(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022182197
(43)【公開日】2022-12-08
(54)【発明の名称】歯ブラシ
(51)【国際特許分類】
A46B 5/00 20060101AFI20221201BHJP
【FI】
A46B5/00 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021089610
(22)【出願日】2021-05-27
(71)【出願人】
【識別番号】592111894
【氏名又は名称】ヤマトエスロン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100167092
【弁理士】
【氏名又は名称】鷹津 俊一
(72)【発明者】
【氏名】林 信之
【テーマコード(参考)】
3B202
【Fターム(参考)】
3B202AA06
3B202AB10
3B202AB20
3B202CA03
3B202CA06
(57)【要約】 (修正有)
【課題】ハンドル部の全体体積に対する材料の充填量を低減しつつも左右前後上下に動かすときの変形が起きにくく、また、水はけの優れた歯ブラシを提供する。そして、ハンドル部の材料として合成樹脂を用いる場合は、合成樹脂の使用量を減らすことができ、地球環境に対する負荷の低い歯ブラシを提供する。
【解決手段】ヘッド部12とハンドル部13とを有し、ヘッド部12に刷毛12aが植設され、ハンドル部13が把持されて口腔内にヘッド部12が誘導され、口腔内の汚れを清掃する歯ブラシ11であって、ハンドル部13において、刷毛12aの植毛方向と平行な方向に膨出する立体構造13aを有し、立体構造13aはハンドル部13の膨出する方向であるハンドル部膨出方向に貫通する複数の空隙13bを有することを特徴とする
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヘッド部とハンドル部とを有し、前記ヘッド部に刷毛が植設され、前記ハンドル部が把持されて口腔内に前記ヘッド部が誘導され、前記口腔内の汚れを清掃する歯ブラシであって、
前記ハンドル部において、前記刷毛の植毛方向と平行な方向に膨出する立体構造を有し、
前記立体構造は前記ハンドル部の膨出する方向であるハンドル部膨出方向に貫通する複数の空隙を有する
ことを特徴とする歯ブラシ。
【請求項2】
前記立体構造が、歯ブラシの略中心軸線方向の梁状部を含み、
前記梁状部の前記ハンドル部膨出方向の横断面は、長手方向が前記ハンドル部膨出方向と一致する縦長形状である
ことを特徴とする請求項1に記載の歯ブラシ。
【請求項3】
前記立体構造が前記中心軸線から遠ざかる向きに延びるリブ状部を含み、
前記リブ状部は前記梁状部に固定される
ことを特徴とする請求項2に記載の歯ブラシ。
【請求項4】
複数本の前記梁状部を有する
ことを特徴とする請求項2または3に記載の歯ブラシ。
【請求項5】
前記リブ状部は、面方向が前記ハンドル部膨出方向と一致するように配置される平板状に形成される
ことを特徴とする請求項3または4に記載の歯ブラシ。
【請求項6】
前記立体構造が、前記ハンドル部膨出方向視において略格子状に構成される格子構造を含む
ことを特徴とする請求項3ないし5の何れかに記載の歯ブラシ。
【請求項7】
前記ハンドル部は、前記ヘッド部から離れる向きに二股状に延設される一対の外枠部を有し、
前記リブ状部は前記各外枠部に固定される
ことを特徴とする請求項3ないし6の何れかに記載の歯ブラシ。
【請求項8】
前記各空隙の体積を合計した体積は、前記ヘッド部の体積と、全ての前記空隙を含んだ前記ハンドル部の総体積とを合わせた体積に対して30%以上、かつ、60%未満の範囲である
ことを特徴とする請求項1ないし7の何れかに記載の歯ブラシ。
【請求項9】
前記立体構造は、前記ハンドル部膨出方向内向きに凹むことにより、前記ハンドル部を把持する手指の一部が掛かるように構成される指掛かり部を有する
ことを特徴とする請求項1ないし8の何れかに記載の歯ブラシ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は歯ブラシに関し、詳細にはハンドル部の全体体積に対する材料の充填量を低減することのできる構造を有する歯ブラシに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ヘッド部とハンドル部とを有し、ヘッド部に刷毛が植設され、ハンドル部が把持されて口腔内に前記ヘッド部が誘導され、口腔内の汚れを清掃する歯ブラシであって、ハンドル部に長さ方向に渡って凹部が形成される歯ブラシがある(特許文献1)。
【0003】
こうした、従来のハンドル部に凹部が形成される歯ブラシは、ハンドル部の全体体積に対してこの凹部に相当する部分の材料の充填量を低減することができる。そのため、歯ブラシの軽量化を図ることができ、手指による把持力が弱くなった高齢者にとっても使い易く、また、携帯や輸送が容易であるといった長所がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前記従来のハンドル部に凹部が形成される歯ブラシは、この凹部が大きな空洞であり、且つこの空洞の壁を強化するための構造を有しないため全体に強度が不足する。そのため、ハンドル部を把持して口腔内にヘッド部を誘導し、口腔内の汚れを清掃する目的で歯ブラシを左右前後上下に動かすことにより、歯ブラシは、左右上下に曲がったり、捻れたりして弾性変形を起こし易いので用いにくい。さらに、繰り返してこうした弾性変形を起こしたり、強い力を加えたりすれば、いずれ塑性変形、割れ、劣化などを生じるために歯ブラシの寿命は短い。
【0006】
また、従来の歯ブラシは歯磨き時の唾液、水分等が凹部に溜まりがちであり不衛生である。
【0007】
そこで本発明は、このような課題の下、ハンドル部の全体体積に対する材料の充填量を低減しつつも左右前後上下に動かすときの変形が起きにくく、また、水はけの優れた歯ブラシを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
(1)本発明はヘッド部とハンドル部とを有し、前記ヘッド部に刷毛が植設され、前記ハンドル部が把持されて口腔内に前記ヘッド部が誘導され、前記口腔内の汚れを清掃する歯ブラシであって、前記ハンドル部において、前記刷毛の植毛方向と平行な方向に膨出する立体構造を有し、前記立体構造は前記ハンドル部の膨出する方向であるハンドル部膨出方向に貫通する複数の空隙を有する ことを特徴とする歯ブラシを提供するものである。
【0009】
すなわち、本発明の歯ブラシはハンドル部が複数の空隙を有するため、その分、空隙を有しない歯ブラシに比べて材料の充填量が少なく、軽量化を図ることができる。そして、前記ハンドル部が前記複数の空隙を有するにもかかわらず、ハンドル部膨出方向に膨出する立体構造を構成するため、使用者は、この立体構造を手指、または、手指及び掌によって掴むことにより、前記ハンドル部を容易に把持することができる。
【0010】
また、ハンドル部が複数の空隙を有することにより全体体積に対する材料の充填量が低いにもかかわらず、その立体構造が歯ブラシ全体の強度を補うため、左右上下に曲がったり、捻れたりすることによる変形を起こし難い。
【0011】
さらに、前記複数の空隙が前記ハンドル部を貫通するため、歯磨き時の唾液、水分等がこれらの空隙に溜まることが少なく水はけが良い。
【0012】
(2)また、前記立体構造が、歯ブラシの略中心軸線方向の梁状部を含み、前記梁状部の前記ハンドル部膨出方向の横断面は、長手方向が前記ハンドル部膨出方向と一致する縦長形状であってもよい。
【0013】
すなわち、梁状部の横断面がハンドル部膨出方向に縦長形状であるため、その分、前記梁状部を前記ハンドル部膨出方向に曲げようとするときの前記梁状部の断面二次モーメントは大きい。これにより、前記梁状部の前記ハンドル部膨出方向に曲げようとするときの曲げ剛性(曲げこわさ)は大きい。そのため、本発明の歯ブラシは特に前記ハンドル部膨出方向に曲がりにくく、口腔内の汚れを清掃するために、刷毛の植毛方向である上下方向に動かすときでも変形が起きにくい。
【0014】
(3)また、前記立体構造が前記中心軸線から遠ざかる向きに延びるリブ状部を含み、前記リブ状部は前記梁状部に固定されてもよい。
【0015】
すなわち、リブ状部が梁状部に固定されるため、前記リブ状部は前記梁状部を補強することにより、本発明の歯ブラシの使用時に前記梁状部に加わる力の一部を受けとめて前記立体構造を強化し、ハンドル部の変形を低減することができる。
【0016】
(4)また、複数本の前記梁状部を有してもよい。
【0017】
すなわち、本発明の歯ブラシは、前記ハンドル部膨出方向に曲げようとするときの力が各梁状部に分散するため、刷毛の植毛方向である上下方向に動かすときの変形がより起きにくい。
【0018】
(5)また、前記リブ状部は、面方向が前記ハンドル部膨出方向と一致するように配置される平板状に形成されてもよい。
【0019】
すなわち、リブ状部は、梁状部に固定され且つハンドル部膨出方向の面を有する平板状に形成されるため、梁状部に対して、そのハンドル部膨出方向の曲げがより生じにくいように補強することができる。また、前記リブ状部は、前記梁状部の、歯ブラシの中心軸線を回転中心とした捻りが生じにくいように補強することができる。これらにより、立体構造の変形をより小さくすることが可能となる。
【0020】
また、前記リブ状部が平板状に形成されるため、前記リブ状部は歯ブラシの中心軸線から遠い位置に端縁を有する。そして、前記リブ状部は立体構造の一部を構成し、前記端縁が前記立体構造の外側に対して露出することが可能である。これにより、使用者は、前記立体構造を手指、または、手指及び掌によって掴む際に、この端縁に触れることができてより容易にハンドル部を把持することができる。
【0021】
(6)また、前記立体構造が、前記ハンドル部膨出方向視において略格子状に構成される格子構造を含んでもよい。
【0022】
すなわち、ハンドル部膨出方向視において格子状に形成されるため、本発明の歯ブラシは、刷毛の植毛方向と直交する方向の力が加わるときでも、その方向に広がる格子構造によって力を分散しやすい。そのため、本発明の歯ブラシは特に前記の直交する方向に曲がりにくく、口腔内の汚れを清掃するために、ヘッド部を、前記の直交する方向の一方向である左右方向に動かすときでも変形が起きにくい。
【0023】
また、前記格子構造の前記ハンドル部膨出方向の端において、手指や掌は略格子状のハンドル部に当接する。そのため使用者は、手指や掌が前記略格子状の面に触れるため、平滑な面のときに感じるようなべたつきを感じることなく本発明の歯ブラシを把持することができる。
【0024】
(7)また、前記ハンドル部は、前記ヘッド部から離れる向きに二股状に延設される一対の外枠部を有し、前記リブ状部は前記各外枠部と固定されてもよい。
【0025】
すなわち、前記リブ状部が前記外枠部に固定されるため、使用時に前記リブ状部の歯ブラシ全体に対する位置及び姿勢が安定する。これにより、前記リブ状部に固定される梁状部の歯ブラシ全体に対する位置及び姿勢も安定して、立体構造の変形はより起きにくい。
【0026】
(8)また、前記各空隙の体積を合計した体積は、前記ヘッド部の体積と、全ての前記空隙を含んだ前記ハンドル部の総体積とを合わせた体積に対して30%以上、かつ、60%未満の範囲であってもよい。
【0027】
発明者は、ヘッド部の体積と、全ての空隙を含んだハンドル部の総体積とを合わせた体積に対する前記各空隙の体積を合計した体積の割合である空隙率が30%未満の場合、歯ブラシ全体の重量が、使用者の使用に際して十分にその軽量化の効果を感じられないほどのものであることを見出した。また、前記空隙率が60%以上の場合、歯ブラシ全体の強度が、使用者の使用に対して不十分であることを見出した。
【0028】
よって、本発明の歯ブラシは、前記空隙率が30%以上、かつ、60%未満の範囲であることにより、前記ハンドル部の全体体積に対する材料の充填量を低減することによって軽量化の効果を感じられるものであり、しかも、同じく充填量を低減しながらも使用者の使用に対して耐えうるほどの強度を有することができる。
【0029】
(9)また、前記立体構造は、前記ハンドル部膨出方向内向きに凹むことにより、前記ハンドル部を把持する手指の一部が掛かるように構成される指掛かり部を有してもよい。
【0030】
すなわち、立体構造が指掛かり部を有するため、使用者は手指を用いて本発明の歯ブラシを自在に動かすことができる。これにより、本発明の歯ブラシは操作時に変形が起きにくい上に左右前後上下に自在に動かすことができるので口腔内の汚れの清掃が容易である。
【発明の効果】
【0031】
このように本発明では、ハンドル部の全体体積に対する材料の充填量を低減しつつも左右前後上下に動かすときの変形が起きにくく、また、水はけの優れた歯ブラシを提供する。そして、前記ハンドル部の材料として合成樹脂を用いる場合は、合成樹脂の使用量を減らすことができ、地球環境に対する負荷の低い歯ブラシを提供することができる。
【0032】
また、前記ハンドル部の材料の充填量を低減しながらも、使用者が前記ハンドル部を容易に把持可能な歯ブラシを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【
図1】(a)本発明の第1の実施形態に係る歯ブラシの平面図を表わす。(b)
図1(a)の歯ブラシの横断面図を表わす。(c)
図1(a)の歯ブラシの左側面図を表わす。
【
図2】(a)空隙を有しない歯ブラシの平面図を表わす。(b)
図2(a)の歯ブラシの横断面図を表わす。(c)
図2(a)の歯ブラシの左側面図を表わす。
【
図3】(a)
図1の歯ブラシの拡大平面図を表わす。(b)
図3(a)のB-B線が指示する断面図を表わす。(c)同じくA-A線が指示する断面図を表わす。
【
図4】(a)(b)使用者が
図1の歯ブラシを保持する状態の写真を表わす。
【
図5】(a)(b)使用者が
図1の歯ブラシを保持する状態の写真を表わす。
【
図6】(a)(b)
図1の歯ブラシを斜め前から視た斜視図を表わす。
【
図7】(a)(b)
図1の歯ブラシを斜め後ろから視た斜視図を表わす。
【
図8】(a)比較例1のブランクの平面図を表わす。(b)比較例1のブランクの左側面図を表わす。
【
図9】(a)比較例2のブランクの平面図を表わす。(b)比較例2のブランクの左側面図を表わす。
【
図10】実施例と比較例とにおける空隙率を示した表を表わす。
【
図11】(a)本発明の第2の実施形態に係る歯ブラシの平面図を表わす。(b)
図11(a)の歯ブラシの左側面図を表わす。
【
図12】(a)本発明の第3の実施形態に係る歯ブラシの平面図を表わす。(b)
図12(a)の歯ブラシの左側面図を表わす。
【
図13】(a)
図12の歯ブラシの拡大平面図を表わす。(b)
図13(a)のD-D線が指示する断面図を表わす。(c)同じくC-C線が指示する断面図を表わす。
【
図14】(a)本発明の第4の実施形態に係る歯ブラシの平面図を表わす。(b)
図14(a)の歯ブラシの左側面図を表わす。
【
図15】(a)本発明の第5の実施形態に係る歯ブラシの平面図を表わす。(b)
図15(a)の歯ブラシの横断面図を表わす。(c)
図15(a)の歯ブラシの左側面図を表わす。
【発明を実施するための形態】
【0034】
[第1の実施形態]
本発明の第1の実施形態を、
図1~
図10を用いて説明する。
図1(a)(c)において11が歯ブラシである。各図においては矢印Uの向きが歯ブラシ11の上下方向の上方を示し、矢印Dの向きが同じく下方を示す。矢印Lの向きが歯ブラシ11の左右方向の左方を示し、矢印Rの向きが同じく右方を示す。また、矢印Fの向きが歯ブラシ11の前後方向の前方を示し、矢印Bの向きが同じく後方を示す。
図1(a)が歯ブラシ11の平面図を示し、
図1(c)が歯ブラシ11の左側面図を示す。
【0035】
歯ブラシ11は、前側の先端にヘッド部12を有し、ヘッド部12の後方にハンドル部13を有する。歯ブラシ11は、ヘッド部12に複数本の刷毛12aが上下方向に植設され、使用者の手指又は手指及び掌によってハンドル部13が把持されて使用者の口腔内にヘッド部12が誘導され、刷毛12aによってその口腔内を清掃する。ヘッド部12及びハンドル部13は、ポリプロピレン、飽和ポリエステル等の合成樹脂を材料に用い、例えば射出成形により形成される。
【0036】
ハンドル部13は、ヘッド部12から後ろ向きに二股状に延設される一対の外枠部14を有する。外枠部14は左側の左外枠部14aと右側の右外枠部14bとを有する。また、左右外枠部14a,14bが二股に分かれる根元の部分である中外枠部14cを有する。
【0037】
ハンドル部13は、上下方向に膨出する立体構造13aを有する。そして、立体構造13aは前後方向の梁状に形成される梁状部15と、上下方向及び左右方向に延在する平板状に形成されるリブ状部16とをそれぞれ複数含む。すなわち、梁状部15は、歯ブラシ11の横断面の中央を前後に通過する軸線である歯ブラシ11の中心軸線と略同一方向に形成される。また、リブ状部16は、歯ブラシ11の前記中心軸線から遠ざかる向きに延びるように形成される。ここでいう立体構造とは、本実施形態の場合、
図1(c)の左側面図に表われているように、外枠部14が上下方向においてヘッド部12と略同等の厚さを有するに過ぎないのに対して、梁状部15及びリブ状部16が外枠部14よりも上下方向に膨出している状態の構造を指す。
図1(b)は前後方向のそれぞれの位置における各リブ状部16の横断面図を示す。
【0038】
また、ハンドル部13の立体構造13aは、
図1(a)の平面図に表わされているように、上下方向に貫通する複数の空隙13bを有する。ここで、説明のため、歯ブラシが空隙を有しない状態の例を
図2に示す。
図2の1は空隙を有しない歯ブラシである。
図2(a)は歯ブラシ1の平面図を示す。
図2(b)は前後方向のそれぞれの位置における歯ブラシ1の横断面図を示す。各断面図において図の下方が歯ブラシ1の上方を示し、図の上方が歯ブラシ1の下方を示す。
図2(c)は歯ブラシ1の左側面図を示す。このような、空隙を有しない歯ブラシ1に対して、本発明の歯ブラシ11は上述のような空隙13bを複数有する。
【0039】
各空隙13bは、外枠部14、各梁状部15及び各リブ状部16によって囲まれる空間により構成される。
【0040】
梁状部15は、立体構造13aの左半分において前後方向に延びる左梁状部15aと、同じく右半分において前後方向に延びる右梁状部15bと、立体構造13aの最前部において前後方向に延びる中梁状部15cとを含む。左右一対の左梁状部15a及び右梁状部15bは平面視においてお互いに略平行に配置される。左右の各梁状部15a,15bは後端がそれぞれ左外枠部14aの後端に固定され、また、右外枠部14bの後端に固定される。中梁状部15cは、前端が中外枠部14cに固定される。
【0041】
また、各梁状部15a,15b,15cは、それぞれと交差する各リブ状部16と固着する。左右の各梁状部15a,15bは、一対になって各列のリブ状部16と固着する。中梁状部15cは、単独で
図1(a)に示される最前列のリブ状部16と固着する。
【0042】
左右の各梁状部15a,15bの横断面は
図3(c)に表わされる。
図3(a)は、ハンドル部13の前後方向における中央部分を拡大視した平面図を表わす。そして、
図3(c)は、
図3(a)の指示線A-Aにより見る向きを指定した立体構造13aの横断面図を表わす。
図3(c)には、左右梁状部15a,15bの横断面のほか、左右外枠部14a,14bの横断面及び
図3(a)の後列のリブ状部16aが表わされている。
【0043】
左右の各梁状部15a,15bは、横断面が、長手方向の途中部分がやや左右方向に膨らみ且つ上下方向に縦長である略長方形となるように形成されている。また、
図3に示されていないが、中梁状部15cも、横断面が上下方向に縦長である略長方形となるように形成されている。
【0044】
各リブ状部16は、例えば
図3(a)の前列のリブ状部16bのように、面方向が上下方向及び左右方向と一致する平板状に形成される。
図3(b)は、
図3(a)の指示線B-Bにより見る向きを指定した立体構造13aの横断面図を表わし、すなわち、
図3(a)の前列のリブ状部16bの横断面図を表わす。
【0045】
各リブ状部16は、
図3(c)に表わされるように、左側隅が左外枠部14aと固着し、また、右側隅が右外枠部14bと固着する。
【0046】
各梁状部15a,15b,15cと各リブ状部16とは、平面視において略直交し、平面視における略格子構造を成すような立体構造13aを構成する。また、各左右外枠部14a,14bも、各梁状部15a,15b,15c及び各リブ状部16との間で、平面視における略格子構造を成す立体構造13aを構成する。
【0047】
立体構造13aは、
図1(c)が示すように指掛かり部17において下向きに凹むように湾曲する。これにより、ハンドル部13を把持する手指の一部が指掛かり部17に掛かる。
【0048】
図4(a)(b)の写真は、使用者がパームグリップと呼ばれる手を握る要領で歯ブラシ11を保持する状態を示す。また、
図5(a)(b)の写真は、使用者がペングリップと呼ばれる鉛筆を持つ要領で歯ブラシ11を保持する状態を示す。いずれの場合も、使用者が一例として親指を指掛かり部17に掛けた状態で歯ブラシ11によって歯を清掃するときの持ち方を表わしている。
【0049】
図6(a)(b)の各斜視図は、歯ブラシ11を斜め前から視た図を示す。
図6(a)によっては、各梁状部15a,15b,15cの上面及び左側面、ならびに、各リブ状部16の上面及び正面を見ることができる。
図6(b)によっては、各梁状部15a,15b,15cの底面及び右側面、ならびに、各リブ状部16の底面及び正面を見ることができる。
【0050】
図7(a)(b)の各斜視図は、歯ブラシ11を斜め後ろから視た図を示す。
図7(a)によっては、各梁状部15a,15b,15cの上面及び右側面、ならびに、各リブ状部16の上面及び背面を見ることができる。
図7(b)によっては、各梁状部15a,15b,15cの底面及び左側面、ならびに、各リブ状部16の底面及び背面を見ることができる。
【0051】
以上の構成により、歯ブラシ11はハンドル部13が複数の空隙13bを有するため、その分、
図2の歯ブラシ1のような空隙を有しない歯ブラシに比べて材料の充填量が少なく、軽量化を図ることができる。そして、ハンドル部13が複数の空隙13bを有するにもかかわらず、ハンドル部13の膨出方向である上下方向に膨出する立体構造13aを構成するため、使用者は、この立体構造13aを手指、または、手指及び掌によって掴むことにより、ハンドル部13を容易に把持することができる。
図4及び
図5は、使用者が立体構造13aを把持することによって歯ブラシ11を用意に保持する状態を示している。
【0052】
また、ハンドル部13が複数の空隙13bを有することにより全体体積に対する材料の充填量が低いにもかかわらず、その立体構造13bが歯ブラシ11全体の強度を補うため、左右上下に曲がったり、捻れたりすることによる変形を起こし難い。
【0053】
さらに、複数の空隙13bがハンドル部13を貫通するため、歯磨き時の唾液、水分等がこれらの空隙13bに溜まることが少なく水はけが良い。
【0054】
各梁状部15a,15b,15cの横断面が上下方向に縦長形状であるため、その分、各梁状部15a,15b,15cを上下方向に曲げようとするときの各梁状部15a,15b,15cの断面二次モーメントは大きい。これにより、各梁状部15a,15b,15cの上下方向に曲げようとするときの曲げ剛性(曲げこわさ)は大きい。そのため、歯ブラシ11は特に上下方向に曲がりにくく、口腔内の汚れを清掃するために、刷毛12aの植毛方向である上下方向に動かすときでも変形が起きにくい。
【0055】
歯ブラシ11は、梁状部15を複数本有するため、上下方向に曲げようとするときの力が各梁状部15a,15b,15cに分散し、上下方向に動かすときの変形がより起きにくい。
【0056】
リブ状部16が各梁状部15a,15b,15cに固定されるため、リブ状部16は各梁状部15a,15b,15cを補強することにより、歯ブラシ11の使用時に各梁状部15a,15b,15cに加わる力の一部を受けとめて立体構造13bを強化し、ハンドル部13の変形を低減することができる。
【0057】
リブ状部16は、各梁状部15a,15b,15cに固定され且つ上下方向の面を有する平板状に形成されるため、各梁状部15a,15b,15cに対して、上下方向の曲げがより生じにくいように補強することができる。また、リブ状部16は、各梁状部15a,15b,15cの、歯ブラシの中心軸線を回転中心とした捻りが生じにくいように補強することができる。これらにより、立体構造13aの変形をより小さくすることが可能となる。
【0058】
また、リブ状部16が平板状に形成されるため、リブ状部16は歯ブラシ11の中心軸線から遠い位置に端縁を有する。そして、リブ状部16は立体構造13aの一部を構成し、前記端縁が立体構造13aの外側に対して露出することが可能である。これにより、使用者は、立体構造13aを手指、または、手指及び掌によって掴む際に、この端縁に触れることができてより容易にハンドル部13を把持することができる。
【0059】
平面視において格子状に形成されるため、歯ブラシ11は、左右方向又は前後方向の力が加わるときでも、その方向に広がる格子構造によって力を分散しやすい。そのため、歯ブラシ11は左右方向又は前後方向に曲がりにくく、口腔内の汚れを清掃するために、ヘッド部13を、左右方向に動かすときでも変形が起きにくい。
【0060】
また、前記格子構造の上下方向の端において、手指や掌は略格子状のハンドル部13に当接する。そのため使用者は、手指や掌が前記略格子状の面に触れるため、平滑な面のときに感じるようなべたつきを感じることなく歯ブラシ11を把持することができる。
【0061】
リブ状部16が外枠部14に固定されるため、使用時にリブ状部16の歯ブラシ11全体に対する位置及び姿勢が安定する。これにより、リブ状部16に固定される各梁状部15a,15b,15cの歯ブラシ11全体に対する位置及び姿勢も安定して、立体構造13aの変形はより起きにくい。
【0062】
立体構造13aが指掛かり部17を有するため、使用者は手指を用いて歯ブラシ11を自在に動かすことができる。これにより、歯ブラシ11は操作時に変形が起きにくい上に左右前後上下に自在に動かすことができるので口腔内の汚れの清掃が容易である。
【0063】
[実施例]
発明者は、本実施形態の実施例として、
図1及び
図3~7に示す歯ブラシ11であり、刷毛12aを植設する前の状態の歯ブラシ11を製作した。このような、刷毛を植設する前の状態の歯ブラシをブランクとよぶ。その上で、この実施例におけるブランクの各空隙13bの体積を測定して、この各空隙13bの体積の合計を、
図2に示す空隙を有しない状態のブランクの体積によって、すなわち、ヘッド部12の体積と各空隙13bを含むハンドル部13の総体積との合計によって除したところの数値は0.530であった。このような、各空隙の体積を合計した体積を、ヘッド部の体積と、全ての空隙を含んだハンドル部の総体積とを合わせた体積によって除した数値を空隙率とよびパーセンテージ(%)によって表示する。よって、実施例の空隙率は53.0%であった。
【0064】
これに対して、比較例1として
図8(a)(b)に示すブランクを製作した。
図8(a)が比較例1のブランクの平面図を示し、
図8(b)がブランクの左側面図を示す。比較例1においては、実施例と比べて、実施例における後ろから3列目までのリブ状部16からブランクの後端までの間に相当する部分に空隙を設けず、その部分には
図2と同様に空隙を有しない形状のブランクを製作した。この比較例1における空隙率は29.0%であった。
【0065】
また、比較例2として
図9(a)(b)に示すブランクを製作した。
図9(a)が比較例2のブランクの平面図を示し、
図9(b)がブランクの左側面図を示す。比較例2においては、実施例と比べて、実施例における後ろから1~3列部分の左右梁状部15a,15bと、実施例における後ろから1~3列のリブ状部16とを切除した構造のブランクを製作した。この比較例2における空隙率は63.6%であった。これらの実施例と各比較例とにおける空隙率を
図10の表に示す。
【0066】
そして発明者は、比較例1のブランクを製作した結果、この比較例1のように空隙率が30%未満の場合、歯ブラシ11全体の重量が、使用者の使用に際して十分にその軽量化の効果を感じられないほどのものであることを見出した。また、比較例2のブランクを製作した結果、この比較例2のように空隙率が60%以上の場合、歯ブラシ11全体の強度が、使用者の使用に対して不十分であることを見出した。
【0067】
よって、歯ブラシ11は、空隙率が30%以上、かつ、60%未満の範囲であることにより、ハンドル部13の全体体積に対する材料の充填量を低減することによって軽量化の効果を十分に感じられるものであり、しかも、同じく充填量を低減しながらも使用者の使用に対して耐えうるほどの強度を十分に有することができる。このように、本発明の歯ブラシ11の空隙率は30%以上、かつ、60%未満の範囲であることが好ましい。
【0068】
[第2の実施形態]
本発明の第2の実施形態を
図11を用いて説明する。
図11に示す歯ブラシ21は、ヘッド部22、ヘッド部22に植設される刷毛22a及びハンドル部23を有する。ハンドル部23は、ヘッド部22から後ろ向きに二股状に延設される左右の外枠部24a,24bと、これら左右外枠部24a,24bが二股に分かれる根元の部分である中外枠部24cとを有する。また、ハンドル部23は上下方向に膨出する立体構造23aを有する。
【0069】
立体構造23aは前後方向の梁状に形成される梁状部25と、上下方向及び左右方向に広がる平板状に形成されるリブ状部26とをそれぞれ複数含む。また、立体構造23aは
図11(a)の平面図に表わされているような上下方向に貫通する複数の空隙23bを有する。
図11(a)には、一部の空隙23bにしか符号を付していないが、それぞれの矩形に見えるスペースがそれぞれ空隙23bに形成される。空隙23bの一部は、各外枠部24a,24b,24c、各梁状部25及び各リブ状部26によって囲まれる空間により構成される。また、空隙23bの他の一部は、中外枠部24cにおいて前後方向一列に配置されて穿設されている。
【0070】
梁状部25は、前後方向に延びる左右一対の左梁状部25aと右梁状部25bとを含む。各梁状部25a,25bの前端は前から3つ目の空隙23bを後側から囲むリブ状部26に固定される。各梁状部25a,25bの後端は左右の外枠部24a,24bに固定される。また、各梁状部25a,25bは、それぞれと交差する各リブ状部26と固着する。
【0071】
各リブ状部26は、面方向が上下方向及び左右方向と一致する平板状に形成される。各リブ状部26は、その上下方向の長さが、それぞれが交差する部分における各梁状部25a,25bの上下方向の長さよりも大きく、
図11(b)の側面視において各梁状部25a,25bの稜線よりも上向きに突出して見えるように構成されている。また、各リブ状部26は、左右の隅がそれぞれ左右の外枠部24a,24bと固着する。
【0072】
各梁状部25a,25bと各リブ状部26とは、平面視において略直交し、平面視における略格子構造を成すような立体構造23aを構成する。また、各外枠部24a,24b,24cも、各梁状部25a,25b及び各リブ状部26との間で、平面視における略格子構造を成す立体構造23aを構成する。
【0073】
立体構造23aは、
図11(b)の左側面図が示すような指掛かり部27において下向きに凹むように湾曲する。
【0074】
その他の構成は、第1の実施形態と共通する。
【0075】
[第3の実施形態]
本発明の第3の実施形態を
図12及び
図13を用いて説明する。
図12に示す歯ブラシ31は、ヘッド部32、ヘッド部32に植設される刷毛32a及びハンドル部33を有する。ハンドル部33は、ヘッド部32から後ろ向きに二股状に延設される左右の外枠部34a,34bと、これら左右外枠部34a,34bが二股に分かれる根元の部分である中外枠部34cとを有する。また、ハンドル部33は上下方向に膨出する立体構造33aを有する。
【0076】
立体構造33aは前後方向の梁状に形成される梁状部35と、上下方向及び左右方向に広がる平板状に形成される左右一対のリブ状部38,39とをそれぞれ複数含む。また、立体構造33aは
図12(a)の平面図に表わされているような上下方向に貫通する複数の空隙33bを有する。
図12(a)には、一部の空隙33bにしか符号を付していないが、それぞれの矩形又は三角形に見えるスペースがそれぞれ空隙33bに形成される。空隙33bは、各外枠部34a,34b,34c、各梁状部35及び各リブ状部38,39によって囲まれる空間により構成される。
【0077】
梁状部35は、前後方向に延びる左右一対の左梁状部35aと右梁状部35bとを含む。各梁状部35a,35bの前端は中外枠部34cに固定される。各梁状部35a,35bの後端は左右の外枠部34a,34bに固定される。また、左梁状部35aは、左側のリブ状部である各左リブ状部38と固着し、右梁状部35bは、右側のリブ状部である各右リブ状部39と固着する。
【0078】
左右の各梁状部35a,35bの横断面は
図13(c)に表わされる。
図13(a)は、ハンドル部33の前後方向における中央部分を拡大視した平面図を表わす。そして、
図13(c)は、
図13(a)の指示線C-Cにより見る向きを指定した立体構造33aの横断面図を表わす。
図13(c)には、左右梁状部35a,35bの横断面のほか、左右外枠部34a,34bの横断面及び
図13(a)の後列の左リブ状部38a及び右リブ状部39aが表わされている。
【0079】
左右の各リブ状部38,39は、例えば
図13(a)の前列の各リブ状部38b,39bのように、面方向が上下方向及び左右方向と一致する平板状に形成される。そして、左右の各リブ状部38,39は、それぞれ歯ブラシ31の中心軸線から遠ざかる向きである左向き及び右向きに延びている。また、左右の各梁状部35a,35bと左右の各リブ状部38,39とは、正面視において略直交する。
図13(b)は、
図13(a)の指示線D-Dにより見る向きを指定した立体構造33aの横断面図を表わし、すなわち、
図13(a)の前列の左リブ状部38b及び右リブ状部39bの横断面図を表わす。
【0080】
左リブ状部38は、
図13(c)が表わすように左側隅が左外枠部34aと固着し、右側端が左梁状部35aと固着する。また、右リブ状部39は、左側端が右梁状部35bと固着し、右側隅が右外枠部34bと固着する。
【0081】
各梁状部35a,35b、各リブ状部38,39及び左右の各外枠部34a,34bは、各空隙33bが平面視における略格子構造を成すように立体構造33aを構成する。
【0082】
立体構造33aは、
図12(b)の左側面図が示すような指掛かり部37において下向きに凹むように湾曲する。
【0083】
その他の構成は、第1の実施形態と共通する。
【0084】
[第4の実施形態]
本発明の第4の実施形態を
図14を用いて説明する。
図14に示す歯ブラシ41は、ヘッド部42、ヘッド部42に植設される刷毛42a及びハンドル部43を有する。ハンドル部43は、ヘッド部42から後ろ向きに二股状に延設される左右の外枠部44a,44bと、これら左右外枠部44a,44bが二股に分かれる根元の部分である中外枠部44cとを有する。また、ハンドル部43は上下方向に膨出する立体構造43aを有する。
【0085】
立体構造43aは前後方向の梁状に形成される梁状部45と、左右方向に広がる平板状に形成される左右一対のリブ状部48,49とをそれぞれ複数含む。また、立体構造43aは
図14(a)の平面図に表わされているような上下方向に貫通する複数の空隙43bを有する。
図14(a)には、一部の空隙43bにしか符号を付していないが、それぞれの矩形又は三角形に見えるスペースがそれぞれ空隙43bに形成される。空隙43bは、各外枠部44a,44b,44c、各梁状部45及び各リブ状部48,49によって囲まれる空間により構成される。
【0086】
梁状部45は、前後方向に延びる左右一対の左梁状部45aと右梁状部45bとを含む。各梁状部45a,45bの前端は中外枠部44cに固定される。各梁状部45a,45bの後端は左右の外枠部44a,44bに固定される。また、左梁状部45aは、左側のリブ状部である各左リブ状部48の右側端縁と固着し、右梁状部45bは、右側のリブ状部である各右リブ状部49の左側端縁と固着する。
【0087】
各リブ状部48,49は、
図14(a)の平面図と、
図14(b)の左側面図のかくれ線とにより表わすように面方向が前後方向及び左右方向と一致する平板状に形成される。また、左右の各リブ状部48,49は、それぞれ歯ブラシ41の中心軸線から遠ざかる向きである左向き及び右向きに延びている。また、各左リブ状部48の左側端縁が左外枠部44aと固着し、各右リブ状部49の右側端縁が右外枠部44bと固着する。
【0088】
各梁状部45a,45b、各リブ状部48,49及び左右の各外枠部44a,44bは、各空隙43bが平面視における略格子構造を成すように立体構造43aを構成する。
【0089】
立体構造43aは、
図14(b)の左側面図が示すような指掛かり部47において下向きに凹むように湾曲する。
【0090】
その他の構成は、第1の実施形態及び第3の実施形態と共通する。
【0091】
[第5の実施形態]
本発明の第5の実施形態を
図15を用いて説明する。
図15に示す歯ブラシ51は、ヘッド部52、ヘッド部52に植設される刷毛52a及びハンドル部53を有する。ハンドル部53は、ヘッド部52から後ろ向きに二股状に延設される左右の外枠部54a,54bと、これら左右外枠部54a,54bが二股に分かれる根元の部分である中外枠部54cとを有する。また、ハンドル部53は上下方向に膨出する立体構造53aを有する。
【0092】
立体構造53aは前後方向の梁状に形成される梁状部55と、それぞれ上下方向及び左右方向に広がる平板状に形成される複数のリブ状部56とを含む。また、立体構造53aは
図15(a)の平面図に表わされているような上下方向に貫通する複数の空隙53bを有する。
図15(a)には、一部の空隙53bにしか符号を付していないが、それぞれの矩形又は三角形に見えるスペースがそれぞれ空隙53bに形成される。空隙53bは、各外枠部54a,54b,54c、梁状部55及び各リブ状部56によって囲まれる空間により構成される。
【0093】
梁状部55は前端が中外枠部54cに固定される。また、梁状部55の後端は、左右の外枠部54a,54bどうしがそれぞれの最後端において合流する箇所で左右の外枠部54a,54bに固定される。さらに、梁状部55はそれぞれ交差する各リブ状部56と固着する。
【0094】
各リブ状部56は、面方向が上下方向及び左右方向と一致する平板状に形成される。
図15(b)は前後方向のそれぞれの位置における各リブ状部56の横断面図を示す。また、各リブ状部56は、左右の隅がそれぞれ左右の外枠部54a,54bと固着する。
【0095】
梁状部55と各リブ状部56とは、平面視において略直交し、平面視における略格子構造を成すような立体構造53aを構成する。また、左右の外枠部54a,54bも、梁状部55及び各リブ状部56との間で、平面視における略格子構造を成す立体構造53aを構成する。
【0096】
立体構造53aは、
図15(b)の左側面図が示すような指掛かり部57において下向きに凹むように湾曲する。
【0097】
その他の構成は、第1の実施形態と共通する。
【0098】
以上、本発明の実施形態について例示したが、本発明はこれらの実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【0099】
例えば、梁状部の本数は1本又は2本に限ることがなく、それぞれの梁状部が細くなることによって上下方向の曲げ剛性、全体の強度等を損なうことにならなければ3本以上であってもよい。
【0100】
また、各梁状部どうしの配置は、必ずしもお互いに平行でなくともよく、全体として曲げ剛性、強度等を損なうことにならなければ斜めであってもよい。
【0101】
各梁状部及び各リブ状部の形状又はそれらの配置は、必ずしも左右対称でなくともよく、使用時の力の入り具合、立体構造の変形等が極端に不均等にならなければ非対称であってもよい。
【0102】
各梁状部の左右方向の板厚又は上下方向の幅が前後方向において必ずしも均一でなくともよく、また、各リブ状部の前後方向の板厚が上下方向又は左右方向において必ずしも均一でなくともよい。これらは、使用時の力の入り具合、立体構造の変形等が極端にばらついていなければ不均一であってもよい。
【0103】
各リブ状部は前後方向のピッチが均等となるように配置されなくともよく、使用時の力の入り具合、立体構造の変形等が極端に歪でなければピッチが不均等であってもよい。また、各リブ状部は面方向が必ずしも上下方向と一致せずともよく、梁状部を十分に補強することができれば、例えば前後左右に傾いて配置されてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0104】
本発明は、使用者が日常的に歯の汚れを清掃するための歯ブラシに利用できる。
【符号の説明】
【0105】
11,21,31,41,51 歯ブラシ
12,22,32,42,52 ヘッド部
12a,22a,32a,42a,52a 刷毛
13,23,33,43,53 ハンドル部
13a,23a,33a,43a,53a 立体構造
13b,23b,33b,43b,53b 空隙
14a,24a,34a,44a,54a 左外枠部(外枠部)
14b,24b,34b,44b,54b 右外枠部(外枠部)
14c,24c,34c,44c,54c 中外枠部(外枠部)
15a,25a,35a,45a 左梁状部(梁状部)
15b,25b,35b,45b 右梁状部(梁状部)
55 梁状部
16,26,56 リブ状部
17,27,37,47,57 指掛かり部
38,48 左リブ状部(リブ状部)
39,49 右リブ状部(リブ状部)