(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022182201
(43)【公開日】2022-12-08
(54)【発明の名称】植栽容器
(51)【国際特許分類】
A01G 9/02 20180101AFI20221201BHJP
【FI】
A01G9/02 101J
A01G9/02 101Z
A01G9/02 E
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021089639
(22)【出願日】2021-05-27
(71)【出願人】
【識別番号】514003005
【氏名又は名称】株式会社九州フラワーサービス
(74)【代理人】
【識別番号】100080160
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 憲一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100149205
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 泰央
(72)【発明者】
【氏名】田中 正文
【テーマコード(参考)】
2B327
【Fターム(参考)】
2B327NC02
2B327NC08
2B327NC24
2B327NC56
2B327ND01
2B327QA02
2B327QC38
2B327RA03
2B327VA20
(57)【要約】
【課題】植物を植栽するための植栽容器であって、植物のインテリアとしての外的美観を高めるだけでなく、他の実用的価値を付加した植栽容器を提供する。
【解決手段】植物を植栽する有底筒状の容器部と、該容器部の胴部と底部を覆うカバー部と、を備える容器本体部と、容器本体部を支持するとともに、スピーカユニットおよび光源ユニットが配置されたベース部と、水を貯留する貯留部と、貯留部に貯留された水を吸水する吸水材と、吸水材を加熱する加熱部材と、を備える加湿手段と、無線通信用の通信ポートを有し、スピーカユニット、光源ユニットおよび加湿手段の動作を制御する制御部と、を備えることにより課題を解決した。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
植物を植栽する有底筒状の容器部と、該容器部の胴部と底部を覆うカバー部と、を備える容器本体部と、
前記容器本体部を支持するとともに、スピーカユニットおよび光源ユニットが配置されたベース部と、
水を貯留する貯留部と、前記貯留部に貯留された水を吸水する吸水材と、前記吸水材を加熱する加熱部材と、を備える加湿手段と、
無線通信用の通信ポートを有し、前記スピーカユニット、光源ユニットおよび加湿手段の動作を制御する制御部と、
を備えたことを特徴とする植栽容器。
【請求項2】
請求項1に記載の植栽容器において、前記貯留部は、前記容器本体部における前記容器部と前記カバー部との間の空間であり、前記吸水材は、前記貯留部に連通し前記容器部の内部に底部から起立する所定高さの筒状隔壁に収容される植栽容器。
【請求項3】
請求項2に記載の植栽容器において、前記カバー部は、透光性材料から成る、植栽容器。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれかに記載の植栽容器において、前記容器部の前記底部には該容器部内から水を排出する孔部が設けられ、該孔部は、前記カバー部材と前記ベース部材を貫通して設けられた排出管に接続されている植栽容器。
【請求項5】
請求項1から請求項4のいずれかに記載の植栽容器において、前記容器本体部と前記ベース部との間の空間に充電式バッテリーをさらに配置した植栽容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スピーカ機能および照明装置を備えた植栽容器に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、観葉植物等を植え込んでいる植木鉢の底には、余剰の水を排出するための通水孔が設けられている。このような植木鉢に植えられた植物を室内に置く場合には、植木鉢の下に水を受ける受け皿を置いている。このため、植物を移動させる際には、植木鉢と受け皿の両方を運ばなくてはならず、手間がかかる上、受け皿に溜まった水の汚れが美観を損ねていた。このような問題に鑑み、従来から、受け皿が不要な観賞用植木鉢が提案されている。例えば、特許文献1には、植物を植栽する中鉢と、この中鉢を収容する外鉢とを有する2重構造の植木鉢が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載されているような、観賞用の容器の使用は、該容器に植えられた植物のインテリアとしての価値を高めてはいる。しかしながら、その価値は植物のインテリアとしての価値にとどまる。このように、従来は容器そのものに他の実用的価値を付加することについて、検討されていなかった。
【0005】
本発明は、他の実用的価値を付加することで、室内インテリアとしての価値を高めた植栽容器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために成された本発明に係る植栽容器は、植物を植栽する有底筒状の容器部と、該容器部の胴部と底部を覆うカバー部と、を備える容器本体部と、容器本体部を支持するとともに、スピーカユニットおよび光源ユニットが配置されたベース部と、水を貯留する貯留部と、貯留部に貯留された水を吸水する吸水材と、吸水材を加熱する加熱部材と、を備える加湿手段と、無線通信用の通信ポートを有し、スピーカユニット、光源ユニットおよび加湿手段の動作を制御する制御部と、を備えることを特徴とする。
【0007】
また、貯留部は、容器本体部における容器部とカバー部との間の空間であり、吸水材は、貯留部に連通し容器部の内部に底部から起立する所定高さの筒状隔壁に収容されることにも特徴を有する。
【0008】
また、カバー部は、透光性材料から成ることにも特徴を有する。
【0009】
また、容器部の底部には該容器部内から水を排出する孔部が設けられ、該孔部は、カバー部材とベース部材を貫通して設けられた排出管に接続されていることにも特徴を有する。
【0010】
また、容器本体部とベース部との間の空間に充電式バッテリーをさらに配置したことにも特徴を有する。
【発明の効果】
【0011】
本発明に係る植栽容器によれば、受け皿が不要で室内インテリアの価値を高めることができる植栽容器を提供すると共に、音響装置、照明装置および加湿装置としての実用的価値を付与することができる。
【0012】
また、加湿手段により生起させた蒸気が植栽土壌の乾燥を防ぎ、水やりの回数を少なくし、植物の成長に寄与する効果がある。
【0013】
請求項2に記載の植栽容器によれば、水を貯留する貯留部が視認できないように構成したことにより、室内インテリアとしての価値を高めることに寄与すると共に、貯留部と連通される筒状隔壁により、水を含浸した吸水材を植栽容器の上面付近に配設させることができ、生起させた蒸気が植栽土壌に効率よく散布し、さらに加湿装置としても効率的な高さからの蒸気散布を可能としている。
【0014】
請求項3に記載の植栽容器によれば、光源ユニットにより生じた光をカバー部内に照射し、カバー部を透過した透過光を使用者に視認させることで、柔らかな光で空間を演出する間接照明とすることができる。
【0015】
請求項4に記載の植栽容器によれば、植栽への水やりの際に生じる余剰水を底部から排出することができ、土壌の水はけを良くし根腐れを防止することができる。
【0016】
請求項5に記載の植栽容器によれば、充電後に場所を選ばず音響装置、照明装置及び加湿装置として使用することができると共に、常に電源コードが必要とならず室内インテリアとしての価値を高めることに寄与することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明の一実施形態に係る植栽容器の全体を示す斜視図である。
【
図2】本発明の一実施形態に係る植栽容器の構成を示す分解斜視図である。
【
図4】本発明の一実施形態に係る植栽容器の構成を示す底面図である。
【
図5】本発明の一実施形態に係る植栽容器の制御部の構成示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
この発明の要旨は、植物を植栽する有底筒状の容器部と、該容器部の胴部と底部を覆うカバー部と、を備える容器本体部と、容器本体部を支持するとともに、スピーカユニットおよび光源ユニットが配置されたベース部と、水を貯留する貯留部と、貯留部に貯留された水を吸水する吸水材と、吸水材を加熱する加熱部材と、を備える加湿手段と、無線通信用の通信ポートを有し、スピーカユニット、光源ユニットおよび加湿手段の動作を制御する制御部と、を備えることにある。
【0019】
また、貯留部は、容器本体部における容器部とカバー部との間の空間であり、吸水材は、貯留部に連通し容器部の内部に底部から起立する所定高さの筒状隔壁に収容されることにも特徴を有する。
【0020】
また、カバー部は、透光性材料から成ることにも特徴を有する。
【0021】
また、容器部の底部には該容器部内から水を排出する孔部が設けられ、該孔部は、カバー部材とベース部材を貫通して設けられた排出管に接続されていることにも特徴を有する。
【0022】
また、容器本体部とベース部との間の空間に充電式バッテリーをさらに配置したことにも特徴を有する。
【0023】
[1.植栽容器の構成について]
以下、添付の図面を参照しながら、本発明に係る植栽容器の一実施形態について説明する。以下の実施形態は、本発明を具体化した一例であって、本発明の技術的範囲を限定するものではない。
【0024】
図1は、本実施形態に係る植栽容器の使用状態を示す斜視図である。
図2~
図5は、本実施例に係る植栽容器の構成を説明するための説明図であり、それぞれ、
図2は植栽容器の全体構成を説明するための分解斜視図、
図3は植栽容器の内部構造を説明するための断面図、
図4は制御部を説明するためカバー部から上方を除いた平面図、
図5は植栽容器の底面構造を説明するための底面図である。
【0025】
本実施形態に係る植栽容器Mは、
図1及び
図3に示すように、植物を植栽し鑑賞することを主な目的としていると共に、音響装置、照明装置及び加湿装置としての機能を備えている。植栽容器Mは、
図1~
図3に示すように、主に植物を植栽すると共に加湿手段120を備えた容器本体部100と、該容器本体部100を支持すると共にスピーカユニット210からなるスピーカユニット210、加湿手段120及び光源ユニット220からなる照明手段の制御を行う制御部230を備えたベース部200と、より構成される。
また、容器本体部100とベース部200とはプラスチック製であると共に、容器本体部100を構成するカバー部130は透光性を有した素材としている。
【0026】
容器本体部100は、
図2及び
図3に示すように、有底筒状の容器部110と、容器部110の胴部111と底部112を覆うカバー部130とより形成される。
【0027】
容器部110は、上部に設けた開口部から植栽用土壌や植物を収納又は植栽することができる。また、底部112には、水やりによる余剰水を除くための孔部113が設けられ、後述するカバー部130とベース部200を貫通して設けられた排出管114に接続され、後述するベース部200の底面側201から排出可能としている。
【0028】
カバー部130は、下方へ拡経するような略半球状且つ上部開口を有した形状としており、容器部110の胴部111と底部112を覆うように形成される。また、容器部110との間には所定の空間を有しており、カバー部130の上部と容器部110の上部とは、複数の支持部材131によって固定されている。
【0029】
カバー部130と容器部110との間に形成された空間は、後述する加湿手段120に必要な水Wを貯留する貯留部132としており、カバー部130の上部と容器部110の上部との間に設けられた円環状の供給開口133より水Wの供給を行うことができる。
【0030】
カバー部130の上面には、供給開口133を塞ぐために取り外し自在とした円環状蓋体134を備えている。円環状蓋体134は給水時以外に供給開口133を塞ぎ、審美性を高める効果と、貯留部132内へゴミの侵入を防ぐ効果がある。
【0031】
加湿手段120は、主に容器部110の内周側且つ底部112から起立するように設けられた円筒状の筒状隔壁121と、筒状隔壁121の内部に収納される吸水材122と、吸水材122を加熱することで吸水材122に含浸された水Wを蒸気へと変化させる加熱部材123と、加熱部材123の上方から被せる放出孔蓋124と、より構成される。
【0032】
筒状隔壁121は、下方開口端部121aと貯留部132とを互いに連通状態とし、貯留部132内の水Wが筒状隔壁121の下方開口端部121aより侵入することで、筒状隔壁121に収納された吸水材122に吸い上げられることで吸水材122への含浸を行うことができる。
【0033】
吸水材122は、筒状隔壁121の内部に収納される円柱状とし、吸水性を有する例えば、スポンジや綿から形成される。また、筒状隔壁121の下方開口端部121a側には吸水材122を上方へ押し上げるようなバネ部材125が設けられ、吸水材122はそのバネ部材125により後述する加熱部材123に上面122aが接触した状態で筒状隔壁121の内部に収納されることとなる。
【0034】
加熱部材123は、略円環状とし、筒状隔壁121の上方開口端部121b付近に配設される。素材としては、例えば鉄のような電気及び熱の伝導性の高い金属からなり、表面には電流が流れないようにコーティングがされている。
【0035】
加熱部材123の裏側面の一部には後述する制御部230と加熱用配線126で接続され、制御部230からの電流を受けて発熱し、接触状態にある吸水材122の上面122aを加熱することで含浸された水Wを蒸気へと変化させることができる。
また、加熱用配線126は、筒状隔壁121の外周側に設けた筒状の配線経路127内を通過し、容器部110内の植栽土壌Sと加熱用配線126が接触することが無いように構成されている。
【0036】
放出孔蓋124は、筒状隔壁121と配線経路127との上方から覆うような筒形状とし、上面には加熱部材123の作用により発生した蒸気を上方へ向け放出するように蒸気放出孔124aを備えている。
【0037】
ベース部200は、下方へ縮径するような略半球状且つ上部開口を有した形状としており、上方から容器本体部100を嵌合させることにより一体とし、植栽容器Mを形成する。すなわち、植栽容器Mは、容器本体部100とベース部200とを一体とした上部開口を有した略球状に構成される。
【0038】
ベース部200の外周面202には、後述する制御部230に接続され各種機能の操作を行う操作部203と充電式バッテリーへの電力供給のための供給部204とを備えている。
また、
図3及び
図4に示すように、ベース部200の底面側201には、植栽容器Mを飾った際に滑らないようにするための滑り止め部205と余剰水を排出するための排出管114の径に合わせた排水口206と排水口206を塞ぐ排出蓋体207とを備えている。
さらに、
図4に示すように、ベース部200の底面側201には、後述するスピーカユニット210で発生した音を外部に伝えるため、複数の小孔よりなる音響用孔208を穿設している。
【0039】
ベース部200の内部には、
図2及び
図5に示すように、主に各種手段の制御を行う制御部230と、照明手段となる光源ユニット220と、音響手段となるスピーカユニット210と、が収納されている。
【0040】
制御部230は、
図2及び
図5に示すように、ベース部200内に載置された基板231と図示しない基板内の配線により構成される。
基板231は平面視略長方形且つ後述するスピーカユニット210を避けるように円弧状の切欠部232を有している。
さらに、
図5に示す平面視において略中央付近には、排出管114を挿通するための挿通孔233を穿設している。
また、制御部230には、後述するスピーカユニット210と外部機器を無線接続可能にする通信ポート234を備えている。
【0041】
また、制御部230は、加湿手段120に用いられる加熱用配線126が接続され、その接続はカバー部130の外周面202に設けられた操作部203との中継及び制御を行っている。
【0042】
制御部230の四隅には、LEDからなる光源ユニット220が設けられる。
光源ユニット220は、使用者が操作部203によりスイッチをオンの状態にすることで制御部230が通電し、電圧がかかることにより上方に向けて光を照射する。上方に向けて照射された光は、容器本体部100のカバー部130内を照らすこととなる。カバー部130は、前述したように透光性を有する素材で形成されているため、光はカバー部130全体をぼんやりと優しい光として使用者に視認されることとなる。
【0043】
また、光源ユニット220となるLEDは、発光色を変化自在とすることができる。
様々な色への変化を自在とすることで、本実施形態に係る植栽容器Mを設置した際の空間演出効果を高め、使用者により高い美観を感じさせることができる。
【0044】
スピーカユニット210は、上述した、音響用孔208の内側(ベース部200内部側)に設けられ、制御部230を介して操作部203と接続され、使用者が操作部203により使用者がスイッチをオンの状態にすることで、外部機器からの任意の音を発生することができる。
外部機器との接続には、制御部230に接続されたUSBポート等の外部接続手段により接続を行ってもよいが、本実施形態では、制御部230に無線通信用の通信ポート234を備えていることにより、例えばスマートフォンやタブレット端末などの外部機器と無線接続を行うことができる。
【0045】
制御部230には図示しない充電式バッテリーを接続する供給配線235を備えている。
充電式バッテリーは、ベース部200の外周面202に設けられた供給部204にUSB端子やアACアダプタ等を接続することで、供給配線235を介して外部電源からの電気の供給を行うことができる。
また、供給された電気は充電式バッテリーに蓄えられ、供給配線235を介して制御部230への電気供給を行い各種手段の電源とすることができる。
【0046】
本実施形態に係る植栽容器Mは、充電式バッテリーを備えた構成としているが必ずしも充電式バッテリーを制御部230への電源とする必要はなく、例えばコンセント等の外部電源から直接供給し各種手段への制御を行うものであってもよいし、充電バッテリーと直接供給を行える手段との両方を備えた構成としてもよい。
【0047】
充電バッテリーを備えた構成とすることで、充電バッテリー内に蓄えた電気がなくなった場合に供給部204へ配線を挿仕込むこととなり、通常時は余計な配線が露出することなく植栽容器M全体の美観を損なわない効果があると同時に、設置場所に限定されることがなくなる。
【0048】
[2.使用方法について]
次に、本実施形態に係る植栽容器の使用方法について説明する。
本実施形態では、植栽する植物を観葉植物とした場合を例にとって説明する。ただし、本発明に係る植栽容器の植栽対象は、観葉植物に限らず、花をつける鉢花やハーブ類や野菜類等であってもよい。
【0049】
植栽容器Mは、
図1に示すように、容器部110内に植栽土壌Sを収納し、植栽土壌Sに観葉植物Pを植栽する。
観葉植物Pは、水を与えすぎると根腐れ等により枯れてしまう虞があるため、一度の水やりによって植栽土壌Sがまんべんなく水を含ませるように水を与え、以降の水やりは植栽土壌Sが乾燥したタイミングで与えることとなる。
【0050】
この際、水やりにより余ってしまった余剰水は、
図3に示すように、容器部110の底部112に設けた孔部113から除去されることで、植栽土壌Sの水はけを良くして根腐れの防止を行うことができる。除去された余剰水は、排出管114を落下して下部に溜まることとなる。下部に溜まった余剰水の排水には、ベース部200の底面側201に備えた排出蓋体207を外すことにより、排水口206から排水される。
上述した構成により、通常の植栽容器として機能することができると共に、余剰水を植栽土壌Sから排出できる構成としていることで、通常の植栽容器では必要であった水受け皿を必要とせず高い美観を維持することができる。
【0051】
本実施形態に係る植栽容器Mは、単に植栽容器としてではなく、加湿装置、音響装置及び照明装置としての実質的価値を備えている。
【0052】
加湿装置としては、上述した加湿手段120によって、貯留した水Wを蒸気に変化させ、植栽容器Mの周辺空間に対して加湿を行うことができる。
具体的な使用方法として使用者は、カバー部130の上部に取付けられた円環状蓋体134を外し、供給開口133より水Wを注ぎ入れ、カバー部130と容器部110との間に形成された貯留部132へ水Wを溜める。
【0053】
加湿手段120の吸水材122は、収納される筒状隔壁121と貯留部132が連通していることで、下方から水Wを吸い上げ、含浸状態となる。
【0054】
貯留部132内に水Wが十分溜まっていることを確認して、ベース部200の外周面202に設けた操作部203を操作し、加湿装置のスイッチをオンの状態にする。
スイッチをオンの状態にすると、制御部230から加熱用配線126に通電し、加熱部材123へ電流が流れる。
電流が流れた加熱部材123は、電気エネルギーの一部が熱エネルギーへと変換され、発熱する。この際、加熱部材123の表面には、電気を通さないようなコーティングを施しているため、誤って加熱部材123に触れてしまっても、感電することはない。
【0055】
筒状隔壁121の内部に収納された吸水材122は、バネ部材125により加熱部材123と接触しており、接触箇所から加熱されて含浸した水Wを蒸気へと変化させることとなる。発生した蒸気は、放出孔蓋124に設けた蒸気放出孔124aから放出させることができる。
【0056】
加湿手段120を備えることで、植栽容器Mは加湿装置として機能させることができる。
また、この加湿手段120は、単に植栽容器Mの周辺空間に対して加湿を行うだけでなく、観葉植物Pを植えた植栽土壌Sへの水分補給を兼ねることができる。
すなわち、加湿装置として蒸気を発生さることにより、植栽土壌Sの乾燥を防ぎ観葉植物Pへの水やり回数を減らすと共に、水やりによる水の与えすぎを防ぐことができる。
【0057】
音響装置としては、上述したスピーカユニット210によって、接続したスマートフォンやタブレット端末等の外部機器からの音源を植栽容器Mの底面側201から鳴らすことができる。
具体的な使用方法としては、ベース部200の外周面202に設けた操作部203を操作し、音響装置のスイッチをオンの状態にする。
スイッチをオンの状態にすると、制御部230からスピーカユニット210及び通信ポート234に通電し、待機状態となる。
【0058】
使用者は、スピーカユニット210及び通信ポート234を待機状態とした後に、手持ちの外部機器の無線接続を行う。無線接続がされたことを確認して、外部機器を操作して音源を再生することで、制御部230を介して得た電気信号をスピーカユニット210にて音に変化させ鳴らすことができる。
発生した音は、ベース部200の底面側201に穿設された音響用孔208から、植栽容器Mの外へ伝えられる。
音響用孔208は、ベース部200の底面側201に穿設されており、正面側や背面側に音源発生用の孔を備えた音響装置と異なり、設置場所の壁等の影響を受けにくいため、設置場所に限定されることが少なくなる効果がある。
【0059】
また、再生音源の音量調節は、接続した外部機器によって行うことも考えられるし、例えば、操作部203のスイッチを長押しすることで音響装置のスイッチのオンとオフの切り替えを行い、短く一回押すことで音量を上げ短く二回押すことで音量を下げるような構成としてもよい。
このような操作方法とすることで、操作部203を最小限とし美観を損なわないようなシンプルな造りとすることができる。
【0060】
照明装置としては、上述した光源ユニット220によって、透光性を有したカバー部130に光を拡散させてぼんやりと優しく発光させ、空間に独自の美観を付与するような演出を行うことができる。
具体的な使用方法としては、ベース部200の外周面202に設けた操作部203を操作し、照明装置のスイッチをオンの状態にする。
スイッチをオンの状態にすると、制御部230から基板231の四隅に設けた光源ユニット220(各LED)に通電し上方へ向けて光を照射する。
【0061】
照射した光は、カバー部130の内部、すなわち貯留部132内に侵入し、カバー部130の内壁と容器部110の外壁とで反射すると共に、カバー部130の上部覆う円環状蓋体134の内側(貯留部132側)に反射することで、カバー部130全体をぼんやりと光らせることができる。
【0062】
また、光源ユニット220は、照射する光の色を切り換え自在とすることも考えられる。
すなわち、使用者の好みや部屋のインテリアに合わせて色を変えることや、また、時間経過とともに徐々に色が変化させることで、より空間に独自の美観を付与するような演出を行うことができる。
スイッチのオンとオフの切り替えや色の切り替えの方法としては、例えば操作部203のボタンを長押しすることでスイッチのオンとオフを、長押しせずに押すことで複数の配色パターンや点灯パターンを切り換えるようなものとすれば、操作部203を最小限とし美観を損なわないようなシンプルな造りとすることができる。
【0063】
上述してきた実施形態では、植栽容器Mの操作部203により使用者は各種機能を操作するような構成としているが、別途リモートコントローラーを設けて制御部への指示を行うような構成としてもよい。
【0064】
また、通信ポート234を音響装置のスイッチをオンの状態とすることにより、無線通信を可能としているが、通信ポート234用の別途スイッチを設けることで、無線接続したスマートフォンやタブレット端末といった外部機器をリモートコントローラーとすることができる。
【0065】
例えば、スマートフォンを無線接続した際には、専用のアプリケーション内で、加湿装置のスイッチのオンとオフの制御を行ったり、再生した音源の音量の調節を行ったり、光源ユニット220からの照射光の色を変化させたりといった細かい操作を行えるようなものとすることが考えられる。
【0066】
また、貯留部132に水Wと一緒に精油を入れることで加湿手段120に加えアロマディフューザーとしての機能を付与することも考えられる。
【0067】
上述した実施形態の説明は本発明の一例であり、本発明に係る植栽容器Mは上述の実施形態に限定されることはない。このため、上述した実施形態以外であっても、本発明に係る技術的思想を逸脱しない範囲であれば、設計等に応じて種々の変更が可能であることは勿論である。また、上述した各種効果は、あくまで例示に過ぎず、本発明による効果は、本実施例に記載されたものに限定されるものではない。
【符号の説明】
【0068】
M 植栽容器
P 観葉植物
S 植栽土壌
W 水
100 容器本体部
110 容器部
111 胴部
112 底部
113 孔部
114 排出管
120 加湿手段
121 筒状隔壁
121a 下方開口端部
121b 上方開口端部
122 吸水材
122a 上面
123 加熱部材
124 放出孔蓋
124a 蒸気放出孔
125 バネ部材
126 加熱用配線
127 配線経路
130 カバー部
131 支持部材
132 貯留部
133 供給開口
134 円環状蓋体
200 ベース部
201 底面側
202 外周面
203 操作部
204 供給部
205 滑り止め部
206 排水口
207 排出蓋体
208 音響用孔
210 スピーカユニット
220 光源ユニット
230 制御部
231 基板
232 切欠部
233 挿通孔
234 通信ポート
235 供給配線