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特開2022-182196情報処理装置および情報処理プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022182196
(43)【公開日】2022-12-08
(54)【発明の名称】情報処理装置および情報処理プログラム
(51)【国際特許分類】
   G06T 1/00 20060101AFI20221201BHJP
【FI】
G06T1/00 400G
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021089603
(22)【出願日】2021-05-27
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2022-10-26
(71)【出願人】
【識別番号】518133201
【氏名又は名称】富士通クライアントコンピューティング株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】染川 淳
【テーマコード(参考)】
5B047
【Fターム(参考)】
5B047AA25
5B047BB04
5B047BB06
5B047BC16
5B047BC23
5B047CA12
5B047CA13
5B047CA23
5B047CB18
5B047CB21
5B047CB23
(57)【要約】
【課題】非接触型のセンサを用いて生体認証を行う場合、生体の検出面に対して生体の位置をより適切に誘導し、生体認証を実行させることができる情報処理装置を提供する。
【解決手段】情報処理装置は、検出面に非接触状態で位置する生体の生体情報を取得する第一のセンサと、第一のセンサとは異なる位置に配置され、生体の位置情報を取得する第二のセンサと、第一のセンサが取得した生体情報と、第二のセンサが取得した位置情報とに基づき、第一のセンサに対する生体の姿勢情報を取得する姿勢取得部と、姿勢情報に基づき、生体の認証姿勢が第一のセンサに対して所定の検出姿勢になるように案内する案内部と、を備える。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
検出面に非接触状態で位置する生体の生体情報を取得する第一のセンサと、
前記第一のセンサとは異なる位置に配置され、前記生体の位置情報を取得する第二のセンサと、
前記第一のセンサが取得した前記生体情報と、前記第二のセンサが取得した位置情報とに基づき、前記第一のセンサに対する前記生体の姿勢情報を取得する姿勢取得部と、
前記姿勢情報に基づき、前記生体の認証姿勢が前記第一のセンサに対して所定の検出姿勢になるように案内する案内部と、
を備える、情報処理装置。
【請求項2】
前記案内部は、前記認証姿勢が前記所定の検出姿勢を満たさない場合に、前記検出姿勢を補正する補正案内を行う、請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記姿勢取得部は、前記位置情報に基づき、前記生体の三次元位置を示す姿勢情報を取得する、請求項1または請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記案内部は、前記三次元位置に基づき、前記検出面の正面位置に対する前記生体の位置ずれ量、前記検出面から前記生体までの距離と、前記検出面に対する前記生体の角度と、のうち少なくとも一つについて案内を行う、請求項3に記載の情報処理装置。
【請求項5】
検出面に非接触状態で位置する生体の生体情報を第一のセンサで取得する第一の検出処理と、
前記第一のセンサとは異なる位置に配置された第二のセンサで、前記生体の位置情報を取得する第二の検出処理と、
前記第一のセンサが取得した前記生体情報と、前記第二のセンサが取得した位置情報とに基づき、前記第一のセンサに対する前記生体の姿勢情報を取得する姿勢取得処理と、
前記姿勢情報に基づき、前記生体の認証姿勢が前記第一のセンサに対して所定の検出姿勢になるように案内する案内処理と、
を、情報処理装置に実行させる、情報処理プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、情報処理装置および情報処理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
パーソナルコンピュータ(以下、「PC」という場合もある)、タブレット端末やスマートフォン、携帯電話等を含む情報処理装置は、その情報処理装置を使用する人物が正規利用者(事前に登録された登録者)であるか否かを判定するための認証機能を備える場合が多い。認証の方法としては、例えば、パスコードの入力を要求し、入力内容が一致した場合に認証を肯定する技術が一般的である。また、よりセキュリティ性の高い認証方法として、生体認証が普及している。例えば、人物固有の情報と見なされる身体上の特徴を利用した認証技術がある。例えば、手のひら静脈、指静脈、指紋、虹彩等が利用されている。また、顔全体を用いた認証も実用化されている。そして、このような生体認証装置のうち、生体検出面に対して生体を接触させない非接触型の生体認証装置において、検出面に対して生体を正しく位置させる(翳す)ように誘導する技術が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2017-091186号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来技術の構成の場合、生体認証装置で取得した情報のみで、生体検出面に対する生体の位置や角度を推測している。この場合、生体検出面に対する生体の位置が、生体の情報を十分に読み取れない位置の場合、例えば、生体が認識領域から外れていた場合には、生体の位置や角度などを正確に把握することが難しく、生体を誘導する際に、誤った誘導を行ってしまったり、認証処理の完了までに長時間を要してしまったりする場合があるという問題があった。
【0005】
したがって、本発明が解決する課題の一例は、非接触型のセンサを用いて生体認証を行う場合、生体の検出面に対して生体の位置をより適切に誘導し、生体認証を実行させることができる情報処理装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1態様に係る情報処理装置は、検出面に非接触状態で位置する生体の生体情報を取得する第一のセンサと、前記第一のセンサとは異なる位置に配置され、前記生体の位置情報を取得する第二のセンサと、前記第一のセンサが取得した前記生体情報と、前記第二のセンサが取得した位置情報とに基づき、前記第一のセンサに対する前記生体の姿勢情報を取得する姿勢取得部と、前記姿勢情報に基づき、前記生体の認証姿勢が前記第一のセンサに対して所定の検出姿勢になるように案内する案内部と、を備える。
【0007】
また、前記案内部は、例えば、前記認証姿勢が前記所定の検出姿勢を満たさない場合に、前記検出姿勢を補正する補正案内を行ってもよい。
【0008】
また、前記姿勢取得部は、例えば、前記位置情報に基づき、前記生体の三次元位置を示す姿勢情報を取得するようにしてもよい。
【0009】
また、前記案内部は、例えば、前記三次元位置に基づき、前記検出面の正面位置に対する前記生体の位置ずれ量、前記検出面から前記生体までの距離と、前記検出面に対する前記生体の角度と、のうち少なくとも一つについて案内を行ってもよい。
【0010】
本発明の第2態様に係る情報処理プログラムは、検出面に非接触状態で位置する生体の生体情報を第一のセンサで取得する第一の検出処理と、前記第一のセンサとは異なる位置に配置された第二のセンサで、前記生体の位置情報を取得する第二の検出処理と、前記第一のセンサが取得した前記生体情報と、前記第二のセンサが取得した位置情報とに基づき、前記第一のセンサに対する前記生体の姿勢情報を取得する姿勢取得処理と、前記姿勢情報に基づき、前記生体の認証姿勢が前記第一のセンサに対して所定の検出姿勢になるように案内する案内処理と、を、情報処理装置に実行させる。
【発明の効果】
【0011】
本発明の上記態様によれば、第一のセンサによる生体情報の取得に加え、第一のセンサに対して、異なる位置に配置された第二のセンサにより、検出面に対する生体の位置情報を取得するため、検出面に対する生体の位置をより正確に把握することができる。その結果、生体の認証姿勢が第一のセンサに対して所定の検出姿勢になるように、より正確に案内することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1図1は、実施形態にかかる情報処理装置の外観を示す例示的かつ模式的な斜視図である。
図2図2は、実施形態にかかる情報処理装置の機能構成を示す例示的かつ模式的ブロック図である。
図3図3は、実施形態にかかる情報処理装置による生体認証処理の流れを示す例示的なフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の例示的な実施形態が開示される。以下に示される実施形態の構成、ならびに当該構成によってもたらされる作用、結果、および効果は、一例である。本発明は、以下の実施形態に開示される構成以外によっても実現可能であるとともに、基本的な構成に基づく種々の効果や、派生的な効果のうち、少なくとも一つを得ることが可能である。
【0014】
図1は、実施形態にかかる情報処理装置10の外観を示す例示的かつ模式的な斜視図である。
【0015】
図1に示されるように、情報処理装置10は、例えば、ノートブック型のパーソナルコンピュータとして構成される。情報処理装置10は、表示部10a、キーボード部10b、パームレスト部10c、タッチパッド部10d等に大別される。
【0016】
表示部10aは、例えば、LCD(liquid crystal display)や、OELD(organic electroluminescent display)等である。情報処理装置10の使用時には、表示部10aを開動作することにより、キーボード部10bやタッチパッド部10dと、表示部10aとを離反させ、互いに露出させて使用可能状態にする。また、情報処理装置10の非使用時や携帯時等には、表示部10aを閉動作することにより、キーボード部10bやタッチパッド部10dを表示部10aで覆い、互いを保護するとともに、情報処理装置10をコンパクト化し、携帯し易い状態にする。
【0017】
キーボード部10bは、第一の操作入力部として機能する。キーボード部10bの手前側のパームレスト部10cの略中央部には、第二の操作入力部として機能する、タッチパッド部10dが配置されている。タッチパッド部10d上で、情報処理装置10の操作者が、指でタップ操作したり、スクロール操作したり、ピンチ操作したりすることで、表示部10a上において、決定操作、選択操作、スクロール操作、拡大、縮小操作等の入力操作が実現可能となる。
【0018】
また、図1に示す情報処理装置10の場合、パームレスト部10cの一部、例えば、タッチパッド部10dに対して図中矢印X1方向の隣接位置には、第一のセンサとしての生体認証装置12が配置されている。生体認証装置12は、扁平形状の検出面12aを備え、当該検出面12aに非接触状態で位置する生体14の指14aの生体情報を取得可能である。生体認証装置12は、例えば、指静脈を用いて認証を行う装置のセンサ部を構成する。情報処理装置10は、生体認証装置12が取得した指静脈パターンと、予め情報処理装置10に登録された正規登録者の参照指静脈パターンとを比較することにより認証の可否の判定を実行する。
【0019】
また、本実施形態の情報処理装置10は、生体認証装置12(第一のセンサ)とは異なる位置に配置され、生体14の位置情報を取得する第二のセンサを備えている。図1の情報処理装置10の場合、表示部10aの上部額縁部の略中央位置に配置された入力装置16が第二のセンサとして機能する例を示す。第二のセンサとして機能する入力装置16は、例えば、フロントカメラで、少なくとも生体認証装置12の配置領域を撮像範囲Eに含むように設定されている。フロントカメラを兼用する入力装置16は、例えば、ビデオ通話を行う際に、情報処理装置10(表示部10a)に対面する情報処理装置10の操作者の顔画像等を撮像して送信したり、保存したりすることができる。なお、後述するが、入力装置16は、当該入力装置16(フロントカメラ)の撮像範囲Eに、生体認証装置12の配置領域を含み、検出面12aに非接触状態で翳される指14aを撮像することにより、指14aが指静脈認証に適した位置に翳されるように誘導(案内)することができる。
【0020】
図2は、情報処理装置10の機能構成を示す例示的かつ模式的ブロック図である。
【0021】
図2に示されるように、情報処理装置10は、生体認証装置12、入力装置16、記憶部18、認証処理部20、出力装置22等を備える。なお、図2は、本実施形態の生体認証処理を実現するための構成のみを示している。したがって、情報処理装置10の基本的な機能(周知の演算機能や通信機能、画像再生機能等)を実現する構成は、図示を省略して、その説明は省略する。
【0022】
生体認証装置12(第一のセンサ)は、上述したように、指静脈認証を行うセンサである。指静脈認証は、生体14の一部である指14aの内部にある静脈のパターンを使って個人を特定する技術で、静脈内を流れる血液中の還元ヘモグロビンが吸収する近赤外線をあてて指14aを撮像し、静脈パターンを抽出するものである。そして、検出された静脈パターンと、認証処理部20(情報処理装置10)に予め登録された正規登録者の静脈パターンとマッチングすることで、認証の可否判定を行う。
【0023】
入力装置16は、上述したように、例えばフロントカメラである。入力装置16は、例えば、CCD(Charge Coupled Device)やCIS(CMOS image sensor)等の撮像素子を内蔵するデジタルカメラである。入力装置16は、生体認証処理が要求された場合に、少なくとも生体認証装置12の検出面12aおよび検出面12aに翳される指14aを撮像し、所定のフレームレートで撮像した動画データ(撮像画像データ)を、認証処理部20に逐次提供する。
【0024】
記憶部18は、不揮発性の書換可能なメモリで、認証処理部20を、例えばCPU(中央演算処理装置、処理ユニット)上で実現する場合の情報処理プログラム18aの他、情報処理装置10で実行可能な各種処理機能を実現する各種アプリケーションプログラム18b等を記憶する。なお、記憶部18は、各種プログラムの実行に必要なパラメータ等を記憶してもよい。
【0025】
認証処理部20は、生体認証装置12(第一のセンサ)で取得した指14aの生体情報および入力装置16(第二のセンサ)で取得した指14aの位置情報に基づき、生体14が検出面12aに翳される位置(姿勢)の調整を実行可能で、適切な位置に指14aが翳された場合に認証処理を実行する。
【0026】
認証処理部20は、位置(姿勢)調整処理および生体認証処理を実行するための詳細モジュールとして、情報取得部20a、姿勢取得部20b、案内部20c、認証判定部20d等を含む。
【0027】
情報取得部20aは、アプリケーションプログラム18bが実行される際に、情報処理装置10の現在の利用者が許可された正規登録者であり、かつ(または)実行されたアプリケーションプログラム18bの正規利用者であるか否かを判定するための、認証要求を受け取った場合に、生体認証装置12を起動させる。そして、生体認証装置12の検出面12aの上空において、非接触状態で位置する生体14の指14aの生体情報を取得し、姿勢取得部20bに提供する。また、情報取得部20aは、生体認証装置12と同時に入力装置16を認証用として起動して、生体認証装置12の配置領域(検出面12aを含む領域)および認証対象である指14aを撮像する。そして、情報取得部20aは、検出面12aに対する指14aの位置情報(動画データ、撮像画像データ)を逐次取得して、姿勢取得部20bに提供する。
【0028】
姿勢取得部20bは、生体認証装置12(第一のセンサ)が取得した生体情報と、入力装置16(第二のセンサ)が取得した指14aの位置情報とに基づき、生体認証装置12の検出面12aに対する指14aの姿勢情報を取得する。図1の入力装置16の場合、検出面12aの上空に翳された指14aを斜め下方に見下ろす状態で、検出面12aを含んで撮像する。このとき、検出面12aの位置と入力装置16の位置は、互いに固定された位置である。したがって、入力装置16が撮像した撮像画像データに周知の画像処理を施すことにより、検出面12aと平行な面における指14aの位置(図1の矢印X1-X2方向および矢印Y1-Y2方向の位置)を検出することが可能である。同様に、検出面12aの表面からの距離(図1の矢印Z1-Z2方向の距離)を検出することが可能である。また、指14aの表面の特徴点、例えば、爪の見え方に基づき、検出面12aに対する角度を検出することができる。
【0029】
したがって、姿勢取得部20bは、2種類の姿勢情報(生体認証装置12が取得した生体情報に基づく姿勢情報と入力装置16が取得した位置情報に基づく姿勢情報)を用いて、検出面12aの表面に対する指14aの現在の位置、高さ、角度をより正確に示す、姿勢情報を取得することができる。そして、現在の指14aのより正確な姿勢情報に基づき、検出面12aに対して指14aの位置が最適であるか否かの判定が可能になる。例えば、生体認証装置12によって指14aの指静脈パターンを正確に検出するためには、指14aを例えば、検出面12aの略中央部に位置させ、かつ、指静脈に焦点があう高さに指14aを位置させる必要がある。したがって、姿勢取得部20bは、指14aの現在の姿勢情報に基づき、指14aを検出面12aの例えば中心位置で所定の高さの最適位置に移動させるための補正量を算出する。
【0030】
案内部20cは、姿勢取得部20bで算出された検出面12aに対する指14aの姿勢情報(補正量)に基づき、生体14の認証姿勢が生体認証装置12に対して所定の検出姿勢になるように案内する。例えば、認証対象者(生体14)に対して、指14aの位置を図1中矢印A方向(矢印X2方向)に移動させるような案内をしたり、指14aを検出面12aに接近させる(図1中矢印Z2方向に移動させる)ような案内をしたりする。また、指14aを図1の矢印R1方向またはR2方向に回転させて、検出面12aに対する指14aの角度調整(指14aの腹が検出面12aに対面する姿勢に調整)する。
【0031】
案内部20cは、出力装置22に指14aの位置(姿勢)修正のための案内情報を出力する。出力装置22は、例えば表示部10a(図1参照)や図示しない音声出力装置(例えばスピーカ)である。出力装置22が表示部10aの場合、案内部20cは、表示部10a上に指14aの移動方向や回転方向を例えば矢印等で示すようにしてもよい。表示部10aに表示する矢印は、例えば、検出面12aに対する指14aの位置が、最適な位置(姿勢)に対するずれ量が大きいほど、例えば、赤色表示を強調し、最適な位置(姿勢)に近づくにしたがい、例えば緑表示に移行するようにしてもよい。そして、案内部20cは、検出面12aに対する指14aの位置が、最適な位置(姿勢)になったら矢印表示を消すようにしてもよい。このとき、案内部20cは、検出面12aに対する指14a位置(姿勢)が最適である旨を示すメッセージや調整完了の指標の表示を行ってもよい。また、案内部20cは、指14aの画像または指14aを示す指標(アニメーション)を、修正(移動)を案内する矢印とともに表示してもよい。また、案内部20cは、上述のような案内を音声出力装置で行ってもよいし、表示部10aによる表示案内と音声出力装置に音声案内とを組み合わせて行ってもよい。また、案内部20cは、検出面12aに対する指14aの修正(移動)を具体的な数値で案内してもよい。例えば、「指を右方向に、10mm程度動かしてください。」や「指を検出面からさらに10mm程度離してください。」との案内を行ってもよい。
【0032】
認証判定部20dは、検出面12aに対する指14aの位置(姿勢)が、認証に適した状態になった場合、周知の技術に基づき認証を行い、認証の可否判断を行う。認証判定部20dは、認証結果を認証を要求してきたアプリケーションに返却する。また、認証判定部20dは、出力装置22(表示部10a)に認証結果を提供し、認証対象者に認証結果を通知するようにしてもよい。
【0033】
このように、本実施形態の情報処理装置10によれば、生体認証装置12が取得した生体情報に基づく姿勢情報に加え、生体認証装置12(第一のセンサ)に対して、異なる位置に配置された入力装置16(第二のセンサ)により、検出面12aに対する生体14(指14a)の位置情報を取得するため、検出面12aに対する生体14の位置をより正確に把握することができる。生体14の認証姿勢が生体認証装置12(第一のセンサ)に対して所定の検出姿勢になるように、より正確に案内することができる。つまり、認証処理部20(認証判定部20d)による認証精度を向上することができる。また、検出面12aに対して指14aの位置(姿勢)が迅速に調整されるため、認証処理部20(認証判定部20d)の認証完了までの時間の短縮に寄与することができる。その結果、検出面12aに指14aを接触させて接触感を確認しながら認証を行う接触型の生体認証装置に比べて、検出面12aの上空に指14aを翳す必要があり、検出面12aに対する指14aの位置や姿勢が最適であるかイメージしにくい、非接触型の生体認証装置12でも、より正確な生体認証を、より迅速に実現することができる。
【0034】
このように構成される情報処理装置10の生体認証処理の流れの一例を図3に示す例示的なフローチャートを用いて説明する。
【0035】
認証処理部20の情報取得部20aは、記憶部18に記憶されたアプリケーションプログラム18bが実行された際に、情報処理装置10の現在の利用者が許可された正規登録者であり、かつ(または)実行されたアプリケーションプログラム18bの正規利用者であるか否かを判定するための、生体認証要求が行われているか否か確認する(S100)。生体認証の要求がない場合(S100のNo)、このフローを一旦終了する。一方、生体認証の要求が行われている場合(S100のYes)、情報取得部20aは、生体認証装置12を起動させ、生体情報を取得する(S102)。すなわち、検出面12aに翳されている指14aの現在の状態で生体情報の取得を行う。また、同時に、情報取得部20aは、入力装置16を認証用として起動して、生体認証装置12の配置領域(検出面12aを含む領域)および認証対象である指14aを撮像し、検出面12aに対する指14aに位置情報(動画データ、撮像画像データ)を取得する(S104)。
【0036】
認証処理部20(認証判定部20d)は、生体認証要求を行ったアプリケーションプログラム18bから生体認証の中断要求があるか否かの監視を行う(S106)。中断要求が無い場合(S106のNo)、認証判定部20dは、生体認証装置12が取得した,現在の指14aの位置(姿勢)での生体情報を読み込む(S108)。そして、読み込んだ生体情報に基づき指14aの指静脈パターンを検出し、取得した生体情報が、所定の認証制度を確保するのに十分な品質を備えるか否かを確認するための品質演算を行う(S110)。例えば、指静脈パターンの輪郭が予め情報処理装置10に登録された正規登録者の参照指静脈パターンと比較し得る程度に鮮明になっているか(焦点がずれていないか)や、指静脈パターンに欠けが無いか(指14aが検出面12aの中心位置に対面しているか)等のチェック項目に基づく、スコア計算を行い、品質を示す品質値を演算する。
【0037】
S110で算出した生体情報品質が、生体認証に適した品質であると見なせる場合(S112のYes)、認証判定部20dは、生体認証装置12が取得した,現在の指14aの位置(姿勢)での生体情報を用いて周知の技術を用いて生体認証処理を実行する(S114)。そして、認証判定部20dは、生体認証要求を行った要求元(アプリケーションプログラム18b)に認証結果を返却し(S116)、このフローを一旦終了する。つまり、指14aの位置(姿勢)補正を行わせることなく、現在の指14aの位置(姿勢)のまま、生体認証(指静脈パターンを用いた認証)を実行する。
【0038】
S112において、S110で算出した生体情報品質が、生体認証に適した品質であると見なせない場合(S112のNo)、まず、姿勢取得部20bは、生体認証装置12が取得した現在の指14aの生体情報に基づき、生体認証装置12に対する指14aの位置、距離、角度等の姿勢情報を算出する(S118)。つまり、指14aが生体認証に適した位置に翳されていないと判定し、現在の指14aの位置(姿勢)の把握を生体情報に基づいて行う。続いて、姿勢取得部20bは、入力装置16が取得した現在の指14aの位置情報に基づき、生体認証装置12に対する指14aの位置、距離、角度等の三次元位置を示す姿勢情報を算出する(S120)。上述したように、生体認証装置12の設置位置と入力装置16の設置位置とは異なる。したがって、検出面12aに対する指14aの位置、距離、角度等を示す姿勢情報が、異なる視点から取得することができる。
【0039】
続いて、案内部20cは、姿勢取得部20bが推定した生体認証装置12から指14aを見た場合の位置、距離、角度等の姿勢情報の結果、および入力装置16から見た場合の、位置、距離、角度等の姿勢情報の結果、つまり両方の結果を用いて、生体認証装置12と指14aとの位置、距離、角度が認証に適した品質が得られる状態になるための姿勢補正値を演算する(S122)。つまり、予め検出面12aに設定された検出最適位置との差分を二種類の生成情報に基づいて算出する。例えば、図1の矢印X1-X2方向および矢印Y1-Y2方向に関しては、検出面12aの枠中央位置を最適位置として、指14aの腹がその位置に来るような姿勢補正値(平面補正値)を算出する。また、図1矢印Z1-Z2方向に関しては、指14aの焦点が合う高さに指14aが来るように姿勢補正値(高さ補正値)を算出する。さらに、図1中矢印R1-R2方向に関しては、指14aの腹が検出面12aに対面するような姿勢補正値(回転補正値)を算出する。
【0040】
そして、案内部20cは、算出した姿勢補正値に基づき、指14aを認証最適位置に誘導するための案内情報(補正情報)を作成し(S124)、この案内情報に基づき誘導処理(補正案内)を、出力装置22(表示部10aや音声出力装置等)を介して実行する(S126)。案内情報は、上述したように、表示部10aに表示する案内矢印の情報や、音声出力装置から出力する音声メッセージ等である。また、具体的な補正量(移動量)を示す案内情報でもよい。
【0041】
出力装置22による誘導処理が実行された場合、S106の処理に移行し、再度認証中断の有無の確認(S106)を経て、誘導された位置(より認証に適した位置に移動したと見なせる位置)における指14aの生体情報の取得処理を行い、再度生体認証処理を実行する処理を継続する。
【0042】
S106において、生体認証要求を行ったアプリケーションプログラム18bから生体認証の中断要求があった場合(S106のYes)、認証判定部20dは、認証処理を中断した旨を示す認証中断結果を生体認証要求元に返却して(S128)、このフローを一旦終了する。
【0043】
このように情報処理装置10によれば、非接触型の生体認証装置12を用いて生体認証を行う場合、生体14の検出面12aに対して生体14(指14a)の位置をより適切に誘導し、生体認証を実行させることができる。
【0044】
例えば、情報処理装置10は、生体認証装置12(第一にセンサ)と、入力装置16(第二のセンサ)と、姿勢取得部20bと、案内部20cとを備える。生体認証装置12は、検出面12aに非接触状態で位置する生体14の生体情報を取得する。入力装置16は、生体認証装置12とは異なる位置に配置され、生体14の位置情報を取得する。姿勢取得部20bは、生体認証装置12が取得した生体情報と、入力装置16が取得した位置情報とに基づき、生体認証装置12に対する生体14(指14a)の姿勢情報を取得する。案内部20cは、姿勢情報に基づき、生体14の認証姿勢が生体認証装置12に対して所定の検出姿勢になるように案内する。この構成によれば、例えば、生体認証装置12による生体情報の取得に加え、生体認証装置12(第一のセンサ)に対して、異なる位置に配置された入力装置16(第二のセンサ)により、検出面12aに対する生体14の位置情報を取得するため、検出面12aに対する生体14の位置をより正確に把握することができる。その結果、生体14の認証姿勢が生体認証装置12に対して所定の検出姿勢になるようより正確に案内することが可能で、生体認証制度の向上に寄与できる。また、認証に最適な位置に迅速に生体14(指14a)を誘導できるので、生体認証処理時間の短縮化に寄与できる。
【0045】
また、案内部20cは、認証姿勢が所定の検出姿勢を満たさない場合に、検出姿勢を補正する補正案内を行う。この構成によれば、例えば、認証姿勢が所定の検出姿勢を満たす場合には、案内処理が省略されるので、処理負荷の軽減や処理時間の短縮化に寄与できる。
【0046】
また、姿勢取得部20bは、位置情報に基づき、生体14の三次元位置を示す姿勢情報を取得する。この構成によれば,例えば、認証に最適な三次元位置に生体14(指14a)を誘導し易くなり、より高精度の誘導が可能になる。
【0047】
また、案内部20cは、三次元位置に基づき、検出面12aの正面位置に対する生体14(指14a)の位置ずれ量、検出面12aから生体14(指14a)までの距離と、検出面12aに対する生体14(指14a)の角度と、のうち少なくとも一つについて案内を行う。この構成によれば、検出面12aに対する生体14(指14a)の誘導をより正確かつ効率的に行うことができる。
【0048】
また、情報処理プログラム18aは、第一の検出処理と、第二の検出処理と、姿勢取得処理と、案内処理とを、情報処理装置10に実行させる。第一の検出処理は、検出面12aに非接触状態で位置する生体14の生体情報を生体認証装置12(第一のセンサ)で取得する。第二の検出処理は、生体認証装置12とは異なる位置に配置された入力装置16(第二のセンサ)で、生体14の位置情報を取得する。姿勢取得処理は、生体認証装置12が取得した生体情報と、入力装置16が取得した位置情報とに基づき、生体認証装置12に対する生体14の姿勢情報を取得する。案内処理は、姿勢情報に基づき、生体14の認証姿勢が生体認証装置12に対して所定の検出姿勢になるように案内する。この構成によれば、例えば、生体認証装置12による生体情報の取得に加え、生体認証装置12(第一のセンサ)に対して、異なる位置に配置された入力装置16(第二のセンサ)により、検出面12aに対する生体14の位置情報を取得するため、検出面12aに対する生体14の位置をより正確に把握することができる。その結果、生体14の認証姿勢が生体認証装置12に対して所定の検出姿勢になるようより正確に案内することが可能で、生体認証制度の向上に寄与できる。また、認証に最適な位置に迅速に生体14(指14a)を誘導できるので、生体認証処理時間の短縮化に寄与できる。
【0049】
本実施形態の情報処理装置10(CPU)で実行される生体の誘導のための情報処理プログラムは、インストール可能な形式又は実行可能な形式のファイルでCD-ROM、フレキシブルディスク(FD)、CD-R、DVD(Digital Versatile Disk)等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録して提供するように構成してもよい。
【0050】
さらに、情報処理プログラムを、インターネット等のネットワークに接続されたコンピュータ上に格納し、ネットワーク経由でダウンロードさせることにより提供するように構成してもよい。また、本実施形態で実行される情報処理プログラムをインターネット等のネットワーク経由で提供または配布するように構成してもよい。
【0051】
なお、上述した実施形態では、情報処理装置10がノートブック型のパーソナルコンピュータである場合を示した。別の実施形態では、据え置き型のデスクトップコンピュータ、タブレット端末、スマートフォン、携帯電話等でも生体認証装置12と入力装置16とが異なる位置に配置できる情報処理装置であれば、本実施形態の構成が適用可能であり、上述した実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0052】
なお、上述した実施形態では、入力装置16(第二のセンサ)として、フロントカメラを示した。別の実施形態では、生体認証装置12(第一のセンサ)と異なる位置に配置可能で、生体認証装置12の検出面12aおよび検出面12aに翳される生体14(指14a等)の位置情報が取得可能なセンサであれば、他のセンサでも利用可能である。例えば、赤外線カメラや、レーダ、測距センサ等も第二のセンサとして利用可能で、本実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0053】
また、上述した実施形態では、認証時に生体14の誘導を行う例を示したが、例えば、正規登録者の参照指静脈パターンを登録する際にも、本実施形態の構成を適用可能で、生体14を最適な登録位置(登録姿勢)に誘導すること可能である。その結果、登録の情報の精度向上、登録の迅速化等に寄与することができる。
【0054】
また、本実施形態において、案内部20cが、生体14の誘導を具体的に行う例を示した。他の実施形態では、簡易的な誘導を行うようにしてもよい。例えば、「指の位置を検出面の直上に移動してください。」とか、「指をもう少し検出面に近づけてください。」等の案内でもよく、同様な効果を得ることができる。
【0055】
本発明の実施形態及び変形例を説明したが、これらの実施形態及び変形例は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0056】
10…情報処理装置、10a…表示部、12…生体認証装置(第一のセンサ)、12a…検出面、14…生体、14a…指、16…入力装置(第二のセンサ)、18…記憶部、18a…情報処理プログラム、18b…アプリケーションプログラム、20…認証処理部、20a…情報取得部、20b…姿勢取得部、20c…案内部、20d…認証判定部、22…出力装置、E…撮像範囲
図1
図2
図3
【手続補正書】
【提出日】2022-09-01
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
検出面に非接触状態で位置する生体の生体情報を取得する第一のセンサと、
前記第一のセンサに翳された前記生体を前記第一のセンサとともに俯瞰可能な前記第一のセンサとは異なる位置に配置され、前記第一のセンサとともに前記第一のセンサに対する前記生体の位置情報を取得する第二のセンサと、
前記第一のセンサが取得した前記生体情報と、前記第二のセンサが取得した位置情報とに基づき、前記第一のセンサに対する前記生体の姿勢情報を取得する姿勢取得部と、
前記姿勢情報に基づき、前記生体の認証姿勢が前記第一のセンサに対して所定の検出姿勢になるように案内する案内部と、
を備える、情報処理装置。
【請求項2】
前記案内部は、前記認証姿勢が前記所定の検出姿勢を満たさない場合に、前記検出姿勢を補正する補正案内を行う、請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記姿勢取得部は、前記位置情報に基づき、前記生体の三次元位置を示す姿勢情報を取得する、請求項1または請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記案内部は、前記三次元位置に基づき、前記検出面の正面位置に対する前記生体の位置ずれ量、前記検出面から前記生体までの距離と、前記検出面に対する前記生体の角度と、のうち少なくとも一つについて案内を行う、請求項3に記載の情報処理装置。
【請求項5】
検出面に非接触状態で位置する生体の生体情報を第一のセンサで取得する第一の検出処理と、
前記第一のセンサに翳された前記生体を前記第一のセンサとともに俯瞰可能な前記第一のセンサとは異なる位置に配置された第二のセンサで、前記第一のセンサとともに前記第一のセンサに対する前記生体の位置情報を取得する第二の検出処理と、
前記第一のセンサが取得した前記生体情報と、前記第二のセンサが取得した位置情報とに基づき、前記第一のセンサに対する前記生体の姿勢情報を取得する姿勢取得処理と、
前記姿勢情報に基づき、前記生体の認証姿勢が前記第一のセンサに対して所定の検出姿勢になるように案内する案内処理と、
を、情報処理装置に実行させる、情報処理プログラム。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0006
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0006】
本発明の第1態様に係る情報処理装置は、検出面に非接触状態で位置する生体の生体情報を取得する第一のセンサと、前記第一のセンサに翳された前記生体を前記第一のセンサとともに俯瞰可能な前記第一のセンサとは異なる位置に配置され、前記第一のセンサとともに前記第一のセンサに対する前記生体の位置情報を取得する第二のセンサと、前記第一のセンサが取得した前記生体情報と、前記第二のセンサが取得した位置情報とに基づき、前記第一のセンサに対する前記生体の姿勢情報を取得する姿勢取得部と、前記姿勢情報に基づき、前記生体の認証姿勢が前記第一のセンサに対して所定の検出姿勢になるように案内する案内部と、を備える。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0010
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0010】
本発明の第2態様に係る情報処理プログラムは、検出面に非接触状態で位置する生体の生体情報を第一のセンサで取得する第一の検出処理と、前記第一のセンサに翳された前記生体を前記第一のセンサとともに俯瞰可能な前記第一のセンサとは異なる位置に配置された第二のセンサで、前記第一のセンサとともに前記第一のセンサに対する前記生体の位置情報を取得する第二の検出処理と、前記第一のセンサが取得した前記生体情報と、前記第二のセンサが取得した位置情報とに基づき、前記第一のセンサに対する前記生体の姿勢情報を取得する姿勢取得処理と、前記姿勢情報に基づき、前記生体の認証姿勢が前記第一のセンサに対して所定の検出姿勢になるように案内する案内処理と、を、情報処理装置に実行させる。