装置100における連続印字時の用紙Sの除電制御について説明する。
図7は、第1実施形態の用紙排出装置30を備えた画像形成装置100における用紙Sの除電制御の第1の制御例を示すフローチャートである。必要に応じて
図1~6を参照しながら、
図7のステップに沿って第1の制御例について説明する。なお、印字開始時(デフォルト状態)において、除電ブラシ40は
図5(a)に示した除電位置に配置されているものとする。
【0040】
パソコン等の上位機器から印字命令が入力され、印字が実行されると(ステップS1)、制御部90は画像形成部6において用紙Sにトナー像を形成し、定着装置7を通過させて用紙Sにトナー像を定着した後、用紙排出口31から排出する(ステップS2)。前述したように、印字開始時に除電ブラシ40は除電位置に配置されているため、用紙Sは除電ブラシ40のブラシ部40aに接触して電荷が除去された状態で用紙排出トレイ24上に積載される。
【0041】
次に、制御部90は印字が継続しているか否かを判定する(ステップS3)。印字が終了している場合は(ステップS3でNo)そのまま処理を終了する。印字が継続している場合は(ステップS3でYes)、制御部90は次の用紙Sに対する画像形成動作を実行し、用紙Sを用紙排出口31から排出する(ステップS4)。このとき、制御部90は用紙検知センサー27によって用紙Sの先端が検知されたか否かを判定する(ステップS5)。
【0042】
ステップS5において用紙Sの先端が検知された場合は(ステップS5でYes)、制御部90はブラシ切替機構50に制御信号を送信し、ソレノイド51への通電をオンすることにより除電ブラシ40を退避位置(
図5(b)参照)に移動させる(ステップS6)。用紙Sの先端が排出ローラーに到達したタイミングでは、除電ブラシ40は退避位置への移動を完了しているため、用紙排出口31から排出される用紙Sは除電ブラシ40のブラシ部40aに接触せずに電荷が残存した状態で用紙排出トレイ24上に積載される。
【0043】
次に、制御部90は用紙検知センサー27によって用紙Sの後端が検知されたか否かを判定する(ステップS7)。用紙Sの後端が検知されていない場合は(ステップS7でNo)用紙Sの排出を継続する。用紙Sの後端が検知された場合は(ステップS7でYes)、制御部90はブラシ切替機構50に制御信号を送信し、ソレノイド51への通電をオフする。より詳細には、用紙検知センサー27が用紙Sの後端を検知した後、用紙Sの後端が除電ブラシ40を通過するまでの時間が経過した後にソレノイド51への通電をオフする。これにより、除電ブラシ40を除電位置(
図5(a)参照)に移動させる(ステップS8)。
【0044】
次に、制御部90は印字が継続しているか否かを判定する(ステップS9)。印字が終了している場合は(ステップS9でNo)そのまま処理を終了する。印字が継続している場合は(ステップS9でYes)ステップS2に戻り、以下同様の手順で用紙Sを排出する(ステップS2~S9)。
【0045】
図8は、第1の制御例によって除電された用紙Sが用紙排出トレイ24上に排出される様子を示す斜視図である。
図8に示すように、第1の制御例によれば、除電ブラシ40によって全面に除電領域R1(ハッチング領域)が形成された用紙Sと、除電されていない(全面に非除電領域R2(白色領域)が形成された)用紙Sとが用紙排出トレイ24上に交互に排出され、電気的に反発することなく物理的に(自重により)重なり合って用紙排出トレイ24上に積載される。従って、用紙S同士の反発を抑制して用紙Sを適正な位置に正しく積載(スタック)可能となる。
【0046】
図9は、第1実施形態の用紙排出装置30を備えた画像形成装置100における用紙Sの除電制御の第2の制御例を示すフローチャートである。必要に応じて
図1~6を参照しながら、
図9のステップに沿って第2の制御例について説明する。なお、印字開始時(デフォルト状態)において、除電ブラシ40は
図5(a)に示した除電位置に配置されているものとする。
【0047】
パソコン等の上位機器から印字命令が入力され、印字が実行されると(ステップS1)、画像形成部6において用紙Sにトナー像を形成し、定着装置7を通過させて用紙Sにトナー像を定着する。次に、制御部90は、2n枚目(nは自然数)の印字であるか否かを判定する(ステップS2)。
【0048】
1枚目の印字である場合は、2n-1枚目(n=1)であるため(ステップS2でNo)、用紙排出口31から用紙Sの排出を開始する(ステップS3)。また、用紙検知センサー27が用紙Sの先端を検知した後の経過時間tを計測する(ステップS4)。次に、制御部90は経過時間tがt1を経過したか否かを判定する(ステップS5)。時間t1は、用紙検知センサー27が用紙Sの先端を検知した後、用紙Sの先端から1/2の位置が除電ブラシ40に到達するまでの時間である。
【0049】
t1を経過していない場合は(ステップS5でNo)そのまま用紙Sの排出を継続する。t1を経過した場合は(ステップS5でYes)、制御部90はブラシ切替機構50に制御信号を送信し、ソレノイド51への通電をオンすることにより除電ブラシ40を退避位置(
図5(b)参照)に移動させる(ステップS6)。
【0050】
印字開始時に除電ブラシ40は除電位置に配置されているため、用紙Sの先端から1/2までの領域は、除電ブラシ40のブラシ部40aに接触して電荷が除去された状態となる。一方、用紙Sの先端から1/2の位置が通過するタイミングで除電ブラシ40が退避位置に移動するため、用紙Sの先端から1/2以降の領域は、除電ブラシ40のブラシ部40aに接触せずに電荷が残存した状態となる。このように、2n-1枚目(奇数枚目)の用紙Sは先端側の1/2の領域のみが除電された状態で用紙排出トレイ24上に積載される。
【0051】
その後、制御部90は印字が継続しているか否かを判定する(ステップS7)。印字が継続している場合は(ステップS7でYes)ステップS2に戻り、2n枚目(n=1、2枚目)の印字を実行し(ステップS2でYes)、用紙Sの排出を開始する(ステップS8)。また、用紙検知センサー27が用紙Sの先端を検知した後の経過時間tを計測する(ステップS9)。
【0052】
次に、制御部90は経過時間tがt1を経過したか否かを判定する(ステップS10)。t1を経過していない場合は(ステップS10でNo)そのまま用紙Sの排出を継続する。t1を経過した場合は(ステップS10でYes)、制御部90はブラシ切替機構50に制御信号を送信し、ソレノイド51への通電をオフすることにより除電ブラシ40を除電位置(
図5(a)参照)に移動させる(ステップS11)。
【0053】
1枚目(2n-1枚目)の用紙Sの排出終了時には除電ブラシ40が退避位置に配置されているため、2枚目(2n枚目)の用紙Sの先端から1/2までの領域は、除電ブラシ40のブラシ部40aに接触せずに電荷が残存した状態となる。一方、用紙Sの先端から1/2の位置が通過するタイミングで除電ブラシ40が除電位置に移動するため、用紙Sの先端から1/2以降の領域は、除電ブラシ40のブラシ部40aに接触して電荷が除去された状態となる。このように、2n枚目(偶数枚目)の用紙Sは後端側の1/2の領域のみが除電された状態で用紙排出トレイ24上に積載される。
【0054】
一方、ステップS7で印字が終了している場合は(ステップS7でNo)、制御部90は除電ブラシ40が除電位置に配置されているか否かを判定する(ステップS12)。除電ブラシ40の配置はソレノイド51への通電状態によって判定することができる。除電ブラシ40が除電位置に配置されていない場合は(ステップS12でNo)、制御部90はブラシ切替機構50に制御信号を送信し、ソレノイド51への通電をオフすることにより除電ブラシ40を除電位置(
図5(a)参照)に移動させて(ステップS13)処理を終了する。
【0055】
図10は、第2の制御例によって除電された用紙Sが用紙排出トレイ24上に排出される様子を示す斜視図である。
図10に示すように、第2の制御例によれば、除電ブラシ40によって先端から1/2まで(排出方向の下流側半分)に除電領域R1(ハッチング領域)が形成され、先端から1/2以降(排出方向の上流側半分)に非除電領域R2(白色領域)が形成された2n-1枚目の用紙Sと、先端から1/2までに非除電領域R2が形成され、先端から1/2以降に除電領域R1が形成された2n枚目の用紙Sとが用紙排出トレイ24上に交互に排出される。
【0056】
これにより、用紙排出口31から排出される用紙Sの先端領域と、直前に用紙排出トレイ24上に積載された用紙Sの後端領域が電気的に反発する。より詳細には、2n-1枚目の用紙Sの後端領域(非除電領域R2)に対して、2n枚目の用紙Sの先端領域(非除電領域R2)が電気的に反発して排出方向へ移動する。2n枚目の用紙Sの先端領域(非除電領域R2)が2n-1枚目の用紙Sの先端領域(除電領域R1)の上方に至ると、電気的な反発がなくなり重力で落下する。同様に、2n枚目の用紙Sの後端領域(除電領域R1)と2n-1枚目の用紙Sの後端領域(非除電領域R2)についても電気的に反発しないため、整合された状態で重なり合って積載される。従って、第1の制御例に比べて用紙排出トレイ24上に積載される用紙Sの排出方向のずれをより効果的に抑制し、用紙Sを適正な位置に正しく積載(スタック)可能となる。
【0057】
なお、上述した第2の制御例では用紙Sを先端から1/2までと1/2以降とに2分割して除電領域R1と非除電領域R2を交互に形成したが、用紙Sを排出方向に3つ以上の領域に分割し、除電領域R1と非除電領域R2を交互に形成してもよい。
【0058】
図11は、本発明の第2実施形態に係る用紙排出装置30に装着される除電ブラシ40およびブラシ切替機構50の斜視図である。
図12は、
図11におけるブラシ切替機構50の要部を示す部分断面図である。本実施形態では、除電ブラシ40のブラシ部40aは、用紙幅方向(矢印BB′方向)に3分割されている。具体的には、幅方向両端部に配置される第1ブラシ部41と、幅方向中央部に配置される第2ブラシ部43とで構成される。第2ブラシ部43は、第1ブラシ部41に対して用紙排出方向の上流側に所定角度だけ傾斜している。ブラシ切替機構50の構成は第1実施形態と同様であるため説明を省略する。
【0059】
図12(a)の状態ではソレノイド51に通電されておらず、プランジャー55はソレノイド51から突出しており、係合ピン57は係合穴53aの下端部に係合している。このとき、リンク部材53は略垂直に保持されており、除電ブラシ40は第1ブラシ部41を略垂直下向きにした姿勢で保持されている。一方、第2ブラシ部43は用紙排出方向に対し上流側(
図12の右側)に傾斜した姿勢となっている。これにより、除電ブラシ40は、第1ブラシ部41が用紙排出口31から排出される用紙Sに接触して用紙Sの電荷を除去する除電位置に配置され、第2ブラシ部43が用紙排出口31から排出される用紙Sに接触しない退避位置に配置されている。以下、
図12(a)に示す除電ブラシ40の配置を第1の位置と称する。
【0060】
図12(a)の状態からソレノイド51に通電されると、プランジャー55がソレノイド51内に引き込まれる。その結果、係合ピン57がリンク部材53の係合穴53a内を上方に移動しながらリンク部材53を時計回り方向に揺動させる。これにより、
図12(b)に示すように、除電ブラシ40は、第2ブラシ部43を略垂直下向きにした姿勢で保持される。このとき、第1ブラシ部41は用紙排出方向に対し下流側(
図12の左側)に傾斜した姿勢となっている。
【0061】
図12(b)の状態では、除電ブラシ40は、第2ブラシ部43が用紙排出口31から排出される用紙Sに接触して用紙Sの電荷を除去する除電位置に配置され、第1ブラシ部41が用紙排出口31から排出される用紙Sに接触しない退避位置に配置されている。以下、
図12(b)に示す除電ブラシ40の配置を第2の位置と称する。以上の通り、ブラシ切替機構50は、ソレノイド51への通電のオン/オフによって、除電ブラシ40を第1の位置と第2の位置とに選択配置することができる。
【0062】
図13は、第2実施形態の用紙排出装置30を備えた画像形成装置100における用紙Sの除電制御の第3の制御例を示すフローチャートである。必要に応じて
図1~
図3、
図6、
図11、
図12を参照しながら、
図13のステップに沿って第3の制御例について説明する。なお、印字開始時(デフォルト状態)において、除電ブラシ40は
図12(a)に示した第1の位置に配置されているものとする。
【0063】
パソコン等の上位機器から印字命令が入力され、印字が実行されると(ステップS1)、画像形成部6において用紙Sにトナー像を形成し、定着装置7を通過させて用紙Sにトナー像を定着する。次に、制御部90は、2n枚目(nは自然数)の印字であるか否かを判定する(ステップS2)。
【0064】
1枚目の印字である場合は、2n-1枚目(n=1)であるため(ステップS2でNo)、用紙排出口31から用紙Sの排出を開始する(ステップS3)。また、用紙検知センサー27が用紙Sの先端を検知した後の経過時間tを計測する(ステップS4)。次に、制御部90は経過時間tがt2を経過したか否かを判定する(ステップS5)。時間t2は、用紙検知センサー27が用紙Sの先端を検知した後、用紙Sの先端から1/3の位置が除電ブラシ40に到達するまでの時間である。
【0065】
t2を経過していない場合は(ステップS5でNo)そのまま用紙Sの排出を継続する。t2を経過した場合は(ステップS5でYes)、制御部90はブラシ切替機構50に制御信号を送信し、ソレノイド51への通電をオンすることにより除電ブラシ40を第2の位置(
図12(b)参照)に移動させる(ステップS6)。なお、除電ブラシ40の第1の位置から第2の位置への移動時のタイムラグによって、厳密には用紙Sに第1ブラシ部41および第2ブラシ部43の両方が接触しない期間が発生する。
【0066】
次に、制御部90は経過時間tがt3を経過したか否かを判定する(ステップS7)。時間t3は、用紙検知センサー27が用紙Sの先端を検知した後、用紙Sの先端から2/3の位置が除電ブラシ40に到達するまでの時間である。t3を経過していない場合は(ステップS7でNo)そのまま用紙Sの排出を継続する。t3を経過した場合は(ステップS7でYes)、制御部90はブラシ切替機構50に制御信号を送信し、ソレノイド51への通電をオフすることにより除電ブラシ40を第1の位置に移動させる(ステップS8)。
【0067】
印字開始時に除電ブラシ40は第1の位置に配置されているため、用紙Sの先端から1/3までの領域は、幅方向の両端部のみが第1ブラシ部41に接触して電荷が除去された状態となる。また、用紙Sの先端から1/3の位置が通過するタイミングで除電ブラシ40が第2の位置に移動するため、用紙Sの先端から1/3~2/3の領域は、幅方向の中央部のみが第2ブラシ部43に接触して電荷が除去された状態となる。さらに、用紙Sの先端から2/3の位置が通過するタイミングで除電ブラシ40が再び第1の位置に移動するため、用紙Sの先端から2/3以降の領域は、幅方向の両端部のみが第1ブラシ部41に接触して電荷が除去された状態となる。
【0068】
このように、2n-1枚目(奇数枚目)の用紙Sは、先端側から幅方向の両端部、中央部、両端部が格子状に除電された状態で用紙排出トレイ24上に積載される。
【0069】
その後、制御部90は印字が継続しているか否かを判定する(ステップS9)。印字が継続している場合は(ステップS7でYes)ステップS2に戻り、2n枚目(n=1、2枚目)の印字を実行し(ステップS2でYes)、ソレノイド51への通電をオンして除電ブラシ40を第2の位置に移動させた後(ステップS10)、用紙Sの排出を開始する(ステップS11)。また、用紙検知センサー27が用紙Sの先端を検知した後の経過時間tを計測する(ステップS12)。
【0070】
次に、制御部90は経過時間tがt2を経過したか否かを判定する(ステップS13)。t2を経過していない場合は(ステップS13でNo)そのまま用紙Sの排出を継続する。t2を経過した場合は(ステップS13でYes)、制御部90はブラシ切替機構50に制御信号を送信し、ソレノイド51への通電をオフすることにより除電ブラシ40を第1の位置に移動させる(ステップS14)。
【0071】
次に、制御部90は経過時間tがt3を経過したか否かを判定する(ステップS15)。t3を経過していない場合は(ステップS15でNo)そのまま用紙Sの排出を継続する。t3を経過した場合は(ステップS15でYes)、制御部90はブラシ切替機構50に制御信号を送信し、ソレノイド51への通電をオンすることにより除電ブラシ40を第2の位置に移動させる(ステップS16)。
【0072】
2枚目(2n枚目)の用紙Sの排出開始時には除電ブラシ40が第2の位置に配置されているため、用紙Sの先端から1/3までの領域は、幅方向の中央部のみが第2ブラシ部43に接触して電荷が除去された状態となる。また、用紙Sの先端から1/3の位置が通過するタイミングで除電ブラシ40が第1の位置に移動するため、用紙Sの先端から1/3~2/3の領域は、幅方向の両端部のみが第1ブラシ部41に接触して電荷が除去された状態となる。さらに、用紙Sの先端から2/3の位置が通過するタイミングで除電ブラシ40が再び第2の位置に移動するため、用紙Sの先端から2/3以降の領域は、幅方向の中央部のみが第2ブラシ部43に接触して電荷が除去された状態となる。
【0073】
このように、2n枚目(偶数枚目)の用紙Sは、先端側から幅方向の中央部、両端部、中央部が格子状に除電された状態で用紙排出トレイ24上に積載される。
【0074】
一方、ステップS9で印字が終了している場合は(ステップS9でNo)、制御部90は除電ブラシ40が第1の位置に配置されているか否かを判定する(ステップS17)。除電ブラシ40の配置はソレノイド51への通電状態によって判定することができる。除電ブラシ40が第1の位置に配置されていない場合は(ステップS17でNo)、制御部90はブラシ切替機構50に制御信号を送信し、ソレノイド51への通電をオフすることにより除電ブラシ40を第1の位置(
図12(a)参照)に移動させて(ステップS18)処理を終了する。
【0075】
図14は、第3の制御例によって除電された用紙Sが用紙排出トレイ24上に排出される様子を示す斜視図である。なお、
図14では除電ブラシ40の移動時のタイムラグによる第1ブラシ部41および第2ブラシ部43の両方が接触しない期間がないものとした場合を示している。
図14に示すように、第3の制御例によれば、除電ブラシ40によって除電領域R1(ハッチング領域)と非除電領域R2(白色領域)が格子状に形成された2n-1枚目の用紙Sと、除電領域R1と非除電領域R2が2n-1枚目の用紙Sとは逆の格子状に形成された2n枚目の用紙Sとが用紙排出トレイ24上に交互に排出される。
【0076】
例えば、2n枚目の用紙Sが排出方向または幅方向にずれて排出された場合、既に用紙積載トレイ24上に積載された2n-1枚目の用紙Sの非除電領域R2と2n枚目の用紙Sの非除電領域R2が部分的に重なり合う。この非除電領域R2が重なり合った部分は電気的に反発するため、2n枚目の用紙Sは電気的な反発力によって移動した後、電気的に反発しない位置(
図14のように除電領域R1と非除電領域R2が重なり合う位置)で積載される。このように用紙Sの排出方向および幅方向のずれをある程度制御できるようになり、用紙Sの積載性(ストック性)が向上する。
【0077】
なお、本実施形態では、除電部材40は2つの第1ブラシ部41と1つの第2ブラシ部43を有しているが、第1ブラシ部41と第2ブラシ部43が各1つ以上、用紙幅方向に交互に配置されていればよい。また、第1ブラシ部41と第2ブラシ部43の寸法は同一でなくてもよい。
【0078】
また、上述した第3の制御例では用紙Sを幅方向および排出方向に3分割してトータル9つの領域に分割し、除電領域R1と非除電領域R2を格子状に形成したが、用紙Sを幅方向および排出方向に2分割、または4分割以上として除電領域R1と非除電領域R2を格子状に形成してもよい。
【0079】
その他本発明は、上記各実施形態に限定されず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。例えば、上記各実施形態では胴内排出型の画像形成装置100に用いられる用紙排出装置30について説明したが、本発明は、画像形成装置100の上面や側面に設けられる用紙排出装置、或いは画像形成後の用紙にパンチ穴形成処理や綴じ処理を行う用紙後処理装置に設けられる用紙排出装置にも全く同様に適用可能である。
【産業上の利用可能性】
【0080】
本発明は、画像形成装置に搭載され、シートを排出するシート排出装置に利用可能である。本発明の利用により、排出されるシートの除電状態を調整することで、シートの排出方向の積載位置ずれを抑制可能なシート排出装置およびそれを備えた画像形成装置を提供することができる。
【符号の説明】
【0081】
18 第1排出ローラー
22 胴内排出空間
24 用紙排出トレイ(シート積載部)
27 用紙検知センサー(シート検知部)
30 用紙排出装置(シート排出装置)
31 用紙排出口(シート排出部)
40 除電ブラシ(除電部材)
40a ブラシ部
40b 支軸
41 第1ブラシ部(第1除電部)
43 第2ブラシ部(第2除電部)
50 ブラシ切替機構(切替機構)
51 ソレノイド
53 リンク部材
53a 係合穴
55 プランジャー
57 係合ピン
100 画像形成装置
S 用紙(シート)
R1 除電領域
R2 非除電領域