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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022182185
(43)【公開日】2022-12-08
(54)【発明の名称】バルブ装置及びダイカスト装置
(51)【国際特許分類】
   B22D 17/22 20060101AFI20221201BHJP
   B22D 17/14 20060101ALI20221201BHJP
   B22D 18/02 20060101ALI20221201BHJP
   B22D 18/04 20060101ALI20221201BHJP
   B22D 18/06 20060101ALI20221201BHJP
   F16K 31/122 20060101ALI20221201BHJP
【FI】
B22D17/22 G
B22D17/14
B22D18/02 Q
B22D18/04 F
B22D18/04 R
B22D18/06 509B
F16K31/122
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021089585
(22)【出願日】2021-05-27
(71)【出願人】
【識別番号】509186579
【氏名又は名称】日立Astemo株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001829
【氏名又は名称】弁理士法人開知
(72)【発明者】
【氏名】古山 一穂
【テーマコード(参考)】
3H056
【Fターム(参考)】
3H056AA01
3H056BB05
3H056CA01
3H056CB02
3H056CC07
3H056CD04
3H056DD03
3H056DD06
3H056DD07
3H056GG11
(57)【要約】
【課題】アルミ溶湯の真空回路への侵入を高速に遮断して、アルミ溶湯の真空回路への侵入防止性能を向上することが可能なバルブ装置を実現する。
【解決手段】バルブ装置は弁座2に離接して開閉する弁体1と、弁体1を空気圧で開閉方向に駆動するエアシリンダ6を備える。エアシリンダ6は弁体1に固定されたピストン4と、ピストン4が収容されるシリンダ室60を有するハウジング5を有し、ピストン4はシリンダ室60の内周面の第1摺動面8に対して摺動可能な第1シール部13と、第1摺動面8より内径小の第2摺動面9に対して摺動可能に設けられた第2シール部14を有する。シリンダ室60は第1シール部13より弁体1に近い第1空間16と、第1シール部13より弁体1から遠い側であり第2シール部14より弁体1に近い側の第2空間17とに区画され、第1空間16内の空気圧および第2空間17内の空気圧によって弁体1が駆動される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
弁座に離接することで開閉する弁体と、前記弁体を空気圧により開閉方向に駆動するエアシリンダと、を備えるバルブ装置であって、
前記エアシリンダは、前記弁体に固定されたピストンと、前記ピストンが収容されるシリンダ室を有するハウジングと、を有し、
前記ピストンは、前記シリンダ室の内周面における第1摺動面に対して摺動可能に設けられた第1シール部と、前記第1摺動面よりも内径が小さい第2摺動面に対して摺動可能に設けられた第2シール部と、を有し、
前記シリンダ室は、前記第1シール部よりも前記弁体に近い側の第1空間と、前記第1シール部よりも前記弁体から遠い側であって前記第2シール部よりも前記弁体に近い側の第2空間と、に区画され、
前記第1空間内の空気圧および前記第2空間内の空気圧によって前記弁体が駆動されるバルブ装置。
【請求項2】
請求項1に記載のバルブ装置であって、
前記ハウジングは、前記弁体を摺動可能に保持する第3シール部を有し、
前記第2シール部の径は、前記第3シール部の径よりも大きいバルブ装置。
【請求項3】
請求項1に記載のバルブ装置であって、
前記シリンダ室は、さらに、前記第2シール部よりも前記弁体から遠い側の第3空間を有し、
前記第3空間は、大気開放されているバルブ装置。
【請求項4】
請求項3に記載のバルブ装置であって、
前記弁体の開閉位置を検出する近接センサを、さらに備え、
前記近接センサは、前記第3空間を貫通して延びる前記弁体の端部側面と近接して対向する位置に配置されるバルブ装置。
【請求項5】
請求項1に記載のバルブ装置であって、
前記第1空間を加圧するか減圧するかを切り替えることができ、前記第2空間を加圧するか減圧するかを切り替えることができる方向制御弁と、
前記第2空間を遮断することが可能な高速排気弁と、
を、さらに備えるバルブ装置。
【請求項6】
請求項5に記載のバルブ装置であって、
前記方向制御弁が、前記第2空間を加圧から減圧へ切り替える動作中に、前記高速排気弁は前記第2空間を開放するバルブ装置。
【請求項7】
所定の形状のキャビティを有する金型と、
前記キャビティ内に金属溶湯を圧送する給湯部と、
前記キャビティ内の空気を排気する真空バルブ装置と、を備えたダイカスト装置であって、
前記真空バルブ装置は、請求項1乃至6のいずれかに記載のバルブ装置であるダイカスト装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、真空バルブ装置及び真空バルブ装置を有するダイカスト装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ダイカスト装置に用いられる真空バルブ装置においては、金型内にアルミ溶湯を充填する過程で、真空バルブを介して金型に接続した真空タンクにより、金型内の空気を吸引する。しかし、金型内にアルミ溶湯が充填完了した際に真空バルブが開いていると、アルミ溶湯が真空回路内に侵入して、真空回路を破壊してしまうため、充填完了直前でバルブを遮断して真空回路を保護する必要がある。
【0003】
具体的に、バルブの遮断は、エアシリンダ内のピストンと直結したバルブシャフトを介して、エアシリンダの後退動作により、真空バルブ内のポペットバルブを遮断する構造である。
【0004】
特許文献1に記載の技術は、一つの方向制御弁で、ガス抜き方向(キャビティ開方向)にピストンを移動させる場合、一つの方向制御弁で第1空間(ロッド側)を開放して圧力を低下させ、第2空間(ヘッド側)にエアを供給させる。
【0005】
キャビティ閉方向にピストンを移動させる場合、一つの方向制御弁で第1空間(ロッド側)にエアを供給し、第2空間(ヘッド側)を開放して圧力を低下させる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特公平3―5901号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ダイカスト鋳造では、金型内にアルミ溶湯の充填にかかる時間は30~100ms程度と非常に短いため、バルブ遮断の指令信号が送られてから10ms以内に遮断を完了するため、高速な応答性が求められる。
【0008】
方向制御弁にバルブ遮断信号が入力して方向制御弁が動作し、動作制御状態に入り替わるまでには、タイムラグがある。このタイムラグを短縮し、真空バルブ装置をさらに高速に遮断して、アルミ溶湯の真空回路への侵入防止性能を向上する技術が望まれている。
【0009】
本発明の目的は、アルミ溶湯の真空回路への侵入を高速に遮断して、アルミ溶湯の真空回路への侵入防止性能を向上することが可能なバルブ装置及びダイカスト装置を実現することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するため、本発明は次のように構成される。
【0011】
弁座に離接することで開閉する弁体と、前記弁体を空気圧により開閉方向に駆動するエアシリンダと、を備えるバルブ装置であって、前記エアシリンダは、前記弁体に固定されたピストンと、前記ピストンが収容されるシリンダ室を有するハウジングと、を有し、前記ピストンは、前記シリンダ室の内周面における第1摺動面に対して摺動可能に設けられた第1シール部と、前記第1摺動面よりも内径が小さい第2摺動面に対して摺動可能に設けられた第2シール部と、を有し、前記シリンダ室は、前記第1シール部よりも前記弁体に近い側の第1空間と、前記第1シール部よりも前記弁体から遠い側であって前記第2シール部よりも前記弁体に近い側の第2空間と、に区画され、前記第1空間内の空気圧および前記第2空間内の空気圧によって前記弁体が駆動される。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、アルミ溶湯の真空回路への侵入を高速に遮断して、アルミ溶湯の真空回路への侵入防止性能を向上することが可能なバルブ装置及びダイカスト装置を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の実施例1に係るバルブ装置の断面構成図である。
図2】方向制御弁、高速排気弁及び表示部の動作を制御する制御部を示す図である。
図3】実施例1のエアシリンダにおいて、方向制御弁と高速排気弁の動作によりピストンがどのように移動されるかの説明図である。
図4】実施例1のエアシリンダにおいて、方向制御弁と高速排気弁の動作によりピストンがどのように移動されるかの説明図である。
図5】実施例1のエアシリンダにおいて、方向制御弁と高速排気弁の動作によりピストンがどのように移動されるかの説明図である。
図6】実施例1のエアシリンダにおいて、方向制御弁と高速排気弁の動作によりピストンがどのように移動されるかの説明図である。
図7】本発明とは異なるエアシリンダの例であり、本発明の実施例1との比較のための例を示す図である。
図8】本発明とは異なる図7に示した例におけるエアシリンダの動作説明図である。
図9】本発明の実施例1における図3図6に示したエアシリンダの動作説明図である。
図10図1に示した近接センサの説明図である。
図11図1に示した近接センサの説明図である。
図12】本発明の実施例2の概略構成図であり、本発明が適用されたダイカスト装置の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を用いて本発明の実施例を説明する。
【実施例0015】
図1は、本発明の実施例1に係るバルブ装置の断面構成図である。
【0016】
図1において、弁体1(ロッド)は、弁座2に離接し、真空遮断用ポペットバルブ19を形成する。真空遮断用ポペットバルブ19が開閉することにより、空気の流れの形成及び遮断が行われ、アルミ溶湯の真空回路への侵入が防止される。
【0017】
弁体1はバルブシャフト3を有し、弁体1のバルブシャフト3にピストン4が固定され、シリンダハウジング5内にピストン4が配置され、エアシリンダ6が形成されている。エアシリンダ6は、弁体1を空気圧により開閉方向に駆動する。ピストン4と弁体1とは一体形成されており、ピストン4の移動に伴い、弁体1が移動する。
【0018】
ピストン4は、方向制御弁10と高速排気弁11の動作により移動される。空圧制御回路20は、方向制御弁10と、高速排気弁11と、排気サイレンサ12とを備える。エアシリンダ6は、弁体1に固定されたピストン4と、ピストン4が収容されるシリンダ室60を有するハウジング(シリンダハウジング)5と、を有する。
【0019】
近接センサ7は、ピストン4の後端部(図1の右側端部)への接近を検知するセンサである。近接センサ7は、大気開放されている第3空間18を貫通して延びる弁体1の端部側面と近接して対向する位置に配置され、弁体1の開閉位置を検出する。
【0020】
シリンダハウジング5内には、第1シール部13、第2シール部14、第3シール部15が形成され、第1空間16、第2空間17、第3空間18が形成されている。シリンダハウジング5は、弁体1を摺動可能に保持する第3シール部15を有している。
【0021】
ピストン4は、第1摺動面8及び第2摺動面9により、シリンダハウジング5の内面と摺動しながら移動する。第2シール部の径は、第3シール部15の径よりも大きい。
【0022】
ピストン4は、シリンダ室60の内周面における第1摺動面8に対して摺動可能に設けられた第1シール部13と、第1摺動面8よりも内径が小さい第2摺動面9に対して摺動可能に設けられた第2シール部14と、を有する。
【0023】
第1シール部13は、シリンダ室60の内周面における第1摺動面8に対して摺動可能に設けられ、第2シール部14は、第1摺動面8よりも内径が小さい第2摺動面9に対して摺動可能に設けられている。
【0024】
シリンダ室60は、第1シール部13よりも弁体1に近い側の第1空間16と、第1シール部13よりも弁体1から遠い側であって第2シール部14よりも弁体1に近い側の第2空間17と、第2シール部14よりも弁体1から遠い側の第3空間18を有している。
【0025】
第1空間16内の空気圧および第2空間17内の空気圧によって弁体1が駆動される。
【0026】
方向制御弁10は、第1空間16を加圧するか減圧するかを切り替えることができる。また、方向制御弁10は、第2空間17に対しても、加圧するか減圧するかを切り替えることができる。方向制御弁10は、第2空間17を加圧から減圧へ切り替える動作中に、前記高速排気弁は前記第2空間を減圧する。
【0027】
高速排気弁11は、第2空間17を遮断すること及び開放することを切り替えることができる。
【0028】
図2は、方向制御弁10、高速排気弁11及び表示部23の動作を制御する制御部22を示す図である。図1には、制御部22及び表示部23は省略してある。
【0029】
図2を用いて説明した方向制御弁10及び高速排気弁11の動作は、制御部22によって制御される。
【0030】
図3図6は、実施例1のエアシリンダ6において、方向制御弁10と高速排気弁11の動作によりピストン4がどのように移動されるかの説明図である。
【0031】
図3に示した状態においては、方向制御弁10は右方向に移動しており、エア源21からのエアが、方向切換弁10を介して、第2空間17に供給され、第1空間16は、方向制御弁10を介して排気サイレンサ12に接続される。高速排気弁11は、右方向に移動され、閉の状態となっている。
【0032】
これによって、ピストン4には、左方向への力が働き、弁体1が開の方向に移動する。
【0033】
第3空間18は大気開放状態となっている。これによって、ピストン4は右方向に移動する。
【0034】
図3に示した状態においては、方向制御弁10は左方向に移動しており、エア源21からのエアが、方向制御弁10を介して、第1空間16に供給され、第2空間17は、方向制御弁10を介して排気サイレンサ12に接続されると共に、高速排気弁11を介して排気サイレンサ12に接続される。
【0035】
第3空間18は大気開放状態となっている。これによって、ピストン4は右方向に移動する。
【0036】
次に、図4において、方向制御弁10及び高速排気弁11は、左方向に移動する。高速排気弁11は方向制御弁10より動作時間が早いため、第2空間17は高速排気弁11を介して排気され、圧力P1は降下し始める。
【0037】
次に、図5において、方向制御弁10及び高速排気弁11は、図4の状態からさらに左方向に移動する。エア源21からのエアが、方向制御弁10を介して、第1空間16に供給され、第2空間17は、高速排気弁11と排気サイレンサ12に接続され、第2空間17の圧力P1が低下していき、ピストン4が右方向(弁体1が開の方向)に移動していく。
【0038】
次に、図6において、ピストン4は、図5に示した状態から、さらに右方向に移動し、ピストン4の左側端面がシリンダ室60の内壁に接して移動が停止される。
【0039】
図7は、本発明とは異なるエアシリンダ6Aの例であり、本発明の実施例1との比較のための例を示す図である。
【0040】
図7に示した状態においては、方向制御弁10は左方向に移動しており、エア源21からのエアが、方向切換弁10を介して、第1空間16に供給され、第2空間17は、方向制御弁10を介して排気サイレンサ12に接続される。これによって、ピストン4は右方向に移動する。
【0041】
次に、図7に示した状態からピストン4が右方向に移動され、その状態から左方向に移動される動作を説明する。
【0042】
方向制御弁10は、図7の右方向に移動され、エア源21から供給されるエアが、方向制御弁10を介して第2空間17に供給される。
【0043】
第1空間16は、方向制御弁10が右方向に移動されている状態であるので、排気サレンサ12に向かって開放状態となっている。これによって、ピストン4は左方向に移動する。そして、図7に示した状態に戻る。
【0044】
図8は、本発明とは異なる図7に示した例におけるエアシリンダ6Aの動作説明図であり、縦軸はエア圧力[MPa]を示し、横軸は時間[ms]を示す。
【0045】
また、図9は、本発明の実施例1における図3図6に示したエアシリンダ6の動作説明図であり、縦軸はエア圧力[MPa]を示し、横軸は時間[ms]を示す。
【0046】
図8において、バルブ遮断信号が入力した瞬間を遮断信号入力時点T0、方向制御弁が後退動作制御に切り替わった瞬間を時点T1とする。図7に示したエアシリンダ6Aの場合、時点T1より方向制御弁10の空圧回路(図示せず)が切り替わり、第2空間17の排気が開始され、第2空間17内の圧力P2が低下していく。
【0047】
同時に、第1空間16は加圧され、第1空間16の圧力P1が上昇していき、ピストン4を後退方向(図4の左から右方向)へ押す力が発生する。
【0048】
この圧力P1が、圧力P2によってピストン4を前進方向(図4の右から左方向)へ押す力より上回ると、ピストン4が後退し始める(時点T2から上昇するの太い実線で示す)。
【0049】
ピストン4の後退動作中は、圧力P1と圧力P2は平衡状態となる。ピストン4の後退限となる後退動作完了時点T3では、圧力P1は、エア源21の供給圧力まで上昇して、保持される。また、圧力P2は大気圧となる。(時点T4~T5)。
【0050】
図7に示した例に対して、本発明の実施例1は、図9に示すように、時点T1より早い段階で、高速排気弁11が開き、第2空間17の排気を開始することで、方向制御弁10を介しての第2空間17の排気を補助する役割を持つ(時点T1’)。例えば、時点T1までが3msとすると、時点T1’は、1ms程度である。
【0051】
本発明の実施例1における第3空間18(大気開放状態)によって第2空間17の容積が減少しているため、第2空間17の排気時間が図4に示した例に比較して短縮する(図9に示した時点T2は、図8に示した時点T2より短時間である)。
【0052】
さらに、第3シール部15は、第2空間17が圧力P2によって作用する力を受ける断面積が減少させるため、第3シール部15が存在しない場合より少ない力でピストン4を後退動作へ移行することができる。
【0053】
そして、図9に示した本発明の実施例1の動作における後退動作完了時点T3は、図8に示した後退動作完了時点T3より短時間である。つまり、遮断信号入力時点T0から後退動作完了時点T3までの時間は、実施例1(図9)の方が比較例(図8)より短時間となっている。
【0054】
実施例1によれば、上述した動作及び作用によって、遮断信号入力時点T0から後退動作完了時点T3までの時間を短縮して真空遮断用ポペットバルブ19の高速遮断を実現することができる。
【0055】
図10及び図11は、図1に示した近接センサ7の説明図である。
【0056】
図10は、本発明のバルブ装置における近接センサ7が配置された近辺の拡大図であり、弁体1の前進限界位置(弁開)を示す図である。
【0057】
また、図11は、本発明のバルブ装置における近接センサ7が配置された近辺の拡大図であり、弁体1の後退限界位置(弁閉)を示す図である。
【0058】
近接センサ7は、弁体1の前進限界位置(弁開)から後退限界位置(弁閉)までの弁体1との距離を検知し、検知信号を制御部22に供給する。制御部22は、近接センサ7から供給される検知信号に基づいて、弁体1の前進限界位置(弁開)から後退限界位置(弁閉)までの動作時間を計時する。
【0059】
そして、制御部22は、計時した弁体1の前進限界位置(弁開)から後退限界位置(弁閉)までの動作時間である後退時間が規定時間内であるか否かを判断する(監視する)。
【0060】
弁体1の後退時間が規定時間内では無い場合は、バルブ装置に異常が発生したと判断し、アラームを表示部23に出力する。
【0061】
これによって、バルブ装置に異常が発生したことを自動的に検知し、アラームを出力することで、異常の早期検出を行うことができる。
【0062】
以上のように、本発明の実施例1によれば、アルミ溶湯の真空回路への侵入を高速に遮断して、アルミ溶湯の真空回路への侵入防止性能を向上することが可能なバルブ装置を実現することができる。
【0063】
さらに、本発明の実施例1によれば、バルブ装置の異常発生を早期に検出することがきる。
【0064】
(実施例2)
次に、本発明の実施例2について説明する。
【0065】
図12は、本発明の実施例2の概略構成図であり、本発明が適用されたダイカスト装置24の説明図である。
【0066】
図12において、ダイカスト装置24は、所定形状のキャビティ26を有する金型33と、キャビティ26内に金属溶湯を圧送する給湯部27と、キャビティ26内の空気を排気する真空バルブ装置23と、を備える。
【0067】
また、給湯部27は、射出スリーブ29からアルミ溶湯(AL溶湯)30をキャビティ26内に射出する射出する射出スリーブ29を備えている。
【0068】
真空タンク31の内部は、真空ポンプ32により、真空状態とされ、真空バルブ装置25を介して、キャビティ26内の空気を吸引し、アルミ溶湯30をキャビティ26内に充填させる。
【0069】
真空バルブ装置25は、実施例1によるバルブ装置である。
【0070】
真空バルブ装置25は、金型33内にアルミ溶湯30をキャビティ26内に充填する過程で、真空バルブ装置25を介して金型33に接続した真空タンク31により、金型33内の空気を吸引する。
【0071】
しかし、金型33内にアルミ溶湯30が充填完了した際に、真空バルブ装置25が開いていると、アルミ溶湯30が、真空回路内に侵入して、真空回路を破壊してしまうため、充填完了直前で真空バルブ装置25を遮断して真空回路を保護する必要がある。
【0072】
ダイカスト鋳造では、金型33内にアルミ溶湯30の充填にかかる時間は30~100ms程度と非常に短いため、真空バルブ装置26の遮断指令信号が送られてから10ms以内に遮断を完了する高速11な応答性が求められる。
【0073】
本発明の実施例1によるバルブ装置が適用された真空バルブ装置25は、アルミ溶湯30の真空回路への侵入を高速に遮断して、アルミ溶湯30の真空回路への侵入防止性能を向上することが可能なダイカスト装置24を実現することができる。
【符号の説明】
【0074】
1・・・弁体、2・・・弁座、3・・・バルブシャフト、4・・・ピストン、5・・・シリンダハウジング、6・・・エアシリンダ、7・・・近接センサ、8・・第1摺動面、9・・・第2摺動面、10・・・方向制御弁、11・・・高速排気弁、12・・・排気サイレンサ、13・・・第1シール、14・・・第2シール、15・・・第3シール、16・・・第1空間、17・・・第2空間、18・・・第3空間、19・・・真空遮断用ポペットバルブ、20・・・空圧制御回路、21・・・エア源、22・・・制御部、23・・・表示部、24・・・ダイカスト装置、25・・・真空バルブ装置、26・・・キャビティ、27・・・給湯部、28・・・射出プランジャ、29・・・射出スリーブ、30・・・アルミ溶湯、31・・・真空タンク、32・・・真空ポンプ、60・・・シリンダ室
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12