(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022182200
(43)【公開日】2022-12-08
(54)【発明の名称】ハンド装置
(51)【国際特許分類】
B25J 15/08 20060101AFI20221201BHJP
【FI】
B25J15/08 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021089636
(22)【出願日】2021-05-27
(71)【出願人】
【識別番号】515130201
【氏名又は名称】株式会社Preferred Networks
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】深谷 直樹
【テーマコード(参考)】
3C707
【Fターム(参考)】
3C707ES03
3C707ES07
3C707ET03
3C707EU13
3C707HS24
3C707HS27
3C707HT02
(57)【要約】
【課題】物体を安定して把持することができるハンド装置を提供する。
【解決手段】本発明の一つの実施形態に係るハンド装置は、基体と、第1の指と、第2の指と、連動装置とを備える。前記基体は、第1の接続部と、前記第1の接続部から離間した第2の接続部と、を有する。前記第1の指は、前記第1の接続部に接続され、前記第2の接続部に近づくように回動可能であるとともに、物体への当接に応じて屈曲可能である。前記第2の指は、前記第2の接続部に接続され、前記第1の接続部に近づくように回動可能であるとともに、物体への当接に応じて屈曲可能である。前記連動装置は、前記第1の指の回動と前記第2の指の回動とを連動させることが可能であるとともに、前記第1の指及び前記第2の指のうち少なくとも一方に作用する外力に応じて前記第1の指と前記第2の指とを互いに独立して回動可能にする。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の接続部と、前記第1の接続部から離間した第2の接続部と、を有する基体と、
前記第1の接続部に接続され、前記第2の接続部に近づくように回動可能であるとともに、物体への当接に応じて屈曲可能である、第1の指と、
前記第2の接続部に接続され、前記第1の接続部に近づくように回動可能であるとともに、物体への当接に応じて屈曲可能である、第2の指と、
前記第1の指の回動と前記第2の指の回動とを連動させることが可能であるとともに、前記第1の指及び前記第2の指のうち少なくとも一方に作用する外力に応じて前記第1の指と前記第2の指とを互いに独立して回動可能にする、連動装置と、
を具備するハンド装置。
【請求項2】
前記連動装置は、前記第1の指の回動よって生じた力を前記第2の指に伝達する、
請求項1に記載のハンド装置。
【請求項3】
前記連動装置は、前記第2の指の回動よって生じた力を前記第1の指に伝達する、
請求項1又は請求項2に記載のハンド装置。
【請求項4】
前記連動装置は、前記第1の指の回動から独立して回転可能な第1の回転体と、前記第1の回転体の回転に連動して回転可能であるとともに前記第1の回転体と前記第2の指との間で回転する力を伝達することが可能な第2の回転体と、前記第1の回転体と前記第1の指とを接続する第1の弾性体と、を有し、前記第1の指の回動と前記第2の指の回動とが連動するように前記第1の指と前記第2の指との間で回転する力を伝達することが可能であり、
前記第1の弾性体は、前記第1の指と前記第1の回転体との相対的な回転に応じて変形する、
請求項1乃至請求項3のいずれか一つに記載のハンド装置。
【請求項5】
前記第1の回転体は第1の歯車を有し、
前記第2の回転体は前記第1の歯車と噛み合う第2の歯車を有する、
請求項4に記載のハンド装置。
【請求項6】
前記連動装置は、前記第1の回転体と前記第2の回転体との間で回転する力を伝達する回転伝達部品をさらに有する、請求項4又は請求項5に記載のハンド装置。
【請求項7】
前記連動装置は、前記第2の回転体と前記第2の指とを接続する第2の弾性体をさらに有し、
前記第2の回転体は、前記第2の指の回動から独立して回転可能であり、
前記第2の弾性体は、前記第2の指と前記第2の回転体との相対的な回転に応じて変形する、
請求項4乃至請求項6のいずれか一つに記載のハンド装置。
【請求項8】
前記第1の指は、前記第1の弾性体が接続される第3の接続部を有し、
前記第1の回転体は、前記第1の弾性体が接続される第4の接続部を有し、
前記第1の弾性体は、前記第3の接続部と前記第4の接続部との間で前記第1の指と前記第1の回転体とを互いに引っ張る、
請求項4乃至請求項7のいずれか一つに記載のハンド装置。
【請求項9】
前記第1の弾性体は、屈曲した前記第1の指を伸展させるように当該第1の指を引っ張る、請求項8に記載のハンド装置。
【請求項10】
前記連動装置は、第1の外力が前記第1の指及び前記第2の指のうち少なくとも一方に作用したときに当該第1の指と前記第2の指とを互いに独立して回動可能にし、
前記第1の外力は、前記第1の指及び前記第2の指のうち一方の指が当該指の物体への当接に応じて屈曲するときに前記指に作用する第2の外力よりも小さい、
請求項1乃至請求項9のいずれか一つに記載のハンド装置。
【請求項11】
前記第1の指及び前記第2の指に接続された中間部品と、前記中間部品を移動させるアクチュエータと、を有し、前記中間部品の前記第1の接続部に対する少なくとも部分的な移動に応じて前記第1の指に回動及び屈曲のうち少なくとも一方を行わせ、前記中間部品の前記第2の接続部に対する少なくとも部分的な移動に応じて前記第2の指に回動及び屈曲のうち少なくとも一方を行わせる、駆動機構、をさらに具備する請求項1乃至請求項10のいずれか一つに記載のハンド装置。
【請求項12】
前記中間部品は、前記中間部品と前記第1の接続部との間の距離が前記中間部品と前記第2の接続部との間の距離と異なる位置に移動可能である、請求項11に記載のハンド装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、ハンド装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えばロボットの手として、複数の指を有するハンド装置が知られる。ハンド装置は、例えば、アクチュエータにより駆動され、互いに近付き又は離れるように移動する二つの指を有する。
【0003】
ハンド装置は、二つの指の間に位置する物体を把持することができる。しかし、種々の要因により、ハンド装置が物体を安定して把持することが難しい場合がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明が解決する課題の一例は、物体を安定して把持することができるハンド装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一つの実施形態に係るハンド装置は、基体と、第1の指と、第2の指と、連動装置とを備える。前記基体は、第1の接続部と、前記第1の接続部から離間した第2の接続部と、を有する。前記第1の指は、前記第1の接続部に接続され、前記第2の接続部に近づくように回動可能であるとともに、物体への当接に応じて屈曲可能である。前記第2の指は、前記第2の接続部に接続され、前記第1の接続部に近づくように回動可能であるとともに、物体への当接に応じて屈曲可能である。前記連動装置は、前記第1の指の回動と前記第2の指の回動とを連動させることが可能であるとともに、前記第1の指及び前記第2の指のうち少なくとも一方に作用する外力に応じて前記第1の指と前記第2の指とを互いに独立して回動可能にする。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】
図1は、第1の実施形態に係るハンド装置を概略的に示す平面図である。
【
図2】
図2は、第1の実施形態のハンド装置を、連動装置を除いて概略的に示す平面図である。
【
図3】
図3は、第1の実施形態の第1の指を概略的に示す断面図である。
【
図4】
図4は、第1の実施形態の第1の指及び第2の指が開いたハンド装置を概略的に示す平面図である。
【
図5】
図5は、第1の実施形態の物体を把持するハンド装置の第1の例を概略的に示す平面図である。
【
図6】
図6は、第1の実施形態の物体を把持するハンド装置の第2の例を概略的に示す平面図である。
【
図7】
図7は、第2の実施形態に係るハンド装置を概略的に示す平面図である。
【
図8】
図8は、第3の実施形態に係るハンド装置を概略的に示す平面図である。
【
図9】
図9は、第4の実施形態に係るハンド装置を概略的に示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
(第1の実施形態)
以下に、第1の実施形態について、
図1乃至
図6を参照して説明する。なお、本明細書において、実施形態に係る構成要素及び当該要素の説明が、複数の表現で記載されることがある。構成要素及びその説明は、一例であり、本明細書の表現によって限定されない。構成要素は、本明細書におけるものとは異なる名称でも特定され得る。また、構成要素は、本明細書の表現とは異なる表現によっても説明され得る。
【0009】
図1は、第1の実施形態に係るハンド装置10を概略的に示す平面図である。本実施形態のハンド装置10は、ロボット1に搭載される、いわゆるロボットハンドである。ハンド装置10は、例えば、グリッパとも称され得る。
【0010】
ロボット1は、例えば、支持台からアームが延びた産業用ロボットであっても良いし、人型の体を有する人間型ロボットであっても良い。なお、ハンド装置10は、人間が装着可能な義手のような、他の装置に搭載されても良い。
【0011】
本実施形態のロボット1は、制御部2と、ハンド装置10とを有する。制御部2は、ハンド装置10を制御する。制御部2は、例えば、Central Processing Unit(CPU)のような処理装置と、Random Access Memory(RAM)やRead Only Memory(ROM)のようなメモリと、Hard Disk Drive(HDD)又はSolid State Drive(SSD)のような補助記憶装置と、を有するコンピュータである。制御部2は、バッテリのような電源を有しても良い。また、電源はロボット1の外部に設けられても良い。なお、制御部2がハンド装置10に設けられなくても良い。
【0012】
ハンド装置10は、基体12と、第1の指13と、第2の指14と、駆動機構15と、連動装置16とを有する。すなわち、本実施形態のハンド装置10は、第1及び第2の指13,14という二本の指を有する。なお、ハンド装置10は、この例に限られず、人間の手のように五本の指を有しても良い。
【0013】
本明細書において、便宜上、X軸、Y軸及びZ軸が定義される。X軸とY軸とZ軸とは、互いに直交する。X軸は、ハンド装置10の幅に沿って設けられる。Y軸は、ハンド装置10の長さに沿って設けられる。Z軸は、ハンド装置10の厚さに沿って設けられる。
【0014】
さらに、本明細書において、X方向、Y方向及びZ方向が定義される。X方向は、X軸に沿う方向であって、X軸の矢印が示す+X方向と、X軸の矢印の反対方向である-X方向とを含む。Y方向は、Y軸に沿う方向であって、Y軸の矢印が示す+Y方向と、Y軸の矢印の反対方向である-Y方向とを含む。Z方向は、Z軸に沿う方向であって、互いに反対の二方向である+Z方向と-Z方向とを含む。
【0015】
図2は、第1の実施形態のハンド装置10を、連動装置16を除いて概略的に示す平面図である。
図2に示すように、本実施形態において、基体12は、例えば、筐体20と、第1の接続部21と、第2の接続部22とを有する。筐体20は、略箱状に形成される。
図2は、筐体20及びその内部を模式的に示している。
【0016】
第1の接続部21及び第2の接続部22は、+Y方向における筐体20の端部20aに設けられる。すなわち、第1の接続部21及び第2の接続部22は、筐体20の共通の端部20aに設けられる。なお、第1の接続部21と第2の接続部22とが、筐体20の互いに異なる部分に設けられても良い。
【0017】
第2の接続部22は、第1の接続部21から、X方向(本実施形態では+X方向)に離間している。第1の接続部21と第2の接続部22との間において、筐体20に挿通口20bが設けられる。挿通口20bは、+Y方向における筐体20の端部20aに開口し、筐体20の内部と外部とを連通する。
【0018】
第1の指13は、第1の接続部21に接続される。第2の指14は、第2の接続部22に接続される。すなわち、第2の指14は、第1の指13から離間した位置で、基体12に接続される。第1の指13及び第2の指14は、対向するとともに、互いに近付くように曲がることが可能である。本実施形態において、曲がるということは、例えば、根元を起点とする全体的な回動と、各関節における屈曲とを含む。
【0019】
本実施形態において、第1の指13と第2の指14とは、略同一の形状、構造、及び機能を有する。このため、以下の記載では、主に第1の指13について説明する。第2の指14の形状、構造、及び機能は、特段の記載が無い場合、下記の説明について、第1の指13を第2の指14と読み替えることで理解され得る。ただし、
図2に示すように、第1の指13と第2の指14とは、互いに鏡面対称となるように、基体12に接続される。また、第1の指13と第2の指14とは、互いに異なる形状、構造、及び機能を有しても良い。
【0020】
図3は、第1の実施形態の第1の指13を概略的に示す断面図である。
図3に示すように、本実施形態の第1の指13及び第2の指14はそれぞれ、第1の部分41、第2の部分42、第3の部分43、回転板44、第1のロッド45、及び第2のロッド46を有する。
【0021】
本実施形態において、第1の部分41は、人間の指の基節骨に相当する部分を形成する。第2の部分42は、人間の指の末節骨に相当する部分を形成する。第3の部分43は、人間の指の中節骨に相当する部分を形成する。つまり、第1の部分41は、第1の指13のうち、基体12に最も近い位置にある部分である。また、第2の部分42は第1の指13の先端にあり、第3の部分43は第1の部分41と第2の部分42の間にある。
【0022】
第1の部分41、第2の部分42、及び第3の部分43はそれぞれ、基端部41a,42a,43aと、先端部41b,42b,43bと、を有する。基端部41a,42a,43aは、基体12に近い第1の部分41、第2の部分42、及び第3の部分43の端部である。先端部41b,42b,43bは、基体12から遠い第1の部分41、第2の部分42、及び第3の部分43の端部である。
【0023】
第3の部分43の基端部43aに、Z方向に延びる接続軸51が設けられている。第1の部分41の先端部41bは、接続軸51の中心軸Axb1まわりに回転可能に、接続軸51に接続される。すなわち、接続軸51は、第1の部分41と第3の部分43との間の関節である。
【0024】
第2の部分42の基端部42aに、Z方向に延びる接続軸52が設けられる。第3の部分43の先端部43bは、接続軸52の中心軸Axb2まわりに回転可能に、接続軸52に接続される。すなわち、接続軸52は、第2の部分42と第3の部分43との間の関節である。第2の部分42は、接続軸52、第3の部分43、及び接続軸51を介して、中心軸Axb1まわりに回転可能に第1の部分41に接続されている。
【0025】
回転板44は、中部44aと、第1の腕部44bと、第2の腕部44cとを有する。第1の部分41の基端部41aに、Z方向に延びる接続軸53が設けられている。回転板44の中部44aは、接続軸53の中心軸Axb3まわりに回転可能に、接続軸53に取り付けられる。
【0026】
第1の腕部44b及び第2の腕部44cは、中部44aから、中心軸Axb3と略直交する方向に延びている。例えば、第1の腕部44bは第1の指13の甲に向かって延び、第2の腕部44cは第1の指13の腹に向かって延びる。第1の腕部44bに、Z方向に延びる接続軸54が設けられる。
【0027】
図2の基体12の第1の接続部21は、第1の指13の接続軸53の中心軸Axb3まわりに回転可能に、接続軸53に取り付けられる。また、第2の接続部22は、第2の指14の接続軸53の中心軸Axb3まわりに回転可能に、接続軸53に取り付けられる。すなわち、接続軸53は、第1の部分41と基体12との間の関節である。
【0028】
第1の指13の第1の部分41及び回転板44は、接続軸53を介して、第1の接続部21に回転可能に接続されている。第2の指14の第1の部分41及び回転板44は、接続軸53を介して、第2の接続部22に回転可能に接続されている。第1の指13及び第2の指14は、全体として、接続軸53の中心軸Axb3まわりに回動する(曲がる)ことが可能である。
【0029】
第1の指13の回動の中心である接続軸53の中心軸Axb3は、第1の接続部21に設けられる。また、第2の指14の回動の中心である接続軸53の中心軸Axb3は、第2の接続部22に設けられる。また、第1の接続部21に設けられた中心軸Axb3と、第2の接続部22に設けられた中心軸Axb3とは、略平行に延びている。
【0030】
図3に示すように、第3の部分43の基端部43aに、Z方向に延びる接続軸55が設けられている。本実施形態では、接続軸55は、接続軸51よりも、第1の指13の腹に近い。第1のロッド45は、回転板44の第2の腕部44cと、接続軸55とに、回転可能に接続される。
【0031】
第1の部分41の先端部41bに、Z方向に延びる接続軸56が設けられている。本実施形態において、接続軸56は、接続軸51と接続軸53との間に位置する。第2の部分42の基端部42aに、Z方向に延びる接続軸57が設けられている。本実施形態では、接続軸57は、接続軸52よりも、第1の指13の甲に近い。第2のロッド46は、接続軸56と接続軸57とに、回転可能に接続される。
【0032】
本実施形態において、接続軸51~57は、互いに略平行に延びている。このため、第1の部分41、第2の部分42、第3の部分43、回転板44、第1のロッド45、及び第2のロッド46は、共通の仮想平面上で回転可能である。
【0033】
回転板44の第2の腕部44cが基体12に向かって引かれると、第1の指13に、中心軸Axb3まわりの回転方向Dp1のトルクが与えられる。これにより、第1の指13は、基体12に対して回転方向Dp1に回動することができる。
【0034】
第1の指13は、第1の接続部21に設けられた中心軸Axb3まわりに回転する。また、中心軸Axb3は、第1の接続部21と第2の接続部22とが互いに離間する方向(X方向)と略直交する方向に延びている。このため、第1の指13が回転方向Dp1に回動すると、第1の指13が第2の接続部22に近づく。すなわち、第1の指13は、第2の接続部22に近づくように回動することができる。同様に、第2の指14は、第1の接続部21に近づくように回動することができる。
【0035】
また、回転板44の第2の腕部44cが基体12に向かって引かれると、回転板44に、接続軸53まわりの回転方向Dp1のトルクが与えられる。回転板44が回転すると、第1の部分41に回転方向Dp1のトルクが与えられるとともに、第1のロッド45が第3の部分43を引く。これにより、第3の部分43に、接続軸51まわりの回転方向Dp2のトルクが与えられる。
【0036】
第3の部分43が回転方向Dp2に回転すると、第3の部分43が第2の部分42を引く。これにより、第2の部分42に接続軸52まわりの回転方向Dp3のトルクが与えられる。第1の部分41、第2の部分42、及び第3の部分43が回転方向Dp1,Dp2,Dp3に回転することで、第1の指13が曲がる(屈曲する)。
【0037】
図2に示すように、本実施形態の第1の指13及び第2の指14のそれぞれに、第1の部分41を回転方向Dp1の反対方向に付勢させる弾性体58が設けられる。弾性体58は、例えば、筐体20と、回転板44の第1の腕部44bとに接続される。
【0038】
図3に示すように、第1の指13及び第2の指14のそれぞれに、第2の部分42及び第3の部分43を回転方向Dp2,Dp3の反対方向に付勢する弾性体59が設けられる。弾性体59は、例えば、第1の部分41の先端部41bと、第2の部分42の基端部42aとに接続される。
【0039】
弾性体58,59は、例えば、コイルバネである。弾性体58は第1の部分41を回転方向Dp1の反対方向に回転するように付勢する。弾性体59は、第2の部分42及び第3の部分43を回転方向Dp2,Dp3の反対方向に回転するように付勢する。このように、第1の指13の弾性体58,59は、第1の指13が伸展するように当該第1の指13を付勢する。さらに、第2の指14の弾性体58,59は、第2の指14が伸展するように当該第2の指14を付勢する。
【0040】
図4は、第1の実施形態の第1の指13及び第2の指14が開いたハンド装置10を概略的に示す平面図である。
図4に示すように、第1の指13の弾性体58は、第1の指13を、第2の指14及び第2の接続部22から遠ざけるように、第1の接続部21に設けられた中心軸Axb3まわりに回転させることができる。さらに、第2の指14の弾性体58は、第2の指14を、第1の指13及び第1の接続部21から遠ざけるように、第2の接続部22に設けられた中心軸Axb3まわりに回転させることができる。
【0041】
弾性体58,59は、第1の指13及び第2の指14を伸展させることが可能な他の弾性体であっても良い。例えば、弾性体58,59は、押しバネ、巻きバネ、又は他の形状のバネであっても良く、ゴムのような弾性体であっても良い。また、例えば駆動機構15によって第1の指13及び第2の指14が伸展することが可能な場合、弾性体58,59が省略されても良い。また、弾性体58、59のうちどちらか一方が第1の指13及び第2の指14を伸展させることができる場合、伸展に寄与しない弾性体58又は弾性体59は省略され得る。
【0042】
本実施形態では、
図3の弾性体59が第2の部分42と第1の部分41とをつないで弾性力を予め与える。これにより、第1の指13の回転方向Dp1の回動が、第3の部分43の回転方向Dp2の回転及び第2の部分42の回転方向Dp3の回転(屈曲)より先に生じ得る。回転方向Dp1に回動する第1の指13が他の物体に当接し、又は所定の角度まで回転して弾性体59の弾性力を上回る力が印加されると、第3の部分43及び第2の部分42が回転(屈曲)する。
【0043】
図5は、第1の実施形態の物体Oを把持するハンド装置10の第1の例を概略的に示す平面図である。
図5に示すように、第2の部分42及び第3の部分43は、第1の部分41が物体Oに当接すると回転(屈曲)する。第2の部分42は、第3の部分43が物体Oに当接すると回転(屈曲)する。これにより、第1の指13及び第2の指14は、当該第1の指13及び第2の指14に当接する物体Oの形状に応じて(馴染んで)屈曲することができる。言い換えると、第1の指13及び第2の指14は、物体Oへの当接に応じて屈曲することができる。
【0044】
本実施形態では、複数の部分で構成された第1の指13の一部分が物体Oに当接して大まかに握った後に、第1の指13の他の部分が曲がって物体Oに接触することで、より精密に物体を握る。また、第1の指13は、基体12に近い部分でまず第1の当接を行い、次の先端に近い部分において第2の当接を行うことで、より物体Oに負荷をかけずに物体Oの形状に馴染むことが可能である。すなわち、第1の指13と物体Oとの複数の接点において、第1の指13から物体Oへ作用する力が互いに近くなり、又は平均化される。
【0045】
第1の指13は、上述のように曲がることで、第2の指14及び第2の接続部22に近づく。言い換えると、第1の指13は、第2の指14及び第2の接続部22に近づくように動くことができる。第1の部分41、第2の部分42、及び第3の部分43はそれぞれ、第2の指14及び第2の接続部22に近づくように回転可能である。なお、第1の指13は、第2の指14及び第2の接続部22から遠ざかるようにも動くことができ、第1の部分41、第2の部分42、及び第3の部分43は、第2の指14及び第2の接続部22から遠ざかるように回転可能でもある。
【0046】
第2の指14は、上述の第1の指13と同様に曲がることで、第1の指13及び第1の接続部21に近づく。言い換えると、第2の指14は、第1の指13及び第1の接続部21に近づくように動くことができる。第1の部分41、第2の部分42、及び第3の部分43はそれぞれ、第1の指13及び第1の接続部21に近づくように回転可能である。なお、第2の指14は、第1の指13及び第1の接続部21から遠ざかるようにも動くことができ、第1の部分41、第2の部分42、及び第3の部分43は、第1の指13及び第1の接続部21から遠ざかるように回転可能でもある。
【0047】
第1の接続部21と第2の接続部22とは、X方向に間隔を介して並べられる。このため、第1の指13と第2の指14とは、X方向に間隔を介して並べられることができる。このため、第1の指13の第1の部分41、第2の部分42、及び第3の部分43は、第2の接続部22に近づくように回転可能である。さらに、第2の指14の第1の部分41、第2の部分42、及び第3の部分43は、第1の接続部21に近づくように回転可能である。
【0048】
第2の部分42は、腹面42cを有する。例えば
図2に示すように、第1の指13及び第2の指14がY方向に伸展した状態において、第1の指13の腹面42cと、第2の指14の腹面42cとは、対向可能である。また、第1の指13及び第2の指14は、第1の指13の腹面42cと第2の指14の腹面42cとが互いに接触するように曲がることが可能である。
【0049】
第1の指13及び第2の指14は、上述の構成に限られない。例えば、第1の指13及び第2の指14のうち少なくとも一方は、内部で延ばされたワイヤを引っ張ることで曲がり、当該ワイヤを押すことで伸展することが可能であっても良い。また、第1の指13及び第2の指14のうち少なくとも一方は、流体を供給されることで曲がり、流体を排出されることで伸展することが可能であっても良い。
【0050】
本実施形態の駆動機構15は、アクチュエータ61と、伝達機構62とを有する。アクチュエータ61は、例えば、サーボモータである。なお、アクチュエータ61は、この例に限らず、ソレノイド、動力シリンダ、及びリニアアクチュエータのような、他のアクチュエータであっても良い。アクチュエータ61は、例えば、筐体20に取り付けられる。
【0051】
本実施形態のアクチュエータ61は、略Z方向に延びる駆動軸61aを有する。アクチュエータ61は、駆動軸61aを、当該駆動軸61aの中心軸Axdまわりに回転駆動させることができる。駆動軸61aは、筐体20の内部に配置される。
【0052】
伝達機構62は、アクチュエータ61と、第1の指13と、第2の指14との間で、力を伝達する。本実施形態では、伝達機構62が、アクチュエータ61と、回転板44の第2の腕部44cとの間で力を伝達することにより、第1の指13及び第2の指14のうち少なくとも一方が曲がり、又は伸展することができる。本実施形態の伝達機構62は、駆動部品71と、中間部品72と、第1の伝達部品73と、第2の伝達部品74と、第3の伝達部品75とを有する。
【0053】
本実施形態の駆動部品71は、中心軸Axdと略直交する円盤状に形成される。なお、駆動部品71は、この例に限られず、他の形状に形成されても良い。本実施形態において、駆動部品71は、アクチュエータ61の駆動軸61aに取り付けられ、筐体20の内部に配置される。なお、駆動部品71は、他の部品に回転可能に支持されても良い。この場合、例えば、アクチュエータ61の駆動軸61aは、種々の機構を介して駆動部品71を回転させる。
【0054】
アクチュエータ61は、駆動軸61a及び駆動部品71を、第1の方向D1及び第2の方向D2に選択的に回転駆動させることが可能である。言い換えると、駆動部品71は、第1の方向D1と第2の方向D2とに動くことが可能である。
【0055】
本実施形態において、第1の方向D1は、中心軸Axdまわりに回転する一方向である。第2の方向D2は、第1の方向D1の反対方向であり、中心軸Axdまわりに回転する他方向である。
図2の例において、第1の方向D1は反時計回り方向であり、第2の方向D2は時計回り方向である。
【0056】
本実施形態のアクチュエータ61は、制御部2に電気的に接続される。制御部2は、アクチュエータ61を制御するドライバを有する。例えば、制御部2がアクチュエータ61の端子に電圧を印加することで、当該電圧に応じて、アクチュエータ61が駆動軸61aを第1の方向D1又は第2の方向に回転駆動させる。
【0057】
本実施形態の中間部品72は、略棒状に形成されたリンクである。なお、中間部品72は、他の形状であっても良い。中間部品72は、第1の連結部72aと、第2の連結部72bと、第3の連結部72cとを有する。
【0058】
本実施形態において、第1の連結部72aは、中間部品72の長手方向における一方の端部に設けられる。第2の連結部72bは、中間部品72の長手方向における他方の端部に設けられる。第3の連結部72cは、第1の連結部72aと第2の連結部72bとの間の略中央に設けられる。すなわち、第1の連結部72aと第3の連結部72cとの間の距離は、第2の連結部72bと第3の連結部72cとの間の距離と略等しい。なお、第1の連結部72a、第2の連結部72b、及び第3の連結部72cとの位置は、この例に限られない。
【0059】
第1の連結部72aは、第2の接続部22よりも、第1の接続部21の方に近い。言い換えると、第1の連結部72aと第1の接続部21との間の距離は、第1の連結部72aと第2の接続部22との間の距離よりも短い。また、第2の連結部72bは、第1の接続部21よりも、第2の接続部22の方に近い。
【0060】
第1の伝達部品73、第2の伝達部品74、及び第3の伝達部品75はそれぞれ、単一の部材、複数のリンク、チェーン、ジョイント、又は他の種々の部品を含み得る。本実施形態では、第1の伝達部品73、第2の伝達部品74、及び第3の伝達部品75はそれぞれ、互いに結合された複数のリンクを有する。各図面は、第1の伝達部品73、第2の伝達部品74、及び第3の伝達部品75を二点鎖線で模式的に示す。なお、第1の伝達部品73、第2の伝達部品74、及び第3の伝達部品75はそれぞれ、一つの部品のみを有しても良い。
【0061】
複数のリンクを含む第1の伝達部品73、第2の伝達部品74、及び第3の伝達部品75のそれぞれは、両端が近づくことで撓むことができる。なお、第1の伝達部品73、第2の伝達部品74、及び第3の伝達部品75はそれぞれ、剛体であっても良い。また、第1の伝達部品73、第2の伝達部品74、及び第3の伝達部品75はそれぞれ、例えばシリンダのように、剛体を含むとともに収縮可能な機構部品を有しても良い。
【0062】
第1の伝達部品73の一方の端部は、筐体20の内部で中間部品72の第1の連結部72aに接続される。第1の伝達部品73の他方の端部は、筐体20の外部で第1の指13の回転板44の第2の腕部44cに接続される。すなわち、第1の伝達部品73は、中間部品72と第1の指13とを接続する。第1の指13は、第1の伝達部品73を介して、中間部品72に接続される。なお、第1の指13は、中間部品72に直接的に接続されても良い。第1の伝達部品73は、筐体20の挿通口20bを通り、筐体20の内部と外部とに亘って延びている。
【0063】
第2の伝達部品74の一方の端部は、筐体20の内部で中間部品72の第2の連結部72bに接続される。第2の伝達部品74の他方の端部は、筐体20の外部で第2の指14の回転板44の第2の腕部44cに接続される。すなわち、第2の伝達部品74は、第1の伝達部品73から離間した位置で中間部品72に接続され、中間部品72と第2の指14とを接続する。第2の指14は、第2の伝達部品74を介して、中間部品72に接続される。なお、第2の指14は、中間部品72に直接的に接続されても良い。第2の伝達部品74は、筐体20の挿通口20bを通り、筐体20の内部と外部とに亘って延びている。
【0064】
第3の伝達部品75の一方の端部は、筐体20の内部で中間部品72の第3の連結部72cに接続される。第3の伝達部品75の他方の端部は、筐体20の内部において、駆動軸61aから離間した位置で駆動部品71に接続される。すなわち、第3の伝達部品75は、第1の伝達部品73及び第2の伝達部品74から離間した位置で中間部品72に接続され、中間部品72とアクチュエータ61とを、駆動部品71を介して接続する。なお、アクチュエータ61は、中間部品72に直接的に接続されても良い。
【0065】
本実施形態の中間部品72は、略Z方向に延びる第3の連結部72cの中心軸Axrまわりに回転可能に、第3の伝達部品75に接続される。さらに、中間部品72は、第1の伝達部品73、第2の伝達部品74、及び第3の伝達部品75から中間部品72に作用する張力に応じて、X方向及びY方向のうち少なくとも一方に変位することができる。
図4に示すように、中間部品72は、Y方向に移動することで、挿通口20bを通じて筐体20の内部及び外部の間を移動しても良い。
【0066】
本実施形態において、駆動機構15は、第1の指13及び第2の指14のうち少なくとも一方を、例えば下記に記載するように曲げ、又は伸展させる。なお、駆動機構15が第1の指13及び第2の指14を曲げ又は伸展させる方法は、以下に説明される方法に限られない。
【0067】
アクチュエータ61が駆動部品71を第1の方向D1に回転させることで、駆動部品71が、第3の伝達部品75を介して中間部品72を引く。このように、アクチュエータ61は、中間部品72を移動させることが可能である。
【0068】
アクチュエータ61の回転により駆動部品71が中間部品72を引く構成は、あくまで一例である。例えば、アクチュエータ61が、回転力ではなく直線的な力を生じる動力シリンダのような他のアクチュエータである場合がある。この場合、アクチュエータ61が駆動部品71を直線的に移動させることで、駆動部品71が、第3の伝達部品75を介して中間部品72を引く。このように、アクチュエータ61が駆動部品71を介して中間部品72を動かすことができれば、アクチュエータ61の種類は限定されない。
【0069】
アクチュエータ61に引かれた中間部品72は、第1の接続部21及び第2の接続部22に対して少なくとも部分的に移動する。例えば、中間部品72は、X方向及びY方向のうち少なくとも一方に変位する。また、中間部品72は、第3の連結部72cの中心軸Axrまわりに回転する。少なくとも部分的な移動は、例えば、変位、揺動、回動、回転、及び変形を含む。
【0070】
中間部品72が第1の接続部21に対して少なくとも部分的に移動することで、中間部品72と第1の接続部21の少なくとも一部との間の距離が変化する。例えば、中間部品72の第1の連結部72aが、第1の接続部21から離間する。これにより、中間部品72は、第1の伝達部品73を介して、第1の指13の回転板44の第2の腕部44cを引く。中間部品72、第1の伝達部品73、及び第3の伝達部品75は、駆動部品71と回転板44の第2の腕部44cとの間で引張力を伝達する。
【0071】
上述のように、回転板44の第2の腕部44cが引かれると、第1の指13が曲がる(回動し屈曲する)。このように、アクチュエータ61は、動くことが可能な第1の指13を駆動させ、曲げさせる。別の表現によれば、駆動機構15は、中間部品72の第1の接続部21に対する少なくとも部分的な移動に応じて、第1の指13に回動及び屈曲のうち少なくとも一方を行わせる。
【0072】
また、中間部品72が第2の接続部22に対して少なくとも部分的に移動することで、中間部品72と第2の接続部22の少なくとも一部との間の距離が変化する。例えば、中間部品72の第2の連結部72bが、第2の接続部22から離間する。これにより、中間部品72は、第2の伝達部品74を介して、第2の指14の回転板44の第2の腕部44cを引く。中間部品72、第2の伝達部品74、及び第3の伝達部品75は、駆動部品71と回転板44の第2の腕部44cとの間で引張力を伝達する。
【0073】
上述のように、回転板44の第2の腕部44cが引かれると、第2の指14が曲がる(回動し、屈曲する)。このように、アクチュエータ61は、動くことが可能な第2の指14を駆動させ、曲げさせる。別の表現によれば、駆動機構15は、中間部品72の第2の接続部22に対する少なくとも部分的な移動に応じて、第2の指14に回動及び屈曲のうち少なくとも一方を行わせる。
【0074】
上述のように、本実施形態では、第1の指13及び第2の指14は、物体Oへの当接に応じて屈曲することで、物体Oの形状に対応するように(馴染むように)屈曲することができる。すなわち、
図5に示すように、第1の指13及び第2の指14は、駆動部品71の動きに応じて、当該第1の指13及び第2の指14に接触した物体Oの形状に適応して複数の関節(51~53)のうち少なくとも一つを曲げる。このため、第1の指13及び第2の指14と、物体Oと、の接触部分が多くなり、第1の指13及び第2の指14が物体Oを安定的に握る(掴む、把持する)ことができる。
【0075】
本実施形態において、アクチュエータ61が駆動部品71を第2の方向D2に駆動すると、駆動部品71が中間部品72を第1の接続部21及び第2の接続部22に近づける。例えば、中間部品72の第1の連結部72aが第1の接続部21に近づくとともに、中間部品72の第2の連結部72bが第2の接続部22に近づく。これにより、第1の指13及び第2の指14に作用する引張力が解除又は低減され、例えば弾性体58,59のうち少なくとも一方の復元力により第1の指13及び第2の指14が伸展する。
【0076】
図6は、第1の実施形態の物体Oを把持するハンド装置10の第2の例を概略的に示す平面図である。
図6に示すように、ハンド装置10は、第1の指13の第2の部分42の腹面42cと、第2の指14の第2の部分42の腹面42cとで、物体Oを摘まむことができる。
【0077】
第1の指13及び第2の指14は、第2の部分42が物体Oに接触し、第1の部分41及び第3の部分43が物体Oから離間している場合、第2の部分42及び第3の部分43を屈曲させずに伸展する。この場合、第1の指13及び第2の指14は、物体Oに安定的に力を作用させる。このため、ハンド装置10は、第1の指13及び第2の指14の第2の部分42で物体Oを摘まむことで、トングのように安定的に物体Oを保持することができる。
【0078】
図6の例において、物体Oは、X方向における第1の指13と第2の指14との間の略中央に位置する。この場合、中間部品72は、略X方向に延びるとともに、X方向における第1の接続部21と第2の接続部22との間の略中央に位置する。
図6に示す中間部品72の上記位置において、中間部品72と第1の接続部21との間の距離と、中間部品72と第2の接続部22との間の距離と、は略等しい。
【0079】
図6に示す中間部品72の上記位置において、第1の連結部72aと第1の接続部21との間の距離と、第2の連結部72bと第2の接続部22との間の距離とは略等しい。このため、第1の指13の曲り方(移動量)と、第2の指14の曲がり方(移動量)とが略等しい。従って、第1の指13と第2の指14とは、略鏡面対称の形状を呈する。
【0080】
図5の例において、物体Oは、X方向において第1の指13と第2の指14との間の中央から偏って配置される。この場合、第1の指13及び第2の指14が中心軸Axb3まわりに回動するとき、第2の指14が、第1の指13よりも先に物体Oに当接する。
【0081】
第2の指14が物体Oに当接すると、第2の指14の移動が止まり、又は物体Oからの抵抗により第2の指14の移動が遅くなる。このため、第2の接続部22に対する中間部品72の第2の連結部72bの移動は、停止し、又は遅くなる。
【0082】
第2の指14の第2の部分42及び第3の部分43が物体Oから離間している場合、第2の部分42及び第3の部分43が曲がることができる。この場合、中間部品72の第2の連結部72bは、第2の接続部22に対して移動することが可能である。しかし、第2の指14が物体Oに接触し、第1の指13が物体Oから離間している場合、中間部品72の第1の連結部72aは、第2の連結部72bよりも大きく動くことができる。
【0083】
第2の指14が物体Oに接触している状態で、アクチュエータ61が中間部品72をさらに引く。第1の連結部72aが第2の連結部72bよりも大きく動くため、アクチュエータ61に引かれる中間部品72は、第3の連結部72cの中心軸Axrまわりに回動する。これにより、第1の連結部72aは、第1の接続部21からさらに離間する。
図5は、回動する前の中間部品72を二点鎖線で示し、回動した中間部品72を実線で示す。
【0084】
第1の連結部72aが第1の接続部21からさらに離間することで、第1の指13がさらに回動する(曲がる)。第1の指13が物体Oに当接すると、第1の指13の移動が止まり、又は物体Oからの抵抗により第1の指13の移動が遅くなる。このため、中間部品72の回転が停止し、又は遅くなる。アクチュエータ61が中間部品72を引くと、中間部品72は、
図5に示すように傾いた状態で移動することができる。
【0085】
第1の指13の第2の部分42及び第3の部分43が物体Oから離間している場合、第2の部分42及び第3の部分43が曲がることができる。この場合、中間部品72の第1の連結部72aは、第1の接続部21に対して移動することが可能である。例えば、第1の指13及び第2の指14が物体Oを安定的に把持すると、アクチュエータ61が停止させられる。
【0086】
図5の例において、物体Oは、X方向における第1の指13と第2の指14との間の中央とは異なる位置にある。別の表現によれば、物体Oは、X方向における第1の接続部21と第2の接続部22との間の中央とは異なる位置にある。この場合、中間部品72は、X方向に対して傾いた方向に延びるとともに、X方向において第1の接続部21と第2の接続部22との間の中央とは異なる位置にある。なお、中間部品72は、X方向に対して傾いた方向に延びていれば、X方向において第1の接続部21と第2の接続部22との間の略中央に位置しても良い。また、中間部品72は、X方向において第1の接続部21と第2の接続部22との間の中央とは異なる位置にあれば、X方向に延びていても良い。また、第1の指13と第2の指14の状態によっては、中間部品72が、X方向において第1の接続部21と第2の接続部22との間の略中央に位置し且つ略X方向に延びていても良い。
【0087】
図5に示す中間部品72の上記位置において、中間部品72と第1の接続部21との間の距離は、中間部品72と第2の接続部22との間の距離と異なる。
図5の例では、中間部品72と第1の接続部21との間の距離が、中間部品72と第2の接続部22との間の距離より長い。しかし、中間部品72と第1の接続部21との間の距離が、中間部品72と第2の接続部22との間の距離より短くても良い。
【0088】
図5に示す中間部品72の上記位置において、第1の連結部72aと第1の接続部21との間の距離と、第2の連結部72bと第2の接続部22との間の距離とは異なる。このため、第1の指13の曲り方(移動量)と、第2の指14の曲がり方(移動量)とが異なる。従って、第1の指13と第2の指14とは、第1の接続部21と第2の接続部22とを結ぶ仮想線と直交する仮想面Pに対し、非対称の形状を呈する。
【0089】
物体Oに先に接触した第1の指13又は第2の指14は、物体Oを、第1の指13と第2の指14との間の略中央に向かって移動させても良い。しかし、本実施形態のように、物体Oに先に接触した第1の指13又は第2の指14が略停止することで、物体Oが損傷することが抑制される。
【0090】
以上のように、中間部品72は、
図5に例示される位置と、
図6に例示される位置と、に移動可能である。これにより、ハンド装置10は、第1の指13と第2の指14との曲がり方に差を設けることができる。
【0091】
第1の指13及び第2の指14が物体Oを把持した場合、中間部品72は、例えば、第1の伝達部品73、第2の伝達部品74、及び第3の伝達部品75から中間部品72に作用する張力がバランスを取れる位置に移動する。すなわち、中間部品72の位置と、第1の指13及び第2の指14の曲がり方とは、例えば、物体Oの位置、形状、硬さ、及び重さと、第1の指13及び第2の指14の形状、硬さ、重さ、及び姿勢と、アクチュエータ61の駆動力と、のような種々の条件に応じて、自動的に調整され得る。従って、物体Oに対するハンド装置10の位置の設定が容易となる。物体Oに対するハンド装置10の位置に応じて、ハンド装置10は種々の態様で物体Oを把持する。
【0092】
図1に示すように、本実施形態の連動装置16は、第1の回転体81と、第2の回転体82と、第1の弾性体83と、第2の弾性体84とを有する。なお、連動装置16は、この例に限られない。
【0093】
第1の回転体81は、例えば、第1の接続部21の接続軸53に、当該接続軸53の中心軸Axb3まわりに回転可能に、取り付けられている。すなわち、第1の回転体81は、第1の指13と同軸に回転可能に配置される。しかし、第1の回転体81は、第1の指13の回動から独立して中心軸Axb3まわりに回転可能である。なお、第1の回転体81の回転の中心は、第1の指13の回動の中心と異なっても良い。
【0094】
第1の回転体81は、基部81aと、歯車部81bと、腕部81cとを有する。歯車部81bは、第1の歯車の一例である。基部81a、歯車部81b、及び腕部81cは、一体に形成される。なお、第1の回転体81は、この例に限られない。
【0095】
基部81aは、例えば、中心軸Axb3と略直交する円盤状に形成される。歯車部81bは、基部81aから中心軸Axb3と略直交する方向に突出し、略扇形に形成される。なお、歯車部81bは、他の形状に形成されても良い。歯車部81bは、中心軸Axb3まわりに略等間隔に配置された複数の歯81dを有する。腕部81cは、基部81aから、中心軸Axb3と略直交する方向に突出する。
【0096】
腕部81cは、歯車部81bとは異なる方向に突出している。例えば、歯車部81bは、基部81aから、第2の回転体82に向かって突出している。一方、腕部81cは、基部81aから、第1の指13の第2の部分42に向かって突出している。なお、歯車部81b及び腕部81cは、他の方向に突出しても良い。
【0097】
第2の回転体82は、例えば、第2の接続部22の接続軸53に、当該接続軸53の中心軸Axb3まわりに回転可能に、取り付けられている。すなわち、第2の回転体82は、第2の指14と同軸に回転可能に配置される。しかし、第2の回転体82は、第2の指14の回動から独立して中心軸Axb3まわりに回転可能である。なお、第2の回転体82の回転の中心は、第2の指14の回動の中心と異なっても良い。
【0098】
第2の回転体82は、基部82aと、歯車部82bと、腕部82cとを有する。歯車部82bは、第2の歯車の一例である。基部82a、歯車部82b、及び腕部82cは、一体に形成される。なお、第2の回転体82は、この例に限られない。
【0099】
基部82aは、例えば、中心軸Axb3と略直交する円盤状に形成される。歯車部82bは、基部82aから中心軸Axb3と略直交する方向に突出し、略扇形に形成される。なお、歯車部82bは、他の形状に形成されても良い。歯車部82bは、中心軸Axb3まわりに略等間隔に配置された複数の歯82dを有する。腕部82cは、基部82aから、中心軸Axb3と略直交する方向に突出する。
【0100】
腕部82cは、歯車部82bとは異なる方向に突出している。例えば、歯車部82bは、基部82aから、第1の回転体81に向かって突出している。一方、腕部82cは、基部82aから、第2の指14の第2の部分42に向かって突出している。なお、歯車部82b及び腕部82cは、他の方向に突出しても良い。
【0101】
第1の回転体81の歯車部81bの歯81dと、第2の回転体82の歯車部82bの歯82dとは、互いに噛み合う。これにより、第1の回転体81と第2の回転体82とは、互いに回転する力を伝達することができる。言い換えると、第2の回転体82は、第1の回転体81の回転に連動して回転可能である。
【0102】
なお、連動装置16は、歯車部81bと歯車部82bとの間に介在する少なくとも一つの他の歯車をさらに有しても良い。例えば、偶数の歯車が、歯車部81bと歯車部82bとの間に介在しても良い。これにより、連動装置16は、歯車部81b,82b及び他の歯車の直径を短くすることができる。
【0103】
第1の弾性体83は、第1の指13と第1の回転体81とを接続する。第1の弾性体83の一方の端部は、第1の指13に設けられた接続部13aに接続される。第1の弾性体83の他方の端部は、第1の回転体81に設けられた接続部81eに接続される。接続部13aは、第3の接続部の一例である。接続部81eは、第4の接続部の一例である。
【0104】
第1の指13の接続部13aは、例えば、第1の部分41の先端部41bの近傍において、第1の部分41に設けられる。なお、接続部13aは、第1の指13の他の部分に設けられても良い。
【0105】
第1の回転体81の接続部81eは、例えば、腕部81cに設けられる。このため、第1の弾性体83は、第1の接続部21の接続軸53の中心軸Axb3から離間した位置で第1の回転体81に接続される。
【0106】
第1の弾性体83は、例えば、引張コイルバネである。このため、第1の弾性体83は、第1の指13の接続部13aと、第1の回転体81の接続部81eと、の間で第1の指13と第1の回転体81とを引っ張る。なお、第1の弾性体83は、この例に限られず、押しバネ、巻きバネ、板バネ等の他のバネであっても良いし、ウレタンゴムのような他の弾性体であっても良い。
【0107】
第1の指13に外力が作用しない、又は第1の指13に作用する外力が比較的小さい場合、第1の弾性体83の引張力により、第1の指13と第1の回転体81との相対的な位置はおおよそ一定に定まる。このため、第1の指13の回動と第1の回転体81の回転とは連動する。
【0108】
第2の弾性体84は、第2の指14と第2の回転体82とを接続する。第2の弾性体84の一方の端部は、第2の指14に設けられた接続部14aに接続される。第2の弾性体84の他方の端部は、第2の回転体82に設けられた接続部82eに接続される。
【0109】
第2の指14の接続部14aは、例えば、第1の部分41の先端部41bの近傍において、第1の部分41に設けられる。なお、接続部14aは、第2の指14の他の部分に設けられても良い。
【0110】
第2の回転体82の接続部82eは、例えば、腕部82cに設けられる。このため、第2の弾性体84は、第2の接続部22の接続軸53の中心軸Axb3から離間した位置で第2の回転体82に接続される。
【0111】
第2の弾性体84は、例えば、引張コイルバネである。このため、第2の弾性体84は、第2の指14の接続部14aと、第2の回転体82の接続部82eとの間で第2の指14と第2の回転体82とを引っ張る。なお、第2の弾性体84は、この例に限られず、押しバネ、巻きバネ、板バネ等の他のバネであっても良いし、ウレタンゴムのような他の弾性体であっても良い。
【0112】
第2の指14に外力が作用しない、又は第2の指14に作用する外力が比較的小さい場合、第2の弾性体84の引張力により、第2の指14と第2の回転体82との相対的な位置はおおよそ一定に定まる。このため、第2の指14の回動と第2の回転体82の回転とは連動する。なお、第2の弾性体84が省略され、第2の回転体82が第2の指14と一体に回転可能に第2の指14に取り付けられても良い。
【0113】
以上の連動装置16は、例えば、第1の指13及び第2の指14に外力が作用しない、又は第1の指13及び第2の指14に作用する外力が比較的小さい場合、以下のように第1の指13の回動と第2の指14の回動とを連動させる。まず、上述のように、アクチュエータ61が中間部品72を引くと、第1の指13及び第2の指14が接続軸53の中心軸Axb3まわりに回動する。
【0114】
第1の弾性体83の引張力により、第1の指13と第1の回転体81とは、略一体的に回転する。また、第2の弾性体84の引張力により、第2の指14と第2の回転体82とは、略一体的に回転する。
【0115】
上述のように、第1の回転体81の歯車部81bと、第2の回転体82の歯車部82bとは、互いに噛み合っている。このため、第1の回転体81の回転と第2の回転体82の回転とが連動する。すなわち、第1の指13の回動と第2の指14の回動とも、連動する。
【0116】
第1の回転体81及び第1の弾性体83は、第2の指14と略一体的に回転する第2の回転体82と、第1の指13と、の間で回転する力を伝達する。また、第2の回転体82及び第2の弾性体84は、第1の指13と略一体的に回転する第1の回転体81と、第2の指14と、の間で回転する力を伝達する。このように、連動装置16は、第1の指13の回動によって生じた力を第2の指14に伝達することができる。また、連動装置16は、第2の指の回動によって生じた力を第1の指13に伝達することができる。
【0117】
本実施形態において、第1の回転体81の複数の歯81dの間隔は、第2の回転体82の複数の歯82dの間隔と、略等しい。このため、第1の指13と第2の指14とは、略同一の角速度で回動する。なお、歯81d,82dの間隔は、互いに異なっても良い。
【0118】
以上のように、連動装置16は、第1の指13の回動と第2の指14の回動とが連動するように、第1の指13と第2の指14との間で回転する力を伝達することが可能である。言い換えると、連動装置16は、第1の指13と第2の指14とを、所定の相関関係で回動させることができる。なお、第1の指13の回動と第2の指14の回動とは、完全に連動する必要は無く、所定の範囲内で連動していれば良い。
【0119】
図6の例では、第1の指13及び第2の指14の腹面42cが物体Oに当接するまで、第1の指13及び第2の指14に外力は作用しない、又は第1の指13及び第2の指14に作用する外力は比較的小さい。このため、第1の指13及び第2の指14は、略同一の角速度で回動し、略同時に物体Oに当接することができる。
【0120】
例えば、第1の指13が第2の指14の上方に位置するように、ハンド装置10が横に向くことがある。この場合、第1の指13の回動は重力によって加速され、第2の指14の回動は重力により減速され得る。しかし、連動装置16が第1の指13の回動と第2の指14の回動とを連動させることで、第1の指13と第2の指14とは略同一の角速度で回動することができる。
【0121】
第1の指13の回動と第2の指14の回動とが連動するため、例えば、第1の指13の腹面42cと、第2の指14の腹面42cとの、Y方向における位置は略同一となる。このため、第1の指13及び第2の指14は、小さい物体O及び薄い物体Oを容易に把持することができる。
【0122】
一方、
図5の例では、第2の指14が第1の指13よりも先に物体Oに当接する。このため、物体Oから第2の指14に外力(抵抗)が作用する。この場合、以下のように、第1の指13の回動と第2の指14の回動とが連動しなくなる。
【0123】
第2の指14が物体Oに当接すると、第2の指14の回動が止まる。一方、第1の指13はさらに回動する。第1の指13が回動すると、第1の弾性体83は、第1の指13の回転に連動して第1の回転体81が回転するように、当該第1の回転体81に引張力を作用させる。
【0124】
歯車部81b,82bの噛み合いにより、第1の回転体81は、第2の回転体82を回転させる。すなわち、第2の回転体82の回転は、第1の指13及び第1の回転体81の回転に連動する。
【0125】
第2の回転体82が回転すると、第2の弾性体84が第2の指14を引っ張る。しかし、第2の指14には、物体Oからの外力(抵抗)が作用する。このため、第2の指14は回転せず、第2の回転体82は第2の指14に対して相対的に回転する。
【0126】
第2の回転体82が第2の指14に対して相対的に回転すると、第2の回転体82の接続部82eと、第2の指14の接続部14aとの間の距離が長くなる。このため、第2の弾性体84は、第2の指14と第2の回転体82との相対的な回転に応じて第2の指14と第2の回転体82との間で伸びるように弾性変形させられる。すなわち、第1の指13から、第1の弾性体83、第1の回転体81、及び第2の回転体82を介して第2の弾性体84に作用する力は、第2の指14を回転させず、第2の弾性体84を弾性変形させることで消費される。
【0127】
第2の弾性体84の引張力は、第2の指14を物体Oに向かって付勢する。しかし、第2の指14は、物体Oからの外力(抵抗)により止まったまま保たれる。なお、第2の指14が物体Oを移動させても良い。
【0128】
一方、第2の弾性体84の引張力は、第2の回転体82の回転に対する抵抗力として、第2の回転体82に作用する。さらに、第2の弾性体84の引張力は、第2の回転体82を介して、第1の回転体81の回転に対する抵抗力として第1の回転体81にも作用する。このため、第1の指13の回転と第1の回転体81の回転とに差が生じ、第1の指13が第1の回転体81に対して相対的に回転する。
【0129】
第1の指13が第1の回転体81に対して相対的に回転すると、第1の回転体81の接続部81eと、第1の指13の接続部13aとの間の距離が長くなる。このため、第1の弾性体83は、第1の指13と第1の回転体81との相対的な回転に応じて第1の指13と第1の回転体81との間で伸びるように弾性変形させられる。すなわち、第1の指13を回転させる力は、第1の指13を回転させることに加え、第1の弾性体83を弾性変形させることによっても消費される。第1の指13、第2の指14、第1の回転体81、及び第2の回転体82は、第1の弾性体83及び第2の弾性体84の引張力が釣り合うように相対的に配置される。
【0130】
以上のように、第2の指14に外力が作用するとき、第1の指13、第1の回転体81、及び第2の回転体82が回転するものの、第2の指14は止まったまま保たれる。一方、アクチュエータ61が逆転し、第2の指14に作用する外力が解除されると、伸ばされた第1の弾性体83及び第2の弾性体84が、第1の指13及び第2の指14を引っ張る。これにより、第1の指13と第1の回転体81との相対的な位置が元に戻るとともに、第2の指14と第2の回転体82との相対的な位置も元に戻る。また、第1の指13、第2の指14、第1の回転体81、及び第2の回転体82が相対的に回転することで、接続部13a,14a,81e,82eの間の距離が短くなり、第1の弾性体83及び第2の弾性体84が縮められる。
【0131】
以上の第1の指13、第2の指14、第1の回転体81、及び第2の回転体82の動きは、例えば、物体Oからの外力、ハンド装置10の姿勢、及び各弾性体58,59,83,84のバネ定数のような、種々の条件により変わり得る。例えば、第2の指14に対して第2の回転体82が相対的に回転する一方で、第1の指13と第1の回転体81とが略一体的にしても良い。また、第2の指14と第2の回転体82とが一体的に回転する一方で、第1の指13と第1の回転体81とが相対的に回転しても良い。
【0132】
第1の指13に外力が作用するときも、同様に、第2の指14、第2の回転体82、及び第1の回転体81が回転するが、第1の指13は止まったまま保たれる。すなわち、連動装置16は、第1の指13及び第2の指14のうち少なくとも一方に作用する外力に応じて第1の指13と第2の指14とを互いに独立して回動可能にする。
【0133】
第1の回転体81が第1の指13に対して相対的に回転すると、第1の回転体81の接続部81eと、第1の指13の接続部13aとの間の距離が長くなる。このため、第1の弾性体83は、第1の指13と第1の回転体81との相対的な回転に応じて第1の指13と第1の回転体81との間で伸びるように弾性変形させられる。言い換えると、第1の弾性体83を弾性変形させる荷重が第1の指13に作用したときに、連動装置16は、第1の指13と第2の指14とを互いに独立して回動可能にする。
【0134】
また、第1の指13に作用する外力が解除されると、第1の弾性体83の復元力により、第1の指13と第1の回転体81との相対的な位置は元に戻る。また、第1の指13と第1の回転体81とが相対的に回転することで、接続部13a,81eの間の距離が短くなり、第1の弾性体83が縮められる。
【0135】
上述のように、物体Oに当接した第2の指14は、第2の部分42及び第3の部分43を曲げる(屈曲させる)ことができる。同様に、物体Oに当接した第1の指13は、第2の部分42及び第3の部分43を曲げる(屈曲させる)ことができる。すなわち、第1の指13及び第2の指14は、物体Oに当接した後に屈曲する。
【0136】
他の表現によれば、連動装置16は、所定の外力(F1)より大きい外力が第1の指13及び第2の指14のうち少なくとも一方に作用したときに、第1の指13と第2の指14とを互いに独立して回動可能にする。所定の外力F1は、第1の外力の一例である。
【0137】
また、第1の指13及び第2の指14のうち一方の指が物体Oに当接し、所定の外力(F2)より大きい外力が当該指に作用すると、当該指の物体Oへの当接に応じて屈曲する。所定の外力F2は、第2の外力の一例である。上記の外力F1は、外力F2よりも小さく設定される。
【0138】
本実施形態の連動装置16において、第1の回転体81の歯車部81bと、第2の回転体82の歯車部82bとの噛み合いは、解除可能である。例えば、第1の回転体81及び第2の回転体82は、第1の指13及び第2の指14から独立して回転可能であるため、歯車部81b,82bの噛み合いが解除されるまで手動で回転させられることができる。
【0139】
歯車部81b,82bの噛み合いが解除されると、連動装置16は、第1の指13の回動と第2の指14の回動とを連動させない。一方、ハンド装置10は、第1の指13と第2の指14との中央から偏って配置された物体Oを把持しやすくなる。
【0140】
以上説明された第1の実施形態に係るハンド装置10において、第1の指13及び第2の指14はそれぞれ、回動可能であるとともに、物体Oへの当接に応じて屈曲可能である。連動装置16は、第1の指13の回動と第2の指14の回動とを連動させることが可能である。さらに、連動装置16は、第1の指13及び第2の指14のうち少なくとも一方に作用する外力に応じて、第1の指13と第2の指14とを互いに独立して回動可能にする。例えば、第1の指13及び第2の指14に外力が作用しない場合、第1の指13の回動と第2の指14の回動とは、連動装置16によって連動させられる。しかし、第1の指13及び第2の指14のうち少なくとも一方に外力が作用する場合、第1の指13の回動と第2の指14の回動とは連動しなくなる。外力は、例えば、第1の指13及び第2の指14のうち少なくとも一方に当接する物体Oから、当該第1の指13及び第2の指14のうち少なくとも一方に作用する。このため、ハンド装置10は、第1の指13及び第2の指14が物体Oに当接するまでの間、第1の指13と第2の指14とを連動して回動させることができる。一方、例えば第1の指13が先に物体Oに当接すると、第1の指13の回動が停止し、当該物体Oへの当接に応じて屈曲する。しかし、第2の指14は、物体Oに当接するまで、第1の指13から独立して回動を続ける。第2の指14は、物体Oに当接すると、当該物体Oへの当接に応じて屈曲する。以上より、ハンド装置10は、第1の指13及び第2の指14を物体Oに当接するまでの間は連動して回動させるため、ハンド装置10の姿勢のような条件に拠らず一定の挙動で第1の指13及び第2の指14を物体Oに当接させることができる。さらに、ハンド装置10は、第1の指13及び第2の指14が物体Oに当接すると、第1の指13及び第2の指14を物体Oへの当接に応じて屈曲させ、物体Oを安定して把持することができる。従って、ハンド装置10は、第1の指13及び第2の指14により、物体Oをより確実に把持することができる。
【0141】
例えば、第1の指13の回動と第2の指14の回動とが連動しない場合、第1の指13及び第2の指14が重力又は障害物との擦過により外力を受けると、第1の指13の回動と第2の指14の回動とがずれてしまう。このため、例えば第1の指13の腹面42cと第2の指14の腹面42cとの位置がずれてしまい、小さい又は薄い物体Oに、第1の指13と第2の指14とが当接できなくなる虞がある。しかし、本実施形態のハンド装置10は、連動装置16により第1の指13の回動と第2の指14の回動とを連動させることができる。このため、ハンド装置10は、第1の指13及び第2の指14を物体Oに確実に当接させることができる。
【0142】
また、例えば、第1の指13の回動と第2の指14の回動とが完全に連動する場合、第1の指13及び第2の指14のうち一方が物体Oに当接すると、第1の指13の回動と第2の指14の回動との両方が停止してしまう虞がある。この場合、第1の指13及び第2の指14は、第1の指13と第2の指14との間の中央から偏って配置された物体Oを把持することが困難となる。しかし、本実施形態の連動装置16は、第1の指13及び第2の指14のうち少なくとも一方に作用する外力に応じて第1の指13と第2の指14とを互いに独立して回動可能にする。このため、ハンド装置10は、第1の指13及び第2の指14の両方が物体Oに当接するまで、第1の指13及び第2の指14の回動が停止することを抑制できる。従って、第1の指13及び第2の指14は、第1の指13と第2の指14との間の中央から偏って配置された物体Oを確実に把持することができる。
【0143】
連動装置16は、第1の回転体81と、第2の回転体82と、第1の弾性体83とを有する。第1の回転体81は、第1の指13の回動から独立して回転可能である。第2の回転体82は、第1の回転体81の回転に連動して回転可能であるとともに、第1の回転体81と第2の指14との間で回転する力を伝達することが可能である。第1の弾性体83は、第1の回転体81と第1の指13とを接続する。連動装置16は、第1の指13の回動と第2の指14の回動とが連動するように、第1の指13と第2の指14との間で回転する力を伝達することが可能である。第1の弾性体83は、第1の指13と第1の回転体81との相対的な回転に応じて変形する。例えば、第1の指13に外力が作用した場合、第1の指13の回動は停止するが、第2の指14は回動を継続することができる。第2の指14が回動すると、第2の回転体82は、第2の指14から第1の回転体81へ回転する力を伝達する。これにより、第1の回転体81が第1の指13に対して相対的に回転し、第1の弾性体83が変形する。第1の回転体81を回転させる力は第1の弾性体83の弾性変形により吸収され、第1の指13の回動は停止したまま保たれる。これにより、連動装置16は、電気的制御及び複雑な機構を用いることなく、第1の指13の回動と第2の指14の回動との間の連動及び不連動を自動的に切り替えることができる。従って、ハンド装置10は、連動装置16を簡素化することができるとともに、コストの増加を抑制することができる。
【0144】
第1の回転体81は歯車部81bを有する。第2の回転体82は、歯車部81bと噛み合う歯車部82bを有する。これにより、第1の回転体81と第2の回転体82とが、簡素な構造で回転する力を伝達することができる。従って、ハンド装置10は、連動装置16を簡素化することができるとともに、コストの増加を抑制することができる。
【0145】
連動装置16は、第2の回転体82と第2の指14とを接続する第2の弾性体84をさらに有する。第2の回転体82は、第2の指14の回動から独立して回転可能である。第2の弾性体84は、第2の指14と第2の回転体82との相対的な回転に応じて変形する。例えば、第2の指14に外力が作用した場合、第2の指14の回動は停止するが、第1の指13は回動を継続することができる。第1の指13が回動すると、第1の弾性体83により当該第1の指13に接続された第1の回転体81も回転する。第1の回転体81は、第2の回転体82へ回転する力を伝達する。これにより、第2の回転体82が第2の指14に対して相対的に回転し、第2の弾性体84が変形する。第2の回転体82を回転させる力は第2の弾性体84の弾性変形により吸収され、第2の指14の回動は停止したまま保たれる。これにより、連動装置16は、第1の指13と第2の指14とのいずれに外力が作用したとしても、第1の指13及び第2の指14を互いに独立して回動可能にすることができる。
【0146】
第1の指13は、第1の弾性体83が接続される接続部13aを有する。第1の回転体81は、第1の弾性体83が接続される接続部81eを有する。第1の弾性体83は、接続部13aと接続部81eとの間で第1の指13と第1の回転体81とを互いに引っ張る。すなわち、第1の弾性体83は、引張力により、第1の指13と第1の回転体81との間で回転する力を伝達する。これにより、ハンド装置10は、第1の弾性体83が圧縮力により回転する力を伝達する場合に比べ、第1の弾性体83を短くすることができる。
【0147】
連動装置16は、外力(F1)が第1の指13及び第2の指14のうち少なくとも一方に作用したときに当該第1の指13と第2の指14とを互いに独立して回動可能にする。当該外力(F1)は、第1の指13及び第2の指14のうち一方の指が当該指の物体Oへの当接に応じて屈曲するときに当該指に作用する外力(F2)よりも小さい。すなわち、第1の指13及び第2の指14は、互いに独立して回動可能となった後に、物体Oへの当接に応じて屈曲する。これにより、ハンド装置10は、第1の指13及び第2の指14が物体Oに当接した状態で、第1の指13及び第2の指14を物体Oへの当接に応じて屈曲させ、物体Oを安定して把持することができる。従って、ハンド装置10は、第1の指13及び第2の指14により、物体Oをより確実に把持することができる。
【0148】
なお、ハンド装置10の使用目的によっては、第1の指13及び第2の指14のうち一方の指が当該指の物体Oへの当接に応じて屈曲するときに当該指に作用する外力(F2)より外力(F1)が小さくなるように、連動装置16が構成されても良い。その場合、第1の指13及び第2の指14のうち一方の指が物体Oに当接すると、連動装置16も作動し、当該指が物体Oの形状によって屈曲しながら接触可能な部位に当接する把持動作を実施する。
【0149】
駆動機構15は、中間部品72の第1の接続部21に対する少なくとも部分的な移動に応じて第1の指13に回動及び屈曲のうち少なくとも一方を行わせ、中間部品72の第2の接続部22に対する少なくとも部分的な移動に応じて第2の指14に回動及び屈曲のうち少なくとも一方を行わせる。これにより、駆動機構15は、一つのアクチュエータ61の駆動により第1の指13及び第2の指14を一括して回動及び屈曲させることができる。従って、ハンド装置10は、駆動機構15を簡素化することができるとともに、コストの増加を抑制することができる。
【0150】
中間部品72は、中間部品72と第1の接続部21との間の距離が中間部品72と第2の接続部22との間の距離と異なる位置に移動可能である。すなわち、本実施形態のハンド装置10は、中間部品72と第1の接続部21との間の距離の変化により生じる第1の指13の動きと、中間部品72と第2の接続部22との間の距離の変化により生じる第2の指14の動きとに、差を付けることが可能である。従って、ハンド装置10は、第1の指13と第2の指14との間の中央とは異なる位置にある物体Oを把持することができる。第1の指13及び第2の指14の動き方を調整することが可能であるため、例えば当該ハンド装置10の物体Oに対する位置制御が容易になる。
【0151】
(第2の実施形態)
以下に、第2の実施形態について、
図7を参照して説明する。なお、以下の複数の実施形態の説明において、既に説明された構成要素と同様の機能を持つ構成要素は、当該既述の構成要素と同じ符号が付され、さらに説明が省略される場合がある。また、同じ符号が付された複数の構成要素は、全ての機能及び性質が共通するとは限らず、各実施形態に応じた異なる機能及び性質を有していても良い。
【0152】
図7は、第2の実施形態に係るハンド装置10を概略的に示す平面図である。
図7に示すように、第2の実施形態の連動装置16は、第1の回転体81及び第2の回転体82の代わりに、第1の回転体91及び第2の回転体92を有する。
【0153】
第1の回転体91は、プーリ91aを有する。プーリ91aは、例えば、中心軸Axb3と略直交する円盤状に形成される。プーリ91aに、接続部91bが設けられる。接続部91bは、第1の接続部21の接続軸53の中心軸Axb3から離間した位置に設けられる。
【0154】
接続部91bに、第1の弾性体83が接続される。このため、第1の弾性体83は、第1の接続部21の接続軸53の中心軸Axb3から離間した位置で第1の回転体91に接続される。
【0155】
第2の回転体92は、プーリ92aを有する。プーリ92aは、例えば、中心軸Axb3と略直交する円盤状に形成される。プーリ92aの直径は、プーリ91aの直径と略等しい。プーリ92aに、接続部92bが設けられる。接続部92bは、第2の接続部22の接続軸53の中心軸Axb3から離間した位置に設けられる。
【0156】
接続部92bに、第2の弾性体84が接続される。このため、第2の弾性体84は、第2の接続部22の接続軸53の中心軸Axb3から離間した位置で第2の回転体92に接続される。
【0157】
第2の実施形態の連動装置16は、ベルト93をさらに有する。ベルト93は、回転伝達部品の一例である。ベルト93は、第1の回転体91のプーリ91aと第2の回転体92のプーリ92aとに、交差して架け渡されている。これにより、ベルト93は、第1の回転体91と第2の回転体92との間で回転する力を伝達することができる。
【0158】
第2の実施形態の連動装置16は、第1の実施形態の連動装置16と同じく、第1の指13の回動と第2の指14の回動とが連動するように、第1の指13と第2の指14との間で回転する力を伝達することができる。プーリ91a,92aの直径が略同一であるため、第1の指13と第2の指14とは、略同一の角速度で回動することができる。
【0159】
以上説明された第2の実施形態において、ベルト93は、第1の回転体91と第2の回転体92との間で回転する力を伝達する。これにより、ハンド装置10は、連動装置16を簡素化することができるとともに、コストの増加を抑制することができる。なお、回転伝達部品は、ベルト93に限られず、例えば、歯車、ベルト、チェーン、リンク、剛体、流体、及び電気的制御のうち少なくとも一つを用いて、第1の回転体81,91と第2の回転体82,92との間で回転する力を伝達する部品であっても良い。
【0160】
(第3の実施形態)
以下に、第3の実施形態について、
図8を参照して説明する。
図8は、第3の実施形態に係るハンド装置10を概略的に示す平面図である。
図8に示すように、第3の実施形態の第1の指13に、接続部13aの代わりに、接続部13bが設けられる。
【0161】
接続部13bは、第2の部分42に設けられる。第1の弾性体83は、接続部13bに接続される。第1の弾性体83は、第1の指13の接続部13bと、第1の回転体81の接続部81eとの間で、第1の指13と第1の回転体81とを互いに引っ張る。これにより、第1の弾性体83は、屈曲した第1の指13を伸展させるように第1の指13を引っ張る。なお、第3の実施形態の第1の指13では、弾性体59が省略されても良い。
【0162】
第3の実施形態の第2の指14には、接続部14aの代わりに、接続部14bが設けられる。接続部14bは、第2の部分42に設けられる。第2の弾性体84は、接続部14bに接続される。
【0163】
第2の弾性体84は、第2の指14の接続部14bと、第2の回転体82の接続部82eとの間で、第2の指14と第2の回転体82とを互いに引っ張る。これにより、第2の弾性体84は、屈曲した第2の指14を伸展させるように第2の指14を引っ張る。なお、第3の実施形態の第2の指14では、弾性体59が省略されても良い。
【0164】
以上説明された第3の実施形態のハンド装置10において、第1の弾性体83は、屈曲した第1の指13を伸展させるように第1の指13を引っ張る。これにより、ハンド装置10は、屈曲した第1の指13を伸展させるための弾性体59が不要となり、部品点数が増大することを抑制できる。
【0165】
なお、
図8の例において、第3の実施形態のハンド装置10は、第1の実施形態の連動装置16を有する。しかし、第3の実施形態のハンド装置10は、第2の実施形態の連動装置16を有しても良いし、他の連動装置を有しても良い。
【0166】
(第4の実施形態)
以下に、第4の実施形態について、
図9を参照して説明する。
図9は、第4の実施形態に係るハンド装置110を概略的に示す平面図である。
図9に示すように、第4の実施形態のハンド装置110は、基体112と、第1の指113と、第2の指114と、駆動機構115と、連動装置116とを有する。
【0167】
基体112は、筐体120と、第1の接続部121と、第2の接続部122とを有する。第1の接続部121及び第2の接続部122とは、例えば、筐体120の一つの端部に設けられる。第2の接続部122は、第1の接続部121から+X方向に離間している。
【0168】
第1の指113は、第1の部分131と第2の部分132とを有する。第1の部分131は、Z方向に延びる回転軸Axr1まわりに回動可能に、第1の接続部121に接続される。第1の指113は、第2の接続部122に近づくように回動可能である。第2の部分132は、第1の部分131に回動可能に接続される。このため、第1の部分131は、第1の接続部121と第2の部分132との間に位置する。
【0169】
第2の指114は、第1の部分141と第2の部分142とを有する。第1の部分141は、Z方向に延びる回転軸Axr2まわりに回動可能に、第2の接続部122に接続される。第2の指114は、第1の接続部121に近づくように回動可能である。第2の部分142は、第1の部分141に回動可能に接続される。このため、第1の部分141は、第2の接続部122と第2の部分142との間に位置する。
【0170】
駆動機構115は、アクチュエータ161と、伝達機構162とを有する。アクチュエータ161は、例えば、サーボモータである。アクチュエータ161は、例えば、筐体120に取り付けられる。
【0171】
伝達機構162は、アクチュエータ161と、第1の指113と、第2の指114との間で、力を伝達する。伝達機構162は、駆動プーリ171と、切替機構172と、ベルト173と、複数の中間プーリ181~199とを有する。
【0172】
駆動プーリ171は、アクチュエータ161の駆動軸に取り付けられる。駆動プーリ171は、アクチュエータ161により回転させられる。切替機構172は、例えば、筐体120に取り付けられる。
【0173】
ベルト173の一方の端部は、駆動プーリ171に取り付けられる。ベルト173の他方の端部は、切替機構172に取り付けられる。ベルト173は、駆動プーリ171と切替機構172との間で、複数の中間プーリ181~199に架け渡されている。
【0174】
中間プーリ181は、第1の接続部121に設けられる。中間プーリ182は、第1の指113の第1の部分131に設けられる。中間プーリ183は、第1の指113の第1の部分131と第2の部分132とが接続された部分に設けられる。
【0175】
中間プーリ184,185は、第1の指113の第2の部分132に設けられる。中間プーリ186,187は、第1の指113の第1の部分131に設けられる。中間プーリ188,189は、筐体20に設けられる。
【0176】
中間プーリ190,191は、第2の指114の第1の部分141に設けられる。中間プーリ192~196は、第2の指114の第2の部分142に設けられる。中間プーリ197は、第2の指114の第1の部分141と第2の部分142とが接続された部分に設けられる。中間プーリ198は、第2の指114の第1の部分141に設けられる。中間プーリ199は、第2の接続部122に設けられる。
【0177】
ベルト173は、駆動プーリ171から延び、中間プーリ181~199に順に架け渡され、切替機構172に接続される。駆動プーリ171が回転すると、ベルト173は、駆動プーリ171に巻き取られ、又は駆動プーリ171から繰り出される。
【0178】
切替機構172は、ベルト173の端部の位置を弾性力により移動可能に保持する。例えば、切替機構172は、ベルト173の端部をバネのような弾性体により付勢している。ベルト173に作用する張力が当該弾性体の付勢力を下回る場合、切替機構172は、ベルト173の端部を所定の位置に保つ。一方、ベルト173に作用する張力が上記弾性体の付勢力を上回った場合、切替機構172は、ベルト173を繰り出すようにベルト173の端部を移動させる。
【0179】
アクチュエータ161に駆動された駆動プーリ171がベルト173を巻き取ると、駆動プーリ171と切替機構172との間のベルト173の長さが短くなる。これにより、ベルト173が第1の指113及び第2の指114を引っ張り、第1の指113及び第2の指114が互いに近づくように回動する。
【0180】
第1の指113及び第2の指114は、他の物体に当接し、当該物体から外力(抵抗)を受けると、回動を停止する。駆動プーリ171がベルト173をさらに巻き取ると、第1の指113及び第2の指114は、当該物体への当接に応じて屈曲する。
【0181】
さらに、ベルト173のうち、複数の中間プーリ193~196に架け渡された部分173aは、第2の指114の外部に露出している。駆動プーリ171がベルト173を巻き取ると、ベルト173は、当該部分173aに接触した他の物体を基体12に向かって引き込むことができる。
【0182】
連動装置116は、第1の実施形態の連動装置16と同様に、第1の回転体81、第2の回転体82、第1の弾性体83、及び第2の弾性体84を有する。なお、連動装置116は、この例に限られず、例えば第2の実施形態の第1の回転体91、第2の回転体92、及びベルト93を有しても良い。
【0183】
第1の回転体81は、第1の指113の回動から独立して回転軸Axr1まわりに回転可能に設けられる。第2の回転体82は、第2の指114の回動から独立して回転軸Axr2まわりに回転可能に設けられる。
【0184】
第1の回転体81の歯車部81bと第2の回転体82の歯車部82bとは、互いに噛み合っている。このため、第1の回転体81と第2の回転体82とは、互いに連動して回転可能である。
【0185】
第1の弾性体83の一方の端部は、第1の指113に設けられた接続部113aに接続される。第1の弾性体83の他方の端部は、回転軸Axr1から離間した位置で腕部81cの接続部81eに取り付けられる。第1の弾性体83は、接続部113a,81eの間で、第1の指113と第1の回転体81とを互いに引っ張る。
【0186】
第2の弾性体84の一方の端部は、第2の指114に設けられた接続部114aに接続される。第2の弾性体84の他方の端部は、回転軸Axr2から離間した位置で腕部82cの接続部82eに取り付けられる。第2の弾性体84は、接続部114a,82eの間で、第2の指114と第2の回転体82とを互いに引っ張る。
【0187】
第1の実施形態の連動装置16と同様に、連動装置116は、第1の指113の回動と第2の指114の回動とが連動するように第1の指113と第2の指114との間で回転する力を伝達することが可能である。さらに、連動装置116は、第1の指113及び第2の指114のうち少なくとも一方に作用する外力に応じて、第1の指113と第2の指114とを互いに独立して回動可能にする。
【0188】
連動装置116は、所定の外力(F1)より大きい外力が第1の指113及び第2の指114のうち少なくとも一方に作用したときに、第1の指113と第2の指114とを互いに独立して回動可能にする。また、第1の指113及び第2の指114のうち一方の指が他の物体に当接し、所定の外力(F2)より大きい外力が当該指に作用すると、当該指の物体への当接に応じて屈曲する。上記の外力F1は、外力F2よりも小さく設定される。
【0189】
以上のように、ハンド装置10,110は、中間部品72、第1の伝達部品73、第2の伝達部品74、及び第3の伝達部品75を有する駆動機構15により第1の指13及び第2の指14を曲げる第1の実施形態の構成に限られない。例えば、ハンド装置10,110は、ベルト173を有する駆動機構115により第1の指113及び第2の指114を曲げる第4の実施形態の構成であっても良い。また、ハンド装置は、これらの例に限られず、例えば、流体を供給することで指を曲げ、流体を排出することで指を伸展させる、いわゆるソフトグリッパであっても良い。
【0190】
以上の実施形態において、ハンド装置10.110は、二つの指を有している。しかし、ハンド装置は、三つ又はそれより多い指を有しても良い。また、複数の指の回転軸は、平行でなくても良い。
【0191】
また、以上の実施形態において、連動装置16,116は、第1の弾性体83及び第2の弾性体84の弾性を利用して、第1の指13,113の回動と第2の指14,114との回動を連動させるとともに、第1の指13,113及び第2の指14,114のうち少なくとも一方に作用する外力に応じて第1の指13,113と第2の指14,114とを互いに独立して回動可能とする。しかし、連動装置16,116は、この例に限られず、例えば、スナップフィットのような弾性的な係合、磁力、摩擦力、又は他の種々の手段を用いても良い。
【0192】
以上の説明において、抑制は、例えば、事象、作用、若しくは影響の発生を防ぐこと、又は事象、作用、若しくは影響の度合いを低減させること、として定義される。また、以上の説明において、制限は、例えば、移動若しくは回転を防ぐこと、又は移動若しくは回転を所定の範囲内で許容するとともに当該所定の範囲を超えた移動若しくは回転を防ぐこと、として定義される。
【0193】
本明細書(請求項を含む)において、「a、b及びcの少なくとも1つ(一方)」又は「a、b又はcの少なくとも1つ(一方)」の表現(同様な表現を含む)が用いられる場合は、a、b、c、a-b、a-c、b-c、又はa-b-cのいずれかを含む。また、a-a、a-b-b、a-a-b-b-c-c等のように、いずれかの要素について複数のインスタンスを含んでもよい。さらに、a-b-c-dのようにdを有する等、列挙された要素(a、b及びc)以外の他の要素を加えることも含む。
【0194】
本明細書(請求項を含む)において、「接続される(connected)」及び「結合される(coupled)」との用語が用いられる場合は、直接的な接続/結合、間接的な接続/結合、電気的(electrically)な接続/結合、通信的(communicatively)な接続/結合、機能的(operatively)な接続/結合、物理的(physically)な接続/結合等のいずれをも含む非限定的な用語として意図される。当該用語は、当該用語が用いられた文脈に応じて適宜解釈されるべきであるが、意図的に或いは当然に排除されるのではない接続/結合形態は、当該用語に含まれるものして非限定的に解釈されるべきである。
【0195】
本明細書(請求項を含む)において、「AがBするよう構成される(A configured to B)」との表現が用いられる場合は、要素Aの物理的構造が、動作Bを実行可能な構成を有するとともに、要素Aの恒常的(permanent)又は一時的(temporary)な設定(setting/configuration)が、動作Bを実際に実行するように設定(configured/set)されていることを含んでよい。例えば、要素Aが汎用プロセッサである場合、当該プロセッサが動作Bを実行可能なハードウェア構成を有するとともに、恒常的(permanent)又は一時的(temporary)なプログラム(命令)の設定により、動作Bを実際に実行するように設定(configured)されていればよい。また、要素Aが専用プロセッサ又は専用演算回路等である場合、制御用命令及びデータが実際に付属しているか否かとは無関係に、当該プロセッサの回路的構造が動作Bを実際に実行するように構築(implemented)されていればよい。
【0196】
本明細書(請求項を含む)において、含有又は所有を意味する用語(例えば、「含む(comprising/including)」及び有する「(having)等)」が用いられる場合は、当該用語の目的語により示される対象物以外の物を含有又は所有する場合を含む、open-endedな用語として意図される。これらの含有又は所有を意味する用語の目的語が数量を指定しない又は単数を示唆する表現(a又はanを冠詞とする表現)である場合は、当該表現は特定の数に限定されないものとして解釈されるべきである。
【0197】
本明細書(請求項を含む)において、ある箇所において「1つ又は複数(one or more)」又は「少なくとも1つ(at least one)」等の表現が用いられ、他の箇所において数量を指定しない又は単数を示唆する表現(a又はanを冠詞とする表現)が用いられているとしても、後者の表現が「1つ」を意味することを意図しない。一般に、数量を指定しない又は単数を示唆する表現(a又はanを冠詞とする表現)は、必ずしも特定の数に限定されないものとして解釈されるべきである。
【0198】
本明細書において、ある実施例の有する特定の構成について特定の効果(advantage/result)が得られる旨が記載されている場合、別段の理由がない限り、当該構成を有する他の1つ又は複数の実施例についても当該効果が得られると理解されるべきである。但し当該効果の有無は、一般に種々の要因、条件、及び/又は状態等に依存し、当該構成により必ず当該効果が得られるものではないと理解されるべきである。当該効果は、種々の要因、条件、及び/又は状態等が満たされたときに実施例に記載の当該構成により得られるものに過ぎず、当該構成又は類似の構成を規定したクレームに係る発明において、当該効果が必ずしも得られるものではない。
【0199】
以上、本開示の実施形態について詳述したが、本開示は上記した個々の実施形態に限定されるものではない。特許請求の範囲に規定された内容及びその均等物から導き出される本発明の概念的な思想と趣旨を逸脱しない範囲において種々の追加、変更、置き換え及び部分的削除等が可能である。例えば、前述した全ての実施形態において、数値又は数式を説明に用いている場合は、一例として示したものであり、これらに限られるものではない。また、実施形態における各動作の順序は、一例として示したものであり、これらに限られるものではない。
【符号の説明】
【0200】
10,110…ハンド装置、12,112…基体、13,113…第1の指、13a,13b,113a…接続部、14,114…第2の指、14a,14b,114a…接続部、15…駆動機構、16…連動装置、21,121…第1の接続部、22,122…第2の接続部、61,161…アクチュエータ、72…中間部品、81,91…第1の回転体、81b…歯車部、81e…接続部、82,92…第2の回転体、82b…歯車部、82e…接続部、83…第1の弾性体、84…第2の弾性体、93…ベルト、O…物体。